(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171766
(43)【公開日】2023-12-05
(54)【発明の名称】ナチュラルキラー細胞およびILC3細胞ならびにそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0783 20100101AFI20231128BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20231128BHJP
【FI】
C12N5/0783
C12N5/078
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145605
(22)【出願日】2023-09-07
(62)【分割の表示】P 2021171231の分割
【原出願日】2016-10-14
(31)【優先権主張番号】62/242,246
(32)【優先日】2015-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/403,571
(32)【優先日】2016-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/272,984
(32)【優先日】2015-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ジップロック
(71)【出願人】
【識別番号】520169074
【氏名又は名称】セルラリティ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シャオクイ
(72)【発明者】
【氏名】ジュレティック,イヴァナ
(72)【発明者】
【氏名】カン,リン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォスキナリアン-バーセ,ヴァネッサ
(72)【発明者】
【氏名】スタウト,ババニ
(72)【発明者】
【氏名】ハリリ,ロバート ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホフガートナー,ウォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】エディンガー,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ヤンコビッチ,ウラジーミル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】殺腫瘍機能を保持するナチュラルキラー(NK)細胞を製造し、増幅する効率的な方法を提供する。
【解決手段】幹細胞動員因子を含む培地を用い、3段階増幅および分化法を使用してNK細胞および/またはILC3細胞を製造する方法が本明細書で開示される。また本明細書で述べた3段階法により製造されたNK細胞および/またはILC3細胞ならびにNK細胞集団および/またはILC3細胞集団を使用して腫瘍細胞の増殖を抑制する方法、ならびにがんもしくはウイルス感染を有する個体に本明細書で述べた3段階法により製造されたNK細胞および/またはILC3細胞ならびにNK細胞集団および/またはILC3細胞集団を投与することを含む、がんもしくはウイルス感染を有する個体を治療する方法が本明細書で開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナチュラルキラー細胞を含む細胞集団を製造する方法であって、
(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地中で造血幹細
胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;
(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠い
ている第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステッ
プ;ならびに
(c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤および低分子量ヘパリン(LM
WH)のそれぞれを欠いている第3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3
の集団を製造するステップ
を含み、細胞の第3の集団がCD56+、CD3-であるナチュラルキラー細胞を含み、
ナチュラルキラー細胞の少なくとも80%が生存している、方法。
【請求項2】
細胞の前記第3の集団が、
(1)CD94+もしくはCD16+、
(2)CD94-もしくはCD16-、
(3)CD94+およびCD16+、または
(4)CD94-およびCD16-であるナチュラルキラー細胞を含む、請求項1記載の
方法。
【請求項3】
ナチュラルキラー細胞を含む細胞集団を製造する方法であって、
(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地中で造血幹細
胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;
(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠い
ている第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステッ
プ;ならびに
(c)IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠いている第3の培地中で細胞の
第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステップ
を含み、細胞の第3の集団がCD56+、CD3-およびCD11a+であり、
第3の培地が幹細胞因子(SCF)を欠いている、請求項1記載の方法。
【請求項4】
(d)細胞の第3の集団~CD11a+細胞を単離して、細胞の第4の集団を製造する
ステップをさらに含み、
細胞の第4の集団がCD56+、CD3-およびCD11a+であるナチュラルキラー細
胞を含む、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ナチュラルキラー細胞が、
(1)パーフォリンおよびEOMESを発現する、または
(2)RORγtもIL1R1も発現しない、請求項1~4のうちいずれか1項に記載の
方法。
【請求項6】
ILC3細胞を含む細胞集団を製造する方法であって、
(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地中で造血幹細
胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;
(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠い
ている第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステッ
プ;ならびに
(c)IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠いている第3の培地中で細胞の
第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステップ
を含み、細胞の第3の集団がCD56+、CD3-およびCD11a-であるILC3細
胞を含む、方法。
【請求項7】
第3の培地が、
(1)幹細胞動員剤、
(2)SCF、または
(3)幹細胞動員剤およびSCFを含む、請求項1~6のうちいずれか1項に記載の方法
。
【請求項8】
ILC3細胞を含む細胞集団を製造する方法であって、
(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地中で造血幹細
胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;
(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠い
ている第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステッ
プ;
(c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHのそれぞれを欠
いている第3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステ
ップ;ならびに
(d)細胞の第3の集団~CD11a-細胞を単離して、細胞の第4の集団を製造する
ステップを含み、
細胞の第4の集団がCD56+、CD3-およびCD11a-であるILC3細胞を含む
、方法。
【請求項9】
前記ILC3細胞が、
(1)RORγtおよびIL1R1を発現する、または
(2)パーフォリンもEOMESも発現しない、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記造血幹細胞または前駆細胞が哺乳類細胞であり、または前記造血幹細胞または前駆
細胞がヒト細胞である、請求項1~9のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記造血幹細胞または前駆細胞が、
(1)CD34+造血幹細胞である、
(2)胎盤細胞である、
(3)前記胎盤細胞が、ヒト胎盤潅流液から得られる、または得ることができ、
(4)前記胎盤細胞が、ヒト胎盤潅流液から単離された有核細胞から得られる、または得
ることができ、
(5)臍帯血から得られる、または得ることができ、
(6)胎児肝臓細胞であり、
(7)動員末梢血細胞であり、あるいは
(8)骨髄細胞である、請求項1~10のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記Tpo、IL-2およびIL-15が第1の培地、第2の培地または第3の培地の
組成不明の成分中に含まれていない、または、
前記Tpo、IL-2およびIL-15が血清中に含まれていない、請求項1~11の
うちいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
(1)前記幹細胞動員剤がアリール炭化水素受容体阻害剤である、
(2)前記幹細胞動員剤がアリール炭化水素受容体阻害剤であり、かつ、前記アリール炭
化水素受容体阻害剤がレスベラトロールである、
(3)前記幹細胞動員剤がアリール炭化水素受容体阻害剤であり、かつ、前記アリール炭
化水素受容体阻害剤が以下の式
【化1】
の化合物
(式中、
G
1は、NおよびCR
3~選択され、
G
2、G
3およびG
4は、CHおよびN~独立に選択され、ただし、G
3およびG
4の
うちの少なくとも1つは、Nであることを条件とし、ただし、G
1およびG
2は、両方が
Nであるわけではないことを条件とし、
Lは、--NR
5a(CH
2)
0-3--、--NR
5aCH(C(O)OCH
3)C
H
2--、--NR
5a(CH
2)
2NR
5b--、--NR
5a(CH
2)
2S--、
--NR
5aCH
2CH(CH
3)CH
2--、--NR
5aCH
2CH(OH)--お
よび--NR
5aCH(CH
3)CH
2--~選択され、R
5aおよびR
5bは、水素お
よびC
1-4アルキル~独立に選択され、
R
1は、水素、フェニル、チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソ
キノリニル、1H-イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、1H-ピ
ラゾリル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリダジニル
、1H-ピロリルおよびチアゾリル~選択され、R
1の前記フェニル、チオフェニル、フ
ラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、1H-イミダゾピリジニル、ベン
ゾチオフェニル、ピリミジニル、1H-ピラゾリル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、
ピロリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリルまたはチアゾリルは、シアノ
、ヒドロキシ、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C
1-4アルキ
ル、ハロ置換C
1-4アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、--C(O)R
8a、--S(
O)
0-2R
8a 、--C(O)OR
8a および--C(O)NR
8aR
8b~独立に
選択される1~3個の基により任意選択で置換することができ、R
8aおよびR
8bは、
水素およびC
1-4アルキル~独立に選択され、ただし、R
1およびR
3は、両方が水素
であるわけではないことを条件とし、
R
2は、--S(O)
2NR
6aR
6b、--NR
9aC(O)R
9b、--NR
6a
C(O)NR
6bR
6c、フェニル、1H-ピロロピリジン-3-イル、1H-インドリ
ル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾ
リジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリ
ルおよび1H-インダゾリル~選択され、R
6a、R
6bおよびR
6cは、水素およびC
1-4アルキル~独立に選択され、R
2の前記フェニル、1H-ピロロピリジン-3-イ
ル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、
2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H
-ベンゾイミダゾリルまたは1H-インダゾリルは、ヒドロキシ、ハロ、メチル、メトキ
シ、アミノ、--O(CH
2)
nNR
7aR
7b、--S(O)
2NR
7aR
7b、--
OS(O)
2NR
7aR
7bおよび--NR
7aS(O)
2R
7b~独立に選択される1
~3個の基で任意選択で置換され、R
7aおよびR
7bは、水素およびC
1-4アルキル
~独立に選択され、
R
3は、水素、C
1-4アルキルおよびビフェニル~選択され、
R
4は、C
1-10アルキル、プロパ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロ
プロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-3-イル、ベ
ンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-
4-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニ
ル)(フェニル)メチルおよび1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3
-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチ
ル~選択され、前記アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシル、2-(2-オキソピロ
リジン-1-イル)エチル、オキセタン-3-イル、オキセタン-2-イル、ベンズヒド
リル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル
、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、
テトラヒドロフラン-2-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチ
ルまたは1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-
14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、C
1-4アルキルおよびハロ置換C
1-4アルキル~独立に選択される1~3個の基で置換
することができる)またはその塩である、
(4)前記幹細胞動員剤がアリール炭化水素受容体阻害剤であり、かつ、前記アリール炭
化水素受容体阻害剤がStemRegenin-1(SR-1)(4-(2-(2-(ベ
ンゾ[b]チオフェン-3-イル)-9-イソプロピル-9H-プリン-6-イルアミノ
)エチル)フェノール)である、
(5)前記幹細胞動員剤がアリール炭化水素受容体阻害剤であり、かつ、前記アリール炭
化水素受容体阻害剤が化合物CH223191(1-メチル-N-[2-メチル-4-[
2-(2-メチルフェニル)ジアゼニル]フェニル-1H-ピラゾール-5-カルボキサ
ミド]である、
(6)前記幹細胞動員剤がピリミド(4,5-b)インドール誘導体である、
(7)前記幹細胞動員剤がピリミド(4,5-b)インドール誘導体であり、かつ、前記
ピリミド(4,5-b)インドール誘導体が
【化2】
のうちの1つもしくは複数
またはその塩もしくはプロドラッグであり、式中、
Zは、
1)-P(O)(OR<1>)(OR<1>)、
2)-C(0)OR<1>、
3)-C(0)NHR<1>、
4)-C(0)N(R)R<1>、
5)-C(0)R<1>、
6)-CN、
7)-SR、
8)-S(0)2NH2、
9)-S(0)2NHR<1>、
10)-S(0)2N(R)R<1>、
11)-S(0)R<1>、
12)-S(0)2R<1>、
13)-L、
14)1つ、2つもしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換され
ている-ベンジル、
15)Lおよびヘテロアリール基のうちいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複
数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロアリール
、
16)Lおよびヘテロシクリル基のうちいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複
数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロシクリル
、
17)Lおよびヘテロアリール基のうちいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複
数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-アリール、
18)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-ヘテロアリール、または
19)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-アリール
であり、各置換基は、それが既に存在していない場合には、L基に任意選択で結合してお
り、(R<1>)およびR<1>が窒素原子に結合している場合、任意選択でそれらは、
窒素原子と一緒になって、1つまたは複数のR<1>またはR<A>で任意選択で置換さ
れている、N、OおよびS~選択される1つもしくは複数の他のヘテロ原子を任意選択で
含む3~7員環を形成しており、
Wは、
1)-H、
2)-ハロゲン、
3)-OR<1>、
4)-L-OH、
5)-L-OR<1>、
6)-SR<1>、
7)-CN、
8)-P(0)(OR<1>)(OR<1>)、
9)-NHR<1>、
10)-N(R<1>)R<1>、
11)-L-NH2、
12)-L-NHR<1>、
13)-L-N(R<1>)R<1>、
14)-L-SR<1>、
15)-L-S(0)R<1>、
16)-L-S(0)2R<1>、
17)-L-P(0)(OR<1>)(OR<1>
18)-C(0)OR<1>、
19)-C(0)NH2、
20)-C(0)NHR<1>、
21)-C(0)N(R<1>)R<1>、
22)-NHC(0)R<1>、
23)-NR1C(0)R<1>、-NHC(0)0R<1>、
-NR1C(0)0R<1>、
-0C(0)NH2、
-0C(0)NHR<1>、
-0C(0)N(R)R<1>、
-0C(0)R<1>、
-C(0)R<1>、
-NHC(0)NH2、
-NHC(0)NHR<1>、
-NHC(0)N(R)R<1>、
-NRC(0)NH2、
-NRC(0)NHR<1>、
-NRC(0)N(R)R<1>、
-NHS(0)2R<1>、
-NRS(0)2R<1>、
-S(0)2NH2、
-S(0)2NHR<1>、
-S(0)2N(R)R<1>、
-S(0)R<1>、
-S(0)2R<1>、
-0S(0)2R1、
-S(0)20R<1>、
1つ、2つもしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-ベンジル、
Lおよびヘテロアリール基のうちいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR
<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロアリール、
Lおよびヘテロシクリル基のうちいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR
<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロシクリル、
Lおよびアリール基のうちいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>
もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-アリール、
-L-NR<1>(R<1>)、
-L-)2NR<1>、
-L-(N(R1)-L)n-N(R1)R1、Lおよびヘテロアリール基のうちいずれ
かもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選
択で置換されている-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリール、
Lおよびヘテロシクリル基のうちいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR
<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-(N(R<1>)-L
)n-ヘテロシクリル、
Lおよびアリール基のうちいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>
もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-(N(R<1>)-L)n-
アリール、
-O-L-N(R)R<1>、
Lおよびヘテロアリール基のうちいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR
<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-ヘテロアリール、
Lおよびヘテロシクリル基のうちいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR
<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-ヘテロシクリル、
Lおよびアリール基のうちいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>
もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-アリール、
-O-L)2-NR<1>、
-O-L-(N(R )-L)n-N(R )R<1>、
Lおよびヘテロアリール基いずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>
もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-(N(R<1>)-L)
n-ヘテロアリール、
Lおよびヘテロシクリル基のうちいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR
<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-(N(R<1>)
-L)n-ヘテロシクリル、
1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-
L-(N(R<1>)-L)n-アリール、
1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-S-
L-ヘテロアリール、
1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-S-
L-ヘテロシクリル、
Lおよびアリール基のうちいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>
もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-S-L-アリール、
-S-L)2NR1、
-S-L-(N(R1)-L)’’-N(R1)R1、
1つもしくは複数のR<A>置換基で任意選択で置換されている-S-L-(N(R<1
>)-L)n-ヘテロアリール、1つもしくは複数のR<A>置換基で任意選択で置換さ
れている-S-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリル、1つもしくは複数のR
<A>置換基で任意選択で置換されている-S-L-(N(R<1>)-L)n-アリー
ル、
-NR<1>(R<1>)、
-(N(R1)-L)n-N(R1)R1、
-N(R1)L)2-NR1、76)-(N(R1)-L)’’-N(R1)RA、
77)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリール、
78)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリル、
79)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-(N(R<1>)-L)n-アリール、
80)1つもしくは複数のR<A>置換基で任意選択で置換されている-ヘテロアリール
、または
81)1つもしくは複数のR<A>置換基で任意選択で置換されている-アリール
であり、各置換基は、それが既に存在していない場合には、L基に任意選択で結合してお
り、2つのR<1>置換基が同じ窒素原子上に存在する場合、各R<1>置換基は、後に
述べるR<1>の値のリスト~独立に選択され、
nは、0、1、2、3、4または5に等しい整数であり、
(R<1>)およびR<1>が窒素原子に結合している場合、任意選択でそれらは、窒素
原子と一緒になって、N、OおよびS~選択される1つまたは複数の他のヘテロ原子を任
意選択で含む3~7員環を形成しており、任意選択で環は、1つまたは複数のR<1>ま
たはR<A>で置換されており、
Lは、
1)-Ci~6アルキル、
2)-C2~6アルケニル、
3)-C2~6アルキニル、
4)-C3~7シクロアルキル、
5)-C3~7シクロアルケニル、
6)ヘテロシクリル、
7)-Ci~6アルキル-C3~7シクロアルキル、
8)-Ci~6アルキル-ヘテロシクリル、
9)アリール、または
10)ヘテロアリール
であり、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテ
ロシクリル、アリールおよびヘテロアリール基は、1つまたは2つのR<A>置換基でそ
れぞれ独立に任意選択で置換されており、
Riは、
1)-H、
2)-C1~6アルキル、
3)-C2~6アルケニル、
4)-C2~6アルキニル、5)-C3~7シクロアルキル、
6)-C3~7シクロアルケニル、
7)-C1~5過フッ化、
8)-ヘテロシジル、
9)-アリール、
10)-ヘテロアリール、
11)-ベンジル、または
12)5-[(3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,
4-d]イミダゾール-4-イル]ペンタノイル
であり、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、ペルフルオロ化アルキ
ル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールおよびベンジル基は、1つ、2つまたは
3つのR<A>またはR<1>置換基でそれぞれ独立に任意選択で置換されており、
R2は、
1)-H、
2)-C1~6アルキル、
3)-SR、
4)-C(0)R1、
5)-S(0)R1、
6)-S(0)2R<1>、
7)1つ、2つもしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されて
いる-ベンジル、
8)Lおよびヘテロアリール基のうちいずれか1つもしくは両方に結合する1つもしくは
複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロアリー
ル、
9)Lおよびヘテロシクリル基のうちいずれか1つもしくは両方に結合する1つもしくは
複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロシクリ
ル、
10)Lおよびアリール基のうちいずれか1つもしくは両方に結合する1つもしくは複数
のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-アリール、
11)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-ヘテロアリール、または
12)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-アリール
であり、各置換基は、それが既に存在していない場合にはL基に任意選択で結合されてお
り、
R<A>は、
1)-ハロゲン、
2)-CFs、3)-OH、
4)-OR<1>、
5)-L-OH、
6)-L-OR<1>、
7)-OCFs、
8)-SH、
9)-SR1、
10)-CN、
11)-NO2、
12)-NH2、
13)-NHR<1>、
14)-NR<1>R<1>、
15)-L-NH2、
16)-L-NHR<1>、
17)-L-NR<4>R<1>、
18)-L-SR<1>、
19)-L-S(0)R<1>、
20)-L-S(0)2R<1>、
21)-C(0)OH、
22)-C(0)OR<1>、
23)-C(0)NH2、
24)-C(0)NHR<1>、
25)-C(0)N(R<1>)R<1>、
26)-NHC(0)R<1>、
27)-NR1C(0)R<1>、
28)-NHC(0)OR<1>、
29)-NR1C(0)0R<1>、
30)-OC(0)NH2、
31)-OC(0)NHR<1>、
32)-OC(0)N(R)R<1>、
33)-OC(0)R<1>、
34)-C(0)R1、35)-NHC(0)NH2、
36)-NHC(0)NHR1、
37)-NHC(0)N(R)R<1>、
38)-NRC(0)NH2、
39)-NRC(0)NHR<1>、
40)-NR1C(0)N(R1)R1、
41)-NHS(0)2R<1>、
42)-NRS(0)2R<1>、
43)-S(0)2NH2、
44)-S(0)2NHR<1>、
45)-S(0)2N(R)R<1>、
46)-S(0)R<1>、
47)-S(0)2R<1>、
48)-0S(0)2R<1>、
49)-S(0)20R<1>、
50)-ベンジル、
51)-N3、または
52)-C(-N=N-)(CF3)
であり、ベンジル基は、1つ、2つまたは3つのR<A>またはR<1>置換基で任意選
択で置換されている、
(8)前記幹細胞動員剤がピリミド(4,5-b)インドール誘導体であり、かつ、前記
ピリミド(4,5-b)インドール誘導体が以下の化学構造
【化3】
を有する、または
(9)前記幹細胞動員剤がピリミド(4,5-b)インドール誘導体であり、かつ、前記
ピリミド(4,5-b)インドール誘導体が以下の化学構造
【化4】
を有する、請求項1~12のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1または第2の培地がLMWH、Flt-3リガンド(Flt-3L)、幹細胞
因子(SCF)、IL-6、IL-7、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)または顆
粒球・マクロファージ刺激因子(GM-CSF)のうちの1つまたは複数をさらに含む、
請求項1~13のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1または第2の培地がLMWHを含まない、または、
前記第1または第2の培地が脱硫酸化グリコサミノグリカンを含まない、請求項1~1
4のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第3の培地がIL-6、IL-7、G-CSFまたはGM-CSFのうちの1つま
たは複数をさらに含む、請求項1~15のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
(1)造血幹細胞を第1の培地中で7~13日間培養するステップ、
(2)造血幹細胞を第1の培地中で8~12日間培養するステップ、
(3)造血幹細胞を第1の培地中で約10日間培養するステップ、
(4)前記第2の培地中で細胞の前記第1の集団を2~6日間培養するステップ、
(5)前記第2の培地中で細胞の前記第1の集団を3~5日間培養するステップ、
(6)前記第2の培地中で細胞の前記第1の集団を約4日間培養するステップ、
(7)前記第3の培地中で細胞の前記第2の集団を10~30日間培養するステップ、
(8)前記第3の培地中で細胞の前記第2の集団を15~25日間培養するステップ、ま
たは、
(9)前記第3の培地中で細胞の前記第2の集団を約21日間培養するステップを含み、
かつ、
(1)前記造血細胞を1×104~1×105細胞/mLで前記第1の培地中に最初に接
種する、
(2)前記造血細胞を約3×104細胞/mLで前記第1の培地中に最初に接種する、
(3)細胞の前記第1の集団を5×104~5×105細胞/mLで前記第2の培地中に
最初に接種する、
(4)細胞の前記第1の集団を約1×105細胞/mLで前記第2の培地中に最初に接種
する、
(5)細胞の前記第2の集団を1×105~5×106細胞/mLで前記第3の培地中に
最初に接種する、請求項1~111のうちいずれか1項に記載の方法。
(6)細胞の前記第2の集団を1×105~1×106細胞/mLで前記第3の培地中に
最初に接種する、
(7)細胞の前記第2の集団を約5×105細胞/mLで前記第3の培地中に最初に接種
する、または、
(8)細胞の前記第2の集団を約3×105細胞/mLで前記第3の培地中に最初に接種
する、請求項1~16のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
腫瘍細胞を、請求項1~17のうちいずれか1項に記載の方法により製造される複数の
ナチュラルキラー細胞と接触させるステップを含む、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法。
【請求項19】
(1)前記接触させるステップがin vitroで行われる、
(2)前記接触させるステップがin vivoで行われる、
(3)前記接触させるステップがヒト個体において行われる、
(4)前記ナチュラルキラー細胞を前記個体に投与するステップを含む、
(5)前記腫瘍細胞が多発性骨髄腫細胞である、
(6)前記腫瘍細胞が急性骨髄性白血病(AML)細胞である、
(7)前記個体が再発性/難治性AMLを有する、
(8)前記個体がAMLに対する少なくとも1回の非生得リンパ球(ILC)療法が奏功
しなかったAMLを有する、
(9)前記個体が65歳以上であり、第1寛解期にある、
(10)前記ナチュラルキラー細胞を投与する前に、前記個体がフルダラビン、シタラビ
ンまたは両方でコンディショニングされている、
(11)前記腫瘍細胞が乳がん細胞、頭頸部がん細胞または肉腫細胞である、
(12)前記腫瘍細胞が原発性乳管癌細胞、白血病細胞、急性T細胞白血病細胞、慢性骨
髄性リンパ腫(CML)細胞、慢性骨髄性白血病(CML)細胞、肺癌細胞、結腸腺癌細
胞、組織球性リンパ腫細胞、結腸直腸癌細胞、結腸直腸腺癌細胞または網膜芽腫細胞であ
る、
(13)前記腫瘍細胞が充実性腫瘍細胞である、
(14)前記腫瘍細胞が肝臓腫瘍細胞である、
(15)前記腫瘍細胞が肺腫瘍細胞である、
(16)前記腫瘍細胞が膵臓腫瘍細胞である、
(17)前記腫瘍細胞が腎臓腫瘍細胞である、
(18)前記腫瘍細胞が多形性膠芽腫(GBM)細胞である、
(19)前記ナチュラルキラー細胞を抗CD33抗体とともに投与する、
(20)前記ナチュラルキラー細胞を抗CD20抗体とともに投与する、
(21)前記ナチュラルキラー細胞を抗CD138抗体とともに投与する、
(22)前記ナチュラルキラー細胞を抗CD32抗体とともに投与する、
(23)前記接触させるステップまたは前記投与するステップの前に前記ナチュラルキラ
ー細胞が凍結保存されている、または、
(24)前記接触させるステップまたは前記投与するステップの前に前記ナチュラルキラ
ー細胞が凍結保存されていない、請求項18のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
ナチュラルキラー細胞およびILC3細胞を含む細胞集団を製造する方法であって、
(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地中で造血幹細
胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;
(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠い
ている第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステッ
プ;
(c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHのそれぞれを欠
いている第3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステ
ップ;ならびに
(d)細胞の第3の集団~CD11a+細胞およびCD11a-細胞を分離するステッ
プ;ならびに
(e)CD11a+細胞をCD11a-細胞と50:1、40:1、30:1、20:
1、10:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1
:5、1:10、1:20、1:30、1:40または1:50の比で合わせて、細胞の
第4の集団を製造するステップを含み、
(1)前記第1の培地および/または前記第2の培地がLIFおよび/またはMIP-1
αを欠いている、
(2)前記第3の培地がLIF、MIP-1αおよびFlt-3Lを欠いている、
(3)前記第1の培地および前記第2の培地がLIFおよびMIP-1αを欠き、前記第
3の培地がLIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている、
(4)第1の培地、第2の培地または第3の培地のどれも脱硫酸化グリコサミノグリカン
を含まない、
(5)第1の培地、第2の培地または第3の培地がヘパリンを含む、
(6)前記ヘパリンが低分子量ヘパリン(LMWH)である、
(7)CD11a+細胞およびCD11a-細胞が50:1の比で合わせられている、
(8)CD11a+細胞およびCD11a-細胞が20:1の比で合わせられている、
(9)CD11a+細胞およびCD11a-細胞が10:1の比で合わせられている、
(10)CD11a+細胞およびCD11a-細胞が5:1の比で合わせられている、
(11)CD11a+細胞およびCD11a-細胞が1:1の比で合わせられている、
(12)CD11a+細胞およびCD11a-細胞が1:5の比で合わせられている、
(13)CD11a+細胞およびCD11a-細胞が1:10の比で合わせられている、
(14)CD11a+細胞およびCD11a-細胞が1:20の比で合わせられている、
または、
(15)CD11a+細胞およびCD11a-細胞が1:50の比で合わせられている、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、それぞれの開示がその全体として参照により本明細書に組み込まれる、20
15年10月15日に出願した(特許文献1)、2015年12月30日に出願した(特
許文献2)および2016年10月3日に出願した(特許文献3)の利益を主張するもの
である。
【0002】
1. 分野
幹細胞動員因子を含む培地中の造血幹細胞または前駆細胞の集団からナチュラルキラー
(NK)細胞および/またはILC3細胞の集団を製造する方法、例えば、胎盤の細胞か
らの、例えば、胎盤潅流液(例えば、ヒト胎盤潅流液)または他の組織、例えば、臍帯血
もしくは末梢血からの造血幹細胞または前駆細胞から出発する幹細胞動員因子を含む培地
中でNK細胞および/またはILC3細胞を製造する3段階法が本明細書で提供される。
例えば、腫瘍細胞の増殖を抑制するために、または病原体感染、例えば、ウイルス感染を
妨げるために本明細書で述べる胎盤潅流液、NK細胞および/またはILC3細胞および
/またはNK前駆細胞を使用する方法が本明細書でさらに提供される。ある特定の実施形
態では、本明細書で述べる3段階法により製造されたNK細胞および/またはILC3細
胞および/またはNK前駆細胞を1つもしくは複数の免疫調節化合物と組み合わせて使用
し、および/またはそれにより処理する。
【背景技術】
【0003】
2. 背景
ナチュラルキラー(NK)細胞は、自然免疫系の主要な構成要素を構成する細胞傷害性
リンパ球である。
【0004】
NK細胞は、インターフェロンまたはマクロファージ由来のサイトカインに反応して活
性化される。一部の受容体、例えば、CD94および2B4(CD244)は、リガンド
相互作用によっていずれの方向にも機能し得るが、NK細胞の細胞傷害活性は、「活性化
受容体」または「抑制性受容体」と見なされ得る、2種類の表面受容体により主として調
節される。
【0005】
NK細胞は、他の活性もあるが特に、腫瘍の宿主拒絶に役割を果たし、ウイルス感染細
胞を殺滅することができることが示された。ナチュラルキラー細胞は、主要組織適合遺伝
子複合体(MHC)タンパク質を欠くか、またはそのレベルの低下を示す細胞によって活
性化された状態になり得る。自己クラスI MHC発現のレベルの変化または低下を有す
るがん細胞は、NK細胞感受性の誘導をもたらす。活性化および増幅NK細胞ならびに場
合によって末梢血からのLAK細胞は、進行がんを有する患者のex vivo療法およ
びin vivo治療の両方に用いられ、白血病のような骨髄関連疾患;乳がん;および
ある特定の種類のリンパ腫に対してある程度の成功を収めた。
【0006】
腫瘍細胞およびウイルス感染細胞を殺滅するというNK細胞の有益な特性にもかかわら
ず、殺腫瘍機能を保持するナチュラルキラー細胞を製造し、増幅する効率的な方法を開発
することが当技術分野で依然として必要である。
【0007】
NK細胞は、自然リンパ球(ILCs)である。自然リンパ球は、その発生が転写因子
ID2に依存する点において互いに関連している。ILC3細胞として公知である、IL
Cの1つの型は、RORγtを発現し、IL-22を産生し、ならびにパーフォリン、グ
ランザイムおよび細胞死受容体のような細胞傷害性エフェクターを示すことなく、成体の
免疫反応に役割を果たすと文献に記載されている(非特許文献1;非特許文献2;非特許
文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国仮特許出願第62/242,246号
【特許文献2】米国仮特許出願第62/272,984号
【特許文献3】米国仮特許出願第62/403,571号
【特許文献4】米国特許出願公開第2010/0183564号
【特許文献5】米国特許出願公開第2014/0023626号
【特許文献6】米国特許出願公開第2014/0114070号
【特許文献7】米国特許第7,045,148号
【特許文献8】米国特許第7,468,276号
【特許文献9】米国特許出願公開第2009/0104164号
【特許文献10】米国出願公開第2007/0190042号
【特許文献11】米国特許第5,372,581号
【特許文献12】米国特許第5,415,665号
【特許文献13】米国特許第7,147,626号
【特許文献14】米国特許第7,255,879号
【特許文献15】米国特許出願公開第20070275362号(米国特許第8,057,788号として発行)
【特許文献16】米国特許出願公開第2004/0048796号
【特許文献17】米国特許第4,798,824号
【特許文献18】米国特許第5,552,267号
【特許文献19】米国特許第7,498,171号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】モンタルド(Montaldo)ら、2014、Immunity 41:988-1000
【非特許文献2】キリグ(Killig)ら、2014、Front. Immunol. 5:142
【非特許文献3】ウィザーズ(Withersら)、2012、J. Immunol. 189(5):2094-2098
【非特許文献4】キム(Kim)ら、Mol.Pharmacol.、2006、69、1871-1878
【非特許文献5】アリクメッツ(Allikmets)ら、Cancer Res.58(23):5337-9(1998)
【非特許文献6】サウサード(Southard)ら、Transplantation 49(2):251-257(1990)
【非特許文献7】ミラー(Miller)ら、2005、Blood 105:3051-3057
【非特許文献8】ラブニッツ(Rubnitz)ら、2010、J Clin Oncol.28:955-959
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
3. 概要
細胞、例えば、造血幹細胞、例えば、CD34+造血幹細胞のような、造血細胞を増幅
し、分化させて、ナチュラルキラー(NK)細胞および/またはILC3細胞を製造する
方法が本明細書で提供される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様では、本明細書で述べる3つの段階を含むNK細胞集団および/またはILC3
細胞集団を製造する方法(本明細書で「3段階法」と呼ぶ)が本明細書で提供される。本
明細書で提供する3段階法により製造されたナチュラルキラー細胞および/またはILC
3細胞は、「3段階法により製造されたNK細胞」、「3段階法により製造されたILC
3細胞」または「3段階法により製造されたNK細胞および/またはILC3細胞」と本
明細書で呼ぶ。ある特定の実施形態では、前記方法は、1つもしくは複数のさらなるまた
は中間のステップを含む。ある特定の実施形態では、前記方法は、細胞を接触させる(ま
たは培養する)第4のまたは中間のステップを含まない。
【0012】
一態様では、造血幹細胞または前駆細胞、例えば、CD34+幹細胞または前駆細胞を
幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地中で培養して、細胞の
第1の集団を製造するステップ、その後、細胞の前記第1の集団を幹細胞動員剤およびイ
ンターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている第2の培地中で細胞の前
記第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ、その後、IL-2およ
びIL-15を含み、幹細胞動員剤および低分子量ヘパリン(LMWH)を欠いている第
3の培地中で細胞の前記第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステップを
含み、細胞の第3の集団がCD56+、CD3-であるナチュラルキラー細胞を含み、ナ
チュラルキラー細胞の少なくとも70%、例えば、80%が生存している、NK細胞を製
造する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、前記第1の培地および/
または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/またはマクロファージ炎症
性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前
記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(F
lt-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培
地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1
αおよびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第1の培地、第2の培地ま
たは第3の培地のどれもヘパリン、例えば、低分子量ヘパリンを含まない。ある特定の実
施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD16-であるナチュラルキラー細
胞を含む。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94+で
あるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラ
ー細胞は、CD94+またはCD16+であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の
実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94-またはCD16-である
ナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラー細
胞は、CD94+およびCD16+であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施
形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94-およびCD16-であるナチ
ュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、前記第1の培地、第2の培地および
第3の培地の少なくとも1つ、2つまたは3つすべては、GBGM(登録商標)培地でな
い。ある特定の実施形態では、第3の培地は、添加される脱硫酸化グリコサミノグリカン
を欠いている。ある特定の実施形態では、第3の培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカン
を欠いている。
【0013】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;な
らびに(c)IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠いている第3の培地中で細
胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステップを含み、細胞の第3の
集団がCD56+、CD3-およびCD11a+であるナチュラルキラー細胞を含む、N
K細胞を製造する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、前記第1の培
地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/またはマクロフ
ァージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特定の実施形
態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFMS様チロシンキナーゼ3リ
ガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培地および前
記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は、LIF、
MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第1の培地、第
2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例えば、低分子量ヘパリンを含まない。
【0014】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;な
らびに(c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞因子(SCF)およびLMWHの
それぞれを欠いている第3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を
製造するステップを含み、細胞の第3の集団がCD56+、CD3-およびCD11a+
であるナチュラルキラー細胞を含む、NK細胞を製造する方法が本明細書で提供される。
ある特定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制
因子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-
1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1
αおよびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な
実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠
いており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。あ
る特定の実施形態では、第1の培地、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例
えば、低分子量ヘパリンを含まない。
【0015】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;な
らびに(c)IL-2およびIL-15を含み、SCF、幹細胞動員剤およびLMWHの
それぞれを欠いている第3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を
製造するステップを含み、細胞の第3の集団がCD56+、CD3-およびCD11aで
あるナチュラルキラー細胞を含む、NK細胞を製造する方法が本明細書で提供される。あ
る特定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因
子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1
α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α
およびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実
施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠い
ており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある
特定の実施形態では、第1の培地、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例え
ば、低分子量ヘパリンを含まない。
【0016】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;(
c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHのそれぞれを欠いて
いる第3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステップ
;ならびに(d)細胞の第3の集団からCD11a+細胞を単離して、細胞の第4の集団
を製造するステップを含み、細胞の第4の集団がCD56+、CD3-およびCD11a
+であるナチュラルキラー細胞を含む、NK細胞を製造する方法が本明細書で提供される
。ある特定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑
制因子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP
-1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-
1αおよびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的
な実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを
欠いており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。
ある特定の実施形態では、第1の培地、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、
例えば、低分子量ヘパリンを含まない。
【0017】
ある特定の実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞は、パーフォリンおよびエオメソ
デルミン(EOMES)を発現する。ある特定の実施形態では、前記ナチュラルキラー細
胞は、RAR関連オーファン受容体ガンマ(RORγt)またはインターロイキン1受容
体1(IL1R1)を発現しない。
【0018】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;な
らびに(c)IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠いている第3の培地中で細
胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステップを含み、細胞の第3の
集団がCD56+、CD3-およびCD11a-であるILC3細胞を含む、ILC3細
胞を製造する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、前記第1の培地お
よび/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/またはマクロファー
ジ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特定の実施形態で
は、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFMS様チロシンキナーゼ3リガン
ド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培地および前記第
2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は、LIF、MI
P-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第1の培地、第2の
培地または第3の培地のどれもヘパリン、例えば、低分子量ヘパリンを含まない。
【0019】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;な
らびに(c)幹細胞動員剤、IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠いている第
3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステップを含み
、細胞の第3の集団がCD56+、CD3-およびCD11a-であるILC3細胞を含
む、ILC3細胞を製造する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、前
記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/また
はマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特
定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFMS様チロシンキ
ナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培
地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は
、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第1
の培地、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例えば、低分子量ヘパリンを含
まない。
【0020】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;な
らびに(c)SCF、IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠いている第3の培
地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステップを含み、細胞
の第3の集団がCD56+、CD3-およびCD11a-であるILC3細胞を含む、I
LC3細胞を製造する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、前記第1
の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/またはマク
ロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特定の実
施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFMS様チロシンキナーゼ
3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培地およ
び前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は、LI
F、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第1の培地
、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例えば、低分子量ヘパリンを含まない
。
【0021】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;な
らびに(c)幹細胞動員剤、SCF、IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠い
ている第3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステッ
プを含み、細胞の第3の集団がCD56+、CD3-およびCD11a-であるILC3
細胞を含む、ILC3細胞を製造する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態
では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)およ
び/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている
。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFMS様チ
ロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記
第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3
の培地は、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態で
は、第1の培地、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例えば、低分子量ヘパ
リンを含まない。
【0022】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;(
c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHのそれぞれを欠いて
いる第3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステップ
;ならびに(d)細胞の第3の集団からCD11a-細胞を単離して、細胞の第4の集団
を製造するステップを含み、細胞の第4の集団がCD56+、CD3-およびCD11a
-であるILC3細胞を含む、ILC3細胞を製造する方法が本明細書で提供される。あ
る特定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因
子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1
α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α
およびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実
施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠い
ており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある
特定の実施形態では、第1の培地、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例え
ば、低分子量ヘパリンを含まない。
【0023】
ある特定の実施形態では、前記ILC3細胞は、RORγtおよびIL1R1を発現す
る。ある特定の実施形態では、前記ILC3細胞は、パーフォリンもEOMESも発現し
ない。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、添加される脱硫酸化グリコサミノグ
リカンを欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、脱硫酸化グリコサミ
ノグリカンを欠いている。
【0024】
ある特定の実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、哺乳類細胞である。具体
的な実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、ヒト細胞である。具体的な実施形
態では、前記造血幹脂肪または前駆細胞は、霊長類細胞である。具体的な実施形態では、
前記造血幹細胞または前駆細胞は、イヌ細胞である。具体的な実施形態では、前記造血幹
細胞または前駆細胞は、げっ歯類細胞である。具体的な実施形態では、前記造血幹細胞ま
たは前駆細胞は、ヒト、霊長類、イヌまたはげっ歯類以外の哺乳動物由来の細胞である。
【0025】
ある特定の態様では、第1の培地中で培養される造血幹細胞または前駆細胞は、CD3
4+幹細胞または前駆細胞である。ある特定の態様では、造血幹細胞または前駆細胞は、
胎盤造血幹細胞または前駆細胞である。ある特定の態様では、胎盤造血幹細胞または前駆
細胞は、胎盤潅流液から得られる、または得ることができる(例えば、胎盤潅流液から単
離された有核細胞から得られる、または得ることができる)。ある特定の態様では、前記
造血幹細胞または前駆細胞は、臍帯血から得られる、または得ることができる。ある特定
の態様では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、胎児肝臓細胞である。ある特定の態様で
は、前記造血幹細胞または前駆細胞は、動員末梢血細胞である。ある特定の態様では、前
記造血幹細胞または前駆細胞は、骨髄細胞である。
【0026】
ある特定の態様では、3段階法に使用される前記第1の培地は、幹細胞動員剤およびト
ロンボポエチン(Tpo)を含む。ある特定の態様では、3段階法に使用される第1の培
地は、幹細胞動員剤およびTpoに加えて、低分子量ヘパリン(LMWH)、Flt-3
リガンド(Flt-3L)、幹細胞因子(SCF)、IL-6、IL-7、顆粒球コロニ
ー刺激因子(G-CSF)または顆粒球・マクロファージ刺激因子(GM-CSF)のう
ちの1つまたは複数を含む。ある特定の態様では、前記第1の培地は、添加されるLMW
Hを含まない。ある特定の態様では、前記第1の培地は、添加される脱硫酸化グリコサミ
ノグリカンを含まない。ある特定の態様では、前記第1の培地は、LMWHを含まない。
ある特定の態様では、前記第1の培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを含まない。あ
る特定の態様では、3段階法に使用される第1の培地は、幹細胞動員剤およびTpoに加
えて、LMWH、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-
CSFのそれぞれを含む。ある特定の態様では、3段階法に使用される第1の培地は、幹
細胞動員剤およびTpoに加えて、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-C
SFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。ある特定の態様では、前記Tpoは、1ng
/mL~100ng/mL、1ng/mL~50ng/mL、20ng/mL~30ng
/mLまたは約25ng/mLの濃度で第1の培地中に存在する。ある特定の態様では、
第1の培地中に、LMWHは、1U/mL~10U/mLの濃度で存在し、Flt-3L
は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、SCFは、1ng/mL~50ng
/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存
在し、IL-7は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.
01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng
/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1の培地中に、F
lt-3Lは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、SCFは、1ng/mL
~50ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.01ng/mL~0.1ng/mL
の濃度で存在し、IL-7は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、G-CS
Fは、0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.
005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1の培
地中に、LMWHは、4U/mL~5U/mLの濃度で存在し、Flt-3Lは、20n
g/mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mL
の濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し
、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.2
0ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/
mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1の培地中に、Fl
t-3Lは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/m
L~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/
mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G
-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは
、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第
1の培地中に、LMWHは、約4.5U/mLの濃度で存在し、Flt-3Lは、約25
ng/mLの濃度で存在し、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、
約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約25ng/mLの濃度で存在し、
G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約0.01ng
/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1の培地中に、Flt-3Lは、約2
5ng/mLの濃度で存在し、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、IL-6は
、約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約25ng/mLの濃度で存在し
、G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約0.01n
g/mLの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、前記第1の培地は、GBGM(登
録商標)でない。
【0027】
ある特定の態様では、3段階法に使用される前記第2の培地は、幹細胞動員剤およびイ
ンターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている。ある特定の態様では、
3段階法に使用される第2の培地は、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、LMWH
、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのうちの1
つまたは複数を含む。ある特定の態様では、第2の培地は、添加されるLMWHを含まな
い。ある特定の態様では、第2の培地は、添加される脱硫酸化グリコサミノグリカンを含
まない。ある特定の態様では、第2の培地は、LMWHを含まない。ある特定の態様では
、第2の培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを含まない。ある特定の態様では、3段
階法に使用される第2の培地は、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、LMWH、F
lt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含
む。ある特定の態様では、3段階法に使用される第2の培地は、幹細胞動員剤およびIL
-15に加えて、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-C
SFのそれぞれを含む。ある特定の態様では、前記IL-15は、1ng/mL~50n
g/mL、10ng/mL~30ng/mLまたは約20ng/mLの濃度で前記第2の
培地中に存在する。ある特定の態様では、前記第2の培地中に、LMWHは、1U/mL
~10U/mLの濃度で存在し、Flt-3Lは、1ng/mL~50ng/mLの濃度
で存在し、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.
01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、1ng/mL~50n
g/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃
度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在す
る。ある特定の態様では、第2の培地中に、LMWHは、4U/mL~5U/mLの濃度
で第2の培地中に存在し、Flt-3Lは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存
在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.0
4ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30
ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの
濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在
する。ある特定の態様では、第2の培地中に、Flt-3Lは、20ng/mL~30n
g/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、
IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、2
0ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0
.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng
/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2の培地中に、LMWHは、4U/m
L~5U/mLの濃度で第2の培地中に存在し、Flt-3Lは、20ng/mL~30
ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し
、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、
20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~
0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5n
g/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2の培地中に、Flt-3Lは、2
0ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/
mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存
在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0
.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005n
g/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2の培地中に、
LMWHは、約4.5U/mLの濃度で第2の培地中に存在し、Flt-3Lは、約25
ng/mLの濃度で存在し、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、
約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約25ng/mLの濃度で存在し、
G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約0.01ng
/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2の培地中に、Flt-3Lは、約2
5ng/mLの濃度で存在し、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、IL-6は
、約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約25ng/mLの濃度で存在し
、G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約0.01n
g/mLの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、前記第2の培地は、GBGM(登
録商標)でない。
【0028】
ある特定の態様では、前記第1の培地、前記第2の培地または前記第1および第2の培
地に存在する幹細胞動員因子は、アリール炭化水素受容体阻害剤、例えば、アリール炭化
水素受容体アンタゴニストである。ある特定の態様では、前記アリール炭化水素受容体阻
害剤は、デスベラトロールである。ある特定の態様では、前記アリール炭化水素受容体阻
害剤は、以下の式
【0029】
【化1】
の化合物
(式中、
G
1は、NおよびCR
3から選択され、
G
2、G
3およびG
4は、CHおよびNから独立に選択され、ただし、G
3およびG
4
のうちの少なくとも1つは、Nであることを条件とし、ただし、G
1およびG
2は、両方
がNであるわけではないことを条件とし、
Lは、--NR
5a(CH
2)
0-3--、--NR
5aCH(C(O)OCH
3)C
H
2--、--NR
5a(CH
2)
2NR
5b--、--NR
5a(CH
2)
2S--、
--NR
5aCH
2CH(CH
3)CH
2--、--NR
5aCH
2CH(OH)--お
よび--NR
5aCH(CH
3)CH
2--から選択され、R
5aおよびR
5bは、水素
およびC
1-4アルキルから独立に選択され、
R
1は、水素、フェニル、チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソ
キノリニル、1H-イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、1H-ピ
ラゾリル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリダジニル
、1H-ピロリルおよびチアゾリルから選択され、R
1の前記フェニル、チオフェニル、
フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、1H-イミダゾピリジニル、ベ
ンゾチオフェニル、ピリミジニル、1H-ピラゾリル、ピリジニル、1H-イミダゾリル
、ピロリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリルまたはチアゾリルは、シア
ノ、ヒドロキシ、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C
1-4アル
キル、ハロ置換C
1-4アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、--C(O)R
8a、--S
(O)
0-2R
8a、--C(O)OR
8a および--C(O)NR
8aR
8bから独
立に選択される1~3個の基により任意選択で置換することができ、R
8aおよびR
8b
は、水素およびC
1-4アルキルから独立に選択され、ただし、R
1およびR
3は、両方
が水素であるわけではないことを条件とし、
R
2は、--S(O)
2NR
6aR
6b、--NR
9aC(O)R
9b、--NR
6a
C(O)NR
6bR
6c、フェニル、1H-ピロロピリジン-3-イル、1H-インドリ
ル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾ
リジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリ
ルおよび1H-インダゾリルから選択され、R
6a、R
6bおよびR
6cは、水素および
C
1-4アルキルから独立に選択され、R
2の前記フェニル、1H-ピロロピリジン-3
-イル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリ
ル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-
1H-ベンゾイミダゾリルまたは1H-インダゾリルは、ヒドロキシ、ハロ、メチル、メ
トキシ、アミノ、--O(CH
2)
nNR
7aR
7b、--S(O)
2NR
7aR
7b、
--OS(O)
2NR
7aR
7bおよび--NR
7aS(O)
2R
7bから独立に選択さ
れる1~3個の基で任意選択で置換され、R
7aおよびR
7bは、水素およびC
1-4ア
ルキルから独立に選択され、
R
3は、水素、C
1-4アルキルおよびビフェニルから選択され、
R
4は、C
1-10アルキル、プロパ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロ
プロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-3-イル、ベ
ンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-
4-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニ
ル)(フェニル)メチルおよび1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3
-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチ
ルから選択され、前記アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシル、2-(2-オキソピ
ロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-3-イル、オキセタン-2-イル、ベンズヒ
ドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イ
ル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル
、テトラヒドロフラン-2-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メ
チルまたは1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン
-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、
C
1-4アルキルおよびハロ置換C
1-4アルキルから独立に選択される1~3個の基で
任意選択で置換することができる)またはその塩である。
【0030】
ある特定の態様では、前記アリール炭化水素受容体阻害剤は、StemRegenin
-1(SR-1)(4-(2-(2-(ベンゾ[b]チオフェン-3-イル)-9-イソ
プロピル-9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)フェノール)である。ある特定の態
様では、前記アリール炭化水素受容体阻害剤は、化合物CH223191(1-メチル-
N-[2-メチル-4-[2-(2-メチルフェニル)ジアゼニル]フェニル-1H-ピ
ラゾール-5-カルボキサミド]である。
【0031】
ある特定の態様では、前記第1の培地、前記第2の培地または前記第1および第2の培
地に存在する幹細胞動員因子は、ピリミド(4,5-b)インドール誘導体である。ある
特定の態様では、前記ピリミド(4,5-b)インドール誘導体は、
【0032】
【化2】
のうちの1つもしくは複数
またはその塩もしくはプロドラッグであり、式中、
Zは、
1)-P(O)(OR<1>)(OR<1>)、
2)-C(0)OR<1>、
3)-C(0)NHR<1>、
4)-C(0)N(R)R<1>、
5)-C(0)R<1>、
6)-CN、
7)-SR、
8)-S(0)2NH2、
9)-S(0)2NHR<1>、
10)-S(0)2N(R)R<1>、
11)-S(0)R<1>、
12)-S(0)2R<1>、
13)-L、
14)1つ、2つもしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換され
ている-ベンジル、
15)Lおよびヘテロアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数の
R<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロアリール、
16)Lおよびヘテロシクリル基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数の
R<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロシクリル、
17)Lおよびヘテロアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数の
R<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-アリール、
18)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-ヘテロアリール、または
19)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-アリール
であり、各置換基は、それが既に存在していない場合には、L基に任意選択で結合してお
り、(R<1>)およびR<1>が窒素原子に結合している場合、任意選択でそれらは、
窒素原子と一緒になって、1つまたは複数のR<1>またはR<A>で任意選択で置換さ
れている、N、OおよびSから選択される1つもしくは複数の他のヘテロ原子を任意選択
で含む3~7員環を形成しており、
Wは、
1)-H、
2)-ハロゲン、
3)-OR<1>、
4)-L-OH、
5)-L-OR<1>、
6)-SR<1>、
7)-CN、
8)-P(0)(OR<1>)(OR<1>)、
9)-NHR<1>、
10)-N(R<1>)R<1>、
11)-L-NH2、
12)-L-NHR<1>、
13)-L-N(R<1>)R<1>、
14)-L-SR<1>、
15)-L-S(0)R<1>、
16)-L-S(0)2R<1>、
17)-L-P(0)(OR<1>)(OR<1>
18)-C(0)OR<1>、
19)-C(0)NH2、
20)-C(0)NHR<1>、
21)-C(0)N(R<1>)R<1>、
22)-NHC(0)R<1>、
23)-NR1C(0)R<1>、-NHC(0)0R<1>、
-NR1C(0)0R<1>、
-0C(0)NH2、
-0C(0)NHR<1>、
-0C(0)N(R)R<1>、
-0C(0)R<1>、
-C(0)R<1>、
-NHC(0)NH2、
-NHC(0)NHR<1>、
-NHC(0)N(R)R<1>、
-NRC(0)NH2、
-NRC(0)NHR<1>、
-NRC(0)N(R)R<1>、
-NHS(0)2R<1>、
-NRS(0)2R<1>、
-S(0)2NH2、
-S(0)2NHR<1>、
-S(0)2N(R)R<1>、
-S(0)R<1>、
-S(0)2R<1>、
-0S(0)2R1、
-S(0)20R<1>、
1つ、2つもしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-ベンジル、
Lおよびヘテロアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A
>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロアリール
Lおよびヘテロシクリル基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A
>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロシクリル、
Lおよびアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もし
くはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-アリール、
-L-NR<1>(R<1>)、
-L-)2NR<1>、
-L-(N(R1)-L)n-N(R1)R1、Lおよびヘテロアリール基のいずれかも
しくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で
置換されている-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリール、
Lおよびヘテロシクリル基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A
>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-(N(R<1>)-L)n
-ヘテロシクリル、
Lおよびアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もし
くはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-(N(R<1>)-L)n-アリ
ール、
-O-L-N(R)R<1>、
Lおよびヘテロアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A
>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-ヘテロアリール、
Lおよびヘテロシクリル基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A
>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-ヘテロシクリル、
Lおよびアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もし
くはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-アリール、
-O-L)2-NR<1>、
-O-L-(N(R )-L)n-N(R )R<1>、
Lおよびヘテロアリール基いずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>
もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-(N(R<1>)-L)
n-ヘテロアリール、
Lおよびヘテロシクリル基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A
>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-(N(R<1>)-L
)n-ヘテロシクリル、
1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-
L-(N(R<1>)-L)n-アリール、
1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-S-
L-ヘテロアリール、
1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-S-
L-ヘテロシクリル、
Lおよびアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もし
くはR<1>置換基で任意選択で置換されている-S-L-アリール、
-S-L)2NR1、
-S-L-(N(R1)-L)’’-N(R1)R1、
1つもしくは複数のR<A>置換基で任意選択で置換されている-S-L-(N(R<1
>)-L)n-ヘテロアリール、1つもしくは複数のR<A>置換基で任意選択で置換さ
れている-S-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリル、1つもしくは複数のR
<A>置換基で任意選択で置換されている-S-L-(N(R<1>)-L)n-アリー
ル、
-NR<1>(R<1>)、
-(N(R1)-L)n-N(R1)R1、
-N(R1)L)2-NR1、76)-(N(R1)-L)”-N(R1)RA、
77)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリール、
78)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリル、
79)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-(N(R<1>)-L)n-アリール、
80)1つもしくは複数のR<A>置換基で任意選択で置換されている-ヘテロアリール
、または
81)1つもしくは複数のR<A>置換基で任意選択で置換されている-アリール
であり、各置換基は、それが既に存在していない場合には、L基に任意選択で結合してお
り、2つのR<1>置換基が同じ窒素原子上に存在する場合、各R<1>置換基は、後に
述べるR<1>の値のリストから独立に選択され、
nは、0、1、2、3、4または5に等しい整数であり、
(R<1>)およびR<1>が窒素原子に結合している場合、任意選択でそれらは、窒素
原子と一緒になって、N、OおよびSから選択される1つまたは複数の他のヘテロ原子を
任意選択で含む3~7員環を形成しており、任意選択で環は、1つまたは複数のR<1>
またはR<A>で置換されており、
Lは、
1)-Ci~6アルキル、
2)-C2~6アルケニル、
3)-C2~6アルキニル、
4)-C3~7シクロアルキル、
5)-C3~7シクロアルケニル、
6)ヘテロシクリル、
7)-Ci~6アルキル-C3~7シクロアルキル、
8)-Ci~6アルキル-ヘテロシクリル、
9)アリール、または
10)ヘテロアリール
であり、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテ
ロシクリル、アリールおよびヘテロアリール基は、1つもしくは2つのR<A>置換基で
それぞれ独立に任意選択で置換されており、
Riは、
1)-H、
2)-C1~6アルキル、
3)-C2~6アルケニル、
4)-C2~6アルキニル、5)-C3~7シクロアルキル、
6)-C3~7シクロアルケニル、
7)-C1~5過フッ化、
8)-ヘテロシジル、
9)-アリール、
10)-ヘテロアリール、
11)-ベンジル、または
12)5-[(3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,
4-d]イミダゾール-4-イル]ペンタノイル
であり、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、ペルフルオロ化アルキ
ル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールおよびベンジル基は、1つ、2つまたは
3つのR<A>またはR<1>置換基でそれぞれ独立に任意選択で置換されており、
R2は、
1)-H、
2)-C1~6アルキル、
3)-SR、
4)-C(0)R1、
5)-S(0)R1、
6)-S(0)2R<1>、
7)1つ、2つもしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されて
いる-ベンジル、
8)Lおよびヘテロアリール基のいずれか1つもしくは両方に結合する1つもしくは複数
のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロアリール、
9)Lおよびヘテロシクリル基のいずれか1つもしくは両方に結合する1つもしくは複数
のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロシクリル、
10)Lおよびアリール基のいずれか1つもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR
<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-アリール、
11)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-ヘテロアリール、または
12)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-アリール
であり、各置換基は、それが既に存在していない場合にはL基に任意選択で結合されてお
り、
R<A>は、
1)-ハロゲン、
2)-CFs、3)-OH、
4)-OR<1>、
5)-L-OH、
6)-L-OR<1>、
7)-OCFs、
8)-SH、
9)-SR1、
10)-CN、
11)-NO2、
12)-NH2、
13)-NHR<1>、
14)-NR<1>R<1>、
15)-L-NH2、
16)-L-NHR<1>、
17)-L-NR<4>R<1>、
18)-L-SR<1>、
19)-L-S(0)R<1>、
20)-L-S(0)2R<1>、
21)-C(0)OH、
22)-C(0)OR<1>、
23)-C(0)NH2、
24)-C(0)NHR<1>、
25)-C(0)N(R<1>)R<1>、
26)-NHC(0)R<1>、
27)-NR1C(0)R<1>、
28)-NHC(0)OR<1>、
29)-NR1C(0)0R<1>、
30)-OC(0)NH2、
31)-OC(0)NHR<1>、
32)-OC(0)N(R)R<1>、
33)-OC(0)R<1>、
34)-C(0)R1、35)-NHC(0)NH2、
36)-NHC(0)NHR1、
37)-NHC(0)N(R)R<1>、
38)-NRC(0)NH2、
39)-NRC(0)NHR<1>、
40)-NR1C(0)N(R1)R1、
41)-NHS(0)2R<1>、
42)-NRS(0)2R<1>、
43)-S(0)2NH2、
44)-S(0)2NHR<1>、
45)-S(0)2N(R)R<1>、
46)-S(0)R<1>、
47)-S(0)2R<1>、
48)-0S(0)2R<1>、
49)-S(0)20R<1>、
50)-ベンジル、
51)-N3、または
52)-C(-N=N-)(CF3)
であり、ベンジル基は、1つ、2つもしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任
意選択で置換されている。
【0033】
ある特定の態様では、前記ピリミド(4,5-b)インドール誘導体は、以下の化学構
造
【0034】
【0035】
ある特定の態様では、前記ピリミド(4,5-b)インドール誘導体は、以下の化学構
造
【0036】
【0037】
ある特定の態様では、3段階法に使用される前記第3の培地は、IL-2およびIL-
15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いている。ある特定の態様では、3段階法
に使用される第3の培地は、IL-2およびIL-15に加えて、SCF、IL-6、I
L-7、G-CSFまたはGM-CSFのうちの1つまたは複数を含む。ある特定の態様
では、3段階法に使用される第3の培地は、IL-2およびIL-15に加えて、SCF
、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。ある特定の態
様では、前記IL-2は、10U/mL~10,000U/mLの濃度で前記第3の培地
中に存在し、前記IL-15は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で前記第3の培地
中に存在する。ある特定の態様では、前記IL-2は、100U/mL~10,000U
/mLの濃度で前記第3の培地中に存在し、前記IL-15は、1ng/mL~50ng
/mLの濃度で前記第3の培地中に存在する。ある特定の態様では、前記IL-2は、3
00U/mL~3,000U/mLの濃度で前記第3の培地中に存在し、前記IL-15
は、10ng/mL~30ng/mLの濃度で前記第3の培地中に存在する。ある特定の
態様では、前記IL-2は、約1,000U/mLの濃度で前記第3の培地中に存在し、
前記IL-15は、約20ng/mLの濃度で前記第3の培地中に存在する。ある特定の
態様では、前記第3の培地中に、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在
し、IL-6は、0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、
1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL~0
.50ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1ng
/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、前記第3の培地中に、SCFは、20n
g/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06
ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在
し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-C
SFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様で
は、前記第3の培地中に、SCFは、約22ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、約
0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約20ng/mLの濃度で存在し、G
-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.01ng/m
Lの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、GBGM(登録商標
)でない。
【0038】
ある特定の態様では、第3の培地は、100ng/mL IL-7、1000ng/m
L IL-2、20ng/mL IL-15および10μM SR1を含み、SCFを欠
いている。ある特定の態様では、第3の培地は、20ng/mL IL-7、1000n
g/mL IL-2、20ng/mL IL-15および10μM SR1を含み、SC
Fを欠いている。ある特定の態様では、第3の培地は、20ng/mL IL-7、20
ng/mL IL-15および10μM SR1を含み、SCFを欠いている。ある特定
の態様では、第3の培地は、100ng/mL IL-7、22ng/mL SCF、1
000ng/mL IL-2および20ng/mL IL-15を含み、SR1を欠いて
いる。ある特定の態様では、第3の培地は、22ng/mL SCF、1000ng/m
L IL-2および20ng/mL IL-15を含み、SR1を欠いている。ある特定
の態様では、第3の培地は、20ng/mL IL-7、22ng/mL SCF、10
00ng/mL IL-2および20ng/mL IL-15を含み、SR1を欠いてい
る。ある特定の態様では、第3の培地は、20ng/mL IL-7、22ng/mL
SCFおよび1000ng/mL IL-2を含み、SR1を欠いている。
【0039】
ある特定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑
制因子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP
-1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-
1αおよびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的
な実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを
欠き、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある特
定の実施形態では、第1の培地、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例えば
、低分子量ヘパリンを含まない。
【0040】
一般的に、特定する形で列挙する培地成分は、前記培地の組成不明の成分中の、例えば
、血清中の可能な成分を指すものでない。例えば、前記Tpo、IL-2およびIL-1
5は、第1の培地、第2の培地または第3の培地の組成不明の成分中に含まれない、例え
ば、前記Tpo、IL-2およびIL-15は、血清中に含まれない。さらに、前記LM
WH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよび/またはGM-CS
Fは、第1の培地、第2の培地または第3の培地の組成不明の成分中に含まれない、例え
ば、前記LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよび/また
はGM-CSFは、血清中に含まれない。
【0041】
ある特定の態様では、前記第1の培地、第2の培地または第3の培地は、ヒト血清AB
を含む。ある特定の態様では、前記第1の培地、第2の培地または第3の培地のいずれも
、1%~20%のヒト血清AB、5%~15%のヒト血清ABまたは約2、5もしくは1
0%のヒト血清ABを含む。
【0042】
ある特定の態様では、前記第1の培地、第2の培地または第3の培地のいずれも、2-
メルカプトエタノールを含む。ある特定の態様では、前記第1の培地、第2の培地または
第3の培地のいずれも、ゲンタマイシンを含む。
【0043】
本明細書で述べる3段階法における、ある特定の実施形態では、前記造血幹細胞または
前駆細胞を、前記第2の培地中で前記培養するステップの前に1、2、3、4、5、6、
7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または2
0日間にわたり前記第1の培地中で培養する。ある特定の実施形態では、細胞を、前記第
3の培地中で前記培養するステップの前に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、
11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20日間にわたり前記
第2の培地中で培養する。ある特定の実施形態では、細胞を、1、2、3、4、5、6、
7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、2
1、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30日間または30日を
超える期間にわたり前記第3の培地中で培養する。
【0044】
本明細書で述べる3段階法における、一実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞
を前記第1の培地中で7~13日間培養して、細胞の第1の集団を製造し、細胞の前記第
1の集団を前記第2の培地中で2~6日間培養して、細胞の第2の集団を製造し、細胞の
前記第2の集団を前記第3の培地中で10~30日間培養する、すなわち、細胞を合計1
9~49日間培養する。
【0045】
本明細書で述べる3段階法における、一実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞
を前記第1の培地中で8~12日間培養して、細胞の第1の集団を製造し、細胞の前記第
1の集団を前記第2の培地中で3~5日間培養して、細胞の第2の集団を製造し、細胞の
前記第2の集団を前記第3の培地中で15~25日間培養する、すなわち、細胞を合計2
6~42日間培養する。
【0046】
本明細書で述べる3段階法における、具体的な実施形態では、前記造血幹細胞または前
駆細胞を前記第1の培地中で10日間培養して、細胞の第1の集団を製造し、細胞の前記
第1の集団を前記第2の培地中で4日間培養して、細胞の第2の集団を製造し、細胞の前
記第2の集団を前記第3の培地中で21日間培養する、すなわち、細胞を合計35日間培
養する。
【0047】
ある特定の態様では、前記第1の培地、第2の培地および第3の培地中で前記培養する
ステップは、すべて静的培養条件下で、例えば、培養皿または培養フラスコ中で行われる
。特定の態様では、前記第1の培地、第2の培地または第3の培地のうちの少なくとも1
つで前記培養するステップは、スピナーフラスコ中で行われる。ある特定の態様では、前
記第1の培地および前記第2の培地中で前記培養するステップは、静的培養条件下で行わ
れ、前記第3の培地中で前記培養するステップは、スピナーフラスコ中で行われる。
【0048】
ある特定の態様では、前記培養するステップは、スピナーフラスコ中で行われる。他の
態様では、前記培養するステップは、G-Rexデバイスで行われる。さらに他の態様で
は、前記培養するステップは、WAVEバイオリアクター中で行われる。
【0049】
ある特定の態様では、前記造血幹細胞または前駆細を1×104~1×105細胞/m
Lで前記第1の培地中に最初に接種する。具体的な態様では、前記造血幹細胞または前駆
細を3×104細胞/mLで前記第1の培地中に最初に接種する。
【0050】
ある特定の態様では、細胞の前記第1の集団を5×104~5×105細胞/mLで前
記第2の培地中に最初に接種する。具体的な態様では、細胞の前記第1の集団を1×10
5細胞/mLで前記第2の培地中に最初に接種する。
【0051】
ある特定の態様では、細胞の前記第2の集団を1×105~5×106細胞/mLで前
記第3の培地中に最初に接種する。ある特定の態様では、細胞の前記第2の集団を1×1
05~1×106細胞/mLで前記第3の培地中に最初に接種する。具体的な態様では、
細胞の前記第2の集団を約5×105細胞/mLで前記第3の培地中に最初に接種する。
より具体的な態様では、細胞の前記第2の集団をスピナーフラスコ中で約5×105細胞
/mLで前記第3の培地中に最初に接種する。具体的な態様では、細胞の前記第2の集団
を約3×105細胞/mLで前記第3の培地中に最初に接種する。より具体的な態様では
、細胞の前記第2の集団を静的培養で約3×105細胞/mLで前記第3の培地中に最初
に接種する。
【0052】
ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、前記第1の培地中に最初に接種
された造血幹細胞の数と比較して少なくとも5000倍多いナチュラルキラー細胞を製造
する。ある特定の態様では、前記3段階法は、前記第1の培地中に最初に接種された造血
幹細胞の数と比較して少なくとも10,000倍多いナチュラルキラー細胞を製造する。
ある特定の態様では、前記3段階法は、前記第1の培地中に最初に接種された造血幹細胞
の数と比較して少なくとも50,000倍多いナチュラルキラー細胞を製造する。ある特
定の態様では、前記3段階法は、前記第1の培地中に最初に接種された造血幹細胞の数と
比較して少なくとも75,000倍多いナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態
様では、前記ナチュラルキラー細胞の生存率を7-アミノアクチノマイシンD(7AAD
)染色により決定する。ある特定の態様では、前記ナチュラルキラー細胞の生存率をアネ
キシンV染色により決定する。具体的な態様では、前記ナチュラルキラー細胞の生存率を
7AAD染色およびアネキシンV染色の両方により決定する。ある特定の態様では、前記
ナチュラルキラー細胞の生存率をトリパンブルー染色により決定する。
【0053】
ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、前記第1の培地中に最初に接種
された造血幹細胞の数と比較して少なくとも5000倍多いILC3細胞を製造する。あ
る特定の態様では、前記3段階法は、前記第1の培地中に最初に接種された造血幹細胞の
数と比較して少なくとも10,000倍多いILC3細胞を製造する。ある特定の態様で
は、前記3段階法は、前記第1の培地中に最初に接種された造血幹細胞の数と比較して少
なくとも50,000倍多いILC3細胞を製造する。ある特定の態様では、前記3段階
法は、前記第1の培地中に最初に接種された造血幹細胞の数と比較して少なくとも75,
000倍多いILC3細胞を製造する。
【0054】
ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、少なくとも20%のCD56+
CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様
では、3段階法は、少なくとも40%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む
ナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、少なくとも60%
のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。あ
る特定の態様では、3段階法は、少なくとも70%のCD56+CD3-ナチュラルキラ
ー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、少な
くとも75%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を
製造する。ある特定の態様では、3段階法は、少なくとも80%のCD56+CD3-ナ
チュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。
【0055】
ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、少なくとも20%のCD56+
CD3-CD11a+ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。あ
る特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、少なくとも40%のCD56+CD
3-CD11a+ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特
定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、少なくとも60%のCD56+CD3-
CD11a+ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の
態様では、本明細書で開示する3段階法は、少なくとも80%のCD56+CD3-CD
11a+ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。
【0056】
ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、少なくとも20%のCD56+
CD3-CD11a-ILC3細胞を含むILC3細胞を製造する。ある特定の態様では
、本明細書で開示する3段階法は、少なくとも40%のCD56+CD3-CD11a-
ILC3細胞を含むILC3細胞を製造する。ある特定の態様では、本明細書で開示する
3段階法は、少なくとも60%のCD56+CD3-CD11a-ILC3細胞を含むI
LC3細胞を製造する。ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、少なくと
も80%のCD56+CD3-CD11a-ILC3細胞を含むナチュラルキラー細胞を
製造する。
【0057】
ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、前記ナチュラルキラー細胞およ
びK562細胞を10:1の比でin vitroで共培養した場合に前記K562細胞
に対して少なくとも20%の細胞傷害性を示すナチュラルキラー細胞を製造する。ある特
定の態様では、3段階法は、前記ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の
比でin vitroで共培養した場合に前記K562細胞に対して少なくとも35%の
細胞傷害性を示すナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、
前記ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の比でin vitroで共培
養した場合に前記K562細胞に対して少なくとも45%の細胞傷害性を示すナチュラル
キラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、前記ナチュラルキラー細胞お
よびK562細胞を10:1の比でin vitroで共培養した場合に前記K562細
胞に対して少なくとも60%の細胞傷害性を示すナチュラルキラー細胞を製造する。ある
特定の態様では、3段階法は、前記ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1
の比でin vitroで共培養した場合に前記K562細胞に対して少なくとも75%
の細胞傷害性を示すナチュラルキラー細胞を製造する。
【0058】
ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、前記ILC3細胞およびK56
2細胞を10:1の比でin vitroで共培養した場合に前記K562細胞に対して
少なくとも20%の細胞傷害性を示すILC3細胞を製造する。ある特定の態様では、3
段階法は、前記ILC3細胞およびK562細胞を10:1の比でin vitroで共
培養した場合に前記K562細胞に対して少なくとも35%の細胞傷害性を示すILC3
細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、前記ILC3細胞およびK562細
胞を10:1の比でin vitroで共培養した場合に前記K562細胞に対して少な
くとも45%の細胞傷害性を示すILC3細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階
法は、前記ILC3細胞およびK562細胞を10:1の比でin vitroで共培養
した場合に前記K562細胞に対して少なくとも60%の細胞傷害性を示すILC3細胞
を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、前記ILC3細胞およびK562細胞を
10:1の比でin vitroで共培養した場合に前記K562細胞に対して少なくと
も75%の細胞傷害性を示すILC3細胞を製造する。
【0059】
ある特定の態様では、前記第3の培養するステップの後に、細胞の前記第3の集団、例
えば、ナチュラルキラー細胞の前記集団を凍結保存する。ある特定の態様では、前記第4
の培養するステップの後に、細胞の前記第4の集団、例えば、ナチュラルキラー細胞の前
記集団を凍結保存する。
【0060】
ある特定の態様では、ナチュラルキラー細胞、すなわち、本明細書で述べた3段階法に
より製造されたナチュラルキラー細胞を含む細胞の集団が本明細書で提供される。したが
って、本明細書で述べた3段階法により製造された単離ナチュラルキラー細胞集団が本明
細書で提供される。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくと
も20%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施形態では、前
記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも40%のCD56+CD3-ナチュラルキラ
ー細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも6
0%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナ
チュラルキラー細胞集団は、少なくとも80%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細
胞を含む。具体的な実施形態では、ナチュラルキラー細胞集団をin vivoでの使用
に適する、例えば、in vivoでのヒト使用に適する医薬組成物に製剤化する。
【0061】
ある特定の態様では、ILC3細胞、すなわち、本明細書で述べた3段階法により製造
されたナチュラルキラー細胞を含む細胞の集団が本明細書で提供される。具体的な実施形
態では、ILC3細胞を含む細胞の集団をin vivoでの使用に適する、例えば、i
n vivoでのヒト使用に適する医薬組成物に製剤化する。
【0062】
一実施形態では、単離NK前駆細胞集団が本明細書で提供され、前記NK前駆細胞は、
本明細書で述べた3段階法により製造される。具体的な実施形態では、NK前駆細胞集団
をin vivoでの使用に適する、例えば、in vivoでのヒト使用に適する医薬
組成物に製剤化する。
【0063】
別の実施形態では、単離成熟NK細胞集団が本明細書で提供され、前記成熟NK細胞は
、本明細書で述べた3段階法により製造される。具体的な実施形態では、成熟NK細胞集
団をin vivoでの使用に適する、例えば、in vivoでのヒト使用に適する医
薬組成物に製剤化する。
【0064】
別の実施形態では、単離ILC3集団が本明細書で提供され、前記ILC3細胞は、本
明細書で述べた3段階法により製造される。具体的な実施形態では、単離ILC3集団を
in vivoでの使用に適する、例えば、in vivoでのヒト使用に適する医薬組
成物に製剤化する。
【0065】
別の実施形態では、細胞集団が本明細書で提供され、前記細胞集団は、本明細書で述べ
た方法により製造される細胞の第3の集団である。別の実施形態では、細胞集団が本明細
書で提供され、前記細胞集団は、本明細書で述べた方法により製造される細胞の第4の集
団である。
【0066】
別の実施形態では、単離NK細胞集団が本明細書で提供され、前記NK細胞は、活性化
されており、前記活性化NK細胞は、本明細書で述べた3段階法により製造される。具体
的な実施形態では、単離NK集団をin vivoでの使用に適する、例えば、in v
ivoでのヒト使用に適する医薬組成物に製剤化する。
【0067】
したがって、別の態様では、腫瘍細胞の増殖を抑制するための、ウイルス感染を治療す
るための、またはがん、例えば、血液がんおよび充実性腫瘍を治療するための本明細書で
述べた3段階法を使用して製造されたNK細胞集団の使用が本明細書で提供される。ある
特定の実施形態では、NK細胞集団を免疫調節化合物、例えば、本明細書で述べる免疫調
節化合物またはサリドマイドと接触させるか、または組み合わせて使用する。ある特定の
実施形態では、NK細胞集団を免疫調節化合物、例えば、本明細書で述べる免疫調節化合
物またはサリドマイドで処理するか、またはそれと組み合わせて使用する。
【0068】
具体的な実施形態では、前記がんは、充実性腫瘍である。別の実施形態では、前記がん
は、血液がんである。具体的な実施形態では、がんは、膠芽腫、原発性乳管癌、白血病、
急性T細胞白血病、慢性骨髄性リンパ腫(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性
骨髄性白血病(CML)、肺癌、結腸腺癌、組織球性リンパ腫、結腸直腸癌、結腸直腸腺
癌、前立腺がん、多発性骨髄腫または網膜芽腫である。より具体的な実施形態では、がん
は、AMLである。より具体的な実施形態では、がんは、多発性骨髄腫である。
【0069】
別の具体的な実施形態では、NK細胞集団が製造される、造血細胞、例えば、造血幹細
胞または前駆細胞は、胎盤潅流液、臍帯血または末梢血から得られる。一実施形態では、
NK細胞集団が製造される、造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞は、胎盤から
、例えば、胎盤潅流液から得られる。一実施形態では、NK細胞集団が製造される、造血
細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞は、臍帯血から得られない。一実施形態では、
NK細胞集団が製造される、造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞は、末梢血か
ら得られない。別の具体的な実施形態では、NK細胞集団が製造される、造血細胞、例え
ば、造血幹細胞または前駆細胞は、胎盤潅流液および臍帯血、例えば、潅流液と同じ胎盤
由来の臍帯血に由来する混合細胞である。別の具体的な実施形態では、前記臍帯血は、前
記胎盤潅流液が得られる胎盤以外の胎盤から単離する。ある特定の実施形態では、混合細
胞は、臍帯血および胎盤潅流液をプールすることまたは合わせることにより得ることがで
きる。ある特定の実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を100:1、95:5、90
:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、
55:45:50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:7
5、20:80、15:85、10:90、5:95、100:1、95:1、90:1
、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1
、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1
、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:
35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:
75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100、または同様の容量比で合
わせて、混合細胞を得る。具体的な実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を10:1~
1:10、5:1~1:5または3:1~1:3の比で合わせる。別の具体的な実施形態
では、臍帯血および胎盤潅流液を10:1、5:1、3:1、1:1、1:3、1:5ま
たは1:10の比で合わせる。より具体的な実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を8
.5:1.5(85%:15%)の比で合わせる。
【0070】
ある特定の実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を、総有核細胞(TNC)含量によ
り決定される、100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:2
5、70:30、65:35、60:40、55:45:50:50、45:55、40
:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、
5:95、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1
、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1
、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:
15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:
55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:
95、1:100、または同様の比で合わせて、混合細胞を得る。具体的な実施形態では
、臍帯血および胎盤潅流液を10:1~1:10、5:1~1:5または3:1~1:3
の比で合わせる。別の具体的な実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を10:1、5:
1、3:1、1:1、1:3、1:5または1:10の比で合わせる。
【0071】
一実施形態では、したがって、本明細書で述べた3段階法を使用して製造した単離NK
細胞集団の有効量の細胞を個体に投与するステップを含む、がんまたはウイルス感染を有
する前記個体を治療する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、がんは
、充実性腫瘍である。ある特定の実施形態では、がんは、血液がんである。具体的な実施
形態では、血液がんは、白血病である。別の具体的な実施形態では、血液がんは、リンパ
腫である。別の具体的な実施形態では、血液がんは、急性骨髄性白血病である。別の具体
的な実施形態では、血液がんは、慢性リンパ球性白血病である。別の具体的な実施形態で
は、血液がんは、慢性骨髄性白血病である。ある特定の態様では、前記接触させるステッ
プまたは前記投与するステップの前に前記ナチュラルキラー細胞が凍結保存されている。
他の態様では、前記接触させるステップまたは前記投与するステップの前に前記ナチュラ
ルキラー細胞が凍結保存されていない。
【0072】
具体的な実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して製造したNK細胞集団は
、前記投与するステップの前に、免疫調節化合物、例えば、本明細書で述べる免疫調節化
合物またはサリドマイドで処理した。具体的な実施形態では、本明細書で述べた3段階法
を使用して製造したNK細胞集団は、前記投与するステップの前に、IL2およびIL1
2およびIL18、IL12およびIL15、IL12およびIL18、IL2およびI
L12およびIL15およびIL18、またはIL2およびIL15およびIL18で処
理した。別の具体的な実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して製造した単離
NK細胞集団は、前記投与するステップの前にIL2、IL12、IL18またはIL1
5のうちの1つまたは複数で前処理した。別の具体的な実施形態では、方法は、(1)本
明細書で述べた3段階法を使用して製造した、有効量の単離NK細胞集団;および(2)
有効量の免疫調節化合物またはサリドマイドを個体に投与するステップを含む。この文脈
における「有効量」は、NK細胞集団および、任意選択で、免疫調節化合物またはサリド
マイドを投与しなかった前記がんまたは前記感染を有する個体と比較して、前記がんまた
は前記感染の1つもしくは複数の症状の検出可能な改善をもたらす、前記NK細胞集団に
おける細胞、および任意選択で免疫調節化合物またはサリドマイドの量を意味する。具体
的な実施形態では、前記免疫調節化合物は、レナリドミドまたはポマリドミドである。別
の実施形態では、方法は、抗がん化合物、例えば、下記の抗がん化合物のうちの1つまた
は複数を個体に投与するステップをさらに含む。
【0073】
別の実施形態では、治療有効量のNK細胞集団を腫瘍細胞と近接させるステップ、例え
ば、腫瘍細胞をNK細胞集団における細胞と接触させるステップを含む腫瘍細胞の増殖を
抑制する方法が本明細書で提供される。以後、特に示さない限り、「近接」という用語は
、所望の結果を生じさせるのに十分に近いことを意味するものであり、例えば、ある特定
の実施形態では、近接という用語は、接触を意味する。ある特定の実施形態では、前記接
触させるステップがin vitroで行われる。ある特定の実施形態では、前記接触さ
せるステップがex vivoで行われる。他の実施形態では、前記接触させるステップ
がin vivoで行われる。治療有効量のNK細胞集団を腫瘍細胞と近接させるステッ
プ、例えば、腫瘍細胞をNK細胞集団における細胞と接触させるステップを含む腫瘍細胞
の増殖を抑制する方法に複数のNK細胞を使用することができる。ある特定の実施形態で
は、前記腫瘍細胞は、乳がん細胞、頭頸部がん細胞または肉腫細胞である。ある特定の実
施形態では、前記腫瘍細胞は、原発性乳管癌細胞、白血病細胞、急性T細胞白血病細胞、
慢性骨髄性リンパ腫(CML)細胞、慢性骨髄性白血病(CML)細胞、肺癌細胞、結腸
腺癌細胞、組織球性リンパ腫細胞、結腸直腸癌細胞、結腸直腸腺癌細胞または網膜芽腫細
胞である。
【0074】
一実施形態では、腫瘍細胞を複数のナチュラルキラー細胞と接触させるステップを含み
、ナチュラルキラー細胞が本明細書で述べた方法により製造される、腫瘍細胞の増殖を抑
制する方法に使用する複数のナチュラルキラー細胞が本明細書で提供される。ある特定の
実施形態では、前記接触させるステップがヒト個体において行われる。ある特定の実施形
態では、前記方法は、前記ナチュラルキラー細胞を前記個体に投与するステップを含む。
ある特定の実施形態では、前記腫瘍細胞は、多発性骨髄腫細胞である。ある特定の実施形
態では、前記腫瘍細胞は、急性骨髄性白血病(AML)細胞である。ある特定の実施形態
では、前記個体は、再発性/難治性AMLを有する。ある特定の実施形態では、前記個体
は、AMLに対する少なくとも1回の非生得リンパ球(ILC)療法が奏功しなかったA
MLを有する。ある特定の実施形態では、前記個体は、65歳以上であり、第1寛解期に
ある。ある特定の実施形態では、前記個体は、前記NK細胞を投与する前にフルダラビン
、シタラビンまたは両方でコンディショニングされている。ある特定の実施形態では、前
記腫瘍細胞は、乳がん細胞、頭頸部がん細胞または肉腫細胞である。ある特定の実施形態
では、前記腫瘍細胞は、原発性乳管癌細胞、白血病細胞、急性T細胞白血病細胞、慢性骨
髄性リンパ腫(CML)細胞、慢性骨髄性白血病(CML)細胞、肺癌細胞、結腸腺癌細
胞、組織球性リンパ腫細胞、結腸直腸癌細胞、結腸直腸腺癌細胞または網膜芽腫細胞であ
る。ある特定の実施形態では、前記腫瘍細胞は、充実性腫瘍細胞、肝臓腫瘍細胞、肺腫瘍
細胞、膵臓腫瘍細胞、腎臓腫瘍細胞または多形性膠芽腫(GBM)細胞である。ある特定
の実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞を抗CD33抗体、抗CD20抗体、抗CD
138抗体または抗CD32抗体とともに投与する。ある特定の実施形態では、前記接触
させるステップまたは前記投与するステップの前に前記NK細胞が凍結保存されているか
、または凍結保存されていない。
【0075】
NK細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は、全身または局所であり得る。具体
的な実施形態では、投与は、非経口的である。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞
の単離集団またはその医薬組成物の投与は、注射、注入、静脈内(IV)投与、大腿内投
与または腫瘍内投与による。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞の単離集団または
その医薬組成物の投与は、デバイス、マトリックスまたは足場を用いて実施する。具体的
な実施形態では、対象へのNK細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は、注射によ
る。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は
、カテーテルによる。具体的な実施形態では、NK細胞の注射は、局所注射である。より
具体的な実施形態では、局所注射は、充実性腫瘍(例えば、肉腫)中への直接的注射であ
る。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は
、注射器による注射による。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞の単離集団または
その医薬組成物の投与は、誘導送達による。具体的な実施形態では、注射による対象への
NK細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は、腹腔鏡検査、内視鏡検査、超音波、
コンピュータ断層撮影、磁気共鳴または放射線学により補助される。
【0076】
具体的な実施形態では、前記接触させるステップまたは近接させるステップの前に、本
明細書で述べた3段階法を使用して製造した単離NK細胞集団を免疫調節化合物、例えば
、本明細書で、以下で述べる免疫調節化合物もしくはサリドマイド、ならびに/またはI
L2およびIL12およびIL18、IL12およびIL15、IL12およびIL18
、IL2およびIL12およびIL15およびIL18もしくはIL2およびIL15お
よびIL18で処理した。別の具体的な実施形態では、前記接触させるステップまたは近
接させるステップの前に、本明細書で述べた3段階法を使用して製造した単離NK細胞集
団をIL2、IL12、IL18またはIL15のうちの1つまたは複数で処理した。別
の具体的な実施形態では、有効量の免疫調節化合物、例えば、本明細書で、以下で述べる
免疫調節化合物もしくはサリドマイドを腫瘍細胞と近接させる、例えば、腫瘍細胞を免疫
調節化合物もしくはサリドマイドと接触させる。この文脈における「有効量」は、NK細
胞集団における細胞、および任意選択で免疫調節化合物またはサリドマイドと接触も近接
もさせていない同等の数の腫瘍細胞と比較して前記腫瘍細胞の検出可能な抑制をもたらす
NK細胞集団における細胞、および任意選択で免疫調節化合物またはサリドマイドの量を
意味する。別の具体的な実施形態では、方法は、有効量の抗がん化合物、例えば、以下で
述べる抗がん化合物を腫瘍細胞と近接させるステップ、例えば、腫瘍細胞を抗がん化合物
と接触させるステップをさらに含む。
【0077】
この方法の具体的な実施形態では、腫瘍細胞は、血液がん細胞である。別の具体的な実
施形態では、腫瘍細胞は、充実性腫瘍細胞である。別の実施形態では、腫瘍細胞は、原発
性乳管癌細胞、白血病細胞、急性T細胞白血病細胞、慢性骨髄性リンパ腫(CML)細胞
、急性骨髄性白血病細胞(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)細胞、膠芽腫細胞、肺
癌細胞、結腸腺癌細胞、組織球性リンパ腫細胞、多発性骨髄腫細胞、網膜芽腫細胞、結腸
直腸癌細胞、前立腺がん細胞または結腸直腸腺癌細胞である。より具体的な実施形態では
、腫瘍細胞は、AML細胞である。より具体的な実施形態では、腫瘍細胞は、多発性骨髄
腫細胞である。別の具体的な実施形態では、前記接触させるステップまたは近接させるス
テップがin vitroで行われる。別の具体的な実施形態では、前記接触させるステ
ップまたは近接させるステップがex vivoで行われる。別の具体的な実施形態では
、前記接触させるステップまたは近接させるステップがin vivoで行われる。より
具体的な実施形態では、前記in vivoで接触させるステップまたは近接させるステ
ップがヒトにおいて行われる。具体的な実施形態では、前記腫瘍細胞は、充実性腫瘍細胞
である。具体的な実施形態では、前記腫瘍細胞は、肝臓腫瘍細胞である。具体的な実施形
態では、前記腫瘍細胞は、肺腫瘍細胞である。具体的な実施形態では、前記腫瘍細胞は、
膵臓腫瘍細胞である。具体的な実施形態では、前記腫瘍細胞は、腎臓腫瘍細胞である。具
体的な実施形態では、前記腫瘍細胞は、多形性膠芽腫(GBM)細胞である。具体的な実
施形態では、前記ナチュラルキラー細胞を抗体とともに投与する。具体的な実施形態では
、前記ナチュラルキラー細胞を抗CD33抗体とともに投与する。具体的な実施形態では
、前記ナチュラルキラー細胞を抗CD20抗体とともに投与する。具体的な実施形態では
、前記ナチュラルキラー細胞を抗CD138抗体とともに投与する。具体的な実施形態で
は、前記ナチュラルキラー細胞を抗CD32抗体とともに投与する。
【0078】
別の態様では、(1)レナリドミド;(2)メルファラン;および(3)個体における
多発性骨髄腫を治療するのに有効である、NK細胞を個体に投与するステップを含む、多
発性骨髄腫を有する前記個体を治療する方法が本明細書で提供される。具体的な実施形態
では、前記NK細胞は、臍帯血NK細胞であるかまたは臍帯血造血細胞、例えば、造血幹
細胞から製造されたNK細胞である。別の実施形態では、前記NK細胞は、NK細胞を製
造するための、例えば、3段階法を使用してNK細胞集団を製造するための本明細書で述
べた方法のいずれかにより製造された。別の実施形態では、前記NK細胞は、前記投与す
るステップの前に増幅させた。別の実施形態では、前記レナリドミド、メルファランおよ
び/またはNK細胞を互いに別個に投与する。多発性骨髄腫を有する個体を治療する方法
のある特定の具体的な実施形態では、前記NK細胞集団は、本明細書で述べた、3段階法
により製造される。
【0079】
別の態様では、個体における急性骨髄性白血病(AML)を治療するのに有効である、
NK細胞(IL2およびIL12およびIL18、IL12およびIL15、IL12お
よびIL18、IL2およびIL12およびIL15およびIL18またはIL2および
IL15およびIL18による前処理によって任意選択で活性化させた)を個体に投与す
るステップを含む、AMLを有する前記個体を治療する方法が本明細書で提供される。具
体的な実施形態では、前記投与するステップの前に本明細書で述べた3段階法を使用して
製造した単離NK細胞集団をIL2、IL12、IL18またはIL15のうちの1つま
たは複数により前処理した。具体的な実施形態では、前記NK細胞は、臍帯血NK細胞で
あるか、または臍帯血造血細胞、例えば、造血幹細胞から製造されたNK細胞である。別
の実施形態では、前記NK細胞は、NK細胞を製造するための、例えば、本明細書で示し
た3段階法を使用してNK細胞集団を製造するための本明細書で述べた方法のいずれかに
より製造された。AMLを有する個体を治療する方法のある特定の具体的な実施形態では
、前記NK細胞集団は、本明細書で述べた、3段階法により製造される。特定の実施形態
では、前述の方法により治療されるべきAMLは、難治性AML、予後不良AMLまたは
小児AMLを含む。ある特定の実施形態では、前記個体は、AMLに対する少なくとも1
回の非ナチュラルキラー細胞または非生得リンパ球療法が奏功しなかったAMLを有する
。具体的な実施形態では、前記個体は、65歳以上であり、第1寛解期にある。具体的な
実施形態では、前記個体は、前記ナチュラルキラー細胞を投与する前にフルダラビン、シ
タラビンまたは両方でコンディショニングされている。別の態様では、治療有効量の(1
)レナリドミド;(2)メルファラン;(3)フルダラビン;および(4)個体における
慢性リンパ球性白血病(CLL)を治療するのに有効である、NK細胞、例えば、本明細
書で述べた3段階法を使用して製造したNK細胞集団を個体に投与するステップを含む、
前記CLLを有する前記個体を治療する方法が本明細書で提供される。具体的な実施形態
では、前記NK細胞は、臍帯血NK細胞であるか、または臍帯血造血細胞、例えば、造血
幹細胞から製造されたNK細胞である。別の実施形態では、前記NK細胞は、NK細胞を
製造するための、例えば、本明細書で述べた3段階法を使用してNK細胞集団を製造する
ための本明細書で述べた方法のいずれかにより製造された。上記の方法のいずれかの具体
的な実施形態では、前記レナリドミド、メルファラン、フルダラビンおよび増幅NK細胞
を前記個体に別個に投与する。CLLを有する個体を治療する方法のある特定の具体的な
実施形態では、前記NK細胞集団は、本明細書で述べた3段階法により製造される。
【0080】
別の実施形態では、治療有効量のILC3細胞集団を腫瘍細胞と近接させるステップ、
例えば、腫瘍細胞をILC3細胞集団における細胞と接触させるステップを含む腫瘍細胞
の増殖を抑制する方法が本明細書で提供される。以後、特に示さない限り、「近接」とい
う用語は、所望の結果を生じさせるのに十分に近いことを意味するものであり、例えば、
ある特定の実施形態では、近接という用語は、接触を意味する。ある特定の実施形態では
、前記接触させるステップがin vitroで行われる。ある特定の実施形態では、前
記接触させるステップがex vivoで行われる。他の実施形態では、前記接触させる
ステップがin vivoで行われる。治療有効量のILC3細胞集団を腫瘍細胞と近接
させるステップ、例えば、腫瘍細胞をILC3細胞集団における細胞と接触させるステッ
プを含む腫瘍細胞の増殖を抑制する方法に複数のILC3細胞を使用することができる。
ある特定の実施形態では、前記腫瘍細胞は、乳がん細胞、頭頸部がん細胞または肉腫細胞
である。ある特定の実施形態では、前記腫瘍細胞は、原発性乳管癌細胞、白血病細胞、急
性T細胞白血病細胞、慢性骨髄性リンパ腫(CML)細胞、慢性骨髄性白血病(CML)
細胞、肺癌細胞、結腸腺癌細胞、組織球性リンパ腫細胞、結腸直腸癌細胞、結腸直腸腺癌
細胞または網膜芽腫細胞である。
【0081】
一実施形態では、腫瘍細胞を複数のILC3細胞と接触させるステップを含み、ILC
3細胞が本明細書で述べた方法により製造される、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法に使用
する複数のILC3細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、前記接触さ
せるステップがヒト個体において行われる。ある特定の実施形態では、前記方法は、前記
ILC3細胞を前記個体に投与するステップを含む。ある特定の実施形態では、前記腫瘍
細胞は、多発性骨髄腫細胞である。ある特定の実施形態では、前記腫瘍細胞は、急性骨髄
性白血病(AML)細胞である。ある特定の実施形態では、前記個体は、再発性/難治性
AMLを有する。ある特定の実施形態では、前記個体は、AMLに対する少なくとも1回
の非生得リンパ球(ILC)療法が奏功しなかったAMLを有する。ある特定の実施形態
では、前記個体は、65歳以上であり、第1寛解期にある。ある特定の実施形態では、前
記個体は、前記ILC3K細胞を投与する前にフルダラビン、シタラビンまたは両方でコ
ンディショニングされている。ある特定の実施形態では、前記腫瘍細胞は、乳がん細胞、
頭頸部がん細胞または肉腫細胞である。ある特定の実施形態では、前記腫瘍細胞は、原発
性乳管癌細胞、白血病細胞、急性T細胞白血病細胞、慢性骨髄性リンパ腫(CML)細胞
、慢性骨髄性白血病(CML)細胞、肺癌細胞、結腸腺癌細胞、組織球性リンパ腫細胞、
結腸直腸癌細胞、結腸直腸腺癌細胞または網膜芽腫細胞である。ある特定の実施形態では
、前記腫瘍細胞は、充実性腫瘍細胞、肝臓腫瘍細胞、肺腫瘍細胞、膵臓腫瘍細胞、腎臓腫
瘍細胞または多形性膠芽腫(GBM)細胞である。ある特定の実施形態では、前記ILC
3細胞を抗CD33抗体、抗CD20抗体、抗CD138抗体または抗CD32抗体とと
もに投与する。ある特定の実施形態では、前記接触させるステップまたは前記投与するス
テップの前に前記ILC3細胞が凍結保存されているか、また凍結保存されていない。
【0082】
ILC3細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は、全身または局所であり得る。
具体的な実施形態では、投与は、非経口的である。具体的な実施形態では、対象へのIL
C3細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は、注射、注入、静脈内(IV)投与、
大腿内投与または腫瘍内投与による。具体的な実施形態では、対象へのILC3細胞の単
離集団またはその医薬組成物の投与は、デバイス、マトリックスまたは足場を用いて実施
する。具体的な実施形態では、対象へのILC3細胞の単離集団またはその医薬組成物の
投与は、注射による。具体的な実施形態では、対象へのILC3細胞の単離集団またはそ
の医薬組成物の投与は、カテーテルによる。具体的な実施形態では、ILC3細胞の注射
は、局所注射である。より具体的な実施形態では、局所注射は、充実性腫瘍(例えば、肉
腫)中への直接的注射である。具体的な実施形態では、対象へのILC3細胞の単離集団
またはその医薬組成物の投与は、注射器による注射による。具体的な実施形態では、対象
へのILC3細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は、誘導送達による。具体的な
実施形態では、注射による対象へのILC3細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与
は、腹腔鏡検査、内視鏡検査、超音波、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴または放射線学
により補助される。
【0083】
具体的な実施形態では、前記接触させるステップまたは近接させるステップの前に、本
明細書で述べた3段階法を使用して製造した単離ILC3細胞集団を免疫調節化合物、例
えば、本明細書で、以下で述べる免疫調節化合物もしくはサリドマイド、ならびに/また
はIL2およびIL12およびIL18、IL12およびIL15、IL12およびIL
18、IL2およびIL12およびIL15およびIL18もしくはIL2およびIL1
5およびIL18で処理した。具体的な実施形態では、前記接触させるステップまたは近
接させるステップの前に、本明細書で述べた3段階法を使用して製造した単離NK細胞集
団をIL2、IL12、IL18またはIL15のうちの1つまたは複数で処理した。別
の具体的な実施形態では、有効量の免疫調節化合物、例えば、本明細書で、以下で述べる
免疫調節化合物もしくはサリドマイドを、さらに、腫瘍細胞と近接させる、例えば、腫瘍
細胞を免疫調節化合物もしくはサリドマイドと接触させる。この文脈における「有効量」
は、ILC3細胞集団における細胞、および任意選択で免疫調節化合物またはサリドマイ
ドと接触も近接もさせていない同等の数の腫瘍細胞と比較して前記腫瘍細胞の検出可能な
抑制をもたらすILC3細胞集団における細胞、および任意選択で免疫調節化合物または
サリドマイドの量を意味する。別の具体的な実施形態では、方法は、有効量の抗がん化合
物、例えば、以下で述べる抗がん化合物を腫瘍細胞と近接させるステップ、例えば、腫瘍
細胞を抗がん化合物と接触させるステップをさらに含む。
【0084】
この方法の具体的な実施形態では、腫瘍細胞は、血液がん細胞である。別の具体的な実
施形態では、腫瘍細胞は、充実性腫瘍細胞である。別の実施形態では、腫瘍細胞は、原発
性乳管癌細胞、白血病細胞、急性T細胞白血病細胞、慢性骨髄性リンパ腫(CML)細胞
、急性骨髄性白血病細胞(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)細胞、膠芽腫細胞、肺
癌細胞、結腸腺癌細胞、組織球性リンパ腫細胞、多発性骨髄腫細胞、網膜芽腫細胞、結腸
直腸癌細胞、前立腺がん細胞または結腸直腸腺癌細胞である。別の具体的な実施形態では
、前記接触させるステップまたは近接させるステップがin vitroで行われる。別
の具体的な実施形態では、前記接触させるステップまたは近接させるステップがex v
ivoで行われる。別の具体的な実施形態では、前記接触させるステップがin viv
oで行われる。より具体的な実施形態では、前記in vivoで接触させるステップま
たは近接させるステップがヒトにおいて行われる。具体的な実施形態では、前記腫瘍細胞
は、充実性腫瘍細胞である。具体的な実施形態では、前記腫瘍細胞は、肝臓腫瘍細胞であ
る。具体的な実施形態では、前記腫瘍細胞は、肺腫瘍細胞である。具体的な実施形態では
、前記腫瘍細胞は、膵臓腫瘍細胞である。具体的な実施形態では、前記腫瘍細胞は、腎臓
腫瘍細胞である。具体的な実施形態では、前記腫瘍細胞は、多形性膠芽腫(GBM)細胞
である。具体的な実施形態では、前記ILC3細胞を抗体とともに投与する。具体的な実
施形態では、前記ILC3細胞を抗CD33抗体とともに投与する。具体的な実施形態で
は、前記ILC3細胞を抗CD20抗体とともに投与する。具体的な実施形態では、前記
ILC3細胞を抗CD138抗体とともに投与する。具体的な実施形態では、前記ILC
3細胞を抗CD32抗体とともに投与する。
【0085】
別の態様では、(1)レナリドミド;(2)メルファラン;および(3)個体における
多発性骨髄腫を治療するのに有効である、ILC3細胞を個体に投与するステップを含む
、多発性骨髄腫を有する前記個体を治療する方法が本明細書で提供される。具体的な実施
形態では、前記ILC3細胞は、臍帯血ILC3細胞であるかまたは臍帯血造血細胞、例
えば、造血幹細胞から製造されたILC3細胞である。別の実施形態では、前記ILC3
細胞は、ILC3細胞を製造するための、例えば、3段階法を使用してILC3細胞集団
を製造するための本明細書で述べた方法のいずれかにより製造された。別の実施形態では
、前記ILC3細胞は、前記投与するステップの前に増幅させた。別の実施形態では、前
記レナリドミド、メルファランおよび/またはILC3細胞を互いに別個に投与する。多
発性骨髄腫を有する個体を治療する方法のある特定の具体的な実施形態では、前記ILC
3細胞集団は、本明細書で述べた、3段階法により製造される。
【0086】
別の態様では、個体における急性骨髄性白血病(AML)を治療するのに有効である、
ILC3細胞(IL2およびIL12およびIL18、IL12およびIL15、IL1
2およびIL18、IL2およびIL12およびIL15およびIL18またはIL2お
よびIL15およびIL18による前処理によって任意選択で活性化させた)を個体に投
与するステップを含む、AMLを有する前記個体を治療する方法が本明細書で提供される
。具体的な実施形態では、前記投与するステップの前に本明細書で述べた3段階法を使用
して製造した単離NK細胞集団をIL2、IL12、IL18またはIL15のうちの1
つまたは複数により前処理した。具体的な実施形態では、前記ILC3細胞は、臍帯血I
LC3細胞であるか、または臍帯血造血細胞、例えば、造血幹細胞から製造されたILC
3細胞である。別の実施形態では、前記ILC3細胞は、ILC3細胞を製造するための
、例えば、本明細書で示した3段階法を使用してILC3細胞集団を製造するための本明
細書で述べた方法のいずれかにより製造された。AMLを有する個体を治療する方法のあ
る特定の具体的な実施形態では、前記ILC3細胞集団は、本明細書で述べた、3段階法
により製造される。特定の実施形態では、前述の方法により治療されるべきAMLは、難
治性AML、予後不良AMLまたは小児AMLを含む。ある特定の実施形態では、前記個
体は、AMLに対する少なくとも1回の非ILC3細胞または非生得リンパ球療法が奏功
しなかったAMLを有する。具体的な実施形態では、前記個体は、65歳以上であり、第
1寛解期にある。具体的な実施形態では、前記個体は、前記ILC3細胞を投与する前に
フルダラビン、シタラビンまたは両方でコンディショニングされている。別の態様では、
治療有効量の(1)レナリドミド;(2)メルファラン;(3)フルダラビン;および(
4)個体における慢性リンパ球性白血病(CLL)を治療するのに有効である、ILC3
細胞、例えば、本明細書で述べた3段階法を使用して製造したILC3細胞集団を個体に
投与するステップを含む、前記CLLを有する前記個体を治療する方法が本明細書で提供
される。具体的な実施形態では、前記ILC3細胞は、臍帯血ILC3細胞であるか、ま
たは臍帯血造血細胞、例えば、造血幹細胞から製造されたILC3細胞である。別の実施
形態では、前記ILC3細胞は、ILC3細胞を製造するための、例えば、本明細書で述
べた3段階法を使用してILC3細胞集団を製造するための本明細書で述べた方法のいず
れかにより製造された。上記の方法のいずれかの具体的な実施形態では、前記レナリドミ
ド、メルファラン、フルダラビンおよび増幅ILC3細胞を前記個体に別個に投与する。
CLLを有する個体を治療する方法のある特定の具体的な実施形態では、前記ILC3細
胞集団は、本明細書で述べた3段階法により製造される。
【0087】
ある特定の実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して製造されたNK細胞集
団は、凍結保存する、例えば、本明細書で述べる方法を使用して凍結保存する。ある特定
の実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して製造されたNK細胞集団は、凍結
保存媒体中、例えば、本明細書で述べる凍結保存媒体中で凍結保存する。具体的な実施形
態では、本明細書で述べた3段階法を使用して製造されたNK前駆細胞集団および/また
はNK細胞集団の凍結保存は、(1)本明細書で述べた3段階法を使用して製造されたN
K前駆細胞集団および/またはNK細胞集団を含む細胞懸濁溶液を調製するステップ;(
2)凍結保存媒体をステップ(1)からの細胞懸濁溶液に加えて、凍結保存細胞懸濁液を
得るステップ;(3)ステップ(3)からの凍結保存細胞懸濁液を冷却して、凍結保存試
料を得るステップ;および(4)凍結保存試料を-80℃以下で保管するステップを含む
。
【0088】
上記の治療または腫瘍抑制の方法のある特定の実施形態では、本明細書で述べた3段階
法により製造されたNK細胞集団を、他のナチュラルキラー細胞、例えば、胎盤潅流液、
臍帯血もしくは末梢血から単離された、または異なる方法により造血細胞から製造された
ナチュラルキラー細胞と合わせる。具体的な実施形態では、ナチュラルキラー細胞集団を
、約100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:
30、65:35、60:40、55:45:50:50、45:55、40:60、3
5:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、
100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1
、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1
、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:
20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:
60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:
100、または同様の比で別の供給源からの、または異なる方法により製造されたナチュ
ラルキラー細胞と合わせる。
【0089】
ある特定の実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して製造されたILC3細
胞集団は、凍結保存する、例えば、本明細書で述べる方法を使用して凍結保存する。ある
特定の実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して製造されたILC3細胞集団
は、凍結保存媒体中、例えば、本明細書で述べる凍結保存媒体中で凍結保存する。具体的
な実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して製造されたILC3前駆細胞集団
および/またはILC3細胞集団の凍結保存は、(1)本明細書で述べた3段階法を使用
して製造されたILC3前駆細胞集団および/またはILC3細胞集団を含む細胞懸濁溶
液を調製するステップ;(2)凍結保存媒体をステップ(1)からの細胞懸濁溶液に加え
て、凍結保存細胞懸濁液を得るステップ;(3)ステップ(3)からの凍結保存細胞懸濁
液を冷却して、凍結保存試料を得るステップ;および(4)凍結保存試料を-80℃以下
で保管するステップを含む。
【0090】
上記の治療または腫瘍抑制の方法のある特定の実施形態では、本明細書で述べた3段階
法により製造されたILC3細胞集団を、他のILC3細胞、例えば、胎盤潅流液、臍帯
血もしくは末梢血から単離された、または異なる方法により造血細胞から製造されたIL
C3細胞と合わせる。具体的な実施形態では、ILC3細胞集団を、約100:1、95
:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、6
0:40、55:45:50:50、45:55、40:60、35:65、30:70
、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、100:1、95:1
、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1
、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1
、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:
30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:
70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100、または同様の
比で別の供給源からの、または異なる方法により製造されたILC3細胞と合わせる。
【0091】
別の態様では、本明細書で述べた3段階法により製造される、複数のILC3細胞を個
体に投与するステップを含む化学療法後の消化管を修復する方法が本明細書で提供される
。複数のILC3細胞は、本明細書で述べた3段階法により製造される、複数のILC3
細胞を個体に投与するステップを含む化学療法後の消化管を修復する方法に使用すること
ができる。
【0092】
別の態様では、本明細書で述べた3段階法により製造される、複数のILC3細胞を個
体に投与するステップを含む放射線から個体を保護する方法が本明細書で提供される。複
数のILC3細胞は、本明細書で述べた3段階法により製造される、複数のILC3細胞
を個体に投与するステップを含む放射線から個体を保護する方法に使用することができる
。方法のある特定の態様では、前記ILC3細胞を、骨髄移植の補助として使用する。
【0093】
別の態様では、本明細書で述べた3段階法により製造される、複数のILC3細胞を個
体に投与するステップを含む個体の胸腺を再構成する方法が本明細書で提供される。複数
のILC3細胞は、本明細書で述べた3段階法により製造される、複数のILC3細胞を
個体に投与するステップを含む個体の胸腺を再構成する方法に使用することができる。
【0094】
別の態様では、本明細書で述べた3段階法により製造される単離NK細胞を含む組成物
が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記NK細胞は、造血細胞、例えば、
胎盤潅流液、臍帯血および/または末梢血から単離された造血幹細胞または前駆細胞から
製造される。別の具体的な実施形態では、前記NK細胞は、組成物中の細胞の少なくとも
70%を構成する。別の具体的な実施形態では、前記NK細胞は、組成物中の細胞の少な
くとも80%、85%、90%、95%、98%または99%を構成する。ある特定の実
施形態では、前記組成物中のNK細胞の少なくとも80%、82%、84%、86%、8
8%または90%は、CD3-およびCD56+である。ある特定の実施形態では、前記
組成物中のNK細胞の少なくとも65%、70%、75%、80%、82%、84%、8
6%、88%または90%は、CD16-である。ある特定の実施形態では、前記組成物
中のNK細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、4
0%、45%、50%、55%または60%は、CD94+である。
【0095】
ある特定の態様では、パーフォリンおよび/またはEOMESを発現し、RORγt、
アリール炭化水素受容体およびIL1R1のうちの1つまたは複数を発現しない、CD5
6+CD3-CD117+CD11a+であるナチュラルキラー細胞の集団が本明細書で
提供される。ある特定の態様では、前記ナチュラルキラー細胞は、パーフォリンおよびE
OMESを発現し、RORγt、アリール炭化水素受容体またはIL1R1のいずれも発
現しない。ある特定の態様では、前記ナチュラルキラー細胞は、T-bet、GZMB、
NKp46、NKp30およびNKG2Dをさらに発現する。ある特定の態様では、前記
ナチュラルキラー細胞は、CD94を発現する。ある特定の態様では、前記ナチュラルキ
ラー細胞は、CD94を発現しない。
【0096】
ある特定の態様では、RORγt、アリール炭化水素受容体およびIL1R1のうちの
1つまたは複数を発現し、CD94、パーフォリンおよびEOMESのうちの1つまたは
複数を発現しない、CD56+CD3-CD117+CD11a-である、ILC3細胞
の集団が本明細書で提供される。ある特定の態様では、前記ILC3細胞は、RORγt
、アリール炭化水素受容体およびIL1R1を発現し、CD94、パーフォリンまたはE
OMESのいずれも発現しない。ある特定の態様では、前記ILC3細胞は、CD226
および/または2B4をさらに発現する。ある特定の態様では、前記ILC3細胞は、I
L-22、TNFαおよびDNAM-1のうちの1つまたは複数をさらに発現する。ある
特定の態様では、前記ILC3細胞は、CD226、2B4、IL-22、TNFαおよ
びDNAM-1を発現する。
【0097】
ある特定の態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第
1の培地中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステッ
プ;(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠
いている第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステ
ップ;(c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHのそれぞれ
を欠いている第3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造する
ステップ;ならびに(d)細胞の第3の集団からCD11a+細胞およびCD11a-細
胞を分離するステップ;ならびに(e)CD11a+細胞をCD11a-細胞と50:1
、40:1、30:1、20:1、10:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1
、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:20、1:30、1:40または1
:50の比で合わせて、細胞の第4の集団を製造するステップを含む、ナチュラルキラー
細胞およびILC3細胞を含む細胞集団を製造する方法が本明細書で提供される。ある特
定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(
LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)
を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよ
びFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形
態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠き、前
記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施
形態では、第1の培地、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例えば、低分子
量ヘパリンを含まない。ある特定の態様では、細胞の第4の集団において、CD11a+
細胞およびCD11a-細胞が50:1の比で合わせられている。ある特定の態様では、
細胞の第4の集団において、CD11a+細胞およびCD11a-細胞が20:1の比で
合わせられている。ある特定の態様では、細胞の第4の集団において、CD11a+細胞
およびCD11a-細胞が10:1の比で合わせられている。ある特定の態様では、細胞
の第4の集団において、CD11a+細胞およびCD11a-細胞が5:1の比で合わせ
られている。ある特定の態様では、細胞の第4の集団において、CD11a+細胞および
CD11a-細胞が1:1の比で合わせられている。ある特定の態様では、細胞の第4の
集団において、CD11a+細胞およびCD11a-細胞が1:5の比で合わせられてい
る。ある特定の態様では、細胞の第4の集団において、CD11a+細胞およびCD11
a-細胞が1:10の比で合わせられている。ある特定の態様では、細胞の第4の集団に
おいて、CD11a+細胞およびCD11a-細胞が1:20の比で合わせられている。
ある特定の態様では、細胞の第4の集団において、CD11a+細胞およびCD11a-
細胞が1:50の比で合わせられている。
【0098】
ある特定の態様では、前記集団における複数のNK細胞は、末梢血ナチュラルキラー細
胞のように検出可能により高いレベルでmicroRNAS dme-miR-7、hs
a-let-7a、hsa-let-7c、hsa-let-7e、hsa-let-7
g、hsa-miR-103、hsa-miR-106a、hsa-miR-10b、h
sa-miR-1183、hsa-miR-124、hsa-miR-1247、hsa
-miR-1248、hsa-miR-1255A、hsa-miR-126、hsa-
miR-140-3p、hsa-miR-144、hsa-miR-151-3p、hs
a-miR-155、hsa-miR-15a、hsa-miR-16、hsa-miR
-17、hsa-miR-181a、hsa-miR-182、hsa-miR-192
、hsa-miR-199a-3p、hsa-miR-200a、hsa-miR-20
a、hsa-miR-214、hsa-miR-221、hsa-miR-29a、hs
a-miR-29b、hsa-miR-30b、hsa-miR-30c、hsa-mi
R-31、hsa-miR-335、hsa-miR-374b、hsa-miR-45
4、hsa-miR-484、hsa-miR-513C、hsa-miR-516-3
p、hsa-miR-520h、hsa-miR-548K、hsa-miR-548P
、hsa-miR-600、hsa-miR-641、hsa-miR-643、hsa
-miR-874、hsa-miR-875-5pおよびhsa-miR-92a-2の
うちの1つまたは複数を発現する。ある特定の態様では、前記集団における複数のNK細
胞は、末梢血ナチュラルキラー細胞より検出可能により低いレベルでmicroRNAS
miR188-5p、miR-339-5p、miR-19a、miR-34c、mi
R-18a、miR-500、miR-22、miR-222、miR-7a、miR-
532-3p、miR-223、miR-26b、miR-26a、miR-191、m
iR-181d、miR-322およびmiR342-3pのうちの1つまたは複数を発
現する。ある特定の態様では、前記集団における複数のNK細胞は、末梢血ナチュラルキ
ラー細胞と同等のレベルでmicroRNAS miR-181a、miR-30bおよ
びmiR30cのうちの1つまたは複数を発現する。
【0099】
具体的な実施形態では、前記NK細胞は、単一個体に由来する。すなわち、前記造血幹
細胞および前駆細胞は、単一個体に由来する。より具体的な実施形態では、前記NK細胞
は、異なる少なくとも2個体に由来するナチュラルキラー細胞を含む。すなわち、前記造
血幹細胞および前駆細胞は、異なる少なくとも2個体に由来する。別の具体的な実施形態
では、前記NK細胞は、NK細胞による治療が意図される個体と異なる個体に由来する。
すなわち、前記造血幹細胞および前駆細胞は、NK細胞による治療が意図される個体と異
なる個体に由来する。別の具体的な実施形態では、免疫調節化合物もしくはサリドマイド
と接触も近接もさせていない同等の数のナチュラルキラー細胞、すなわち、NK細胞より
も検出可能に多くのグランザイムBまたはパーフォリンを前記NK細胞が発現するのに十
分な量で、かつ時間にわたり前記NK細胞を前記免疫調節化合物もしくはサリドマイドと
接触または近接させた。別の具体的な実施形態では、前記NK細胞を含む組成物は、免疫
調節化合物もしくはサリドマイドをさらに含む。ある特定の実施形態では、免疫調節化合
物は、以下で述べる化合物、例えば、アミノ置換イソインドリン化合物である。ある特定
の実施形態では、免疫調節化合物は、レナリドミドである。ある特定の実施形態では、免
疫調節化合物は、ポマリドミドである。
【0100】
別の具体的な実施形態では、前記NK細胞を含む組成物は、1つまたは複数の抗がん化
合物、例えば、以下で述べる1つまたは複数の抗がん化合物をさらに含む。
【0101】
より具体的な実施形態では、組成物は、本明細書で述べた3段階法により製造されたN
K細胞および別の供給源からの、または別の方法により製造されたナチュラルキラー細胞
を含む。具体的な実施形態では、前記他の供給源は、胎盤血および/または臍帯血である
。別の具体的な実施形態では、前記他の供給源は、末梢血である。より具体的な実施形態
では、NK細胞を別の供給源からの、または別の方法により製造されたナチュラルキラー
細胞と約100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、7
0:30、65:35、60:40、55:45:50:50、45:55、40:60
、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:9
5、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65
:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25
:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、
1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、
1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、
1:100、または同様の比で合わせる。
【0102】
別の具体的な実施形態では、組成物は、本明細書で述べた3段階法を使用して製造され
たNK細胞および単離胎盤潅流液または単離胎盤潅流液細胞を含む。より具体的な実施形
態では、前記胎盤潅流液は、前記NK細胞と同じ個体に由来する。別のより具体的な実施
形態では、前記胎盤潅流液は、前記NK細胞と異なる個体に由来する胎盤潅流液を含む。
別の具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液中の細胞のすべてまたは実質的にすべて(例
えば、90%、95%、98%または99%を超える)は、胎児細胞である。別の具体的
な実施形態では、胎盤潅流液または胎盤潅流液細胞は、胎児細胞および母体細胞を含む。
より具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液中の胎児細胞は、前記潅流液中の細胞の約9
0%、80%、70%、60%または50%未満を構成する。別の具体的な実施形態では
、前記潅流液は、胎盤血管系内の0.9% NaCl溶液の通過によって得られる。別の
具体的な実施形態では、前記潅流液は、培養培地を含む。別の具体的な実施形態では、前
記潅流液を処理して、赤血球を除去した。別の具体的な実施形態では、前記組成物は、免
疫調節化合物、例えば、以下で述べる免疫調節化合物、例えば、アミノ置換イソインドリ
ン化合物を含む。別の具体的な実施形態では、組成物は、1つまたは複数の抗がん化合物
、例えば、以下で述べる1つまたは複数の抗がん化合物をさらに含む。
【0103】
別の具体的な実施形態では、組成物は、本明細書で述べた3段階法を使用して製造した
NK細胞および胎盤潅流液細胞を含む。より具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液細胞
は、前記NK細胞と同じ個体に由来する。別のより具体的な実施形態では、前記胎盤潅流
液細胞は、前記NK細胞と異なる個体に由来する。別の具体的な実施形態では、組成物は
、単離胎盤潅流液および単離胎盤潅流液細胞を含み、前記単離胎盤潅流液および前記単離
胎盤潅流液細胞は、異なる個体に由来する。胎盤潅流液を含む上記の実施形態のいずれか
の別のより具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液は、少なくとも2個体に由来する胎盤
潅流液を含む。胎盤潅流液細胞を含む上記の実施形態のいずれかの別のより具体的な実施
形態では、前記単離胎盤潅流液細胞は、少なくとも2個体に由来する。別の具体的な実施
形態では、前記組成物は、免疫調節化合物を含む。別の具体的な実施形態では、組成物は
、1つまたは複数の抗がん化合物、例えば、以下で述べる1つまたは複数の抗がん化合物
をさらに含む。
【0104】
別の態様では、例えば、本明細書で述べた3段階法のいずれかの実施形態により製造さ
れた、単離NK細胞集団を含む、組成物、例えば、医薬組成物が本明細書で提供される。
具体的な実施形態では、前記単離NK細胞集団は、造血細胞、例えば、胎盤から、例えば
、胎盤潅流液、臍帯血および/または末梢血から単離された造血幹細胞または前駆細胞か
ら製造される。別の具体的な実施形態では、前記単離NK細胞集団は、組成物中の細胞の
少なくとも70%を構成する。別の具体的な実施形態では、前記単離NK細胞集団は、組
成物中の細胞の少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%を構成
する。別の具体的な実施形態では、前記NK細胞は、組成物中の細胞の少なくとも70%
を構成する。ある特定の実施形態では、前記組成物中のNK細胞の少なくとも80%、8
2%、84%、86%、88%または90%は、CD3-およびCD56+である。ある
特定の実施形態では、前記組成物中のNK細胞の少なくとも65%、70%、75%、8
0%、82%、84%、86%、88%または90%は、CD16-である。ある特定の
実施形態では、前記組成物中のNK細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、2
5%、30%、35%、40%、45%、50%、55%または60%は、CD94+で
ある。
【0105】
別の具体的な実施形態では、前記組成物中の前記単離NK細胞は、単一個体に由来する
。すなわち、前記造血幹細胞および前駆細胞は、単一個体に由来する。より具体的な実施
形態では、前記単離NK細胞は、異なる少なくとも2個体に由来するNK細胞を含む。す
なわち、前記造血幹細胞および前駆細胞は、異なる少なくとも2個体に由来する。別の具
体的な実施形態では、前記組成物中の前記単離NK細胞は、NK細胞による治療が意図さ
れる個体と異なる個体に由来する。すなわち、前記造血幹細胞および前駆細胞は、NK細
胞による治療が意図される個体と異なる個体に由来する。別の具体的な実施形態では、免
疫調節化合物もしくはサリドマイドと接触も近接もさせていない同等の数のナチュラルキ
ラー細胞、すなわち、NK細胞よりも検出可能に多くのグランザイムBまたはパーフォリ
ンを前記NK細胞が発現するのに十分な量で、かつ時間にわたり前記NK細胞を前記免疫
調節化合物もしくはサリドマイドと接触または近接させた。別の具体的な実施形態では、
前記組成物は、免疫調節化合物またはサリドマイドをさらに含む。ある特定の実施形態で
は、免疫調節化合物は、以下で述べる化合物である。
【0106】
別の具体的な実施形態では、組成物は、1つまたは複数の抗がん化合物、例えば、以下
で述べる1つまたは複数の抗がん化合物をさらに含む。
【0107】
より具体的な実施形態では、組成物は、別の供給源からの、または別の方法により製造
されたNK細胞を含む。具体的な実施形態では、前記他の供給源は、胎盤血および/また
は臍帯血である。別の具体的な実施形態では、前記他の供給源は、末梢血である。より具
体的な実施形態では、前記組成物中のNK細胞集団を、別の供給源からの、または別の方
法により製造されたNK細胞と約100:1、95:5、90:10、85:15、80
:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45:50:50、
45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:8
5、10:90、5:95、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、7
5:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、3
5:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5
、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45
、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85
、1:90、1:95、1:100、または同様の比で合わせる。
【0108】
別の具体的な実施形態では、組成物は、NK細胞集団および単離胎盤潅流液または単離
胎盤潅流液細胞を含む。より具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液は、前記NK細胞集
団と同じ個体に由来する。別のより具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液は、前記NK
細胞集団と異なる個体に由来する胎盤潅流液を含む。別の具体的な実施形態では、前記胎
盤潅流液中の細胞のすべてまたは実質的にすべて(例えば、90%、95%、98%また
は99%を超える)は、胎児細胞である。別の具体的な実施形態では、胎盤潅流液または
胎盤潅流液細胞は、胎児細胞および母体細胞を含む。より具体的な実施形態では、胎児細
胞は、前記潅流液中の細胞の約90%、80%、70%、60%または50%未満を構成
する。別の具体的な実施形態では、前記潅流液は、胎盤血管系内の0.9% NaCl溶
液の通過によって得られる。別の具体的な実施形態では、前記潅流液は、培養培地を含む
。別の具体的な実施形態では、前記潅流液を処理して、赤血球を除去した。別の具体的な
実施形態では、前記組成物は、免疫調節化合物、例えば、以下で述べる免疫調節化合物、
例えば、アミノ置換イソインドリン化合物を含む。別の具体的な実施形態では、組成物は
、1つまたは複数の抗がん化合物、例えば、以下で述べる1つまたは複数の抗がん化合物
をさらに含む。
【0109】
別の具体的な実施形態では、組成物は、NK細胞集団および胎盤潅流液細胞を含む。よ
り具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液細胞は、前記NK細胞集団と同じ個体に由来す
る。別のより具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液細胞は、前記NK細胞集団と異なる
個体に由来する。別の具体的な実施形態では、組成物は、単離胎盤潅流液および単離胎盤
潅流液細胞を含み、前記単離胎盤潅流液および前記単離胎盤潅流液細胞は、異なる個体に
由来する。胎盤潅流液を含む上記の実施形態のいずれかの別のより具体的な実施形態では
、前記胎盤潅流液は、少なくとも2個体に由来する胎盤潅流液を含む。胎盤潅流液細胞を
含む上記の実施形態のいずれかの別のより具体的な実施形態では、前記単離胎盤潅流液細
胞は、少なくとも2個体に由来する。別の具体的な実施形態では、前記組成物は、免疫調
節化合物を含む。別の具体的な実施形態では、組成物は、1つまたは複数の抗がん化合物
、例えば、以下で述べる1つまたは複数の抗がん化合物をさらに含む。
【0110】
3.1. 用語
本明細書で使用される「免疫調節化合物」および「IMiD(商標)」という用語は、
サリドマイドを包含しない。
【0111】
本明細書で使用される「レナリドミド」は、3-(4’アミノイソインドリン-1’-
オン)-1-ピペリジン-2,6-ジオン(Chemical Abstracts S
ervice名)または2,6-ピペリジンジオン,3-(4-アミノ-1,3-ジヒド
ロ-1-オキソ-2H-イソインドール-2-イル)-(国際純正応用化学連合(IUP
AC)名)を意味する。本明細書で使用される「ポマリドミド」は、4-アミノ-2-(
2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンを意味する。
【0112】
本明細書で使用される「多能性」(multipotent)は、細胞について述べる
場合、細胞が別の細胞型の細胞に分化する能力を有することを意味する。ある特定の実施
形態では、「多能性細胞(multipotent cell)」は、哺乳類の身体の約
260の細胞型のサブセットに発達する能力を有する細胞である。多能性細胞(plur
ipotent cell)と異なり、多能性細胞(multipotent cell
)は、細胞型のすべてを形成する能力を有するわけではない。
【0113】
本明細書で使用される「フィーダー細胞」は、第2の型の細胞を維持し、多分増殖させ
ることができる環境を与えるために、第2の型の細胞と共培養される1つの型の細胞を意
味する。いかなる理論にも拘束されるものでないが、フィーダー細胞は、例えば、ペプチ
ド、ポリペプチド、電気シグナル、有機分子(例えば、ステロイド)、核酸分子、増殖因
子(例えば、bFGF)、他の因子(例えば、サイトカイン)および代謝栄養素を標的細
胞に供給する。ある特定の実施形態では、フィーダー細胞は、単層に成長する。
【0114】
本明細書で使用される、さらなる修正なしに、本明細書で述べた方法を使用して製造し
た「ナチュラルキラー細胞」または「NK細胞」は、あらゆる組織供給源に由来するナチ
ュラルキラー細胞を含む。
【0115】
本明細書で使用される、さらなる修正なしに、本明細書で述べた方法を使用して製造し
た「ILC3細胞」は、あらゆる組織供給源に由来するILC3細胞を含む。
【0116】
本明細書で使用される「胎盤潅流液」は、胎盤、例えば、ヒト胎盤の少なくとも一部を
、例えば、胎盤血管系内を通過させた潅流溶液を意味し、胎盤内の通過中に潅流溶液によ
り収集された複数の細胞を含む。
【0117】
本明細書で使用される「胎盤潅流液細胞」は、胎盤潅流液から単離された、または単離
可能な有核細胞、例えば、総有核細胞を意味する。
【0118】
本明細書で使用される「腫瘍細胞の抑制」、「腫瘍細胞の増殖の抑制」などは、例えば
、本明細書で述べた3段階法を使用して製造したNK細胞またはNK細胞集団を例えば、
腫瘍細胞の集団と接触させるステップまたは近接させるステップにより、例えば、腫瘍細
胞の集団を本明細書で述べた3段階法を使用して製造したNK細胞またはNK細胞集団と
接触させるステップにより、例えば、腫瘍細胞の前記集団における1つまたは複数の腫瘍
細胞を殺滅するステップにより、腫瘍細胞の集団の増殖を遅くすることを含む。ある特定
の実施形態では、前記接触させるステップは、in vitroまたはex vivoで
行われる。他の実施形態では、前記接触させるステップは、in vivoで行われる。
【0119】
本明細書で使用される「造血細胞」という用語は、造血幹細胞および造血前駆細胞を含
む。
【0120】
本明細書で使用される「組成不明の成分」は、その構成物質が一般的に示されていない
または定量化されていない成分を指す培養培地の分野における専門用語である。「組成不
明の成分」の例としては、制限なしに、血清、例えば、ヒト血清(例えば、ヒト血清AB
)および胎児血清(例えば、ウシ胎児血清(fetal bovine serum)ま
たはウシ胎児血清(fetal calf serum)などがある。
【0121】
本明細書で使用される「+」は、特定の細胞マーカーの存在を示すために使用される場
合、細胞マーカーが、蛍光活性化細胞選別においてアイソタイプ対照を上回って検出可能
に存在すること;または定量的もしくは半定量的RT-PCRにおいて、バックグラウン
ドを超える形で検出可能であることを意味する。
【0122】
本明細書で使用される「-」は、特定の細胞マーカーの存在を示すために使用される場
合、細胞マーカーが、蛍光活性化細胞選別においてアイソタイプ対照を上回って検出可能
に存在しないこと;または定量的もしくは半定量的RT-PCRにおいて、バックグラウ
ンドを超える形で検出可能ではないことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【
図1】以前のNK細胞増幅培地(「NK細胞exp」)またはジメチルスルホキシド(DMSO)と比較した、K562細胞に対するNK細胞の(A)増幅倍率、(B)細胞純度(CD56+CD3-)、および(C)10:1(E:T)比での細胞傷害性についての、StemRegenin-1(SR-1)またはCH223191を1μM、10μMおよび30μMで使用する3段階法の効果を示す図である。
【
図2】CD11aおよび天然細胞傷害性受容体NKp30、c-レクチン受容体NKG2D、DNAM-1、2B4、細胞溶解性メディエーターパーフォリンおよびグランザイムB、ならびにNK細胞成熟および細胞溶解機能の調節因子、EOMESの発現を示す、3段階法により産生されたCD3-CD56+のゲートをかけた細胞の多色フローサイトメトリーを示す図である。
【
図3】腫瘍細胞株K562(CML)、HL-60(AML)およびRPMI8226(多発性骨髄腫)に対する35日間の3段階NK細胞(n=10)の細胞傷害性を示す図である。溶解は、10:1のエフェクター対標的比で測定した。
【
図4】パーフォリン(上)、細胞溶解性メディエーター、および脱顆粒のマーカーCD107(下)の発現におけるFITCアイソタイプ対照細胞と3段階NK細胞を比較する多色フローサイトメトリーを示す図である。
【
図5】K562(CML)細胞と1:1の比で24時間共培養した場合の3段階NK細胞(n=11)によるサイトカイン産生を示す図である。
【
図6】1:1のエフェクター対標的、インキュベーション後15分、63×の倍率での3段階NK細胞およびK562(CML)(A)およびRPMI8226(多発性骨髄腫)(B)細胞の共焦点画像化によってキャプチャーされたパーフォリンの分極を伴うFアクチン免疫学的シナプスの形成を示す図である。細胞をホルムアルデヒドで固定し、FアクチンをAlexa-488コンジュゲートファロイジンで染色し、パーフォリン抗体に続いてAlexa Fluor 555色素コンジュゲートヤギ抗ウサギ二次抗体で共染色を行った。腫瘍標的細胞もまた、細胞トラッカーバイオレット色素で染色した。矢印は、NK細胞、パーフォリン、および標的細胞を示す。
【
図7】腫瘍細胞株K562(CML)、HL-60(AML)およびRPMI8226(多発性骨髄腫)に対する3段階NK細胞(n=3)の細胞傷害性を示す図である。溶解は、様々なエフェクター対標的比で測定した。
【
図8】腫瘍細胞(K562またはHL-60)またはホルボール(phorbol)12-ミリステート13-アセテート+イオノマイシン(PMA)で刺激時の3段階NK細胞(n=4)におけるCD107a発現を示す図である。CD107a発現は脱顆粒のマーカーである。4人のドナーからの結果が示される。
【
図9】腫瘍細胞(K562、HL-60、またはRPMI8226)またはホルボール12-ミリステート13-アセテート+イオノマイシン(PMA)で刺激時の3段階NK細胞におけるIFNγ分泌(n=3)を示す図である。3人のドナーからの結果が示される。
【
図10】初代AML標的細胞(A1、A2、およびKG1a)に対する3段階NK細胞(n=2)のエフェクター対標的比3:1での細胞溶解活性を示す図である。24時間のインキュベーションの結果を示す。2人のドナーからの結果が示される。
【
図11】HL-60(AML)腫瘍細胞株による刺激と比較した、初代AML標的細胞(AML1~4およびKG1a)で刺激時の3段階NK細胞(n=5)におけるIFNγ分泌を示す図である。5人のドナーからの結果が示される。容易に比較するためにボックスが加えられている。
【
図12】CD11aおよびCD117の発現を示す、3段階法によって産生されたCD3-CD56+のゲートをかけた細胞の多色フローサイトメトリーを示す図である。細胞の2つのサブセット、CD11a+およびCD11a-がボックス内に示されている。
【
図13】CD56およびCD94の発現を示す、
図12からのCD11a+(右)およびCD11a-(左)細胞の多色フローサイトメトリーを示す図である。
【
図14】各々のサブセットについて、パーフォリン、EOMES、RORγt、およびIL1R1の発現レベルを示す、
図12からのCD11a+(上)およびCD11a-(下)細胞の多色フローサイトメトリーを示す図である。
【
図15】フローサイトメトリーによって決定される、パーフォリン、グランザイムB、EOMES、T-bet、IL1R1、RORγtおよびAHRを発現するCD11a+およびCD11a-の3段階細胞のパーセンテージの定量化を示す図である。結果は4人のドナーにわたって示される。
【
図16】フローサイトメトリーによって決定される、サイトカインでの刺激に際して、IFNγ、GM-CSF、IL-22、IL-8およびTNFαを発現するCD11a+およびCD11a-の3段階細胞のパーセンテージの定量化を示す図である。結果は4人のドナーにわたって示される。グラフ上の棒グラフは、左から右に:i)刺激なし、ii)PMAおよびイオノマイシン(PMAi)での刺激、(iii)PMAiおよびIL23での刺激、(iv)IL12およびIL18での刺激、および(v)IL1bおよびIL23での刺激を示す。
【
図17】NKp46、NKp30、およびNKG2Dと比較したCD11aの発現を示す、3段階法によって産生されたCD3-CD56+のゲートをかけた細胞の多色フローサイトメトリーを示す図である。
【
図18】CD226(DNAM-1)およびCD244(2B4)と比較したCD11aの発現を示す、3段階法によって産生されたCD3-CD56+のゲートをかけた細胞の多色フローサイトメトリーを示す図である。
【
図19】CD16、NKG2AおよびKIRと比較したCD11aの発現を示す、3段階法によって産生されたCD3-CD56+のゲートをかけた細胞の多色フローサイトメトリーを示す図である。
【
図20】フローサイトメトリーによって測定される、表6から示された第3の培地条件を使用した、(A)CD56および(B)CD14/15を発現する3段階細胞のパーセンテージならびに(C)RORγtおよび(D)パーフォリンを発現するCD56+の3段階細胞のパーセンテージを示す図である。各々の条件について隣接するバーとして、2人のドナーからの結果が示される。
【
図21】K562細胞の存在下の(A)CD11a+および(B)CD11a-細胞亜集団におけるFACSを使用したCD107a発現を示す図である。(C)のグラフは、CD56+CD3-の3段階NK細胞の4集団についての結果を示す。
【
図22】K562細胞に対する3段階NK細胞のCD56+CD3-集団のCD11a+(陽性)およびCD11a-(陰性)亜集団の細胞傷害性を示す図である。エフェクター対標的細胞比が、x軸上に示される。
【
図23】K562標的細胞ならびにCD11a陽性および陰性エフェクター細胞(1:1のエフェクター:標的比率)の共培養の存在下および非存在下で行ったサイトカイン分泌分析を示す図である。陽性および陰性細胞亜集団の左手の棒グラフは、K562細胞非存在下での分泌を示し、一方、陽性および陰性細胞亜集団の右手の棒グラフは、K562細胞の存在下での分泌を示す。
【発明を実施するための形態】
【0124】
5. 詳細な説明
造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞からNK細胞および/またはILC3細
胞を製造し、増幅する新規方法が本明細書で提供される。また造血細胞、例えば、造血幹
細胞または前駆細胞からNK細胞集団および/またはILC3細胞集団を製造する方法、
例えば、3段階法が本明細書で提供される。NK細胞および/またはILC3細胞ならび
にNK細胞集団および/またはILC3細胞集団を製造するために使用する造血細胞(例
えば、CD34+造血幹細胞)は、あらゆる供給源、例えば、制限なしに、胎盤、臍帯血
、胎盤血、末梢血、脾臓または肝臓から得ることができる。ある特定の実施形態では、N
K細胞および/もしくはILC3細胞またはNK細胞集団および/もしくはILC3細胞
集団は、増幅造血細胞、例えば、造血幹細胞および/または造血前駆細胞から製造される
。一実施形態では、造血細胞は、そのような細胞の供給源、例えば、胎盤、例えば、胎盤
潅流液、臍帯血、胎盤血、末梢血、脾臓、肝臓(例えば、胎児肝臓)および/または骨髄
から収集する。
【0125】
NK細胞および/またはILC3細胞ならびにNK細胞集団および/またはILC3細
胞集団を製造するために使用する造血細胞は、あらゆる動物種から得ることができる。あ
る特定の実施形態では、造血幹細胞または前駆細胞は、哺乳類細胞である。具体的な実施
形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、ヒト細胞である。具体的な実施形態では、
前記造血幹細胞または前駆細胞は、霊長類細胞である。具体的な実施形態では、前記造血
幹細胞または前駆細胞は、イヌ細胞である。具体的な実施形態では、前記造血幹細胞また
は前駆細胞は、げっ歯類細胞である。
【0126】
5.1 造血細胞
本明細書で開示した方法において有用な造血細胞は、NK細胞および/またはILC3
細胞に分化することができる任意の造血細胞、例えば、前駆細胞、造血前駆細胞、造血幹
細胞などであり得る。造血細胞は、例えば、骨髄、臍帯血、胎盤血、末梢血、肝臓など、
またはそれらの組合せのような組織供給源から得ることができる。造血細胞は、胎盤から
得ることができる。具体的な実施形態では、造血細胞は、胎盤潅流液から得られる。一実
施形態では、造血細胞は、臍帯血から得られない。一実施形態では、造血細胞は、末梢血
から得られない。胎盤潅流液に由来する造血細胞は、胎児および母体造血細胞の混合物、
例えば、母体細胞が造血細胞の総数の5%以上を構成する混合物を含み得る。ある特定の
実施形態では、胎盤潅流液に由来する造血細胞は、少なくとも約90%、95%、98%
、99%または99.5%の胎児細胞を含む。
【0127】
別の具体的な実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用してNK細胞集団および
/またはILC3細胞集団を製造する、造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞は
、胎盤潅流液、臍帯血、胎児肝臓、動員末梢血または骨髄から得られる。別の具体的な実
施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用してNK細胞集団および/またはILC3
細胞集団を製造する、造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞は、胎盤潅流液およ
び臍帯血、例えば、潅流液と同じ胎盤由来の臍帯血に由来する混合細胞である。別の具体
的な実施形態では、前記臍帯血は、前記胎盤潅流液が得られる胎盤以外の胎盤から単離す
る。ある特定の実施形態では、混合細胞は、臍帯血および胎盤潅流液をプールすることま
たは合わせることにより得ることができる。ある特定の実施形態では、臍帯血および胎盤
潅流液を100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、7
0:30、65:35、60:40、55:45:50:50、45:55、40:60
、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:9
5、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65
:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25
:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、
1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、
1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、
1:100、または同様の容量比で合わせて、混合細胞を得る。具体的な実施形態では、
臍帯血および胎盤潅流液を10:1~1:10、5:1~1:5または3:1~1:3の
比で合わせる。別の具体的な実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を10:1、5:1
、3:1、1:1、1:3、1:5または1:10の比で合わせる。より具体的な実施形
態では、臍帯血および胎盤潅流液を8.5:1.5(85%:15%)の比で合わせる。
【0128】
ある特定の実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を、総有核細胞(TNC)含量によ
る、100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:
30、65:35、60:40、55:45:50:50、45:55、40:60、3
5:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、
100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1
、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1
、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:
20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:
60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:
100、または同様の比で合わせて、混合細胞を得る。具体的な実施形態では、臍帯血お
よび胎盤潅流液を10:1~1:10、5:1~1:5または3:1~1:3の比で合わ
せる。別の具体的な実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を10:1、5:1、3:1
、1:1、1:3、1:5または1:10の比で合わせる。
【0129】
別の具体的な実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して前記NK細胞集団お
よび/またはILC3細胞集団を製造する、造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細
胞は、臍帯血および胎盤潅流液の両方に由来するが、前記臍帯血は、前記胎盤潅流液が得
られる胎盤以外の胎盤から単離される。
【0130】
ある特定の実施形態では、造血細胞は、CD34+細胞である。具体的な実施形態では
、本明細書で開示した方法において有用な造血細胞は、CD34+CD38+またはCD
34+CD38-である。より具体的な実施形態では、造血細胞は、CD34+CD38
-Lin-である。別の具体的な実施形態では、造血細胞は、CD2-、CD3-、CD
11b-、CD11c-、CD14-、CD16-、CD19-、CD24-、CD56
-、CD66b-および/またはグリコホリンA-でのうちの1つまたは複数である。別
の具体的な実施形態では、造血細胞は、CD2-、CD3-、CD11b-、CD11c
-、CD14-、CD16-、CD19-、CD24-、CD56-、CD66b-およ
びグリコホリンA-である。別のより具体的な実施形態では、造血細胞は、CD34+C
D38-CD33-CD117-である。別のより具体的な実施形態では、造血細胞は、
CD34+CD38-CD33-CD117-CD235-CD36-である。
【0131】
別の実施形態では、造血細胞は、CD45+である。別の具体的な実施形態では、造血
細胞は、CD34+CD45+である。別の実施形態では、造血細胞は、Thy-1+で
ある。具体的な実施形態では、造血細胞は、CD34+Thy-1+である。別の実施形
態では、造血細胞は、CD133+である。具体的な実施形態では、造血細胞は、CD3
4+CD133+またはCD133+Thy-1+である。別の具体的な実施形態では、
CD34+造血細胞は、CXCR4+である。別の具体的な実施形態では、CD34+造
血細胞は、CXCR4-である。別の実施形態では、造血細胞は、KDR(血管増殖因子
受容体2)について陽性である。具体的な実施形態では、造血細胞は、CD34+KDR
+、CD133+KDR+またはThy-1+KDR+である。ある特定の他の実施形態
では、造血細胞は、アルデヒドデヒドロゲナーゼについて陽性である(ALDH+)。例
えば、細胞は、CD34+ALDH+である。
【0132】
ある特定の他の実施形態では、CD34+細胞は、CD45-である。具体的な実施形
態では、CD34+細胞、例えば、CD34+、CD45-細胞は、miRNAs hs
a-miR-380、hsa-miR-512、hsa-miR-517、hsa-mi
R-518c、hsa-miR-519b、hsa-miR-520a、hsa-miR
-337、hsa-miR-422a、hsa-miR-549および/またはhsa-
miR-618の1つもしくは複数、またはすべてを発現する。
【0133】
ある特定の実施形態では、造血細胞は、CD34-である。
【0134】
造血細胞は、分化系列決定、または発達の自由さ(developmental na
ivete)の欠乏を示すある特定のマーカーも欠き得る。例えば、別の実施形態では、
造血細胞は、HLA-DR-である。具体的な実施形態では、造血細胞は、CD34+H
LA-DR-、CD133+HLA-DR-、Thy-1+HLA-DR-またはALD
H+HLA-DR-である。別の実施形態では、造血細胞は、細胞系列マーカーCD2、
CD3、CD11b、CD11c、CD14、CD16、CD19、CD24、CD56
、CD66bおよびグリコホリンAの1つもしくは複数、またはすべてについて陰性であ
る。
【0135】
したがって、造血細胞は、未分化状態を示すマーカーの存在に基づいて、または少なく
とも一部の系列分化が起こったことを示す細胞系列マーカーの非存在に基づいて、本明細
書で開示した方法に使用するために選択することができる。固有のマーカーの有無に基づ
いて、造血細胞を含む、細胞を単離する方法は、以下で詳細に述べる。
【0136】
本明細書で提供する方法に使用する造血細胞は、実質的に均一な集団、例えば、単一組
織供給源に由来する少なくとも約95%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99
%の造血細胞を含む集団、または同じ造血細胞関連細胞マーカーを示す造血細胞を含む集
団であり得る。例えば、様々な実施形態では、造血細胞は、骨髄、臍帯血、胎盤血、末梢
血または胎盤、例えば、胎盤潅流液に由来する少なくとも約95%、98%または99%
の造血細胞を含み得る。
【0137】
本明細書で提供する方法に使用する造血細胞は、単一個体から、例えば、単一胎盤から
、または複数の個体から得ることができ、例えば、プールすることができる。造血細胞を
複数の個体から得て、プールする場合、造血細胞は、同じ組織供給源から得ることができ
る。したがって、様々な実施形態では、プールされた造血細胞は、すべて胎盤、例えば、
胎盤潅流液に、すべて胎盤血に、すべて臍帯血に、すべて末梢血などに由来する。
【0138】
本明細書で開示した方法に使用する造血細胞は、ある特定の実施形態では、2つまたは
それ以上の組織供給源に由来する造血細胞を含む。例えば、ある特定の実施形態では、2
つまたはそれ以上の供給源に由来する造血細胞を、本明細書における方法に使用するため
に合わせる場合、本明細書で述べた3段階法を使用してナチュラルキラー細胞を製造する
ために使用する複数の造血細胞は、胎盤、例えば、胎盤潅流液に由来する造血細胞を含む
。様々な実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して製造されるNK細胞集団お
よび/またはILC3細胞集団を製造するために使用する造血細胞は、胎盤に由来するお
よび臍帯血に由来する;胎盤および末梢血に由来する;胎盤および胎盤血または胎盤およ
び骨髄に由来する造血細胞を含む。一実施形態では、造血細胞は、臍帯血に由来する造血
細胞と組み合わされた胎盤潅流液に由来する造血細胞を含み、臍帯血および胎盤は、同じ
個体に由来する。すなわち、潅流液および臍帯血が一致している。造血細胞が2つの組織
供給源に由来する造血細胞を含む実施形態では、供給源に由来する造血細胞は、例えば、
1:10、2:9、3:8、4:7、5:6、6:5、7:4、8:3、9:2、1:1
0、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:
1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1または9:1の比で合わせること
ができる。
【0139】
5.1.1 胎盤造血幹細胞
ある特定の実施形態では、本明細書で提供する方法に使用する造血細胞は、胎盤造血細
胞である。一実施形態では、胎盤造血細胞は、CD34+である。具体的な実施形態では
、胎盤造血細胞は、主として(例えば、少なくとも約50%、55%、60%、65%、
70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%)CD34+CD38-
細胞である。別の具体的な実施形態では、胎盤造血細胞は、主として(例えば、少なくと
も約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95
%または98%)CD34+CD38+細胞である。胎盤造血細胞は、分娩後哺乳類(例
えば、ヒト)胎盤から当業者に公知の手段、例えば、潅流により得ることができる。
【0140】
別の実施形態では、胎盤造血細胞は、CD45-である。具体的な実施形態では、胎盤
造血細胞は、CD34+CD45-である。別の具体的な実施形態では、胎盤造血細胞は
、CD34+CD45+である。
【0141】
5.2 ナチュラルキラー細胞および/またはILC3細胞ならびにナチュラルキラー細
胞および/またはILC3細胞集団の製造
本方法によるNK細胞および/またはILC3細胞ならびにNK細胞および/またはI
LC3細胞集団の製造は、造血細胞の集団を増幅することを含む。細胞増幅中、造血細胞
集団内の複数の造血細胞がNK細胞および/またはILC3細胞に分化する。一態様では
、幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地中で造血幹細胞また
は前駆細胞、例えば、CD34+幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を
製造し、その後、幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tp
oを欠いている第2の培地中で細胞の前記第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製
造し、その後、IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いて
いる第3の培地中で細胞の前記第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステ
ップを含み、細胞の第3の集団がCD56+、CD3-であるナチュラルキラー細胞を含
み、ナチュラルキラー細胞の少なくとも70%、例えば、少なくも80%が生存している
、NK細胞を製造する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、そのよう
なナチュラルキラー細胞は、CD16-であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の
実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94+であるナチュラルキラー
細胞を含む。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94+
またはCD16+であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、そのよ
うなナチュラルキラー細胞は、CD94-またはCD16-であるナチュラルキラー細胞
を含む。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94+およ
びCD16+であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、そのような
ナチュラルキラー細胞は、CD94-およびCD16-であるナチュラルキラー細胞を含
む。ある特定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病
抑制因子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MI
P-1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP
-1αおよびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体
的な実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1α
を欠き、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある
特定の実施形態では、第1の培地、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例え
ば、低分子量ヘパリンを含まない。
【0142】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;な
らびに(c)IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠いている第3の培地中で細
胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステップを含み、細胞の第3の
集団がCD56+、CD3-およびCD11a+であるナチュラルキラー細胞を含む、N
K細胞を製造する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、前記第1の培
地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/またはマクロフ
ァージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特定の実施形
態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFMS様チロシンキナーゼ3リ
ガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培地および前
記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は、LIF、
MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第1の培地、第
2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例えば、低分子量ヘパリンを含まない。
【0143】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;な
らびに(c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞因子(SCF)およびLMWHの
それぞれを欠いている第3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を
製造するステップを含み、細胞の第3の集団がCD56+、CD3-およびCD11a+
であるナチュラルキラー細胞を含む、NK細胞を製造する方法が本明細書で提供される。
ある特定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制
因子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-
1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1
αおよびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な
実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠
いており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。あ
る特定の実施形態では、第1の培地、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例
えば、低分子量ヘパリンを含まない。
【0144】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;な
らびに(c)IL-2およびIL-15を含み、SCF、幹細胞動員剤およびLMWHの
それぞれを欠いている第3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を
製造するステップを含み、細胞の第3の集団がCD56+、CD3-およびCD11a+
であるナチュラルキラー細胞を含む、NK細胞を製造する方法が本明細書で提供される。
ある特定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制
因子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-
1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1
αおよびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な
実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠
いており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。あ
る特定の実施形態では、第1の培地、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例
えば、低分子量ヘパリンを含まない。
【0145】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;(
c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHのそれぞれを欠いて
いる第3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステップ
;ならびに(d)細胞の第3の集団からCD11a+細胞を単離して、細胞の第4の集団
を製造するステップを含み、細胞の第4の集団がCD56+、CD3-およびCD11a
+であるナチュラルキラー細胞を含む、NK細胞を製造する方法が本明細書で提供される
。ある特定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑
制因子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP
-1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-
1αおよびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的
な実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを
欠いており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。
ある特定の実施形態では、第1の培地、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、
例えば、低分子量ヘパリンを含まない。
【0146】
上記の実施形態のいずれかの、ある特定の実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞は
、パーフォリンおよびEOMESを発現する。ある特定の実施形態では、前記ナチュラル
キラー細胞は、RORγtもIL1R1も発現しない。
【0147】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;な
らびに(c)IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠いている第3の培地中で細
胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステップを含み、細胞の第3の
集団がCD56+、CD3-およびCD11a-であるILC3細胞を含む、ILC3細
胞を製造する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、前記第1の培地お
よび/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/またはマクロファー
ジ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特定の実施形態で
は、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFMS様チロシンキナーゼ3リガン
ド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培地および前記第
2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は、LIF、MI
P-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第1の培地、第2の
培地または第3の培地のどれもヘパリン、例えば、低分子量ヘパリンを含まない。
【0148】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;な
らびに(c)幹細胞動員剤、IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠いている第
3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステップを含み
、細胞の第3の集団がCD56+、CD3-およびCD11a-であるILC3細胞を含
む、ILC3細胞を製造する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、前
記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/また
はマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特
定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFMS様チロシンキ
ナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培
地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は
、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第1
の培地、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例えば、低分子量ヘパリンを含
まない。
【0149】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;な
らびに(c)SCF、IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠いている第3の培
地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステップを含み、細胞
の第3の集団がCD56+、CD3-およびCD11a-であるILC3細胞を含む、I
LC3細胞を製造する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、前記第1
の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/またはマク
ロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特定の実
施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFMS様チロシンキナーゼ
3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培地およ
び前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は、LI
F、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第1の培地
、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例えば、低分子量ヘパリンを含まない
。
【0150】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;な
らびに(c)幹細胞動員剤、SCF、IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠い
ている第3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステッ
プを含み、細胞の第3の集団がCD56+、CD3-およびCD11a-であるILC3
細胞を含む、ILC3細胞を製造する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態
では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)およ
び/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている
。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFMS様チ
ロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記
第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3
の培地は、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態で
は、第1の培地、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例えば、低分子量ヘパ
リンを含まない。
【0151】
一態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地
中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ;(b
)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている
第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ;(
c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHのそれぞれを欠いて
いる第3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステップ
;ならびに(d)細胞の第3の集団からCD11a-細胞を単離して、またはCD11a
+細胞を除去して、細胞の第4の集団を製造するステップを含み、細胞の第4の集団がC
D56+、CD3-およびCD11a-であるILC3細胞を含む、ILC3細胞を製造
する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、前記第1の培地および/ま
たは第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タン
パク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3
の培地は、LIF、MIP-1αおよびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-
3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、
LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよ
びFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第1の培地、第2の培地または第
3の培地のどれもヘパリン、例えば、低分子量ヘパリンを含まない。
【0152】
ある特定の実施形態では、前記ILC3細胞は、RORγtおよびIL1R1を発現す
る。ある特定の実施形態では、前記ILC3細胞は、パーフォリンもEOMESも発現し
ない。
【0153】
5.2.1 3段階法を使用したNK細胞および/またはILC3細胞集団の製造
一実施形態では、NK細胞および/またはILC3細胞集団を製造する3段階法が本明
細書で提供される。ある特定の実施形態では、本明細書で述べた3段階法によりNK細胞
および/またはILC3細胞集団を製造するための、本明細書で述べた、造血細胞の増幅
および分化の方法は、1ミリリットル当たり約2×104から約6×106細胞の前記造
血細胞を含む細胞集団を維持することステップを含む。ある特定の態様では、前記造血幹
細胞または前駆細胞を1×104~1×105細胞/mLで前記第1の培地中に最初に接
種する。具体的な態様では、前記造血幹細胞または前駆細胞を約3×104細胞/mLで
前記第1の培地中に最初に接種する。
【0154】
ある特定の態様では、細胞の前記第1の集団を5×104~5×105細胞/mLで前
記第2の培地中に最初に接種する。具体的な態様では、細胞の前記第1の集団を約1×1
05細胞/mLで前記第2の培地中に最初に接種する。
【0155】
ある特定の態様では、細胞の前記第2の集団を1×105~5×106細胞/mLで前
記第3の培地中に最初に接種する。ある特定の態様では、細胞の前記第2の集団を1×1
05~1×106細胞/mLで前記第3の培地中に最初に接種する。具体的な態様では、
細胞の前記第2の集団を約5×105細胞/mLで前記第3の培地中に最初に接種する。
より具体的な態様では、細胞の前記第2の集団をスピナーフラスコ中で約5×105細胞
/mLで前記第3の培地中に最初に接種する。具体的な態様では、細胞の前記第2の集団
を約3×105細胞/mLで前記第3の培地中に最初に接種する。より具体的な態様では
、細胞の前記第2の集団を静的培養で約3×105細胞/mLで前記第3の培地中に最初
に接種する。
【0156】
ある特定の実施形態では、3段階法は、例えば、本明細書で述べたように、第1の培地
中で規定の時間にわたり造血幹細胞または前駆細胞、例えば、CD34+幹細胞または前
駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造することを含む第1の段階(「段階1」)を
含む。ある特定の実施形態では、第1の培地は、幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(
Tpo)を含む。ある特定の実施形態では、第1の培地は、幹細胞動員剤およびTpoに
加えて、LMWH、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM
-CSFのうちの1つまたは複数を含む。具体的な実施形態では、第1の培地のそれぞれ
は、幹細胞動員剤およびTpoに加えて、LMWH、Flt-3L、SCF、IL-6、
IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。具体的な実施形態では、第
1の培地は、添加されるLMWHを欠いている。具体的な実施形態では、第1の培地は、
添加される脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。具体的な実施形態では、第1の
培地は、LMWHを欠いている。具体的な実施形態では、第1の培地は、脱硫酸化グリコ
サミノグリカンを欠いている。具体的な実施形態では、第1の培地のそれぞれは、幹細胞
動員剤およびTpoに加えて、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF
およびGM-CSFのそれぞれを含む。具体的な実施形態では、第1の培地は、白血病抑
制因子(LIF)、マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)また
は両方を欠いている。
【0157】
ある特定の実施形態では、その後、「段階2」において、例えば、本明細書で述べたよ
うに、第2の培地中で規定の時間にわたり前記細胞を培養して、細胞の第2の集団を製造
する。ある特定の実施形態では、第2の培地は、幹細胞動員剤およびインターロイキン1
5(IL-15)を含み、Tpoを欠いている。ある特定の実施形態では、第2の培地は
、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、
IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのうちの1つまたは複数を含む。ある特定の実
施形態では、第2の培地は、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、LMWH、Flt
-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。
具体的な実施形態では、第2の培地は、添加されるLMWHを欠いている。具体的な実施
形態では、第2の培地は、添加される脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。具体
的な実施形態では、第2の培地は、ヘパリン、例えば、LMWHを欠いている。具体的な
実施形態では、第2の培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。ある特定の
実施形態では、第2の培地は、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、Flt-3、S
CF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。具体的な
実施形態では、第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)、マクロファージ炎症性タンパ
ク質-1アルファ(MIP-1α)または両方を欠いている。
【0158】
ある特定の実施形態では、その後、「段階3」において、例えば、本明細書で述べたよ
うに、第3の培地中で規定の時間にわたり前記細胞を培養して、細胞の第3の集団、例え
ば、ナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の実施形態では、第3の培地は、IL-
2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いている。ある特定の実施
形態では、第3の培地は、IL-2およびIL-15に加えて、SCF、IL-6、IL
-7、G-CSFおよびGM-CSFのうちの1つまたは複数を含む。ある特定の実施形
態では、第3の培地は、IL-2およびIL-15に加えて、SCF、IL-6、IL-
7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。具体的な実施形態では、第1の培
地は、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lのうちの1つ、2つまたは3つすべてを欠
いている。具体的な実施形態では、第3の培地は、添加される脱硫酸化グリコサミノグリ
カンを欠いている。具体的な実施形態では、第3の培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカ
ンを欠いている。具体的な実施形態では、第3の培地は、ヘパリン、例えば、LMWHを
欠いている。
【0159】
具体的な実施形態では、3段階法を使用して、NK細胞および/またはILC3細胞集
団を製造する。ある特定の実施形態では、3段階法は、間質フィーダー細胞支持の非存在
下で行われる。ある特定の実施形態では、3段階法は、外から添加されるステロイド(例
えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾンまたはその誘導体)の非存在下で行われる。
【0160】
ある特定の態様では、3段階法に使用する前記第1の培地は、幹細胞動員剤およびトロ
ンボポエチン(Tpo)を含む。ある特定の態様では、3段階法に使用する第1の培地は
、幹細胞動員剤およびTpoに加えて、低分子量ヘパリン(LMWH)、Flt-3リガ
ンド (Flt-3L)、幹細胞因子(SCF)、IL-6、IL-7、顆粒球コロニー
刺激因子(G-CSF)または顆粒球マクロファージ刺激因子(GM-CSF)のうちの
1つまたは複数を含む。ある特定の態様では、3段階法に使用する第1の培地は、幹細胞
動員剤およびTpoに加えて、LMWH、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、
G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。ある特定の態様では、3段階法に使用
する第1の培地は、幹細胞動員剤およびTpoに加えて、Flt-3L、SCF、IL-
6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。具体的な態様では、第
1の培地は、添加されるLMWHを欠いている。具体的な態様では、第1の培地は、添加
される脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。具体的な態様では、第1の培地は、
LMWHを欠いている。具体的な態様では、第1の培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカ
ンを欠いている。ある特定の態様では、前記Tpoは、1ng/mL~100ng/mL
、1ng/mL~50ng/mL、20ng/mL~30ng/mLまたは約25ng/
mLの濃度で第1の培地中に存在する。ある特定の態様では、第1の培地中に、LMWH
は、1U/mL~10U/mLの濃度で存在し、Flt-3Lは、1ng/mL~50n
g/mLの濃度で存在し、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、I
L-6は、0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、1ng
/mL~50ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL~0.50
ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1ng/mL
の濃度で存在する。ある特定の態様では、第1の培地中に、Flt-3Lは、1ng/m
L~50ng/mLの濃度で存在し、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で
存在し、IL-6は、0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7
は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL
~0.50ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1
ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1の培地中に、LMWHは、4U
/mL~5U/mLの濃度で存在し、Flt-3Lは、20ng/mL~30ng/mL
の濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6
は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/
mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30n
g/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの
濃度で存在する。ある特定の態様では、第1の培地中に、Flt-3Lは、20ng/m
L~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度
で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL
-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng
/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~
0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1の培地中に、LMWHは
、約4.5U/mLの濃度で存在し、Flt-3Lは、約25ng/mLの濃度で存在し
、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、約0.05ng/mLの濃
度で存在し、IL-7は、約25ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、約0.25
ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約0.01ng/mLの濃度で存在する。
ある特定の態様では、第1の培地中に、Flt-3Lは、約25ng/mLの濃度で存在
し、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、約0.05ng/mLの
濃度で存在し、IL-7は、約25ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、約0.2
5ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約0.01ng/mLの濃度で存在する
。ある特定の実施形態では、前記第1の培地は、以下、ゲンタマイシンのような抗生物質
;トランスフェリン、インスリンおよび/またはベータ-メルカプトエタノールのような
抗酸化物質;亜セレン酸ナトリウム;アスコルビン酸;エタノールアミン;ならびにグル
タチオンのうちの1つまたは複数をさらに含む。ある特定の実施形態では、第1の培地の
主成分となる培地は、当業者に公知の細胞/組織培養培地、例えば、SCGM(商標)、
STEMMACS(商標)、GBGM(登録商標)、AIM-V(登録商標)、X-VI
VO(商標)10、X-VIVO(商標)15、OPTMIZER、STEMSPAN(
登録商標)H3000、CELLGRO COMPLETE(商標)、DMEM:Ham
’s F12(「F12」)(例えば、2:1比、または高グルコースもしくは低グルコ
ースDMEM)、Advanced DMEM(Gibco)、EL08-1D2、My
elocult(商標)H5100、IMDMおよび/もしくはRPMI-1640のよ
うな市販の細胞/組織培養培地;またはGBGM(登録商標)、AIM-V(登録商標)
、X-VIVO(商標)10、X-VIVO(商標)15、OPTMIZER、STEM
SPAN(登録商標)H3000、CELLGRO COMPLETE(商標)、DME
M:Ham’s F12(「F12」)(例えば、2:1比、または高グルコースもしく
は低グルコースDMEM)、Advanced DMEM(Gibco)、EL08-1
D2、Myelocult(商標)H5100、IMDMおよび/もしくはRPMI-1
640に含まれている成分のような、公知の細胞/組織培養培地に一般的に含まれている
成分を含む培地である。ある特定の実施形態では、前記第1の培地は、GBGM(登録商
標)でない。上記の実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、第1の培地は、LIF
、MIP-1αまたは両方を欠いている。
【0161】
ある特定の態様では、3段階法に使用する前記第2の培地は、幹細胞動員剤およびイン
ターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている。ある特定の態様では、3
段階法に使用する第2の培地は、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、LMWH、F
lt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのうちの1つま
たは複数を含む。ある特定の実施形態では、3段階法に使用する第2の培地は、幹細胞動
員剤およびIL-15に加えて、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、
G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。ある特定の態様では、3段階法に使用
する第2の培地は、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、Flt-3、SCF、IL
-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。具体的な態様では、
第2の培地は、添加されるLMWHを欠いている。具体的な態様では、第2の培地は、添
加される脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。具体的な態様では、第2の培地は
、LMWHを欠いている。具体的な態様では、第2の培地は、脱硫酸化グリコサミノグリ
カンを欠いている。ある特定の態様では、前記IL-15は、1ng/mL~50ng/
mL、10ng/mL~30ng/mLまたは約20ng/mLの濃度で前記第2の培地
中に存在する。ある特定の態様では、前記第2の培地中に、LMWHは、1U/mL~1
0U/mLの濃度で存在し、Flt-3Lは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存
在し、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.01
ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、1ng/mL~50ng/
mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で
存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。
ある特定の態様では、前記第2の培地中に、Flt-3Lは、1ng/mL~50ng/
mLの濃度で存在し、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、IL-
6は、0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、1ng/m
L~50ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL~0.50ng
/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃
度で存在する。ある特定の態様では、第2の培地中に、LMWHは、4U/mL~5U/
mLの濃度で第2の培地中に存在し、Flt-3Lは、20ng/mL~30ng/mL
の濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6
は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/
mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30n
g/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの
濃度で存在する。ある特定の態様では、第2の培地中に、Flt-3Lは、20ng/m
L~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度
で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL
-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng
/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~
0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2の培地中に、LMWHは
、4U/mL~5U/mLの濃度で第2の培地中に存在し、Flt-3Lは、20ng/
mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃
度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、I
L-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20n
g/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL
~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2の培地中に、Flt-
3Lは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~
30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mL
の濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-C
SFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0
.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2の
培地中に、LMWHは、約4.5U/mLの濃度で第2の培地中に存在し、Flt-3L
は、約25ng/mLの濃度で存在し、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、I
L-6は、約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約25ng/mLの濃度
で存在し、G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約0
.01ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2の培地中に、Flt-3
Lは、約25ng/mLの濃度で存在し、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、
IL-6は、約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約25ng/mLの濃
度で存在し、G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約
0.01ng/mLの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、前記第2の培地は、以
下、ゲンタマイシンのような抗生物質;トランスフェリン、インスリンおよび/またはベ
ータ-メルカプトエタノールのような抗酸化物質;亜セレン酸ナトリウム;アスコルビン
酸;エタノールアミン;ならびにグルタチオンのうちの1つまたは複数をさらに含む。あ
る特定の実施形態では、第2の培地の主成分となる培地は、当業者に公知の細胞/組織培
養培地、例えば、SCGM(商標)、STEMMACS(商標)、GBGM(登録商標)
、AIM-V(登録商標)、X-VIVO(商標)10、X-VIVO(商標)15、O
PTMIZER、STEMSPAN(登録商標)H3000、CELLGRO COMP
LETE(商標)、DMEM:Ham’s F12(「F12」)(例えば、2:1比、
または高グルコースもしくは低グルコースDMEM)、Advanced DMEM(G
ibco)、EL08-1D2、Myelocult(商標)H5100、IMDMおよ
び/もしくはRPMI-1640のような市販の細胞/組織培養培地;またはGBGM(
登録商標)、AIM-V(登録商標)、X-VIVO(商標)10、X-VIVO(商標
)15、OPTMIZER、STEMSPAN(登録商標)H3000、CELLGRO
COMPLETE(商標)、DMEM:Ham’s F12(「F12」)(例えば、
2:1比、または高グルコースもしくは低グルコースDMEM)、Advanced D
MEM(Gibco)、EL08-1D2、Myelocult(商標)H5100、I
MDMおよび/もしくはRPMI-1640に含まれている成分のような、公知の細胞/
組織培養培地に一般的に含まれている成分を含む培地である。ある特定の実施形態では、
前記第2の培地は、GBGM(登録商標)でない。上記の実施形態のいずれかの具体的な
実施形態では、第1の培地は、LIF、MIP-1αまたは両方を欠いている。
【0162】
ある特定の態様では、3段階法に使用する前記第3の培地は、IL-2およびIL-1
5を含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いている。ある特定の態様では、3段階法に
使用する前記第3の培地は、IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠いている。
ある特定の態様では、3段階法に使用する前記第3の培地は、IL-2およびIL-15
を含み、SCFおよびLMWHを欠いている。ある特定の態様では、3段階法に使用する
前記第3の培地は、IL-2およびIL-15を含み、SCF、幹細胞動員剤およびLM
WHを欠いている。ある特定の態様では、3段階法に使用する前記第3の培地は、幹細胞
動員剤、IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠いている。ある特定の態様では
、3段階法に使用する前記第3の培地は、SCF、IL-2およびIL-15を含み、L
MWHを欠いている。ある特定の態様では、3段階法に使用する前記第3の培地は、幹細
胞動員剤、SCF、IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠いている。ある特定
の態様では、3段階法に使用される前記第3の培地は、IL-2およびIL-15を含み
、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いている。ある特定の態様では、3段階法に使用され
る第3の培地は、IL-2およびIL-15に加えて、SCF、IL-6、IL-7、G
-CSFまたはGM-CSFのうちの1つまたは複数を含む。ある特定の態様では、3段
階法に使用される第3の培地は、IL-2およびIL-15に加えて、SCF、IL-6
、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。ある特定の態様では、前
記IL-2は、10U/mL~10,000U/mLの濃度で前記第3の培地中に存在し
、前記IL-15は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で前記第3の培地中に存在す
る。ある特定の態様では、前記IL-2は、100U/mL~10,000U/mLの濃
度で前記第3の培地中に存在し、前記IL-15は、1ng/mL~50ng/mLの濃
度で前記第3の培地中に存在する。ある特定の態様では、前記IL-2は、300U/m
L~3,000U/mLの濃度で前記第3の培地中に存在し、前記IL-15は、10n
g/mL~30ng/mLの濃度で前記第3の培地中に存在する。ある特定の態様では、
前記IL-2は、約1,000U/mLの濃度で前記第3の培地中に存在し、前記IL-
15は、約20ng/mLの濃度で前記第3の培地中に存在する。ある特定の態様では、
前記第3の培地中に、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、IL-
6は、0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、1ng/m
L~50ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL~0.50ng
/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃
度で存在する。ある特定の態様では、前記第3の培地中に、SCFは、20ng/mL~
30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mL
の濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-C
SFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0
.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、前記第
3の培地中に、SCFは、約22ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、約0.05n
g/mLの濃度で存在し、IL-7は、約20ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは
、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.01ng/mLの濃度で
存在する。ある特定の態様では、第3の培地は、100ng/mL IL-7、1000
ng/mL IL-2、20ng/mL IL-15および10μM SR1を含み、S
CFを欠いている。ある特定の態様では、第3の培地は、20ng/mL IL-7、1
000ng/mL IL-2、20ng/mL IL-15および10μM SR1を含
み、SCFを欠いている。ある特定の態様では、第3の培地は、20ng/mL IL-
7, 20ng/mL IL-15および10μM SR1を含み、SCFを欠いている
。ある特定の態様では、第3の培地は、100ng/mL IL-7、22ng/mL
SCF、1000ng/mL IL-2および20ng/mL IL-15を含み、SR
1を欠いている。ある特定の態様では、第3の培地は、22ng/mL SCF、100
0ng/mL IL-2および20ng/mL IL-15を含み、SR1を欠いている
。ある特定の態様では、第3の培地は、20ng/mL IL-7、22ng/mL S
CF、1000ng/mL IL-2および20ng/mL IL-15を含み、SR1
を欠いている。ある特定の態様では、第3の培地は、20ng/mL IL-7、22n
g/mL SCFおよび1000ng/mL IL-2を含み、SR1を欠いている。上
記の実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、第1の培地は、LIF、MIP-1α
、Flt-3Lのうちの1つ、2つまたは3つすべてを欠いている。
【0163】
ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、以下、ゲンタマイシンのような抗生物質
;トランスフェリン、インスリンおよび/またはベータ-メルカプトエタノールのような
抗酸化物質;亜セレン酸ナトリウム;アスコルビン酸;エタノールアミン;ならびにグル
タチオンのうちの1つまたは複数をさらに含む。ある特定の実施形態では、第3の培地の
主成分となる培地は、当業者に公知の細胞/組織培養培地、例えば、SCGM(商標)、
STEMMACS(商標)、GBGM(登録商標)、AIM-V(登録商標)、X-VI
VO(商標)10、X-VIVO(商標)15、OPTMIZER、STEMSPAN(
登録商標)H3000、CELLGRO COMPLETE(商標)、DMEM:Ham
’s F12(「F12」)(例えば、2:1比、または高グルコースもしくは低グルコ
ースDMEM)、Advanced DMEM(Gibco)、EL08-1D2、My
elocult(商標)H5100、IMDMおよび/もしくはRPMI-1640のよ
うな市販の細胞/組織培養培地;またはGBGM(登録商標)、AIM-V(登録商標)
、X-VIVO(商標)10、X-VIVO(商標)15、OPTMIZER、STEM
SPAN(登録商標)H3000、CELLGRO COMPLETE(商標)、DME
M:Ham’s F12(「F12」)(例えば、2:1比、または高グルコースもしく
は低グルコースDMEM)、Advanced DMEM(Gibco)、EL08-1
D2、Myelocult(商標)H5100、IMDMおよび/もしくはRPMI-1
640に含まれている成分のような、公知の細胞/組織培養培地に一般的に含まれている
成分を含む培地である。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、GBGM(登録商
標)でない。
【0164】
一般的に、個別に列挙する培地成分は、前記培地の組成不明の成分中の可能な成分を指
すものでない。例えば、前記Tpo、IL-2およびIL-15は、第1の培地、第2の
培地または第3の培地の組成不明の成分中に含まれない、例えば、前記Tpo、IL-2
およびIL-15は、血清中に含まれない。さらに、前記LMWH、Flt-3、SCF
、IL-6、IL-7、G-CSFおよび/またはGM-CSFは、第1の培地、第2の
培地または第3の培地の組成不明の成分中に含まれない、例えば、前記LMWH、Flt
-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよび/またはGM-CSFは、血清中
に含まれない。
【0165】
ある特定の態様では、前記第1の培地、第2の培地または第3の培地は、ヒト血清AB
を含む。ある特定の態様では、前記第1の培地、第2の培地または第3の培地のいずれも
、1%~20%のヒト血清AB、5%~15%のヒト血清ABまたは約2、5もしくは1
0%のヒト血清ABを含む。
【0166】
本明細書で述べた3段階法における、ある特定の実施形態では、前記造血幹細胞または
前駆細胞を前記第1の培地中で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12
、13、14、15、16、17、18、19または20日間培養する。本明細書で述べ
た3段階法における、ある特定の実施形態では、細胞を前記第2の培地中で1、2、3、
4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、1
9または20日間培養する。本明細書で述べた3段階法における、ある特定の実施形態で
は、細胞を前記第3の培地中で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12
、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、
26、27、28、29もしくは30日間または30日を超える期間にわたり培養する。
【0167】
本明細書で述べた3段階法における、具体的な実施形態では、前記造血幹細胞または前
駆細胞を、前記第2の培地中で前記培養するステップの前に、前記第1の培地中で7~1
3日間培養して、細胞の第1の集団を製造し;細胞の前記第1の集団を、前記第3の培地
中で前記培養するステップの前に前記第2の培地中で2~6日間培養して、細胞の第2の
集団を製造し;細胞の前記第2の集団を前記第3の培地中で10~30日間培養する、す
なわち、細胞を合計19~49日間培養する。
【0168】
本明細書で述べた3段階法における、具体的な実施形態では、前記造血幹細胞または前
駆細胞を、前記第2の培地中で前記培養するステップの前に、前記第1の培地中で8~1
2日間培養して、細胞の第1の集団を製造し;細胞の前記第1の集団を、前記第3の培地
中で前記培養するステップの前に前記第2の培地中で3~5日間培養して、細胞の第2の
集団を製造し;細胞の前記第2の集団を前記第3の培地中で15~25日間培養する、す
なわち、細胞を合計26~42日間培養する。
【0169】
本明細書で述べた3段階法における、具体的な実施形態では、前記造血幹細胞または前
駆細胞を、前記第2の培地中で前記培養するステップの前に、前記第1の培地中で約10
日間培養して、細胞の第1の集団を製造し;細胞の前記第1の集団を、前記第3の培地中
で前記培養するステップの前に前記第2の培地中で約4日間培養して、細胞の第2の集団
を製造し;細胞の前記第2の集団を前記第3の培地中で約21日間培養する、すなわち、
細胞を合計約35日間培養する。
【0170】
ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、前記第1の培地中に最初に接種
された造血幹細胞の数と比較して少なくとも5000倍多いナチュラルキラー細胞を製造
する。ある特定の態様では、前記3段階法は、前記第1の培地中に最初に接種された造血
幹細胞の数と比較して少なくとも10,000倍多いナチュラルキラー細胞を製造する。
ある特定の態様では、前記3段階法は、前記第1の培地中に最初に接種された造血幹細胞
の数と比較して少なくとも50,000倍多いナチュラルキラー細胞を製造する。ある特
定の態様では、前記3段階法は、前記第1の培地中に最初に接種された造血幹細胞の数と
比較して少なくとも75,000倍多いナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態
様では、前記ナチュラルキラー細胞の生存率を7-アミノアクチノマイシンD(7AAD
)染色により決定する。ある特定の態様では、前記ナチュラルキラー細胞の生存率をアネ
キシンV染色により決定する。具体的な態様では、前記ナチュラルキラー細胞の生存率を
7AAD染色およびアネキシンV染色の両方により決定する。ある特定の態様では、前記
ナチュラルキラー細胞の生存率をトリパンブルー染色により決定する。
【0171】
ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、前記第1の培地中に最初に接種
された造血幹細胞の数と比較して少なくとも5000倍多いILC3細胞を製造する。あ
る特定の態様では、前記3段階法は、前記第1の培地中に最初に接種された造血幹細胞の
数と比較して少なくとも10,000倍多いILC3細胞を製造する。ある特定の態様で
は、前記3段階法は、前記第1の培地中に最初に接種された造血幹細胞の数と比較して少
なくとも50,000倍多いILC3細胞を製造する。ある特定の態様では、前記3段階
法は、前記第1の培地中に最初に接種された造血幹細胞の数と比較して少なくとも75,
000倍多いILC3細胞を製造する。
【0172】
ある特定の態様では、3段階法は、少なくとも20%のCD56+CD3-ナチュラル
キラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、
少なくとも40%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細
胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、少なくとも60%のCD56+CD3
-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、
3段階法は、少なくとも70%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュ
ラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、少なくとも80%のCD
56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。
【0173】
ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、少なくとも20%のCD56+
CD3-CD11a+ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。あ
る特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、少なくとも40%のCD56+CD
3-CD11a+ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特
定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、少なくとも60%のCD56+CD3-
CD11a+ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の
態様では、本明細書で開示する3段階法は、少なくとも80%のCD56+CD3-CD
11a+ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。
【0174】
ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、少なくとも20%のCD56+
CD3-CD11a-ILC3細胞を含むILC3細胞を製造する。ある特定の態様では
、本明細書で開示する3段階法は、少なくとも40%のCD56+CD3-CD11a-
ILC3細胞を含むILC3細胞を製造する。ある特定の態様では、本明細書で開示する
3段階法は、少なくとも60%のCD56+CD3-CD11a-ILC3細胞を含むI
LC3細胞を製造する。ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、少なくと
も80%のCD56+CD3-CD11a-ILC3細胞を含むナチュラルキラー細胞を
製造する。
【0175】
ある特定の態様では、3段階法は、ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:
1の比でin vitroまたはex vivoで共培養した場合、前記K562細胞に
対して少なくとも20%の細胞傷害性を示す前記ナチュラルキラー細胞を製造する。ある
特定の態様では、3段階法は、ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の比
でin vitroまたはex vivoで共培養した場合、前記K562細胞に対して
少なくとも35%の細胞傷害性を示す前記ナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の
態様では、3段階法は、ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の比でin
vitroまたはex vivoで共培養した場合、前記K562細胞に対して少なく
とも45%の細胞傷害性を示す前記ナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様で
は、3段階法は、ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の比でin vi
troまたはex vivoで共培養した場合、前記K562細胞に対して少なくとも6
0%の細胞傷害性を示す前記ナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3
段階法は、ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の比でin vitro
またはex vivoで共培養した場合、前記K562細胞に対して少なくとも75%の
細胞傷害性を示す前記ナチュラルキラー細胞を製造する。
【0176】
ある特定の態様では、3段階法は、ILC3細胞およびK562細胞を10:1の比で
in vitroまたはex vivoで共培養した場合、前記K562細胞に対して少
なくとも20%の細胞傷害性を示す前記ILC3細胞を製造する。ある特定の態様では、
3段階法は、ILC3細胞およびK562細胞を10:1の比でin vitroまたは
ex vivoで共培養した場合、前記K562細胞に対して少なくとも35%の細胞傷
害性を示す前記ILC3細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、ILC3細
胞およびK562細胞を10:1の比でin vitroまたはex vivoで共培養
した場合、前記K562細胞に対して少なくとも45%の細胞傷害性を示す前記ILC3
細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、ILC3細胞およびK562細胞を
10:1の比でin vitroまたはex vivoで共培養した場合、前記K562
細胞に対して少なくとも60%の細胞傷害性を示す前記ILC3細胞を製造する。ある特
定の態様では、3段階法は、ILC3細胞およびK562細胞を10:1の比でin v
itroまたはex vivoで共培養した場合、前記K562細胞に対して少なくとも
75%の細胞傷害性を示す前記ILC3細胞を製造する。
【0177】
ある特定の態様では、前記第3の培養するステップの後、細胞の前記第3の集団、例え
ば、ナチュラルキラー細胞および/またはILC3細胞の前記集団を凍結保存する。ある
特定の態様では、前記第4の培養するステップの後、細胞の前記第4の集団、例えば、ナ
チュラルキラー細胞および/またはILC3細胞の前記集団を凍結保存する。
【0178】
ある特定の態様では、ナチュラルキラー細胞、すなわち、本明細書で述べた3段階法に
より製造されたナチュラルキラー細胞を含む細胞の集団が本明細書で提供される。したが
って、本明細書で述べた3段階法により製造された単離ナチュラルキラー細胞集団が本明
細書で提供される。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくと
も20%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施形態では、前
記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも40%のCD56+CD3-ナチュラルキラ
ー細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも6
0%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナ
チュラルキラー細胞集団は、少なくとも80%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細
胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくも60%の
CD16-細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少な
くも80%のCD16-細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞
集団は、少なくも20%のCD94+細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラ
ルキラー細胞集団は、少なくも40%のCD94+細胞を含む。
【0179】
ある特定の態様では、パーフォリンおよび/またはEOMESを発現し、RORγt、
アリール炭化水素受容体(AHR)およびIL1R1のうちの1つまたは複数を発現しな
い、CD56+CD3-CD117+CD11a+であるナチュラルキラー細胞の集団が
本明細書で提供される。ある特定の態様では、前記ナチュラルキラー細胞は、パーフォリ
ンおよびEOMESを発現し、RORγt、アリール炭化水素受容体またはIL1R1の
いずれも発現しない。ある特定の態様では、前記ナチュラルキラー細胞は、T-bet、
GZMB、NKp46、NKp30およびNKG2Dをさらに発現する。ある特定の態様
では、前記ナチュラルキラー細胞は、CD94を発現する。ある特定の態様では、前記ナ
チュラルキラー細胞は、CD94を発現しない。
【0180】
ある特定の態様では、RORγt、アリール炭化水素受容体およびIL1R1のうちの
1つまたは複数を発現し、CD94、パーフォリンおよびEOMESのうちの1つまたは
複数を発現しない、CD56+CD3-CD117+CD11a-であるILC3細胞の
集団が本明細書で提供される。ある特定の態様では、前記ILC3細胞は、RORγt、
アリール炭化水素受容体およびIL1R1を発現し、CD94、パーフォリンまたはEO
MESのいずれも発現しない。ある特定の態様では、前記ILC3細胞は、CD226お
よび/または2B4をさらに発現する。ある特定の態様では、前記ILC3細胞は、IL
-22、TNFαおよびDNAM-1のうちの1つまたは複数をさらに発現する。ある特
定の態様では、前記ILC3細胞は、CD226、2B4、IL-22、TNFαおよび
DNAM-1を発現する。
【0181】
ある特定の態様では、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第
1の培地中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステッ
プ;(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠
いている第2の培地中で細胞の第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステ
ップ;(c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHのそれぞれ
を欠いている第3の培地中で細胞の第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造する
ステップ;ならびに(d)細胞の前記第3の集団からCD11a+細胞およびCD11a
-細胞を分離するステップ;ならびに(e)CD11a+細胞をCD11a-細胞と50
:1、40:1、30:1、20:1、10:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1
:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:20、1:30、1:40また
は1:50の比で合わせて、細胞の第4の集団を製造するステップを含む、ナチュラルキ
ラー細胞およびILC3細胞を含む細胞集団を製造する方法が本明細書で提供される。あ
る特定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因
子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1
α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α
およびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実
施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠き
、前記第3の培地は、LIF、MIP-1αおよびFlt3Lを欠いている。ある特定の
実施形態では、第1の培地、第2の培地または第3の培地のどれもヘパリン、例えば、低
分子量ヘパリンを含まない。ある特定の態様では、細胞の第4の集団において、CD11
a+細胞およびCD11a-細胞が50:1の比で合わせられている。ある特定の態様で
は、細胞の第4の集団において、CD11a+細胞およびCD11a-細胞が20:1の
比で合わせられている。ある特定の態様では、細胞の第4の集団において、CD11a+
細胞およびCD11a-細胞が10:1の比で合わせられている。ある特定の態様では、
細胞の第4の集団において、CD11a+細胞およびCD11a-細胞が5:1の比で合
わせられている。ある特定の態様では、細胞の第4の集団において、CD11a+細胞お
よびCD11a-細胞が1:1の比で合わせられている。ある特定の態様では、細胞の第
4の集団において、CD11a+細胞およびCD11a-細胞が1:5の比で合わせられ
ている。ある特定の態様では、細胞の第4の集団において、CD11a+細胞およびCD
11a-細胞が1:10の比で合わせられている。ある特定の態様では、細胞の第4の集
団において、CD11a+細胞およびCD11a-細胞が1:20の比で合わせられてい
る。ある特定の態様では、細胞の第4の集団において、CD11a+細胞およびCD11
a-細胞が1:50の比で合わせられている。
【0182】
5.3. 幹細胞動員因子
5.3.1.化学定義
本明細書に記載の幹細胞動員因子についての開示の理解を補助するために、多数の用語
が下段にて定義される。
【0183】
一般に、本明細書で使用される命名法、ならびに本明細書に記載の生物学、細胞生物学
、生化学、有機化学、医化学および薬理学に関する実験手順は、当技術分野において周知
の、一般に用いられているものである。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるす
べての専門および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解され
ているのと同じ意味を一般に有する。
【0184】
用語「約」または「おおよそ」は、当業者によって決定される特定の値について許容さ
れる誤差を意味し、前記誤差は、前記値が測定または決定される方法に一部依存する。あ
る特定の実施形態では、用語「約」または「おおよそ」は、1、2、3または4標準偏差
内を意味する。ある特定の実施形態では、用語「約」または「おおよそ」は、所定の値ま
たは範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3
%、2%、1%、0.5%または0.05%以内を意味する。
【0185】
用語「アリール炭化水素受容体」または「AHR」は、ヒトにおけるAHR遺伝子によ
りコードされているタンパク質、またはその変異体(例えば、GenBank受託番号P
35869.2およびAAH70080.1を参照されたい)を意味する。
【0186】
用語「アリール炭化水素受容体アンタゴニスト」、「AHRアンタゴニスト」、「アリ
ール炭化水素受容体阻害剤」、または「AHR阻害剤」は、アリール炭化水素受容体の活
性をダウンレギュレートするまたは低下させる化合物を意味する。
【0187】
用語「アルキル」は、直鎖状のまたは分岐した飽和一価炭化水素ラジカルを意味し、こ
こでのアルキルは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換さ
れている。用語「アルキル」はまた、別段の規定がない限り、直鎖状アルキルと分岐アル
キルの両方を包含する。ある特定の実施形態では、アルキルは、炭素原子1~20個(C
1~20)、1~15個(C1~15)、1~10個(C1~10)、もしくは1~6個
(C1~6)を有する直鎖状の飽和一価炭化水素ラジカルであるか、または炭素原子3~
20個(C3~20)、3~15個(C3~15)、3~10個(C3~10)、もしく
は3~6個(C3~6)の分岐した飽和一価炭化水素ラジカルである。本明細書で使用さ
れる直鎖状C1~6および分岐C3-6アルキル基は、「低級アルキル」とも呼ばれる。
アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(すべての異性体型を含む)、n-
プロピル、イソプロピル、ブチル(すべての異性体型を含む)、n-ブチル、イソブチル
、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル(すべての異性体型を含む)、およびヘキシル
(すべての異性体型を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、C1~6
アルキルは、炭素原子1~6個の直鎖状の飽和一価炭化水素ラジカル、または炭素原子3
~6個の分岐した飽和一価炭化水素ラジカルを意味する。
【0188】
用語「アルキレン」は、直鎖状のまたは分岐した飽和二価炭化水素ラジカルを意味し、
ここでのアルキレンは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置
換されている。例えば、C1~6アルキレンは、炭素原子1~6個の直鎖状の飽和二価炭
化水素ラジカル、または炭素原子3~6個の分岐した飽和二価炭化水素ラジカルを意味す
る。ある特定の実施形態では、アルキレンは、炭素原子1~20個(C1~20)、1~
15個(C1~15)、1~10個(C1~10)、もしくは1~6個(C1~6)を有
する直鎖状の飽和二価炭化水素ラジカルであるか、または炭素原子3~20個(C3~2
0)、3~15個(C3~15)、3~10個(C3~10)、もしくは3~6個(C3
~6)の分岐した飽和二価炭化水素ラジカルである。本明細書で使用される直鎖状C1~
6および分岐C3~6アルキレン基は、「低級アルキレン」とも呼ばれる。アルキレン基
の例としては、メチレン、エチレン、プロピレン(すべての異性体型を含む)、n-プロ
ピレン、イソプロピレン、ブチレン(すべての異性体型を含む)、n-ブチレン、イソブ
チレン、t-ブチレン、ペンチレン(すべての異性体型を含む)、およびヘキシレン(す
べての異性体型を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0189】
用語「アルケニル」は、1つまたは複数、一実施形態では1、2、3、4または5つ、
別の実施形態では1つの炭素-炭素二重結合を含有する、直鎖状のまたは分岐した一価炭
化水素ラジカルを意味する。アルケニルは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換
基Qで任意選択で置換されている。用語「アルケニル」は、当業者により認識されている
ように、「シス」および「トランス」立体配置、または代替的に、「Z」および「E」立
体配置を有すラジカルも包含する。本明細書で使用される用語「アルケニル」はまた、別
段の規定がない限り、直鎖状アルケニルと分岐アルケニルの両方を包含する。例えば、C
2~6アルケニルは、炭素原子2~6個の直鎖状の不飽和一価炭化水素ラジカル、または
炭素原子3~6個の分岐した不飽和一価炭化水素ラジカルを意味する。ある特定の実施形
態では、アルケニルは、炭素原子2~20個(C2~20)、2~15個(C2~15)
、2~10個(C2~10)、もしくは2~6個(C2~6)の直鎖状の一価炭化水素ラ
ジカルであるか、または炭素原子3~20個(C3~20)、3~15個(C3~15)
、3~10個(C3~10)、もしくは3~6個(C3~6)の分岐した一価炭化水素ラ
ジカルである。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペン-1-イル、プロペン-
2-イル、アリル、ブテニル、および4-メチルブテニルが挙げられるが、これらに限定
されない。
【0190】
用語「アルケニレン」は、1つまたは複数、一実施形態では1~5つ、別の実施形態で
は1つの炭素-炭素二重結合を含有する、直鎖状のまたは分岐した二価炭化水素ラジカル
を意味する。アルケニレンは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選
択で置換されている。用語「アルケニレン」は、当業者により認識されているように、「
シス」もしくは「トランス」立体配置もしくはこれらの混合配置、または代替的に、「Z
」もしくは「E」立体配置もしくはこれらの混合配置を有すラジカルを包含する。例えば
、C2~6アルケニレンは、炭素原子2~6個の直鎖状の不飽和二価炭化水素ラジカル、
または炭素原子3~6個の分岐した不飽和二価炭化水素ラジカルを意味する。ある特定の
実施形態では、アルケニレンは、炭素原子2~20個(C2~20)、2~15個(C2
~15)、2~10個(C2~10)、もしくは2~6個(C2~6)の直鎖状の二価炭
化水素ラジカルであるか、または炭素原子3~20個(C3~20)、3~15個(C3
~15)、3~10個(C3~10)、もしくは3~6個(C3~6)の分岐した二価炭
化水素ラジカルである。アルケニレン基の例としては、エテニレン、アリレン、プロペニ
レン、ブテニレン、および4-メチルブテニレンが挙げられるが、これらに限定されない
。
【0191】
用語「アルキニル」は、1つまたは複数、一実施形態では1、2、3、4または5つ、
別の実施形態では1つの炭素-炭素三重結合を含有する、直鎖状のまたは分岐した一価炭
化水素ラジカルを意味する。アルキニルは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換
基Qで任意選択で置換されている。用語「アルキニル」はまた、別段の規定がない限り、
直鎖状アルキニルと分岐アルキニルの両方を包含する。ある特定の実施形態では、アルキ
ニルは、炭素原子2~20個(C2~20)、2~15個(C2~15)、2~10個(
C2~10)、もしくは2~6個(C2~6)の直鎖状の一価炭化水素ラジカルであるか
、または炭素原子3~20個(C3~20)、3~15個(C3~5)、3~10個(C
3~10)、もしくは3~6個(C3~6)の分岐した一価炭化水素ラジカルである。ア
ルキニル基の例としては、エチニル(-C≡CH)およびプロパルギル(-CH2C≡C
H)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、C2~6アルキニルは、炭素原子
2~6個の直鎖状の不飽和一価炭化水素ラジカル、または炭素原子3~6個の分岐した不
飽和一価炭化水素ラジカルを意味する。
【0192】
用語「アルキニレン」は、1つまたは複数、一実施形態では1~5つ、別の実施形態で
は1つの炭素-炭素三重結合を含有する、直鎖状のまたは分岐した二価炭化水素ラジカル
を意味する。アルキニレンは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選
択で置換されている。例えば、C2~6アルキニレンは、炭素原子2~6個の直鎖状の不
飽和二価炭化水素ラジカル、または炭素原子3~6個の分岐した不飽和二価炭化水素ラジ
カルを意味する。ある特定の実施形態では、アルキニレンは、炭素原子2~20個(C2
~20)、2~15個(C2~15)、2~10個(C2~10)、もしくは2~6個(
C2~6)の直鎖状の二価炭化水素ラジカルであるか、または炭素原子3~20個(C3
~20)、3~15個(C3~15)、3~10個(C3~10)、もしくは3~6個(
C3~6)の分岐した二価炭化水素ラジカルである。アルキニレン基の例としては、エチ
ニレン、プロピニレン(すべての異性体型、例えば、1-プロピニレンおよびプロパルギ
レンを含む)、ブチニレン(すべての異性体型、例えば、1-ブチン-1-イレンおよび
2-ブチン-1-イレンを含む)、ペンチニレン(すべての異性体型、例えば、1-ペン
チン-1-イレンおよび1-メチル-2-ブチン-1-イレンを含む)、およびヘキシニ
レン(すべての異性体型、例えば、1-ヘキシン-1-イレンを含む)が挙げられるが、
これらに限定されない。
【0193】
用語「シクロアルキル」は、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選
択で置換されている、環式飽和または非芳香族不飽和、架橋または非架橋一価炭化水素ラ
ジカルを意味する。ある特定の実施形態では、シクロアルキルは、環式不飽和架橋または
非架橋一価炭化水素ラジカルである。ある特定の実施形態では、シクロアルキルは、炭素
原子3~20個(C3~20)、3~15個(C3~15)、3~10個(C3~10)
、または3~7個(C3~7)を有する。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピ
ル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロ[2.
1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、デカリニル、およびアダマンチル
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0194】
用語「シクロアルキレン」は、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意
選択で置換されている、環式二価炭化水素ラジカルを意味する。一実施形態では、シクロ
アルキル基は、飽和している、もしくは不飽和だが非芳香族の、および/または架橋して
いる、および/もしくは非架橋の、および/または縮合している二環式の基である。ある
特定の実施形態では、シクロアルキレンは、炭素原子3~20個(C3~20)、3~1
5個(C3~15)、3~10個(C3~10)、または3~7個(C3~7)を有する
。シクロアルキレン基の例としては、シクロプロピレン(例えば、1,1-シクロプロピ
レンおよび1,2-シクロプロピレン)、シクロブチレン(例えば、1,1-シクロブチ
レン、1,2-シクロブチレン、または1,3-シクロブチレン)、シクロペンチレン(
例えば、1,1-シクロペンチレン、1,2-シクロペンチレン、または1,3-シクロ
ペンチレン)、シクロヘキシレン(例えば、1,1-シクロヘキシレン、1,2-シクロ
ヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、または1,4-シクロヘキシレン)、シクロヘ
プチレン(例えば、1,1-シクロヘプチレン、1,2-シクロヘプチレン、1,3-シ
クロヘプチレン、または1,4-シクロヘプチレン)、デカリニレン、およびアダマンチ
レンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0195】
用語「アリール」は、少なくとも1つの芳香族炭化水素環を含有する、単環式芳香族炭
素環基および/または多環式一価芳香族炭素環基を意味する。ある特定の実施形態では、
アリールは、環原子6~20個(C6~20)、6~15個(C6~15)、または6~
10個(C6~10)を有する。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、フルオ
レニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル、およびテル
フェニルが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、用語「アリ
ール」は、環の1つが芳香族であり、その他が、飽和されていてもよく、部分不飽和であ
ってもよく、または芳香族であってよい、二環式または三環式炭素環、例えば、ジヒドロ
ナフチル、インデニル、インダニル、またはテトラヒドロナフチル(テトラリニル)を意
味する。アリールは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換
されている。
【0196】
用語「アリーレン」は、少なくとも1つの芳香族炭素環を含有する、二価単環式芳香族
基および/または二価多環式芳香族基を意味する。ある特定の実施形態では、アリーレン
は、環原子6~20個(C6~20)、6~15個(C6~15)、または6~10個(
C6~10)を有する。アリーレン基の例としては、フェニレン、ナフチレン、フルオレ
ニレン、アズレニレン、アントリレン、フェナントリレン、ピレニレン、ビフェニレン、
およびテルフェニレンが挙げられるが、これらに限定されない。アリーレンはまた、環の
1つが芳香族であり、その他が、飽和されていてもよく、部分不飽和であってもよく、ま
たは芳香族であってよい、二環式または三環式炭素環、例えば、ジヒドロナフチレン、イ
ンデニレン、インダニレン、またはテトラヒドロナフチレン(テトラリニレン)を意味す
る。アリーレンは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換さ
れている。
【0197】
用語「アラルキル」または「アリールアルキル」は、1つまたは複数のアリール基で置
換されている一価アルキル基を意味する。ある特定の実施形態では、アラルキルは、炭素
原子7~30個(C7~30)、7~20個(C7~20)、または7~16個(C7~
16)を有する。アラルキル基の例としては、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェ
ニルエチル、および3-フェニルプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。アラ
ルキルは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている
。
【0198】
用語「ヘテロアリール」は、各々がO、S、NおよびPから独立に選択される1個また
は複数のヘテロ原子を環内に含有する少なくとも1つの芳香族環を含有する一価単環式芳
香族基または一価多環式芳香族基を意味する。明確にするために、本明細書で使用される
用語「アリール」および「ヘテロアリール」は相互排他的である、すなわち、「アリール
」基は「ヘテロアリール」基を含まず、逆もまた同様である。ヘテロアリール基は、その
芳香族環によって分子の残部に結合している。ヘテロアリール基の各環は、1もしくは2
個のO原子、1もしくは2個のS原子、1~4個のN原子、および/または1もしくは2
個のP原子を含有することができるが、ただし、各環内のヘテロ原子の総数が4以下であ
ること、および各環が少なくとも1個の炭素原子を含有することを条件とする。ある特定
の実施形態では、ヘテロアリールは、5~20個、5~15個、または5~10個の環原
子を有する。単環式ヘテロアリール基の例としては、フラニル、イミダゾリル、イソチア
ゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラ
ジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チアジアゾリ
ル、チアゾリル、チエニル、テトラゾリル、トリアジニル、およびトリアゾリルが挙げら
れるが、これらに限定されない。二環式ヘテロアリール基の例としては、ベンゾフラニル
、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアジアゾリ
ル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フ
ロピリジル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インドリジニル、インドリル、
インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、イソインドリル、イソキノリ
ニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサゾロピリジニル、フタラジニル、プテリ
ジニル、プリニル、ピリドピリジル、ピロロピリジル、キノリニル、キノキサリニル、キ
ナゾリニル、チアジアゾロピリミジル、およびチエノピリジルが挙げられるが、これらに
限定されない。三環式ヘテロアリール基の例としては、アクリジニル、ベンゾインドリル
、カルバゾリル、ジベンゾフラニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナントリ
ジニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、およ
びキサンテニルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリールは、本明細書に
記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。
【0199】
用語「ヘテロアリーレン」は、O、SおよびNから独立に選択される1個または複数の
ヘテロ原子を環内に含有する少なくとも1つの芳香族環を含有する二価単環式芳香族基ま
たは二価多環式芳香族基を意味する。明確にするために、本明細書で使用される用語「ア
リーレン」および「ヘテロアリーレン」は相互排他的である、すなわち、「アリーレン」
基は「ヘテロアリーレン」基を含まず、逆もまた同様である。ヘテロアリーレン基は、そ
の芳香族環によって分子の残部に結合している。ヘテロアリーレン基の各環は、1もしく
は2個のO原子、1もしくは2個のS原子、および/または1~4個のN原子を含有する
ことができるが、ただし、各環内のヘテロ原子の総数が4以下であること、および各環が
少なくとも1個の炭素原子を含有することを条件とする。ある特定の実施形態では、ヘテ
ロアリーレンは、5~20個、5~15個、または5~10個の環原子を有する。単環式
ヘテロアリーレン基の例としては、フラニレン、イミダゾリレン、イソチアゾリレン、イ
ソオキサゾリレン、オキサジアゾリレン、オキサジアゾリレン、オキサゾリレン、ピラジ
ニレン、ピラゾリレン、ピリダジニレン、ピリジレン、ピリミジニレン、ピロリレン、チ
アジアゾリレン、チアゾリレン、チエニレン、テトラゾリレン、トリアジニレン、および
トリアゾリレンが挙げられるが、これらに限定されない。二環式ヘテロアリーレン基の例
としては、ベンゾフラニレン、ベンゾイミダゾリレン、ベンゾイソオキサゾリレン、ベン
ゾピラニレン、ベンゾチアジアゾリレン、ベンゾチアゾリレン、ベンゾチエニレン、ベン
ゾトリアゾリレン、ベンゾオキサゾリレン、フロピリジレン、イミダゾピリジニレン、イ
ミダゾチアゾリレン、インドリジニレン、インドリレン、インダゾリレン、イソベンゾフ
ラニレン、イソベンゾチエニレン、イソインドリレン、イソキノリニレン、イソチアゾリ
レン、ナフチリジニレン、オキサゾロピリジニレン、フタラジニレン、プテリヂニレン、
プリニレン、ピリドピリジレン、ピロロピリジレン、キノリニレン、キノキサリニレン、
キナゾリニレン、チアジアゾロピリミジレン、およびチエノピリジレンが挙げられるが、
これらに限定されない。三環式ヘテロアリーレン基の例としては、アクリジニレン、ベン
ゾインドリレン、カルバゾリレン、ジベンゾフラニレン、ペリミジニレン、フェナントロ
リニレン、フェナントリジニレン、フェナルサジニレン、フェナジニレン、フェノチアジ
ニレン、フェノキサジニレン、およびキサンテニレンが挙げられるが、これらに限定され
ない。ヘテロアリーレンは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択
で置換されている。
【0200】
用語「ヘテロシクリル」または「複素環式」は、非芳香族環原子の1個または複数がヘ
テロ原子であり、これらのヘテロ原子の各々が、O、S、NおよびPから独立に選択され
、残りの環原子が炭素原子である少なくとも1つの非芳香族環を含有する一価単環式非芳
香族環系または一価多環式環系を意味する。ある特定の実施形態では、ヘテロシクリルま
たは複素環式基は、3~20個、3~15個、3~10個、3~8個、4~7個、または
5~6個の環原子を有する。ヘテロシクリル基は、その非芳香族環によって分子の残部に
結合している。ある特定の実施形態では、ヘテロシクリルは、スピロであってもよく、縮
合していてもよく、または架橋していてもよい、単環式、二環式、三環式、または四環式
環系であり、ここで、窒素または硫黄原子が任意選択で酸化されていてもよく、窒素原子
が任意選択で四級化されていてもよく、一部の環が部分的にもしくは完全に飽和していて
もよく、または芳香族であってもよい。ヘテロシクリルは、安定した化合物を生じさせる
結果となるいずれのヘテロ原子または炭素原子で主構造に結合していてもよい。複素環式
基の例としては、アゼピニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラノ
ニル、ベンゾピラノニル、ベンゾピラニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラ
ヒドロチエニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾオキサジニル、β-カルボリニル、クロマ
ニル、クロモニル、シンノリニル、クマリニル、デカヒドロイソキノリニル、ジヒドロベ
ンゾイソチアジニル、ジヒドロベンゾイソオキサジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロイソ
インドリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピ
リジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジオキソラニル、1,4-ジチア
ニル、フラノニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソベンゾテト
ラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソクロマニル、イソクマリニル
、イソインドリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オク
タヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、オキサゾリジノニル、オキサゾリジ
ニル、オキシラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピラゾリジニル
、ピラゾリニル、ピロロリジニル、ピロロリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフリル
、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、チアモ
ルホリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロキノリニル、および1,3,5-トリチアニ
ルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリルは、本明細書に記載の通り1
つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。
【0201】
用語「ヘテロシクリレン」は、非芳香族環原子の1個または複数が、O、SおよびNか
ら独立に選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素原子である少なくとも1つの
非芳香族環を含有する二価単環式非芳香族環系または二価多環式環系を意味する。ある特
定の実施形態では、ヘテロシクリレン基は、3~20個、3~15個、3~10個、3~
8個、4~7個、または5~6個の環原子を有する。ある特定の実施形態では、ヘテロシ
クリレンは、縮合または架橋していてもよい、単環式、二環式、三環式、または四環式環
系であり、ここで、窒素または硫黄原子が任意選択で酸化されていてもよく、窒素原子が
任意選択で四級化されていてもよく、一部の環が部分的にもしくは完全に飽和されていて
もよく、または芳香族であってもよい。ヘテロシクリレンは、安定した化合物を生じさせ
る結果となるいずれのヘテロ原子または炭素原子で主構造に結合していてもよい。そのよ
うなヘテロシクリレン基の例としては、アゼピニレン、ベンゾジオキサニレン、ベンゾジ
オキソリレン、ベンゾフラノニレン、ベンゾピラノニレン、ベンゾピラニレン、ベンゾテ
トラヒドロフラニレン、ベンゾテトラヒドロチエニレン、ベンゾチオピラニレン、ベンゾ
キサジニレン、β-カルボニレン、クロマニレン、クロモニレン、シンノリニレン、クマ
リニレン、デカヒドロイソキノリニレン、ジヒドロベンゾイソチアジニレン、ジヒドロベ
ンゾイソオキサジニレン、ジヒドロフリレン、ジヒドロイソインドリレン、ジヒドロピラ
ニレン、ジヒドロピラゾリレン、ジヒドロピラジニレン、ジヒドロピリジニレン、ジヒド
ロピリミジニレン、ジヒドロピロリレン、ジオキソラニリレン、1,4-ジチアニレン、
フラノニレン、イミダゾリジニレン、イミダゾリニレン、インドリニレン、イソベンゾテ
トラヒドロフラニレン、イソベンゾテトラヒドロチエニレン、イソクロマニレン、イソク
マリニレン、イソインドリニレン、イソチアゾリジニレン、イソオキサゾリジニレン、モ
ルホリニレン、オクタヒドロインドリレン、オクタヒドロイソインドリレン、オキサゾリ
ジノニレン、オキサゾリジニレン、オキシラニレン、ピペラジニレン、ピペリジニレン、
4-ピペリドニレン、ピラゾリジニレン、ピラゾリニレン、ピロリジニレン、ピロリニレ
ン、キヌクリジニレン、テトラヒドロフリレン、テトラヒドロイソキノリニレン、テトラ
ヒドロピラニレン、テトラヒドロチエニレン、チアモルホリニレン、チアゾリジニレン、
テトラヒドロキノリニレン、および1,3,5-トリチアニレンが挙げられるが、これら
に限定されない。ヘテロシクリレンは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Q
で任意選択で置換されている。
【0202】
用語「ハロゲン」、「ハロゲン化物」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素および/
またはヨウ素を意味する。
【0203】
用語「ハロアルキル」は、1つまたは複数、一実施形態では1、2または3つのハロ基
で置換されているアルキル基を意味し、この場合のアルキルは、本明細書で定義される通
りである。ハロアルキルは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択
で置換されている。
【0204】
用語「アルコキシ」は、-O-アルキルを意味し、この場合のアルキルは、本明細書で
定義される通りである。
【0205】
用語「ハロアルコキシ」は、-O-ハロアルキルを意味し、この場合のハロアルキルは
、本明細書で定義される通りである。
【0206】
用語「任意選択で置換されている」は、基または置換基、例えば、アルキル、アルキレ
ン、アルケニル、アルケニレン、アルキニル、アルキニレン、シクロアルキル、シクロア
ルキレン、アリール、アリーレン、アラルキル(例えば、ベンジル)、ヘテロアリール、
ヘテロアリーレン、ヘテロシクリル、およびヘテロシクリレン基が、1つまたは複数の置
換基Qで置換されていてもよいことを意味することを意図したものであり、前記1つまた
は複数の置換基Qの各々は、例えば、(a)オキソ(=O)、シアノ(-CN)、ハロ、
およびニトロ(-NO2)、(b)C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6ア
ルキニル、C3~10シクロアルキル、C6~14アリール、C7~15アラルキル、ヘ
テロアリール、およびヘテロシクリル[これらの各々は、1つまたは複数の、一実施形態
では1、2、3、4もしくは5つの置換基Qaで、さらに任意選択で置換されている]、
ならびに(c)-C(O)Ra、-C(O)ORa、-C(O)NRbRc、-C(NR
a)NRbRc、-ORa、-OC(O)Ra、-OC(O)ORa、-OC(O)NR
bRc、-OC(=NRa)NRbRc、-OS(O)Ra、-OS(O)2Ra、-O
S(O)NRbRc、-OS(O)2NRbRc、-NRbRc、-NRaC(O)Rd
、-NRaC(O)ORd、-NRaC(O)NRbRc、-NRaC(=NRd)NR
bRc、-NRaS(O)Rd、-NRaS(O)2Rd、-NRaS(O)NRbRc
、-NRaS(O)2NRbRc、-P(O)RaRd、-P(O)(ORa)Rd、-
P(O)(ORa)(ORd)、-SRa、-S(O)Ra、-S(O)2Ra、-S(
O)NRbRc、および-S(O)2NRbRc[これらの式中の各Ra、Rb、Rc、
およびRdは、独立に、(i)水素であるか、(ii)C1~6アルキル、C2~6アル
ケニル、C2~6アルキニル、C3~10シクロアルキル、C6~14アリール、C7~
15アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリル(これらの各々は、1つまた
は複数、一実施形態では1、2、3もしくは4つの置換基Qaで任意選択で置換されてい
る)であり、または(iii)RbおよびRcは、それらが結合しているN原子と一緒に
、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリルを形成し、前記ヘテロアリールもしくはヘテロ
シクリルの各々は、1つまたは複数の、一実施形態では1、2、3もしくは4つの置換基
Qaで、任意選択で置換されている]から独立に選択される。本明細書で使用される、置
換されていてもよい本明細書に記載のすべての基は、別段の規定がない限り、「任意選択
で置換されている」。
【0207】
一実施形態では、各置換基Qaは、(a)オキソ、シアノ、ハロ、およびニトロ;なら
びに(b)C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10シ
クロアルキル、C6~14アリール、C7~15アラルキル、ヘテロアリール、およびヘ
テロシクリル;ならびに(c)-C(O)Re、-C(O)ORe、-C(O)NRfR
g、-C(NRe)NRfRg、-ORe、-OC(O)Re、-OC(O)ORe、-
OC(O)NRfRg、-OC(=NRe)NRfRg、-OS(O)Re、-OS(O
)2Re、-OS(O)NRfRg、-OS(O)2NRfRg、-NRfRg、-NR
eC(O)Rh、-NReC(O)ORh、-NReC(O)NRfRg、-NReC(
=NRh)NRfRg、-NReS(O)Rh、-NReS(O)2Rh、-NReS(
O)NRfRg、-NReS(O)2NRfRg、-P(O)ReRh、-P(O)(O
Re)Rh、-P(O)(ORe)(ORh)、-SRe、-S(O)Re、-S(O)
2Re、-S(O)NRfRg、および-S(O)2NRfRg[これらの式中の各Re
、Rf、Rg、およびRhは、独立に、(i)水素、C1~6アルキル、C2~6アルケ
ニル、C2~6アルキニル、C3~10シクロアルキル、C6~14アリール、C7~1
5アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルであるか、または(ii)Rf
およびRgは、それらが結合しているN原子と一緒に、ヘテロアリールもしくはヘテロシ
クリルを形成する]からなる群から独立に選択される。
【0208】
ある特定の実施形態では、「光学活性の」および「鏡像異性的に活性の」は、約50%
以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約9
3%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、
約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上の鏡像体過剰率を有する分子
の一群を意味する。ある特定の実施形態では、化合物は、問題の2つの鏡像異性体の総重
量に基づいて約95%以上の望ましい鏡像異性体と約5%以下の然程好ましくない鏡像異
性体とを含む。
【0209】
光学活性化合物を記載する際、光学活性化合物のそのキラル中心の周りの絶対配置を示
すために、接頭語RおよびSが使用される。(+)および(-)は、光学活性化合物の旋
光性、すなわち、偏光面が光学活性化合物により回転される方向を示すために使用される
。(-)という接頭語は、光学活性化合物が左旋性であること、すなわち、前記化合物が
偏光面を左にまたは反時計回りに回転させることを示す。(+)という接頭語は、光学活
性化合物が右旋性であること、すなわち、前記化合物が偏光面を右にまたは時計回りに回
転させることを示す。しかし、旋光性の符号、(+)および(-)は、化合物の絶対配置
、RおよびSとは無関係である。
【0210】
用語「同位体異型」は、化合物を構成する原子のうちの1個または複数に関して非天然
の同位体比率を有する当該化合物を意味する。ある特定の実施形態では、化合物の「同位
体異型」は、水素(1H)、重水素(2H)、三重水素(3H)、炭素11(11C)、
炭素12(12C)、炭素13(13C)、炭素14(14C)、窒素13(13N)、
窒素14(14N)、窒素15(15N)、酸素14(14O)、酸素15(15O)、
酸素16(16O)、酸素17(17O)、酸素18(18O)、フッ素17(17F)
、フッ素18(18F)、リン31(31P)、リン32(32P)、リン33(33P
)、硫黄32(32S)、硫黄33(33S)、硫黄34(34S)、硫黄35(35S
)、硫黄36(36S)、塩素35(35Cl)、塩素36(36Cl)、塩素37(3
7Cl)、臭素79(79Br)、臭素81(81Br)、ヨウ素123(123I)、
ヨウ素125(125I)、ヨウ素127(127I)、ヨウ素129(129I)およ
びヨウ素131(131I)を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の同位体の非
天然比率を有する。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体異型」は、安定した形態
、すなわち、非放射性である。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体異型」は、水
素(1H)、重水素(2H)、炭素12(12C)、炭素13(13C)、窒素14(1
4N)、窒素15(15N)、酸素16(16O)、酸素17(17O)、酸素18(1
8O)、フッ素17(17F)、リン31(31P)、硫黄32(32S)、硫黄33(
33S)、硫黄34(34S)、硫黄36(36S)、塩素35(35Cl)、塩素37
(37Cl)、臭素79(79Br)、臭素81(81Br)およびヨウ素127(12
7I)を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の同位体の非天然比率を有する。
ある特定の実施形態では、化合物の「同位体異型」は、不安定な形態、すなわち、放射性
である。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体異型」は、三重水素(3H)、炭素
11(11C)、炭素14(14C)、窒素13(13N)、酸素14(14O)、酸素
15(15O)、フッ素18(18F)、リン32(32P)、リン33(33P)、硫
黄35(35S)、塩素36(36Cl)、ヨウ素123(123I)、ヨウ素125(
125I)、ヨウ素129(129I)およびヨウ素131(131I)を含むがこれら
に限定されない、1つまたは複数の同位体の非天然比率を有する。当業者の判断に従って
実行可能な場合、本明細書で提供されるような化合物中の、いずれの水素が例えば2Hで
あってもよく、またはいずれの炭素が例えば13Cであってもよく、またはいずれの窒素
が例えば15Nであってもよく、またはいずれの酸素が例えば18Oであってもよいこと
は、理解されるであろう。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体異型」は、重水素
(D)の非天然比率を有する。
【0211】
用語「溶媒和物」は、溶質、例えば本明細書で提供される化合物、の1つまたは複数の
分子と溶媒の1つまたは複数の分子とで形成された、化学量論量もしくは非化学量論量で
存在する、複合体または凝集体を意味する。好適な溶媒としては、水、メタノール、エタ
ノール、n-プロパノール、イソプロパノールおよび酢酸が挙げられるが、これらに限定
されない。ある特定の実施形態では、溶媒は、薬学的に許容されるものである。一実施形
態では、複合体または凝集体は、結晶形態である。別の実施形態では、複合体または凝集
体は、非結晶形態である。溶媒が水である場合、溶媒和物は、水和物である。水和物の例
としては、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、および五水和物が挙げ
られるが、これらに限定されない。
【0212】
句「その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、も
しくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロ
ドラッグ」は、句「(i)その中で言及されている化合物の鏡像異性体、鏡像異性体の混
合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、もしく同位体異型、(ii)その中で言及
されている化合物の薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグ、
または(iii)その中で言及されている化合物の鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2
つ以上のジアステレオマーの混合物、もしくは同位体異型の、薬学的に許容される塩、溶
媒和物、水和物、もしくはプロドラッグ」と同じ意味を有する。
【0213】
5.3.2.幹細胞動員化合物
一実施形態では、幹細胞動員化合物は、アリール炭化水素受容体阻害剤、例えば、アリ
ール炭化水素受容体アンタゴニストである。
【0214】
別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、(特許文献4)、(特許文献5)および(特
許文献6)に記載されているものを含むがこれらに限定されない、5,6-縮合ヘテロア
リール化合物であり、前記特許文献の各々についての開示はその全体が参照により本明細
書に組み入れられている。
【0215】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、式Iの化合物:
【0216】
【化5】
(式中、
G
1は、NおよびCR
3であり、
G
2、G
3、およびG
4は、各々独立に、CHおよびNであり、ただし、G
3およびG
4の少なくとも一方がNであり、G
1およびG
2の少なくとも一方がNでないことを条件
とし、
L
1は、-NR
1a-、-NR
1a(CH
2)
1~3-、-NR
1aCH(C(O)O
CH
3)CH
2-、-NR
1a(CH
2)
2NR
1c-、-NR
1a(CH
2)
2S-、
-NR
1aCH
2CH(CH
3)CH
2-、-NR
1aCH
2CH(OH)-、または-
NR
1aCH(CH
3)CH
2-であり、
R
1は、(i)水素であるか、または(ii)フェニル、フラニル、ピロリル、イミダ
ゾリル、ピラゾリル、チエニル、チアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリジニル
、ピラジニル、ピリダジニル、ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、イミダゾピリジニ
ルもしくはベンゾチエニル(これらの各々は、1、2もしくは3つの置換基により任意選
択で置換されており、この場合の各置換基は、独立に、シアノ、ハロ、C
1~4アルキル
、C
1~4アルコキシ、C
1~4ハロアルキル、C
1~4ハロアルコキシ、ヒドロキシル
、アミノ、-C(O)R
1a、-C(O)OR
1a、-C(O)NR
1aR
1b、-SR
1a、-S(O)R
1a、もしくは-S(O)
2R
1aである)であり、
R
2は、(i)-NR
1aC(O)R
1c、-NR
1cC(O)NR
1aR
1b、もし
くは-S(O)
2NR
1aR
1bであるか、または(ii)フェニル、ピロロピリジン-
3-イル、インドリル、チエニル、ピリジニル、1,2,4-トリアゾリル、2-オキソ
イミダゾリジニル、ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾ
リル、もしくはインダゾリル(これらの各々は、1、2または3つの置換基で任意選択で
置換されており、この場合の各置換基は、独立に、ヒドロキシル、ハロ、メチル、メトキ
シ、アミノ、-O(CH
2)
1~3NR
1aR
1b、-OS(O)
2NR
1aR
1b、-
NR
1aS(O)
2R
1b、もしくは-S(O)
2NR
1aR
1bである)であり、
R
3は、水素、C
1~4アルキル、またはビフェニルであり、ただし、R
1およびR
3
の少なくとも一方が水素でないことを条件とし、
R
4は、C
1~10アルキル、プロパ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロ
プロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-3-イル、ベ
ンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-
4-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニ
ル)(フェニル)メチル、または1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-
3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エ
チルであり、これらの各々は、1、2もしくは3つの置換基で任意選択で置換されており
、この場合の各置換基は、独立に、ヒドロキシル、C
1~4アルキル、またはC
1~4ハ
ロアルキルであり、ならびに
各R
1a、R
1bおよびR
1cは、独立に、水素もしくはC
1~4アルキルであるか、
またはR
1aおよびR
1bは、それらが結合しているN原子と一緒に、ヘテロシクリルを
形成する)
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、も
しくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロ
ドラッグである。
【0217】
一実施形態では、式I中、G1は、CR3、一実施形態ではCHであり、G2、G3お
よびG4は、各々Nであり、ならびにR1、R2、R3、R4およびL1は、各々、本明
細書で定義される通りである。
【0218】
別の実施形態では、式I中、G1、G3およびG4は、各々Nであり、G2は、CHで
あり、ならびにR1、R2、R4およびL1は、各々、本明細書で定義される通りである
。
【0219】
さらに別の実施形態では、式I中、G1は、CR3、一実施形態ではCHであり、G2
およびG3は、各々Nであり、G4は、CHであり、ならびにR1、R2、R3、R4お
よびL1は、各々、本明細書で定義される通りである。
【0220】
さらに別の実施形態では、式I中、G1は、CR3、一実施形態ではCHであり、G2
およびG4は、各々Nであり、G3は、CHであり、ならびにR1、R2、R3、R4お
よびL1は、各々、本明細書で定義される通りである。
【0221】
さらに別の実施形態では、式I中、G1は、CR3、一実施形態ではCHであり、G2
は、CHであり、G3およびG4は、各々Nであり、ならびにR1、R2、R3、R4お
よびL1は、各々、本明細書で定義される通りである。
【0222】
さらに実施形態では、式I中、
G1は、CHであり、
G2、G3およびG4は、各々Nであり、
R1は、1、2または3つの置換基により任意選択で置換されているベンゾチエニルで
あり、これらの置換基の各々は、独立に、シアノ、ハロ、C1~4アルキル、C1~4ア
ルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、-
C(O)R1a、-C(O)OR1a、-C(O)NR1aR1b、-SR1a、-S(
O)R1a、または-S(O)2R1aであり、
R2は、1、2または3つの置換基で任意選択で置換されているフェニルであり、これ
らの置換基の各々は、独立に、ヒドロキシル、ハロ、メチル、メトキシ、アミノ、-O(
CH2)1~3NR1aR1b、-OS(O)2NR1aR1b、-NR1aS(O)2
R1b、または-S(O)2NR1aR1bであり、
R4は、1、2または3つの置換基で任意選択で置換されているC1~10アルキルで
あり、これらの置換基の各々は、独立に、ヒドロキシル、C1~4アルキルまたはC1~
4ハロアルキルであり、
L1は、-NR1a(CH2)2-であり、ならびに
R1aおよびR1bは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0223】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、式IIの化合物:
【0224】
【化6】
(式中、R
2およびR
4は、各々、本明細書で定義される通りである)
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、も
しくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロ
ドラッグである。
【0225】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、式IIIの化合物:
【0226】
【化7】
(式中、R
2およびR
4は、各々、本明細書で定義される通りであり、ならびにR
5a、
R
5bおよびR
5cは、各々独立に、水素、シアノ、メチル、ハロ、トリフルオロメチル
、または-SO
2CH
3である)
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、も
しくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロ
ドラッグである。
【0227】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、4-(2-(2-ベンゾ[b]チエン
-3-イル)-9-イソプロピル-9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)フェノール
である。ある特定の実施形態では、幹細胞動員化合物は、下記の構造を有する、Stem
Regenin-1(SR-1)である:
【0228】
【0229】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、1-メチル-N-(2-メチル-(4
-(2-(2-メチルフェニル)ジアゼニル)フェニル)-1H-ピラゾール-5-カル
ボキサミドである。ある特定の実施形態では、幹細胞動員化合物は、下記の構造を有する
、CH223191である:
【0230】
【0231】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、ピリミド(4,5-b)インドールで
ある。
【0232】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、式IVの化合物:
【0233】
【化10】
{式中、
Zは、シアノ、C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
3~
10シクロアルキル、C
6~14アリール、C
7~15アラルキル、ベンジル、ヘテロア
リール、ヘテロシクリル、-L-C
6~14アリール、-L-ヘテロアリール、-L-ヘ
テロシクリル、-C(O)R
1a、-C(O)OR
1a、-C(O)NHR
1a、-C(
O)N(R
1a)R
1b、-P(O)(OR
1a)(OR
1c)、-SR
1a、-S(O
)R
1a、-S(O)
2R
1a、-S(O)
2NH
2、-S(O)
2NHR
1a、または
-S(O)
2N(R
1a)R
1bであり、
Wは、水素、ハロ、シアノ、C
6~14アリール、ベンジル、ヘテロアリール、ヘテロ
シクリル、-L-C
6~14アリール、-L-ヘテロアリール、-L-ヘテロシクリル、
-L-OH、-L-OR
1a、-L-NH
2、-L-NHR
1a、-L-N(R
1a)R
1b、-L-SR
1a、-L-S(O)R
1a、-L-S(O)
2R
1a、-L-P(O
)(OR
1a)(OR
1c)、-L-(N(R
1c)-L)
n-N(R
1a)R
1b、-
L-(N(R
1c)-L)
n-C
6~14アリール、-L-(N(R
1c)-L)
n-ヘ
テロアリール、-L-(N(R
1c)-L)
n-ヘテロシクリル、-O-L-N(R
1a
)R
1b、-O-L-C
6~14アリール、-O-L-ヘテロアリール、-O-L-ヘテ
ロシクリル、-O-L-(N(R
1c)-L)
n-N(R
1a)R
1b、-O-L-(N
(R
1c)-L)
n-C
6~14アリール、-O-L-(N(R
1c)-L)
n-ヘテロ
アリール、-O-L-(N(R
1c)-L)
n-ヘテロシクリル、-S-L-N(R
1a
)R
1b、-S-L-C
6~14アリール、-S-L-ヘテロアリール、-S-L-ヘテ
ロシクリル、-S-L-(N(R
1c)-L)
n-N(R
1a)R
1b、-S-L-(N
(R
1c)-L)
n-C
6~14アリール、-S-L-(N(R
1c)-L)
n-ヘテロ
アリール、-S-L-(N(R
1c)-L)
n-ヘテロシクリル、-(N(R
1c)-L
)
n-N(R
1a)R
1b、-(N(R
1c)-L)
n-C
6~14アリール、-(N(
R
1c)-L)
n-ヘテロアリール、-(N(R
1c)-L)
n-ヘテロシクリル、-C
(O)R
1a、-C(O)OR
1a、-C(O)NH
2、-C(O)NHR
1a、-C(
O)N(R
1a)R
1b、-NHR
1a、-N(R
1a)R
1b、-NHC(O)R
1a
、-NR
1aC(O)R
1c、-NHC(O)OR
1a、-NR
1aC(O)OR
1c、
-NHC(O)NH
2、-NHC(O)NHR
1a、-NHC(O)N(R
1a)R
1b
、-NR
1aC(O)NH
2、-NR
1cC(O)NHR
1a、-NR
1cC(O)N(
R
1a)R
1b、-NHS(O)
2R
1a、-NR
1cS(O)
2R
1a、-OR
1a、
-OC(O)R
1a、-OC(O)OR
1a、-OC(O)NH
2、-OC(O)NHR
1a、-OC(O)N(R
1a)R
1b、-OS(O)
2R
1a、-P(O)(OR
1a
)(OR
1c)、-SR
1a、-S(O)R
1a、-S(O)
2R
1a、-S(O)
2N
H
2、-S(O)
2NHR
1a、-S(O)
2N(R
1a)R
1b、または-S(O)
2
OR
1aであり、
各Lは、独立に、C
1~6アルキレン、C
2~6アルケニレン、C
2~6アルキニレン
、C
3~7シクロアルキレン、C
6~14アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクリ
レン、C
1~6アルキレン-C
3~7シクロアルキレン、またはC
1~6アルキレン-ヘ
テロシクリレンであり、
R
6は、水素、C
1~6アルキル、C
6~14アリール、ベンジル、ヘテロアリール、
-C(O)R
1a、-SR
1a、-S(O)R
1a、-S(O)
2R
1a、-L-C
6~
14アリール、-L-ヘテロアリール、または-L-ヘテロシクリルであり、
各nは、独立に、1、2、3、4または5の整数であり、ならびに
各R
1a、R
1bおよびR
1cは、独立に、(i)水素であるか、(ii)C
1~6ア
ルキル、C
2-~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
3~10シクロアルキル、C
6
~14アリール、C
7~15アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルであ
り、または(iii)R
1aおよびR
1bは、それらが結合しているN原子と一緒に、ヘ
テロシクリルを形成し、
各アルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレン、アルキニル、アルキニレン、シ
クロアルキル、シクロアルキレン、アリール、ベンジル、アリーレン、ヘテロアリール、
ヘテロアリーレン、ヘテロシクリル、およびヘテロシクリレンは、1つまたは複数、一実
施形態では1、2、3または4つの置換基Qで任意選択で置換されており、各置換基Qは
、(a)オキソ、シアノ、ハロ、およびニトロ、(b)C
1~6アルキル、C
2~6アル
ケニル、C
2~6アルキニル、C
3~10シクロアルキル、C
6~14アリール、C
7~
15アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル[これらの各々は、1つ複数の
、一実施形態では1、2、3または4つの置換基Q
aで、さらに任意選択で置換されてい
る]、ならびに(c)-C(O)R
a、-C(O)OR
a、-C(O)NR
bR
c、-C
(NR
a)NR
bR
c、-OR
a、-OC(O)R
a、-OC(O)OR
a、-OC(O
)NR
bR
c、-OC(=NR
a)NR
bR
c、-OS(O)R
a、-OS(O)
2R
a
、-OS(O)NR
bR
c、-OS(O)
2NR
bR
c、-NR
bR
c、-NR
aC(O
)R
d、-NR
aC(O)OR
d、-NR
aC(O)NR
bR
c、-NR
aC(=NR
d
)NR
bR
c、-NR
aS(O)R
d、-NR
aS(O)
2R
d、-NR
aS(O)NR
bR
c、-NR
aS(O)
2NR
bR
c、-SR
a、-S(O)R
a、-S(O)
2R
a
、-S(O)NR
bR
c、および-S(O)
2NR
bR
c[これらの式中、各R
a、R
b
、R
c、およびR
dは、独立に(i)水素であるか、(ii)C
1-6アルキル、C
2-
6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-10シクロアルキル、C
6-14アリール、
C
7-15アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリル(これらの各々は、1
つまたは複数、一実施形態では1、2、3もしくは4つの置換基Q
aでさらに任意選択で
置換されている)であり、または(iii)R
bおよびR
cは、それらが結合しているN
原子と一緒に、ヘテロシクリルを形成し、前記ヘテロシクリルは、1つまたは複数、一実
施形態では1、2、3もしくは4つの置換基Q
aでさらに任意選択で置換されている]か
ら独立に選択され、
各Q
aは、(a)オキソ、シアノ、ハロ、およびニトロ、ならびに(b)C
1-6アル
キル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-10シクロアルキル、C
6-1
4アリール、C
7-15アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル、ならびに
(c)-C(O)R
e、-C(O)OR
e、-C(O)NR
fR
g、-C(NR
e)NR
fR
g、-OR
e、-OC(O)R
e、-OC(O)OR
e、-OC(O)NR
fR
g、
-OC(=NR
e)NR
fR
g、-OS(O)R
e、-OS(O)
2R
e、-OS(O)
NR
fR
g、-OS(O)
2NR
fR
g、-NR
fR
g、-NR
eC(O)R
h、-NR
eC(O)OR
h、-NR
eC(O)NR
fR
g、-NR
eC(=NR
h)NR
fR
g、
-NR
eS(O)R
h、-NR
eS(O)
2R
h、-NR
eS(O)NR
fR
g、-NR
eS(O)
2NR
fR
g、-SR
e、-S(O)R
e、-S(O)
2R
e、-S(O)N
R
fR
g、および-S(O)
2NR
fR
g[これらの式中、各R
e、R
f、R
g、および
R
hは、独立して、(i)水素であるか、(ii)C
1-6アルキル、C
2-6アルケニ
ル、C
2-6アルキニル、C
3-10シクロアルキル、C
6-14アリール、C
7-15
アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルであり、または(ii)R
fおよ
びR
gは、それらが結合しているN原子と一緒に、ヘテロシクリルを形成する]からなる
群から独立して選択される}
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、も
しくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロ
ドラッグである。
【0234】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、式Vの化合物:
【0235】
【化11】
(式中、R
6、W、およびZは、各々、本明細書で定義される通りである)
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、も
しくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロ
ドラッグである。
【0236】
一実施形態では、式IVまたはV中、
Zは、シアノ、ヘテロアリール、または-C(O)OR1aであり、
Wは、ヘテロシクリル、-L-ヘテロシクリル、-O-L-ヘテロシクリル、-(N(
R1c)-L)n-N(R1a)R1b、-(N(R1c)-L)n-ヘテロシクリル、
-NHR1a、または-N(R1a)R1bであり、
各Lは、独立に、C1~6アルキレンまたはC3~7シクロアルキレンであり、
R6は、水素、C1~6アルキル、ベンジル、-C(O)R1a、-L-C6~14ア
リール、または-L-ヘテロアリールであり、
各nは、独立に、1の整数であり、ならびに
R1a、R1bおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りであり、
各アルキル、アルキレン、シクロアルキレン、アリール、ベンジル、ヘテロアリール、
およびヘテロシクリルは、本明細書で定義される通りの1つまたは複数の置換基Qで任意
選択で置換されている。
【0237】
別の実施形態では、式IVまたはV中、
Zは、シアノ、5員ヘテロアリール、または-C(O)O-C1-~6アルキルであり
、
Wは、ヘテロシクリル、-L-ヘテロシクリル、-O-L-ヘテロシクリル、-(N(
R1c)-L)n-N(R1a)R1b、-(N(R1c)-L)n-ヘテロシクリル、
-NHR1a、または-N(R1a)R1bであり、
各Lは、独立に、C1~6アルキレンまたはC3~7シクロアルキレンであり、
R6は、水素、メチル、ベンジル、-L-C6~14アリール、または-L-ヘテロア
リールであり、
各nは、独立に、1の整数であり、ならびに
R1a、R1bおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りであり、
各アルキレン、シクロアルキレン、アリール、ベンジル、ヘテロアリール、およびヘテ
ロシクリルは、本明細書で定義される通りの1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換
されている。
【0238】
一実施形態では、式IVまたはV中、Wは、-L-N(R1a)R1b、-L-(N(
R1c)-L)n-N(R1a)R1b、-O-L-N(R1a)R1b、-O-L-(
N(R1c)-L)n-N(R1a)R1b、-S-L-N(R1a)R1b、-S-L
-(N(R1c)-L)n-N(R1a)R1b、または-(N(R1c)-L)n-N
(R1a)R1bであり、R6、R1a、R1b、R1c、LおよびZは、各々、本明細
書で定義される通りである。
【0239】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、式VIの化合物:
【0240】
【化12】
(式中、Xは、結合、O、S、またはNR
1cであり、R
1a、R
1c、R
6、Lおよび
Zは、各々、本明細書で定義される通りである)
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、も
しくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロ
ドラッグである。
【0241】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、式VIIの化合物:
【0242】
【化13】
(式中、R
1a、R
6、L、XおよびZは、各々、本明細書で定義される通りである)
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、も
しくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロ
ドラッグである。
【0243】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、下記の構造を有する化合物である:
【0244】
【0245】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、下記の構造を有する化合物である:
【0246】
【0247】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、レスベラトロール、テトラエチレンペ
ンタミン(TEPA)、アルファナフトフラボン、3’-メトキシ-4’-ニトロフラボ
ン、3,4-ジメトキシフラボン、4’,5,7-トリヒドロキシフラボン(アピゲニン
)、6-メチル-1,3,8-トリクロロジベンゾフラン、エピガロカテキン、または没
食子酸エピガロカテキンである。
【0248】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、レスベラトロールである。ある特定の
実施形態では、幹細胞動員化合物は、(Z)-レスベラトロールである。ある特定の実施
形態では、幹細胞動員化合物は、(E)-レスベラトロールである。
【0249】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、テトラエチレンペンタミン(TEPA
)である。
【0250】
本明細書に記載の化合物のすべては、市販されているか、または本明細書で開示される
特許または特許公報に記載されている方法に従って調製することができる。さらに、公知
の分割剤もしくはキラルカラムおよび他の標準的な合成有機化学技術を使用して、光学的
に純粋な化合物を不斉合成または分割することができる。幹細胞動員化合物、それらの調
製法および使用に関する追加情報は、例えば、(特許文献4)、(特許文献5)および(
特許文献6)、ならびに(非特許文献4)において見つけることができ、これらの参考文
献の各々についての開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0251】
本明細書で提供される式、例えば、式I~VII中の基または可変要素、G1、G2、
G3、G4、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R5c、R6、X、L、L1、
X、W、Zおよびnは、本明細書に記載の実施形態の中でさらに定義される。そのような
基および/または可変要素について本明細書で提供される実施形態のすべての組合せは、
本開示の範囲内である。
【0252】
ある特定の実施形態では、G1は、Nである。ある特定の実施形態では、G1は、CR
3であり、この式中のR3は、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態で
は、G1は、CHである。
【0253】
ある特定の実施形態では、G2は、Nである。ある特定の実施形態では、G2は、CH
である。
【0254】
ある特定の実施形態では、G3は、Nである。ある特定の実施形態では、G3は、CH
である。
【0255】
ある特定の実施形態では、G4は、Nである。ある特定の実施形態では、G4は、CH
である。
【0256】
ある特定の実施形態では、R1は、水素である。ある特定の実施形態では、R1は、本
明細書に記載の通り任意選択で置換されているフェニルである。ある特定の実施形態では
、R1は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているフラニルである。ある特定の
実施形態では、R1は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているピロリルである
。ある特定の実施形態では、R1は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているイ
ミダゾリルである。ある特定の実施形態では、R1は、本明細書に記載の通り任意選択で
置換されているピラゾリルである。ある特定の実施形態では、R1は、本明細書に記載の
通り任意選択で置換されているチエニルである。ある特定の実施形態では、R1は、本明
細書に記載の通り任意選択で置換されているチアゾリルである。ある特定の実施形態では
、R1は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているピリジニルである。ある特定
の実施形態では、R1は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているピリミジニル
である。ある特定の実施形態では、R1は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されて
いるピロリジニルである。ある特定の実施形態では、R1は、本明細書に記載の通り任意
選択で置換されているピラジニルである。ある特定の実施形態では、R1は、本明細書に
記載の通り任意選択で置換されているピリダジニルである。ある特定の実施形態では、R
1は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているベンゾイミダゾリルである。ある
特定の実施形態では、R1は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているイソキノ
リニルである。ある特定の実施形態では、R1は、本明細書に記載の通り任意選択で置換
されているイミダゾピリジニルである。ある特定の実施形態では、R1は、本明細書に記
載の通り任意選択で置換されているベンゾチエニルである。
【0257】
ある特定の実施形態では、R2は、-NR1aC(O)R1cであり、この式中のR1
aおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、
R2は、-NR1cC(O)NR1aR1bであり、この式中のR1a、R1bおよびR
1cは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、R2は、-
S(O)2NR1aR1bであり、この式中のR1aおよびR1bは、各々、本明細書で
定義される通りである。ある特定の実施形態では、R2は、本明細書に記載の通り任意選
択で置換されているフェニルである。ある特定の実施形態では、R2は、本明細書に記載
の通り任意選択で置換されているピロロピリジン-3-イルである。ある特定の実施形態
では、R2は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているインドリルである。ある
特定の実施形態では、R2は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているチエニル
である。ある特定の実施形態では、R2は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されて
いるピリジニルである。ある特定の実施形態では、R2は、本明細書に記載の通り任意選
択で置換されている1,2,4-トリアゾリルである。ある特定の実施形態では、R2は
、本明細書に記載の通り任意選択で置換されている2-オキソイミダゾリジニルである。
ある特定の実施形態では、R2は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているピラ
ゾリルである。ある特定の実施形態では、R2は、本明細書に記載の通り任意選択で置換
されている2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリルである。ある特定
の実施形態では、R2は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているインダゾリル
である。
【0258】
ある特定の実施形態では、R3は、水素である。ある特定の実施形態では、R3は、本
明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC1~4アル
キルである。ある特定の実施形態では、R3は、本明細書に記載の通り1つまたは複数の
置換基Qで任意選択で置換されているビフェニルである。
【0259】
ある特定の実施形態では、R4は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているC
1~10アルキルである。ある特定の実施形態では、R4は、本明細書に記載の通り任意
選択で置換されているプロパ-1-エン-2-イルである。ある特定の実施形態では、R
4は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているシクロヘキシルである。ある特定
の実施形態では、R4は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているシクロプロピ
ルである。ある特定の実施形態では、R4は、本明細書に記載の通り任意選択で置換され
ている2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチルである。ある特定の実施形態では
、R4は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているオキセタン-3-イルである
。ある特定の実施形態では、R4は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているベ
ンズヒドリルである。ある特定の実施形態では、R4は、本明細書に記載の通り任意選択
で置換されているテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イルである。ある特定の実施形態で
は、R4は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているテトラヒドロ-2H-ピラ
ン-4-イルである。ある特定の実施形態では、R4は、本明細書に記載の通り任意選択
で置換されているフェニルである。ある特定の実施形態では、R4は、本明細書に記載の
通り任意選択で置換されているテトラヒドロフラン-3-イルである。ある特定の実施形
態では、R4は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているベンジルである。ある
特定の実施形態では、R4は、本明細書に記載の通り任意選択で置換されている(4-ペ
ンチルフェニル)(フェニル)メチルである。ある特定の実施形態では、R4は、本明細
書に記載の通り任意選択で置換されている1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリ
オキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-
イル)エチルである。
【0260】
ある特定の実施形態では、L1は、-NR1a-であり、この式中のR1aは、本明細
書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、L1は、-NR1a(CH2)1
~3-であり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施
形態では、L1は、-NR1aCH(C(O)OCH3)CH2-であり、この式中のR
1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、L1は、-NR1
a(CH2)2NR1c-であり、この式中のR1aおよびR1cは、各々、本明細書で
定義される通りである。ある特定の実施形態では、L1は、-NR1a(CH2)2S-
であり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態で
は、L1は、-NR1aCH2CH(CH3)CH2-であり、この式中のR1aは、本
明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、L1は、-NR1aCH2C
H(OH)-であり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定
の実施形態では、L1は、-NR1aCH(CH3)CH2-であり、この式中のR1a
は、本明細書で定義される通りである。
【0261】
ある特定の実施形態では、R5aは、水素である。ある特定の実施形態では、R5aは
、シアノである。ある特定の実施形態では、R5aは、メチルである。ある特定の実施形
態では、R5aは、ハロである。ある特定の実施形態では、R5aは、フルオロ、クロロ
、またはブロモである。ある特定の実施形態では、R5aは、トリフルオロメチルである
。ある特定の実施形態では、R5aは、-SO2CH3である。
【0262】
ある特定の実施形態では、R5bは、水素である。ある特定の実施形態では、R5bは
、シアノである。ある特定の実施形態では、R5bは、メチルである。ある特定の実施形
態では、R5bは、ハロである。ある特定の実施形態では、R5bは、フルオロ、クロロ
、またはブロモである。ある特定の実施形態では、R5bは、トリフルオロメチルである
。ある特定の実施形態では、R5bは、-SO2CH3である。
【0263】
ある特定の実施形態では、R5cは、水素である。ある特定の実施形態では、R5cは
、シアノである。ある特定の実施形態では、R5cは、メチルである。ある特定の実施形
態では、R5cは、ハロである。ある特定の実施形態では、R5cは、フルオロ、クロロ
、またはブロモである。ある特定の実施形態では、R5cは、トリフルオロメチルである
。ある特定の実施形態では、R5cは、-SO2CH3である。
【0264】
ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任
意選択で置換されているC1~6アルキレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本
明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで各々任意選択で置換されている、エチレ
ン、プロピレンまたはブチレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載
の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC2~6アルケニレンであ
る。ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで
任意選択で置換されているC2~6アルキニレンである。ある特定の実施形態では、Lは
、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC3~7
シクロアルキレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つま
たは複数の置換基Qで任意選択で置換されているシクロヘキシレンである。ある特定の実
施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換さ
れているC6~14アリーレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載
の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているヘテロアリーレンである。
ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意
選択で置換されているヘテロシクリレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本明細
書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC1~6アルキレ
ン-C3~7シクロアルキレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載
の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC1~6アルキレン-ヘテ
ロシクリレンである。
【0265】
ある特定の実施形態では、R6は、水素である。ある特定の実施形態では、R6は、本
明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC1~6アル
キルである。ある特定の実施形態では、R6は、本明細書に記載の通り1つまたは複数の
置換基Qで任意選択で置換されているメチルである。ある特定の実施形態では、R6は、
本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC6~14
アリールである。ある特定の実施形態では、R6は、本明細書に記載の通り1つまたは複
数の置換基Qで任意選択で置換されているベンジルである。ある特定の実施形態では、R
6は、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているヘテ
ロアリールである。ある特定の実施形態では、R6は、-C(O)R1aであり、この式
中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、R6は、-
SR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実
施形態では、R6は、-S(O)R1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義さ
れる通りである。ある特定の実施形態では、R6は、-S(O)2R1aであり、この式
中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、R6は、-
L-C6~14アリールであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。あ
る特定の実施形態では、R6は、-L-ヘテロアリールであり、この式中のLは、本明細
書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、R6は、-L-ヘテロシクリルで
あり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。
【0266】
ある特定の実施形態では、Wは、水素である。ある特定の実施形態では、Wは、ハロで
ある。ある特定の実施形態では、Wは、シアノである。ある特定の実施形態では、Wは、
本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC6~14
アリールである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数
の置換基Qで任意選択で置換されているベンジルである。ある特定の実施形態では、Wは
、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているヘテロア
リールである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の
置換基Qで任意選択で置換されているヘテロシクリレンである。
【0267】
ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任
意選択で置換されている-L-C6~14アリールであり、この式中のLは、本明細書で
定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまた
は複数の置換基Qで任意選択で置換されている-L-ヘテロアリールであり、この式中の
Lは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記
載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-L-ヘテロシクリルで
あり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、W
は、-L-OHであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の
実施形態では、Wは、-L-OR1aであり、この式中のR1aおよびLは、各々、本明
細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-L-NH2であり、こ
の式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-L
-NHR1aであり、この式中のR1aおよびLは、各々、本明細書で定義される通りで
ある。ある特定の実施形態では、Wは、-L-N(R1a)R1bであり、この式中のR
1a、R1bおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態
では、Wは、-L-SR1aであり、この式中のR1aおよびL、各々、本明細書で定義
される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-L-S(O)R1aであり、この
式中のR1aおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態
では、Wは、-L-S(O)2R1aであり、この式中のR1aおよびLは、各々、本明
細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-L-P(O)(OR1
a)(OR1c)であり、この式中のR1a、R1cおよびLは、各々、本明細書で定義
される通りである。
【0268】
ある特定の実施形態では、Wは、-L-(N(R1c)-L)n-N(R1a)R1b
であり、この式中のR1a、R1b、R1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義され
る通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の
置換基Qで任意選択で置換されている-L-(N(R1c)-L)n-C6~14アリー
ルであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。
ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意
選択で置換されている-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロアリールであり、この式中
のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態
では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されてい
る-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロシクリルであり、この式中のR1c、Lおよび
nは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0269】
ある特定の実施形態では、Wは、-O-L-N(R1a)R1bであり、この式中のR
1a、R1bおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態
では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されてい
る-O-L-C6~14アリールであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りで
ある。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Q
で任意選択で置換されている-O-L-ヘテロアリールであり、この式中のLは、本明細
書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つ
または複数の置換基Qで任意選択で置換されている-O-L-ヘテロシクリルであり、こ
の式中のLは、本明細書で定義される通りである。
【0270】
ある特定の実施形態では、Wは、-O-L-(N(R1c)-L)n-N(R1a)R
1bであり、この式中のR1a、R1b、R1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義
される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複
数の置換基Qで任意選択で置換されている-O-L-(N(R1c)-L)n-C6~1
4アリールであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通り
である。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基
Qで任意選択で置換されている-O-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロアリールであ
り、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特
定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で
置換されている-O-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロシクリルであり、この式中の
R1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0271】
ある特定の実施形態では、Wは、-S-L-N(R1a)R1bであり、この式中のR
1a、R1bおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態
では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されてい
る-S-L-C6~14アリールであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りで
ある。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Q
で任意選択で置換されている-S-L-ヘテロアリールであり、この式中のLは、本明細
書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つ
または複数の置換基Qで任意選択で置換されている-S-L-ヘテロシクリルであり、こ
の式中のLは、本明細書で定義される通りである。
【0272】
ある特定の実施形態では、Wは、-S-L-(N(R1c)-L)n-N(R1a)R
1bであり、この式中のR1a、R1b、R1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義
される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複
数の置換基Qで任意選択で置換されている-S-L-(N(R1c)-L)n-C6~1
4アリールであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通り
である。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基
Qで任意選択で置換されている-S-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロアリールであ
り、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特
定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で
置換されている-S-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロシクリルであり、この式中の
R1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0273】
ある特定の実施形態では、Wは、-(N(R1c)-L)n-N(R1a)R1bであ
り、この式中のR1a、R1b、R1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通
りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換
基Qで任意選択で置換されている-(N(R1c)-L)n-C6~14アリールであり
、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定
の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置
換されている-(N(R1c)-L)n-ヘテロアリールであり、この式中のR1c、L
およびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、
本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-(N(R
1c)-L)n-ヘテロシクリルであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明
細書で定義される通りである。
【0274】
ある特定の実施形態では、Wは、-C(O)R1aであり、この式中のR1aは、本明
細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-C(O)OR1aであ
り、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、
Wは、-C(O)NH2である。ある特定の実施形態では、Wは、-C(O)NHR1a
であり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態で
は、Wは、-C(O)N(R1a)R1bであり、この式中のR1aおよびR1bは、各
々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NHR1aで
あり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では
、Wは、-N(R1a)R1bであり、この式中のR1aおよびR1bは、各々、本明細
書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NHC(O)R1aであ
り、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、
Wは、-NR1aC(O)R1cであり、この式中のR1aおよびR1cは、各々、本明
細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NHC(O)OR1a
であり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態で
は、Wは、-NR1aC(O)OR1cであり、この式中のR1aおよびR1cは、各々
、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NHC(O)N
H2である。ある特定の実施形態では、Wは、-NHC(O)NHR1aであり、この式
中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-N
HC(O)N(R1a)R1bであり、この式中のR1aおよびR1bは、各々、本明細
書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NR1aC(O)NH2
であり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態で
は、Wは、-NR1cC(O)NHR1aであり、この式中のR1aおよびR1cは、各
々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NR1cC(
O)N(R1a)R1bであり、この式中のR1a、R1bおよびR1cは、各々、本明
細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NHS(O)2R1a
であり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態で
は、Wは、-NR1cS(O)2R1aであり、この式中のR1aおよびR1cは、各々
、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-OR1aであり
、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、W
は、-OC(O)R1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである
。ある特定の実施形態では、Wは、-OC(O)OR1aであり、この式中のR1aは、
本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-OC(O)NH2
である。ある特定の実施形態では、Wは、-OC(O)NHR1aであり、この式中のR
1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-OC(O
)N(R1a)R1bであり、この式中のR1aおよびR1bは、各々、本明細書で定義
される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-OS(O)2R1aであり、この
式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-
P(O)(OR1a)(OR1c)であり、この式中のR1aおよびR1cは、各々、本
明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-SR1aであり、こ
の式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、
-S(O)R1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある
特定の実施形態では、Wは、-S(O)2R1aであり、この式中のR1aは、本明細書
で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-S(O)2NH2である。
ある特定の実施形態では、Wは、-S(O)2NHR1aであり、この式中のR1aは、
本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-S(O)2N(R
1a)R1bであり、この式中のR1aおよびR1bは、各々、本明細書で定義される通
りである。ある特定の実施形態では、Wは、-S(O)2OR1aであり、この式中のR
1aは、本明細書で定義される通りである。
【0275】
ある特定の実施形態では、Zは、シアノである。ある特定の実施形態では、Zは、本明
細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC1~6アルキ
ルである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換
基Qで任意選択で置換されているC2~6アルケニルである。ある特定の実施形態では、
Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC2
~6アルキニルである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまた
は複数の置換基Qで任意選択で置換されているC3~10シクロアルキルである。ある特
定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で
置換されているC6~14アリールである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に
記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC7~15アラルキル
である。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基
Qで任意選択で置換されているベンジルである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細
書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているヘテロアリールで
ある。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Q
で任意選択で置換されている5員ヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、Zは
、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているテトラゾ
イルである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置
換基Qで任意選択で置換されている1,2,4-オキサジアゾリルである。ある特定の実
施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換さ
れているヘテロシクリルである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り
1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-L-C6~14アリールであり
、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Zは、
本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-L-ヘテ
ロアリールであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施
形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換され
ている-L-ヘテロシクリルであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである
。
【0276】
ある特定の実施形態では、Zは、-C(O)R1aであり、この式中のR1aは、本明
細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Zは、-C(O)OR1aであ
り、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、
Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-C
(O)OC1~6アルキルである。ある特定の実施形態では、Zは、-C(O)OCH3
である。ある特定の実施形態では、Zは、-C(O)NHR1aであり、この式中のR1
aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Zは、-C(O)N
(R1a)R1bであり、この式中のR1aおよびR1bは、各々、本明細書で定義され
る通りである。ある特定の実施形態では、Zは、-P(O)(OR1a)(OR1c)で
あり、この式中のR1aおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りである。ある
特定の実施形態では、Zは、-SR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義さ
れる通りである。ある特定の実施形態では、Zは、-S(O)R1aであり、この式中の
R1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Zは、-S(O
)2R1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の
実施形態では、Zは、-S(O)2NH2である。ある特定の実施形態では、Zは、-S
(O)2NHR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。あ
る特定の実施形態では、Zは、-S(O)2N(R1a)R1bであり、この式中のR1
aおよびR1bは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0277】
ある特定の実施形態では、Xは、結合である。ある特定の実施形態では、Xは、Oであ
る。ある特定の実施形態では、Xは、Sである。ある特定の実施形態では、Xは、NR1
cであり、この式中のR1cは、本明細書で定義される通りである。
【0278】
ある特定の実施形態では、nは、1である。ある特定の実施形態では、nは、2である
。ある特定の実施形態では、nは、3である。ある特定の実施形態では、nは、4である
。ある特定の実施形態では、nは、5である。
【0279】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、AHRのアンタゴニストと
しての活性を示す。
【0280】
本明細書で提供される化合物は、鏡像異性的に純粋であり、例えば、単一の鏡像異性体
もしくは単一のジアステレオマーであってもよく、または立体異性体混合物、例えば、鏡
像異性体の混合物、例えば、2つの鏡像異性体のラセミ混合物、もしくは2つ以上のジア
ステレオマーの混合物であってもよい。したがって、化合物のその(R)形態での投与は
、in vivoでエピマー化される化合物については、前記化合物のその(S)形態で
の投与と等価であることが当業者に認識されよう。個々の鏡像異性体の従来の調製/単離
技術としては、好適な光学的に純粋な前駆体からの合成、アキラル出発物質からの不斉合
成、または鏡像異性体混合物の分割、例えば、キラルクロマトグラフィー、再結晶、分割
、ジアステレオマー塩形成、もしくはジアステレオマー付加体への誘導体化、その後の分
離が挙げられる。
【0281】
5.4.NK細胞の単離
ナチュラルキラー細胞を単離する方法は当技術分野において公知であり、そのような方
法を使用して、ナチュラルキラー細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製
造されたNK細胞を単離することができる。例えば、NK細胞は、例えば、一実施形態で
はCD56およびCD3に対する抗体で、細胞を染色すること、およびCD56+CD3
-細胞について選択することにより、単離または富化することができる。ある特定の実施
形態では、NK細胞は、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された全細胞と比較し
て、CD56+CD3-細胞について富化される。NK細胞、例えば、本明細書に記載の
3段階法を使用して製造された細胞は、市販のキット、例えば、NK Cell Iso
lation Kit(Miltenyi Biotec)を使用して、単離することが
できる。NK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された細胞は、N
K細胞、例えば本明細書に記載の3段階法を使用して製造された細胞、を含む細胞集団内
のNK細胞以外の細胞の除去により、単離または富化することもできる。例えば、NK細
胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された細胞を、例えばCD3、C
D4、CD14、CD19、CD20、CD36、CD66b、CD123、HLA D
Rおよび/またはCD235a(グリコホリンA)のうちの1つまたは複数に対する抗体
を使用して、非NK細胞マーカーを提示する細胞を枯渇させることにより、単離または富
化してもよい。市販のキット、例えば、NK Cell Negative Isola
tion Kit(Dynal Biotech)を使用して、ネガティブアイソレーシ
ョンを行うことができる。これらの方法により単離された細胞を、例えば、CD11a+
細胞とCD11a-細胞、および/またはCD117+細胞とCD117-細胞、および
/またはCD16+細胞とCD16-細胞、および/またはCD94+とCD94-を分
離するために、さらに選別してもよい。ある特定の実施形態では、細胞、例えば、本明細
書に記載の3段階法により製造された細胞は、CD11a+細胞とCD11a-細胞を分
離するために選別される。具体的な実施形態では、CD11a+細胞が単離される。ある
特定の実施形態では、細胞は、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された全細胞と
比較して、CD11a+細胞について富化される。具体的な実施形態では、CD11a-
細胞が単離される。ある特定の実施形態では、細胞は、本明細書に記載の3段階法を使用
して製造された全細胞と比較して、CD11a-細胞について富化される。ある特定の実
施形態では、細胞は、CD117+細胞とCD117-細胞を分離するために選別される
。具体的な実施形態では、CD117+細胞が単離される。ある特定の実施形態では、細
胞は、本明細書に記載されている3段階法を使用して製造された全細胞と比較して、CD
117+細胞について富化される。具体的な実施形態では、CD117-細胞が単離され
る。ある特定の実施形態では、細胞は、本明細書に記載されている3段階法を使用して産
生された全細胞と比較して、CD117-細胞について富化される。ある特定の実施形態
では、細胞は、CD16+細胞とCD16-細胞を分離するために選別される。具体的な
実施形態では、CD16+細胞が単離される。ある特定の実施形態では、細胞は、本明細
書に記載の3段階法を使用して製造された全細胞と比較して、CD16+細胞について富
化される。具体的な実施形態では、CD16-細胞が単離される。ある特定の実施形態で
は、細胞は、本明細書に記載されている3段階法を使用して産生された全細胞と比較して
、CD16-細胞について富化される。ある特定の実施形態では、細胞は、CD94+細
胞とCD94-細胞を分離するために選別される。具体的な実施形態では、CD94+細
胞が単離される。ある特定の実施形態では、細胞は、本明細書に記載の3段階法を使用し
て製造された全細胞と比較して、CD94+細胞について富化される。具体的な実施形態
では、CD94-細胞が単離される。ある特定の実施形態では、細胞は、本明細書に記載
されている3段階法を使用して産生された全細胞と比較して、CD94-細胞について富
化される。ある特定の実施形態では、単離は、磁気分離を使用して行われる。ある特定の
実施形態では、単離は、フローサイトメトリーを使用して行われる。
【0282】
ILC3細胞を単離する方法は当技術分野において公知であり、そのような方法を使用
して、ILC3細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたILC3
細胞を単離することができる。例えば、ILC3細胞は、例えば、一実施形態ではCD5
6、CD3およびCD11aに対する抗体で、細胞を染色すること、およびCD56+C
D3-CD11a-細胞について選択することにより、単離または富化することができる
。ILC3細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された細胞は、IL
C3細胞、例えば本明細書に記載の3段階法を使用して製造された細胞、を含む細胞集団
内のILC3細胞以外の細胞の除去により、単離または富化することもできる。例えば、
ILC3細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された細胞を、例えば
CD3、CD4、CD11a、CD14、CD19、CD20、CD36、CD66b、
CD94、CD123、HLA DRおよび/またはCD235a(グリコホリンA)の
うちの1つまたは複数に対する抗体を使用して、非ILC3細胞マーカーを提示する細胞
を枯渇させることにより、単離または富化してもよい。これらの方法により単離された細
胞を、例えばCD117+細胞とCD117-細胞を分離するために、さらに選別しても
よい。NK細胞は、例えば、一実施形態ではCD56、CD3、CD94およびCD11
aに対する抗体で、細胞を染色すること、およびCD56+CD3-CD94+CD11
a+細胞について選択することにより、単離または富化することができる。NK細胞、例
えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された細胞は、NK細胞、例えば本明細
書に記載の3段階法を使用して製造された細胞、を含む細胞集団内のNK細胞以外の細胞
の除去により、単離または富化することもできる。ある特定の実施形態では、NK細胞は
、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された全細胞と比較して、CD56+CD3
-CD94+CD11a+細胞について富化される。
【0283】
一実施形態では、ILC3細胞は、CD56+CD3-CD11a-細胞について選択
することにより単離または富化される。ある特定の実施形態では、ILC3細胞は、本明
細書に記載の3段階法を使用して製造された全細胞と比較して、CD56+CD3-CD
11a-細胞について富化される。一実施形態では、ILC3細胞は、CD56+CD3
-CD11a-CD117+細胞について選択することにより単離または富化される。あ
る特定の実施形態では、ILC3細胞は、本明細書に記載の3段階法を使用して製造され
た全細胞と比較して、CD56+CD3-CD11a-CD117+細胞について富化さ
れる。一実施形態では、ILC3細胞は、CD56+CD3-CD11a-CD117+
CDIL1R1+細胞について選択することにより単離または富化される。ある特定の実
施形態では、ILC3細胞は、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された全細胞と
比較して、CD56+CD3-CD11a-CD117+CDIL1R1+細胞について
富化される。
【0284】
一実施形態では、NK細胞は、CD56+CD3-CD94+CD11a+細胞につい
て選択することにより単離または富化される。ある特定の実施形態では、NK細胞は、本
明細書に記載の3段階法を使用して製造された全細胞と比較して、CD56+CD3-C
D94+CD11a+細胞について富化される。一実施形態では、NK細胞は、CD56
+CD3-CD94+CD11a+CD117-細胞について選択することにより単離ま
たは富化される。ある特定の実施形態では、NK細胞は、本明細書に記載の3段階法を使
用して製造された全細胞と比較して、CD56+CD3-CD94+CD11a+CD1
17-細胞について富化される。
【0285】
細胞分離は、例えば、フローサイトメトリー、蛍光活性化細胞選別(FACS)または
、一実施形態では、特異的抗体とコンジュゲートしたマイクロビーズを使用する磁気細胞
選別により、遂行することができる。例えば、1つまたは複数の特異的抗体、例えば抗C
D56抗体、を含む磁気ビーズ(例えば、直径約0.5~100μm)に結合する粒子の
能力に基づいて粒子を分離する方法である、磁気活性化細胞選別(MACS)技術を使用
して、細胞を単離してもよい。磁気細胞分離は、例えば、AUTOMACS(商標)セパ
レーター(Miltenyi)を使用して、行うことおよび自動化することができる。特
定の細胞表面分子またはハプテンを特異的に認識する抗体の共有結合性付加を含む、様々
な有用な修飾を、磁気マイクロスフェアに対して行うことができる。次いで、ビーズを細
胞と混合して、結合させる。次いで、細胞を磁場に通して、特異的細胞表面マーカーを有
する細胞を取り出す。一実施形態では、次いでこれらの細胞を単離し、さらなる細胞表面
マーカーに対する抗体に結合した磁気ビーズと再混合する。細胞を再び磁場に通し、両方
の抗体に結合している細胞を単離する。次いで、そのような細胞をクローン単離のために
別々のディッシュ、例えばマイクロターターディッシュに入れて希釈することができる。
【0286】
5.5.胎盤潅流液
NK細胞および/またはILC3細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法に従って製
造されるNK細胞および/またはILC3細胞集団は、任意の源、例えば、胎盤組織、胎
盤潅流液、臍帯血、胎盤血、抹消血、脾臓、肝臓などからの、造血細胞、例えば造血幹ま
たは前駆細胞から製造することができる。ある特定の実施形態では、造血幹細胞は、胎盤
潅流液からの造血幹細胞と、前記胎盤潅流液を生じさせるために使用されたのと同じ胎盤
からの臍帯血からの造血幹細胞とを合わせたものである。例えば、(特許文献7)および
(特許文献8)、ならびに(特許文献9)に開示されている方法により得ることができる
、胎盤潅流液細胞を含む胎盤潅流液。前記特許文献の開示は、それら全体が本明細書に組
み入れられている。
【0287】
5.5.1.細胞収集組成物
造血幹または前駆細胞を単離することができる胎盤潅流液および潅流液細胞、あるいは
腫瘍抑制に有用な、または腫瘍細胞、がんもしくはウイルス感染症を有する個体の処置に
有用な胎盤潅流液および潅流液細胞、例えば、NK細胞および/またはILC3細胞、例
えば、本明細書で提供される3段階法に従って製造されたNK細胞および/またはILC
3細胞集団との組合せでの前記胎盤潅流液および潅流液細胞は、胎盤細胞収集組成物を使
用する哺乳動物分娩後胎盤、例えばヒト分娩後胎盤の潅流により、収集することができる
。潅流液は、任意の生理学的に許容される溶液、例えば、生理食塩水、培養培地、または
より複雑な細胞収集組成物を用いる胎盤の潅流により、胎盤から収集することができる。
胎盤の潅流にならびに潅流液細胞の収集および保存に好適な細胞収集組成物は、関連する
(特許文献10)に詳細に記載されており、前記特許文献はその全体が参照により本明細
書に組み入れられている。
【0288】
細胞収集組成物は、幹細胞の収集および/または培養に好適な任意の生理学的に許容さ
れる溶液、例えば、生理食塩水(例えば、リン酸緩衝食塩水、クレブス溶液、変性クレブ
ス溶液、イーグル溶液、0.9%NaClなど)、培養培地(例えば、DMEM、H.D
MEMなど)などを含むことができる。
【0289】
細胞収集組成物は、収集時から培養時までの胎盤細胞の保存、すなわち胎盤細胞の死滅
の防止、または胎盤細胞の死滅の遅延、死滅する細胞集団内の胎盤細胞の数の低減などに
役立つ、1つまたは複数の成分を含むことができる。そのような成分は、例えば、アポト
ーシス阻害剤(例えば、カスパーゼ阻害剤もしくはJNK阻害剤)、血管拡張薬(例えば
、硫酸マグネシウム、降圧薬、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、副腎皮質刺激
ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、ニトロプルシドナトリウム、ヒドララジ
ン、アデノシン三リン酸、アデノシン、インドメタシンもしくは硫酸マグネシウム、ホス
ホジエステラーゼ阻害剤など)、壊死阻害剤(例えば、2-(1H-インドール-3-イ
ル)-3-ペンチルアミノ-マレイミド、ピロリジンジチオカルバミン酸、もしくはクロ
ナゼパム)、TNF-α阻害剤、および/または酸素担持ペルフルオロカーボン(例えば
、ペルフルオロオクチルブロミド、ペルフルオロデシルブロミドなど)であり得る。
【0290】
細胞収集組成物は、1つまたは複数の組織分解酵素、例えば、メタロプロテアーゼ、セ
リンプロテアーゼ、神経プロテアーゼ、ヒアルロニダーゼ、リボヌクレアーゼ、またはデ
オキシリボヌクレアーゼなどを含むことができる。そのような酵素には、コラゲナーゼ(
例えば、コラゲナーゼI、II、IIIまたはIV、クロストリジウム・ヒストリチクム
(Clostridium histolyticum)からのコラゲナーゼなど)、デ
ィスパーゼ、サーモリシン、エラスターゼ、トリプシン、LIBERASE、ヒアルロニ
ダーゼなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0291】
細胞収集組成物は、殺菌または静菌有効量の抗生物質を含むことができる。ある特定の
非限定的実施形態では、抗生物質は、マクロライド(例えば、トブラマイシン)、セファ
ロスポリン(例えば、セファレキシン、セフラジン、セフロキシム、セフプロジル、セフ
ァクロル、セフィキシムもしくはセファドロキシル)、クラリスロマイシン、エリスロマ
イシン、ペニシリン(例えば、ペニシリンV)またはキノロン(例えば、オフロキサシン
、シプロフロキサシンもしくはノルフロキサシン)、テトラサイクリン、ストレプトマイ
シンなどである。特定の実施形態では、抗生物質は、グラム(+)および/またはグラム
(-)菌、例えば、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブ
ドウ球菌(Staphylococcus aureus,)などに対して活性である。
【0292】
細胞収集組成物はまた、次の化合物のうちの1つまたは複数を含むことができる:アデ
ノシン(約1mM~約50mM)、D-グルコース(約20mM~約100mM)、マグ
ネシウムイオン(約1mM~約50mM)、20,000ダルトンより高い分子量の高分
子、一実施形態では、内皮完全性および細胞生存率を維持するのに十分な量で存在する前
記高分子(例えば、約25g/l~約100g/l、もしくは約40g/l~約60g/
lで存在する、合成もしくは天然に存在するコロイド、多糖類、例えばデキストラン、も
しくはポリエチレングリコール)、酸化防止剤(例えば、約25μM~約100μMで存
在する、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、グルタチオン、
ビタミンCもしくはビタミンE)、還元剤(例えば、約0.1mM~約5mMで存在する
N-アセチルシステイン)、細胞へのカルシウム侵入を防止する薬剤(例えば、約2μM
~約25μMで存在するベラパミル)、ニトログリセリン(例えば、約0.05g/L~
約0.2g/L)、抗凝固薬、一実施形態では残留血の凝固の防止を補助するのに十分な
量で存在する前記抗凝固薬(例えば、約1000単位/l~約100,000単位/lの
濃度で存在するヘパリンもしくはヒルジン)、またはアミロライド含有化合物(例えば、
約1.0μM~約5μMで存在する、アミロライド、エチルイソプロピルアミロライド、
ヘキサメチレンアミロライド、ジメチルアミロライドもしくはイソブチルアミロライド)
。
【0293】
5.5.2.胎盤の収集および処理
一般に、ヒト胎盤は、産後、その娩出直後に回収される。一実施形態では、胎盤は、イ
ンフォームドコンセント後かつ患者の全病歴を聴取し、胎盤と関連付けた後に、患者から
回収される。一実施形態では、前記病歴は、分娩後も継続する。
【0294】
潅流液の回収前に、臍帯血および胎盤血は除去される。ある特定の実施形態では、分娩
後に胎盤内の臍帯血が回収される。胎盤を従来の臍帯血回収プロセスに付してもよい。概
して、針またはカニューレを使用して、重量を活用して、胎盤を瀉血する(例えば、アン
ダーソン(Anderson)、(特許文献11);ヘッセル(Hessel)ら、(特
許文献12)を参照されたい)。針およびカニューレを通常は臍帯静脈内に留置し、胎盤
を穏やかに揉んで胎盤からの臍帯血の排出を補助することができる。そのような臍帯血回
収は、商業的に行われることもある、例えば、LifeBank Inc.、Cedar
Knolls、N.J.、ViaCord、Cord Blood Registry
およびCryoCell。一実施形態では、臍帯血回収中の組織破壊を最小にするための
さらなる操作がない、胎盤の落差脱血が行われる。
【0295】
概して、胎盤は、臍帯血の回収および潅流液の収集のために分娩または出産室から別の
場所、例えば研究室に輸送される。胎盤を滅菌断熱輸送デバイス(胎盤の温度を20~2
8℃で維持する)で、例えば、臍帯近位部をクランプした胎盤を滅菌ジップロックプラス
チックバッグの中に入れ、次いでそれを断熱コンテナに入れることにより、輸送すること
ができる。別の実施形態では、胎盤は、実質的に(特許文献13)に記載されている通り
の臍帯血採取キットで輸送される。一実施形態では、胎盤は、分娩の4~24時間後に研
究室に配達される。ある特定の実施形態では、臍帯血回収前に臍帯近位部、例えば、胎盤
円盤体(placental disc)への挿入4~5cm(センチメートル)以内で
クランプされる。他の実施形態では、臍帯近位部は、臍帯血回収後だが胎盤のさらなる処
理前にクランプされる。
【0296】
潅流液収集前の胎盤を無菌条件下、室温で、または5~25℃(摂氏)の温度で保管す
ることができる。胎盤を48時間より長い間保管してもよく、または一切の残留臍帯血を
除去するための胎盤の潅流前に4~24時間の間保管してもよい。胎盤を抗凝固溶液中、
5℃~25℃(摂氏)の温度で保管することができる。好適な抗凝固溶液は、当技術分野
において周知である。例えば、ヘパリンまたはワルファリンナトリウムの溶液を使用する
ことができる。一実施形態では、抗凝固溶液は、ヘパリンの溶液(例えば、1:1000
溶液で1% w/w)を含む。一部の実施形態では、瀉血された胎盤は、胎盤潅流液を収
集する前36時間以下、保管される。
【0297】
5.5.3.胎盤潅流液
哺乳動物胎盤を潅流する方法および胎盤潅流液を得る方法は、例えば、ハリリ(Har
iri)、(特許文献7)および(特許文献14)に、ならびに(特許文献9)、(特許
文献10)および(特許文献15)に開示されており、前記特許文献の開示はそれら全体
が本明細書における参照により本明細書に組み入れられている。
【0298】
潅流液は、胎盤血管系に潅流溶液、例えば、生理食塩水、培養培地または上記の細胞収
集組成物を通すことにより得ることができる。一実施形態では、哺乳動物胎盤は、臍帯動
脈および臍帯静脈のどちらかまたは両方に潅流溶液を通すことにより潅流される。例えば
胎盤への重力流を使用して、胎盤を通る潅流溶液の流れを達成してもよい。例えば、潅流
溶液は、ポンプ、例えば蠕動ポンプを使用して、胎盤を通って強制的に送られる。臍帯静
脈に、例えば、滅菌チューブなどの滅菌接続器具に接続されているカニューレ、例えば、
TEFLON(登録商標)またはプラスチックカニューレを挿入することができる。前記
滅菌接続器具は、潅流マニホールドに接続されている。
【0299】
潅流の準備の際、臍帯動脈および臍帯静脈が胎盤の最高点に位置するように胎盤を配向
させることがきる。潅流溶液を胎盤血管系にまたは胎盤血管系および周囲組織に通すこと
によって、胎盤を潅流することができる。一実施形態では、臍帯動脈および臍帯静脈は、
潅流溶液のリザーバに可撓性コネクタにより接続されているピペットに、同時に接続され
る。潅流溶液は、臍帯静脈および動脈に送られる。潅流溶液は、血管壁から胎盤の周囲組
織に滲出し、および/または血管壁を通過して胎盤の周囲組織に入り、妊娠中に母親の子
宮に付着していた胎盤の表面から好適な開放容器に収集される。潅流溶液を、臍帯開口部
を通して導入し、母体の子宮壁と接合していた胎盤壁の開口部から流出または浸出させて
もよい。別の実施形態では、潅流溶液は、臍帯静脈に通され、臍帯動脈から収集されるか
、または臍帯動脈に通され、臍帯静脈から回収され、すなわち、胎盤血管系(胎児組織)
のみに通される。
【0300】
一実施形態では、例えば、臍帯動脈および臍帯静脈は、例えば、潅流溶液のリザーバに
可撓性コネクタにより接続されているピペットに、同時に接続される。潅流溶液は、臍帯
静脈および動脈に送られる。潅流溶液は、血管壁から胎盤の周囲組織に滲出し、および/
または血管壁を通過して胎盤の周囲組織に入り、妊娠中に母親の子宮に付着していた胎盤
の表面から好適な開放容器に収集される。潅流溶液を、臍帯開口部を通して導入し、母体
の子宮壁と接合していた胎盤壁の開口部から流出または浸出させてもよい。「パン」法と
呼ばれることもある、この方法により収集される胎盤細胞は、概して、胎児細胞と母体細
胞の混合物である。
【0301】
別の実施形態では、潅流溶液は、臍帯静脈に通され、臍帯動脈から収集されるか、また
は臍帯動脈に通され、臍帯静脈から収集される。「閉回路」法と呼ばれることもある、こ
の方法により収集される胎盤細胞は、概して、ほぼ排他的に胎児のものである。
【0302】
閉回路潅流法は、一実施形態では、次のように行うことができる。分娩後の胎盤を産後
約48時間以内に得る。臍帯をクランプし、クランプの上で切断する。臍帯を廃棄するこ
とができ、または処理して、例えば臍帯幹細胞を回収することおよび/もしくは生体材料
の製造用に臍帯膜を加工することができる。潅流中、羊膜を保持することができ、または
例えば指での鈍的切開を使用して、絨毛膜から分離することができる。羊膜を潅流前に絨
毛膜から分離する場合、羊膜を、例えば、廃棄することができ、または処理して、例えば
、酵素的消化により幹細胞を得ること、もしくは例えば羊膜生体材料、例えば、(特許文
献16)に記載されている生体材料を製造することができる。例えば滅菌ガーゼを使用し
て、胎盤から目に見える血餅および残留血をすべて取り除いた後、臍帯血管を、例えば、
臍帯膜を部分的に切断して臍帯の断面を露出させることにより、露出させる。血管を特定
し、例えば、閉じたアリゲータークランプを各血管の切断端に通して前進させることによ
り、血管を開く。次いで、器具、例えば、潅流デバイスまたは蠕動ポンプに接続されたプ
ラスチックチューブを、胎盤動脈の各々に挿入する。ポンプは、目的に適するいずれのポ
ンプであってもよく、例えば、蠕動ポンプであってもよい。次いで、滅菌収集リザーバ、
例えば、血液バッグ、例えば250mL採血バッグに接続されたプラスチックチューブを
臍帯静脈に挿入する。あるいは、ポンプに接続されたチューブを胎盤静脈に挿入し、収集
リザーバへのチューブを胎盤動脈の一方または両方に挿入する。次いで、ある容量の潅流
溶液、例えば、約750mlの潅流溶液で胎盤を潅流する。次いで、潅流液中の細胞を、
例えば遠心分離により、収集する。
【0303】
一実施形態では、潅流中、臍帯近位部をクランプし、より具体的には、胎盤円盤体への
臍帯の挿入4~5cm(センチメートル)以内でクランプすることができる。
【0304】
瀉血プロセス中の哺乳動物胎盤からの潅流液の初回収集物は、臍帯血および/または胎
盤血の残留赤血球で一般に着色されている。潅流液は、潅流が進むにつれてより無色にな
り、残留臍帯血球は、胎盤から洗い流される。一般に、30~100mLの潅流液が胎盤
からの血液の初回フラッシュに適当であるが、観察結果次第でより多いまたはより少ない
潅流液を使用してもよい。
【0305】
ある特定の実施形態では、臍帯血は、潅流前に胎盤から(例えば、落差脱血により)除
去されるが、胎盤は、残留血を除去するために溶液でフラッシュ(例えば、潅流)されな
い。ある特定の実施形態では、臍帯血は、潅流前に胎盤から(例えば、落差脱血により)
除去され、胎盤は、残留血を除去するために溶液でフラッシュ(例えば、潅流)される。
【0306】
胎盤を潅流するために使用される潅流液の容量は、収集されることになる胎盤細胞の数
、胎盤のサイズ、単一の胎盤で行われることになる収集の回数などに依存して変わること
がある。様々な実施形態では、潅流液の容量は、50mL~5000mL、50mL~4
000mL、50mL~3000mL、100mL~2000mL、250mL~200
0mL、500mL~2000mL、または750mL~2000mLであり得る。概し
て、胎盤は、瀉血後に700~800mLの潅流液で潅流される。
【0307】
胎盤を数時間から数日にわたって複数回潅流することができる。胎盤を複数回潅流する
ことになる場合、胎盤をコンテナまたは他の好適な容器内で無菌条件下で維持または培養
し、細胞収集組成物、または標準的な潅流溶液(例えば、抗凝固薬(例えば、ヘパリン、
ワルファリンナトリウム、クマリン、ビスヒドロキシクマリン)を伴うもしくは伴わない
、および/または抗菌剤(例えば、β-メルカプトエタノール(0.1mM))、抗生物
質、例えば、ストレプトマイシン(例えば、40~100μg/mlで)、ペニシリン(
例えば、40U/mlで)、アンホテリシンB(例えば、0.5μg/mlで)を伴うも
しくは伴わない、通常の生理食塩水、例えばリン酸緩衝食塩水(「PBS」))で、潅流
することができる。一実施形態では、単離された胎盤は、潅流液を収集せずに、ある期間
、維持または培養され、例えば、前記胎盤は、潅流および潅流液収集前に1、2、3、4
、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19
、20、21、22、23もしくは24時間、または2もしくは3日以上の日数、維持ま
たは培養される。潅流された胎盤を、さらに1または複数回、例えば1、2、3、4、5
、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、2
0、21、22、23、24時間以上維持し、例えば700~800mLの潅流液で再び
潅流することができる。胎盤を1、2、3、4、5回以上、例えば、1、2、3、4、5
または6時間ごとに1回、潅流することができる。一実施形態では、胎盤の潅流、および
潅流溶液、例えば胎盤細胞収集組成物の回収は、回収される有核細胞の数が細胞100個
/mlを下回るまで繰り返される。異なる時点での潅流液をさらに個々に処理して、細胞
、例えば全有核細胞、の経時的集団を回収することができる。異なる時点からの潅流液を
プールすることもできる。
【0308】
5.5.4.胎盤潅流液および胎盤潅流液細胞
概して、単一の胎盤灌からの胎盤潅流液は、造血細胞を含む、約1億~約5億個の有核
細胞を含み、それらの造血細胞から、NK細胞および/またはILC3細胞、例えば、本
明細書に記載の3段階法に従って製造されるNK細胞および/またはILC3細胞を、本
明細書で開示される方法により製造することができる。ある特定の実施形態では、胎盤潅
流液または潅流液細胞は、CD34+細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞を含む。
そのような細胞は、より特異的な実施形態では、CD34+CD45-幹細胞または前駆
細胞、CD34+CD45+幹細胞または前駆細胞などを含むことができる。ある特定の
実施形態では、潅流液または潅流液細胞は、それらからの造血細胞の単離前に凍結保存さ
れる。ある特定の他の実施形態では、胎盤潅流液は、または潅流液細胞は、胎児細胞のみ
を含むか、または胎児細胞と母体細胞の組合せを含む。
【0309】
5.6.NK細胞
5.6.1.3段階法により製造されるNK細胞
別の実施形態では、単離されたNK細胞集団であって、前記NK細胞が上記の3段階法
に従って製造される、NK細胞集団が本明細書で提供される。
【0310】
一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造される、単離されたNK細胞集
団であって、本明細書に記載の3段階法により製造されたNK前駆細胞集団、例えば、N
K前駆細胞集団を製造するために使用される第3の培養ステップがNK細胞集団を製造す
るために使用される第3の培養ステップより短い期間のものであったことを除いて同じ3
段階法により製造されたNK前駆細胞集団より、高いパーセンテージのCD3-CD56
+細胞を含む、NK細胞集団が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記NK
細胞集団は、約70%以上、一部の実施形態では75%、80%、85%、90%、95
%、98%または99%CD3-CD56+細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前
記NK細胞集団は、80%、85%、90%、95%、98%または99%以上CD3-
CD56+細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記NK細胞集団は、70%~75
%、75%~80%、80%~85%、85%~90%、90%~95%、または95%
~99%CD3-CD56+細胞を含む。
【0311】
ある特定の実施形態では、前記NK細胞集団内の前記CD3-CD56+細胞は、さら
にNKp46+であるCD3-CD56+細胞を含む。ある特定の実施形態では、前記N
K細胞集団内の前記CD3-CD56+細胞は、さらにCD16-であるCD3-CD5
6+細胞を含む。ある特定の実施形態では、前記NK細胞集団内の前記CD3-CD56
+細胞は、さらにCD16+であるCD3-CD56+細胞を含む。ある特定の実施形態
では、前記NK細胞集団内の前記CD3-CD56+細胞は、さらにCD94-であるC
D3-CD56+細胞を含む。ある特定の実施形態では、前記NK細胞集団内の前記CD
3-CD56+細胞は、さらにCD94+であるCD3-CD56+細胞を含む。ある特
定の実施形態では、前記NK細胞集団内の前記CD3-CD56+細胞は、さらにCD1
1a+であるCD3-CD56+細胞を含む。ある特定の実施形態では、前記NK細胞集
団内の前記CD3-CD56+細胞は、さらにNKp30+であるCD3-CD56+細
胞を含む。ある特定の実施形態では、前記NK細胞集団内の前記CD3-CD56+細胞
は、さらにCD161+であるCD3-CD56+細胞を含む。ある特定の実施形態では
、前記NK細胞集団内の前記CD3-CD56+細胞は、さらにDNAM-1+であるC
D3-CD56+細胞を含む。ある特定の実施形態では、前記NK細胞集団内の前記CD
3-CD56+細胞は、さらにT-bet+であるCD3-CD56+細胞を含む。
【0312】
一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造されるNK細胞集団は、CD1
17+である細胞を含む。一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造される
NK細胞集団は、NKG2D+である細胞を含む。一実施形態では、本明細書に記載の3
段階法により製造されるNK細胞集団は、NKp44+である細胞を含む。一実施形態で
は、本明細書に記載の3段階法により製造されるNK細胞集団は、CD244+である細
胞を含む。一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造されるNK細胞集団は
、パーフォリンを発現する細胞を含む。一実施形態では、本明細書に記載の3段階法によ
り製造されるNK細胞集団は、EOMESを発現する細胞を含む。一実施形態では、本明
細書に記載の3段階法により製造されるNK細胞集団は、グランザイムBを発現する細胞
を含む。一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造されるNK細胞集団は、
IFNγ、GM-CSFおよび/またはTNFαを分泌する細胞を含む。
【0313】
5.7.ILC3細胞
5.7.1.3段階法により製造されるILC3細胞
別の実施形態では、単離されたILC3細胞集団であって、上記の3段階法に従って製
造されるILC3細胞集団が本明細書で提供される。
【0314】
一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造される、単離されたILC3細
胞集団であって、本明細書に記載の3段階法により製造されたILC3前駆細胞集団、例
えば、ILC3前駆細胞集団を製造するために使用される第3の培養ステップがILC3
細胞集団を製造するために使用される第3の培養ステップより短い期間のものであったこ
とを除いて同じ3段階法により製造されたILC3前駆細胞集団より、高いパーセンテー
ジのCD3-CD56+細胞を含むILC3細胞集団が本明細書で提供される。具体的な
実施形態では、前記ILC3細胞集団は、約70%以上、一部の実施形態では75%、8
0%、85%、90%、95%、98%または99%CD3-CD56+細胞を含む。別
の具体的な実施形態では、前記ILC3細胞集団は、80%、85%、90%、95%、
98%または99%以上CD3-CD56+細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前
記ILC3細胞集団は、70%~75%、75%~80%、80%~85%、85%~9
0%、90%~95%、または95%~99%CD3-CD56+細胞を含む。
【0315】
ある特定の実施形態では、前記ILC3細胞集団内の前記CD3-CD56+細胞は、
さらにNKp46-であるCD3-CD56+細胞を含む。ある特定の実施形態では、前
記ILC3細胞集団内の前記CD3-CD56+細胞は、さらにCD16-であるCD3
-CD56+細胞を含む。ある特定の実施形態では、前記ILC3細胞集団内の前記CD
3-CD56+細胞は、さらにIL1R1+であるCD3-CD56+細胞を含む。ある
特定の実施形態では、前記ILC3細胞集団内の前記CD3-CD56+細胞は、さらに
CD94-であるCD3-CD56+細胞を含む。ある特定の実施形態では、前記ILC
3細胞集団内の前記CD3-CD56+細胞は、さらにRORγt+であるCD3-CD
56+細胞を含む。ある特定の実施形態では、前記ILC3細胞集団内の前記CD3-C
D56+細胞は、さらにCD11a-であるCD3-CD56+細胞を含む。ある特定の
実施形態では、前記ILC3細胞集団内の前記CD3-CD56+細胞は、さらにT-b
et+であるCD3-CD56+細胞を含む。
【0316】
一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造されるILC3細胞集団は、C
D117+である細胞を含む。一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造さ
れるILC3細胞集団は、NKG2D-である細胞を含む。一実施形態では、本明細書に
記載の3段階法により製造されるILC3細胞集団は、NKp30-である細胞を含む。
一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造されるILC3細胞集団は、CD
244+である細胞を含む。一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造され
るILC3細胞集団は、DNAM-1+である細胞を含む。一実施形態では、本明細書に
記載の3段階法により製造されるILC3細胞集団は、AHRを発現する細胞を含む。一
実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造されるILC3細胞集団は、パーフ
ォリンを発現しない細胞を含む。一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造
されるILC3細胞集団は、EOMESを発現しない細胞を含む。一実施形態では、本明
細書に記載の3段階法により製造されるILC3細胞集団は、グランザイムBを発現しな
い細胞を含む。一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造されるILC3細
胞集団は、IL-22および/またはIL-8を分泌する細胞を含む。
【0317】
ある特定の態様では、本明細書に記載の3段階法により製造される細胞集団は、CD1
1a+細胞およびCD11a-細胞を、50:1、40:1、30:1、20:1、10
:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1
:10、1:20、1:30、1:40、または1:50の比で含む。ある特定の態様で
は、本明細書に記載の細胞集団は、CD11a+細胞およびCD11a-細胞を50:1
の比で含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞集団は、CD11a+細胞およ
びCD11a-細胞を20:1の比で含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞
集団は、CD11a+細胞およびCD11a-細胞を10:1の比で含む。ある特定の態
様では、本明細書に記載の細胞集団は、CD11a+細胞およびCD11a-細胞を5:
1の比で含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞集団は、CD11a+細胞お
よびCD11a-細胞を1:1の比で含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞
集団は、CD11a+細胞およびCD11a-細胞を1:5の比で含む。ある特定の態様
では、本明細書に記載の細胞集団は、CD11a+細胞およびCD11a-細胞を1:1
0の比で含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞集団は、CD11a+細胞お
よびCD11a-細胞を1:20の比で含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細
胞集団は、CD11a+細胞およびCD11a-細胞を1:50の比で含む。
【0318】
ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞集団は、CD11a+細胞とCD11a-
細胞を50:1、40:1、30:1、20:1、10:1、5:1、4:1、3:1、
2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:20、1:30、1
:40、または1:50の比で合わせて細胞の混合集団を製造することにより、製造され
る。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞の混合集団は、50:1の比で合わせら
れたCD11a+細胞およびCD11a-細胞を含む。ある特定の態様では、本明細書に
記載の細胞の混合集団は、20:1の比で合わせられたCD11a+細胞およびCD11
a-細胞を含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞の混合集団は、10:1の
比で合わせられたCD11a+細胞およびCD11a-細胞を含む。ある特定の態様では
、本明細書に記載の細胞の混合集団は、5:1の比で合わせられたCD11a+細胞およ
びCD11a-細胞を含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞の混合集団は、
1:1の比で合わせられたCD11a+細胞およびCD11a-細胞を含む。ある特定の
態様では、本明細書に記載の細胞の混合集団は、1:5の比で合わせられたCD11a+
細胞およびCD11a-細胞を含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞の混合
集団は、1:10の比で合わせられたCD11a+細胞およびCD11a-細胞を含む。
ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞の混合集団は、1:20の比で合わせられた
CD11a+細胞およびCD11a-細胞を含む。ある特定の態様では、本明細書に記載
の細胞の混合集団は、1:50の比で合わせられたCD11a+細胞およびCD11a-
細胞を含む。
【0319】
ある特定の態様では、本明細書に記載の3段階法により製造される細胞集団は、NK細
胞およびILC3細胞を50:1、40:1、30:1、20:1、10:1、5:1、
4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:2
0、1:30、1:40、または1:50の比で含む。ある特定の態様では、本明細書に
記載の細胞集団は、NK細胞およびILC3細胞を50:1の比で含む。ある特定の態様
では、本明細書に記載の細胞集団は、NK細胞およびILC3細胞を20:1の比で含む
。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞集団は、NK細胞およびILC3細胞を1
0:1の比で含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞集団は、NK細胞および
ILC3細胞を5:1の比で含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞集団は、
NK細胞およびILC3細胞を1:1の比で含む。ある特定の態様では、本明細書に記載
の細胞集団は、NK細胞およびILC3細胞を1:5の比で含む。ある特定の態様では、
本明細書に記載の細胞集団は、NK細胞およびILC3細胞を1:10の比で含む。ある
特定の態様では、本明細書に記載の細胞集団は、NK細胞およびILC3細胞を1:20
の比で含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞集団は、NK細胞およびILC
3細胞を1:50の比で含む。
【0320】
ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞集団は、NK細胞とILC3細胞を50:
1、40:1、30:1、20:1、10:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:
1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:20、1:30、1:40、また
は1:50の比で合わせて細胞の混合集団を製造することにより、製造される。ある特定
の態様では、本明細書に記載の細胞の混合集団は、50:1の比で合わせられたNK細胞
およびILC3細胞を含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞の混合集団は、
20:1の比で合わせられたNK細胞およびILC3細胞を含む。ある特定の態様では、
本明細書に記載の細胞の混合集団は、10:1の比で合わせられたNK細胞およびILC
3細胞を含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞の混合集団は、5:1の比で
合わせられたNK細胞およびILC3細胞を含む。ある特定の態様では、本明細書に記載
の細胞の混合集団は、1:1の比で合わせられたNK細胞およびILC3細胞を含む。あ
る特定の態様では、本明細書に記載の細胞の混合集団は、1:5の比で合わせられたNK
細胞およびILC3細胞を含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞の混合集団
は、1:10の比で合わせられたNK細胞およびILC3細胞を含む。ある特定の態様で
は、本明細書に記載の細胞の混合集団は、1:20の比で合わせられたNK細胞およびI
LC3細胞を含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞の混合集団は、1:50
の比で合わせられたNK細胞およびILC3細胞を含む。
【0321】
5.8.胎盤潅流液との組合せでのNK細胞および/またはILC3細胞
本明細書に記載の3段階法によるNK細胞および/またはILC3細胞を胎盤潅流液、
胎盤潅流液細胞および/または接着胎盤細胞との組合せで含む組成物であって、例えば、
1個の腫瘍細胞または複数の腫瘍細胞の増殖の抑制に使用するための組成物が本明細書で
さらに提供される。
【0322】
5.8.1.NK細胞および/またはILC3細胞と潅流液または潅流液細胞との組合せ
本明細書に記載の3段階法に従って製造されたNK細胞および/またはILC3細胞集
団と胎盤潅流液および/または胎盤潅流液細胞との組合せを含む組成物が本明細書でさら
に提供される。一実施形態では、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたN
K細胞および/またはILC3細胞が補充された、ある容量の胎盤潅流液が本明細書で提
供される。NK細胞および/またはILC3細胞が補充された、ある容量の胎盤潅流液に
ついての特定の実施形態では、NK細胞およびILC3細胞は、本明細書に記載されてい
るような比で存在する。具体的な実施形態では、例えば、胎盤潅流液各1ミリリットルに
、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/またはILC3細胞約1
×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107
、5×107、1×108、5×108個以上が補充される。別の実施形態では、胎盤潅
流液細胞に、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/またはILC
3細胞が補充される。ある特定の実施形態では、胎盤潅流液細胞が、本明細書に記載の方
法を使用して製造されたNK細胞および/またはILC3細胞と合わせられた場合、胎盤
潅流液細胞は、一般に、細胞の総数の約50%、45%、40%、35%、30%、25
%、20%、15%、10%、8%、6%、4%、2%もしくは1%、約前記%超、また
は約前記%未満を構成する。ある特定の他の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用
して製造されたNK細胞および/またはILC3細胞が、複数の胎盤潅流液細胞および/
または混合ナチュラルキラー細胞と合わせられた場合、NK細胞および/もしくはILC
3細胞、またはNK細胞集団は、一般に、細胞の総数の約50%、45%、40%、35
%、30%、25%、20%、15%、10%、8%、6%、4%、2%もしくは1%、
約前記%超、または約前記%未満を構成する。ある特定の他の実施形態では、本明細書に
記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/またはILC3細胞が、胎盤潅流液へ
の補充に使用される場合、細胞が懸濁される溶液(例えば、生理食塩水、培養培地など)
の容量は、NK細胞および/またはILC3細胞が補充前に1ミリリットル当たり約1×
104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、
5×107、1×108、5×108個以上の細胞に懸濁された場合、細胞を加えた潅流
液の総容量の約50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、1
0%、8%、6%、4%、2%もしくは1%、約前記%超、または約前記%未満を構成す
る。
【0323】
他の実施形態では、細胞の任意の上記組合せが、今後は臍帯血、または臍帯血からの有
核細胞と合わせられる。
【0324】
2つ以上の源、例えば2つ以上の胎盤から得られ、合わせられる、例えばプールされる
、プール胎盤潅流液が本明細書でさらに提供される。そのようなプール潅流液は、各源か
らの潅流液のほぼ同容量を含んでいてもよく、または各源からの異なる容量を含んでいて
もよい。各源からの相対容量は、無作為に選択されることもあり、または例えば、1つも
しくは複数の細胞因子、例えばサイトカイン、増殖因子、ホルモンなどの濃度もしくは量
、各源からの潅流液中の胎盤細胞の数、または各源からの潅流液の他の特性に基づくこと
もある。同じ胎盤の複数回の潅流からの潅流液を同様にプールしてもよい。
【0325】
同様に、2つ以上の源、例えば2つ以上の胎盤から得られ、プールされる、胎盤潅流液
細胞、および胎盤由来の中間ナチュラルキラー細胞が本明細書で提供される。そのような
プール細胞は、2つ以上の源からのほぼ同数の細胞を含んでいてもよく、またはプール源
の1つもしくは複数からの異なる数の細胞を含んでいてもよい。各源からの細胞の相対数
は、例えば、プールされることになる細胞中の1つまたは複数の特異的細胞型の数、例え
ば、CD34+細胞などの数に基づいて、選択することができる。
【0326】
例えば、NK細胞および/もしくはILC3細胞またはNK細胞および/もしくはIL
C3細胞集団の所定数あるいは潅流液の所定容量から予想される腫瘍抑制(すなわち能力
)の程度または量を決定するためにアッセイされた、本明細書に記載の方法を使用して製
造されるNK細胞および/またはILC3細胞、ならびにそのような細胞と胎盤潅流液お
よび/または胎盤潅流液細胞の組合せが本明細書でさらに提供される。例えば、あるアリ
コートまたは試料番号の細胞を、別の方法では腫瘍細胞が増殖することになる条件下で、
既知数の腫瘍細胞と接触または近接させ、ある期間(例えば、1、2、3、4、5、6、
7、8、9または10週間以上)にわたって、胎盤潅流液、潅流液細胞、胎盤ナチュラル
キラー細胞、またはそれらの組合せの存在下での腫瘍細胞の増殖速度を、潅流液、潅流液
細胞、胎盤ナチュラルキラー細胞、またはそれらの組合せの非存在下での同数の腫瘍細胞
の増殖と比較する。細胞の能力は、例えば、腫瘍細胞成長を、例えば約10%、15%、
20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%など、抑制するために必要と
される細胞数または溶液の容量として表すことができる。
【0327】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されるNK細胞および
/またはILC3細胞は、医薬品グレードの投与可能な単位として提供される。そのよう
な単位を個別の容量、例えば、15mL、20mL、25mL、30nL、35mL、4
0mL、45mL、50mL、55mL、60mL、65mL、70mL、75mL、8
0mL、85mL、90mL、95mL、100mL、150mL、200mL、250
mL、300mL、350mL、400mL、450mL、500mLなどで提供するこ
とができる。そのような単位を、指定数の細胞、例えば、他のNK細胞および/もしくは
ILC3細胞または潅流液細胞との組合せでNK細胞および/もしくはILC3細胞また
はNK細胞および/またILC3細胞集団、例えば、1ミリリットル当たり1×104、
5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×10
7、1×108、5×108個以上の細胞、または1単位当たり1×104、5×104
、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×1
08、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×101
1個以上の細胞を含有するように、提供することができる。具体的な実施形態では、単位
は、1ミリリットル当たり約、少なくとも約、または最大で約1×104、5×104、
1×105、5×105、1×106、5×106個以上のNK細胞、または1単位当た
り1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×1
07、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、
5×1010、1×1011個以上の細胞を含むことができる。そのような単位を、指定
数のNK細胞および/もしくはILC3細胞、またはNK細胞および/もしくはILC3
細胞集団、ならびに/または他の任意の細胞を含有するように提供することができる。
【0328】
上記実施形態では、NK細胞および/もしくはILC3細胞、またはNK細胞および/
もしくはILC3細胞集団、あるいはNK細胞および/もしくはILC3細胞と、または
NK細胞および/もしくはILC3細胞集団と、他のNK細胞および/もしくはILC3
細胞、潅流液細胞または潅流液との組合せは、レシピエントにとって自家である(すなわ
ち、レシピエントから得られる)こともあり、またはレシピエントにとって同種異形であ
る(すなわち、前記レシピエントとは別の少なくとも1個体から得られる)こともある。
【0329】
ある特定の実施形態では、細胞の各単位は、容量、細胞数、細胞型、その単位が特定の
細胞型について富化されているかどうか、および/または単位内の所定の細胞数もしくは
単位の所定のミリリットル数についての能力、すなわち、その単位内の細胞が、腫瘍細胞
の特定の型(単数もしくは複数)の増殖の測定可能な抑制を引き起こすかどうか、のうち
の1つまたは複数を特定するために、標識される。
【0330】
5.8.2.NK細胞および/またはILC3細胞と接着胎盤幹細胞との組合せ
他の実施形態では、単独での、または胎盤潅流液もしくは胎盤潅流液細胞との組合せで
の、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/またはILC3細胞、
例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞および/またはILC
3細胞集団に、単離された接着胎盤細胞、例えば、ハリリ(Hariri)、(特許文献
7)および(特許文献14)に、ならびに(特許文献15)に例えば記載されているよう
な胎盤幹細胞および胎盤複能性細胞が補充され、前記特許文献の開示はそれら全体が参照
により本明細書に組み入れられている。NK細胞およびILC3細胞である具体的な実施
形態では、NK細胞およびILC3細胞は、本明細書に記載されているような比で存在す
る。「接着胎盤細胞」は、細胞が組織培養面、例えば、組織培養プラスチックに接着して
いることを意味する。本明細書で開示される組成物および方法において有用な接着胎盤細
胞は、一般に、栄養芽細胞でも、胚性生殖細胞でも、胚性幹細胞でもない。
【0331】
単独での、または胎盤潅流液もしくは胎盤潅流液細胞との組合せでの、本明細書に記載
の方法を使用して製造されるNK細胞および/またはILC3細胞、例えば、NK細胞お
よび/またはILC3細胞集団に、例えば、1ミリリットル当たり1×104、5×10
4、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×
108、5×108個以上の接着胎盤細胞、または1×104、5×104、1×105
、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×1
08、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011個以上の接
着胎盤細胞を補充することができる。組合せでの接着胎盤細胞は、例えば、培養された接
着胎盤細胞であって、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、
16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38または40
集団倍加の間、またはそれ以上、培養された接着胎盤細胞であり得る。
【0332】
単離された接着胎盤細胞は、一次培養で培養されたとき、または細胞培養で増幅された
とき、組織培養基材、例えば、組織培養コンテナ表面(例えば、組織培養プラスチック)
に接着する。培養液中の接着胎盤細胞は、中心細胞体から延びる多数の細胞質突起を有す
る、おおむね線維芽細胞様の星状の外観と考えられている。しかし、接着胎盤細胞は、同
じ条件下で培養された線維芽細胞と形態学的に区別可能である。接着胎盤細胞は、線維芽
細胞より多数のそのような突起を示すからである。形態学的に、接着胎盤細胞は、培養液
中でより丸みを帯びている、または玉石の形態を一般とる造血幹細胞とも区別可能である
。
【0333】
本明細書で提供される組成物および方法において有用な、単離された接着胎盤細胞、お
よび接着胎盤細胞集団は、接着胎盤細胞を含む細胞または細胞集団を同定および/または
単離するために使用することができる複数のマーカーを発現する。本明細書で提供される
組成物および方法において有用な接着胎盤細胞および接着胎盤細胞集団は、胎盤から直接
得られる接着胎盤細胞および接着胎盤細胞含有細胞集団、またはそれらの任意の部分(例
えば、羊膜、絨毛膜、羊膜・絨毛膜板、胎盤絨毛叢、臍帯など)を含む。接着胎盤幹細胞
集団は、一実施形態では、培養液中の接着胎盤幹細胞集団(すなわち、2つ以上の前記細
胞)、例えば、コンテナ、例えばバッグ内の集団である。
【0334】
接着胎盤細胞は、一般に、マーカーCD73、CD105およびCD200、および/
またはOCT-4を発現し、CD34も、CD38も、CD45も発現しない。接着胎盤
幹細胞は、HLA-ABC(MHC-1)およびHLA-DRも発現することができる。
これらのマーカーは、接着胎盤細胞を同定するために、および接着胎盤細胞を他の細胞型
と区別するために、使用することができる。接着胎盤細胞は、CD73およびCD105
を発現することができるので、間葉系幹細胞様特性を有することができる。CD34、C
D38および/またはCD45の発現の欠如により、接着胎盤幹細胞は非造血幹細胞とし
て同定される。
【0335】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単離された接着胎盤細胞は、がん細胞増殖
または腫瘍成長を検出可能に抑制する。
【0336】
ある特定の実施形態では、単離された接着胎盤細胞は、単離された胎盤幹細胞である。
ある特定の他の実施形態では、単離された接着胎盤細胞は、単離された胎盤複能性細胞で
ある。具体的な実施形態では、単離された接着胎盤細胞は、フローサイトメトリーにより
検出されるようにCD34-、CD10+およびCD105+である。より具体的な実施
形態では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+接着胎盤細胞は、胎盤幹細
胞である。別のより具体的な実施形態では、単離されたCD34-、CD10+、CD1
05+胎盤細胞は、複能性接着胎盤幹細胞である。別の具体的な実施形態では、単離され
たCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞は、神経表現型の細胞、骨形成表現型
の細胞、または軟骨形成表現型の細胞に分化する可能性を有する。より具体的な実施形態
では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+接着胎盤細胞は、さらにCD2
00+である。別のより具体的な実施形態では、単離されたCD34-、CD10+、C
D105+接着胎盤細胞は、フローサイトメトリーにより検出されるように、さらにCD
90+またはCD45-である。別のより具体的な実施形態では、単離されたCD34-
、CD10+、CD105+接着胎盤細胞は、フローサイトメトリーにより検出されるよ
うに、さらにCD90+またはCD45-である。より具体的な実施形態では、CD34
-、CD10+、CD105+、CD200+接着胎盤細胞は、フローサイトメトリーに
より検出されるように、さらにCD90+またはCD45-である。別のより具体的な実
施形態では、CD34-、CD10+、CD105+、CD200+接着胎盤細胞は、フ
ローサイトメトリーにより検出されるように、さらにCD90+およびCD45-である
。別のより具体的な実施形態では、CD34-、CD10+、CD105+、CD200
+、CD90+、CD45-接着胎盤細胞は、フローサイトメトリーにより検出されるよ
うに、さらにCD80-およびCD86-である。
【0337】
一実施形態では、単離された接着胎盤細胞は、CD200+、HLA-G+である。具
体的な実施形態では、前記単離された接着胎盤細胞は、CD73+およびCD105+で
もある。別の具体的な実施形態では、前記単離された接着胎盤細胞は、CD34-、CD
38-またはCD45-でもある。より具体的な実施形態では、前記単離された接着胎盤
細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+およびCD105+でもある
。別の実施形態では、前記単離された接着胎盤細胞は、胚様体様体の形成を可能ならしめ
る条件下で培養されたとき、1つまたは複数の胚様体様体を産生する。
【0338】
別の実施形態では、単離された接着胎盤細胞は、CD73+、CD105+、CD20
0+である。前記集団の具体的な実施形態では、前記単離された接着胎盤細胞は、HLA
-G+でもある。別の具体的な実施形態では、前記単離された接着胎盤細胞は、CD34
-、CD38-またはCD45-でもある。別の具体的な実施形態では、前記単離された
接着胎盤細胞は、CD34-、CD38-およびCD45-でもある。より具体的な実施
形態では、前記単離された接着胎盤細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、およ
びHLA-G+でもある。別の具体的な実施形態では、前記単離された接着胎盤細胞は、
胚様体様体の形成を可能ならしめる条件下で培養されたとき、1つまたは複数の胚様体様
体を産生する。
【0339】
別の実施形態では、単離された接着胎盤細胞は、CD200+、OCT-4+である。
具体的な実施形態では、前記単離された接着胎盤細胞は、CD73+およびCD105+
でもある。別の具体的な実施形態では、前記単離された接着胎盤細胞は、HLA-G+で
もある。別の具体的な実施形態では、前記単離された接着胎盤細胞は、CD34-、CD
38-およびCD45-でもある。より具体的な実施形態では、前記単離された接着胎盤
細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+およびHLA
-G+でもある。別の具体的な実施形態では、単離された接着胎盤細胞は、胚様体様体の
形成を可能ならしめる条件下で培養されたとき、1つまたは複数の胚様体様体も産生する
。
【0340】
別の実施形態では、単離された接着胎盤細胞は、CD73+、CD105+およびHL
A-G+である。別の具体的な実施形態では、前記単離された接着胎盤細胞は、CD34
-、CD38-またはCD45-でもある。別の具体的な実施形態では、前記単離された
接着胎盤細胞は、CD34-、CD38-およびCD45-でもある。別の具体的な実施
形態では、前記接着幹細胞は、OCT-4+でもある。別の具体的な実施形態では、前記
接着幹細胞は、CD200+でもある。より具体的な実施形態では、前記接着幹細胞は、
CD34-、CD38-、CD45-、OCT-4+およびCD200+でもある。
【0341】
別の実施形態では、単離された接着胎盤細胞は、胚様体様体の形成を可能ならしめる条
件下で1つまたは複数の胚様体様体を産生する、CD73+、CD105+幹細胞である
。具体的な実施形態では、前記単離された接着胎盤細胞は、CD34-、CD38-また
はCD45-でもある。別の具体的な実施形態では、単離された接着胎盤細胞は、CD3
4-、CD38-およびCD45-でもある。別の具体的な実施形態では、単離された接
着胎盤細胞は、OCT-4+でもある。より具体的な実施形態では、前記単離された接着
胎盤細胞は、OCT-4+、CD34-、CD38-、およびCD45-でもある。
【0342】
別の実施形態では、接着胎盤幹細胞は、OCT-4+幹細胞であり、前記接着胎盤幹細
胞は、胚様体様体の形成を可能ならしめる条件下で培養されたときに1つまたは複数の胚
様体様体を産生し、前記幹細胞は、がん細胞増殖または腫瘍成長を検出可能に抑制するも
のとして同定されたものである。
【0343】
様々な実施形態では、前記単離された接着胎盤細胞の少なくとも10%、少なくとも2
0%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少
なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%は、O
CT-4+である。上記集団の具体的な実施形態では、前記単離された接着胎盤細胞は、
CD73+およびCD105+でもある。別の具体的な実施形態では、前記単離された接
着胎盤細胞は、CD34-、CD38-またはCD45-でもある。別の具体的な実施形
態では、前記幹細胞は、CD200+である。より具体的な実施形態では、前記単離され
た接着胎盤細胞は、CD73+、CD105+、CD200+、CD34-、CD38-
およびCD45-でもある。別の具体的な実施形態では、前記単離された接着胎盤細胞は
、増幅された、例えば、少なくとも1回、少なくとも3回、少なくとも5回、少なくとも
10回、少なくとも15回、または少なくとも20回継代されたものである。
【0344】
上記実施形態のいずれかについてのより具体的な実施形態では、単離された接着胎盤細
胞は、ABC-p(胎盤特異的ABCトランスポータータンパク質;例えば、(非特許文
献5)を参照されたい)を発現する。
【0345】
別の実施形態では、単離された接着胎盤細胞CD29+、CD44+、CD73+、C
D90+、CD105+、CD200+、CD34-およびCD133-。別の実施形態
では、単離された接着胎盤細胞は、IL-6、IL-8および単球走化性タンパク質(M
CP-1)を構成的に分泌する。
【0346】
上述の単離された接着胎盤細胞の各々は、哺乳動物胎盤から直接得られたおよび単離さ
れた細胞、または培養され、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1
2、14、16、18、20、25、30回以上継代された細胞、またはこれらの組合せ
を含むことができる。上記の単離された接着胎盤細胞の腫瘍細胞抑制性の大部分のものは
、約1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×
108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×10
11個以上、少なくとも前記個数、または前記個数以下の、単離された接着胎盤細胞を含
むことができる。
【0347】
5.8.3.接着胎盤細胞条件培地を含む組成物
また、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/またはILC3細
胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞および/またはI
LC3細胞集団を含み、さらに条件培地を含む組成物であって、腫瘍抑制性であるか、ま
たはがんもしくはウイルス感染症の処置に有効である組成物の使用が本明細書で提供され
る。具体的な実施形態では、NK細胞およびILC3細胞は、本明細書に記載されている
ような比で存在する。本明細書に記載されているような接着胎盤細胞は、腫瘍細胞抑制性
、抗がん性、または抗ウイルス性である条件培地、すなわち、検出可能な腫瘍細胞抑制効
果、抗がん効果または抗ウイルス効果を有する細胞により分泌または排出された1つまた
は複数の生体分子を含む培地を製造するために使用することができる。様々な実施形態で
は、条件培地は、細胞が少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、
12、13、14日以上増殖された(すなわち、培養された)、培地を含む。他の実施形
態では、条件培地は、そのような細胞が集密度少なくとも30%、40%、50%、60
%、70%、80%、90%にまたは集密度100%まで成長した、培地を含む。そのよ
うな条件培地は、細胞の、例えば、胎盤細胞または別の種類の細胞の、別々の集団の培養
を支持するために使用することができる。別の実施形態では、本明細書で提供される条件
培地は、単離された接着胎盤細胞、例えば、単離された接着胎盤幹細胞または単離された
接着胎盤複能性細胞、および単離された接着胎盤細胞以外の細胞、例えば、非胎盤幹細胞
または複能性細胞が培養された培地を含む。
【0348】
そのような条件培地を、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/
もしくはILC3細胞のいずれかもしくは任意の組合せ、胎盤潅流液、または胎盤潅流液
細胞と合わせて、腫瘍細胞抑制性、抗がん性または抗ウイルス性である組成物を形成する
ことができる。ある特定の実施形態では、組成物は、容量で半分未満、例えば、容量で約
50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4
%、3%、2%もしくは1%、または約前記%値未満の条件培地を含む。
【0349】
したがって、一実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞お
よび/またはILC3細胞と、単離された接着胎盤細胞の培養物からの培養培地とを含む
組成物であって、前記単離された接着胎盤細胞が、(a)基材に接着し、(b)CD34
-、CD10+およびCD105+である、組成物が、腫瘍細胞の成長もしくは増殖を検
出可能に抑制するか、または抗がん性もしくは抗ウイルス性である、組成物が本明細書で
提供される。具体的な実施形態では、単離された接着胎盤細胞は、フローサイトメトリー
により検出されるようにCD34-、CD10+およびCD105+である。より具体的
な実施形態では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+接着胎盤細胞は、胎
盤幹細胞である。別のより具体的な実施形態では、単離されたCD34-、CD10+お
よびCD105+胎盤細胞は、複能性接着胎盤細胞である。別の具体的な実施形態では、
単離されたCD34-、CD10+およびCD105+胎盤細胞は、神経表現型の細胞、
骨形成表現型の細胞、または軟骨形成表現型の細胞に分化する可能性を有する。より具体
的な実施形態では、単離されたCD34-、CD10+およびCD105+接着胎盤細胞
は、さらにCD200+である。別のより具体的な実施形態では、単離されたCD34-
、CD10+およびCD105+接着胎盤細胞は、フローサイトメトリーにより検出され
るように、さらにCD90+またはCD45-である。別のより具体的な実施形態では、
単離されたCD34-、CD10+およびCD105+接着胎盤細胞は、フローサイトメ
トリーにより検出されるように、さらにCD90+またはCD45-である。より具体的
な実施形態では、CD34-、CD10+、CD105+、CD200+接着胎盤細胞は
、フローサイトメトリーにより検出されるように、さらにCD90+またはCD45-で
ある。別のより具体的な実施形態では、CD34-、CD10+、CD105+、CD2
00+接着胎盤細胞は、フローサイトメトリーにより検出されるように、さらにCD90
+およびCD45-である。別のより具体的な実施形態では、単離されたCD34-、C
D10+、CD105+、CD200+、CD90+、CD45-接着胎盤細胞は、フロ
ーサイトメトリーにより検出されるように、さらにCD80-およびCD86-である。
【0350】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/また
はILC3細胞と、単離された接着胎盤細胞の培養物からの培養培地とを含む組成物であ
って、前記単離された接着胎盤細胞が、(a)基材に接着し、(b)CD200およびH
LA-Gを発現するか、またはCD73、CD105およびCD200を発現するか、ま
たはCD200およびOCT-4を発現するか、またはCD73、CD105およびHL
A-Gを発現するか、またはCD73およびCD105を発現し、胎盤幹細胞を含む胎盤
細胞集団における1つもしくは複数の胚様体様体の形成を、前記集団が胚様体様体の形成
を可能ならしめる条件下で培養されたとき、補助する、またはOCT-4を発現し、胎盤
幹細胞を含む胎盤細胞集団における1つもしくは複数の胚様体様体の形成を、前記集団が
胚様体様体の形成を可能ならしめる条件下で培養されたとき、補助する、組成物であり、
腫瘍細胞の成長もしくは増殖を検出可能に抑制するか、または抗がん性もしくは抗ウイル
ス性である、組成物が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、組成物は、複数の
前記単離された胎盤接着細胞をさらに含む。別の具体的な実施形態では、組成物は、複数
の非胎盤細胞を含む。より具体的な実施形態では、前記非胎盤細胞は、CD34+細胞、
例えば造血前駆細胞、例えば、抹消血造血前駆細胞、臍帯血造血前駆細胞または胎盤血造
血前駆細胞を含む。非胎盤細胞は、幹細胞、例えば間葉系幹細胞、例えば、骨髄由来の間
葉系幹細胞も含むことができる。非胎盤細胞は、成熟細胞または細胞株の1つまたは複数
の型であることもできる。別の具体的な実施形態では、組成物は、抗増殖剤、例えば、抗
MIP-1αまたは抗MIP-1β抗体を含む。
【0351】
具体的な実施形態では、上記の細胞または細胞の組合せのうちの1つにより条件付けら
れた培養培地は、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、または約5:1の単離され
た接着胎盤細胞対腫瘍細胞比で複数の腫瘍細胞と共培養された複数の単離された接着胎盤
細胞から得られる。例えば、条件培養培地または上清は、約1×105個の単離された接
着胎盤細胞、約1×106個の単離された接着胎盤細胞、約1×107個の単離された接
着胎盤細胞、もしくは約1×108個の単離された接着胎盤細胞、またはそれ以上を含む
培養物から得ることができる。別の具体的な実施形態では、条件培養培地または上清は、
約1×105~約5×105個の単離された接着胎盤細胞および約1×105個の腫瘍細
胞、約1×106~約5×106個の単離された接着胎盤細胞および約1×106個の腫
瘍細胞、約1×107~約5×107個の単離された接着胎盤細胞および約1×107個
の腫瘍細胞、または約1×108~約5×108個の単離された接着胎盤細胞および約1
×108個の腫瘍細胞を含む、共培養物から得られる。
【0352】
5.9.細胞の保存
細胞、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/もしくは
ILC3細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞および
/もしくはILC3細胞集団、または造血幹細胞もしくは前駆細胞を含む胎盤潅流液細胞
を、保存することができる、すなわち、長期保管を可能ならしめる条件下、または例えば
アポトーシスもしくは壊死による、細胞死を阻害する条件下に置くことができる。
【0353】
胎盤潅流液は、細胞収集組成物を胎盤の少なくとも一部に、例えば胎盤血管系に、通す
ことによって製造することができる。細胞収集組成物は、潅流液中に含有されている細胞
を保存するように作用する1つまたは複数の化合物を含む。そのような胎盤細胞収集組成
物は、関連する(特許文献10)に記載されているような、アポトーシス阻害剤、壊死阻
害剤および/または酸素担持ペルフルオロカーボンを含むことができ、前記特許文献の開
示はその全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0354】
一実施形態では、潅流液、または胎盤細胞集団は、前記潅流液または細胞集団を、アポ
トーシス阻害剤と酸素担持ペルフルオロカーボンとを含む細胞収集組成物と近接させるこ
とにより、哺乳動物の、例えばヒトの、分娩後の胎盤から収集され、その際、前記アポト
ーシス阻害剤は、前記アポトーシス阻害剤と接触も近接もさせていない細胞集団と比較し
て胎盤細胞集団、例えば、接着胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞または胎盤複能性細胞、の
集団におけるアポトーシスを低減させるまたは防止するのに十分な量でおよび十分な時間
、存在する。例えば、胎盤を細胞収集組成物で潅流することができ、胎盤細胞、例えば、
全有核胎盤細胞が胎盤から単離される。具体的な実施形態では、アポトーシス阻害剤は、
カスパーゼ阻害剤である。別の具体的な実施形態では、前記アポトーシス阻害剤は、JN
K阻害剤である。より具体的な実施形態では、前記JNK阻害剤は、接着胎盤細胞、例え
ば、接着胎盤幹細胞または接着胎盤複能性細胞の分化も増殖も調節しない。別の実施形態
では、細胞収集組成物は、前記アポトーシス阻害剤および前記酸素担持ペルフルオロカー
ボンを別々の相に含む。別の実施形態では、細胞収集組成物は、エマルジョン中の前記ア
ポトーシス阻害剤と前記酸素担持ペルフルオロカーボンとを含む。別の実施形態では、細
胞収集組成物は、乳化剤、例えばレシチンをさらに含む。別の実施形態では、前記アポト
ーシス阻害剤および前記ペルフルオロカーボンは、胎盤細胞を細胞収集組成物と近接させ
る時点で約0℃~約25℃である。別のより具体的な実施形態では、前記アポトーシス阻
害剤および前記ペルフルオロカーボンは、胎盤細胞を細胞収集組成物と近接させる時点で
約2℃~10℃、または約2℃~5℃である。別のより具体的な実施形態では、前記近接
させることは、前記細胞の集団の輸送中に行われる。別のより具体的な実施形態では、前
記近接させることは、細胞の前記集団の凍結および融解中に行われる。
【0355】
別の実施形態では、胎盤潅流液および/または胎盤細胞を収集し、前記潅流液および/
または細胞をアポトーシス阻害剤および臓器保存用化合物と近接させることにより、保存
することができ、その際、前記アポトーシス阻害剤は、前記アポトーシス阻害剤と接触も
近接もさせていない潅流液または胎盤細胞と比較して、細胞のアポトーシスを低減させる
または防止するのに十分な量でおよび十分な時間、存在する。具体的な実施形態では、臓
器保存用化合物は、UW溶液((特許文献17)に記載されており、VIASPAN(商
標)としても公知である;(非特許文献6)も参照されたい)、またはシュテルン(St
ern)ら、(特許文献18)に記載されている溶液であり、前記参考文献の開示はそれ
ら全体が参照により本明細書に組み入れられている。別の実施形態では、前記臓器保存用
組成物は、ヒドロキシエチルデンプン、ラクトビオン酸、ラフィノース、またはそれらの
組合せである。別の実施形態では、胎盤細胞収集組成物は、酸素担持ペルフルオロカーボ
ンを2相でまたはエマルジョンとしてさらに含む。
【0356】
方法の別の実施形態では、胎盤細胞は、アポトーシス阻害剤および酸素担持ペルフルオ
ロカーボン、臓器保存用化合部またはそれらの組合せを含む細胞収集組成物と、潅流中に
近接される。別の実施形態では、胎盤細胞は、潅流による収集後に前記細胞収集化合物と
近接される。
【0357】
概して、胎盤細胞収集、富化および単離中の、低酸素に起因する細胞ストレスおよび機
械的ストレスを最小にすることまたは無くすことが好ましい。したがって、方法の別の実
施形態では、胎盤潅流液、または胎盤細胞集団は、正常血中酸素濃度未満である酸素濃度
である低酸素条件に、収集、富化または単離中、前記保存中は6時間未満曝露される。よ
り具体的な実施形態では、前記潅流液、または胎盤細胞集団は、前記保存中に2時間未満
、前記低酸素条件に曝露される。別のより具体的な実施形態では、前記胎盤細胞集団は、
収集、富化もしくは単離中、1時間未満、もしくは30分未満、前記低酸素条件に曝露さ
れるか、または低酸素条件に曝露されない。別の具体的な実施形態では、前記胎盤細胞の
集団は、収集、富化または単離中、剪断ストレスに曝露されない。
【0358】
細胞、例えば、胎盤潅流液細胞、造血細胞、例えばCD34+造血幹細胞、本明細書に
記載の方法を使用して産生されたNK細胞および/またはILC3細胞、本明細書で提供
される単離された接着胎盤細胞を、例えば、小型コンテナ、例えばアンプルまたはセプタ
ムバイアル、内の凍結保存媒体中で、凍結保存することができる。ある特定の実施形態で
は、本明細書で提供される細胞は、1mL当たり細胞約1×104~5×108個の濃度
で凍結保存される。具体的な実施形態では、本明細書で提供される細胞は、1mL当たり
細胞約1×106~1.5×107個の濃度で凍結保存される。より具体的な実施形態で
は、本明細書で提供される細胞は、1mL当たり細胞約1×104、5×104、1×1
05、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107個の濃度で凍結保
存される。
【0359】
好適な凍結保存媒体としては、生理食塩水、培養培地(例えば、成長培地を含む)、ま
たは細胞凍結培地、例えば、市販の細胞凍結培地、例えば、C2695、C2639もし
くはC6039(Sigma);CryoStor(登録商標)CS2、CryoSto
r(登録商標)CS5またはCryoStor(登録商標)CS10(BioLife
Solutions)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、凍結保
存媒体は、DMSO(ジメチルスルホキシド)を、例えば、約1、2、3、4、5、6、
7、8、9または10%(v/v)の濃度で含む。凍結保存媒体は、さらなる薬剤、例え
ば、メチルセルロース、デキストラン、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、ト
レハロースおよび/またはグリセロールを含むこともある。ある特定の実施形態では、凍
結保存媒体は、約1%~10%DMSO、約25%~75%デキストランおよび/または
約20~60%ヒト血清アルブミン(HSA)を含む。ある特定の実施形態では、凍結保
存媒体は、約1%~10%DMSO、約25%~75%トレハロースおよび/または約2
0~60%ヒトHSAを含む。具体的な実施形態では、凍結保存媒体は、5%DMSO、
55%デキストランおよび40%HSAを含む。より具体的な実施形態では、凍結保存媒
体は、5%DMSO、55%デキストラン(生理食塩水中10% w/v)および40%
HSAを含む。別の具体的な実施形態では、凍結保存媒体は、5%DMSO、55%トレ
ハロースおよび40%HSAを含む。より具体的な実施形態では、凍結保存媒体は、5%
DMSO、55%トレハロース(生理食塩水中10% w/v)および40%HSAを含
む。別の具体的な実施形態では、凍結保存媒体は、CryoStor(登録商標)CS5
を含む。別の具体的な実施形態では、凍結保存媒体は、CryoStor(登録商標)C
S10を含む。
【0360】
本明細書で提供される細胞を、様々な方法のいずれによって、および細胞培養、増幅ま
たは分化のいずれの段階で、凍結保存してもよい。例えば、本明細書で提供される細胞を
、起源組織もしくは臓器、例えば胎盤潅流液もしくは臍帯血、からの単離直後に凍結保存
してもよく、または上で概要を述べた方法の第1、第2もしくは第3ステップ中もしくは
後に凍結保存してもよい。ある特定の実施形態では、造血細胞、例えば、造血幹細胞また
は前駆細胞は、起源組織または臓器からの単離後、約1、5、10、15、20、30、
45分以内または約1、2、4、6、10、12、18、20または24時間以内に凍結
保存される。ある特定の実施形態では、前記細胞は、起源組織または臓器からの単離後、
1、2または3日以内に凍結保存される。ある特定の実施形態では、前記細胞は、約1、
2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、
18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28日間、上記の
第1の培地中で培養された後、凍結保存される。一部の実施形態では、前記細胞は、約1
、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17
、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28日間、上記
の第1の培地中で、および約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、
13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、2
6、27または28日間、第2の培地中で上記の通り培養された後、凍結保存される。一
部の実施形態では、NK細胞が、本明細書に記載の3段階法を使用して製造される場合、
前記細胞は、第1の培地中で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12
、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24もしくは
25日間培養された後、および/または第2の培地中で約1、2、3、4、5、6、7、
8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、
22、23、24もしくは25日間培養された後、および/または第3の培地中で約1、
2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、
18、19、20、21、22、23、24もしくは25日間培養された後、凍結保存さ
れる。具体的な実施形態では、NK細胞および/またはILC3細胞は、本明細書に記載
の3段階法を使用して製造され、前記細胞は、第1の培地中で10日間培養された後、第
2の培地中で4日間培養された後、および第3の培地中で21日間培養された後、凍結保
存される。
【0361】
一態様では、NK細胞および/またはILC3細胞集団、例えば本明細書に記載の3段
階法により製造されたNK細胞および/またはILC3細胞、の集団を凍結保存する方法
が本明細書で提供される。一実施形態では、前記方法は、幹細胞動員剤およびトロンボポ
エチン(Tpo)を含む第1の培地中で造血幹細胞または前駆細胞、例えば、CD34+
造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ、その後、
幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている第
2の培地中で、細胞の前記第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ
、およびその後、IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠い
ている第3の培地中で細胞の前記第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するス
テップであって、細胞の前記第3の集団がCD56+、CD3-、CD16-またはCD
16+、およびCD94+またはCD94-であるナチュラルキラー細胞を含み、前記ナ
チュラルキラー細胞の少なくとも70%または少なくとも80%が生存している、ステッ
プ、そして次に、前記NK細胞を凍結保存媒体中で凍結保存するステップを含む。ある特
定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(
LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)
を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α、お
よびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施
形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いて
おり、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α、およびFlt3Lを欠いている。ある
特定の実施形態では、第1の培地も、第2の培地も、第3の培地も、ヘパリン、例えば低
分子量ヘパリンを含まない。具体的な実施形態では、前記凍結保存ステップは、(1)細
胞懸濁溶液を調製するステップ、(2)凍結保存媒体をステップ(1)からの細胞懸濁溶
液に添加して、凍結保存細胞懸濁液を得るステップ、(3)ステップ(3)からの凍結保
存細胞懸濁液を冷却して凍結保存試料を得るステップ、および(4)前記凍結保存試料を
-80℃未満で保管するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、前記方法は、
中間ステップを一切含まない。
【0362】
一実施形態では、前記方法は、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)
を含む第1の培地中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造す
るステップ、(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、T
poを欠いている第2の培地中で、細胞の前記第1の集団を培養して、細胞の第2の集団
を製造するステップ、ならびに(c)IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠い
ている第3の培地中で細胞の前記第2の集団を培養して、CD56+、CD3-およびC
D11a+であるナチュラルキラー細胞を含む細胞の第3の集団を製造するステップ、そ
して次に、前記NK細胞を凍結保存媒体中で凍結保存するステップを含む。ある特定の実
施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF
)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠い
ている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α、およびF
MS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形態で
は、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、
前記第3の培地は、LIF、MIP-1α、およびFlt3Lを欠いている。ある特定の
実施形態では、第1の培地も、第2の培地も、第3の培地も、ヘパリン、例えば低分子量
ヘパリンを含まない。具体的な実施形態では、前記凍結保存ステップは、(1)細胞懸濁
溶液を調製するステップ、(2)凍結保存媒体をステップ(1)からの細胞懸濁溶液に添
加して、凍結保存細胞懸濁液を得るステップ、(3)ステップ(3)からの凍結保存細胞
懸濁液を冷却して凍結保存試料を得るステップ、および(4)前記凍結保存試料を-80
℃未満で保管するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、前記方法は、中間ス
テップを一切含まない。
【0363】
一実施形態では、前記方法は、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)
を含む第1の培地中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造す
るステップ、(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、T
poを欠いている第2の培地中で、細胞の前記第1の集団を培養して、細胞の第2の集団
を製造するステップ、ならびに(c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞因子(S
CF)およびLMWHのそれぞれを欠いている第3の培地中で細胞の前記第2の集団を培
養して、CD56+、CD3-およびCD11a+であるナチュラルキラー細胞を含む細
胞の第3の集団を製造するステップ、そして次に、前記NK細胞を凍結保存媒体中で凍結
保存するステップを含む。ある特定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記
第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク
質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培
地は、LIF、MIP-1α、およびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3
L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、L
IFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α、およ
びFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第1の培地も、第2の培地も、第
3の培地も、ヘパリン、例えば低分子量ヘパリンを含まない。具体的な実施形態では、前
記凍結保存ステップは、(1)細胞懸濁溶液を調製するステップ、(2)凍結保存媒体を
ステップ(1)からの細胞懸濁溶液に添加して、凍結保存細胞懸濁液を得るステップ、(
3)ステップ(3)からの凍結保存細胞懸濁液を冷却して凍結保存試料を得るステップ、
および(4)前記凍結保存試料を-80℃未満で保管するステップをさらに含む。ある特
定の実施形態では、前記方法は、中間ステップを一切含まない。
【0364】
一実施形態では、前記方法は、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)
を含む第1の培地中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造す
るステップ、(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、T
poを欠いている第2の培地中で、細胞の前記第1の集団を培養して、細胞の第2の集団
を製造するステップ、ならびに(c)IL-2およびIL-15を含み、SCF、幹細胞
動員剤およびLMWHのそれぞれを欠いている第3の培地中で細胞の前記第2の集団を培
養して、CD56+、CD3-およびCD11a+であるナチュラルキラー細胞を含む細
胞の第3の集団を製造するステップ、そして次に、前記NK細胞を凍結保存媒体中で凍結
保存するステップを含む。ある特定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記
第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク
質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培
地は、LIF、MIP-1α、およびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3
L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、L
IFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α、およ
びFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第1の培地も、第2の培地も、第
3の培地も、ヘパリン、例えば低分子量ヘパリンを含まない。具体的な実施形態では、前
記凍結保存ステップは、(1)細胞懸濁溶液を調製するステップ、(2)凍結保存媒体を
ステップ(1)からの細胞懸濁溶液に添加して、凍結保存細胞懸濁液を得るステップ、(
3)ステップ(3)からの凍結保存細胞懸濁液を冷却して凍結保存試料を得るステップ、
および(4)前記凍結保存試料を-80℃未満で保管するステップをさらに含む。ある特
定の実施形態では、前記方法は、中間ステップを一切含まない。
【0365】
一実施形態では、前記方法は、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)
を含む第1の培地中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造す
るステップ、(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、T
poを欠いている第2の培地中で、細胞の前記第1の集団を培養して、細胞の第2の集団
を製造するステップ、(c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLM
WHのそれぞれを欠いている第3の培地中で細胞の前記第2の集団を培養して、細胞の第
3の集団を製造するステップ、ならびに(d)細胞の前記第3の集団からCD11a+細
胞を単離して、CD56+、CD3-およびCD11a+であるナチュラルキラー細胞を
含む細胞の第4の集団を製造するステップ、そして次に、前記NK細胞を凍結保存媒体中
で凍結保存するステップを含む。ある特定の実施形態では、前記第1の培地および/また
は前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タ
ンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第
3の培地は、LIF、MIP-1α、およびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Fl
t-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地
は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α
、およびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第1の培地も、第2の培地
も、第3の培地も、ヘパリン、例えば低分子量ヘパリンを含まない。具体的な実施形態で
は、前記凍結保存ステップは、(1)細胞懸濁溶液を調製するステップ、(2)凍結保存
媒体をステップ(1)からの細胞懸濁溶液に添加して、凍結保存細胞懸濁液を得るステッ
プ、(3)ステップ(3)からの凍結保存細胞懸濁液を冷却して凍結保存試料を得るステ
ップ、および(4)前記凍結保存試料を-80℃未満で保管するステップをさらに含む。
ある特定の実施形態では、前記方法は、中間ステップを一切含まない。
【0366】
一実施形態では、前記方法は、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)
を含む第1の培地中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造す
るステップ、(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、T
poを欠いている第2の培地中で、細胞の前記第1の集団を培養して、細胞の第2の集団
を製造するステップ、ならびに(c)IL-2およびIL-15を含み、LMWHを欠い
ている第3の培地中で細胞の前記第2の集団を培養して、CD56+、CD3-およびC
D11a-であるILC3細胞を含む細胞の第3の集団を製造するステップ、そして次に
、前記ILC3細胞を凍結保存媒体中で凍結保存するステップを含む。ある特定の実施形
態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)お
よび/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いてい
る。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α、およびFMS
様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、
前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記
第3の培地は、LIF、MIP-1α、およびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施
形態では、第1の培地も、第2の培地も、第3の培地も、ヘパリン、例えば低分子量ヘパ
リンを含まない。具体的な実施形態では、前記凍結保存ステップは、(1)細胞懸濁溶液
を調製するステップ、(2)凍結保存媒体をステップ(1)からの細胞懸濁溶液に添加し
て、凍結保存細胞懸濁液を得るステップ、(3)ステップ(3)からの凍結保存細胞懸濁
液を冷却して凍結保存試料を得るステップ、および(4)前記凍結保存試料を-80℃未
満で保管するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、前記方法は、中間ステッ
プを一切含まない。
【0367】
一実施形態では、前記方法は、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)
を含む第1の培地中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造す
るステップ、(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、T
poを欠いている第2の培地中で、細胞の前記第1の集団を培養して、細胞の第2の集団
を製造するステップ、ならびに(c)幹細胞動員剤、IL-2およびIL-15を含み、
LMWHを欠いている第3の培地中で細胞の前記第2の集団を培養して、CD56+、C
D3-およびCD11a-であるILC3細胞を含む細胞の第3の集団を製造するステッ
プ、そして次に、前記ILC3細胞を凍結保存媒体中で凍結保存するステップを含む。あ
る特定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因
子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1
α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α
、およびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な
実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠
いており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α、およびFlt3Lを欠いている。
ある特定の実施形態では、第1の培地も、第2の培地も、第3の培地も、ヘパリン、例え
ば低分子量ヘパリンを含まない。具体的な実施形態では、前記凍結保存ステップは、(1
)細胞懸濁溶液を調製するステップ、(2)凍結保存媒体をステップ(1)からの細胞懸
濁溶液に添加して、凍結保存細胞懸濁液を得るステップ、(3)ステップ(3)からの凍
結保存細胞懸濁液を冷却して凍結保存試料を得るステップ、および(4)前記凍結保存試
料を-80℃未満で保管するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、前記方法
は、中間ステップを一切含まない。
【0368】
一実施形態では、前記方法は、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)
を含む第1の培地中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造す
るステップ、(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、T
poを欠いている第2の培地中で、細胞の前記第1の集団を培養して、細胞の第2の集団
を製造するステップ、ならびに(c)SCF、IL-2およびIL-15を含み、LMW
Hを欠いている第3の培地中で細胞の前記第2の集団を培養して、CD56+、CD3-
およびCD11a-であるILC3細胞を含む細胞の第3の集団を製造するステップ、そ
して次に、前記ILC3細胞を凍結保存媒体中で凍結保存するステップを含む。ある特定
の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(L
IF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を
欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α、およ
びFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形
態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いてお
り、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α、およびFlt3Lを欠いている。ある特
定の実施形態では、第1の培地も、第2の培地も、第3の培地も、ヘパリン、例えば低分
子量ヘパリンを含まない。具体的な実施形態では、前記凍結保存ステップは、(1)細胞
懸濁溶液を調製するステップ、(2)凍結保存媒体をステップ(1)からの細胞懸濁溶液
に添加して、凍結保存細胞懸濁液を得るステップ、(3)ステップ(3)からの凍結保存
細胞懸濁液を冷却して凍結保存試料を得るステップ、および(4)前記凍結保存試料を-
80℃未満で保管するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、前記方法は、中
間ステップを一切含まない。
【0369】
一実施形態では、前記方法は、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)
を含む第1の培地中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造す
るステップ、(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、T
poを欠いている第2の培地中で、細胞の前記第1の集団を培養して、細胞の第2の集団
を製造するステップ、ならびに(c)幹細胞動員剤、SCF、IL-2およびIL-15
を含み、LMWHを欠いている第3の培地中で細胞の前記第2の集団を培養して、CD5
6+、CD3-およびCD11a-であるILC3細胞を含む細胞の第3の集団を製造す
るステップ、そして次に、前記ILC3細胞を凍結保存媒体中で凍結保存するステップを
含む。ある特定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血
病抑制因子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(M
IP-1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MI
P-1α、およびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。
具体的な実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-
1αを欠いており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α、およびFlt3Lを欠い
ている。ある特定の実施形態では、第1の培地も、第2の培地も、第3の培地も、ヘパリ
ン、例えば低分子量ヘパリンを含まない。具体的な実施形態では、前記凍結保存ステップ
は、(1)細胞懸濁溶液を調製するステップ、(2)凍結保存媒体をステップ(1)から
の細胞懸濁溶液に添加して、凍結保存細胞懸濁液を得るステップ、(3)ステップ(3)
からの凍結保存細胞懸濁液を冷却して凍結保存試料を得るステップ、および(4)前記凍
結保存試料を-80℃未満で保管するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、
前記方法は、中間ステップを一切含まない。
【0370】
一実施形態では、前記方法は、(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)
を含む第1の培地中で造血幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造す
るステップ、(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、T
poを欠いている第2の培地中で、細胞の前記第1の集団を培養して、細胞の第2の集団
を製造するステップ、(c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLM
WHのそれぞれを欠いている第3の培地中で細胞の前記第2の集団を培養して、細胞の第
3の集団を製造するステップ、ならびに(d)細胞の前記第3の集団からCD11a-細
胞を単離およびCD11a-細胞を単離して、CD56+、CD3-およびCD11a-
であるILC3細胞を含む細胞の第4の集団を製造するステップ、そして次に、前記IL
C3細胞を凍結保存媒体中で凍結保存するステップを含む。ある特定の実施形態では、前
記第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/また
はマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特
定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α、およびFMS様チロシン
キナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の
培地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地
は、LIF、MIP-1α、およびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、
第1の培地も、第2の培地も、第3の培地も、ヘパリン、例えば低分子量ヘパリンを含ま
ない。具体的な実施形態では、前記凍結保存ステップは、(1)細胞懸濁溶液を調製する
ステップ、(2)凍結保存媒体をステップ(1)からの細胞懸濁溶液に添加して、凍結保
存細胞懸濁液を得るステップ、(3)ステップ(3)からの凍結保存細胞懸濁液を冷却し
て凍結保存試料を得るステップ、および(4)前記凍結保存試料を-80℃未満で保管す
るステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、前記方法は、中間ステップを一切含
まない。
【0371】
本明細書で提供される細胞を速度制御フリーザーで、例えば、凍結保存中に約0.1、
0.3、0.5、1または2℃/分で、冷却することができる。一実施形態では、凍結保
存温度は、約-80℃~約-180℃、または約-125℃~約-140℃である。凍結
保存細胞を、使用のために融解する前に、液体窒素に移すことができる。一部の実施形態
では、例えば、アンプルが約-90℃に達したら、それらは、液体窒素保管場所に移され
る。凍結保存細胞を約25℃~約40℃の温度で融解することができ、より具体的には約
37℃の温度で融解することができる。ある特定の実施形態では、凍結保存細胞は、約1
、2、4、6、10、12、18、20もしくは24時間、または約1、2、3、4、5
、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、2
0、21、22、23、24、25、26、27もしくは28日間凍結保存された後、融
解される。ある特定の実施形態では、凍結保存細胞は、約1、2、3、4、5、6、7、
8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、
22、23、24、25、26、27または28カ月間凍結保存された後、融解される。
ある特定の実施形態では、凍結保存細胞は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9また
は10年間凍結保存された後、融解される。
【0372】
好適な融解媒体としては、生理食塩水、プラズマライト、培養培地(例えば、成長培地
、例えばRPMI培地を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施
形態では、融解媒体は、媒体補充物(medium supplement)(例えば、
栄養素、サイトカインおよび/または因子)のうちの1つまたは複数を含む。本明細書で
提供される細胞の融解に好適な媒体補充物としては、例えば、限定ではないが、血清、例
えば、ヒト血清AB、ウシ胎児血清(fetal bovine serum)(FBS
)もしくはウシ胎児血清(fetal calf serum)(FCS)、ビタミン類
、ヒト血清アルブミン(HBS)、ウシ血清アルブミン(BSA)、アミノ酸類(例えば
、L-グルタミン)、脂肪酸類(例えば、オレイン酸、リノール酸もしくはパルミチン酸
)、インスリン(例えば、組換えヒトインスリン)、トランスフェリン(鉄飽和型ヒトト
ランスフェリン)、β-メルカプトエタノール、幹細胞因子(SCF)、Fms様チロシ
ンキナーゼ3リガンド(Flt3-L)、サイトカイン類、例えば、インターロイキン2
(IL-2)、インターロイキン7(IL-7)、インターロイキン15(IL-15)
、トロンボポエチン(Tpo)またはヘパリンが挙げられる。具体的な実施形態では、本
明細書で提供される方法において有用な融解媒体は、RPMIを含む。別の具体的な実施
形態では、前記融解媒体は、プラズマライトを含む。別の具体的な実施形態では、前記融
解媒体は、約0.5~20%FBSを含む。別の具体的な実施形態では、前記融解媒体は
、約1、2、5、10、15または20%FBSを含む。別の具体的な実施形態では、前
記融解媒体は、約0.5%~20%HSAを含む。別の具体的な実施形態では、前記融解
媒体は、約1、2.5、5、10、15または20%HSAを含む。より具体的な実施形
態では、前記融解媒体は、RPMIおよび約10%FBSを含む。別のより具体的な実施
形態では、前記融解媒体は、プラズマライトおよび約5%HSAを含む。
【0373】
本明細書で提供される凍結保存方法を、長期保管を可能ならしめるように、または例え
ばアポトーシスまたは壊死による、細胞死を阻害する条件下で、最適化することができる
。一実施形態では、融解後の細胞は、例えば自動細胞計数器またはトリパンブルー法によ
り判定して、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または
98%超の生存細胞を含む。別の実施形態では、融解後の細胞は、約0.5、1、5、1
0、15、20または25%の死細胞を含む。別の実施形態では、融解後の細胞は、約0
.5、1、5、10、15、20または25%の早期アポトーシス細胞を含む。別の実施
形態では、融解後の細胞の約0.5、1、5、10、15または20%は、例えばアポト
ーシスアッセイ(例えば、TO-PRO3またはAnnV/PI Apoptosisア
ッセイキット)により判定して、融解された後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、
10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、2
3、24、25、26、27もしくは28日後にアポトーシスを受ける。ある特定の実施
形態では、融解後の細胞は、本明細書で提供される方法を使用して培養、増幅または分化
された後、再び凍結保存される。
【0374】
5.10.NK細胞および/またはILC3細胞を含む組成物
5.10.1.3段階法を使用して製造されるNK細胞および/またはILC3細胞
一部の実施形態では、本明細書に記載の3段階法を使用して製造される単離されたNK
細胞および/またはILC3細胞集団を含む組成物、例えば、医薬組成物が本明細書で提
供される。具体的な実施形態では、前記単離されたNK細胞および/またはILC3細胞
集団は、造血細胞、例えば、胎盤潅流液、臍帯血および/または抹消血から単離された造
血幹細胞または前駆細胞から製造される。別の具体的な実施形態では、前記単離されたN
K細胞および/またはILC3細胞集団は、組成物中の細胞の少なくとも50%を構成す
る。別の具体的な実施形態では、前記単離されたNK細胞および/またはILC3細胞集
団、例えば、CD3-CD56+細胞は、組成物中の細胞の少なくとも80%、85%、
90%、95%、98%または99%を構成する。ある特定の実施形態では、前記単離さ
れたNK細胞および/またはILC3細胞集団内の細胞の5%、10%、15%、20%
、25%、30%、35%または40%以下は、CD3-CD56+細胞である。ある特
定の実施形態では、前記CD3-CD56+細胞は、CD16-である。
【0375】
本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞および/またはILC3細胞
集団をin vivoでの使用のために製剤化して医薬組成物にすることができる。その
ような医薬組成物は、薬学的に許容される担体、例えば、生理食塩水またはin viv
o投与用の他の認知されている生理学的に許容される溶液中の、NK細胞および/または
ILC3細胞集団を含む。本発明の医薬組成物は、本明細書の他の箇所に記載の任意のN
K細胞および/またはILC3細胞を含むことができる。
【0376】
本発明の医薬組成物は、50%以上生存細胞を含む細胞集団(すなわち、集団内の細胞
の少なくとも50%が機能性であるか、または生存している)を含む。好ましくは、集団
内の細胞の少なくとも60%は、生存している。より具体的には、医薬組成物中の集団内
の細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%または99%は、生存している。
【0377】
本発明の医薬組成物は、例えば生着を補助する、1つまたは複数の化合物;安定剤、例
えば、アルブミン、デキストラン40、ゼラチン、ヒドロキシエチルデンプンなどを含む
ことができる。
【0378】
注射用溶液として製剤化される場合、一実施形態では、本発明の医薬組成物は、約1.
25%HSAおよび約2.5%デキストランを含む。細胞製品の投与に好適な他の注射用
製剤を使用してもよい。
【0379】
一実施形態では、本明細書で提供される組成物、例えば医薬組成物は、全身または局所
投与に好適である。具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物、例えば医薬組
成物は、非経口投与に好適である。具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物
、例えば医薬組成物は、注射、注入、静脈内(IV)投与、大腿内投与、または腫瘍内投
与に好適である。具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物、例えば医薬組成
物は、デバイス、マトリックスまたは足場を用いた投与に好適である。具体的な実施形態
では、本明細書で提供される組成物、例えば医薬組成物は、注射に好適である。具体的な
実施形態では、本明細書で提供される組成物、例えば医薬組成物は、カテーテルによる投
与に好適である。具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物、例えば医薬組成
物は、局所注射に好適である。より具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物
、例えば医薬組成物は、充実性腫瘍(例えば、肉腫)への直接局所注射に好適である。具
体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物、例えば医薬組成物は、注射器による
注射に好適である。具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物、例えば医薬組
成物は、誘導送達による投与に好適である。具体的な実施形態では、本明細書で提供され
る組成物、例えば医薬組成物は、腹腔鏡検査、内視鏡検査、超音波、コンピュータ断層撮
影、磁気共鳴、または放射線学により補助される注射に好適である。
【0380】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および
/またはILC3細胞を含む、本明細書で提供される組成物、例えば医薬組成物は、医薬
品グレードの投与可能な単位として提供される。そのような単位を個別の容量、例えば、
15mL、20mL、25mL、30nL、35mL、40mL、45mL、50mL、
55mL、60mL、65mL、70mL、75mL、80mL、85mL、90mL、
95mL、100mL、150mL、200mL、250mL、300mL、350mL
、400mL、450mL、500mLなどで提供することができる。そのような単位を
、指定数の細胞、例えば、NK細胞および/またはILC3細胞、例えば、1ミリリット
ル当たり細胞1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×10
6、1×107、5×107、1×108、5×108個以上、または1単位当たり細胞
1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×10
7、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5
×1010、1×1011個以上を含有するように、提供することができる。具体的な実
施形態では、単位は、1ミリリットル当たり約、少なくとも約、または最大で約1×10
4、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106個以上のNK細胞お
よび/もしくはILC3細胞、または1単位当たり1×104、5×104、1×105
、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×1
08、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011個以上の細
胞を含むことができる。そのような単位を、指定数のNK細胞および/もしくはILC3
細胞、またはNK細胞および/もしくはILC3細胞集団、ならびに/または他の任意の
細胞を含有するように提供することができる。具体的な実施形態では、NK細胞およびI
LC3細胞は、本明細書で提供される比で存在する。
【0381】
別の具体的な実施形態では、前記組成物中の前記単離されたNK細胞および/またはI
LC3細胞は、単一個体に由来する。より具体的な実施形態では、前記単離されたNK細
胞および/またはILC3細胞は、異なる少なくとも2個体に由来するNK細胞および/
またはILC3細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記組成物中の前記単離された
NK細胞および/またはILC3細胞は、NK細胞および/またはILC3細胞での処置
が予定されている個体とは異なる個体に由来する。別の具体的な実施形態では、前記NK
細胞は、同数のナチュラルキラー細胞、すなわち、前記免疫調節化合物またはサリドマイ
ドと接触も近接もさせていないNK細胞、より多くのグランザイムBまたはパーフォリン
を検出可能に発現するのに十分な量および時間、免疫調節化合物またはサリドマイドと接
触または近接させた。別の具体的な実施形態では、前記組成物は、免疫調節化合物または
サリドマイドをさらに含む。ある特定の実施形態では、免疫調節化合物は、下記の化合物
である。例えば、(特許文献19)を参照されたく、この特許文献の開示はその全体が参
照により本明細書に組み入れられている。ある特定の実施形態では、免疫調節化合物は、
アミノ置換イソインドリンである。一実施形態では、免疫調節化合物は、3-(4-アミ
ノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-
ジオン、3-(4’アミノイソインドリン-1’-オン)-1-ピペリジン-2,6-ジ
オン、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン
-1,3-ジオン、または4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)
イソインドール-1,3-ジオンである。別の実施形態では、免疫調節化合物は、ポマリ
ドミドまたはレナリドミドである。別の実施形態では、前記免疫調節化合物は、下記の構
造を有する化合物:
【0382】
【化16】
(式中、XおよびYの一方は、C=Oであり、XおよびYの他方は、C=OまたはCH
2
であり、ならびにR
2は、水素または低級アルキルである)
またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、鏡像異性体、ジア
ステレオマー、ラセミ体、もしくは立体異性体の混合物である。別の実施形態では、前記
免疫調節化合物は、下記の構造を有する化合物:
【0383】
【化17】
(式中、
XおよびYの一方は、C=Oであり、他方は、CH
2またはC=Oであり、
R
1は、H、(C
1-C
8)アルキル、(C
3-C
7)シクロアルキル、(C
2-C
8
)アルケニル、(C
2-C
8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C
0-C
4)アルキ
ル-(C
1-C
6)ヘテロシクロアルキル、(C
0-C
4)アルキル-(C
2-C
5)ヘ
テロアリール、C(O)R
3、C(S)R
3、C(O)OR
4、(C
1-C
8)アルキル
-N(R
6)
2、(C
1-C
8)アルキル-OR
5、(C
1-C
8)アルキル-C(O)
OR
5、C(O)NHR
3、C(S)NHR
3、C(O)NR
3R
3’、C(S)NR
3
R
3’または(C
1-C
8)アルキル-O(CO)R
5であり、
R
2は、H、F、ベンジル、(C
1-C
8)アルキル、(C
2-C
8)アルケニル、ま
たは(C
2-C
8)アルキニルであり、
R
3およびR
3’は、独立に、(C
1-C
8)アルキル、(C
3-C
7)シクロアルキ
ル、(C
2-C
8)アルケニル、(C
2-C
8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C
0-C
4)アルキル-(C
1-C
6)ヘテロシクロアルキル、(C
0-C
4)アルキル-
(C
2-C
5)ヘテロアリール、(C
0-C
8)アルキル-N(R
6)
2、(C
1-C
8
)アルキル-OR
5、(C
1-C
8)アルキル-C(O)OR
5、(C
1-C
8)アルキ
ル-O(CO)R
5、またはC(O)OR
5であり、
R
4は、(C
1-C
8)アルキル、(C
2-C
8)アルケニル、(C
2-C
8)アルキ
ニル、(C
1-C
4)アルキル-OR
5、ベンジル、アリール、(C
0-C
4)アルキル
-(C
1-C
6)ヘテロシクロアルキル、または(C
0-C
4)アルキル-(C
2-C
5
)ヘテロアリールであり、
R
5は、(C
1-C
8)アルキル、(C
2-C
8)アルケニル、(C
2-C
8)アルキ
ニル、ベンジル、アリール、または(C
2-C
5)ヘテロアリールであり、
R
6の各出現は、独立して、H、(C
1-C
8)アルキル、(C
2-C
8)アルケニル
、(C
2-C
8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C
2-C
5)ヘテロアリール、も
しくは(C
0-C
8)アルキル-C(O)O-R
5であるか、またはR
6基は、ヘテロシ
クロアルキル基を形成するように連結していてもよく、
nは、0または1であり、ならびに
*は、キラル炭素中心を表す)
またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、鏡像異性体、ジア
ステレオマー、ラセミ体、もしくは立体異性体の混合物である。別の実施形態では、前記
免疫調節化合物は、下記の構造を有する化合物:
【0384】
【化18】
(式中、
XおよびYの一方は、C=Oであり、他方は、CH
2またはC=Oであり、
Rは、HまたはCH
2OCOR’であり、
(i)R
1、R
2、R
3もしくはR
4の各々は、他のものとは無関係に、ハロ、炭素原
子1~4個のアルキル、もしくは炭素原子1~4個のアルコキシであるか、または(ii
)R
1、R
2、R
3もしくはR
4のうちの1つは、ニトロもしくは-NHR
5であり、R
1、R
2、R
3、もしくはR
4の残りは、水素であり、
R
5は、水素、または炭素1~8個のアルキルであり、
R
6は、水素、炭素原子1~8個のアルキル、ベンゾ、クロロ、またはフルオロであり
、
R’は、R
7-CHR
10-N(R
8R
9)であり、
R
7は、m-フェニレンもしくはp-フェニレン、または-(C
nH
2n)-(この式
中のnは、0~4の値である)であり、
R
8およびR
9の各々は、他方とは無関係に見て、水素、もしくは炭素原子1~8個の
アルキルであるか、またはR
8およびR
9は、一緒に見て、テトラメチレン、ペンタメチ
レン、ヘキサメチレン、もしくは-CH
2CH
2X
1CH
2CH
2-(この式中のX
1は
、-O-、-S-、もしくは-NH-である)であり、
R
10は、水素、炭素原子8個までのアルキル、またはフェニルであり、ならびに
*は、キラル炭素中心を表す)
またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、鏡像異性体、ジア
ステレオマー、ラセミ体、もしくは立体異性体の混合物である。
【0385】
別の具体的な実施形態では、組成物は、1つまたは複数の抗がん化合物、例えば、下記
の抗がん化合物の1つまたは複数をさらに含む。
【0386】
より具体的な実施形態では、組成物は、別の源からの、または別の方法により製造され
た、NK細胞および/またはILC3細胞を含む。具体的な実施形態では、前記他の源は
、胎盤血および/または臍帯血である。別の具体的な実施形態では、前記他の源は、抹消
血である。より具体的な実施形態では、前記組成物中のNK細胞および/またはILC3
細胞集団は、別の源からの、または別の方法により製造された、NK細胞および/または
ILC3細胞と、約100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75
:25、70:30、65:35、60:40、55:45:50:50、45:55、
40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:9
0、5:95、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70
:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30
:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、
1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、
1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、
1:95、1:100などの比で合わせられる。
【0387】
別の具体的な実施形態では、組成物は、本明細書に記載の3段階法を使用して製造され
たNK細胞および/またはILC3細胞集団、ならびに単離された胎盤潅流液または単離
された胎盤潅流液細胞のいずれかを含む。より具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液は
、前記NK細胞および/またはILC3細胞集団と同じ個体に由来する。別のより具体的
な実施形態では、前記胎盤潅流液は、前記NK細胞および/またはILC3細胞集団とは
異な個体に由来する胎盤潅流液を含む。別の具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液中の
細胞のすべてまたは実質的にすべて(例えば、90%、95%、98%または99%を超
える)は、胎児細胞である。別の具体的な実施形態では、胎盤潅流液または胎盤潅流液細
胞は、胎児細胞および母体細胞を含む。より具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液中の
胎児細胞は、前記潅流液中の細胞の約90%、80%、70%、60%または50%未満
を構成する。別の具体的な実施形態では、前記潅流液は、胎盤血管系内の0.9% Na
Cl溶液の通過によって得られる。別の具体的な実施形態では、前記潅流液は、培養培地
を含む。別の具体的な実施形態では、前記潅流液を処理して、赤血球を除去した。別の具
体的な実施形態では、前記組成物は、免疫調節化合物、例えば、以下で述べる免疫調節化
合物、例えば、アミノ置換イソインドリン化合物を含む。別の具体的な実施形態では、組
成物は、1つまたは複数の抗がん化合物、例えば、以下で述べる1つまたは複数の抗がん
化合物をさらに含む。
【0388】
別の具体的な実施形態では、組成物は、NK細胞および/またはILC3細胞集団なら
びに胎盤潅流液細胞を含む。より具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液細胞は、前記N
K細胞および/またはILC3細胞集団と同じ個体に由来する。別のより具体的な実施形
態では、前記胎盤潅流液細胞は、前記NK細胞および/またはILC3細胞集団とは異な
個体に由来する。別の具体的な実施形態では、組成物は、単離胎盤潅流液および単離胎盤
潅流液細胞を含み、前記単離胎盤潅流液および前記単離胎盤潅流液細胞は、異なる個体に
由来する。胎盤潅流液を含む上記の実施形態のいずれかの別のより具体的な実施形態では
、前記胎盤潅流液は、少なくとも2個体に由来する胎盤潅流液を含む。胎盤潅流液細胞を
含む上記の実施形態のいずれかの別のより具体的な実施形態では、前記単離胎盤潅流液細
胞は、少なくとも2個体に由来する。別の具体的な実施形態では、前記組成物は、免疫調
節化合物を含む。別の具体的な実施形態では、組成物は、1つまたは複数の抗がん化合物
、例えば、以下で述べる1つまたは複数の抗がん化合物をさらに含む。
【0389】
5.11.3段階法を使用して製造されるNK細胞および/またはILC3細胞の使用
本明細書で提供される、本明細書に記載の方法を使用して製造されるNK細胞および/
またはILC3細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法に従って製造されるNK細胞お
よび/またはILC3細胞は、がんを有する個体、例えば、充実性腫瘍細胞および/もし
くは血液がん細胞を有する個体、またはウイルス感染症を有する人を処置する方法におい
て使用することができる。一部のそのような実施形態では、本明細書に記載の方法を使用
して製造されるNK細胞および/またはILC3細胞の有効投薬量は、体重1キログラム
当たり細胞1×104~5×104、5×104~1×105、1×105~5×105
、5×105~1×106、1×106~5×106、5×106~1×107個以上の
範囲である。本明細書に記載の方法を使用して製造されるNK細胞および/またはILC
3細胞は、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法においても使用することができる。
【0390】
5.11.1.がんを有する個体の処置
一実施形態では、がん、例えば、血液がんまたは充実性腫瘍を有する個体を処置する方
法であって、治療有効量の、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例え
ば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を、前記個体に投与す
ることを含む方法が本明細書で提供される。一実施形態では、がん、例えば、血液がんま
たは充実性腫瘍を有する個体を処置する方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の
方法を使用して製造されたILC3細胞、例えば、本明細書に記載する3段階法を使用し
て製造されたILC3細胞集団を、前記個体に投与することを含む方法が本明細書で提供
される。ある特定の実施形態では、個体は、ナチュラルキラー細胞の欠乏、例えば、個体
のがんに対して活性のNK細胞の欠乏を有する。具体的な実施形態では、方法は、前記個
体に、単離された胎盤潅流液または単離された胎盤潅流液細胞、例えば、治療有効量の胎
盤潅流液または単離された胎盤潅流液細胞を投与することをさらに含む。別の具体的な実
施形態では、方法は、前記個体に、有効量の免疫調節化合物、例えば、上記の免疫調節化
合物、またはサリドマイドを投与することをさらに含む。本明細書で使用される「有効量
」は、例えば、個体が罹患しているがんの1つもしくは複数の症状の、検出可能な改善、
進行の緩和、または除去をもたらす量である。
【0391】
NK細胞および/もしくはILC3細胞の単離された集団またはそれらの医薬組成物の
投与は、全身的であってもよく、または局所的であってもよい。具体的な実施形態では、
投与は、非経口的である。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞および/もしくはI
LC3細胞の単離された集団またはその医薬組成物の投与は、注射、注入、静脈内(IV
)投与、大腿内投与、または腫瘍内投与による。具体的な実施形態では、対象へのNK細
胞および/もしくはILC3細胞の単離された集団またはその医薬組成物の投与は、デバ
イス、マトリックスまたは足場を用いて行われる。具体的な実施形態では、対象へのNK
細胞および/もしくはILC3細胞の単離された集団またはその医薬組成物の投与は、注
射による。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞および/もしくはILC3細胞の単
離された集団またはその医薬組成物の投与は、カテーテルによる。具体的な実施形態では
、NK細胞および/またはILC3細胞の注射は、局所注射である。より具体的な実施形
態では、局所注射は、充実性腫瘍(例えば、肉腫)中への直接的注射である。具体的な実
施形態では、対象へのNK細胞および/もしくはILC3細胞の単離された集団またはそ
の医薬組成物の投与は、注射器による注射による。具体的な実施形態では、対象へのNK
細胞および/もしくはILC3細胞の単離された集団またはその医薬組成物の投与は、誘
導送達による。具体的な実施形態では、注射による対象へのNK細胞および/もしくはI
LC3細胞の単離された集団またはその医薬組成物の投与は、腹腔鏡検査、内視鏡検査、
超音波、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴、または放射線学により補助される。
【0392】
具体的な実施形態では、がんは、血液のがん、例えば、白血病またはリンパ腫である。
より具体的な実施形態では、がんは、急性白血病、例えば、急性T細胞白血病、急性骨髄
性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性巨核芽球性白
血病、前駆B急性リンパ芽球性白血病、前駆体T急性リンパ芽球性白血病、バーキット白
血病(バーキットリンパ腫)、もしくは急性混合型白血病;慢性白血病、例えば、慢性骨
髄性リンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性単球性白血病、慢性リンパ球性白血病
(CLL)/小リンパ球性リンパ腫、もしくはB細胞性前リンパ球性白血病;ヘアリー細
胞リンパ腫;T細胞性前リンパ球性白血病;またはリンパ腫、例えば、組織球性リンパ腫
、リンパ形質細胞性リンパ腫(例えば、ワルデンストレームマクログロブリン血症)、脾
辺縁帯リンパ腫、形質細胞腫瘍(例えば、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、単クローン性
免疫グロブリン沈着症、もしくは重鎖病)、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(MALTリン
パ腫)、節性辺縁帯B細胞リンパ腫(NMZL)、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ
腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞性リンパ腫、血管
内大細胞型B細胞性リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、T細胞大顆粒リンパ球性白血病、
アグレッシブNK細胞白血病、成人T細胞白血病/リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ
腫、鼻型、腸疾患型T細胞リンパ腫、肝脾T細胞リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、菌
状息肉症(セザリー症候群)、皮膚原発性CD30陽性T細胞リンパ増殖性障害(例えば
、皮膚原発性未分化大細胞リンパ腫もしくはリンパ腫様丘疹症)、血管免疫芽球性T細胞
リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、非特定型、未分化大細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫
または結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫である。別の具体的な実施形態では、がん
は、多発性骨髄腫または骨髄異形成症候群である。
【0393】
ある特定の実施形態では、がんは、充実性腫瘍、例えば癌腫、例えば、腺癌、副腎皮質
癌、結腸腺癌、結腸直腸腺癌、結腸直腸癌、乳管細胞癌、肺癌、甲状腺癌、上咽頭癌、黒
色腫(例えば、悪性黒色腫)、非黒色腫皮膚癌、もしくは詳細不明の癌腫;類腺腫;線維
形成性小円形細胞腫瘍;内分泌腫瘍;ユーイング肉腫;生殖細胞腫瘍(例えば、精巣がん
、卵巣がん、絨毛癌、内胚葉洞腫瘍、胚細胞腫など);肝芽腫;肝細胞癌;神経芽腫;非
横紋筋肉腫性軟部肉腫;骨肉腫;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;またはウィルムス腫瘍であ
る。別の実施形態では、充実性腫瘍は、膵がんまたは乳がんである。他の実施形態では、
充実性腫瘍は、聴神経腫瘍;星細胞腫(例えば、グレードI毛様細胞性星細胞腫、グレー
ドII低グレード星細胞腫、グレードIII未分化星細胞腫、もしくはグレードIV多形
性膠芽腫);脊索腫;頭蓋咽頭腫;神経膠腫(例えば、脳幹神経膠腫、脳室上衣腫、混合
型神経膠腫、視神経膠腫、もしくは上衣下腫);膠芽腫;髄芽腫;髄膜腫;転移性脳腫瘍
;乏突起神経膠腫;松果体芽腫;下垂体腫瘍;原始神経外胚葉性腫瘍;またはシュワン腫
である。別の実施形態では、がんは、前立腺がんである。別の実施形態では、がんは、肝
がんである。別の実施形態では、がんは、肺がんである。別の実施形態では、がんは、腎
がんである。
【0394】
ある特定の実施形態では、がん、例えば、血液がんまたは充実性腫瘍を有する個体、例
えば、ナチュラルキラー細胞の欠乏を有する個体は、前記投与の前に骨髄移植を受けた個
体である。ある特定の実施形態では、骨髄移植は、前記がんの処置におけるものであった
。ある特定の他の実施形態では、骨髄移植は、前記がん以外の状態の処置におけるもので
あった。ある特定の実施形態では、個体は、前記骨髄移植に加えて免疫抑制剤を受けた。
ある特定の実施形態では、骨髄移植を受けたことがある個体は、前記投与のときに移植片
対宿主病(GVHD)の1つまたは複数の症状を示す。ある特定の実施形態では、骨髄移
植を受けたことがある個体は、GVHDの症状が発現してしまう前に前記細胞の投与を受
ける。
【0395】
ある特定の具体的な実施形態では、がん、例えば、血液がんを有する個体は、前記投与
の前に、少なくとも1用量のTNFα阻害剤、例えばETANERCEPT(登録商標)
(Enbrel)を受けたことがある。具体的な実施形態では、前記個体は、前記がんの
診断の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12カ月以内に前記用量
のTNFα阻害剤を受けた。具体的な実施形態では、ある用量のTNFα阻害剤を受けた
ことがある個体は、急性骨髄性白血病を示す。より具体的な実施形態では、ある用量のT
NFα阻害剤を受けたことがあり、急性骨髄性白血病を示す個体は、血球の5番染色体長
腕の欠失をさらに示す。別の実施形態では、がん、例えば、血液がんを有する個体は、フ
ィラデルフィア染色体を示す。
【0396】
ある特定の他の実施形態では、前記個体におけるがん、例えば、血液がんまたは充実性
腫瘍には、1つまたは複数の抗がん薬が効かない。具体的な実施形態では、がんにはGL
EEVEC(登録商標)(メシル酸イマチニブ)が効かない。
【0397】
ある特定の実施形態では、前記個体におけるがん、例えば、血液がんは、少なくとも1
つの抗がん薬に応答し、この実施形態では、胎盤潅流液、単離された胎盤潅流液細胞、単
離されたナチュラルキラー細胞、例えば胎盤ナチュラルキラー細胞、例えば、胎盤由来の
中間ナチュラルキラー細胞、単離された混合ナチュラルキラー細胞、もしくは本明細書に
記載のNK細胞、および/またはそれらの組合せ、ならびに任意選択で免疫調節化合物は
、補助的処置として、または前記抗がん薬との併用治療として加えられる。ある特定の他
の実施形態では、がん、例えば、血液がんを有する個体は、前記投与の前に、少なくとも
1つの抗がん薬での処置を受け、再発している。ある特定の実施形態では、処置されるこ
とになる個体は、難治性がんを有する。一実施形態では、本明細書に記載の細胞でのがん
処置方法は、がんの再発を防ぐ(例えば、予防するまたは遅延させる)。一実施形態では
、本明細書に記載のがん処置方法は、1カ月以上、2、3、4、5、6、7、8、9、1
0、11もしくは12カ月以上、1年以上、2年以上、3年以上、または4年以上のがん
の寛解をもたらす。
【0398】
一実施形態では、多発性骨髄腫を有する個体を処置する方法であって、前記個体に、(
1)レナリドミド、(2)メルファラン、および(3)前記個体における多発性骨髄腫の
処置に有効であるNK細胞を投与することを含む方法が本明細書で提供される。具体的な
実施形態では、前記NK細胞は、臍帯血NK細胞、または臍帯血造血細胞、例えば造血幹
細胞、から製造されたNK細胞である。別の実施形態では、前記NK細胞は、NK細胞を
製造するための本明細書に記載の3段階法により製造されたものである。別の実施形態で
は、前記レナリドミド、メルファランおよび/またはNK細胞は、互いに別々に投与され
る。多発性骨髄腫を有する個体を処置する方法の、ある特定の具体的な実施形態では、前
記NK細胞は、幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地中で造
血幹細胞または前駆細胞、例えば、CD34+幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の
第1の集団を製造するステップ、その後、幹細胞動員剤およびインターロイキン15(I
L-15)を含み、Tpoを欠いている第2の培地中で、細胞の前記第1の集団を培養し
て、細胞の第2の集団を製造するステップ、およびその後、IL-2およびIL-15を
含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いている第3の培地中で細胞の前記第2の集団を
培養して、細胞の第3の集団を製造するステップを含み、細胞の前記第3の集団がCD5
6+、CD3-、CD16-またはCD16+、およびCD94+またはCD94-であ
るナチュラルキラー細胞を含み、前記ナチュラルキラー細胞の少なくとも70%または少
なくとも80%が生存している、方法により製造される。ある特定の実施形態では、前記
第1の培地および/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/または
マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特定
の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α、およびFMS様チロシンキ
ナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培
地および前記第2の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は
、LIF、MIP-1α、およびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第
1の培地も、第2の培地も、第3の培地も、ヘパリン、例えば低分子量ヘパリンを含まな
い。
【0399】
別の実施形態では、急性骨髄性白血病(AML)を有する個体を処置する方法であって
、前記個体にNK細胞(単独のIL2、または単独のIL-15、IL2およびIL12
およびIL18、IL12およびIL15、IL12およびIL18、IL2およびIL
12およびIL15およびIL18、またはIL2およびIL15およびIL18での前
処置により任意選択で活性化されたもの)を投与することを含み、前記NK細胞が、前記
個体におけるAMLの処置に有効である方法が本明細書で提供される。具体的な実施形態
では、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された単離されたNK細胞集団は、前記
投与の前にIL2、IL12、IL18、またはIL15のうちの1つまたは複数で前処
置されたものである。具体的な実施形態では、前記NK細胞は、臍帯血NK細胞であるか
、または臍帯血造血細胞、例えば、造血幹細胞から製造されたNK細胞である。別の実施
形態では、前記NK細胞は、NK細胞を製造するための本明細書に記載の3段階法により
製造されたものである。AMLを有する個体を処置する方法の、ある特定の具体的な実施
形態では、前記NK細胞は、本明細書に記載の通り、3段階法により製造される。特定の
実施形態では、前述の方法により処置されることになるAMLは、難治性AML、予後不
良AML、または小児AMLを含む。難治性AML、予後不良AML、または小児AML
の処置のためにNK細胞を投与するための当技術分野において公知の方法をこの目的に適
応させることができる。例えば、(非特許文献7);(非特許文献8)を参照されたく、
これらの参考文献の各々は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。ある
特定の実施形態では、前記個体は、AMLに対する少なくとも1回の非ナチュラルキラー
細胞治療に失敗したAMLを有する。具体的な実施形態では、前記個体は、65歳以上で
あり、第1寛解期にある。具体的な実施形態では、前記個体は、前記ナチュラルキラー細
胞を投与する前に、フルダラビン、シタラビン、または両方でコンディショニングされて
いる。
【0400】
一実施形態では、多発性骨髄腫を有する個体を処置する方法であって、前記個体に、(
1)レナリドミド、(2)メルファラン、および(3)前記個体における多発性骨髄腫の
処置に有効であるILC3細胞を投与することを含む方法が本明細書で提供される。具体
的な実施形態では、前記ILC3細胞は、臍帯血ILC3細胞であるか、または臍帯血造
血細胞、例えば、造血幹細胞から製造されたILC3細胞である。別の実施形態では、前
記ILC3細胞は、ILC3細胞を製造するための本明細書に記載の3段階法により製造
されたものである。別の実施形態では、前記レナリドミド、メルファランおよび/または
ILC3細胞は、互いに別々に投与される。多発性骨髄腫を有する個体を処置する方法の
、ある特定の具体的な実施形態では、前記ILC3細胞は、幹細胞動員剤およびトロンボ
ポエチン(Tpo)を含む第1の培地中で造血幹細胞または前駆細胞、例えば、CD34
+幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造するステップ、その後、幹
細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている第2
の培地中で細胞の前記第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を製造するステップ、お
よびその後、IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いてい
る第3の培地中で細胞の前記第2の集団を培養して、細胞の第3の集団を製造するステッ
プを含み、細胞の前記第3の集団がCD56+、CD3-、CD16-またはCD16+
、およびCD94+またはCD94-であるナチュラルキラー細胞を含み、前記ナチュラ
ルキラー細胞の少なくとも70%または少なくとも80%が生存している、方法により製
造される。ある特定の実施形態では、前記第1の培地および/または前記第2の培地は、
白血病抑制因子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ
(MIP-1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第3の培地は、LIF、
MIP-1α、およびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt-3L)を欠いてい
る。具体的な実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地は、LIFおよびMI
P-1αを欠いており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α、およびFlt3Lを
欠いている。ある特定の実施形態では、第1の培地も、第2の培地も、第3の培地も、ヘ
パリン、例えば低分子量ヘパリンを含まない。
【0401】
別の実施形態では、急性骨髄性白血病(AML)を有する個体を処置する方法であって
、前記個体にILC3細胞(IL2およびIL12およびIL18、IL12およびIL
15、IL12およびIL18、IL2およびIL12およびIL15およびIL18、
またはIL2およびIL15およびIL18での前処置により任意選択で活性化させたも
の)を投与することを含み、前記ILC3細胞が、前記個体のAMLの処置に有効である
、方法が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、本明細書に記載の3段階法を使
用して製造されたILC3細胞集団は、前記投与の前にIL2、IL12、IL18、ま
たはIL15のうちの1つまたは複数で前処置されたものである。具体的な実施形態では
、前記ILC3細胞は、臍帯血ILC3細胞であるか、または臍帯血造血細胞、例えば、
造血幹細胞から製造されたILC3細胞である。別の実施形態では、前記ILC3細胞は
、ILC3細胞を製造するための本明細書に記載の3段階法により製造されたものである
。AMLを有する個体を処置する方法の、ある特定の実施形態では、前記ILC3細胞は
、本明細書に記載の通り、3段階法により製造される。特定の実施形態では、前述の方法
により処置されることになるAMLは、難治性AML、予後不良AML、または小児AM
Lを含む。難治性AML、予後不良AML、または小児AMLの処置のためにILC3細
胞を投与するための当技術分野において公知の方法をこの目的に適応させることができる
。例えば、(非特許文献7);(非特許文献8)を参照されたく、これらの参考文献の各
々は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。ある特定の実施形態では、
前記個体は、AMLに対する少なくとも1つの非ナチュラルキラー細胞治療に失敗したA
MLを有する。具体的な実施形態では、前記個体は、65歳以上であり、第1寛解期にあ
る。具体的な実施形態では、前記個体は、前記ナチュラルキラー細胞を投与する前に、フ
ルダラビン、シタラビン、または両方でコンディショニングされている。
【0402】
AMLを有する個体を処置する方法の、他の具体的な実施形態では、前記NK細胞は、
幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地中で造血幹細胞または
前駆細胞、例えば、CD34+幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製
造するステップ、その後、幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含
み、Tpoを欠いている第2の培地中で細胞の前記第1の集団を培養して、細胞の第2の
集団を製造するステップ、およびその後、IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員
剤およびLMWHを欠いている第3の培地中で細胞の前記第2の集団を培養して、細胞の
第3の集団を製造するステップを含み、細胞の前記第3の集団がCD56+、CD3-、
CD16-またはCD16+、およびCD94+またはCD94-であるナチュラルキラ
ー細胞を含み、前記ナチュラルキラー細胞の少なくとも70%または少なくとも80%が
生存している、方法により製造される。ある特定の実施形態では、前記第1の培地および
/または前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/またはマクロファージ炎
症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、
前記第3の培地は、LIF、MIP-1α、およびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド
(Flt-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培地および前記第2
の培地は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は、LIF、MIP
-1α、およびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第1の培地も、第2
の培地も、第3の培地も、ヘパリン、例えば低分子量ヘパリンを含まない。
【0403】
別の実施形態では、慢性リンパ球性白血病(CLL)を有する個体を処置する方法であ
って、前記個体に、治療有効用量の(1)レナリドミド、(2)メルファラン、(3)フ
ルダラビン、および(4)前記個体における前記CLLの処置に有効であるNK細胞、例
えば、本明細書に記載の3段階法により製造されたNK細胞を投与することを含む方法が
本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記NK細胞は、臍帯血NK細胞である
か、または臍帯血造血幹細胞から製造されたNK細胞である。別の実施形態では、前記N
K細胞は、NK細胞を製造するための本明細書に記載の3段階法により製造されたもので
ある。上記方法のいずれかについての具体的な実施形態では、前記レナリドミド、メルフ
ァラン、フルダラビンおよび増殖NK細胞は、前記個体に別々に投与される。CLLを有
する個体を処置する方法の、ある特定の具体的な実施形態では、前記NK細胞は、幹細胞
動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地中で造血幹細胞または前駆細
胞、例えば、CD34+幹細胞または前駆細胞を培養して、細胞の第1の集団を製造する
ステップ、その後、幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、T
poを欠いている第2の培地中で細胞の前記第1の集団を培養して、細胞の第2の集団を
製造するステップ、およびその後、IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およ
びLMWHを欠いている第3の培地中で細胞の前記第2の集団を培養して、細胞の第3の
集団を製造するステップを含み、細胞の前記第3の集団がCD56+、CD3-、CD1
6-またはCD16+、およびCD94+またはCD94-であるナチュラルキラー細胞
を含み、前記ナチュラルキラー細胞の少なくとも70%または少なくとも80%が生存し
ている、方法により製造される。ある特定の実施形態では、前記第1の培地および/また
は前記第2の培地は、白血病抑制因子(LIF)および/またはマクロファージ炎症性タ
ンパク質-1アルファ(MIP-1α)を欠いている。ある特定の実施形態では、前記第
3の培地は、LIF、MIP-1α、およびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Fl
t-3L)を欠いている。具体的な実施形態では、前記第1の培地および前記第2の培地
は、LIFおよびMIP-1αを欠いており、前記第3の培地は、LIF、MIP-1α
、およびFlt3Lを欠いている。ある特定の実施形態では、第1の培地も、第2の培地
も、第3の培地も、ヘパリン、例えば低分子量ヘパリンを含まない。
【0404】
5.11.2.腫瘍細胞増殖の抑制
腫瘍細胞の増殖を抑制する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造された
NK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を、前
記腫瘍細胞と近接させる、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞
と前記腫瘍細胞を接触させることを含む方法が本明細書でさらに提供される。したがって
、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法であって、治療有効量のNK細胞集団を前記腫瘍細胞と
近接させる、例えば、前記腫瘍細胞を前記NK細胞集団の細胞と接触させることを含む方
法において、複数のNK細胞を使用することができる。任意選択で、単離された胎盤潅流
液または単離された胎盤潅流液細胞を、腫瘍細胞および/または本明細書に記載の方法を
使用して製造されたNK細胞と近接させる。別の具体的な実施形態では、免疫調節化合物
、例えば上記の免疫調節化合物、またはサリドマイドを、腫瘍細胞および/または本明細
書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と近接させ、その結果、腫瘍細胞の増殖は
、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と近接させていない同じ型の腫瘍
細胞と比較して検出可能に低減される。任意選択で、単離された胎盤潅流液または単離さ
れた胎盤潅流液細胞を、免疫調節化合物と接触または近接させた腫瘍細胞および/または
本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と、近接させる。
【0405】
また、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造
されたILC3細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたILC3
細胞集団を、前記腫瘍細胞と近接させる、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造
されたILC3細胞と前記腫瘍細胞を接触させることを含む方法が本明細書で提供される
。したがって、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法であって、治療有効量のILC3細胞集団
を前記腫瘍細胞と近接させる、例えば、前記腫瘍細胞を前記ILC3細胞集団の細胞と接
触させることを含む方法において、複数のILC3細胞を使用することができる。任意選
択で、単離された胎盤潅流液または単離された胎盤潅流液細胞を、腫瘍細胞および/また
は本明細書に記載の方法を使用して製造されたILC3細胞と近接させる。別の具体的な
実施形態では、免疫調節化合物、例えば上記の免疫調節化合物、またはサリドマイドを、
腫瘍細胞および/または本明細書に記載の方法を使用して製造されたILC3細胞と近接
させ、その結果、腫瘍細胞の増殖は、本明細書に記載の方法を使用して製造されたILC
3細胞と近接させていない同じ型の腫瘍細胞と比較して検出可能に低減される。任意選択
で、単離された胎盤潅流液または単離された胎盤潅流液細胞を、免疫調節化合物と接触ま
たは近接させた腫瘍細胞および/または本明細書に記載の方法を使用して製造されたIL
C3細胞と、近接させる。
【0406】
細胞に関して、本明細書において、ある特定の実施形態で使用される、「接触させるこ
と」または「近接させること」は、一実施形態では、胎盤潅流液、胎盤潅流液細胞、ナチ
ュラルキラー細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法に従って製造されたNK細胞集団
、ILC3細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法に従って製造されたILC3細胞集
団、および/または単離された混合ナチュラルキラー細胞と腫瘍細胞との直接的な物理的
、例えば細胞-細胞、接触を包含する。別の実施形態では、「接触させること」は、同じ
物理的空間内に存在することを包含し、例えば、胎盤潅流液、胎盤潅流液細胞、ナチュラ
ルキラー細胞、例えば、胎盤中間ナチュラルキラー細胞、本明細書に記載のナチュラルキ
ラー細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法に従って製造されたNK細胞集団、本明細
書に記載のILC3細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法に従って製造されたILC
3細胞集団、および/または単離された混合ナチュラルキラー細胞は、腫瘍細胞と同じコ
ンテナ(例えば、培養皿、マルチウェルプレート)内に置かれる。別の実施形態では、胎
盤潅流液、胎盤潅流液細胞、混合ナチュラルキラー細胞、胎盤中間ナチュラルキラー細胞
、または本明細書に記載のナチュラルキラー細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法に
従って製造されたNK細胞集団、または本明細書に記載のILC3細胞、例えば、本明細
書に記載の3段階法に従って製造されたILC3細胞集団と、腫瘍細胞とを「接触させる
こと」は、例えば、胎盤潅流液または細胞、例えば胎盤潅流液細胞、混合ナチュラルキラ
ー細胞、ナチュラルキラー細胞、例えば胎盤中間ナチュラルキラー細胞、またはILC3
細胞を、個体、例えば、腫瘍細胞を有するヒト、例えばがん患者に注射または注入するこ
とにより果される。免疫調節化合物および/またはサリドマイドに関して「接触させるこ
と」は、例えば、細胞と免疫調節化合物および/またはサリドマイドを互いに直接物理的
に接触させること、または同じ物理的体積(例えば、細胞培養コンテナまたは個体)の中
に置くことを意味する。
【0407】
具体的な実施形態では、腫瘍細胞は、血液がん細胞、例えば、白血病細胞またはリンパ
腫細胞である。より具体的な実施形態では、がんは、急性白血病、例えば、急性T細胞白
血病細胞、急性骨髄性白血病(AML)細胞、急性前骨髄球性白血病細胞、急性骨髄芽球
性白血病細胞、急性巨核芽球性白血病細胞、前駆B急性リンパ芽球性白血病細胞、前駆体
T急性リンパ芽球性白血病細胞、バーキット白血病(バーキットリンパ腫)細胞、もしく
は急性混合型白血病細胞;慢性白血病細胞、例えば、慢性骨髄性リンパ腫細胞、慢性骨髄
性白血病(CML)細胞、慢性単球性白血病細胞、慢性リンパ球性白血病(CLL)/小
リンパ球性リンパ腫細胞、もしくはB細胞性前リンパ球性白血病細胞;ヘアリー細胞リン
パ腫;T細胞性前リンパ球性白血病細胞;またはリンパ腫細胞、例えば、組織球性リンパ
腫細胞、リンパ形質細胞性リンパ腫細胞(例えば、ワルデンストレームマクログロブリン
血症細胞)、脾辺縁帯リンパ腫細胞、形質細胞腫瘍細胞(例えば、形質細胞性骨髄腫細胞
、形質細胞腫細胞、単クローン性免疫グロブリン沈着症、もしくは重鎖病)、節外性辺縁
帯B細胞リンパ腫(MALTリンパ腫)細胞、節性辺縁帯B細胞リンパ腫(NMZL)細
胞、濾胞性リンパ腫細胞、マントル細胞リンパ腫細胞、びまん性大細胞型B細胞性リンパ
腫細胞、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞性リンパ腫細胞、血管内大細胞型B細胞性リンパ腫
細胞、原発性滲出性リンパ腫細胞、T細胞大顆粒リンパ球性白血病細胞、アグレッシブN
K細胞白血病細胞、成人T細胞白血病/リンパ腫細胞、節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻
型細胞、腸疾患型T細胞リンパ腫細胞、肝脾T細胞リンパ腫細胞、芽球性NK細胞リンパ
腫細胞、菌状息肉症(セザリー症候群)、皮膚原発性CD30陽性T細胞リンパ増殖性障
害(例えば、皮膚原発性未分化大細胞リンパ腫もしくはリンパ腫様丘疹症)細胞、血管免
疫芽球性T細胞リンパ腫細胞、末梢性T細胞リンパ腫-非特定型-細胞、未分化大細胞リ
ンパ腫細胞、ホジキンリンパ腫細胞または結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫細胞で
ある。別の具体的な実施形態では、腫瘍細胞は、多発性骨髄腫細胞または骨髄異形成症候
群細胞である。
【0408】
具体的な実施形態では、腫瘍細胞は、充実性腫瘍細胞、例えば癌細胞、例えば、腺癌細
胞、副腎皮質癌細胞、結腸腺癌細胞、結腸直腸腺癌細胞、結腸直腸癌細胞、乳管細胞癌細
胞、肺癌細胞、甲状腺癌細胞、上咽頭癌細胞、黒色腫細胞(例えば、悪性黒色腫細胞)、
非黒色腫皮膚癌細胞、もしくは詳細不明の癌細胞;類腺腫細胞;線維形成性小円形細胞腫
瘍細胞;内分泌腫瘍細胞;ユーイング肉腫細胞;生殖細胞腫瘍細胞(例えば、精巣がん細
胞、卵巣がん細胞、絨毛癌細胞、内胚葉洞腫瘍細胞、胚細胞腫細胞など);肝芽腫細胞;
肝細胞癌細胞;神経芽腫細胞;非横紋筋肉腫性軟部肉腫細胞;骨肉腫細胞;網膜芽細胞腫
細胞;横紋筋肉腫細胞;またはウィルムス腫瘍細胞である。別の実施形態では、腫瘍細胞
は、膵がん細胞または乳がん細胞である。他の実施形態では、充実性腫瘍細胞は、聴神経
腫瘍細胞;星細胞腫細胞(例えば、グレードI毛様細胞性星細胞腫細胞、グレードII低
グレード星細胞腫細胞、グレードIII未分化星細胞腫細胞、もしくはグレードIV多形
性膠芽腫細胞);脊索腫細胞;頭蓋咽頭腫細胞;神経膠腫細胞(例えば、脳幹神経膠腫細
胞、脳室上衣腫細胞、混合型神経膠腫細胞、視神経膠腫細胞、もしくは上衣下腫細胞);
膠芽腫細胞;髄芽腫細胞;髄膜腫細胞;転移性脳腫瘍細胞;乏突起神経膠腫細胞;松果体
芽腫細胞;下垂体腫瘍細胞;原始神経外胚葉性腫瘍細胞;またはシュワン腫細胞である。
別の実施形態では、腫瘍細胞は、前立腺がん細胞である。
【0409】
本明細書で使用される「治療に有益な」および「治療上の利点」には、例えば、腫瘍サ
イズの低下、腫瘍増殖の緩和または停止、転位性疾患の低減または予防、組織試料、例え
ば血液試料中の単位体積当たりのがん細胞数の低減、前記個体が有する特定のがんまたは
腫瘍の任意の症状の臨床的改善、個体が有する特定のがんの任意の症状の悪化の緩和また
は停止などが含まれるが、これらに限定されない。
【0410】
5.11.3.NK細胞および/またはILC3細胞ならびに他の抗がん剤を使用するが
んの処置
本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段
階法を使用して製造されたNK細胞集団を使用する、がんを有する個体の処置は、1つま
たは複数の他の抗がん剤を含む抗がん治療レジメンの一部になることができる。同様に、
本明細書に記載の方法を使用して製造されたILC3細胞、例えば、本明細書に記載の3
段階法を使用して製造されたILC3細胞集団を使用する、がんを有する個体の処置は、
1つまたは複数の他の抗がん剤を含む抗がん治療レジメンの一部になることができる。加
えて、または代替的に、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/ま
たはILC3細胞を使用する、がんを有する個体の処置は、1つまたは複数の他の抗がん
剤を含む抗がん治療を補うために使用することができる。そのような抗がん剤は、当技術
分野において周知であり、抗炎症剤、免疫調節剤、細胞傷害性薬剤、がんワクチン、化学
療法薬、HDAC阻害剤(例えば、HDAC6i(ACY-241))、およびsiRN
Aを含む。本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および任意選択で潅流液
、潅流液細胞、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞以外のナチュラルキ
ラー細胞に加えて、がんを有する個体、例えば、腫瘍細胞を有する個体に投与することが
できる、具体的な抗がん剤には、これらに限定されるものではないが、以下のものが含ま
れる:アシビシン;アクラルビシン;アコダゾール塩酸塩;アクロニン;アドゼレシン;
アドリアマイシン;アドルシル;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;
酢酸アメタントロン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギ
ナーゼ(例えば;エルウィニア・クリサン(Erwinia chrysan)からのも
の;Erwinaze);アスペルリン;アバスチン(ベバシズマブ);アザシチジン;
アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;ビサントレン
塩酸塩;メシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;ブレオマイシン硫酸塩;ブレキナルナトリ
ウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カ
ルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;カルビシン塩酸塩;カルゼレシン;セデフ
ィンゴール;セレコキシブ(COX-2阻害剤);セルビジン;クロラムブシル;シロレ
マイシン;シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド
;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;ダウノルビシン塩酸塩;デシタビン;
デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドセタキセ
ル;ドキソルビシン;ドキソルビシン塩酸塩;ドロロキシフェン;ドロロキシフェンクエ
ン酸塩;プロピオン酸ドロモスタノロン;ジュアゾマイシン;エダトレキサート;エフロ
ルニチン(eflomithine)塩酸塩;エルサミトルシン;Elspar;エンロ
プラチン;エンプロマート;エピプロピジン;エピルビシン塩酸塩;エルブロゾール;エ
ソルビシン塩酸塩;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸エステルナトリウム;エ
タニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;Etopophos;エトプリン;ファ
ドロゾール塩酸塩;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;フルダラビンリ
ン酸エステル;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリ
ウム;ゲムシタビン;ゲムシタビン塩酸塩;ヒドロキシ尿素;Idamycin;イダル
ビシン塩酸塩;イホスファミド;イルモホシン;イプロプラチン;イリノテカン;イリノ
テカン塩酸塩;ランレオチド酢酸塩;レトロゾール;リュープロリド酢酸塩;リアロゾー
ル塩酸塩;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;ロソキサントロン塩酸塩;マソプ
ロコール;メイタンシン;メクロレタミン塩酸塩;メゲストロール酢酸エステル;メレン
ゲストロール酢酸エステル;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキ
サート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカ
ルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミト
タン;ミトキサントロン塩酸塩;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オ
ルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペグアスパルガーゼ;ペリオマイシン;
ペンタムスチン;ペプロマイシ硫酸塩;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファ
ン;ピロキサントロン塩酸塩;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム
;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;プロカルバジン塩酸塩;Proleukin
;Purinethol;ピューロマイシン;ピューロマイシン塩酸塩;ピラゾフリン;
Rheumatrex;リボプリン;サフィンゴール;サフィンゴール塩酸塩;セムスチ
ン;シムトラゼン;スパルホサートナトリウム;スパルソマイシン;スピロゲルマニウム
塩酸塩;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;ス
ロフェヌル;Tabloid;タリソマイシン;テコガランナトリウム;タキソテール;
テガフール;テロキサントロン塩酸塩;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テ
ストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;
Toposar;トレミフェンクエン酸塩;酢酸トレストロン;Trexall;リン酸
トリシリビン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン
;ツブロゾール塩酸塩;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィ
ン;ビンブラスチン硫酸塩;ビンクリスチン硫酸塩;ビンデシン;ビンデシン硫酸塩;ビ
ネピジン硫酸塩;硫酸ビングリシナート;硫酸ビンロイロシン;ビノレルビン酒石酸塩;
硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;およ
びゾルビシン塩酸塩。
【0411】
他の抗がん薬には、これらに限定されるものではないが、以下のものが含まれる:20
-epi-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-アザシチジン;5-エチニルウラシ
ル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;
アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;ア
ミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレ
リド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;ア
ンタゴニストG;アンタレリックス;抗背側化形態形成タンパク質-1;抗アンドロゲン
剤;前立腺癌;抗エストロゲン剤;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオ
チド;グリシン酸アフィディコリン;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス
調節因子;アプリン酸;ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;ア
スラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2
;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII
誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン
;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータ-アレチン;ベタクラマ
イシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニ
ルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフラート;ブロピリミ
ン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カ
ンプトサール(Camptoとも呼ばれる;イリノテカン)カンプトテシン誘導体;カペ
シタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;C
aRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナー
ゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;CC-122;CC-220;CC-48
6;セクロピンB;セトロレリクス;クロリン(chlorlns);クロロキノキサリ
ンスルホンアミド;シカプロスト;シス-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類
似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA
4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クランベスシジン816;クリスナトール
;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタアントラ
キノン;シクロプラタム(cycloplatam);シペマイシン;シタラビンオクホ
スファート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ(dacliximab)
;デシタビン;デヒドロジデムニン(dehydrodidenmin)B;デスロレリ
ン;デキサメタゾン;デキシホスファミド(dexifosfamide);デクスラゾ
キサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルス
ペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;ジヒドロタキソール,9-;ジオキサマイシン
;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフル
リジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA
;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメ
ン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲ
ンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキ
セメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィ
ナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン(例え
ば、Fludara);フルオロダウノルビシン(fluorodaunorunici
n)塩酸塩;ホルフェニメクス;ホルメスタン;ホストリエシン;ホテムスチン;ガドリ
ニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害
剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレン
ビスアセトアミド;ホモハリントニン(HHT、オマセタキシンメペスクシナート);ヒ
ペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホ
シン;イロマスタット;イマチニブ(例えば、GLEEVEC(登録商標));イミキモ
ド;免疫賦活ペプチド;インスリン様増殖因子-1受容体阻害剤;インターフェロンアゴ
ニスト;インターフェロン;インターロイキン;ヨーベングアン;ヨードドキソルビシン
;イポメアノール,4-;イロプラクト(iroplact);イルソグラジン;イソベ
ンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリ
ドF;ラメラリンN三酢酸塩;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レ
ンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病抑制因子;白血球アルファインター
フェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾ
ール;リアロゾール;直鎖状ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物
;リッソクリナミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;
ロソキサントロン;ロキソリビン;ルートテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィ
リン;細胞溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプ
ロコール;マスピン;マトリライシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤
;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻
害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール
;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞増殖因子-サポリン
;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;抗EGFR抗体(例えば、Er
bitux(セツキシマブ));抗CD19抗体;抗CD20抗体(例えば、リツキシマ
ブ);抗CS-1抗体(例えば、エロツズマブ(BMS/AbbVie));抗CD38
抗体(例えば、ダラツムマブ(Genmab/Janssen Biotech);抗C
D138抗体(例えば、インダツキシマブ(Biotest AG Dreieich)
);抗PD-1抗体;抗PD-L1抗体(例えば、デュルバルマブ(AstraZene
ca));抗NKG2A抗体(例えば、モナリズマブ(IPH2201;Innate
Pharma));抗DLL4抗体(例えば、デミシズマブ(Oncomed/Celg
ene));抗DLL4・抗VEGF二重特異性抗体;抗RSPO3抗体;抗TIGIT
抗体;ICOSアゴニスト抗体;抗ジシアロガングリオシド(GD2)抗体(例えば、モ
ノクローナル抗体3F8またはch14.18);抗ErbB2抗体(例えば、ハーセプ
チン);ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+マイコバクテリウム細胞
壁sk;モピダモール;マスタード抗がん剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリア細
胞壁抽出物;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N-置換ベンズアミド;ナファレリ
ン;ナグレスティップ(nagrestip);ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン(
napavin);ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネ
リドロン酸;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレーター;窒素酸化物抗酸化
剤;ニトルリン(nitrullyn);オブリメルセン(GENASENSE(登録商
標));O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;
オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘
導剤;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン(例えば、Floxatin);
オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;
パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフ
ェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペグアスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリ
硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール(pentrozole);パーフル
ブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニル酢酸;
ホスファターゼ阻害剤;ピシバニル;ピロカルピン塩酸塩;ピラルビシン;ピリトレキシ
ム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金錯体;白金
化合物;白金-トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレド
ニゾン;プロピルビスアクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プ
ロテインA系免疫調節物質;プロテインキナーゼC阻害剤;微細藻類の、プロテインキナ
ーゼC阻害剤;プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリ
ラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキ
シエチレンコンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;
rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GA
P阻害剤;脱メチル化されたレテリプチン;レニウムRe 186エチドロネート;リゾ
キシン;リボザイム;RIIレチナミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメクス;ルビ
キノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィト
ールA;サルグラモスチム;Sdi 1模倣物;セムスチン;老化由来阻害剤1;センス
オリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シゾフィラン;ソブゾキサン;ボロカプテイ
トナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール(solverol);ソマトメ
ジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;
スプレノペンチン;スポンギスタチン1;スクアラミン;スチピアミド;ストロメリシン
阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作動性腸管ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ(
suradista);スラミン;スワインソニン;タリムスチン;タモキシフェンメチ
オジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリ
リウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テニポシド;テトラクロロデカオキシド
;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン
模倣物;チマルファシン;チモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホ
ルモン;エチルエチオプルプリンすず;チラパザミン;チタノセンビクロリド(bich
loride);トプセンチン;トレミフェン;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチ
ルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツ
ロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チロホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;泌
尿生殖器洞由来増殖阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリ
オリンB;Vectibix(パニツムマブ)ベラレゾール;ベラミン;ベルジン;ベル
テポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン(vinxaltine);ビタキシン;
ボロゾール;Welcovorin(ロイコボリン);Xeloda(カペシタビン);
ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;およびジノスタチンスチマラマー。
【0412】
本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段
階法を使用して製造されたNK細胞集団を使用する、がんを有する個体の処置は、1つま
たは複数の免疫チェックポイントモジュレーターを含む抗がん治療レジメンの一部になる
ことができる。ある特定の実施形態では、免疫チェックポイントモジュレーターは、免疫
チェックポイント分子、例えば、CD28、OX40、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊
死因子受容体関連タンパク質(GITR)、CD137(4-1BB)、CD27、ヘル
ペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメ
イン含有-3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、細胞傷害性Tリ
ンパ球関連抗原-4(CTLA-4)、T細胞活性化のVドメイン免疫グロブリンサプレ
ッサー(VISTA)、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、PD-1、
ならびに/またはPD-L1を調節する。ある特定の実施形態では、免疫チェックポイン
ト分子は、抗体またはその抗原結合断片である。
【0413】
ある特定の実施形態では、免疫チェックポイントモジュレーターは、免疫チェックポイ
ント分子のアゴニストである。ある特定の実施形態では、免疫チェックポイント分子は、
CD28、OX40、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体関連タンパク質(G
ITR)、CD137(4-1BB)、CD27、ICOS(CD278);誘導性T細
胞共刺激分子)および/またはヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)である
。ある特定の実施形態では、免疫チェックポイントモジュレーターは、抗体またはその抗
原結合断片である。
【0414】
ある特定の実施形態では、免疫チェックポイントモジュレーターは、免疫チェックポイ
ント分子のアンタゴニストである。ある特定の実施形態では、免疫チェックポイント分子
は、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有-3(TIM-3)、リンパ球活性
化遺伝子3(LAG-3)、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原-4(CTLA-4)、T細
胞活性化のVドメイン免疫グロブリンサプレッサー(VISTA)、BおよびTリンパ球
アテニュエーター(BTLA)、PD-1、ならびに/またはPD-L1である。ある特
定の実施形態では、免疫チェックポイントモジュレーターは、抗体またはその抗原結合断
片である。
【0415】
ある特定の実施形態では、免疫チェックポイントモジュレーターは、抗体またはその抗
原結合断片である。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗体結合断片は、PD-1
に結合する。ある特定の実施形態では、PD-1に結合する抗体またはその抗体結合断片
は、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標)、BMS-936558、MDX-1106
、ONO-4538;Bristol-Myers Squibb、小野薬品工業株式会
社)、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、ランブロリズマブ、MK-3
475;Merck)、ピディリズマブ(CT-011;Curetech、Mediv
ation);MEDI0680(AMP-514;MedImmune、AstraZ
eneca);PDR-001(Novartis)、SHR1210、またはINCS
HR1210;Incyte、Jiangsu Hengrui)である。ある特定の実
施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、PD-L1に結合する。ある特定の実施形
態では、PD-L1に結合する抗体またはその抗原結合断片は、デュルバルマブ(MED
I4736;MedImmune、AstraZeneca)、BMS-936559(
MDX-1105;Bristol-Myers Squibb)、アベルマブ(MSB
0010718C;Merck Serono、Pfizer)、またはアテゾリズマブ
(MPDL-3280A;Genentech、Roche)である。ある特定の実施形
態では、抗体またはその抗体結合断片は、LAG-3に結合する。ある特定の実施形態で
は、LAG-3に結合する抗体またはその抗体結合断片は、BMS-986016(Br
istol-Myers Squibb)、GSK2831781(GlaxoSmit
hKline)、またはLAG525(Novartis)である。ある特定の実施形態
では、抗体またはその抗体結合断片は、CTLA-4に結合する。ある特定の実施形態で
は、CTLA-4に結合する抗体またはその抗体結合断片は、イピリムマブ(YERVO
Y(商標)、BMS-734016、MDX010、MDX-101;Bristol-
Myers Squibb)、またはトレメリムマブ(CP-675,206;MedI
mmune、AstraZeneca)である。ある特定の実施形態では、抗体またはそ
の抗体結合断片は、OX40に結合する。ある特定の実施形態では、OX40に結合する
抗体またはその抗体結合断片は、MEDI6469(MedImmune、AstraZ
eneca)、MEDI0562(MedImmune、AstraZeneca)、ま
たはKHK4083(協和発酵キリン株式会社)である。ある特定の実施形態では、抗体
またはその抗体結合断片は、GITRに結合する。ある特定の実施形態では、GITRに
結合する抗体またはその抗体結合断片は、TRX518(Leap Therapeut
ics)またはMEDI1873(MedImmune、AstraZeneca)であ
る。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗体結合断片は、CD137(4-1BB
)に結合する。ある特定の実施形態では、CD137(4-1BB)に結合する抗体また
はその抗体結合断片は、PF-2566(PF-05082566;Pfizer)、ま
たはウレルマブ(BMS-663513;Bristol-Myers Squibb)
である。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗体結合断片は、CD27に結合する
。ある特定の実施形態では、CD27に結合する抗体またはその抗体結合断片は、バルリ
ルマブ(varilumab)(CDX-1127;Celldex Therapie
s)である。
【0416】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例え
ば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を使用する、がんを有
する個体の処置は、レナリドミドまたはポマリドミドを含む抗がん治療レジメンの一部で
ある。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、
例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を使用する、がん
を有する個体の処置は、HDAC阻害剤を含む抗がん治療レジメンの一部である。ある特
定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明
細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を使用する、がんを有する個体
の処置は、抗CS-1抗体を含む抗がん治療レジメンの一部である。ある特定の実施形態
では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の
3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を使用する、がんを有する個体の処置は、抗
CD38抗体を含む抗がん治療レジメンの一部である。ある特定の実施形態では、本明細
書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使
用して製造されたNK細胞集団を使用する、がんを有する個体の処置は、抗CD138抗
体を含む抗がん治療レジメンの一部である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の
方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造
されたNK細胞集団を使用する、がんを有する個体の処置は、抗PD-1抗体を含む抗が
ん治療レジメンの一部である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用し
て製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細
胞集団を使用する、がんを有する個体の処置は、抗PD-L1抗体を含む抗がん治療レジ
メンの一部である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造され
たNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を使
用する、がんを有する個体の処置は、抗NKG2A抗体を含む抗がん治療レジメンの一部
である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞
、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を使用する、が
んを有する個体の処置は、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ、RITUXAN(登
録商標))を含む抗がん治療レジメンの一部である。ある特定の実施形態では、本明細書
に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用
して製造されたNK細胞集団を使用する、がんを有する個体の処置は、CC-122を含
む抗がん治療レジメンの一部である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を
使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された
NK細胞集団を使用する、がんを有する個体の処置は、CC-220を含む抗がん治療レ
ジメンの一部である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造さ
れたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を
使用する、がんを有する個体の処置は、抗DLL4抗体(例えば、デミシズマブ)を含む
抗がん治療レジメンの一部である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使
用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたN
K細胞集団を使用する、がんを有する個体の処置は、抗DLL4抗体・抗VEGF二重特
異性抗体を含む抗がん治療レジメンの一部である。ある特定の実施形態では、本明細書に
記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用し
て製造されたNK細胞集団を使用する、がんを有する個体の処置は、抗RSPO3抗体を
含む抗がん治療レジメンの一部である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法
を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造され
たNK細胞集団を使用する、がんを有する個体の処置は、抗TIGIT抗体を含む抗がん
治療レジメンの一部である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して
製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞
集団を使用する、がんを有する個体の処置は、ICOSアゴニスト抗体を含む抗がん治療
レジメンの一部である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造
されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団
を使用する、がんを有する個体の処置は、ホモハリントニン(例えば、オマセタキシンメ
ペスクシナート)を含む抗がん治療レジメンの一部である。
【0417】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞を使用する
、がんを有する個体の処置は、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)についての抗
がん治療レジメンの一部である。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して
製造されたILC3細胞を使用する、がんを有する個体の処置は、抗体依存性細胞介在性
細胞傷害(ADCC)についての抗がん治療レジメンの一部である。一実施形態では、A
DCCレジメンは、本明細書に記載の方法を使用し製造されたNK細胞および/またはI
LC3細胞と併用での1つまたは複数の抗体(例えば、上段に記載の抗体)の投与を含む
。急性リンパ芽球性白血病(ALL)または他のB細胞悪性腫瘍(リンパ腫および白血病
)、神経芽腫、黒色腫、乳がんおよび頭頸部がんを含むがこれらに限定されない、いくつ
かの型のがんを、そのようなADCC法を使用して処置することができる。具体的な実施
形態では、ADCC療法は、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および
/またはILC3細胞と併用での、次の抗体のうちの1つまたは複数の投与を含む:抗E
GFR抗体(例えば、Erbitux(セツキシマブ))、抗CD19抗体、抗CD20
抗体(例えば、リツキシマブ)、抗ジシアロガングリオシド(GD2)抗体(例えば、モ
ノクローナル抗体3F8もしくはch14.18)、または抗ErB2抗体(例えば、ハ
ーセプチン)。一実施形態では、ADCCレジメンは、本明細書に記載の方法を使用し製
造されたNK細胞および/またはILC3細胞と併用での抗CD33抗体の投与を含む。
一実施形態では、ADCCレジメンは、本明細書に記載の方法を使用し製造されたNK細
胞および/またはILC3細胞と併用での抗CD20抗体の投与を含む。一実施形態では
、ADCCレジメンは、本明細書に記載の方法を使用し製造されたNK細胞および/また
はILC3細胞と併用での抗CD138抗体の投与を含む。一実施形態では、ADCCレ
ジメンは、本明細書に記載の方法を使用し製造されたNK細胞および/またはILC3細
胞と併用での抗CD32抗体の投与を含む。
【0418】
5.11.4.ウイルス感染症の処置
別の実施形態では、ウイルス感染症を有する個体を処置する方法であって、治療有効量
の、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載する
3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を前記個体に投与することを含む方法が本明
細書で提供される。別の実施形態では、ウイルス感染症を有する個体を処置する方法であ
って、治療有効量の、本明細書に記載の方法を使用して製造されたILC3細胞、例えば
、本明細書に記載する3段階法を使用して製造されたILC3細胞集団を前記個体に投与
することを含む方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、個体は、ナチュ
ラルキラー細胞の欠乏、例えば、個体のウイルス感染症に対して活性のNK細胞または他
の自然リンパ球系細胞の欠乏を有する。ある特定の具体的な実施形態では、前記投与は、
単離された胎盤潅流液、単離された胎盤潅流液細胞、単離されたナチュラルキラー細胞、
例えば胎盤ナチュラルキラー細胞、例えば胎盤由来の中間ナチュラルキラー細胞、単離さ
れた混合ナチュラルキラー細胞、および/またはこれらの組合せのうちの1つまたは複数
を個体に投与することをさらに含む。ある特定の具体的な実施形態では、本明細書に記載
の方法を使用して製造されたNK細胞および/またはILC3細胞を、前記投与の前に、
免疫調節化合物、例えば、上記の免疫調節化合物、またはサリドマイドと接触または近接
させる。ある特定の他の具体的な実施形態では、前記投与は、本明細書に記載の方法を使
用して製造された前記NK細胞および/またはILC3細胞に加えて、免疫調節化合物、
例えば、上記の免疫調節化合物、またはサリドマイドを前記個体に投与することを含み、
前記量は、例えば、前記ウイルス感染症の1つもしくは複数の症状の検出可能な改善、そ
のような症状の進行の緩和、またはそのような症状の除去をもたらす量である。具体的な
実施形態では、ウイルス感染症は、アデノウイルス科、ピコルナウイルス科、ヘルペスウ
イルス科、ヘパドナウイルス科、フラビウイルス科、レトロウイルス科、オルトミクソウ
イルス科、パラミクソウイルス科、パピローマウイルス科(Papilommaviri
dae)、ラブドウイルス科、またはトガウイルス科のウイルスによる感染症である。よ
り具体的な実施形態では、前記ウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、コクサッ
キーウイルス、A型肝炎ウイルス(HAV)、ポリオウイルス、エプスタイン・バーウイ
ルス(EBV)、単純ヘルペス1型(HSV1)、単純ヘルペス2型(HSV2)、ヒト
サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス8型(HHV8)、帯状疱疹(
herpes zoster virus)ウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)
もしくは帯状疱疹(shingles)ウイルス)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型
肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)、
インフルエンザウイルス(例えば、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウ
イルス、C型インフルエンザウイルス、もしくはソゴトウイルス)、麻疹ウイルス、ムン
プスウイルス、パラインフルエンザウイルス、パピローマウイルス、狂犬病ウイルス、ま
たは風疹ウイルスである。
【0419】
他のより具体的な実施形態では、前記ウイルスは、アデノウイルスA種、血清型12、
18もしくは31;アデノウイルスB種、血清型3、7、11、14、16、34、35
もしくは50;アデノウイルスC種、血清型1、2、5もしくは6;D種、血清型8、9
、10、13、15、17、19、20、22、23、24、25、26、27、28、
29、30、32、33、36、37、38、39、42、43、44、45、46、4
7、48、49もしくは51;E種、血清型4;またはF種、血清型40もしくは41で
ある。
【0420】
ある特定の他のより具体的な実施形態では、ウイルスは、アポイウイルス(APOIV
)、アロア(Aroa)ウイルス(AROAV)、バガザ(bagaza)ウイルス(B
AGV)、バンジウイルス(BANV)、ボウボイ(Bouboui)ウイルス(BOU
V)、カシパコア(Cacipacore)ウイルス(CPCV)、カレー島ウイルス(
CIV)、カウボーンリッジウイルス(CRV)、デングウイルス(DENV)、エッジ
ヒルウイルス(EHV)、ガジェッツガリー(Gadgets Gully)ウイルス(
GGYV)、イリェウスウイルス(ILHV)、イスラエルシチメンチョウ髄膜脳脊髄炎
ウイルス(ITV)、日本脳炎ウイルス(JEV)、ジュグラウイルス(JUGV)、フ
ティアパウイルス(JUTV)、カダムウイルス(KADV)、ケドウゴウウイルス(K
EDV)、ココベラウイルス(KOKV)、クタンゴウイルス(KOUV)、キャサヌー
ル森林病ウイルス(KFDV)、ランガットウイルス(LGTV)、メアバンウイルス(
MEAV)、モドックウイルス(MODV)、モンタナ筋炎白質脳炎ウイルス(MMLV
)、マレー渓谷脳炎ウイルス(MVEV)、ウンタヤウイルス(NTAV)、オムスク出
血熱ウイルス(OHFV)、ポワサンウイルス(POWV)、リオブラボーウイルス(R
BV)、ロイヤルファームウイルス(RFV)、サボヤウイルス(SABV)、セントル
イス脳炎ウイルス(SLEV)、サル・ヴィエジャウイルス(SVV)、サン・パーリー
タウイルス(SPV)、ソマレズリーフ(Saumarez Reef)ウイルス(SR
EV)、セピック(Sepik)ウイルス(SEPV)、テンブスウイルス(TMUV)
、マダニ媒介脳炎ウイルス(TBEV)、チューレーニーウイルス(TYUV)、ウガン
ダSウイルス(UGSV)、ウスツウイルス(USUV)、ウェッセルスブロンウイルス
(WESSV)、ウエストナイルウイルス(WNV)、ヤウンデウイルス(YAOV)、
黄熱病ウイルス(YFV)、ヨコセウイルス(YOKV)、またはジカウイルス(ZIK
V)である。
【0421】
他の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、ならびに任
意選択で胎盤潅流液および/または潅流液細胞は、1つまたは複数の他の抗ウイルス剤を
含む抗ウイルス治療レジメンの一部として、ウイルス感染症を有する個体に投与される。
ウイルス感染症を有する個体に投与することができる具体的な抗ウイルス剤としては、イ
ミキモド、ポドフィロックス、ポドフィリン、インターフェロンアルファ(IFNα)、
レチコロス(reticolos)、ノノキシノール-9、アシクロビル、ファムシクロ
ビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、シドホビル;アマンタジン、リマンタジン;リ
バビリン;ザナマビル(zanamivir)およびオセルタミビル(oseltaum
avir);プロテアーゼ阻害剤類、例えば、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビ
ルもしくはサキナビル;ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤類、例えば、ジダノシン、ラミブ
ジン、スタブジン、ザルシタビンもしくはジドブジン;および非ヌクレオシド逆転写酵素
阻害剤類、例えば、ネビラピンもしくはエファビレンツが挙げられるが、これらに限定さ
れない。
【0422】
5.11.5.ILC3細胞についての他の処置使用
本明細書で提供されるすべての方法において使用することができるILC3細胞が本明
細書で提供される。ILC3細胞を使用することができる例示的方法は、下記の態様で開
示される。
【0423】
別の態様では、化学療法後に消化管を修復する方法であって、複数のILC3細胞を個
体に投与することを含み、前記ILC3細胞が本明細書に記載の3段階法によるものであ
る、方法が本明細書で提供される。
【0424】
別の態様では、放射線から個体を保護する方法であって、複数のILC3細胞を個体に
投与することを含み、前記ILC3細胞が本明細書に記載の3段階法により製造されたも
のである、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、前記ILC3細胞は
、骨髄移植の補助剤として使用される。
【0425】
別の態様では、個体の胸腺を再構成する方法であって、複数のILC3細胞を個体に投
与することを含み、前記ILC3細胞が本明細書に記載の3段階法により製造されたもの
である、方法が本明細書で提供される。
【0426】
別の態様では、個体における病原体に対する防御免疫を促進する方法であって、複数の
ILC3細胞を個体に投与することを含み、前記ILC3細胞が本明細書に記載の3段階
法により製造されたものである、方法が本明細書で提供される。ある特定の態様では、病
原体に対する防御免疫の促進は、腸管感染症を処置するために行われる。ある特定の態様
では、病原体に対する防御免疫の促進は、腸管感染症を予防するために行われる。ある特
定の態様では、腸管感染症は、シトロバクター・ローデンチウム(Citrobacte
r rodentium)である。
【0427】
別の態様では、腫瘍拒絶方法であって、複数のILC3細胞を個体に投与することを含
み、前記ILC3細胞が本明細書に記載の3段階法により製造されたものである、方法が
本明細書で提供される。
【0428】
別の態様では、臓器形成中に組織の完全性を維持する方法であって、複数のILC3細
胞を個体に投与することを含み、前記ILC3細胞が本明細書に記載の3段階法により製
造されたものである、方法が本明細書で提供される。
【0429】
別の態様では、組織修復方法であって、複数のILC3細胞を個体に投与することを含
み、前記ILC3細胞が本明細書に記載の3段階法により製造されたものである、方法が
本明細書で提供される。
【0430】
別の態様では、炎症調節方法であって、複数のILC3細胞を個体に投与することを含
み、前記ILC3細胞が本明細書に記載の3段階法により製造されたものである、方法が
本明細書で提供される。
【0431】
5.11.6.投与
細胞、例えば、胎盤潅流液細胞、例えば、胎盤潅流液からの有核細胞、混合ナチュラル
キラー細胞、ILC3細胞および/または単離されたナチュラルキラー細胞、例えば本明
細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団の数の決定と、免疫調節化合物
、例えば免疫調節化合物、またはサリドマイドの量の決定とを、互いに独立に行うことが
できる。
【0432】
NK細胞および/もしくはILC3細胞の単離された集団またはその医薬組成物の投与
は、全身的であってもよく、または局所的であってもよい。具体的な実施形態では、投与
は、非経口的である。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞および/もしくはILC
3細胞の単離された集団またはその医薬組成物の投与は、注射、注入、静脈内(IV)投
与、大腿内投与、または腫瘍内投与による。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞お
よび/もしくはILC3細胞の単離された集団またはその医薬組成物の投与は、デバイス
、マトリックスまたは足場を用いて行われる。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞
および/もしくはILC3細胞の単離された集団またはその医薬組成物の投与は、注射に
よる。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞および/もしくはILC3細胞の単離さ
れた集団またはその医薬組成物の投与は、カテーテルによる。具体的な実施形態では、N
K細胞および/またはILC3細胞の注射は、局所注射である。より具体的な実施形態で
は、局所注射は、充実性腫瘍(例えば、肉腫)中への直接的注射である。具体的な実施形
態では、対象へのNK細胞および/もしくはILC3細胞の単離された集団またはその医
薬組成物の投与は、注射器による注射による。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞
および/もしくはILC3細胞の単離された集団またはその医薬組成物の投与は、誘導送
達による。具体的な実施形態では、注射による対象へのNK細胞および/もしくはILC
3細胞の単離された集団またはその医薬組成物の投与は、腹腔鏡検査、内視鏡検査、超音
波、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴、または放射線学により補助される。
【0433】
5.11.6.1.細胞の投与
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および
/またはILC3細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細
胞および/またはILC3細胞集団は、ウイルス感染症、がん、または腫瘍細胞を有する
個体、例えば、腫瘍細胞、充実性腫瘍または血液がんを有する個体、例えばがん患者、に
対する検出可能な治療上の利点をもたらす任意の量または数、例えば有効量で、前記個体
に使用、例えば投与される。そのような細胞をそのような個体に細胞の絶対数により投与
することができ、例えば、前記個体に、約、少なくとも約、または最大で約1×105、
5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×10
8、1×109、5×109、1×1010、5×1010、または1×1011個の、
本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/またはILC3細胞を投与
することができる。他の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK
細胞および/またはILC3細胞をそのような個体に細胞の相対数により投与することが
でき、例えば、前記個体に、前記個体の1キログラム当たり、約、少なくとも約、または
最大で約1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、
1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、また
は1×1011個の、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/また
はILC3細胞を投与することができる。他の実施形態では、本明細書に記載の方法を使
用して製造されたNK細胞および/またはILC3細胞をそのような個体に細胞の相対数
により投与することができ、例えば、前記個体に、前記個体の1キログラム当たり、約、
少なくとも約、または最大で約1×105、5×105、1×106、5×106、1×
107、5×107、1×108、または5×108個の、本明細書に記載の方法を使用
して製造されたNK細胞および/またはILC3細胞を投与することができる。本明細書
に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/またはILC3細胞を、そのような
個体に、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/またはILC3細
胞ならびに任意選択で胎盤潅流液細胞および/またはナチュラルキラー細胞(本明細書に
記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/またはILC3細胞以外のもの)の数
と、前記個体における腫瘍細胞の数(例えば、推定数)との近似比に従って投与すること
ができる。例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/または
ILC3細胞を、前記個体における腫瘍細胞の数に対して約、少なくとも約、または最大
で約1:1、1:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10
:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50
:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90
:1、95:1または100:1の比で、前記個体に投与することができる。そのような
個体における腫瘍細胞の数は、例えば、個体に由来する組織の試料、例えば、血液試料、
生検試料などにおける腫瘍細胞の数を計数することにより、推定することができる。例え
ば充実性腫瘍についての、具体的な実施形態では、前記計数は、近似腫瘍量を得るために
腫瘍(単数または複数)の撮像と組み合わせて行われる。具体的な実施形態では、免疫調
節化合物またはサリドマイド、例えば、有効量の免疫調節化合物またはサリドマイドが、
本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/またはILC3細胞、任意
選択で胎盤潅流液細胞および/またはナチュラルキラー細胞(本明細書に記載の方法を使
用して製造されたNK細胞および/またはILC3細胞以外のもの)に加えて、個体に投
与される。
【0434】
ある特定の実施形態では、腫瘍細胞の増殖を例えば個体において抑制する方法;自身の
ナチュラルキラー細胞の欠乏を有する個体の処置の方法;またはウイルス感染症を有する
個体の処置の方法;またはがんを有する個体、例えば、腫瘍細胞、血液がんもしくは充実
性腫瘍を有する個体の処置の方法は、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細
胞および/またはILC3細胞と胎盤潅流液および/または胎盤潅流液細胞の1つまたは
複数との組合せと、腫瘍細胞を近接させること、またはそのような組合せを前記個体に投
与することを含む。具体的な実施形態では、方法は、腫瘍細胞を免疫調節化合物もしくは
サリドマイドと近接させること、または前記個体に免疫調節化合物もしくはサリドマイド
を投与することをさらに含む。
【0435】
具体的な実施形態では、例えば、自身のナチュラルキラー細胞の欠乏(例えば、NK細
胞数の欠乏、またはがん、腫瘍もしくはウイルス感染細胞に対するNK細胞の反応性の欠
乏)を有する個体の処置、またはがんもしくはウイルス感染症を有する個体の処置、また
は腫瘍細胞増殖の抑制は、単離された胎盤潅流液細胞もしくは胎盤潅流液が補充された、
本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/もしくはILC3細胞を、
前記腫瘍細胞と近接させること、またはそのようなNK細胞および/もしくはILC3細
胞を前記個体に投与することを含む。具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法を使
用して製造された、1ミリリットル当たり約1×104、5×104、1×105、5×
105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108個
以上のNK細胞、または本明細書に記載の方法を使用して製造された1×104、5×1
04、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1
×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1
011個以上のNK細胞に、1ミリリットル当たり約、もしくは少なくとも約1×104
、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×1
07、1×108、5×108個以上の単離された胎盤潅流液細胞、または1×104、
5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×10
7、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、
1×1011個以上の単離された胎盤潅流液細胞が補充される。他のより具体的な実施形
態では、本明細書に記載の方法を使用して製造された約1×104、5×104、1×1
05、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5
×108個以上のNK細胞、または本明細書に記載の方法を使用して製造された1×10
4、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×
107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×101
0、1×1011個以上のNK細胞に、約、もしくは少なくとも約1、2、3、4、5、
6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60
、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、30
0、350、400、450、500、550、600、650、700、750、80
0、850、900、950または1000mLの潅流液、または約1単位の潅流液が補
充される。
【0436】
別の具体的な実施形態では、自身のナチュラルキラー細胞の欠乏を有する個体の処置;
がんを有する個体の処置;ウイルス感染症を有する個体の処置;または腫瘍細胞増殖の抑
制は、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/もしくはILC3細
胞と腫瘍細胞を近接させること、またはそのようなNK細胞および/もしくはILC3細
胞を個体に投与することを含み、この場合、前記細胞に、接着胎盤細胞、例えば、接着胎
盤幹細胞または複能性細胞、例えば、CD34-、CD10+、CD105+、CD20
0+組織培養プラスチック接着胎盤細胞が補充される。具体的な実施形態では、本明細書
に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/またはILC3細胞に、1ミリリッ
トル当たり約1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×10
6、1×107、5×107、1×108、5×108個以上の接着胎盤幹細胞、または
1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×10
7、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5
×1010、1×1011個以上の接着胎盤細胞、例えば、接着胎盤幹細胞もしくは複能
性細胞が補充される。
【0437】
別の具体的な態様では、自身のナチュラルキラー細胞の欠乏を有する個体の処置;がん
を有する個体の処置;ウイルス感染症を有する個体の処置;または腫瘍細胞増殖の抑制は
、免疫調節化合物またはサリドマイドと、本明細書に記載の方法を使用して製造されたN
K細胞および/またはILC3細胞とを併用して行われ、この場合、前記細胞に、条件培
地、例えば、CD34-、CD10+、CD105+、CD200+組織培養プラスチッ
ク接着胎盤細胞により条件付けられた培地、例えば、潅流液1単位当たり、または本明細
書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/もしくはILC3細胞104、1
05、106、107、108、109、1010、もしくは1011個当たり、0.1
、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.1、0.8、0.9、1、2、3、4
、5、6、7、8、9、10mLの幹細胞条件培養培地が補充される。ある特定の実施形
態では、組織培養プラスチック接着胎盤細胞は、(特許文献8)および(特許文献15)
に記載されている複能性接着胎盤細胞であり、前記特許文献の開示は、それら全体が参照
により本明細書に組み入れられている。別の具体的な実施形態では、方法は、腫瘍細胞を
免疫調節化合物もしくはサリドマイドと近接させること、または個体に免疫調節化合物も
しくはサリドマイドを投与することをさらに含む。
【0438】
本明細書に記載の方法を使用して製造された前記NK細胞および/またはILC3細胞
に胎盤潅流液細胞が補充される、自身のナチュラルキラー細胞の欠乏を有する個体の処置
、がんを有する個体の処置、ウイルス感染症を有する個体の処置、または腫瘍細胞増殖の
抑制である、別の具体的な実施形態では、潅流液細胞は、前記近接が行われる前に、ある
期間、インターロイキン2(IL-2)と近接される。ある特定の実施形態では、前記期
間は、前記近接を行う前約、少なくとも、または最大で、1、2、3、4、5、6、7、
8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、
34、36、38、40、42、44、46または48時間である。
【0439】
本明細書に記載の方法を使用して製造されるNK細胞および/またはILC3細胞、な
らびに任意選択で潅流液または潅流液細胞は、ウイルス感染症を有する個体、がんを有す
る個体、または腫瘍細胞を有する個体に、抗がん治療の過程で1回投与することができ、
あるいは、治療中に複数回、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11
、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22もしくは23時
間に1回、または1、2、3、4、5、6もしくは7日に1回、または1、2、3、4、
5、6、7、8、9、10、24、36週間以上に1回投与することができる。細胞およ
び免疫調節化合物またはサリドマイドが使用される実施形態では、免疫調節化合物または
サリドマイド、および細胞または潅流液を個体に、一緒に、例えば、同じ製剤で投与する
ことができ、別々に、例えば、別々の製剤で、ほぼ同時に投与することができ、または別
々に、例えば、異なる投薬スケジュールで、もしくはその日の異なる時点で投与すること
ができる。同様に、細胞および抗ウイルス化合物または抗がん化合物が使用される実施形
態では、抗ウイルス化合物または抗がん化合物、および細胞または潅流液を個体に、一緒
に、例えば、同じ製剤で投与することができ、別々に、例えば、別々の製剤で、ほぼ同時
に投与することができ、または別々に、例えば、異なる投薬スケジュールで、もしくはそ
の日の異なる時点で投与することができる。本明細書に記載の方法を使用して製造された
NK細胞および/またはILC3細胞、ならびに潅流液または潅流液細胞を、本明細書に
記載の方法を使用して製造されたNK細胞および/もしくはILC3細胞、潅流液、また
は潅流液細胞が、過去に個体に投与されたことがあるかどうかに関係なく、投与すること
ができる。
【0440】
6.キット
本明細書では、例えば、本明細書に記載の方法によって産生されるNK細胞および/ま
たはILC3細胞、例えば本明細書に記載の3段階法を使用して産生したNK細胞および
/またはILC3細胞集団を含む組成物のような、本明細書に記載の組成物の1つまたは
複数で満たされた1つまたは複数のコンテナを含む医薬パックまたはキットが提供される
。そのようなコンテナに任意選択で付随するのは、医薬品または生物学的製品の製造、使
用または販売を規制する政府機関によって規定された書式の通知であり、その通知は、機
関によるヒトへの投与のための製造、使用または販売の承認を反映するものである。
【0441】
本明細書に包含されるキットは、本明細書に記載の方法、例えば、腫瘍細胞の増殖を抑
制する方法および/または、例えば、血液癌のようながんを治療する方法、および/また
はウイルス感染を治療する方法に従って使用することができる。一実施形態では、キット
は、1つまたは複数のコンテナの中に、本明細書に記載の方法またはその組成物によって
産生されたNK細胞および/またはILC3細胞を含む。具体的な実施形態では、本明細
書に記載の3段階方法によって産生されるNK細胞および/またはILC3細胞集団、ま
たはその組成物を含むキットが本明細書において提供される。
【実施例0442】
7.実施例