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特開2023-171729ナノコーティングによる電気機器の保護方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171729
(43)【公開日】2023-12-05
(54)【発明の名称】ナノコーティングによる電気機器の保護方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
C23C16/455
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023143081
(22)【出願日】2023-09-04
(62)【分割の表示】P 2020545487の分割
【原出願日】2019-05-06
(31)【優先権主張番号】62/667,408
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/667,413
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520326655
【氏名又は名称】ジアンスゥ フェイバード ナノテクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU FAVORED NANOTECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.108,Xixian Road,Meicun Street,Xinwu District,Wuxi City,Jiangsu 214000(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ゾン,ジアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】反応チャンバ内の電気装置上に多層プラズマ化学蒸着コーティングを適用するための方法、反応チャンバおよび多層プラズマ化学蒸着コーティングを提供する。
【解決手段】例示的な実施形態は、中心軸に対して実質的に対称な形状の真空チャンバを含む。回転ラックは、真空チャンバの中心軸を中心に回転するように動作可能とし得る。さらに、真空チャンバの外周から実質的に対称的に真空チャンバの外周の周囲に配置された反応性種放出機構は、反応性種を真空チャンバ内に分散させるように構成され得る。反応性種は、1つまたは複数の装置の表面上にポリマー多層コーティングを形成し得る。各層は、ポリマー多層コーティングの耐水性、耐食性、およびフィクション抵抗性を高めるために、異なる原子組成を有し得る。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ重合コーティングを生成するための重合プロセスを用いて、腐食性損傷から電気コネクタを保護するための方法であって、
選択された時間の間、反応チャンバ内で前記電気コネクタを一貫して移動させる工程、
前記選択された時間の間、
前記電気コネクタに遷移層を適用する工程であって、
第1のモノマー蒸気を前記反応チャンバ内に放出し、
第1の重合プラズマを前記反応チャンバ内に放出することにより、前記第1のモノマー蒸気から第1の反応性種を生成し、そして、
前記第1の反応性種を堆積させて、前記電気コネクタの表面上に、炭素原子に対する酸素原子の第1の比を有する前記遷移層を形成すること、を含む前記電気コネクタに前記遷移層を適用する工程、および、
前記電気コネクタに表面層を適用する工程であって、
第2のモノマー蒸気を前記反応チャンバ内に放出し、
第2の重合プラズマを前記反応チャンバ内に放出することにより、前記第2のモノマー蒸気から第2の反応性種を生成し、そして、
前記第2の反応性種を堆積させて、前記遷移層の表面上に、前記第1の比よりも小さい炭素原子に対する酸素原子の第2の比を有する前記表面層を形成すること、を含む前記電気コネクタに前記表面層を適用する工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1および/または前記第2のモノマー蒸気が、
低い双極子モーメントを有する少なくとも1つの有機モノマーを含む第1の蒸気、
少なくとも1つの多官能性不飽和炭化水素および炭化水素誘導体モノマーを含む第2の蒸気、
少なくとも1つの単官能性不飽和フルオロカーボン樹脂モノマーを含む第3の蒸気、および、
Si-Cl、Si-O-C、または環構造中に少なくとも1つの有機ケイ素モノマーを含む第4の蒸気、のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の蒸気の前記低い双極子モーメントが、前記プラズマ重合コーティング全体への電気信号に対する干渉を低減する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
分子結合エネルギー、結合長、および前記モノマー蒸気の蒸発温度の差に基づき、前記蒸気の比率を制御することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および/または前記第2のモノマー蒸気が、前記遷移層および/または前記表面層の強度および耐水性を改善する架橋構造モノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
分子結合エネルギー、結合長、および異なるモノマーの蒸発温度の差に基づき、前記プロセスのプロセスパラメータを変化させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1、前記第2のモノマー蒸気、および/または、キャリアガスに印加されるエネルギーを、分子結合エネルギー、結合長、および異なるモノマーの蒸発温度の差に基づき変化させ、耐水性および低い破壊電圧を付与するコンパクトな遷移層および表面層を生成することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記モノマー蒸気が、10-1000μL/分の速度で前記反応チャンバ内に放出される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記第1および/または前記第2の重合プラズマが、前記反応チャンバ内のキャリアガスに電荷を印加することによって形成され、そして、前記重合プラズマが、パルス電気放電または周期的交流電気放電を用いて堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記表面コーティング層の適用中、前記パルス放電の持続時間は600-3,600秒であり、前記印加される電力は1-600ワットであり、前記パルス放電の周波数は1-1000Hzであり、そして前記パルスのデューティサイクルは、1:1-1:500である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記表面コーティング層の適用中、前記周期的交流電気放電の持続時間は600-3,600秒であり、印加される電力は1-600ワットであり、そして前記交流周波数は1-1000Hzである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1および/または前記第2の重合プラズマを生成するために、キャリアガスに電荷を印加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記キャリアガスが、アルゴン(Ar)原子の不活性ガスを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記遷移層および/または前記表面層が、炭素、フッ素、酸素、シリコン、および水素原子の1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記遷移層の炭素原子に対する酸素原子の前記第1の比が1:3-1:20である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記反応性種が、エネルギーが前記第1および/または前記第2の重合プラズマから前記モノマー蒸気に伝達される際に前記モノマー蒸気から放出されるフリーラジカルである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記フリーラジカルが、前記電気コネクタの表面上で重合され、ポリマーコーティングを形成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記電気コネクタが、USBTMタイプ-Cコネクタ、マイクロ-USBTMコネクタ、AppleTMライトニングコネクタ、HDMITMコネクタ、フレキシブルプリント回路(FPC)コネクタ、ボード・ツー・ボード(BTB)コネクタ、プローブコネクタ、または無線周波数(RF)同軸コネクタである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
プラズマ重合コーティングを生成するための重合プロセスを用いて、腐食性損傷から電気コネクタを保護するための反応チャンバであって、
前記電気コネクタを前記反応チャンバ内に固定し、そして前記電気コネクタを前記反応チャンバ内で一貫して移動させるために回転モータによって駆動される回転ラック、
キャリアガスに放電を印加することによって重合プラズマを生成するための放電キャビティ、
モノマー蒸気を前記反応チャンバ内に放出するためのモノマー蒸気パイプ、および、
前記反応チャンバと放電キャビティとの間の金属グリッドバリアと、を含み、ここで、
第1の重合プラズマを前記反応チャンバ内に放出することにより前記モノマー蒸気から第1の反応性種を生成し、前記電気コネクタの表面上に堆積された前記第1の反応性種を生成し、そして酸素原子に対する炭素原子の第1の比を有する遷移層を生成することにより前記電気コネクタに遷移層を適用し、そして、
第2の重合プラズマを前記反応チャンバ内に放出することにより前記モノマー蒸気から第2の反応性種を生成し、前記表面層上に堆積された前記第2の反応性種を生成し、そして前記第1の比よりも大きな酸素原子に対する炭素原子の第2の比を有する前記表面層を生成することにより前記電気コネクタに表面層を適用するため、電力が前記金属グリッドバリアに印加される、
反応チャンバ。
【請求項20】
前記回転ラックの動作が、前記金属グリッドバリアへの電力の印可と同時に行われ、前記電気コネクタ上に反応性種を堆積させつつ同時に前記電気コネクタを前記反応チャンバ全体に移動させる、請求項19に記載の反応チャンバ。
【請求項21】
前記反応チャンバ内の前記電気コネクタの移動が、前記反応チャンバの中心軸に対する直線往復運動または曲線運動を含む、請求項19に記載の反応チャンバ。
【請求項22】
前記曲線運動が、前記中心軸に沿った円運動、前記中心軸に沿った楕円運動、球面運動、および他の不規則なルートを伴う曲線運動のうちの1つまたは複数を含む、請求項21に記載の反応チャンバ。
【請求項23】
前記回転ラックが中心軸から遠位の遊星軸を有する遊星回転シャフトに連結され、そして前記遊星回転シャフトが遊星回転プラットフォームに連結され、ここで、
前記電気コネクタが前記遊星回転プラットフォーム上に固定され、前記電気コネクタが前記遊星軸に沿って回転される、請求項19に記載の反応チャンバ。
【請求項24】
前記遷移層は、炭素、フッ素、酸素、シリコン、および水素元素のうちの1つまたは複数を含み、そして、
前記表面層は、炭素、フッ素、酸素、シリコン、および水素元素のうちの1つまたは複数を含む、請求項19記載の反応チャンバ。
【請求項25】
前記電気コネクタが、USBTMタイプ-Cコネクタ、マイクロ-USBTMコネクタ、AppleTMライトニングコネクタ、HDMITMコネクタ、フレキシブルプリント回路(FPC)コネクタ、ボード・ツー・ボード(BTB)コネクタ、プローブコネクタ、または無線周波数(RF)同軸コネクタである、請求項19記載の反応チャンバ。
【請求項26】
水分および腐食性損傷から電気コネクタを保護するためのプラズマ重合コーティングであって、
前記電気コネクタの表面上に、炭素原子に対する酸素原子の第1の比を有する遷移層を含み、ここで、前記遷移層は、
少なくとも1つの多官能不飽和炭化水素および炭化水素誘導体モノマー、および、
Si-Cl、Si-O-C中の少なくとも1つの有機ケイ素モノマー、のうちの1つまたは複数の反応性種を用いて形成され、そして、
前記遷移層の表面上に、前記第1の比よりも小さい炭素原子に対する酸素原子の第2の比を有する表面層を含み、ここで、前記表面層は、
低い双極子モーメントを有する少なくとも1つの有機モノマー、および、
少なくとも1つの単官能性不飽和フルオロカーボン樹脂モノマー、のうちの1つまたは複数から生成された反応性種を用いて形成される、プラズマ重合コーティング。
【請求項27】
前記遷移層の炭素原子に対する酸素原子の第1の比が1:3~1:20である、請求項26に記載のプラズマ重合コーティング。
【請求項28】
前記遷移層および/または前記表面層が、炭素、フッ素、酸素、シリコン、および水素
原子の1つまたは複数を含む、請求項26に記載のプラズマ重合コーティング。
【請求項29】
電気コネクタ上にプラズマ重合コーティングを適用するための方法であって、
電気コネクタの表面に、炭素原子に対する酸素原子の第1の比を有する遷移層を適用する工程、および、
前記遷移層の表面に、前記第1の比よりも小さい炭素原子に対する酸素原子の第2の比を有する表面層を適用する工程を含み、ここで、
前記プラズマ重合コーティングは耐水性であり、前記プラズマ重合コーティングの厚さは5nm-500nmであり、そして前記プラズマ重合コーティング全体に対して1V-30Vの電圧を印加した際に前記プラズマ重合コーティングは導電性である、方法。
【請求項30】
反応チャンバ内の電気装置上に多層プラズマ化学蒸着コーティングを適用するための方法であって、
金属ゲートに周期的な電気放電を印加して、放電キャビティから反応チャンバ内に周期的にプラズマを導き、反応性種を生成する工程を含み、ここで、
前記周期的な電気放電は、反応性種を生成するようにプラズマを反応チャンバ内に導く際に金属ゲートに電気放電が印加され、そして前記反応性種がフラグメンテーション-多重再結合プロセスに供される際に前記電気装置上に第1の副層が形成される、プラズマオン期間、および、
前記金属ゲートに電気放電が印可されず、前記反応性種がラジカル連鎖伝播プロセスを受ける際に、前記電気装置上に第2の副層が形成される、プラズマオフ期間を含む、
方法。
【請求項31】
前記周期的な電気放電が不連続なパルス波形にしたがって印加される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記周期的な電気放電は、鋸歯状波形、正弦波形、方形波形、全波整流波形、半波整流波形、または不連続パルス波形にしたがって印加される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のコーティングと前記第2のコーティングとの間の界面を交互にして、前記第1および前記第2の層からエネルギーを消散させる、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記第1および前記第2のコーティングの適用中に、前記反応チャンバの中心軸に沿って前記電気装置を回転させることをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記第1および前記第2のコーティングの適用中に、前記反応チャンバの中心軸よりも遠位の遊星軸に沿って前記電気装置を回転させる工程をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記遊星軸に沿った前記回転は、前記中心軸に対する前記電気装置の配向を変化させる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記遊星軸に沿った前記電気装置の回転速度は、前記中心軸に沿った前記電気装置の回転速度とは独立して調整される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記中心軸および前記遊星軸に沿った回転の組み合わせが、前記反応チャンバに対する直線的往復運動または曲線運動での前記電気装置の動きをもたらす、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記曲線運動は、中心軸に沿った円運動、中心軸に沿った楕円運動、前記中心軸よりも
遠位の軸を有する円運動、球面運動、および他の不規則なルートを有する曲線運動のうちの1つまたは複数を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第1および前記第2のコーティングを適用する前に、前記反応チャンバ内の雰囲気を排気し、そして処理プラズマを放出して前記電気装置の表面から不純物を除去することにより、前記電気装置の表面を前処理する工程をさらに含む、請求項30記載の方法。
【請求項41】
前記反応チャンバ内の多孔質電極に電荷を印加することにより、前記前処理プラズマを発生させることをさらに含む、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記モノマー蒸気は、一定の電荷によって生成されたプラズマからのエネルギーが前記モノマー蒸気に伝達される際に前記第1の反応性種を放出し、そして、
前記モノマー蒸気は、非一定の電荷によって生成されたプラズマからのエネルギーが前記モノマー蒸気に伝達される際に前記第2の反応性種を放出する、請求項30記載の方法。
【請求項43】
前記電気装置が、家電製品、モバイル装置、計算装置、ディスプレイ装置、またはウェアラブル装置である、請求項30に記載の方法。
【請求項44】
電気装置上に多層プラズマ化学蒸着コーティングを適用するための反応チャンバであって、
前記電気装置を、一次回転軸を介して中心軸に沿って回転させるように構成された一次回転ラックと、
前記電気装置を固定し、そして前記一次回転ラックに連結された遊星回転シャフトを介して遊星軸に沿って前記電気装置を回転させるように構成された二次回転ラックと、
制御信号を送信して、電源に周期的な電気放電を金属ゲートに印加させるコントローラと、を含み、ここで、
前記周期的な電気放電は、反応性種を生成するようプラズマを反応チャンバ内に導くために金属ゲートに電気放電が印加され、そして前記反応性種がフラグメンテーション-多重再結合プロセスに供される際に前記電気装置上に第1の副層が形成される、プラズマオン期間と、そして、
前記周期的な電気放電は、前記金属ゲートに電気放電が印可されず、そして前記反応性種がラジカル連鎖伝播プロセスを受ける際には、前記電気装置上に第2の副層が形成される、プラズマオフ期間と、を含む
反応チャンバ。
【請求項45】
前記周期的な電気放電が、不連続パルス放電または周期的な交互の放電である、請求項44に記載の反応チャンバ。
【請求項46】
前記コントローラが、第1の回転制御信号を送信して、前記第1および第2の層の適用中に、前記電気装置を前記反応チャンバの前記中心軸に沿って前記一次回転ラックを介して回転させるように構成されている、請求項44記載の反応チャンバ。
【請求項47】
前記第1の回転制御信号が、前記中心軸に沿った前記一次回転ラックおよび前記電気装置の回転速度を制御する、請求項46に記載の反応チャンバ。
【請求項48】
前記コントローラが、第2の回転制御信号を送信して、前記第1および前記第2のコーティングの適用中に、前記電気装置を前記反応チャンバの前記遊星軸に沿って前記二次回転ラックを介して回転させるように構成されている、請求項44に記載の反応チャンバ。
【請求項49】
前記第2の回転制御信号が、前記遊星軸に沿った前記第2の回転ラックおよび前記電気装置の回転速度を制御する、請求項48に記載の反応チャンバ。
【請求項50】
第1のモノマー蒸気を前記反応チャンバ内に放出するように構成された第1のモノマー蒸気パイプをさらに含み、
前記第1のモノマー蒸気は、前記第1のプラズマからのエネルギーが前記第1のモノマー蒸気に伝達された際に、前記第1の反応性種を放出し、
前記第2のモノマー蒸気は、前記第2のプラズマからのエネルギーが前記第2のモノマー蒸気に伝達された際に前記第2の反応性種を放出する、請求項44記載の反応チャンバ。
【請求項51】
電気装置上の多層プラズマ化学蒸着コーティングであって、
プラズマが反応チャンバ内に向けられる際のプラズマオン期間中のフラグメンテーション-多重再結合プロセスにより形成された第1の副層、および、
プラズマが反応チャンバ内に向けられない際のプラズマオフ期間中のラジカル連鎖伝播プロセスにより形成された第2の副層、を含む、多層プラズマ化学蒸着コーティング。
【請求項52】
前記多層プラズマ化学蒸着コーティングが、前記プラズマオン及び前記プラズマオフの各々の期間中に形成された、各副層の厚さを変化させることにより生成された段階的な構造を有する、請求項51に記載の多層プラズマ化学蒸着コーティング。
【請求項53】
前記多層プラズマ化学蒸着コーティングは、前記プラズマオン期間中に形成される副層と前記プラズマオフ期間中に形成される副層とが交互に配置されている、請求項51に記載の多層プラズマ化学蒸着コーティング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月4日に出願された米国特許仮出願第62/667,408号および2018年5月4日に出願された米国特許仮出願第62/667,413号に対する優先権を主張する。上記で特定された出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、プラズマ重合技術に関し、より具体的には、プラズマ重合コーティング装置およびプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
プラズマ重合コーティング処理は、他の従来技術よりもその利点が大きいため、重要な表面処理技術である。例えば、プラズマ重合コーティングにおいて、ポリマーは、分子鎖が成長する所望の表面に直接結合され得る。これは、処理される表面をコーティングするために必要な全体的なステップ数を減少させる。他の利点は、従来の化学重合技術と比較して、より広い選択のモノマーの利用可能性を含む。
【0004】
しかしながら、従来のプラズマコーティング装置の既存の設計における種々の欠点のために、従来のプラズマ重合処理は、しばしば製造の制限に悩まされることとなり、その結果、小さなバッチサイズ、低効率、高コスト、およびバッチの均一性の乏しさをもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つまたは複数の実施形態が、添付の図面の図面に限定されるものではなく一例として例示される。同様の参照番号は同様の要素を示す。これらの図は、必ずしも縮尺通りに描かれている訳ではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、回転ラック上に配置された遊星回転軸を有する例示的なプラズマ重合コーティング装置の構造の概略正面図である。
【0007】
図2図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、図1に示される例示的な装置の構造の概略上面図である。
【0008】
図3図3は、プラズマ重合のための例示的なプロセスを示すフロー図である。
【0009】
図4図4は、本明細書に記載される少なくともいくつかの動作を実施することができる処理システムの一例を示すブロック図である。
【0010】
図5図5は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、回転ラックおよび遊星回転シャフトを回転させるための任意のシャフトおよびギアを備えた例示的なプラズマ重合コーティング装置の概略正面図である。
【0011】
図6図6は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、プラズマ重合の別の例示的なプロセスを示すフロー図である。
【0012】
図7図7は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、装置上に適用された例示的なプラズマ重合コーティングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の特定の実施形態が、関連する技術的解決策および添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。以下の説明において、具体的な詳細は、現在開示されている技術を完全に理解するために記載されている。他の実施形態では、本明細書に記載の技術は、これら特定の詳細なしに実施することができる。他の例では、本技術を不必要に不明瞭にすることを避けるために、特定の製造技術のような周知の特徴は詳細に説明されていない。本説明において「実施形態」、「一実施形態」等の言及は、本開示の少なくとも1つの実施形態に、説明されている特定の特徴、構造、材料、または特性が含まれることを意味する。したがって、本明細書中のこのような用語の例は、必ずしも全てが同じ実施形態を参照しているわけではない。他方、そのような参照は必ずしも相互に排他的ではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態では、任意の適切な方法で組み合わせることができる。また、図中に示された種々の実施形態は、単なる例示的な表現であり、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されるべきである。
【0014】
前述のように、プラズマ重合コーティングは、非常に望ましい特性を有する結果を生成し得、疎水性フィルムコーティングのような特定の用途において良好に機能し得る。しかしながら、ポリマーコーティングは非常に薄い傾向があるため、コーティングにおいて所望の均一性を達成することは困難であり得る。
【0015】
プラズマ重合コーティングを行うために、第1に処理される装置を真空チャンバ内に配置し、次いで、キャリアガスおよびガス状有機モノマーを真空チャンバ内に分散させ得る。ガス状の有機モノマーは、電力をモノマーに放出することによってプラズマ状態に変換され、種々のタイプの反応性種を生成する。次に、反応性種とモノマーとの間、または、反応性種間でさらなる反応が起こり、そして装置の表面上にポリマーフィルムを形成する
。プラズマ重合コーティングプロセスにおける種々の点において、真空チャンバの雰囲気は、キャリアガス、気体状有機モノマー、モノマーへの電力の放出から生じるプラズマ、プラズマとモノマー蒸気との組み合わせから生じる反応性種等のうちの1つまたは複数を含み得る。疎水性または疎油性フィルムコーティングのような特定の用途では、プラズマ重合コーティングは、非常に望ましい特性を有する結果を生じ得る。
【0016】
従来のプラズマコーティング装置は、典型的には矩形の真空チャンバを備えており、その結果、コーティングプロセスの間、装置搬送プラットフォームおよびその上に配置された装置の位置は、典型的には、従来の真空チャンバ内に固定される。同一バッチ内の異なる装置は、真空チャンバ内の異なる位置にあるため、それらは、電極、モノマー/キャリアガス出口、真空ガス出口等から異なる距離にある。そのため、各装置に適用される被膜の厚さが、チャンバ内の各装置の異なる位置に基づいて変化することは避けられない。したがって、同一バッチ内の均一性の変動を低減するために現在利用可能なプラズマコーティング装置は、典型的には、容量の小さい真空チャンバを採用し、そして少量のバッチで処理される。このプロセスは、処理効率を大幅に低下させ、コストを増加させる。それでも、顧客の要求を満たす、満足のいくバッチ均一性を作り出せない可能性がある。ポリマーコーティング用途の急速な拡大に伴い、このような加工に対する需要は急速に増加している。
【0017】
したがって、本明細書で開示されるのは、小バッチサイズ、低効率、高コスト、およびバッチの均一性の乏しさ、のような既存のプラズマコーティングプロセスにおける技術的問題に対処するプラズマコーティング装置および技術である。いくつかの実施形態では、印加されたプラズマ重合コーティングの均一性は、真空チャンバからのガスの排気を制御する等の制御機構を使用して強化される。
【0018】
プラズマ化学蒸着(PCVD)は、プラズマを用いて装置の表面に保護コーティングを生成する技術である。PCVDプロセスは、反応ガスを活性化し、保護コーティングを生成するために装置の表面またはその近傍での化学反応を促進する。
【0019】
PCVDは、保護コーティングの製造中に多くの利点を提供するプロセスである。例えば、PCVDは、コーティングを受ける装置に損傷を与えない乾式プロセスである。パリレン(parylene)の蒸着法と比較すると、PCVD技術はより低い堆積温度を有し、コーティングを受ける装置への損傷を回避しつつ、使用されるモノマーおよび形成されるコーティング構造について、より優れた制御を提供する。さらに、コーティングは、不均一または不規則な形状の装置上に均一に適用され得る。
【0020】
さらに、コーティング処理は、電流伝導、熱放散、およびデータ伝送のような製品の通常の機能に影響を与えないので、コーティング処理は、装置のゴールドフィンガー(gold fingers)および他の導電部材上で行うことができる。したがって、マスキング操作は、装置のどの領域がプラズマ重合コーティングを受けるかを制御するために必要ではない。したがって単純化されたコーティングプロセスは、生産スループットを改善し、そしてより高い生産歩留りとなる。最後に、PCVD技術では望ましくない副産物の数が減少するため、液体化学薬品を用いた3コーティング保護層を適用するよりも、より環境に優しい。
【0021】
製造中の利点に加えて、PCVDは、他の方法を使用して製造されたコーティングよりも著しい利点を有する保護コーティングを製造する。例えば、機械的構造(例えば、接着剤コーティング、ゴムリング、およびガスケット)を介する従来の耐水性保護に対して、プラズマポリマーフィルムによって提供される保護は、複雑な機械的設計、高コスト、低い生産歩留まり、および摩耗による劣化に対する影響され易さを回避する。さらに、耐水
性を付与する機械的構造を回避することにより、PCVD保護コーティングは、製品の外観を改善し、そして使用者の体験(ユーザエクスペリエンス)を改善する。
【0022】
コーティングの別の利点は、通常の摩耗を維持しながら、コーティングを装置の表面に留めることを可能にする、装置に対する強い結合力である。このコーティングはまた、安定した化学的および物理的特性を有し、溶剤、化学的腐食、熱および摩耗による損傷に対する抵抗性を付与する。さらに、PCVDプロセスは、数ナノメートル程度の薄さのコーティングを生成することができる。したがって、他のコーティングと比較して、プラズマポリマーフィルムは、薄くて耐久性のある、耐水性および耐食性のあるコーティングを提供するための効果的な方法を提供する。以下の説明では、本開示の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、回路、およびプロセスの例のような多数の具体的な詳細が説明される。また、以下の説明および説明の目的のために、特定の命名法が、本実施形態の完全な理解を提供するために記載されている。しかしながら、当業者には、これらの具体的な詳細は、本実施形態を実施するために必要ではないことがあり得るのは明らかであろう。他の例では、本開示を不明瞭にすることを避けるために、周知の回路および装置がブロック図の形式で示されている。
【0023】
本明細書で使用される用語「連結された」は、直接接続されるか、又は1つまたは複数の介在する構成要素または回路を介して接続されることを意味する。本明細書に記載される種々のバス上で提供される信号のいずれも、他の信号と時間多重化され、1つまたは複数の共通のバス上で提供され得る。さらに、複数の回路素子または複数のソフトウェアブロック間の相互接続は、複数のバスまたは単一の信号線として示されてもよい。複数のバスの各々は代替的に単一の信号線であってもよく、そして単一の信号線の各々は代替的に複数のバスであってもよく、そして単一の線またはバスは、複数のコンポーネント間の通信(例えば、ネットワーク)のための無数の物理的または論理的メカニズムのうちの任意の1つまたは複数を表すことができる。本実施形態は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される全ての実施形態をそれらの範囲内に含むものである。
【0024】
<プラズマ重合コーティング装置>
図1および図2に示されているのは、プラズマ重合コーティングを装置115に適用するための、本開示の1つまたは複数の実施形態によるプラズマ重合コーティング装置100である。例示的な実施形態では、プラズマ重合コーティング装置は、真空チャンバ101、多孔質電極102、無線周波電源103、放電キャビティ104、金属グリッド105、パルス電源106、放電源107、放電電源108、キャリアガスパイプ109、モノマー蒸気パイプ110、テールガス回収管111、回転ラック112、遊星回転シャフト113、遊星回転プラットフォーム114、処理される装置115、真空ポンプ116、コントローラ117、回転モータ118、およびガイドスリーブ119を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、装置115は、電気信号を送信するためのコネクタであり得る。コネクタは、2つ以上の装置を接続し、接続された装置間で電気信号を送信するために使用されるインタフェースであり得る。いくつかの実施形態では、コネクタは、USBTMコネクタ(例えば、マイクロUSBTM、USB-ATM、USBTMタイプ-Cコネクタ、マイクロ-USBTMコネクタ等)、AppleTMライトニングコネクタ、HDMITMコネクタ、フレキシブルプリント回路(FPC)コネクタ、ボード・ツー・ボード(BTB)コネクタ、プローブコネクタ、または無線周波数(RF)同軸コネクタであり得る。他の実施形態では、装置115は、家電製品、モバイル装置、計算装置、ディスプレイ装置、またはウェアラブル装置であり得る。いくつかの例では、装置115は、携帯電話、ヘッドフォン、ワイヤレスヘッドフォン、タブレットコンピュータ、子供用腕時計、位置決めトラッカー、ラップトップコンピュータ、オーディオシステム、無人航空
機、拡張現実(AR)眼鏡、または仮想現実(VR)眼鏡である。
【0026】
装置115は、プラズマ重合処理に供されることによって、改良された耐久性および性能を得ることができる。装置115は、頻繁に差し込み(plug)、および引き抜き(unplug)の事象に遭遇し、湿気および腐食による損傷の可能性を増大させる過酷な環境で動作する可能性があるため、摩耗に対する耐久性および弾性が重要である。したがって、以下に詳細に説明されるように、プラズマ重合コーティングは、装置115が遭遇する種々の摩耗に対する保護を提供する。例えば、プラズマ重合コーティングは、装置115を水および湿気(例えば、温度の変化による凝縮)に対して抵抗性を有するものにする保護層を提供し得る。さらに、プラズマ重合コーティングは、酸性溶媒、酸性雰囲気、および塩基性溶媒に対する保護を提供し得る。最後に、プラズマ重合コーティングはまた、汗、化粧品、および頻繁な温度変化に対する保護または抵抗を提供し得る。
【0027】
<真空チャンバ>
真空チャンバ101は、重合されたプラズマが装置115に適用され得る際の容器として機能する。本開示の目的のために、「真空チャンバ」という用語は、該チャンバの外側と比して低いガス圧力を有するチャンバ(例えば、真空ポンプ116がチャンバからガスをポンピングする結果)を意味する。この用語は、必ずしもチャンバが真空状態に排気されることを意味しない。本明細書の議論の目的のために、真空チャンバ101は、「反応チャンバ」とも称され得る。真空チャンバ101は、本明細書に記載される1つまたは複数の化学反応(例えば、開示されるプラズマコーティング技術を実施するための)が行われるチャンバであり得る。いくつかの例では、コーティングプロセスの間、真空チャンバ101は、まず、ベース圧力約5mTorrまでガスを排出し、次いで、キャリアガスで満たし得る。真空チャンバ101にキャリアガスを充填した後、真空チャンバ101内の空気圧力は、約数十mTorrに上昇し得る。真空チャンバ101の容積は、用途に応じて、例えば、50-3000リットルの間で変化し得る。チャンバ材料の例としては、アルミニウム合金またはステンレス鋼を含み得る。
【0028】
真空チャンバ101は、真空チャンバ101の周囲に沿ってチャンバ本体の内壁を有する。真空チャンバ101の内壁は、他の上面断面と同じ直径を有する円形の上面断面、または他の上面断面と同じエッジ長さを有する多角形によって特徴付けられ得る。該多角形のいくつかの実施形態は、少なくとも6つのエッジを有する。
【0029】
真空チャンバ101の上部カバーおよび下部カバーは、球形セグメント、規則的な多角形、または楕円形のような、平らなプレートまたはアーチ状構造であり得る。いくつかの実施形態では、該構造は、真空チャンバ101のチャンバ本体内壁の上面図断面と一致する。
【0030】
<多孔質電極>
いくつかの実施形態では、多孔質電極102は、後続の工程における重合によって被覆される装置115の表面を前処理するためのプラズマを生成し得る。特に、高電力(例えば、600ワット超)が、多孔質電極102を通して連続的に放電され、強力なプラズマを生成する。得られたプラズマは、少なくとも2つの目的に使用し得る:(1)基材表面上の、水および油のような有機不純物の汚れを洗浄すること、そして、(2)有機基材を活性化してダングリングボンドを形成することによりコーティングの堆積を容易にし、そして基材とコーティングとの間の結合力を高めること。いくつかの実施態様において、多孔質電極102を介するこの表面プラズマ前処理は、任意である。
【0031】
いくつかの実施形態では、多孔質電極102は円筒形を形成してもよく、または少なくとも円筒形の2つの部分に分割されてもよく、そして多孔質電極102は、真空チャンバ
101と同軸であってもよい。多孔質電極102は複数の孔で覆われ得、孔のサイズはその直径が2~30mmの範囲であり得る。各孔の間隔は、2~30mmの範囲であり得る。さらに、孔は均一に配置されてもよいし、または、各孔間の距離を変化させて配置されてもよい。
【0032】
多孔質電極102は、真空チャンバ101内における、真空チャンバ101の内壁の近傍または傍近に設置される。多孔質電極102は、真空チャンバ101の内壁から離れたところで多孔質アーチ構造を形成し得る。いくつかの実施形態では、多孔質電極102から真空チャンバ101の内壁までの距離は、1~6cmの範囲であり得る。
【0033】
プラズマ重合コーティング装置100の真空チャンバ101は、多孔質電極102に連結された無線周波数電源103を含んでもよい。いくつかの実施形態では、無線周波数電源103は、1つまたは複数の基板の表面から不純物を除去するための処理プラズマを生成するために、多孔質電極102に電荷を提供するように構成される。無線周波数電源103は、多孔質電極102への電力出力を制御する無線周波数制御信号を受信するために、コントローラ117に連結され得る。
【0034】
例えば、多孔質電極102は、無線周波数(例えば、高周波)電源103に接続され得る。無線周波数電源103からの電力が多孔質電極102に印加されると、装置115の表面から不純物を除去するためのプラズマが生成される。無線周波数電源103の電力は、15-1500ワットであるように構成され得る。いくつかの実施形態では、電力放電中に生成されるプラズマは、基板表面の洗浄および前処理に使用され得ることに留意されたい。いくつかの実施形態によれば、洗浄(例えば、基板の表面の前処理)のためのプラズマを生成するために使用されるガスは、酸素を含む。
【0035】
上述のように、無線周波数電源103が多孔質電極102に印加され、装置115の表面から不純物を除去するためのプラズマを生成する。1つまたは複数の実施形態では、仮に多孔質電極102が誘電体コーティングで被覆されている場合であっても、無線周波数電源103は放電を駆動するために使用される。比較すると、直流(DC)電源または低周波(例えば、50Hz未満)電源は、この利点を有しない。無線周波数電源103によって印加される適用可能な高周波は、数十kHzから数GHzの範囲であり得る。典型的な高周波は、40kHz、13.56MHz、2.45GHzなどを含む。周波数の選択は、技術的要件または仕様、既存製品の材料特性およびコストに依存し得る。誘電体コーティングに係る当業者は、特定の材料のコーティングを実施するために適切に高い周波数を選択し得ることに留意されたい。
【0036】
さらに、無線周波数電源103の電極は極性が交互となるため、該電極はカソードおよびアノード電極に代えて、駆動電極および接地電極として識別される。開示された装置の1つまたは複数の実施形態では、無線周波数電源103の出力と接続する多孔質電極102は、駆動電極である。これらの実施形態の少なくともいくつかにおいて、真空チャンバ101の壁は、接地電極として作用し得る。さらに、または代替的に、テールガス回収管111も接地電極として作動し得る。
【0037】
<放電キャビティ>
プラズマ重合コーティング装置100の真空チャンバ101は、真空チャンバ101の周囲に配置された分散機構を含む。いくつかの実施形態では、真空チャンバ101は、実質的に均一に反応性種を真空チャンバ101内に分散するように構成される。分散機構は、反応性種が1つまたは複数の基板の表面上にポリマーコーティングを形成するように、真空チャンバ101の中心軸に向かって反応性種を分散するように構成され得る。該分散機構は、放電キャビティ104と、放電キャビティと真空チャンバ101との間に圧力差
を作り出すように構成された金属グリッド105とを含み得る。金属グリッド105はまた、真空チャンバ101から放電キャビティへのガスの逆流を低減または防止するように構成され得る。
【0038】
いくつかの実施態様において、放電キャビティ104は真空チャンバ101に接続される。放電キャビティ104は、重合のためのプラズマを生成するために放電電源108に連結された放電源107を含む。放電源107の一端は、放電電源108に接続され得る。キャリアガスパイプ109の他端は、キャリアガス源に隣接していてもよい。モノマー蒸気パイプ110は、真空チャンバ101に連結され得、そしてその出口は放電キャビティ104の前に配置され得る。モノマー蒸気パイプ110の他端は、モノマー蒸気源に接続され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、放電キャビティ104は円筒形の形状を形成し得、そして例えば、アルミニウム、炭素鋼、またはステンレス鋼材料を含む材料から作製され得る。放電キャビティ104の直径は5~20cm、深さは3~15cm、そして隣接する2つの放電キャビティ間の距離は7~40cmであり得る。放電キャビティ104の軸線は、プラズマに対して最大の開口領域を提供して真空チャンバ101に移動させるため、真空チャンバ101の軸線に直交し得る。別の実施形態では、数パスカルの圧力下でのプロセスでは、自由拡散がプラズマ伝播を支配するため、放電キャビティの方向はほとんど重要ではない。
【0040】
放電キャビティと真空チャンバとの間の様々なサイズ比について述べる。例えば、単一の比較的大きな放電キャビティ104は、より大きな体積のキャリアガスベースのプラズマの分散を可能にする。しかしながら、単一の放電キャビティは、キャリアガスベースのプラズマを真空チャンバ101へ単一方向から提供し、そしてそのため、重合コーティングの適切な均一性を付与しない。逆に、放電キャビティの数および分布は、所望のコーティングの均一性によって決定される。均一に分散されたより小さい放電キャビティ104は、適用されたコーティングのより優れた均一性を付与する。しかし、小さな放電キャビティが多すぎると技術的な限界が生じ、加えてコストが増大する。最終設計は、均一性、技術的な限界、およびコストのバランスを提供するために最適化されるべきである。
【0041】
放電キャビティ104には、キャリアガス源から放電キャビティ104へとキャリアガスを導入するキャリアガスパイプ109が設けられている。キャリアガスは、放電キャビティ104内でイオン化され、そしてプラズマ(すなわち、イオン化によって生成される陽イオンと電子との混合物)となる。キャリアガスは、モノマー蒸気を高エネルギー状態に活性化するために(すなわち、モノマー蒸気は活性化種となる)、エネルギーをモノマー蒸気に伝達する。いくつかの実施形態では、キャリアガスは、モノマーのいくつかの化学結合を切断し、フリーラジカルのような反応性粒子を形成させることさえ可能である。
【0042】
キャリアガスが放電源107で放電電源108からの放電に遭遇すると、キャリアガスはプラズマを形成する。コーティングプロセスの間、放電キャビティ104は比較的低電力で放電し、弱いプラズマを生成する。弱いプラズマは、金属グリッド105によって間欠的に真空チャンバ101に放出され、モノマーの重合および基板の表面上への堆積を開始し、重合コーティングを形成する。実施形態に応じて、放電源107は、ランプフィラメント、電極、誘導コイル、またはマイクロ波アンテナであり得る。放電源107は、2~500Wの範囲の放電電力を有し得る。
【0043】
実施形態に応じて、多孔質電極102と放電キャビティ104とは互いに独立しており、それらは、一緒に、または別々に動作可能である。いくつかの実施形態では、プラズマ重合コーティングプロセスの間、多孔質電極102は、(1)試料の前処理、および(2
)チャンバの後洗浄、のために使用される。すなわち、これらの実施態様において、多孔質電極102はコーティングプロセス中に作動しない。一方、1つまたは複数の実施形態によれば、放電キャビティ104は主にコーティングに使用される。さらに、または代替的に、放電キャビティ104は、キャビティ自体の後洗浄のためにも使用され得る。
【0044】
本開示の目的のために、「強力なプラズマ」という用語は、放電電源108により印加される電力に関連して、無線周波数電源103によって印可されるより高い電力と関連する。強力なプラズマの典型的な放電電力は数百ワットであり得、そしてそのプラズマ密度は、10-1010/cmの間である。反対に、「弱いプラズマ」という用語は、無線周波数電源103により印加される電力に関連して、放電電源108によって印加されるより低い電力と関連している。弱いプラズマの典型的な放電電力は数ワットから数十ワットであり得、そしてそのプラズマ密度は10-10/cmの間である。モノマーの例示的な材料は、例えばエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、またはパーフルオロシクロヘキシルメチルアクリレート等のアクリレートを含む。
【0045】
<金属グリッド>
一般的な真空条件下では、仮にメッシュが存在しなくても、ガス入口から排気口までの道に沿って圧力勾配が存在し得る。これは、真空チャンバ101の異なる位置の真空計によって測定され得る。したがって、ここで紹介するような金属グリッド105の戦略的な配置は、キャリアガスの流れを妨げることによって、放電キャビティ104と真空チャンバ101との間の圧力差を増加させ得る。一般に圧力差は、層の数、メッシュ数、およびグリッドの透過率と共に増加し得る。いくつかの実施形態では、各層は異なる特徴を有し得る。例えば、1つの層はより小さい開口部を有し得、他の層はより大きな開口部を有し得る。さらに、ゲートに対する好ましい順序があり得る(例えば、キャリアガスベースのプラズマは、より小さな開口部を有するゲートを通って移動する前に、より大きな開口部を有するゲートを通って移動する)。
【0046】
いくつかの実施形態では、金属グリッド105の層の数は2から6の範囲であり得る。金属グリッド105は、例えば、ステンレス鋼またはニッケルを含む材料で作成され得る。金属グリッド105は100~1,000メッシュの範囲であり、そして透過率は25%~40%の範囲であり得る。金属グリッド105は圧力差を増加させ、キャリアガスの真空チャンバ101から放電キャビティ104への逆流を減少または防止する。いくつかの実施態様では、金属グリッド105の少なくとも2つの層が、放電チャンバと真空チャンバ101の内壁との接続位置に設けられる。金属グリッド105は、真空チャンバ101の内壁から絶縁され得る。
【0047】
特定の実施形態では、金属グリッド105は、放電キャビティと真空チャンバ101の内壁との接続位置に配置され得る。いくつかの実施態様では、少なくとも2つの放電キャビティ104が、密封された態様で真空チャンバ101の外壁に設けられる。いくつかの例では、多孔質電極102および放電キャビティは、特定のプロセスの必要性に応じて、共に、または別々に放電し得る
【0048】
1つまたは複数の実施形態では、パルス電源106は金属グリッド105に連結される。パルス電源106は、パルスで金属格子105に正の電荷を与えるように構成され得、放電キャビティ内のプラズマは、パルス-オフピリオド間に真空チャンバ101に入ることをブロックされる。放電キャビティ内のプラズマは、パルス-オンピリオド間に真空チャンバ101を通過し得る。
【0049】
その結果、電力が印加されると、放電キャビティ104内で生成されたプラズマは、真空チャンバ101内に放出される。例えば、プラズマは、パルス-オフピリオド(すなわ
ち、金属グリッド105に電力が印加されない場合)の間、放電キャビティ104内の金属グリッド105によってブロックされ(少なくとも部分的に)、そしてプラズマは、パルス-オンピリオド(すなわち、電力が金属グリッド105に印加される場合)の間、金属グリッド105を通過して真空チャンバ101に入ることができる。いくつかの実施形態では、パルス電源106は、ピークが20~140Vであり、パルス幅が2μs~1msであり、そして反復周波数が20Hz~10kHzであるパラメータで、正のパルスを出力する。
【0050】
同様に、金属グリッド105は、真空チャンバ101から放出キャビティ104へのモノマー蒸気の逆拡散に対して妨害効果を与え得る。さらに、放電キャビティ104内の圧力は真空チャンバ101内の圧力よりも高くなり得るため、モノマー蒸気は逆拡散によって真空チャンバ101から放電キャビティ104へ容易に移動し得ず、それによって、モノマー蒸気が放電キャビティ104内の連続的に放電されるプラズマによって過度に分解され、破壊されることを防止する。いくつかの実施形態では、金属グリッド105は、キャリアガスの逆流を低減または防止するために、圧力差を作り出すことを補助し得る。
【0051】
<モノマー蒸気配管>
モノマー蒸気パイプ110は真空チャンバ101に接続され得、そして排出口は、放電キャビティ104に隣接して配置され得る。モノマー蒸気パイプ110の他端は、モノマー蒸気源に接続される。いくつかの実施態様では、モノマー蒸気パイプ110の出口と放電キャビティ104との間の距離は、1~10cmの範囲であり得る。一実施形態では、モノマー蒸気パイプ110は、放電キャビティ104内ではなく、真空チャンバ101に直接接続される。これは、モノマー蒸気が放電キャビティ104からの強い電荷に曝されることを回避するためである。
【0052】
いくつかの実施形態では、多孔質電極102が前処理期間中(例えば、工程306)に活性化された際には、モノマー蒸気は真空チャンバ101に導入されない。プラズマ重合コーティング期間中に、モノマー蒸気は、部分的に放電キャビティ104の内外に放出され得る。しかしながら、モノマー蒸気の放電キャビティ104内への放出は、モノマー分子の過剰な破壊につながり得るため、望ましくない可能性がある。そのためモノマー蒸気パイプ110は、モノマー蒸気が該パイプを通過する際に放電キャビティ104に激しく放出されることを回避するために、真空チャンバ101に直接接続されるように設計されてもよい。むしろ、キャリアガスベースのプラズマは、放電キャビティから断続的に放出され、その最小限の放出でモノマー蒸気を活性化する。
【0053】
<テールガス回収管および真空ポンプ>
プラズマ重合コーティング装置100の真空チャンバ101は、真空チャンバ101の中心軸に沿って垂直に配置されたテールガス回収管111を含み得る。いくつかの実施形態では、真空チャンバ101は、制御された排気速度で真空チャンバ101の雰囲気中の過剰な反応性種を収集するために、真空チャンバ101よりも低い空気圧を有するように動作可能である。
【0054】
一つまたはそれ以上のテールガス回収管111の端部は中空であり得、ガス排気口で真空ポンプ116に接続され得る。さらに、孔が、テールガス回収管111の壁に沿って分布される。真空チャンバ101内の雰囲気は、テールガス回収管111上の孔を介してテールガス回収管111に入り、次いで真空ポンプ116によって真空チャンバ101から排出される。真空ポンプ116に印加される電力は、3-50kWの範囲であり得、ポンプ速度は、600-1200m/時の範囲であり得る。テールガス回収管111の内径は、25-100mmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、孔は、テールガス回収管111の壁に均等に設けられ得る。孔の大きさは2-30mmであり得、孔の間隔は
2-100mmであり得る。
【0055】
真空ポンプ116は、テールガス回収管111を介して真空チャンバ101からの雰囲気を排気するように構成され得る。真空ポンプ116の動作は、真空チャンバ101の雰囲気が排気されるポンプ速度を示す制御信号をコントローラ117から受信することにより制御され得る。
【0056】
真空ポンプ116は、真空チャンバ101内の雰囲気を排気するため、真空ポンプ116の動作を開始する制御信号を受信し得る。これは、プラズマ重合コーティングを装置115に施す前に望ましくないガス、プラズマ、反応性種、または汚染物質を除去するため、キャリアガスまたはモノマー蒸気の放出前に実施し得る。例えば、真空チャンバ101内に過度に高い濃度の反応性種が存在する際には、コントローラ117からの制御信号が受信され得、これは、真空ポンプ116が最大ポンプ速度(例えば、1200m/時)で動作すべきであることを示す。対照的に、より低い濃度の反応性種が存在する際には、最低ポンプ速度(例えば、600m/時)が使用され得るか、または真空ポンプ116の動作が停止され得る。
【0057】
さらに、真空ポンプ116はプラズマ重合コーティングプロセスの間、真空チャンバ101内の雰囲気を排気するために使用されるポンプの速度を制御する制御信号を受信し得る。いくつかの例では、反応性種の生成は、真空チャンバ101内の局所領域において、反応性種の様々な濃度を生じさせ得る。
【0058】
一例において、反応性種の濃度は、モノマー蒸気が真空チャンバ101に導入される量または速度に影響され得る。モノマー蒸気が急速に導入される場合、過剰量の反応性種が真空チャンバ101内に形成され得る。反応性種の総量に加えて、モノマー蒸気がより多く導入される領域において、反応性種の高い局所濃度が形成され得る。
【0059】
別の例では、反応性種の発生は、キャリアガスに印加される放電の電力のレートおよび/またはレベルによって影響を受け得る。レートが大きいほど、または電力が高いほど、全体的にプラズマの生成量が大きくなる。さらに、キャリアガスに放電が印加される放電キャビティ104の開口部は、より大きな局所濃度のプラズマを保持し得る。プラズマがモノマー蒸気と収束するにつれ局所的なプラズマ濃度が高くなり、局所的な反応性種の濃度が高くなり得る。
【0060】
さらに別の例では、反応性種の発生は、エネルギーがプラズマからモノマー蒸気に伝達される速度によって影響され得る。例えば、真空チャンバ101内における、プラズマおよびモノマー蒸気が出会う個所の局所濃度は、エネルギーがプラズマからモノマー蒸気に伝達される速度が高い場合には増加し得る。さらに、反応性種の局所濃度は、収束するプラズマおよびモノマーが理想的な量で存在する領域で増加し得る。
【0061】
別の例として、反応性種の濃度は、装置115上への反応性種の堆積によって影響され得る。反応性種が装置115上に堆積されると、反応性の低い化学種が真空チャンバ101の雰囲気中に残る。したがって、反応性種が真空チャンバ101の外側領域から中心軸に向かって移動し、装置115上に堆積されるにつれて、雰囲気中の反応性種の濃度が真空チャンバ101の中心軸に向かって減少する勾配が形成され得る。相殺効果の例では、雰囲気中の反応性種の濃度は、反応性種が真空チャンバ101の中心軸に向かって収束するにつれて増加する。当業者は、種々の他の要因が真空チャンバ101内の反応性種の濃度に影響し得ることを認識するであろう。例えば、反応性種の濃度は、プラズマ対モノマー蒸気の比によって影響され得る。
【0062】
上述の反応性種の発生に影響する様々な要因に基づいて、反応性種の濃度の不均一または望ましくないレベルが、真空チャンバ101内に形成され得る。いくつかの実施形態では、真空ポンプ116のポンプ速度は、反応性種の濃度の不均一または望ましくないレベルを補うように制御され得る。真空ポンプ116は、真空チャンバ101内の反応性種の全体的な量を減少させるために、ポンプ速度を増加させるための制御信号を受信し得る。さらに、真空ポンプ116は、プラズマおよびモノマー蒸気が収束するような局所領域における、より高い濃度の反応性種を減少させるための制御信号を受信し得る。
【0063】
例えばポンプ速度を増加させて、プラズマおよびモノマー蒸気が収束する個所での反応性種の局所濃度の増加を抑制し得る。別の例では、ポンプ速度を低下させて、キャリアガスに印加される電力が低下する個所での反応性種の局所濃度の低下を抑制し得る。当業者であれば、真空ポンプ116は、真空チャンバ101内の反応性種の均一性を高めるために種々の方法で構成され得ることを認識するであろう。例えば、タイミング、周期的な操作、およびポンプ速度の緩やかな増減は、反応性種の濃度の変化を補うため、または反応性種の濃度が変化する局所的な領域を補うために制御され得る。
【0064】
<中空ガイドスリーブ>
いくつかの実施形態では、テールガス回収管111の一端は、中空ガイドスリーブ119に接続され得る。中空ガイドスリーブ119は、テールガス回収管111が真空チャンバ101の中心軸に沿って回転することを可能にする支持構造として構成され得る。いくつかの例では、テールガス回収管111は中空ガイドスリーブに挿入され得る。これは、中空ガイドスリーブ119の内径を、テールガス回収管111の外径と同等またはそれより大きな構成とすることにより達成され得る。当業者であれば、中空ガイドスリーブ119が、支持構造体として機能するよう他の方法で構成され得ることを認識するであろう。例えば、中空ガイドスリーブ119は、テールガス回収管111に挿入され得るように構成することができる。これは、中空ガイドスリーブ119の外径を、テールガス回収管111の内径と同等またはそれより小さな構成とすることにより達成され得る。
【0065】
<回転ラック>
プラズマ重合コーティング装置100の真空チャンバ101は、遊星回転シャフト113に動作可能に連結され、そして中心軸に沿って回転するように構成された回転ラック112を含み得る。いくつかの実施形態では、一次回転ラックは、1つまたは複数のラック層を含み、各ラック層は、1つまたは複数に至る、複数の基板プラットフォームを保持する。いくつかの実施形態では、一次回転シャフトは、テールガス回収管111と連結されていてもよく、そうでなければテールガス回収管111と一体化されていてもよい。
【0066】
いくつかの実施態様では、回転ラック112は、順番に回転プラットフォーム114に連結される1つまたは複数の遊星回転シャフト113と連結される。遊星回転シャフト113は、遊星回転シャフト113と同軸である二次軸に沿って回転する遊星回転プラットフォーム114を支持し得る。さらに、遊星回転シャフト113は、真空チャンバ101の中心軸に対して遠位にあってもよい。中心軸に沿った一次回転ラックの回転、および二次回転ラックの二次軸に沿った回転は、均一なコーティングを達成するために、コーティングプロセス中の1つまたは複数の基板の各々に同じ空間的移動速度を提供し得る。いくつかの例では、遊星回転シャフト113の数は2から8の間であり得、遊星回転プラットフォーム114の数は1から10の間であり得る。
【0067】
プラズマ重合コーティング装置の真空チャンバ101はまた、プラズマ重合コーティングを受けるべき1つまたは複数の基板を運ぶように構成された、1つまたは複数の基板プラットフォームを含む。各基板プラットフォームは、二次回転ラック上に配置され得る。基板プラットフォームは、遊星回転プラットフォーム114であり得る。遊星回転プラッ
トフォーム114は、装置115が真空チャンバ101に沿って連続的に移動するように、処理される装置115の配置を可能にする。遊星回転プラットフォーム114は、遊星回転シャフト113に沿って固定され、各遊星回転プラットフォーム114は、遊星回転軸が真空チャンバ101の中心軸の周りを回転する間、それら自身の遊星回転シャフトの周りを回転する。連続的な移動は、装置115の表面上の均一なプラズマ重合処理を可能にする。
【0068】
遊星回転シャフト113の回転対回転ラック112の回転に対する特定の方向性の要件はないが、全体として、回転は、均一なコーティングを達成するために、実質的に全てのサンプルがコーティングプロセスの間に同一の空間的移動を経験することができるように適切にチューンおよび調整(例えば、回転バランスおよび安定性のために)されるべきことに留意されたい。同様に、回転速度にも特に制限はない。しかしながら、過度に速い回転速度は、不必要な電力消費、部品の摩耗、およびプラットフォームの不安定性のために好ましくないことは明らかである。
【0069】
<重合コントローラ>
いくつかの実施形態では、プラズマ重合コーティング装置100は、プラズマ重合コーティング装置100の種々の構成要素の動作を調節する制御信号を提供するように構成されたコントローラ117を含む。制御信号は、装置が、装置115に適用されるプラズマ重合プロセスを調整することを可能にする。
【0070】
コントローラ117は、回転速度信号を回転モータ118に送信し得る。回転速度信号は、回転モータ118が動作すべき回転速度を示す。回転速度を調節することにより、装置115が真空チャンバ101を横断する速度を決定し得る。例えば、より速い回転速度は、基板が比較的速く真空チャンバ101を横断することを可能にし得る。したがって、装置115はプラズマ濃度勾配の両端に迅速に曝露されるため、真空チャンバ101内のプラズマ濃度のいかなる不均衡も打ち消される。
【0071】
いくつかの実施形態では、分散機構は、コントローラ117に通信可能に連結されてコントローラから分散制御信号を受信し、1つまたは複数の基板上で実質的に均一な方法で反応性種の分散速度を制御する。分散制御信号は、分散メカニズムへの印加電力を調節すること、および/または、重合のために分散メカニズムに入るガスの速度を調節することによって、反応性種の分散速度を制御する。いくつかの実施形態では、分散速度制御信号は、1つまたは複数の基板上への反応性種の堆積に起因する真空チャンバ101内の反応性種の密度の減少、および、真空チャンバ101全体での反応性種の密度が均一になるように反応性種がチャンバの中心に向かって収束することに起因する真空チャンバ101内の反応性種の密度の増加、を補うように分散速度を調整する。
【0072】
例えば、コントローラ117は、放電電源108に分散制御信号を送信し、放電源107に印加されるべき電力を示し得る。放電源107に印加される電力を調整することにより、放電キャビティ104でプラズマが発生する速度を制御し得る。したがって、放電源107への電力の変化は、プラズマの密度の変化、および真空チャンバ101内のプラズマの特性、ならびに最終的には装置115に適用されるプラズマの厚さに影響し得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、パルス電源は、コントローラからパルス制御信号を受信し、パルス制御信号は、正の電荷の電力および周波数を制御する。具体的には、コントローラ117は、パルス制御信号をパルス電源106に送信し得る。パルス制御信号は、パルス電源106によって金属グリッド105に印加される電力を示す。具体的には、パルス電源106は、金属グリッド105に正の電気パルスバイアスを印加し、したがって、放電キャビティ104内で生成されたプラズマが断続的に真空チャンバ101内に放出される
。例えば、金属グリッド105はパルスオフの期間中に放電キャビティ104内のプラズマを遮断し得、そして金属グリッド105はパルスオンの期間中にプラズマを真空チャンバ101内に通過させ得る。このメカニズムを使用して、パルス制御信号は、プラズマが放電キャビティ104から真空チャンバ101へ入ることができる時間と周波数を制御する。
【0074】
コントローラ117は、無線周波数電力制御信号を無線周波数電源103に送信し得る。無線周波数電力信号は、装置115から不純物を除去するためのプラズマを生成するために多孔質電極102にいつ電力を印加するかを、無線周波数電源103に表示する。例えば、コントローラ117は、装置115を前処理するためのプラズマ重合プロセスの開始時に、またはプラズマが装置115および真空チャンバ101の後処理のために基板に印加された後に、無線周波数電力制御信号を無線周波数電源103に送り得る。
【0075】
コントローラ117はまた、遊星回転ラック装置へのガスの導入および排気を制御するための種々の制御信号を送信する。例えば、コントローラ117はキャリアガス制御信号をキャリアガスパイプ109に送信する。この制御信号は、キャリアガスが放電キャビティ104に導入されるべき速度を示す。コントローラ117はまた、モノマー蒸気制御信号をモノマー蒸気パイプ110に送信する。モノマー蒸気制御信号は、モノマー蒸気ガスが真空チャンバ101に導入される速度を示す。
【0076】
いくつかの実施形態では、回収管はコントローラと通信可能に連結され、コントローラからの排気速度制御信号を受け取り、反応性種の排気速度を制御する。例えば、コントローラ117は、テールガス回収管111にテールガス制御信号を供給する。この信号は、雰囲気が真空チャンバ101から排気される速度を制御する。いくつかの実施形態では、コントローラは排気速度制御信号を送信し、反応性種が真空チャンバ101から排出される速度を調整する。排気速度は、真空チャンバ101内の反応性種の密度に寄与する2つの要因を説明するように制御される。(1)1つまたは複数の基板上への反応性種の堆積に起因する真空チャンバ101内の反応性種の密度の減少、および(2)真空チャンバ101全体での反応性種の密度が均一になるようにチャンバの中心に向かって収束する反応性種の結果としての、真空チャンバ101内の反応性種の密度の増加、(3)モノマー蒸気が反応チャンバ内に導入される速度に基づく、真空チャンバ101内の反応性種の増加、(4)キャリアガスに電力が印加されてプラズマが生成する速度に基づく、真空チャンバ101内の反応性種の増加、および(5)プラズマからのエネルギーがモノマー蒸気に伝達される速度に基づく、真空チャンバ101内の反応性種の増加。
【0077】
コントローラ117は、マイクロコントローラ、汎用プロセッサ、または、ここに開示される技術を実施するための算術および制御機能を提供する特定用途向けの集積回路であってもよい。プロセッサは、キャッシュメモリ(単純化のために図示せず)と、他のメモリ(例えば、メインメモリ、および/または、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブなどの不揮発性メモリ)とを含み得る。いくつかの例では、キャッシュメモリはSRAMを使用して実装され、メインメモリはDRAMを使用して実装され、不揮発性メモリは、フラッシュメモリまたは1つまたは複数の磁気ディスクドライブを使用して実装される。いくつかの実施形態によれば、メモリは、1つまたは複数のメモリチップまたはモジュールを含んでもよく、そしてコントローラ117上のプロセッサは、そのメモリに記憶された複数の命令またはプログラムコードを実行してもよい。
【0078】
<回転モータ>
いくつかの実施形態では、プラズマ重合コーティング装置100は、真空チャンバ101内で装置115を回転させるために回転モータ118を含む。装置115の回転は、装置115上に印加されたプラズマ重合コーティングの均一性を高める。いくつかの実施形
態では、回転モータ118は、遊星回転プラットフォーム114が真空チャンバ101の中心軸に対して同心の経路に沿って回転するように、テールガス回収管111に連結された回転ラック112の回転を作動させる。さらに、回転モータ118は、遊星回転シャフト113に沿った遊星回転軸に沿った基板プラットフォームの回転を作動させ得る。上述のように、コントローラ117からの制御信号は、回転ラック112および/または遊星回転シャフト113を回転させるよう、回転モータ118が動作する速度を制御するために使用され得る。いくつかの例では、回転周波数は、10Hz~50Hzの範囲であり得る。さらに、いくつかの実施形態では、回転周波数は、プラズマ重合コーティングプロセス(例えば、プロセス300)中に動的に調節され得る。
【0079】
回転モータ118は、真空チャンバ101に対して種々の位置に配置され得る。例えば、回転モータ118は、真空チャンバ101の下に配置され、そしてテールガス回収管111の下端に連結され得る。他の例では、回転モータ118は、真空チャンバ101の中心に配置され、そしてテールガス回収管111の中央に連結され得る。さらに他の例では、回転モータ118は、真空チャンバ101の上方に配置され、そしてテールガス回収管111の上端に連結され得る。さらに、回転モータ118は、真空チャンバ101の内側または真空チャンバ101の外側に配置され得る。
【0080】
図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、図1に示されるプラズマ重合コーティング装置100の構造の概略上面図である。
【0081】
全体として、本開示は、様々な有益な効果を有する。第1に、装置は、空間重合反応性材料密度の均一性を維持するために、中心軸対称の真空チャンバ101構造を採用する。真空チャンバ101は、ガスが側壁を介して供給され、半径方向に搬送され、そして中心軸方向に沿って排出される機構を採用する。
【0082】
1つまたは複数の実施形態では、キャリアガスパイプ109は、各放電キャビティ104内に出口を備えて設けられる。キャリアガスは、キャリアガスパイプ109を介して放電キャビティに入り、次いで、多層の金属グリッド105を介して真空チャンバ101に拡散され得る。モノマー蒸気パイプ110は、真空チャンバ101内の放電キャビティ104の前に出口を備える。モノマー蒸気ガスは、モノマー蒸気パイプ110を介して真空チャンバ101に入る。さらに、テールガス回収管111は、真空チャンバ101の軸に沿って真空チャンバ101に同軸的に提供される。テールガス回収管は、真空チャンバ101を垂直に貫通する。テールガス回収管111の一端は、真空ポンプ116に接続されており、そして管の壁には孔が均等に配置されている。テールガスは、テールガス回収管の孔を介してテールガス回収管に入り、そして真空ポンプ116によって真空チャンバ101から排出される。
【0083】
上述のアプローチでは、ガスが側壁を介して供給され、半径方向に輸送され、そして中心軸の方向に沿って放出され、ガス輸送プロセスは収束的に行われる。これにより、空間重合反応における反応性種濃度の安定性の増加、および反応性種のより均一な分布が促進され得る。一実施形態では、プロセスは、モノマー蒸気が放電キャビティ104の近傍でキャリアガスベースのプラズマと接触した際に、重合反応性種を生成することにより開始する。キャリアガスによって活性化されると、生成された重合反応性種は、真空チャンバ101の軸に向かって半径方向に分散される。装置115が真空チャンバ101内で回転されているため、重合反応性種の量は、連続的な消費のために徐々に減少する。同時に、重合反応性種もまた徐々に収束し、上述の重合反応性種の量の減少を埋め合わせ得る。このようにして、重合反応性種の濃度は安定なままであり得る。真空チャンバ101内の反応性種のかさ密度は変化しないままであり得、したがって、バッチ処理は良好な均一性を享受し得る。
【0084】
換言すれば、反応性種の放出メカニズムおよび回収管は、反応性種の消費による反応性種の密度減少が、反応性種が回収管に向かって収束することによる反応性種の密度増加と実質的に等しくなり得るように、集合的に構成することができる。したがって、反応性種の放電機構とテールガス回収管111の協調動作は、真空チャンバ101全体および装置115上に均一な密度の反応性種を提供し得る。具体的には、いくつかの実施態様では、放電機構の放電速度は、真空チャンバ101全体において反応性種の実質的に均一な密度が達成されるように、回収管の排気速度(例えば、真空ポンプの出力を制御することによって)と共に調整(例えば、印加された電力および/またはガスの量を制御することによって)され得る。多くの実施形態では、放電機構および回収管の前述の集合的調整は、所与の真空チャンバ101の内側壁の断面の形状に対応する。すなわち、これらの実施形態では、放電機構の放電速度と回収管の排気速度との組み合わせは、好ましくは、反応性種の実質的に均一な密度を達成するために、所与の真空チャンバ101の特定の形状(例えば、円または多角形)に適合するように調整される。
【0085】
従来のコーティング装置および技術と比較して、従来のコーティング装置における同一バッチ処理の基板コーティング厚さの差は30%を超え得るが、開示された装置を使用する同一バッチ処理の基板コーティング厚さの差は、10%未満であり得る。
【0086】
第2に、装置はまた、回転ラック112を使用して、各基板コーティングの均一性を著しく改善する。1つまたは複数の実施形態では、真空チャンバ101は、回転ラック112を備える。回転ラック112上の遊星回転プラットフォーム114は、真空チャンバ101内で遊星回転運動を実行し得る。特に、開示されたメカニズムは、各遊星回転プラットフォーム114が、遊星回転の軸に沿って(例えば、遊星回転シャフト113に沿って)回転する一方で、真空チャンバ101の中心軸に対して同心円状に(例えば、テールガス回収管111に連結された回転ラック112の回転に沿って)移動することを可能にする。
【0087】
処理されるべき装置115は、遊星回転プラットフォーム114上に配置され得る。導入された遊星回転運動は、処理された各基板の空間的位置および配向を、処理のプロセスの間に連続的に変化させることを可能にし、その結果、コーティング処理のプロセスにおける異なる基板の空間的位置の全てが実質的に同じであり得るようにし、それによって、既存の技術における異なる基板の異なる空間的位置によるコーティングの差を除去する。したがって、導入された技術は、同一バッチ内の異なる位置の基板に対して、同一のコーティング効果およびより良好な均一性を達成し得る。
【0088】
第3に、装置は、真空チャンバ101の容積を大幅に増加させ得、そして処理効率を大幅に向上させ得る。真空チャンバ101および回転ラック112の構造の改良により、コーティング膜厚の均一性は、同一バッチでの処理において大幅に改善され得る。さらに、真空チャンバ101の容積は、5~6倍拡大され得る。したがって、バッチ処理量および処理効率は大幅に増加する。いくつかの実施形態では、本開示による装置は、高品質のポリマーコーティングを得るために、モノマー蒸気を、分解および破壊されることから効果的に保護し得る。
【0089】
<プラズマ重合コーティングプロセス>
本明細書に開示される技術の一態様は、反応性種放電プロセスを含む。一実施形態では、プロセスは、真空チャンバ内に配置された基板プラットフォーム上に基板を配置することによって開始する。真空チャンバ101の雰囲気は、真空チャンバ101の中心軸に沿って配置された回収チューブの空気排気口を介して真空ポンプによって排気される。プロセスは、回転モータによって、一次回転軸に連結された一次回転ラックを回転することに
よって進行する。いくつかの実施形態では、一次回転ラックは、中心軸に沿って回転するように構成される。次に、キャリアガスが入口弁を介して放電キャビティに放出される。キャリアガスは、基板と反応性種との間の反応を容易にし得る。該プロセスは、供給口を使用して、モノマー蒸気を真空チャンバ101内に放出することによって続行される。該プロセスは、キャリアガスを用いて真空チャンバ101内でモノマー蒸気を重合させることによって、反応性種を生成する。次いで該プロセスは、反応性種を基板の表面に堆積させて、ポリマーコーティングを形成する。
【0090】
図3は、例示的な反応性種放電プロセス300を示すフローチャートである。いくつかの実施態様では、プロセス300は、プラズマ重合コーティング装置100の種々の構成要素を制御し、調整する。
【0091】
ステップ301において、装置115は、真空チャンバ101内に配置される。いくつかの実施形態では、装置115は、図1および図2に示すように、遊星回転プラットフォーム114上に配置される。遊星回転プラットフォーム114上の装置115の配置は、プラズマ重合コーティングプロセスの間、真空チャンバ101全体への装置115の移動を容易にする。真空チャンバ101の異なる領域のを移動することによって、プラズマ密度変動の負の効果は低減または除去され、基板上のより均一なプラズマコーティングが可能となる。
【0092】
ステップ302において、真空ポンプ116は、真空チャンバ101内の雰囲気を排気し得る。いくつかの実施形態では、コントローラ117は、真空チャンバ101内の雰囲気の排気を制御するために、制御信号を真空ポンプ116に送信する。このプロセスは、雰囲気がプラズマ重合プロセスを妨害せず、そして真空を必要とするプラズマ重合プロセスを促進することを確実にする。いくつかの例では、真空ポンプ116は、テールガス回収管111に連結され、真空チャンバ101の雰囲気圧に対してテールガス回収管111内に負の雰囲気圧を作り出す。負の雰囲気圧は、真空チャンバ101からのガスの流れを生成する。コントローラ117は、制御信号を真空ポンプ116に送信して、雰囲気を排気するために使用されるタイミング、電力、および他の動作パラメータを制御し得る。
【0093】
ステップ303において、回転ラック112は、真空チャンバ101内で装置115を回転させる。いくつかの実施形態では、コントローラは、制御信号を回転モータ118に送信して回転ラック112の回転速度を制御し、コーティングプロセス中の1つまたは複数の基板の各々に対して同じ空間移動速度を提供し、均一なコーティングを達成し得る。具体的には、コントローラ117は、プラズマ重合コーティングのための装置115を含む回転ラック112に制御信号を送信する。制御信号を受信すると、回転ラック112は本発明の様々な実施形態にしたがって、真空チャンバ101内で装置115を回転させるため、回転し得る。いくつかの実施形態では、回転ラック112は、プラズマ重合プロセスを受ける装置115を保持するための遊星回転転シャフト113および遊星回転プラットフォーム114を含む。回転モータ118は、回転ラック112の回転運動を生成する。コントローラ117は、回転のタイミング、持続時間、および速度を制御する回転モータ118に制御信号を送信し得る。
【0094】
ステップ304において、遊星回転シャフト113および遊星回転プラットフォーム114は、真空チャンバ101内で装置115を回転させる。いくつかの実施態様では、二次回転ラックは中心軸とは異なる二次軸上で回転する。具体的には、コントローラ117は、制御信号を遊星回転シャフト113に送信する。制御信号は、遊星回転シャフト113を、本発明の様々な実施形態にしたがって、二次軸に沿って独立して回転させる。追加の回転は、真空チャンバ101内での装置115のより広い範囲の移動を提供する。これは、処理されるべき各装置115の位置および配向をさらに変化させることによって、プ
ラズマ密度変動によって引き起こされる負の効果のさらなる緩和を可能にする。
【0095】
ステップ305では、キャリアガスが放電キャビティ104に導入される。いくつかの実施形態では、コントローラ117は、キャリアガスパイプ109に制御信号を送信し、キャリアガスを放電キャビティ104に導入させ、モノマー蒸気を活性化させる。キャリアガスが放電キャビティ104に導入されると、放電電源108によって放電源107に電荷が印加される。電荷により、キャリアガスは放電キャビティ104内でイオン化され、プラズマ(すなわち、陽イオンとイオン化によって生成される電子の混合物)となる。いくつかの実施態様では、キャリアガスは、放電キャビティ104に連続的に導入され、そしてステップ309までの重合プロセス全体を通してプラズマとなる。コントローラ117は、放電キャビティ104に導入されるキャリアガスのタイミングおよび量、ならびに放電電源108によって放電源107に印加されるタイミングおよび電力を制御する制御信号を送信し得る。
【0096】
ステップ306において、プロセス300は、1つまたは複数の装置115の表面から不純物を除去するために、任意で処理プラズマを生成する。特定の実施形態では、反応性種を真空チャンバ101に放出する前に、処理プラズマを真空チャンバ101に導入し得る。他の実施形態では、処理プラズマはまた、反応性種が基板の表面上に堆積された後に生成され得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、処理プラズマは、無線周波数電源に連結された電極によって生成される。具体的には、コントローラ117は、制御信号を無線周波数電源103に送信し、真空チャンバ101内でプラズマを生成する電荷を生成する。プラズマは、プラズマ重合を受けている装置115から不純物を除去するために生成される。さらに、プラズマは、装置115の表面を活性化し、装置115の表面とプラズマとの間の結合を可能にし、プラズマ重合コーティングを形成し得る。いくつかの実施形態では、キャリアガスは、キャリアガスパイプ109から導入されて、プラズマを真空チャンバ101全体に伝播させ得る。コントローラ117は、タイミング、電力、および他の動作パラメータを制御する制御信号を、無線周波数電源103そして多孔質電極102へと送信し得る。いくつかの例では、キャリアガスの連続的な流れが、このステップ中に生じ得る。
【0098】
工程307において、プラズマ重合を受ける装置115の表面への適用のために、反応性種が生成される。モノマー蒸気にプラズマを導入すると、反応性種が生成される。プラズマからのエネルギーは、プラズマからモノマー蒸気に伝達され、モノマー蒸気を活性化する。いくつかの実施形態では、コントローラ117は、モノマー蒸気パイプ110に制御信号を送信し、真空チャンバ101内にモノマー蒸気を導入する。コントローラ117はまた、制御信号を放電電源108に送信し、放電源107に印加する電力のタイミングおよび量を調整する。放電電源108から放電源107に電力が供給されると、放電キャビティ104内のキャリアガスはプラズマとなる。これは、放電キャビティ104がいつプラズマを生成するかを制御するメカニズムを提供する。
【0099】
さらに、コントローラ117は、金属グリッド105に印加される電力を調整するために、パルス電源106に制御信号を供給し得る。金属グリッド105は、パルス電源106に連結され、放電キャビティと真空チャンバ101の内壁との接続位置に配置される。金属グリッド105は、ステップ305で生成され真空チャンバ101に入るプラズマの流れ、および、キャリアガスの放電キャビティ104への逆流を規制する。いくつかの実施形態では、コントローラ117は、放電キャビティ104に導入されるキャリアガスのタイミングおよび量を制御する制御信号を提供し得る。
【0100】
具体的には、電力が金属グリッド105に印加された際にはプラズマは金属グリッド1
05を通過することができ、電力が金属グリッド105に印加されない際にはプラズマは金属グリッド105を通過することができない。プラズマが金属グリッド105を通って真空チャンバ101内に移動すると、プラズマはエネルギーをモノマー蒸気に伝達し、モノマー蒸気を高エネルギー状態に活性化する(すなわち、モノマー蒸気は活性化種となる)。いくつかの態様では、キャリア蒸気は、モノマーのいくつかの化学結合を切断し、フリーラジカルのような反応性粒子を形成し得る。また、いくつかの例では、キャリアガスの連続的な流れが、このステップ中に生じ得る。
【0101】
ステップ308では、ステップ307で生成された反応性種が、プラズマ重合を行っている装置115の表面に堆積され得る。具体的には、重合反応性種は、モノマー蒸気が放電キャビティ104からステップ307で放出されるプラズマと接触する際に、モノマー蒸気から生成される。キャリアガスプラズマによって活性化されると、生成された重合反応性種は、真空チャンバ101の軸に向かって放射状に分散され、そして装置115上に分散される。いくつかの実施形態では、反応性種が真空チャンバ101に導入された後、真空チャンバ101は、イオン化された種、自由電子、フリーラジカル、励起された分子または原子、および未変化のガスの組み合わせを有する。
【0102】
ステップ309では、反応性種放出プロセス300は、回収管の空気圧を真空チャンバ101の空気圧よりも低くすることにより、真空チャンバ101の雰囲気中の過剰な反応性種を回収する。真空ポンプの排気速度は、(1)基板上への反応性種の堆積の結果としての、真空チャンバ101内の反応性種の密度の減少、(2)真空チャンバ101全体の反応性種の密度が均一になるよう、チャンバの中心に向かって収束する反応性種による、真空チャンバ101内の反応性種の密度の増加、(3)モノマー蒸気が反応チャンバ内に導入される速度に基づく、真空チャンバ101内の反応性種の増加、(4)電力がキャリアガスに印加されてプラズマを生成する速度に基づく、真空チャンバ101内の反応性種の増加、および、(5)プラズマからのエネルギーがモノマー蒸気に伝達される速度に基づく、真空チャンバ101内の反応性種の増加、を補うように構成される。
【0103】
具体的には、コントローラ117は、制御信号を真空ポンプ116に送信し、真空チャンバ101の雰囲気から過剰なガス、プラズマ、および反応性種を排気する。真空ポンプ116は、テールガス回収管111に連結され、真空チャンバ101の雰囲気圧に対してテールガス回収管111の負の雰囲気圧を作り出す。負の雰囲気圧は、真空チャンバ101からのガスの流れを生成する。
【0104】
いくつかの実施形態では、ステップ306(すなわち、前処理ステップ)は1つの遊星回転サイクルよりも長くあるべきであり、その結果全ての基板サンプルはプラズマを受け入れるために、多孔質電極に最も近い点に移動する。例えば、ステップ306は、1-30分の間を必要とし得る。対して、ステップ308は、必要とされる膜厚によって決定される。一般に、ステップ308は、他のステップよりも長い時間を要する。例えば、ステップ306は、20-300分の間を要し得る。最後に、ステップ309は、過剰なモノマーがチャンバから排出されるまで実行されるべきである。例えば、ステップ309は、1-10分の間を要し得る。
【0105】
<処理システム>
図4は、本明細書に記載される少なくともいくつかの動作を実施することができる処理システム400の一例を示すブロック図である。例えば、処理システム400のいくつかの構成要素は、制御装置(例えば、図1および図2のコントローラ117)に実装されてもよい。
【0106】
処理システム400は、1つまたは複数の中央処理装置(「プロセッサ」)402、メ
インメモリ406、不揮発性メモリ410、ネットワークアダプタ412(例えば、ネットワークインターフェース)、ビデオディスプレイ418、入出力装置420、制御装置422(例えば、キーボードおよびポインティング装置)、記憶媒体426を含む駆動装置424、およびバス416に通信接続される信号発生装置430を含み得る。バス416は、適切なブリッジ、アダプタ、またはコントローラによって接続された1つまたは複数の物理的なバスおよび/またはポイントツーポイント接続を表す抽象概念として示されている。したがって、バス416は、システムバス、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)バス、またはPCI-Expressバス、ハイパートランスポートまたは工業標準アーキテクチャ(ISA)バス、小型コンピュータシステムインターフェース(SCSI)バス、ユニバーサルシリアルバス(USB)、IIC(I2C)バス、またはInstitute ofElectrical and Electronics Engineers (IEEE)standard 1394 バス (「ファイアワイヤ」とも称される)を含み得る。
【0107】
処理システム400は、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ゲームコンソール、ミュージックプレーヤー、ウェアラブル電子デバイス(例えば、時計またはフィットネストラッカー)、ネットワーク接続(「スマート」)デバイス(例えば、テレビまたはホームアシスタントデバイス)、仮想/拡張リアリティ・システム(例えば、ヘッドマウントディスプレイ)、または処理システム400が取るべき動作を指定する一連の命令(シーケンシャルまたはその他)を実行することができる別の電子デバイス、と同様のコンピュータプロセッサアーキテクチャを共有し得る。
【0108】
メインメモリ406、不揮発性メモリ410、および記憶媒体426(「機械可読媒体」とも呼ばれる)は単一の媒体であることが示されているが、「機械可読媒体」および「記憶媒体」という用語は、1つまたは複数の命令セット428を記憶する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中/分散データベース、および/または、関連するキャッシュおよびサーバー)を含むと解釈されるべきである。「機械可読媒体」および「記憶媒体」という用語もまた、処理システム400による実行のための命令セットを記憶、符号化、または搬送することができる任意の媒体を含むと解釈されるべきである。
【0109】
一般に、本開示の実施形態を実施するために実行されるルーチンは、オペレーティングシステムの一部として、または命令の特定のアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、またはシーケンス(「コンピュータプログラム」と総称する)の一部として実施され得る。コンピュータプログラムは、典型的には、コンピュータ装置内の種々のメモリおよび記憶装置内の種々の時間に設定された、1つまたは複数の命令(例えば、命令404、408、428)を含む。1つまたは複数のプロセッサ402によって読取られ実行されると、命令は、処理システム400に、本開示の様々な態様を含む要素を実行するための動作を実行させる。
【0110】
さらに、実施形態は、完全に機能するコンピューティング・デバイスに関連して説明されたが、当業者であれば、様々な実施形態は、様々な形態でプログラム・プロダクトとして配布され得ることが理解されるであろう。本開示は、実際に頒布を行うために使用される特定の種類の機械またはコンピュータ読取可能媒体に関わらず適用される。
【0111】
機械可読な記憶媒体、機械可読媒体、またはコンピュータ可読媒体のさらなる例としては、揮発性および不揮発性メモリデバイス410のような記録可能なタイプの媒体、フロッピーおよび他のリムーバブルディスク、ハードディスクドライブ、光ディスク(例えば、コンパクトディスク読取専用メモリ(CD-ROMS)、デジタル多用途ディスク(DVDs))、および、デジタルおよびアナログ通信リンクのような伝送型媒体を含む。
【0112】
ネットワークアダプタ412は、処理システム400が、処理システム400および外部エンティティによってサポートされる任意の通信プロトコルを介し、処理システム400の外部にあるエンティティを用いてネットワーク414内のデータを仲介することを可能にする。ネットワークアダプタ412は、ネットワークアダプタカード、無線ネットワークインタフェースカード、ルータ、アクセスポイント、無線ルータ、スイッチ、マルチレイヤスイッチ、プロトコルコンバータ、ゲートウェイ、ブリッジ、ブリッジルータ、ハブ、デジタルメディア受信機、および/またはリピータを含み得る。
【0113】
ネットワークアダプタ412は、コンピュータ・ネットワーク内のデータへのアクセス/プロキシへの許可を支配および/または管理し、そして異なるマシンおよび/またはアプリケーション間の様々なレベルの信頼を追跡するファイアウォールを含み得る。ファイアウォールは、特定のセットのマシンとアプリケーション、マシンとマシン、および/またはアプリケーションとアプリケーションとの間の所定のセットのアクセス権を強制する(例えば、これらのエンティティ間のトラフィックとリソースの共有の流れを制御する)ことができる、ハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントの任意の組み合わせを有する任意の数のモジュールであり得る。ファイアウォールはさらに、個人、マシン、および/または、アプリケーションによるオブジェクトのアクセス権および操作権、ならびに、許可権が存在する状況を含む、許可を詳述するアクセス制御リストを管理および/またはアクセスし得る。
【0114】
図5は、回転ラック112および/または遊星回転シャフト113を回転させるための任意のシャフトおよびギアを備えたプラズマ重合コーティング装置100の概略正面図である。いくつかの実施形態では、重合コーティング装置100は、回転モータ118、モータシャフト120、モータシャフトギア121、テールガス回収管1次ギア122、テールガス回収管2次ギア123、回転ラックシャフト125、回転ラックシャフト1次ギア126、回転ラックシャフト2次ギア127、および遊星回転シャフトギア128を含み得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、回転モータ118は、回転モータ118のハウジングから突出し得るモータシャフト120に連結されている。さらに、モータシャフト120は、モータシャフトギア121に連結され得る。さらに、テールガス回収管111は、テールガス回収管1次ギア122および、テールガス回収管2次ギア123に連結され得る。同様に、回転ラックシャフト125は、回転ラックシャフト1次ギア126および回転ラックシャフト2次ギア127に連結され得る。
【0116】
特定の実施形態では、回転モータ118の動作は、テールガス回収管111を回転させる。具体的には、モータシャフトギア121は、テールガス回収管の1次ギア122と係合され得る。回転モータ118がモータシャフト120を回転させると、モータギア121は、テールガス回収管1次ギア122を駆動する。上述したように、テールガス回収管111は、テールガス回収管1次ギア122に連結され、したがって、テールガス回収管1次ギア122と共に回転する。事実上、回転モータ118によって生成された回転運動は、モータシャフト120からモータギア121およびテールガス回収管1次ギア122を介してテールガス回収管111に伝達される。
【0117】
いくつかの実施態様では、テールガス回収管111の回転運動は、回転ラックシャフト125に伝達される。上述したように、テールガス回収管2次ギア123はテールガス回収管111に連結され、したがって、テールガス回収管111と共に回転する。さらに、テールガス回収管2次ギア123は、回転ラックシャフト1次ギア126と係合する。したがって、テールガス回収管111が回転すると、テールガス回収管2次ギア123も回
転ラックシャフト1次ギア126の回転を駆動する。回転ラックシャフト1次ギア126は、回転ラック125に連結されているので、回転ラックシャフト1次ギア126の回転は、回転ラック125の回転を駆動する。いくつかの例では、回転ラックシャフト125は、回転ラック112内に封入されてもよく、回転ラック112を封入するスリーブとして実装されてもよく、あるいは、回転運動をテールガス回収管111から遊星回転シャフト113に伝達する任意の方法で実装されてもよい。
【0118】
様々な実施形態では、回転ラックシャフト125の回転運動は、遊星回転シャフト113に伝達される。上述したように、回転ラックシャフト2次ギア127は、回転ラック125に連結され、したがって、回転ラック125と共に回転する。さらに、回転ラックシャフト2次ギア127は遊星回転シャフトギア128と係合する。したがって、回転ラック125が回転すると、回転ラックシャフト2次ギア127も遊星回転シャフトギア128の回転を駆動する。遊星回転シャフトギア128は遊星回転シャフト113に連結されているので、遊星回転シャフトギア128の回転は遊星回転シャフト113の回転を駆動する。
【0119】
オプションのシャフトおよびギアの1つの効果は、回転モータ118によって生成された回転運動が、種々の制御された回転速度で、テールガス回収管111および/または遊星回転シャフト113に伝達されることである。例えば、種々の直径の一連のギアを使用して、所望のトルクまたは回転速度を達成するためのギア比を実施し得る。さらに、種々のギアは、ギア間の回転運動を伝達するために係合されてもよく、または、ギア間の回転運動の伝達を停止するために係合解除されてもよい。さらに、種々の直径の一連のギアをギアボックス内に収容し得る。別の例では、一連のギアは、グループに分割することができ(例えば、モータシャフトギア121および1つのグループにおけるテールガス回収管1次ギア122)、そして各グループのギアは、ギアボックスハウジング内に収容され得る。さらに、1つまたは複数のギアボックスは、制御信号を受信するためにコントローラ117に通信的に連結され得る。例えば、制御信号は、選択するギアのサイズ、および係合または係合解除するギアのサイズを示し得る。
【0120】
例えば、テールガス回収管111および/または遊星回転シャフト113は、種々のギアの特定のサイズ比を選択することにより、制御された速度で回転し得る。具体的には、モータシャフトギア121とテールガス回収管1次ギア122とのサイズ比は、テールガス回転ラック112、ひいては回転プラットフォーム114が、制御された速度で真空チャンバ101の中心軸に沿って回転することを確実にするように選択され得る。同様に、テールガス回収管2次ギア123と回転ラックシャフト125とのサイズ比を選択して、回転ラックシャフト125がさらに別の制御された速度で回転することを確実にし得る。最後に、回転ラックシャフト2次ギア127と遊星回転シャフトギア128とのサイズ比を選択して、遊星回転シャフト113が特定の制御された速度で回転することを確実にし得る。したがって、テールガス回収管2次ギア123、回転ラックシャフト125、回転ラックシャフト2次ギア127、および遊星回転シャフトギア128のサイズ比は、遊星回転シャフト113、ひいては回転プラットフォーム114が、制御された速度で真空チャンバ101の遊星軸に沿って回転することを確実にするように選択され得る。
【0121】
制御された速度は、プラズマ重合コーティングが1つまたは複数の装置115に均一に適用されることを保証し得る。制御される速度は、1つまたは複数の装置115の各々が、モノマー蒸気、キャリアガス、プラズマ、反応性種などの密度が変化する真空チャンバ101の様々な領域を横切ることができるような十分に速い速度であり得る。1つまたは複数の装置115の各々が、種々の領域を通過することを確実にすることによって、1つまたは複数の基板の各々は、同じ雰囲気変動を経験し、そして各基板にわたって同じ均一なプラズマ重合コーティングを受ける。さらに、制御された速度は、1つまたは複数の装
置115の各々の配向がシフトされ、均一なプラズマ重合コーティングが各個々の基板の表面全体にわたって均一であることを確実にし得る。
【0122】
図6は、例示的な反応性種排出プロセス600を示すフローチャートである。いくつかの実施形態では、プロセス600は、プラズマ重合コーティング装置100の種々の構成要素によって実施され得る。さらに、プロセス600は、プラズマ重合コーティングを装置115に適用するために使用され得る。
【0123】
ステップ601において、プロセス600は、装置115に対して例示的な反応性種放電プロセス600を実施するために真空チャンバ101を準備する。初期化操作は、プラズマ重合コーティングが適用される前に、適切な条件が満たされることを確実にするために行われる。特定の実施形態では、工程601は、図3の工程301-305と一致する方法で実施され得る。
【0124】
開始操作の一部として、装置115は、プラズマ重合コーティングを受け入れるために真空チャンバ101内に適切に配置され得る。例えば、装置115は、図1および図2に示されるように、遊星回転プラットフォーム114上に配置され得る。遊星回転プラットフォーム114上の装置115の配置は、プラズマ重合コーティングプロセス中の真空チャンバ101全体への装置115の移動を容易にし、プラズマ密度変動の負の効果を低減し、そして装置115上のより均一なプラズマコーティングを可能にする。
【0125】
いくつかの実施形態では、真空チャンバ101の雰囲気条件は、雰囲気がプラズマ重合プロセスに適していることを確実にするために適切に設定される。例えば、真空チャンバ101は、真空ポンプ116が、雰囲気が10~300mTorrの間に到達するまで真空チャンバ101内の雰囲気を排気できるよう、閉じられ得る。圧力に加えて、真空チャンバ101の温度は、プラズマ重合プロセスを容易にするために調節され得る。いくつかの例では、真空チャンバ101の温度は、30~60℃の間にとなるように制御され得る。
【0126】
装置は、プロセス600内の任意の期間中、一貫した方法で移動され得る。例えば、プラズマ重合コーティング装置100は、回転ラック112の回転を開始して、制御された回転速度で真空チャンバ101の中心軸に沿って装置115を回転させ得る。例えば、回転ラック112は、1分間に1.5~2.5回転の速度で、中心軸に沿って装置115を回転させ得る。さらに、プラズマ重合コーティング装置100は、遊星回転シャフト113および遊星回転プラットフォーム114の回転を開始し、制御された回転で二次軸に沿って真空チャンバ101内の装置115を回転させ得る。いくつかの実施形態では、二次回転ラックは、真空チャンバ101の中心軸から遠位の二次軸上で回転する。
【0127】
コントローラ117は、回転モータ116および装置115へのプラズマ重合コーティングの他の構成要素に制御信号を送信し、回転ラック112および/または遊星回転シャフト113のタイミングおよび回転速度を制御し得る。さらに、回転ラック112および/または遊星回転シャフト113の動作は、金属グリッドバリア105への電力の印可と同時に行われ、それによって、装置115の表面に反応性種を堆積させつつ同時に電気コネクタを真空チャンバ101全体に移動させる。
【0128】
いくつかの実施形態では、回転ラック112および/または遊星回転シャフト113の回転は、真空チャンバ101内での装置115の移動をもたらす。この運動は、反応チャンバの中心軸に対する直線往復運動または曲線運動を含み得る。さらに、曲線運動は、中心軸に沿った円運動、中心軸に沿った楕円運動、球面運動、および他の不規則なルートを伴う曲線運動のうちの1つまたは複数を含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、回
転ラック112および/または遊星回転シャフト113の動作は、反応性種の装置115上への堆積中に、真空チャンバ101の中心軸に対する装置115の配向を変化させる。さらに、回転ラック112および遊星回転シャフト113の回転速度は、独立して構成され得る。
【0129】
特定の実施形態では、処理プラズマが真空チャンバ101に導入され、装置115の表面から不純物を除去し、そしてプラズマ重合コーティングの欠陥を防止し得る。さらに、処理プラズマは装置115の表面を活性化し、装置115の表面とプラズマ重合コーティングを形成するために使用される反応性種との間の結合を可能にし得る。処理プラズマは、無線周波電源103からの電荷を多孔質電極102に印加することによって発生させ得る。いくつかの実施形態では、コントローラ117は、タイミング、電力、および他の動作パラメータを制御する制御信号を無線周波数電源103に送信し得る。例えば、反応性種を真空チャンバ101に放出する前に、および/または、反応性種が基板の表面に堆積された後に、処理プラズマを適用し得る。いくつかの例では、無線周波数電源103によって印加される電荷の電力は、連続放電、パルス放電、または周期的交番放電であり得る。さらに、電荷の電力および電荷の持続時間は、所望のプラズマ重合コーティングに応じて変化させ得る。いくつかの例では、無線周波数電源103によって印加される電力は、120-400ワットの間であり得、そして電荷の持続時間は、60-450秒の間であり得る。
【0130】
ステップ602では、キャリアガスパイプ109から放電キャビティ104内に導入されたキャリアガスから、プラズマが生成される。プラズマは、放電電源108からの放電を放電源107に印加することによって生成される。いくつかの実施形態では、ステップ602は、図3のステップ305と一致する方法で実行され得る。キャリアガスが放電キャビティ104に導入された後、放電電源108によって放電源107に電荷が印加される。電荷はキャリアガスをイオン化し、そしてキャリアガスをプラズマにする。コントローラ117は、放電キャビティ104に導入されるキャリアガスのタイミングおよび量、ならびに放電電源108によって放電源107に印加されるタイミングおよび電力を制御する、制御信号を送信することができる。いくつかの実施形態では、キャリアガスは、ヘリウム、ネオン、クリプトン、およびアルゴンのうちの1つまたは複数を含み得る。しかしながら、当業者は、例えば、エネルギーをモノマー蒸気に伝達させる能力に基づいて、他の要素をキャリアガスとして使用することができることを認識し得る。
【0131】
特定の実施形態では、放電は、無線周波放電、マイクロ波放電、中間周波数放電、正弦波または双極パルス波形、高周波放電、および電気スパーク放電のうちの1つまたは複数を使用して発生させ得る。さらに、高周波放電および中間周波数放電は、正弦波または双極パルス波形を有し得る。いくつかの例では、無線周波放電は、高周波電磁場放電を介してプラズマを発生させる。他の例では、高周波放電および中間周波数放電は、正弦波または双極パルス波形を有する。
【0132】
さらに別の例では、マイクロ波放電は、マイクロ波エネルギーを用いてプラズマを励起する。マイクロ波法はエネルギー利用効率が高いという利点がある。さらに、マイクロ波放電は電極を使用せず、そして得られるプラズマは純粋である。したがって、マイクロ波放電は、プラズマ重合コーティングに高品質、高速、および大面積の適用を提供する。
【0133】
いくつかの実施形態では、プロセス600の特定の期間中にパルス放電または周期的交流放電が放電電源108によって印加され、真空チャンバ101へと放出されるプラズマを生成し得る。一例では、パルス放電は、600~3,600秒の間、50~200ワットの間の電力を使用する。さらに、パルス放電の周波数は1~1,000HZの間であり得、そしてパルスのデューティサイクルは1:1~1:500の間であり得る。さらに別
の例では、周期的交流放電は、600~3,600秒の間、50~200ワットの間の電力を使用する。さらに、放電の交番周波数は、1~1,000HZであり得る。いくつかの実施形態では、周期的交番電気放電は、鋸歯状波形、正弦波形、方形波形、全波整流波形、または半波整流波形であり得る。
【0134】
工程603において、モノマー蒸気が真空チャンバ101に導入され得る。いくつかの実施形態では、工程603は、図3の工程307と一致する方法で実施され得る。モノマー蒸気は、プラズマ重合コーティングを形成するために装置115上に堆積される反応性種を生成するために使用される。反応性種は、エネルギーがプラズマからモノマー蒸気に伝達される際に、モノマー蒸気から放出され得る。いくつかの実施形態では、モノマー蒸気は、部分的に放電キャビティ104に放出され、真空チャンバ101に放出され得る。他の実施形態では、モノマー蒸気は、モノマー蒸気パイプ110を介して直接真空チャンバ101に放出されて、モノマー蒸気が放電キャビティ104に放出されるのを回避し得る。さらに他の実施形態では、コントローラ117は、制御信号をモノマー蒸気テールパイプ110に送信して、放出するモノマー蒸気の種類、放出するモノマー蒸気の速度、および放出するモノマー蒸気のタイミングを選択し得る。いくつかの実施形態では、モノマー蒸気は、雰囲気が10~300mTorrの間に達するような速度で真空チャンバ101に導入される。
【0135】
種々のモノマー蒸気を選択して、良好な電気絶縁特性および低い破壊電圧を有する、コンパクトで均一なプラズマ重合コーティングを達成し得る。いくつかの実施形態では、モノマー蒸気は、低い双極子モーメントを有する少なくとも1つの有機モノマーを含む第1の蒸気、少なくとも1つの多官能性不飽和炭化水素および炭化水素誘導体モノマーを含む第2の蒸気、少なくとも1つの単官能性不飽和フルオロカーボン樹脂モノマーを含む第3の蒸気、およびSi-Cl、Si-O-C、または環構造中に少なくとも1つの有機ケイ素モノマーを含む第4の蒸気、のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0136】
モノマー蒸気は、低い双極子モーメントを有する少なくとも1つの有機モノマーを含む第1の蒸気を含み得る。低い双極子モーメントを有する低双極子ポリマーは、プラズマ重合コーティング全体への電気信号への干渉を低減し得る。特定の実施形態では、第1の蒸気は、p-キシレン、ベンゼン、トルエン、四フッ化炭素、α-メチルスチレン、ポリ-p-ジクロロトルエン、ジメチルシロキサン、アリルベンゼン、デカフルオロビフェニル、デカフルオロベンゾフェノン、パーフルオロ(アリルベンゼン)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、1H,1H-パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロデシルヨージド、パーフルオロトリブチルアミン、1,8-ジヨードパーフルオロオクタン、パーフルオロヘキシルヨージド、パーフルオロブチルヨージド、パーフルオロデシルヨージド、パーフルオロオクチルヨージド、1,4-ビス(2’,3’-エポキシプロピル)パーフルオロブタン、ドデカフルオロ-2-メチル-2-ペンテン、2-(パーフルオロブチル)エチルメチルアクリレート、2-(パーフルオロオクチル)エチルメチルアクリレート、2-(パーフルオロオクチル)ヨードエタン、パーフルオロデシルエチルヨージド、1,1,2,2-テトラヒドロパーフルオロヘキシルヨージド、パーフルオロブチルエチレン、1H,1H,2H-パーフルオロ-1-デセン、2,4,6-トリス(パーフルオロヘプチル)-1,3,5-トリアジン、パーフルオロヘキシルエチレン、3-(パーフルオロオクチル)-1,2-エポキシプロパン、パーフルオロシクロエーテル、パーフルオロデシルエチレン、パーフルオロデシルエチルヨージド、ジブロモ-p-キシレン、1,1,4,4-テトラフェニル-1,3-ブタジエン、およびポリジメチルシロキサン(分子量500-50,000)の1つまたは複数を含み得る。
【0137】
モノマー蒸気はまた、少なくとも1つの多官能性不飽和炭化水素および炭化水素誘導体モノマーを含む第2の蒸気を含み得る。多官能性不飽和炭化水素および炭化水素誘導体モ
ノマーは、架橋ポリマーコーティングの形成を可能にするために、少なくとも2つの反応基を有する。いくつかの態様において第2の蒸気は、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,4-ペンタジエン、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジビニルエーテル、およびネオペンチルグリコールジアクリレートの1つまたは複数を含み得る。
【0138】
モノマー蒸気は、少なくとも1つの単官能性不飽和フルオロカーボン樹脂モノマーを含む第3の蒸気をさらに含み得る。単官能性不飽和フルオロカーボン樹脂モノマーは、防水性ポリマーコーティングの形成を可能にするので有利である。第3の蒸気は、単官能性不飽和フルオロカーボン樹脂として、3-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)-2-ヒドロキシプロピルメチルアクリレート、2-(パーフルオロデシル)エチルメチルアクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチルメチルアクリレート、2-(パーフルオロドデシル)エチルアクリレート、2-パーフルオロオクチルエチルアクリレート、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルアクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、(2H-パーフルオロプロピル)-2-アクリレート、(パーフルオロシクロヘキシル)メチルアクリレート、3,3,3-トリフルオロ-1-プロピン、1-アセテニル-3,5-ジフルオロベンゼン、および4-アセテニルベンゾトリフルオリドの1つまたは複数を含み得る。
【0139】
最後に、モノマー蒸気は、Si-Cl、Si-O-C、または環構造中に少なくとも1つの有機ケイ素モノマーを含み、耐摩耗性コーティングの形成を可能にする第4の蒸気を含み得る。いくつかの実施形態では、第4の蒸気は、テトラメトキシシラン、トリメトキシ水素シロキサン、トリエトキシオクチルシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、トリエチルビニルシラン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ジフェニルジエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、トリエトキシオクチルシラン、ジメトキシシラン、および3-クロロプロピルトリメトキシシランの1つまたは複数を含み得る。
【0140】
ステップ603で使用される蒸気は、形成されるコーティングに依存する。例えば、架橋構造モノマーは、プラズマ重合コーティングの強度および耐水性を改善する反応性種を生成する。いくつかの実施形態では、ステップ603-605は、装置115の表面に遷移層を適用するために実施される。遷移層は、装置115の表面とプラズマ重合コーティングの表面層との間に形成される中間層である。いくつかの実施形態において遷移層は、少なくとも1つの多官能性不飽和炭化水素および炭化水素誘導体モノマーを含む第2の蒸気、および/または、Si-Cl、Si-O-C中に少なくとも1つの有機ケイ素モノマーを含む第4の蒸気を含み得る。上述のように、2つの蒸気は、架橋ポリマーコーティングおよび耐水性を提供する構造の形成を可能とする。
【0141】
プロセス600で使用されるプロセスパラメータは、モノマー蒸気およびキャリアガスの種々の特性に基づいて変化され得る。例えば、ステップ603で導入される蒸気のタイプまたは異なる蒸気の比率は、分子結合エネルギー、結合長、および異なるモノマー蒸気の蒸発温度の差に基づいて選択され得る。さらに、蒸発温度が高いほど、モノマー蒸気に適用される温度は高くなる必要がある。さらに他の実施形態では、モノマー蒸気が放出される速度は、真空チャンバ101内での反応性種が生成される速度、および結果として生じる反応性種の密度に影響するように変化され得る。いくつかの例では、モノマー蒸気は、10から、10-1000μL/分の速度で真空チャンバに放出され得る。
【0142】
さらに、第1、第2のモノマー蒸気、および/または、キャリアガスに印加されるエネルギーは、分子結合エネルギー、結合長、および異なるモノマーの蒸発温度の差にしたがって選択されて、耐水性および低い破壊電圧を提供するコンパクトな遷移層および表面層を生成し得る。上述のように、プラズマからのエネルギーは、モノマー蒸気に伝達され、装置115上に堆積される反応性種を放出する。必要とされるエネルギーは、使用するモノマー蒸気に依存する。例えば、モノマー蒸気の分子結合を切断し、反応性種を放出するためには、十分なエネルギーが必要である。試薬の結合エネルギーが大きい場合には、モノマーに加えるエネルギーは大きくなければならない。同様に、モノマーの結合距離が短ければ短いほど、必要なエネルギーは大きくなる。
【0143】
ステップ604において、装置115の表面への適用のために、反応性種が生成される。ステップ602で生成されたプラズマが放電キャビティ104から真空チャンバ101内に放出され、プラズマからのエネルギーがステップ603で放出されたモノマー蒸気に伝達される際、反応性種が生成される。いくつかの実施形態では、ステップ604は、図3のステップ307と一致する方法で実施され得る。
【0144】
いくつかの実施形態では、放電キャビティ104から真空チャンバ101へのプラズマの放出は、金属グリッド105によって調節され得る。具体的には、コントローラ117は、金属グリッド105に印加される電力を調整するために、パルス電源106に制御信号を供給し得る。電力が金属グリッド105に印加される場合、プラズマは金属グリッド105を通過することができ、電力が金属グリッド105に印加されない場合、プラズマは、金属グリッド105を通過することをブロックされる。ある態様では、プラズマは、モノマーの化学結合を破壊し、フリーラジカルのような反応性粒子を形成し得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、プラズマの放出は、金属ゲート105への一定の電気的放電または周期的な電気的放電を使用することによって制御され得る。例えば、一定の放電を金属ゲート105に印加することにより、プラズマが絶えず真空チャンバ101に流れ込むことができる。別の例では、金属ゲート105に周期的な放電を印加することにより、プラズマが周期的に真空チャンバ101に流れ込むことができる。周期的な電気放電は、連続的な電気放電、または、パルス電気放電のような不連続的な電気放電であり得る。波形は、波形がドメイン(例えば、時間ドメイン)に沿って途切れのない曲線を形成する場合、連続的である。対照的に、波形は、その領域に沿った曲線にブレークがある場合、不連続である。
【0146】
いくつかの態様において、プラズマの放出は、複数の段階を用いて行い得る。例えば、プラズマの放出は、一定の放電を金属ゲート105に印加するステージを用いて行い得る。一定の放電によって、プラズマが放電キャビティ104から真空チャンバ101へ絶えず放出されることが可能になる。別のステージは、周期的な電気放電を金属ゲート105に印加することによって実施され得る。周期的な放電は、連続的または不連続的な放電であり得る。例えば、連続的な放電は、正弦波形の形態をとり得る。別の例では、不連続電気放電は、鋸歯状波形、方形波形、全波整流波形、半波整流波形、またはパルス放電の形態をとり得る。当業者であれば、1つまたは複数のステージを、定数波形および周期的波形の任意の組み合わせを用いて実施し得ることを認識するであろう。
【0147】
周期的な波形は、金属ゲート105に印加される周期的な放電に影響を与えるために、種々の技術を用いて生成され得る。一実施形態では、波形の振幅および周波数が調整され得る。例えば、波形の振幅を増加させることによって、より大量の放電が金属ゲート105に周期的に印加され、放電キャビティ104から真空チャンバ101へのプラズマのより大きな流れを可能にする。別の例では、波形の周波数を増加させると、金属ゲート105に加えられる放電がより速く交互になる。これは、金属ゲート105を通って真空チャ
ンバ101へのプラズマの流れをもたらし、より急速な変化(例えば、高プラズマ流と低プラズマ流との間で交互に、またはプラズマオン期間とプラズマオフ期間との間で交互に)を得る。
【0148】
さらに別の技術では、複合波形は、多数の他の波形を組み合わせることによって形成され得る。一実施形態では、方形波形と正弦波形とが組み合わされ得る。方形波形は、最小値と最大値との間で交互に変化する周期的な波形であり得る。例えば、金属ゲート105に放電が印加されない場合、「オフ」状態を提供るために、最小値はゼロであり得る。正弦波は、方形波よりも周波数が高い正弦波であり得る。方形波の最小値が負の値で振幅が正弦波の振幅よりも大きい場合、方形波の最小値の間における複合波の値はゼロ未満のままであるため、2つの波の組み合わせは周期的な「オフ」状態となる。方形波が最大値となった際には、複合波形は正弦波となる。事実上、複合波形は、方形波が最大値または最小値のどちらにあるかに基づいて、それぞれ交互に「オン」または「オフ」状態となる。「オン」状態の間、波形は正弦波形に基づいて交互となる出力値を提供する。
【0149】
他の実施形態では、DCバイアス波形が周期的波形と組み合わされ得る。DCバイアス波形は、得られた複合波形の平均振幅を構成するために使用され得る。例えば、正のDCバイアス波形は、方形波形の値を増加させる。DCバイアス波形が、方形波の最小値をゼロより大きくするのに十分高い場合、方形波の値はゼロ未満とはならない。実際には、これは、放電が常に金属ゲート105に印加され、そこで放電はより高い放電とより低い放電との間で交互となることを意味する。
【0150】
波形を生成するためのさらに別の技術は、既存の波形をクリッピングすることを含む。クリッピングは、波形が特定の値を超えた際に、波形を制限するために実行される。例えば、最小トグル閾値は、波形の最小値を指定し得る。波形がその最小トグル閾値を下回ると、波形はその閾値の値でクリップされる。例えば、最小トグル閾値はゼロであり得、その結果、波形がゼロ未満に下がった場合、波形は単にゼロのままとなる。ゼロの最小トグル閾値によってクリップされた波形は、金属ゲート105に放電を印加せず、プラズマオフ期間をもたらす。同様に、最大トグル閾値は、波形の最大値を指定し得る。波形がその最大トグル閾値を上回った際、波形はその閾値の値でクリップされる。当業者は、様々な技術を組み合わせて波形が生成され得ることを認識するであろう。例えば、上述の複合波形は、波形の振幅を制限するためにトグル閾値によって調整され得る。
【0151】
ハイブリッドプラズマ重合プロセスは、真空チャンバ101に流入するプラズマのパルスを正確に制御するために、金属グリッド105を利用することによって実行され得る。例えば、上記のような周期的な放電が、ハイブリッドプラズマ重合プロセスを実施するために用いられ得る。周期的な放電の間、放電は、金属ゲート105に周期的に印加される。プラズマオン期間は、放電が金属ゲート105に印加される際に生じる。対照的に、プラズマオフ期間は、金属ゲート105に放電が印加されない際に生じる。
【0152】
いくつかの実施形態では、このハイブリッドプロセスは、プラズマオン期間(すなわち、電荷が金属ゲート105に印加される際)から開始する。プラズマが真空チャンバ101に流入し、そしてプラズマがプラズマオン期間中に装置115の表面上に堆積されると、プラズマポリマー形成の一部は、ビニルまたはアクリルモノマーのような化学的に重合可能なモノマーのプラズマ-化学的活性化によるフラグメンテーション-多重再結合プロセスによって生じる。その後、プラズマオフ期間中(すなわち、金属ゲート105に電荷が印加されない場合)、プラズマは真空チャンバ101に流入しない。この期間中に、ラジカル連鎖伝播が装置115の表面に生じる。いくつかの例では、プラズマポリマー形成のより大きな部分は、プラズマオン期間のフラグメンテーション-多重再結合プロセスと比較して、プラズマオフ期間のラジカル鎖伝播に起因する。いくつかの実施形態では、プ
ラズマオン期間(すなわち、フラグメンテーション-多重再結合プロセス)とプラズマオフ期間(すなわち、ラジカル連鎖伝播プロセス)とを交互に行うと、層からエネルギーを放散する層の交互の微細構造が生じる。
【0153】
金属グリッド105によって提供されるプラズマ放出の正確な制御を用いて、プラズマオン副層およびプラズマオフ副層の厚さが変化する、プラズマ重合コーティングを製造し得る。具体的には、プラズマオンまたはプラズマオフ期間中に形成された各層の厚さを変化させることによって、段階的な構造が生成され得る。例えば、各層の厚さは、装置115上に適用される各新しい層とともに減少し得る。
【0154】
ステップ605では、ステップ604で生成された反応性種が、プラズマ重合を受けている装置115の表面に堆積される。いくつかの実施形態では、ステップ605は、図3のステップ308と一致する方法で実行され得る。ステップ604の生成された反応性種は、真空チャンバ101の軸に向かって半径方向に分散され、そして装置115上に分散され得る。いくつかの実施形態では、反応性種が真空チャンバ101に導入された後、真空チャンバ101は、イオン化された種、自由電子、フリーラジカル、励起された分子または原子、および未変化のガスの組み合わせを有する。いくつかの実施形態では、フリーラジカルは、装置115の表面上で重合され、ポリマーコーティングを形成する。
【0155】
反応性種は、装置115の表面上に堆積され、良好な電気絶縁特性およびブレークダウン効果に関連する低いブレークダウン電圧を有する、コンパクトで均一なプラズマ重合コーティングを生成する。具体的には、ブレークダウン効果は、コーティングを通して電気伝導を可能にするメカニズムである。ポリマーフィルムは非常に薄く、多数のナノメートルサイズの孔がテクスチャされているため、低電圧がコーティング全体に印加された際、低電圧によって導電性チャネルを提供し得る。
【0156】
本明細書に開示される様々な実施形態と一致して、装置115の移動(例えば、ステップ601で開始される移動)は、プロセス600を通して動作して、装置115が雰囲気の異なる領域を通って真空チャンバ101を通過することを確実し、プラズマ重合コーティングの均一な適用を確実にする。さらに、ステップ601の処理プラズマは、装置115の有機基板を活性化して、コーティング堆積を促進し、そして装置115の表面とプラズマ重合コーティングとの間の結合力を高めるダングリングボンドを形成し得る。ステップ605から生じるプラズマ重合コーティングは、遷移層であり得る。いくつかの実施態様では、遷移層は、装置115の表面に直接堆積される。表面層は、その後遷移層の表面上に堆積され得る。
【0157】
工程606において、モノマー蒸気が真空チャンバ101に導入される。いくつかの実施形態では、ステップ606は、ステップ603と一致する方法で実施され得る。モノマー蒸気は、プラズマ重合コーティング形成のために装置115上に堆積される反応性種を生成するため、使用される。エネルギーがプラズマからモノマー蒸気に伝達される際、反応性種はモノマー蒸気から放出され得る。
【0158】
ステップ606において真空チャンバ101に導入される蒸気は、形成されるコーティングに依存する。例えば、架橋構造モノマーは、プラズマ重合コーティングの強度および耐水性を改善する反応性種を生成する。いくつかの実施形態では、ステップ606-608は、装置115の表面に表面層を適用するために実施される。いくつかの実施態様において、プラズマ重合コーティングの表面層は、ステップ603-605において適用される遷移層の表面に適用される。表面層は、低い双極子モーメントを有する少なくとも1つの有機モノマーを含む第1の蒸気、および/または、少なくとも1つの単官能性不飽和フルオロカーボン樹脂モノマーを含む第3の蒸気、を含み得る。上述のように、第1および
第3の蒸気は、低誘電率コーティングの形成および耐水性ポリマーコーティングの形成を可能にする。
【0159】
ステップ607では、反応性種が真空チャンバ101内で生成される。いくつかの実施形態では、ステップ607は、ステップ604と一致する方法で実施され得る。ステップ602で生成されたプラズマが放電キャビティ104から真空チャンバ101内に放出され、そしてプラズマからのエネルギーがステップ603で放出されたモノマー蒸気に伝達されると、反応性種が生成される。
【0160】
ステップ608では、ステップ604で生成された反応性種が、プラズマ重合を受けている装置115の表面に堆積される。いくつかの実施形態では、ステップ608は、ステップ605と一致する方法で実施され得る。ステップ608から得られるプラズマ重合コーティングは、表面層であり得る。いくつかの実施形態では、表面層は、遷移層(例えば、ステップ603-605で適用される遷移層)の表面上に堆積され得る。
【0161】
図7は、装置115に適用される例示的なプラズマ重合コーティング700を示す図である。プラズマ重合コーティングは、遷移層701および表面層702を含み得る。プラズマ重合コーティングはまた、遷移層703、表面層704、遷移層705、および/または、表面層706を含み得る。遷移層701、703、および705は、図6のステップ603-605と一致する方法で生成され得る。同様に、表面層702、704、および706は、図6のステップ606-608と一致する方法で生成され得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、遷移層701は、装置115の表面上に直接堆積され得る。続いて、表面層702が遷移層701の表面上にその後堆積され得る。同様に、遷移層703は表面層702の表面上に堆積され得、表面層704は遷移層703の表面上に堆積され得、遷移層705は表面層704の表面上に堆積され得、そして表面層706は遷移層705の表面上に堆積され得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、遷移層701、703、705、および/または、表面層702、704、706はそれぞれ、炭素、フッ素、酸素、シリコン、および水素原子の1つまたは複数を含み得る。いくつかの例において、プラズマ重合コーティングは、1:3~1:20の間の酸素原子対炭素原子の比を有し得る。酸素原子はある程度親水性であり、炭素原子は疎水性である。したがって、炭素原子に対する酸素原子の比が高すぎると、コーティングの耐水性が低下する。
【0164】
いくつかの実施形態では、遷移層701、703、705、および表面層702、704、706は、それぞれ、図6の工程604に記載されているプロセスなどのハイブリッドプラズマ重合プロセスを使用して形成され得る。ハイブリッドプロセスは、プラズマオン期間中(すなわち、金属ゲート105に電荷が印加される場合)にビニルまたはアクリルモノマーなどの化学的に重合可能なモノマーのプラズマ化学的活性化から始まり、フラグメンテーション-多重再結合プロセスを行う。続いて、プラズマオフ期間中(すなわち、金属ゲート105に電荷が印加されない場合)にラジカル連鎖伝播が装置115の表面上で生じる。いくつかの例では、プラズマポリマーコーティング形成の大部分は、プラズマオン期間のフラグメンテーション-多重再結合プロセスと比較して、プラズマオフ期間のラジカル連鎖伝播に起因する。例えば、プラズマ重合コーティングのごく一部のみが、プラズマオン期間のフラグメンテーション-多重再結合プロセスを用いて製造され得る。いくつかの実施形態では、ラジカル連鎖伝播とフラグメンテーション-多重再結合プロセスとを交互に行う結果として、プラズマ重合コーティングからエネルギーを消散させる、層の交互の配置が生じる。
【0165】
クレームされた主題の種々の実施形態の前述の説明は、描写および説明のために提供された。これは、網羅的であることを意図せず、また、クレームされた主題事項を開示された正確な形式に限定するものでもない。当業者には、多くの修正およびバリエーションが明らかであろう。実施形態は、本発明の原理およびその実際の用途を最もよく説明するために選択され、説明され、それによって、当業者は、クレームされた主題、種々の実施形態、および意図される特定の用途に適した種々の修正を理解することができる。
【0166】
詳細な説明には、特定の実施形態および考えられる最良のモードが記載されているが、当該技術は、詳細な説明がどれだけ詳細であっても、多くの方法で実施することができる。実施形態は、依然として本明細書に包含されているが、実施形態の詳細においてかなり変化し得る。種々の実施形態の特定の特徴または態様を記述する際に使用される特定の専門用語は、その専門用語が関連する技術の任意の特定の特性、特徴または態様に限定されるように、本明細書で再定義されることを意味するように解釈されるべきではない。一般に、以下の特許請求の範囲で使用される用語は、明細書で開示されている特定の実施形態に技術を限定するものと解釈されるべきではない。ただし、これらの用語が本明細書で明示的に定義されている場合はこの限りではない。したがって、技術の実際の範囲は、開示された実施形態のみならず、実施形態を実施する、または、実装するためのすべての同等の方法を含む。
【0167】
明細書で使用されている言語は、主として、読みやすさおよび教育目的のために選択されている。これは、主題事項を区別または限定するように選択されていない可能性がある。したがって、技術の範囲は、本詳細な説明によってではなく、むしろ、本明細書に基づく出願に基づいて発行される請求項によって限定されることが意図される。したがって、様々な実施形態の開示は、以下の特許請求の範囲に記載される技術の範囲を例示することを意図しているが、これに限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバ内の電気装置上に多層プラズマ化学蒸着コーティングを適用するための方法であって、
金属ゲートに周期的な電気放電を印加して、放電キャビティから反応チャンバ内に周期的にプラズマを導き、反応性種を生成する工程を含み、ここで、
前記周期的な電気放電は、反応性種を生成するようにプラズマを反応チャンバ内に導く際に金属ゲートに電気放電が印加され、そして前記反応性種がフラグメンテーション-多重再結合プロセスに供される際に前記電気装置上に第1の副層が形成される、プラズマオン期間、および、
前記金属ゲートに電気放電が印可されず、前記反応性種がラジカル連鎖伝播プロセスを受ける際に、前記電気装置上に第2の副層が形成される、プラズマオフ期間を含む、
方法。
【請求項2】
前記周期的な電気放電が不連続なパルス波形にしたがって印加される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記周期的な電気放電は、鋸歯状波形、正弦波形、方形波形、全波整流波形、半波整流波形、または不連続パルス波形にしたがって印加される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のコーティングと前記第2のコーティングとの間の界面を交互にして、前記第1および前記第2の層からエネルギーを消散させる、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および前記第2のコーティングの適用中に、前記反応チャンバの中心軸に沿って前記電気装置を回転させることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1および前記第2のコーティングの適用中に、前記反応チャンバの中心軸よりも遠位の遊星軸に沿って前記電気装置を回転させる工程をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記遊星軸に沿った前記回転は、前記中心軸に対する前記電気装置の配向を変化させる、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記遊星軸に沿った前記電気装置の回転速度は、前記中心軸に沿った前記電気装置の回転速度とは独立して調整される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記中心軸および前記遊星軸に沿った回転の組み合わせが、前記反応チャンバに対する直線的往復運動または曲線運動での前記電気装置の動きをもたらす、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記曲線運動は、中心軸に沿った円運動、中心軸に沿った楕円運動、前記中心軸よりも
遠位の軸を有する円運動、球面運動、および他の不規則なルートを有する曲線運動のうちの1つまたは複数を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1および前記第2のコーティングを適用する前に、前記反応チャンバ内の雰囲気を排気し、そして処理プラズマを放出して前記電気装置の表面から不純物を除去することにより、前記電気装置の表面を前処理する工程をさらに含む、請求項記載の方法。
【請求項12】
前記反応チャンバ内の多孔質電極に電荷を印加することにより、前記前処理プラズマを発生させることをさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記モノマー蒸気は、一定の電荷によって生成されたプラズマからのエネルギーが前記モノマー蒸気に伝達される際に前記第1の反応性種を放出し、そして、
前記モノマー蒸気は、非一定の電荷によって生成されたプラズマからのエネルギーが前記モノマー蒸気に伝達される際に前記第2の反応性種を放出する、請求項記載の方法。
【請求項14】
前記電気装置が、家電製品、モバイル装置、計算装置、ディスプレイ装置、またはウェアラブル装置である、請求項に記載の方法。
【請求項15】
電気装置上に多層プラズマ化学蒸着コーティングを適用するための反応チャンバであって、
前記電気装置を、一次回転軸を介して中心軸に沿って回転させるように構成された一次回転ラックと、
前記電気装置を固定し、そして前記一次回転ラックに連結された遊星回転シャフトを介して遊星軸に沿って前記電気装置を回転させるように構成された二次回転ラックと、
制御信号を送信して、電源に周期的な電気放電を金属ゲートに印加させるコントローラと、を含み、ここで、
前記周期的な電気放電は、反応性種を生成するようプラズマを反応チャンバ内に導くために金属ゲートに電気放電が印加され、そして前記反応性種がフラグメンテーション-多重再結合プロセスに供される際に前記電気装置上に第1の副層が形成される、プラズマオン期間と、そして、
前記周期的な電気放電は、前記金属ゲートに電気放電が印可されず、そして前記反応性種がラジカル連鎖伝播プロセスを受ける際には、前記電気装置上に第2の副層が形成される、プラズマオフ期間と、を含む
反応チャンバ。
【請求項16】
前記周期的な電気放電が、不連続パルス放電または周期的な交互の放電である、請求項15に記載の反応チャンバ。
【請求項17】
前記コントローラが、第1の回転制御信号を送信して、前記第1および第2の層の適用中に、前記電気装置を前記反応チャンバの前記中心軸に沿って前記一次回転ラックを介して回転させるように構成されている、請求項15記載の反応チャンバ。
【請求項18】
前記第1の回転制御信号が、前記中心軸に沿った前記一次回転ラックおよび前記電気装置の回転速度を制御する、請求項17に記載の反応チャンバ。
【請求項19】
前記コントローラが、第2の回転制御信号を送信して、前記第1および前記第2のコーティングの適用中に、前記電気装置を前記反応チャンバの前記遊星軸に沿って前記二次回転ラックを介して回転させるように構成されている、請求項15に記載の反応チャンバ。
【請求項20】
前記第2の回転制御信号が、前記遊星軸に沿った前記第2の回転ラックおよび前記電気装置の回転速度を制御する、請求項19に記載の反応チャンバ。
【請求項21】
第1のモノマー蒸気を前記反応チャンバ内に放出するように構成された第1のモノマー蒸気パイプをさらに含み、
前記第1のモノマー蒸気は、前記第1のプラズマからのエネルギーが前記第1のモノマー蒸気に伝達された際に、前記第1の反応性種を放出し、
前記第2のモノマー蒸気は、前記第2のプラズマからのエネルギーが前記第2のモノマー蒸気に伝達された際に前記第2の反応性種を放出する、請求項15記載の反応チャンバ。
【請求項22】
電気装置上の多層プラズマ化学蒸着コーティングであって、
プラズマが反応チャンバ内に向けられる際のプラズマオン期間中のフラグメンテーション-多重再結合プロセスにより形成された第1の副層、および、
プラズマが反応チャンバ内に向けられない際のプラズマオフ期間中のラジカル連鎖伝播プロセスにより形成された第2の副層、を含む、多層プラズマ化学蒸着コーティング。
【請求項23】
前記多層プラズマ化学蒸着コーティングが、前記プラズマオン及び前記プラズマオフの各々の期間中に形成された、各副層の厚さを変化させることにより生成された段階的な構造を有する、請求項22に記載の多層プラズマ化学蒸着コーティング。
【請求項24】
前記多層プラズマ化学蒸着コーティングは、前記プラズマオン期間中に形成される副層と前記プラズマオフ期間中に形成される副層とが交互に配置されている、請求項22に記載の多層プラズマ化学蒸着コーティング。
【外国語明細書】
【Fig1】
【Fig2】
【Fig3】
【Fig4】
【Fig5】
【Fig6】
【Fig7】