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特開2023-171770クロファジミンの吸入可能な組成物およびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171770
(43)【公開日】2023-12-05
(54)【発明の名称】クロファジミンの吸入可能な組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/498 20060101AFI20231128BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231128BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20231128BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20231128BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20231128BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20231128BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231128BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231128BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231128BHJP
   A61P 31/06 20060101ALI20231128BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231128BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
A61K31/498
A61K47/26
A61K9/12
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/72
A61P11/00
A61P29/00
A61P31/04
A61P31/06
A61P35/00
A61K45/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145739
(22)【出願日】2023-09-08
(62)【分割の表示】P 2020539683の分割
【原出願日】2018-10-02
(31)【優先権主張番号】62/566,633
(32)【優先日】2017-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】スマイス ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】ブルノー アシュリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】吸入可能なクロファジミン組成物およびそれらの使用方法を提供する。
【解決手段】0.5~10μmの中央粒径を有する微粉化クロファジミン粒子を含み、10%未満のアモルファス材料を含む、医薬組成物とする。前記組成物をジェットミリングによって生成する方法、また、前記組成物を投与することにより肺疾患を治療する方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.5~10μmの中央粒径を有する微粉化クロファジミン粒子を含み、10%未満のアモルファス材料を含む、医薬組成物。
【請求項2】
実質的に賦形剤を含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
乾燥粉末である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記乾燥粉末が吸入用に製剤化されている、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記微粉化クロファジミン粒子が実質的に結晶性である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記微粉化クロファジミン粒子が結晶性である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
単一の活性成分を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
クロファジミンが単一の活性成分である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
賦形剤を本質的に含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
賦形剤の追加がない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
賦形剤を含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
賦形剤、添加剤、希釈剤、担体、およびアジュバントを含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
糖、滑剤、帯電防止剤、付着防止剤、流動促進剤(glidant)、アミノ酸、ペプチド、界面活性剤、脂質、およびリン脂質の1つまたは複数を含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記アミノ酸が、ロイシン、イソロイシン、リジン、バリン、および/またはメチオニンである、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
DMSO、シクロデキストリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、およびコロイダルシリカを含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
DMSO、シクロデキストリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ステアリン酸マグネシウム、およびコロイダルシリカを含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
ラクトースを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記ラクトースが10重量%までの濃度で存在する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
少なくとも95重量%の前記微粉化クロファジミン粒子を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
少なくとも99重量%の前記微粉化クロファジミン粒子を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項21】
100重量%の前記微粉化クロファジミン粒子を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記微粉化クロファジミン粒子が0.5~5μmの中央粒径を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記微粉化クロファジミン粒子が0.75~4μmの中央粒径を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記微粉化クロファジミン粒子が1~3μmの中央粒径を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記微粉化クロファジミン粒子の少なくとも80%が、1~3μmの体積相当直径を有する、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
1.9~2.3m/gの比表面積を有する、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項27】
32~37の圧縮性指数を有する、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項28】
10~20のハウスナー比を有する、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項29】
15°から30°の応答角を有する、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記微粉化クロファジミン粒子が凝集体を形成する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項31】
少なくとも50%の微粒子画分(FPF)を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項32】
少なくとも60%の微粒子画分(FPF)を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項33】
少なくとも70%の微粒子画分(FPF)を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項34】
0.2%ポリソルベート80溶解媒体を含むリン酸緩衝生理食塩水pH7.4中24時間で30%未満の溶解速度を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項35】
5%未満のアモルファス材料を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項36】
アモルファス材料を実質的に含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項37】
X線回折または示差走査熱量測定によって測定される場合にアモルファス粒子を本質的に含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項38】
リポソームに封入されていない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項39】
ジェットミリングにより生成される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項40】
ジェットミリングがエアジェットミリングとしてさらに規定される、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
噴霧乾燥によっても超音波均質化によっても生成されない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項42】
単位剤形として包装されている、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記単位剤形が、カートリッジ、ブリスター、またはカプセルとしてさらに規定される、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記単位剤形が5~30mgの微粉化クロファジミン粒子を含む、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記単位剤形が、少なくとも10mgの微粉化クロファジミン粒子を含む、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記単位剤形が、少なくとも20mgの微粉化クロファジミン粒子を含む、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記乾燥粉末が乾燥粉末吸入器に装填される、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記乾燥粉末吸入器が単純な乾燥粉末吸入器である、請求項47に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記単純な乾燥粉末吸入器が10個未満の部品を含む、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記単純な乾燥粉末吸入器が、RSO1単回投与乾燥粉末吸入器である、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記乾燥粉末吸入器が、0.01kPa0.5分/Lおよび0.06kPa0.5分/Lの気流抵抗を含む、請求項47~50のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記乾燥粉末吸入器が、0.02kPa0.5/Lおよび0.04kPa0.5分/Lの気流抵抗を含む、請求項47~50のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
請求項1~46のいずれか一項に記載の組成物を含む、乾燥粉末吸入器で使用するための粉末。
【請求項54】
微粉化クロファジミン粒子の単位剤形を含む組成物であって、前記粒子が0.5~10μmの中央粒径を含み、かつ前記組成物が賦形剤を実質的に含まない、前記組成物。
【請求項55】
前記単位剤形が請求項1~41のいずれか一項に記載の組成物を含む、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
前記単位剤形がカートリッジ、ブリスター、またはカプセルに含まれる、請求項54に記載の組成物。
【請求項57】
前記単位剤形が、少なくとも10mgの微粉化クロファジミン粒子を含む、請求項54に記載の組成物。
【請求項58】
前記単位剤形が、少なくとも20mgの微粉化クロファジミン粒子を含む、請求項54に記載の組成物。
【請求項59】
請求項54に記載の単位剤形を含む乾燥粉末吸入器。
【請求項60】
単純な乾燥粉末吸入器である、請求項59に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項61】
前記単純な乾燥粉末吸入器が10個未満の部品を含む、請求項59に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項62】
前記単純な乾燥粉末吸入器が、RSO1単回投与乾燥粉末吸入器である、請求項59に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項63】
0.02kPa0.5分/Lおよび0.04kPa0.5分/Lの気流抵抗を含む、請求項59に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項64】
装置の1回の作動で10~20mgの放出用量を送達する、請求項59に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項65】
装置の1回の作動で5~15mgの微粒子用量を送達する、請求項64に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項66】
前記微粒子用量が、装置の1回の作動での前記放出用量の少なくとも50%である、請求項65に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項67】
前記微粒子用量が、装置の1回の作動での前記放出用量の少なくとも70%である、請求項65に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項68】
装置全体にわたる圧力降下のkPaから1kPaへの変化が、放出用量の25%を超える減少をもたらさない、請求項64に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項69】
装置全体にわたる圧力降下の4kPaから1kPaへの変化が、微粒子用量の15%を超える減少をもたらさない、請求項65に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項70】
(a) 生のクロファジミン結晶を得ること;
(b) 前記生のクロファジミン結晶をジェットミルに供すること;および
(c) 0.5~10μmの中央粒径を有する微粉化クロファジミン粒子を収集すること
を含み、賦形剤の添加を含まない、
請求項1~46のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法。
【請求項71】
前記ジェットミルがエアジェットミルとしてさらに規定される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
溶媒の添加を含まない、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記微粉化クロファジミン粒子を乾燥粉末吸入器に装填することをさらに含む、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記乾燥粉末吸入器が単純な乾燥粉末吸入器である、請求項70に記載の方法。
【請求項75】
請求項1~51のいずれか一項に記載の微粉化クロファジミン粒子組成物の有効量を患者に投与することを含む、前記患者の肺感染症を治療または予防するための方法。
【請求項76】
投与することが、前記微粉化クロファジミン粒子を前記患者の肺に吸入することを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
吸入することが吸入器の使用を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記吸入器が、乾燥粉末吸入器、定量吸入器、またはネブライザーである、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記吸入器が乾燥粉末吸入器である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記肺感染症が細菌感染症である、請求項75に記載の方法。
【請求項81】
前記肺感染症がマイコバクテリア感染症である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記マイコバクテリア感染症が、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)感染症、マイコバクテリウム・アブセサス(Mycobacterium abscesses)感染症、マイコバクテリウム・カンサシ(Mycobacterium kansasii)感染症、またはマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(Mycobacterium avium complex)感染症である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記結核菌が多剤耐性である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記結核菌が広範囲薬物耐性である、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記肺感染症が潜伏感染症である、請求項75に記載の方法。
【請求項86】
前記結核菌感染症が潜伏性である、請求項82に記載の方法。
【請求項87】
前記肺感染症が肺炎である、請求項75に記載の方法。
【請求項88】
前記肺炎がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus)に関連する、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記肺感染症が嚢胞性線維症関連感染症である、請求項75に記載の方法。
【請求項90】
少なくとも1つの第2の治療薬剤を投与することをさらに含む、請求項75に記載の方法。
【請求項91】
前記少なくとも1つの第2の薬剤が、ベダキリン、ピラジナミド、核酸阻害物質、タンパク質合成阻害物質、および細胞エンベロープ阻害物質からなる群から選択される、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記タンパク質合成阻害物質が、リネゾリド、クラリスロマイシン、アミカシン、カナマイシン、カプレオマイシン、またはストレプトマイシンである、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記細胞エンベロープ阻害物質が、エタンブトール、エチオナミド、チオアセチゾン、イソニアジド、イミペネム、クラブラネート、シクロセリン、テリジドン、アモキシシリン、またはプロチオナミドである、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記核酸阻害物質が、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、4-アミノサリチル酸、モキシフロキサシン、オフロキサシン、またはレボフロキサシンである、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記微粉化クロファジミン粒子組成物が2回以上投与される、請求項75に記載の方法。
【請求項96】
前記微粉化クロファジミン粒子組成物が1日1回投与される、請求項75に記載の方法。
【請求項97】
請求項1~51のいずれか一項に記載の微粉化クロファジミン粒子組成物の有効量を患者に投与することを含む、前記患者のがんを治療するための方法。
【請求項98】
前記がんが肺がんである、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
抗がん剤を投与することをさらに含む、請求項97に記載の方法。
【請求項100】
前記抗がん剤が、化学療法、放射線療法、遺伝子療法、外科手術、ホルモン療法、抗血管新生療法、またはサイトカイン療法である、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
投与することが、前記微粉化クロファジミン粒子を前記患者の肺に吸入することを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項102】
吸入することが吸入器の使用を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記吸入器が、乾燥粉末吸入器、定量吸入器、またはネブライザーである、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
前記微粉化クロファジミン粒子組成物が2回以上投与される、請求項97に記載の方法。
【請求項105】
請求項1~51のいずれか1項に記載の微粉化クロファジミン粒子組成物の有効量を患者に投与することを含む、前記患者の肺炎症を軽減するための方法。
【請求項106】
前記肺炎症が喘息、COPD、特発性肺線維症、または嚢胞性線維症に関連する、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
投与することが、前記微粉化クロファジミン粒子を前記患者の肺に吸入することを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項108】
吸入することが吸入器の使用を含む、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記吸入器が、乾燥粉末吸入器、定量吸入器、またはネブライザーである、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記微粉化クロファジミン粒子組成物が2回以上投与される、請求項105に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年10月2日に出願された米国仮出願番号第62/566,633号の優先権の利益を請求し、両出願の内容全体が、本明細書に参考として組み込まれる。
【0002】
1.分野
本発明は、一般的に、免疫学および医学の分野に関する。より具体的には、それは、吸入可能なクロファジミン組成物およびそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
結核に対して使用する新薬の必要が高まっており、またその必要に迫られている。2015年には、世界中で1,040万人の新しい結核患者が報告され、そのうち58万人が多剤耐性結核(MDR-TB)であると考えられる。多剤耐性結核は、リファンピシン、またはリファンピシンとイソニアジドに対して耐性を示す結核菌(M. tuberculosis)による結核と定義されている(世界保健機関、2016)。さらに、世界中のあらゆる地域で、広範囲薬物耐性結核(XDR-TB)の症例が見られる。広範囲薬物耐性結核は、イソニアジドとリファンピシン、フルオロキノロン、または3つの注射可能な第2選択薬(アミカシン、カナマイシン、またはカプレオマイシン)中の少なくとも1つに対して耐性を示す結核菌による結核と定義されている(世界保健機関、2016年)。グローバル化と高負荷地域からの大量移動により、これらの耐性株は広がると予想されている。治療の選択肢が減るにつれ、特に感染部位を標的とすることができる場合、耐性が低く、活性の高い抗感染剤であるクロファジミン(CFZ)などの改質は、耐性結核を克服する可能性のある方法である。このような製剤の開発にはいくつかの課題がある。結核が圧倒的に多い低資源国で効果的に実施されるためには、いかなる可能性のある治療も、費用効果が高くなければならず、かつ輸送と管理が容易でなければならない。さらに、可能性のある治療は、結核菌感染が開始および伝播する肺胞マクロファージに対して高い特異性を示さなければならない(Bloom、1994)。感染性桿菌は小滴として吸入そして肺胞マクロファージによって貪食され、マクロファージの酸性化を制限し、リソソーム融合を制限することにより、不適な細胞内環境を生き残る。慢性感染症では、このメカニズムが細胞内マイコバクテリウムの安定した個体群をもたらす(Russel、2007)。
【0004】
クロファジミンは、弱塩基性のイミノフェナジン系抗生物質で、マイコバクテリウム・レプラエ(Mycobacterium leprae)、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(Mycobacterium avium complex:MAC)、結核菌などのマイコバクテリウムに対し、最小抑制濃度(MIC)が0.125~2 μg/mLの範囲で作用する。(Arbriser et al.,1995,Gangadharam et al.,1992;Lindholm-Levy et al.,1998;Shafran et al.,1996;Kemper et al.,1992;Twomey et al.,1957;Schoen et al.,2011;Diacon et al.,2015;Cavanaugh et al.,2017) 重要なことに、クロファジミンは薬物耐性結核に対する活性を示し、現在、MDR-TBの治療における世界保健機関による二次治療薬として推奨されている。(World Health Organization,2016;Cavanaugh et al.,2017;Rastogi et al.,1996;Reddy et al,1996) クロファジミンは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)および炎症性肺疾患の治療にも使用できる。クロファジミンはまた、治療期間の短縮、ピラジナミド、リファンピン、フルオロキノロン、アミカシンなどの他の抗菌剤との相乗効果、そして抗炎症作用など、結核の治療に非常に有益な他の多くの特性を示している。(Tyagi et al.,2015;Zhang et al.,2017;Cholo et al.,2017) 特に、クロファジミンは、マクロファージの取り込みと隔離に特有の親和性を示す。薬物の摂取により、マクロファージはクロファジミンを二分子膜で囲まれた液晶構造に変換する(Baik and Rosania,2012;Baik et al.,2013)。これらのユニークな細胞内クロファジミン構造は、細胞毒性に対する保護メカニズムとして機能し、治療効果を最大化するために感染部位での薬物の動員および蓄積を可能にする可能性がある(Baik and Rosania,2012;Baik et al.,2013;Yoon et al.,2016;Yoon et al.,2015)。
【0005】
既存の市販のクロファジミン経口製剤(Lamprene(登録商標)、ノバルティス)はマイコバクテリウムに対しては非常に活性が高いが、治療効果は、その低い水溶性(10mg/L)、作用の開始の遅れ、および重大な副作用プロファイルによって制限されている。経口バイオアベイラビリティは、45~62%の範囲であり、高い患者間変動と食物効果を示している(Bolla and Nangia,2012;Clofazimine,2008;Nix et al.,2004;Holdiness,1989)。さらに、クロファジミンはpH依存性の溶解度を示し、pKa値は2.31および9.29である(Keswani et al.,2015)。胃から腸環境への移行に伴うpHの変化は、クロファジミンの再結晶と沈殿を引き起こし、全身吸収を低下させる可能性がある。定常状態の濃度に達するには少なくとも30日間の投与が必要であり、大量の負荷量を使用する必要があり、投与量に関係なく、経口投与後2週間まで殺菌活性の遅延が発生する(Holdiness,1989;Swanson et al.,2015)。必要な高全身用量は、赤褐色皮膚と結膜変色(75~100%)、腹痛、吐き気、下痢、嘔吐を含む胃腸の苦しみ(40~50%)、および重度の合併症(脾臓梗塞、腸閉塞、および結晶性堆積物の蓄積による致命的な出血)などを含む(Novartis,2006)。さらに、経口製剤の入手可能性は限られている。米国では、Lamprene(登録商標)は、米国食品医薬品管理局(FDA)が管理する単一患者新薬申請(IND)によるMDR-TBの治療にのみ利用できる(Cunningham,2004;Clofazimine,2009)。明らかに、望ましくない全身性の副作用を低減し、治療効果を改善する必要性、ならびにクロファジミンのより対象を絞った製剤の必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
概要
第1の実施形態では、本開示は、0.5から10μmの中央粒径を有する微粉化クロファジミン粒子を含む医薬組成物を提供し、組成物は10%未満のアモルファス材料を含む。一部の態様では、組成物は乾燥粉末である。特定の態様では、乾燥粉末は吸入用に製剤化される。特定の態様では、組成物は単一の活性成分を含み、単一の活性剤はクロファジミンである。
【0007】
特定の態様では、組成物は賦形剤を実質的に含まない。一部の態様では、組成物は賦形剤を本質的に含まない。特定の態様では、組成物は、添加剤を含まない。特定の態様では、組成物は賦形剤を含まない。一部の態様では、組成物は、賦形剤、添加剤、希釈剤、担体、およびアジュバントを含まない。特定の態様では、組成物は、糖、滑剤、帯電防止剤、付着防止剤、流動促進剤(glidant)、アミノ酸、ペプチド、界面活性剤、脂質(例えば、ロイシン、イソロイシン、リジン、バリン、および/またはメチオニン)、ならびにリン脂質を含まない。特定の態様では、組成物は、DMSO、シクロデキストリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、およびコロイダルシリカを含まないかまたは本質的に含まない。組成物は、DMSO、シクロデキストリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ステアリン酸マグネシウム、およびコロイダルシリカを含まなくてもよいかまたは本質的に含まなくてもよい。組成物は、例えば、10重量%までの濃度、例えば、重量あたり0.1~10%、例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10重量%のラクトースを含み得る。
【0008】
一部の態様では、微粉化クロファジミン粒子は実質的に結晶性である。特定の態様では、微粉化クロファジミン粒子は本質的に結晶性である。特定の態様では、微粉化クロファジミン粒子は結晶性である。
【0009】
特定の態様では、組成物は、少なくとも90重量%、少なくとも91重量%、少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、または少なくとも95重量%、例えば少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、または少なくとも100重量%の微粉化クロファジミン粒子を含み得る。
【0010】
特定の態様では、微粉化クロファジミン粒子は、0.5~5μm、例えば0.75~4μm、特に1~3μmの中央粒径を含み得る。一部の態様では、微粉化クロファジミン粒子の少なくとも80%は、1~3μmの体積相当直径を含む。一部の態様では、微粉化クロファジミン粒子は凝集体を形成する。組成物は、1.9~2.3m/g、例えば2.1~2.2m/g、例えば、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、または2.2m/gの比表面積を有し得る。組成物は、32~37、特に33.9~34.0、例えば、33.91、33.92、33.93、33.94、33.94、33.95、33.96、33.97、33.98、33.99、または34.0の圧縮性指数を有し得る。組成物は、10~20、例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20のハウスナー比を有し得る。組成物は、15°~30°、特に21~23°、例えば、22.1、22.2、22.3、22.4、22.5、22.6、22.7、22.8、22.9、または23.0°の応答角を有し得る。
【0011】
一部の態様では、組成物は、少なくとも50%、例えば、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、または少なくとも80%などの微粒子画分(FPF)を含む。特定の態様では、組成物は、0.2%のポリソルベート80溶解媒体を含むリン酸緩衝生理食塩水pH7.4中24時間で30%未満の溶解速度を含み得る。一部の態様では、組成物はリポソームに封入されていない。
【0012】
特定の態様では、組成物は5%未満のアモルファス材料を含む。特定の態様では、組成物はアモルファス材料を実質的に含まない。一部の態様では、組成物は、X線回折または示差走査熱量測定によって測定された場合にアモルファス粒子を本質的に含まない。
【0013】
一部の態様では、組成物は、エアジェットミリングなどのジェットミリングによって生成される。特定の態様では、組成物は、噴霧乾燥によっても超音波均質化によっても生成されない。
【0014】
さらなる態様では、組成物は、単位剤形として包装される。例えば、単位剤形は、カートリッジ、ブリスター、またはカプセルとしてのパッケージであり得る。特定の態様では、単位パッケージ用量では、賦形剤を含まない。一部の態様では、単位剤形は、5~30mg(例えば、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30mg)の微粉化クロファジミン粒子を含む。一部の態様では、単位剤形は、少なくとも10mgの微粉化クロファジミン粒子を含む。特定の態様では、単位剤形は、少なくとも20mgの微粉化クロファジミン粒子を含む。
【0015】
さらなる態様では、乾燥粉末は、単純な乾燥粉末吸入器などの乾燥粉末吸入器に装填される。一部の態様では、乾燥粉末吸入器は能動吸入器である。他の態様では、乾燥粉末吸入器は受動的吸入器である。一部の態様では、単純な乾燥粉末吸入器は10個未満の部品を含む。1つの特定の態様では、単純な乾燥粉末吸入器は、RSO1単回投与乾燥粉末吸入器である。いくつかの態様では、乾燥粉末吸入器は、001kPa0.5分/Lおよび0.06kPa0.5分/L、例えば、0.02kPa0.5分/Lおよび0.04kPa0.5分/Lの気流抵抗を含む。
【0016】
本明細書では、乾燥粉末吸入器で使用するための粉末がさらに提供され、この粉末は、賦形剤を含まない吸入可能なクロファジミン組成物のような、実施形態の微粉化クロファジミン粒子組成物を含む。
【0017】
別の実施形態では、微粉化クロファジミン粒子の単位剤形を含む組成物が提供され、粒子は、0.5~10μmの中央粒径を含み、組成物は、実質的に賦形剤を含まない。いくつかの態様では、単位剤形は、実施形態の微粉化クロファジミン粒子の組成物を含む。いくつかの態様では、単位剤形は、カートリッジ、ブリスター、またはカプセルに含まれる。特定の態様では、単位剤形は、少なくとも10mgの微粉化クロファジミン粒子を含む。特定の態様では、単位剤形は、少なくとも20mgの微粉化クロファジミン粒子を含む。
【0018】
さらに別の実施形態では、実施形態の単位剤形を含む乾燥粉末吸入器が提供される。一部の態様では、乾燥粉末吸入器は、単純な乾燥粉末吸入器である。特定の態様では、単純な乾燥粉末吸入器は10個未満の部品を含む。例えば、単純な乾燥粉末吸入器は、RSO1単回投与乾燥粉末吸入器である。特定の態様では、乾燥粉末吸入器は、0.02kPa0.5分/Lおよび0.04kPa0.5分/Lの気流抵抗を含み得る。一部の態様では、乾燥粉末吸入器は、装置の1回の作動で10~20mgの放出用量を送達する。特定の態様では、乾燥粉末吸入器は、装置の1回の作動で5~15mgの微粒子用量を送達する。一部の態様では、微粒子用量は、装置の1回の作動での前記放出用量の少なくとも50%、例えば少なくとも60%または70%である。特定の態様では、装置全体にわたる圧力降下のkPaから1kPaへの変化が、放出用量の25%を超える減少をもたらさない。特定の態様では、装置全体にわたる4kPaから1kPaへの圧力降下の変化が、微粒子の用量の15%を超える減少をもたらさない。
【0019】
さらなる実施形態では、クロファジミンを得ること、クロファジミンをジェットミルに供すること、および0.5~10μmの中央粒径を有する微粉化クロファジミン粒子を収集することを含み、賦形剤の添加を含まない、実施形態の組成物(例えば、微粉化クロファジミン粒子を含む組成物)を調製する方法が提供される。一部の態様では、ジェットミルはさらにエアジェットミルとして規定される。特定の態様では、この方法は溶媒の添加を含まない。さらなる態様では、この方法はさらに、微粉化クロファジミン粒子を乾燥粉末吸入器に装填することを含む。特定の態様では、乾燥粉末吸入器は、単純な乾燥粉末吸入器である。
【0020】
別の実施形態は、実施形態の微粉化クロファジミン粒子組成物の有効量を患者に投与することを含む、患者の肺感染症を治療または予防するための方法を提供する。
【0021】
一部の態様では、投与することは、微粉化クロファジミン粒子を患者の肺に吸入することを含む。特定の態様では、吸入することは、吸入器の使用を含む。一部の態様では、吸入器は、乾燥粉末吸入器、定量吸入器、またはネブライザーである。
【0022】
特定の態様では、肺感染症は細菌感染症である。特定の態様では、肺感染症はマイコバクテリア感染症である。一部の態様では、マイコバクテリア感染症は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)感染症、マイコバクテリウム・アブセサス(Mycobacterium abscesses)感染症、マイコバクテリウム・カンサシ(Mycobacterium kansasii)感染症、またはマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス感染症である。一部の態様では、結核菌は多剤耐性である。一部の態様では、結核菌は広範囲薬物耐性である。一部の態様では、肺感染症は潜伏感染症である。特定の態様では、結核菌感染症は潜伏性である。一部の態様では、肺感染症は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌関連感染症または嚢胞性線維症関連感染症などの肺炎である。
【0023】
さらなる態様では、この方法は、少なくとも1つの第2の治療薬剤を投与することをさらに含む。一部の態様では、少なくとも1つの第2の薬剤は、ベダキリン、ピラジナミド、核酸阻害物質、タンパク質合成阻害物質、および細胞エンベロープ阻害物質からなる群から選択される。特定の態様では、タンパク質合成阻害物質は、リネゾリド、クラリスロマイシン、アミカシン、カナマイシン、カプレオマイシン、またはストレプトマイシンである。一部の態様では、細胞エンベロープ阻害物質は、エタンブトール、エチオナミド、チオアセチゾン、イソニアジド、イミペネム、クラブラネート、シクロセリン、テリジドン、アモキシシリン、またはプロチオナミドである。一部の態様では、核酸阻害物質は、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、4-アミノサリチル酸、モキシフロキサシン、オフロキサシン、またはレボフロキサシンである。第2の治療剤は、クロファジミン粒子組成物とは別に、直腸、経鼻、口腔、膣、皮下、皮内、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内、または頭蓋内経路を介して、または埋め込まれた貯蔵所を介して投与することができる。第2の治療剤は、クロファジミン粒子組成物の前または後に投与することができる。
【0024】
特定の態様では、微粉化クロファジミン粒子組成物は、2回以上、例えば、1日1回、隔日、3日ごと、または毎週投与される。
【0025】
別の実施形態では、実施形態の微粉化クロファジミン粒子組成物の有効量を患者に投与することを含む、患者のがんを治療するための方法が提供される。一部の態様では、がんは肺がんである。
【0026】
さらなる態様では、この方法はさらに、抗がん剤を投与することを含む。一部の態様では、抗がん剤は、化学療法、放射線療法、遺伝子療法、手術、ホルモン療法、抗血管新生療法、またはサイトカイン療法である。
【0027】
特定の態様では、投与することは、微粉化クロファジミン粒子を患者の肺に吸入することを含む。特定の態様では、吸入することは、吸入器の使用を含む。一部の態様では、吸入器は、乾燥粉末吸入器、定量吸入器、またはネブライザーである。特定の態様では、微粉化クロファジミン粒子組成物は複数回投与される。
【0028】
さらに別の実施形態では、実施形態の微粉化クロファジミン粒子組成物の有効量を患者に投与することを含む、患者の肺炎症を軽減するための方法が提供される。一部の態様では、肺炎症は、喘息、COPD、特発性肺線維症、または嚢胞性線維症に関連している。特定の態様では、投与することは、微粉化クロファジミン粒子を患者の肺に吸入することを含む。一部の態様では、吸入することは、吸入器の使用を含む。一部の態様では、吸入器は、乾燥粉末吸入器、定量吸入器、またはネブライザーである。特定の態様では、微粉化クロファジミン粒子組成物は複数回投与される。
[本発明1001]
0.5~10μmの中央粒径を有する微粉化クロファジミン粒子を含み、10%未満のアモルファス材料を含む、医薬組成物。
[本発明1002]
実質的に賦形剤を含まない、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1003]
乾燥粉末である、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1004]
前記乾燥粉末が吸入用に製剤化されている、本発明1003の医薬組成物。
[本発明1005]
前記微粉化クロファジミン粒子が実質的に結晶性である、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1006]
前記微粉化クロファジミン粒子が結晶性である、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1007]
単一の活性成分を含む、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1008]
クロファジミンが単一の活性成分である、本発明1006の医薬組成物。
[本発明1009]
賦形剤を本質的に含まない、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1010]
賦形剤の追加がない、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1011]
賦形剤を含まない、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1012]
賦形剤、添加剤、希釈剤、担体、およびアジュバントを含まない、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1013]
糖、滑剤、帯電防止剤、付着防止剤、流動促進剤(glidant)、アミノ酸、ペプチド、界面活性剤、脂質、およびリン脂質の1つまたは複数を含まない、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1014]
前記アミノ酸が、ロイシン、イソロイシン、リジン、バリン、および/またはメチオニンである、本発明1013の医薬組成物。
[本発明1015]
DMSO、シクロデキストリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、およびコロイダルシリカを含まない、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1016]
DMSO、シクロデキストリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ステアリン酸マグネシウム、およびコロイダルシリカを含まない、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1017]
ラクトースを含む、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1018]
前記ラクトースが10重量%までの濃度で存在する、本発明1017の医薬組成物。
[本発明1019]
少なくとも95重量%の前記微粉化クロファジミン粒子を含む、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1020]
少なくとも99重量%の前記微粉化クロファジミン粒子を含む、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1021]
100重量%の前記微粉化クロファジミン粒子を含む、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1022]
前記微粉化クロファジミン粒子が0.5~5μmの中央粒径を有する、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1023]
前記微粉化クロファジミン粒子が0.75~4μmの中央粒径を有する、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1024]
前記微粉化クロファジミン粒子が1~3μmの中央粒径を有する、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1025]
前記微粉化クロファジミン粒子の少なくとも80%が、1~3μmの体積相当直径を有する、本発明1024の医薬組成物。
[本発明1026]
1.9~2.3m2/gの比表面積を有する、本発明1024の医薬組成物。
[本発明1027]
32~37の圧縮性指数を有する、本発明1024の医薬組成物。
[本発明1028]
10~20のハウスナー比を有する、本発明1024の医薬組成物。
[本発明1029]
15°から30°の応答角を有する、本発明1024の医薬組成物。
[本発明1030]
前記微粉化クロファジミン粒子が凝集体を形成する、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1031]
少なくとも50%の微粒子画分(FPF)を含む、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1032]
少なくとも60%の微粒子画分(FPF)を含む、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1033]
少なくとも70%の微粒子画分(FPF)を含む、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1034]
0.2%ポリソルベート80溶解媒体を含むリン酸緩衝生理食塩水pH7.4中24時間で30%未満の溶解速度を含む、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1035]
5%未満のアモルファス材料を含む、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1036]
アモルファス材料を実質的に含まない、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1037]
X線回折または示差走査熱量測定によって測定される場合にアモルファス粒子を本質的に含まない、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1038]
リポソームに封入されていない、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1039]
ジェットミリングにより生成される、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1040]
ジェットミリングがエアジェットミリングとしてさらに規定される、本発明1039の医薬組成物。
[本発明1041]
噴霧乾燥によっても超音波均質化によっても生成されない、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1042]
単位剤形として包装されている、本発明1001の医薬組成物。
[本発明1043]
前記単位剤形が、カートリッジ、ブリスター、またはカプセルとしてさらに規定される、本発明1042の医薬組成物。
[本発明1044]
前記単位剤形が5~30mgの微粉化クロファジミン粒子を含む、本発明1042の医薬組成物。
[本発明1045]
前記単位剤形が、少なくとも10mgの微粉化クロファジミン粒子を含む、本発明1042の医薬組成物。
[本発明1046]
前記単位剤形が、少なくとも20mgの微粉化クロファジミン粒子を含む、本発明1042の医薬組成物。
[本発明1047]
前記乾燥粉末が乾燥粉末吸入器に装填される、本発明1003の医薬組成物。
[本発明1048]
前記乾燥粉末吸入器が単純な乾燥粉末吸入器である、本発明1047の医薬組成物。
[本発明1049]
前記単純な乾燥粉末吸入器が10個未満の部品を含む、本発明1048の医薬組成物。
[本発明1050]
前記単純な乾燥粉末吸入器が、RSO1単回投与乾燥粉末吸入器である、本発明1048の医薬組成物。
[本発明1051]
前記乾燥粉末吸入器が、0.01kPa0.5分/Lおよび0.06kPa0.5分/Lの気流抵抗を含む、本発明1047~1050のいずれかの医薬組成物。
[本発明1052]
前記乾燥粉末吸入器が、0.02kPa0.5/Lおよび0.04kPa0.5分/Lの気流抵抗を含む、本発明1047~1050のいずれかの医薬組成物。
[本発明1053]
本発明1001~1046のいずれかの組成物を含む、乾燥粉末吸入器で使用するための粉末。
[本発明1054]
微粉化クロファジミン粒子の単位剤形を含む組成物であって、前記粒子が0.5~10μmの中央粒径を含み、かつ前記組成物が賦形剤を実質的に含まない、前記組成物。
[本発明1055]
前記単位剤形が本発明1001~1041のいずれかの組成物を含む、本発明1054の組成物。
[本発明1056]
前記単位剤形がカートリッジ、ブリスター、またはカプセルに含まれる、本発明1054の組成物。
[本発明1057]
前記単位剤形が、少なくとも10mgの微粉化クロファジミン粒子を含む、本発明1054の組成物。
[本発明1058]
前記単位剤形が、少なくとも20mgの微粉化クロファジミン粒子を含む、本発明1054の組成物。
[本発明1059]
本発明1054の単位剤形を含む乾燥粉末吸入器。
[本発明1060]
単純な乾燥粉末吸入器である、本発明1059の乾燥粉末吸入器。
[本発明1061]
前記単純な乾燥粉末吸入器が10個未満の部品を含む、本発明1059の乾燥粉末吸入器。
[本発明1062]
前記単純な乾燥粉末吸入器が、RSO1単回投与乾燥粉末吸入器である、本発明1059の乾燥粉末吸入器。
[本発明1063]
0.02kPa0.5分/Lおよび0.04kPa0.5分/Lの気流抵抗を含む、本発明1059の乾燥粉末吸入器。
[本発明1064]
装置の1回の作動で10~20mgの放出用量を送達する、本発明1059の乾燥粉末吸入器。
[本発明1065]
装置の1回の作動で5~15mgの微粒子用量を送達する、本発明1064の乾燥粉末吸入器。
[本発明1066]
前記微粒子用量が、装置の1回の作動での前記放出用量の少なくとも50%である、本発明1065の乾燥粉末吸入器。
[本発明1067]
前記微粒子用量が、装置の1回の作動での前記放出用量の少なくとも70%である、本発明1065の乾燥粉末吸入器。
[本発明1068]
装置全体にわたる圧力降下のkPaから1kPaへの変化が、放出用量の25%を超える減少をもたらさない、本発明1064の乾燥粉末吸入器。
[本発明1069]
装置全体にわたる圧力降下の4kPaから1kPaへの変化が、微粒子用量の15%を超える減少をもたらさない、本発明1065の乾燥粉末吸入器。
[本発明1070]
(a) 生のクロファジミン結晶を得ること;
(b) 前記生のクロファジミン結晶をジェットミルに供すること;および
(c) 0.5~10μmの中央粒径を有する微粉化クロファジミン粒子を収集すること
を含み、賦形剤の添加を含まない、
本発明1001~1046のいずれかの組成物を調製する方法。
[本発明1071]
前記ジェットミルがエアジェットミルとしてさらに規定される、本発明1070の方法。
[本発明1072]
溶媒の添加を含まない、本発明1070の方法。
[本発明1073]
前記微粉化クロファジミン粒子を乾燥粉末吸入器に装填することをさらに含む、本発明1070の方法。
[本発明1074]
前記乾燥粉末吸入器が単純な乾燥粉末吸入器である、本発明1070の方法。
[本発明1075]
本発明1001~1051のいずれかの微粉化クロファジミン粒子組成物の有効量を患者に投与することを含む、前記患者の肺感染症を治療または予防するための方法。
[本発明1076]
投与することが、前記微粉化クロファジミン粒子を前記患者の肺に吸入することを含む、本発明1075の方法。
[本発明1077]
吸入することが吸入器の使用を含む、本発明1076の方法。
[本発明1078]
前記吸入器が、乾燥粉末吸入器、定量吸入器、またはネブライザーである、本発明1077の方法。
[本発明1079]
前記吸入器が乾燥粉末吸入器である、本発明1078の方法。
[本発明1080]
前記肺感染症が細菌感染症である、本発明1075の方法。
[本発明1081]
前記肺感染症がマイコバクテリア感染症である、本発明1080の方法。
[本発明1082]
前記マイコバクテリア感染症が、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)感染症、マイコバクテリウム・アブセサス(Mycobacterium abscesses)感染症、マイコバクテリウム・カンサシ(Mycobacterium kansasii)感染症、またはマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(Mycobacterium avium complex)感染症である、本発明1081の方法。
[本発明1083]
前記結核菌が多剤耐性である、本発明1082の方法。
[本発明1084]
前記結核菌が広範囲薬物耐性である、本発明1082の方法。
[本発明1085]
前記肺感染症が潜伏感染症である、本発明1075の方法。
[本発明1086]
前記結核菌感染症が潜伏性である、本発明1082の方法。
[本発明1087]
前記肺感染症が肺炎である、本発明1075の方法。
[本発明1088]
前記肺炎がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus)に関連する、本発明1087の方法。
[本発明1089]
前記肺感染症が嚢胞性線維症関連感染症である、本発明1075の方法。
[本発明1090]
少なくとも1つの第2の治療薬剤を投与することをさらに含む、本発明1075の方法。
[本発明1091]
前記少なくとも1つの第2の薬剤が、ベダキリン、ピラジナミド、核酸阻害物質、タンパク質合成阻害物質、および細胞エンベロープ阻害物質からなる群から選択される、本発明1090の方法。
[本発明1092]
前記タンパク質合成阻害物質が、リネゾリド、クラリスロマイシン、アミカシン、カナマイシン、カプレオマイシン、またはストレプトマイシンである、本発明1091の方法。
[本発明1093]
前記細胞エンベロープ阻害物質が、エタンブトール、エチオナミド、チオアセチゾン、イソニアジド、イミペネム、クラブラネート、シクロセリン、テリジドン、アモキシシリン、またはプロチオナミドである、本発明1091の方法。
[本発明1094]
前記核酸阻害物質が、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、4-アミノサリチル酸、モキシフロキサシン、オフロキサシン、またはレボフロキサシンである、本発明1091の方法。
[本発明1095]
前記微粉化クロファジミン粒子組成物が2回以上投与される、本発明1075の方法。
[本発明1096]
前記微粉化クロファジミン粒子組成物が1日1回投与される、本発明1075の方法。
[本発明1097]
本発明1001~1051のいずれかの微粉化クロファジミン粒子組成物の有効量を患者に投与することを含む、前記患者のがんを治療するための方法。
[本発明1098]
前記がんが肺がんである、本発明1097の方法。
[本発明1099]
抗がん剤を投与することをさらに含む、本発明1097の方法。
[本発明1100]
前記抗がん剤が、化学療法、放射線療法、遺伝子療法、外科手術、ホルモン療法、抗血管新生療法、またはサイトカイン療法である、本発明1099の方法。
[本発明1101]
投与することが、前記微粉化クロファジミン粒子を前記患者の肺に吸入することを含む、本発明1097の方法。
[本発明1102]
吸入することが吸入器の使用を含む、本発明1101の方法。
[本発明1103]
前記吸入器が、乾燥粉末吸入器、定量吸入器、またはネブライザーである、本発明1101の方法。
[本発明1104]
前記微粉化クロファジミン粒子組成物が2回以上投与される、本発明1097の方法。
[本発明1105]
本発明1001~1051のいずれかの微粉化クロファジミン粒子組成物の有効量を患者に投与することを含む、前記患者の肺炎症を軽減するための方法。
[本発明1106]
前記肺炎症が喘息、COPD、特発性肺線維症、または嚢胞性線維症に関連する、本発明1105の方法。
[本発明1107]
投与することが、前記微粉化クロファジミン粒子を前記患者の肺に吸入することを含む、本発明1105の方法。
[本発明1108]
吸入することが吸入器の使用を含む、本発明1107の方法。
[本発明1109]
前記吸入器が、乾燥粉末吸入器、定量吸入器、またはネブライザーである、本発明1107の方法。
[本発明1110]
前記微粉化クロファジミン粒子組成物が2回以上投与される、本発明1105の方法。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様をさらに示すために含まれている。本発明は、本明細書に提示する具体的な実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これら1つ以上の図面を参照することによって、よりよく理解され得る。
図1】有機溶媒中で噴霧乾燥され賦形剤を含まないクロファジミンのSEM画像。
図2】有機溶媒中で噴霧乾燥されたクロファジミンのX線結晶学回折データ。
図3】クロファジミンの微粉化に使用されるAljetミルの概略図。
図4】Aljetジェットミルのさまざまな領域から収集された粒子サイズ分布。
図5】クロファジミン結晶の走査型電子顕微鏡画像。図5Aは、未処理のクロファジミンである。図5Bは、Aljetミルの収集容器領域から収集された微粉化クロファジミン粒子である。図5Cは、Sympatec RODOS分散ユニットから3 barの空気圧を適用して分散させたAljetミルの収集容器領域から収集された微粉化クロファジミン粒子である。図5Dは、Aljetミルのサイクロン領域から収集された微粉化クロファジミン粒子である。図5Eは、Sympatec RODOS分散機ユニットから3 barの空気圧を適用して分散させたAljetミルのサイクロン領域から収集された微粉化クロファジミン粒子である。
図6】粉砕および未処理クロファジミンのX線結晶学回折および示差走査熱量測定データ。
図7】回収された質量の一部として回収された粒子画分および質量中央空気力学的直径(MMAD)測定。図7Aは、放出フラクション(EF%)、空気力学的直径5μm未満の微粒子フラクション(FPF<5μm)、空気力学的直径3μm未満のフラクション(FPF<3μm)、および幾何学的体積中央径 2.69μmおよび1.81μmの粉砕クロファジミン粒子のMMADである。図7Bは、低抵抗RS01 DPIによる4kPaの圧力降下と低抵抗RS01 DPIによる1kPaの圧力降下の条件下でエアロゾル化された幾何学的な体積中央径1.81μmの粉砕クロファジミン粒子のEF%、FPF<5μm、FPF<3μm、およびMMADである。図7Cは、粉砕クロファジミンの次世代インパクター(NGI)ステージ堆積パターンである。
図8】賦形剤を含まない粉砕クロファジミンの安息角分析。
図9】粉砕されたクロファジミンのマクロファージ食作用は対数速度で起こる。
図10】粉砕されたクロファジミンに24時間曝露されたJ774.A1マクロファージは、660nmの発光で蛍光を発する細胞の有意な集団を示し、これはクロファジミンの細胞内生体内変化を示している。
図11】示された量の粉砕または非粉砕クロファジミンでの処理後の対照と比較した細胞増殖。
図12】粉砕されたクロファジミンの溶解。
【発明を実施するための形態】
【0030】
例示的な実施形態の説明
CFZの副作用は用量に関連し、GIに関連することが多いため、代替ルートによるCFZの投与は、その副作用を軽減または少なくとも制限する可能性がある。特に、TB感染とNTM感染の開始と伝播が肺胞肺マクロファージの細胞内環境内で発生することを考えると、吸入経路を介したCFZの送達は非常に有益である。経口投与とは対照的に、吸入によるCFZの肺への直接ターゲティングは、肺の自然なクリアランスメカニズム(肺胞マクロファージ食作用)を利用して薬物粒子を細菌細胞内に標的化することにより、感染部位で治療薬物濃度を迅速に達成するために使用できる。CFZの配送に乾燥粉末吸入器を使用すると、製品がコールドチェーンでの供給を必要としないため、資源の乏しい地域での投与に適しているため、特に有利である。
【0031】
溶解性は、CFZの薬学的に許容される製剤の開発に対する主要な制限要因である。CFZは水にほとんど溶けない。さらに、この非常に有益な抗生物質は、他のさまざまな溶媒への溶解度が限られている。メルクインデックスによれば、クロファジミンは、DMFとベンゼンに可溶であり、15部のクロロホルム、700部のエタノール、1000部のエーテルに可溶であり、アセトンと酢酸エチルにやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。メタノール中の0.1%クロファジミン溶液が形成される可能性があることも報告されている(Sabnis et al.,2015)。産業用Q3C不純物に関するヒト用医薬品の技術要件の調和に関する国際理事会(ICH)ガイダンス:残留溶媒はベンゼンをクラス1の溶媒として認識する(薬物製品の製造に使用してはいけない。2ppmの濃度制限);クロロホルム、メタノール、アセトニトリルであり、クラス2の溶媒である(固有の毒性のため、薬物製品では制限されている;それぞれ60ppm、3000ppm、410ppm);そして希酢酸とエタノールは、クラス3の溶剤として認識されている。完全溶解に必要な大量とこれらの溶媒の使用の安全性の制限の両方を考慮すると、噴霧乾燥などの乾燥粉末製剤に一般的に使用される建設的(ボトムアップ)粒子工学技術による呼吸可能なCFZ粒子の製造は非常に困難である。呼吸に適したCFZ粒子の噴霧乾燥を成功させるには、肺堆積に適した製品を製剤化するために、ロイシンまたはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)などの賦形剤を製剤に追加する必要があると報告されている。(Germishuizen et al.2013;Sabnis,2015)。エタノールまたはメタノールなどの有機溶媒中で純粋なCFZを噴霧乾燥すると、分散性の悪い針状結晶が形成される(図1)。CFZの過飽和溶液が液体フィード用に配合されている場合、液滴が完全に乾燥する前に薬物が液体フィードから沈殿するために、マルチモデルサイズ分布が生じる。溶媒へのCFZの完全な溶解として定義される飽和溶液が有機溶媒供給用に製剤化される場合、CFZの部分的にアモルファス製剤をもたらし、これは物理化学的不安定性になりやすい(図2)。したがって、これらの制限を克服するための方法が必要である。
【0032】
したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、吸入用の賦形剤を含まないクロファジミン乾燥粉末組成物を提供する。本吸入可能なクロファジミン組成物は、0.5~10μm、特に0.75~4μmの範囲の中央粒径範囲内の粒子を有し得、これにより、肺送達のための効率的なエアロゾル化が可能になる。特に、本組成物は、単純な受動的乾燥粉末吸入装置などからの患者の吸入流量に関係なく、高用量を提供することができる。さらに、クロファジミン粒子は肺胞マクロファージに迅速かつ効率的に取り込まれ、細胞内感染の標的化を可能にし、徐放性および抗感染性の活動のための薬物リザーバーを提供する。本研究は、微粉化されたクロファジミンが肺胞マクロファージに取り込まれると、低毒性で抗炎症性の結晶様の形態に急速に変換されることを発見した。この結晶様形態は、治療効果の作用の迅速な開始に有益であり、現在利用可能な剤形で最長2週間遅延され得る。
【0033】
さらに、本発明の組成物の低い水溶性は、肺溶解および全身吸収を制限し、それにより全身副作用を低減する。マクロファージに送達されると、結晶は生体内変化および隔離の結果を受け、これは抗炎症作用および作用部位での蓄積に関連している。薬物の可溶化形態と比較して、本組成物はマクロファージ毒性を低減している。さらに、本発明の組成物は、噴霧乾燥などの方法から生じる可能性があり、あまりに急速な溶解および薬物沈殿をもたらす可能性があるアモルファス粒子を実質的に含まない。実際、本組成物は溶解度を低下させ、粒子のマクロファージ取り込みを可能にする。
【0034】
本開示はさらに、市販の生のクロファジミン結晶をエアジェットミリングなどのジェットミリングに供し、0.5~10μmなどの、特に5μmよりも大きい特定の中央粒径範囲内のクロファジミンの画分を収集することにより、吸入可能クロファジミン組成物を生成するための方法を提供する。いくつかの態様では、微粒子画分を増大させるために、出力クロファジミンをミルに再適用することができる。したがって、本方法は、クロファジミン乾燥粉末組成物を生成するための、機械的に単純で、環境に優しく、費用効果の高い微粉化方法である。
【0035】
さらなる実施形態は、本明細書で提供される吸入可能なクロファジミン組成物を投与することによって疾患を治療または予防する方法を提供する。例えば、治療は、肺感染、例えば、潜伏感染症を含む結核肺感染症、肺炎(例えば、MRSA)、嚢胞性線維症肺感染、炎症性肺感染症、および肺がんを治療するために使用することができる。特に、吸入可能なクロファジミンは、マイコバクテリウム感染症の治療に使用できる。
【0036】
II.定義
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、組成物が、活性剤(例えば、クロファジミン)以外の成分(例えば、賦形剤)を1%未満含むことを意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、具体的な構成要素に関して「本質的に含まない」は、具体的な構成要素が、組成物に意図的に配合されていないか、および/または混入物質として、または痕跡量のみが存在することを意味するために本明細書で使用される。組成物の意図しない汚染から生じる特定の成分の総量は、好ましくは0.01%未満である。最も好ましいのは、具体的な構成要素が標準的な分析方法を用いて分析不可能である組成物である。
【0038】
本明細書で使用する場合、本明細書および特許請求の範囲では、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、1つまたは複数を意味し得る。本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、「含む」という単語と併せて使用される場合、「1つの(a)」または「1つの(an)」という単語は、1つまたは複数を意味し得る。本明細書で使用する場合、本明細書および特許請求の範囲では、「別の」または「さらなる」は、少なくとも1つの第2以上のを意味する場合がある。
【0039】
用語「約(about)」、「実質的に」、および「約(approximately)」は、一般的に、示された値のプラスまたはマイナス5%を意味する。
【0040】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、用語「微粉化」は、物質が、非常に細かい粒子に、通常は10μm未満、好ましくは0.5~5um、より好ましくは1~3umに分解されるまたは分解されたことを示すために使用される。物質は、粉砕、粉砕、または粉砕によって微粉化することができる。粉砕は、エアジェットミル、ボールミル、湿式ミル、高圧均質化、または低温ミルなどの、当技術分野で知られている任意の方法によって実施することができる。
【0041】
本明細書で使用する場合、本明細書および特許請求の範囲では、「エアジェットミル」という用語は、粒子を互いにまたはミルの壁に衝突させるために圧縮ガスのジェットを使用することによって粒子サイズを減少させる(それにより粒子を粉砕する)装置または方法を指す。エアジェットミルを使用して粒子を微粉化することができる。Aljet Model 00 Jet-O-Mizer(商標)(Fluid Energy、Telford、PA)などのエアジェットミルは市販されている。
【0042】
本明細書で使用する場合、本明細書および特許請求の範囲では、「ボールミル」という用語は、対象となる粒子および粉砕媒体をシリンダーの内部に加え、シリンダーを回転させることによって粒子サイズを小さくする装置または方法を指す。対象となる粒子は、粉砕媒体が回転するときにシリンダーの外部に沿って上昇および下降するときに分解される。
【0043】
本明細書で使用する場合、本明細書および特許請求の範囲では、「湿式粉砕機」または「媒体粉砕機」という用語は、液体および粉砕媒体を含む媒体を含む、攪拌機を備えた装置に対象となる粒子を加えることによって粒径を減少させる装置または方法を指す。対象となる粒子を加えると、攪拌機が回転すると、分散剤のエネルギーによって粉砕媒体と対象となる粒子が接触し、対象となる粒子が分解される。
【0044】
本明細書で使用する場合、本明細書および特許請求の範囲では、「高圧均質化」という用語は、対象の粒子を破壊するために圧力と機械力の両方を組み合わせる装置に対象の粒子を加えることによって粒径を低減する方法を指す。高圧均質化で使用される機械力には、特に衝撃、せん断、キャビテーションなどがある。
【0045】
本明細書で使用する場合、本明細書および特許請求の範囲では、用語「極低温ミル」は、最初に対象の粒子をドライアイス、液体窒素、または他の極低温液体で冷却し、続いて対象の粒子を粉砕してサイズを小さくすることにより、粒子サイズを小さくする装置または方法を指す。
【0046】
「組成物」、「医薬組成物」、「製剤」、および「調製物」という用語は、本明細書では同義的かつ互換的に使用される。
【0047】
「クロファジミン」という用語は、非塩および塩の形態(例えば、クロファジミンメシレート)、エステル、非塩および塩の形態の無水物および水和物の形態、非塩および塩の形態の溶媒和物、そのエナンチオマー(RおよびS形態、dおよびl形態としても識別される場合がある)、およびこれらの エナンチオマーの混合物(例えば、ラセミ混合物、またはエナンチオマーの一方が他方に比べて濃縮されている混合物)を含む、その形態のいずれかのN,5-ビス(4-クロロフェニル)-3-(1-メチルエチルイミノ)-5H-フェナジン-2-アミンを指す。
【0048】
ある疾患または状態を「治療する」または治療は、その疾患の徴候または症状を軽減するための努力において、1つ以上の薬物を患者に投与することを含んでいてもよいプロトコールを実施することを指す。治療の望ましい効果としては、疾患の進行速度を下げること、疾患状態を軽減するか、またはやわらげること、寛解および予後の向上が挙げられる。緩和は、疾患または状態の徴候または症状が現れる前に起こってもよく、または現れた後に起こってもよい。したがって、「治療する」または「治療」は、疾患または望ましくない状態を「予防する」または「予防」を含んでいてもよい。これに加え、「治療する」または「治療」は、徴候または症状の完全な緩和を必要とせず、治癒を必要とせず、具体的には、患者に対する限界効果のみを有するプロトコールを含む。
【0049】
「治療上の利益」または「治療上有効な」との用語は、本明細書全体で使用される場合、この状態の医学的治療に関し、被験体の良好な状態を促進するか、または向上させる何かを指す。限定されないが、疾患の徴候または症状の頻度または重篤度の減少が含まれる。例えば、がんの治療は、例えば、腫瘍の大きさの減少、腫瘍の侵襲性の減少、がんの成長速度の減少、または転移の予防を含んでいてもよい。がんの治療は、がんを有する被験体の生存を長引かせることも指す。
【0050】
「対象」および「患者」は、霊長類、哺乳動物、および脊椎動物などのヒトまたは非ヒトのいずれかを指す。特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0051】
本明細書で一般的に使用される「薬学的に許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題、または合理的な利益/リスク比に見合った合併症なしにヒトおよび動物の組織、臓器、および/または体液との接触での使用に適している化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
【0052】
「薬学的に許容される塩」は、上記で定義されるように薬学的に許容され、所望の薬理学的活性を有する、本明細書に開示される化合物の塩を意味する。そのような塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、または、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、3-フェニルプロピオン酸、4,4’-メチレンビス(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、4-メチルビシクロ[2.2.2]オクタ-2-エン-1-カルボン酸、酢酸、脂肪族モノ-およびジカルボン酸、脂肪族硫酸、芳香族硫酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヒドロキシナフトエ酸、乳酸、ラウリル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、o-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、シュウ酸、p-クロロベンゼンスルホン酸、フェニル置換アルカン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、ターシャリーブチルアセテート酸、トリメチル酢酸などの有機酸で形成された酸付加塩が含まれる。薬学的に許容される塩には、存在する酸性プロトンが無機または有機塩基と反応することができる場合に形成され得る塩基付加塩も含まれる。許容される無機塩基には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、および水酸化カルシウムが含まれる。許容される有機塩基には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミンなどが含まれる。本発明の任意の塩の一部を形成する特定のアニオンまたはカチオンは、塩が全体として薬理学的に許容される限り、重要ではないことを認識すべきである。医薬的に許容される塩およびその調製方法および使用方法のさらなる例は、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,and Use。(P.H.Stahl&C.G.Wermuth eds.,Verlag Helvetica Chimica Acta,2002)
【0053】
「薬学的に許容される担体」、「薬物担体」、または単に「担体」は、化学剤の運搬、送達、および/または輸送に関与する有効成分医薬と共に製剤化された薬学的に許容される物質である。薬物担体は、薬物の送達および有効性を改善するために使用され得、例えば、薬物の生物学的利用能を調節し、薬物代謝を減少させ、そして/または薬物毒性を低減するための制御放出技術を含む。一部の薬物担体は、特定の標的部位への薬物送達の有効性を高める可能性がある。担体の例には、リポソーム、ミクロスフェア(例えば、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)でできている)、アルブミンミクロスフェア、合成ポリマー、ナノファイバー、タンパク質-DNA複合体、タンパク質複合体、赤血球、ウイロソーム、およびデンドリマーが含まれる。
【0054】
「その誘導体」という用語は、化学的に修飾された多糖を指し、モノマー糖単位の少なくとも1つは、原子または分子基または結合の置換によって修飾されている。ある1つの実施形態では、その誘導体はその塩である。塩は、例として、適切な鉱酸、例えば、ハロゲン化水素酸、硫酸またはリン酸、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩またはリン酸塩、適切なカルボン酸、例えば、場合によりヒドロキシル化された低級アルカン酸との塩、例えば、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、乳酸またはピバル酸、任意にヒドロキシル化および/またはオキソ置換低級アルカンジカルボン酸、例えばシュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、ピルビン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、および芳香族、ヘテロ芳香族または芳香脂肪族カルボン酸、例えば安息香酸、ニコチン酸またはマンデル酸、および適切な脂肪族または芳香族スルホン酸またはN-置換スルファミン酸、例えばメタンスルホン酸塩との塩、ベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネートまたはN-シクロヘキシルスルファメート(シクラメート)などである。
【0055】
本明細書で使用される「溶解」という用語は、固体物質、ここでは活性成分が媒体中に分子形態で分散されるプロセスを指す。本発明の医薬用量の活性成分の溶解速度は、液体/固体界面、温度および溶媒組成の標準化された条件下で単位時間あたり溶液になる薬物物質の量によって規定される。
【0056】
「活性成分」(AI)(活性化合物、活性物質、活性剤、医薬剤、薬剤、生物学的活性分子、または治療用化合物とも呼ばれる)は、生物学的に活性な医薬薬物中の成分である。医薬有効成分(API)およびバルク有効成分と同様の用語は、医学でも使用される。
【0057】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」とは、投与を容易にするため、または対象へのAPIの送達のため、またはAPIの対象の作用部位への送達のために薬学的に使用できる薬物製剤への処理を容易にするために使用される比較的不活性な物質である薬学的に許容される担体を指す。賦形剤の非限定的な例には、安定剤、界面活性剤、表面修飾剤、溶解促進剤、緩衝剤、カプセル化剤、抗酸化剤、保存剤、非イオン性湿潤剤または清澄剤、増粘剤、および吸収促進剤が含まれる。
【0058】
本明細書で使用する場合、「エアロゾル」という用語は、固体または液体粒子の空気中の分散を指し、そのサイズは、十分に細かく、その結果、沈降速度が低く、空気中の安定性が比較的高い。(Knight,V.,Viral and Mycoplasmal Infections of the Respiratory Tract.1973,Lea and Febiger,Phila.Pa.,pp.2).「クロファジミンエアロゾル」は、人または動物の気道への送達を目的とした、賦形剤を本質的に含まない微粉化クロファジミンからなる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「吸入」または「肺吸入」は、それらが肺、特定の実施形態では肺の肺胞領域に到達するように吸入による医薬調製物の投与を指すために使用される。通常、吸入は口を介して行われるが、別の実施形態では、鼻からの吸入を伴う場合がある。
【0060】
本明細書で使用される場合、「乾燥粉末」は、水性液体に懸濁または溶解されていない微粒子組成物を指す。
【0061】
「単純な乾燥粉末吸入器」とは、医薬を気道に送達するための装置を指し、ここで、医薬は、乾燥粉末として、単回使用の単回用量で送達される。特定の態様では、単純な乾燥粉末吸入器は、10個未満の作動部品を有する。いくつかの態様では、単純な乾燥粉末吸入器は受動的吸入器であり、分散エネルギーは、外部エネルギー源の適用を介するのではなく、患者の吸入力によって提供される。
【0062】
「中央粒径」とは、レーザー回折または画像分析によって測定される幾何学的直径を指す。一部の態様では、粒子の少なくとも80%は、中央粒径範囲にある。
【0063】
「質量中央空気力学直径(MMAD)」は、空気力学的直径(幾何学的直径とは異なる)を指し、カスケード衝突または飛行時間によって測定される。
【0064】
「アモルファス」という用語は、分子が明確な格子パターンで組織化されていない非結晶性固体を指す。一部の態様では、組成物の10%未満が、クロファジミンのアモルファス固体形態であり得る。
【0065】
III.吸入用のクロファジミン組成物
特定の実施形態では、本開示は、吸入可能なクロファジミン(またはその誘導体もしくは薬学的に許容される塩)組成物を提供する。クロファジミン組成物は、ネイティブのクロファジミンをジェットミリングして吸入用の結晶性クロファジミン粒子を生成することにより生成でき、これは、0.5~12μm、例えば約0.5μm~10μm、好ましくは1μm~6μmなど、より好ましくは約2~4μmの中央粒径を有することができる。サイズの範囲が比較的狭い吸入粒子を作製することにより、薬物送達システムの効率をさらに向上させ、投薬の再現性を改善することが可能である。したがって、粒子は、0.5μm~12μmまたは2μm~6μmまたは約0.75~4μmの範囲のサイズを有するだけでなく、中央粒径が80%以上になるように狭い範囲内にあることが好ましい。製剤中のより多くの粒子は、中央粒径の±20%、好ましくは±10%、より好ましくは中央粒径の±5%以内の粒径を有する。粒子径の中央値は、0.5~8μm、0.75~5μm、0.5~4μm、0.75~4μm、0.75~3μm、1~3μm、または1.5~3μmの範囲である。一部の態様では、2~4μmなどのこれらのサイズ範囲の結晶性粒子(すなわち、ナノ粒子)は、サイズがより大きい凝集物を形成し得るが、上記の範囲内の粒子を含むようレーザー回折を使用して測定され得る。
【0066】
一部の態様では、粒子は貧溶媒中に存在し、穏やかな撹拌下でレーザー回折を使用して測定して、中央粒径を決定することができる。他の態様では、粒子の中央値は、最大剪断力を使用する分散システム(例えば、Sympatec Rodos)を使用して、粒子が乾燥粉末として分散された状態で測定することができる。
【0067】
クロファジミン組成物は結晶形態であってよい。結晶性クロファジミン分子は、あらゆる方向に伸びる高度に組織化された規則的で反復的な構造に配置されている。結晶性クロファジミンは、10%未満のアモルファス粒子を含む場合がある。特定の実施形態では、結晶性クロファジミンはアモルファス粒子を有さない場合がある。一部の実施形態では、結晶性クロファジミン中のアモルファスクロファジミンの量は、0~10%、0.1~10%、0.1~5%、1~10%、または1~5%であってよい。結晶性組成物は、それらの高度に秩序だった性質のため、溶解が遅い場合がある。
【0068】
吸入可能なクロファジミン組成物は、単一の活性成分(すなわち、クロファジミン)を含んでもよく、したがって、他の活性成分を含まなくてもよい。組成は、少なくとも90%、例えば、少なくとも91、少なくとも92、少なくとも93、少なくとも94、少なくとも95、少なくとも96、少なくとも97、少なくとも98、少なくとも99、または少なくとも100%のクロファジミンであってよい。
【0069】
特定の実施形態では、本明細書で提供される吸入可能なクロファジミン組成物は、賦形剤および添加剤を本質的に含まない。特定の態様では、本組成物はいずれの賦形剤の追加がない。本クロファジミン組成物は、10%未満、例えば5%未満、具体的には1%未満、特に0.1%未満、例えば0.01%未満のサイコデキストリン、無水グルコース、無水ラクトース、ラクトース一水和物、マンニトール、単糖、二糖、オリゴ糖、臭化アクリジニウム、フマリルジケトピペラジン、ステアリン酸マグネシウム、酢酸セルビオース、水、エタノール、イソプロピルアルコール、L-ロイシン、デキストラン、キトサン、脱アセチル化キトサン、アスコルビン酸、ステアリン酸、プルロニックF-68、プルロニックF-127、デオキシコール酸、モノステアリン酸グリセリル、大豆ホスファチジルコリン、ポロキサマー188、プレシロールATO5、カプリオール90、ラウリン酸、カルシウム二ナトリウムEDTA、ポリ(ビニルアルコール)、デオキシコール酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、レシチン、セチルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリカプロラクトンジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、Lactohale 300M、Pharmatose 150M、tert-ブチルアルコール、デオキシコール酸ナトリウム、ポリ(ε-カプロラクトン)、コレステロール、ジクロロメットハネ、ステアリルアミングラフト化デキストラン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、アルギン酸ナトリウム、コンプリトール888、トリステアリン、シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、シリカ、ポビドン、デンプン、ポリエチレングリコール、カルボマー、ポリ(乳酸)、ポリ(D,L-乳酸-co-グリコール酸)、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリメチルメタクリレート、アクロレイン、グリシジルメタクリレート、ラクチド、ポリ(シアノアクリル酸アルキル)、ポリ無水物、ポリ(D,L-乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(アクリル)デキストラン、ポリ(アクリル)デンプン、カラギーナン、ゼラチンを含み得る。
【0070】
さらなる実施形態は、本明細書で提供される吸入可能なクロファジミン組成物を生成する方法を提供する。天然のクロファジミン(すなわち、市販のクロファジミン)は、ジェットミリング、特にエアジェットミリングなどのミリングに供されて、本明細書に提供される賦形剤を含まない吸入可能なクロファジミン組成物を生成し得る。本方法で使用することができる例示的なエアジェットミルには、Aljet流体エネルギーミル、Jet Pulverizer Micron-Masterミル、およびSturtevant Micronizer Jetミルが含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
1つの例示的な方法において、天然のクロファジミンは、実験室規模のAljetエアジェットミル(Model 00 Jet-O-Mizer(商標)、Fluid Energy、Telford、PA)を使用して、呼吸可能な範囲0.5~5μm内の粒径分布に微粉化され得る。エアジェットミルは、約70~80 PSI、例えば約75 PSIの粉砕圧力、約60~70 PSI、例えば約65 PSIの供給圧力、および約0.5~2グラム/分、例えば約1グラム/分の供給速度に設定できる。約1~20、例えば約5~10、特に約3~4.5グラムのCFZをバッチごとに粉砕できる。粉砕された各バッチの幾何学的粒径分布は、RODOS分散を3~4 barで使用するレーザー回折装置、例えば、HELOSレーザー回折装置(Sympatec GmbH、ドイツ)で評価できる。粉末分散後、10ミリ秒ごとに測定を行うことができる。5~25%の光学濃度の測定値を平均して、粒子サイズの分布を決定できる。
【0072】
IV.使用方法
一部の実施形態では、本開示は、本明細書で提供される吸入可能なクロファジミン組成物を投与することを含む、肺感染症の治療または予防のための方法を提供する。感染症は、結核菌、多剤耐性結核菌、広範囲薬物耐性結核菌、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス、マイコバクテリウム・アブセサス、マイコバクテリウム・カンサシ、黄色ブドウ球菌、およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)だが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、治療は、肺感染症と診断された家族の一員を有する対象、肺感染率の高い地域に旅行する対象、または医療従事者など、肺感染症を発症するリスクのある対象に対して予防的であり得る。
【0073】
本開示は、本明細書で提供される吸入可能なクロファジミン組成物を投与することにより、肺炎症を治療、軽減、または防止する方法をさらに提供する。例えば、方法は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、および嚢胞性線維症などの呼吸器疾患を有する対象に適用されてもよい。本発明の文脈における呼吸障害には、喘息、気腫、気管支炎、COPD、副鼻腔炎、呼吸抑制、反応性気道機能不全症候群(RADS)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、刺激性誘発喘息、職業性喘息、知覚過敏症、気道(または肺)炎症、複数の化学物質過敏症、および禁煙療法の支援が含まれるが、これらに限定されない。「喘息」という用語は、急性喘息、慢性喘息、間欠性喘息、軽度の持続型喘息、中程度の持続型喘息、重度の持続型喘息、軽度から中程度の喘息、軽度から中程度の持続型喘息、軽度から中程度の慢性持続型喘息、アレルギー性(外因性)喘息、非アレルギー性(内因性)喘息、夜間喘息、気管支喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息、季節性喘息、無症候性喘息、胃食道喘息、特発性喘息、咳喘息などを指す場合がある。
【0074】
さらなる実施形態では、本明細書で提供される吸入可能なクロファジミン組成物を投与することによる、肺炎症の軽減などの肺がんの治療のための方法が提供される。別の実施形態では、吸入可能なクロファジミン組成物は、造影剤として機能するように投与される。
【0075】
一部の実施形態では、微粉化クロファジミンによる患者の治療は、調節された薬物放出を含み得る。一部の実施形態において、微粉化クロファジミンは、徐放または遅延放出のために製剤化され得る。一部の実施形態において、微粉化クロファジミンは、迅速放出のために製剤化され得る。さらなる実施形態において、微粉化クロファジミンは、遅い放出および速い放出の両方のために製剤化され得る(すなわち、二重放出プロファイル)。
【0076】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書で提供される吸入可能なクロファジミン組成物の投与のための方法を提供する。投与は、吸入器を使用する微粉化クロファジミンの吸入に限定されないが、あり得る。一部の実施形態では、吸入器は、Plastiape RSO1単回投与DPIなどの単純な受動的乾燥粉末吸入器(DPI)である。単純な乾燥粉末吸入器では、乾燥粉末はカプセルまたはリザーバーに保管され、推進剤を使用せずに吸入により肺に送達される。
【0077】
一部の態様では、吸入器の使用に必要な、必要な吸気流量は、95L未満/分、例えば約90L/分、例えば約15~90L/分、好ましくは約30L/分であってよい。一部の実施形態では、微粉化クロファジミンの効率的なエアロゾル化は、吸気力とは無関係である。
【0078】
一部の実施形態では、吸入器は、DoseOne(商標)、Spinhaler、Rotohaler(登録商標)、Aerolizer(登録商標)、またはHandihalerなどの単回投与DPIである。一部の実施形態では、吸入器は、Plastiape RS02、Turbuhaler(登録商標)、Twisthaler(商標)、Diskhaler(登録商標)、Diskus(登録商標)、またはEllipta(商標)などの複数回投与DPIである。一部の実施形態では、吸入器は、Twincer(登録商標)、Orbital(登録商標)、TwinCaps(登録商標)、Powdair、Cipla Rotahaler、DP Haler、Revolizer、Multi-haler、Twister、Starhaler、またはFlexhaler(登録商標)である。一部の実施形態では、吸入器は、Plastiape RS04 plurimonodose DPIなどの複数の医薬の単回用量の同時送達のためのplurimonodose DPIである。乾燥粉末吸入器は内部リザーバーに医薬を保管しており、医薬は推進剤の使用の有無にかかわらず吸入により送達される。乾燥粉末吸入器は、約30~120L/分のような、効果的な送達のために30L/分を超える吸気流速を必要とする場合がある。一部の実施形態では、微粉化クロファジミンの効率的なエアロゾル化は、吸気力とは無関係である。一部の実施形態では、乾燥粉末吸入器は、0.02kPa0.5分/L~0.04kPa0.5分/Lなど、0.01kPa0.1分/L~0.06kPa0.5分/Lの流動抵抗を有する。
【0079】
一部の実施形態では、吸入可能なクロファジミンは、HFA噴射剤またはQNaslなどの噴射剤製剤として送達される。
【0080】
一部の実施形態では、吸入器は、定量吸入器であり得る。定量吸入器は、噴射剤の使用によって補助されたエアロゾル化された薬の短いバーストで、規定量の医薬を肺に送達する。定量吸入器は、キャニスター、計量バルブ、アクチュエーターの3つの主要部分を含む。噴射剤および必要な賦形剤を含む医薬製剤は、キャニスターに保管される。計量弁は、規定された量の医薬製剤が分配されることを可能にする。定量吸入器またはマウスピースのアクチュエーターには、対応する吐出ノズルが含まれており、通常、汚染を防ぐためにダストキャップが含まれている。
【0081】
一部の実施形態では、吸入器はネブライザーである。ネブライザーは、肺に吸入されるエアロゾル化されたミストの形で医薬を送達するために使用される。医薬製剤は、圧縮ガスまたは超音波によってエアロゾル化される。ジェットネブライザはコンプレッサに接続されている。コンプレッサは、液体の医薬製剤を通じて高速で圧縮ガスを放出し、医薬製剤をエアロゾル化させる。その後、エアロゾル化された医薬製剤が患者に吸入される。超音波ネブライザーは高周波超音波を発生させ、医薬製剤の液体リザーバーと接触する内部要素の振動を引き起こし、医薬製剤をエアロゾル化させる。その後、エアロゾル化された医薬が患者に吸入される。ネブライザーは、約3L~12L/分の間の流量、例えば約6L/分の流量を利用することができる。一部の実施形態では、ネブライザーは乾燥粉末ネブライザーである。
【0082】
一部の実施形態では、組成物は、日常的なスケジュールで投与されてもよい。本明細書で使用される場合、定期的なスケジュールは、所定の指定された期間を指す。定期的なスケジュールは、スケジュールが事前に決定されている限り、同一であるか、または長さが異なる期間を包含し得る。例えば、定期的なスケジュールは、1日2回、毎日、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、毎週、毎月または任意の設定された日数またはその間の週。あるいは、所定の定期的スケジュールは、第1週に1日2回の投与、その後数ヶ月間毎日の投与などを含み得る。いくつかの実施形態では、クロファジミンは1日1回投与される。好ましい実施形態では、クロファジミンは、1日おき、1日おき、1日おき、または週1回など、1日1回未満で投与される。一部の実施形態では、クロファジミンの完全用量は、1~100mg、例えば、20~100、50~100、10~20、20~40、50~70、または80~90mgである。
【0083】
一部の実施形態では、クロファジミンは、カプセル、ブリスター、またはカートリッジなどの単位剤形で提供されてもよく、単位用量は、用量あたり少なくとも15mgまたは少なくとも20mgのクロファジミンなどの少なくとも10mgのクロファジンを含む。特定の態様では、単位剤形は、いずれの賦形剤の投与も添加も含まず、吸入のために粉末を保持するためにのみ使用される(すなわち、カプセル、ブリスター、またはカートリッジは投与されない)。一部の実施形態では、クロファジミンは、少なくとも10mg、好ましくは少なくとも15mg、さらにより好ましくは20mgなどの高放出用量で投与することができる。一部の実施形態では、微粉化クロファジミンの投与は、深部肺への5mgを超えるような高微粒子用量をもたらす。好ましくは、肺深部への微粒子投与量は少なくとも10mg、さらにより好ましくは少なくとも15mgである。一部の態様では、微粒子用量は、放出用量の少なくとも50%、例えば、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、または少なくとも80%である。
【0084】
一部の実施形態では、装置全体にわたる圧力降下の変化は、放出用量の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、装置全体にわたる圧力降下の3kPaの変化、例えば4kPaから1kPaへの変化は、放出用量の25%未満、例えば、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、またはそれ未満の減少をもたらす。一部の実施形態では、装置全体にわたる吸入圧力降下の変化は、微粒子用量の変化をもたらす。一部の実施形態では、装置全体にわたる吸入圧力降下の3kPaの変化、例えば4kPaから1kPaの変化は、微粒子用量の15%未満、例えば、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、またはそれ未満の減少をもたらす。
【0085】
一部の実施形態では、クロファジミンの溶解速度が測定される。一部の実施形態では、結晶性クロファジミンは溶解速度が遅い。一部の実施形態では、クロファジミンの溶解速度は、クロファジミンの質量で25、20、15、または10%未満などの30%以下が、添加から15分以内に溶解媒体に溶解するようなものである。一部の実施形態では、溶解媒体は、リン酸緩衝生理食塩水pH7.4+0.2%ポリソルベート80である。
【0086】
一部の実施形態では、クロファジミンは、J774.A1マクロファージ培養物によって内部移行される。一部の実施形態では、クロファジミンは結晶性である。一部の実施形態では、クロファジミンは微粉化されている。一部の実施形態では、微粉化結晶性クロファジミン粒子は、J774.A1マクロファージ培養物によって内部移行される。さらなる実施形態において、マクロファージによる粒子の内部移行の速度は高く、例えば、8時間のインキュベーション後に80%を超える内部移行である。一部の実施形態では、マクロファージは、クロファジミンを異なる結晶様形態に変換する。一部の実施形態では、クロファジミンの結晶形の変化は、蛍光シフトによって検出される。一部の実施形態では、蛍光シフトは、約590nmから約660nmである。一部の実施形態では、蛍光シフトは短時間で起こる。一部の実施形態では、蛍光シフトは、7日、6日、5日、4日、3日、2日などの1週間以内、または24時間以内に発生する。
【0087】
一部の実施形態では、本明細書で提供される治療方法は、少なくとも1つの第2の治療薬を投与することをさらに有し得る。第二の薬剤は、ベダキリン、ピラジナミド、核酸阻害物質、タンパク質合成阻害物質、および細胞エンベロープ阻害物質であり得るが、これらに限定されない。タンパク質合成阻害物質のグループには、リネゾリド、クラリスロマイシン、アミカシン、カナマイシン、カプレオマイシン、およびストレプトマイシンが含まれるが、これらに限定されない。細胞エンベロープ阻害物質群には、エタンブトール、エチオナミド、チオアセチゾン、イソニアジド、イミペネム、クラブラネート、シクロセリン、テリジドン、アモキシシリン、およびプロチオナミドが含まれ得るが、これらに限定されない。核酸阻害物質の群は、限定されないが、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、4-アミノサリチル酸、モキシフロキサシン、オフロキサシン、およびレボフロキサシンを含み得る。一部の実施形態では、第2の治療剤はクロファジミンであってよい。他の例示的な薬剤には、バンコマイシン、トブラマイシン、シプロフロキサシン、ホスホマイシン、およびリファキシミンが含まれるが、これらに限定されない。併用療法は、同時に、逐次的に、または別々に投与することができる。
【0088】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるだろう。しかし、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、単なる具体例として与えられていることが理解されるべきである。本発明の精神および範囲内の種々の変更および改変が、この詳細な説明から当業者には明らかになるからである。
【実施例0089】
IV.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために含まれている。以下の実施例に開示される技術は、本発明の実施において十分に機能するように本願発明者によって開発された技術を表し、そのため、その実施のための好ましい態様を構成すると考えることができることが、当業者によって理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示の観点で、開示される具体的な実施形態において、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、同じまたは同様の結果が依然として得られる多くの変更をなし得ることを理解するべきである。
【0090】
実施例1 - 材料と方法
クロファジミンの微粉化:ラボスケールのAljetエアジェットミル(Model 00 Jet-O-Mizer(商標)、Fluid Energy、Telford、PAとも知られている)を使用して、呼吸可能な範囲0.5~5μm内の粒子サイズ分布にクロファジミンを微粉化した。(Sigma;Lot:SLBL8945V)75 PSIの粉砕圧力と65 PSIの供給圧力の窒素ガスを、1グラム/分の固体材料供給速度と組み合わせて使用した。粉砕された各バッチの幾何学的粒径分布は、HELOSレーザー回折装置(Sympatec GmbH、ドイツ)で、RODOS分散を3 barで使用して評価された。粉末分散後、10ミリ秒ごとに測定を行った。粒径分布を決定するために、5~25%の光学密度の測定値を平均した。
【0091】
微粉化クロファジミンの走査型電子顕微鏡:粉砕されたクロファジミンの形態を分析するために、サンプルをアルミニウムSEMスタブにマウントし、Cressingtonスパッタコーター208 HR(Cressington Scientific Instruments Ltd.、Watford、UK)を使用して12nmのプラチナ/パラジウム(Pt/Pd)でスパッタコーティングした。イメージングは、Zeiss Supra 40VP SEM(Carl Zeiss Microscopy GmbH、イェーナ、ドイツ)を使用して行った。未分散粒子とRODOS分散機を3 barで使用して分散した粒子を調べた。
【0092】
X線回折結晶学および示差走査熱量測定:粉砕されたクロファジミンにおける結晶化度および多形変換の存在は、X線粉末回折(XRD)および示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定された。粉砕されていないおよび粉砕されたクロファジミン粉末の1次元回折図は、Rigaku MiniFlex 600 II(Rigaku Corporation、Tokyo、Japan)を使用して取得し、Rigaku Guidanceソフトウェアで制御し、40KV電圧および40mA電流で銅のターゲット放射線に設定した。回折図は、ジェイド(Ragaku Corporation、Tokyo、Japan)を使用して分析した。粉砕されていないおよび粉砕されたクロファジミンのサーモグラムは、TA Advantageソフトウェアによって制御されかつ50mL/分の窒素パージによるRCS40(TA Instruments-Waters LLC、New Castle、DE、USA)冷蔵冷却システムを備えたAuto Q20 DSCを使用して、取得した。各サンプル約4mgを標準のDSCパン(DSC Consumables Inc.、ミネソタ州オースティン、米国)にロードし、Tzeroサンプルプレス(TA Instruments-Waters LLC、ニューキャッスル、デラウェア州、米国)を使用して圧着した。サンプルを5℃/分の速度で30℃から300℃に加熱した。
【0093】
賦形剤を含まない粉砕クロファジミンの比表面積分析:粉砕されたクロファジミンの比表面積は、Monosorbガス吸着ユニット(Quantachrome Instruments)を使用して評価した。3つのサンプルをガラス測定セルにロードし、ヘリウム下で80℃で18時間脱ガスした。シングルポイントブラウナーエメットテラー(BET)法と、吸着物としてヘリウム中の窒素30molフラクションを使用して、各サンプルの表面積を計算した。比表面積を測定するために、ガス放出後の表面積をサンプルの重量で割った。
【0094】
賦形剤を含まない粉砕クロファジミンの密度分析:賦形剤を含まない粉砕クロファジミンのバルクおよびタップ密度を評価するために、ガラス製試験管をピペットを使用して0.25mLに調整した。管を2~3mLの校正マークに対応する容量まで満たし、次に秤量してかさ密度を得た。次に、チューブを10回たたき、容量を再測定して、タップ密度を得た。
【0095】
賦形剤を含まない粉砕クロファジミンの安息角分析:賦形剤を含まない粉砕クロファジミンの安息角を評価するために、半径1.25cm、高さ1.2cmの中空の開いたシリンダーの上約4.5cmに設置した漏斗から約500~800mgの粉砕クロファジミンを注いだ。注がれた粉末から生じるコーンの高さは、画像分析ソフトウェアImage Jを使用して決定された。3つのコーンの高さが取られ、最終的な安息角の決定のために平均された。安息角は、以下の式に従って計算された。
【0096】
賦形剤を含まない粉砕クロファジミンのエアロゾル化性能の判定:Plastiape S.p.a(イタリア、オスナゴ)のモデル7低抵抗単回投与RS01 DPIと高抵抗単回投与RS01 DPIを使用して、インビトロ空気力学的性能試験を実施した。サイズ3のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルは、Capsugel Inc.(Morristown、New Jersey、USA)から提供された。カスケードインパクション研究で使用された低抵抗RS01単回投与DPIの抵抗は、USP Chapter 601の装置Bに基づく投与量サンプリングユニットを使用して測定され、0.021kPa0.5分/Lと計算された。カスケード衝突試験で使用された高抵抗RS01単回投与DPIの抵抗は、0.036kPa0.5分/Lであると報告されている。(Elkins,Anderson et al.2014)粉砕されたクロファジミンのカスケードインパクション研究は、次世代インパクター(NGI)(MSP Corporation、MN、USA)で行われた。ステージ1~7のカットオフ直径は式1を使用して決定され、MOCカットオフ直径は式2を使用して決定された。
式中、D50,Qは流量Qでのカットオフ直径であり、下付き文字nはQ=60L/分のアーカイブ参照値を指しており、かつ、指数xの値は、Marpleらによって決定された、アーカイブNGIステージのカットサイズ-フローレート計算によって決定された。粒子の跳ね返りと再飛散を減らすために、NGIプレートをヘキサン中の1%(v/v)シリコンオイルでコーティングし、乾燥させた。粉砕されたクロファジミンの空気力学的性能に対する粒子サイズの影響を判定するために、低抵抗RS01 DPIを使用して行われた分析は、特に2番目の粉砕バッチから得られた粉砕粒子に対して行われた。粒子の2つの異なる母集団をテストした:ジェットミルのサイクロンユニットから派生した中央径(D50)が2.69μm(CFZ2.69μm)の粒子(図1)と、ジェットミルの収集容器ユニットから派生したD50が1.81μmの粉砕された粒子(CFZ1.81μm)(図1)。装置に4リットルの空気を引き込むのに十分な時間(低抵抗RS01装置では2.6秒、高抵抗RS01装置では4.3秒に相当)、4kPaの圧力降下(低抵抗RS01装置では93L/分に、高抵抗RS01装置では55.6L/分に相当)でこれらのサンプルにカスケード衝突を行った。粉砕されたクロファジミンの分散液の流量依存性を判定するために、装置を通して1kPaの圧力降下(47L/分に相当)でCFZ1.81μm粒子にカスケードインパクションを5.1秒間実行した。低抵抗RS01装置と高抵抗RS01装置からエアロゾル化された粉砕クロファジミンの性能を比較するために、体積中央粒径が2.44μmの粉砕バッチからのクロファジミンサンプル(RODOS乾燥分散を用いるSympatecレーザー回折ユニットを使用して4bar圧力で測定し、HRLDモデルでHELOSソフトウェアバージョン5.6.0.0を使用して分析して、粒子サイズ分布を決定した場合)を使用した。得られた分散粉末を、エタノールまたはイソプロピルアルコールで洗浄することにより、カプセル、吸入器、アダプター、誘導ポート、ステージ1~7、およびマイクロオリフィスコレクター(MOC)から収集した。Tecan Infinite M200 PROマルチモードマイクロプレートリーダー(Tecan Systems、Inc.、San Jose、CA、USA)を使用して、波長480nmでのUV吸収を測定することにより、各サンプルの薬物量を定量化した。放出画分(EF)は、収集された薬物の総質量のパーセンテージとして、装置からの放出総薬物として計算された。微粒子(<5μm)画分(FPF5μm/EF)および微粒子(<3μm)画分(FPF3μm/EF)は、空気力学的直径が5μm未満および3μm未満であると予測される放出用量のパーセンテージに対応した。FPF5μm/EFおよびFPF3μm/EFの値は、縦軸にNGIステージの下流に堆積した放出用量の累積パーセンテージ、横軸にそのステージの粒子カットオフサイズを使用してグラフから補間された。各サンプルについて、空気力学的粒子サイズ分布(APSD)の質量ベースの中央値を表す質量中央空気力学的直径(MMAD)、およびAPSDの広がりを表す幾何標準偏差(GSD)は、空気力学的直径(ログスケール)に対して、指定された空気力学的サイズカット(プロビットとして表している)未満の質量の累積パーセンテージをプロットする。分布は対数正規であった。線形回帰を実行して、MMADを決定するために50%パーセンタイル(プロビット5)に対応する空気力学的直径を決定し、GSDを計算するために15.87%パーセンタイル(プロビット4)および84.13%パーセンタイル(プロビット6)に対応する空気力学的直径を決定した。
【0097】
ラクトースとブレンドした粉砕クロファジミンのエアロゾル化性能の判定:4バールの圧力でRODOS分散を用いるSympatecレーザー回折装置を使用して測定した、2.44μmの中央粒径を含む粉砕されたクロファジミンは、70~110μmの中央粒径を持つと報告されているInhalac 230ラクトース(Meggle Pharma)とブレンドされた。粉砕されたクロファジミン135mgを、ガラスシンチレーションバイアル内のスパチュレーションプロセスを介して、ラクトース15mgと混合した。乳糖が最初に加えられ、CFZは幾何学的希釈のプロセスを介して組み込まれた。ブレンドの均一性を評価するために5つのサンプルが取られ、ブレンド中のクロファジミンの平均効力は86.5%w/wであった。Plastiape S.p.a(イタリア、オスナゴ)のモデル7低抵抗単回投与RS01 DPIを使用して、インビトロ空気力学性能試験を実施した。サイズ3のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルは、Capsugel Inc.(Morristwon、New Jersey、USA)から提供された。カスケードインパクション研究で使用されたRS01単回投与DPIの抵抗は、USP Chapter 601の装置Bに従って、投与量サンプリングユニットを使用して測定され、0.021kPa0.5分/Lと計算された。粉砕されたクロファジミンのカスケードインパクション研究は、次世代インパクター(NGI)(MSP Corporation、MN、USA)で行われた。ステージ1~7のカットオフ直径は式1を使用して決定され、MOCカットオフ直径は式2を使用して決定された。
式中、D50,Qは流量Qでのカットオフ直径であり、下付き文字nはQ=60L/分のアーカイブ参照値を指しており、かつ、指数xの値は、Marpleらによって決定された、アーカイブNGIステージのカットサイズ-フローレート計算によって決定された。粒子の跳ね返りと再飛散を減らすために、NGIプレートをヘキサン中の1%(v/v)シリコンオイルでコーティングし、乾燥させた。粉砕されたクロファジミンの空気力学的性能に対する粒子サイズの影響を判定するために、特に第2の粉砕されたバッチから得られた粉砕された粒子に対して分析が行われた。粒子の2つの異なる集団をテストした:ジェットミルのサイクロンユニットから派生した中央径(D50)が2.69μm(CFZ2.69μm)の粒子(図1)と、ジェットミルの収集容器ユニットから派生したD50が1.81μmの粉砕された粒子(CFZ1.81μm)(図1)。カスケードインパクションは、4kPaの圧力降下(低抵抗RS01装置の93L/分に相当)で、4リットルの空気を装置に引き込むのに十分な時間(2.6秒)でこれらのサンプルに対して実行された。得られた分散粉末を、イソプロピルアルコールで洗浄することにより、カプセル、吸入器、アダプター、誘導ポート、プレセパレーター、ステージ1~7およびマイクロオリフィスコレクター(MOC)から収集した。Tecan Infinite M200 PROマルチモードマイクロプレートリーダー(Tecan Systems、Inc.、San Jose、CA、USA)を使用して、波長480nmでのUV吸収を測定することにより、各サンプルの薬物量を定量化した。放出画分(EF)は、収集された薬物の総質量のパーセンテージとして、装置からの放出総薬物として計算された。微粒子(<5μm)画分(FPF5μm/EF)および微粒子(<3μm)画分(FPF3μm/EF)は、空気力学的直径が5μm未満および3μm未満であると予測される放出用量のパーセンテージに対応した。FPF5μm/EFおよびFPF3μm/EFの値は、縦軸にNGIステージの下流に堆積した放出用量の累積パーセンテージ、横軸にそのステージの粒子カットオフサイズを使用してグラフから補間された。各サンプルについて、空気力学的粒子サイズ分布(APSD)の質量ベースの中央値を表す質量中央空気力学的直径(MMAD)、およびAPSDの広がりを表す幾何標準偏差(GSD)は、空気力学的直径(ログスケール)に対して、指定された空気力学的サイズカット(プロビットとして表している)未満の質量の累積パーセンテージをプロットする。分布は対数正規であった。線形回帰を実行して、MMADを決定するために50%パーセンタイル(プロビット5)に対応する空気力学的直径を決定し、GSDを計算するために15.87%パーセンタイル(プロビット4)および84.13%パーセンタイル(プロビット6)に対応する空気力学的直径を決定した。
【0098】
粉砕されたクロファジミンのマクロファージ取り込み:J774.A1マウスマクロファージを、10%ウシ胎児血清(FBS)、1%ペニシリン、および1%ストレプトマイシンを添加したダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)で培養した。細胞を37℃で5%CO2に維持した。継代は、細胞が80%の集密度に達する前に実行した。
【0099】
可溶化されたクロファジミンと比較して粉砕されたクロファジミンの毒性を判定するために、MTTアッセイを行った。J774.A1細胞を96ウェルプレートに104細胞/ウェルで6回繰り返して播種し、24時間増殖させた。可溶化または粉砕された粒子のさまざまな濃度(5μm、10μm、20μm)を細胞に加え、細胞を24時間インキュベートした。可溶化クロファジミン処理は、クロファジミンをDMSOに溶解し、ストック濃度から適宜希釈することで行った。細胞へのDMSOの毒性作用を低減するために、0.4%以下のDMSOが細胞に添加された。粉砕されたクロファジミン処理は、粉砕された粒子をPBSに懸濁し、5分間超音波処理して確実に分散させ、それに応じて希釈することにより行われた。24時間曝露した後、薬物処理を取り除き、細胞をMTT試薬溶液(フェノールを含まない培地で0.5mg/mL)と37℃、5%CO2で1時間インキュベートした。次に、25μLを除くすべてのMTT試薬を吸引し、50μlのDMSOを添加して細胞を可溶化した。プレートを540nmで分光光度計(Infinite M200、Tecan)を用いて読み取った。処理された細胞の吸光度は、PBSまたはDMSOのみで処理された細胞の正の対照で正規化された。
【0100】
粉砕されたクロファジミンの食作用率を評価するために、薬物曝露後のさまざまな時点でJ774.A1マクロファージを画像化した。細胞を3x10細胞の35mmガラス底の皿に播種し、24時間増殖させた。その時点で、D501.90μmクロファジミン粒子(Aljetミルの収集容器領域から得られた)およびD502.83μmクロファジミン粒子(Aljetミルのサイクロン領域から得られた)が加えられた。薬物治療は、MTTアッセイについて説明したように準備した。すべての処理グループは、20μg/mLの濃度でマクロファージに加えられた。明視野画像は、EVOS XL Core Imaging System(Thermo Fisher Scientific;Waltham、MA)で40倍の倍率で撮影された。時点画像は、薬物曝露の0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、および24時間で撮影された。各時点で少なくとも6つの画像が取得された。細胞内および細胞外のクロファジミン粒子を手動でカウントして粒子取り込み率を測定し、各時点で少なくとも540個の細胞をカウントした。Excel(Microsoft Corporation)を使用して、データに曲線をフィットさせた。
【0101】
クロファジミンのフローサイトメトリー定量:クロファジミンのマクロファージ取り込みを定量化し、粉砕されたクロファジミンの液晶への細胞内生体内変化を評価するために、フローサイトメトリーを行った。フローサイトメトリーの実験設定は、顕微鏡実験と同様であった。処理グループは、溶解したクロファジミン、粉砕されていないクロファジミン、D501.90μmクロファジミン粒子(平均サイズ、Aljetミルの収集容器領域に由来)およびD502.83μmクロファジミン粒子(平均サイズ、Aljetミルのサイクロン領域に由来)、およびPBSまたはDMSOを含む対照グループ。薬物曝露の24時間後、薬物含有培地を除去し、分析のために細胞を1mLのPBSに懸濁した。551nmレーザーを備えたAccuri SORPフローサイトメーター(BD、フランクリンレイクス、ニュージャージー州、米国)を使用して、飲み込まれたクロファジミンの存在に基づいて細胞を分析した。ソーティングは、610/20 bp(三斜晶型のクロファジミンに対応)と660/20 bp(液晶型のクロファジミンに対応)の両方のバンドパスで実行された。直角光散乱(FSC)と直角側方散乱(SSC)に基づくサイトグラムを使用して、蛍光が検出される前に、凝集体、破片、死細胞を排除した。すべてのゲーティングと分析は、少なくとも10,000個の細胞で3回繰り返して行われた。サンプル取得はFACSDiva v6.1.3(BD、フランクリンレイクス、ニュージャージー州、米国)で実行された。サンプル分析はFlowJo(FlowJo、LLC、アッシュランド、OR)で実行された。
【0102】
粉砕されたクロファジミンの溶解:粉砕されたクロファジミンの溶解研究は、空気力学的に分離された粒子の収集を可能にするために変更されたインパクターステージを備えたNGIを利用し、USP Apparatus II(パドル)溶解バス内に配置された。難水溶性クロファジミンの溶解を定量化するために、0.2%ポリソルベート80を含むPBSを溶解媒体として使用した。溶解試験の前に、PBS+0.2%ポリソルベート80中のクロファジミンの飽和溶解度を、粉砕されたクロファジミンの過剰量を培地に入れ、MaxQ 4450シェーカー(Thermo Scientific、ウォルサム、マサチューセッツ州、米国)に75 RPMかつ37℃で24時間入れて測定し、その後振盪を停止し、サンプルを37℃で48時間静置した。上澄みから一部を取り出し、分光光度計(Infinite M200、Tecan)で評価した。粉砕されたクロファジミンの溶解を評価するために、9mgの薬物をカプセルに入れ、NGIに作動させた。ステージ5(93L/分で0.75μmの空気力学的粒子カットオフに対応)は、変更されたNGI溶解ステージに置き換えられた。NGIに分散させた後、改造された段階の粉末を直径90mm、孔径0.05μmにカットされたWhatman(登録商標)ポリカーボネートフィルター(GE Healthcare Life Sciences、シカゴ、イリノイ州、米国)でカバーし、対応するOリングでシールし、およびパドル装置を備えたVarian VK2000溶解バス(Agilent Technologies、カリフォルニア州サンタクララ、米国)に配置した。溶解容器には、あらかじめ温められた溶解液300mLが入っており、パドルはステージから10mm離れた位置に設定されていた。回転は75 RPMに設定し、温度は37℃に設定した。24時間かけて3mLのサンプルを採取し、新しい培地に交換した。研究の結論の後、変更されたNGIステージに残っている薬物をエタノールで洗浄した。微量の薬物の検出を可能にするために、サンプルを蛍光(480nm励起、580nm発光)を使用して分析した。
【0103】
(表1)肺送達のためのCFZ DPI製剤の目標プロファイル
【0104】
統計分析:実験結果の統計的有意性は、Excel(Microsoft Corporation)でAnalysis of Variance(ANOVA)を使用し、必要に応じてTukey HSD事後分析を使用して評価した。アルファレベルは0.05に設定された。
【0105】
実施例2 - 微粉化クロファジミンの特性評価
記載された条件に従ったクロファジミンのジェットミリングは、粒子が収集されたジェットミルの面積に応じて粒子サイズが変化する、呼吸可能な範囲内の粒子サイズ分布(PSD)をもたらした。(図4および表2)粉砕プロセスの平均収率は48.34%±4.82%であった。ミルのサイクロンと収集容器の部分(図3)は、平均でそれぞれ71.96%±4.93%および13.35%±8.32%と最大の収率を示したため、さらなる研究のために選択された。
【0106】
(表2)粉砕されたクロファジミンの平均(n=3)粒子サイズ分布
【0107】
粉砕されていないクロファジミンが、粉砕時に維持される板状晶癖、および3バールの圧力でRODOSを用いて分散すると一次粒子に分散する高度に凝集した粉砕粒子を示すことをSEM画像が明らかにした(図5)。
【0108】
XRDおよびDSC分析では、結晶化度に検出可能な変化は見られなかった(図6)。粉砕されていないクロファジミンと粉砕されたクロファジミンの回折図は、同一のピーク位置を示した。粉砕されていないものと粉砕されたものの両方のサーモグラムは、222℃で単一の吸熱イベントを示した。
【0109】
シングルポイントBETメソッドを使用した表面積分析では、2.149m/gの平均比表面積が示された。賦形剤を含まない粉砕クロファジミンの密度分析では、平均かさ密度が0.09 g/mL、平均タップ密度が0.14 g/mLであった。これにより、33.97の圧縮性指数と1.5のハウスナー比が得られた。賦形剤を含まない粉砕クロファジミンの安息角分析は、22.82度の安息角を示した。
【0110】
賦形剤を含まない粉砕クロファジミンのエアロゾル化性能を評価するために、20mgの純粋な粉砕クロファジミンを、追加の賦形剤も処理ステップも必要とせずに、低抵抗のRS01単回投与DPIからエアロゾル化した。D5022.69μmおよびD501.81μmサンプルの性能を比較した(図7A、7C)。幾何学的粒子径の中央値が0.88μm減少すると、EFが8%小さくなり(P=0.014)、FPF5μm/EFが27%高くなり(P=0.0006)、FPF3μm/EFが50%高くなった(P=0.0006)(図7A)。MMADは幾何学的中央値の直径と密接に相関しており(図7A)、D502.69μmおよびD501.81μmはそれぞれMMADが2.57μmおよび1.74μmであった。サンプルD501.81μmはまた、低下した圧力降下で試験された(図7B、7C)。装置の圧力降下が4kPa(93L/分)から1kPa(47L/分)に減少した結果、EFが12%減少(P=0.002)、FPF5μm/EFが5%減少(P=0.290)、FPF3μm/EFが11%減少(P=0.054)したが、統計的に有意ではなかった(図7B)。サンプルの幾何学的中央径は同じだが、装置の圧力降下が減少すると、MMADは1.74μm±0.08μmから2.19μm±0.08μmに増加した(P=0.002)(図7B)。
【0111】
賦形剤を含まない粉砕クロファジミンのエアロゾル化性能に対する装置抵抗の影響を評価するために、20mgの純粋な粉砕クロファジミン(中央粒径2.44μm)を低抵抗RS01単回投与DPIまたは高抵抗単回投与DPIからエアロゾル化した。低抵抗のRS01を使用すると、このバッチの粉砕されたクロファジミンのサンプルのEFは90.19%、FPF5μm/EFは63.45%、FPF3μm/EFは44.59%でしたが、高抵抗のRS01装置を使用すると、EFは 83.52%、FPF5μm/EFは68.75%、FPF3μm/EFは48.90%であった。
【0112】
吸入グレードのラクトースとブレンドされた粉砕されたクロファジミンのエアロゾル化性能を評価するために、約90%のクロファジミンを含む20mgのクロファジミン-ラクトースブレンドが低抵抗RS01単回投与DPIからエアロゾル化された。同じミリングバッチからの、賦形剤を含まない粉砕されたクロファジミンのパフォーマンスと比較した。低抵抗のRS01を使用して、粉砕されたクロファジミンのこのバッチからの賦形剤を含まない粉砕されたクロファジミンは、EFが90.19%、FPF5μm/EFが63.45%、FPF3μm/EFが44.59%であることがわかった。約90:10の比率でラクトースとブレンドされた同じバッチのクロファジミンは、EFが92.69%、FPF5μm/EFが69.44%、FPF3μm/EFが50.91%であることがわかった。
【0113】
粉砕されたクロファジミンのマクロファージ取り込みを評価するために、J774.A1マクロファージをD501.90μmまたはD502.83μmクロファジミンとインキュベートした。予備実験は、定性的に、D501.90μmクロファジミン粒子(平均サイズ、Aljetミルの収集容器領域から得られる)とD502.83μmクロファジミン粒子(平均サイズ、Aljetミルのサイクロン領域から派生)のマクロファージ食作用に差がないことを示した。したがって、D501.90μm CFZ粒子で実行された手動カウントは、粉砕されたクロファジミンの全体的なマクロファージ食作用率の測定においてのみ考慮された。粉砕されたクロファジミンのマクロファージ取り込みは急速に起こり、薬物曝露後4~8時間までに粉砕された粒子の大部分(96~97%)が内部移行した(図9)。内在化された粒子の、液晶形成を示す特徴的な針状形態への変換が、最初の曝露の24時間後に認められた。CFZを含むマクロファージの最大数は、薬物曝露の6時間後に認められ、その後の時点では、おそらく細胞分裂が継続しているため、薬物を含む細胞の数が減少している。
【0114】
異なるクロファジミン処理に24時間曝されたJ774.A1マクロファージのフローサイトメトリー分析により、クロファジミンの取り込みとクロファジミン液晶への細胞内生体内変化は、適用された処理のタイプに依存することが明らかになった。分析された10,000細胞の610nm発光(結晶性クロファジミンに特異的)の蛍光に基づいて、溶解したクロファジミン含有薬物に曝露された細胞の2.48%±0.55%が薬物を含んでいた(表3および図10)。粉砕したD502.83μmクロファジミンに曝された細胞の割合が高く、この波長で蛍光を示し、薬物を含む細胞の4.11%±0.11%(P=0.001)だった。可溶化された薬物処理と比較して、粉砕されたD501.90μmクロファジミンに曝された細胞もより多くの蛍光細胞(3.24%±0.42%)を含んでいたが、この違いは有意ではなかった(P=0.063)。マクロファージによる液晶へのクロファジミン生体内変化を示す、660nmの発光での蛍光に基づいて細胞を分析すると、可溶化クロファジミン処理と粉砕クロファジミン処理の間に有意差が明らかになった(図10)。可溶化クロファジミンに曝露された細胞の0.21%±0.06%のみが蛍光を示した(表4)。粉砕したD502.83μmクロファジミンに曝露した細胞の5.83%±0.12%および粉砕したD501.90μmクロファジミンに曝露した細胞の5.58%±0.19%は、可溶化処理群よりも有意に高い蛍光を示した(P=0.001)。2つの粉砕された処理グループ間に有意差はなかった(P=0.158)。
【0115】
増殖はMTTアッセイで評価した。対照と比較して、MTTアッセイは、可溶化クロファジミンの濃度の増加に伴う24時間後の細胞増殖/生存率の有意な減少を明らかにした(P=1.92×10-14)(図11)。対照と比較して、MTTアッセイは、可溶化CFZの濃度の増加に伴う細胞増殖/生存率の減少を明らかにした(図11)。可溶化および粉砕したCFZ処理グループ間の細胞生存率の有意差は、10μm(P=0.045)および20μm(P=0.001)の薬物濃度で認められた。
【0116】
粉砕されたクロファジミンの溶解を評価するために、粉砕されたクロファジミンの固有溶解度をPBS pH 7.4+0.2%ポリソルベート80で測定したところ、10.9 μg/mLだった。粉砕されたクロファジミンは低い溶解度を示し、2時間以内に23%のDae0.75μmクロファジミン粒子が溶解し、24時間で48%の溶解が達成され、24時間で薬物の最終濃度は1.25 μg/mL±0.14 μg/mLだった(図12)。
【0117】
本明細書に開示され特許請求されるすべての方法は、本開示の観点で過度な実験を行うことなく、なされ、実行されてもよい。本発明の組成物および方法は、好ましい実施形態の観点で記載されてきたが、本発明の概念、精神および範囲を逸脱することなく、本明細書に記載の方法、工程または工程の順序に変化が加えられてもよいことは当業者には明らかであろう。より特定的には、化学的および生理学的に関連する特定の薬剤を、同じ結果または同様の結果が達成されつつ、本明細書に記載される薬剤に交換されてもよいことは明らかであろう。当業者に明らかなすべてのこのような同様の代替物および改変は、添付の特許請求の範囲に定義されるような本発明の精神、範囲および概念の範囲内であると考えられる。
【0118】
参考文献
以下の参考文献は、本明細書に示されるものに対して補助的な例示的な手順または他の詳細を与える程度まで、本明細書に参考として組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。