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特開2023-171857情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171857
(43)【公開日】2023-12-05
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/62 20170101AFI20231128BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
G06T7/62
G01B11/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023165903
(22)【出願日】2023-09-27
(62)【分割の表示】P 2023528343の分割
【原出願日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2022065946
(32)【優先日】2022-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】515253083
【氏名又は名称】株式会社CLUE
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】榊原 知也
(57)【要約】
【課題】正確に対象物のサイズを計算することができるようにする。
【解決手段】情報処理システムであって、対象物を撮影した画像上において対象物を区画する複数の線分を取得する線分取得部と、線分の部位の種類を取得する部位種類取得部と、対象物の勾配を取得する勾配取得部と、種類及び勾配に応じた係数を画像上で表示される線分の第1の長さに乗じて、3次元空間における線分の第2の長さを計算する長さ計算部と、第2の長さ表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を撮影した画像上において前記対象物を区画する複数の線分を取得する線分取得部と、
前記線分の部位の種類を取得する部位種類取得部と、
前記対象物の勾配を取得する勾配取得部と、
前記種類及び前記勾配に応じた係数を前記画像上で表示される前記線分の第1の長さに乗じて、3次元空間における前記線分の第2の長さを計算する長さ計算部と、
前記第2の長さ表示する表示部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記線分のうちの1つである第1の線分の前記第2の長さの入力を受け付ける長さ入力部を備え、
前記長さ計算部は、入力された前記第2の長さを、前記第1の線分の前記種類及び前記勾配に応じた前記係数で割って、前記第1の線分に係る第1の水平長さを計算し、前記第1の線分についての前記第1及び前記第2の長さの比率と、前記第1の線分以外の第2の前記線分について前記第1の長さとに応じて、前記第2の線分に係る第2の水平長さを計算し、前記第2の水平長さに、前記第2の線分の種類及び前記勾配に応じた前記係数を乗じて前記第2の長さを計算すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理システムであって、
前記種類及び前記勾配に対応付けて前記係数を記憶する係数記憶部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の情報処理システムであって、
前記長さ計算部は、前記複数の線分のそれぞれについて、前記線分の両端の前記画像の中心からの距離に応じて前記第1の長さを補正すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の情報処理システムであって、
前記線分の両端の点の位置に基づいて第1の面積を計算し、前記第1の面積に前記勾配に応じた係数を乗じて第2の面積を算出する面積算出部をさらに備え、
前記表示部は、前記第2の長さと前記第2の面積とを表示すること、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
対象物を撮影した画像上において前記対象物を区画する複数の線分を取得するステップと、
前記線分の部位の種類を取得するステップと、
前記対象物の勾配を取得するステップと、
前記種類及び前記勾配に応じた係数を前記画像上で表示される前記線分の第1の長さに乗じて、3次元空間における前記線分の第2の長さを計算するステップと、
前記第2の長さ表示するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
対象物を撮影した画像上において前記対象物を区画する複数の線分を取得するステップと、
前記線分の部位の種類を取得するステップと、
前記対象物の勾配を取得するステップと、
前記種類及び前記勾配に応じた係数を前記画像上で表示される前記線分の第1の長さに乗じて、3次元空間における前記線分の第2の長さを計算するステップと、
前記第2の長さ表示するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、飛行体に搭載したカメラで対象物を撮像した画像から対象物である屋根の形状寸法を測定し、かかる形状寸法から屋根の面積を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-162552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には具体的にどのようにして面積を計算するかが開示されていない。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、正確に対象物のサイズを計算することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、情報処理システムであって、対象物を撮影した画像上において前記対象物を区画する複数の線分を取得する線分取得部と、前記線分の部位の種類を取得する部位種類取得部と、前記対象物の勾配を取得する勾配取得部と、前記種類及び前記勾配に応じた係数を前記画像上で表示される前記線分の第1の長さに乗じて、3次元空間における前記線分の第2の長さを計算する長さ計算部と、前記第2の長さ表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、正確に対象物のサイズを計算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の概要を説明する図である。
図2】本実施形態に係る情報処理システム1の概略を示す図である。
図3】情報処理端末10のハードウェア構成例を示す図である。
図4】情報処理端末10のソフトウェア構成例を示す図である。
図5】画像上で入力を受け付ける様子を説明する図である。
図6】情報処理システム1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】他の実施形態に係る情報処理システム1’の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
<概要>
【0012】
図1は、本実施形態の概要を説明する図である。本実施形態に係る情報処理システム1は、対象物である建造物100の屋根101を撮像した画像から、屋根101の構造を解析しようとするものであり、例えば、平面部の面積や部位(軒や棟など)の長さを求める。
【0013】
本実施形態の情報処理システム1では、屋根101の上空に飛行する飛行体30に付随するカメラ31が、屋根101を対象物として撮像する。
【0014】
屋根101に角度θの勾配がある場合、カメラ31が撮影した画像に含まれるケラバKの画像上での長さは、水平長さHLを表したものになる。この水平長さHLをケラバKの長さに勾配伸び率を乗じて流れ長さLを求める。
【0015】
<システム構成>
図2は、本実施形態に係る情報処理システム1の概略を示す図である。図示のように、情報処理システム1は、情報処理端末10を備える。
【0016】
本実施形態に係る情報処理端末10は、いわゆるタブレット状の小型のコンピュータによって実装される。他の実施形態においては、情報処理端末10は、スマートフォンまたはゲーム機等の携帯型の情報処理端末により実現されてもよいし、パーソナルコンピュータ等の据え置き型の情報処理端末により実現されてもよい。また、情報処理端末10は、複数のハードウェアにより実現され、それらに機能が分散された構成を有してもよい。
【0017】
図3は、情報処理端末10のハードウェア構成例を示す図である。図示のように、情報処理端末10は、制御部11及び表示部であるタッチパネル部12を備える。
【0018】
制御部11は、プロセッサ11a、メモリ11b、ストレージ11c、送受信部11d、及び入出力部11eを主要構成として備え、これらが互いにバス11fを介して電気的に接続される。
【0019】
プロセッサ11aは、制御部11の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御や、プログラムの実行に必要な処理等を行う演算装置である。
【0020】
このプロセッサ11aは、本実施の形態では例えばCPU(Central Processing Unit)であり、後述するストレージ11cに格納されてメモリ11bに展開されたプログラムを実行して各処理を行う。
【0021】
メモリ11bは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶装置、及びフラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶装置を備える。
【0022】
このメモリ11bは、プロセッサ11aの作業領域として使用される一方、制御部11の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、及び各種の設定情報等が格納される。
【0023】
ストレージ11cは、プログラムや各種の処理に用いられる情報等が格納されている。例えば、屋根101の画像情報を撮像するための飛行体を、情報処理端末10を介してユーザが操作する場合、ストレージ11cには、かかる飛行体の飛行を制御するプログラムが格納されていてもよい。
【0024】
送受信部11dは、制御部11をインターネット網等のネットワークに接続するものであって、Bluetooth(登録商標)やBLE(Bluetooth Low Energy)といった近距離通信インターフェースを具備するものであってもよい。
【0025】
本実施形態では、例えば、飛行体10の飛行を制御する制御信号が、この送受信部11dを介して飛行体10に送信されてもよい。
【0026】
入出力部11eは、入出力機器が接続されるインターフェースであって、本実施形態では、タッチパネル部12が接続される。
【0027】
バス11fは、接続したプロセッサ11a、メモリ11b、ストレージ11c、送受信部11d及び入出力部11eの間において、例えばアドレス信号、データ信号及び各種の制御信号を伝達する。
【0028】
タッチパネル部12は、表示部の一例であり、取得した映像や画像が表示される表示面12aを備える。この表示面12aは、本実施形態では、表示面12aへの接触によって情報の入力を受け付けるものであって、抵抗膜方式や静電容量方式といった各種の技術によって実装される。
【0029】
例えば、ユーザは、表示面12aに表示された画像に対して、タッチパネル部12を介して、線分情報やノード情報を入力し得る。また、表示面12aには、制御部11により出力される表示情報が表示される。
【0030】
図4は、情報処理端末10のソフトウェア構成例を示す図である。プロセッサ11aは、画像取得部111と、線分取得部112と、部位種類取得部113と、勾配取得部114と、長さ計算部115と、表示部116と、長さ入力部117と、面積算出部118と、を備える。また、ストレージ11cは、画像記憶部131と、係数記憶部132と、線分情報記憶部133と、面情報記憶部134と、を備える。
【0031】
画像記憶部131は、飛行体30のカメラ31が撮影した画像を記憶する。画像記憶部131は、画像をファイルとして格納するファイルシステムの一部であってもよいし、画像をデータとして記憶するデータベースであってもよい。
【0032】
係数記憶部132は、水平方向の長さに対して勾配長さを求めるための係数を記憶する。係数記憶部132は、部位の種類に対応付けて、勾配ごとの係数を記憶することができる。係数には、例えば、水平長さに対する勾配伸び率と、水平長さに対する隅棟伸び率とがある。勾配は、角度表現(度)であってもよいし、尺貫法による表現(寸、分)であってもよいし、分数であってもよい。勾配伸び率や隅棟伸び率は公知の係数であり、例えば、1寸の勾配に対する勾配伸び率が1.005、1寸の勾配に対応する隅棟伸び率が1.411などが知られている。係数記憶部133は、例えば、軒、棟など水平に配置される部位に対応付けて、勾配を省略して(又は全ての勾配に対応付けて)、1の係数を記憶することができる。係数記憶部133は、例えば、ケラバなどの部位に対応付けて、勾配ごとの勾配伸び率を記憶し、隅棟などの部位に対応付けて、隅棟伸び率を記憶することができる。
【0033】
線分情報記憶部133は、対象物(本実施形態では屋根101の面部分)を区画する多角形の辺となる線分に関する情報(以下、線分情報という。)を記憶する。線分情報には、線分を特定する情報(線分ID)に対応付けて、画像上における開始位置及び終了位置、部位種類、実寸長、入力フラグなどを含めることができる。開始位置及び終了位置は、画像上の座標値とすることができる。部位種類は、当該線分に対応する部位の種類である。実寸長は、実空間における当該部位の実寸での長さである。入力フラグは、当該実寸長が、ユーザから入力された値であるか否かを示すフラグ値である。例えば、入力フラグが真である場合には、当該実寸長は、後述する長さ入力部117がユーザから受け付けた値であることを示し、入力フラグが偽である場合には、当該実寸長は後述する長さ計算部115が計算した値であることを示す。線分情報には、画像を特定する情報を含めるようにしてもよい。この場合、同一の線分IDについて複数の線分情報が登録されうる。
【0034】
面情報記憶部134は、対象物の面部分(屋根101の面部分)に関する情報(以下、面情報という。)を記憶する。面情報には、面部分を特定する情報(面ID)に対応付けて、当該面部分を区画する多角形の辺(線分IDリスト)、面部分の勾配及び面積などが含まれ得る。線分IDリストは、多角形の辺に対応する線分を特定する線分IDのリストとすることができる。面積は、後述する面積算出部118により計算された値である。
【0035】
画像取得部111は、飛行体30のカメラ31が撮影した画像を取得する。画像取得部111は、飛行体30と通信を行い、カメラ31が撮影した画像を取得するようにしてもよいし、予め画像記憶部131に登録されている画像を読み出すようにしてもよい。
【0036】
線分取得部112は、対象物(本実施形態では屋根101)を撮影した画像上において対象物を区画する複数の線分を取得する。線分取得部112は、ユーザから画像上の線分の指定を受け付けることができる。
【0037】
図5は、画像上で入力を受け付ける様子を説明する図である。線分取得部112は、例えば、タッチパネル部12の表示面12aに建造物100を撮影した画像を表示し、対象物(屋根101又は屋根101の面部分)を区画する多角形の頂点102の入力を受け付けて、頂点102間の線分103を取得することができる。また、線分取得部112は、画像解析により画像から対象物を認識し、認識した対象物を多角形に近似し、近似した多角形の辺を線分103として取得するようにしてもよい。線分取得部112は、取得した線分103の画像上の両端位置(頂点102)を開始位置及び終了位置として設定した線分情報を作成して線分情報記憶部133に登録することができる。
【0038】
部位種類取得部113は、線分に対応する対象物の部位の種類を取得する。対象物の部位の種類は、例えば、軒、棟、隅棟、谷、ケラバなどがある。部位種類取得部113は、ユーザから部位の種類の入力を受け付けることができる。部位種類取得部113は、例えば、タッチパネル部12から線分の指定及び当該線分に対応する部位の種類の入力を受け付けることができる。部位種類取得部113は、例えば、表示面12aに表示した画像上において、線分取得部112が取得した線分及び線分の種類の選択肢を表示し、表示した線分及び選択肢の指定を受け付けることにより、指定された線分に対応する部位の種類を取得することができる。部位種類取得部113は、指定された線分に対応する線分情報の部位種類に、受け付けた種類を設定することにより線分情報を更新することができる。
【0039】
勾配取得部114は、対象物(屋根101)の勾配を取得する。勾配取得部114は、例えば、ユーザから勾配の入力を受け付けることができる。勾配取得部114は、例えば、タッチパネル部12の表示面12aに画像及び線分取得部112が取得した線分103を表示し、線分103により囲まれた領域(多角形)を面部分104として、面部分104の選択を受け付け、選択された面部分104についての勾配の入力を受け付けることができる。勾配取得部114は、選択された面部分104に対応する面情報の勾配に、受け付けた勾配を設定することにより面情報を更新することができる。
【0040】
長さ計算部115は、画像上における線分の長さ(以下、ピクセル水平長という。)を、勾配に応じた3次元での長さ(以下、ピクセル3次元長という。)に変換する。長さ計算部115は、線分に対応する部位の種類及び勾配に応じた係数を係数記憶部132から取得し、画像上で表示される線分の第1の長さ(ピクセル水平長)に当該係数を乗じて、3次元空間における線分の第2の長さ(ピクセル3次元長)を計算することができる。なお、長さ計算部115は、線分を示す線分IDが含まれる面情報の勾配を当該線分の勾配として取得することができる。
【0041】
長さ入力部117は、線分のうちの1つである第1の線分の実空間での長さ(第2の長さ、実寸長)の入力を受け付けることができる。長さ入力部117は、受け付けた実寸長を、当該第1の線分に対応する線分情報の実寸長に設定して線分情報を更新することができる。
【0042】
長さ計算部115は、長さ入力部117が受け付けた実寸長を、当該第1の線分の勾配に応じて実寸上での水平長さ(以下、実寸水平長という。)に変換し、第1の線分の実寸水平長とピクセル水平長との比率に応じて、他の線分の画像上についてピクセル水平長を実寸水平長に変換し、他の線分の実寸水平長を勾配に応じた実寸長に変換することができる。すなわち、長さ計算部115は、入力された実寸長を、第1の線分の種類及び勾配に応じた係数で割って、第1の線分に係る実寸水平長を計算する。長さ計算部115は、第1の線分に係る実寸水平長と、第1の線分に係るピクセル水平長との比率を計算し、第1の線分以外の第2の線分についてのピクセル水平長を当該比率に応じて実寸水平長に変換し、第2の線分に係る実寸水平長に、第2の線分の種類及び勾配に対応する係数(勾配伸び率、隅棟伸び率、又は1)を乗じて、第2の線分に係る実寸長を計算することができる。長さ計算部115は、計算した実寸長を、線分に対応する線分情報の実寸長に設定して線分情報を更新することができる。
【0043】
また、長さ計算部115は、複数の線分のそれぞれについて、線分の両端(開始位置及び終了位置)の画像の中心からの距離に応じて、当該線分の画像上での長さ(水平長さ)を補正することができる。当該補正は、カメラ31の画角に応じて行うことができる。すなわち、カメラ31からの中心投影を平行投影に変換した場合の線分の両端(頂点)の位置を補正し、補正した頂点の位置間の長さ(ピクセル水平長)を計算することができる。
【0044】
表示部116は、画像上に部位(線分103)の第2の長さ(実寸長さ)を表示することができる。図5の例では、a1~a7に長さを表示することができる。
【0045】
面積算出部118は、面部分の面積を算出する。面積算出部118は、線分の両端の点の位置(開始位置及び終了位置)に基づいて、線分により構成される多角形(面部分)の画面上での第1の面積(以下、ピクセル水平面積という。)を計算し、第1の面積に勾配に応じた係数(勾配伸び率)を乗じて第2の面積(以下、ピクセル3次元面積という。)を算出することができる。勾配伸び率は、例えばケラバ及び勾配に対応する係数を使用することができる。また、面積算出部118は、長さ入力部117が受け付けた実寸長を、線分の勾配に応じて実寸水平長に変換し、当該線分の画像上でのピクセル水平長と、当該実寸水平長との比率に応じて、ピクセル3次元面積を実寸上の面積(以下、実寸面積という。)に変換することができる。
【0046】
表示部116は、実寸長と面部分の面積とを画像に重畳表示させることができる。図5の例では、A1及びA2に面積を表示することができる。
【0047】
<動作>
次に、本実施形態に係る情報処理システム1における処理の流れについて説明する。図6は、情報処理システム1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0048】
情報処理端末10は、飛行体30のカメラ31が撮影した画像を取得し(S101)、画像上において屋根面を画定する多角形を構成する辺に対応する線分情報を取得する(S102)。線分情報は、予め線分情報記憶部133に記憶されていてもよいし、線分取得部112がユーザから線分の指定を受け付け、あるいは画像から線分を検出することができる。
【0049】
情報処理端末10は、ある第1の線分について実寸長の入力を受け付け(S103)、第1の線分の勾配を取得する。情報処理端末10は、例えば、第1の線分を示す線分IDが含まれる面情報の勾配を面情報記憶部134から取得することができる。情報処理端末10は、第1の線分に対応する線分情報に含まれる種類と、取得した勾配とに応じた係数を係数記憶部132から読み出し、第1の線分の実寸長を読み出した係数で割って、第1の線分に係る実寸水平長を計算する(S104)。情報処理端末10は、各線分の開始位置から終了位置までの長さ(ピクセル水平長)を計算し、第1の線分のピクセル水平長と第1の線分の実寸水平長との比率を求め、求めた比率に応じて、第1の線分以外の第2の線分についてピクセル水平長を実寸水平長に変換する(S105)。
【0050】
情報処理端末10は、第2の線分を示す線分IDが含まれる面情報の勾配を面情報記憶部134から取得し、取得した勾配と、第2の線分に対応する線分情報に含まれる種類とに対応する係数を係数記憶部132から読み出し、読み出した係数を第2の線分の実寸水平長に乗じて、第2の線分の実寸長を計算する(S106)。
【0051】
情報処理端末10は、面情報記憶部134に記憶されている各面情報について、線分IDリストに含まれる各線分IDに対応する線分情報の開始位置及び終了位置を取得し、開始位置及び終了位置に基づいて、例えば、
面部分のピクセル面積を計算する(S107)。情報処理端末10は、ピクセル水平面積に、面情報の勾配に応じた係数(例えばケラバ及び勾配に対応する係数)を乗じてピクセル3次元面積を計算し(S108)、第1の線分のピクセル水平長と第1の線分の実寸水平長との比率に応じて、ピクセル3次元面積を実寸面積に変換する(S109)。
【0052】
以上のようにして、本実施形態の情報処理システム1によれば、上空から撮影した屋根画像に基づいて正確な部位の長さ及び屋根面積を算出することができる。
【0053】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0054】
上記の実施形態では、情報処理システム1は、情報処理端末10のみにより実現されていたが、本発明はかかる例に限定されない。図7は、他の実施形態に係る情報処理システム1’の概略を示す図である。他の実施形態では、情報処理システム1’は、情報処理端末10およびサーバ20を備える。この場合、例えば、上記の実施形態に係る情報処理端末10のプロセッサ11aおよびストレージ11cが有していた機能の一部または全部が、サーバ20の備えるプロセッサやストレージにより実現されてもよい。
【0055】
また、上記実施の形態では、対象物が建造物100の屋根101である場合を説明したが、樹木や任意の地表面であってもよく、更には、一時的に停止している自動車や動物といった物体であってもよい。対象物の構成部位は、その対象物の種類や対象物が有する特定の構造に応じて適宜設定される。
【0056】
また、上記実施形態では、屋根101の上空に飛行する飛行体30が撮影した画像を使用するものとしたが、飛行体30を用いずに撮影した画像を使用してもよい。
【0057】
また、上記実施形態における各ステップは、必ずしもフローチャート図として記載された順序に沿って時系列に処理される必要はない。例えば、上記実施形態の処理における各ステップは、フローチャート図として記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0058】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本発明に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0059】
<開示事項>
なお、本開示には、以下のような構成も含まれる。
[項目1]
対象物を撮影した画像上において前記対象物を区画する複数の線分を取得する線分取得部と、
前記線分の部位の種類を取得する部位種類取得部と、
前記対象物の勾配を取得する勾配取得部と、
前記種類及び前記勾配に応じた係数を前記画像上で表示される前記線分の第1の長さに乗じて、3次元空間における前記線分の第2の長さを計算する長さ計算部と、
前記第2の長さ表示する表示部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目2]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記線分のうちの1つである第1の線分の前記第2の長さの入力を受け付ける長さ入力部を備え、
前記長さ計算部は、入力された前記第2の長さを、前記第1の線分の前記種類及び前記勾配に応じた前記係数で割って、前記第1の線分に係る第1の水平長さを計算し、前記第1の線分についての前記第1及び前記第2の長さの比率と、前記第1の線分以外の第2の前記線分について前記第1の長さとに応じて、前記第2の線分に係る第2の水平長さを計算し、前記第2の水平長さに、前記第2の線分の種類及び前記勾配に応じた前記係数を乗じて前記第2の長さを計算すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目3]
項目1又は2に記載の情報処理システムであって、
前記種類及び前記勾配に対応付けて前記係数を記憶する係数記憶部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目4]
項目1ないし3のいずれか1項に記載の情報処理システムであって、
前記長さ計算部は、前記複数の線分のそれぞれについて、前記線分の両端の前記画像の中心からの距離に応じて前記第1の長さを補正すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目5]
項目1ないし4のいずれか1項に記載の情報処理システムであって、
前記線分の両端の点の位置に基づいて第1の面積を計算し、前記第1の面積に前記勾配に応じた係数を乗じて第2の面積を算出する面積算出部をさらに備え、
前記表示部は、前記第2の長さと前記第2の面積とを表示すること、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目6]
対象物を撮影した画像上において前記対象物を区画する複数の線分を取得するステップと、
前記線分の部位の種類を取得するステップと、
前記対象物の勾配を取得するステップと、
前記種類及び前記勾配に応じた係数を前記画像上で表示される前記線分の第1の長さに乗じて、3次元空間における前記線分の第2の長さを計算するステップと、
前記第2の長さ表示するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
[項目7]
対象物を撮影した画像上において前記対象物を区画する複数の線分を取得するステップと、
前記線分の部位の種類を取得するステップと、
前記対象物の勾配を取得するステップと、
前記種類及び前記勾配に応じた係数を前記画像上で表示される前記線分の第1の長さに乗じて、3次元空間における前記線分の第2の長さを計算するステップと、
前記第2の長さ表示するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0060】
1 情報処理システム
10 情報処理端末
11 制御部
102 頂点
103 線分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7