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特開2023-171755腫瘍成長を阻害するための材料および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171755
(43)【公開日】2023-12-05
(54)【発明の名称】腫瘍成長を阻害するための材料および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/198 20060101AFI20231128BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
A61K31/198
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023144987
(22)【出願日】2023-09-07
(62)【分割の表示】P 2020519131の分割
【原出願日】2018-10-02
(31)【優先権主張番号】62/566,787
(32)【優先日】2017-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507371168
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション インコーポレーティッド
(71)【出願人】
【識別番号】517183281
【氏名又は名称】エントリンシック,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Entrinsic,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビドヤサガー,サダシバン
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,レシュ
(72)【発明者】
【氏名】ガット,ステフェン
(57)【要約】
【解決手段】
主題発明は、がん細胞の成長および/または増殖組成物および方法を提供する。主題発明は、本明細書に記載される組成物を投与することによってそのような治療を必要とする対象のがんを治療するための方法も提供する。主題発明は、細胞を組成物に曝露することによってがん細胞の成長を阻害するために使用することができる。主題発明は、外科手術、化学療法、および/または放射線療法と組み合わせて使用されうるがん治療をさらに提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸、ならびに任意選択的に、医薬的に許容可能な担体、緩衝液、電解質、アジュバント、または賦形剤を含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物。
【請求項2】
前記一つまたは複数の遊離アミノ酸が、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンを含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記一つまたは複数の遊離アミノ酸が、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、およびグリシンを含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸を含まないか、または無視できる量のそれを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記がん細胞がアノクタミン(ANO)を発現する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記アノクタミン(ANO)がアノクタミン-1(ANO-1)である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記がん細胞が、脳腫瘍細胞、上咽頭癌細胞、乳がん細胞、肺がん細胞、異常白血球、異常リンパ球、結腸がん細胞、肝がん細胞、胃がん細胞、食道がん細胞、膀胱がん細胞、または胃がん細胞である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記一つまたは複数の遊離アミノ酸が、約0.1から約2.0グラム/リットルの濃度である、請求項1から3または5から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも一つの追加的な治療剤をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が単一単位用量の形態である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
約2.0~約8.5のpHを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
がんまたは腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸、ならびに任意選択的に、医薬的に許容可能な担体、緩衝液、電解質、アジュバント、または賦形剤を含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる、治療有効量の組成物を投与することを含む方法。
【請求項13】
前記一つまたは複数の遊離アミノ酸が、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンを含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記一つまたは複数の遊離アミノ酸が、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、およびグリシンを含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸を含まないかまたは無視できる量のそれを含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記対象が、放射線照射、化学療法、プロトン療法、細胞障害剤、またはそれらの組合せも受ける、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が放射線照射に以前に曝露されていた、請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記がんまたは腫瘍がアノクタミン(ANO)を発現する、請求項12から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記アノクタミン(ANO)がアノクタミン-1(ANO-1)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記がんまたは腫瘍が、脳腫瘍、上咽頭癌、乳がん、肺がん、白血病、リンパ腫、結腸がん、肝がん、胃がん、食道がん、膀胱がん、および皮膚がんから選択される、請求項12から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記対象がヒトである、請求項12から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記治療が、腫瘍転移および/または他のがん細胞の遊走を阻害する、請求項12から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記治療が腫瘍発生または発癌を予防する、請求項12から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が、連続的な毎日投与スケジュールで投与される、請求項12から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物が経口で、全身的に、または局所的に投与される、請求項12から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
がん細胞の成長を阻害する方法であって、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸、ならびに任意選択的に、医薬的に許容可能な担体、緩衝液、電解質、アジュバント、または賦形剤を含むか、またはそれから本質的になるかもしくはなる組成物に、がん細胞を曝露することを含む方法。
【請求項27】
前記一つまたは複数の遊離アミノ酸が、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンを含むか、またはそれらから本質的になるもしくはなる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記一つまたは複数の遊離アミノ酸が、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、およびグリシンを含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸を含まないかまたは無視できる量のそれを含む、請求項26から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記がん細胞がin vitroである、請求項26から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記がん細胞が、脳腫瘍細胞、上咽頭癌細胞、乳がん細胞、肺がん細胞、異常白血球、異常リンパ球、結腸がん細胞、肝がん細胞、胃がん細胞、食道がん細胞、膀胱がん細胞、および皮膚がん細胞から選択される、請求項26から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
がんを有する対象に前記組成物を投与するための指示をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物を含むキット。
【請求項33】
細胞においてアノクタミン(ANO)発現を下方制御する方法であって、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸、ならびに任意選択的に、医薬的に許容可能な担体、緩衝液、電解質、アジュバント、または賦形剤を含むか、またはそれらから実質的になるかもしくはなる有効量の組成物に、細胞を接触させることを含む方法。
【請求項34】
前記一つまたは複数の遊離アミノ酸が、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンを含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記一つまたは複数の遊離アミノ酸が、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、およびグリシンを含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記組成物が、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸を含まない、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記細胞ががん細胞である、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記アノクタミンが、ANO1、ANO2、ANO3、ANO4、ANO5、ANO6、ANO7、ANO8、ANO9、またはANO1Oである、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記アノクタミンがANO1である、請求項33~38のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願>
この出願は、参照により本明細書に組み込まれる2017年10月2日出願の米国仮特許出願第62/566,787号に対する35 U.S.C.§119(e)下の優先権を主張する。
【0002】
がんは、米国および世界中の男女両方についての死亡の主因の一つである。がん死の主因としては、肺がん、大腸がん、膵がん、および乳がんが挙げられる。
【0003】
がんの早期検出は、生存を改善する鍵である。研究では、早期の局所的な段階におけるがんの検出とそのような疾患の外科的な除去により、五年生存率が増加することが示されている。しかし、がんが他の器官、特に遠位に広がった後には、生存率は劇的に低下する。残念なことに、肺がんを含む一部のがんは、通常、進行段階に達するまで無症候性である。
【背景技術】
【0004】
治療および予後は、がんのタイプおよびステージ(広がりの程度)に依存する。可能な治療方法としては、手術、化学療法、および/または放射線療法が挙げられる。放射線照射および/または化学療法は、消化器(GI)管の内膜に重度の損傷を引き起こす可能性がある。中用量から高用量の放射線照射および/または化学療法により、正常な増殖、成熟、および分化の過程の間に絨毛の上部から脱落した細胞の継続的な置換に必須であるクローン形成能を有した細胞の破壊が生じる。腺窩から絨毛への遊走は、5~7日間かかる。そのため、胃腸毒性は、放射線曝露および/または化学療法後の第一週にそれ自体を発現し、がん治療における最も有意な用量制限要因である。
【0005】
哺乳類の10種のメンバー(ANO1~10)からなるアノクタミン(ANO、TMEM16としても知られる)タンパク質ファミリーは、Ca2+活性化型Cl-活性を有する膜貫通タンパク質のファミリーである。ANOタンパク質は、がんを含む様々な疾患で役割を果たす。ANO1(TMEM16aとしても知られる)は、胃腸間質腫瘍、ならびに口腔癌および頭頸部扁平上皮細胞癌において上方制御されることが報告されている。アノクタミン1(Ano1、TMEM16A)は、上皮細胞および他の細胞型において重要な生理学的機能を有する新規のCa2+活性化型クロライドチャネル(CaCC)である。Ano1のコード配列は、11q13領域内に位置し、この領域は、膀胱がん、乳がん、およびHNSCCなどの数多くの異なるヒトのがんで頻繁に増幅される染色体座位である。また、ヒトにおけるANO5(TMEM16eとしても知られる)の突然変異は、顎骨骨幹異形成症を引き起こすことも報告されている。さらに、ANO7(TMEM16gとしても知られる)は、正常およびがんの前立腺で選択的に発現され、細胞間凝集を調節することが報告されている。
【0006】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれている2014年12月5日出願の米国特許出願第14/406,087号に記載されているように、アノクタミンタンパク質はまた、がんの一般的な治療レジメンである放射線療法によって引き起こされる放射線毒性とも関連がある。放射線腸炎の治療に有用な組成物の一つは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,993,522号に記載されるアミノ酸系経口再水和溶液(AA-ORS)である。米国特許第8,993,522号で使用される製剤は、アミノ酸共役型輸送を介して再水和を補正し、抗分泌特性を有する一連のアミノ酸を選択することにより腺窩からのアニオン分泌を減少させることによって、ならびに粘膜を締め付けることによって、機能する。
【0007】
外科手術、化学療法、および放射線療法の進歩にもかかわらず、がん治療の新規の療法の開発に関する、具体的には有効で費用効果が高く患者の耐性を改善するためのニーズが存在する。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に提供されるのは、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸、ならびに任意選択的に、医薬的に許容可能な担体、緩衝液、電解質、または賦形剤を含むか、または本質的になるかもしくはなる、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物である。特定の実施形態では、本組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上、または15種全てのアミノ酸を含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる。
【0009】
特定の実施形態では、本組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸を含むか、またはそれから本質的になるかもしくはなる。特定の実施形態では、本組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンから選択される2種以上、3種以上、4種以上、または5種全ての遊離アミノ酸を含むか、またはそれから本質的になるかもしくはなる。特定の実施形態では、本組成物は、遊離アミノ酸のアスパラギンをさらに含む。特定の実施形態では、本組成物は、遊離アミノ酸のグリシンをさらに含む。特定の実施形態では、本組成物は、遊離アミノ酸のアスパラギンおよびグリシンをさらに含む。特定の実施形態では、本組成物は、アスパラギン、グリシン、バリン、プロリン、セリン、スレオニン、およびチロシンから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸を含むか、またはそれから本質的になるかもしくはなる。特定の実施形態では、本組成物は、アスパラギン、グリシン、バリン、プロリン、セリン、スレオニン、およびチロシンから選択される2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、または7種全ての遊離アミノ酸を含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる。特定の実施形態では、本組成物は、水をさらに含む。特定の実施形態では、本組成物は、医薬的に許容可能な担体、緩衝液、電解質、またはアジュバントをさらに含む。
【0010】
また、本明細書に提供されるのは、がんまたは腫瘍を治療する方法であって、本方法は、それを必要とする対象に、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸、ならびに任意選択的に、医薬的に許容可能な担体、緩衝液、電解質、アジュバント、または賦形剤を投与することを含む。
【0011】
さらに本明細書に開示されるのは、がん細胞の成長を阻害する方法であって、本方法は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸、ならびに任意選択的に、医薬的に許容可能な担体、緩衝液、電解質、アジュバント、または賦形剤を含むか、またはそれから本質的になるかもしくはなる組成物に、がん細胞を曝露することを含む。
【0012】
別の態様では、本開示は、がんを治療する際に使用するための、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸を含むか、またはそれから本質的になるかもしくはなる組成物を提供する。さらに別の態様では、本発明は、それを必要とする対象においてがんを治療するためのアミノ酸の組成物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、アミノ酸経口再水和溶液(AA-ORS)の存在下および非存在下で0、0.5、1、3、5、7、および9Gyの放射線に曝露した後(左上)、ならびに0および5Gyの放射線に曝露した後(左下)のアノカトミン-1(AN01)タンパク質のレベルのウェスタンブロット分析を示す。右上の図は、処理の存在非存在下での放射線照射によるano1のmRNAレベルを示す。
図2図2は、生理食塩水またはAA-ORS溶液の存在下で0または5Gyの放射線に曝露した後の、小腸の刷子縁膜に沿ったANO1発現に及ぼされる放射線照射の効果を例証する。
図3図3は、クローン形成能アッセイにおける、MCF10A正常乳房細胞およびMDAMB-231乳がん細胞に及ぼされるスクランブル対照siRNAおよびANO1 siRNAの効果を例証する。
図4図4は、クローン形成能アッセイにおける、MDAMB-32乳がん細胞に及ぼされるスクランブル対照siRNAおよびANO1 siRNAの効果をさらに例証する。
図5図5は、クローン形成能アッセイにおける、Caco2腸がん細胞で、および正常腸細胞(CRL-1831)に及ぼされる、対照プラスミドベクターpSV caco-2およびANO1 siRNAの効果を例証する。
図6図6は、クローン形成能アッセイにおける、正常肺細胞(WI-38)およびがん肺細胞(HTC171)に及ぼされる対照プラスミドベクター(pSV)およびANO1 siRNAの効果を例証する。
図7図7は、Ano1タンパク質レベルに及ぼされる個々の例示的なアミノ酸、対照タンパク質、および5種のアミノ酸(5AA)の組合せの正規化された効果を例証する。
図8図9は、対照タンパク質、8種のアミノ酸(イソロイシン、アスパラギン酸、スレオニン、リジン、チロシン、セリン、バリン、グリシン、トリプトファン)の組合せ(8AA)、5種のアミノ酸の組合せ(5AA)、別の5種のアミノ酸の組合せ(5AA-Ano1)、および7種のアミノ酸の組合せ(7AA-Ano1)による処理の後の刷子縁膜の細胞から抽出された、ANO1タンパク質のレベルのウェスタンブロット分析を示す。
図10図10Aは、アノクタミン-1によって活性化されたシグナル伝達経路を示す。図10Bは、Ano1の調節の図を示す。
図11図11Aおよび図11Bは、クローン形成能アッセイにおける、Caco2腸がん細胞で、および正常腸細胞(CRL-1831)に及ぼされる、対照プラスミドベクターpSV caco-2およびANO1 siRNAの効果を示す(図5にも示されている)。図11Aは、正常腸細胞(CRL- 1831)における対照プラスミドベクターpSVおよびANO1 siRNAの効果の一部として、コロニー数を示す。図11Bは、Caco2がん細胞における対照プラスミドベクターpSVおよびANO1 siRNAの効果の一部としてのコロニー数、ならびにpSVおよびSiAno1によるコロニー数を示す。pSVは、密度を増加させてcaco2細胞を播種されたプレートの6ウェルにトランスフェクトされた、対照ベクターを示す。SiAno1 caco-2は、ANO1の合成および発現を阻害するために使用される、ANO1に特異的な小さな阻害性RNAを示す。
図12A図12Aは、5Gyの放射線照射(および標準リンゲル溶液(「RR」)「5AA」(アスパラギン酸、セリン、チロシン、スレオニン、およびバリン)、または「7AA-ANO1」(プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、およびグリシン)による処理)の後のアノカトミン-1(ANO1)タンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。5AAによる処理は、腸上皮細胞から単離された刷子縁膜上のano1発現を阻害した。細胞膜上のano1発現を特異的に阻害したアミノ酸である7AA-ANO1による処理は、刷子縁膜におけるタンパク質レベルをさらに減少させた。
図12B図12Bは、5Gyの放射線の曝露と基底レベルの「5AA」、ANO1の特異的阻害剤(CAccinh、および「Ano1」による処理の後の、Cl-の正味フラックスを示す。
図12C図12Cは、5Gyの放射線の曝露と基底レベルの「ANO7AA」、CAccinh、および「Ano1」による処理の後の、Cl-の正味フラックスを示す。Ussingチャンバーフラックス試験は、ANO1の特異的阻害剤(CaCCinh)が正味のクロライドフラックスを減少させたこと、ならびに膜上のano1発現を減少させた7種のアミノ酸(ANO7AA)が同様に正味のクロライドフラックスを減少させたことを示す。塩素の同位体である36Clを使用して、フラックスを調べた。
図13図13は、細胞周期の図を示す。細胞周期についてのヨウ化プロピジウム(PI)染色を以下のように行った:G1期にある2倍体細胞は、2N染色体を有する、換言すれば、4N染色体相補物を有するG2期またはM期の細胞の半量を有するものとなる。新しい染色体(新しいDNA)を合成する過程にあるS期の細胞は、中間量を有する。PIがDNA含有量に比例して細胞を標識することから、各時期の細胞のパーセンテージをヒストグラムに読み取ることができる。
図14A図14A図14Dは、結腸がん細胞(HT-29)に及ぼされる標示されたアミノ酸組成物の4時間処理の効果を示す。図14A図14Dでは、標準リンゲル溶液(「RR」)、5AA、および7AAの存在下でインキュベートされた細胞を用いて、フローサイトメトリー(FACS)を行った。図14A図14Dに示される結果は、7AAがG2/M期の細胞を阻害し、それゆえにG1期に停止した細胞の数が多くなることを示す(図14D)。図14Aは、結腸がん細胞(HT-29)に及ぼされるアミノ酸組成物「RR」の4時間処理の効果(細胞数)を示す。
図14B図14Bは、結腸がん細胞(HT-29)に及ぼされるアミノ酸組成物「5AA」の4時間処理の効果(細胞数)を示す。
図14C図14Cは、結腸がん細胞(HT-29)に及ぼされるアミノ酸組成物「7AA」の4時間処理の効果(細胞数)を示す。
図14D図14Dは、結腸がん細胞(HT-29)に及ぼされる対照ならびにアミノ酸組成物「5AA」および「7AA」の4時間処理の効果と、細胞周期のG1期、S期、G2/M期に存在する細胞数とを示す。
図15図15は、CDT1、MCM2、p-ERK、カスパーゼ3、サイクリンDI、およびp53の結合に関する、HT-29結腸がん細胞に及ぼされる対照、5AA、および7AAの4時間処理の効果を示す。複製開始点認識複合体(ORC)は、細胞周期(1、2)を通じてクロマチンに結合するものと考えられる。複製前複合体(Pre-RC)は、CDT1およびcdc6の複製開始点への結合に始まる有糸分裂期後期/Gl初期に形成され、この結合はヘテロ6量体のMCM2~7複合体の結合を可能にする。MCM複合体は、複製ヘリカーゼと考えられ、pre-RCの形成はクロマチンライセンシングと呼ばれる。
図16図16Aは、以下に記載される4時間の処理下での対照および7AA-ANO1によるHT-29結腸がん細胞の処理の効果を示す。組合せで用いられると細胞の刷子縁膜におけるANO1タンパク質のレベルを減少させる上位7種のアミノ酸(7AA-Ano1)は、対照と比較してコロニー形成数を減少させることが示された。細胞を、7AAの存在下で4時間インキュベートし、次いで洗浄し、さらに標準培養培地の存在下で増殖させた。これらの研究は、7AAが腫瘍細胞を阻害することができ、シグナル伝達機構を介して作用しうることを示す。図16Bは、標準リンゲル溶液(RR)および7AAによる図16Aについての上述の処理時のコロニー数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
開示された組成物および方法は、本開示の一部を形成する添付図面に関する以下の詳細な説明を参照することによって、より簡単に理解されうる。開示される組成物および方法は、本明細書に記載されるおよび/または示される特定の組成物および方法に限定されないこと、ならびに本明細書に使用される用語は、具体的な実施形態を例証としてのみ説明する目的のためにあって、特許請求の範囲の組成物および方法を限定することを意図されていないことが理解されるべきである。
【0015】
特に別段に明記されない限り、改善のための可能性のある機構または動作モードまたは理由についてのあらゆる説明は、説明的なものに過ぎないことを意味し、改善のための任意のそのような推奨される機構または作用モードまたは理由の正しさまたは誤りによって、開示された組成物および方法が制約されるものではない。
【0016】
この文書全体を通して、説明は、組成物および前記組成物を使用する方法に言及するものである。本開示が、組成物に関連付けられた特徴または実施形態を記載または請求する場合、このような特徴または実施形態は、前記組成物を使用する方法と等しく適用可能である。同様に、本開示が、組成物を使用する方法に関連のある特徴または実施形態を記載または請求する場合、このような特徴または実施形態は、同様に組成物に適用可能である。
【0017】
数値の範囲が本明細書に記載または確定される場合、その範囲は、それらの終点と、範囲内のすべての個別の整数および小数とを含み、またそれらの中にさらに狭い範囲のそれぞれをも含み、これらの狭い範囲は、それらの終点の様々な可能な組合せの全てと、内部の整数および小数とによって形成され、それらの狭い範囲のそれぞれが明示的に記載されているのと同じ程度に、明記された範囲内でさらに大きな値の群の部分群を形成する。数値の範囲が、明記された値よりも大きなものとして本明細書に記述されている場合、その範囲は、やはり有限であり、本明細書に記載される本発明の文脈内で使用可能な値によって上端に有界である。数値の範囲が、明記された値よりも小さなものとして本明細書に記述されている場合、その範囲は、やはりゼロ以外の値によりその下端に有界である。本発明の範囲は、範囲を定義する際に列挙された特定の値に限定されることを意図されていない。すべての範囲は包括的であり、結合可能である。
【0018】
値が概算として表される場合、先述の「約」を使用することによって、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されよう。特定の数値への言及は、文脈が別途明確に指示しない限り、少なくともその特定の値を含む。
【0019】
明確化のために別々の実施形態の文脈において本明細書に記載される、開示された組成物および方法の特定の特徴は、組み合わされて単一の実施形態に提供されうることを理解されたい。逆に、簡略化のために単一の実施形態の文脈において記載される、開示された組成物および方法の様々な特徴も、別々にまたは任意のサブコンビネーションで提供されうる。
【0020】
本発明を説明する文脈で使用される際に、用語「a」および「an」および「the」および類似の指示は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明確に相反しない限り、単数と複数との両方を包含するものと解釈されることになる。
【0021】
説明の態様に関連する様々な用語が、本明細書および特許請求の範囲を通して使用される。そのような用語は、別段の指示がない限り、当技術分野における通常の意味を与えられるものとなる。他の具体的に定義される用語は、本明細書に提供される定義と一致する様式で解釈されるべきである。
【0022】
一つまたは複数の要素を参照して「含むこと」、「有すること」、「含むこと」、または「含有すること」などの用語を使用した、本発明の任意の態様または実施形態に関する本明細書の記載は、文脈による別段の記載または明確な相反のない限り、一つまたは複数の特定の要素「からなる」、「から本質的になる」、または「を実質的に含む」本発明の類似の態様または実施形態について、支持を与えることを意図されている(例えば、特定の構成成分を含む際の本明細書に記載される組成物は、別段に記載または明確な相反のない限り、その構成成分からなる組成物も記載しているものと理解されるべきである)。
【0023】
<治療組成物>
本明細書に提供されるのは、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸と医薬的に許容可能な賦形剤とを含む、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物である。
【0024】
「医薬的に許容可能な賦形剤」とは、本開示の化合物と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、または担体を指す。「医薬的に許容可能な賦形剤」とは、非毒性であり、生物学的に忍容性であり、その他、対象への投与に生物学的に適した、不活性物質などの物質を指し、薬理組成物に添加されるか、その他、剤の投与を容易にしかつそれに適合する媒体、担体、もしくは希釈剤として使用される。賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプンのタイプ、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ステアレート、二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、タルク、二酸化チタン、酸化鉄、およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0025】
一実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択されるただ1種の遊離アミノ酸、ならびに任意選択的に、医薬的に許容可能な担体、緩衝液、電解質、アジュバント、または賦形剤を含むか、または本質的になるかもしくはなる。特定の実施形態では、組成物は、指定された遊離アミノ酸のみと、他の遊離アミノ酸の不在または無視できる量の他の遊離アミノ酸とから、本質的になるかまたはそれらからなる。組成物には、特定の実施形態では、「天然」または「非天然」のアミノ酸の誘導体であるアミノ酸の誘導体が含まれる。組成物は、特定の実施形態では、アミノ酸の塩および/またはプロドラッグを含む。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてプロリンを含むか、または本質的にそれからなる。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてセリンを含むか、または本質的にそれからなる。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてスレオニンを含むか、または本質的にそれからなる。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてのチロシンを含むか、または本質的にそれからなる。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてバリンを含むか、または本質的にそれからなる。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてアスパラギンを含むか、または本質的にそれからなる。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてのグリシンを含むか、または本質的にそれからなる。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてトリプトファンを含むか、または本質的にそれからなる。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてリジンを含むか、または本質的にそれからなる。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてロイシンを含むか、または本質的にそれからなる。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてフェニルアラニンを含むか、または本質的にそれからなる。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてメチオニンを含むか、または本質的にそれからなる。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてアルギニンを含むか、または本質的にそれからなる。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてヒスチジンを含むか、または本質的にそれからなる。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてシステインを含むか、または本質的にそれからなる。
【0026】
別の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される任意の2種の遊離アミノ酸を含むか、または本質的にこれらからなるか、もしくはこれらからなり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プロリンおよびセリンの組合せ、プロリンおよびスレオニンの組合せ、プロリンおよびチロシンの組合せ、プロリンおよびバリンの組合せ、プロリンおよびアスパラギンの組合せ、プロリンおよびグリシンの組合せ、プロリンおよびトリプトファンの組合せ、プロリンおよびリジンの組合せ、プロリンおよびロイシンの組合せ、プロリンおよびフェニルアラニンの組合せ、プロリンおよびメチオニンの組合せ、プロリンおよびアルギニンの組合せ、プロリンおよびヒスチジンの組合せ、プロリンおよびシステインの組合せ、セリンおよびスレオニンの組合せ、セリンおよびチロシンの組合せ、セリンおよびバリンの組合せ、セリンおよびアスパラギンの組合せ、セリンおよびグリシンの組合せ、セリンおよびトリプトファンの組合せ、セリンおよびリジンの組合せ、セリンおよびロイシンの組合せ、セリンおよびフェニルアラニンの組合せ、セリンおよびメチオニンアルギニンの組合せ、セリンおよびヒスチジンの組合せ、セリンおよびシステインの組合せ、スレオニンおよびチロシンの組合せ、スレオニンおよびバリンの組合せ、スレオニンおよびアスパラギンの組合せ、スレオニンおよびグリシンの組合せ、スレオニンおよびトリプトファンの組合せ、スレオニンおよびリジンの組合せ、スレオニンおよびロイシンの組合せ、スレオニンおよびフェニルアラニンの組合せ、スレオニンおよびメチオニンの組合せ、スレオニンおよびアルギニンの組合せ、スレオニンおよびヒスチジンの組合せ、スレオニンおよびシステインの組合せ、チロシンおよびバリンの組合せ、チロシンおよびアスパラギンの組合せ、チロシンおよびグリシンの組合せ、チロシンおよびトリプトファンの組合せ、チロシンおよびリジンの組合せ、チロシンおよびロイシンの組合せ、チロシンおよびフェニルアラニンの組合せ、チロシンおよびメチオニンの組合せ、チロシンおよびアルギニンの組合せ、チロシンおよびヒスチジンの組合せ、チロシンおよびシステインの組合せ、バリンおよびアスパラギンの組合せ、バリンおよびグリシンの組合せ、バリンおよびトリプトファンの組合せ、バリンおよびリジンの組合せ、バリンおよびロイシンの組合せ、バリンおよびフェニルアラニンの組合せ、バリンおよびメチオニンの組合せ、バリンおよびアルギニンの組合せ、バリンおよびヒスチジンの組合せ、バリンおよびシステインの組合せ、アスパラギンおよびグリシンの組合せ、アスパラギンおよびトリプトファンの組合せ、アスパラギンおよびリジンの組合せ、アスパラギンおよびロイシンの組合せ、アスパラギンおよびフェニルアラニンの組合せ、アスパラギンおよびメチオニンの組合せ、アスパラギンおよびアルギニンの組合せ、アスパラギンおよびヒスチジンの組合せ、アスパラギンおよびシステインの組合せ、グリシンおよびトリプトファンの組合せ、グリシンおよびリジンの組合せ、グリシンおよびロイシンの組合せ、グリシンおよびフェニルアラニンの組合せ、グリシンおよびメチオニンの組合せ、グリシンおよびアルギニンの組合せ、グリシンおよびヒスチジンの組合せ、グリシンおよびシステインの組合せ、トリプトファンおよびリジンの組合せ、トリプトファンおよびロイシンの組合せ、トリプトファンおよびフェニルアラニンの組合せ、トリプトファンおよびメチオニンの組合せ、トリプトファンおよびアルギニンの組合せ、トリプトファンおよびヒスチジンの組合せ、トリプトファンおよびシステインの組合せ、リジンおよびロイシンの組合せ、リジンおよびフェニルアラニンの組合せ、リジンおよびメチオニンの組合せ、リジンおよびアルギニンの組合せ、リジンおよびヒスチジンの組合せ、リジンおよびシステインの組合せ、ロイシンおよびフェニルアラニンの組合せ、ロイシンおよびメチオニンの組合せ、ロイシンおよびアルギニンの組合せ、ロイシンおよびヒスチジンの組合せ、ロイシンおよびシステインの組合せ、フェニルアラニンおよびメチオニンの組合せ、フェニルアラニンおよびアルギニンの組合せ、フェニルアラニンおよびヒスチジンの組合せ、フェニルアラニンおよびシステインの組合せ、アルギニンおよびヒスチジンの組合せ、アルギニンおよびシステインの組合せ、ヒスチジンおよびシステインの組合せが挙げられる。このパラグラフで開示される組合せは、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される第3の、第4の、第5の、第6の、第7の、第8の、第9の、第10の、第11の、第12の、および/または第13の遊離アミノ酸とのさらなる組合せでここに開示される。簡潔にするために、全ての組合せは詳しく説明されない。
【0027】
別の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される任意の3種の遊離アミノ酸を含むか、または本質的になるかもしくはなり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プロリン、セリン、およびスレオニンの組合せ、プロリン、セリン、およびスレオニンの組合せ、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プロリン、セリン、およびスレオニンの組合せ、プロリン、セリン、およびチロシンの組合せ、プロリン、セリン、およびバリンの組合せ、プロリン、スレオニン、およびチロシンの組合せ、プロリン、スレオニン、およびバリンの組合せ、セリン、スレオニン、およびチロシンの組合せ、セリン、チロシン、およびバリンの組合せ、ならびにスレオニン、チロシン、およびバリンの組合せが挙げられる。簡潔にするために、全ての組合せは詳しく説明されない。
【0028】
さらなる実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される任意の4種の遊離アミノ酸を含むか、または本質的になるかもしくはなり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プロリン、セリン、スレオニン、およびチロシンの組合せ、プロリン、セリン、スレオニン、およびバリンの組合せ、ならびにセリン、スレオニン、チロシン、およびバリンの組合せが挙げられる。簡潔にするために、全ての組合せは詳しく説明されない。
【0029】
別の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される任意の5種の遊離アミノ酸を含むか、または本質的になるかもしくはなり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンの組合せ、アスパラギン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンの組合せ、プロリン、アスパラギン、スレオニン、チロシン、およびバリンの組合せ、プロリン、セリン、アスパラギン、チロシン、およびバリンの組合せ、プロリン、セリン、スレオニン、アスパラギン、およびバリンの組合せ、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、およびアスパラギンの組合せ、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンの組合せ、プロリン、グリシン、スレオニン、チロシン、およびバリンの組合せ、プロリン、セリン、グリシン、チロシン、およびバリンの組合せ、プロリン、セリン、スレオニン、グリシン、およびバリンの組合せ、ならびにプロリン、セリン、スレオニン、チロシン、およびグリシンの組合せが挙げられる。簡潔にするために、全ての組合せは詳しく説明されない。
【0030】
別の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される任意の6種の遊離アミノ酸を含むか、または本質的になるかもしくはなり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、およびアスパラギンの組合せ、ならびにプロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、およびグリシンの組合せが挙げられる。簡潔にするために、全ての組合せは詳しく説明されない。
【0031】
別の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される任意の7種の遊離アミノ酸を含むか、または本質的になるかもしくはなり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、およびグリシンの組合せ、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、ロイシン、およびアスパラギンの組合せ、ならびにプロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、ロイシン、およびグリシンの組合せが挙げられる。簡潔にするために、全ての組合せは詳しく説明されない。
【0032】
別の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される任意の8種の遊離アミノ酸を含むか、または本質的になるかもしくはなり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、およびトリプトファンの組合せが挙げられる。簡潔にするために、全ての組合せは詳しく説明されない。
【0033】
別の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される任意の9種の遊離アミノ酸を含むか、または本質的になるかもしくはなり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、およびリジンの組合せが挙げられる。簡潔にするために、全ての組合せは詳しく説明されない。
【0034】
別の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される任意の10種の遊離アミノ酸を含むか、または本質的になるかもしくはなり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、およびロイシンの組合せが挙げられる。簡潔にするために、全ての組合せは詳しく説明されない。
【0035】
別の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される任意の11種の遊離アミノ酸を含むか、または本質的になるかもしくはなり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、およびフェニルアラニンの組合せが挙げられる。簡潔にするために、全ての組合せは詳しく説明されない。
【0036】
別の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される任意の12種の遊離アミノ酸を含むか、または本質的になるかもしくはなり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、およびメチオニンの組合せが挙げられる。簡潔にするために、全ての組合せは詳しく説明されない。
【0037】
別の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される任意の13種の遊離アミノ酸を含むか、または本質的になるかもしくはなり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、およびアルギニンの組合せが挙げられる。簡潔にするために、全ての組合せは詳しく説明されない。
【0038】
別の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される任意の14種の遊離アミノ酸を含むか、または本質的になるかもしくはなり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、およびヒスチジンの組合せが挙げられる。簡潔にするために、全ての組合せは詳しく説明されない。
【0039】
別の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される任意の15種の遊離アミノ酸を含むか、または本質的になるかもしくはなり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインの組合せが挙げられる。
【0040】
本発明の組成物は、がん細胞の成長、増殖および/または発達を阻害する観点から、実質的に同じまたはさらに高い活性を保持する天然アミノ酸またはその誘導体を含むことがある。「アミノ酸」という用語は、アミン(-NH2)官能基と、カルボキシ(-COOH)官能基と、各アミノ酸に特異的な側鎖(「R」)基とを含む全ての既知のアミノ酸を包含する。「アミノ酸」は、ヒトゲノムによってコードされた21種のアミノ酸(すなわちタンパク質原性のアミノ酸)、細菌もしくは単細胞生物によってコードもしくは産生されるアミノ酸、または天然由来のアミノ酸である。この開示の目的では、塩基性側鎖(アルギニン、リジン、およびヒスチジン)を有するアミノ酸の共役酸形態、または酸性側鎖(アスパラギン酸およびグルタミン酸)を有するアミノ酸の共役塩基形態は、別段の記載がない限り、本質的に同一である。「アミノ酸」はまた、本発明の組成物の効果を増強する(例えば、形質膜中のCFTRタンパク質の数を増加させ、細胞からの塩化物イオンの搬出を増加させ、嚢胞性線維症を治療する)観点から、実質的に同じまたはさらに高い活性を保持するその誘導体も包含する。誘導体は、例えば、エナンチオマーであってよく、アミノ酸のD体およびL体の両方を含みうる。誘導体は、「天然」または「非天然」のアミノ酸(例えば、P-アミノ酸、ホモアミノ酸、プロリン誘導体、ピルビン酸誘導体、3-置換アラニン誘導体、グリシン誘導体、環置換チロシン誘導体、環置換フェニルアラニン誘導体、直鎖コアアミノ酸、およびN-メチルアミノ酸)の誘導体、例えば、セレノシステイン、ピロリシン、ヨードチロシン、ノルロイシン、またはノルバリンでありうる。他のアミノ酸誘導体としては、以下に限定されないが、アミノ酸の例えばアシル化、メチル化、グリコシル化、および/またはハロゲン化によって合成されるものが挙げられる。これらには、例えば、P-メチルアミノ酸、C-メチルアミノ酸、およびN-メチルアミノ酸が含まれる。本明細書に記載されるアミノ酸は、遊離アミノ酸として存在しうる。用語「遊離アミノ酸」は、ペプチドまたはポリペプチドの一部ではない(例えば、ペプチド結合を介して別のアミノ酸に接続されていない)アミノ酸を指す。遊離アミノ酸は、溶液中で遊離しているが、溶液中の塩または他の成分と会合しうる。
【0041】
特定の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸を含まないか、または無視できる量を含むに過ぎない。「無視できる」とは、存在するセリンががん細胞の阻害に効果を及ぼさないことを意味する。あるいは、特定の実施形態では、これらのアミノ酸が組成物中に存在する場合であっても、腫瘍および/またはがんの細胞の増殖を阻害する治療効果に影響を及ぼす量では存在しない。
【0042】
特定の実施形態では、無視できる量とは、アミノ酸の総濃度が100mg/L、50mg/L、10mg/L、5mg/L、1mg/L、0.5mg/L、0.1mg/L、または0.01mg/L未満である量である。特定の実施形態では、無視できる量とは、アミノ酸の総濃度が100mg/L未満である量である。特定の実施形態では、無視できる量とは、アミノ酸の総濃度が50mg/L未満である量である。特定の実施形態では、無視できる量とは、アミノ酸の総濃度が10mg/L未満である量である。特定の実施形態では、無視できる量とは、アミノ酸の総濃度が5mg/L未満である量である。特定の実施形態では、無視できる量とは、アミノ酸の総濃度が1mg/L未満である量である。特定の実施形態では、無視できる量とは、アミノ酸の総濃度が0.5mg/L未満である量である。特定の実施形態では、無視できる量とは、アミノ酸の総濃度が0.1mg/L未満である量である。特定の実施形態では、無視できる量とは、アミノ酸の総濃度が0.01mg/L未満である量である。
【0043】
一実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンから選択される1種の遊離アミノ酸を含まないかまたは無視できる量のそれを含むに過ぎない。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてのグルタミン酸を含まないか、または無視できる量を含むに過ぎない。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてのグルタミンを含まないか、または無視できる量を含むに過ぎない。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてのアスパラギン酸を含まないか、または無視できる量を含むに過ぎない。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてのアラニンを含まないか、または無視できる量を含むに過ぎない。さらなる実施形態では、組成物は、遊離アミノ酸としてのイソロイシンを含まないか、または無視できる量を含むに過ぎない。
【0044】
さらなる実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンから選択される2種の遊離アミノ酸を含まないかまたは無視できる量のそれらを含むに過ぎず、そのようなものとしては、以下に限定されないが、グルタミン酸およびグルタミンの組合せ、グルタミン酸およびアスパラギン酸の組合せ、グルタミン酸およびアラニンの組合せ、グルタミン酸およびイソロイシンの組合せ、グルタミンおよびアスパラギン酸の組合せ、グルタミンおよびアラニンの組合せ、グルタミンおよびイソロイシンの組合せ、アスパラギン酸およびアラニンの組合せ、アスパラギン酸およびイソロイシン、ならびにアラニンおよびイソロイシンの組合せが挙げられる。
【0045】
さらなる実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンから選択される3種の遊離アミノ酸を含まないかまたは無視できる量のそれらを含むに過ぎず、そのようなものとしては、以下に限定されないが、グルタミン酸、グルタミン、およびアスパラギン酸の組合せ、グルタミン酸、グルタミン、およびアラニンの組合せ、グルタミン酸、グルタミン、およびイソロイシンの組合せ、グルタミン酸、アスパラギン酸、およびアラニンの組合せ、グルタミン酸、アスパラギン酸、およびイソロイシンの組合せ、グルタミン酸、アラニン、およびイソロイシンの組合せ、グルタミン、アスパラギン酸、およびアラニンの組合せ、グルタミン、アスパラギン酸、およびイソロイシンの組合せ、グルタミン、アスパラギン酸、およびイソロイシンの組合せ、ならびにアスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンの組合せが挙げられる。
【0046】
さらなる実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンから選択される4種の遊離アミノ酸を含まないかまたは無視できる量のそれらを含むに過ぎず、そのようなものとしては、以下に限定されないが、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、およびアラニンの組合せ、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、およびイソロイシンの組合せ、ならびにグルタミン、アスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンの組合せが挙げられる。
【0047】
さらなる実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンから選択される5種の遊離アミノ酸を含まないかまたは無視できる量のそれらを含むに過ぎず、そのようなものとしては、以下に限定されないが、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンが挙げられる。
【0048】
特定の実施形態では、本発明のがん細胞は、アノクタミン-1、アノクタミン-2、アノクタミン-3、アノクタミン-4、アノクタミン-5、アノクタミン-6、アノクタミン-7、アノクタミン-8、アノクタミン-9、アノクタミン-10からなる群から選択されるアノクタミン、好ましくはCa2+活性化型Clチャネル(CaCC)であるアノクタミン-1(ANO1)を発現する。
【0049】
アノクタミン発現のレベルは、mRNAレベルまたはタンパク質レベルに基づいて決定することができる。アノクタミン発現の決定は、定性的、半定量的、または定量的に行うことができる。様々な哺乳類種のアノクタミンのタンパク質およびmRNAの配列は、公的に利用可能であり、例えば、GenBankデータベースから得ることができる。一実施形態では、ヒトアノクタミン-1(ANO1)タンパク質は、GenBank受入番号NP_060513と関連付けられたアミノ酸配列を有する。別の実施形態では、ヒトアノクタミン1のmNRA転写物は、GenBank受入番号NM_018043と関連する核酸配列を有する。本開示の利益を有する当業者は、本発明を実践するために、目的の哺乳類種のアノクタミンのタンパク質配列および核酸配列を簡単に使用することができる。
【0050】
アノクタミン発現レベルを決定するための方法は、当技術分野で周知であり、そのようなものとしては、以下に限定されないが、ウェスタンブロット、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降法、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法、核酸ハイブリダイゼーション、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。好ましい実施形態では、アノクタミン発現レベルは、ELISAを用いて決定される。
【0051】
アノクタミン(例えばANO1)発現のレベルは、アノクタミン(例えばANO1)mRNAレベルに基づいて決定することができる。一実施形態では、アノクタミンのmRNAレベルは、アノクタミン(例えばANO1)mRNAと特異的に結合するかもしくはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列を含むポリヌクレオチドプローブに生体試料を接触させること、ならびにポリヌクレオチドプローブとアノクタミン(例えばANO1)mRNAとの間に形成された複合体を検出することを含む方法によって、決定することができる。
【0052】
一実施形態では、アノクタミンのmRNAレベルは、ポリメラーゼ連鎖反応法によって決定することができる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、重合のためのプライマーおよび薬剤を使用して核酸試料中に存在する一つまたは複数の標的核酸配列を増幅し、次いで増幅配列を検出する過程である。他方にハイブリダイズするときの一方のプライマーの伸長産物は、所望の特異的な核酸配列の産生のための鋳型となり、その逆もまた同様であり、この過程は、所望の量の配列を産生するのに必要となるたびに繰り返される。当業者は、所望の配列(米国特許第4,683,195号)の存在を検出するために、ポリメラーゼ連鎖反応を日常的に使用する。
【0053】
一実施形態では、本発明による組成物は、ANO1の下方制御によって明らかであるように、がん細胞の成長を阻害する。
【0054】
好適な実施形態では、本発明のがん細胞は、脳腫瘍細胞、上咽頭癌細胞、乳がん細胞、肺がん細胞、異常白血球、異常リンパ球、結腸がん細胞、肝がん細胞、胃がん細胞、食道がん細胞、膀胱がん細胞、または皮膚がん細胞である。
【0055】
特定の実施形態では、一つまたは複数の遊離アミノ酸は、組成物中で約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。一実施形態では、プロリンは約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。一実施形態では、セリンは約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。一実施形態では、スレオニンは約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。一実施形態では、チロシンは約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。一実施形態では、バリンは約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。一実施形態では、アスパラギンは約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。一実施形態では、グリシンは約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。一実施形態では、トリプトファンは約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。一実施形態では、リジンは約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。一実施形態では、ロイシンは約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。一実施形態では、フェニルアラニンは約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。一実施形態では、メチオニンは約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。一実施形態では、アルギニンは約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。一実施形態では、ヒスチジンは約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。一実施形態では、システインは約0.1から2.0グラム/リットルの濃度である。
【0056】
他の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、グルタミン酸を含まないかまたは無視できる量のそれを含み、その場合、グルタミン酸の総濃度は、100mg/L未満、50mg/L未満、10mg/L未満、5mg/L未満、1mg/L未満、0.5mg/L未満、0.1mg/L未満、または0.01mg/L未満である。治療用組成物は、グルタミンを含まないかまたは無視できる量のそれを含み、その場合、グルタミンの総濃度は、100mg/L未満、50mg/L未満、10mg/L未満、5mg/L未満、1mg/L未満、0.5mg/L未満、0.1mg/L未満、または0.01mg/L未満である。治療用組成物は、アスパラギン酸を含まないかまたは無視できる量のそれを含み、その場合、アスパラギン酸の総濃度は、100mg/L未満、50mg/L未満、10mg/L未満、5mg/L未満、1mg/L未満、0.5mg/L未満、0.1mg/L未満、または0.01mg/L未満である。治療用組成物は、アラニンを含まないかまたは無視できる量のそれを含み、その場合、アラニンの総濃度は、100mg/L未満、50mg/L未満、10mg/L未満、5mg/L未満、1mg/L未満、0.5mg/L未満、0.1mg/L未満、または0.01mg/L未満である。治療用組成物は、イソロイシンを含まないかまたは無視できる量のそれを含み、その場合、イソロイシンの総濃度は、100mg/L未満、50mg/L未満、10mg/L未満、5mg/L未満、1mg/L未満、0.5mg/L未満、0.1mg/L未満、または0.01mg/L未満である。
【0057】
特定の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、少なくとも一つの追加的な活性薬剤をさらに含む。用語「薬剤」は、任意の物質、化合物(例えば分子)、超分子複合体、材料、またはそれらの組み合わせもしくは混合物を指すために本明細書で使用される。化合物は、化学式、化学構造、または配列によって表すことができる任意の薬剤としうる。薬剤の例としては、例えば、小分子、ポリペプチド、核酸(例えばRNAi剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー)、脂質、多糖類などが挙げられる。一般に、薬剤は、当該技術分野で公知の任意の適した方法を使用して得られうる。当業者は、例えば、薬剤の性質に基づいて、適切な方法を選択するものとなる。用語「薬剤」はまた、「治療剤」を包含することがある。用語「化合物」および「薬剤」という用語は、互換的に使用されうる。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの追加的な活性薬剤は、がんを治療するために有効であることが知られている。組成物はまた、任意の滅菌済みの生体適合性のある医薬担体中に、投与することのできる少なくとも一つの他の薬剤、例えば安定化化合物または緩衝化合物と組み合わせて、製剤化することができ、そのような担体としては、以下に限定されないが、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、および水が挙げられる。本明細書に議論される組成物の決定的に重要な構成成分、細胞、または影響要因に加えて、組成物は、活性化合物を医薬的に使用可能な調製物に処理することを容易なものとする賦形剤および助剤を含む、適切な医薬的に許容可能な担体を含みうる。組成物は、医薬的に許容可能な担体または賦形剤を使用して単一剤形として調製されてもよいし、複数回投薬の容器に含まれてもよい。
【0058】
特定の実施形態では、治療組成物は、例えば、Na;K;HCO ;CO 2-;Ca2+;Mg2+;Fe;Cl;HPO 、HPO 2-、およびPO 3-などのリン酸イオン;亜鉛;ヨウ素;銅;鉄;セレン;クロム;およびモリブデンから選択される一つまたは複数の電解質を含む。代替の実施形態では、組成物はHCO またはCO 2-を含有しない。別の代替的な実施形態では、組成物は、HCO およびCO 2-を5mg/L未満の総濃度、または5mg/Lより低い濃度で含む。特定の実施形態では、組成物は電解質を含有しない。例えば、特定の実施形態では、組成物は、Na;K;HCO ;CO 2-;Ca2+;Mg2+;Fe;Cl;PhPCb、HPO 2-、およびPO 3-などのリン酸イオン;亜鉛;ヨウ素;銅;鉄;セレン;クロム;およびモリブデンのうち一つもしくは複数またはいずれかを含まない。
【0059】
特定の実施形態では、組成物は、オリゴ糖、多糖、および炭水化物;オリゴペプチドもしくはポリペプチドまたはタンパク質;脂質;小鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、および/もしくは長鎖脂肪酸;ならびに/または一つもしくは複数の上述の栄養素を含有する食品から選択される成分のうち一つまたは複数を含有しない。
【0060】
一実施形態では、HPO 、HPO 2-、およびPO 3-などのリン酸イオンは、本発明の組成物を緩衝するために使用される。一実施形態では、治療用組成物は、HCO またはCO 2-を緩衝液として使用する。別の実施形態では、治療用組成物は、HCO またはCO 2-を緩衝液として使用しない。
【0061】
さらに別の実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、約2.0から約8.5のpHを有する。例えば、組成物のpHは、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、または8.5でありうる。
【0062】
特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物のアミノ酸は、遊離アミノ酸のプロドラッグであってもよい。用語「プロドラッグ」とは、切断可能な基を有し、かつ加溶媒分解によってまたは生理学的条件下で、in vivoで医薬的に活性である本明細書に記載される化合物となってゆく、化合物を指す。
【0063】
特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物のアミノ酸は、アミノ酸の塩(すなわちアミノ酸塩)であってもよい。アミノ酸は、カチオンを有する塩形態(例えば、溶液中の負電荷の側鎖を有するアミノ酸の塩(例えばグルタミン酸塩、アスパラギン酸塩)、アニオンを有する塩形態(例えば、溶液中の正電荷の側鎖を有するアミノ酸の塩(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン))、および無機化合物を有する塩形態でありうる。例示的なアミノ酸塩は、参照により本明細書に組み込まれるFleck M and Petrosyan AM,Salts of Amino Acids,1st Ed;Springer International Publishing,2014に列挙されている。
【0064】
特定の実施形態では、本組成物は、水をさらに含む。
【0065】
特定の実施形態では、組成物は緩衝剤をさらに含む。例示的な緩衝剤としては、クエン酸緩衝溶液、酢酸緩衝溶液、リン酸緩衝溶液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D-グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、リン酸水素カルシウム、リン酸、リン酸三カルシウム、水酸化リン酸カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、リン酸二カリウム、リン酸一カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、パイロジェン不含水、等張生理食塩水、リンゲル溶液、エチルアルコール、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0066】
本明細書に使用される際に、用語「塩」は、任意のおよび全ての塩を指し、医薬的に許容可能な塩を包含する。
【0067】
用語「担体」は、本開示の組成物と共に投与される任意の希釈剤、アジュバント、賦形剤、または媒体を指しうる。適した医薬担体の例は、参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Essentials of Pharmaceuticals,21st ed.,Ed.Felton,2012に記載されている。
【0068】
例示的な希釈剤としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム ラクトース、スクロース、セルロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、トウモロコシデンプン、粉末糖、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0069】
提供される医薬組成物の製造に使用される医薬的に許容可能な賦形剤としては、不活性な希釈剤、分散剤および/もしくは造粒剤、表面活性剤および/もしくは乳化剤、崩壊剤、結合剤、防腐剤、緩衝剤、潤滑剤、ならびに/または油が挙げられる。ココアバターおよび座薬ワックス、着色剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、および芳香剤などの賦形剤も、組成物中に存在しうる。有効量を達成するために必要なアミノ酸を含む組成物の正確な量は、対象に応じて、例えば、対象の種、年齢、および全身状態、副作用または障害の重症度、具体的な化合物の独自性、投与モードなどに応じて異なるものとなる。有効量は、単回用量(例えば単回経口用量)または複数回用量(例えば複数回経口用量)に含まれうる。特定の実施形態では、複数回用量が対象に投与されるかまたは組織もしくは細胞に適用される場合、複数回用量のうち任意の2回用量は、異なるかまたは実質的に同じ量の本明細書に記載される化合物を含む。特定の実施形態では、複数回用量が対象に投与されるかまたは組織もしくは細胞に適用される場合、複数回用量を対象に投与するかまたは複数回用量を組織もしくは細胞に適用する頻度は、1日3回用量、1日2回用量、1日1回用量、隔日1回用量、3日に1回用量、毎週1回用量、2週間に1回用量、3週間に1回用量、または4週間に1回用量である。特定の実施形態では、複数回用量を対象に投与するかまたは複数回用量を組織もしくは細胞に適用する頻度は、1日1回用量である。特定の実施形態では、複数回用量を対象に投与するかまたは複数回用量を組織もしくは細胞に適用する頻度は、1日2回用量である。特定の実施形態では、複数回用量を対象に投与するかまたは複数回用量を組織もしくは細胞に適用する頻度は、1日3回である。特定の実施形態では、複数回用量が対象に投与されるかまたは組織もしくは細胞に適用される場合、複数回用量投与のうち第一回の用量投与と最終回の用量投与の間の持続期間は、1日、2日、4日、1週間、2週間、3週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、7年間、10年間、15年間、20年間、または対象、組織、もしくは細胞の寿命期間である。特定の実施形態では、複数回用量投与のうち第一回の用量投与と最終回の用量投与との間の持続期間は、3ヶ月、6ヶ月、または1年である。特定の実施形態では、複数回用量投与のうち第一回の用量投与と最終回の用量投与との間の持続時間は、対象、組織、または細胞の寿命期間である。特定の実施形態では、本明細書に記載される用量(例えば、単回用量、または複数回用量のうちの任意の用量)は、本明細書に記載されるアミノ酸を含む組成物を、合わせて0.1pgと1pgとの間で、0.001mgと0.01mgとの間で、0.01mgと0.1mgとの間で、0.1mgと1mgとの間で、1mgと3mgとの間で、3mgと10mgとの間で、10mgと30mgとの間で、30mgと100mgとの間で、100mgと300mgとの間で、300mgと1,000mgとの間で、または1gと10gとの間で、独立して含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される用量は、本明細書に記載されるアミノ酸を含む組成物を、合わせて1mgと3mgとの間で独立して含む。特定の実施形態では、本明細書に記述される用量は、本明細書に記載されるアミノ酸を含む組成物を、合わせて3mgと10mgとの間で独立して含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される用量は、本明細書に記載されるアミノ酸を含む組成物を、合わせて10mgと30mgとの間で独立して含む。特定の実施形態では、本明細書に記述される用量は、本明細書に記載されるアミノ酸を含む組成物を、合わせて30mgと100mgとの間で独立して含む。
【0070】
本明細書に記載される用量範囲は、提供される医薬組成物の成人への投与に関するガイダンスを提供する。投与される量、例えば、子どもまたは青年に投与される量は、医療実践者または当業者によって決定することができ、成人に投与されるものよりも低いかまたはそれと同じとすることができる。さらなる実施形態では、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物は、単一単位用量の形態である。本明細書で使用される際の「単一単位用量」は、本明細書で開示される組成物を単一用量の再構成および/または投与に適した量で容器中に含むことを意味し、その場合、単一用量の再構成および投与に適した量とは、治療有効量である。単一単位用量は、典型的にはバイアルの形態であるが、アンプル、シリンジ(例えばプレフィルドシリンジ)、コバイアル、カートリッジなど、滅菌環境を維持することができる任意の適した容器でありうる。
【0071】
組成物は、例えば、併用療法として有用であり得る、一つまたは複数の追加的な医薬剤または治療剤と同時に、その前に、またはその後に投与することができる。医薬剤には治療的に活性な薬剤が含まれる。医薬剤には予防的に活性な薬剤も含まれる。医薬剤としては、薬物化合物などの小さな有機分子(例えば、連邦規制基準(CFR)に示されたような米国食品医薬局によりヒトおよび獣医学での使用を認可された化合物)、ペプチド、タンパク質、炭水化物、単糖、オリゴ糖、多糖、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成のポリペプチドまたはタンパク質、タンパク質に連結された小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸、DNA、RNA、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、脂質、ホルモン、ビタミン、および細胞が挙げられる。特定の実施形態では、追加的な医薬剤は、疾患(例えば、増殖性疾患、がん)を治療および/または予防するために有用な医薬剤である。特定の実施形態では、追加的な治療剤は、がんを治療するために有用な薬剤である。それぞれの追加的な医薬剤は、その医薬剤について決定された用量および/または時間スケジュールで投与されうる。追加的な医薬剤は、共に互いと、および/または本明細書に記載される化合物もしくは組成物と共に、単回投与で、または異なる用量で別々に、投与されうる。レジメンにて採用される具体的な組合せは、本明細書に記載される化合物と、追加的な医薬剤ならびに/または達成される所望の治療効果および/もしくは予防効果との適合性を考慮するものとなる。一般に、組合せの追加的な医薬剤は、それらが個別に利用されるレベルを超えないレベルで利用されることが期待される。いくつかの実施形態では、組合せで利用されるレベルは、個別に利用されるものよりも低いものとなる。特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物または医薬組成物は、外科手術、放射線療法、移植(例えば幹細胞移植、骨髄移植)、免疫療法、および化学療法を含むがこれに限定されない抗がん療法と組み合わせて投与することができる。
【0072】
また、本開示により包含されるのは、キット(例えば医薬品パック)である。提供されるキットは、本明細書に記載される医薬組成物または化合物、ならびに容器(例えばバイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、および/もしくはディスペンサーパッケージ、または他の適した容器)を含みうる。いくつかの実施形態では、提供されるキットは、本明細書に記載される医薬組成物または化合物の希釈または懸濁のための医薬賦形剤を含む第二の容器を任意選択的にさらに含みうる。いくつかの実施形態では、第一の容器および第二の容器に提供される本明細書に記載の医薬組成物または化合物は、一つの単位剤形を形成するために組み合わされる。特定の実施形態では、本明細書に記載されるキットは、キットを使用するための指示をさらに含む。
【0073】
<治療方法>
本明細書に提供されるのは、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載の組成物を投与することを含む、がんまたは腫瘍を治療する方法である。例えば、組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含みうる。
【0074】
特定の実施形態では、一つまたは複数の遊離アミノ酸は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンを含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる。他の実施形態では、一つまたは複数の遊離アミノ酸は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、およびグリシンを含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる。
【0075】
他の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸を含まない。
【0076】
対象は、腫瘍細胞および/またはがん細胞の成長を阻害することを必要とする患者でありうる。対象は、例えばヒトを含む、任意の動物とすることができる。ヒトに加えて、動物は、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、イヌ、およびネコなどの哺乳類であってもよい。動物はまた、例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、または魚であってもよい。好ましい態様では、対象はヒトである。
【0077】
「投与する」、「投与すること」、または「投与」という用語は、本明細書に記載される化合物またはその組成物を、対象の中または上に、移植すること、吸収させること、摂取させること、注射すること、吸入させること、またはその他導入することを指す。
【0078】
本明細書に使用される際に、「治療有効量」という語句は、以下に限定されないが本明細書に開示、記載、または例示される生物学的結果または治療結果など、具体的な生物学的結果または治療結果を達成するのに有効な、本明細書に記載されるような組成物の量を指す。治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに組成物が対象に所望の応答を引き起こす能力などの因子に従って、変化することがある。当業者によって理解されるものとなるように、有効な具体的な薬剤または組成物の絶対量は、所望の生物学的または薬理学的なエンドポイント、送達される薬剤、標的組織などの因子に応じて、変化しうる。当業者は、様々な実施形態で、「有効量」が細胞と接触されうるか、または単一用量でもしくは複数回用量の使用を介して対象に投与されうることを、さらに理解するものとなる。治療有効量の例示的な指標としては、例えば、患者の健康な状態の向上、腫瘍負荷の減少、がんの成長の停止もしくは遅延、および/または体内の他の場所へのがん細胞の転移の欠如が挙げられる。
【0079】
いくつかの実施形態では、対象はまた、放射線照射、化学療法、プロトン療法、細胞障害剤、またはそれらの組合せを受ける。
【0080】
一実施形態では、本発明は、腫瘍および/またはがんを有する患者において化学療法および/または放射線療法の治療アウトカムを改善する方法を提供し、この方法は、本発明による治療組成物を投与することを含む。本発明はまた、腫瘍および/またはがんを有する患者において、例えば化学療法および/または放射線療法などの後の、維持療法または支持療法を提供する。
【0081】
一実施形態では、対象または患者は、本発明の組成物による治療の前に放射線照射に供されている。いくつかの実施形態では、対象は、例えば、宇宙空間への移動中に、低用量の放射線に曝露された。いくつかの実施形態では、対象は、高用量の放射線に曝露された。いくつかの実施形態では、複数の対象が、放射線漏れなどの偶発的な曝露から、または兵器による攻撃などの意図的な曝露から、放射線に曝露された。いくつかの実施形態では、対象は、予防的な医療処置として放射線に曝露された。いくつかの実施形態では、対象は、腫瘍またはがんを形成し易い傾向がある。
【0082】
別の実施形態では、対象または患者は、本発明の組成物を用いた治療後に放射線照射に供されるものとなる。放射線は、本発明の組成物を用いた細胞の治療前または後に、例えば、1分間、5分間、30分間、1時間、6時間、12時間、1日間、5日間、30日間、3ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間、もしくは3年間またはそれ以上、がん細胞に投与されうる。放射線の用量は、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、85、90、95、100、120、または150Gyでありうる。
【0083】
さらに、本発明の組成物は、化学療法を受けている対象におけるがんの治療に使用することができる。特定の実施形態では、本発明の組成物は、一つまたは複数の追加的な治療的に活性な薬剤と同時に、その前に、またはその後に、投与されてもよい。特定の実施形態では、追加的な治療は抗がん剤である。抗がん剤は、生物療法抗がん剤ならびに化学療法剤を包含する。例示的な生物療法抗がん剤としては、以下に限定されないが、インターフェロン、サイトカイン(例えば腫瘍壊死因子、インターフェロンα、インターフェロンγ)、ワクチン、造血成長因子、モノクローナル血清療法、免疫賦活剤および/または免疫調節剤(例えばIL-1、2、4、6、または12)、免疫細胞成長因子(例えばGM-CSF)、ならびに抗体(例えばハーセプチン(トラスツズマブ)、T-DM1、アバスチン(ベバシズマブ)、アービタックス(セツキシマブ)、ベクティビックス(パニツムマブ)、リツキサン(リツキシマブ)、ベキサール(トシツモモマブ))が挙げられる。例示的な化学療法剤としては、以下に限定されないが、抗エストロゲン類(例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、およびメゲストロール)、LHRHアゴニスト類(例えばゴスクルクリン(goscrclin)およびロイプロリド)、抗アンドロゲン類(例えばフルタミドおよびビカルタミド)、光線力学的療法(例えばベルトポルフィン(vertoporfin)(BPD-MA)、フタロシアニン、光増感剤Pc4、およびジメトキシ-ヒポクレリンA(2BA-2-DMHA))、ナイトロジェンマスタード類(例えばシクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、エストラムスチン、およびメルファラン)、ニトロソウレア類(例えばカルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU))、スルホン酸アルキル類(例えばブスルファンおよびトレオサルファン)、トリアゼン類(例えばダカルバジン、テモゾロミド)、白金含有化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、ビンカアルカロイド類(例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビン)、タキソイド類(例えばパクリタキセルまたはパクリタキセル等価物、例えばナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル(アブラキサン)、ドコサヘキサエン酸結合パクリタキセル(DHA-パクリタキセル、タキソプレキシン)、ポリグルタミン酸結合パクリタキセル(PG-パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメックス、CT-2103、XYOTAX)、腫瘍活性型プロドラッグ(TAP)ANG1005(3分子のパクリタキセルに結合されたアンジオペップ-2)、パクリタキセル-EC-1(erbB2認識ペプチドEC-1に結合されたパクリタキセル)、およびグルコースコンジュゲートパクリタキセル、例えば2’-パクリタキセルメチル2-グルコピラノシルスクシネート;ドセタキセル、タキソール)、エピポドフィリン類(例えばエトポシド、エトポシドリン酸、テニポシド、トポテカン、9-アミノカンプトテシン、カンプトイリノテカン、イリノテカン、クリスナトール、マイトマイシンC)、代謝拮抗剤、DHFR阻害剤(例えばメトトレキサート、ジクロロメトトレキサート、トリメトレキサート、エダトレキサート)、IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えばミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン、およびEICAR)、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤(例えばヒドロキシウレアおよびデフェロキサミン)、ウラシル類似体(例えば5-フルオロウラシル(5-FU)、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラチトレキセド(ratitrexed)、テガフール-ウラシル、カペシタビン)、シトシン類似体(例えばシタラビン(ara C)、シトシンアラビノシド、およびフルダラビン)、プリン類似体(例えばメルカプトプリンおよびチオグアニン)、ビタミンD3類似体(例えばEB 1089、CB1093、およびKH1060)、イソプレニル化阻害剤(例えばロバスタチン)、ドパミン系神経毒(例えばl-メチル-4-フェニルピリジニウムイオン)、細胞周期阻害剤(例えばスタウロスポリン)、アクチノマイシン(例えばアクチノマイシンD、ダクチノマイシン)、ブレオマイシン(例えばブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ペプロマイシン)、アントラサイクリン(例えばダウノルビシン、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン)、MDR阻害剤(例えばベラパミル)、Ca2+ATPase阻害剤(例えばタプシガルギン)、イマチニブ、サリドマイド、レナリドミド、チロシンキナーゼ阻害剤(例えばアキシチニブ(AG013736)、ボスチニブ(SKI-606)、セジラニブ(レセンチンTM、AZD2171)、ダサチニブ(スプリセル(登録商標)、BMS-354825)、エルロチニブ(タルセバ(登録商標))、ゲフィチニブ(イレッサ(登録商標))、イマチニブ(グリベック(登録商標)、CGP57148B、STI-571)、ラパチニブ(タイケルブ(登録商標)、タイベルブ(登録商標))、レスタウルチニブ(CEP-701)、ネラチニブ(HKI-272)、ニロチニブ(タシグナ(登録商標))、セマキサニブ(セマキシニブ、SU5416)、スニチニブ(スーテント(登録商標)、SU11248)、トセラニブ(パラディア(登録商標))、バンデタニブ(ザクティマ(登録商標)、ZD6474)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、セツキシマブ(アービタックス(登録商標))、パニツムマブ(ベクティビックス(登録商標))、ラニビズマブ(ルセンティス(登録商標))、ニロチニブ(タシグナ(登録商標))、ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標))、エベロリムス(アフィニトール(登録商標))、アレムツズマブ(キャンパス(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ(登録商標))、テムシロリムス(トリセル(登録商標))、ENMD-2076、PCI-32765、AC220、ドビチニブ乳酸塩(TKI258、CHIR-258)、BIBW 2992(トボックTM)、SGX523、PF-04217903、PF-02341066、PF-299804、BMS-777607、ABT-869、MP470、BIBF 1120(バルガテフ(登録商標))、AP24534、JNJ-26483327、MGCD265、DCC-2036、BMS-690154、CEP-11981、チボザニブ(AV-951)、OSI-930、MM-121、XL-184、XL-647、および/もしくはXL228)、プロテアソーム阻害剤(例えばボルテゾミブ(ベルケード))、mTOR阻害剤(例えばラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD-001)、リダフォロリムス、AP23573(アリアド)、AZD8055(アストラゼネカ)、BEZ235(ノバルティス)、BGT226(ノバルティス)、XL765(サノフィアベンティス)、PF-4691502(ファイザー)、GDC0980(ジェネンテック)、SF1126(セマフォー)およびOSI-027(OSI))、オブリメルセン、ゲムシタビン、カルミノマイシン、ロイコボリン、ペメトレキセド、シクロホスファミド、ダカルバジン、プロカルバジン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、カンパテシン(campathecin)、プリカマイシン、アスパラギナーゼ、アミノプテリン、メトプテリン、ポルフィロマイシン、メルファラン、ロイロシジン、ロイロシン、クロラムブシル、トラベクテジン、プロカルバジン、ディスコデルモライド、カルミノマイシン、アミノプテリン、ヘキサメチルメラミン、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、トポイソメラーゼIもしくはトポイソメラーゼIIの阻害剤であって、トポイソメラーゼI阻害剤は例えばイリノテカン(CPT-II)、アミノカンプトテシン、カンプトテシン、DX-8951f、およびトポテカンなどであり、トポイソメラーゼII阻害剤としてはエトポシド(VP-16)、およびテニポシド(VM-26)が挙げられる)、チオテパ、ビスルファン(bysulfan)、オキシプラチン(oxyplatin)、ロイコウリン(leucourin)(FU)、ビンブラスチン、エポチロン、ペグ化アドリアマイシン、ビンデシン、ネオカルジノスタチン、シスプラチナム、5-フルオロウリジン、イブルチニブ、およびカリケアマイシン、ならびに/またはそれらの組合せが挙げられる。
【0084】
特定の態様では、本明細書に開示される方法および組成物によって治療されるがんまたは腫瘍は、アノクタミン(ANO)を発現する。特定の実施形態では、アノクタミン(ANO)は、アノクタミン-1(ANO1)である。特定の実施形態では、アノクタミンはアノクタミン-2(ANO2)である。特定の実施形態では、アノクタミンはアノクタミン-3(ANO3)である。特定の実施形態では、アノクタミンはアノクタミン-4(ANO4)である。特定の実施形態では、アノクタミンはアノクタミン-5(ANO5)である。特定の実施形態では、アノクタミンはアノクタミン-6(ANO6)である。特定の実施形態では、アノクタミンはアノクタミン-7(ANO7)である。特定の実施形態では、アノクタミンはアノクタミン-8(ANO8)である。特定の実施形態では、アノクタミンはアノクタミン-9(ANO9)である。特定の実施形態では、アノクタミンはアノクタミン-10(ANO 10)である。特定の実施形態では、がんまたは腫瘍は、1種を超えるアノクタミンファミリーメンバー(例えばANO1およびANO2)を発現する。
【0085】
特定の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物によって治療されるがんまたは腫瘍は、脳がん、上咽頭癌、乳がん、肺がん、造血がん(例えば白血病、リンパ腫、骨髄腫)、結腸がん、肝がん、胃がん、食道がん、皮膚がん、および膀胱がんである。
【0086】
一実施形態では、本発明は、対象において脳がんまたは脳腫瘍を治療するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、ANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。本発明は、対象において脳腫瘍細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、脳腫瘍細胞におけるANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。
【0087】
一実施形態では、本発明は、対象において上咽頭癌を治療するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、ANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。本発明は、対象において上咽頭癌細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、上咽頭癌細胞におけるANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。
【0088】
一実施形態では、本発明は、対象において乳がんを治療するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、ANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。本発明は、対象において乳がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、乳がん細胞におけるANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。
【0089】
一実施形態では、本発明は、対象において肺がんを治療するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、ANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。本発明は、対象において肺がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、肺がん細胞におけるANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。
【0090】
一実施形態では、本発明は、対象において白血病を治療するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、ANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。本発明は、対象において白血病の成長および/または増殖を阻害するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、白血病におけるANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。
【0091】
一実施形態では、本発明は、対象においてリンパ腫を治療するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、ANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。本発明は、対象においてリンパ腫の成長および/または増殖を阻害するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、リンパ腫におけるANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。
【0092】
一実施形態では、本発明は、対象において結腸がんを治療するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、ANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。本発明は、対象において結腸がんの成長および/または増殖を阻害するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、結腸がんにおけるANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。
【0093】
一実施形態では、本発明は、対象において肝がんを治療するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、ANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。本発明は、対象において肝がんの成長および/または増殖を阻害するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、肝がんにおけるANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。
【0094】
一実施形態では、本発明は、対象において胃がんを治療するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、ANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。本発明は、対象において胃がんの成長および/または増殖を阻害するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、胃がんにおけるANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。
【0095】
一実施形態では、本発明は、対象において食道がんを治療するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、ANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。本発明は、対象において食道がんの成長および/または増殖を阻害するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、食道がんにおけるANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。
【0096】
一実施形態では、本発明は、対象において膀胱がんを治療するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、ANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。本発明は、対象において膀胱がんの成長および/または増殖を阻害するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、膀胱がんにおけるANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。
【0097】
一実施形態では、本発明は、対象において皮膚がんを治療するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、ANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。本発明は、対象において皮膚がんの成長および/または増殖を阻害するための組成物および方法を提供し、ここで組成物は、皮膚がんにおけるANOの、好ましくはANO1の発現レベルを抑制する。
【0098】
本発明の方法に従って治療可能ながん、がん細胞、および腫瘍は、例として、原発性腫瘍および続発性腫瘍または転移性腫瘍(肺、乳房、または前立腺から転移したものを含む)、ならびに再発性腫瘍または難治性腫瘍を含みうる。再発性腫瘍は、そのような薬剤による治療によって阻害されているように見えるが、治療を中止した後に最大5年まで、場合によっては最大10年までまたはそれよりも長く再発する、腫瘍を包含する。難治性腫瘍は、特定の腫瘍タイプに用いる一つまたは複数の従来の療法による治療に対し応答できないかまたは抵抗性である、腫瘍である。難治性腫瘍としては、ホルモン不応性であるもの(例えば、アンドロゲン非依存性前立腺がん;またはタモキシフェンに不応性である乳がんなどのホルモン不応性乳がん);一つまたは複数の化学療法剤による治療に対し不応性であるもの;放射線照射に対し不応性であるもの;ならびに化学療法と放射線照射との組合せ、化学療法とホルモン療法との組合せ、およびホルモン療法と放射線照射との組合せに対し不応性であるものが挙げられる。特定の実施形態では、治療は、腫瘍の転移および/または他のがん細胞の遊走を阻害する。
【0099】
一実施形態では、本明細書に提供される治療方法は、対象において腫瘍発生または発癌を予防する。本治療方法は、対象において腫瘍形成を予防する方法をさらに提供し、この方法は、そのような予防を必要とする対象において有効量の組成物を投与することによって行われる。
【0100】
本発明の方法に従う、治療可能ながん、がん細胞、および腫瘍の代表的なタイプとしては、癌腫、肉腫、良性および悪性の腫瘍、ならびに悪性病変が挙げられる。一般的に、用語「がん」は、制御不能に増殖し、正常な身体組織を浸潤および破壊する能力を有する異常な細胞の発達によって特徴付けられる、疾患のクラスを指す。例えば、Stedman’s Medical Dictionary,25th ed.;Hensyl ed.;Williams&Wilkins:Philadelphia,1990を参照されたい。成人の腫瘍/がんおよび小児の腫瘍/がんが含まれる。がんは、血管形成されているか、またはまだ実質的に血管形成されていないか、または非血管形成性である、腫瘍でありうる。それゆえに、がんは、非固形腫瘍、例えば、白血病およびリンパ腫(ホジキンおよび非ホジキン)などの造血がん、または固形腫瘍によって特徴付けられることがある。
【0101】
本発明によって治療することができる例示的ながんとしては、以下に限定されないが、聴神経腫;腺癌;副腎がん;肛門がん;血管肉腫(例えばリンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫);虫垂がん;良性単クローン性ガンマグロブリン異常症;胆管がん(例えば胆管癌);膀胱がん;乳がん(例えば乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳腺がん、乳房の髄様癌);脳がん(例えば髄膜腫、神経膠芽腫、神経膠腫(例えば星状細胞腫、乏突起神経膠腫)、髄芽腫);気管支がん;カルチノイド腫瘍;子宮頸がん(例えば子宮頸腺癌);絨毛癌;脊索腫;頭蓋咽頭腫;結腸直腸がん(例えば結腸がん、直腸がん、結腸直腸腺癌);結合組織がん;上皮癌;上衣腫;内皮肉腫(例えばカポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫);子宮内膜がん(例えば子宮がん、子宮肉腫);食道がん(例えば食道の腺癌、バレット腺癌);ユーイング肉腫;眼がん(例えば眼球内黒色腫、網膜眼細胞腫);家族性好酸球増加症;胆嚢がん;胃がん(例えば胃腺癌);消化管間質性腫瘍(GIST);胚細胞がん;頭頸部がん(例えば頭頸部扁平上皮癌、口腔がん(例えば口腔扁平上皮癌)、咽喉がん(例えば喉頭がん、咽頭がん、上咽頭がん、中咽頭がん));造血がん(例えば白血病、例えば急性リンパ球性白血病(ALL)(例えばB細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えばB細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄球性白血病(CML)(例えばB細胞CML、T細胞CML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)(例えばB細胞CLL、T細胞CLL)など);リンパ腫、例えばホジキンリンパ腫(HL)(例えばB細胞HL、T細胞HL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えばB細胞NHL、例えばびまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)(例えばびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば粘液関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫など)、縦隔原発B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわちワルデンストレームマクログロブリン血症)、有毛細胞白血病(HCL)、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫および原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫;ならびにT細胞NHL、例えば前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例えば菌状息肉症、セザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、および未分化大細胞リンパ腫);上記の一つまたは複数の白血病/リンパ腫の混合物;ならびに多発性骨髄腫(MM))、重鎖病(例えばアルファ鎖病、ガンマ鎖病、ミュー鎖病);血管芽腫;下咽頭がん;炎症性筋線維芽腫瘍;免疫細胞性アミロイド症;腎がん(例えばウィルムス腫瘍としても知られる腎芽腫、腎細胞癌);肝がん(例えば肝細胞がん(HCC)、悪性肝細胞腫);肺がん(例えば気管支原性癌、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺の腺癌);平滑筋肉腫(LMS);マスト細胞症(例えば全身性マスト細胞症);筋肉がん;骨髄異形成症候群(MDS);中皮腫;骨髄増殖性疾患(MPD)(例えば真性多血症(PV)、本態性血小板増多症(ET)、骨髄線維症(MF)としても知られる原発性骨髄線維症(AMM)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増加症候群(HES));神経芽腫;神経線維腫(例えば神経線維腫症(NF)1型または2型、神経鞘腫症);神経内分泌がん(例えば膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍);骨肉腫(例えば骨がん);卵巣がん(例えば嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌);乳頭腺癌;膵がん(例えば膵臓腺癌、膵管内乳頭粘液性新生物(IPMN)、島細胞腫瘍);陰茎がん(例えば陰茎および陰嚢のページェット病);松果体腫;原始神経外胚葉性腫瘍(PNT);形質細胞新生物;腫瘍随伴症候群;上皮内細胞新生物;前立腺がん(例えば前立腺腺癌);直腸がん;横紋筋肉腫;唾液腺がん;皮膚がん(例えば扁平上皮癌(SCC)、角化棘細胞腫(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC));小腸がん(例えば虫垂がん);軟組織肉腫(例えば悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫);皮脂腺癌;小腸がん;汗腺癌;滑膜腫;精巣がん(例えば精上皮腫、胚性精巣癌);甲状腺がん(例えば甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、髄様甲状腺がん);尿道がん;膣がん;および外陰がん(例えば外陰部のページェット病)、骨原性肉腫、内皮肉腫、食道がん、鼻がん、髄様癌、胆管癌、腸管がん、ならびに血管芽腫が挙げられる。好適な実施形態では、がんまたは腫瘍は、脳腫瘍、上咽頭癌、乳がん、肺がん、白血病、リンパ腫、結腸がん、肝がん、胃がん、食道がん、皮膚がん、および膀胱がんである。
【0102】
治療有効量は、規則的なスケジュール、すなわち毎日より少ない、毎日、毎週、毎月、もしくは毎年を基本に、または様々な投与日、投与週、投与月などを伴う不規則なスケジュールで、提供されうる。代替的には、投与される治療有効量は変わりうる。一実施形態では、第一回の用量投与に用いる治療有効量は、以降の用量投与のうちの1回または複数回に用いる治療有効量よりも高いことがある。特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、連続的な毎日投与スケジュールで投与される。
【0103】
別の実施形態では、第一回の用量投与に用いる治療有効量は、以降の用量投与のうちの1回または複数回に用いる治療有効量よりも低いことがある。
【0104】
等しい投薬量が、様々な期間にわたって投与されてもよく、そのような期間としては、例えば、約2時間毎、約6時間毎、約8時間毎、約12時間毎、約24時間毎、約36時間毎、約48時間、約72時間、ほぼ毎週、約2週間毎、約3週間毎、ほぼ毎月、約2ヶ月毎、約3ヶ月毎、および約6ヶ月毎が挙げられる。完了した抗がん療法過程に対応する投薬の回数および頻度は、医療実践者の判断に従って決定されるものとなる。
【0105】
本明細書に提供されるいかなる方法も、がん、がん細胞、または腫瘍を任意の発達段階で治療するために使用されうる。そのような段階には、進行期のがん、局所進行期のがん、早期のがん、進行性がん、寛解中のがん、再発がん、および他の治療(FDA認可治療など)に不応性であることが実証されたがんが含まれる。したがって、療法は、「第一選択」、すなわち、事前に抗がん治療レジメンを受けていない患者における最初の治療として、単独でもしくは他の治療と組み合わせて;または「第二選択」であって、事前に抗がん治療を受けた患者における治療として、単独でもしくは他の治療と組み合わせて;または「第三選択」、「第四選択」などの治療として、単独でもしくは他の治療と組み合わせていてもよい。療法は、部分的に成功している治療を以前に受けたが特定の治療に対し不耐性である患者にも与えられることがある。療法はまた、アジュバント治療として、すなわち、現在検出しうる疾患を持たないかまたは腫瘍の外科的除去後の患者のがんの再発を予防するために、施されることがある。
【0106】
一実施形態では、組成物は、経口で、全身的に、または局所的に投与されてもよい。他の実施形態では、組成物は、ex vivoまたは in vitroでがん細胞の成長、増殖、および/または発達を阻害するために使用される。治療用組成物は、経腸経路を介して投与することも、非経口的にまたは局所的にまたは吸入によって投与することもできる。
【0107】
一実施形態では、本発明は、本発明による組成物を投与することによって対象において発癌を阻害するための方法を提供する。発癌は、正常な細胞ががん細胞になってゆく際に起こる一連のステップである。
【0108】
一実施形態では、本発明は、対象において肺がんを治療するための組成物および方法を提供する。本発明は、対象において肺がん細胞の成長を阻害するための組成物および方法を提供する。肺がんとしては、例えば、小細胞肺がん、肺腺癌、扁平上皮肺癌、大細胞肺癌、カルチノイド、腺様嚢胞癌、粘表皮癌、悪性混合腫瘍などが挙げられる。それらの中でも、本発明の肺がんを治療するための組成物が好適な効果を示す例としては、小細胞肺がん、肺腺癌、扁平上皮肺癌、大細胞肺癌などが挙げられ、特に好適なものは小細胞肺がんである。
【0109】
一実施形態では、本発明は、対象において乳がんを治療するための組成物および方法を提供する。本発明はまた、対象において乳がん細胞の成長を阻害するための組成物および方法を提供する。
【0110】
一実施形態では、本発明は、対象において結腸がんを治療するための組成物および方法を提供する。本発明はまた、対象において結腸がん細胞の成長を阻害するための組成物および方法を提供する。
【0111】
一実施形態では、本発明は、特に絨毛領域および刷子縁における、および/または小腸での吸収能力の変更と関連のある、胃腸がんを治療するための医薬組成物および方法を提供する。
【0112】
他の実施形態では、本明細書に記載される組成物および方法は、皮膚がんに有用である。この実施形態では、本発明の方法は一般に、そのような治療を必要とする患者の皮膚(例えば表皮)に組成物を局所適用するステップを含み、その場合、治療有効量のそのような組成物が適用される。
【0113】
本明細書に使用される際の用語「局所適用」とは、本発明の組成物を表皮組織の表面に適用または広げることを意味する。
【0114】
<がん細胞の成長を阻害する方法>
また、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組成物にがん細胞を曝露することを含む、がん細胞の成長を阻害する方法である。例えば、組成物は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含みうる。
【0115】
特定の実施形態では、一つまたは複数の遊離アミノ酸は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンを含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる。特定の実施形態では、一つまたは複数の遊離アミノ酸は、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、およびグリシンを含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる。
【0116】
他の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸を含まないか、または無視できる量のそれを含むに過ぎない。特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、遊離アミノ酸であるグルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アラニン、およびイソロイシンを含まないか、または無視できる量のそれらを含むに過ぎない。
【0117】
一実施形態では、本方法は、がん細胞の成長の阻害および/またはがん細胞の死につながる。一実施形態では、本方法は、成長、増殖、および/または発達を阻害するために、培養下のがん細胞に本発明による組成物を導入することを含む。そのため、本組成物は、様々な腫瘍およびがんを治療するために使用されうる。
【0118】
本組成物が培養下またはin situでがん細胞に適用される場合、例えば細胞レベルおよび分子レベルで、これらの細胞に変化が起こる。結果として、細胞活性は変化しうる。
【0119】
がん細胞の供給源としての役割を果たしうるがんの例としては、固形腫瘍、例えば、聴神経腫;腺癌;副腎がん;肛門がん;血管肉腫(例えばリンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫);虫垂がん;良性単クローン性ガンマグロブリン異常症;胆道がん(例えば胆管癌);膀胱がん;乳がん(例えば乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳腺がん、乳房の髄様癌);脳がん(例えば髄膜腫、神経膠芽腫、神経膠腫(例えば星状細胞腫、乏突起神経膠腫)、髄芽腫);気管支がん;カルチノイド腫瘍;子宮頸がん(例えば子宮頸腺癌);絨毛癌;脊索腫;頭蓋咽頭腫;結腸直腸がん(例えば結腸がん、直腸がん、結腸直腸腺癌);結合組織がん;上皮癌;上衣腫;内皮肉腫(例えばカポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫);子宮内膜がん(例えば子宮がん、子宮肉腫);食道がん(例えば食道の腺癌、バレット腺癌);ユーイング肉腫;眼がん(例えば眼球内黒色腫、網膜眼細胞腫);家族性好酸球増加症;胆嚢がん;胃がん(例えば胃腺癌);消化管間質性腫瘍(GIST);胚細胞がん;頭頸部がん(例えば頭頸部扁平上皮癌、口腔がん(例えば口腔扁平上皮癌)、咽喉がん(例えば喉頭がん、咽頭がん、上咽頭がん、中咽頭がん));血管芽腫;下咽頭がん;炎症性筋線維芽腫瘍;免疫細胞性アミロイド症;腎がん(例えばウィルムス腫瘍としても知られる腎芽腫、腎細胞癌);肝がん(例えば肝細胞がん(HCC)、悪性肝細胞腫);肺がん(例えば気管支原性癌、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺の腺癌);平滑筋肉腫(LMS);マスト細胞症(例えば全身性マスト細胞症);筋肉がん;骨髄異形成症候群(MDS);中皮腫;神経芽腫;神経線維腫(例えば神経線維腫症(NF)1型または2型、神経鞘腫症);神経内分泌がん(例えば膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍);骨肉腫(例えば骨がん);卵巣がん(例えば嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌);乳頭腺癌;膵がん(例えば膵臓腺癌、膵管内乳頭粘液性新生物(IPMN)、島細胞腫瘍);陰茎がん(例えば陰茎および陰嚢のページェット病);松果体腫;原始神経外胚葉性腫瘍(PNT);形質細胞新生物;腫瘍随伴症候群;上皮内新生物;前立腺がん(例えば前立腺腺癌);直腸がん;横紋筋肉腫;唾液腺がん;皮膚がん(例えば扁平上皮癌(SCC)、角化棘細胞腫(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC));小腸がん(例えば虫垂がん);軟組織肉腫(例えば悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫);皮脂腺癌;小腸がん;汗腺癌;滑膜腫;精巣がん(例えば精上皮腫、胚性精巣癌);甲状腺がん(例えば甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、髄様甲状腺がん);尿道がん;膣がん;外陰がん(例えば外陰部のページェット病);ならびに鼻がんなどに由来するものが挙げられる。
【0120】
がん細胞の供給源としての役割を果たしうる追加的ながんとしては、血液由来のがん、例えば造血がん(例えば白血病、例えば急性前骨髄球性白血病(「APL」)、急性単芽球性白血病、急性赤血球白血球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性未分化性白血病、急性リンパ球性白血病(ALL)(例えばB細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えばB細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄球性白血病(CML)(例えばB細胞CML、T細胞CML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)(例えばB細胞CLL、T細胞CLL)など);リンパ腫、例えばホジキンリンパ腫(HL)(例えばB細胞HL、T細胞HL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えばワルデンストレームマクログロブリン血症、B細胞NHL、例えばびまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)(例えばびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば粘液関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫)、縦隔原発B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわちワルデンストレームマクログロブリン血症)、有毛細胞白血病(HCL)、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、および原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫;ならびにT細胞NHL、例えば前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例えば菌状息肉症、セザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、および未分化大細胞リンパ腫);上記の一つまたは複数の白血病/リンパ腫の混合物;ならびに多発性骨髄腫(MM))、重鎖病(例えばアルファ鎖病、ガンマ鎖病、ミュー鎖病);ならびに骨髄増殖性疾患(MPD)(例えば真性多血症(PV)、本態性血小板増多症(ET)、骨髄線維症(MF)としても知られる原発性骨髄線維症(AMM)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増加症候群(HES))が挙げられる。
【実施例0121】
以下の実施例は、本明細書に開示される実施形態の一部をさらに説明するために提供される。実施例は、開示された実施形態を限定するのではなく例示することが意図されている。
【0122】
<実施例1-放射線はアノカトミン-1(ANO1)発現を増加させる>
図1は、0、0.5、1、3、5、7および9Gyの放射線に曝露した後の、ならびにアミノ酸経口再水和溶液(AA-ORS)の存在下および非存在下で0および5Gyに曝露した後の、アノカトミン-1(ANO1)タンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。
【0123】
図2は、生理食塩水またはAA-ORS溶液の存在下で0または5Gyの放射線へ曝露した後の、小腸の刷子縁膜に沿ったANO1発現に及ぼされる放射腺の効果を例証する。
【0124】
<実施例2-siRNAによるANO1発現の下方制御は、がん細胞の成長を阻害するが、正常細胞を阻害しない>
ANO1は、細胞の形状および体積を調節する能力を有し、細胞の移動および転移に寄与することが知られている。がん細胞に及ぼされるアノクタミン発現の遮断効果を調べるために、siRNAを使用してコロニー形成アッセイを実施する。
【0125】
図3は、クローン形成能アッセイにおける、MCF10A正常乳房細胞およびMDAMB-231乳がん細胞に及ぼされるスクランブル対照siRNAおよびANO1 siRNAの効果を例証する。
【0126】
図4は、クローン形成能アッセイにおける、MDAMB-32乳がん細胞に及ぼされるスクランブル対照siRNAおよびANO1 siRNAの効果をさらに例証する。
【0127】
図5は、クローン形成能アッセイにおける、Caco2腸がん細胞で、および正常腸細胞(CRL-1831)に及ぼされる対照プラスミドベクターpSV caco-2およびANO1 siRNAの効果を例証する。
【0128】
図6は、クローン形成能アッセイにおける、正常肺細胞(WI-38)およびがん肺細胞(HTC171)に及ぼされる対照プラスミドベクター(pSV)およびANO1 siRNAの効果を例証する。
【0129】
クローン形成能アッセイ(細胞株および培養条件)のプロトコールは以下の通りである。以下のヒト細胞株が使用される:HFL-1(ヒト肺線維芽細胞-1)、およびHDFn(ヒト皮膚線維芽細胞);(ATCC;マナッサス、米国)。HFL-1細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)および10mg/mLペニシリン/ストレプトマイシンを補充されたF-12K培地(ハムF-12培地のカイン改変)中、95%のO2および5%のCO2により気相を満たされた加湿インキュベーターにて、37℃で培養された。HDFn細胞は、5ng/mL FGFb、7.5mM L-グルタミン、50mg/mLアスコルビン酸、1mg/mLヒドロコルチゾン、5mg/mLインスリン、および2%FBS(シグマアルドリッチ、セントルイス、ミズーリ州、米国)を補充された線維芽細胞基本培地(ATCC)中で培養される。
【0130】
培養中の細胞濃度は、指数関数的に成長させるように調整される。
【0131】
<プレーティング密度>
細胞を6ウェルの平底培養プレート(Denville Scientific Inc.)に500細胞個/ウェルの密度で播いて、単コロニーを形成させる。
【0132】
<コロニー評価>
14日後、培地を除去し、細胞をPBSでリンスする。コロニーを固定し、50/50メタノール/水に希釈した0.5%クリスタルバイオレット中で30分間染色する。ディッシュを水ですすぎ、室温で乾燥させる。
【0133】
陽性コロニー(>50細胞個/コロニー)をImage Jソフトウェアによって計数し、他の箇所に記載されるように生存率(SF)を計算する。結果は3回の反復に基づく。(Franken NA,Rodermond HM,Stap J,Haveman J,van Bree C.Clonogenic assay of cells in vitro.Nat Protoc.2006;1:2315-2319.doi:10.1038/nprot.2006.339を参照)。クローン形成能アッセイの結果を、図5および図11に図示する。
【0134】
<実施例3-例示的なアミノ酸はANO1の発現を減少させる。>
刷子縁膜の細胞においてANO1タンパク質の発現を減少させる能力について、例示的な20種のアミノ酸全てを評価する。
【0135】
図7は、対照タンパク質、8種のアミノ酸の組合せ(8AA)、5種のアミノ酸の組合せ(5AA)、別の5種のアミノ酸の組合せ(5AA-Ano1)、および7種のアミノ酸の組み合わせ(7AA-Ano1)を用いた処理後の、刷子縁膜の細胞から抽出されたANO1タンパク質のタンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。
【0136】
<実施例4-ANO1の阻害およびがんにおける例示的なアミノ酸の効果>
5Gyの放射線の曝露(および「RR」、「5AA」、「5AA-ANO1」による処理の後にアノカトミン-1(ANO1)タンパク質レベルを調べるための試験を実施した。腸上皮細胞から単離された刷子縁膜上で5AAにより阻害されたano1発現を用いた処理(図12A)。細胞膜上のano1発現を特異的に阻害したアミノ酸である7AA-ANO1を用いた処理により、刷子縁膜のタンパク質レベルがさらに減少した(図12A)。Ussingチャンバーフラックス試験は、ANO1の特異的阻害剤(CaCCinh)が正味のクロライドフラックスを減少させたこと、ならびに膜上のano1発現を減少させた7種のアミノ酸(ANO7AA)が同様に正味のクロライドフラックスを減少させたことを示す(図12Bおよび図12C)。塩素の同位体である36Clを使用して、フラックスを調べた。
【0137】
結腸がん細胞(HT-29)における特定の細胞周期のGl期、S期、およびG2/M期での細胞の停止に及ぼされる、特定のアミノ酸組成物(標準リンゲル溶液(「RR」)、5AA、および7AA)の処理の効果も、試験を介して調べた。結腸がん細胞(HT-29)にて4時間にわたる標準リンゲル溶液(「RR」)、5AA、および7AAの存在下でインキュベートされた細胞を使用して、フローサイトメトリー(FACS)を行った。7AAはG2/M期の細胞を阻害し、それゆえにより多くの細胞数がGl期に停止される(図14A~D)。
【0138】
CDT1、MCM2、p-ERK、カスパーゼ3、サイクリンDI、およびp53の結合に関する、HT-29結腸がん細胞における対照、5AA、および7AAの4時間処理の効果を調べた(図15)。複製開始点認識複合体(ORC)は、細胞周期(1、2)を通じてクロマチンに結合するものと考えられる。複製前複合体(Pre-RC)は、CDT1およびcdc6の複製開始点への結合に始まる有糸分裂期後期/Gl初期に形成され、この結合はヘテロ6量体のMCM2~7複合体の結合を可能にする。MCM複合体は、複製ヘリカーゼと考えられ、pre-RCの形成はクロマチンライセンシングと呼ばれる。図15を参照されたい。
【0139】
4時間処理下での対照および7AA-ANO1によるHT-29結腸がん細胞の処理の効果を、以下のように分析した。組合せで用いられると細胞の刷子縁膜におけるANO1タンパク質のレベルを減少させる上位7種のアミノ酸(7AA-Ano1)は、対照と比較してコロニー形成数を減少させることが示された。細胞を、7AAの存在下で4時間インキュベートし、次いで洗浄し、さらに標準培養培地の存在下で増殖させた。これらの研究は、7AAが腫瘍細胞を阻害することができ、シグナル伝達機構を介して作用しうることを示す(図16Aおよび図16B)。標準リンゲル溶液(RR)および7AAを用いて図16Aについて上記に記載された処理を行うと、コロニー数が減少した(図16B)。
【0140】
当業者は、本発明の好適な実施形態に数多くの変更および修正を行うことができ、そのような変更および修正を本発明の趣旨から逸脱することなく行うことができることを認識するものとなる。したがって、添付された特許請求の範囲は、そのような等価の変形を本発明の真の趣旨および範囲内となるように包含することが意図されている。
【0141】
本文書に引用または記載された各特許、特許出願、および刊行物の開示は、ここに参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
図1図1は、アミノ酸経口再水和溶液(AA-ORS)の存在下および非存在下で0、0.5、1、3、5、7、および9Gyの放射線に曝露した後(左上)、ならびに0および5Gyの放射線に曝露した後(左下)のアノカトミン-1(AN01)タンパク質のレベルのウェスタンブロット分析を示す。右上の図は、処理の存在非存在下での放射線照射によるano1のmRNAレベルを示す。
図2図2は、生理食塩水またはAA-ORS溶液の存在下で0または5Gyの放射線に曝露した後の、小腸の刷子縁膜に沿ったANO1発現に及ぼされる放射線照射の効果を例証する。
図3図3は、クローン形成能アッセイにおける、MCF10A正常乳房細胞およびMDAMB-231乳がん細胞に及ぼされるスクランブル対照siRNAおよびANO1 siRNAの効果を例証する。
図4図4は、クローン形成能アッセイにおける、MDAMB-32乳がん細胞に及ぼされるスクランブル対照siRNAおよびANO1 siRNAの効果をさらに例証する。
図5図5は、クローン形成能アッセイにおける、Caco2腸がん細胞で、および正常腸細胞(CRL-1831)に及ぼされる、対照プラスミドベクターpSV caco-2およびANO1 siRNAの効果を例証する。
図6図6は、クローン形成能アッセイにおける、正常肺細胞(WI-38)およびがん肺細胞(HTC171)に及ぼされる対照プラスミドベクター(pSV)およびANO1 siRNAの効果を例証する。
図7図7は、Ano1タンパク質レベルに及ぼされる個々の例示的なアミノ酸、対照タンパク質、および5種のアミノ酸(5AA)の組合せの正規化された効果を例証する。
図9図9は、対照タンパク質、8種のアミノ酸(イソロイシン、アスパラギン酸、スレオニン、リジン、チロシン、セリン、バリン、グリシン、トリプトファン)の組合せ(8AA)、5種のアミノ酸の組合せ(5AA)、別の5種のアミノ酸の組合せ(5AA-Ano1)、および7種のアミノ酸の組合せ(7AA-Ano1)による処理の後の刷子縁膜の細胞から抽出された、ANO1タンパク質のレベルのウェスタンブロット分析を示す。
図10図10Aは、アノクタミン-1によって活性化されたシグナル伝達経路を示す。図10Bは、Ano1の調節の図を示す。
図11図11Aおよび図11Bは、クローン形成能アッセイにおける、Caco2腸がん細胞で、および正常腸細胞(CRL-1831)に及ぼされる、対照プラスミドベクターpSV caco-2およびANO1 siRNAの効果を示す(図5にも示されている)。図11Aは、正常腸細胞(CRL-1831)における対照プラスミドベクターpSVおよびANO1 siRNAの効果の一部として、コロニー数を示す。図11Bは、Caco2がん細胞における対照プラスミドベクターpSVおよびANO1 siRNAの効果の一部としてのコロニー数、ならびにpSVおよびSiAno1によるコロニー数を示す。pSVは、密度を増加させてcaco2細胞を播種されたプレートの6ウェルにトランスフェクトされた、対照ベクターを示す。SiAno1 caco-2は、ANO1の合成および発現を阻害するために使用される、ANO1に特異的な小さな阻害性RNAを示す。
図12A図12Aは、5Gyの放射線照射(および標準リンゲル溶液(「RR」)「5AA」(アスパラギン酸、セリン、チロシン、スレオニン、およびバリン)、または「7AA-ANO1」(プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、およびグリシン)による処理)の後のアノカトミン-1(ANO1)タンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。5AAによる処理は、腸上皮細胞から単離された刷子縁膜上のano1発現を阻害した。細胞膜上のano1発現を特異的に阻害したアミノ酸である7AA-ANO1による処理は、刷子縁膜におけるタンパク質レベルをさらに減少させた。
図12B図12Bは、5Gyの放射線の曝露と基底レベルの「5AA」、ANO1の特異的阻害剤(CAccinh、および「Ano1」による処理の後の、Cl-の正味フラックスを示す。
図12C図12Cは、5Gyの放射線の曝露と基底レベルの「ANO7AA」、CAccinh、および「Ano1」による処理の後の、Cl-の正味フラックスを示す。Ussingチャンバーフラックス試験は、ANO1の特異的阻害剤(CaCCinh)が正味のクロライドフラックスを減少させたこと、ならびに膜上のano1発現を減少させた7種のアミノ酸(ANO7AA)が同様に正味のクロライドフラックスを減少させたことを示す。塩素の同位体である36Clを使用して、フラックスを調べた。
図13図13は、細胞周期の図を示す。細胞周期についてのヨウ化プロピジウム(PI)染色を以下のように行った:G1期にある2倍体細胞は、2N染色体を有する、換言すれば、4N染色体相補物を有するG2期またはM期の細胞の半量を有するものとなる。新しい染色体(新しいDNA)を合成する過程にあるS期の細胞は、中間量を有する。PIがDNA含有量に比例して細胞を標識することから、各時期の細胞のパーセンテージをヒストグラムに読み取ることができる。
図14A図14A図14Dは、結腸がん細胞(HT-29)に及ぼされる標示されたアミノ酸組成物の4時間処理の効果を示す。図14A図14Dでは、標準リンゲル溶液(「RR」)、5AA、および7AAの存在下でインキュベートされた細胞を用いて、フローサイトメトリー(FACS)を行った。図14A図14Dに示される結果は、7AAがG2/M期の細胞を阻害し、それゆえにG1期に停止した細胞の数が多くなることを示す(図14D)。図14Aは、結腸がん細胞(HT-29)に及ぼされるアミノ酸組成物「RR」の4時間処理の効果(細胞数)を示す。
図14B図14Bは、結腸がん細胞(HT-29)に及ぼされるアミノ酸組成物「5AA」の4時間処理の効果(細胞数)を示す。
図14C図14Cは、結腸がん細胞(HT-29)に及ぼされるアミノ酸組成物「7AA」の4時間処理の効果(細胞数)を示す。
図14D図14Dは、結腸がん細胞(HT-29)に及ぼされる対照ならびにアミノ酸組成物「5AA」および「7AA」の4時間処理の効果と、細胞周期のG1期、S期、G2/M期に存在する細胞数とを示す。
図15図15は、CDT1、MCM2、p-ERK、カスパーゼ3、サイクリンDI、およびp53の結合に関する、HT-29結腸がん細胞に及ぼされる対照、5AA、および7AAの4時間処理の効果を示す。複製開始点認識複合体(ORC)は、細胞周期(1、2)を通じてクロマチンに結合するものと考えられる。複製前複合体(Pre-RC)は、CDT1およびcdc6の複製開始点への結合に始まる有糸分裂期後期/Gl初期に形成され、この結合はヘテロ6量体のMCM2~7複合体の結合を可能にする。MCM複合体は、複製ヘリカーゼと考えられ、pre-RCの形成はクロマチンライセンシングと呼ばれる。
図16図16Aは、以下に記載される4時間の処理下での対照および7AA-ANO1によるHT-29結腸がん細胞の処理の効果を示す。組合せで用いられると細胞の刷子縁膜におけるANO1タンパク質のレベルを減少させる上位7種のアミノ酸(7AA-Ano1)は、対照と比較してコロニー形成数を減少させることが示された。細胞を、7AAの存在下で4時間インキュベートし、次いで洗浄し、さらに標準培養培地の存在下で増殖させた。これらの研究は、7AAが腫瘍細胞を阻害することができ、シグナル伝達機構を介して作用しうることを示す。図16Bは、標準リンゲル溶液(RR)および7AAによる図16Aについての上述の処理時のコロニー数を示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0135】
は、対照タンパク質、8種のアミノ酸の組合せ(8AA)、5種のアミノ酸の組合せ(5AA)、別の5種のアミノ酸の組合せ(5AA-Ano1)、および7種のアミノ酸の組み合わせ(7AA-Ano1)を用いた処理後の、刷子縁膜の細胞から抽出されたANO1タンパク質のタンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン、グリシン、トリプトファン、リジン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、およびシステインから選択される一つまたは複数の遊離アミノ酸、ならびに任意選択的に、医薬的に許容可能な担体、緩衝液、電解質、アジュバント、または賦形剤を含むか、またはそれらから本質的になるかもしくはなる、がん細胞の成長および/または増殖を阻害するための組成物。
【外国語明細書】