(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171814
(43)【公開日】2023-12-05
(54)【発明の名称】水性組成物及びこれを用いた洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231128BHJP
H01L 21/308 20060101ALI20231128BHJP
C11D 7/08 20060101ALI20231128BHJP
C11D 7/36 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H01L21/304 647A
H01L21/308 G
H01L21/304 647Z
C11D7/08
C11D7/36
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023152183
(22)【出願日】2023-09-20
(62)【分割の表示】P 2020515553の分割
【原出願日】2019-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2018086438
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】尾家 俊行
(72)【発明者】
【氏名】菊永 孝裕
(72)【発明者】
【氏名】堀田 明伸
(72)【発明者】
【氏名】山田 健二
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電子デバイス(例えば、半導体素子)の製造工程において用いる洗浄用組成物およびそれを用いた洗浄方法を提供する。
【解決手段】洗浄用組成物である水性組成物は、C4-13アルキルホスホン酸、C4-13アルキルホスホン酸エステルと、C4-13アルキルりん酸及びそれらの塩から選ばれる1種以上の化合物を、組成物全量基準で0.0001~10質量%と、C4-13アルキルホスホン酸とC4-13アルキルホスホン酸エステルと、C4-13アルキルりん酸以外の酸又はその塩とを、組成物全量基準で0.0001~50質量%含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)C4-13アルキルホスホン酸、C4-13アルキルホスホン酸エステル、C4-13アルキルりん酸、及びそれらの塩から選ばれる1種以上の化合物を、組成物全量基準で0.0001~10質量%;及び
(B)C4-13アルキルホスホン酸とC4-13アルキルホスホン酸エステルとC4-13アルキルりん酸以外の酸又はその塩を、組成物全量基準で0.0001~50質量%含む、水性組成物。
【請求項2】
pHが0~7の範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(B)成分の酸又はその塩が、フッ化水素酸、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、又はそれらの塩である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記酸がフッ化水素酸である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記水性組成物が、
前記アルキルホスホン酸としての、n-ブチルホスホン酸、n-ペンチルホスホン酸、n-ヘキシルホスホン酸、n-ヘプチルホスホン酸、n-オクチルホスホン酸、n-ノニルホスホン酸、n-デシルホスホン酸、n-ウンデシルホスホン酸、n-ドデシルホスホン酸、n-トリデシルホスホン酸、又はそれらの混合物、
前記アルキルホスホン酸エステルとしての、n-ブチルホスホン酸エステル、n-ペンチルホスホン酸エステル、n-ヘキシルホスホン酸エステル、n-ヘプチルホスホン酸エステル、n-オクチルホスホン酸エステル、n-ノニルホスホン酸エステル、n-デシルホスホン酸エステル、n-ウンデシルホスホン酸エステル、n-ドデシルホスホン酸エステル、n-トリデシルホスホン酸エステル、又はそれらの混合物、及び、
前記アルキルホスホン酸及び前記アルキルホスホン酸エステルの塩、
から選択される少なくともいずれかを含む、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記水性組成物が、
前記アルキルりん酸としての、n-ブチルりん酸、n-ペンチルりん酸、n-ヘキシルりん酸、n-ヘプチルりん酸、n-オクチルりん酸、n-ノニルりん酸、n-デシルりん酸、n-ウンデシルりん酸、n-ドデシルりん酸、n-トリデシルりん酸、りん酸2-エチルヘキシル、りん酸イソデシル、又はそれらの混合物、並びに、
前記アルキルりん酸の塩、
から選択される少なくともいずれかを含む、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記アルキルホスホン酸、前記アルキルホスホン酸エステル、及び、前記アルキルりん酸において、アルキル鎖の数が2以下である、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記アルキルホスホン酸、前記アルキルホスホン酸エステル、及び、前記アルキルりん酸において、アルキル鎖の数が1である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記アルキルホスホン酸、前記アルキルホスホン酸エステル、及び、前記アルキルりん酸において、アルキル鎖が直鎖状である、請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
バリウム化合物をさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記バリウム化合物が、硝酸バリウム、酢酸バリウム、塩化バリウム及び水酸化バリウムから選択される少なくともいずれかを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の組成物を電子デバイスに接触させる工程を含む、電子デバイスの洗浄方法。
【請求項13】
請求項1~11のいずれかに記載の組成物を電子デバイスに接触させる工程を含む、電子デバイスの製造方法。
【請求項14】
請求項1~11のいずれかに記載の組成物を含む、エッチング液。
【請求項15】
請求項1~11のいずれかに記載の組成物を含む、洗浄液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性組成物及びそれを用いた洗浄方法に関し、例えば、電子デバイス(例えば、半導体素子)の製造工程において用いる洗浄用組成物、およびそれを用いた洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子などの、電子デバイスを製造する過程では、半導体集積回路を形成する際に、通常、ドライエッチング工程が採用されている。このドライエッチング工程では、ドライエッチング残渣(ジルコニウム系残渣、チタニウム系残渣、ポリマー残渣など)が生じ、これを除去する必要がある。このドライエッチング残渣を除くための洗浄剤は、洗浄対象となる半導体集積回路に用いられる配線用金属材料(例えば、銅、チタニウム、コバルト、タングステンなど)に悪影響(例えば、侵食)を与えないことが好ましい。
このような観点から、種々の洗浄剤が開発されている。例えば、特表2013-533631号公報(特許文献1)、特開2016-171294号公報(特許文献2)、特開2006-83376号公報(特許文献3)などは、ドライエッチング後に生じるドライエッチング残渣を除去するための洗浄用組成物、それを用いる洗浄方法などを開示している。
半導体集積回路を形成する過程でハードマスクが用いられる場合がある。ハードマスクの材料として、シリコン系やチタン系が従来から用いられているが、近年ジルコニア系のハードマスクも提案されている(非特許文献1:M Padmanaban et al, J. Photopolym.Sci.Technol.,27(2014)503)。
また、ドライエッチングでビアを形成する際は、フッ素系のガスが選択される。エッチストップ層としてアルミナを選択すると、アルミナはフッ素系のガスへの耐性が高いため、薄い膜でもエッチストップ層として機能する利点があり、近年アルミナ系のエッチストップ層が提案されている(非特許文献2:16th MME workshop, Goeteborg, Sweden, 2005 “Etch stop materials for release by vapor HF etching”)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2013-533631号公報
【特許文献2】特開2016-171294号公報
【特許文献3】特開2006-83376号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】M Padmanaban et al, J. Photopolym.Sci.Technol.,27(2014)503
【非特許文献2】16th MME workshop, Goeteborg, Sweden, 2005 “Etch stop materials for release by vapor HF etching”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子デバイスに用いられる配線用の金属材料や、ドライエッチングの際に用いられるマスキング材料には種々のものがあり、その組合せも様々である。したがって、ドライエッチング残渣の除去効率、配線用の金属材料に対する防食効果などの観点から、新たな洗浄用組成物の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の水性組成物、それを用いる洗浄方法などを提供する。
[1](A)C4-13アルキルホスホン酸、C4-13アルキルホスホン酸エステル、C4-13アルキルりん酸、及びそれらの塩から選ばれる1種以上の化合物を、組成物全量基準で0.0001~10質量%、及び、
(B)C4-13アルキルホスホン酸とC4-13アルキルホスホン酸エステルとC4-13アルキルりん酸以外の酸又はその塩を、組成物全量基準で0.0001~50質量%含む、水性組成物。
[2] pHが0~7(例えば、0~6、0~5、0~4又は0~3)の範囲にある、上記[1]に記載の組成物。
[3] 前記(B)成分の酸又はその塩が、フッ化水素酸、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸又はそれらの塩である、上記[1]又は[2]に記載の組成物。
【0007】
[4] 前記酸がフッ化水素酸である、上記[3]に記載の組成物。
[5] 前記水性組成物が、
前記アルキルホスホン酸としての、n-ブチルホスホン酸、n-ペンチルホスホン酸、n-ヘキシルホスホン酸、n-ヘプチルホスホン酸、n-オクチルホスホン酸、n-ノニルホスホン酸、n-デシルホスホン酸、n-ウンデシルホスホン酸、n-ドデシルホスホン酸、n-トリデシルホスホン酸、又はそれらの混合物、
前記アルキルホスホン酸エステルとしての、n-ブチルホスホン酸エステル、n-ペンチルホスホン酸エステル、n-ヘキシルホスホン酸エステル、n-ヘプチルホスホン酸エステル、n-オクチルホスホン酸エステル、n-ノニルホスホン酸エステル、n-デシルホスホン酸エステル、n-ウンデシルホスホン酸エステル、n-ドデシルホスホン酸エステル、n-トリデシルホスホン酸エステル、又はそれらの混合物、及び、
前記アルキルホスホン酸及び前記アルキルホスホン酸エステルの塩、
から選択される少なくともいずれかを含む、上記[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[5a] 前記アルキルホスホン酸が、C5-12アルキルホスホン酸(好ましくは、C5-11アルキルホスホン酸、より好ましくは、C5-9アルキルホスホン酸、さらに好ましくはC6-8アルキルホスホン酸)であり、
前記アルキルホスホン酸エステルが、これらのアルキルホスホン酸のエステルである、上記[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
【0008】
[6] 前記水性組成物が、
前記アルキルりん酸としての、n-ブチルりん酸、n-ペンチルりん酸、n-ヘキシルりん酸、n-ヘプチルりん酸、n-オクチルりん酸、n-ノニルりん酸、n-デシルりん酸、n-ウンデシルりん酸、n-ドデシルりん酸、n-トリデシルりん酸、りん酸2-エチルヘキシル、りん酸イソデシル、又はそれらの混合物、並びに、
前記アルキルりん酸の塩、
から選択される少なくともいずれかを含む、上記[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6a] 前記アルキルりん酸が、C4-13アルキルりん酸(好ましくは、C5-11アルキルりん酸、より好ましくはC5-9アルキルりん酸、さらに好ましくはC6-8アルキルりん酸)である、上記[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
【0009】
[7]前記アルキルホスホン酸、前記アルキルホスホン酸エステル、及び、前記アルキルりん酸において、アルキル鎖の数が2以下である、上記[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]前記アルキルホスホン酸、前記アルキルホスホン酸エステル、及び、前記アルキルりん酸において、アルキル鎖の数が1である、上記[7]に記載の組成物。
[9]前記アルキルホスホン酸、前記アルキルホスホン酸エステル、及び、前記アルキルりん酸において、アルキル鎖が直鎖状である、上記[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] バリウム化合物をさらに含む、上記[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]前記バリウム化合物が、硝酸バリウム、酢酸バリウム、塩化バリウム及び水酸化バリウムから選択される少なくともいずれかを含む、上記[10]に記載の組成物。
[11a]ドライエッチング後の残渣(例えば、ジルコニア系ドライエッチング残渣)を除去するためのドライエッチング残渣除去用組成物である、上記[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[11b]洗浄対象となる電子デバイスの配線材料(例えば、コバルト又はコバルト合金など)を防食するための組成物である、上記[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[11c] 前記アルキルホスホン酸からは、ドデシルホスホン酸が除かれている、上記[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[12] 上記[1]~[11]のいずれかに記載の組成物を電子デバイスに接触させる工程を含む、電子デバイスの洗浄方法。
[13] 上記[1]~[11]のいずれかに記載の組成物を電子デバイスに接触させる工程を含む、電子デバイスの製造方法。
[14] 上記[1]~[11]のいずれかに記載の組成物を含む、エッチング液。
[15] 上記[1]~[11]のいずれかに記載の組成物を含む、洗浄液。
【発明の効果】
【0010】
本発明の好ましい態様に係る水性組成物は、低いpH領域(例えば、4以下)においても、コバルト又はコバルト合金に対して良好な防食効果を奏する。
また、本発明の別の好ましい態様に係る水性組成物(例えば、フッ化水素を配合した組成物)は、コバルト又はコバルト合金に対して良好な防食効果を奏すると共に、エッチング残渣の除去性においても良好である。
本発明の好ましい態様に係る洗浄方法によれば、コバルトなどの配線材料に対する防食効果やドライエッチング残渣除去性が良好であるため、半導体素子などの電子デバイスの製造工程において、高精度、高品質の電子デバイスを歩留まりよく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ビアの底がアルミナであり、ドライエッチング残渣1を除去する前の半導体素子における、ジルコニア系ハードマスク2、コバルトまたはコバルト合金3、アルミナ4、低誘電率層間絶縁膜5、窒化シリコン6の構造を有する半導体素子の一形態における断面図の模式図である。
【
図2】ビアの底がコバルトまたはコバルト合金であり、ドライエッチング残渣1を除去する前の半導体素子における、ジルコニア系ハードマスク2、コバルトまたはコバルト合金3、アルミナ4、低誘電率層間絶縁膜5、窒化シリコン6の構造を有する半導体素子の一形態における断面図の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における水性組成物は、(A)C4-13アルキルホスホン酸、C4-13アルキルホスホン酸エステル、C4-13アルキルりん酸、及びそれらの塩から選ばれる1種以上の化合物を、組成物全量基準で0.0001~10質量%、及び
(B)(A)成分以外の酸、すなわち、C4-13アルキルホスホン酸とC4-13アルキルホスホン酸エステルとC4-13アルキルりん酸以外の酸、又は、それらの酸の塩を、組成物全量基準で0.0001~50質量%含むものである。
なお、本明細書にて、各成分の含有量の範囲は上限値と下限値とを含むものであり、例えば、上記(A)成分の含有量の範囲には、0.0001質量%と10質量%とが含まれる。
以下、本発明に係る水性組成物について詳細に説明する。
【0013】
[(A)成分:アルキルホスホン酸又はアルキルりん酸等]
(A1)アルキルホスホン酸、及び、アルキルホスホン酸エステル
本発明に使用されるアルキルホスホン酸は、4~13個の炭素原子を有するC4-13アルキルホスホン酸(4~13個の炭素原子を有するアルキルホスホン酸)である。このようなアルキルホスホン酸は、公知であり、また商業的に入手し得る(例えば、東京化成工業社から入手可能)。アルキルホスホン酸は、好ましくはC5-11アルキルホスホン酸、より好ましくはC5-9アルキルホスホン酸、さらに好ましくはC6-8アルキルホスホン酸である。アルキルホスホン酸のアルキル部分は、直鎖でもよく、分岐していてもよいが、直鎖のほうが好ましい。アルキルホスホン酸のアルキル部分が分岐している場合、分岐鎖の数は5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
【0014】
本発明の水性組成物においては、上述したアルキルホスホン酸の、エステルを用いることもできる。すなわち、上述のC4-13アルキルホスホン酸(4~13個の炭素原子を有するアルキルホスホン酸)のアルキルエステルを用いることもできる。
アルキルホスホン酸は、通常、一般式R1P(=O)(OH)2(R1はアルキル基)で表されるところ、一般式R1P(=O)(OR2)2(R1はアルキル基、R2はアルキル基または水素原子:ただし、2つのR2のうち少なくとも一つはアルキル基)で表されるアルキルホスホン酸エステルも、水性組成物において用いられ得る。
また、本明細書に記載のアルキルホスホン酸エステルは、ホスホン酸のアルキルエステル(ホスホン酸エステル)をも包含するものである。すなわち、一般式R1P(=O)(OR2)2(R1は水素、R2はアルキル基または水素原子:ただし、2つのR2のうち少なくとも一つはアルキル基)で表される、ホスホン酸エステルもまた、本明細書ではアルキルホスホン酸エステルとして、水性組成物において用いられ得る。
以上のことから明らかであるように、水性組成物においては、アルキルホスホン酸又はアルキルホスホン酸エステルとして、以下の一般式(A)で表される化合物が用いられる。
R1P(=O)(OR2)2・・・(A)
(一般式(A)において、R1、及び、R2は、それぞれ独立して、アルキル基または水素原子:ただし、R1と2つのR2のうち、少なくとも一つはアルキル基である。)
本発明に使用されるアルキルホスホン酸エステルは、合計で4~13個の炭素原子を有するC4-13アルキルホスホン酸エステル(合計で4~13個の炭素原子を有するアルキルホスホン酸エステル)である。アルキルホスホン酸エステルは、好ましくはC5-11アルキルホスホン酸エステル、より好ましくはC5-9アルキルホスホン酸エステル、さらに好ましくはC6-8アルキルホスホン酸エステルである。また、上記一般式(A)におけるR1及びR2のアルキル鎖は、それぞれ独立して、好ましくは、4~12個の炭素原子を有し、より好ましくは6~11個の炭素原子を有し、さらに好ましくは、8~10個の炭素原子を有する。
【0015】
アルキルホスホン酸エステルのアルキル基、すなわち、上記一般式(A)のR1及びR2は直鎖であっても、分岐していてもよいが、直鎖状のアルキル基を含むことが好ましい。
また、上記一般式(A)におけるアルキル鎖の数、すなわち、R1及びR2のアルキル鎖の合計数は2以下であることが好ましい。すなわち、アルキルホスホン酸エステルとして、上記一般式(A)のR1P(=O)(OR2)2のうち、R1及びR2がいずれもアルキル基であるものを用いることもできるが、R1がアルキル基であり、R2の一つ以下がアルキル基であるもの、あるいは、R1が水素であり、R2の二つ以下がアルキル基であるもの等を用いることができる。さらに好ましくは、単一のアルキル鎖のみを有するアルキルホスホン酸、すなわち、上記一般式(A)のR1P(=O)(OR2)2のR1及び2つのR2のうち、いずれか一つのみがアルキル基であるものの使用が好ましい。特に好ましくは、上記一般式(A)のR1のみがアルキル基であるものの使用が好ましい。
【0016】
本発明に使用されるアルキルホスホン酸の塩は、上述したアルキルホスホン酸の塩であり、例えば、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩などが挙げられる。
【0017】
本発明に使用されるアルキルホスホン酸又はその塩としては、好ましくは、n-ブチルホスホン酸、n-ペンチルホスホン酸、n-ヘキシルホスホン酸、n-ヘプチルホスホン酸、n-オクチルホスホン酸、n-ノニルホスホン酸、n-デシルホスホン酸、n-ウンデシルホスホン酸、n-ドデシルホスホン酸、n-トリデシルホスホン酸、それらの塩又はそれらの混合物が挙げられる。
より好ましく使用されるアルキルホスホン酸又はその塩としては、n-ペンチルホスホン酸、n-ヘキシルホスホン酸、n-ヘプチルホスホン酸、n-オクチルホスホン酸、n-ノニルホスホン酸、n-デシルホスホン酸、n-ウンデシルホスホン酸、それらの塩又はそれらの混合物である。
また、本発明の水性組成物においては、上述したアルキルホスホン酸エステルの塩を用いることもできる。例えば、アルキルホスホン酸エステルの塩として、上述したアルキルホスホン酸の塩に対応するものが挙げられる。
【0018】
アルキルホスホン酸、アルキルホスホン酸エステル、又はそれらの塩の水性組成物中の濃度は、エッチング対象又は洗浄対象となる電子デバイスの配線材料の種類、エッチング工程で用いられるマスキング材料の種類などを考慮して、適宜変更できる。好ましいアルキルホスホン酸、アルキルホスホン酸エステル、又はその塩の濃度は、組成物全量基準で、0.0003~5質量%、さらに好ましくは0.0006~1質量%、特に好ましくは0.001~0.5質量%、又は0.01~0.1質量%である。
【0019】
(A2)アルキルりん酸
本発明に使用されるアルキルりん酸は、4~13個の炭素原子を有するC4-13アルキルりん酸(4~13個の炭素原子を有するアルキルりん酸)である。このようなアルキルりん酸は、公知であり、また商業的に入手し得る(例えば、東京化成工業社から入手可能)。アルキルりん酸は、好ましくはC5-11アルキルりん酸、より好ましくはC5-9アルキルりん酸、さらに好ましくはC6-8アルキルりん酸である。アルキルりん酸のアルキル部分は、直鎖でもよく、分岐していてもよいが、直鎖のほうが好ましい。アルキルりん酸のアルキル部分が分岐している場合、分岐鎖の数は5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
【0020】
本発明の水性組成物においては、アルキルりん酸として、りん酸のモノアルキルエステルのほか、ジアルキルエステル、及びトリアルキルエステルを用いることもできる。すなわち、一般式P(=O)(OR3)3(R3はいずれも水素原子)で表されるりん酸のR3のうち1つのみがアルキル基に置換されたりん酸のモノアルキルエステルのみならず、R3のうち2つがアルキル基に置換されたジアルキルエステル、及び、R3がいずれもアルキル基に置換されたトリアルキルエステルも、本発明の水性組成物において用いられ得る。ただし、アルキルりん酸として、アルキル鎖の数が2以下であるジアルキルエステル(上記一般式P(=O)(OR3)3のR3の2つがアルキル基であるもの)及びモノアルキルエステル(上記一般式P(=O)(OR3)3のR3の1つのみがアルキル基であるもの)が好ましく、アルキル鎖の数が1であるモノアルキルエステルがより好ましい。すなわち、アルキルりん酸は、単一のアルキル鎖(上記R3として表されるアルキル基)を有することが好ましい。
【0021】
アルキルりん酸は、エステル結合の数に関わらず、合計で4~13個の炭素原子を有する。アルキルりん酸は、エステル結合の数に関わらず、C5-11アルキルりん酸が好ましく、より好ましくはC5-9アルキルりん酸、さらに好ましくはC6-8アルキルりん酸が用いられる。
また、上記一般式P(=O)(OR3)3のR3のアルキル鎖は、好ましくは、4~12個の炭素原子を有し、より好ましくは6~11個の炭素原子を有し、さらに好ましくは、8~10個の炭素原子を有する。アルキルりん酸のアルキル基、すなわち、上記一般式P(=O)(OR3)3のR3は直鎖であっても、分岐していてもよいが、直鎖状のアルキル基を含むことが好ましい。
【0022】
本発明に使用されるアルキルりん酸の塩は、上述したりん酸のモノアルキルエステルあるいはジアルキルエステルの塩であり、例えば、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩などが挙げられる。
【0023】
本発明に使用されるアルキルりん酸又はその塩としては、好ましくは、n-ブチルりん酸、n-ペンチルりん酸、n-ヘキシルりん酸、n-ヘプチルりん酸、n-オクチルりん酸、n-ノニルりん酸、n-デシルりん酸、n-ウンデシルりん酸、n-ドデシルりん酸、n-トリデシルりん酸、りん酸2-エチルヘキシル、りん酸イソデシル、それらの塩又はそれらの混合物が挙げられる。
より好ましく使用されるアルキルりん酸又はその塩としては、n-ペンチルりん酸、n-ヘキシルりん酸、n-ヘプチルりん酸、n-オクチルりん酸、n-ノニルりん酸、n-デシルりん酸、n-ウンデシルりん酸、りん酸2-エチルヘキシル、りん酸イソデシル、それらの塩又はそれらの混合物である。
【0024】
アルキルりん酸又はその塩の水性組成物中の濃度は、エッチング対象又は洗浄対象となる電子デバイスの配線材料の種類、エッチング工程で用いられるマスキング材料の種類などを考慮して、適宜変更できる。好ましいアルキルりん酸又はその塩の濃度は、組成物全量基準で0.0003~5質量%、さらに好ましくは0.0006~1質量%、特に好ましくは0.001~0.5質量%、又は0.01~0.1質量%の範囲である。
【0025】
[(B)成分:(A)成分以外の酸]
本発明の水性組成物に用いられる酸は、(A)成分以外の、無機酸、有機酸のいずれも使用することができる。すなわち、水性組成物に用いられる酸として、C4-13アルキルホスホン酸、部分エステルであって酸にも該当するC4-13アルキルホスホン酸エステル、及び、C4-13アルキルりん酸以外の酸が挙げられる。また、(A)成分以外の酸の塩を水性組成物に用いても良い。
本発明で使用し得る無機酸としては、例えば、フッ化水素酸、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸などが挙げられる。この中では、フッ化水素酸が好ましく、フッ化水素酸を用いた場合は、pHの低い領域でドライエッチング残渣の除去性が向上する。
【0026】
本発明で使用し得る有機酸としては、例えば、炭素数1~18の脂肪族カルボン酸、炭素数6~10の芳香族カルボン酸のほか、炭素数1~10のアミノ酸などが挙げられる。
炭素数1~18の脂肪族カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、グリコール酸、ジグリコール酸、ピルビン酸、マロン酸、酪酸、ヒドロキシ酪酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、吉草酸、グルタル酸、イタコン酸、アジピン酸、カプロン酸、アジピン酸、クエン酸、プロパントリカルボン酸、trans-アコニット酸、エナント酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが好ましく挙げられる。
炭素数6~10の芳香族カルボン酸としては、安息香酸、サリチル酸、マンデル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが好ましく挙げられる。
また、炭素数1~10のアミノ酸としては、カルバミン酸、アラニン、グリシン、アスパラギン、アスパラギン酸、サルコシン、セリン、グルタミン、グルタミン酸、4-アミノ酪酸、イミノジ酪酸、アルギニン、ロイシン、イソロイシン、ニトリロ三酢酸などが好ましく挙げられる。
【0027】
本組成物中の酸の含有量は0.0001~50質量%であり、好ましくは0.0005~20質量%であり、より好ましくは0.001~10質量%、更に好ましくは0.01~1質量%である。特に好ましくは0.02~1質量%である。
【0028】
[(C)成分:水]
本発明の組成物は水性であり、 希釈剤として水を含む。本発明の水は特に限定されないが、蒸留、イオン交換処理、フィルター処理、各種吸着処理などによって、金属イオンや有機不純物、パーティクル粒子などが除去されたものが好ましく、特に純水または超純水が好ましい。
本組成物中の水の含有量は、通常、40~99.9998質量%であり、好ましくは、89.5~99.998質量%である。
【0029】
[(D)成分:バリウム化合物]
本発明に係る水性組成物は、バリウム化合物を含有してもよい。本発明において使用されるバリウム化合物は、バリウムを含有する無機物であり、アルミナを防食する効果がある。
バリウム化合物としては、例えば、硝酸バリウム、酢酸バリウム、塩化バリウム、水酸化バリウム、亜硫酸バリウム、塩素酸バリウム、過塩素酸バリウム、過酸化バリウム、クロム酸バリウム、酸化バリウム、シアン化バリウム、臭化バリウム、炭酸バリウム、メタホウ酸バリウム、ヨウ化バリウム、テトラフルオロホウ酸バリウム、硫酸バリウム、硫化バリウム、及び水酸化バリウムと酸を反応させた塩が挙げられ、これらは単独または2種類以上を組み合わせて使用できる。
これらの中で硝酸バリウム、酢酸バリウム、塩化バリウム及び水酸化バリウムが高い水溶性があり、入手が容易なため好ましい。
バリウム化合物の組成物中の濃度は0.00005~10質量%、好ましくは0.00025~5質量%、さらに好ましくは0.001~2質量%、特に好ましくは0.002~1質量%である。この範囲にあることでアルミナへのダメージを効果的に抑制できる。
【0030】
[その他の成分]
本発明の水性組成物には、所望により本発明の目的を損なわない範囲で従来から半導体用水性組成物に使用されている添加剤を配合してもよい。
例えば、添加剤として、アルカリ(例えば、アンモニア)、キレート剤、界面活性剤、消泡剤、酸化剤、還元剤、金属防食剤、水溶性有機溶剤などを添加することができる。これらの添加剤は公知であり、例えば、特表2013―533631号公報に記載されている。
【0031】
[水性組成物(液状組成物)の調製方法]
本発明の水性組成物(液状組成物)は、上記(A)成分、上記(B)成分、水を、必要に応じて、上記(D)成分、上記その他の成分を加えて、均一になるまで攪拌することで調整される。
本発明の水性組成物のpHの範囲は特に限定されないが、通常は、0~7であり、好ましくは0~6であり、より好ましくは0~5であり、さらに好ましくは0~4である。
好ましい態様に係る本発明の水性組成物によれば、コバルト、アルミナなどを防食しつつ、ドライエッチング残渣を効率良く除去することができる。
【0032】
[水性組成物の使用方法:電子デバイスの洗浄/製造方法]
本発明に係る水性組成物は、洗浄用水性組成物(以下、「洗浄液」ともいう)として、ウェットエッチング工程(またはその前後の工程)において、電子デバイス(例えば、半導体素子)と接触させることにより、ドライエッチング残渣を除去することができる。接触の方法としては、例えば、洗浄液を洗浄用容器に収容し、洗浄対象となる電子デバイスを洗浄液に浸漬することにより、ドライエッチング残渣を除去し、電子デバイスを洗浄することができる。または、枚葉洗浄方式で電子デバイスを処理することにより、ドライエッチング残渣を除去し、電子デバイスを洗浄することができる。洗浄用水性組成物は、ドライエッチング残渣除去液(洗浄液)のほか、エッチング液としても好適に用いられる。また、化学機械研磨(CMP)の工程の後に電子デバイスを洗浄する洗浄液として、水性組成物を用いることもできる。
このように、本発明に係る水性組成物は、電子デバイスを洗浄する工程を有する洗浄方法、及び、そのような工程を含む電子デバイスの製造方法において好適に用いられ得る。
本発明の洗浄液を使用する温度は、通常10~80℃、好ましくは15~70℃、さらに好ましくは20℃~65℃、特に好ましくは20℃~60℃である。温度は、洗浄の条件や使用される電子デバイス(例えば、半導体素子)により適宜選択することができる。
本発明の洗浄液を使用する時間は、通常0.2~60分である。時間は、洗浄の条件や使用される電子デバイス(例えば、半導体素子)により適宜選択することができる。本発明の洗浄液を使用した後のリンス液としては、有機溶剤や水、炭酸水、アンモニア水が使用できる。
【0033】
[洗浄対象/製造対象となる電子デバイス]
本発明が好適に使用できる洗浄対象、及び、製造対象としての電子デバイスは、例えば、半導体素子および表示素子であり、通常、ドライエッチング工程後の中間製品が洗浄の対象となる。半導体素子および表示素子は、シリコン、非晶質シリコン、ポリシリコン、ガラスなどの基板材料、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン及びこれらの誘導体などの絶縁材料、コバルト、コバルト合金、タングステン、チタン-タングステンなどの材料、ガリウム-砒素、ガリウム-リン、インジウム-リン、インジウム-ガリウム-砒素、インジウム-アルミニウム-砒素などの化合物半導体及びクロム酸化物などの酸化物半導体である。本発明の洗浄対象としての電子デバイスとして、特に好ましくは、コバルト又はコバルト合金配線材料、ジルコニア系ハードマスク、低誘電率層間絶縁膜を使用している素子が挙げられる。
【0034】
本発明で対象となるドライエッチング残渣は、例えばジルコニア系のハードマスクをマスクとし、ドライエッチングにより低誘電率層間絶縁膜にビアやトレンチを形成する際に生じたものである。ドライエッチング残渣の一部はエッチングガスとジルコニア系ハードマスクが接触することで生じる。したがって、この場合、対象のドライエッチング残渣はジルコニウムを含む。
【実施例0035】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の効果を奏する限りにおいて実施形態を適宜変更することができる。
尚、特に指定しない限り、%は質量%を意味する。
【0036】
[評価用ウェハ]
<評価ウェハA>:ドライエッチング残渣の除去状態の評価用
下層から、窒化シリコン、層間絶縁膜、窒化シリコン、ジルコニア、そしてフォトレジストを製膜し、次いでフォトレジストをパターニングした。
フォトレジストをマスクとしてハードマスクの所定の箇所をドライエッチングで除去し、酸素プラズマによるアッシングでフォトレジストを除去した。さらにハードマスクをマスクとして、ドライエッチングにより窒化シリコン、層間絶縁膜にビアを形成した。
【0037】
<膜付きウェハ>:コバルト及びアルミナのダメージ評価用
コバルト、アルミナのそれぞれの材質が製膜された膜付きウェハを、それぞれ以下のような製膜条件で作製した。
(1)コバルト;物理気相成長法にて製膜し、2000Åの厚みでSiに製膜。
(2)アルミナ;物理気相成長法にて製膜し、1000Åの厚みでSiに製膜。
【0038】
[評価方法]
<ドライエッチング残渣の除去状態>
各種水性組成物(洗浄液)で処理した後の評価ウェハAについてSEM観察を行った。
測定機器;株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡SU9000(倍率10万倍)
判定方法:
E:ドライエッチング残渣が完全に除去された。
G:ドライエッチング残渣が概ね完全に除去された。
P:ドライエッチング残渣の除去が不十分であった。
E、G判定を合格とした。
【0039】
<膜厚>
膜付きウェハの膜厚は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 蛍光X線装置SEA1200VX(膜厚測定装置A)、あるいはn&kテクノロジー社製光学式膜厚計n&k1280(膜厚測定装置B)を用いて測定した。コバルト膜付きウェハは膜厚測定装置Aを、アルミナ膜付きウェハは膜厚測定装置Bを用いて膜厚を測定した。
【0040】
<E.R.(エッチングレート)>
それぞれの膜付きウェハを洗浄液で処理し、処理前後の膜厚差を処理時間で除することでE.R.を算出した。
コバルトの場合はE.R.が1Å/min以下、アルミナの場合はE.R.が25Å/min以下 の場合を良品とした。
【0041】
<pH値の測定>
各実施例、及び、参考例の水性組成物のpH値は、25℃にて、pHメーター(株式会社堀場製作所製pHメーターF-52)を使用して測定した。
【0042】
[実施例1~31]
試験には、評価ウェハAおよび各種膜付きウェハを使用した。表1、表2に記した洗浄液に表1、表2に記した処理温度で浸漬し、その後、超純水によるリンス、乾燥窒素ガス噴射による乾燥を行った。評価ウェハAに関しては、5分間処理を行い、処理後のウェハをSEMで観察した。
各種膜付きウェハに関しては、コバルトの膜付きウェハは30分間、アルミナは5分間処理を行った。処理前後の膜厚からE.R.を算出した。
【0043】
[実施例1~31及び参考例1~23]
試験には、評価ウェハAおよびコバルト膜付きウェハ、アルミナ膜付きウェハを使用した。表1、表2、表3に記した水性組成物(洗浄液)に20℃または50℃で浸漬(表中処理温度の項参照)し、その後、超純水によるリンス、乾燥窒素ガス噴射による乾燥を行った。評価ウェハAに関しては、全て5分間浸漬処理を行い、処理後のウェハをSEMで観察した。
コバルト膜付きウェハは30分間、アルミナ膜付きウェハは5分間浸漬処理を行い、処理前後の膜厚からE.R.を算出した。
実施例1~31においては、コバルトのダメージを防いでいることがわかる。
一方、表3の参考例においては、コバルトのダメージを抑制する目的にさほど好適であるとはいえないことがわかる。
また、表1、表2のHFを含有組成物においては、評価ウェハAに含まれるドライエッチング残渣を除去できていることがわかる。
さらに、表2の実施例において、バリウム化合物を含む組成物はアルミナのダメージを防いでいることがわかる。
【0044】
【0045】
【0046】