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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171883
(43)【公開日】2023-12-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20231128BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231128BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20231128BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20231128BHJP
   H10B 12/00 20230101ALI20231128BHJP
   H10B 41/70 20230101ALI20231128BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H01L29/78 619A
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 331E
H01L29/78 618B
H01L29/78 613Z
H01L29/78 613B
H10B12/00 801
H10B41/70
H10B12/00 621Z
H10B12/00 671C
H10B12/00 671Z
H01L27/146 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171121
(22)【出願日】2023-10-02
(62)【分割の表示】P 2022169642の分割
【原出願日】2015-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2014244302
(32)【優先日】2014-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】野田 耕生
(57)【要約】
【課題】安定した電気特性を有する半導体装置を提供する。または、ノーマリーオフの電
気特性を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】ゲート電極と、ゲート絶縁体と、酸化物半導体と、を有し、酸化物半導体は
、チャネル形成領域にフッ素を有し、該チャネル形成領域におけるフッ素濃度は、1×1
20atoms/cm以上1×1022atoms/cm以下である半導体装置で
ある。また、フッ素の添加は、イオン注入法によって行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンを有する第1のチャネル形成領域を備えた第1のトランジスタと、
酸化物半導体を有する第2のチャネル形成領域を備えた第2のトランジスタと、
容量素子と、を有する半導体装置であって、
前記第1のチャネル形成領域の上方に位置する領域を有し、前記第1のチャネル形成領域との重なりを有する第1の導電層と、
前記第2のチャネル形成領域を有する酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層と接する領域を有する第2の導電層と、
前記酸化物半導体層と接する領域を有し、且つ前記第1の導電層と電気的に接続された第3の導電層と、を有し、
前記第3の導電層は、前記容量素子の一方の電極としての機能を有し、
前記第1の導電層の上方であって、前記酸化物半導体層の下方に第1の絶縁層が配置され、
前記酸化物半導体層の上方、前記第2の導電層の上方及び前記第3の導電層の上方に第2の絶縁層が配置され、
前記第2の絶縁層は、開口部を有し、
前記第2の絶縁層の開口部に位置する領域を有し、且つ前記第2の導電層と電気的に接続された第4の導電層を有する、半導体装置。
【請求項2】
シリコンを有する第1のチャネル形成領域を備えた第1のトランジスタと、
酸化物半導体を有する第2のチャネル形成領域を備えた第2のトランジスタと、
容量素子と、を有する半導体装置であって、
前記第1のチャネル形成領域の上方に位置する領域を有し、前記第1のチャネル形成領域との重なりを有する第1の導電層と、
前記第2のチャネル形成領域を有する酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層と接する領域を有する第2の導電層と、
前記酸化物半導体層と接する領域を有し、且つ前記第1の導電層と電気的に接続された第3の導電層と、を有し、
前記第3の導電層は、前記容量素子の一方の電極としての機能を有し、
前記第1の導電層の上方であって、前記酸化物半導体層の下方に第1の絶縁層が配置され、
前記酸化物半導体層の上方、前記第2の導電層の上方及び前記第3の導電層の上方に第2の絶縁層が配置され、
前記第2の絶縁層は、開口部を有し、
前記第2の絶縁層の開口部に位置する領域を有し、且つ前記第2の導電層と電気的に接続された第4の導電層を有し、
断面視において、前記酸化物半導体層は、第5の導電層と、第6の導電層との間に位置する領域を有し、
前記第5の導電層と、前記第6の導電層と、前記酸化物半導体層とは、互いに重なる領域を有する、半導体装置。
【請求項3】
シリコンを有する第1のチャネル形成領域を備えた第1のトランジスタと、
酸化物半導体を有する第2のチャネル形成領域を備えた第2のトランジスタと、
容量素子と、を有する半導体装置であって、
前記第1のチャネル形成領域の上方に位置する領域を有し、前記第1のチャネル形成領域との重なりを有する第1の導電層と、
前記第2のチャネル形成領域を有する酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層と接する領域を有する第2の導電層と、
前記酸化物半導体層と接する領域を有し、且つ前記第1の導電層と電気的に接続された第3の導電層と、を有し、
前記第3の導電層は、前記容量素子の一方の電極としての機能を有し、
前記第1の導電層の上方であって、前記酸化物半導体層の下方に第1の絶縁層が配置され、
前記酸化物半導体層の上方、前記第2の導電層の上方及び前記第3の導電層の上方に第2の絶縁層が配置され、
前記第2の絶縁層は、開口部を有し、
前記第2の絶縁層の開口部に位置する領域を有し、且つ前記第2の導電層と電気的に接続された第4の導電層を有し、
前記第2のチャネル形成領域の上方に位置する領域を有し、且つ前記第2のチャネル形成領域との重なりを有する第5の導電層を有し、
前記第5の導電層の下面の一部は、前記第2のチャネル形成領域の下面よりも下方に位置する、半導体装置。
【請求項4】
シリコンを有する第1のチャネル形成領域を備えた第1のトランジスタと、
酸化物半導体を有する第2のチャネル形成領域を備えた第2のトランジスタと、
容量素子と、を有する半導体装置であって、
前記第1のチャネル形成領域の上方に位置する領域を有し、前記第1のチャネル形成領域との重なりを有する第1の導電層と、
前記第2のチャネル形成領域を有する酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層と接する領域を有する第2の導電層と、
前記酸化物半導体層と接する領域を有し、且つ前記第1の導電層と電気的に接続された第3の導電層と、を有し、
前記第3の導電層は、前記容量素子の一方の電極としての機能を有し、
前記第1の導電層の上方であって、前記酸化物半導体層の下方に第1の絶縁層が配置され、
前記酸化物半導体層の上方、前記第2の導電層の上方及び前記第3の導電層の上方に第2の絶縁層が配置され、
前記第2の絶縁層は、開口部を有し、
前記第2の絶縁層の開口部に位置する領域を有し、且つ前記第2の導電層と電気的に接続された第4の導電層を有し、
断面視において、前記酸化物半導体層は、第5の導電層と第6の導電層との間に位置する領域を有し、且つ前記第5の導電層は、前記酸化物半導体層の上方に位置する領域を有し、
前記第5の導電層と、前記第6の導電層と、前記第2のチャネル形成領域とは、互いに重なりを有し、
前記第5の導電層の下面の一部は、前記第2のチャネル形成領域の下面よりも下方に位置する、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トランジスタおよび半導体装置に関する。または、本発明は、例えば
、トランジスタおよび半導体装置の作製方法に関する。または、本発明は、例えば、表示
装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、プロセッサ、電子機器に関
する。または、表示装置、液晶表示装置、発光装置、記憶装置、撮像装置、電子機器の製
造方法に関する。または、表示装置、液晶表示装置、発光装置、記憶装置、撮像装置、電
子機器の駆動方法に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明
の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・
オブ・マター)に関するものである。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指す。表示装置、発光装置、照明装置、記憶装置、撮像装置、電気光学装置、半導
体回路および電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0004】
絶縁表面を有する基板上の半導体を用いて、トランジスタを構成する技術が注目されてい
る。当該トランジスタは集積回路や表示装置のような半導体装置に広く応用されている。
トランジスタに適用可能な半導体としてシリコンが知られている。
【0005】
トランジスタの半導体に用いられるシリコンは、用途によって非晶質シリコンと多結晶シ
リコンとが使い分けられている。例えば、大型の表示装置を構成するトランジスタに適用
する場合、大面積基板への成膜技術が確立されている非晶質シリコンを用いると好適であ
る。一方、駆動回路を一体形成した高機能の表示装置を構成するトランジスタに適用する
場合、高い電界効果移動度を有するトランジスタを作製可能な多結晶シリコンを用いると
好適である。多結晶シリコンは、非晶質シリコンに対し高温での熱処理、またはレーザ光
処理を行うことで形成する方法が知られる。
【0006】
近年では、酸化物半導体(代表的にはIn-Ga-Zn酸化物)を用いたトランジスタの
開発が活発化している。
【0007】
酸化物半導体の歴史は古く、1988年には、結晶In-Ga-Zn酸化物を半導体素子
へ利用することが開示されている(特許文献1参照。)。また、1995年には、酸化物
半導体を用いたトランジスタが発明されており、その電気特性が開示されている(特許文
献2参照。)。
【0008】
酸化物半導体を用いたトランジスタは、非晶質シリコンを用いたトランジスタ、および多
結晶シリコンを用いたトランジスタとは異なる特徴を有する。例えば、酸化物半導体を用
いたトランジスタを適用した表示装置は、消費電力が低いことが知られている。酸化物半
導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、大型の表示装置を構成するトラ
ンジスタに用いることができる。また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、高い電界
効果移動度を有するため、駆動回路を一体形成した高機能の表示装置を実現できる。また
、非晶質シリコンを用いたトランジスタの生産設備の一部を改良して利用することが可能
であるため、設備投資を抑えられるメリットもある。
【0009】
例えば表示装置などの半導体装置を量産するためには、酸化物半導体を用いたトランジス
タの電気特性が安定であることが求められる。
【0010】
酸化物半導体を用いたトランジスタにおいて、酸化物半導体中の酸素欠損の制御は非常に
重要である。安定なトランジスタ特性を得るためには、酸素欠損をできるだけ少なくする
ことが好ましく、そのための技術として、酸化物半導体に酸素を注入する方法がある(特
許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭63-239117号公報
【特許文献2】特表平11-505377号公報
【特許文献3】特開2012-238880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
安定した電気特性を有するトランジスタを提供することを課題の一とする。または、ノー
マリーオフの電気特性を有するトランジスタを提供することを課題の一とする。または、
サブスレッショルドスイング値の小さいトランジスタを提供することを課題の一とする。
または、短チャネル効果の小さいトランジスタを提供することを課題の一とする。または
、非導通時のリーク電流の小さいトランジスタを提供することを課題の一とする。または
、電気特性の優れたトランジスタを提供することを課題の一とする。または、信頼性の高
いトランジスタを提供することを課題の一とする。または、高い周波数特性を有するトラ
ンジスタを提供することを課題の一とする。
【0013】
または、該トランジスタを有する半導体装置を提供することを課題の一とする。または、
該半導体装置を有するモジュールを提供することを課題の一とする。または、該半導体装
置、または該モジュールを有する電子機器を提供することを課題の一とする。または、新
規な半導体装置を提供することを課題の一とする。または、新規なモジュールを提供する
ことを課題の一とする。または、新規な電子機器を提供することを課題の一とする。
【0014】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述したように、酸化物半導体中の酸素欠損を制御することは非常に重要である。安定な
トランジスタ特性を得るためには、酸素欠損をできるだけ少なくすることが好ましい。ま
た、補償した酸素欠損が、トランジスタ作製工程におけるダメージなどにより、再び酸素
欠損とならないよう、安定した結合を形成することも重要である。
【0016】
そこで、本発明の一態様は、半導体のチャネル形成領域にフッ素を添加することによって
、半導体中の酸素欠損を補償し、また、安定した結合を形成するフッ素により酸素欠損を
補償することによって、安定かつ良好な電気特性を有するトランジスタを提供する。
【0017】
本発明の一態様は、ゲート電極と、ゲート絶縁体と、酸化物半導体と、を有し、酸化物半
導体は、チャネル形成領域にフッ素を有する半導体装置である。
【0018】
本発明の一態様は、上記チャネル形成領域におけるフッ素濃度は、1×1020atom
s/cm以上1×1022atoms/cm以下である半導体装置である。
【0019】
本発明の一態様は、上記酸化物半導体は、チャネル形成領域より、チャネル形成領域以外
の領域のフッ素濃度が低い半導体装置である。
【0020】
本発明の一態様は、上記酸化物半導体は、インジウム、亜鉛および元素M(元素Mはアル
ミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズ)から選ばれた一種以上を有する半導体装
置である。
【0021】
本発明の一態様は、上記記載の半導体装置と、プリント基板と、を有するモジュールであ
る。
【0022】
本発明の一態様は、上記記載の半導体装置、または上記記載のモジュールと、スピーカー
、操作キー、または、バッテリーと、を有する電子機器である。
【0023】
本発明の一態様は、基板上に酸化物半導体を形成し、酸化物半導体と接するソース電極お
よびドレイン電極を形成し、酸化物半導体にフッ素を添加し、酸化物半導体、ソース電極
およびドレイン電極上に絶縁体を形成し、絶縁体上にゲート電極を形成する半導体装置の
作製方法である。
【0024】
また本発明の一態様は、基板上に酸化物半導体を形成し、酸化物半導体にフッ素を添加し
、酸化物半導体と接するソース電極およびドレイン電極を形成し、酸化物半導体、ソース
電極およびドレイン電極上に絶縁体を形成し、絶縁体上にゲート電極を形成する半導体装
置の作製方法である。
【0025】
また本発明の一態様は、基板上に酸化物半導体を形成し、酸化物半導体と接するソース電
極およびドレイン電極を形成し、酸化物半導体、ソース電極およびドレイン電極上に絶縁
体を形成し、絶縁体を介して酸化物半導体にフッ素を添加し、絶縁体上にゲート電極を形
成する半導体装置の作製方法である。
【0026】
また本発明の一態様は、基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上に絶縁体を形成し、
絶縁体を介してゲート電極上に酸化物半導体を形成し、酸化物半導体にフッ素を添加し、
酸化物半導体と接するソース電極およびドレイン電極を形成する半導体装置の作製方法で
ある。
【0027】
また本発明の一態様は、基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上に絶縁体を形成し、
絶縁体を介してゲート電極上に酸化物半導体を形成し、酸化物半導体と接するソース電極
およびドレイン電極を形成し、酸化物半導体にフッ素を添加する半導体装置の作製方法で
ある。
【0028】
本発明の一態様は、上記フッ素の添加は、イオン注入法によって行う半導体装置の作製方
法である。
【0029】
本発明の一態様は、上記酸化物半導体は、インジウム、亜鉛および元素M(元素Mはアル
ミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズ)から選ばれた一種以上を有する半導体装
置の作製方法である。
【発明の効果】
【0030】
安定した電気特性を有するトランジスタを提供することができる。または、ノーマリーオ
フの電気特性を有するトランジスタを提供することができる。または、サブスレッショル
ドスイング値の小さいトランジスタを提供することができる。または、短チャネル効果の
小さいトランジスタを提供することができる。または、非導通時のリーク電流の小さいト
ランジスタを提供することができる。または、電気特性の優れたトランジスタを提供する
ことができる。または、信頼性の高いトランジスタを提供することができる。または、高
い周波数特性を有するトランジスタを提供することができる。
【0031】
または、該トランジスタを有する半導体装置を提供することができる。または、該半導体
装置を有するモジュールを提供することができる。または、該半導体装置、または該モジ
ュールを有する電子機器を提供することができる。または、新規な半導体装置を提供する
ことができる。または、新規なモジュールを提供することができる。または、新規な電子
機器を提供することができる。
【0032】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、
図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項な
どの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一態様に係るトランジスタを説明する上面図および断面図。
図2】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図3】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図4】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図5】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図6】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図7】本発明の一態様に係るトランジスタを説明する断面図。
図8】本発明の一態様に係るトランジスタを説明する断面図。
図9】本発明の一態様に係るバンド図。
図10】CAAC-OSの断面におけるCs補正高分解能TEM像、およびCAAC-OSの断面模式図。
図11】CAAC-OSの平面におけるCs補正高分解能TEM像。
図12】CAAC-OSおよび単結晶酸化物半導体のXRDによる構造解析を説明する図。
図13】CAAC-OSの電子回折パターンを示す図。
図14】In-Ga-Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。
図15】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図16】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図17】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図18】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図19】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図20】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図21】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図22】本発明の一態様に係るトランジスタを説明する断面図。
図23】本発明の一態様に係るトランジスタを説明する断面図。
図24】本発明の一態様に係る半導体装置を示す回路図。
図25】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図26】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図27】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図28】本発明の一態様に係る記憶装置を示す回路図。
図29】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図30】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図31】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図32】本発明の一態様に係る半導体装置を示す平面図。
図33】本発明の一態様に係る半導体装置を示すブロック図。
図34】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図35】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図36】本発明の一態様に係る半導体装置を示す斜視図および断面図。
図37】本発明の一態様に係る半導体装置を示すブロック図。
図38】本発明の一態様に係る半導体装置を示す回路図。
図39】本発明の一態様に係る半導体装置を示す回路図、上面図および断面図。
図40】本発明の一態様に係る半導体装置を示す回路図および断面図。
図41】本発明の一態様に係る電子機器を示す斜視図。
図42】フッ素の深さ方向の添加量を説明する図。
図43】試料のシート抵抗値を示す図。
図44】試料のESR結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説
明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に
理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるもの
ではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異
なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じく
し、特に符号を付さない場合がある。
【0035】
なお、図において、大きさ、膜(層)の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されて
いる場合がある。
【0036】
なお、本明細書などにおいて、「膜」という表記と、「層」という表記と、を互いに入れ
替えることが可能である。
【0037】
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位)
との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である
。一般的に、電位(電圧)は、相対的なものであり、基準の電位からの相対的な大きさに
よって決定される。したがって、「接地電位」などと記載されている場合であっても、電
位が0Vであるとは限らない。例えば、回路で最も低い電位が、「接地電位」となる場合
もある。または、回路で中間くらいの電位が、「接地電位」となる場合もある。その場合
には、その電位を基準として、正の電位と負の電位が規定される。
【0038】
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜的に用いるものであり、工程順または積層
順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」な
どと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書などに記載されている序数詞
と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
【0039】
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」とし
ての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳密
に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」と
言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導体
」と言い換えることができる場合がある。
【0040】
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」とし
ての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」は境界が曖昧であり、厳密
に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「導電体」と
言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「導電体」は、「半導体
」と言い換えることができる場合がある。
【0041】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度
が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導
体にDOS(Density of State)が形成されることや、キャリア移動度
が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導
体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族
元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、
水素(水にも含まれる。)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒
素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を
形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不
純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第1
5族元素などがある。
【0042】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトラン
ジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重な
る領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電
極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つの
トランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一
つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細
書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、
最小値または平均値とする。
【0043】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で
電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領
域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのト
ランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一
つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細
書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、
最小値または平均値とする。
【0044】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネ
ル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示される
チャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、
立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図
において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる
場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の側面に
形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図におい
て示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル
幅の方が大きくなる。
【0045】
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測
による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積
もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状
が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0046】
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが互いに
重なる領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上
のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channe
l Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した
場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、
本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合があ
る。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い
込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによ
って、値を決定することができる。
【0047】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求め
る場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャ
ネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0048】
なお、本明細書において、AがBより迫り出した形状を有すると記載する場合、上面図ま
たは断面図において、Aの少なくとも一端が、Bの少なくとも一端よりも外側にある形状
を有することを示す場合がある。したがって、AがBより迫り出した形状を有すると記載
されている場合、例えば上面図において、Aの一端が、Bの一端よりも外側にある形状を
有すると読み替えることができる。
【0049】
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置さ
れている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平
行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。ま
た、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態を
いう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二
つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0050】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す
【0051】
なお、明細書において、半導体と記載する場合、酸化物半導体と読み替えることができる
。半導体としては、ほかにもシリコン、ゲルマニウムなどの第14族半導体、炭化シリコ
ン、ケイ化ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、セレン化亜鉛、硫化カドミ
ウムなどの化合物半導体、および有機半導体を用いることができる。
【0052】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係るトランジスタの一例について説明する。
【0053】
<トランジスタ1>
図1に、本発明の一態様に係るトランジスタを示す。図1(A)は、トランジスタ100
の上面図、図1(B)は、図1(A)における一点鎖線A1-A2および一点鎖線A3-
A4に対応した断面図を示す。トランジスタ100は、基板400と、導電体413と、
絶縁体402と、半導体406a、半導体406b、半導体406cと、導電体416a
と、導電体416bと、絶縁体412と、導電体404と、を有する。
【0054】
トランジスタ100における半導体406a、406bまたは406cは、フッ素を有す
ることができる。フッ素は、上記三層すべてが有していてもよい。また、三層のうちいず
れか一層が有していてもよく、また、いずれか二層が有していてもよい。
【0055】
本実施の形態に示すように、トランジスタにおける半導体が、複数の層により形成される
場合、チャネル形成領域を有する半導体に、フッ素が含まれていることが好ましい。例え
ば半導体406bがチャネル形成領域を有する場合、半導体406bにフッ素を有するこ
とが好ましい。
【0056】
なお、導電体404は、トランジスタ100の第1のゲート電極(フロントゲート電極と
もいう。)としての機能を有する。また、導電体413は、トランジスタ100の第2の
ゲート電極(バックゲート電極ともいう。)としての機能を有する。また、導電体416
aおよび導電体416bは、トランジスタ100のソース電極およびドレイン電極として
の機能を有する。また、絶縁体412は、ゲート絶縁体としての機能を有する。
【0057】
また、本実施の形態におけるトランジスタ100は、バックゲートを有するトップゲート
型のトランジスタを示しているが、これに限らない。例えば、バックゲートが無い構成と
してもよい。またボトムゲート構造としてもよい。その場合、導電体413はフロントゲ
ートとして機能し、導電体404はバックゲートとして機能する。また、導電体404が
無い構成としてもよい。
【0058】
図1に示すトランジスタ100の作製方法について、図2乃至図6を用いて説明する。
【0059】
図2(A)、図3(A)、図4(A)、図5(A)および図6(A)は、本発明の一態様
に係るトランジスタ100の作製方法を説明する上面図である。各上面図には、一点鎖線
A1-A2および一点鎖線A3-A4が記され、それに対応した断面図を図2(B)、図
3(B)、図4(B)、図5(B)および図6(B)に示す。
【0060】
まずは、基板400を準備する。
【0061】
基板400としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板または導電体基板を用いればよい
。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコ
ニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体
基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、または炭化シリ
コン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウ
ムなどからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体
領域を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)
基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板
などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある
。さらには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体ま
たは絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などが
ある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる
素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
【0062】
また、基板400として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトラン
ジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トラン
ジスタを剥離し、可とう性基板である基板400に転置する方法もある。その場合には、
非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。なお、基板400として
、繊維を編みこんだシート、フィルムまたは箔などを用いてもよい。また、基板400が
伸縮性を有してもよい。また、基板400は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形
状に戻る性質を有してもよい。または、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板4
00の厚さは、例えば、5μm以上1000μm以下、好ましくは10μm以上700μ
m以下、さらに好ましくは15μm以上500μm以下とする。基板400を薄くすると
、半導体装置を軽量化することができる。また、基板400を薄くすることで、ガラスな
どを用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状
に戻る性質を有する場合がある。そのため、落下などによって基板400上の半導体装置
に加わる衝撃などを緩和することができる。即ち、丈夫な半導体装置を提供することがで
きる。
【0063】
可とう性基板である基板400としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、ま
たはそれらの繊維などを用いることができる。可とう性基板である基板400は、線膨張
率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可とう性基板である基板400とし
ては、例えば、線膨張率が1×10-3/K以下、5×10-5/K以下、または1×1
-5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリ
オレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、
アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可とう性基板である基板
400として好適である。
【0064】
次に、導電体を成膜する。導電体の成膜は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:
Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MB
E:Molecular Beam Epitaxy)法またはパルスレーザ堆積(PL
D:Pulsed Laser Deposition)法、原子層堆積(ALD:At
omic Layer Deposition)法などを用いて行うことができる。
【0065】
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma E
nhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CV
D)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用い
る原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(
MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
【0066】
PECVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、TCVD法は、プラズマを
用いないため、被処理物へのプラズマによるダメージが生じない成膜方法である。例えば
、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など)などは、プラ
ズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、蓄積した電荷
によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合がある。一方、
プラズマを用いないTCVD法の場合、こういったプラズマダメージが生じないため、半
導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、TCVD法では、成膜中のプラズマ
ダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られやすい。
【0067】
また、ALD法も、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法で
ある。また、ALD法も、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が
得られやすい。
【0068】
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは
異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって
、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に
、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の
高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速
度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが
好ましい場合もある。
【0069】
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御するこ
とができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の
組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜し
ながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜す
ることができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用い
て成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間の分、成膜に掛かる時間を短くす
ることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
【0070】
次に、導電体上にレジストなどを形成し、該レジストを用いて加工し、導電体413を形
成する。なお、単にレジストを形成するという場合、レジストの下に反射防止層を形成す
る場合も含まれる。
【0071】
レジストは、対象物をエッチングなどによって加工した後で除去する。レジストの除去に
は、プラズマ処理または/およびウェットエッチングを用いる。なお、プラズマ処理とし
ては、プラズマアッシングが好適である。レジストなどの除去が不十分な場合、0.00
1volume%以上1volume%以下の濃度のフッ化水素酸または/およびオゾン
水などによって取り残したレジストなどを除去しても構わない。
【0072】
導電体413となる導電体としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、
リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリ
ウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、
タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよ
い。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタン
を含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電
体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
【0073】
次に、絶縁体402を成膜する(図2(A)および図2(B)参照。)。絶縁体402の
成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて
行うことができる。
【0074】
絶縁体402としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、ア
ルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム
、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層
で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体402としては、酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、
酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン
、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。
【0075】
また、絶縁体402は過剰酸素または/および水素トラップを有する絶縁体であることが
好ましい。
【0076】
過剰酸素を有する絶縁体は、昇温脱離ガス分光法分析(TDS分析)にて、100℃以上
700℃以下、または100℃以上500℃以下の膜の表面温度の範囲で、1×1018
atoms/cm以上、1×1019atoms/cm以上または1×1020at
oms/cm以上の酸素(酸素原子数換算)を放出することもある。
【0077】
TDS分析を用いた酸素の放出量の測定方法について、以下に説明する。
【0078】
測定試料をTDS分析したときの気体の全放出量は、放出ガスのイオン強度の積分値に比
例する。そして標準試料との比較により、気体の全放出量を計算することができる。
【0079】
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコン基板のTDS分析結果、および
測定試料のTDS分析結果から、測定試料の酸素分子の放出量(NO2)は、下に示す式
で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量電荷比32で検出されるガス
の全てが酸素分子由来と仮定する。CHOHの質量電荷比は32であるが、存在する可
能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質量数17の
酸素原子および質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在比
率が極微量であるため考慮しない。
【0080】
O2=NH2/SH2×SO2×α
【0081】
H2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準試
料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。ここで、標準試料の基準値を、N
H2/SH2とする。SO2は、測定試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値で
ある。αは、TDS分析におけるイオン強度に影響する係数である。上に示す式の詳細に
関しては、特開平6-275697号公報を参照する。なお、上記酸素の放出量は、電子
科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD-WA1000S/Wを用い、標準試料として
一定量の水素原子を含むシリコン基板を用いて測定する。
【0082】
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原
子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分
子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量につ
いても見積もることができる。
【0083】
なお、NO2は酸素分子の放出量である。酸素原子に換算したときの放出量は、酸素分子
の放出量の2倍となる。
【0084】
または、加熱処理によって酸素を放出する絶縁体は、過酸化ラジカルを含むこともある。
具体的には、過酸化ラジカルに起因するスピン密度が、5×1017spins/cm
以上であることをいう。なお、過酸化ラジカルを含む絶縁体は、電子スピン共鳴法(ES
R:Electron Spin Resonance)にて、g値が2.01近傍に非
対称の信号を有することもある。
【0085】
また、絶縁体402は、基板400などからの不純物の拡散を防止する機能を有してもよ
い。
【0086】
次に、半導体406aとなる半導体を成膜する。半導体406aとなる半導体の成膜は、
スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うこと
ができる。
【0087】
次に、酸素を添加することにより、半導体406aとなる半導体に過剰酸素を含ませても
よい。酸素の添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を2kV以上10kV以下
とし、ドーズ量を5×1014ions/cm以上1×1017ions/cm以下
として行えばよい。
【0088】
次に、半導体406aとなる半導体に、フッ素を添加してもよい。なお、半導体406a
となる半導体への酸素の添加と、半導体406aとなる半導体へのフッ素の添加と、は順
番を入れ替えて行ってもよい。
【0089】
フッ素の添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を1kV以上200kV以下、
好ましくは5kV以上100kV以下とし、ドーズ量を5×1019ions/cm
上5×1022ions/cm以下、好ましくは1×1020ions/cm以上1
×1022ions/cm以下として行えばよい。
【0090】
次に、半導体406bとなる半導体を成膜する。半導体406bとなる半導体の成膜は、
スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うこと
ができる。なお、半導体406aとなる半導体の成膜と、半導体406bとなる半導体の
成膜と、を大気に暴露することなく連続で行うことで、膜中および界面への不純物の混入
を低減することができる。
【0091】
次に、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理を行うことで、半導体406aとなる半
導体および半導体406bとなる半導体の水素濃度を低減させることができる場合がある
。また、半導体406aとなる半導体および半導体406bとなる半導体の酸素欠損を低
減させることができる場合がある。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは
450℃以上600℃以下、さらに好ましくは520℃以上570℃以下で行えばよい。
加熱処理は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは
10%以上含む雰囲気で行う。加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は
、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10p
pm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。加熱処理に
よって、半導体406aとなる半導体および半導体406bとなる半導体の結晶性を高め
ることや、水素や水などの不純物を除去することなどができる。
【0092】
次に、半導体406aとなる半導体および半導体406bとなる半導体に、フッ素を添加
してもよい。なお、半導体406aとなる半導体および半導体406bとなる半導体への
加熱処理と、半導体406aとなる半導体および半導体406bとなる半導体へのフッ素
の添加と、は順番を入れ替えて行ってもよい。
【0093】
フッ素の添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を1kV以上200kV以下、
好ましくは5kV以上100kV以下とし、ドーズ量を5×1019ions/cm
上5×1022ions/cm以下、好ましくは1×1020ions/cm以上1
×1022ions/cm以下として行えばよい。
【0094】
次に、半導体406bとなる半導体上にレジストなどを形成し、該レジストを用いて加工
し、半導体406bおよび半導体406aを形成する(図3(A)および図3(B)参照
。)。
【0095】
次に、導電体を成膜する。導電体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法また
はPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
【0096】
導電体としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム
、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム
、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタン
グステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、合金や
化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅お
よびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒
素を含む導電体などを用いてもよい。
【0097】
次に、導電体上にレジストなどを形成し、該レジストを用いて加工し、導電体416aお
よび導電体416bを形成する(図4(A)および図4(B)参照。)。
【0098】
次に、半導体406aおよび半導体406bにフッ素を添加してもよい。フッ素の添加は
、導電体416aおよび導電体416bをマスクにして行うことができる。それにより、
半導体406aおよび半導体406bにおいて、導電体416aおよび導電体416bと
重畳しない領域に選択的にフッ素を添加できる。
【0099】
また、例えば導電体416aおよび導電体416bの厚さを小さくすることによって、半
導体406aおよび半導体406bにおいて、導電体416aおよび導電体416bと重
畳する領域にもフッ素を添加してもよい。それにより、導電体416aおよび導電体41
6bと重畳する領域と、重畳しない領域とで、異なるフッ素濃度を有する半導体406a
および半導体406bを形成することができる。例えば、半導体406aおよび半導体4
06bにおいて、導電体416aおよび導電体416bと重畳する領域は、導電体416
aおよび導電体416bと重畳しない領域よりも、フッ素濃度が低い。
【0100】
フッ素の添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を1kV以上200kV以下、
好ましくは5kV以上100kV以下とし、ドーズ量を5×1019ions/cm
上5×1022ions/cm以下、好ましくは1×1020ions/cm以上1
×1022ions/cm以下として行えばよい。
【0101】
ここで、例えば導電体413をゲート電極、絶縁体402をゲート絶縁体、導電体416
aをソース電極、導電体416bをドレイン電極とすれば、図4までで工程を完了し、ボ
トムゲート構造を有するトランジスタとしてもよい。
【0102】
次に、半導体436cを成膜する。半導体436cの成膜は、スパッタリング法、CVD
法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。半導体436c
の成膜の前に、半導体406a、半導体406b、導電体416aおよび導電体416b
の表面をエッチングしても構わない。例えば、希ガスを含むプラズマを用いてエッチング
することができる。その後、大気に暴露することなく連続で半導体436cを成膜するこ
とにより、半導体406a、半導体406b、導電体416aおよび導電体416bと、
半導体436cと、の界面への不純物の混入を低減することができる。膜と膜との界面な
どに存在する不純物は、膜中の不純物よりも拡散しやすい場合がある。そのため、該不純
物の混入を低減することにより、トランジスタに安定した電気特性を付与することができ
る。
【0103】
次に、半導体406a、半導体406bおよび半導体436cに、フッ素を添加してもよ
い。なお、半導体406a、半導体406bおよび半導体436cのすべてにフッ素を添
加する必要はなく、いずれか一層またはいずれか二層にフッ素を添加してもよい。
【0104】
フッ素の添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を1kV以上200kV以下、
好ましくは5kV以上100kV以下とし、ドーズ量を5×1019ions/cm
上5×1022ions/cm以下、好ましくは1×1020ions/cm以上1
×1022ions/cm以下として行えばよい。
【0105】
次に、絶縁体442を成膜する。絶縁体442の成膜は、スパッタリング法、CVD法、
MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。なお、半導体436
cの成膜と、絶縁体442の成膜と、を大気に暴露することなく連続で行うことで、膜中
および界面への不純物の混入を低減することができる。
【0106】
絶縁体442としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、ア
ルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム
、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層
で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体442としては、酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、
酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン
、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。
【0107】
次に、絶縁体442を介して、半導体406a、半導体406bおよび半導体436cに
、フッ素を添加してもよい。なお、半導体406a、半導体406bおよび半導体436
cのすべてにフッ素を添加する必要はなく、いずれか一層またはいずれか二層にフッ素を
添加してもよい。また、絶縁体442にフッ素を添加してもよい。
【0108】
フッ素の添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を1kV以上200kV以下、
好ましくは5kV以上100kV以下とし、ドーズ量を5×1019ions/cm
上5×1022ions/cm以下、好ましくは1×1020ions/cm以上1
×1022ions/cm以下として行えばよい。
【0109】
次に、導電体434を成膜する。導電体434の成膜は、スパッタリング法、CVD法、
MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。なお、絶縁体442
の成膜と、導電体434の成膜と、を大気に暴露することなく連続で行うことで、膜中お
よび界面への不純物の混入を低減することができる(図5(A)および図5(B)参照。
)。
【0110】
導電体434としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミ
ニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イット
リウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよ
びタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、
合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体
、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンお
よび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
【0111】
次に、導電体434上にレジストなどを形成し、該レジストを用いて加工し、導電体40
4を形成する。また、該レジストまたは導電体404を用いて絶縁体442を加工し、絶
縁体412を形成する。また、該レジスト、導電体404または絶縁体412を用いて半
導体436cを加工し、半導体406cを形成する。半導体406cと絶縁体412と導
電体404と、が上面から見たときに同様の形状となるが、本発明の一態様に係るトラン
ジスタはこの形状に限定されるものではない。例えば、半導体406cと絶縁体412と
導電体404とを別のレジストを用いて加工してもよい。例えば、絶縁体412を形成し
てから、導電体404となる導電体を成膜してもよいし、導電体404を形成した後で絶
縁体412となる絶縁体上に別途レジストなどを形成してもよい。また、例えば、半導体
406cが、隣接するトランジスタなどと繋がっていてもよい(図6(A)および図6
B)参照。)。
【0112】
次に、絶縁体を成膜してもよい。絶縁体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE
法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
【0113】
絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニ
ウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジル
コニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、ま
たは積層で用いればよい。絶縁体は、好ましくは酸化アルミニウム、窒化酸化シリコン、
窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸
化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で
用いればよい。
【0114】
絶縁体は、バリア層としての機能を有することが好ましい。絶縁体は、例えば、酸素また
は/および水素をブロックする機能を有する。また、絶縁体は、例えば、絶縁体402ま
たは絶縁体412よりも、酸素または/および水素をブロックする能力が高いほうが好ま
しい。
【0115】
以上の工程により、本発明の一態様に係るトランジスタ100を作製することができる。
【0116】
以上のように、半導体のチャネル形成領域にフッ素を添加することによって、半導体中の
酸素欠損を補償することができる。また、安定した結合を形成するフッ素により酸素欠損
を補償することによって、安定かつ良好な電気特性を有するトランジスタを提供すること
ができる。
【0117】
図6(B)に示すように、導電体404および導電体413の電界によって、半導体40
6bを電気的に取り囲むことができる(導電体から生じる電界によって、半導体を電気的
に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(s-cha
nnel)構造とよぶ。)。そのため、半導体406bの全体(上面、下面および側面)
にチャネルが形成される。s-channel構造では、トランジスタのソース-ドレイ
ン間に大電流を流すことができ、導通時の電流(オン電流)を高くすることができる。
【0118】
なお、トランジスタがs-channel構造を有する場合、半導体406bの側面にも
チャネルが形成される。したがって、半導体406bが厚いほどチャネル形成領域は大き
くなる。即ち、半導体406bが厚いほど、トランジスタのオン電流を高くすることがで
きる。また、半導体406bが厚いほど、キャリアの制御性の高い領域の割合が増えるた
め、サブスレッショルドスイング値を小さくすることができる。例えば、10nm以上、
好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40nm以上、より好ましくは100nm以
上の厚さの領域を有する半導体406bとすればよい。ただし、半導体装置の生産性が低
下する場合があるため、例えば、300nm以下、好ましくは200nm以下、さらに好
ましくは150nm以下の厚さの領域を有する半導体406bとすればよい。
【0119】
高いオン電流が得られるため、s-channel構造は、微細化されたトランジスタに
適した構造といえる。トランジスタを微細化できるため、該トランジスタを有する半導体
装置は、集積度の高い、高密度化された半導体装置とすることが可能となる。例えば、ト
ランジスタは、チャネル長が好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、
より好ましくは20nm以下の領域を有し、かつ、トランジスタは、チャネル幅が好まし
くは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下の領域
を有する。
【0120】
なお、導電体413を形成しなくてもよい(図7(A)参照。)。また、絶縁体412お
よび半導体406cが導電体404から迫り出した形状としてもよい(図7(B)参照。
)。また、絶縁体442および半導体436cを加工しなくてもよい(図7(C)参照。
)。また、A1-A2断面における導電体413の幅が、半導体406bよりも大きくて
もよい(図8(A)参照。)。また、導電体413と導電体404とが開口部を介して接
していてもよい(図8(B)参照。)また、導電体404を設けなくてもよい(図8(C
)参照。)。
【0121】
<半導体>
本実施の形態で示したように、半導体406bの上下に半導体406aおよび半導体40
6cを配置することで、トランジスタの電気特性を向上させることができる場合がある。
【0122】
半導体406bは、例えば、インジウムを含む酸化物半導体である。半導体406bは、
例えば、インジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、半導体
406bは、元素Mを含むと好ましい。元素Mは、好ましくは、アルミニウム、ガリウム
、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホ
ウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ラ
ンタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステンなどがある。ただし
、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。元素Mは、例え
ば、酸素との結合エネルギーが高い元素である。例えば、酸素との結合エネルギーがイン
ジウムよりも高い元素である。または、元素Mは、例えば、酸化物半導体のエネルギーギ
ャップを大きくする機能を有する元素である。また、半導体406bは、亜鉛を含むと好
ましい。酸化物半導体は、亜鉛を含むと結晶化しやすくなる場合がある。
【0123】
ただし、半導体406bは、インジウムを含む酸化物半導体に限定されない。半導体40
6bは、例えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物などの、インジウムを含まず、亜
鉛を含む酸化物半導体、ガリウムを含む酸化物半導体、スズを含む酸化物半導体などであ
っても構わない。
【0124】
半導体406bは、例えば、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。半導体406
bのエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8
eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。
【0125】
例えば、半導体406aおよび半導体406cは、半導体406bを構成する酸素以外の
元素一種以上、または二種以上から構成される酸化物半導体である。半導体406bを構
成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から半導体406aおよび半導体406
cが構成されるため、半導体406aと半導体406bとの界面、および半導体406b
と半導体406cとの界面において、欠陥準位が形成されにくい。
【0126】
半導体406a、半導体406bおよび半導体406cは、少なくともインジウムを含む
と好ましい。なお、半導体406aがIn-M-Zn酸化物のとき、InおよびMの和を
100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50
atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75a
tomic%より高いとする。また、半導体406bがIn-M-Zn酸化物のとき、I
nおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが25atomic
%より高く、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%
より高く、Mが66atomic%未満とする。また、半導体406cがIn-M-Zn
酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが
50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが2
5atomic%未満、Mが75atomic%より高くする。なお、半導体406cは
、半導体406aと同種の酸化物を用いても構わない。ただし、半導体406aまたは/
および半導体406cがインジウムを含まなくても構わない場合がある。例えば、半導体
406aまたは/および半導体406cが酸化ガリウムであっても構わない。なお、半導
体406a、半導体406bおよび半導体406cに含まれる各元素の原子数が、簡単な
整数比にならなくても構わない。
【0127】
半導体406bは、半導体406aおよび半導体406cよりも電子親和力の大きい酸化
物を用いる。例えば、半導体406bとして、半導体406aおよび半導体406cより
電子親和力が0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以
下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。なお、電
子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
【0128】
なお、インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有する
。そのため、半導体406cがインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム原
子割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さら
に好ましくは90%以上とする。
【0129】
このように、半導体406bの上下に半導体406aおよび半導体406cを配置したト
ランジスタにおいて、ゲート電圧を印加すると、半導体406a、半導体406b、半導
体406cのうち、電子親和力の大きい半導体406bにチャネルが形成される。
【0130】
ここで、半導体406aと半導体406bとの間には、半導体406aと半導体406b
との混合領域を有する場合がある。また、半導体406bと半導体406cとの間には、
半導体406bと半導体406cとの混合領域を有する場合がある。混合領域は、欠陥準
位密度が低くなる。そのため、半導体406a、半導体406bおよび半導体406cの
積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続接合とも
いう。)バンド図となる(図9参照。)。なお、半導体406a、半導体406bおよび
半導体406cは、それぞれの界面を明確に判別できない場合がある。
【0131】
このとき、電子は、半導体406a中および半導体406c中ではなく、半導体406b
中を主として移動する。上述したように、半導体406aと半導体406bとの界面にお
ける欠陥準位密度、および半導体406bと半導体406cとの界面における欠陥準位密
度を低くすることによって、半導体406b中で電子の移動が阻害されることが少なく、
トランジスタのオン電流を高くすることができる。
【0132】
トランジスタのオン電流は、電子の移動を阻害する要因を低減するほど、高くすることが
できる。例えば、電子の移動を阻害する要因のない場合、効率よく電子が移動すると推定
される。電子の移動は、例えば、チャネル形成領域の物理的な凹凸が大きい場合にも阻害
される。
【0133】
トランジスタのオン電流を高くするためには、例えば、半導体406bの上面または下面
(被形成面、ここでは半導体406a)の、1μm×1μmの範囲における二乗平均平方
根(RMS:Root Mean Square)粗さが1nm未満、好ましくは0.6
nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満とすればよ
い。また、1μm×1μmの範囲における平均面粗さ(Raともいう。)が1nm未満、
好ましくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4n
m未満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における最大高低差(P-Vともいう
。)が10nm未満、好ましくは9nm未満、さらに好ましくは8nm未満、より好まし
くは7nm未満とすればよい。RMS粗さ、RaおよびP-Vは、エスアイアイ・ナノテ
クノロジー株式会社製走査型プローブ顕微鏡システムSPA-500などを用いて測定す
ることができる。
【0134】
また、トランジスタのオン電流を高くするためには、半導体406cの厚さは小さいほど
好ましい。例えば、10nm未満、好ましくは5nm以下、さらに好ましくは3nm以下
の領域を有する半導体406cとすればよい。一方、半導体406cは、チャネルの形成
される半導体406bへ、隣接する絶縁体を構成する酸素以外の元素(水素、シリコンな
ど)が入り込まないようブロックする機能を有する。そのため、半導体406cは、ある
程度の厚さを有することが好ましい。例えば、0.3nm以上、好ましくは1nm以上、
さらに好ましくは2nm以上の厚さの領域を有する半導体406cとすればよい。また、
半導体406cは、絶縁体402などから放出される酸素の外方拡散を抑制するために、
酸素をブロックする性質を有すると好ましい。
【0135】
また、信頼性を高くするためには、半導体406aは厚く、半導体406cは薄いことが
好ましい。例えば、10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40nm
以上、より好ましくは60nm以上の厚さの領域を有する半導体406aとすればよい。
半導体406aの厚さを厚くすることで、隣接する絶縁体と半導体406aとの界面から
、チャネルの形成される半導体406bまでの距離を離すことができる。ただし、半導体
装置の生産性が低下する場合があるため、例えば、200nm以下、好ましくは120n
m以下、さらに好ましくは80nm以下の厚さの領域を有する半導体406aとすればよ
い。
【0136】
例えば、半導体406bと半導体406aとの間に、二次イオン質量分析法(SIMS:
Secondary Ion Mass Spectrometry)において、1×1
16atoms/cm以上1×1019atoms/cm以下、好ましくは1×1
16atoms/cm以上5×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは
1×1016atoms/cm以上2×1018atoms/cm以下のシリコン濃
度となる領域を有する。また、半導体406bと半導体406cとの間に、SIMSにお
いて、1×1016atoms/cm以上1×1019atoms/cm以下、好ま
しくは1×1016atoms/cm以上5×1018atoms/cm以下、さら
に好ましくは1×1016atoms/cm以上2×1018atoms/cm以下
のシリコン濃度となる領域を有する。
【0137】
また、半導体406bの水素濃度を低減するために、半導体406aおよび半導体406
cの水素濃度を低減すると好ましい。半導体406aおよび半導体406cは、SIMS
において、1×1016atoms/cm以上2×1020atoms/cm以下、
好ましくは1×1016atoms/cm以上5×1019atoms/cm以下、
より好ましくは1×1016atoms/cm以上1×1019atoms/cm
下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm以上5×1018atoms/c
以下の水素濃度となる領域を有する。また、半導体406bの窒素濃度を低減するた
めに、半導体406aおよび半導体406cの窒素濃度を低減すると好ましい。半導体4
06aおよび半導体406cは、SIMSにおいて、1×1015atoms/cm
上5×1019atoms/cm以下、好ましくは1×1015atoms/cm
上5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1015atoms/cm
以上1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1015atoms
/cm以上5×1017atoms/cm以下の窒素濃度となる領域を有する。
【0138】
上述の3層構造は一例である。例えば、半導体406aまたは半導体406cのない2層
構造としても構わない。または、半導体406aの上もしくは下、または半導体406c
の上もしくは下に、半導体406a、半導体406bおよび半導体406cとして例示し
た半導体のいずれか一を有する4層構造としても構わない。または、半導体406aの上
、半導体406aの下、半導体406cの上、半導体406cの下のいずれか二箇所以上
に、半導体406a、半導体406bおよび半導体406cとして例示した半導体のいず
れか一以上を有するn層構造(nは5以上の整数)としても構わない。
【0139】
<酸化物半導体の構造について>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
【0140】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体とに分けられ
る。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(C Axis Aligned
Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物半
導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体などがある。
【0141】
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半
導体とに分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-O
S、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体などがある。
【0142】
<CAAC-OS>
まず、CAAC-OSについて説明する。なお、CAAC-OSを、CANC(C-Ax
is Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶことも
できる。
【0143】
CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半
導体の一つである。
【0144】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micro
scope)によって、CAAC-OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分
解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方
、高分解能TEM像ではペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーとも
いう。)を明確に確認することができない。そのため、CAAC-OSは、結晶粒界に起
因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0145】
以下では、TEMによって観察したCAAC-OSについて説明する。図10(A)に、
試料面と略平行な方向から観察したCAAC-OSの断面の高分解能TEM像を示す。高
分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration
Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、
特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像の取得は、例えば、日
本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fなどによって行うこ
とができる。
【0146】
図10(A)の領域(1)を拡大したCs補正高分解能TEM像を図10(B)に示す。
図10(B)より、ペレットにおいて、金属原子が層状に配列していることを確認できる
。金属原子の各層の配列は、CAAC-OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)ま
たは上面の凹凸を反映しており、CAAC-OSの被形成面または上面と平行となる。
【0147】
図10(B)に示すように、CAAC-OSは特徴的な原子配列を有する。図10(C)
は、特徴的な原子配列を、補助線で示したものである。図10(B)および図10(C)
より、ペレット一つの大きさは1nm以上3nm以下程度であり、ペレットとペレットと
の傾きにより生じる隙間の大きさは0.8nm程度であることがわかる。したがって、ペ
レットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。
【0148】
ここで、Cs補正高分解能TEM像をもとに、基板5120上のCAAC-OSのペレッ
ト5100の配置を模式的に示すと、レンガまたはブロックが積み重なったような構造と
なる(図10(D)参照。)。図10(C)で観察されたペレットとペレットとの間で傾
きが生じている箇所は、図10(D)に示す領域5161に相当する。
【0149】
また、図11(A)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC-OSの平面のCs
補正高分解能TEM像を示す。図11(A)の領域(1)、領域(2)および領域(3)
を拡大したCs補正高分解能TEM像を、それぞれ図11(B)、図11(C)および図
11(D)に示す。図11(B)、図11(C)および図11(D)より、ペレットは、
金属原子が三角形状、四角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかし
ながら、異なるペレット間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0150】
次に、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)によって解析したCA
AC-OSについて説明する。例えば、InGaZnOの結晶を有するCAAC-OS
に対し、out-of-plane法による構造解析を行うと、図12(A)に示すよう
に回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZ
nOの結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC-OSの結晶がc軸配向性
を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0151】
なお、CAAC-OSのout-of-plane法による構造解析では、2θが31°
近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近
傍のピークは、CAAC-OS中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを
示している。より好ましいCAAC-OSは、out-of-plane法による構造解
析では、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さない。
【0152】
一方、CAAC-OSに対し、c軸に略垂直な方向からX線を入射させるin-plan
e法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、In
GaZnOの結晶の(110)面に帰属される。CAAC-OSの場合は、2θを56
°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(
φスキャン)を行っても、図12(B)に示すように明瞭なピークは現れない。これに対
し、InGaZnOの単結晶酸化物半導体であれば、2θを56°近傍に固定してφス
キャンした場合、図12(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピ
ークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC-OSは、
a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
【0153】
次に、電子回折によって解析したCAAC-OSについて説明する。例えば、InGaZ
nOの結晶を有するCAAC-OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nmの
電子線を入射させると、図13(A)に示すような回折パターン(制限視野透過電子回折
パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO
結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、
CAAC-OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略
垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ
径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図13(B)に示す。図13
(B)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、電子回折によっても、
CAAC-OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。
なお、図13(B)における第1リングは、InGaZnOの結晶の(010)面およ
び(100)面などに起因すると考えられる。また、図13(B)における第2リングは
(110)面などに起因すると考えられる。
【0154】
また、CAAC-OSは、欠陥準位密度の低い酸化物半導体である。酸化物半導体の欠陥
としては、例えば、不純物に起因する欠陥や、酸素欠損などがある。したがって、CAA
C-OSは、不純物濃度の低い酸化物半導体ということもできる。また、CAAC-OS
は、酸素欠損の少ない酸化物半導体ということもできる。
【0155】
酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリア発生源とな
る場合がある。また、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなる場合や、水
素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
【0156】
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属
元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素
との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を
乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二
酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を
乱し、結晶性を低下させる要因となる。
【0157】
また、欠陥準位密度の低い(酸素欠損が少ない)酸化物半導体は、キャリア密度を低くす
ることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸
化物半導体と呼ぶ。CAAC-OSは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち、
高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体となりやすい。したがって、CAA
C-OSを用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリー
オンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性な酸
化物半導体は、キャリアトラップが少ない。酸化物半導体のキャリアトラップに捕獲され
た電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことが
ある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体を用いたトランジ
スタは、電気特性が不安定となる場合がある。一方、CAAC-OSを用いたトランジス
タは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
【0158】
また、CAAC-OSは欠陥準位密度が低いため、光の照射などによって生成されたキャ
リアが、欠陥準位に捕獲されることが少ない。したがって、CAAC-OSを用いたトラ
ンジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
【0159】
<微結晶酸化物半導体>
次に、微結晶酸化物半導体について説明する。
【0160】
微結晶酸化物半導体は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域
と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体に含
まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさで
あることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶
であるナノ結晶を有する酸化物半導体を、nc-OS(nanocrystalline
Oxide Semiconductor)と呼ぶ。nc-OSは、例えば、高分解能
TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC
-OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc-O
Sの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
【0161】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3
nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるペレ
ット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。した
がって、nc-OSは、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合
がある。例えば、nc-OSに対し、ペレットよりも大きい径のX線を用いるXRD装置
を用いて構造解析を行うと、out-of-plane法による解析では、結晶面を示す
ピークが検出されない。また、nc-OSに対し、ペレットよりも大きいプローブ径(例
えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと
、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OSに対し、ペレッ
トの大きさと近いかペレットより小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折
を行うと、スポットが観測される。また、nc-OSに対しナノビーム電子回折を行うと
、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。さらに、リン
グ状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
【0162】
このように、ペレット(ナノ結晶)間では結晶方位が規則性を有さないことから、nc-
OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有す
る酸化物半導体、またはNANC(Non-Aligned nanocrystals
)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0163】
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc-OS
は、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc-OSは、CA
AC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0164】
<非晶質酸化物半導体>
次に、非晶質酸化物半導体について説明する。
【0165】
非晶質酸化物半導体は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化物
半導体である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体が一例である。
【0166】
非晶質酸化物半導体は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
【0167】
非晶質酸化物半導体に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out-of-pl
ane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半導
体に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導体
に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンのみが観
測される。
【0168】
非晶質構造については、様々な見解が示されている。例えば、原子配列に全く秩序性を有
さない構造を完全な非晶質構造(completely amorphous stru
cture)と呼ぶ場合がある。また、長距離秩序性を有さないが、ある原子から最近接
原子または第2近接原子までの範囲において秩序性を有する構造を非晶質構造と呼ぶ場合
もある。したがって、最も厳格な定義によれば、僅かでも原子配列に秩序性を有する酸化
物半導体を非晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。また、少なくとも、長距離秩序性
を有する酸化物半導体を非晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。よって、結晶部を有
することから、例えば、CAAC-OSおよびnc-OSを、非晶質酸化物半導体または
完全な非晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。
【0169】
<非晶質ライク酸化物半導体>
なお、酸化物半導体は、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する場合があ
る。そのような構造を有する酸化物半導体を、特に非晶質ライク酸化物半導体(a-li
ke OS:amorphous-like Oxide Semiconductor
)と呼ぶ。
【0170】
a-like OSは、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察される
場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領
域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。
【0171】
鬆を有するため、a-like OSは、不安定な構造である。以下では、a-like
OSが、CAAC-OSおよびnc-OSと比べて不安定な構造であることを示すため
、電子照射による構造の変化を示す。
【0172】
電子照射を行う試料として、a-like OS(試料Aと表記する。)、nc-OS(
試料Bと表記する。)およびCAAC-OS(試料Cと表記する。)を準備する。いずれ
の試料もIn-Ga-Zn酸化物である。
【0173】
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料
は、いずれも結晶部を有することがわかる。
【0174】
なお、どの部分を一つの結晶部と見なすかの判定は、以下のように行えばよい。例えば、
InGaZnOの結晶の単位格子は、In-O層を3層有し、またGa-Zn-O層を
6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これ
らの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度で
あり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、格子縞の
間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnOの結晶部と見
なすことができる。なお、格子縞は、InGaZnOの結晶のa-b面に対応する。
【0175】
図14は、各試料の結晶部(22箇所から45箇所)の平均の大きさを調査した例である
。ただし、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図14より、a-lik
e OSは、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体的
には、図14中に(1)で示すように、TEMによる観察初期においては1.2nm程度
の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、累積照射量が4.2×10/nm
においては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc-OS
およびCAAC-OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10
nmまでの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。具体的には、図
14中の(2)および(3)で示すように、電子の累積照射量によらず、nc-OSおよ
びCAAC-OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.4nm程度および2.1nm程度で
あることがわかる。
【0176】
このように、a-like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合があ
る。一方、nc-OSおよびCAAC-OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど
見られないことがわかる。即ち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-O
Sと比べて、不安定な構造であることがわかる。
【0177】
また、鬆を有するため、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べ
て密度の低い構造である。具体的には、a-like OSの密度は、同じ組成の単結晶
の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc-OSの密度およびCAAC
-OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満となる。単結晶
の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
【0178】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱
面体晶構造を有する単結晶InGaZnOの密度は6.357g/cmとなる。よっ
て、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において
、a-like OSの密度は5.0g/cm以上5.9g/cm未満となる。また
、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、
nc-OSの密度およびCAAC-OSの密度は5.9g/cm以上6.3g/cm
未満となる。
【0179】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる
単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もる
ことができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせ
る割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない
種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
【0180】
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。な
お、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a-like OS、微結晶酸化物
半導体、CAAC-OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0181】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示したトランジスタとは一部形状の異なるトランジス
タの作製方法について説明する。
【0182】
<トランジスタ2>
図15(A)、図16(A)、図17(A)、図18(A)、図19(A)、図20(A
)および図21(A)は、トランジスタの作製方法を説明する上面図である。各上面図に
は、一点鎖線F1-F2および一点鎖線F3-F4が記され、それに対応した断面図を図
15(B)、図16(B)、図17(B)、図18(B)、図19(B)、図20(B)
および図21(B)に示す。
【0183】
まずは、基板500を準備する。基板500は、基板400についての記載を参照する。
【0184】
次に、導電体を成膜する。導電体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法また
はPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
【0185】
次に、導電体上にレジストなどを形成し、該レジストを用いて加工し、導電体513を形
成する。
【0186】
次に、絶縁体を成膜する。絶縁体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法また
はPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
【0187】
次に、絶縁体の上面から下面に向けて、基板500の下面と平行な形状となるようにエッ
チングを行うことで、導電体513を露出させ、絶縁体503を形成する(図15(A)
および図15(B)参照。)。このような方法で絶縁体503を形成することで、導電体
513の上面の高さと、絶縁体503の上面の高さと、を同程度にすることができる。し
たがって、後の工程における形状不良を抑制することができる。
【0188】
次に、絶縁体502を成膜する(図16(A)および図16(B)参照。)。絶縁体50
2の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用
いて行うことができる。絶縁体502は、絶縁体402についての記載を参照する。
【0189】
次に、半導体536aを成膜する。半導体536aの成膜は、スパッタリング法、CVD
法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。半導体536a
は、半導体406aとなる半導体についての記載を参照する。
【0190】
次に、酸素を添加することにより、半導体536aに過剰酸素を含ませてもよい。酸素の
添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を2kV以上10kV以下とし、ドーズ
量を5×1014ions/cm以上1×1017ions/cm以下として行えば
よい。
【0191】
次に、半導体536aに、フッ素を添加してもよい。なお、半導体536aへの酸素の添
加と、半導体536aへのフッ素の添加と、は順番を入れ替えて行ってもよい。
【0192】
フッ素の添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を1kV以上200kV以下、
好ましくは5kV以上100kV以下とし、ドーズ量を5×1019ions/cm
上5×1022ions/cm以下、好ましくは1×1020ions/cm以上1
×1022ions/cm以下として行えばよい。
【0193】
次に、半導体536bを成膜する。半導体536bの成膜は、スパッタリング法、CVD
法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。半導体536b
は、半導体406bとなる半導体についての記載を参照する。なお、半導体536aの成
膜と、半導体536bの成膜と、を大気に暴露することなく連続で行うことで、膜中およ
び界面への不純物の混入を低減することができる。
【0194】
次に、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好まし
くは450℃以上600℃以下、さらに好ましくは520℃以上570℃以下で行えばよ
い。加熱処理は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もし
くは10%以上含む雰囲気で行う。加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処
理は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを1
0ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。加熱処
理によって、半導体536aおよび半導体536bの結晶性を高めることや、水素や水な
どの不純物を除去することなどができる。
【0195】
次に、半導体536aおよび半導体536bに、フッ素を添加してもよい。なお、半導体
536aおよび半導体536bへの加熱処理と、半導体536aおよび半導体536bへ
のフッ素の添加と、は順番を入れ替えて行ってもよい。
【0196】
フッ素の添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を1kV以上200kV以下、
好ましくは5kV以上100kV以下とし、ドーズ量を5×1019ions/cm
上5×1022ions/cm以下、好ましくは1×1020ions/cm以上1
×1022ions/cm以下として行えばよい。
【0197】
次に、導電体を成膜する。導電体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法また
はPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。導電体は、導電体416aおよび
導電体416bとなる導電体についての記載を参照する。
【0198】
次に、導電体上にレジストなどを形成し、該レジストを用いて加工し、導電体516aお
よび導電体516bを形成する(図17(A)および図17(B)参照。)。
【0199】
次に、半導体536aおよび半導体536bにフッ素を添加してもよい。フッ素の添加は
、導電体516aおよび導電体516bをマスクにして行うことができる。それにより、
半導体536aおよび半導体536bにおいて、導電体516aおよび導電体516bと
重畳しない領域に選択的にフッ素を添加できる。
【0200】
また、例えば導電体516aおよび導電体516bの厚さを小さくすることによって、半
導体536aおよび半導体536bにおいて、導電体516aおよび導電体516bと重
畳する領域にもフッ素を添加してもよい。それにより、導電体516aおよび導電体51
6bと重畳する領域と、重畳しない領域とで、異なるフッ素濃度を有する半導体536a
および半導体536bを形成することができる。例えば、半導体536aおよび半導体5
36bにおいて、導電体516aおよび導電体516bと重畳する領域は、導電体516
aおよび導電体516bと重畳しない領域よりも、フッ素濃度が低い。
【0201】
フッ素の添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を1kV以上200kV以下、
好ましくは5kV以上100kV以下とし、ドーズ量を5×1019ions/cm
上5×1022ions/cm以下、好ましくは1×1020ions/cm以上1
×1022ions/cm以下として行えばよい。
【0202】
次に、半導体536b上にレジストなどを形成し、該レジスト、導電体516aおよび導
電体516bを用いて加工し、半導体506bおよび半導体506aを形成する(図18
(A)および図18(B)参照。)。
【0203】
なお、導電体516a、導電体516b、半導体506aおよび半導体506bの形成は
、導電体を形成した後、以下に示す方法によって行っても構わない。
【0204】
まず、導電体上にレジストなどを形成し、該レジストを用いて加工し、導電体516、半
導体506bおよび半導体506aを形成する(図21(A)および図21(B)参照。
)。このとき、半導体506bおよび半導体506aは、レジストを除去してから導電体
516を用いて加工してもよい。
【0205】
次に、導電体516上にレジストなどを形成し、該レジストを用いて加工し、導電体51
6aおよび導電体516bを形成する(図18(A)および図18(B)参照。)。
【0206】
次に、半導体536cを成膜する。半導体536cの成膜は、スパッタリング法、CVD
法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。半導体536c
は、半導体436cについての記載を参照する。
【0207】
次に、絶縁体542を成膜する。絶縁体542の成膜は、スパッタリング法、CVD法、
MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。絶縁体542は、絶
縁体442についての記載を参照する。
【0208】
次に、絶縁体542を介して、半導体506a、半導体506bおよび半導体536cに
、フッ素を添加してもよい。なお、半導体506a、半導体506bおよび半導体536
cのすべてにフッ素を添加する必要はなく、いずれか一層またはいずれか二層にフッ素を
添加してもよい。また、絶縁体542にフッ素を添加してもよい。
【0209】
フッ素の添加は、例えば、イオン注入法により、加速電圧を1kV以上200kV以下、
好ましくは5kV以上100kV以下とし、ドーズ量を5×1019ions/cm
上5×1022ions/cm以下、好ましくは1×1020ions/cm以上1
×1022ions/cm以下として行えばよい。
【0210】
次に、導電体534を成膜する(図19(A)および図19(B)参照。)。導電体53
4の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用
いて行うことができる。導電体534は、導電体434についての記載を参照する。
【0211】
次に、導電体534上にレジストなどを形成し、該レジストを用いて加工し、導電体50
4を形成する。また、該レジストまたは導電体504を用いて絶縁体542を加工し、絶
縁体512を形成する。また、該レジスト、導電体504または絶縁体542を用いて半
導体536cを加工し、半導体506cを形成する(図20(A)および図20(B)参
照。)。なお、ここでは半導体506cと絶縁体512と導電体504とが上面から見た
ときに同様の形状となるよう加工しているが、この形状に限定されるものではない。例え
ば、絶縁体512と導電体504とを別のレジストを用いて加工してもよい。例えば、絶
縁体512を形成してから、導電体504となる導電体を成膜してもよいし、導電体50
4を形成した後で絶縁体512となる絶縁体上に別途レジストなどを形成してもよい。ま
た、例えば、半導体506cが、隣接するトランジスタなどと繋がっていてもよい。
【0212】
次に、絶縁体を成膜してもよい。絶縁体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE
法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
【0213】
絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニ
ウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジル
コニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、ま
たは積層で用いればよい。絶縁体は、好ましくは酸化アルミニウム、窒化酸化シリコン、
窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸
化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で
用いればよい。
【0214】
絶縁体は、バリア層としての機能を有することが好ましい。絶縁体は、例えば、酸素また
は/および水素をブロックする機能を有する。または、絶縁体は、例えば、絶縁体502
または絶縁体512よりも、酸素または/および水素をブロックする能力が高いことが好
ましい。
【0215】
以上の工程により、本発明の一態様に係るトランジスタを作製することができる。
【0216】
以上のように、半導体のチャネル形成領域にフッ素を添加することによって、半導体中の
酸素欠損を補償することができる。また、安定した結合を形成するフッ素により酸素欠損
を補償することによって、安定かつ良好な電気特性を有するトランジスタを提供すること
ができる。
【0217】
図20(B)に示すように、トランジスタはs-channel構造を有する。また、導
電体504および導電体513からの電界が、半導体506bの側面において導電体51
6aおよび導電体516bなどによって阻害されにくい構造である。
【0218】
なお、導電体513を形成しなくてもよい(図22(A)参照。)。また、絶縁体512
、半導体506cが導電体504から迫り出した形状としてもよい(図22(B)参照。
)。また、絶縁体542、半導体536cを加工しなくてもよい(図22(C)参照。)
。また、F1-F2断面における導電体513の幅が、半導体506bよりも大きくても
よい(図23(A)参照。)。また、導電体513と導電体504とが開口部を介して接
していてもよい(図23(B)参照。)また、導電体504を設けなくてもよい(図23
(C)参照。)。
【0219】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様に係るトランジスタなどを利用した半導体装置の回路
の一例について説明する。
【0220】
<CMOSインバータ>
図24(A)に示す回路図は、pチャネル型のトランジスタ2200とnチャネル型のト
ランジスタ2100を直列に接続し、かつそれぞれのゲートを接続した、いわゆるCMO
Sインバータの構成を示している。nチャネル型のトランジスタ2100には、酸化物半
導体を有するトランジスタを用いることが好ましい。それによって、CMOSインバータ
回路における消費電力を低減させることができる。
【0221】
<CMOSアナログスイッチ>
また図24(B)に示す回路図は、トランジスタ2100とトランジスタ2200のそれ
ぞれのソースとドレインを接続した構成を示している。このような構成とすることで、い
わゆるCMOSアナログスイッチとして機能させることができる。nチャネル型のトラン
ジスタ2100には、酸化物半導体を有するトランジスタを用いることが好ましい。
【0222】
<半導体装置の構造1>
図25は、図24(A)に対応する半導体装置の断面図である。図25に示す半導体装置
は、トランジスタ2200と、トランジスタ2100と、を有する。また、トランジスタ
2100は、トランジスタ2200の上方に配置する。なお、トランジスタ2100とし
て、図20に示したトランジスタを用いた例を示しているが、本発明の一態様に係る半導
体装置は、これに限定されるものではない。例えば、図6図7図8図22または図
23などに示したトランジスタなどを、トランジスタ2100として用いても構わない。
よって、トランジスタ2100については、適宜上述したトランジスタについての記載を
参酌する。
【0223】
図25に示すトランジスタ2200は、半導体基板450を用いたトランジスタである。
トランジスタ2200は、半導体基板450中の領域472aと、半導体基板450中の
領域472bと、絶縁体462と、導電体454と、を有する。
【0224】
トランジスタ2200において、領域472aおよび領域472bは、ソース領域および
ドレイン領域としての機能を有する。また、絶縁体462は、ゲート絶縁体としての機能
を有する。また、導電体454は、ゲート電極としての機能を有する。したがって、導電
体454に印加する電位によって、チャネル形成領域の抵抗を制御することができる。即
ち、導電体454に印加する電位によって、領域472aと領域472bとの間の導通・
非導通を制御することができる。
【0225】
半導体基板450としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、ま
たは炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛
、酸化ガリウムなどからなる化合物半導体基板などを用いればよい。好ましくは、半導体
基板450として単結晶シリコン基板を用いる。
【0226】
半導体基板450は、n型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用いる。ただ
し、半導体基板450として、p型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用い
ても構わない。その場合、トランジスタ2200となる領域には、n型の導電型を付与す
る不純物を有するウェルを配置すればよい。または、半導体基板450がi型であっても
構わない。
【0227】
半導体基板450の上面は、(110)面を有することが好ましい。こうすることで、ト
ランジスタ2200のオン特性を向上させることができる。
【0228】
領域472aおよび領域472bは、p型の導電型を付与する不純物を有する領域である
。このようにして、トランジスタ2200はpチャネル型トランジスタを構成する。
【0229】
なお、トランジスタ2200は、領域460などによって隣接するトランジスタと分離さ
れる。領域460は、絶縁性を有する領域である。
【0230】
図25に示す半導体装置は、絶縁体464と、絶縁体466と、絶縁体468と、導電体
480aと、導電体480bと、導電体480cと、導電体478aと、導電体478b
と、導電体478cと、導電体476aと、導電体476bと、導電体474aと、導電
体474bと、導電体474cと、導電体496aと、導電体496bと、導電体496
cと、導電体496dと、導電体498aと、導電体498bと、導電体498cと、絶
縁体490と、絶縁体492と、絶縁体494と、を有する。
【0231】
絶縁体464は、トランジスタ2200上に配置する。また、絶縁体466は、絶縁体4
64上に配置する。また、絶縁体468は、絶縁体466上に配置する。また、絶縁体4
90は、絶縁体468上に配置する。また、トランジスタ2100は、絶縁体490上に
配置する。また、絶縁体492は、トランジスタ2100上に配置する。また、絶縁体4
94は、絶縁体492上に配置する。
【0232】
絶縁体464は、領域472aに達する開口部と、領域472bに達する開口部と、導電
体454に達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体480a、導
電体480bまたは導電体480cが埋め込まれている。
【0233】
また、絶縁体466は、導電体480aに達する開口部と、導電体480bに達する開口
部と、導電体480cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体
478a、導電体478bまたは導電体478cが埋め込まれている。
【0234】
また、絶縁体468は、導電体478bに達する開口部と、導電体478cに達する開口
部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体476aまたは導電体476bが埋
め込まれている。
【0235】
また、絶縁体490は、トランジスタ2100のチャネル形成領域と重なる開口部と、導
電体476aに達する開口部と、導電体476bに達する開口部と、を有する。また、開
口部には、それぞれ導電体474a、導電体474bまたは導電体474cが埋め込まれ
ている。
【0236】
導電体474aは、トランジスタ2100のゲート電極としての機能を有しても構わない
。または、例えば、導電体474aに一定の電位を印加することで、トランジスタ210
0のしきい値電圧などの電気特性を制御しても構わない。または、例えば、導電体474
aとトランジスタ2100のゲート電極としての機能を有する導電体404とを電気的に
接続しても構わない。こうすることで、トランジスタ2100のオン電流を大きくするこ
とができる。また、パンチスルー現象を抑制することができるため、トランジスタ210
0の飽和領域における電気特性を安定にすることができる。
【0237】
また、絶縁体492は、トランジスタ2100のソース電極またはドレイン電極の一方で
ある導電体516bを通って、導電体474bに達する開口部と、トランジスタ2100
のソース電極またはドレイン電極の他方である導電体516aに達する開口部と、トラン
ジスタ2100のゲート電極である導電体504に達する開口部と、導電体474cに達
する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体496a、導電体496b
、導電体496cまたは導電体496dが埋め込まれている。ただし、それぞれの開口部
は、さらにトランジスタ2100などの構成要素のいずれかを介する場合がある。
【0238】
また、絶縁体494は、導電体496aに達する開口部と、導電体496bおよび導電体
496dに達する開口部と、導電体496cに達する開口部と、を有する。また、開口部
には、それぞれ導電体498a、導電体498bまたは導電体498cが埋め込まれてい
る。
【0239】
絶縁体464、絶縁体466、絶縁体468、絶縁体490、絶縁体492および絶縁体
494としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニ
ウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジル
コニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、ま
たは積層で用いればよい。例えば、絶縁体401としては、酸化アルミニウム、酸化マグ
ネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガ
リウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化
ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。
【0240】
絶縁体464、絶縁体466、絶縁体468、絶縁体490、絶縁体492または絶縁体
494の一以上は、水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体を有
することが好ましい。トランジスタ2100の近傍に、水素などの不純物および酸素をブ
ロックする機能を有する絶縁体を配置することによって、トランジスタ2100の電気特
性を安定にすることができる。
【0241】
水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ
素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、
アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム
、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。
【0242】
導電体480a、導電体480b、導電体480c、導電体478a、導電体478b、
導電体478c、導電体476a、導電体476b、導電体474a、導電体474b、
導電体474c、導電体496a、導電体496b、導電体496c、導電体496d、
導電体498a、導電体498bおよび導電体498cとしては、例えば、ホウ素、窒素
、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト
、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウ
ム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層
で、または積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを
含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム
、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
【0243】
なお、図26に示す半導体装置は、図25に示した半導体装置のトランジスタ2200の
構造が異なるのみである。よって、図26に示す半導体装置については、図25に示した
半導体装置の記載を参酌する。具体的には、図26に示す半導体装置は、トランジスタ2
200がFin型である場合を示している。トランジスタ2200をFin型とすること
により、実効的なチャネル幅が増大し、それによりトランジスタ2200のオン特性を向
上させることができる。また、ゲート電極の電界の寄与を高くすることができるため、ト
ランジスタ2200のオフ特性を向上させることができる。
【0244】
また、図27に示す半導体装置は、図25に示した半導体装置のトランジスタ2200の
構造が異なるのみである。よって、図27に示す半導体装置については、図25に示した
半導体装置の記載を参酌する。具体的には、図27に示す半導体装置は、トランジスタ2
200がSOI基板である半導体基板450に設けられた場合を示している。図27には
、絶縁体452によって領域456が半導体基板450と分離されている構造を示す。半
導体基板450としてSOI基板を用いることによって、パンチスルー現象などを抑制す
ることができるためトランジスタ2200のオフ特性を向上させることができる。なお、
絶縁体452は、半導体基板450の一部を絶縁体化させることによって形成することが
できる。例えば、絶縁体452としては、酸化シリコンを用いることができる。
【0245】
図25乃至図27に示した半導体装置は、半導体基板を用いてpチャネル型トランジスタ
を作製し、その上方にnチャネル型トランジスタを作製するため、素子の占有面積を縮小
することができる。即ち、半導体装置の集積度を高くすることができる。また、nチャネ
ル型トランジスタと、pチャネル型トランジスタとを同一の半導体基板を用いて作製した
場合と比べて、工程を簡略化することができるため、半導体装置の生産性を高くすること
ができる。また、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、pチャネル型ト
ランジスタは、LDD(Lightly Doped Drain)領域、シャロートレ
ンチ構造、歪み設計などの複雑な工程を省略できる場合がある。そのため、nチャネル型
トランジスタを、半導体基板を用いて作製する場合と比べて、生産性および歩留まりを高
くすることができる場合がある。
【0246】
<記憶装置1>
本発明の一態様に係るトランジスタを用いた、電力が供給されない状況でも記憶内容の保
持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例を図28
に示す。
【0247】
図28(A)に示す半導体装置は、第1の半導体を用いたトランジスタ3200と第2の
半導体を用いたトランジスタ3300、および容量素子3400を有している。なお、ト
ランジスタ3300としては、上述したトランジスタを用いることができる。
【0248】
トランジスタ3300は、オフ電流の小さいトランジスタが好ましい。トランジスタ33
00は、例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることができる。トランジス
タ3300のオフ電流が小さいことにより、半導体装置の特定のノードに長期にわたり記
憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、または
リフレッシュ動作の頻度が極めて少なくすることが可能となるため、消費電力の低い半導
体装置となる。
【0249】
図28(A)において、第1の配線3001はトランジスタ3200のソースと電気的に
接続され、第2の配線3002はトランジスタ3200のドレインと電気的に接続される
。また、第3の配線3003はトランジスタ3300のソース、ドレインの一方と電気的
に接続され、第4の配線3004はトランジスタ3300のゲートと電気的に接続されて
いる。そして、トランジスタ3200のゲート、およびトランジスタ3300のソース、
ドレインの他方は、容量素子3400の電極の一方と電気的に接続され、第5の配線30
05は容量素子3400の電極の他方と電気的に接続されている。
【0250】
図28(A)に示す半導体装置は、トランジスタ3200のゲートの電位が保持可能とい
う特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能であ
る。
【0251】
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、トラ
ンジスタ3300が導通状態となる電位にして、トランジスタ3300を導通状態とする
。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ3200のゲート、および容
量素子3400の電極の一方と電気的に接続するノードFGに与えられる。即ち、トラン
ジスタ3200のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる
二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という。)
のどちらかが与えられるものとする。その後、第4の配線3004の電位を、トランジス
タ3300が非導通状態となる電位にして、トランジスタ3300を非導通状態とするこ
とにより、ノードFGに電荷が保持される(保持)。
【0252】
トランジスタ3300のオフ電流が小さいため、ノードFGの電荷は長期間にわたって保
持される。
【0253】
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を与
えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、第2の配線
3002は、ノードFGに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジスタ
3200をnチャネル型とすると、トランジスタ3200のゲートにHighレベル電荷
が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ3200の
ゲートにLowレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_L
り低くなるためである。ここで、見かけ上のしきい値電圧とは、トランジスタ3200を
「導通状態」とするために必要な第5の配線3005の電位をいうものとする。したがっ
て、第5の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位Vとすることによ
り、ノードFGに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、ノードFG
にHighレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV(>
th_H)となれば、トランジスタ3200は「導通状態」となる。一方、ノードFG
にLowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV(<V
th_L)となっても、トランジスタ3200は「非導通状態」のままである。このため
、第2の配線3002の電位を判別することで、ノードFGに保持されている情報を読み
出すことができる。
【0254】
なお、メモリセルをアレイ状に配置する場合、読み出し時には、所望のメモリセルの情報
を読み出さなくてはならない。ほかのメモリセルの情報を読み出さないためには、ノード
FGに与えられた電荷によらずトランジスタ3200が「非導通状態」となるような電位
、つまり、Vth_Hより低い電位を第5の配線3005に与えればよい。または、ノー
ドFGに与えられた電荷によらずトランジスタ3200が「導通状態」となるような電位
、つまり、Vth_Lより高い電位を第5の配線3005に与えればよい。
【0255】
<記憶装置2>
図28(B)に示す半導体装置は、トランジスタ3200を有さない点で図28(A)に
示した半導体装置と異なる。この場合も図28(A)に示した半導体装置と同様の動作に
より情報の書き込みおよび保持動作が可能である。
【0256】
図28(B)に示す半導体装置における、情報の読み出しについて説明する。トランジス
タ3300が導通状態になると、浮遊状態である第3の配線3003と容量素子3400
とが導通し、第3の配線3003と容量素子3400の間で電荷が再分配される。その結
果、第3の配線3003の電位が変化する。第3の配線3003の電位の変化量は、容量
素子3400の電極の一方の電位(または容量素子3400に蓄積された電荷)によって
、異なる値をとる。
【0257】
例えば、容量素子3400の電極の一方の電位をV、容量素子3400の容量をC、第3
の配線3003が有する容量成分をCB、電荷が再分配される前の第3の配線3003の
電位をVB0とすると、電荷が再分配された後の第3の配線3003の電位は、(CB×
VB0+C×V)/(CB+C)となる。したがって、メモリセルの状態として、容量素
子3400の電極の一方の電位がV1とV0(V1>V0)の2つの状態をとるとすると
、電位V1を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+C×V
1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合の第3の配線3003の電位(=
(CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
【0258】
そして、第3の配線3003の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すこと
ができる。
【0259】
この場合、メモリセルを駆動させるための駆動回路に上記第1の半導体が適用されたトラ
ンジスタを用い、トランジスタ3300として第2の半導体が適用されたトランジスタを
駆動回路上に積層して配置する構成とすればよい。
【0260】
以上に示した半導体装置は、酸化物半導体を用いたオフ電流の小さいトランジスタを適用
することで、長期にわたって記憶内容を保持することが可能となる。つまり、リフレッシ
ュ動作が不要となるか、またはリフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能とな
るため、消費電力の低い半導体装置を実現することができる。また、電力の供給がない場
合(ただし、電位は固定されていることが好ましい)であっても、長期にわたって記憶内
容を保持することが可能である。
【0261】
また、該半導体装置は、情報の書き込みに高い電圧が不要であるため、素子の劣化が起こ
りにくい。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注
入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行わないため、絶縁体の劣化といっ
た問題が生じない。即ち、本発明の一態様に係る半導体装置は、従来の不揮発性メモリで
問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上した半導体装置
である。さらに、トランジスタの導通状態、非導通状態によって、情報の書き込みが行わ
れるため、高速な動作が可能となる。
【0262】
<半導体装置の構造2>
図29は、図28(A)に対応する半導体装置の断面図である。図29に示す半導体装置
は、トランジスタ3200と、トランジスタ3300と、容量素子3400と、を有する
。また、トランジスタ3300および容量素子3400は、トランジスタ3200の上方
に配置する。なお、トランジスタ3300としては、上述したトランジスタ2100につ
いての記載を参照する。また、トランジスタ3200としては、図25に示したトランジ
スタ2200についての記載を参照する。なお、図25では、トランジスタ2200がp
チャネル型トランジスタである場合について説明したが、トランジスタ3200がnチャ
ネル型トランジスタであっても構わない。
【0263】
図29に示すトランジスタ3200は、半導体基板450を用いたトランジスタである。
トランジスタ3200は、半導体基板450中の領域472aと、半導体基板450中の
領域472bと、絶縁体462と、導電体454と、を有する。
【0264】
図29に示す半導体装置は、絶縁体464と、絶縁体466と、絶縁体468と、導電体
480aと、導電体480bと、導電体480cと、導電体478aと、導電体478b
と、導電体478cと、導電体476aと、導電体476bと、導電体474aと、導電
体474bと、導電体474cと、導電体496aと、導電体496bと、導電体496
cと、導電体496dと、導電体498aと、導電体498bと、導電体498cと、導
電体498dと、絶縁体490と、絶縁体492と、絶縁体494と、を有する。
【0265】
絶縁体464は、トランジスタ3200上に配置する。また、絶縁体466は、絶縁体4
64上に配置する。また、絶縁体468は、絶縁体466上に配置する。また、絶縁体4
90は、絶縁体468上に配置する。また、トランジスタ3300は、絶縁体490上に
配置する。また、絶縁体492は、トランジスタ3300上に配置する。また、絶縁体4
94は、絶縁体492上に配置する。
【0266】
絶縁体464は、領域472aに達する開口部と、領域472bに達する開口部と、導電
体454に達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体480a、導
電体480bまたは導電体480cが埋め込まれている。
【0267】
また、絶縁体466は、導電体480aに達する開口部と、導電体480bに達する開口
部と、導電体480cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体
478a、導電体478bまたは導電体478cが埋め込まれている。
【0268】
また、絶縁体468は、導電体478bに達する開口部と、導電体478cに達する開口
部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体476aまたは導電体476bが埋
め込まれている。
【0269】
また、絶縁体490は、トランジスタ3300のチャネル形成領域と重なる開口部と、導
電体476aに達する開口部と、導電体476bに達する開口部と、を有する。また、開
口部には、それぞれ導電体474a、導電体474bまたは導電体474cが埋め込まれ
ている。
【0270】
導電体474aは、トランジスタ3300のボトムゲート電極としての機能を有しても構
わない。または、例えば、導電体474aに一定の電位を印加することで、トランジスタ
3300のしきい値電圧などの電気特性を制御しても構わない。または、例えば、導電体
474aとトランジスタ3300のトップゲート電極である導電体404とを電気的に接
続しても構わない。こうすることで、トランジスタ3300のオン電流を大きくすること
ができる。また、パンチスルー現象を抑制することができるため、トランジスタ3300
の飽和領域における電気特性を安定にすることができる。
【0271】
また、絶縁体492は、トランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の一方で
ある導電体516bを通って、導電体474bに達する開口部と、トランジスタ3300
のソース電極またはドレイン電極の他方である導電体516aと絶縁体511を介して重
なる導電体514に達する開口部と、トランジスタ3300のゲート電極である導電体5
04に達する開口部と、トランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の他方で
ある導電体516aを通って、導電体474cに達する開口部と、を有する。また、開口
部には、それぞれ導電体496a、導電体496b、導電体496cまたは導電体496
dが埋め込まれている。ただし、それぞれの開口部は、さらにトランジスタ3300など
の構成要素のいずれかを介する場合がある。
【0272】
また、絶縁体494は、導電体496aに達する開口部と、導電体496bに達する開口
部と、導電体496cに達する開口部と、導電体496dに達する開口部と、を有する。
また、開口部には、それぞれ導電体498a、導電体498b、導電体498cまたは導
電体498dが埋め込まれている。
【0273】
絶縁体464、絶縁体466、絶縁体468、絶縁体490、絶縁体492または絶縁体
494の一以上は、水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体を有
することが好ましい。トランジスタ3300の近傍に、水素などの不純物および酸素をブ
ロックする機能を有する絶縁体を配置することによって、トランジスタ3300の電気特
性を安定にすることができる。
【0274】
導電体498dとしては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アル
ミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イッ
トリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルお
よびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば
、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電
体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタン
および窒素を含む導電体などを用いてもよい。
【0275】
トランジスタ3200のソースまたはドレインは、導電体480bと、導電体478bと
、導電体476aと、導電体474bと、導電体496cと、を介してトランジスタ33
00のソース電極またはドレイン電極の一方である導電体516bと電気的に接続する。
また、トランジスタ3200のゲート電極である導電体454は、導電体480cと、導
電体478cと、導電体476bと、導電体474cと、導電体496dと、を介してト
ランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の他方である導電体516aと電気
的に接続する。
【0276】
容量素子3400は、トランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の他方と電
気的に接続する電極と、導電体514と、絶縁体511と、を有する。なお、絶縁体51
1は、トランジスタ3300のゲート絶縁体として機能する絶縁体512と同一工程を経
て形成できるため、生産性を高めることができて好ましい場合がある。また、導電体51
4として、トランジスタ3300のゲート電極として機能する導電体504と同一工程を
経て形成した層を用いると、生産性を高めることができて好ましい場合がある。
【0277】
そのほかの構造については、適宜図25などについての記載を参酌することができる。
【0278】
なお、図30に示す半導体装置は、図29に示した半導体装置のトランジスタ3200の
構造が異なるのみである。よって、図30に示す半導体装置については、図29に示した
半導体装置の記載を参酌する。具体的には、図30に示す半導体装置は、トランジスタ3
200がFin型である場合を示している。Fin型であるトランジスタ3200につい
ては、図26に示したトランジスタ2200の記載を参照する。なお、図26では、トラ
ンジスタ2200がpチャネル型トランジスタである場合について説明したが、トランジ
スタ3200がnチャネル型トランジスタであっても構わない。
【0279】
また、図31に示す半導体装置は、図29に示した半導体装置のトランジスタ3200の
構造が異なるのみである。よって、図31に示す半導体装置については、図29に示した
半導体装置の記載を参酌する。具体的には、図31に示す半導体装置は、トランジスタ3
200がSOI基板である半導体基板450に設けられた場合を示している。SOI基板
である半導体基板450に設けられたトランジスタ3200については、図27に示した
トランジスタ2200の記載を参照する。なお、図27では、トランジスタ2200がp
チャネル型トランジスタである場合について説明したが、トランジスタ3200がnチャ
ネル型トランジスタであっても構わない。
【0280】
<撮像装置>
以下では、本発明の一態様に係る撮像装置について説明する。
【0281】
図32(A)は、本発明の一態様に係る撮像装置200の例を示す平面図である。撮像装
置200は、画素部210と、画素部210を駆動するための周辺回路260と、周辺回
路270、周辺回路280と、周辺回路290と、を有する。画素部210は、p行q列
(pおよびqは2以上の整数)のマトリクス状に配置された複数の画素211を有する。
周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280および周辺回路290は、それぞれ複
数の画素211に接続し、複数の画素211を駆動するための信号を供給する機能を有す
る。なお、本明細書等において、周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280およ
び周辺回路290などの全てを指して「周辺回路」または「駆動回路」と呼ぶ場合がある
。例えば、周辺回路260は周辺回路の一部といえる。
【0282】
また、撮像装置200は、光源291を有することが好ましい。光源291は、検出光P
1を放射することができる。
【0283】
また、周辺回路は、少なくとも、論理回路、スイッチ、バッファ、増幅回路、または変換
回路の1つを有する。また、周辺回路は、画素部210を形成する基板上に作製してもよ
い。また、周辺回路の一部または全部にICチップ等の半導体装置を用いてもよい。なお
、周辺回路は、周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280および周辺回路290
のいずれか一以上を省略してもよい。
【0284】
また、図32(B)に示すように、撮像装置200が有する画素部210において、画素
211を傾けて配置してもよい。画素211を傾けて配置することにより、行方向および
列方向の画素間隔(ピッチ)を短くすることができる。これにより、撮像装置200にお
ける撮像の品質をより高めることができる。
【0285】
<画素の構成例1>
撮像装置200が有する1つの画素211を複数の副画素212で構成し、それぞれの副
画素212に特定の波長帯域の光を透過するフィルタ(カラーフィルタ)を組み合わせる
ことで、カラー画像表示を実現するための情報を取得することができる。
【0286】
図33(A)は、カラー画像を取得するための画素211の一例を示す平面図である。図
33(A)に示す画素211は、赤(R)の波長帯域の光を透過するカラーフィルタが設
けられた副画素212(以下、「副画素212R」ともいう)、緑(G)の波長帯域の光
を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212(以下、「副画素212G」ともい
う)および青(B)の波長帯域の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212
(以下、「副画素212B」ともいう)を有する。副画素212は、フォトセンサとして
機能させることができる。
【0287】
副画素212(副画素212R、副画素212G、および副画素212B)は、配線23
1、配線247、配線248、配線249、配線250と電気的に接続される。また、副
画素212R、副画素212G、および副画素212Bは、それぞれが独立した配線25
3に接続している。また、本明細書等において、例えばn行目(nは1以上p以下の整数
)の画素211に接続された配線248および配線249を、それぞれ配線248[n]
および配線249[n]と記載する。また、例えばm列目(mは1以上q以下の整数)の
画素211に接続された配線253を、配線253[m]と記載する。なお、図33(A
)において、m列目の画素211が有する副画素212Rに接続する配線253を配線2
53[m]R、副画素212Gに接続する配線253を配線253[m]G、および副画
素212Bに接続する配線253を配線253[m]Bと記載している。副画素212は
、上記配線を介して周辺回路と電気的に接続される。
【0288】
また、撮像装置200は、隣接する画素211の、同じ波長帯域の光を透過するカラーフ
ィルタが設けられた副画素212同士がスイッチを介して電気的に接続する構成を有する
図33(B)に、n行m列に配置された画素211が有する副画素212と、該画素2
11に隣接するn+1行m列に配置された画素211が有する副画素212の接続例を示
す。図33(B)において、n行m列に配置された副画素212Rと、n+1行m列に配
置された副画素212Rがスイッチ201を介して接続されている。また、n行m列に配
置された副画素212Gと、n+1行m列に配置された副画素212Gがスイッチ202
を介して接続されている。また、n行m列に配置された副画素212Bと、n+1行m列
に配置された副画素212Bがスイッチ203を介して接続されている。
【0289】
なお、副画素212に用いるカラーフィルタは、赤(R)、緑(G)、青(B)に限定さ
れず、それぞれシアン(C)、黄(Y)およびマゼンダ(M)の光を透過するカラーフィ
ルタを用いてもよい。1つの画素211に3種類の異なる波長帯域の光を検出する副画素
212を設けることで、フルカラー画像を取得することができる。
【0290】
または、それぞれ赤(R)、緑(G)および青(B)の光を透過するカラーフィルタが設
けられた副画素212に加えて、黄(Y)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副
画素212を有する画素211を用いてもよい。または、それぞれシアン(C)、黄(Y
)およびマゼンダ(M)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212に加え
て、青(B)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212を有する画素21
1を用いてもよい。1つの画素211に4種類の異なる波長帯域の光を検出する副画素2
12を設けることで、取得した画像の色の再現性をさらに高めることができる。
【0291】
また、例えば、図33(A)において、赤の波長帯域を検出する副画素212、緑の波長
帯域を検出する副画素212、および青の波長帯域を検出する副画素212の画素数比(
または受光面積比)は、1:1:1でなくても構わない。例えば、画素数比(受光面積比
)を赤:緑:青=1:2:1とするBayer配列としてもよい。または、画素数比(受
光面積比)を赤:緑:青=1:6:1としてもよい。
【0292】
なお、画素211に設ける副画素212は1つでもよいが、2つ以上が好ましい。例えば
、同じ波長帯域を検出する副画素212を2つ以上設けることで、冗長性を高め、撮像装
置200の信頼性を高めることができる。
【0293】
また、可視光を吸収または反射して、赤外光を透過するIR(IR:Infrared)
フィルタを用いることで、赤外光を検出する撮像装置200を実現することができる。
【0294】
また、ND(ND:Neutral Density)フィルタ(減光フィルタ)を用い
ることで、光電変換素子(受光素子)に大光量光が入射した時に生じる出力飽和すること
を防ぐことができる。減光量の異なるNDフィルタを組み合わせて用いることで、撮像装
置のダイナミックレンジを大きくすることができる。
【0295】
また、前述したフィルタ以外に、画素211にレンズを設けてもよい。ここで、図34
断面図を用いて、画素211、フィルタ254、レンズ255の配置例を説明する。レン
ズ255を設けることで、光電変換素子が入射光を効率よく受光することができる。具体
的には、図34(A)に示すように、画素211に形成したレンズ255、フィルタ25
4(フィルタ254R、フィルタ254Gおよびフィルタ254B)、および画素回路2
30等を通して光256を光電変換素子220に入射させる構造とすることができる。
【0296】
ただし、一点鎖線で囲んだ領域に示すように、矢印で示す光256の一部が配線257の
一部によって遮光されてしまうことがある。したがって、図34(B)に示すように光電
変換素子220側にレンズ255およびフィルタ254を配置して、光電変換素子220
が光256を効率良く受光させる構造が好ましい。光電変換素子220側から光256を
光電変換素子220に入射させることで、検出感度の高い撮像装置200を提供すること
ができる。
【0297】
図34に示す光電変換素子220として、pn型接合またはpin型の接合が形成された
光電変換素子を用いてもよい。
【0298】
また、光電変換素子220を、放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質を用
いて形成してもよい。放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質としては、セ
レン、ヨウ化鉛、ヨウ化水銀、ヒ化ガリウム、テルル化カドミウム、カドミウム亜鉛合金
等がある。
【0299】
例えば、光電変換素子220にセレンを用いると、可視光や、紫外光、赤外光に加えて、
X線や、ガンマ線といった幅広い波長帯域にわたって光吸収係数を有する光電変換素子2
20を実現できる。
【0300】
ここで、撮像装置200が有する1つの画素211は、図33に示す副画素212に加え
て、第1のフィルタを有する副画素212を有してもよい。
【0301】
<画素の構成例2>
以下では、シリコンを用いたトランジスタと、酸化物半導体を用いたトランジスタと、を
用いて画素を構成する一例について説明する。
【0302】
図35(A)、図35(B)は、撮像装置を構成する素子の断面図である。図35(A)
に示す撮像装置は、シリコン基板300に設けられたシリコンを用いたトランジスタ35
1、トランジスタ351上に積層して配置された酸化物半導体を用いたトランジスタ35
2およびトランジスタ353、ならびにシリコン基板300に設けられたフォトダイオー
ド360を含む。各トランジスタおよびフォトダイオード360は、種々のプラグ370
および配線371と電気的な接続を有する。また、フォトダイオード360のアノード3
61は、低抵抗領域363を介してプラグ370と電気的に接続を有する。
【0303】
また撮像装置は、シリコン基板300に設けられたトランジスタ351およびフォトダイ
オード360を有する層310と、層310と接して設けられ、配線371を有する層3
20と、層320と接して設けられ、トランジスタ352およびトランジスタ353を有
する層330と、層330と接して設けられ、配線372および配線373を有する層3
40を備えている。
【0304】
なお図35(A)の断面図の一例では、シリコン基板300において、トランジスタ35
1が形成された面とは逆側の面にフォトダイオード360の受光面を有する構成とする。
該構成とすることで、各種トランジスタや配線などの影響を受けずに光路を確保すること
ができる。そのため、高開口率の画素を形成することができる。なお、フォトダイオード
360の受光面をトランジスタ351が形成された面と同じとすることもできる。
【0305】
なお、酸化物半導体を用いたトランジスタのみを用いて画素を構成する場合には、層31
0を、酸化物半導体を用いたトランジスタを有する層とすればよい。または層310を省
略し、酸化物半導体を用いたトランジスタのみで画素を構成してもよい。
【0306】
なおシリコンを用いたトランジスタのみを用いて画素を構成する場合には、層330を省
略すればよい。層330を省略した断面図の一例を図35(B)に示す。
【0307】
なお、シリコン基板300は、SOI基板であってもよい。また、シリコン基板300に
替えて、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ヒ化ガリウム、ヒ化アル
ミニウムガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウムまたは有機半導体を有する基板を用
いることもできる。
【0308】
ここで、トランジスタ351およびフォトダイオード360を有する層310と、トラン
ジスタ352およびトランジスタ353を有する層330と、の間には絶縁体380が設
けられる。ただし、絶縁体380の位置は限定されない。
【0309】
トランジスタ351のチャネル形成領域近傍に設けられる絶縁体中の水素はシリコンのダ
ングリングボンドを終端し、トランジスタ351の信頼性を向上させる効果がある。一方
、トランジスタ352およびトランジスタ353などの近傍に設けられる絶縁体中の水素
は、酸化物半導体中にキャリアを生成する要因の一つとなる。そのため、トランジスタ3
52およびトランジスタ353などの信頼性を低下させる要因となる場合がある。したが
って、シリコン系半導体を用いたトランジスタの上層に酸化物半導体を用いたトランジス
タを積層して設ける場合、これらの間に水素をブロックする機能を有する絶縁体380を
設けることが好ましい。絶縁体380より下層に水素を閉じ込めることで、トランジスタ
351の信頼性が向上させることができる。さらに、絶縁体380より下層から、絶縁体
380より上層に水素が拡散することを抑制できるため、トランジスタ352およびトラ
ンジスタ353などの信頼性を向上させることができる。
【0310】
絶縁体380としては、例えば、酸素または水素をブロックする機能を有する絶縁体を用
いる。
【0311】
また、図35(A)の断面図において、層310に設けるフォトダイオード360と、層
330に設けるトランジスタとを重なるように形成することができる。そうすると、画素
の集積度を高めることができる。すなわち、撮像装置の解像度を高めることができる。
【0312】
また、図36(A1)および図36(B1)に示すように、撮像装置の一部または全部を
湾曲させてもよい。図36(A1)は、撮像装置を同図中の一点鎖線X1-X2の方向に
湾曲させた状態を示している。図36(A2)は、図36(A1)中の一点鎖線X1-X
2で示した部位の断面図である。図36(A3)は、図36(A1)中の一点鎖線Y1-
Y2で示した部位の断面図である。
【0313】
図36(B1)は、撮像装置を同図中の一点鎖線X3-X4の方向に湾曲させ、かつ、同
図中の一点鎖線Y3-Y4の方向に湾曲させた状態を示している。図36(B2)は、図
36(B1)中の一点鎖線X3-X4で示した部位の断面図である。図36(B3)は、
図36(B1)中の一点鎖線Y3-Y4で示した部位の断面図である。
【0314】
撮像装置を湾曲させることで、像面湾曲や非点収差を低減することができる。よって、撮
像装置と組み合わせて用いるレンズなどの光学設計を容易とすることができる。例えば、
収差補正のためのレンズ枚数を低減できるため、撮像装置を用いた電子機器などの小型化
や軽量化を実現することができる。また、撮像された画像の品質を向上させる事ができる
【0315】
<CPU>
以下では、上述したトランジスタや上述した記憶装置などの半導体装置を含むCPUにつ
いて説明する。
【0316】
図37は、上述したトランジスタを一部に用いたCPUの一例の構成を示すブロック図で
ある。
【0317】
図37に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmet
ic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラク
ションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ
1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1
198、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェース1189を有し
ている。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM1
199およびROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、
図37に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその
用途によって多種多様な構成を有している。例えば、図37に示すCPUまたは演算回路
を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み、それぞれのコアが並列で動作するよ
うな構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は、
例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
【0318】
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクション
デコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタ
ラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ
1195に入力される。
【0319】
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントロー
ラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制
御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御する
ための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラ
ム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク
状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアド
レスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう。
【0320】
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ119
2、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、および
レジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタ
イミングコントローラ1195は、基準クロック信号を元に、内部クロック信号を生成す
る内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号を上記各種回路に供給する。
【0321】
図37に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジスタ
1196のメモリセルとして、上述したトランジスタや記憶装置などを用いることができ
る。
【0322】
図37に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの
指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。即ち、レジスタ1196
が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量素子
によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が選択
されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる。容
量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが行
われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる。
【0323】
図38は、レジスタ1196として用いることのできる記憶素子1200の回路図の一例
である。記憶素子1200は、電源遮断で記憶データが揮発する回路1201と、電源遮
断で記憶データが揮発しない回路1202と、スイッチ1203と、スイッチ1204と
、論理素子1206と、容量素子1207と、選択機能を有する回路1220と、を有す
る。回路1202は、容量素子1208と、トランジスタ1209と、トランジスタ12
10と、を有する。なお、記憶素子1200は、必要に応じて、ダイオード、抵抗素子、
インダクタなどのその他の素子をさらに有していてもよい。
【0324】
ここで、回路1202には、上述した記憶装置を用いることができる。記憶素子1200
への電源電圧の供給が停止した際、回路1202のトランジスタ1209のゲートにはG
ND(0V)、またはトランジスタ1209がオフする電位が入力され続ける構成とする
。例えば、トランジスタ1209のゲートが抵抗等の負荷を介して接地される構成とする
【0325】
スイッチ1203は、一導電型(例えば、nチャネル型)のトランジスタ1213を用い
て構成され、スイッチ1204は、一導電型とは逆の導電型(例えば、pチャネル型)の
トランジスタ1214を用いて構成した例を示す。ここで、スイッチ1203の第1の端
子はトランジスタ1213のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ1203の第2
の端子はトランジスタ1213のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ1203は
トランジスタ1213のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2の
端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ1213の導通状態または非導通状
態)が選択される。スイッチ1204の第1の端子はトランジスタ1214のソースとド
レインの一方に対応し、スイッチ1204の第2の端子はトランジスタ1214のソース
とドレインの他方に対応し、スイッチ1204はトランジスタ1214のゲートに入力さ
れる制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、
トランジスタ1214の導通状態または非導通状態)が選択される。
【0326】
トランジスタ1209のソースとドレインの一方は、容量素子1208の一対の電極のう
ちの一方、およびトランジスタ1210のゲートと電気的に接続される。ここで、接続部
分をノードM2とする。トランジスタ1210のソースとドレインの一方は、低電源電位
を供給することのできる配線(例えばGND線)に電気的に接続され、他方は、スイッチ
1203の第1の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの一方)と電気的に接
続される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの
他方)はスイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一
方)と電気的に接続される。スイッチ1204の第2の端子(トランジスタ1214のソ
ースとドレインの他方)は電源電位VDDを供給することのできる配線と電気的に接続さ
れる。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方
)と、スイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一方
)と、論理素子1206の入力端子と、容量素子1207の一対の電極のうちの一方と、
は電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM1とする。容量素子1207の一対
の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電
源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる
。容量素子1207の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配
線(例えばGND線)と電気的に接続される。容量素子1208の一対の電極のうちの他
方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等
)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子120
8の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND
線)と電気的に接続される。
【0327】
なお、容量素子1207および容量素子1208は、トランジスタや配線の寄生容量等を
積極的に利用することによって省略することも可能である。
【0328】
トランジスタ1209のゲートには、制御信号WEが入力される。スイッチ1203およ
びスイッチ1204は、制御信号WEとは異なる制御信号RDによって第1の端子と第2
の端子の間の導通状態または非導通状態を選択され、一方のスイッチの第1の端子と第2
の端子の間が導通状態のとき他方のスイッチの第1の端子と第2の端子の間は非導通状態
となる。
【0329】
トランジスタ1209のソースとドレインの他方には、回路1201に保持されたデータ
に対応する信号が入力される。図38では、回路1201から出力された信号が、トラン
ジスタ1209のソースとドレインの他方に入力される例を示した。スイッチ1203の
第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号は、
論理素子1206によってその論理値が反転された反転信号となり、回路1220を介し
て回路1201に入力される。
【0330】
なお、図38では、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとド
レインの他方)から出力される信号は、論理素子1206および回路1220を介して回
路1201に入力する例を示したがこれに限定されない。スイッチ1203の第2の端子
(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号が、論理値を反
転させられることなく、回路1201に入力されてもよい。例えば、回路1201内に、
入力端子から入力された信号の論理値が反転した信号が保持されるノードが存在する場合
に、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)
から出力される信号を当該ノードに入力することができる。
【0331】
また、図38において、記憶素子1200に用いられるトランジスタのうち、トランジス
タ1209以外のトランジスタは、酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板119
0にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。例えば、シリコン膜または
シリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。また、記憶素子
1200に用いられるトランジスタ全てを、チャネルが酸化物半導体で形成されるトラン
ジスタとすることもできる。または、記憶素子1200は、トランジスタ1209以外に
も、チャネルが酸化物半導体で形成されるトランジスタを含んでいてもよく、残りのトラ
ンジスタは酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形成され
るトランジスタとすることもできる。
【0332】
図38における回路1201には、例えばフリップフロップ回路を用いることができる。
また、論理素子1206としては、例えばインバータやクロックドインバータ等を用いる
ことができる。
【0333】
本発明の一態様に係る半導体装置では、記憶素子1200に電源電圧が供給されない間は
、回路1201に記憶されていたデータを、回路1202に設けられた容量素子1208
によって保持することができる。
【0334】
また、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタはオフ電流が極めて小さい。例
えば、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流は、結晶性を有する
シリコンにチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流に比べて著しく低い。そのため
、当該トランジスタをトランジスタ1209として用いることによって、記憶素子120
0に電源電圧が供給されない間も容量素子1208に保持された信号は長期間にわたり保
たれる。こうして、記憶素子1200は電源電圧の供給が停止した間も記憶内容(データ
)を保持することが可能である。
【0335】
また、スイッチ1203およびスイッチ1204を設けることによって、プリチャージ動
作を行うことを特徴とする記憶素子であるため、電源電圧供給再開後に、回路1201が
元のデータを保持しなおすまでの時間を短くすることができる。
【0336】
また、回路1202において、容量素子1208によって保持された信号はトランジスタ
1210のゲートに入力される。そのため、記憶素子1200への電源電圧の供給が再開
された後、容量素子1208によって保持された信号を、トランジスタ1210の状態(
導通状態、または非導通状態)に変換して、回路1202から読み出すことができる。そ
れ故、容量素子1208に保持された信号に対応する電位が多少変動していても、元の信
号を正確に読み出すことが可能である。
【0337】
このような記憶素子1200を、プロセッサが有するレジスタやキャッシュメモリなどの
記憶装置に用いることで、電源電圧の供給停止による記憶装置内のデータの消失を防ぐこ
とができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復帰
することができる。よって、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、また
は複数の論理回路において、短い時間でも電源停止を行うことができるため、消費電力を
抑えることができる。
【0338】
記憶素子1200をCPUに用いる例として説明したが、記憶素子1200は、DSP(
Digital Signal Processor)、カスタムLSI、PLD(Pr
ogrammable Logic Device)等のLSI、RF(Radio F
requency)デバイスにも応用可能である。
【0339】
<表示装置>
以下では、本発明の一態様に係る表示装置について、図39および図40を用いて説明す
る。
【0340】
表示装置に用いられる表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう。)、発光素子
(発光表示素子ともいう。)などを用いることができる。発光素子は、電流または電圧に
よって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Elect
roluminescence)、有機ELなどを含む。以下では、表示装置の一例とし
てEL素子を用いた表示装置(EL表示装置)および液晶素子を用いた表示装置(液晶表
示装置)について説明する。
【0341】
なお、以下に示す表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコ
ントローラを含むICなどを実装した状態にあるモジュールとを含む。
【0342】
また、以下に示す表示装置は画像表示デバイス、または光源(照明装置含む)を指す。ま
た、コネクター、例えばFPC、TCPが取り付けられたモジュール、TCPの先にプリ
ント基板を有するモジュールまたは表示素子にCOG方式によりIC(集積回路)が直接
実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0343】
図39は、本発明の一態様に係るEL表示装置の一例である。図39(A)に、EL表示
装置の画素の回路図を示す。図39(B)は、EL表示装置全体を示す上面図である。ま
た、図39(C)は、図39(B)の一点鎖線M-Nの一部に対応するM-N断面である
【0344】
図39(A)は、EL表示装置に用いられる画素の回路図の一例である。
【0345】
なお、本明細書等においては、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(
容量素子、抵抗素子など)などが有するすべての端子について、その接続先を特定しなく
ても、当業者であれば、発明の一態様を構成することは可能な場合がある。つまり、接続
先を特定しなくても、発明の一態様が明確であるといえる。そして、接続先が特定された
内容が、本明細書等に記載されている場合、接続先を特定しない発明の一態様が、本明細
書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。特に、端子の接続先として複
数の箇所が想定される場合には、その端子の接続先を特定の箇所に限定する必要はない。
したがって、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗素
子など)などが有する一部の端子についてのみ、その接続先を特定することによって、発
明の一態様を構成することが可能な場合がある。
【0346】
なお、本明細書等においては、ある回路について、少なくとも接続先を特定すれば、当業
者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。または、ある回路について、少な
くとも機能を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。つ
まり、機能を特定すれば、発明の一態様が明確であるといえる。そして、機能が特定され
た発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。し
たがって、ある回路について、機能を特定しなくても、接続先を特定すれば、発明の一態
様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。または
、ある回路について、接続先を特定しなくても、機能を特定すれば、発明の一態様として
開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。
【0347】
図39(A)に示すEL表示装置は、スイッチ素子743と、トランジスタ741と、容
量素子742と、発光素子719と、を有する。
【0348】
なお、図39(A)などは、回路構成の一例であるため、さらに、トランジスタを追加す
ることが可能である。逆に、図39(A)の各ノードにおいて、トランジスタ、スイッチ
、受動素子などを追加しないようにすることも可能である。
【0349】
トランジスタ741のゲートはスイッチ素子743の一端および容量素子742の一方の
電極と電気的に接続される。トランジスタ741のソースは容量素子742の他方の電極
と電気的に接続され、発光素子719の一方の電極と電気的に接続される。トランジスタ
741のドレインは電源電位VDDが与えられる。スイッチ素子743の他端は信号線7
44と電気的に接続される。発光素子719の他方の電極は定電位が与えられる。なお、
定電位は接地電位GNDまたはそれより小さい電位とする。
【0350】
スイッチ素子743としては、トランジスタを用いると好ましい。トランジスタを用いる
ことで、画素の面積を小さくでき、解像度の高いEL表示装置とすることができる。また
、スイッチ素子743として、トランジスタ741と同一工程を経て作製されたトランジ
スタを用いると、EL表示装置の生産性を高めることができる。なお、トランジスタ74
1または/およびスイッチ素子743としては、例えば、上述したトランジスタを適用す
ることができる。
【0351】
図39(B)は、EL表示装置の上面図である。EL表示装置は、基板700と、基板7
50と、シール材734と、駆動回路735と、駆動回路736と、画素737と、FP
C732と、を有する。シール材734は、画素737、駆動回路735および駆動回路
736を囲むように基板700と基板750との間に配置される。なお、駆動回路735
または/および駆動回路736をシール材734の外側に配置しても構わない。
【0352】
図39(C)は、図39(B)の一点鎖線M-Nの一部に対応するEL表示装置の断面図
である。
【0353】
図39(C)には、トランジスタ741として、基板700上の導電体704aと、導電
体704a上の絶縁体712aと、絶縁体712a上の絶縁体712bと、絶縁体712
b上にあり導電体704aと重なる半導体706aおよび半導体706bと、半導体70
6aおよび半導体706bと接する導電体716aおよび導電体716bと、半導体70
6b上、導電体716a上および導電体716b上の絶縁体718aと、絶縁体718a
上の絶縁体718bと、絶縁体718b上の絶縁体718cと、絶縁体718c上にあり
半導体706bと重なる導電体714aと、を有する構造を示す。なお、トランジスタ7
41の構造は一例であり、図39(C)に示す構造と異なる構造であっても構わない。
【0354】
したがって、図39(C)に示すトランジスタ741において、導電体704aはゲート
電極としての機能を有し、絶縁体712aおよび絶縁体712bはゲート絶縁体としての
機能を有し、導電体716aはソース電極としての機能を有し、導電体716bはドレイ
ン電極としての機能を有し、絶縁体718a、絶縁体718bおよび絶縁体718cはゲ
ート絶縁体としての機能を有し、導電体714aはゲート電極としての機能を有する。な
お、半導体706aおよび706bは、光が当たることで電気特性が変動する場合がある
。したがって、導電体704a、導電体716a、導電体716b、導電体714aのい
ずれか一以上が遮光性を有すると好ましい。
【0355】
なお、絶縁体718aおよび絶縁体718bの界面を破線で表したが、これは両者の境界
が明確でない場合があることを示す。例えば、絶縁体718aおよび絶縁体718bとし
て、同種の絶縁体を用いた場合、観察手法によっては両者の区別が付かない場合がある。
【0356】
図39(C)には、容量素子742として、基板上の導電体704bと、導電体704b
上の絶縁体712aと、絶縁体712a上の絶縁体712bと、絶縁体712b上にあり
導電体704bと重なる導電体716aと、導電体716a上の絶縁体718aと、絶縁
体718a上の絶縁体718bと、絶縁体718b上の絶縁体718cと、絶縁体718
c上にあり導電体716aと重なる導電体714bと、を有し、導電体716aおよび導
電体714bの重なる領域で、絶縁体718aおよび絶縁体718bの一部が除去されて
いる構造を示す。
【0357】
容量素子742において、導電体704bおよび導電体714bは一方の電極として機能
し、導電体716aは他方の電極として機能する。
【0358】
したがって、容量素子742は、トランジスタ741と共通する膜を用いて作製すること
ができる。また、導電体704aおよび導電体704bを同種の導電体とすると好ましい
。その場合、導電体704aおよび導電体704bは、同一工程を経て形成することがで
きる。また、導電体714aおよび導電体714bを同種の導電体とすると好ましい。そ
の場合、導電体714aおよび導電体714bは、同一工程を経て形成することができる
【0359】
図39(C)に示す容量素子742は、占有面積当たりの容量が大きい容量素子である。
したがって、図39(C)は表示品位の高いEL表示装置である。なお、図39(C)に
示す容量素子742は、導電体716aおよび導電体714bの重なる領域を薄くするた
め、絶縁体718aおよび絶縁体718bの一部が除去された構造を有するが、本発明の
一態様に係る容量素子はこれに限定されるものではない。例えば、導電体716aおよび
導電体714bの重なる領域を薄くするため、絶縁体718cの一部が除去された構造を
有しても構わない。
【0360】
トランジスタ741および容量素子742上には、絶縁体720が配置される。ここで、
絶縁体720は、トランジスタ741のソース電極として機能する導電体716aに達す
る開口部を有してもよい。絶縁体720上には、導電体781が配置される。導電体78
1は、絶縁体720の開口部を介してトランジスタ741と電気的に接続してもよい。
【0361】
導電体781上には、導電体781に達する開口部を有する隔壁784が配置される。隔
壁784上には、隔壁784の開口部で導電体781と接する発光層782が配置される
。発光層782上には、導電体783が配置される。導電体781、発光層782および
導電体783の重なる領域が、発光素子719となる。
【0362】
ここまでは、EL表示装置の例について説明した。次に、液晶表示装置の例について説明
する。
【0363】
図40(A)は、液晶表示装置の画素の構成例を示す回路図である。図40に示す画素は
、トランジスタ751と、容量素子752と、一対の電極間に液晶の充填された素子(液
晶素子)753とを有する。
【0364】
トランジスタ751では、ソース、ドレインの一方が信号線755に電気的に接続され、
ゲートが走査線754に電気的に接続されている。
【0365】
容量素子752では、一方の電極がトランジスタ751のソース、ドレインの他方に電気
的に接続され、他方の電極が共通電位を供給する配線に電気的に接続されている。
【0366】
液晶素子753では、一方の電極がトランジスタ751のソース、ドレインの他方に電気
的に接続され、他方の電極が共通電位を供給する配線に電気的に接続されている。なお、
上述した容量素子752の他方の電極が電気的に接続する配線に与えられる共通電位と、
液晶素子753の他方の電極に与えられる共通電位とが異なる電位であってもよい。
【0367】
なお、液晶表示装置も、上面図はEL表示装置と同様として説明する。図39(B)の一
点鎖線M-Nに対応する液晶表示装置の断面図を図40(B)に示す。図40(B)にお
いて、FPC732は、端子731を介して配線733aと接続される。なお、配線73
3aは、トランジスタ751を構成する導電体または半導体のいずれかと同種の導電体ま
たは半導体を用いてもよい。
【0368】
トランジスタ751は、トランジスタ741についての記載を参照する。また、容量素子
752は、容量素子742についての記載を参照する。なお、図40(B)には、図39
(C)の容量素子742に対応した容量素子752の構造を示したが、これに限定されな
い。
【0369】
なお、トランジスタ751の半導体に酸化物半導体を用いた場合、極めてオフ電流の小さ
いトランジスタとすることができる。したがって、容量素子752に保持された電荷がリ
ークしにくく、長期間に渡って液晶素子753に印加される電圧を維持することができる
。そのため、動きの少ない動画や静止画の表示の際に、トランジスタ751をオフ状態と
することで、トランジスタ751の動作のための電力が不要となり、消費電力の小さい液
晶表示装置とすることができる。また、容量素子752の占有面積を小さくできるため、
開口率の高い液晶表示装置、または高精細化した液晶表示装置を提供することができる。
【0370】
トランジスタ751および容量素子752上には、絶縁体721が配置される。ここで、
絶縁体721は、トランジスタ751に達する開口部を有する。絶縁体721上には、導
電体791が配置される。導電体791は、絶縁体721の開口部を介してトランジスタ
751と電気的に接続する。
【0371】
導電体791上には、配向膜として機能する絶縁体792が配置される。絶縁体792上
には、液晶層793が配置される。液晶層793上には、配向膜として機能する絶縁体7
94が配置される。絶縁体794上には、スペーサ795が配置される。スペーサ795
および絶縁体794上には、導電体796が配置される。導電体796上には、基板79
7が配置される。
【0372】
上述した構造を有することで、占有面積の小さい容量素子を有する表示装置を提供するこ
とができる、または、表示品位の高い表示装置を提供することができる。または、高精細
の表示装置を提供することができる。
【0373】
例えば、本明細書等において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光素
子、および発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、または様
々な素子を有することができる。表示素子、表示装置、発光素子または発光装置は、例え
ば、白色、赤色、緑色または青色などの発光ダイオード(LED:Light Emit
ting Diode)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放
出素子、液晶素子、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)
、プラズマディスプレイ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・シ
ステム)を用いた表示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジ
タル・マイクロ・シャッター)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)
素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、エレクトロ
ウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブを用いた表示
素子などの少なくとも一つを有している。これらの他にも、電気的または磁気的作用によ
り、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有していてもよい。
【0374】
EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子
を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)また
はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface-conduction E
lectron-emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示
装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディス
プレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)
などがある。電子インク、または電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペ
ーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現す
る場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにす
ればよい。例えば、画素電極の一部または全部が、アルミニウム、銀、などを有するよう
にすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けるこ
とも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。
【0375】
なお、LEDを用いる場合、LEDの電極や窒化物半導体の下に、グラフェンやグラファ
イトを配置してもよい。グラフェンやグラファイトは、複数の層を重ねて、多層膜として
もよい。このように、グラフェンやグラファイトを設けることにより、その上に、窒化物
半導体、例えば、結晶を有するn型GaN半導体などを容易に成膜することができる。さ
らに、その上に、結晶を有するp型GaN半導体などを設けて、LEDを構成することが
できる。なお、グラフェンやグラファイトと、結晶を有するn型GaN半導体との間に、
AlN層を設けてもよい。なお、LEDが有するGaN半導体は、MOCVDで成膜して
もよい。ただし、グラフェンを設けることにより、LEDが有するGaN半導体は、スパ
ッタリング法で成膜することも可能である。
【0376】
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備
えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc
等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いること
ができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器と
して、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ
、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプ
レイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオ
プレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ
払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図41に示
す。
【0377】
図41(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示部
904、マイクロフォン905、スピーカー906、操作キー907、スタイラス908
等を有する。なお、図41(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903と表示
部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない
【0378】
図41(B)は携帯データ端末であり、第1筐体911、第2筐体912、第1表示部9
13、第2表示部914、接続部915、操作キー916等を有する。第1表示部913
は第1筐体911に設けられており、第2表示部914は第2筐体912に設けられてい
る。そして、第1筐体911と第2筐体912とは、接続部915により接続されており
、第1筐体911と第2筐体912の間の角度は、接続部915により変更が可能である
。第1表示部913における映像を、接続部915における第1筐体911と第2筐体9
12との間の角度にしたがって、切り替える構成としてもよい。また、第1表示部913
および第2表示部914の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表
示装置を用いるようにしてもよい。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッ
チパネルを設けることで付加することができる。または、位置入力装置としての機能は、
フォトセンサとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加する
ことができる。
【0379】
図41(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体921、表示部922、キ
ーボード923、ポインティングデバイス924等を有する。
【0380】
図41(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体931、冷蔵室用扉932、冷凍室用扉93
3等を有する。
【0381】
図41(E)はビデオカメラであり、第1筐体941、第2筐体942、表示部943、
操作キー944、レンズ945、接続部946等を有する。操作キー944およびレンズ
945は第1筐体941に設けられており、表示部943は第2筐体942に設けられて
いる。そして、第1筐体941と第2筐体942とは、接続部946により接続されてお
り、第1筐体941と第2筐体942の間の角度は、接続部946により変更が可能であ
る。表示部943における映像を、接続部946における第1筐体941と第2筐体94
2との間の角度にしたがって切り替える構成としてもよい。
【0382】
図41(F)は自動車であり、車体951、車輪952、ダッシュボード953、ライト
954等を有する。
【0383】
以上のように、本実施の形態において本発明の一態様について説明した。ただし、本発明
の一態様は、これらに限定されない。例えば、半導体406bなどの半導体がフッ素を有
する場合の例を示したが、これに限定されない。場合によっては、半導体406bなどの
半導体がフッ素以外の元素を有していてもよい。または、場合によっては、半導体406
bなどの半導体がフッ素を有さなくてもよい。
【実施例0384】
本実施例では、酸化物半導体膜にフッ素を添加し、酸化物半導体膜中のフッ素濃度を調査
した結果について説明する。
【0385】
試料は、シリコン基板に厚さが100nmの酸化シリコンを熱酸化法によって形成し、そ
の後、酸化物半導体膜としてIn-Ga-Zn-O(原子数比In:Ga:Zn=1:1
:1)ターゲットを用いたスパッタリング法によって、IGZO膜を100nmの厚さで
形成して作製した。
【0386】
作製した試料に対し、イオン注入法により、1.0×1015ions/cmおよび1
.0×1016ions/cmのドーズ量でフッ素イオン(19)を添加した。な
お、加速電圧は20kVとした。このときのフッ素の深さ方向の添加量をSIMSによっ
て調べた結果を図42に示す。
【0387】
図42に示す結果より、フッ素を1.0×1015ions/cm添加した場合、IG
ZO膜に3.0×1020atoms/cm程度含まれることがわかった。また、フッ
素を1.0×1016ions/cm添加した場合、IGZO膜に3.0×1021
toms/cm程度含まれることがわかった。
【実施例0388】
本実施例では、酸化物半導体膜にフッ素を添加し、酸化物半導体膜のシート抵抗値を調査
した結果について説明する。
【0389】
試料は、石英基板上に、酸化物半導体膜としてIn-Ga-Zn-O(原子数比In:G
a:Zn=1:1:1)ターゲットを用いたスパッタリング法によって、IGZO膜を1
00nmの厚さで形成して作製した。
【0390】
作製した試料に対し、イオン注入法により、1.0×1014ions/cm、1.0
×1015ions/cmおよび1.0×1016ions/cmのドーズ量でフッ
素イオン(19)を添加した。なお、加速電圧は20kVとした。以上のようにして
作製した試料のシート抵抗値を測定した結果を図43に示す。なお、シート抵抗測定器の
測定上限としては、1×10Ω/□である。
【0391】
図43に示す結果より、IGZO膜にフッ素を添加するほど、シート抵抗値が増加するこ
とが確認できた。また、フッ素を1.0×1016ions/cm添加した場合、IG
ZO膜のシート抵抗値は、1×10Ω/□以上の値となった。このことから、IGZO
膜へのフッ素添加によって、IGZO膜のキャリア濃度が低下し、i型半導体に近づくこ
とがわかった。
【実施例0392】
本実施例では、酸化物半導体膜にフッ素を添加し、ESRにより酸化物半導体膜中の欠陥
を調査した結果について説明する。
【0393】
試料は、石英基板上に、酸化物半導体膜としてIn-Ga-Zn-O(原子数比In:G
a:Zn=1:1:1)ターゲットを用いたスパッタリング法によって、IGZO膜を1
00nmの厚さで形成して作製した。
【0394】
作製した試料に対し、イオン注入法により、1.0×1014ions/cm、1.0
×1015ions/cmまたは1.0×1016ions/cmのドーズ量でフッ
素イオン(19)を添加した。なお、加速電圧は20kVとした。以上のようにして
作製した試料に対しESRによる測定を行った結果を図44に示す。
【0395】
図44(A)に、ESRスペクトルを示す。図44(A)に示す結果より、IGZO膜に
フッ素を添加するほど、g値が1.93付近のシグナルが小さくなっていることがわかっ
た。また、図44(B)にg値が1.93付近に見られるシグナルのスピン密度を比較し
た結果を示す。図44(B)より、IGZO膜にフッ素を添加するほど、g値が1.93
付近に見られるシグナルのスピン密度が小さくなっていることがわかった。
【0396】
IGZO膜において、g値が1.93付近に見られるシグナルは、酸素欠損に起因するも
のであることから、IGZO膜へフッ素を添加することによって、IGZO膜の酸素欠損
を低減させることができることがわかった。
【符号の説明】
【0397】
100 トランジスタ
200 撮像装置
201 スイッチ
202 スイッチ
203 スイッチ
210 画素部
211 画素
212 副画素
212B 副画素
212G 副画素
212R 副画素
220 光電変換素子
230 画素回路
231 配線
247 配線
248 配線
249 配線
250 配線
253 配線
254 フィルタ
254B フィルタ
254G フィルタ
254R フィルタ
255 レンズ
256 光
257 配線
260 周辺回路
270 周辺回路
280 周辺回路
290 周辺回路
291 光源
300 シリコン基板
310 層
320 層
330 層
340 層
351 トランジスタ
352 トランジスタ
353 トランジスタ
360 フォトダイオード
361 アノード
363 低抵抗領域
370 プラグ
371 配線
372 配線
373 配線
380 絶縁体
400 基板
401 絶縁体
402 絶縁体
404 導電体
406a 半導体
406b 半導体
406c 半導体
412 絶縁体
413 導電体
416a 導電体
416b 導電体
434 導電体
436c 半導体
442 絶縁体
450 半導体基板
452 絶縁体
454 導電体
456 領域
460 領域
462 絶縁体
464 絶縁体
466 絶縁体
468 絶縁体
472a 領域
472b 領域
474a 導電体
474b 導電体
474c 導電体
476a 導電体
476b 導電体
478a 導電体
478b 導電体
478c 導電体
480a 導電体
480b 導電体
480c 導電体
490 絶縁体
492 絶縁体
494 絶縁体
496a 導電体
496b 導電体
496c 導電体
496d 導電体
498a 導電体
498b 導電体
498c 導電体
498d 導電体
500 基板
502 絶縁体
503 絶縁体
504 導電体
506a 半導体
506b 半導体
506c 半導体
511 絶縁体
512 絶縁体
513 導電体
514 導電体
516 導電体
516a 導電体
516b 導電体
534 導電体
536a 半導体
536b 半導体
536c 半導体
542 絶縁体
700 基板
704a 導電体
704b 導電体
706a 半導体
706b 半導体
712a 絶縁体
712b 絶縁体
714a 導電体
714b 導電体
716a 導電体
716b 導電体
718a 絶縁体
718b 絶縁体
718c 絶縁体
719 発光素子
720 絶縁体
721 絶縁体
731 端子
732 FPC
733a 配線
734 シール材
735 駆動回路
736 駆動回路
737 画素
741 トランジスタ
742 容量素子
743 スイッチ素子
744 信号線
750 基板
751 トランジスタ
752 容量素子
753 液晶素子
754 走査線
755 信号線
781 導電体
782 発光層
783 導電体
784 隔壁
791 導電体
792 絶縁体
793 液晶層
794 絶縁体
795 スペーサ
796 導電体
797 基板
901 筐体
902 筐体
903 表示部
904 表示部
905 マイクロフォン
906 スピーカー
907 操作キー
908 スタイラス
911 筐体
912 筐体
913 表示部
914 表示部
915 接続部
916 操作キー
921 筐体
922 表示部
923 キーボード
924 ポインティングデバイス
931 筐体
932 冷蔵室用扉
933 冷凍室用扉
941 筐体
942 筐体
943 表示部
944 操作キー
945 レンズ
946 接続部
951 車体
952 車輪
953 ダッシュボード
954 ライト
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
1200 記憶素子
1201 回路
1202 回路
1203 スイッチ
1204 スイッチ
1206 論理素子
1207 容量素子
1208 容量素子
1209 トランジスタ
1210 トランジスタ
1213 トランジスタ
1214 トランジスタ
1220 回路
2100 トランジスタ
2200 トランジスタ
3001 配線
3002 配線
3003 配線
3004 配線
3005 配線
3200 トランジスタ
3300 トランジスタ
3400 容量素子
5100 ペレット
5120 基板
5161 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44