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特開2023-171965表示制御装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171965
(43)【公開日】2023-12-05
(54)【発明の名称】表示制御装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20231128BHJP
   G06F 3/04817 20220101ALI20231128BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20231128BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/01 570
G06F3/04817
G06F3/0484
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023174377
(22)【出願日】2023-10-06
(62)【分割の表示】P 2021194309の分割
【原出願日】2016-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】岡村 純一
(57)【要約】
【課題】表示物を好適に観察者に視認させることが可能な表示制御装置を提供する。
【解決手段】表示システム1は、光源ユニット4と、コンバイナ8と、を備える。光源ユニット4の制御部16は、表示対象に対応する表示物をコンバイナ8により虚像Ivとして表示させる。また、制御部16は、車室内撮影カメラ5が生成する画像又は入力部12への入力に基づき、表示物に対するユーザの選択の有無を検出する。そして、制御部16は、選択されていない表示物については簡易的な情報を表示する第1表示態様により表示し、選択されている表示物については詳細な情報を表示する第2表示態様により表示する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示対象のそれぞれに対応する複数の表示物を、表示部の当該表示対象のそれぞれに対応する位置に第1表示態様で表示させる表示制御部と、
前記複数の表示物のうち、ユーザにより選択が行われた表示物を検出する検出部と、を備え、
前記表示制御部は、前記ユーザにより選択が行われた表示物を、前記第1表示態様より詳細な情報を表示する表示態様である第2表示態様で表示させ、且つ、前記第2表示態様から前記第1表示態様に切り替わった前記表示物の表示位置を、前回の第1表示態様の位置とは異なる位置に表示させることを特徴とする表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虚像により表示物を表示させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の運転者にコンバイナやフロントウィンドウを介して虚像を視認させるヘッドアップディスプレイにおいて、環境等に応じて輝度を自動調整する技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両の後方または側方に関する情報に基づく表示光をウィンドシールドにおける表示エリアのうち中央よりも下側のエリアに照射するヘッドアップディスプレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-107731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、車両の後方または側方に関する情報を表示することができる一方で、ユーザにとって関心の低い表示物に対しても表示を行う可能性がある。また、一般に、ヘッドアップディスプレイのような風景に虚像を重ねて表示する表示システムでは、表示物が多いほど風景に対する視認性が低くなるため、不要な表示物については可能な限り目立たない態様にて表示又は非表示にすることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、表示物を好適に観察者に視認させることが可能な表示制御装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
移動体に搭載され、表示対象に対応する表示物を表示部の当該表示対象に対応する位置に表示させる表示制御装置であって、
ユーザにより選択が行われた前記表示物を検出する検出部と、
前記選択が行われていない前記表示物を第1表示態様で表示させ、且つ前記選択が行われた前記表示物を前記第1表示態様より詳細な情報を表示する表示態様である第2表示態様で前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記移動体の進行方向の変更が予測される際に、変更先の進行方向に対応する位置に前記第2表示態様により表示された前記表示物の表示態様を、当該表示物の内容が前記進行方向に関連する場合は前記第2表示態様のまま維持し、当該表示物の内容が前記進行方向に関連しない場合は前記第1表示態様に切り替えることを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、
移動体に搭載される表示制御装置が実行する制御方法であって、
表示対象に対応する表示物を表示部の当該表示対象に対応する位置に表示させる表示工程と、
ユーザにより選択が行われた前記表示物を検出する検出工程と、
前記選択が行われていない前記表示物を第1表示態様で表示させ、且つ前記選択が行われた前記表示物を前記第1表示態様より詳細な情報を表示する表示態様である第2表示態様で前記表示部に表示させる表示制御工程と、
を有し、
前記表示制御工程は、前記移動体の進行方向の変更が予測される際に、変更先の進行方向に対応する位置に前記第2表示態様により表示された前記表示物の表示態様を、当該表示物の内容が前記進行方向に関連する場合は前記第2表示態様のまま維持し、当該表示物の内容が前記進行方向に関連しない場合は前記第1表示態様に切り替えることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、
移動体に搭載される表示制御装置が備えるコンピュータが実行するプログラムであって、
前記コンピュータに、
表示対象に対応する表示物を表示部の当該表示対象に対応する位置に表示させる表示工程と、
ユーザにより選択が行われた前記表示物を検出する検出工程と、
前記選択が行われていない前記表示物を第1表示態様で表示させ、且つ前記選択が行われた前記表示物を前記第1表示態様より詳細な情報を表示する表示態様である第2表示態様で前記表示部に表示させる表示制御工程と、
を実行させ、
前記表示制御工程は、前記移動体の進行方向の変更が予測される際に、変更先の進行方向に対応する位置に前記第2表示態様により表示された前記表示物の表示態様を、当該表示物の内容が前記進行方向に関連する場合は前記第2表示態様のまま維持し、当該表示物の内容が前記進行方向に関連しない場合は前記第1表示態様に切り替えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】表示システムの概略構成を示す。
図2】光源ユニットのブロック図である。
図3】制御部が実行する表示制御に関する概略的な機能ブロック図である。
図4】詳細情報を表示する前のコンバイナの表示例である。
図5】詳細情報の表示後のコンバイナの表示例である。
図6】メール受信時のコンバイナの表示例である。
図7】車線規制発生時のコンバイナの表示例である。
図8】変形例に係るコンバイナの表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つの好適な実施形態では、表示制御装置であって、表示対象に対応する表示物を表示部に表示させる表示制御部と、前記表示物に対するユーザの選択の有無を検出する検出部と、を備え、前記表示制御部は、前記選択が行われていない場合は第1表示態様で、前記選択が行われている場合は前記第1表示態様より詳細な情報を表示する表示態様である第2表示態様で、前記表示物を表示させる。
【0011】
上記表示制御装置は、表示制御部と、検出部とを備える。表示制御部は、表示対象に対応する表示物を表示部に表示させる。検出部は、表示物に対するユーザの選択の有無を検出する。表示制御部は、選択が行われていない場合は第1表示態様で、選択が行われている場合は第1表示態様より詳細な情報を表示する表示態様である第2表示態様で、表示物を表示させる。この態様により、表示制御装置は、ユーザが選択した(即ち注目している)表示物を第2表示態様で詳細に表示しつつ、ユーザが選択していない(即ち関心が低い)表示物を第1表示態様で簡易的に表示させて表示の煩雑化を好適に防ぐことができる。なお、「第1表示態様」には、表示物を表示しない非表示の場合も含まれる。
【0012】
上記表示制御装置の一態様では、前記表示制御部は、前記選択が行われていない状態から前記選択が行われた状態になった場合に前記第1表示態様から前記第2表示態様に切り替え、前記選択が行われた状態から前記選択が行われていない状態になった場合に前記第2表示態様から前記第1表示態様に切り替えて前記表示物を表示させる。この態様により、表示制御装置は、ユーザの選択の有無に応じて表示物の表示態様を適宜切り替えて表示させることができる。
【0013】
上記表示制御装置の他の一態様では、前記表示制御部は、前記選択が行われている表示物が存在する場合、当該表示物以外の表示物の少なくとも1つを、目立たない態様により表示する、又は消去する。これにより、表示制御装置は、ある表示物を第2表示態様により詳細に表示する際に、表示が煩雑化するのを好適に抑制することができる。
【0014】
上記表示制御装置の他の一態様では、前記表示制御部は、前記表示物が前記第2表示態様から前記第1表示態様に切り替わった表示物の表示位置を、前回の第1表示態様の位置とは異なる位置に表示する、又は当該表示物を消去する。この態様により、表示制御装置は、第2表示態様により詳細情報を表示させた表示物を誤って再度選択するのを好適に抑制することができる。
【0015】
上記表示制御装置の他の一態様では、前記表示制御部は、複数の表示物を前記表示部に表示する場合、前記複数の表示物同士が重ならないように表示させる。これにより、表示制御装置は、表示物が重なり合うことによる表示の煩雑化を好適に抑制することができる。
【0016】
上記表示制御装置の他の一態様では、表示制御装置は、前記表示対象の優先度を決定する優先度決定部を更に備え、前記表示制御部は、前記優先度が高い表示対象に対応する表示物ほど優先して前記第2表示態様で表示する。この態様によれば、表示制御装置は、表示すべき優先度が高い表示物ほど優先して第2表示態様により詳細に表示することができる。
【0017】
上記表示制御装置の他の一態様では、前記優先度決定部は、前記検出部によって検出された検出信号の優先度を決定し、前記表示制御部は、前記検出信号の優先度が前記表示物の優先度より高い場合に前記第2表示態様から前記第1表示態様に切り替えて前記表示物を表示させる。この態様により、表示制御装置は、優先度が高い検出信号を受信した場合に、当該検出信号に対応する表示を優先的に表示させることができる。
【0018】
上記表示制御装置の他の一態様では、前記表示制御部は、移動体の進行方向の変更が予測される場合、変更先の進行方向に対応する位置に前記第2表示態様により表示された前記表示物の表示態様を、前記第1表示態様に切り替える。この態様により、表示制御装置は、運転の際に注視すべき方向の視認性を好適に高めることができる。
【0019】
上記表示制御装置の他の一態様では、前記表示制御部は、前記進行方向の変更が予測される場合、変更先の進行方向に対応する位置に前記第2表示態様により表示された前記表示物の表示態様の前記第1表示態様への切り替えの要否を、前記表示物の内容によって異ならせる。この態様により、表示制御装置は、車両を進行させるのに運転者に視認させる必要がある警告等については表示を継続し、安全性を好適に確保することができる。
【0020】
上記表示制御装置の他の一態様では、前記表示制御部は、前記第1表示態様から前記第2表示態様に前記表示物の表示態様を切り替えるタイミングを、前記表示物の内容によって異ならせる。この態様により、表示制御装置は、表示物の内容に応じて第1表示態様から第2表示態様に表示態様を切り替えるタイミングを適切に定めて安全性等を好適に高めることが可能となる。
【0021】
上記表示制御装置の他の一態様では、前記検出部は、前記ユーザの視線に基づいて、前記選択の有無を検出する。この態様により、表示制御装置は、ユーザが運転中などであっても、ユーザが意図する表示物の選択を好適に受け付けることができる。
【0022】
上記表示制御装置の他の一態様では、前記検出部は、前記ユーザの手動による操作に基づいて、前記選択の有無を検出する。この態様によっても、表示制御装置は、好適にユーザの表示物の選択を受け付けることができる。
【0023】
本発明の他の好適な実施形態では、表示制御装置が実行する制御方法であって、表示対象に対応する表示物を表示部に表示させる表示制御工程と、前記表示物に対するユーザの選択の有無を検出する検出工程と、を有し、前記表示制御工程では、前記表示制御装置は、前記選択が行われていない場合は第1表示態様で、前記選択が行われている場合は前記第1表示態様より詳細な情報を表示する表示態様である第2表示態様で、前記表示物を表示させる。表示制御装置は、この制御方法を実行することで、ユーザが注目している表示物を第2表示態様で詳細に表示しつつ、ユーザの関心が低い表示物を第1表示態様で簡易的に表示させて表示の煩雑化を好適に防ぐことができる。
【0024】
本発明に係るさらに別の実施形態では、コンピュータが実行するプログラムであって、表示対象に対応する表示物を表示部に表示させる表示制御部と、前記表示物に対するユーザの選択の有無を検出する検出部として前記コンピュータを機能させ、前記表示制御部は、前記選択が行われていない場合は第1表示態様で、前記選択が行われている場合は前記第1表示態様より詳細な情報を表示する表示態様である第2表示態様で、前記表示物を表示させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、ユーザが注目している表示物を第2表示態様で詳細に表示しつつ、ユーザの関心が低い表示物を第1表示態様で簡易的に表示させて表示の煩雑化を好適に防ぐことができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0025】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
[表示システムの構成]
【0026】
図1は、本実施例に係る表示システム1の概略構成図である。図1に示すように、本実施例に係る表示システム1は、運転者が注目する情報のみを選択的に詳細表示することが可能なヘッドアップディスプレイである。表示システム1は、主に、光源ユニット4と、車室内撮影カメラ5と、スクリーン7と、コンバイナ8と、を備え、フロントウィンドウ25と、天井部27と、ボンネット28と、ダッシュボード29とを備える車両に搭載される。
【0027】
光源ユニット4は、ダッシュボード29内に設けられ、表示像を構成する光(単に「表示光」とも呼ぶ。)を、ダッシュボード29内に設けられたスクリーン7に向けて出射する。この場合、スクリーン7で反射した表示光は、ダッシュボード29に設けられた開口部89を介してコンバイナ8へ到達し、さらにコンバイナ8で反射することで運転者の目の位置に到達する。このように、光源ユニット4は、表示光を運転者の目の位置に到達させて、運転者に虚像「Iv」を視認させる。なお、光源ユニット4は、図示しないナビゲーション装置と通信を行うことで、ユーザが設定した目的地への経路情報など、虚像Ivとして表示させる画像(「表示物」とも呼ぶ。)を生成する為に必要な種々の情報を受信してもよい。光源ユニット4は、本発明における「表示制御装置」の一例である。
【0028】
車室内撮影カメラ5は、少なくとも運転者の顔が撮影範囲となる位置に設置され、生成した画像を光源ユニット4へ送信する。車室内撮影カメラ5は、可視光を捉える一般的なカメラであってもよく、LED照射機能がついた赤外線カメラであってもよい。車室内撮影カメラ5が出力する画像は、運転者の視線の検出に用いられる。
【0029】
スクリーン7は、中間像を生成する反射型の光学部材であり、射出瞳拡大器(EPE)として機能する。スクリーン7は、例えば、光源ユニット4からの光が入射される面には複数のマイクロレンズが配列されたマイクロレンズアレイが形成され、かつ、マイクロレンズアレイと反対側の面に反射面が形成される。
【0030】
コンバイナ8は、スクリーン7で生成された中間像を構成する光が投影されると共に、その投影光を運転者の目の位置へ一部反射することで虚像Ivを観察者に視認させる接眼光学系の光学部材である。好適には、コンバイナ8の表示光の反射面は、略凹面形状を有する。これにより、コンバイナ8は、虚像Ivを拡大表示させる。
【0031】
[光源ユニットの構成]
図2は、光源ユニット4のブロック図である。図2に示すように、光源ユニット4は、主に、通信部11と、入力部12と、光源部13と、記憶部14と、センサ部15と、制御部16とを有する。なお、通信部11、入力部12、光源部13、記憶部14、センサ部15、及び制御部16は、1つの筺体内に存在する場合に限られず、少なくとも1つが筺体外に存在してもよい。
【0032】
通信部11は、制御部16の制御に基づき、他の装置とデータ通信を行う。例えば、通信部11は、図示しないナビゲーション装置から、制御部16の表示制御に必要な情報を受信する。他の例では、通信部11は、VICS(登録商標、Vehicle Information Communication System)センタから配信される渋滞情報や交通規制情報などを受信する。さらに別の例では、通信部11は、光源ユニット4が搭載される車両から車両の状態に関する信号(例えばウィンカー信号等)を受信する。
【0033】
入力部12は、車室内に設けられたボタン、キー、ロータリー式入力装置及びこれらを備えたリモートコントローラなどであり、ユーザの操作や音声などを電気信号に変換し、入力データとして制御部16へ供給する。本実施例では、入力部12は、主に、虚像Ivとして表示された表示物をユーザが選択する為に用いられる。
【0034】
光源部13は、例えば赤色、青色及び緑色の各色のレーザ光源を有し、制御部16の制御に基づき表示光をスクリーン7へ向けて出射する。
【0035】
記憶部14は、制御部16が本実施例に係る表示制御を実行するのに必要なプログラム及びその他の情報を記憶する。例えば、記憶部14は、表示制御に必要な地図データなどを記憶する。
【0036】
センサ部15は、例えばGPS受信機、車速センサやジャイロセンサなどの自立測位装置、又は、車外を撮影対象とするカメラや車外の障害物を表す点群情報を生成するライダなどの外界センサであり、生成した検出信号を制御部16へ供給する。なお、外界センサ等は、例えば、車両の外装部分などの光源ユニット4の筺体外に設けられ、生成した検出信号を無線又は有線により制御部16へ供給する。また、光源ユニット4は、センサ部15を備える代わりに、図示しないナビゲーション装置が備えるGPS受信機等の出力を通信部11から適宜受信してもよい。
【0037】
制御部16は、CPU、CPUが実行する制御プログラムやデータなどを記憶するROM、CPUが動作する際のワークメモリとして各種データが逐次読み書きされるRAMなどを有し、表示システム1の全般的な制御を行う。例えば、制御部16は、虚像Ivとして運転者に視認させる表示物を生成し、生成した表示物を構成する表示光を光源部13に出射させる。また、制御部16は、車室内撮影カメラ5から供給される画像から公知の視線認識技術を適用することで、運転者が視線を向けている表示物を特定する。そして、制御部16は、運転者が視線を向けているか否かに応じて、虚像Ivとして表示させている各表示物の表示態様を決定する。本実施例では、表示物の表示態様は、施設や車両の状態などの表示対象の情報を簡易的に表示する表示態様である簡易表示態様と、表示対象の情報を詳細に表示する表示態様である詳細表示態様とに分類される。
【0038】
なお、制御部16は、本発明における「表示制御部」、「検出部」、「優先度決定部」及び本発明におけるプログラムを実行するコンピュータの一例である。また、簡易表示態様は、本発明における「第1表示態様」の一例であり、詳細表示態様は、本発明における「第2表示態様」の一例である。
【0039】
[機能ブロック]
図3は、制御部16が実行する表示制御に関する概略的な機能ブロック図である。図3に示すように、制御部16は、機能的には、表示物生成部31と、表示候補管理部32と、詳細情報管理部33と、第1入力検知部34と、第2入力検知部35と、ユーザ操作制御部36とを有する。
【0040】
表示物生成部31は、記憶部14に記憶された地図データ、車速センサなどのセンサ部15の出力、通信部11から受信した交通情報等に基づき、虚像Ivとして表示させる表示物に関する情報(「表示物情報」とも呼ぶ。)を生成する。ここで、表示物により表示する内容は、例えば、前方風景中に存在する施設に関する施設情報、経路案内に関する情報、車速や車間距離などの車両状態に関する情報、渋滞や交通規制に関する情報、及び受信したメールに関する情報などを含む。
【0041】
ここで、表示物情報は、簡略表示態様での表示に用いる表示物情報(即ち簡易表示用の表示物情報)と詳細表示態様での表示に用いる表示物情報(即ち詳細表示用の表示物情報)とに分類される。そして、簡略表示用の表示物情報には、例えば、表示物として表示する画像(例えばアイコン画像)に加えて、分類情報、コンバイナ8上の表示領域を区分けしたときの表示させる区分(「表示領域区分」とも呼ぶ。)の情報、表示位置の情報、及び表示させる優先度の情報などが含まれる。ここで、上述の表示領域区分及び表示位置の決定方法について補足説明する。表示物生成部31は、例えば、前方風景に対応付けて表示させる必要がある表示物(例えば施設マーク等)の場合には、地図データ及びセンサ部15の出力等に基づき、ヘッドアップディスプレイにおける公知の表示技術を用いて、前方風景中の表示対象と対応付いた表示領域区分及び表示位置を決定する。また、表示物生成部31は、前方風景に対応付ける必要がない表示物の場合には、表示領域区分及び表示位置を、例えば、表示物の分類ごとに予め定めた表示領域区分又は表示位置に定める。また、表示物生成部31は、上述の優先度を、例えば、表示物の分類ごとに優先度を規定したテーブル等を参照することで決定する。
【0042】
詳細表示用の表示物情報には、例えば、詳細情報として表示するテキスト情報や表示位置に関する情報などが含まれる。表示物生成部31は、生成した表示物情報を表示候補管理部32へ供給する。なお、表示物生成部31が表示候補管理部32に供給する表示物情報には、当該表示物情報を登録すべき旨又は削除すべき旨等を示すコマンド情報が含まれていてもよい。なお、表示物生成部31は、表示物情報を自ら生成する代わりに、図示しないナビゲーション装置から通信部11を介して受信してもよい。
【0043】
表示候補管理部32は、表示物生成部31から簡略表示用の表示物情報を受信し、図示しないバッファに対して登録、上書き、削除を行う。上述のバッファは、例えば、コンバイナ8の表示領域内における中央、中段、下段などの表示領域区分ごとに存在し、記憶した表示物情報が定期的にユーザ操作制御部36へ供給される。この場合、表示候補管理部32は、例えば、表示位置が重なる又は一定距離以内に存在する表示物を、表示物情報に含まれる優先順位が高い方のみを表示するようにバッファ内で表示物情報を順位付けしたり、各バッファからユーザ操作制御部36へ供給する表示物情報の数を制限したりしてもよい。詳細情報管理部33は、表示物生成部31から詳細表示用の表示物情報を受信し、図示しないバッファに記憶させる。
【0044】
第1入力検知部34は、ユーザ操作によらず表示物の選択や表示物の表示態様の切替をするための信号を生成し、ユーザ操作制御部36へ生成した信号を供給する。例えば、第1入力検知部34は、表示領域の右側に表示物を詳細表示している際に、車両から供給されるハンドル操作信号やウィンカー信号等に基づき右折操作を検知した場合、表示領域の右側に表示中の表示物が運転操作に支障があると判断し、当該表示物の表示を終了すべき旨の信号(所謂、運転操作支障検知信号)を生成する。他の例では、第1入力検知部34は、センサ部15の出力に基づき前方車両との車間距離が所定距離以下になったことを検知した場合、前方車両に関する表示物の表示態様を簡易表示態様から詳細表示態様に切り替えるべき旨の信号(所謂、緊急性検知信号)を生成する。
【0045】
第2入力検知部35は、表示物の選択操作を受け付けたり、表示物の表示態様の切替操作を受け付けたりする。本実施例では、第2入力検知部35は、公知の視線認識技術により、車室内撮影カメラ5が生成する画像から運転者の視線を検知する。これにより、第2入力検知部35は、虚像Ivとして表示されている表示物のうち、運転者が視線を向けている表示物を特定する。また、第2入力検知部35は、入力部12の入力に基づき、虚像Ivとして表示されている表示物から、運転者が選択する表示物を特定してもよい。この場合、例えば、第2入力検知部35は、十字キーやロータリー式入力装置などへの操作に基づき、選択の対象となる表示物を切り替えたり、選択中の表示物の表示態様を切り替えたりする。
【0046】
ユーザ操作制御部36は、例えば、簡略表示用の表示物情報を記憶するバッファ(簡易表示用バッファ)、詳細表示用の表示物情報を記憶するバッファ(詳細表示用バッファ)などを有し、光源部13が表示光を出力するのに必要な情報を生成して光源部13へ供給する。また、ユーザ操作制御部36は、機能的には、表示内容生成部37と、表示状態管理部38と、制御信号生成部39とを有する。
【0047】
表示内容生成部37は、簡易表示用バッファ内の表示物情報を抽出し、簡易表示態様の表示物のレンダリングを行う。同様に、表示内容生成部37は、詳細表示用バッファ内の表示物情報を抽出し、詳細表示態様の表示物のレンダリングを行う。また、好適には、表示内容生成部37は、ユーザにより選択された状態の表示物については、縁取り効果などにより目立つようにレンダリングを行う。
【0048】
表示状態管理部38は、第1入力検知部34が出力する運転操作支障検知信号や緊急性検知信号に基づき、表示物の表示態様を簡易表示態様と詳細表示態様との間で切り替える。例えば、表示状態管理部38は、運転操作支障検知信号に基づき表示領域の右側に詳細表示態様により表示中の表示物が運転操作に支障があると判断した場合、当該詳細表示態様により表示中の表示物を簡易表示態様に切り替える。
【0049】
制御信号生成部39は、第1入力検知部34及び第2入力検知部35から供給される信号群及び表示状態管理部38が出力する表示状態管理部38の内部状態に関する信号に基づき、表示内容生成部37に供給する表示物選択信号及び表示状態管理部38に供給する表示状態切替信号を生成する。ここで、表示物選択信号は、選択された状態の表示物を特定する信号であり、表示状態切替信号は、表示物の表示態様の切替を指示する信号である。
【0050】
[表示制御の詳細]
次に、制御部16による表示制御の詳細について具体例を参照して説明する。
【0051】
(1)ユーザ操作に基づく表示制御
まず、運転者の視線移動や入力部12への入力に基づく表示物の表示制御の具体例について、図4及び図5を参照して説明する。
【0052】
図4(A)は、運転者に視認される前方風景及び前方風景に重畳された表示物を表示するコンバイナ8の表示例である。図4(A)の例では、制御部16は、進行方向に関する簡易表示であるアイコン41と、前方風景中に存在する各施設に対応する簡易表示であるアイコン42~44と、天候に関する簡易表示であるアイコン45と、車両の状態に関する簡易表示である文字列46とを、それぞれ簡易表示態様の表示物として表示させている。図4(A)では、制御部16は、車室内撮影カメラ5が出力する画像及び入力部12が出力する入力信号に基づき、アイコン41~45及び文字列46のいずれもユーザが選択していないと判断し、これらのアイコン41~45及び文字列46を均一な態様により表示させている。
【0053】
図4(B)は、図4(A)の状態からアイコン43をユーザが選択した直後のコンバイナ8の表示例を示す。図4(B)の例では、制御部16は、車室内撮影カメラ5が出力する画像から認識した運転者の視線がアイコン43に向けられていると判断し、アイコン43を強調して(即ちアクティブにして)表示している。図4(B)の例では、制御部16は、選択されたアイコン43の輝度を上げると共に縁取り効果により強調することで、アイコン43が選択されたことを明示している。
【0054】
図5(A)は、選択されたアイコン43に対応する食事施設50の詳細情報を表示したコンバイナ8の表示例である。制御部16は、例えば、車室内撮影カメラ5が出力する画像から認識した運転者の視線が所定時間(例えば1秒)以上アイコン43に向けられている場合、当該アイコン43に対応する食事施設50の詳細情報を表示すべきと判断し、食事施設50に関する店名や開店時間などの詳細な施設情報を示した吹き出し51を表示している。即ち、この場合、食事施設50に関する表示物は、図4のアイコン43に相当する簡易表示態様から、図5(A)におけるアイコン43及び吹き出し51に相当する詳細表示態様へ表示態様が変化している。
【0055】
このように、制御部16は、初期状態では図4(A)に示すように全ての表示物を簡易表示態様(図4(A)ではアイコン41~45及び文字列46)により表し、ユーザが注目していると判断した表示物のみを詳細表示態様(図5(A)ではアイコン43及び吹き出し51)により表す。この時、ユーザが注目していないと判断した表示物を簡易表示態様(図5(A)のアイコン44を図5(B)で消去)により表してもよい。これにより、制御部16は、ユーザが注目していない施設等の詳細情報を不要に表示するのを防ぎ、表示の煩雑化を好適に抑制することができる。
【0056】
ここで、ユーザ操作に基づく表示制御の他の具体例について説明する。
【0057】
例えば、制御部16は、ウィンカー操作に応じて運転者の運転上の視界の妨げとなる詳細表示態様の表示物を簡易表示態様へ切り替えてもよい。例えば、制御部16は、図5(A)の状態において、右折に対応するウィンカー操作を検知した場合には、吹き出し51を消去する。これにより、右折時に運転者が視認する必要性が高い前方風景の視認性を好適に確保することが可能となる。
【0058】
なお、上述の例において、制御部16は、ウィンカー操作による車両の右折又は左折を検知した場合であっても、車両の進行上必要な警告を示す表示物については詳細表態様を維持してもよい。
【0059】
例えば、制御部16は、右側後方の車両検知に対する警告の表示物を運転操作支障検知信号又は緊急性検知信号に基づき表示中の場合に、右折のウィンカー操作を検知した場合には、上述の警告の表示物の詳細表態様による表示を維持する。この例では、右隣の車線への車線変更の際に必要な右側後方の車両検知に対する警告を継続して表示することができる。他の例では、制御部16は、左側後方に対する車両検知に対する警告の表示物を運転操作支障検知信号又は緊急性検知信号に基づき表示中の場合に、左折のウィンカー操作を検知した場合には、上述の警告の表示物の詳細表示態様による表示を維持する。この態様により、道路沿いの施設に急遽立寄る場合など、経路案内に従った行動とは別の状況であっても、車両の進行上必要な警告を継続して表示することができる。
【0060】
次に、上述の警告の表示物の詳細表示態様から簡易表示態様への切替タイミングについて補足説明する。例えば、制御部16は、上述の警告の表示物の表示を指示する検知信号である運転操作支障検知信号又は緊急性検知信号を受信しなくなった場合に、当該警告の表示物の表示態様を詳細表示態様から簡易表示態様に切り替える。他の例では、制御部16は、上述の警告の表示物を確認した旨の入力部12への操作又は所定の視線操作を検知した場合に、当該警告の表示物の表示態様を詳細表示態様から簡易表示態様に切り替える。
【0061】
このように、好適には、制御部16は、表示物の内容と、入力部12への操作又は視線操作との組み合わせによって、詳細表示態様から簡易表示態様への表示態様の切り替えのタイミング又は手順を異ならせてもよい。これにより、制御部16は、運転上必要な警告を詳細表示態様により継続して表示し、安全性を好適に高めることができる。
【0062】
図5(B)は、図5(A)の吹き出し51の表示を終了させた後のコンバイナ8の表示例である。図5(B)の例では、例えば、制御部16は、車室内撮影カメラ5が出力する画像から認識した運転者の視線がアイコン43若しくは吹き出し51から所定時間以上離れた場合又は他の表示物に視線が移動したことを検知した場合に、運転者が食事施設50に注目していないと判断し、食事施設50に関する詳細情報を示した吹き出し51の表示を終了する。そして、この場合、制御部16は、食事施設50に対するアイコン43の表示位置を、表示領域の左下隅に移動させている。
【0063】
このように、制御部16は、詳細表示態様から簡易表示態様へ戻った表示物(ここではアイコン43)を、比較的使用頻度が低い表示スペースである左下隅へ移動させる。これにより、制御部16は、簡易表示態様に切り替えた表示物の表示態様を視線検出の誤差等に起因して再び詳細表示態様に切り替えるのを防ぐことができる。また、例えば、制御部16は、アイコン43に隣接していたアイコン42、44を運転者が選択しようとしたにもかかわらず、誤操作によりアイコン43に対応する詳細情報を示す吹き出し51を誤って表示してしまった場合にも、アイコン43の表示位置の移動により、同様の誤操作の繰り返しを好適に抑制することができる。
【0064】
(2)ユーザ操作に基づかない表示制御
次に、ユーザ操作に基づかない表示制御に関する具体例について、図6及び図7を参照して説明する。
【0065】
図6(A)は、表示制御に影響を与えるイベントが発生する前のコンバイナ8の表示例を示し、図6(B)は、イベント(ここではメール受信)が発生した直後のコンバイナ8の表示例を示す。図6(B)の例では、制御部16は、光源ユニット4と電気的に接続する図示しない携帯端末からメール受信の通知信号を通信部11により受信し、メール受信を表示対象とする簡易表示態様のアイコン47を、他のアイコン41~46と重ならない位置に表示させる。これにより、制御部16は、メールを受信したことを好適にユーザに知らせる。
【0066】
図6(C)は、アイコン47が示すメール受信の詳細を示す吹き出し52を表示した際のコンバイナ8の表示例を示す。この場合、制御部16は、例えば、車室内撮影カメラ5が出力する画像から認識した運転者の視線がアイコン47に向けられていることを検知し、アイコン47を強調表示した後、アイコン47が示す受信メールの詳細(ここでは件名及び本文)を示す吹き出し52を表示させている。このように、制御部16は、ユーザ操作によらないイベントが発生した場合にも、初期状態では簡易表示態様により当該イベントに関する表示物(ここではアイコン47)を表示させ、その後にユーザ操作に応じて詳細表示態様へ表示物の表示態様を切り替える。これにより、表示の煩雑化を好適に抑制しつつ、ユーザが注目する情報の詳細を好適にユーザに視認させることができる。
【0067】
図7(A)は、図6(A)の状態から交通規制(ここでは車線規制)の発生に起因した表示切替が行われた直後のコンバイナ8の表示例を示す。図7(A)に示すように、この場合、制御部16は、交通規制に関するイベントが発生した旨を示す簡易表示である「!」マークのアイコン48を表示させる。
【0068】
また、制御部16は、交通規制に関するアイコン48は、運転者に視認させるべき優先度が高い表示物であると判断し、一部の表示物を消去している。具体的には、制御部16は、施設マークなどの図6(A)に示すアイコン42~44及び天気に関するアイコン45については表示する優先度が低いと判断し、これらの表示を消去している。この場合、例えば、制御部16は、まず、アイコン48に対応する表示物情報の優先度に関する情報を参照し、当該優先度が所定度以上であることを検知する。そして、制御部16は、次に、表示中の表示物に対応する表示物情報の優先度に関する情報を参照し、当該優先度が所定度以下のものを非表示にすべきと判断する。これにより、制御部16は、運転者に視認させるべき優先度が高い交通規制に関するアイコン48を優先的に表示することができる。
【0069】
図7(B)は、アイコン48が示す交通規制に関する詳細情報が表示されたコンバイナ8の表示例を示す。制御部16は、図6に示したメール受信の例と同様に、例えば、車室内撮影カメラ5が出力する画像から認識した運転者の視線が所定時間以上アイコン48に向けられていることを検知した場合に、アイコン48が示す交通規制に関する詳細情報を示す吹き出し53を表示させる。なお、制御部16は、交通規制に関する表示物は運転者に視認させるべき優先度が高い表示物であると判断し、運転者の視線や入力部12への入力によらずに、アイコン48の表示と同時に又はアイコン48の表示から所定時間経過後に、自動的に吹き出し53を表示させてもよい。
【0070】
図7(C)は、図7(B)の状態から経路案内に関するイベントが発生した際のコンバイナ8の表示例を示す。この場合、制御部16は、図7(B)において表示していた吹き出し53を消去し、かつ、100m先で左折すべき旨を示した経路案内に関する文字列54を表示させると共に経路案内に関するアイコン41を強調表示している。即ち、この場合、制御部16は、交通規制に関する表示物の表示態様を詳細表示態様から簡易表示態様に変更すると共に、経路案内に関する表示物の表示態様を簡易表示態様から詳細表示態様に変更している。これにより、制御部16は、複数の表示物を詳細表示態様により表示することによる表示の煩雑化を好適に抑制することができる。
【0071】
また、制御部16は、吹き出し53により詳細情報を表示済みである交通規制に関するアイコン48の表示位置を左下隅に移動させている。このように、制御部16は、詳細表示態様から簡易表示態様へ表示態様を変更した表示物の表示位置を移動させることで、誤操作により再び当該表示物が詳細表示態様へ切り替わるのを防ぐ。
【0072】
なお、制御部16は、吹き出し53の表示中に文字列54を表示すべきと判断した場合に、これらに対応する表示物情報に含まれる優先度を比較し、優先度が高い方のみを表示させてもよい。この場合、制御部16は、吹き出し53(即ち交通規制の表示物)に対応する優先度が文字列54(即ち経路案内の表示物)に対応する優先度より高いと判断した場合には、文字列54を表示することなく吹き出し53を継続して表示する。一方、制御部16は、吹き出し53に対応する優先度が文字列54に対応する優先度より低いと判断した場合には、図7(C)に示すように吹き出し53を消去して文字列54を表示させる。なお、制御部16は、これらの優先度が同一である場合には、例えば、既に表示中の吹き出し53を消去して、未表示である文字列54を表示させてもよい。
【0073】
以上説明したように、本実施例に係る表示システム1は、光源ユニット4と、コンバイナ8と、を備える。光源ユニット4の制御部16は、表示対象に対応する表示物をコンバイナ8により虚像Ivとして表示させる。また、制御部16は、車室内撮影カメラ5が生成する画像又は入力部12への入力に基づき、表示物に対するユーザの選択の有無を検出する。そして、制御部16は、選択されていない表示物については簡易的な情報を表示する簡易表示態様により表示し、選択されている表示物については詳細な情報を表示する詳細表示態様により表示する。これにより、制御部16は、表示の煩雑化を好適に抑制しつつ、運転者が注目する情報の詳細を好適に運転者に視認させることができる。
【0074】
[変形例]
以下、上述の実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
【0075】
(変形例1)
制御部16は、複数の表示物を詳細表示態様により表示させてもよい。この場合、好適には、制御部16は、表示させる表示物が重ならないように表示させるとよい。
【0076】
図8(A)は、図5(A)の例と同様に食事施設50に対応する詳細情報を表示中のコンバイナ8の表示例である。図8(B)は、図8(A)の状態で車線規制を検知して車線規制に関するアイコン48及び吹き出し53を表示させた状態のコンバイナ8の表示例である。
【0077】
図8(A)の例では、制御部16は、運転者の視線検知結果等に基づき、アイコン43が選択されたと判断し、食事施設50に対応する詳細情報を示した吹き出し51を表示させている。さらに、図8(B)の例では、制御部16は、設定された案内経路中における車線規制の情報を、通信部11等を介して取得したことから、車線規制に関するアイコン48及び吹き出し53を表示させている。なお、この例では、制御部16は、車線規制の表示物に対応付けられた優先度が所定値以上であると判断し、ユーザ操作によらずに、車線規制に関する詳細情報を示す吹き出し53をアイコン48と同時に表示させている。
【0078】
ここで、図8(B)の例では、制御部16は、追加で表示させるアイコン48及び吹き出し53を、他のアイコン41~43、文字列46及び吹き出し51と重ならない位置(ここでは左側)に表示させている。これにより、制御部16は、複数の表示物が重なって表示されることに起因した表示の煩雑化を好適に抑制することができる。
【0079】
(変形例2)
図5等の表示例では、制御部16は、詳細情報を表示済の表示物(図5ではアイコン43)の表示位置を左下隅に移動させた。これに代えて、制御部16は、詳細情報を表示済の表示物を消去してもよい。これによっても、制御部16は、同一の詳細情報を繰り返し表示するのを防ぐと共に、ユーザ操作に基づく表示物の誤選択を好適に抑制することができる。また、制御部16は、詳細情報を表示済の表示物の表示位置を、左下隅以外の位置であって、他の表示物と重ならない位置に移動させてもよい。
【0080】
(変形例3)
図1に示す表示システム1の構成は一例であり、本発明が適用可能な構成は、これに限定されない。例えば、表示システム1は、コンバイナ8に代えて、フロントウィンドウ25により光源ユニット4の表示光を運転者の目の位置に向けて反射することで、運転者に虚像Ivを視認させてもよい。他の例では、光源ユニット4は、ダッシュボード内に設けられる態様に限定されず、天井部27に設置されてもよい。この場合、光源ユニット4は、コンバイナ8と一体型であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 表示システム
4 光源ユニット
7 スクリーン
8 コンバイナ
25 フロントウィンドウ
28 ボンネット
29 ダッシュボード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8