(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171913
(43)【公開日】2023-12-05
(54)【発明の名称】医療用吸引集液装置、及び医療機器用ばね部材
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20231128BHJP
A61M 27/00 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
A61M1/00 105
A61M27/00
A61M1/00 103
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172389
(22)【出願日】2023-10-03
(62)【分割の表示】P 2018178190の分割
【原出願日】2018-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】工藤 辰也
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 誠
(57)【要約】 (修正有)
【課題】MRI装置のような磁気を発生する装置においても使用することができる医療用吸引集液装置を提供する。
【解決手段】医療用吸引集液装置は、貯留器と、貯留器内に収容され、拡張することによって貯留器を膨張させて吸入口から液体を吸引させる拡張機構3とを備え、拡張機構は、互いに重ねて配置される一対のプレートであって、一方のプレートの少なくとも一部分を他方のプレートから離して拡張することができる一対のプレートと、一対のプレートの間に配置され、一方のプレートの少なくとも一部分を他方のプレートから離すべく少なくとも一部分を付勢しているばね部材と、少なくとも一部分が他方のプレートから離れないようにロックするロック状態と、一方のプレートの少なくとも一部分が他方のプレートから離れることを許容する解除状態とに切換え可能なロック機構とを有し、一対のプレートは樹脂から成り、ばね部材は非磁性の材料から成るものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入口を有し、膨張することによって前記吸入口から液体を吸引してその中に貯留可能な貯留器と、
前記貯留器内に収容され、拡張することによって前記貯留器を膨張させて前記吸入口から液体を吸引させる拡張機構とを備え、
前記拡張機構は、
互いに重ねて配置される一対のプレートであって、一方のプレートの少なくとも一部分を他方のプレートから離して拡張することができる一対のプレートと、
前記一対のプレートの間に配置され、前記一方のプレートの少なくとも一部分を前記他方のプレートから離すべく前記少なくとも一部分を付勢しているばね部材と、
前記少なくとも一部分が前記他方のプレートから離れないようにロックするロック状態と、前記一方のプレートの少なくとも一部分が前記他方のプレートから離れることを許容する解除状態とに切換え可能なロック機構とを有し、
前記一対のプレートは、樹脂から成り、
前記ばね部材は、非磁性の材料から成る、医療用吸引集液装置。
【請求項2】
前記ばね部材は、透磁率が1.01以下となる非磁性の鋼線材から成る圧縮コイルばねである、請求項1に記載の医療用吸引集液装置。
【請求項3】
前記ばね部材は、大略円錐台状の圧縮コイルばねであり、その軸線方向一方から見て巻線の各所が互いに重ならないように配置されている、請求項2に記載の医療用吸引集液装置。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記一対のプレートの各々に設けられ、且つロック状態となるべく互いに係合可能な一対の係合部を有し、
前記一対のプレートの少なくとも何れかには、当該プレートに設けられる前記係合部の周辺にリブが形成されている、請求項1乃至3の何れか1つに記載の医療用吸引集液装置。
【請求項5】
前記拡張機構は、少なくとも2つ以上の前記ロック機構を有している、請求項1乃至4の何れか1つに記載の医療用吸引集液装置。
【請求項6】
吸入口を有し、膨張することによって前記吸入口から液体を吸引してその中に貯留可能な樹脂製の貯留器と、
前記貯留器内に収容され、拡張することによって前記貯留器を膨張させて前記吸入口から液体を吸引させる拡張機構とを備え、
前記拡張機構は、
非磁性の材料から成り、前記貯留器を膨張させるためのばね部材と、
ばね部材を解除可能に圧縮状態に保つロック部を有する医療用吸引集液装置。
【請求項7】
医療機器に備わる医療機器用ばね部材であって、
軸線方向一方から見て巻線の各所が互いに重ならないように大略円錐台状に形成され、透磁率が1.01以下となる非磁性の線材から成る圧縮コイルばねである、医療機器用ばね部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡張機構によって貯留器を膨張させることによって貯留器の中に液体を吸引する医療用吸引集液装置、及び医療機器に備わる医療機器用ばね部材に関する。
【背景技術】
【0002】
手術中等において血液、膿、及び滲出液等の液体が体外に排出されることがあり、それらの液体を吸引する必要がある。そのような機能を有する装置として医療用吸引集液装置があり、その一例としては例えば特許文献1に記載の外科用吸引装置が知られている。
【0003】
特許文献1の外科用吸引装置は、膨張可能な貯留器内に2つのプレートが配置されている。2つのプレートは、両端部分が互いに連結された状態で重ね合わせるように配置されており、それらの間にはスプリングが配置されている。スプリングは、2つのプレートの中間部分を互いに離すように付勢している。他方、2つのプレートには、互いが離れないようにすべくラッチが設けられている。ラッチは、2つのプレートに夫々設けられるラッチフックを有しており、ラッチフック同士を係合させることで2つのプレートが近接した状態に維持されている。また、ラッチフックの係合を解除すると、2つのプレートの中間部分がスプリングによって引き離される。これにより、貯留器を膨張させて貯留器内を負圧にすることができ、負圧にすることで貯留器内に液体を吸引させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
手術では、術中に核磁気共鳴画像装置、即ちMRI装置を用いて患者の生体内部を撮像することがあり、MRI装置に外科用吸引装置を患者と共に通すことが望まれている。しかし、特許文献1に記載される外科用吸引装置に用いられているばね部材は、所望の吸引力を達成すべく金属から成る線材で構成されている。それ故、外科用吸引装置をMRI装置に通すと、外科用吸引装置に対してMRI装置の磁気発生部に引き寄せられるような力が発生し、外科用吸引装置が意図しない方向に動き出す。術中では、外科用吸引装置が動くことは望ましくない。それ故、特許文献1の外科用吸引装置をMRIで使用することができない。
【0006】
そこで本発明は、MRI装置のような磁気を発生する装置においても使用することができる医療用吸引集液装置、及び医療機器用ばね部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の医療用吸引集液装置は、吸入口を有し、膨張することによって吸入口から液体を吸引してその中に貯留可能な樹脂製の貯留器と、前記貯留器内に収容され、拡張することによって前記貯留器を膨張させて前記吸入口から液体を吸引させる拡張機構とを備え、前記拡張機構は、互いに重ねて配置される一対のプレートであって、一方のプレートの少なくとも一部分を他方のプレートから厚み方向に離して拡張することができる一対のプレートと、前記一対のプレートの間に配置され、前記一方のプレートの少なくとも一部分を前記他方のプレートから離すべく前記少なくとも一部分を付勢しているばね部材と、前記少なくとも一部分が前記他方のプレートから離れないようにロックするロック状態と、前記一方のプレートの少なくとも一部分が前記他方のプレートから離れることを許容する解除状態とに切換え可能なロック機構とを有し、前記一対のプレートは、樹脂から成り、前記ばね部材は、非磁性の材料から成るものである。
【0008】
本発明に従えば、一対のプレートが合成樹脂から成り且つばね部材が非磁性の材料から成るので、MRI装置のような磁気を発生する装置において磁気発生部分に拡張機構が引き寄せられることを抑制することができる。これによりMRI装置のような磁気を発生する装置を使用する施術であっても医療用吸引集液装置を使用することができる。
【0009】
本発明の医療用吸引集液装置は、吸入口を有し、膨張することによって前記吸入口から液体を吸引してその中に貯留可能な樹脂製の貯留器と、前記貯留器内に収容され、拡張することによって前記貯留器を膨張させて前記吸入口から液体を吸引させる拡張機構とを備え、前記拡張機構は、非磁性の材料から成り、前記貯留器を膨張させるためのばね部材と、ばね部材を解除可能に圧縮状態に保つロック部を有するものである。
【0010】
本発明に従えばMRI装置のような磁気を発生する装置において磁気発生部分に拡張機構が引き寄せられることを抑制することができる。これによりMRI装置のような磁気を発生する装置を使用する施術であっても医療用吸引集液装置を使用することができる。
【0011】
本発明の医療機器用ばね部材は、医療機器に備わるものであって、軸線方向一方から見て巻線の各所が互いに重ならないように大略円錐台状に形成され、透磁率が1.01以下となる非磁性の線材から成る圧縮コイルばねである。
【0012】
本発明に従えば、医療機器用ばね部材が前述のような非磁性の線材から成るので、圧縮コイルばねであってもMRI装置のような磁気を発生する装置において、磁気発生部分に医療機器用ばね部材が引き寄せられることを抑制することができる。これにより、ばね部材を備えていてもMRI装置のような磁気を発生する装置を使用する施術でも使用することができる医療機器を製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、MRI装置のような磁気を発生する装置においても使用することができる医療用吸引集液装置、及び医療機器用ばね部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る実施形態のドレーンバッグを示す正面図である。
【
図2】
図1のドレーンバッグに備わる拡張機構を示す斜視図である。
【
図3】
図2の拡張機構を開き且つ幅方向中央に位置する仮想平面で切断して見た斜視断面図である。
【
図4】
図2の拡張機構に備わるボトムプレートを示す斜視図である。
【
図5】
図2の拡張機構に備わるトッププレートを示す斜視図である。
【
図6】
図3のばね部材を示す図面であり、(a)が斜視図、(b)が側面図を示す図である。
【
図7】
図2の拡張機構を示す断面図であり、(a)は
図2の切断線VIIA-VIIAで切断した断面図であり、(b)は
図2の切断線VIIB-VIIBで切断した断面図である。
【
図8】
図2の拡張機構において両側部分を折り曲げた状態を示す断面図であり、(a)は
図7(a)に対応する断面図であり、(b)は
図7(b)に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態のドレーンバッグ1について図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明するドレーンバッグ1は、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0016】
<ドレーンバッグ>
術中等において血液、膿、及び滲出液等(以下、「血液等」という)が体外に排出されることがあり、排出された血液等を吸引すべく
図1に示すようなドレーンバッグ1が用いられる。医療用吸引集液装置であるドレーンバッグ1は、血液等を吸引し、また吸引した血液等を貯めることができる。また、ドレーンバッグ1は、核磁気共鳴画像装置、即ちMRI装置等の磁気が発生する装置に通すことができ、MRI装置等を使用する術中にも使用することができる材質で構成される。このような機能を有するドレーンバッグ1は、バッグ本体2と、拡張機構3を有している。
【0017】
貯留器の一例であるバッグ本体2は、正面視矩形状の袋体であり、一対のシート11,11によって構成されている。更に詳細に説明すると、一対のシート11,11は、透明又は半透明等の透過性を有する合成樹脂から成り、大略矩形状に形成されている。一対のシート11,11は、略同一形状に形成されており、互いに重ね合わせた状態にて各々外周縁部分が略全周にわたって溶着されている。これにより、その中に貯留空間2aを有する袋状のバッグ本体2が形成される。また、バッグ本体2は、長手方向一端部に取付孔2bを有しており、取付孔2bに図示しないフック等の吊下げ器具を取り付けることによって吊下げ可能に構成されている。また、バッグ本体2の長手方向一端部には、間に取付孔2bを挟むようにして吸入口2c及び排出口2dが幅方向に離して形成されている。
【0018】
2つの口2c、2dには、管12,13が斜めに夫々挿入されており、一対のシート11は、各口2c,2dに管12,13の各々を挿入させた状態で溶着されている。2つの管12,13は、貯留空間2aとバッグ本体2の外部とを連通しており、それらのうち一方である吸引管12は血液等を貯留空間2aの方に吸引する際に用いられ、また他方である排出管13は、貯留空間2aの血液等を排出する際に用いられる。なお、血液等は、バッグ本体2に対して吸引及び排出する液体の一例であり、吸引及び排出する液体は血液等に限られるものではない。
【0019】
このように構成されているバッグ本体2には、使用する際に吸引管12に図示しないカテーテルの基端部が繋がれ、カテーテルの先端は、体外に排出される血液等に浸けられている。バッグ本体2は、使用前において薄くて平たい状態にあり、それを膨張させることによって貯留空間2aを負圧にすることができる。負圧になることによって、カテーテル先端から吸引管12を介して貯留空間2aに血液等が吸引され、吸引された血液等は貯留空間2aに集められる。このようにドレーンバッグ1では、バッグ本体2を膨張させて集液を行うことができるようになっており、バッグ本体2を膨張させるべくバッグ本体2内、即ち貯留空間2aには拡張機構3が収容されている。
【0020】
拡張機構3は、初期状態において
図2に示すような収縮状態となってバッグ本体2内に収容されており、後述する拡張操作を行うことによって
図3に示すような拡張状態となってバッグ本体2を膨張させる。このような機能を有する拡張機構3は、
図2及び
図3に示すように一対のプレート21,22とコイルばね23とを備えている。一対のプレート21,22のうち一方であるボトムプレート21は、合成樹脂、例えばポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、及びポリカーボネート等から成る。また、ボトムプレート21は、
図4に示すように大略矩形状に形成されており、中間部分31と両端側部分32,33とを有している。3つの部分31~33は、ボトムプレート21においてその長手方向に並んでおり、隣接する部分31~33の端部同士が折り曲げ部34L,34Rを介して一体的に繋がっている。折り曲げ部34L,34Rは、例えば各部分31~33より薄肉に形成されている。それ故、両端側部分32,33は、中間部分31に対して折り曲げ部34L,34Rを夫々基点にしてボトムプレート21の厚み方向一方側及び他方側に折り曲げられる。
【0021】
また、両端側部分32,33のうち一方、即ち長手方向一方側に位置する一端側部分32は、正面視で大略3つ又形状に形成されており、3つ又の中央部32aと両側部32b、32cの各々との間には、それらの先端側において補強板32d,32eが架け渡されている。各補強板32d,32eは、一端側部分32の主面(即ち、ボトムプレート21の主面)に対して凹ませるように湾曲している。また、3つ又の中央部32aには、その先端部分に連結孔32fが形成されている。また、両端側部分32,33のうち他方、即ちの長手方向他方側に位置する他端側部分33は、先端部(即ち、中間部分31と反対側に位置する端部であり外側の端部)に一対のヒンジピン33a,33aが形成されている。一対のヒンジピン33a,33aは、大略円柱状に形成され、幅方向に離して配置されている。また、他端側部分33は、ヒンジピン33aに隣接する位置に貫通溝33bが形成されている。
【0022】
このように構成されるボトムプレート21には、その主面に他方のプレート22であるトッププレート22が重ねるように載せられ、その状態で各々の両端が互いに連結されている。以下では、トッププレート22の構成について
図5を参照しながら更に詳しく説明する。トッププレート22は、合成樹脂、例えばポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、及びポリカーボネート等から成る。また。トッププレート22は、大略矩形状に形成され、その外縁形状がボトムプレート21と略同一形状である。即ち、トッププレート22もまた、長手方向に並べて配置される中間部分35と両端側部分36,37とを有しており、これら3つの部分35~37は、折り曲げ部38L,38Rを介在させて一体的に繋がっている。また、折り曲げ部38L,38Rは、各部分35~37より薄肉に形成されており、両端側部分36,37は、中間部分35に対して折り曲げ部38L,38Rを基点にしてトッププレート22の厚み方向一方側及び他方側に折り曲げられる。
【0023】
また、トッププレート22の両端側部分36,37の一方、即ち長手方向一方側にある一端側部分36もまた、正面視で大略3つ又形状に形成されている。3つ又の中央部分36aと両側部分36b,36cとの間には、その先端側に補強板36d,36eが架け渡されており、各補強板36d,36eは、一端側部分36の主面(即ち、トッププレート22の主面を構成する面)に対して凹ませるように湾曲している。これら補強板36d,36eは、
図2に示すように一対のプレート21,22を重ね合わせた状態でボトムプレート21の補強板32d,32eと対向し、対向する補強板32d,32eとの間に挿通孔3a,3bを形成している。挿通孔3a,3bには、2つの管12,13が挿入できるように構成されている。
【0024】
また、3つ又の中央部分36aの先端部分には、ボトムプレート21の連結孔32fに対応する位置に連結孔36fが形成されている。これら2つの連結孔32f,36fには図示しない結束バンドが挿通されており、各プレート21,22の一端側部分32,36の先端部は、結束バンドによって結束されている(即ち、連結されている)。これにより、一端側部分32,36は、結束バンドを基点にして厚み方向に互いに離反させるように揺動させることができる。
【0025】
更に、両端側部分36,37のうちの他方、即ち長手方向他方側に位置する他端側部分37の先端部には、一対のヒンジフック37a,37aが形成され、一対のヒンジフック37a,37aは、幅方向に離して配置されている。また、一対のヒンジフック37a,37aは、大略半円筒状に形成され、各ヒンジフック37aは、凹所37bを有している。凹所37bは、厚み方向他方側(即ち、補強板36d,36eが凹んでいる方向)に開口している。このように形成されている一対のヒンジフック37a,37aは、ボトムプレート21における一対のヒンジピン33a,33a及び貫通溝33bに対応させて配置され、対応する貫通溝33bに厚み方向一方側から挿通され(
図3参照)、その凹所37bにヒンジピン33aを回動可能に係合させている。これにより、各プレート21,22の他端側部分33,37の先端部も連結され、また他端側部分33,37をヒンジピン33aを基点にして厚み方向に互いに離反させるように揺動させることができる。
【0026】
このように構成されている一対のプレート21,22は、中間部分31,35の主面同士を互いに対向させて重ね合わせられている。また、一対のプレート21,22では、一端側部分32,36同士が結束バンドよって連結され、且つ他端側部分33,37が対応するヒンジピン33a,33a及びヒンジフック37a,37aによって連結されている。これにより、一対のプレート21,22は、一端側部分32,36及び他端側部分33,37の各々の連結されている部分を基点に開くことができる、即ち近接する中間部分31,35を
図3に示すように離すことができる。このように構成される一対のプレート21,22では、中間部分31,35を離す、即ち拡張機構3の拡張を可能にすべく中間部分31,35の間にコイルばね23が介在している。
【0027】
コイルばね23は、いわゆる圧縮コイルばねであり、
図6(a)及び(b)に示すように大略円錐台形状に形成されている。更に詳細に説明すると、コイルばね23は、ドレーンバッグ1の吸引圧力に応じて例えば巻き数が5乃至10程度の圧縮コイルばねが用いられており、本実施形態では巻き数が7の圧縮コイルばねが用いられている。巻き数を多くすることでピッチを狭め、プレート21,22に作用する荷重を抑えることできる。なお、
図3では、説明の便宜上巻き数の小さい圧縮コイルばねが記載されている。このように形成されているコイルばね23は、その一端部分が他端部分より大径に形成されており、一端部分側から他端部分へと進むにつれて縮径している。また、コイルばね23は、その巻線が正面(即ち、コイルばね23の軸線方向一方又は他方側)から見て互いに重ならないように巻かれており(
図6(b)の2点鎖線参照)、一端及び他端を近接させるような荷重を作用させると圧縮されてフラットな状態にすることができる。このように構成されているコイルばね23は、以下のような線材によって構成されている。
【0028】
即ち、コイルばね23は、非磁性の線材から成り、MRI装置のように磁気を発する装置において、磁気発生部に引き寄せられることを抑制されている。更に詳細に説明すると、コイルばね23は、例えば加工率が60%以上において透磁率1.01以下の非磁性の鋼線材によって構成されており、鋼線材をコイルばね23に加工した際にも非磁性となるように構成されている。本実施形態では、鋼線材として例えばNAS106Nなる非磁性のステンレス鋼線材が用いられているが、 NASNM15Nといった材料を用いることもできる。このような鋼線材を用いることによって、コイルばね23、即ちドレーンバッグ1をMRI装置のように磁気を発する装置に近づけても磁気発生部に引き寄せられることを抑制できる。それ故、MRI装置を用いる施術でもドレーンバッグ1を使用することができる。このように構成されているコイルばね23は、前述の通り中間部分31,35の間に介在させられており、中間部分31,35は、それらの間にコイルばね23を介在させるべく以下のように構成されている。
【0029】
ボトムプレート21の中間部分31では、
図4に示すように中間部分31の主面に凹部31aが形成されている。凹部31aは、正面視で大略円形状に形成されており、凹部31aの内径は、コイルばね23の一端部分の外径と略一致している。このような形状を有する凹部31aには、
図3に示すようにコイルばね23の一端部分が収められている。また、凹部31aの内周面には、半径方向内側に突出する突起片31cが形成されており、コイルばね23の巻線の基端を突起片31cに当ててコイルばね23の回転を防いでいる。他方、トッププレート22の中間部分35には、その主面に凸部35aが形成されている。凸部35aの外径は、コイルばね23の他端部分の内径と略一致しており、コイルばね23の他端部分が凸部35aに外装されている。このようにコイルばね23は、その一端部分が凹部31aに内装され、またその他端部分が凸部35aに外装されており、それによって一対のプレート21,22の中間部分31,35に介在するように取り付けられている。
【0030】
このように取り付けられているコイルばね23は、一対のプレート21,22の中間部分31,35を互いに離すように付勢しており、拡張機構3は、コイルばね23の付勢力によって
図3に示すように拡張するようになっている。他方、拡張機構3は、コイルばね23の付勢力に抗した荷重を作用させる(即ち、収縮操作する)ことによって
図2に示すようなフラットな状態に戻すことができ、フラットな状態を維持すべく一対のプレート21,22にはメインロック機構40及び一対のサブロック機構41,41が形成されている。
【0031】
ロック部の一例であるメインロック機構40は、
図3に示すように一対のプレート21,22において中間部分31,35の中心付近(即ち、凹部31a及び凸部35aの中心付近)に設けられており、互いに離れないように中間部分31,35をロックすることができる。このような機能を有する一対のメインロック機構40は、ボトム側係合ブロック42及びトップ側係合ブロック43を有している。一対の係合部の一方であるボトム側係合ブロック42は、
図4に示すようにボトムプレート21の凹部31aに形成され、他方であるトップ側係合ブロック43は、
図5に示すようにボトム側係合ブロック42に対応する位置、即ちトッププレート22の凸部35aに形成されている。
【0032】
更に詳細に説明すると、ボトムプレート21の凹部31aには、その中心に貫通孔31bが形成され(
図4参照)、ボトム側係合ブロック42は、この貫通孔31bの長手方向他方側にそれに隣接させて配置されている。このように配置されているボトム側係合ブロック42は、側面視で大略鉤状に形成されている、即ち凹部31aの底面から厚み方向一方に突出し、その先端部42aが長手方向一方に延在するように曲がっている。また、ボトムプレート21の凸部35aには、その中心に貫通孔35bが形成され(
図5参照)、更に貫通孔35bに隣接する位置には、トップ側係合ブロック43を形成すべく段部35dが形成されている。段部35dは、貫通孔35bの長手方向一方側に位置し、トップ側係合ブロック43は、この段部35dから中間部分35の主面から厚み方向他方に突出し、その先端部43aが長手方向他方側に延在するように曲がっている(
図3も参照)。即ち、トップ側係合ブロック43もまた、ボトム側係合ブロック42と同様に大略鉤状に形成されている。このように形成されるトップ側係合ブロック43は、貫通孔35bより幅広に形成されており、その幅方向両端部分43b,43cが凸部35aと一体的に形成されている(
図5参照)。
【0033】
このように構成されているメインロック機構40では、一対のプレート21,22が共にフラットになるまでそれらを近づけると2つのブロック42,43の先端部42a,43a同士を係合させることができる。このように係合させることによって、コイルばね23の付勢力に抗して一対のプレート21,22をロックすることができ、拡張機構3をフラットな状態に維持することができる。ところで、拡張機構3では、
図4に示すようにボトムプレート21が凹部31aにおいて薄肉に形成され、更に凹部31aに貫通孔31bが形成されている。それ故、ボトムプレート21では、貫通孔31b周りが残余部より変形しやすくなっている。そこで、貫通孔31bには、その周辺の剛性を高めるべくブリッジ(即ち、リブ)44が長手方向に架け渡されている。また、トップ側係合ブロック43には、
図5に示すようにブリッジ44に対応する位置に収容凹部45が形成されており、2つのブロック42,43を係合させた際に、収容凹部45にブリッジ44を入れて収容することができる。これにより、ボトムプレート21の剛性を向上させてボトムプレート21の変形を抑えつつ、一対のプレート21,22をフラットな状態にしてロックすることを可能にしている。また、一対のプレート21,22にはボトムプレート21の局所的な変形を更に抑えるべくメインロック機構40の他に一対のサブロック機構41,41も形成されている。このように、形状を工夫することで変形が抑えられているため、金属の板金等の補強部材を設けることなく、使用時に不具合が起こる可能性が低減されている。
【0034】
一対のサブロック機構41,41は、メインロック機構40と同様に中間部分31,35が互いに離れないようにそれらをロックするものである。このような機能を有する一対のサブロック機構41,41は、互いに幅方向に離して中間部分31,35に設けられ、またそれらの間にメインロック機構40が位置し且つメインロック機構40に対して鏡面対称になるように配置されている。即ち、3つのロック機構40,41,41は、中間部分31,35において幅方向に並ぶように配置されている。このように配置されている一対のサブロック機構41,41の各々は、ボトム側係合片51とトップ側係合片52とを有している。
【0035】
一対のボトム側係合片51,51は、
図4に示すように、中間部分31の主面であって凹部31aの半径方向外側に夫々形成され、それらの間にボトム側係合ブロック42が位置するように離して配置されている。更に詳細に説明すると、ボトムプレート21の中間部分31には、凹部31aの半径方向外側であって幅方向に互いに離れた位置に貫通溝31d,31dが各ボトム側係合片51,51に対応させて形成されており、各ボトム側係合片51,51は対応する貫通溝31d,31dの長手方向他方側に隣接させて配置されている。このように配置されている一対のボトム側係合片51,51は、ボトム側係合ブロック42と幅方向に間隔をあけて並べて配置されており、側面視でボトム側係合ブロック42と略重なるように配置されている。即ち、ボトム側係合片51は、中間部分31の主面から厚み方向一方に突出させるようにして形成され、更にその先端部51aが対応する貫通溝31dに突き出るように長手方向一方側に延在している。なお、ボトム側係合片51は、側面視でボトム側係合ブロック42より長手方向において若干短尺に形成されている。また、トッププレート22には、各ボトム側係合片51,51に対応する位置にトップ側係合片52,52が夫々形成されている。
【0036】
一対のトップ側係合片52,52は、一対のボトム側係合片51,51の各々に対応させて中間部分35の主面であって幅方向の外周縁部分に形成され、それらの間にトップ側係合ブロック43が位置するように離して配置されている。更に詳細に説明すると、トッププレート22の中間部分35にもまた幅方向の外周縁部分に貫通溝35c,35cが各トップ側係合片52,52に対応させて形成されており、各トップ側係合片52,52もまた対応する貫通溝35c、35cの長手方向一方側に隣接させて配置されている。このように配置されている一対のトップ側係合片52,52は、トップ側係合ブロック43と幅方向に間隔をあけて並べて配置されており、側面視でトップ側係合ブロック43と略重なるように配置されている。即ち、トップ側係合片52は、側面視で大略鉤状に形成されており、中間部分31の主面から厚み方向他方に突出し、その先端部52aが長手方向他方に延在するように曲がっている。なお、トップ側係合片52もまた、側面視でトップ側係合ブロック43より長手方向に短尺に形成されている。
【0037】
このように構成されている一対のサブロック機構41,41では、メインロック機構40と同様に、一対のプレート21,22が共にフラットな状態になるまで各々の中間部分31,35を近づけていくと、対応する係合片51,52の先端部同士を係合させることができる。このように係合させることによって、
図7(a)及び(b)に示すようにメインロック機構40に加えて一対のサブロック機構41,41によっても一対のプレート21,22をロックする、即ちロック機構40,41,41をロック状態にすることができる。なお、
図7(a)及び(b)では、説明の便宜上、コイルばね23を省略している。後述する
図8(a)及び(b)についても同様である。このようにロック状態することによって拡張機構3がフラットな状態にて維持されている。また、拡張機構3では、以下のような手順によって一対のプレート21,22のロックを解除する、即ちロック機構40,41,41を解除状態に切換えることができる。
【0038】
即ち、拡張機構3では、その両端側部分3c,3dを把持し、それらを厚み方向において互いに異なる方向、即ち厚み方向一方及び他方に夫々折り曲げる。拡張機構3の一端側部分3cは、一対のプレート21,22の一端側部分32,36によって構成されており、一端側部分3cを折り曲げ部34L及び38Lを基点にしてボトムプレート21側に折り曲げる。他方、拡張機構3の他端側部分3dは、一対のプレート21,22の他端側部分33,37によって構成されており、例えば他端側部分3dを折り曲げ部34R,38Rを基点にしてトッププレート22側に折り曲げる。そうすると、
図8(a)及び(b)に示すようにトッププレート22及びボトムプレート21が互いに長手方向において異なる方向にスライドする。そうすると、係合片51,52がブロック42,43より長手方向において短尺に形成されているので、やがて係合片51,52の係合が解除される(
図8(a)参照)。その後もスライドさせると、次に2つの係合ブロック42,43の係合が解除される(
図8(b)参照)。これにより全てのロック機構40,41,41のロック状態が解除状態に切換わる。そうすると、一対のプレート21,21の中間部分31,35が離れることが許容され、即ち拡張機構3がコイルばね23によって拡張される。そして、拡張機構3は、コイルばね23が略伸び切った状態である全開状態まで拡張し、そこで拡張機構3の拡張が止まる。
【0039】
このような機能を有する拡張機構3は、使用前においてフラットな状態にてバッグ本体2の中に収容されており、拡張機構3の挿通孔3a,3bが吸入口2c及び排出口2dに夫々向けてられている。吸入口2c及び排出口2dには、前述の通り管12,13が夫々挿入されており、挿通された管12,13は、挿通孔3a,3bに挿入されている。また、拡張機構3では、補強板32d,32e,36e,36dを湾曲させて形成し、拡張機構3が拡張した際に挿通孔3a,3bに挿通されている管12,13が補強板32d,32e,36e,36dによって押し潰されないようになっている。
【0040】
このように構成されているドレーンバッグ1は、使用前において拡張機構3がフラットな状態に維持され、また2つの管12,13が図示しないプラグによって塞がれている。そして、術中等において体内から体外へと排出された血液等を以下のようにして吸引し、また排出する。即ち、使用者は、排出管13のキャップをそのままの状態にして吸引管12からプラグだけを外す。次に、吸引管12にカテーテルを繋ぎ、カテーテルの先端を排出された血液等のたまり場に浸す。更に、両手で拡張機構3の両端側部分3c,3dをバッグ本体2の上から夫々掴み、一端側部分3cをボトムプレート21側に、他端側部分3dをトッププレート22側に折り曲げる。そうすることで一対のプレート21,22のロックが解除され、拡張機構3が拡張する。拡張することによってバッグ本体2が膨張して貯留空間2a内が負圧(即ち、大気圧以下)になり、カテーテルの先端から血液等が吸引される。そして、吸引された血液等は、貯留空間2aに導かれそこに貯留される。ドレーンバッグ1では、拡張機構3が全開状態になるまで血液等を吸引することができ、全開状態となって拡張機構3が止まるとドレーンバッグ1による吸引が一旦終了となる。
【0041】
他方、貯留空間2aに吸引された血液等を排出する際には、カテーテルの先端が血液等のたまり場から離される。その後、排出管13の図示しないプラグを外し、ドレーンバッグ1を傾けて排出管13から廃液容器等に排出される。そして、吸引を再び行う場合、一対のプレート21,22の中間部分31,35を両手の指等で挟み、コイルばね23の付勢力に抗して中間部分31,35を互いに近づけるように押し込む。そして、拡張機構3がフラットな状態になるまで押し込むと、3つのロック機構40,41,41によって一対のプレート21,22がロックされる。この状態から再度ロックを解除することによって、再度、ドレーンバッグ1に血液等を吸引させることができる。
【0042】
このように構成されているドレーンバッグ1では、コイルばね23に非磁性の線材が用いられているので、それを有する拡張機構3がMRI装置における磁気発生部に引き付けられることを抑制することができる。それ故、MRI装置を用いる施術でもドレーンバッグ1を使用することができる。また、加工率が60%以上において透磁率1.01以下と非磁性の鋼線材によって構成されているので、
図6に示すような巻き数のコイルばね23、即ち加工率が高いコイルばね23であってもMRI装置の磁気発生部に引き寄せられることを抑制することができる。これにより、様々な巻き数のコイルばね23をドレーンバッグ1に作用することができ、MRI装置を用いる施術で使用可能で且つ様々な吸引力のドレーンバッグ1を製造することができる。
【0043】
また、コイルばね23は、平面視で巻線の各所が互いに重ならないように配置されている大略円錐台状の圧縮コイルばねであり、大きな加工率を伴っている。しかし、前述の通り、コイルばね23は、加工率が60%以上において透磁率1.01以下と非磁性の鋼線材によって構成されているので、大きな加工を伴っていても非磁性を保つことができる。それ故、ドレーンバッグ1は、MRI装置を用いる施術でも使用可能で且つ使用前においてより薄型のものとすることができる。
【0044】
また、ドレーンバッグ1では、3つのロック機構40,41,41によって一対のプレート21,22をロックしているので、コイルばね23から受ける付勢力を各ロック機構40,41,41に分散させることができる。即ち、メインロック機構40に作用する荷重を低減することができ、メインロック機構40の周り、具体的にはボトム側係合ブロック42の周りが荷重により変形することを抑制することができる。これにより、ボトム側係合ブロック42の周りが不所望な変形を起こして、ドレーンバッグ1が意図せずに作動することを抑制することができる。このように、形状を工夫することで変形が抑えられているため、金属の板金等の補強部材を設けることなく、使用時に不具合が起こる可能性が低減されている。
【0045】
<その他の実施形態について>
本実施形態のドレーンバッグ1では、コイルばね23の線材としてNAS106Nの鋼線材を使用しているが、必ずしもこのようなものに限定されない。例えば、チタン等の非磁性の線材を用いてもよい。また、チタンのように加工後も非磁性を保つことができる線材であればよい。更に、前述するような加工率60%以上において透磁率が1.01以下の非磁性の鋼線材であれば、チタンを用いる場合に比べて、コイルばね23の製造コストを低減することができる。
【0046】
また、ドレーンバッグ1では、3つのロック機構40,41,41によって一対のプレート21,21がロックされているが、必ずしも3つを必要としない。拡張機構3は、例えばメインロック機構40だけを有してもよい、また一対のサブロック機構41,41だけを有していてもよい。この場合、サブロック機構41,41がロック部の役割を果たす。また、ロック機構40,41,41の各々の構成についても、必ずしも上述するような構成に限定されず、一対のプレート21,22をロックできるような構成であればよい。なお、ボトムプレート21に形成される貫通孔31bは、2つの係合ブロック42,43が係合できれば必ずしも必要がない。この場合であっても、ブリッジ44に対応する位置にリブが形成されていてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、コイルばね23をドレーンバッグ1に使用した場合について説明したが、コイルばね23はドレーンバッグ1以外の医療機器に適用されてもよい。医療機器用ばね部材であるコイルばね23は、例えば、PCA(Patient Controlled Analgesia)装置に適用してもよく、大略円錐台形状の圧縮コイルばねが採用される医療用機器であれば採用することができる。このようにコイルばね23を採用することによって、MRI装置を用いる施術であっても前述する医療機器を使用することができる。また、本実施形態のドレーンバッグ1では、コイルばね23が用いられているが、必ずしも圧縮コイルばねに限定されない。例えば板ばねであってもよく、非磁性の材料から成り且つ一対のプレート21,22に付勢力を与えて拡張機構3を拡張できるばね部材であればよい。
【0048】
また、本実施形態のドレーンバッグ1の拡張機構3は、一対のプレート21,22を有しているが、必ずしも一対のプレート21,22を有している必要はない。例えば、コイルばね23を圧縮状態に保持すると共にそれを解除可能なロック部を有していればよく、コイルばね23を圧縮状態にして互いに係合するような部材を有し、この部材に対して解除操作を行うことによって係合を解除可能な拡張機構であってもよい。このような実施形態のドレーンバッグ1は、本実施形態のドレーンバッグ1と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0049】
1 :ドレーンバッグ
2 :バッグ本体(貯留器)
2a :貯留空間
3 :拡張機構
21 :ボトムプレート
22 :トッププレート
23 :コイルばね(ばね部材、医療機器用ばね部材)
40 メインロック機構(ロック部)
41 サブロック機構
42 ボトム側係合ブロック(係合部)
43 トップ側係合ブロック(係合部)
44 ブリッジ(リブ)
【手続補正書】
【提出日】2023-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入口を有し、膨張することによって体外の液体を前記吸入口から液体を吸引してその中に貯留可能な貯留器と、
前記貯留器内に収容され、拡張することによって前記貯留器を膨張させて前記吸入口から液体を吸引させる拡張機構とを備え、
前記拡張機構は、
互いに重ねて配置される一対のプレートであって、一方のプレートの少なくとも一部分を他方のプレートから離して拡張することができる一対のプレートと、
前記一対のプレートの間に配置され、前記一方のプレートの少なくとも一部分を前記他方のプレートから離すべく前記少なくとも一部分を付勢しているばね部材と、
前記少なくとも一部分が前記他方のプレートから離れないようにロックするロック状態と、前記一方のプレートの少なくとも一部分が前記他方のプレートから離れることを許容する解除状態とに切換え可能なロック機構とを有し、
前記一対のプレートは、樹脂から成り、
前記ばね部材は、透磁率が1.01以下となる非磁性の鋼線材又はチタンの材料巻線から成る圧縮コイルばねである、医療用吸引集液装置。
【請求項2】
吸入口を有し、膨張することによって体外の液体を前記吸入口から液体を吸引してその中に貯留可能な樹脂製の貯留器と、
前記貯留器内に収容され、拡張することによって前記貯留器を膨張させて前記吸入口から液体を吸引させる拡張機構とを備え、
前記拡張機構は、
透磁率が1.01以下となる非磁性の鋼線材又はチタン材料の巻線から成る圧縮コイルばねであってり、前記貯留器を膨張させるためのばね部材と、
ばね部材を解除可能に圧縮状態に保つロック部を有する医療用吸引集液装置。
【請求項3】
ドレーンバッグ又はPCA装置医療機器に備わる医療機器用ばね部材であって、
軸線方向一方から見て巻線の各所が互いに重ならないように大略円錐台状に形成され、透磁率が1.01以下となる非磁性の鋼線材又はチタンの巻線線材から成る圧縮コイルばねである、医療機器用ばね部材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の医療用吸引集液装置は、吸入口を有し、膨張することによって体外の液体を吸入口から液体を吸引してその中に貯留可能な樹脂製の貯留器と、前記貯留器内に収容され、拡張することによって前記貯留器を膨張させて前記吸入口から液体を吸引させる拡張機構とを備え、前記拡張機構は、互いに重ねて配置される一対のプレートであって、一方のプレートの少なくとも一部分を他方のプレートから厚み方向に離して拡張することができる一対のプレートと、前記一対のプレートの間に配置され、前記一方のプレートの少なくとも一部分を前記他方のプレートから離すべく前記少なくとも一部分を付勢しているばね部材と、前記少なくとも一部分が前記他方のプレートから離れないようにロックするロック状態と、前記一方のプレートの少なくとも一部分が前記他方のプレートから離れることを許容する解除状態とに切換え可能なロック機構とを有し、前記一対のプレートは、樹脂から成り、前記ばね部材は、透磁率が1.01以下となる非磁性の鋼線材又はチタンの巻線材料から成る圧縮コイルばねであるものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の医療用吸引集液装置は、吸入口を有し、膨張することによって体外の液体を前記吸入口から液体を吸引してその中に貯留可能な樹脂製の貯留器と、前記貯留器内に収容され、拡張することによって前記貯留器を膨張させて前記吸入口から液体を吸引させる拡張機構とを備え、前記拡張機構は、透磁率が1.01以下となる非磁性の鋼線材又はチタンの巻線材料から成る圧縮コイルばねであってり、前記貯留器を膨張させるためのばね部材と、ばね部材を解除可能に圧縮状態に保つロック部を有するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の医療機器用ばね部材は、ドレーンバッグ又はPCA装置医療機器に備わるものであって、軸線方向一方から見て巻線の各所が互いに重ならないように大略円錐台状に形成され、透磁率が1.01以下となる非磁性の鋼線材又はチタンの巻線線材から成る圧縮コイルばねである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明に従えば、医療機器用ばね部材が前述のような非磁性の線材から成るので、圧縮コイルばねであってもMRI装置のような磁気を発生する装置において、磁気発生部分に医療機器用ばね部材が引き寄せられることを抑制することができる。これにより、ばね部材を備えていてもMRI装置のような磁気を発生する装置を使用する施術でも使用することができるドレーンバッグ又はPCA装置を製造することができる。