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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171794
(43)【公開日】2023-12-05
(54)【発明の名称】細胞評価装置及び細胞評価システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20231128BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20231128BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20231128BHJP
   C12N 15/115 20100101ALI20231128BHJP
【FI】
G01N33/543 575
C12M1/00 A
C12Q1/02
C12N15/115 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148642
(22)【出願日】2023-09-13
(62)【分割の表示】P 2020505622の分割
【原出願日】2019-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2018044776
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】笹田 志織
(72)【発明者】
【氏名】二村 孝治
(72)【発明者】
【氏名】田中 健二
(72)【発明者】
【氏名】梅津 友行
(72)【発明者】
【氏名】松本 真寛
(57)【要約】      (修正有)
【課題】細胞や細胞から発せられる分泌物質を、高精度で的確に評価することができる細胞評価装置を提供すること。
【解決手段】細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、を備え、前記画像取得部と、前記第1の捕捉部とがこの順で配され、前記画像取得部が、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、を備え、
前記画像取得部と、前記第1の捕捉部とがこの順で配され、
前記画像取得部が、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置。
【請求項2】
前記画像取得部がCMOSイメージセンサである、請求項1に記載の細胞評価装置。
【請求項3】
前記画像取得部が、酵素である前記発光物質が基質との反応により発せられた化学発光を撮像して得られた画像を取得する、請求項1に記載の細胞評価装置。
【請求項4】
前記第1の捕捉部が、前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する分子を含む、請求項1に記載の細胞評価装置。
【請求項5】
前記第1の捕捉部が前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する前記分子を含まない領域に保護部が配される、請求項4に記載の細胞評価装置。
【請求項6】
前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する前記分子が、第1の抗体、第1のアプタマー、及び分子インプリントポリマーの群から選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の細胞評価装置。
【請求項7】
前記第1の抗体が複数種類である、請求項6に記載の細胞評価装置。
【請求項8】
前記細胞を捕捉する第2の捕捉部を更に備え、
前記画像取得部と、前記第2の捕捉部とがこの順で配される、請求項1に記載の細胞評価装置。
【請求項9】
前記第1の捕捉部が前記第2の捕捉部の周囲に配される、請求項8に記載の細胞評価装置。
【請求項10】
前記第2の捕捉部が、前記細胞と非特異的又は特異的に結合する分子を含む、請求項8に記載の細胞評価装置。
【請求項11】
前記第2の捕捉部が前記細胞と非特異的又は特異的に結合する前記分子を含まない領域に保護部が配される、請求項10に記載の細胞評価装置。
【請求項12】
前記細胞と非特異的又は特異的に結合する前記分子が、第2の抗体、第2のアプタマー、超分子及びオレイルアミンの群から選ばれる少なくとも1種である、請求項10に記載の細胞評価装置。
【請求項13】
前記第2の抗体が複数種類である、請求項12に記載の細胞評価装置。
【請求項14】
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、
前記得られた画像を解析する解析部と、を備え、
前記画像取得部と、前記第1の捕捉部とがこの順で配され、
前記画像取得部が、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置。
【請求項15】
前記解析部が、前記分泌物質と結合した前記発光物質より発せられた前記光の強度に基づいて前記分泌物質の定量を行う、請求項14に記載の細胞評価装置。
【請求項16】
前記解析部が、前記細胞の前記観察光及び/又は分泌物質と結合した発光物質より発せられた光の輝度情報に基づいて前記細胞の分析を行う、請求項14に記載の細胞評価装置。
【請求項17】
前記細胞を投影する照射部を更に備える、請求項14に記載の細胞評価装置。
【請求項18】
前記画像を表示する表示部を更に備える、請求項14に記載の細胞評価装置。
【請求項19】
前記表示部が、前記細胞の観察光を撮像して得られた細胞像画像及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた化学発光画像に基づいたウェル画像表示部、並びに、前記解析部の解析に基づいた解析データ表示部及び解析プロット表示部を備える、請求項18に記載の細胞評価装置。
【請求項20】
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、
前記得られた画像を解析する解析部と、を備え、
前記画像取得部と、前記第1の捕捉部とがこの順で配され、
前記画像取得部が、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は細胞評価装置及び細胞評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細胞や細胞から発せられる分泌物質を評価するシステムは進化し続け、様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)バイオセンサシステムに関する技術が提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0032235号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で提案された技術では、細胞や細胞から発せられる分泌物質を、高精度で的確に評価することができないおそれがある。
【0006】
そこで、本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、細胞や細胞から発せられる分泌物質を、高精度で的確に評価することができる細胞評価装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上述の目的を解決するために鋭意研究を行った結果、驚くべきことに、細胞や細胞から発せられる分泌物質を、高精度で的確に評価することができることに成功し、本技術を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本技術では、まず、細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、を備え、
前記画像取得部と、前記第1の捕捉部とがこの順で配され、
前記画像取得部が、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置を提供する。
【0009】
本技術に係る細胞評価装置において、前記画像取得部がCMOSイメージセンサでよい。
本技術に係る細胞評価装置において、前記画像取得部が、酵素である前記発光物質が基質との反応により発せられた化学発光を撮像して得られた画像を取得することができる。
【0010】
本技術に係る細胞評価装置において、前記第1の捕捉部が、前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する分子を含んでよい。
本技術に係る細胞評価装置において、前記第1の捕捉部が前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する前記分子を含まない領域に保護部が配されてよい。
【0011】
前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する前記分子が、第1の抗体、第1のアプタマー、及び分子インプリントポリマーの群から選ばれる少なくとも1種でよく、前記第1の抗体が複数種類でよい。
【0012】
本技術に係る細胞評価装置が、前記細胞を捕捉する第2の捕捉部を更に備え、本技術に係る細胞評価装置において、前記画像取得部と、前記第2の捕捉部とがこの順で配されてよい。
【0013】
本技術に係る細胞評価装置において、前記第1の捕捉部が前記第2の捕捉部の周囲に配されてよい。
【0014】
本技術に係る細胞評価装置において、前記第2の捕捉部が、前記細胞と非特異的又は特異的に結合する分子を含んでよい。
本技術に係る細胞評価装置において、前記第2の捕捉部が前記細胞と非特異的又は特異的に結合する前記分子を含まない領域に保護部が配されてよい。
前記細胞と非特異的又は特異的に結合する前記分子が、第2の抗体、第2のアプタマー、超分子及びオレイルアミンの群から選ばれる少なくとも1種でよく、前記第2の抗体が複数種類でよい。
本技術に係る細胞評価装置において、前記第2の捕捉部と前記画像取得部との間には光分解性リンカーが含まれていてもよい。
【0015】
また、本技術では、細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、
前記得られた画像を解析する解析部と、を備え、
前記画像取得部と、前記第1の捕捉部とがこの順で配され、
前記画像取得部が、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置を提供する。
【0016】
本技術に係る細胞評価装置において、前記解析部が、前記分泌物質と結合した前記発光物質より発せられた前記光の強度に基づいて前記分泌物質の定量を行うことができる。
前記解析部が、前記細胞の前記観察光及び/又は分泌物質と結合した発光物質より発せられた光の輝度情報に基づいて前記細胞の分析を行うことができる。
【0017】
本技術に係る細胞評価装置が、前記細胞を投影する照射部を更に備えてよい。
【0018】
本技術に係る細胞評価装置が、前記画像を表示する表示部を更に備えてよい。
前記表示部が、前記細胞の観察光を撮像して得られた細胞像画像及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた化学発光画像に基づいたウェル画像表示部、並びに、前記解析部の解析に基づいた解析データ表示部及び解析プロット表示部を備えてよい。
【0019】
さらに、本技術では、細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、
前記得られた画像を解析する解析部と、を備え、
前記画像取得部と、前記第1の捕捉部とがこの順で配され、
前記画像取得部が、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価システムを提供する。
【0020】
さらにまた、本技術では、
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の抗体と、
細胞を捕捉する第2の抗体と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得するCMOSイメージセンサと、を備え、
前記CMOSイメージセンサと、前記第1の抗体及び前記第2の抗体とがこの順で配され、
前記第1の抗体が前記第2の抗体の周囲に配され、
前記CMOSイメージセンサが、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置を提供し、
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の抗体と、
細胞を捕捉する第2の抗体と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得するCMOSイメージセンサと、
取得された前記画像を解析する解析部と、を備え、
前記CMOSイメージセンサと、前記第1の抗体及び前記第2の抗体とがこの順で配され、
前記第1の抗体が、前記第2の抗体の周囲に配され、
前記CMOSイメージセンサが、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本技術によれば、細胞や細胞から発せられる分泌物質を、高精度で的確に評価することができる。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本技術を適用した第1の実施形態の細胞評価装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、本技術を適用した第1の実施形態の細胞評価装置の構成例を示す図である。
図3図3は、本技術を適用した第1の実施形態の細胞評価装置の構成例を示す図である。
図4図4は、抗体層を備えたCMOSイメージセンサ(固体撮像素子)の構成例を示す断面図である。
図5図5は、解析部の構成例を示す図である。
図6図6は、表示部の構成例を示す図である。
図7図7は、本技術を適用した第2の実施形態の細胞評価装置の構成例を示すブロック図である。
図8図8は、第1の捕捉部と第2の捕捉部とのパターニングの一例を示す図である。
図9図9は、第1の捕捉部と第2の捕捉部とのパターニングの一例を示す図である。
図10図10は、第1の捕捉部と第2の捕捉部とのパターニングの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0024】
なお、説明は以下の順序で行う。
1.本技術に係る細胞評価装置の概要
2.第1の実施形態(細胞評価装置の例1)
2-1.細胞評価装置
2-2.第1の捕捉部
2-3.画像取得部
2-4.解析部
2-5.照射部
2-6.表示部
3.第2の実施形態(細胞評価装置の例2)
3-1.細胞評価装置
3-2.第1の捕捉部及び第2の捕捉部、並びに第1の捕捉部と第2の捕捉部とのパターニング
3-3.画像取得部、解析部、照射部及び表示部
4.第3の実施形態(細胞評価システムの例)
4-1.細胞評価システム
4-2.第1の捕捉部、第2の捕捉部、画像取得部、解析部、照射部及び表示部
【0025】
<1.本技術に係る細胞評価装置の概要>
本技術に係る細胞評価装置の概要について説明をする。
細胞の分泌物質を取得する方法にはELISA法、ELISPOT法と呼ばれる方法や特化したシステム(例えば、フローサイトメトリを用いた細胞内サイトカイン測定システム等)が既に広く使われている。
【0026】
ELISA法はウェル内で大量の細胞を培養し、細胞を取り除いた後に分泌物質だけを集めてその分泌量を計測する。この場合、細胞の何割が分泌物質を分泌したかを知ることはできない。このため、個々の細胞に注目したい目的において、細胞をより小さなウェルに1~数個単位で培養し、個々の細胞が出した分泌量を算出する研究開発が行われている。
【0027】
一方で、ELISPOT法はウェル内で大量の細胞を培養し、細胞の分泌物質をウェル底に配置した膜で捕獲し、細胞を取り除いた後に膜に付着した分泌物質と反応させて色をつけ、顕微鏡観察によりその数を数えることで分泌した細胞の数を算出することができる。ただし、いずれの方法もどの細胞が分泌物を出したかを知ることは難しいことや、複数の細胞が共存する中での細胞毎の分類ができないことがある。その後、シングルセル毎に小さなウェルに入れて計測する手法も提案されてきているが、個細胞をウェルに分けてしまうので複数細胞の共存における相互作用などを観測することはできない。また、ELISPOT法は、前述したように測定前に細胞を除去する必要があるので、ELISPOT後に特定の細胞だけを取り出して、ポストアナリシス(遺伝子解析など)することが不可能である。
【0028】
本技術は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、複数の細胞が共存する環境下でもどの細胞がどの程度の量を分泌したのかを知ることができる。ひいては、アプリケーションとしてこれまで困難であったようながん細胞と免疫細胞となどの異なる細胞間で発生している相互作用を把握することが可能となる。
【0029】
本技術に係る細胞評価装置が観察する細胞としては、例えば、がん細胞、免疫細胞などが挙げられ、特に免疫細胞はT細胞、NK細胞、マクロファージなどを含む。また、細胞には単一ないし複数細胞が一定の機能をもって集合した組織も含まれる。さらに、本技術に係る細胞評価装置が観察する細胞の分泌物としては、IFN-γ、インターロイキン、ケモカインなどが挙げられる。
【0030】
本技術は、ELISPOTの機能(分泌細胞のカウント)に、細胞毎の分泌物質の定量化及び細胞のイメージング化を少なくとも付加できるので、分泌物質を出した細胞種やその状態を特定することができる。例えば、がん細胞と免疫細胞での共培養において、現状ではどちらがIFNγを出したかわからないことや、IFNγを出した生細胞のみ数えたいが、アポトーシスの際にもIFNγを出してしまうこと等を解決することができる。本技術は、少なくとも、ELISPOT法及びELISA法に基づく技術を有するため、必要な血液サンプルを減らすことができる。原理的に細胞回収が可能なので、分泌物質を出した細胞だけを再解析することが可能である。複数の細胞が共存する環境下でもどの細胞がどの程度の量を分泌したのかを評価をすることができる。すなわち、上述したように、これまで困難であったがん細胞と免疫細胞となどの異なる細胞間で発生している相互作用を把握することが可能である。
【0031】
以下に、本技術に係る細胞評価装置及び細胞評価システムを具体的に説明するために、本技術に係る第1の実施形態(細胞評価装置の例1)、第2の実施形態(細胞評価装置の例2)、及び第3の実施形態(細胞評価システムの例)について述べる。
【0032】
<2.第1の実施形態(細胞評価装置の例1)>
[2-1.細胞評価装置]
本技術に係る第1の実施形態(細胞評価装置の例1)の細胞評価装置は、細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、細胞の観察光及び分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、を備え、画像取得部と、第1の捕捉部とがこの順で配され、画像取得部が細胞と分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置である。
【0033】
ここで、画像取得部と第1の捕捉部とがこの順で配されるとは、画像取得部と第1の捕捉部とが連続で配されてもよいし、画像取得部と第1の捕捉部とが、随意の材料層(材料膜でもよい。以下、同じ。)又は材料部を介して配されてよいことを意味する。そして、画像取得部と第1の捕捉部とが連続で配されることとは、画像取得部の直上に第1の捕捉部が配されることを意味する。また、画像取得部の直上に第1の捕捉部が配されるとは、例えば、第1の捕捉部が画像取得部から150μm以内の距離、好ましくは10μm以内の距離に配されることを意味する。
【0034】
本技術に係る第1の実施形態の細胞評価装置は、更に、解析部、照射部及び表示部のうち、少なくとも1つを備えることができる。すなわち、本技術に係る第1の実施形態の細胞評価装置は、更に、解析部を備えることができるし、照射部を備えることができるし、表示部を備えることができるし、解析部と照射部とを備えることはできるし、解析部と表示部とを備えることができるし、照射部と表示部とを備えることができるし、解析部と、照射部と、表示部とを備えることができる。
【0035】
図1~3を用いて、本技術に係る第1の実施形態の細胞評価装置の具体例を説明する。図1は、本技術に係る第1の実施形態の細胞評価装置の一例を示すブロック図である。図2及び図3は、本技術に係る第1の実施形態の細胞評価装置の一例を示す構成図である。
【0036】
まず、図1を参照する。細胞評価装置1は、第1の捕捉部101を含むイメージセンサの上部101と、画像取得部であるイメージセンサ1001(例えばCMOSイメージセンサ)と、解析部1005とを少なくとも備える。そして、細胞評価装置1においては、ドライバ1002と、照射制御部1004と、表示部1006と、照射部1007とが更に備えられている。図1に示されるように、照射制御部1004と、解析部1005と、表示部1006とが1つの装置1003として形成されてもよい。図1に図示はされていないが、イメージセンサの上部101には、第1の捕捉部101の他に保護部が含まれてもよい。照射制御部1004は、照射部1007が発する光の波長選択性(光の色の選択性)及び光の露光時間を制御するこができる。
【0037】
細胞評価装置1においては、イメージセンサ1001上に、第1の捕捉部101-1(例えば、分泌物質補足用の第1の抗体を含む捕捉部)を所望の位置関係で配置する。細胞の特定は細胞の観察光又は照射部1007を用いて細胞像を撮影し、細胞サイズや細胞形状を画像解析することができる。細胞種や細胞状態(細胞の生死など)を正確に把握することができる。また、照射部にDigital Mirror Device(DMD)等が含まれ、照射する位置を制御することもできる。
【0038】
そして、イメージセンサ1001上で細胞を培養し、細胞から発せられた分泌物質を第1の捕捉部101-1(例えば、分泌物質の捕捉用の第1の抗体を含む捕捉部)で捕捉した後、更に化学発光物質などと反応させることにより、微弱光を発生させ、直下のイメージセンサ1001でその光を取得することができる。化学発光物質は、例えば酵素であり、酵素が基質との反応により化学発光が発せられる。
【0039】
微弱光がドライバ1002で電気信号へ光電変換され、分泌物質が捕捉されたセンサ部のみの輝度が高くなるので、イメージセンサ1001上で分泌物質を得た位置のマッピングが可能となる。第1の捕捉部101-1(例えば、分泌物質の捕捉用の第1の抗体を含む捕捉部)と細胞の位置関係を予め指定しておくことができることから、分泌物質を出した細胞も特定が可能である。また、分泌物質の濃度に依存して輝度が変わることを利用して、解析部1005では分泌物質の定量化も可能である。イメージセンサ1001から得られた画像は解析部1005を通じて表示部1006(例えば、モニタ)に表示される。
【0040】
感度を高めるためには、第1の捕捉部101-1に含まれる、分泌物質捕捉用の第1の抗体の密度を高めることや、イメージセンサ1001と第1の捕捉部101-1(例えば抗体層)との距離をできるだけ短くすることや(イメージセンサ1001の直上に配すること。)や、露光時間を上げることや、画像処理で背景ノイズ部と信号部を切り分けること等の方策がある。そして、細胞画像の取得及び分泌物質の検出はイメージセンサ1001上でリアルタイムに行うこともできる。
【0041】
次に、図2を参照する。細胞評価装置2は、抗体(第1の抗体)200を含む抗体層(第1の捕捉部)201と、画像取得部であるCMOSイメージセンサ2001と、driver(ドライバ)2002と、解析部及び表示部を備えた装置2003とを備えている。なお、図2中では、CMOSイメージセンサ2001は、3画素分が図示されている。
【0042】
CMOSイメージセンサ2001は、光入射側から順に、保護層202と半導体基板203と、配線層204とから構成されている。半導体基板203にはフォトダイオード(PD)(図2中では3つのフォトダイオード(PD))が形成されている。保護層202の直上(図2中では保護層の上方向)には、抗体層201が配されている。保護層202の直上に抗体層201が配されることで、抗体層201に含まれる抗体200に捕捉された分泌物質と結合した発光物質によって発せられた光を、及び細胞の観察光をCMOSイメージセンサ2001は効率良く受光することができる。細胞の観察光は、例えば自然光又は室内光を細胞に投影することによって得られた光を意味する。
【0043】
図2中では、ウェルが、4個分(図2中の左右方向に2個、上下方向に2個)で図示されているが、細胞評価装置2においては、4個のウェルが、1つのCMOSイメージセンサ2001(CMOSイメージセンサ2001が備える保護層205)の直上に配置されることを意味する。ウェル内では、例えば、コラーゲン(Collagen)コート(保護部)に分泌物質を捕捉する抗体200が固定化されて、前処理された細胞をトラップして、細胞に刺激が与えられて、培養されて、細胞から分泌物質が発せられて、分泌物質が抗体200に捕捉される。
【0044】
さらに、図3を参照する。細胞評価装置3は、抗体300を含む抗体層(第1の捕捉部)301と、画像取得部であるCMOSイメージセンサ3001と、driver(ドライバ)3002と、解析部及び表示部を備えた装置3003と、照射部3004とを備えている。なお、図3中では、CMOSイメージセンサ3001は、3画素分が図示されている。
【0045】
CMOSイメージセンサ3001は、光入射側から順に、保護層302と半導体基板303と、配線層304とから構成されている。半導体基板303にはフォトダイオード(PD)(図3中では3つのフォトダイオード(PD))が形成されている。保護層302の直上(図3中では保護層の上方向)には、抗体層301が配されている。保護層302の直上に抗体層301が配されることで、抗体層301に含まれる抗体300に捕捉された分泌物質と結合した発光物質によって発せられた光、及び照射部3004が細胞に投影することによって得られた光を、CMOSイメージセンサ3001は効率良く受光することができる。
【0046】
図3中では、ウェルが、4個分(図3中では上下方向に4個)で図示されているが、細胞評価装置3においては、1個のウェルが、1つのCMOSイメージセンサ3001(CMOSイメージセンサ3001が備える保護層305)の直上に配置されることを意味する。すなわち、細胞評価装置3においては、少なくとも、4つのCMOSイメージセンサ3001が必要となる。ウェル内では、例えば、コラーゲン(Collagen)コート(保護部)に分泌物質を捕捉する抗体300が固定化されて、前処理された細胞をトラップして、細胞に刺激が与えられて培養されて、細胞から分泌物質が発せられて、分泌物質が抗体300に捕捉される。
【0047】
[2-2.第1の捕捉部]
本技術に係る第1の実施形態の細胞評価装置は第1の捕捉部を備える。上述したように、第1の捕捉部は、細胞が分泌する分泌物質を捕捉する。第1の捕捉部は、分泌物質と非特異的又は特異的に結合する分子を含むことができる。分泌物質と非特異的又は特異的に結合する分子は、第1の抗体、第1のアプタマー及びインプリントポリマーの群から選ばれる少なくとも1種でよく、また、第1の抗体は複数種類でよい。第1の捕捉部が分泌物質と非特異的又は特異的に結合する分子を含まない領域には保護部を配することができる。保護部は、上述したように、例えば、コラーゲン(Collagen)コートから形成されてよい。また、保護部は、生体高分子の吸着を抑制することができる、少なくとも1種の親水性高分子から形成されてもよい。親水性高分子は、例えば、ポリエチレングリコール、ホスホリルコリン基を側鎖に有する高分子、多糖類、ポリペプチド等が挙げられる。
【0048】
[2-3.画像取得部]
本技術に係る第1の実施形態の細胞評価装置は画像取得部を備える。画像取得部は、例えば、イメージセンサが挙げられ、イメージセンサは、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)などの固体撮像素子が挙げられる。以下に、CMOSイメージセンサの例である裏面照射型の固体撮像素子及び表面照射型の固体撮像素子について、詳細に述べる。
【0049】
(裏面照射型の固体撮像素子)
CMOSイメージセンサの一例である裏面照射型の固体撮像素子を、図4を用いて説明をする。図4は、裏面照射型の固体撮像素子10の1つの画素20の構成例を示す断面図である。
【0050】
画素20は、1つの画素内に、深さ方向に積層した、1つの有機光電変換素子41と、pn接合を有するフォトダイオード36及びフォトダイオード37とを有して構成される。そして、半導体基板35の裏面側(図4中の上側)であって、有機光電変換素子41上には保護層44が形成され、保護層44の直上には抗体51を含む抗体層50が形成されている。すなわち、保護層44と抗体層50とが連続して配されている。この場合、保護層44の厚みは、例えば、100nmの薄層でよい。抗体層50と連続して配される保護層44は、有機光電変換素子41、フォトダイオード36及びフォトダイオード37に、光を効率的に取り込むために、透明性を有することが好ましい。保護層44は例えばSiOから構成されることが好ましい。画素20は、フォトダイオード36及びフォトダイオード37が形成される半導体基板(シリコン基板)35を有し、半導体基板35の裏面側(図4中の半導体基板35の上側)に光が入射される受光面が形成され、半導体基板35の表面側に読み出し回路等を含む回路が形成される。すなわち画素20では、基板35の裏面側の受光面と、受光面とは反対側の基板表面側に形成された回路形成面とを有する。半導体基板35は、第1導電型、例えばn型の半導体基板で構成されてよい。
【0051】
半導体基板35内には、裏面側から深さ方向に積層されるように、2つのpn接合を有する無機光電変換部、すなわち第1フォトダイオード36と第2フォトダイオード37が形成される。半導体基板35内では、裏面倒から深さ方向(図中、下方向)に向かって、第1フォトダイオード36が形成され、第2フォトダイオード37が形成される。図4においては、第1フォトダイオード36が青色(B)用となり、第2フォトダイオード37が赤色(R)用となる。
【0052】
第1フォトダイオード36及び第2フォトダイオード37が形成された領域の半導体基板35裏面の上部には、第1電極(下部電極)33と第1バッファ層47と光電変換層32と第2バッファ層46と第2電極(上部電極)31とがこの順で積層された第1色用の有機光電変換素子41が配される。図4に示される裏面照射型の固体撮像素子10の例では有機光電変換素子41が緑色(G)用となる。第2電極(上部電極)31及び第1電極(下部電極)33は、例えば、酸化インジウム錫膜、酸化インジウム亜鉛膜等の透明導電膜で形成されてよい。
【0053】
色の組み合わせとして、図4に示される裏面照射型の固体撮像素子10の例では、有機光電変換素子41を緑色、第1フォトダイオード36を青色、第2フォトダイオード37を赤色としたが、その他の色の組み合わせも可能である。例えば、有機光電変換素子41を赤色又は青色とし、第1フォトダイオード36及び第2フォトダイオード37を、その他の対応する色に設定することができる。この場合、色に応じて第1フォトダイオード36及び第2フォトダイオード37の深さ方向の位置が設定される。
【0054】
また、第1フォトダイオード36及び第2フォトダイオード37を用いないで、3つの光電変換素子、すなわち、青色用の有機光電変換素子41B、緑色用の有機光電変換素子41G及び赤色用の有機光電変換素子41Rを、本技術に係る第2の実施形態の固体撮像素子(裏面照射型の固体撮像素子及び表面照射型の固体撮像素子)に適用してもよい。青の波長光で光電変換する有機光電変換素子41Bとしては、クマリン系色素、トリス-8-ヒドリキシキノリンA1(A1q3)、メラシアニン系色素等を含む有機光電変換材料を用いることができる。緑の波長光で光電変換する光電変換素子41Gとしては、例えばローダーミン系色素、メラシアニン系色素、キナクリドン等を含む有機光電変換材料を用いることができる。赤の波長光で光電変換する光電変換素子41Rとしては、フタロシアニン系色素を含む有機光電変換材料を用いることができる。
【0055】
さらに、青色用の有機光電変換素子41B、緑色用の有機光電変換素子41G及び赤色用の有機光電変換素子41Rに加えて、紫外光用の有機光電変換素子41UV及び/又は赤外光用の有機光電変換素子41IRを、本技術に係る第2の実施形態の固体撮像素子(裏面照射型の固体撮像素子及び表面照射型の固体撮像素子)に適用してもよい。紫外光用の光電変換素子41UV及び/又は赤外光用の光電変換素子41IRを設けることで、可視光領域以外の波長の光を検出することが可能となる。
【0056】
抗体層50に含まれる抗体51(第1の抗体)に捕捉された分泌物質と結合して発光物質によって発せられた光、細胞の観察光、照射部の光による細胞を投影した投影光は、任意の波長帯を有する光でよく、これらの光が有する色(波長帯)に応じて、有機光電変換素子41、第1フォトダイオード36及び第2フォトダイオード37の少なくとも1つを用いて撮像されてよい。例えば、固体撮像素子10において、分泌物質と結合して発光物質によって発せられた光が緑色光であれば、有機光電変換素子41を用いて撮像することができ、分泌物質と結合して発光物質によって発せられた光が青色光であれば、第1フォトダイオード36を用いて撮像することができ、分泌物質と結合して発光物質によって発せられた光が赤色光であれば、第1フォトダイオード37を用いて撮像することができる。また、例えば、細胞の観察光又は照射部による細胞を投影することによって得られた光が、無彩色系の光(例えば白色光、グレー光等)であれば、有機光電変換素子41、第1フォトダイオード36及び第2フォトダイオード37の全てを用いて撮像することができる。
【0057】
有機光電変換素子41では、第1電極(下部電極)33が形成され、第1電極(下部電極)33を絶縁分離するための絶縁膜34が、第1電極(下部電極)33の図中の下部に形成される。
【0058】
1つの画素20内には、第1電極(下部電極)33に接続される配線39と第2電極(上部電極)31に接続される配線(不図示)が形成される。配線39と第2電極(上部電極)31に接続される配線としては、例えば、Siとの短絡を抑制するために、SiO2又はSiN絶縁層を周辺に有するタングステン(W)プラグ、あるいは、イオン注入による半導体層等により形成することができる。図2に示される裏面照射型の固体撮像素子の例では、信号電荷を正孔(ホール)としているので、配線39は、イオン注入による半導体層で形成する場合、p型半導体層となる。第2電極(上部電極)31に接続される配線は、第2電極(上部電極)31が電子を引き抜くのでn型半導体層を用いることができる。
【0059】
本例では、半導体基板35の表面側に電荷蓄積用のn型領域38が形成される。このn型領域38は、光電変換素子41のフローティングディフージョン部として機能する。
【0060】
半導体基板35の裏面上の絶縁膜34としては、負の固定電荷を有する膜を用いることができる。負の固定電荷を有する膜としては、例えば、ハフニウム酸化膜を用いることができる。すなわち、この絶縁膜34は、裏面より順次、シリコン酸化膜、ハフニウム酸化膜及びシリコン酸化膜を成膜した3層構造となるように形成されてもよい。
【0061】
半導体基板35の表面側(図4中の下側)には配線層45が形成されている。なお、図示はされていないが、裏面照射型の固体撮像素子10には、カラーフィルタ、透明フィルタ、NDフィルタ、白色フィルタ、グレーフィルタ等が形成されてもよいし、オンチップレンズが形成されていてもよい。
【0062】
(表面照射型の固体撮像素子)
CMOSイメージセンサは、上述した裏面照射型の固体撮像素子だけではなく、表面照射型の固体撮像素子でもよい。表面照射型の固体撮像素子ついて説明をする。
【0063】
表面照射型の固体撮像素子の例は、上述した裏面照射型の固体撮像素子10に対して、半導体基板35の下部に形成されていた配線層92が、有機光電変換素子41と半導体基板35との間に配線層92が形成されるという点で異なるだけである。その他の点は上述した裏面照射型の固体撮像素子10と同様にしてよく、ここでは説明を省略する。
【0064】
[2-4.解析部]
上述したように、本技術に係る第1の実施形態の細胞評価装置は解析部を備えることができる。解析部は、分泌物質と結合した発光物質より発せられた光の強度に基づいて分泌物質の定量を行うことができる。また、解析部は、細胞の観察光や照射部により細胞を投影することによって得られた光(輝度情報)に基づいて細胞の分析を行うことができる。解析部において、細胞の投影画像をホログラム技術や超解像技術などにより、より高解像な画像に変換して、細胞の分析をしてもよい。
【0065】
図5を用いて、解析部の具体的な構成を説明する。図5は解析部の構成例を示し、詳しくは、図5(a)は、抗体配置情報70aを示し、図5(b)は化学発光画像を示し、図5(c)は細胞画像を示す。
【0066】
図5(a)を参照すると、抗体配置情報70aには、抗体71a~抗体76aが示されている。抗体71a~抗体76aのそれぞれは、例えば、分泌物質を捕捉した第1の抗体が含まれている。後述する本技術に係る第1の実施形態の細胞評価装置の場合は、抗体71a~抗体76aのそれぞれは、例えば、分泌物質を捕捉した第1の抗体及び細胞を捕捉した第2の抗体が含まれている。
【0067】
図5(b)を参照すると、化学発光画像70bには、個々の化学発光画像71b~76bが得られている。化学発光画像71b~76bのそれぞれは、抗体71a~抗体76aのそれぞれに対応している。化学発光画像71b~76bのそれぞれの抗体配置エリアにおける輝度情報から、化学発光強度を計算して、更に分泌物量を計算することができる。具体的には、分泌物質の定量は、イメージセンサから得られた画素毎の輝度情報から、化学発光の強度を取得し、その強度と、予めデータとして取られた検量線の情報から分泌物質の濃度を計算する。
【0068】
図5(c)を参照すると、細胞画像70cには、個々の細胞画像71c~76cが示されている。図5(c)では、細胞画像71c~76cは、細胞に対して1倍(等倍)の細胞像であるが、必要に応じて、細胞に対して、拡大した細胞像でもよいし、縮小した細胞像でもよい。細胞画像71c~76cのそれぞれは、抗体71a~抗体76a及び化学発光画像71b~76bのそれぞれに対応しているので、個々の細胞画像71c~76cごとの分泌物質の濃度を一意に決定することができる。そして、細胞の観察光又は照射部により、イメージセンサに造影された細胞画像71c~76cの輝度情報から、物体セグメンテーションを実施し、細胞画像71c~76cのそれぞれのサイズ、位置及び形状を分析することができ、細胞内のダイナミックレンジなどから細胞の内部状態を分析することができ、さらに、1つのウェル内に含まれる細胞の全体数を算出することができる。例えば、細胞画像71cとして示される細胞のサイズは、矢印P7に相当する。なお、後述する本技術に係る第2の実施形態の細胞評価装置の場合は、細胞画像71c~76cのそれぞれの細胞は、第2の抗体に捕捉された細胞であるので、細胞の位置情報がより明確となる。
【0069】
[2-5.照射部]
上述したように、本技術に係る第1の実施形態の細胞評価装置は照射部を備えることができる。照射部は、細胞画像を確認するための1つの手段であり、上述したように、照射制御部を用いて、照射部が発する光の波長選択性(光の色の選択性)及び光の露光時間を制御するこができるので、照射部を用いると、より鮮明な細胞画像を得ることができる。また、照射された特定波長を利用して、光分解性リンカーを切断し、特定の細胞のみを遊離することもできる。
【0070】
[2-6.表示部]
本技術に係る第1の実施形態の細胞評価装置は表示部を備えることができる。表示部は、細胞の観察光又は照射部により細胞を投影することによって得られた光(輝度情報)を撮像して得られた細胞像画像及び分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた化学発光画像に基づいたウェル画像表示部、並びに、解析部の解析に基づいた解析データ表示部及び解析プロット表示部を備えることができる。
【0071】
図6を用いて、表示部の具体的な構成を説明する。図6は表示部の構成例を示し、詳しくは、図6(b)は、図6(a)に示される化学発光画像80a―1及び細胞像画像80a-2に基づいた、ウェル画像表示部を示し、図6(c)は解析データ表示部を示し、図6(c)は解析プロット表示部を示す。
【0072】
図6(a)及び(b)を参照すると、化学発光画像80a―1の個々の化学発光画像81a―1~86a―1のそれぞれと、細胞画像81a―2~86a―2のそれぞれを対応させて合成した画像がウェル表示部80bに示されている。図6(b)では、ウェル1A~3A及び2A~3Bの計6個のウェルのうち、ウェル1Aに含まれる細胞に関する情報が示されている。図6(b)を参照すると、化学発光画像81b―1と細胞画像81b―2とが対応し、化学発光画像82b―1と細胞画像82b―2とが対応し、化学発光画像83b―1と細胞画像83b―2とが対応し、化学発光画像84b―1と細胞画像84b―2とが対応し、化学発光画像85b―1と細胞画像85b―2とが対応し、そして、化学発光画像86b―1と細胞画像86b―2とが対応している。そのうち、細胞サイズが矢印P8である細胞画像81a-2(細胞画像81b―2)の細胞は、図6(b)に図示されている6個の細胞のうち、細胞サイズとして一番大きく、化学発光量が一番多い。この場合、図6(a)及び(b)中では化学発光画像として白色で示されている。反対に、細胞画像83a-2(細胞画像83b―2)の細胞は図示されないほど細胞サイズが一番小さく、化学発光量がほとんどゼロに近い。この場合、図6(a)及び(b)中では化学発光画像として黒色で示されている。
【0073】
図6(c)を参照すると、解析データ表示部80cには、ウェル(Well)1Aの細胞の全体数は10個であることが示されて、個々の細胞(細胞No.)の細胞径(μm)、分泌量(pg)等が示されている。
【0074】
図6(d)を参照すると、解析プロット表示部80dでは、縦軸が分泌量(pg)であり、横軸が細胞サイズ(細胞径)(μm)であるグラフが示されている。図6(d)に示されるグラフを参照すると、分泌量(pg)と、細胞サイズ(細胞径)(μm)との相関から判断して、評価対象の細胞数は、10個のうち100個であることが判断することできる。図6(d)中で、細胞数100個のうち黒丸で示されている細胞は、例えば、上記で説明をした細胞画像81a-2(細胞画像81b―2)の細胞に相当する。
【0075】
<3.第2の実施形態(細胞評価装置の例2)>
[3-1.細胞評価装置]
本技術に係る第2の実施形態(細胞評価装置の例2)の細胞評価装置は、細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、細胞を捕捉する第2の捕捉部と、細胞の観察光及び分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、を備え、画像取得部と、第1の捕捉部とがこの順で配され、さらに、画像取得部と、第2の捕捉部とがこの順で配され、画像取得部が細胞と分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置である。すなわち、本技術に係る第2の実施形態(細胞評価装置の例2)の細胞評価装置は、本技術に係る第1の実施形態(細胞評価装置の例1)の細胞評価装置に第2の捕捉部が加わった構成であり、第2の捕捉部の構成を除けば、本技術に係る第2の実施形態(細胞評価装置の例2)の細胞評価装置の構成は、本技術に係る第1の実施形態(細胞評価装置の例1)の細胞評価装置の構成と同じでよい。ここで、画像取得部と第1の捕捉部とがこの順で配されるとは、画像取得部と第1の捕捉部とが連続で配されてもよいし、画像取得部と第1の捕捉部とが、随意の材料層(材料膜)又は材料部を介して配されてよいことを意味する。そして、画像取得部と第1の捕捉部とが連続で配されることとは、画像取得部の直上に第1の捕捉部が配されることを意味する。画像取得部の直上に第1の捕捉部が配されるとは、例えば、第1の捕捉部が画像取得部から150μm以内の距離、好ましくは10μm以内の距離に配されることを意味する。
【0076】
また、画像取得部と第2の捕捉部とがこの順で配されるとは、画像取得部と第2の捕捉部とが連続で配されてもよいし、画像取得部と第2の捕捉部とが、随意の材料層(材料膜)又は材料部を介して配されてよいことを意味する。そして、画像取得部と第2の捕捉部とが連続で配されることとは、画像取得部の直上に第2の捕捉部が配されることを意味する。画像取得部の直上に第2の捕捉部が配されるとは、例えば、第2の捕捉部が画像取得部から150μm以内の距離、好ましくは10μm以内の距離に配されることを意味する。
【0077】
本技術に係る第2の実施形態の細胞評価装置は、更に、解析部、照射部及び表示部のうち、少なくとも1つを備えることができる。すなわち、本技術に係る第2の実施形態の細胞評価装置は、更に、解析部を備えることができるし、照射部を備えることができるし、表示部を備えることができるし、解析部と照射部とを備えることはできるし、解析部と表示部とを備えることができるし、照射部と表示部とを備えることができるし、解析部と、照射部と、表示部とを備えることができる。
【0078】
図7を参照する。細胞評価装置7は、第1の捕捉部101-1及び第2の捕捉部101-2を含むイメージセンサの上部101と、画像取得部であるイメージセンサ1001(例えばCMOSイメージセンサ)と、解析部1005とを少なくとも備える。そして、細胞評価装置1においては、ドライバ1002と、照射制御部1004と、表示部1006と、照射部1007とが更に備えられている。図1に示されるように、照射制御部1004と、解析部1005と、表示部1006とが1つの装置1003として形成されてもよい。図7には図示はされていないが、イメージセンサの上部101には、第1の捕捉部101-1及び第2の捕捉部101-2の他に保護部が含まれてもよい。
【0079】
細胞評価装置7においては、イメージセンサ1001上に、第1の捕捉部101-1(例えば、分泌物質捕捉用の第1の抗体を含む捕捉部)及び第2の捕捉部101-2(例えば、細胞補足用の第2の抗体を含む捕捉部)を所望の位置関係で配置する。第2の捕捉部101-2に捕捉された細胞の特定は、細胞の観察光又は照射部1007を用いて細胞像を撮影し、細胞サイズや細胞形状を画像解析することができる。細胞種や細胞状態(細胞の生死など)を正確に把握することができる。細胞は第2の捕捉部101-2に捕捉されているので、細胞の培養後に、例えば分泌物質に反応があった特定の捕捉抗体(第2の抗体)のみを光リンカー技術などにより切断し、細胞回収することも可能になる。この場合、第2の捕捉部101-2とイメージセンサ1001との間には光分解性リンカーが含まれていることが好ましい。光分解性リンカーが含まれていることにより、特定の細胞だけをリリースすることができる。すなわち、細胞評価装置7では、細胞を解析した後に、光を当てることにより細胞の捕捉を切り、所望の細胞のみを取り出し、ポストアナリシス(遺伝子解析など)をすることが可能となる。
【0080】
そして、イメージセンサ1001上で細胞を培養し、細胞から発せられた分泌物質を第1の捕捉部101-1(例えば、分泌物質の捕捉用の第1の抗体を含む捕捉部)で捕捉し、後、更に化学発光物質などと反応させることにより、微弱光を発生させ、直下のイメージセンサ1001でその光を取得することができる。化学発光物質は、例えば酵素であり、酵素が基質との反応により化学発光が発せられる。
【0081】
微弱光がドライバ1002で電気信号へ光電変換され、分泌物質が捕捉されたセンサ部のみの輝度が高くなるので、イメージセンサ1001上で分泌物質を得た位置のマッピングが可能となる。第1の捕捉部101-1(例えば、分泌物質の捕捉用の第1の抗体を含む捕捉部)と第2の捕捉部101-2(例えば、細胞の捕捉用の第2の抗体を含む捕捉部)との位置関係を予め指定しておくことができることから、分泌物質を出した細胞も特定が可能である。また、分泌物質の濃度に依存して輝度が変わることを利用して、解析部1005では分泌物質の定量化も可能である。イメージセンサ1001から得られた画像は解析部1005を通じて表示部1006(例えば、モニタ)に表示される。
【0082】
感度を高めるためには、第1の捕捉部101-1に含まれる、分泌物質捕捉用の第1の抗体の密度を高めることや、イメージセンサ1001と第1の捕捉部101-1(例えば抗体層)との距離をできるだけ短くすること(イメージセンサ1001に直上に配すること。)や、露光時間を上げることや、画像処理で背景ノイズ部と信号部を切り分けること等の方策がある。そして、細胞画像の取得及び分泌物質の検出はイメージセンサ1001上でリアルタイムに行うこともできる。
【0083】
[3-2.第1の捕捉部及び第2の捕捉部、並びに第1の捕捉部と第2の捕捉部とのパターニング]
本技術に係る第2の実施形態の細胞評価装置は第1の捕捉部及び第2の捕捉部を備える。上述したように、第1の捕捉部は、細胞が分泌する分泌物質を捕捉する。第1の捕捉部は、本技術に係る第1の実施形態(細胞評価装置の例1)の細胞評価装置の欄で説明したとおりなので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0084】
第2の捕捉部は、細胞を捕捉する。第2の捕捉部は、細胞と非特異的又は特異的に結合する分子を含むことができる。細胞と非特異的又は特異的に結合する分子は、第2の抗体、第2のアプタマー、超分子及びオレイルアミンの群から選ばれる少なくとも1種でよく、また、第2の抗体は複数種類でよい。第2の捕捉部が細胞と非特異的又は特異的に結合する分子を含まない領域には保護部を配することができる。保護部は、例えば、コラーゲン(Collagen)コートから形成されてよい。また、保護部は、生体高分子の吸着を抑制することができる、少なくとも1種の親水性高分子から形成されてもよい。親水性高分子は、例えば、ポリエチレングリコール、ホスホリルコリン基を側鎖に有する高分子、多糖類、ポリペプチド等が挙げられる。
【0085】
第1の捕捉部と第2の捕捉部とのパターニングについて、図8図10を用いて説明をする。図8(a)を参照すると、サイズ50μmにおいて、第1の捕捉部402aが、第2の捕捉部401aの周囲に配されて、第1の捕捉部402aと、第2の捕捉部401aとの間には保護部403aが配されている。図8(b)には、図8(a)に示される1個の第1の捕捉部と第2の捕捉部とのパターニングが、16個分で示されている。図8(a)に示される第2の捕捉部401aは図8(b)に示される第2の捕捉部401bに相当し、図8(a)に示される第1の捕捉部402aは図8(b)に示される第2の捕捉部402bに相当し、図8(a)に示される保護部403aは図8(b)に示される第2の保護部403bに相当する。
【0086】
なお、本技術に係る第1の実施形態(細胞評価装置の例1)の細胞評価装置は、第2の捕捉部401aを備えていないので、第2の捕捉部401aのところは、第1の捕捉部402aが配される。
【0087】
図9(a)を参照すると、サイズ50μmにおいて、第1の捕捉部502a~505aが、第2の捕捉部501aの周囲に配されて、第1の捕捉部502a~505aと、第2の捕捉部501aとの間及び第1の捕捉部502a~505aのそれぞれの間には保護部506aが配されている。第1の捕捉部502a及び503aには同一の材料(例えば第1の抗体)が含まれて、第1の捕捉部503a及び504aには同一の材料(例えば第1のアプタマー)が含まれて、2種の材料が用いられている。第1の捕捉部502a~505aは、図9(a)中で、第1の捕捉部502a及び503aの縦の矩形状(長手方向が図9(a)中の上下方向)であって、第1の捕捉部504a及び505aは横の矩形状(長手方向が図9(a)中の左右方向)、異なる材料を含む第1の捕捉部同士が隣接するようになっている。図9(b)には、図9(a)に示される1個の第1の捕捉部と第2の捕捉部とのパターニングが、16個分で示されている。
【0088】
図9(a)に示される第2の捕捉部501aは図9(b)に示される第2の捕捉部501bに相当し、図9(a)に示される第1の捕捉部502aは図9(b)に示される第2の捕捉部502bに相当し、図9(a)に示される第1の捕捉部503aは図9(b)に示される第2の捕捉部503bに相当し、図9(a)に示される第1の捕捉部504aは図9(b)に示される第2の捕捉部504bに相当し、図9(a)に示される第1の捕捉部505aは図9(b)に示される第2の捕捉部505bに相当し、図9(a)に示される保護部506aは図9(b)に示される保護部506bに相当する。
【0089】
なお、本技術に係る第1の実施形態(細胞評価装置の例1)の細胞評価装置は、第2の捕捉部501aを備えていないので、第2の捕捉部501aのところは、第1の捕捉部502a~505aのうち、少なくとも1つの第1の捕捉部が配される。
【0090】
図10(a)を参照すると、サイズ50μmにおいて、第1の捕捉部602a~609aが、第2の捕捉部601aの周囲に配されて、第1の捕捉部602a~609aと第2の捕捉部601aとの間、及び第1の捕捉部602a~609aのそれぞれの間には保護部610aが配されている。第1の捕捉部602a~609aのそれぞれは互いに異なる材料(例えば第1の抗体の8種又は第1のアプタマーの8種)が含まれて、8種の材料が用いられている。第1の捕捉部602a~609aは、図10(a)中では正方形状のものが8個で配されている。図10(b)には、図10(a)に示される1個の第1の捕捉部と第2の捕捉部とのパターニングが、16個分で示されている。
【0091】
図10(a)に示される第2の捕捉部601aは図10(b)に示される第2の捕捉部601(b)に相当し、図10(a)に示される第1の捕捉部602aは図10(b)に示される第2の捕捉部602bに相当し、図10(a)に示される第1の捕捉部603aは図10bに示される第2の捕捉部603bに相当し、図10(a)に示される第1の捕捉部604aは図10(b)に示される第2の捕捉部604bに相当し、図10(a)に示される第1の捕捉部605aは図9(b)に示される第2の捕捉部605bに相当し、図10(a)に示される第1の捕捉部606aは図10(b)に示される第2の捕捉部606bに相当し、図10(a)に示される第1の捕捉部607aは図10(b)に示される第2の捕捉部607bに相当し、図10(a)に示される第1の捕捉部608aは図10(b)に示される第2の捕捉部608bに相当し、図10(a)に示される第1の捕捉部609aは図9(b)に示される第2の捕捉部609bに相当し、図10(a)に示される保護部610aは図9(b)に示される保護部610bに相当する。なお、本技術に係る第1の実施形態(細胞評価装置の例1)の細胞評価装置は、第2の捕捉部601aを備えないので、第2の捕捉部601aのところは、第1の捕捉部602a~609aのうち、少なくとも1つの第1の捕捉部が配される。
【0092】
[3-3.画像取得部、解析部、照射部及び表示部]
本技術に係る第2の実施形態(細胞評価装置の例2)の細胞評価装置が備える画像取得部は、本技術に係る第1の実施形態(細胞評価装置の例1)の細胞評価装置の欄で説明したとおりなので、ここでは詳細な説明は省略する。また、本技術に係る第2の実施形態(細胞評価装置の例2)の細胞評価装置が備えることができる、解析部、照射部及び表示部も、本技術に係る第1の実施形態(細胞評価装置の例1)の細胞評価装置の欄で説明したとおりなので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0093】
<4.第3の実施形態(細胞評価システムの例)>
[4-1.細胞評価システム]
本技術に係る第3の実施形態(細胞評価システムの例)の細胞評価システムは、細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、得られた画像を解析する解析部と、を備え、画像取得部と、第1の捕捉部とがこの順で配され、画像取得部が、細胞と分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価システムである。
【0094】
また、本技術に係る第3の実施形態(細胞評価システムの例)の細胞評価システムは、細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、得られた画像を解析する解析部と、を備え、画像取得部と、第1の捕捉部とがこの順で配され、画像取得部が、細胞と分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価システムでもよい。
【0095】
本技術に係る第3の実施形態の細胞評価システムは、更に、照射部及び表示部のうち、少なくとも1つを備えることができる。すなわち、本技術に係る第3の実施形態の細胞評価システムは、更に、照射部を備えることができるし、表示部を備えることができるし、照射部と表示部とを備えることができる。
【0096】
なお、本技術に係る第3の実施形態の細胞評価システムに関して、以上のとおり述べた内容以外は、本技術に係る第1の実施形態及び第2の実施形態の細胞評価装置(細胞評価装置の例1及び例2)の欄で述べた内容が、本技術に係る第3の実施形態の細胞評価システムにそのまま適用することができる。
【0097】
[4-2.第1の捕捉部、第2の捕捉部、画像取得部、解析部、照射部及び表示部]
本技術に係る第3の実施形態(細胞評価システム)の細胞評価システムが備える画像取得部及び解析部は、本技術に係る第1の実施形態(細胞評価装置の例1)の細胞評価装置の欄で説明したとおりなので、ここでは詳細な説明は省略する。また、本技術に係る第3の実施形態(細胞評価システム)の細胞評価システムが備えることができる照射部及び表示部も、本技術に係る第1の実施形態(細胞評価装置の例1)の細胞評価装置の欄で説明したとおりなので、ここでは詳細な説明は省略する。さらに、本技術に係る第3の実施形態(細胞評価システム)の細胞評価システムが備えることができる第2の捕捉部は、本技術に係る第2の実施形態(細胞評価装置の例2)の細胞評価装置の欄で説明したとおりなので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0098】
なお、本技術に係る実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0099】
また、本開示中に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0100】
また、本技術は、以下の[1]~[68]の構成を取ることもできる。
[1]
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、を備え、
前記画像取得部と、前記第1の捕捉部とがこの順で配され、
前記画像取得部が、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置。
[2]
前記画像取得部がCMOSイメージセンサである、[1]に記載の細胞評価装置。
[3]
前記画像取得部が、酵素である前記発光物質が基質との反応により発せられた化学発光を撮像して得られた画像を取得する、[1]又は[2]に記載の細胞評価装置。
[4]
前記第1の捕捉部が、前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する分子を含む、[1]から[3]のいずれか1つに記載の細胞評価装置。
[5]
前記第1の捕捉部が前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する前記分子を含まない領域に保護部が配される、[4]に記載の細胞評価装置。
[6]
前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する前記分子が、第1の抗体、第1のアプタマー、及び分子インプリントポリマーの群から選ばれる少なくとも1種である、[4]又は[5]に記載の細胞評価装置。
[7]
前記第1の抗体が複数種類である、[6]に記載の細胞評価装置。
【0101】
[8]
前記細胞を捕捉する第2の捕捉部を更に備え、
前記画像取得部と、前記第2の捕捉部とがこの順で配される、[1]から[7]のいずれか1つに記載の細胞評価装置。
[9]
前記第1の捕捉部が前記第2の捕捉部の周囲に配される、[8]に記載の細胞評価装置。
[10]
前記第2の捕捉部と前記画像取得部との間には光分解性リンカーが含まれる、[8]又は[9]に記載の細胞評価装置。
[11]
前記第2の捕捉部が、前記細胞と非特異的又は特異的に結合する分子を含む、[8]から[10]のいずれか1つに記載の細胞評価装置。
[12]
前記第2の捕捉部が前記細胞と非特異的又は特異的に結合する前記分子を含まない領域に保護部が配される、[11]に記載の細胞評価装置。
[13]
前記細胞と非特異的又は特異的に結合する前記分子が、第2の抗体、第2のアプタマー、超分子及びオレイルアミンの群から選ばれる少なくとも1種である、[11]又は[12]に記載の細胞評価装置。
[14]
前記第2の抗体が複数種類である、[13]に記載の細胞評価装置。
【0102】
[15]
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、
前記得られた画像を解析する解析部と、を備え、
前記画像取得部と、前記第1の捕捉部とがこの順で配され、
前記画像取得部が、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置。
[16]
前記解析部が、前記分泌物質と結合した前記発光物質より発せられた前記光の強度に基づいて前記分泌物質の定量を行う、[15]に記載の細胞評価装置。
[17]
前記解析部が、前記細胞の前記観察光及び/又は分泌物質と結合した発光物質より発せられた光の輝度情報に基づいて前記細胞の分析を行う、[15]又は[16]に記載の細胞評価装置。
[18]
前記画像取得部がCMOSイメージセンサである、[15]から[17]のいずれか1つに記載の細胞評価装置。
[19]
前記画像取得部が、酵素である前記発光物質が基質との反応により発せられた化学発光を撮像して得られた画像を取得する、[15]から[18]のいずれか1つに記載の細胞評価装置。
[20]
前記第1の捕捉部が、前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する分子を含む、[15]から[19]のいずれか1つに記載の細胞評価装置。
[21]
前記第1の捕捉部が前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する前記分子を含まない領域に保護部が配される、[20]に記載の細胞評価装置。
[22]
前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する前記分子が、第1の抗体、第1のアプタマー、及び分子インプリントポリマーの群から選ばれる少なくとも1種である、[20]又は[21]に記載の細胞評価装置。
[23]
前記第1の抗体が複数種類である、[22]に記載の細胞評価装置。
【0103】
[24]
前記細胞を捕捉する第2の捕捉部を更に備え、
前記画像取得部と、前記第2の捕捉部とがこの順で配される、[15]から[23]のいずれか1つに記載の細胞評価装置。
[25]
前記第1の捕捉部が前記第2の捕捉部の周囲に配される、[24]に記載の細胞評価装置。
[26]
前記第2の捕捉部と前記画像取得部との間には光分解性リンカーが含まれる、[24]又は[25]に記載の細胞評価装置。
[27]
前記第2の捕捉部が、前記細胞と非特異的又は特異的に結合する分子を含む、[24]から[26]のいずれか1つに記載の細胞評価装置。
[28]
前記第2の捕捉部が前記細胞と非特異的又は特異的に結合する前記分子を含まない領域に保護部が配される、[27]に記載の細胞評価装置。
[29]
前記細胞と非特異的又は特異的に結合する前記分子が、第2の抗体、第2のアプタマー、超分子及びオレイルアミンの群から選ばれる少なくとも1種である、[27]又は[28]に記載の細胞評価装置。
[30]
前記第2の抗体が複数種類である、[29]に記載の細胞評価装置。
【0104】
[31]
前記細胞を投影する照射部を更に備える、[1]から[30]のいずれか1つに記載の細胞評価装置。
[32]
前記画像を表示する表示部を更に備える、[1]から[31]のいずれか1つに記載の細胞評価装置。
[33]
前記表示部が、前記細胞の観察光を撮像して得られた細胞像画像及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた化学発光画像に基づいたウェル画像表示部、並びに、前記解析部の解析に基づいた解析データ表示部及び解析プロット表示部を備える、[32]に記載の細胞評価装置。
【0105】
[34]
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、を備え、
前記画像取得部と、前記第1の捕捉部とがこの順で配され、
前記画像取得部が、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価システム。
[35]
前記画像取得部がCMOSイメージセンサである、[34]に記載の細胞評価システム。
[36]
前記画像取得部が、酵素である前記発光物質が基質との反応により発せられた化学発光を撮像して得られた画像を取得する、[34]又は[35]に記載の細胞評価システム。
[37]
前記第1の捕捉部が、前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する分子を含む、[34]から[36]のいずれか1つに記載の細胞評価システム。
[38]
前記第1の捕捉部が前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する前記分子を含まない領域に保護部が配される、[37]に記載の細胞評価システム。
[39]
前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する前記分子が、第1の抗体、第1のアプタマー、及び分子インプリントポリマーの群から選ばれる少なくとも1種である、[37]又は[38]に記載の細胞評価システム。
[40]
前記第1の抗体が複数種類である、[39]に記載の細胞評価システム。
【0106】
[41]
前記細胞を捕捉する第2の捕捉部を更に備え、
前記画像取得部と、前記第2の捕捉部とがこの順で配される、[34]から[40]のいずれか1つに記載の細胞評価システム。
[42]
前記第1の捕捉部が前記第2の捕捉部の周囲に配される、[41]に記載の細胞評価システム。
[43]
前記第2の捕捉部と前記画像取得部との間には光分解性リンカーが含まれる、[41]又は[42]に記載の細胞評価システム。
[44]
前記第2の捕捉部が、前記細胞と非特異的又は特異的に結合する分子を含む、[41]から[43]のいずれか1つに記載の細胞評価システム。
[45]
前記第2の捕捉部が前記細胞と非特異的又は特異的に結合する前記分子を含まない領域に保護部が配される、[44]に記載の細胞評価システム。
[46]
前記細胞と非特異的又は特異的に結合する前記分子が、第2の抗体、第2のアプタマー、超分子及びオレイルアミンの群から選ばれる少なくとも1種である、[44]又は[45]に記載の細胞評価システム。
[47]
前記第2の抗体が複数種類である、[46]に記載の細胞評価システム。
【0107】
[48]
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、
前記得られた画像を解析する解析部と、を備え、
前記画像取得部と、前記第1の捕捉部とがこの順で配され、
前記画像取得部が、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価システム。
[49]
前記解析部が、前記分泌物質と結合した前記発光物質より発せられた前記光の強度に基づいて前記分泌物質の定量を行う、[48]に記載の細胞評価システム。
[50]
前記解析部が、前記細胞の前記観察光及び/又は分泌物質と結合した発光物質より発せられた光の輝度情報に基づいて前記細胞の分析を行う、[48]又は[49]に記載の細胞評価システム。
[51]
前記画像取得部がCMOSイメージセンサである、[48]から[50]のいずれか1つに記載の細胞評価システム。
[52]
前記画像取得部が、酵素である前記発光物質が基質との反応により発せられた化学発光を撮像して得られた画像を取得する、[48]から[51]のいずれか1つに記載の細胞評価システム。
[53]
前記第1の捕捉部が、前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する分子を含む、[48]から[52]のいずれか1つに記載の細胞評価システム。
[54]
前記第1の捕捉部が前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する前記分子を含まない領域に保護部が配される、[53]に記載の細胞評価システム。
[55]
前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する前記分子が、第1の抗体、第1のアプタマー、及び分子インプリントポリマーの群から選ばれる少なくとも1種である、[53]又は[54]に記載の細胞評価システム。
[56]
前記第1の抗体が複数種類である、[55]に記載の細胞評価システム。
【0108】
[57]
前記細胞を捕捉する第2の捕捉部を更に備え、
前記画像取得部と、前記第2の捕捉部とがこの順で配される、[48]から[56]のいずれか1つに記載の細胞評価システム。
[58]
前記第1の捕捉部が前記第2の捕捉部の周囲に配される、[57]に記載の細胞評価システム。
[59]
前記第2の捕捉部と前記画像取得部との間には光分解性リンカーが含まれる、[57]又は[58]に記載の細胞評価システム。
[60]
前記第2の捕捉部が、前記細胞と非特異的又は特異的に結合する分子を含む、[57]から[59]のいずれか1つに記載の細胞評価システム。
[61]
前記第2の捕捉部が前記細胞と非特異的又は特異的に結合する前記分子を含まない領域に保護部が配される、[60]に記載の細胞評価システム。
[62]
前記細胞と非特異的又は特異的に結合する前記分子が、第2の抗体、第2のアプタマー、超分子及びオレイルアミンの群から選ばれる少なくとも1種である、[60]又は[61]に記載の細胞評価システム。
[63]
前記第2の抗体が複数種類である、[62]に記載の細胞評価システム。
【0109】
[64]
前記細胞を投影する照射部を更に備える、[34]から[63]のいずれか1つに記載の細胞評価システム。
[65]
前記画像を表示する表示部を更に備える、[34]から[64]のいずれか1つに記載の細胞評価システム。
[66]
前記表示部が、前記細胞の観察光を撮像して得られた細胞像画像及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた化学発光画像に基づいたウェル画像表示部、並びに、前記解析部の解析に基づいた解析データ表示部及び解析プロット表示部を備える、[65]に記載の細胞評価システム。
【0110】
[67]
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の抗体と、
細胞を捕捉する第2の抗体と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得するCMOSイメージセンサと、を備え、
前記CMOSイメージセンサと、前記第1の抗体及び前記第2の抗体とがこの順で配され、
前記第1の抗体が前記第2の抗体の周囲に配され、
前記CMOSイメージセンサが、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置。
【0111】
[68]
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の抗体と、
細胞を捕捉する第2の抗体と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物・BR>ソより発せられた光を撮像して得られた画像を取得するCMOSイメージセンサと、
取得された前記画像を解析する解析部と、を備え、
前記CMOSイメージセンサと、前記第1の抗体及び前記第2の抗体とがこの順で配され、
前記第1の抗体が、前記第2の抗体の周囲に配され、
前記CMOSイメージセンサが、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置。
【0112】
[69]
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の抗体と、
細胞を捕捉する第2の抗体と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得するCMOSイメージセンサと、を備え、
前記CMOSイメージセンサと、前記第1の抗体及び前記第2の抗体とがこの順で配され、
前記第1の抗体が前記第2の抗体の周囲に配され、
前記CMOSイメージセンサが、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価システム。
【0113】
[70]
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の抗体と、
細胞を捕捉する第2の抗体と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得するCMOSイメージセンサと、
取得された前記画像を解析する解析部と、を備え、
前記CMOSイメージセンサと、前記第1の抗体及び前記第2の抗体とがこの順で配され、
前記第1の抗体が、前記第2の抗体の周囲に配され、
前記CMOSイメージセンサが、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価システム。
【符号の説明】
【0114】
1…細胞評価装置、101-1…第1の捕捉部、101-2…第2の捕捉部、1001…画像取得部(イメージセンサ)、1005…解析部、1006…表示部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、を備え、
前記画像取得部と、前記第1の捕捉部とがこの順で配され、
前記画像取得部が、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置。

【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に、細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、前記細胞を捕捉する第2の捕捉部と、が配置された容器内に、複数の細胞を導入し、前記第2の捕捉部に前記複数の細胞の内少なくとも一つの細胞を捕捉させる細胞捕捉工程と、
前記複数の細胞に刺激を付与する細胞刺激工程と、
前記第1の捕捉部に前記複数の細胞の内少なくとも1つの細胞から分泌された分泌物質を捕捉させる分泌物質捕捉工程と、
前記複数の細胞の内少なくとも1つの細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得工程と、を含む
細胞評価方法。
【請求項2】
前記画像取得工程は、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、
請求項1に記載の細胞評価方法。
【請求項3】
前記画像取得工程で得られた画像を用いて解析を行う解析工程を更に含む、
請求項1又は2に記載の細胞評価方法。
【請求項4】
前記解析工程は、前記捕捉された分泌物質と結合した発光物質より発せられた光の強度に基づいて分泌物質を定量する、
請求項3に記載の細胞評価方法。
【請求項5】
前記解析工程は、前記得られた画像に基づいて、細胞情報を解析する、
請求項3に記載の細胞評価方法。
【請求項6】
前記解析工程は、前記細胞の種類、サイズ、位置、形状、状態の少なくとも一つを解析する、
請求項5に記載の細胞評価方法。
【請求項7】
前記解析工程で得られた情報に基づいて、前記複数の細胞の内、所望の細胞を回収する回収工程をさらに含む、
請求項3から6のいずれか一項に記載の細胞評価方法。
【請求項8】
前記半導体基板は、フォトダイオードが形成されている半導体基板である、請求項1~7のいずれか一項に記載の細胞評価方法。
【請求項9】
前記半導体基板はCMOSセンサの構成要素である、
請求項1から8のいずれか一項に記載の細胞評価方法。
【請求項10】
前記画像取得工程は前記CMOSセンサによって実施される、
請求項9に記載の細胞評価方法。
【請求項11】
前記画像取得部工程において、酵素である前記発光物質が基質との反応により発せられた化学発光を撮像して得られた画像を取得する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の記載の細胞評価方法。
【請求項12】
前記第1の捕捉部が、前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する分子を含む、
請求項1から11のいずれか一項に記載の細胞評価方法。
【請求項13】
前記第2の捕捉部が、前記細胞と非特異的又は特異的に結合する分子を含む、
請求項1から12のいずれか一項に記載の細胞評価方法。
【請求項14】
前記第2の捕捉部は、光分解性リンカーを含む、
請求項1から13のいずれか一項に記載の細胞評価方法。
【請求項15】
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、前記細胞を捕捉する第2の捕捉部と、が配置された半導体基板を含む容器と、
前記容器内の前記第1の捕捉部に捕捉された分泌物質と結合した発光物質より発せられた光、及び前記第2の捕捉部に捕捉された細胞の観察光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、
前記得られた画像を解析する解析部を備える、
細胞評価システム。

【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
さらにまた、本技術では、
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の抗体と、
細胞を捕捉する第2の抗体と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得するCMOSイメージセンサと、を備え、
前記CMOSイメージセンサと、前記第1の抗体及び前記第2の抗体とがこの順で配され、
前記第1の抗体が前記第2の抗体の周囲に配され、
前記CMOSイメージセンサが、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置を提供し、
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の抗体と、
細胞を捕捉する第2の抗体と、
前記細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得するCMOSイメージセンサと、
取得された前記画像を解析する解析部と、を備え、
前記CMOSイメージセンサと、前記第1の抗体及び前記第2の抗体とがこの順で配され、
前記第1の抗体が、前記第2の抗体の周囲に配され、
前記CMOSイメージセンサが、前記細胞と前記分泌物質との位置情報を取得する、細胞評価装置を提供する。
また、本技術は、
半導体基板上に、細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、前記細胞を捕捉する第2の捕捉部と、が配置された容器内に、複数の細胞を導入し、前記第2の捕捉部に前記複数の細胞の内少なくとも一つの細胞を捕捉させる細胞捕捉工程と、
前記複数の細胞に刺激を付与する細胞刺激工程と、
前記第1の捕捉部に前記複数の細胞の内少なくとも1つの細胞から分泌された分泌物質を捕捉させる分泌物質捕捉工程と、
前記複数の細胞の内少なくとも1つの細胞の観察光及び前記分泌物質と結合した発光物質より発せられた光を撮像して得られた画像を取得する画像取得工程と、を含む
細胞評価方法も提供する。
前記画像取得工程において、前記細胞と前記分泌物質との位置情報が取得されうる。
前記細胞評価方法は、前記画像取得工程で得られた画像を用いて解析を行う解析工程を更に含んでよい。
前記解析工程において、前記捕捉された分泌物質と結合した発光物質より発せられた光の強度に基づいて分泌物質が定量されうる。
前記解析工程において、前記得られた画像に基づいて、細胞情報が解析されうる。
前記解析工程は、前記細胞の種類、サイズ、位置、形状、状態の少なくとも一つを解析しうる。
前記細胞評価方法は、前記解析工程で得られた情報に基づいて、前記複数の細胞の内、所望の細胞を回収する回収工程をさらに含みうる。
前記半導体基板は、フォトダイオードが形成されている半導体基板であってよい。
前記半導体基板はCMOSセンサの構成要素であってよい。
前記画像取得工程は前記CMOSセンサによって実施されてよい。
前記画像取得部工程において、酵素である前記発光物質が基質との反応により発せられた化学発光を撮像して得られた画像が取得されうる。
前記第1の捕捉部が、前記分泌物質と非特異的又は特異的に結合する分子を含みうる。
前記第2の捕捉部が、前記細胞と非特異的又は特異的に結合する分子を含みうる。
前記第2の捕捉部は、光分解性リンカーを含みうる。
また、本技術は、
細胞が分泌する分泌物質を捕捉する第1の捕捉部と、前記細胞を捕捉する第2の捕捉部と、が配置された半導体基板を含む容器と、
前記容器内の前記第1の捕捉部に捕捉された分泌物質と結合した発光物質より発せられた光、及び前記第2の捕捉部に捕捉された細胞の観察光を撮像して得られた画像を取得する画像取得部と、
前記得られた画像を解析する解析部を備える、
細胞評価システムも提供する。