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特開2023-171911V族ドーピングを有する光起電デバイスの緩衝層
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171911
(43)【公開日】2023-12-05
(54)【発明の名称】V族ドーピングを有する光起電デバイスの緩衝層
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/073 20120101AFI20231128BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H01L31/06 420
H01L31/04 440
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172249
(22)【出願日】2023-10-03
(62)【分割の表示】P 2021522517の分割
【原出願日】2019-10-23
(31)【優先権主張番号】62/834,017
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/749,934
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/833,312
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/866,665
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510328032
【氏名又は名称】ファースト・ソーラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】チェン,レ
(72)【発明者】
【氏名】グローバー,サチット
(72)【発明者】
【氏名】ケファート,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】クニアジャンスキ,セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】リー,チュンホ
(72)【発明者】
【氏名】リー,シヤオピーン
(72)【発明者】
【氏名】リヤオ,フオン
(72)【発明者】
【氏名】ル,ディーンユアン
(72)【発明者】
【氏名】マリック,ラジニ
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ウエンミーン
(72)【発明者】
【氏名】シオーン,ガーン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,ウエイ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】V族p型ドーパントでドープされた吸収層と共に使用するための代替の緩衝層が必要とされている。
【解決手段】光起電デバイス100は、光起電デバイス100により発生した電荷担体を輸送するための電気接点をもたらすように構成された透明導電性酸化物(TCO)層140を含む。TCO層140は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面する第1の表面142と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面する第2の表面144とを有し得る。TCO層140は、緩衝層130に隣接して設けられ得る。光起電デバイス100は、TCO層140といずれかの隣接する半導体層との間に低導電層を設けるように構成された緩衝層150を含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的に形成された光起電デバイスをアニールする方法であって、前記部分的に形成された光起電デバイスが、緩衝層上に配置された吸収層を含み、前記吸収層が、カドミウム及びテルルを含み、前記緩衝層がMnO層を含み、前記方法が、
前記吸収層を、塩化カドミウムを含むアニーリング化合物と接触させるステップと、
前記吸収層を、前記吸収層の再結晶を促進するのに十分な時間及び温度で加熱するステップと、
V族ドーパントを、前記吸収層を通して前記緩衝層中に拡散させるステップと
を含み、
前記MnO層が少なくとも0.05μg/cmで15μg/cm以下のMn量を有する、
方法。
【請求項2】
前記MnO層の酸化状態を変化させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記MnO層が、前記吸収層の前記第1の表面に隣接する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記MnO層が、1nmから3nmの間の厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記吸収層中の前記V族ドーパントのピーク濃度が、少なくとも原子1×1016個/cmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記緩衝層が、第1の表面と、前記吸収層に隣接する第2の表面とを有し、
前記緩衝層が、前記緩衝層の前記第1の表面に配置された基層と、前記緩衝層の前記第2の表面に配置された界面層とを含み、
前記緩衝層の前記基層が酸化スズを含み、
前記緩衝層の前記界面層が、前記緩衝層の前記基層とは異なる材料で構成されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記緩衝層の前記界面層が酸化マグネシウム、二酸化ケイ素または酸化亜鉛マグネシウムの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記緩衝層の前記界面層が前記MnO層である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記緩衝層の前記界面層が窒化ケイ素を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記緩衝層の前記基層が、前記緩衝層の前記界面層より厚い、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記緩衝層の前記基層と前記緩衝層の前記界面層との間に配置された中間層を含み、
前記緩衝層の前記中間層が、前記緩衝層の前記基層及び前記緩衝層の前記界面層とは異なる材料で構成されている、
請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記緩衝層の前記基層が、前記緩衝層の前記中間層より厚い、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記緩衝層の前記中間層が酸化亜鉛マグネシウムを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記MnO層が、前記吸収層の前記第1の表面から200nm以内にある、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記MnO層が不連続である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記MnO層がMnOを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記MnO層がMnを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記MnO層がMnを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記MnO層のxが1以上かつ2以下である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記MnO層がV族ドーパントを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書は一般に、V族ドーパントに適合する緩衝層を有する光起電デバイス、より具体的には、V族ドーパントがp型ドープされた吸収層に隣接する、V族ドーパントに適合する緩衝層を有する光起電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]光起電デバイスは、光起電力効果を示す半導体材料を使用して光を直流電流に変換することにより電力を発生する。特定の種類の半導体材料は、製造が困難なことがある。例えば、半導体材料に隣接して設けられる薄膜層は、光起電デバイスの動作不能又は不安定性を招く場合がある。p型半導体材料用のドーパントとしてV族元素を使用することは特に困難な場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]したがって、V族p型ドーパントでドープされた吸収層と共に使用するための代替の緩衝層が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本明細書で提供される実施形態は、V族ドーパントに適合する緩衝層を有する光起電デバイスに関する。本明細書に記載の実施形態により提供されるこれらの特徴及び追加の特徴は、図面と併せて、以下の詳細な説明を考慮してより完全に理解されるであろう。
【0005】
[0005]図面中に記載される実施形態は、本質的に説明及び例示であり、特許請求の範囲により規定される主題を限定することを意図しない。例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、該当する構造が該当する参照番号で示される以下の図面と併せて読めば理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】[0006]本明細書に示され、記載される1つ以上の実施形態による光起電デバイスの横断面図を概略的に示す。
図2】[0007]本明細書に示され、記載される1つ以上の実施形態による基板を概略的に示す。
図3】[0008]本明細書に示され、記載される1つ以上の実施形態による緩衝層を概略的に示す。
図4】[0009]本明細書に示され、記載される1つ以上の実施形態による緩衝層を概略的に示す。
図5】[0010]本明細書に示され、記載される1つ以上の実施形態による積層をアニールするためのプロセスを概略的に示す。
図6】[0011]本明細書に示され、記載される1つ以上の実施形態による正規化フォトルミネセンススペクトルをグラフに示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0012]V族ドーパントに適合する緩衝層を有する光起電デバイスの実施形態が提供される。光起電デバイスと、光起電デバイスを形成する方法との様々な実施形態を、本明細書中でより詳細に説明する。
【0008】
[0013]ここで図1を参照して、光起電デバイス100の実施形態を概略的に示す。光起電デバイス100は、受光して、光を電気信号に変換するように構成されてもよく、例えば、光子が光から吸収され、光起電力効果を介して電気信号に変換され得る。これに応じて、光起電デバイス100は、例えば太陽等の光源に曝露されるように構成されたエネルギー側102を画定できる。光起電デバイス100は、例えば複数の材料層等によりエネルギー側102から相殺される反対側104も画定できる。用語「光」は、様々な波長の電磁スペクトル、例えば、これらに限定されないが紫外線(UV)、赤外線(IR)、及び可視部の波長の電磁スペクトル等を指すことができることに留意されたい。「太陽光」は、本明細書中で使用される場合、太陽から放出される光を指す。光起電デバイス100は、エネルギー側102と反対側104との間に配置される複数の層を含んでもよい。本明細書で使用される場合、用語「層」は、表面上に設けられた材料の厚みを指す。各層は、表面全て(すなわち、連続層)又はいずれかの一部分(すなわち、不連続層)を包含し得る。例えば、連続層は実質的に不断であってよく、不連続層は、異なる材料が占める層を通して形成される1つ以上の空隙を有し得る。
【0009】
[0014]図1及び図2をまとめて参照して、光起電デバイス100の層は、光起電デバイス100中への光の透過を促進するように構成された基板110を含むことができる。基板110は、光起電デバイス100のエネルギー側102に配置され得る。基板110は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面する第1の表面112と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面する第2の表面114とを有することができる。基板110の第1の表面112と第2の表面114との間に1つ以上の材料の層を配置してもよい。
【0010】
[0015]基板110は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面する第1の表面122と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面する第2の表面124とを有する透明層120を含んでもよい。幾つかの実施形態において、透明層120の第2の表面124は、基板110の第2の表面114を形成することができる。透明層120は、実質的に透明な材料、例えばガラス等から形成することができる。好適なガラスとしては、ソーダ石灰ガラス又は鉄分を減らしたいずれかのガラスを挙げることができる。透明層120は、いずれかの好適な透過率(幾つかの実施形態では約250nm~約1300nm、又は他の実施形態では約250nm~約950nmを含む)を有していてよい。透明層120は、例えば、一実施形態では約50%超、別の実施形態では約60%超、更に別の実施形態では約70%超、更なる実施形態では約80%超、又はこれとは別の更なる実施形態では約85%超を含めたいずれかの好適な透過率も有し得る。一実施形態において、透明層120は、約90%以上の透過率を有するガラスから形成することができる。任意に、基板110は、透明層120の第1の表面122に適用されるコーティング126を含んでもよい。コーティング126は、光と相互作用するように又は基板110の耐久性を改善するように構成され得、例えば、これらに限定されないが、反射防止コーティング、防汚コーティング、又はこれらの組合せを挙げることができる。
【0011】
[0016]再度、図1を参照して、光起電デバイス100は、劣化又は層間剥離を招き得る基板110からの汚染物質(例えば、ナトリウム)の拡散を軽減するように構成された緩衝層130を含んでもよい。緩衝層130は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面する第1の表面132と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面する第2の表面134とを有してもよい。幾つかの実施形態において、緩衝層130は、基板110に隣接して設けられ得る。例えば、緩衝層130の第1の表面132は、基板110の第2の表面114上に設けることができる。語句「に隣接する」は、本明細書中で使用される場合、少なくとも一部の層の間に2つの層が隣接して配置され、介入する材料が一切ないことを意味する。
【0012】
[0017]一般に、緩衝層130は、実質的に透明で、熱的に安定性であり、ピンホールの数が減少され、高いナトリウム阻止能力を有し、良好な接着特性を有し得る。或いは又は加えて、緩衝層130は、光に色抑制を適用するように構成され得る。緩衝層130は、これらに限定されないが、酸化スズ、二酸化ケイ素、アルミニウムをドープした酸化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は酸化アルミニウムを含めた好適な材料の1つ以上の層を含んでもよい。緩衝層130は、第1の表面132及び第2の表面134によって境界されるいずれかの好適な厚さを有することができ、例えば、一実施形態では約100Å超、別の実施形態では約150Å超、又は更なる実施形態では約200Å未満である。
【0013】
[0018]更に図2を参照して、光起電デバイス100は、光起電デバイス100により発生した電荷担体を輸送するための電気接点をもたらすように構成された透明導電性酸化物(TCO)層140を含んでもよい。TCO層140は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面する第1の表面142と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面する第2の表面144とを有し得る。幾つかの実施形態において、TCO層140は、緩衝層130に隣接して設けられ得る。例えば、TCO層140の第1の表面142は、緩衝層130の第2の表面134上に設けられ得る。一般に、TCO層140は、実質的に透明で、広域バンドギャップを有するn型半導体材料の1つ以上の層から形成することができる。特に、広域バンドギャップは、光の光子エネルギーと比較して大きなエネルギー値を有し得、望ましくない吸光度を低減することができる。TCO層140は、これらに限定されないが、酸化スズ、フッ素をドープした酸化スズ(例えば、F:SnO、F:SnO、又はF:SnO)、インジウムスズ酸化物、又はスズ酸カドミウムを含めた好適な材料の1つ以上の層を含み得る。
【0014】
[0019]光起電デバイス100は、TCO層140といずれかの隣接する半導体層との間に低導電層を設けるように構成された緩衝層150を含むことができる。緩衝層150は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面する第1の表面152と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面する第2の表面154とを有することができる。幾つかの実施形態において、緩衝層150は、TCO層140に隣接して設けられ得る。例えば、緩衝層150の第1の表面152は、TCO層140の第2の表面144上に設けられ得る。緩衝層140は、TCO層140より高い抵抗率を有する材料を含んでもよい(これらに限定されないが、高純度酸化スズ(SnO、SnO又はSnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛マグネシウム(例えば、Zn1-xMgO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化マンガン(MnO)、窒化ケイ素(SiN)又はこれらのいずれかの組合せを含む)。本明細書中で使用される場合、酸化マンガン(MnO)は、マンガンが好適ないずれかの酸化状態で存在するマンガン及び酸素の化合物を含む。幾つかの実施形態において、MnOのxは約1又はそれ以上であってもよく、例えば、これらに限定されないが、約1以上、約2以下であってもよい。これに応じて、例示的なMnO化合物としては、これらに限定されないが、MnO(x=1に相当)、MnO(x=2に相当)、Mn(x=1.5に相当)、又はMn(x=1.3に相当)が挙げられる。例示的なMnO化合物は、単相として又は多相の混合物として存在することができ、それぞれ、幾つかのMn及びOの非晶質成分を含んでいても含んでいなくてもよい。
【0015】
[0020]幾つかの実施形態において、緩衝層140の材料は、隣接の半導体層(例えば、吸収体)のバンドギャップと実質的に整合するように構成され得る。緩衝層150は、第1の表面152と第2の表面154との間に厚さ156を有していてもよい。厚さ156は、いずれかの好適な距離、例えば、一実施形態では約0.5ナノメートル(nm)超、別の実施形態では約1nmから約200nmの間、別の実施形態では約1nmから約100nmの間、又は更なる実施形態では1nmから約10nmの間、又はそれ以外の更なる実施形態では約1nmから約3nmの間に及び得る。幾つかの実施形態において、緩衝層150又はその複数の層は不連続であってもよい。例えば、緩衝層150は、実質的に不連続のMnOの層を含んでもよい。MnOの層が不連続な場合、MnOの層は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-OES)を用いて特性決定することができる。特に、MnOの層は、少なくとも約0.05μg/cm、例えば、一実施形態では約0.05μg/cm以上かつ約15μg/cm以下、別の実施形態では約0.1μg/cm以上かつ約12μg/cm以下、又は更なる実施形態では約0.2μg/cm以上かつ約6μg/cm以下等のMn量を有していてもよい。
【0016】
[0021]図1及び図3をまとめて参照して、緩衝層150は複数の層200を含み得る。特に、緩衝層150の複数の層200は、緩衝層150の第1の表面152に配置される基層210を含むことができる。これに応じて、基層210は、TCO層140に隣接して設けられ得る。幾つかの実施形態において、緩衝層150の第1の表面152は、基層210の表面であってもよい。基層210は、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面する第2の表面214を有していてもよい。基層210は、第1の表面152と第2の表面214との間に厚さ216を有していてもよい。幾つかの実施形態において、基層210の厚さ216は、緩衝層150の厚さ156の大部分にわたってもよい。
【0017】
[0022]緩衝層150の複数の層200は、緩衝層150の第2の表面154に配置される界面層220を含んでもよい。一般に、界面層220は、基層210より光起電デバイスのエネルギー側102から離れた位置にあってもよい。界面層220は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面する第1の表面224を有していてもよい。幾つかの実施形態において、緩衝層150の第2の表面154は、界面層220の表面であってもよい。界面層220は、第1の表面222と第2の表面154との間に厚さ226を有していてもよい。幾つかの実施形態において、界面層220の厚さ226は、基層210の厚さ216より薄くてもよい。
【0018】
[0023]本明細書で提供される実施形態によれば、基層210及び界面層220は、異なる材料で構成されていてもよい。例えば、幾つかの実施形態において、基層210は酸化スズ(SnO、SnO、又はSnO)を含んでもよく、界面層220は、酸化マグネシウム(MgO、酸化亜鉛マグネシウム(例えば、Zn1-xMgO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化マンガン(MnO)、及び窒化ケイ素(SiN)のうちの1つを含んでもよい。
【0019】
[0024]図1及び図4をまとめて参照して、緩衝層150の複数の層200は、基層210と界面層220との間に配置された1つ以上の中間層230を含んでもよい。1つ以上の中間層230は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面する第1の表面232と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面する第2の表面234とを有していてもよい。1つ以上の中間層230は、基層210及び界面層220に隣接して設けられ得る。これに応じて、1つ以上の中間層230の第1の表面232は、基層210の第2の表面214上に設けられ得、1つ以上の中間層230の第2の表面234は、界面層210の第1の表面224上に設けられ得る。1つ以上の中間層230は、第1の表面232と第2の表面234との間に厚さ236を有していてもよい。幾つかの実施形態において、1つ以上の中間層230の厚さ236は、基層210の厚さ216より薄くてもよい。
【0020】
[0025]本開示の実施形態によれば、1つ以上の中間層230は、基層210及び界面層220とは異なる材料で構成されていてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、1つ以上の中間層230は、酸化亜鉛マグネシウム(例えば、Zn1-xMgO)を含んでもよい。
【0021】
[0026]再度、図1を参照して、光起電デバイス100は、別の層と連携して光起電デバイス100中にp-n接合を形成するように構成された吸収層160を含んでもよい。これに応じて、光の吸収光子は、電子正孔対を自由にし、キャリア流を発生することができ、これにより電力を得ることができる。吸収層160は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面する第1の表面162と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面する第2の表面164とを有し得る。吸収層160の厚さは、第1の表面162と第2の表面164との間で画定され得る。吸収層160の厚さは、約0.5μmから約10μmの間、例えば、一実施形態では約1μmから約7μmの間、又は別の実施形態では約1.5μmから約4μmの間等であってもよい。
【0022】
[0027]本明細書に記載の実施形態によれば、吸収層160は、過剰の正電荷担体、すなわち正孔又は受容体を有するp型半導体材料から形成され得る。吸収層160は、II~VI族半導体等のいずれかの好適なp型半導体材料を含むことができる。具体例としては、これらに限定されないが、カドミウム、テルル、セレン、又はこれらのいずれかの組合せを含む半導体材料が挙げられる。好適な例としては、これらに限定されないが、カドミウム、セレン及びテルルの三元物質(例えば、CdSeTe1-x)、又はカドミウム、セレン、テルル、及び1つ以上の追加の元素を含む化合物が挙げられる。
【0023】
[0028]吸収層160がテルル及びカドミウムを含む実施形態において、テルルの原子パーセントは、約25原子パーセント以上かつ約50原子パーセント以下、例えば、一実施形態では約30原子パーセント超かつ約50原子パーセント未満、更なる実施形態では約40原子パーセント超かつ約50原子パーセント未満、又は更に別の実施形態では約47原子パーセント超かつ約50原子パーセント未満等であってもよい。或いは又は加えて、吸収層160中のテルルの原子パーセントは、約45原子パーセント超、例えば、一実施形態では約49%超等であってもよい。本明細書に記載の原子パーセントは、吸収層160全体を表し、吸収層160中の特定の位置の材料の原子パーセントは、吸収層160の全体組成と比較した厚さに応じて変化し得ることに留意されたい。
【0024】
[0029]吸収層160がセレン及びテルルを含む実施形態において、吸収層160中のセレンの原子パーセントは、約0原子パーセント超かつ約25原子パーセント以下、例えば一実施形態では約1原子パーセント超かつ約20原子パーセント未満、別の実施形態では約1原子パーセント超かつ約15原子パーセント未満、又は更なる実施形態では約1原子パーセント超かつ約8原子パーセント未満等であってもよい。テルル、セレン、又は両方の濃度は、吸収層160の厚さによって変化し得ることに留意されたい。例えば、吸収層160は、モル分率xのセレン及びモル分率1-xのテルルを含む化合物(SeTe1-x)を含む場合、xは、吸収層160中で、吸収層160の第1の表面162からの距離によって変化し得る。
【0025】
[0030]更に図1を参照して、吸収層160は、電荷担体の濃度を操作するように構成されたドーパントでドープされていてもよい。幾つかの実施形態において、吸収層160は、I族又はV族ドーパント、例えば、銅、ヒ素、リン、アンチモン、又はこれらの組合せ等がドープされていてもよい。吸収層160中のドーパントの総密度は制御可能である。幾つかの実施形態において、吸収層160は、少なくとも原子約1×1016個/cm、例えば、一実施形態では少なくとも原子約5×1016個/cm、別の実施形態では原子約9×1016個/cmから原子約7×1018個/cmの間、又は更なる実施形態では原子約1×1017個/cmから原子約4×1018個/cmの間等の単一のV族ドーパントの平均濃度を有し得る。或いは又は加えて、幾つかの実施形態では、吸収層160中のV族ドーパントのピーク濃度は、少なくとも原子約1×1016個/cmであってもよい。或いは又は加えて、ドーパントの量は、吸収層160の第1の表面162からの距離によって変化し得る。
【0026】
[0031]本明細書で提供される実施形態によれば、過剰の負電荷担体、すなわち電子又は供与体を有する光起電デバイス100の一部分の十分近くに吸収層160を設けることによってp-n接合が形成され得る。幾つかの実施形態において、吸収層160は、n型半導体材料に隣接して設けることができる。或いは、1つ以上の介在層を、吸収層160とn型半導体材料との間に設けることができる。幾つかの実施形態では、吸収層160は、緩衝層150に隣接して設けられ得る。例えば、吸収層160の第1の表面162は、緩衝層150の第2の表面154上に設けられ得る。
【0027】
[0032]光起電デバイス100は、ドーパントの不要な変更を軽減し、吸収層160に電気接点をもたらすように構成されたバック接点層180を含むことができる。バック接点層180は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面する第1の表面182と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面する第2の表面184とを有し得る。バック接点層180の厚さは、第1の表面182と第2の表面184との間で画定され得る。バック接点層180の厚さは、約5nmから約200nmの間、例えば、一実施形態では約10nmから約50nmの間等であってもよい。
【0028】
[0033]幾つかの実施形態において、バック接点層180は、吸収層160に隣接して設けられ得る。例えば、バック接点層180の第1の表面182は、吸収層160の第2の表面164上に設けられ得る。幾つかの実施形態では、バック接点層180は、I、II、VI族の材料の二元又は三元の組合せ、例えば、様々な組成中の亜鉛、銅、カドミウム及びテルルを含有する1つ以上の層を含むことができる。更なる例示的な材料としては、これらに限定されないが、テルル化銅がドープされたテルル化亜鉛、又はテルル化銅と合金されたテルル化亜鉛が挙げられる。
【0029】
[0034]光起電デバイス100は、吸収層160との電気接点をもたらすように構成された導電層190を含むことができる。導電層190は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面する第1の表面192と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面する第2の表面194とを有し得る。幾つかの実施形態では、導電層190は、バック接点層180に隣接して設けられ得る。例えば、導電層190の第1の表面192は、バック接点層180の第2の表面184上に設けられ得る。導電層190は、いずれかの好適な導電性材料、例えば、窒素含有金属、銀、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、パラジウム、クロム、モリブデン、金等の1つ以上の層を含んでもよい。窒素含有金属層の好適な例としては、窒化アルミニウム、窒化ニッケル、窒化チタン、窒化タングステン、窒化セレン、窒化タンタル、又は窒化バナジウムを挙げることができる。
【0030】
[0035]光起電デバイス100は、基板110と連携して、光起電デバイス100の筐体を形成するように構成された背部サポート196を含むことができる。背部サポート196は、光起電デバイス100の反対側102に配置され得る。例えば、背部サポート196は、導電層190に隣接して形成され得る。背部サポート196は、例えば、ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス)等のいずれかの好適な材料を含むことができる。
【0031】
[0036]図1及び図5をまとめて参照して、光起電デバイス100の製造は、一般に、これらに限定されないが、スパッタリング、スプレー、蒸着、分子線蒸着、熱分解、近接昇華法(CSS)、パルスレーザー蒸着(PLD)、化学蒸着(CVD)、電気化学堆積(ECD)、原子層蒸着(ALD)、又は蒸気輸送蒸着(VTD)を含めた1つ以上の薄膜蒸着法によって層の「堆積」中の機能層前駆体を連続的に配置することを含む。幾つかの実施形態において、部分的に形成された光起電デバイス240をアニーリング工程にかけて吸収層160の機能を改善することができる。例えば、部分的に形成された光起電デバイス240は、積層204に隣接する吸収層160を含んでもよい。積層204は、吸収層160とエネルギー側102との間に配置される光起電デバイス100の層を1つ以上含むことができる。
【0032】
[0037]部分的に形成された光起電デバイス240は、還元された周囲環境246、すなわち、500ppm(parts per million=百万分の一)未満の酸素を有する環境をもた
らす処理室244中でアニールすることができる。アニーリング工程の間、吸収層160は、塩化カドミウム(CdCl)を含むアニーリング化合物248と接触され得る。一般に、アニーリング工程は、吸収層160(例えば、多結晶半導体材料)を、吸収層160の再結晶を促進するのに十分な時間及び温度で加熱することを含む。加えて、加熱、還元周囲環境246及びアニーリング化合物248が共働して、吸収層160中の粒成長及びV族ドーパント、例えば、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、又はこれらの組合せ等の活性化を促進することができる。幾つかの実施形態において、緩衝層150中の化合物(例えば、MnO)の酸化状態は、アニーリング工程中に変化できる。特に、アニーリング前、MnOは、例えばMnO(x=2に相当)、Mn(x=1.3に相当)又はこれらの組合せとして存在することができる。或いは又は加えて、アニーリング前、MnOは、Mn及びOの非晶質成分を含み得る。アニーリング後、少なくとも一部のMnOは酸化状態を変化でき、それは異なるMnO化合物の存在により証明することができる。
【0033】
[0038]ある場合には、緩衝層150はまた、V族ドーパントでドープされていてもよい。例えば、V族ドーパントは緩衝層150中に拡散され得る。これに応じて、幾つかの実施形態では、緩衝層150中のV族ドーパントのピーク濃度は、少なくとも原子約1×1016個/cmであってもよい。したがって、MnO層はV族ドーパントを含み得る。代替の実施形態では、緩衝層150の層の1つ以上はV族ドーパントを含んでいなくてもよく、すなわち、拡散が軽減され得る。
【0034】
[0039]界面領域158は、吸収層160の第1の表面162と緩衝層150の第2の表面154との界面を含むことができる。例えば、界面領域158は、緩衝層150の第1の表面152から開始し、吸収層160まで及び得る。界面領域158は、約500nm以下、例えば、一実施形態では約0.5nmから500nmの間、又は別の実施形態では約1nmから100nmの間等の厚さを有し得る。本出願人は、アニーリング工程にかけたとき、緩衝層150が予測しなかった様式で働くことを発見した。理論に束縛されるものではないが、緩衝層150及び吸収層160の化学的性質は、界面領域158中で望ましくない不具合をもたらす可能性があると考えられる。多くの化学組成は、例えば、還元周囲環境246におけるドーパント活性化の間等により不具合になりやすいことがある。そのような不具体は、光起電デバイス100の効率を低下し得る。
【0035】
[0040]光起電デバイス100の効率は、緩衝層150中のMnO層を含むことにより改善することができる。例えば、吸収層160の第1の表面162に隣接するMnO層又は吸収層160の第1の表面162に十分に近いMnO層である。すなわち、緩衝層の複数の層200のうちの1つ以上が、MnO層と吸収層160の第1の表面162との間に置かれ得る。これに応じて、MnO層は、吸収層160の第1の表面162から約200nm以内、例えば、一実施形態では約100nm未満、別の実施形態では約80nm未満、更に別の実施形態では約35nm未満、更なる実施形態では約15nm未満等にあってもよい。
【0036】
[0041]
【実施例0037】
[0042]比較例:ガラス基板上に積層膜を調製した。積層膜は、ガラス基板上に形成され
たフッ素をドープした酸化スズのTCO層、TCO層上に形成された酸化スズの緩衝層、及びAs:CdSeTeの吸収層を含んでいた。積層体を、還元周囲環境中で、塩化カドミウム(CdCl)を含むアニーリング化合物でアニールした。
【0038】
[0043]実施例:実施例1は、比較例と同じ方法で形成したが、緩衝層は、酸化スズの基層とZn1-xMgOの界面層とを有するように改変した。実施例2は、比較例と同じ方法で形成したが、緩衝層は、酸化スズの基層とSiOの界面層とを有するように改変した。実施例3は、比較例と同じ方法で形成したが、緩衝層は、酸化スズの基層、Zn1-xMgOの中間層、及びSiOの界面層を有するように改変した。実施例4は、比較例と同じ方法で形成したが、緩衝層は、酸化スズの基層とMnOの界面層とを有するように改変した。実施例5は、比較例と同じ方法で形成したが、緩衝層は、Zn1-xMgOの基層とSiOの界面層とを有するように改変した。比較例及び実施例の複数のサンプルを調製し、二次イオン質量分析法(SIMS)を用いて特性決定した。
【0039】
[0044]
【0040】
【表1】
【0041】
[0045]図1及び図6をまとめて参照して、フォトルミネセンス分光法を利用して、比較例及び実施例1~4の緩衝層と吸収層との界面における再結合を特性決定した。一般に、エネルギー側102(図1)に注入される光に応答する高強度のルミネセンスは、緩衝層と吸収層との界面におけるより少ないキャリア再結合に対応し得る。したがって、より高い強度は、光起電デバイス100のより高い効率に対応し得る。
【0042】
[0046]比較例及び実施例1~4のフォトルミネセンス強度(PLI)を図6に示す。特に、PLIスペクトル250は比較例に対応し、PLIスペクトル252は実施例1に対応し、PLIスペクトル254は実施例2に対応し、PLIスペクトル256は実施例3に対応し、PLIスペクトル258は実施例4に対応する。スペクトル250、252、254、256、258はそれぞれ、PLIスペクトル250のピーク値に対して正規化される。PLIスペクトル252、PLIスペクトル254、PLIスペクトル256、及びPLIスペクトル258は、比較例に対して実施例1~4の向上した性能を実証する。特に、PLIスペクトル252は、比較例に対して実施例1の約700%のピーク強度の改善に対応する。PLIスペクトル254は、比較例に対して実施例2の約1000%のピーク強度の改善に対応する。PLIスペクトル256及び258は、比較例に対して実施例3及び4の約1500%のピーク強度の改善に対応する。更なる試験は、実施例3で示されたものと同様の、実施例5の性能における改善を実証した。
【0043】
[0047]実施例4の様々な例を、X線回折(XRD)を用いて分析し、アニーリング工程
の前後の緩衝層150の組成を決定した。一例では、緩衝層150は、アニーリング工程の前にMnを含み、アニーリング工程の後にMnO及びMnを含んでいた。別例では、緩衝層150は、アニーリング工程の前にMnを含み、アニーリング工程の後にMnを含んでいた。更なる例では、緩衝層150は、アニーリング工程の前にMnO及びMnを含み、アニーリング工程の後に(MnOは含まず)Mnを含んでいた。別の更なる例では、緩衝層150は、アニーリング工程の前にMnOを含み、アニーリング工程の後にMnO及びMnを含んでいた。
【0044】
[0048]本明細書で提供される実施形態によれば、光起電デバイスは、緩衝層上に配置される吸収層を含んでもよい。吸収層は、第1の表面及び第2の表面を有し得る。吸収層は、カドミウム及びテルルを含んでもよい。吸収層は、V族ドーパントでドープされていてもよい。緩衝層は、MnO層を含んでもよい。
【0045】
[0049]本明細書で提供される実施形態によれば、部分的に形成された光起電デバイスをアニールする方法は、吸収層を、塩化カドミウムを含むアニーリング化合物と接触させるステップを含んでもよい。部分的に形成された光起電デバイスは、緩衝層上に配置された吸収層を含んでもよい。吸収層は、カドミウム及びテルルを含んでもよい。緩衝層は、MnO層を含んでもよい。方法は、吸収層の再結晶を促進するのに十分な時間及び温度で吸収層を加熱するステップを含んでもよい。方法は、V族ドーパントを、吸収層を通して緩衝層中に拡散させるステップを含んでもよい。
【0046】
[0050]用語「実質的に」及び「約」は、何らかの定量比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る不確実性の固有度合いを表すために本明細書中で利用され得る。これらの用語は、問題となる主題の基本機能を変化させることなく量的表現が指定の対照から変化できる度合いを表すためにも利用される。
【0047】
[0051]本明細書中に特定の実施形態を例示及び説明してきたが、特許請求の範囲の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができることを理解されたい。その上、特許請求の範囲の主題の様々な態様を本明細書に記載してきたが、このような態様を組み合わせて利用する必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲には、特許請求の範囲の主題の範囲内の全てのこのような変更及び修正が包含されることが意図される。
[発明の態様]
[1]
緩衝層上に配置された吸収層を含む光起電デバイスであって、
前記吸収層が、第1の表面及び第2の表面を有し、
前記吸収層が、カドミウム及びテルルを含み、
前記吸収層が、V族ドーパントでドープされており、
前記緩衝層が、MnO層を含む、光起電デバイス。
[2]
前記MnO層が、前記吸収層の前記第1の表面に隣接する、請求項1に記載の光起電デバイス。
[3]
前記MnO層が、1nmから3nmの間の厚さを有する、請求項1に記載の光起電デバイス。
[4]
前記吸収層中の前記V族ドーパントのピーク濃度が、少なくとも原子1×1016個/cmである、請求項1に記載の光起電デバイス。
[5]
前記緩衝層が、第1の表面と、前記吸収層に隣接する第2の表面とを有し、
前記緩衝層が、前記緩衝層の前記第1の表面に配置された基層と、前記緩衝層の前記第2の表面に配置された界面層とを含み、
前記緩衝層の前記基層が、酸化スズを含み、
前記緩衝層の前記界面層が、前記緩衝層の前記基層とは異なる材料で構成されている、請求項1に記載の光起電デバイス。
[6]
前記緩衝層の前記界面層が酸化マグネシウムを含む、請求項5に記載の光起電デバイス。
[7]
前記緩衝層の前記界面層が酸化亜鉛マグネシウムを含む、請求項5に記載の光起電デバイス。
[8]
前記緩衝層の前記界面層が二酸化ケイ素を含む、請求項5に記載の光起電デバイス。
[9]
前記緩衝層の前記界面層が前記MnO層である、請求項5に記載の光起電デバイス。
[10]
前記緩衝層の前記界面層が窒化ケイ素を含む、請求項5に記載の光起電デバイス。
[11]
前記緩衝層の前記基層が、前記緩衝層の前記界面層より厚い、請求項5に記載の光起電デバイス。
[12]
前記緩衝層が、前記緩衝層の前記基層と前記緩衝層の前記界面層との間に配置された中間層を含み、
前記緩衝層の前記中間層が、前記緩衝層の前記基層及び前記緩衝層の前記界面層とは異なる材料で構成されている、
請求項5に記載の光起電デバイス。
[13]
前記緩衝層の前記基層が、前記緩衝層の前記中間層より厚い、請求項12に記載の光起電デバイス。
[14]
前記緩衝層の前記中間層が酸化亜鉛マグネシウムを含む、請求項12に記載の光起電デバイス。
[15]
前記緩衝層の前記界面層が二酸化ケイ素を含む、請求項14に記載の光起電デバイス。
[16]
前記MnO層が、前記吸収層の前記第1の表面から200nm以内にある、請求項1に記載の光起電デバイス。
[17]
前記MnO層が不連続である、請求項1に記載の光起電デバイス。
[18]
前記MnO層が、少なくとも0.05μg/cmのMn量を有する、請求項17に記載の光起電デバイス。
[19]
前記MnO層がMnOを含む、請求項1に記載の光起電デバイス。
[20]
前記MnO層がMnを含む、請求項1に記載の光起電デバイス。
[21]
前記MnO層がMnを含む、請求項1に記載の光起電デバイス。
[22]
前記MnO層が、1nmから10nmの間の厚さを有する、請求項1に記載の光起電デバイス。
[23]
前記MnO層のxが1以上かつ2以下である、請求項1に記載の光起電デバイス。
[24]
前記緩衝層が、透明導電性酸化物層に隣接して設けられる、請求項1に記載の光起電デバイス。
[25]
前記透明導電性酸化物層がスズ酸カドミウムを含み、前記MnO層が、前記吸収層に隣接する、請求項24に記載の光起電デバイス。
[26]
前記透明導電性酸化物層が、フッ素をドープした酸化スズを含み、前記MnO層が、前記吸収層に隣接する、請求項24に記載の光起電デバイス。
[27]
前記透明導電性酸化物層が、フッ素をドープした酸化スズを含み、
前記緩衝層が、第1の表面と、前記吸収層に隣接した第2の表面とを有し、
前記緩衝層が、前記緩衝層の前記第1の表面に配置された基層と、前記緩衝層の前記第2の表面に配置された界面層とを含み、
前記緩衝層の前記基層が酸化スズを含み、
前記緩衝層の前記界面層が前記MnO層である、
請求項24に記載の光起電デバイス。
[28]
前記透明導電性酸化物層が、フッ素をドープした酸化スズを含み、
前記緩衝層が、第1の表面と、前記吸収層に隣接した第2の表面とを有し、
前記緩衝層が、前記緩衝層の前記第1の表面に配置された基層と、前記緩衝層の前記第2の表面に配置された界面層とを含み、
前記緩衝層が、前記緩衝層の前記基層と前記緩衝層の前記界面層との間に配置された中間層を含み、
前記緩衝層の前記基層が酸化スズを含み、
前記緩衝層の前記中間層がMnO層であり、
前記緩衝層の前記界面層が二酸化ケイ素を含む、
請求項24に記載の光起電デバイス。
[29]
前記透明導電性酸化物層がインジウムスズ酸化物を含み、前記MnO層が、前記吸収層に隣接する、請求項24に記載の光起電デバイス。
[30]
前記緩衝層が、第1の表面と、前記吸収層に隣接する第2の表面とを有し、
前記緩衝層が、前記緩衝層の前記第1の表面に配置された基層を含み、
前記基層が、酸化亜鉛マグネシウムを含む、
請求項29に記載の光起電デバイス。
[31]
部分的に形成された光起電デバイスをアニールする方法であって、前記部分的に形成された光起電デバイスが、緩衝層上に配置された吸収層を含み、前記吸収層が、カドミウム及びテルルを含み、前記緩衝層がMnO層を含み、前記方法が、
前記吸収層を、塩化カドミウムを含むアニーリング化合物と接触させるステップと、
前記吸収層を、前記吸収層の再結晶を促進するのに十分な時間及び温度で加熱するステップと、
V族ドーパントを、前記吸収層を通して前記緩衝層中に拡散させるステップと
を含む、方法。
[32]
前記MnO層の酸化状態を変化させるステップを含む、請求項31に記載の方法。
[33]
前記MnO層が、前記吸収層の前記第1の表面に隣接する、請求項1及び31~32のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[34]
前記MnO層が、1nmから3nmの間の厚さを有する、請求項1及び31~33のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[35]
前記吸収層中の前記V族ドーパントのピーク濃度が、少なくとも原子1×1016個/cmである、請求項1及び31~34のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[36]
前記緩衝層が、第1の表面と、前記吸収層に隣接する第2の表面とを有し、
前記緩衝層が、前記緩衝層の前記第1の表面に配置された基層と、前記緩衝層の前記第2の表面に配置された界面層とを含み、
前記緩衝層の前記基層が酸化スズを含み、
前記緩衝層の前記界面層が、前記緩衝層の前記基層とは異なる材料で構成されている、
請求項1及び31~35のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[37]
前記緩衝層の前記界面層が酸化マグネシウムを含む、請求項36に記載の光起電デバイス又は方法。
[38]
前記緩衝層の前記界面層が酸化亜鉛マグネシウムを含む、請求項36に記載の光起電デバイス又は方法。
[39]
前記緩衝層の前記界面層が二酸化ケイ素を含む、請求項36に記載の光起電デバイス又は方法。
[40]
前記緩衝層の前記界面層が前記MnO層である、請求項36に記載の光起電デバイス又は方法。
[41]
前記緩衝層の前記界面層が窒化ケイ素を含む、請求項36に記載の光起電デバイス又は
方法。
[42]
前記緩衝層の前記基層が、前記緩衝層の前記界面層より厚い、請求項36に記載の光起電デバイス又は方法。
[43]
前記緩衝層の前記基層と前記緩衝層の前記界面層との間に配置された中間層を含み、
前記緩衝層の前記中間層が、前記緩衝層の前記基層及び前記緩衝層の前記界面層とは異なる材料で構成されている、
請求項36~42のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[44]
前記緩衝層の前記基層が、前記緩衝層の前記中間層より厚い、請求項43に記載の光起電デバイス又は方法。
[45]
前記緩衝層の前記中間層が酸化亜鉛マグネシウムを含む、請求項43又は44に記載の光起電デバイス又は方法。
[46]
前記MnO層が、前記吸収層の前記第1の表面から200nm以内にある、請求項1及び31~45のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[47]
前記MnO層が不連続である、請求項1及び31~46のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[48]
前記MnO層が、少なくとも0.05μg/cmのMn量を有する、請求項1及び31~47のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[49]
前記MnO層がMnOを含む、請求項1及び31~48のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[50]
前記MnO層がMnOを含む、請求項1及び31~48のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[51]
前記MnO層がMnを含む、請求項1及び31~48のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[52]
前記MnO層がMnを含む、請求項1及び31~48のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[53]
前記吸収層がセレンを含む、請求項1及び31~52のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[54]
前記MnO層が、1nmから10nmの間の厚さを有する、請求項1、31~33及び35~53のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[55]
前記MnO層のxが1以上かつ2以下である、請求項1、31~48及び53~54のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[56]
前記緩衝層が、透明導電性酸化物層に隣接して設けられる、請求項1、31~35及び46~55のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
[57]
前記透明導電性酸化物層がスズ酸カドミウムを含み、前記MnO層が前記吸収層に隣
接する、請求項56に記載の光起電デバイス又は方法。
[58]
前記透明導電性酸化物層が、フッ素をドープした酸化スズを含み、前記MnO層が前記吸収層に隣接する、請求項56に記載の光起電デバイス又は方法。
[59]
前記透明導電性酸化物層が、フッ素をドープした酸化スズを含み、
前記緩衝層が、第1の表面と、前記吸収層に隣接する第2の表面とを有し、
前記緩衝層が、前記緩衝層の前記第1の表面に配置された基層と、前記緩衝層の前記第2の表面に配置された界面層とを含み、
前記緩衝層の前記基層が酸化スズを含み、
前記緩衝層の前記界面層が前記MnO層である、
請求項56に記載の光起電デバイス又は方法。
[60]
前記透明導電性酸化物層が、フッ素をドープした酸化スズを含み、
前記緩衝層が、第1の表面と、前記吸収層に隣接する第2の表面とを有し、
前記緩衝層が、前記緩衝層の前記第1の表面に配置された基層と、前記緩衝層の前記第2の表面に配置された界面層とを含み、
前記緩衝層が、前記緩衝層の前記基層と前記緩衝層の前記界面層との間に配置された中間層を含み、
前記緩衝層の前記基層が酸化スズを含み、
前記緩衝層の前記中間層が前記MnO層であり、
前記緩衝層の前記界面層が二酸化ケイ素を含む、
請求項56に記載の光起電デバイス又は方法。
[61]
前記透明導電性酸化物層が、フッ素をドープした酸化スズを含み、前記MnO層が前記吸収層に隣接する、請求項56に記載の光起電デバイス又は方法。
[62]
前記透明導電性酸化物層が、フッ素をドープした酸化スズを含み、
前記緩衝層が、第1の表面と、前記吸収層に隣接する第2の表面とを有し、
前記緩衝層が、前記緩衝層の前記第1の表面に配置された基層と、前記緩衝層の前記第2の表面に配置された界面層とを含み、
前記緩衝層の前記基層が酸化スズを含み、
前記緩衝層の前記界面層が前記MnO層である、
請求項56に記載の光起電デバイス又は方法。
[63]
前記透明導電性酸化物層がインジウムスズ酸化物を含み、前記MnO層が前記吸収層に隣接する、請求項56に記載の光起電デバイス又は方法。
[64]
前記緩衝層が、第1の表面と、前記吸収層に隣接する第2の表面とを有し、
前記緩衝層が、前記緩衝層の前記第1の表面に配置された基層を含み、
前記基層が酸化亜鉛マグネシウムを含む、
請求項63に記載の光起電デバイス又は方法。
[65]
前記MnO層がV族ドーパントを含む、請求項1及び31~64のいずれか一項に記載の光起電デバイス又は方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6