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特開2023-171980モバイル通信端末及びアクセスポイントネーム切替方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171980
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】モバイル通信端末及びアクセスポイントネーム切替方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/18 20090101AFI20231129BHJP
   H04W 36/16 20090101ALI20231129BHJP
   H04W 36/24 20090101ALI20231129BHJP
   H04W 36/36 20090101ALI20231129BHJP
【FI】
H04W48/18
H04W36/16
H04W36/24
H04W36/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020171965
(22)【出願日】2020-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山崎 敦史
(72)【発明者】
【氏名】石倉 勝利
(72)【発明者】
【氏名】中西 英之
(72)【発明者】
【氏名】青木 直
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE24
5K067KK06
(57)【要約】
【課題】使用するアクセスポイントネームを、モバイル通信端末の状態に応じて決定し切り替えることができるモバイル通信端末及びアクセスポイントネーム切替方法を提供する。
【解決手段】複数のアクセスポイントネームに接続可能なモバイル通信端末(1)は、当該モバイル通信端末(1)の状態または状態の変化を示す状態情報を取得する取得部(13)と、状態情報を参照して、接続するアクセスポイントネームを切り替えるアクセスポイントネーム切替部(12)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアクセスポイントネームに接続可能なモバイル通信端末において、
当該モバイル通信端末の状態または状態の変化を示す状態情報を取得する取得部と、
前記状態情報を参照して、接続する前記アクセスポイントネームを切り替えるアクセスポイントネーム切替部と、を備える、
モバイル通信端末。
【請求項2】
前記アクセスポイントネーム切替部は、前記状態情報を参照し、前記モバイル通信端末が固定状態で使用されていることを示しているか、又はモバイル状態で使用されていることを示しているかに応じて、前記アクセスポイントネームを切り替える、請求項1に記載のモバイル通信端末。
【請求項3】
前記アクセスポイントネーム切替部は、前記状態情報を参照し、モバイル通信端末がモバイル状態で使用されていることを示しており、かつ、所定の回数以上ハンドオーバが実施されたことを示している場合に、前記アクセスポイントネームを切り替える、請求項2に記載のモバイル通信端末。
【請求項4】
前記状態情報には、前記モバイル通信端末と充電アダプタ又はクレイドルとの接続状態の変化に関する情報が含まれており、
前記アクセスポイントネーム切替部は、
前記状態情報が、前記モバイル通信端末と充電アダプタ又はクレイドルとが接続状態であることを示している場合に、前記モバイル通信端末が固定状態で使用されていると判断し、
前記状態情報が、前記モバイル通信端末と充電アダプタ又はクレイドルとが非接続状態であることを示している場合に、前記モバイル通信端末がモバイル状態で使用されていると判断する、請求項2又は3に記載のモバイル通信端末。
【請求項5】
前記状態情報には、前記モバイル通信端末の形状が変化したことを示す情報が含まれており、
前記アクセスポイントネーム切替部は、
前記状態情報が、前記モバイル通信端末が固定状態にある形状を示している場合に、前記モバイル通信端末が固定状態で使用されていると判断し、
前記状態情報が、前記モバイル通信端末がモバイル状態にある形状を示している場合に、前記モバイル通信端末がモバイル状態で使用されていると判断する、請求項2又は3に記載のモバイル通信端末。
【請求項6】
前記アクセスポイントネーム切替部は、前記状態情報を参照し、前記モバイル通信端末の温度が所定の温度以上であることを示しているか、又は所定の温度未満であることを示しているかに応じて、前記アクセスポイントネームを切り替える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のモバイル通信端末。
【請求項7】
前記アクセスポイントネーム切替部は、前記状態情報の取得に起因して、前記アクセスポイントネームを切り替えるか否かを決定する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のモバイル通信端末。
【請求項8】
モバイル通信端末と接続するアクセスポイントネームを切り替えるためのアクセスポイントネーム切替方法であって、
前記モバイル通信端末の状態情報を取得する工程と、
取得した前記状態情報を参照して、接続する前記アクセスポイントネームを切り替える工程と、を備える、アクセスポイントネーム切替方法。
【請求項9】
モバイル通信端末と接続するアクセスポイントネームを切り替えるためのアクセスポイントネーム切替プログラムであって、
コンピュータを、
前記モバイル通信端末の状態情報を取得する取得部、及び
取得した前記状態情報を参照して、接続する前記アクセスポイントネームを切り替えるアクセスポイントネーム切替部、として機能させるためのアクセスポイントネーム切替プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のアクセスポイントネーム切替プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル通信端末及びアクセスポイントネーム切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル通信端末の急速な普及と性能の向上、利用可能なアプリケーションの増大、定額料金体系の普及等により、モバイル通信端末を用いた情報通信量は増加の一途をたどり、今後もさらに増加することが予想されている。それに伴い、モバイルネットワークのトラフィックの輻輳が大きな問題となりうる。
【0003】
例えば、特許文献1には、モバイルネットワークにおける輻輳の状況に応じて異なるトラフィックハンドリングポリシを適用することにより、輻輳を制御及び緩和する方法が開示されている。具体的には、コアネットワークと無線アクセスネットワーク(RAN)とを有するモバイル通信ネットワークにおいて、RANにおける輻輳状態を検出し、課金ルール機能(PCRF)モジュールが、1以上の輻輳緩和ポリシを課金実施機能(PCEF)モジュールに提供し、PCEFが輻輳緩和手段を決定して実行する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-195252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術は、モバイルネットワーク側だけで実行される方法であり、モバイル通信端末が介在する余地はない。しかし、例えば今後の5Gにおけるモバイル通信ネットワークのリソースの有効利用を考えると、モバイル通信端末が、モバイル通信端末の状態に適したアクセスポイントネームを自律的に選択して、そのアクセスポイントネームに切り替えができることが好ましい。
【0006】
本発明の一態様は、使用するアクセスポイントネームを、モバイル通信端末の状態に応じて決定し切り替えることができるモバイル通信端末及びアクセスポイントネーム切替方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るモバイル通信端末は、複数のアクセスポイントネームに接続可能なモバイル通信端末において、当該モバイル通信端末の状態または状態の変化を示す状態情報を取得する取得部と、前記状態情報を参照して、接続する前記アクセスポイントネームを切り替えるアクセスポイントネーム切替部と、を備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係るアクセスポイントネーム切替方法は、モバイル通信端末と接続するアクセスポイントネームを切り替えるためのアクセスポイントネーム切替方法であって、前記モバイル通信端末の状態情報を取得する工程と、取得した前記状態情報を参照して、接続する前記アクセスポイントネームを切り替える工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、使用するアクセスポイントネームを、モバイル通信端末の状態に応じて決定し切り替えることができるモバイル通信端末及びアクセスポイントネーム切替方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係るモバイル通信端末の使用の状態とその状態に適したアクセスポイントネームを示す概念図である。
図2】本発明の実施形態1に係るモバイル通信端末のブロック構成図である。
図3】本発明の実施形態1に係るアクセスポイントネームの切替処理シーケンスの概念図である。
図4】本発明の実施形態1に係るアクセスポイントネームの切替制御を示すフローチャートである。
図5】実施形態1の変形例1に係るアクセスポイントネームの切替制御を示すフローチャートである。
図6】実施形態1の他の変形例2に係るアクセスポイントネームの切替制御を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態2に係るモバイル通信端末のブロック構成図である。
図8】本発明の実施形態2に係るアクセスポイントネームの切替制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るモバイル通信端末1の使用の態様について、図面を参照して説明する。図1は、実施形態1に係るモバイル通信端末(例えば、Consumer Premise Equipment、CPE)1の使用状態とその状態に適したアクセスポイントネーム(Access Point Name、APN)を示す概念図である。なお、本明細書において、「アクセスポイントネーム」との表現は、単にアクセスポイントの名称を示すという意味のみならず、アクセスポイント自体を示す意味でも用いられる。したがって、本明細書において「アクセスポイントネームを切り替える」との表現は、「アクセスポイントを切り替える」と表現してもよい。また、モバイル通信端末はCPEを例示したが、スマートホン、タブレット端末等でもよい。
【0012】
モバイル通信端末1を用いる通信は、基地局(Evolved Node B, eNB)及びEPC(Evolved Packet Core)等のコアネットワークを介して行われる。例えば、モバイル通信端末1を用いてインターネットに接続する場合は、基地局及びコアネットワーク等の通信設備を介してインターネットに接続される。このような通信設備を所有してモバイル通信サービスを提供する移動体通信事業者(Mobile Network Operator, MNO)、及びMNOから通信設備の一部又は全部を借り受けてモバイル通信サービスを提供する仮想移動体通信事業者(Mobile Virtual Network Operator, MVNO)は、それぞれ独自の特徴を備えるモバイル通信サービスをユーザに提供している。なお、ここではLTEのネットワークを用いて説明しているが、5G(5th Generation)の構成でもよい。5Gの場合は、APNはDNN(Data Network Name)となる。
【0013】
例えば、ある通信事業者は、比較的大きなパケットで大容量のデータを送受信可能なモバイル通信サービスを提供しており、またある通信事業者は比較的安価で小容量のデータを送受信可能なモバイル通信サービスを提供している。従って、例えば、ユーザが用いるモバイル通信端末1の送受信能力に応じて、接続するモバイル通信サービスを変更することができれば、モバイル通信サービスのリソースを有効利用することができる。
【0014】
それぞれの通信事業者が使用する基地局及びコアネットワーク等を含む通信ネットワークは、固有のアクセスポイントネーム(APN)によって識別され、接続先として設定される。従来技術のモバイル通信端末は、所定のAPNが予め接続先として設定された状態で販売されている。モバイル通信端末の購入後に、接続するAPNをユーザが手動で変更することは可能であるが、手間がかかり、またユーザにとってはどのような場合にどのAPNに接続すればよいかの判断が難しい。本実施形態1に係るモバイル通信端末1は、モバイル通信端末1の状態に応じて、接続するAPNを決定して切り替える。
【0015】
(モバイル通信端末の状態例)
図1に示すように、ユーザが構内又は自宅等でモバイル通信端末1を使用する状態を、モバイル通信端末1が移動していない状態であることから「固定状態」又は「固定使用状態」と称する。また、ユーザがモバイル通信端末1を持って外出した先で使用する状態を、モバイル通信端末1が移動している状態であることから「モバイル状態」又は「モバイル使用状態」と称する。固定使用状態においては、一般的に電波の受信状態が経時的に変化せず、安定した通信容量を確保可能である。そのため、大容量のデータを送受信することができ、パケットサイズも大きくてもよい。
【0016】
逆に、モバイル使用状態の場合は、ユーザの移動に伴い、障害物による電波の受信状態の悪化によって通信容量が低下したり、接続する基地局を変更する必要が生じたりする。このようなモバイル使用状態の場合は、大容量のデータを送受信することは難しく、パケットサイズも小さいほうが好ましい。そのため、大容量のデータを送受信することができるAPNに接続しても、そのAPNの能力を十分利用することができない。
【0017】
例えば、図1に示すAPN1(第1のアクセスポイントネーム)は、ユーザがモバイル通信端末1を固定使用状態で使用している場合に接続するのに適したAPNである。固定使用状態で使用している場合に接続するのに適したAPNとは、例えばデータの送受信容量が比較的大きなAPNである。一方、APN2(第2のアクセスポイントネーム)は、ユーザがモバイル通信端末1をモバイル使用状態で使用している場合に接続するのに適したAPNである。モバイル使用状態で使用している場合に接続するのに適したAPNとは、例えば、データの送受信容量は比較的小さいが、移動するモバイル通信端末との通信が安定して行えるように特化されたAPNである。
【0018】
実施形態1に係るモバイル通信端末1は、モバイル通信端末1自身の状態、又は状態の変化を示す状態情報を取得し、その状態情報を参照して、APN1又はAPN2のどちらに接続するかを判断して、そのAPNに切り替えることができる。なお、図1においては、EPCから先が個別のAPNである場合を例示しているが、このような構成に限らず、基地局やEPC等も含めて個別のAPNが構成されていてもよい。
【0019】
本実施形態において、状態情報とは、モバイル通信端末1自身の状態、又は状態の変化を示す情報である。より具体的には、状態情報とは、モバイル通信端末1がどのような環境又は状態で使用されているか、もしくはその環境又は状態がどのように変化したかを判断するための情報である。例えば、状態情報は、図1に示すように、モバイル通信端末1と充電アダプタ又はクレイドル(例えば、無線接続可能な周辺機器)との接続状態の変化に関する情報である。状態情報が、モバイル通信端末1と充電アダプタ又はクレイドルとが接続状態であることを示している場合は、モバイル通信端末1が固定状態で使用されていると判断できる。逆に、状態情報が、モバイル通信端末1と充電アダプタ又はクレイドルとが非接続状態であることを示している場合は、モバイル通信端末1がモバイル状態で使用されていると判断できる。
【0020】
モバイル通信端末1と充電アダプタ又はクレイドルとの接続状態の変化は、例えば、充電アダプタが挿入されたこと、又は挿抜されたことを示す情報を、後述の状態情報取得部13が取得することで検出することができる。あるいは、接続状態の変化は、外付けステーション側でAC接続しておき、モバイル通信端末1と外付けステーションとが接続された、又は接続が解除されたことを示す情報を状態情報取得部13が取得することで検出することができる。
【0021】
なお、状態情報は上記の情報に限られない。例えば固定使用状態ではフリップ式のモバイル通信端末1を折り畳んで使用し、モバイル使用状態ではモバイル通信端末1を開いて使用するという構造を有するモバイル通信端末1においては、モバイル通信端末1の形状が変化したことを示す情報が状態情報となる。つまり、状態情報が、モバイル通信端末1が固定状態にある形状を示している場合に、モバイル通信端末1が固定状態で使用されていると判断することができ、モバイル通信端末1がモバイル状態にある形状を示している場合に、モバイル通信端末1がモバイル状態で使用されていると判断することができる。また、モバイル通信端末1の形状が変化したことを示す状態情報が、モバイル通信端末1の使用状態又は未使用状態を示すものであってもよい。例えば、モバイル通信端末1が閉じられた場合は未使用状態になったことを、またモバイル通信端末1が開かれた場合は使用状態になったことを示すものであってもよい。
【0022】
また、例えば、モバイル通信端末1に加速度センサが内蔵されている場合は、その加速度センサからの出力が状態情報となりうる。つまり、加速度センサから所定値以上の出力が所定時間以上継続していれば、モバイル通信端末1が持ち運びされている、即ちモバイル使用状態であると判断することができる。逆に、そのような条件を満たしていなければ、モバイル通信端末1が固定使用状態であると判断することができる。
【0023】
(モバイル通信端末の構成)
以下に、モバイル通信端末1の構成について図面を参照して説明する。図2は、本発明の実施形態1に係るモバイル通信端末1のブロック構成図である。図2に示すように、モバイル通信端末1は、制御部10、通信部20、記憶部30、表示部41、操作入力部42、充電ポート51、及びステーションポート52を含む。制御部10は、通信制御部11、アクセスポイントネーム切替部(APN切替部)12、状態情報取得部13、及びプロセッサ15を含んで構成されている。
【0024】
通信制御部11は、通信部20を介したデータの送受信を制御する。状態情報取得部13は、モバイル通信端末1の状態、又は状態の変化を示す状態情報を取得し、取得した状態情報をAPN切替部12に出力する。APN切替部12は、状態情報取得部13から取得した状態情報を参照して、接続するアクセスポイントネームを切り替える制御を行う。具体的には、例えば、APN切替部12は、取得した状態情報が、モバイル通信端末1が固定状態で使用されていること(固定使用状態)を示しているか、又はモバイル状態で使用されていること(モバイル使用状態)を示しているかに応じて、APNを切り替える。なお、状態情報取得部13は、特許請求の範囲に記載した「取得部」の一例である。
【0025】
例えば、状態情報にモバイル通信端末1と充電アダプタ又はクレイドルとの接続状態の変化に関する情報が含まれている場合を考える。この場合、APN切替部12は、状態情報取得部13から取得した状態情報が、モバイル通信端末1と充電アダプタ又はクレイドルとが接続状態であることを示している場合は、モバイル通信端末1が固定状態で使用されていると判断し、接続するAPNを、固定状態の場合に適したAPNに切り替える。逆に、APN切替部12は、状態情報取得部13から取得した状態情報が、モバイル通信端末1と充電アダプタ又はクレイドルとが非接続状態であることを示している場合は、モバイル通信端末1がモバイル状態で使用されていると判断し、接続するAPNを、モバイル状態の場合に適したAPNに切り替える。
【0026】
また、状態情報にモバイル通信端末1の形状が変化したことを示す情報が含まれている場合を考える。この場合、APN切替部12は、状態情報取得部13から取得した状態情報が、モバイル通信端末1が固定状態にある形状を示している場合に、モバイル通信端末1が固定状態で使用されていると判断し、接続するAPNを、固定状態の場合に適したAPNに切り替える。逆に、APN切替部12は、状態情報取得部13から取得した状態情報が、モバイル通信端末1がモバイル状態にある形状を示している場合に、モバイル通信端末1がモバイル状態で使用されていると判断し、接続するAPNを、モバイル状態の場合に適したAPNに切り替える。
【0027】
図2に戻り、プロセッサ15は、モバイル通信端末1全体の制御を統括する。プロセッサ15は、例えばMPU(Micro Processing Unit)又はCPU(Central Processing Unit)等を用いることができる。通信部20は、送受信部22を含んで構成されている。送受信部22は、データの送受信を実行する。
【0028】
プロセッサ15は、RAM32に通信制御プログラムを展開し、実行することにより、通信制御部11としての機能を果たす。同様に、プロセッサ15は、RAM32に切替制御プログラム又は状態情報取得プログラムを展開し、実行することにより、それぞれAPN切替部12又は状態情報取得部13としての機能を果たす。なお、制御部10は、プロセッサ15に代えて、通信制御部11、APN切替部12、又は状態情報取得部13としての機能を備えるASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はPLD(Programmable Logic Device)等の専用プロセッサにより構成されてもよい。
【0029】
記憶部30は、ROM(Read Only Memory)31、RAM(Random Access Memory)32を含む。ROM31は、通信制御を実行するための通信制御プログラム、APNの切替制御を実行するための切替制御プログラム、状態情報取得プログラム、及び接続可能なAPNとそれを選択(決定)する条件とを含むAPN選択テーブル等を記憶している。APN選択テーブルは、複数のAPNが複数の条件(トリガ、又は状態情報)と対応付けられているテーブルである。APN選択テーブルは、APN切替部12が接続するAPNを選択、決定する際に参照される。
【0030】
APN選択テーブルは、例えば、下記の表1に示すように、状態情報又はその他の情報をトリガ(契機)として、トリガごとに選択するAPNを決定するテーブルである。表中のトリガA~Dの種類は任意である。選択されるAPN1~3は、それぞれのトリガによって示唆されるモバイル通信端末1の状態、又は環境等の場合に、最も適切と考えられるAPNである。
【0031】
【表1】
【0032】
具体的には、例えば下記の表2に示すテーブルが挙げられる。表2に示すテーブルは、トリガとしてモバイル通信端末1に充電アダプタが挿入されたという状態情報が取得された場合は、APN1を選択し、トリガとしてモバイル通信端末1から充電アダプタが挿抜されたという状態情報が取得された場合は、APN2を選択するためのテーブルである。モバイル通信端末1に充電アダプタが挿入されたという状態情報は、モバイル通信端末1が固定使用状態であることを示唆する情報である。また、モバイル通信端末1から充電アダプタが挿抜されたという状態情報は、モバイル通信端末1がモバイル使用状態であることを示唆する情報である。この場合、APN1は、送受信能力が比較的大きなAPNであり、APN2は、送受信能力が比較的小さなAPNである。
【0033】
【表2】
【0034】
また、例えば下記の表3に示すテーブルは、モバイル通信端末1が外付けステーションの接続ポートに挿入されたという状態情報が取得された場合は、APN1を選択し、モバイル通信端末1が外付けステーションの接続ポートから挿抜されたという状態情報が取得された場合は、APN2を選択するためのテーブルである。モバイル通信端末1が外付けステーションの接続ポートに挿入されたという状態情報は、モバイル通信端末1が固定使用状態であることを示唆する情報である。また、モバイル通信端末1が外付けステーションの接続ポートから挿抜されたという状態情報は、モバイル通信端末1がモバイル使用状態であることを示唆する情報である。
【0035】
【表3】
【0036】
また、例えば下記の表4に示すテーブルは、モバイル通信端末1が固定使用状態であるとの示す情報が取得された場合は、APN1を選択し、モバイル通信端末1がモバイル使用状態であるとの示す情報が取得された場合は、APN2を選択するためのテーブルである。このように、状態情報がモバイル通信端末のどのような状態を示唆するものであるかによって、選択するAPNを決定するテーブルでもよい。
【0037】
【表4】
【0038】
また、例えば下記の表5に示すテーブルは、様々な状態情報によって、選択するAPNを決定するテーブルである。モバイル通信端末1がフリップ式で開状態であることを示す状態情報が取得された場合は、モバイル通信端末1が使用状態であることを示唆するため、APN2が選択される。モバイル通信端末1がフリップ式で閉状態であることを示す状態情報が取得された場合は、モバイル通信端末1が使用されていない状態であることを示唆するため、APN3が選択される。モバイル通信端末1がクレイドルと接続されたとの状態情報が取得された場合は、モバイル通信端末1が固定使用状態であることを示唆するため、APN1が選択される。モバイル通信端末1とクレイドルとの接続が解除されたとの状態情報が取得された場合は、モバイル通信端末1がモバイル使用状態であることを示唆するため、APN2が選択される。
【0039】
【表5】
【0040】
APN選択テーブルは、状態情報の種類、つまりAPN選択条件の種類ごとに複数備えられていてもよい。また、APN選択テーブルを、モバイル通信端末1の購入後に、モバイル通信端末1の製造元等から、ユーザが通信ネットワークを介して入手(ダウンロード)できるように、モバイル通信端末1が構成されていてもよい。また、ユーザがテーブルを追加できるようにモバイル通信端末1が構成されていてもよい。
【0041】
表示部41は、ユーザに各種情報を提示する、例えば液晶パネルである。操作入力部42は、ユーザからの入力を受け付ける、例えば液晶タッチパネル、ボタン、又は音声入力部等である。充電ポート51は、モバイル通信端末1を充電するための接続ポートである。ステーションポート52は、モバイル通信端末1と各種周辺機器とを接続するための接続ポートである。ステーションポート52は、例えば汎用GPIO(General Purpose In/Out)であってもよい。
【0042】
(APNの切替処理シーケンス)
次に、モバイル通信端末1が接続するAPNの切替処理シーケンスについて、図面を参照して説明する。図3は、実施形態1に係るアクセスポイントネーム切替処理シーケンスの概念図である。図3に示すように、初期状態において、モバイル通信端末1は、(a)に示すように例えばAPN1に接続されている。次に、状態情報取得部13が、状態情報Xを取得したとする。状態情報Xは、モバイル通信端末1がモバイル使用状態であることを示す情報である。状態情報取得部13は、取得した状態情報XをAPN切替部12に出力する。APN切替部12は、取得した状態情報Xを参照して、モバイル通信端末1がモバイル使用状態であり、適切な接続先はAPN2であると決定する。
【0043】
次にAPN切替部12は、(b)に示すように、ネットワークを介してAPN1に切断要求を送信する。APN1は、(c)に示すように、モバイル通信端末1との接続を切断し、その旨をモバイル通信端末1に送信する。APN1との接続が完了したことを確認したAPN切替部12は、(d)に示すように、APN2に対して、接続要求を送信する。APN2は、接続完了後にモバイル通信端末1に、APN2との接続が完了したことを送信する。以上により、モバイル通信端末1の接続先の切り替えが完了し、モバイル通信端末1は、APN2を介した通信ができるようになる。
【0044】
(切替制御フローチャート)
次に、モバイル通信端末1が行う切替制御について、図面を参照して説明する。図4は、本発明の実施形態1に係るアクセスポイントネームの切替制御を示すフローチャートである。まず、モバイル通信端末1の電源がオンとなった時点、又はスリープ状態が終了した時点で、切替制御が開始される。切替制御として、最初に接続設定が行われる(ステップS10)。
【0045】
接続設定は、電源オフ、又はスリープ状態となった時点での接続APNを保存しておき、そのAPNとの接続を再開してもよく、又は新たに接続するAPNを決定して接続してもよい。新たに接続するAPNを決定する場合は、例えば状態情報取得部13が新たに状態情報を取得し、それに基づいてAPN切替部12が接続するAPNを決定する。この場合の状態情報は、例えば充電アダプタ又はクレイドルと接続されているか否かの情報である。状態情報が、充電アダプタ又はクレイドルと接続されていることを示すものであれば、APN切替部12は、モバイル通信端末1は固定使用状態であると判断して、APN選択テーブルを参照して固定使用時に適したAPNを決定し、それに接続する。また、状態情報が、充電アダプタ又はクレイドルと接続されていないことを示すものであれば、APN切替部12は、モバイル通信端末1はモバイル使用状態であると判断して、APN選択テーブルを参照してモバイル使用時に適したAPNを決定し、それに接続する。
【0046】
次に、ステップS12に移行し、APN切替部12は、状態情報取得部13から状態情報を取得したか否かを判定する。ステップS12において、APN切替部12は状態情報取得部13から状態情報を取得していないと判定された場合は(ステップS12:NO)、ステップS18に移行し、APN切替部12は、切替制御の終了条件が満たされたか否かを判定する。
【0047】
ステップS18において、切替制御の終了条件が満たされたと判定された場合は(ステップS18:YES)、切替制御を終了する。ステップS18において、切替制御の終了条件が満たされていないと判定された場合は(ステップS18:NO)、ステップS12に戻る。切替制御の終了条件とは、例えば電源がオフになった場合、又はスリープ状態になった場合等である。
【0048】
一方、ステップS12において、APN切替部12は状態情報取得部13から状態情報を取得したと判定された場合は(ステップS12:YES)、ステップS14に移行する。ステップS14において、APN切替部12は、取得した状態情報に基づいて決定された接続APNが、現在接続しているAPNと異なるか否かを判定する。
【0049】
ステップS14において、決定された接続APNが現在の接続APNと異なると判定された場合は(ステップS14:YES)、ステップS16に移行し、APN切替部12は決定したAPNに接続先を切り替えてステップS18に移行する。一方、ステップS14において、決定された接続APNが、現在の接続APNと異ならない場合は(ステップS14:NO)、ステップS12に戻る。
【0050】
なお、ステップS14のように、APN切替部12は、取得した状態情報を参照するだけでAPNを切り替えるわけではなく、決定されたAPNが、現在の接続APNと異なるか否かの判定をしてから切り替えてもよい。つまり、APN切替部12は状態情報の取得に起因して、APNを切り替えるか否かを決定してもよい。
【0051】
以上の構成を有するモバイル通信端末1は、使用するAPNを、自らの状態に応じて決定し切り替えることができる。そのため、例えば、モバイル使用状態の場合は、データの送受信量が小さいAPNを決定して接続することにより、モバイル通信ネットワークのリソースを有効利用することができる。この場合、ユーザが手動でAPNを切り替える必要がない。
【0052】
〔変形例1〕
次に、実施形態1の切替制御フローチャートの変形例1について図面を参照して説明する。図5は、実施形態1の変形例1に係るアクセスポイントネームの切替制御フローチャートである。
【0053】
図5に示すステップS20は、実施形態1の切替制御フローチャート(図4)に示すステップS10と同じであるので、説明は省略する。ステップS21において、APN切替部12は、状態情報取得部13から状態情報を取得したか否かを判定する。ステップS21において、APN切替部12は状態情報取得部13から状態情報を取得していないと判定された場合は(ステップS21:NO)、ステップS21に戻る。なお、状態情報を取得しないまま切替制御の終了条件が満たされた場合は、切替制御を終了する。切替制御の終了条件は、前述のとおりである。
【0054】
一方、ステップS21において、APN切替部12は状態情報取得部13から状態情報を取得したと判定された場合は(ステップS21:YES)、ステップS22に移行する。ステップS22において、APN切替部12は、取得した状態情報がモバイル使用状態を示しているか否かを判定する。
【0055】
ステップS22において、状態情報がモバイル使用状態を示していると判定された場合は(ステップS22:YES)、ステップS23に移行する。一方、ステップS22において、状態情報がモバイル使用状態を示していないと判定された場合は(ステップS22:NO)、ステップS24に移行する。
【0056】
ステップS23において、APN切替部12は、ハンドオーバが規定回数以上発生したか否かを判定する。具体的には、APN切替部12は、状態情報取得部13から、ハンドオーバを行った旨の情報を規定回数以上取得したか否かを判定する。この場合、APN切替部12は、規定時間以内にハンドオーバが規定回数以上発生したか否かを判定してもよい。ハンドオーバとは、モバイル通信端末1の位置が、その時点で接続している基地局がカバーするセル範囲を超えた、又は、接続している基地局よりも電波環境の良い基地局がある場合において、モバイル通信端末1の接続先が別な基地局へと変更されることである。ハンドオーバは、モバイル通信端末1がモバイル使用状態であることを強く示す状態情報である。したがって、規定回数は1回又は2回程度の回数でも十分である。
【0057】
ステップS23において、ハンドオーバが規定回数以上発生したと判定された場合は(ステップS23:YES)、ステップS24に移行する。一方、ステップS23において、ハンドオーバが規定回数以上発生していないと判定された場合は(ステップS24:NO)、ステップS25に移行する。
【0058】
ステップS24において、APN切替部12は、取得した状態情報を参照して決定された接続APNが、現在の接続APNと異なるか否かを判定する。なお、本変形例1では、ステップS23でYESと判定されてステップS24に移行した場合は、モバイル使用状態であることを示す状態情報を取得した場合に至るステップであるため、決定された接続APNは、モバイル使用状態の場合に適切なAPNである。また、ステップS22でNOと判定されてステップS24に移行した場合は、状態情報に基づく接続APNは、モバイル使用状態の場合に適切なAPN以外のAPNである。
【0059】
ステップS24において、決定された接続APNが現在の接続APNと異なると判定された場合は(ステップS24:YES)、ステップS26に移行して、APN切替部12は、その時点で接続しているAPNから決定したAPNに切り替える。次に、切替制御はステップS27へ移行する。一方、ステップS24において、決定された接続APNが現在の接続APNと異ならないと判定された場合は(ステップS24:NO)、ステップS21に戻る。
【0060】
ステップS25において、APN切替部12は、新たな状態情報を取得したか否かを判定する。ステップS25において、新たな状態情報を取得したと判定された場合は(ステップS25:YES)、ステップS22に移行する。ステップS25において、新たな状態情報を取得していないと判定された場合は(ステップS25:NO)、ステップS27に移行する。
【0061】
ステップS27において、APN切替部12は、切替制御の終了条件が満たされたか否かを判定する。ステップS27において、切替制御の終了条件が満たされたと判定された場合は(ステップS27:YES)、切替制御を終了する。ステップS27において、切替制御の終了条件が満たされていないと判定された場合は(ステップS27:NO)、ステップS21に戻る。切替制御の終了条件は、前述のとおりである。
【0062】
以上の変形例1に係るAPN切替制御フローチャートによれば、APN切替部12は、状態情報を参照し、その状態情報が、モバイル通信端末1がモバイル状態で使用されていることを示しており、かつ、所定の回数以上ハンドオーバが実施されたことを示している場合に、アクセスポイントネームを切り替える。例えば、モバイル状態で使用されていることを示す状態情報(例えば、モバイル通信端末1が充電アダプタと接続されていないことを示す情報)が取得された場合でも、必ずしもモバイル使用状態であるとは限らない。そこで、さらにハンドオーバが規定回数以上発生したことを条件としてモバイル使用状態に適したAPNに切り替える。つまり、モバイル通信端末1がモバイル使用状態であることを再確認したうえで、その状態に適したAPNに接続するので、誤ってモバイル使用状態に適したAPNに接続することを防止することができる。
【0063】
〔変形例2〕
次に、実施形態1の切替制御フローチャートの変形例2について図面を参照して説明する。図6は、実施形態1の変形例2に係るアクセスポイントネームの切替制御フローチャートである。
【0064】
変形例2に係る切替制御フローチャートは、電源オン又はスリープ終了の時点でデフォルトのAPNに接続する。つまり、従来技術のモバイル通信端末と同様に、電源オン又はスリープ終了の時点のAPN接続先は固定使用状態時に接続するAPNである。
【0065】
図6に示すように、まずステップS30において、APN切替部12は、固定使用状態時に接続するAPNに接続する。次のステップS31からステップS33までは、変形例1のステップS21からステップS23までと同じである。
【0066】
ステップS33において、ハンドオーバが規定回数以上発生したと判定された場合は(ステップS33:YES)、ステップS34に移行し、APNをモバイル使用状態に適したAPNに切り替えて、さらにステップS36に移行する。一方、ステップS33において、ハンドオーバが規定回数以上発生していないと判定された場合は(ステップS33:NO)、ステップS35に移行する。
【0067】
ステップS35において、APN切替部12は、新たな状態情報を取得したか否かを判定する。ステップS35において、新たな状態情報を取得したと判定された場合は(ステップS35:YES)、ステップS32に戻る。ステップS35において、新たな状態情報を取得していないと判定された場合は(ステップS35:NO)、ステップS36に移行する。
【0068】
ステップS36において、APN切替部12は、切替制御の終了条件が満たされたか否かを判定する。ステップS36において、切替制御の終了条件が満たされたと判定された場合は(ステップS36:YES)、切替制御を終了する。ステップS36において、切替制御の終了条件が満たされていないと判定された場合は(ステップS36:NO)、ステップS31に戻る。切替制御の終了条件は、前述のとおりである。
【0069】
以上の変形例2に係る切替制御フローチャートでは、電源オン時にはデフォルトとして固定使用状態時に接続するAPNに接続される。そのため、変形例1におけるステップS24が不要である。それ以外は変形例1の効果と同様の効果を奏する。
【0070】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2に係るモバイル通信端末2について、図面を参照して説明する。図7は、モバイル通信端末2のブロック構成図である。以下、実施形態1に係るモバイル通信端末1の構成と同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0071】
(モバイル通信端末の構成)
図7に示すように、モバイル通信端末2の構成がモバイル通信端末1の構成と異なる点は、制御部10に処理制御部14をさらに備えること、及び充電ポート51とステーションポート52を備えず温度測定部62を備えることである。温度測定部62は、温度を測定できるものであればその種類は限定されないが、例えばIC温度センサ、抵抗体温度センサ等を用いることができる。
【0072】
温度測定部62は、モバイル通信端末2の、例えば温度が上昇しやすい部位の近傍に配置され、その箇所の温度を測定する。温度測定部62は、測定した温度情報を、状態情報取得部13に出力する。状態情報取得部13は、取得した温度情報をAPN切替部12と処理制御部14とに出力する。温度情報は、特許請求の範囲に記載した「状態情報」の一例である。
【0073】
処理制御部14は、状態情報取得部13から取得した温度情報が所定の温度条件を満たした場合に、モバイル通信端末2が送受信するデータ容量を、その温度条件に対応して制限する。制限するデータ容量は、温度条件によって複数段階に変えてもよい。つまり、第1制限温度、第2制限温度、…のように段階的に制限温度を設定し、その温度条件に対応して送受信するデータ容量を段階的に小さくしてもよい。
【0074】
一般にモバイル通信端末は、送受信データ容量が大きくなる等により処理負荷が増大すると、放冷能力を超えてしまい、温度が上昇し始める。温度があまり上昇すると、装置の故障の原因となるため、装置の故障が生じにくい所定の温度以上に温度が上昇することを防止する必要がある。そこで、処理制御部14は、状態情報取得部13から取得した温度情報が所定の温度を超えた場合に、モバイル通信端末2が送受信するデータ容量を制限する。これにより、モバイル通信端末2の過度の温度上昇が防止される。又は、処理制御部14は、状態情報取得部13から取得した温度情報が所定の温度を超えた場合に、プロセッサ15の処理能力を制限してもよい。プロセッサ15の処理能力を制限する(下げる)ことにより、モバイル通信端末2の過度の温度上昇が防止される。この場合、プロセッサ15の処理能力が制限されることにより、モバイル通信端末2が送受信するデータ容量も低下する。
【0075】
処理制御部14が、送受信するデータ容量を制限する、又はプロセッサ15の処理能力を制限することに伴い、接続するAPNも必要な送受信能力が小さくてもよい。そこで、APN切替部12は、状態情報取得部13から取得した温度情報(状態情報)を参照し、モバイル通信端末2の温度が所定の温度以上であることを示しているか、又は所定の温度未満であることを示しているかに応じて、APNを切り替える。
【0076】
モバイル通信端末2の記憶部30のAPN選択テーブルには、温度情報とそれに対応付けられた接続すべきAPNが記憶されている。例えば、温度が第1制限温度以下の場合に対応するAPN1、温度が第1制限温度より高く、第2制限温度以下の場合に対応するAPN2、温度が第2制限温度以上の場合に対応するAPN3、といったテーブルである。即ち、APN1のデータ送受信能力は比較的大きく、APN2のデータ送受信能力は中程度であり、APN3のデータ送受信能力は比較的小さい。この場合、各APNの最大データ送受信能力と、処理制御部14が制限するデータ容量とが同程度となるように整合させておくことが好ましい。
【0077】
(切替制御フローチャート)
次に、モバイル通信端末2における切替制御フローチャートについて、図面を参照して説明する。図8は、実施形態2に係るアクセスポイントネームの切替制御を示すフローチャートである。
【0078】
まず、モバイル通信端末2の電源がオンとなった時点、又はスリープ状態が終了した時点で、切替制御が開始される。そして、まず接続設定が行われる(ステップS40)。接続設定は、電源オフ、又はスリープ状態となった時点での接続APNを保存しておき、そのAPNとの接続を再開してもよく、又は新たに接続APNを決定して接続してもよい。この点は、実施形態1で説明した切替制御フローチャートのステップS10と同様である。
【0079】
次に、ステップS41に移行し、APN切替部12は、状態情報取得部13からモバイル通信端末2の温度情報を取得したか否かを判定する。ステップS41において、APN切替部12は状態情報取得部13から温度情報を取得していないと判定された場合は(ステップS41:NO)、ステップS45に移行し、APN切替部12は、切替制御の終了条件が満たされたか否かを判定する。
【0080】
ステップS45において、切替制御の終了条件が満たされたと判定された場合は(ステップS45:YES)、切替制御を終了する。ステップS45において、切替制御の終了条件が満たされていないと判定された場合は(ステップS45:NO)、ステップS41に戻る。切替制御の終了条件は、実施形態1で説明したとおりである。
【0081】
一方、ステップS41において、APN切替部12は状態情報取得部13からモバイル通信端末2の温度情報を取得したと判定された場合は(ステップS41:YES)、ステップS42に移行する。ステップS42において、APN切替部12は、取得した温度情報を参照して、接続するのに適切なAPNを決定する。次に、ステップS43に移行し、APN切替部12は、ステップS42で決定されたAPNが、現在接続しているAPNと異なるか否かを判定する。
【0082】
ステップS43において、決定された接続APNが現在の接続APNと異なると判定された場合は(ステップS43:YES)、ステップS44に移行し、APN切替部12は決定したAPNに接続先を切り替えてステップS45に移行する。一方、ステップS43において、決定された接続APNが、現在の接続APNと異ならない場合は(ステップS43:NO)、ステップS41に戻る。
【0083】
以上の切替制御フローチャートにより、モバイル通信端末2は、モバイル通信端末2のその時点での処理可能容量に見合ったAPNを選択することができる。つまり、モバイル通信端末2の処理可能容量を超える処理容量の大きなAPNを利用することを避けることができ、モバイル通信ネットワークのリソースの有効利用に貢献することができる。
【0084】
なお、変形例を含む実施形態1に係る構成と、実施形態2に係る構成とを組み合わせてもよい。つまり、使用状態情報と温度情報のそれぞれごとの状態情報を参照して、接続するAPNを決定してもよく、また使用状態情報と温度情報とを組み合わせた条件を参照して、接続するAPNを決定してもよい。後者の場合は、使用状態情報と温度情報とを組み合わせた条件と、それに対応するAPNとをAPN選択テーブルとして備えておくことが好ましい。
【0085】
以上、トリガとして自身の状態又は状態の変化を検出した場合に、接続するのに最適なAPNを選択し、必要に応じて接続を変更するモバイル通信端末1について説明した。状態又は状態の変化として、固定使用状態、モバイル使用状態、フリップ端末の形状変化、クレイドルとの接続の有無、端末の温度変化等を例示した。しかし、トリガはこれらに限定されず、これらに類似のトリガ、又はこれらとは種類の異なるトリガでも良い。
【0086】
〔ソフトウェアによる実現例〕
モバイル通信端末1又は2の制御部10は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0087】
後者の場合、制御部10は、APN切替部12、状態情報取得部13、通信制御部11等の各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0088】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るモバイル通信端末は、複数のアクセスポイントネームに接続可能なモバイル通信端末であって、当該モバイル通信端末の状態または状態の変化を示す状態情報を取得する取得部(状態情報取得部13)と、前記状態情報を参照して、接続する前記アクセスポイントネームを切り替えるアクセスポイントネーム切替部(APN切替部12)と、を備える。
【0089】
態様1に係るモバイル通信端末によれば、使用するアクセスポイントネームを、モバイル通信端末の状態に応じて決定し切り替えることができる。これにより、例えばモバイル通信ネットワークのリソースの有効利用を図ることができる。
【0090】
本発明の態様2に係るモバイル通信端末は、上記態様1において、前記アクセスポイントネーム切替部は、前記状態情報を参照し、前記モバイル通信端末が固定状態で使用されていることを示しているか、又はモバイル状態で使用されていることを示しているかに応じて、前記アクセスポイントネームを切り替えてもよい。
【0091】
態様2に係るモバイル通信端末によれば、モバイル通信端末が固定状態で使用されているか、又はモバイル状態で使用されているかにより、アクセスポイントネームを切り替えることができる。これにより、態様1と同様の効果を得ることができる。
【0092】
本発明の態様3に係るモバイル通信端末は、上記態様2において、前記アクセスポイントネーム切替部は、前記状態情報を参照し、モバイル通信端末がモバイル状態で使用されていることを示しており、かつ、所定の回数以上ハンドオーバが実施されたことを示している場合に、前記アクセスポイントネームを切り替えてもよい。
【0093】
態様3に係るモバイル通信端末によれば、モバイル通信端末が確実にモバイル状態で使用されていることを確認したうえで、アクセスポイントネームを切り替えることができる。これにより、態様2と同様の効果を得ることができる。
【0094】
本発明の態様4に係るモバイル通信端末は、上記態様2又は3において、前記状態情報には、前記モバイル通信端末と充電アダプタ又はクレイドルとの接続状態の変化に関する情報が含まれており、前記アクセスポイントネーム切替部は、前記状態情報が、前記モバイル通信端末と充電アダプタ又はクレイドルとが接続状態であることを示している場合に、前記モバイル通信端末が固定状態で使用されていると判断し、前記状態情報が、前記モバイル通信端末と充電アダプタ又はクレイドルとが非接続状態であることを示している場合に、前記モバイル通信端末がモバイル状態で使用されていると判断してもよい。
【0095】
態様4に係るモバイル通信端末によれば、態様2と同様の効果を得ることができる。
【0096】
本発明の態様5に係るモバイル通信端末は、上記態様2又は3において、前記状態情報には、前記モバイル通信端末の形状が変化したことを示す情報が含まれており、前記アクセスポイントネーム切替部は、前記状態情報が、前記モバイル通信端末が固定状態にある形状を示している場合に、前記モバイル通信端末が固定状態で使用されていると判断し、前記状態情報が、前記モバイル通信端末がモバイル状態にある形状を示している場合に、前記モバイル通信端末がモバイル状態で使用されていると判断してもよい。
【0097】
態様5に係るモバイル通信端末によれば、態様2と同様の効果を得ることができる。
【0098】
本発明の態様6に係るモバイル通信端末は、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記アクセスポイントネーム切替部は、前記状態情報を参照し、前記モバイル通信端末の温度が所定の温度以上であることを示しているか、又は所定の温度未満であることを示しているかに応じて、前記アクセスポイントネームを切り替えてもよい。
【0099】
態様6に係るモバイル通信端末によれば、モバイル通信端末がデータ通信容量を制限したことに伴ってアクセスポイントネームを切り替えることができる。これにより、態様1と同様の効果を得ることができる。
【0100】
本発明の態様7に係るモバイル通信端末は、上記態様1から6のいずれかにおいて、前記アクセスポイントネーム切替部は、前記状態情報の取得に起因して、前記アクセスポイントネームを切り替えるか否かを決定してもよい。
【0101】
態様7に係るモバイル通信端末によれば、態様1と同様の効果を得ることができる。
【0102】
本発明の態様8に係るアクセスポイントネーム切替方法は、モバイル通信端末と接続するアクセスポイントネームを切り替えるためのアクセスポイントネーム切替方法であって、前記モバイル通信端末の状態情報を取得する工程と、取得した前記状態情報を参照して、接続する前記アクセスポイントネームを切り替える工程と、を備える。
【0103】
態様8に係るアクセスポイントネーム切替方法によれば、態様1と同様の効果を得ることができる。
【0104】
本発明の態様9に係るアクセスポイントネーム切替プログラムは、モバイル通信端末と接続するアクセスポイントネームを切り替えるためのアクセスポイントネーム切替プログラムであって、コンピュータを、前記モバイル通信端末の状態情報を取得する取得部、及び取得した前記状態情報を参照して、接続する前記アクセスポイントネームを切り替えるアクセスポイントネーム切替部、として機能させる。
【0105】
本発明の態様10に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、態様9に記載のアクセスポイントネーム切替プログラムを記録している。
【0106】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0107】
1,2 モバイル通信端末
10 制御部
11 通信制御部
12 APN切替部
13 状態情報取得部
14 処理制御部
15 プロセッサ
20 通信部
22 送受信部
30 記憶部
31 ROM
32 RAM
41 表示部
42 操作入力部
51 充電ポート
52 ステーションポート
62 温度測定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8