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特開2023-171840窒化物を含む充填剤を含む接着研磨物品
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  • 特開-窒化物を含む充填剤を含む接着研磨物品 図1
  • 特開-窒化物を含む充填剤を含む接着研磨物品 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171840
(43)【公開日】2023-12-05
(54)【発明の名称】窒化物を含む充填剤を含む接着研磨物品
(51)【国際特許分類】
   B24D 3/02 20060101AFI20231128BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20231128BHJP
   B24D 3/06 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
B24D3/02 310C
B24D3/00 320B
B24D3/00 340
B24D3/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023161603
(22)【出願日】2023-09-25
(62)【分割の表示】P 2021532274の分割
【原出願日】2019-08-15
(31)【優先権主張番号】62/719,304
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391010770
【氏名又は名称】サンーゴバン アブレイシブズ,インコーポレイティド
(71)【出願人】
【識別番号】507169495
【氏名又は名称】サン-ゴバン アブラジフ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガスダスカ、チャールズ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】テンペレッリ、アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】デュボビック、ケネス
(72)【発明者】
【氏名】ウパデアーエ、ラチャナ
(72)【発明者】
【氏名】ジャックマン、マキシム
(72)【発明者】
【氏名】ラマナス、スリニヴァサン
(72)【発明者】
【氏名】ブライト、ロビン エム.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】機械的安定性および強度を提供する接着化学作用を有する、改善された接着研磨物品を提供する。
【解決手段】研磨物品は、無機材料を含む接着材料、研磨粒子、および窒化物を含む充填剤を含む本体を含み得る。窒化物を含む充填剤は、焼結中の本体の収縮率を補償し得、一方で本体の必要な強度特性および摩耗特性を維持する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨物品であって、
無機材料を含む接着材料と、
平均粒子径(D50AP)を有する研磨粒子と、
窒化物を含み、平均粒子径(D50)を有する充填剤と、
少なくとも0.01かつ0.5未満の範囲内の充填剤対研磨粒子径比(D50/D5
AP)と、を含む本体を含む、研磨物品。
【請求項2】
研磨粒子の総体積に対して、前記研磨粒子の少なくとも90体積%が、窒化ホウ素を含
む、請求項1に記載の研磨物品。
【請求項3】
前記充填剤の総体積に対して、前記充填剤の少なくとも90体積%が、窒化ホウ素を含
む、請求項1または2に記載の研磨物品。
【請求項4】
窒化物を含む前記充填剤、前記研磨粒子、および前記接着材料の間の熱膨張係数(CT
E)の差異が、1ppm/℃以下である、請求項1、2または3のいずれかに記載の研磨
物品。
【請求項5】
前記研磨粒子および窒化物を含む前記充填剤が、立方晶系の窒化ホウ素から本質的にな
る、請求項1、2または3に記載の研磨物品。
【請求項6】
前記充填剤対研磨粒子径比(D50/D50AP)が、少なくとも0.02かつ0.
3未満の範囲内である、請求項1、2または3のいずれかに記載の研磨物品。
【請求項7】
窒化物を含む前記充填剤が、少なくとも1マイクロメートル~30マイクロメートル以
下の範囲内の平均粒子径(D50)を有する、請求項1、2または3のいずれかに記載
の研磨物品。
【請求項8】
窒化物を含む前記充填剤の量が、接着材料および充填剤の総体積に対して、少なくとも
5体積%かつ30体積%以下の範囲内である、請求項1、2または3のいずれか一項に記
載の研磨物品。
【請求項9】
前記接着材料が、金属、金属合金、セラミック、ガラス質材料、またはこれらの任意の
組み合わせから選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1、2または3のいずれ
か一項に記載の研磨物品。
【請求項10】
前記本体中の前記接着材料の含有率が、前記本体の総体積に対して、少なくとも5体積%
かつ20体積%以下である、請求項9に記載の研磨物品。
【請求項11】
前記本体中の前記研磨粒子の含有率が、前記本体の総体積に対して、少なくとも25体
積%かつ50体積%以下である、請求項1、2または3のいずれかに記載の研磨物品。
【請求項12】
前記研磨粒子が、少なくとも40マイクロメートル~1000マイクロメートル以下の
範囲内の平均粒子径(D50AP)を有する、請求項1、2または3のいずれか一項に記
載の研磨物品。
【請求項13】
前記本体が、少なくとも30体積%かつ50体積%以下の多孔率を有する、請求項1、
2または3のいずれかに記載の研磨物品。
【請求項14】
研磨物品の本体を形成する方法であって、
無機接着材料、研磨粒子、および充填剤を含む混合物を調製することであって、前記充
填剤が、窒化物を含む、調製することと、
前記混合物からグリーン体を形成することと、
前記グリーン体を、少なくとも600℃の温度で焼結することと、を含み、
焼結後の前記グリーン体の線収縮率が、3%以下である、方法。
【請求項15】
前記充填剤が、立方晶系の窒化ホウ素(cBN)を含み、前記研磨粒子が、立方晶系の
窒化ホウ素(cBN)を含み、充填剤対研磨粒子径比(D50/D50AP)が、少な
くとも0.01かつ0.3未満の範囲内である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、研磨物品に関し、特に、無機材料を含む接着材料、研磨粒子、および窒化物を
含む充填剤を含む接着研磨物品に関する。
【背景技術】
【0002】
接着研磨物品は、典型的には、接着材料によって共に保持された研磨粒子を含有する。
【0003】
業界では、所望の機械的安定性および強度を提供する接着化学作用を有する、改善され
た接着研磨物品が要求され続けている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
添付の図面を参照することにより、本開示は、よりよく理解されることができ、その多
くの特徴および利点は、当業者にとって明らかになるであろう。
図1】一実施形態による研磨物品を形成するプロセスを示すフローチャートである。
図2】一実施形態による研磨物品の断面の光学顕微鏡画像の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図面と組み合わせた以下の説明は、本明細書に提供される教示を理解するのを助けるた
めに提供される。以下の開示は、本教示の具体的な実装および実施形態に焦点を合わせる
であろう。この焦点は、本教示を説明するのを助けるために提供されており、本教示の範
囲または適用性に対する限定として解釈されるべきではない。しかしながら、確かに本出
願で他の教示を使用することができる。
【0006】
本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」、「備える(comp
rising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、
「有する(has)」、「有する(having)」という用語、またはその任意の他の
変形は、非排他的包含を含むことを意図している。例えば、特徴のリストを備える方法、
物品、または装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されず、そのような方法、物品、
または装置に明示的にリスト化されていないかまたは固有ではない他の特徴を含んでもよ
い。さらに、そうではないと明示的に述べられていない限り、「または(or)」は、包
含的な「または」を指し、排他的な「または」を指さない。例えば、条件AまたはBは、
以下のいずれかによって満たされる。Aは真(または存在する)かつBは偽(または存在
しない)、Aは偽(または存在しない)かつBは真(または存在する)、およびAとBの
両方が真(または存在する)である。
【0007】
また、「a(一つの)」または「an(一つの)」の使用は、本明細書に記載の要素お
よびコンポーネントを説明するために使用される。これは単に便宜上および本発明の範囲
の一般的な意味を与えるために行われている。この説明は、他を意味することが明確でな
い限り、1つまたは少なくとも1つおよび複数も含む単数形、またはその逆を含むように
読む必要がある。例えば、本明細書で単一の物品が説明される場合、単一の物品の代わり
に2つ以上の物品が使用され得る。同様に、本明細書で2つ以上の物品が説明される場合
、それら2つ以上の物品に代えて単一の物品が使用され得る。
【0008】
他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的および科学的用語は
、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。材料
、方法、および例は、例示的なものにすぎず、限定的であることを意図しない。特定の材
料および処理行為に関するある詳細事項が記載されていない限り、そのような詳細事項に
は、参考文献および製造技術内の他の情報源に見いだされる従来の手法が含まれることが
ある。
【0009】
本明細書に開示される実施形態は、無機材料を含む接着材料、研磨粒子、および窒化物
を含む充填剤を含む本体を有する研磨物品に関する。
【0010】
図1は、一実施形態による研磨物品を形成するプロセスのフローチャートを示す。工程
101では、無機接着材料、窒化物を含む充填剤、および研磨粒子を含む混合物が、形成
され得る。混合物内で成分の均質な分散を得るために、好適な混合操作が利用され得る。
【0011】
混合物を形成した(101)後、所望の形状を有するグリーン体が、混合物から形成さ
れ得る(102)。次の工程では、グリーン体は、焼結され得る(103)。好適な強度
および密度の研磨体を形成するために、焼結が少なくとも600℃の温度で実施され得る
。焼結温度の選択は、例えば、用いられる接着材料の種類、強度、硬度、および/または
所望の研削性能などの要因に依存する。一実施形態によれば、焼結温度は、少なくとも6
00℃~1300℃以下を含む範囲内であり得る。
【0012】
図2は、一実施形態による本開示の研磨物品の本体(200)の断面を示す。本体(2
00)は、研磨粒子(202)、接着材料(203)、および窒化物を含む充填剤(20
4)を含み得る。特定の態様では、本体は、孔(205)を含み得、別の特定の態様では
、本体は、孔を実質的に含み得ない。
【0013】
本体200は、研磨物品に組み込まれ得る。本体は、当分野で既知の任意の適切なサイ
ズおよび形状を有することができ、様々な種類の研磨物品に組み入れられて接着研磨物品
を形成できることが理解されよう。例えば、本体を、車のハブなどの基材に取り付け、接
着研磨砥石車の形成を容易にすることができる。
【0014】
本体200の接着材料203は、充填剤204と共に、本開示の研磨物品の改善された
製造および性能を促進し得る、特定の接着化学作用を有し得る。
【0015】
本開示の研磨物品は、本体が、本体の総体積に対して、50体積%未満の研磨粒子含有
率を含有する場合(しかし、それに限定されない)、特に重要であり得る。50体積%未
満の研磨粒子含有率を有し、例えば、カムおよびクランク研削に使用する研磨体は、焼結
後の収縮率および歪みに関する問題を有し得、それは、本体のクラックを生じさせ得、複
雑な形状を有する研磨体を作製するのに問題がある場合がある。以下にさらに記載される
ように、窒化物を含む充填剤を研磨体組成物に添加することによって、望ましくない収縮
率が低減され得、一方では、機械的特性、例えば、強度、摩耗、および硬度が実質的に維
持され得る。
【0016】
本体200に含有される窒化物204を含む充填剤は、研磨粒子202とは区別され得
る。一実施形態では、充填剤の平均粒子径(D50F)と、研磨粒子の平均粒子径(D5
0AP)との径比(D50F/D50AP)は、少なくとも0.01かつ1未満の範囲内
であり得る。特定の態様では、充填剤対研磨粒子比(D50F/D50AP)は、少なく
とも0.02、または少なくとも0.03、または少なくとも0.04、または少なくと
も0.05、または少なくとも0.06、または少なくとも0.07、または少なくとも
0.08、または少なくとも0.09、または少なくとも0.1、または少なくとも0.
11、または少なくとも0.12、または少なくとも0.13、または少なくとも0.1
5、または少なくとも0.18、または少なくとも0.2、または少なくとも0.23、
または少なくとも0.25、または少なくとも0.28、または少なくとも0.3、また
は少なくとも0.32、または少なくとも0.35、または少なくとも0.38、または
少なくとも0.4、または少なくとも0.5、または少なくとも0.6、または少なくと
も0.7、または少なくとも0.8、または少なくとも0.9であり得る。別の態様では
、充填剤対研磨粒子比(D50F/D50AP)は、0.99以下、または0.98以下
、または0.95以下、または0.93以下、または0.9以下、または0.88以下、
または0.85以下、または0.83以下、または0.8以下、または0.78以下、ま
たは0.75以下、または0.73以下、または0.7以下、または0.68以下、また
は0.65以下、または0.63以下、または0.6以下、または0.58以下、または
0.55以下、または0.53以下、または0.5以下、または0.48以下、または0
.45以下、または0.43以下、または0.4以下、または0.38以下、または0.
35以下、または0.33以下、または0.3以下、または0.28以下、または0.2
5以下、または0.23以下、または0.2以下、または0.18以下、または0.15
以下、または0.13以下、または0.1以下、または0.08以下、または0.05以
下、または0.03以下であり得る。充填剤対研磨粒子比(D50F/D50AP)は、
上記の最小値および最大値のうちのいずれかの間の値であり得る。一特定の態様では、充
填剤対研磨粒子比(D50F/D50AP)は、少なくとも0.01~0.25以下、ま
たは少なくとも0.01~0.15以下であり得る。
【0017】
別の実施形態では、窒化物を含む充填剤(204)の平均粒子径(D50F)は、少な
くとも1マイクロメートル、例えば、少なくとも2マイクロメートル、または少なくとも
3マイクロメートル、または少なくとも4マイクロメートル、または少なくとも5マイク
ロメートル、または少なくとも6マイクロメートル、または少なくとも7マイクロメート
ル、または少なくとも8マイクロメートル、または少なくとも9マイクロメートル、また
は少なくとも10マイクロメートル、または少なくとも12マイクロメートルであり得る
。別の態様では、平均粒子径(D50F)は、50マイクロメートル以下、例えば、45
マイクロメートル以下、40マイクロメートル以下、または35マイクロメートル以下、
または30マイクロメートル以下、または28マイクロメートル以下、または25マイク
ロメートル以下、または22マイクロメートル以下、または20マイクロメートル以下、
または18マイクロメートル以下、または15マイクロメートル以下、または12マイク
ロメートル以下、または10マイクロメートル以下であり得る。窒化物を含む充填剤の平
均粒子径(D50F)は、例えば、少なくとも2マイクロメートル~50マイクロメート
ル以下、少なくとも3マイクロメートル~30マイクロメートル以下、または少なくとも
5マイクロメートル~15マイクロメートル以下の、上記の最小値と最大値のいずれかの
間の値であり得る。
【0018】
さらなる別の実施形態では、窒化物を含む充填剤の粒子径分布は、D90~D10範囲
値によってさらに定義され得る。D90値は、分布中の粒子径の90%を含む粒子径値を
表し得、それによって、分布中の粒子の10%未満は、D90値よりも大きな径を有する
。D10値は、分布中の粒子の10%のみが、D10粒子径値よりも小さい、粒子径値を
表し得る。D90~D10範囲値は、D90値とD10値との間の粒子径分布の幅を説明
する。一実施形態によれば、D90~D10値の範囲は、少なくとも1マイクロメートル
、例えば少なくとも1.5マイクロメートル、または少なくとも2マイクロメートル、ま
たは少なくとも3マイクロメートル、または少なくとも5マイクロメートル、または少な
くとも7マイクロメートル、または少なくとも10マイクロメートル、または少なくとも
12マイクロメートル、または少なくとも15マイクロメートル、または少なくとも20
マイクロメートル、または少なくとも25マイクロメートル、または少なくとも30マイ
クロメートルであり得る。さらに別の実施形態では、D90~D10範囲値は、70マイ
クロメートル以下、例えば、60マイクロメートル以下、または50マイクロメートル以
下、または40マイクロメートル以下であり得る。D90~D10範囲値は、例えば、少
なくとも1マイクロメートル~70マイクロメートル以下、または少なくとも2マイクロ
メートル~30マイクロメートル以下の範囲内を含む、上記の最小値と最大値のいずれか
を含む範囲内であり得る。
【0019】
さらなる実施形態では、窒化物を含む充填剤の含有率は、接着材料および充填剤の総体
積に対して、少なくとも1体積%~35体積%以下の範囲内であり得る。一態様では、充
填剤の含有率は、接着材料および充填剤の総体積に対して、少なくとも2体積%、または
少なくとも3体積%、または少なくとも4体積%、または少なくとも5体積%、または少
なくとも6体積%、または少なくとも8体積%、または少なくとも10体積%、または少
なくとも12体積%、または少なくとも14体積%、または少なくとも16体積%、また
は少なくとも18体積%、または少なくとも20体積%、または少なくとも22体積%、
または少なくとも25体積%であり得る。別の態様では、充填剤の含有率は、30体積%
以下、または28体積%以下、または25体積%以下、または22体積%以下、または2
0体積%以下、または18体積%以下、または16体積%以下、または14体積%以下、
または12体積%以下、または10体積%以下であり得る。研磨体中の窒化物を含む充填
剤の含有率は、接着材料および充填剤の総体積に対して、例えば、少なくとも2体積%~
30体積%以下、少なくとも5体積%~25体積%以下、または少なくとも7体積%~2
0体積%以下の、上記の最小値と最大値のいずれかを含む範囲内であり得る。
【0020】
特定の実施形態では、本開示の研磨物品の本体に含有される充填剤は、窒化ホウ素を含
み得る。一態様では、充填剤の大部分は、窒化ホウ素、例えば、充填剤の総重量に対して
、少なくとも55体積%の窒化ホウ素、または60体積%の窒化ホウ素、または70体積
%の窒化ホウ素、または80体積%の窒化ホウ素、または90体積%の窒化ホウ素、また
は95体積%の窒化ホウ素、または99体積%の窒化ホウ素を含み得る。ある特定の態様
では、充填剤は、窒化ホウ素から本質的になり得る。さらに別の特定の態様では、全ての
充填剤は、窒化ホウ素からなり得、不可避の不純物のみを含有し得る。不可避の不純物の
量は、窒化ホウ素充填剤の総重量に対して、0.1体積%以下であり得る。
【0021】
特定の実施形態では、充填剤の窒化ホウ素材料は、立方晶系の窒化ホウ素であり得る。
一態様では、充填剤は、少なくとも50%の立方晶系の窒化ホウ素、または少なくとも6
0%の立方晶系の窒化ホウ素、または少なくとも70%の立方晶系の窒化ホウ素、または
少なくとも80%の立方晶系の窒化ホウ素、または少なくとも90%の立方晶系の窒化ホ
ウ素、または少なくとも95%の立方晶系の窒化ホウ素、または少なくとも99%の立方
晶系の窒化ホウ素を含み得る。特定の態様では、充填剤は、立方晶系の窒化ホウ素から本
質的になり得る。さらに別の特定の態様では、全ての充填剤は、立方晶系の窒化ホウ素か
らなり得、不可避の不純物のみを含有し得る。立方晶系の窒化ホウ素中の不可避の不純物
の量は、立方晶系の窒化ホウ素の総重量に対して、0.1体積%以下であり得る。
【0022】
本体の接着材料は、ガラス質材料、金属、金属合金、セラミック、またはこれらの任意
の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの無機材料を含み得る。特定の実
施形態では、接着材料は、ガラス質材料から本質的になる。ガラス質材料から本質的にな
る接着材料とは、本明細書では、接着材料の少なくとも99体積%がガラス質材料である
ことを意味する。
【0023】
接着材料は、無機材料に加えて、有機接着材料を含み得、以下では、有機結合剤とも称
される。有機接着材料は、押圧中に摩擦を低減することによって、かつ押圧後にグリーン
体に強度を提供することによって、グリーン体の形成を支援し得る。グリーン体の加熱処
理中、有機接着材料は、分解し得、焼結体中に所望の多孔率を作成し得る。有機接着材料
は、天然材料、合成材料、樹脂、エポキシ、熱硬化性物質、熱可塑性物質、エラストマー
、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。特定の実施形態では、有機結合剤として
は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、
ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、芳香族ポリアミド、変性フェノール樹脂(例えば
、エポキシ変性およびゴム変性樹脂、または可塑剤とブレンドされたフェノール樹脂)、
コーンスターチ、またはこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。特定の実施形
態では、接着材料に含有される有機材料は、フェノール樹脂を含むことができる。特定の
実施形態では、有機接着材料は、ZUSOPLASTまたはCARBOWAX 20Mか
ら選択されるワックスであり得る。
【0024】
一実施形態では、有機結合剤は、焼結(103)の前に、熱処理によって除去され得、
それによって、本体内に孔の形成を生じさせ得る。一態様では、脱結着剤は、空気下、結
合剤が分解する温度、例えば、650℃の温度で、単一の加熱処理として実施され得る。
脱結着剤後、試料は、非酸化環境、例えば、窒素下で再加熱され得、焼結され得る(10
3)。別の態様では、脱結着剤および焼結は、1つの加熱処理レジーム内で実施され得、
ここで、加熱処理は、脱結着剤後に、最大焼結温度までさらに温度を上げることによって
継続される。
【0025】
接着材料中の有機材料の量は、接着材料の総体積に対して、少なくとも1体積%、また
は少なくとも5体積%、または少なくとも15体積%であり得る。別の態様では、有機接
着材料の量は、接着材料の総体積に対して、50体積%以下、例えば、40体積%以下、
または30体積%以下、または25体積%以下、または20体積%以下であり得る。
【0026】
一実施形態では、本開示の研磨物品の本体は、本体の総体積に対して、少なくとも1体
積%、または少なくとも2体積%、または少なくとも5体積%、または少なくとも8体積
%、または少なくとも10体積%、または少なくとも15体積%、または少なくとも20
体積%、または少なくとも25体積%、または少なくとも30体積%、または少なくとも
35体積%、または少なくとも40体積%、または少なくとも45体積%、または少なく
とも50体積%、または少なくとも55体積%、または少なくとも60体積%、または少
なくとも65体積%、または少なくとも70体積%、または少なくとも75体積%の多孔
率を有し得る。さらなる実施形態では、本体の多孔率は、本体の総体積に対して、85体
積%以下、または80体積%以下、または75体積%以下、または70体積%以下、また
は65体積%以下、または60体積%以下、または55体積%以下、または50体積%以
下、または45体積%以下、または40体積%以下、または35体積%以下、または30
体積%以下、または25体積%以下、または20体積%以下、または15体積%以下、ま
たは10体積%以下、または5体積%以下、または3体積%以下であり得る。本体の多孔
率は、例えば、少なくとも1体積%~85体積%以下、または少なくとも5体積%~70
体積%以下、または少なくとも10体積%~55体積%以下を含む範囲内の、上記の最小
値と最大値のいずれかの間の値であり得る。特定の実施形態では、本体の多孔率は、少な
くとも30体積%~50体積%以下の範囲内であり得る。
【0027】
さらに別の実施形態では、本体は、少なくとも0.5マイクロメートル、または少なく
とも1マイクロメートル、または少なくとも5マイクロメートル、または少なくとも10
マイクロメートル、または少なくとも15マイクロメートル、または少なくとも20マイ
クロメートル、または少なくとも30マイクロメートル、または少なくとも40マイクロ
メートル、または少なくとも50マイクロメートル、または少なくとも60マイクロメー
トル、または少なくとも80マイクロメートル、または少なくとも90マイクロメートル
、または少なくとも100マイクロメートル、または少なくとも120マイクロメートル
、または少なくとも140マイクロメートル、または少なくとも160マイクロメートル
、または少なくとも180マイクロメートル、または少なくとも200マイクロメートル
、または少なくとも220マイクロメートル、または少なくとも240マイクロメートル
、または少なくとも260マイクロメートル、または少なくとも280マイクロメートル
の平均孔径(D50)を有し得る。さらなる実施形態では、本体の平均孔径(D50)は
、300マイクロメートル以下、または290マイクロメートル以下、または280マイ
クロメートル以下、または270マイクロメートル以下、または250マイクロメートル
以下、または230マイクロメートル以下、または210マイクロメートル以下、または
190マイクロメートル以下、または170マイクロメートル以下、または150マイク
ロメートル以下、または130マイクロメートル以下、または110マイクロメートル以
下、または90マイクロメートル以下、または70マイクロメートル以下、または50マ
イクロメートル以下、または30マイクロメートル以下、または20マイクロメートル以
下であり得る。平均孔径(D50)は、例えば少なくとも5マイクロメートルから300
マイクロメートル以下、少なくとも20マイクロメートルから200マイクロメートル以
下、または少なくとも30マイクロメートルから150マイクロメートル以下を含む範囲
内の、上記の最小値と最大値のいずれかの間の値であることができる。
【0028】
別の実施形態では、本体は、孔径分布を有し得、ここで、孔径の10パーセンタイル値
(D10)と平均孔径(D50)との間の距離は、少なくとも3マイクロメートル~50
マイクロメートル以下の範囲内であり得る。
【0029】
さらに別の実施形態では、本体は、孔径分布を有し得、ここで、孔径の90パーセンタ
イル値(D90)と平均孔径(D50)との間の距離は、少なくとも5マイクロメートル
~80マイクロメートル以下の範囲内であり得る。
【0030】
一実施形態では、研磨物品の本体の総体積に対する接着材料の含有率は、少なくとも5
体積%、例えば、少なくとも10体積%、または少なくとも15体積%、または少なくと
も20体積%、または少なくとも25体積%、または少なくとも30体積%、または少な
くとも32体積%、または少なくとも35体積%、または少なくとも38体積%、または
少なくとも40体積%、または少なくとも42体積%、または少なくとも45体積%、ま
たは少なくとも48体積%、または少なくとも50体積%であり得る。別の実施形態では
、接着材料の含有率は、本体の総体積に対して、60体積%以下、または55体積%以下
、または50体積%以下、または45体積%以下であり得る。接着材料の含有率は、本体
の総体積に対して、例えば、5体積%~60体積%、または20体積%~55体積%、3
5体積%~50体積%、または5体積%~20体積%の、上記の最小値と最大値のいずれ
かの間の値であり得る。特定の実施形態では、接着材料は、ガラス質材料から本質的にな
り得(不可避の不純物の除く)、ガラス質材料の量は、本体の総体積に対して、少なくと
も10体積%かつ19体積%以下であり得る。
【0031】
本体に含有される研磨粒子は、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、ダイヤモンド、ま
たはこれらの任意の組み合わせから選択される材料を含み得る。特定の実施形態では、研
磨粒子は、窒化ホウ素を含み得る。一態様では、研磨粒子は、窒化ホウ素から本質的にな
り得る。窒化ホウ素は、立方晶系の窒化ホウ素(c-BN)、六方晶系の窒化ホウ素(h
-BN)、または非晶質の窒化ホウ素(a-BN)、またはウルツ鉱の窒化ホウ素(w-
BN)であり得る。特定の態様では、研磨粒子は、立方晶系の窒化ホウ素から本質的にな
り得る。立方晶系の窒化ホウ素から本質的になるとは、本明細書では、研磨粒子が、異な
る種類の材料を0.5体積%を超えて含有し得ないことを意味する。
【0032】
本開示の本体中の研磨粒子の含有率は、本体の総体積に対して、少なくとも25%、例
えば、少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%、または少
なくとも45%、または少なくとも50%であり得る。別の実施形態では、研磨粒子の含
有率は、本体の総体積に対して、80体積%以下、例えば、75体積%以下、または70
体積%以下、または65体積%以下、または60体積%以下、または55体積%以下、ま
たは50体積%以下、または48体積%以下、または45体積%以下であり得る。本体中
の研磨粒子の含有率は、上記の最小値と最大値のいずれかの間の値であり得る。特定の実
施形態では、研磨粒子の含有率は、本体の総体積に対して、少なくとも35体積%かつ5
0体積%以下であり得る。
【0033】
一実施形態では、研磨粒子は、少なくとも40マイクロメートル、例えば、少なくとも
45マイクロメートル、少なくとも50マイクロメートル、少なくとも60マイクロメー
トル、少なくとも70マイクロメートル、少なくとも80マイクロメートル、少なくとも
90マイクロメートル、または少なくとも100マイクロメートル、または少なくとも1
30マイクロメートル、または少なくとも150マイクロメートル、または少なくとも2
00マイクロメートル、または少なくとも240マイクロメートルの平均粒子径(D50
AP)を有し得る。別の実施形態では、研磨粒子の平均粒子径(D50AP)は、100
0マイクロメートル以下、例えば、900マイクロメートル以下、800マイクロメート
ル以下、または600マイクロメートル以下、または500マイクロメートル以下、また
は400マイクロメートル以下、または300マイクロメートル以下であり得る。研磨粒
子の平均粒子径は、例えば、40マイクロメートル~500マイクロメートル、または8
0マイクロメートル~300マイクロメートルの、上記の最小値と最大値のいずれかの間
の値であり得る。
【0034】
特定の実施形態では、接着材料に含有される充填剤は、窒化物に加えて、少なくとも1
つの他の充填剤材料、例えば、金属もしくは金属合金(例えば、ニッケル、亜鉛、黄銅)
、または無機鉱物(例えば、炭化物、酸化物、ボレート)を含み得る。本明細書で使用さ
れる場合、充填剤は、焼結中、接着材料と共に溶融せずに、焼結後、独立した粒子を維持
する粒子材料であり、本体中で光学顕微鏡によって特定され得る。
【0035】
別の実施形態によれば、研磨粒子としては、非凝集研磨粒子、凝集研磨粒子、またはこ
れらの組み合わせを挙げることができる。特定の実施形態では、研磨粒子の大部分は、非
凝集研磨粒子であり得るか、またはより好ましくは、研磨粒子は、非凝集研磨粒子から本
質的になり得る。
【0036】
特定の実施形態では、本開示の接着材料によって共に保持される研磨粒子は、コーティ
ングを含み得る。研磨粒子のコーティングとしては、無機材料、例えば、金属または金属
合金、例えば、銅、ニッケル、亜鉛、黄銅を挙げることができる。
【0037】
さらなる実施形態では、1)窒化物を含む充填剤、2)研磨粒子、および3)接着材料
の間の熱膨張係数(CTE)の差異は、1ppm/℃を超えて異なることがない場合があ
る。さらに別の特定の実施形態では、窒化物を含む充填剤および研磨粒子は、同じCTE
を有し得る。
【0038】
一実施形態では、研磨粒子の材料および充填剤の材料は同じであり得る。特定の態様で
は、研磨粒子の材料は、立方晶系の窒化ホウ素であり得、充填剤の材料は、立方晶系の窒
化ホウ素であり得る。
【0039】
その上さらに特定の態様では、研磨粒子の材料は、立方晶系の窒化ホウ素であり得、充
填剤の材料は、立方晶系の窒化ホウ素であり得、充填剤の平均粒子径と、研磨粒子の平均
粒子径との比(D50F/D50AP)は、少なくとも0.01~0.3以下であり得る
【0040】
別の特定の態様では、研磨粒子および充填剤の材料は、両方とも立方晶系の窒化ホウ素
であり得、立方晶系の窒化ホウ素充填剤の平均粒子径は、少なくとも2マイクロメートル
かつ30マイクロメートル以下であり得る。
【0041】
さらなる特定の実施形態では、研磨粒子および充填剤の材料は、両方とも立方晶系の窒
化ホウ素であり得、本体中の充填剤の含有率は、本体中の接着材料および充填剤の総体積
に対して、少なくとも7体積%かつ30体積%以下であり得る。
【0042】
さらに別の特定の実施形態では、本体は、本体の総体積に対して、少なくとも30体積
%かつ50体積%以下の量の研磨粒子と、本体の総体積に対して、少なくとも15体積%
かつ30体積%以下の量のガラス質接着材料と、接着材料および充填剤の総体積に対して
、少なくとも5体積%かつ35体積%以下の量の窒化物を含む充填剤と、から本質的にな
り得、ここで、充填剤対研磨粒子径比(D50F/D50AP)は、少なくとも0.03
かつ0.5以下の範囲内であり、本体の多孔率は、本体の総体積に対して、少なくとも2
5体積%かつ45体積%以下である。この実施形態の一態様では、研磨粒子は、立方晶系
の窒化ホウ素(cBN)から本質的になり得、充填剤は、立方晶系の窒化ホウ素(cBN
)から本質的になり得る。
【0043】
実施例でさらに実証されるように、窒化物を含む充填剤は、焼結中の研磨体の望ましく
ない収縮率を補償し得、一方では、強度および摩耗特性を、大幅に維持し得る。理論に拘
束されることなく、窒化物を含む充填剤は、焼結中、研磨粒子間で強固な接着構造を形成
するのに寄与し得ると想定される。
【0044】
一態様では、本開示の窒化物を含む充填剤を含まない本体の収縮率と比較して、焼結後
の線収縮率の低減は、少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、少なくとも30%
、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または
少なくとも80%、少なくとも85%、または少なくとも90%であり得る。
【0045】
別の態様では、焼結後のグリーン体の線収縮率は、5%以下、例えば、3%以下、また
は2.5%以下、または2.3%以下、または2.0%以下、または1.8%以下、また
は1.5%以下、または1.3%以下、または1.0%以下であり得る。
【0046】
一態様では、本開示の本体のASTM E18によるロックウェル硬度は、少なくとも
50HRL、例えば、少なくとも60HRL、少なくとも70HRL、少なくとも80H
RL、少なくとも90HRL、少なくとも95HRL、少なくとも100HRL、または
少なくとも105HRLであり得る。別の態様では、ロックウェル硬度は、125HRL
以下、または120HRL以下、または110HRL以下であり得る。
【0047】
その上さらなる態様では、本体の曲げ強度は、少なくとも25MPa、例えば、少なく
とも30MPa、または少なくとも40MPaであり得る。別の態様では、強度は、10
0MPa以下、または90MPa以下、または80MPa以下であり得る。
【0048】
多くの異なる態様および実施形態が可能である。それらの態様および実施形態のいくつ
かが本明細書に記載されている。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様および実
施形態が例示にすぎず、本発明の範囲を限定しないことを理解するであろう。実施形態は
、以下にリスト化される実施形態のうちのいずれか1つ以上にしたがうことができる。
【0049】
[実施形態1]
無機材料を含む接着材料と、平均粒子径(D50AP)を有する研磨粒子と、窒化物を
含み、平均粒子径(D50F)を有する充填剤と、少なくとも0.01かつ0.5未満の
範囲内の充填剤対研磨粒子比(D50F/D50AP)と、を含む本体を含む、研磨物品
【0050】
[実施形態2]
無機材料を含む接着材料と、平均粒子径(D50AP)を有する研磨粒子と、窒化物を
含み、少なくとも1マイクロメートル~50マイクロメートル以下の範囲内の平均粒子径
(D50F)を有する充填剤と、を含む本体を含む、研磨物品。
【0051】
[実施形態3]
無機材料を含む接着材料と、平均粒子径(D50AP)を有する研磨粒子と、窒化物を
含む充填剤と、を含み、接着材料および充填剤の総体積に対して、少なくとも1体積%~
35体積%以下の範囲内の充填剤の含有率を含む、本体を含む、研磨物品。
【0052】
[実施形態4]
無機材料を含む接着材料と、平均粒子径(D50AP)を有する研磨粒子と、窒化物を
含む充填剤と、を含み、0.050cc以下の平均摩耗を含む、本体を含む、研磨物品。
【0053】
[実施形態5]
少なくとも0.01かつ1未満の範囲内の充填剤対研磨粒子比(D50F/D50AP
)をさらに含む、実施形態2、3および4のいずれか1つに記載の研磨物品。
【0054】
[実施形態6]
充填剤対研磨粒子比(D50F/D50AP)が、少なくとも0.02、または少なく
とも0.03、または少なくとも0.04、または少なくとも0.05、または少なくと
も0.06、または少なくとも0.07、または少なくとも0.08、または少なくとも
0.09、または少なくとも0.1、または少なくとも0.11、または少なくとも0.
12、または少なくとも0.13、または少なくとも0.15、または少なくとも0.1
8、または少なくとも0.2、または少なくとも0.23、または少なくとも0.25、
または少なくとも0.28、または少なくとも0.3、または少なくとも0.32、また
は少なくとも0.35、または少なくとも0.38、または少なくとも0.4、または少
なくとも0.45である、実施形態1および5のいずれか1つに記載の研磨物品。
【0055】
[実施形態7]
充填剤対研磨粒子比(D50F/D50AP)が、0.45以下、または0.40以下
、または0.35以下、または0.33以下、または0.3以下、または0.28以下、
または0.25以下、または0.23以下、または0.2以下、または0.18以下、ま
たは0.15以下、または0.13以下、または0.1以下、または0.08以下、また
は0.05以下、または0.03以下である、実施形態1および5のいずれか1つに記載
の研磨物品。
【0056】
[実施形態8]
充填剤対研磨粒子比(D50F/D50AP)が、少なくとも0.01~0.25以下
の範囲内、または少なくとも0.05~0.15以下の範囲内である、実施形態1および
5のいずれか1つに記載の研磨物品。
【0057】
[実施形態9]
充填剤が、窒化物を含み、少なくとも1マイクロメートル~50マイクロメートル以下
の範囲内の平均粒子径(D50F)を有する、請求項1、3および4のいずれか1つに記
載の研磨物品。
【0058】
[実施形態10]
充填剤が、45マイクロメートル以下、または40マイクロメートル以下、または35
マイクロメートル以下、または30マイクロメートル以下、または28マイクロメートル
以下、または25マイクロメートル以下、または22マイクロメートル以下、または20
マイクロメートル以下、または18マイクロメートル以下、または15マイクロメートル
以下、または12マイクロメートル以下、または10マイクロメートル以下の平均粒子径
(D50F)を含む、実施形態2および9のいずれか1つに記載の研磨物品。
【0059】
[実施形態11]
充填剤が、少なくとも2マイクロメートル、または少なくとも3マイクロメートル、ま
たは少なくとも4マイクロメートル、または少なくとも5マイクロメートル、または少な
くとも6マイクロメートル、または少なくとも7マイクロメートル、または少なくとも8
マイクロメートル、または少なくとも9マイクロメートル、または少なくとも10マイク
ロメートル、または少なくとも12マイクロメートルの平均粒子径(D50F)を含む、
実施形態2および9のいずれか1つに記載の研磨物品。
【0060】
[実施形態12]
本体が、接着材料および充填剤の総体積に対して、少なくとも1体積%~35体積%以
下の範囲内の充填剤の含有率を含む、実施形態1、2および4のいずれか1つに記載の研
磨物品。
【0061】
[実施形態13]
本体が、接着材料および充填剤の総体積に対して、30体積%以下、または28体積%
以下、または25体積%以下、または22体積%以下、または20体積%以下、または1
8体積%以下、または16体積%以下、または14体積%以下、または12体積%以下、
または10体積%以下の充填剤の含有率を含む、実施形態3および12のいずれか1つに
記載の研磨物品。
【0062】
[実施形態14]
本体が、接着材料および充填剤の総体積に対して、少なくとも2体積%、または少なく
とも3体積%、または少なくとも4体積%、または少なくとも5体積%、または少なくと
も6体積%、または少なくとも8体積%、または少なくとも10体積%、または少なくと
も12体積%、または少なくとも14体積%、または少なくとも16体積%、または少な
くとも18体積%、または少なくとも20体積%、または少なくとも22体積%、または
少なくとも25体積%の充填剤の含有率を含む、実施形態3および12のいずれか1つに
記載の研磨物品。
【0063】
[実施形態15]
充填剤が、窒化ホウ素を含む、実施形態1、2、3および4のいずれか1つに記載の研
磨物品。
【0064】
[実施形態16]
充填剤が、過半の含有率の窒化ホウ素を含む、実施形態1、2、3および4のいずれか
1つに記載の研磨物品。
【0065】
[実施形態17]
充填剤が、充填剤の総重量に対して、少なくとも55体積%の窒化ホウ素、または60
体積%の窒化ホウ素、または70体積%の窒化ホウ素、または80体積%の窒化ホウ素、
または90体積%の窒化ホウ素、または95体積%の窒化ホウ素、または99体積%の窒
化ホウ素を含む、実施形態1、2、3および4のいずれか1つに記載の研磨物品。
【0066】
[実施形態18]
充填剤が、窒化ホウ素から本質的になる、実施形態1、2、3および4のいずれか1つ
に記載の研磨物品。
【0067】
[実施形態19]
充填剤が、立方晶系の窒化ホウ素を含む、実施形態1、2、3および4のいずれか1つ
に記載の研磨物品。
【0068】
[実施形態20]
充填剤が、少なくとも50体積%の立方晶系の窒化ホウ素、または少なくとも60体積
%の立方晶系の窒化ホウ素、または少なくとも70体積%の立方晶系の窒化ホウ素、また
は少なくとも80体積%の立方晶系の窒化ホウ素、または少なくとも90体積%の立方晶
系の窒化ホウ素、または少なくとも95体積%の立方晶系の窒化ホウ素、または少なくと
も99体積%の立方晶系の窒化ホウ素を含む、実施形態1、2、3および4のいずれか1
つに記載の研磨物品。
【0069】
[実施形態21]
充填剤が、立方晶系の窒化ホウ素から本質的になる、実施形態1、2、3および4のい
ずれか1つに記載の研磨物品。
【0070】
[実施形態22]
接着材料が、金属、金属合金、セラミック、ガラス質材料、またはこれらの任意の組み
合わせから選択される少なくとも1つの材料を含む、実施形態1、2、3および4のいず
れか1つに記載の研磨物品。
【0071】
[実施形態23]
接着材料が、ガラス質材料から本質的になる、実施形態22に記載の研磨物品。
【0072】
[実施形態24]
本体が、本体の総体積に対して、少なくとも5体積%~60体積%以下の範囲内の接着
剤の含有率を含む、実施形態1、2、3および4のいずれか1つに記載の研磨物品。
【0073】
[実施形態25]
本体中の研磨粒子の含有率が、本体の総体積に対して、少なくとも25体積%、例えば
、少なくとも30体積%、または少なくとも35体積%、または少なくとも40体積%、
または少なくとも45体積%、または少なくとも50体積%である、実施形態1、2、3
および4のいずれかに記載の研磨物品。
【0074】
[実施形態26]
本体中の研磨粒子の含有率は、本体の総体積に対して、80体積%以下、例えば、本体
の総体積に対して、70体積%以下、または65体積%以下、または60体積%以下、ま
たは55体積%以下、または50体積%以下、または45体積%以下である。実施形態1
、2、3および4のいずれかに記載の研磨物品。
【0075】
[実施形態27]
研磨粒子が、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、ダイヤモンド、またはこれらの任意
の組み合わせからなる群から選択される材料を含む、実施形態1、2、3および4のいず
れか1つに記載の研磨物品。
【0076】
[実施形態28]
研磨粒子が、窒化ホウ素を含む、実施形態1、2、3および4のいずれか1つに記載の
研磨物品。
【0077】
[実施形態29]
研磨粒子が、窒化ホウ素から本質的になる、実施形態1、2、3および4のいずれか1
つに記載の研磨物品。
【0078】
[実施形態30]
研磨粒子が、立方晶系の窒化ホウ素から本質的になる、実施形態1、2、3および4の
いずれか1つに記載の研磨物品。
【0079】
[実施形態31]
研磨粒子が、無機材料を含むコーティングを含む、実施形態1、2、3および4のいず
れか1つに記載の研磨物品。
【0080】
[実施形態32]
研磨粒子が、少なくとも40マイクロメートル~1000マイクロメートル以下の範囲
内の平均粒子径(D50AP)を含む、実施形態1、2、3および4のいずれか1つに記
載の研磨物品。
【0081】
[実施形態33]
窒化物を含む充填剤、研磨粒子、および接着材料の間の熱膨張係数(CTE)の差異が
、1ppm/℃以下、例えば、0.5ppm/℃以下、または0.1ppm/℃以下であ
る、実施形態1、2、3および4のいずれか1つに記載の研磨物品。
【0082】
[実施形態34]
本体が、少なくとも50HRL、例えば、少なくとも60HRL、または少なくとも7
0HRL、または少なくとも80HRL、または少なくとも90HRL、または少なくと
も100HRL、または少なくとも105HRLのロックウェル硬度を有する、実施形態
1、2、3および4のいずれか1つに記載の研磨物品。
【0083】
[実施形態35]
本体が、125HRL以下、120HRL以下、または110HRL以下のロックウェ
ル硬度を有する、実施形態1、2、3および4のいずれかに記載の研磨物品。
【0084】
[実施形態36]
本体が、少なくとも25MPa、例えば、少なくとも30MPa、または少なくとも4
0MPaの曲げ強度を有する、実施形態1、2、3および4のいずれか1つに記載の研磨
物品。
【0085】
[実施形態37]
本体が、100MPa以下、または90MPa以下、または80MPa以下の曲げ強度
を有する、実施形態1、2、3および4のいずれか1つに記載の研磨物品。
【0086】
[実施形態38]
本体が、本体の総体積に対して、少なくとも1体積%、または少なくとも2体積%、ま
たは少なくとも5体積%、または少なくとも8体積%、または少なくとも10体積%、ま
たは少なくとも15体積%、または少なくとも20体積%、または少なくとも25体積%
、または少なくとも30体積%、または少なくとも35体積%、または少なくとも40体
積%、または少なくとも45体積%、または少なくとも50体積%、または少なくとも5
5体積%、または少なくとも60体積%、または少なくとも65体積%、または少なくと
も70体積%、または少なくとも75体積%の多孔率を有する、実施形態1、2、3およ
び4のいずれか1つに記載の研磨物品。
【0087】
[実施形態39]
本体が、本体の総体積に対して、85体積%以下、または80体積%以下、または75
体積%以下、または70体積%以下、または65体積%以下、または60体積%以下、ま
たは55体積%以下、または50体積%以下、または45体積%以下、または40体積%
以下、または35体積%以下、または30体積%以下、または25体積%以下、または2
0体積%以下、または15体積%以下、または10体積%以下、または5体積%以下、ま
たは3体積%以下の多孔率を有する、実施形態1、2、3および4のいずれか1つに記載
の研磨物品。
【0088】
[実施形態40]
本体が、少なくとも30体積%かつ50体積%以下の多孔率を有する、実施形態38ま
たは39に記載の研磨物品。
【0089】
[実施形態41]
充填剤が、立方晶系の窒化ホウ素を含み、研磨粒子が、立方晶系の窒化ホウ素を含む、
実施形態1、2、3および4のいずれか1つに記載の研磨物品。
【0090】
[実施形態42]
充填剤の量が、接着材料および充填剤の総体積に対して、少なくとも10体積%かつ3
0体積%以下である、実施形態41に記載の研磨物品。
【0091】
[実施形態43]
充填剤の平均粒子径が、少なくとも2マイクロメートルかつ30マイクロメートル以下
である、実施形態41に記載の研磨物品。
【0092】
[実施形態44]
充填剤対研磨粒子比(D50F/D50AP)が、少なくとも0.01~0.3以下の
範囲である、実施形態41に記載の研磨物品。
【0093】
[実施形態45]
本体が、本体の総体積に対して、少なくとも30体積%かつ50体積%以下の量の研磨
粒子と、本体の総体積に対して、少なくとも15体積%かつ30体積%以下の量の接着材
料と、接着材料および充填剤の総体積に対して、少なくとも5体積%かつ35体積%以下
の量の窒化物を含む充填剤と、から本質的になり、ここで、充填剤対研磨粒子径比(D5
0F/D50AP)が、少なくとも0.03かつ0.5以下の範囲内であり、接着材料が
、ガラス質接着材料であり、本体の多孔率が、本体の総体積に対して、少なくとも25体
積%かつ45体積%以下である、実施形態1、2、3および4のいずれかに記載の研磨物
品。
【0094】
[実施形態46]
研磨粒子が、立方晶系の窒化ホウ素(cBN)から本質的になり、充填剤が、立方晶系
の窒化ホウ素(cBN)から本質的になる、実施形態45に記載の研磨物品。
【0095】
[実施形態47]
本体中の接着材料の含有率が、本体の総体積に対して、少なくとも5体積%かつ20体
積%以下である、実施形態1、2、3および4のいずれかに記載の研磨物品。
【0096】
[実施形態48]
研磨物品の本体を形成する方法であって、無機接着材料、研磨粒子、および充填剤を含
む混合物を調製することであって、充填剤が窒化物を含む、調製することと、混合物から
グリーン体を形成することと、グリーン体を少なくとも600℃の温度で焼結することで
あって、焼結後のグリーン体の線収縮率が5%以下である、焼結することと、を含む、方
法。
【0097】
[実施形態49]
加熱処理による、焼結前の、グリーン体からの有機接着材料の脱結着剤をさらに含む、
実施形態48に記載の方法。
【0098】
[実施形態50]
線収縮率が、4%以下、または3.0%以下、または2.5%以下、または2.3%以
下、または2.0%以下、または1.8%以下、または1.5%以下、または1.3%以
下、または1%以下である、実施形態48に記載の方法。
【0099】
[実施形態51]
充填剤が、立方晶系の窒化ホウ素(cBN)を含む、実施形態48に記載の方法。
【0100】
[実施形態52]
研磨粒子が、立方晶系の窒化ホウ素(cBN)を含む、実施形態48に記載の方法。
【0101】
[実施形態53]
充填剤対研磨粒子比(D50F/D50AP)が、少なくとも0.01かつ0.5未満
の範囲内である、実施形態48に記載の方法。
【0102】
[実施形態54]
充填剤の平均粒子径が、少なくとも2マイクロメートルかつ30マイクロメートル以下
である、実施形態48に記載の方法。
【0103】
[実施形態55]
充填剤の量が、接着材料および充填剤の総体積に対して、少なくとも5体積%かつ30
体積%以下である、実施形態48に記載の方法。
【0104】
[実施形態56]
充填剤を含まない本体と比較した本体の線収縮率の低減が、少なくとも10%、例えば
、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なく
とも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%、少なくとも85%、または少
なくとも90%である、実施形態48に記載の方法。
【実施例0105】
実施例1
研磨体の調製
アコースティックミキサー内で、研磨cBN粒子、cBN充填剤、ガラスセラミックガ
ラス質接着材料(Saint-GobainのN7)、有機結合剤(Zschimmer
&SchwarzのZUSOPLAST WE8)、および水を組み合わせて、混合物を
調製した。混合物を、表1にも要約されるように、cBN研磨粒子の平均粒子径、すなわ
ち、53~63μm(B64)、106~125μm(B126)、および150~18
0μm(B181)、cBN充填剤の含有率(接着材料および充填剤の総体積に対して、
9体積%、19体積%、および50体積%)、ガラス質接着材料の量(混合物の総体積に
対して、14.6体積%、13体積%、および8体積%)において変化させて、様々な量
のcBN充填剤、水の量(16~24体積%)、およびcBN充填剤の粒子径(3~5μ
m、6~12μm、および12~22μm)を調整した。全ての混合物は、混合物の総体
積に対して、同じ41体積%の含有率の立方晶系の窒化ホウ素の研磨粒子(グリット濃度
164)、および同じ15.7体積%の含有率の有機結合剤を有していた。
【0106】
各調製された混合物から、グリーン体を形成し、不活性窒素雰囲気中で加熱処理レジー
ムに供した。以下の加熱処理レジーム:25℃から550℃まで空気下1時間加熱するこ
と、550℃で温度を75分間維持すること、550℃から995℃まで3時間加熱する
こと、995℃で温度を4時間維持すること、995℃から550℃まで2時間冷却する
こと、を適用した。加熱処理中、有機結合剤は、約650℃の温度までに分解し、本体は
、995℃の最高温度で焼結された。結合剤の焼損の完了後、環境を空気から窒素に変更
した。
cBN研磨粒子の径およびcBN充填剤の径を変化させることによって生成された焼結体
の概要を表1に示す。
【表1】
【0107】
実施例2
cBN充填剤の強度、硬度、摩耗、および収縮率への影響を評価するために、cBN充
填剤の含有率を変化させ、cBN充填剤の粒子径を変化させて、実施例1の方法に従って
調製された本体試料を試験する実験を実施した。
【0108】
表2は、実施例1で記載された方法によって形成された焼結体の比較を、グリット径B
126の研磨cBN粒子を、本体の総体積に対して、41体積%の量で、cBN充填剤の
量を、接着材料および充填剤の総体積に対して、0~50体積%に変化させて示す。cB
N充填剤の粒子径範囲は、6~12マイクロメートルであった。cBN充填剤の最大19
体積%への増加によって、強度および硬度のわずかな減少、ならびに摩耗のわずかな増加
のみと組み合わされて、収縮率の低減が生じたことがわかる。しかしながら、cBN充填
剤の、接着材料および充填剤の総体積に対しての、50体積%への増加によって、収縮率
はさらに減少したが、実施された摩耗試験(以下の摩耗試験の記載を参照されたい)では
測定できなかった摩耗の大きな増加が生じ、硬度も大きく減少した。
【表2】
【0109】
表3は、cBN充填剤の含有率の増加に応じて、3つの異なる径のcBN研磨粒子を使
用して形成された本体の収縮値を比較する。cBN充填剤粒子径は、全ての実験において
6~12μmであった。本体中のcBN充填剤の存在によって、cBN充填剤を含まない
本体と比較すると、線収縮率が減少したことがわかる。cBN充填剤を用いずに作製され
た研磨体の収縮率に比較して、本体中にcBN充填剤を含めることによる焼結後の収縮率
低減は、21%~41%であり、最も小さい研磨平均粒子径(53~63μm)を有する
本体は、収縮率の最大の低減パーセントを有していた。
【表3】
【0110】
より小さい径の3~5μmのcBN充填剤を用いて形成された本体の場合、6~12μ
mのcBN充填剤と比較して、収縮率の差異はごくわずかであった(収縮率低減パーセン
トにおいて、2%以下の差異)。本体の摩耗もまた、3~5μmのcBN充填剤および6
~12μmのcBN充填剤を用いて作製された本体を比較すると、非常に類似していた。
【0111】
線収縮率(SL)を、グリーン体の長さ(Lgb)および焼結体の長さ(Lsb)を測
定し、以下の式に従って計算することによって決定した。SL=(Lgb-Lsb/Lg
b)x100%。
【0112】
線収縮率の試験について、グリーン体混合物を6トンの圧力下で、10秒の滞留時間で
円筒形状を有する型に押圧して、グリーン体を調製した。型は、最長の直径として1.2
5インチの長さ、0.46インチの高さを有していた。型から取り出されたグリーン体を
、実施例1に記載されているように、脱結着剤および焼結のためにセラミックセッタープ
レート上に配置した。
【0113】
曲げ強度、硬度、および摩耗の試験について、2.64インチの長さ、0.257イン
チの幅、および0.25インチの高さを有する長方形の型を使用して、試験バーを調製し
た。型を充填するための印加圧力は、6トンであった。型からグリーン体バーを取り出し
た後、バーを、脱結着剤および焼結のために、実施例1に記載された加熱処理レジームに
供した。
【0114】
曲げ強度の測定を、修正ASTM C1161に従って実施した。ASTM C116
1は、固定具スパン、ベアリング直径、および試料サイズに関連して修正された。試験設
定:曲げ強度を、2インチの支持スパン(2:1の支持スパンと荷重スパンとの比)、5
mmのベアリング直径、および0.05インチ/分のクロスヘッド速度で、半連結固定具
を使用して、4点曲げによって試験した。試験バーは、長さが、部分の厚さの10倍以上
であるという要件に適合して、ASTM C1161による曲げ応力を計算するための等
式の精度を確保した。
【0115】
ロックウェル硬度を、ASTM E18に従って決定した。
【0116】
摩耗の試験について、試験バーを支持体に搭載し、Struers Tegramin
-25研削およびポリッシング機の試験片ホルダーに取り付けた。試験片ホルダーを15
0rpmで回転させ、試料を120グリットのSiC紙に向かって30Nの一定の力で押
し、SiC紙を150rpmで逆回転させた。各試験を、潤滑流体を使用することなく、
10秒の間実施した。
【0117】
摩耗を、試験の前後で、試験バーの長さを測定することと、バーの断面を測定すること
と、1回の操作での材料の消費体積を計算することと、によって決定した。摩耗試験を、
各本体の種類に対して3~5回繰り返し、平均値を計算した。
【0118】
実施例3
立方晶系の窒化ホウ素充填剤と比較して、4つの他の充填剤種類、ムライト、炭化ケイ
素(SiC)、およびジルコニア(ZrO2)を評価するために、比較実験を実施した。
【0119】
比較の研磨体を、実施例1に記載された方法に従って作製したが、cBN充填剤をナイ
トレートを含まない異なる充填剤材料で置き換えた。
【0120】
全ての比較実験では、接着材料および充填剤の総体積に対して、同じ19体積%の充填
剤の量を使用した。研磨粒子として、106~125μm(グリット径B126)の粒子
径範囲を有するcBNを、本体の総体積に対して、41体積%の量で使用した。
【0121】
研磨体を、焼結後の線収縮率、摩耗、強度、および硬度について試験した。
【0122】
測定データを、表4に要約した。他の充填剤材料も、焼結後の本体の収縮率を低減し得
るが、他の試験された充填剤材料は、cBN充填剤を含有する本体と比較して、摩耗がは
るかに大きく増加し、強度および/または硬度の損失がはるかに大きかった。
【表4】
【0123】
利益、他の利点、および問題に対する解決策は、特定の実施形態に関して上記で説明さ
れている。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、および任意の利益、利点、解決策
が発生またはより顕著になる可能性のある任意の特徴は、いずれかまたは全ての特許請求
の重要な、必須の、または本質的な特徴として解釈されるべきではない。本明細書で1種
以上の成分を含む材料とは、材料が識別された1種以上の成分から本質的になる少なくと
も1つの実施形態を含むと解釈され得る。「本質的になる」という用語は、識別された材
料を含み、材料の特性を著しく変化させない少数の含有量(例えば不純物含有量)を別と
して他のすべての材料を除外する、組成物を含むと解釈される。さらにまたは代替として
、ある非限定的な実施形態では、本明細書で識別される組成物のいずれも、明示的に開示
されていない材料を本質的に含まなくてよい。本明細書の実施形態は、材料内のある成分
について含有量の範囲を含み、所与の材料内の成分の含有量が合計100%であることが
理解されるであろう。
【0124】
本明細書に記載された実施形態の明細書および図面は、様々な実施形態の構造の一般的
な理解を提供することを意図している。明細書および例示は、本明細書に記載の構造また
は方法を使用する装置およびシステムの全ての要素および特徴の網羅的かつ包括的な説明
として役立つことを意図するものではない。別個の実施形態はまた、単一の実施形態にお
いて組み合わせて提供されてもよく、逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で
説明されている様々な特徴もまた、別個にまたは任意の副組み合わせで提供されてもよい
。さらに、範囲で述べられた値への言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。本明
細書を読んだだけで、他の多くの実施形態が当業者には明らかであろう。本開示の範囲か
ら逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、または他の変更を行うことができるよう
に、本開示から他の実施形態を使用して導き出すことができる。したがって、本開示は限
定的ではなく例示的とみなされるべきである。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨物品であって、
ガラス質材料を含む接着材料と、
平均粒子径(D50AP)を有する研磨粒子と、
窒化物を含み、平均粒子径(D50)を有する充填剤と、
少なくとも0.01かつ0.5未満の範囲内の充填剤対研磨粒子径比(D50/D50AP)と、を含む本体を含む、研磨物品。
【請求項2】
研磨粒子の総体積に対して、前記研磨粒子の少なくとも90体積%が、窒化ホウ素を含む、請求項1に記載の研磨物品。
【請求項3】
前記充填剤の総体積に対して、前記充填剤の少なくとも90体積%が、窒化ホウ素を含む、請求項1または2に記載の研磨物品。
【請求項4】
窒化物を含む前記充填剤、前記研磨粒子、および前記接着材料の間の熱膨張係数(CTE)の差異が、1ppm/℃以下である、請求項1、2または3のいずれかに記載の研磨物品。
【請求項5】
前記研磨粒子および窒化物を含む前記充填剤が、立方晶系の窒化ホウ素から本質的になる、請求項1、2または3に記載の研磨物品。
【請求項6】
前記充填剤対研磨粒子径比(D50/D50AP)が、少なくとも0.02かつ0.3未満の範囲内である、請求項1、2または3のいずれかに記載の研磨物品。
【請求項7】
窒化物を含む前記充填剤が、少なくとも1マイクロメートル~30マイクロメートル以下の範囲内の平均粒子径(D50)を有する、請求項1、2または3のいずれかに記載の研磨物品。
【請求項8】
窒化物を含む前記充填剤の量が、接着材料および充填剤の総体積に対して、少なくとも5体積%かつ30体積%以下の範囲内である、請求項1、2または3のいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項9】
前記接着材料が、金属、金属合金、セラミック、ガラス質材料、またはこれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1、2または3のいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項10】
前記本体中の前記接着材料の含有率が、前記本体の総体積に対して、少なくとも5体積%かつ20体積%以下である、請求項9に記載の研磨物品。
【請求項11】
前記本体中の前記研磨粒子の含有率が、前記本体の総体積に対して、少なくとも25体積%かつ50体積%以下である、請求項1、2または3のいずれかに記載の研磨物品。
【請求項12】
前記研磨粒子が、少なくとも40マイクロメートル~1000マイクロメートル以下の範囲内の平均粒子径(D50AP)を有する、請求項1、2または3のいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項13】
前記本体が、少なくとも30体積%かつ50体積%以下の多孔率を有する、請求項1、2または3のいずれかに記載の研磨物品。
【請求項14】
研磨物品の本体を形成する方法であって、
ガラス質接着材料、研磨粒子、および充填剤を含む混合物を調製することであって、前記充填剤が、窒化物を含む、調製することと、
前記混合物からグリーン体を形成することと、
前記グリーン体を、少なくとも600℃の温度で焼結することと、を含み、
焼結後の前記グリーン体の線収縮率が、3%以下である、方法。
【請求項15】
前記充填剤が、立方晶系の窒化ホウ素(cBN)を含み、前記研磨粒子が、立方晶系の窒化ホウ素(cBN)を含み、充填剤対研磨粒子径比(D50/D50AP)が、少なくとも0.01かつ0.3未満の範囲内である、請求項14に記載の方法。
【外国語明細書】