(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172000
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ICタグ、圧力検出システム、ICタグの通信方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/07 20060101AFI20231129BHJP
G01L 1/02 20060101ALI20231129BHJP
G01G 19/52 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G06K19/07 170
G06K19/07 230
G01L1/02
G01G19/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083525
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】吉野 弘一
(57)【要約】
【課題】圧力を簡単に把握する。
【解決手段】液体が収容され、圧力が印加されることで外部に供給経路から前記液体を供給する液体収容部と、前記液体収容部から供給される液体が流れる流路であり柔軟性のある流路の長さ方向に沿って配線パターンが形成され、前記流路に前記液体が流れることで前記流路が径方向に変形することに応じて導電率が変わるアンテナ部と、前記アンテナ部に接続され、前記導電率に応じた電波強度によって信号を出力する制御部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容され、圧力が印加されることで外部に供給経路から前記液体を供給する液体収容部と、
前記液体収容部から供給される液体が流れる流路であり柔軟性のある流路の長さ方向に沿って配線パターンが形成され、前記流路に前記液体が流れることで前記流路が径方向に変形することに応じて導電率が変わるアンテナ部と、
前記アンテナ部に接続され、前記導電率に応じた電波強度によって信号を出力する制御部と、
を有するICタグ。
【請求項2】
前記液体収容部から供給される液体を外部から視認可能に収容可能な表示部
を有する請求項1に記載のICタグ。
【請求項3】
前記液体収容部と前記表示部は、前記液体収容部から供給される液体の供給経路の延在方向に沿って形成される連結部を介して連結されており、
前記液体収容部は、対象物から圧力を受けることが可能な位置に配置され、
前記表示部は、視認可能な位置に配置される
請求項2に記載のICタグ。
【請求項4】
前記液体収容部から前記表示部に対して供給される液体の供給量は、前記液体収容部から前記アンテナ部に供給される供給量よりも多い
請求項2に記載のICタグ。
【請求項5】
前記液体収容部は、外部に供給された液体を、印加された圧力が減少したことに応じて再度当該液体収容部内に収容する
請求項2に記載のICタグ。
【請求項6】
前記表示部は、第1表示部と第2表示部とがあり、
前記液体収容部は、前記アンテナ部と前記第1表示部とに第1液体を供給する第1収容部と、前記アンテナ部には供給せず前記第2表示部に第1液体とは色が異なる第2液体を供給する第2収容部とが設けられる
請求項4に記載のICタグ。
【請求項7】
前記液体は、非導電性液体であり、
前記アンテナ部の配線パターンは、前記流路の内周に長さ方向に沿って複数設けられており、前記非導電性液体が前記流路に流れる量に応じて、前記流路の径方向に縮小すると前記複数の配線パターンのうちお互いに接する配線パターンの数が増大し、前記流路の径方向に拡大すると前記複数の配線パターンのうちお互いに接する配線パターンの数が減少する
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載のICタグ。
【請求項8】
前記液体は、導電性液体であり、
前記アンテナ部の配線パターンは、前記流路を流れる液体と接する
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載のICタグ。
【請求項9】
ICタグと、圧力算出装置とを含む圧力検出システムであり、
前記ICタグは、
液体が収容され、外部から圧力が印加されることで外部に前記液体を供給する液体収容部と、
前記液体収容部から供給される液体が流れる流路であり柔軟性のある流路の長さ方向に沿って配線パターンが形成され、前記流路に前記液体が流れることで前記流路が径方向に変形することに応じて導電率が変わるアンテナ部と、
前記アンテナ部から送信信号を出力するICタグ本体部と、
を有し、
前記圧力算出装置は、
前記ICタグに対して定められた位置において前記アンテナ部から送信される電波を受信する受信部と、
前記受信した電波の受信強度を検出する検出部と、
受信強度と圧力との関係に基づいて、前記検出された受信強度に応じた圧力値を求める圧力算出部と
を有する圧力検出システム。
【請求項10】
液体が収容され、圧力が印加されることで外部に供給経路から前記液体を供給する液体収容部に圧力が印加されると、柔軟性のある流路の長さ方向に沿って配線パターンが形成され、前記流路に前記液体が流れることで前記流路が径方向に変形することに応じて導電率が変わるアンテナ部に対して、前記印加された圧力に応じて前記液体を供給し、
前記アンテナ部を介して、前記導電率に応じた電波強度によって信号を出力する
ICタグの通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグ、圧力検出システム、ICタグの通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力を検知するデバイスが利用されている。例えば、店舗において商品管理をする場合、商品が収容された容器の重量を圧力として検出することで、商品の残量を把握することに用いられる場合がある。
圧力を検出するものとして、デバイスにかかる感圧の情報をアナログ発色提示するIC(Integrated Circuit))タグがある。このICタグは、カプセル状の発色剤が含まれる発色剤層がICタグの全面に設けられ、外部から圧力を受けると、発色剤層に含まれるマイクロカプセルが壊れ、マイクロカプセル内に収容されていたインキが出る。これにより、インキと顕色剤層に塗布された顕色剤と反応し、発色する。これにより、ICタグに圧力が印加されたことが把握可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、圧力を把握する場合、簡単に把握できることが望ましい。例えば、特許文献1のICタグでは、圧力が印加されたことを把握するためには、重量物をICタグの上に置き、圧力を確認する時点において重量物をICタグの上から除去し、ICタグの主面を確認することで、圧力が印加されたかどうかを確認しなければならず、手間がかかる。また、重量物が簡単に除去できないような重量である場合には、圧力を確認することが難しい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、圧力を簡単に把握することができるICタグ、圧力検出システム、ICタグの通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、液体が収容され、圧力が印加されることで外部に供給経路から前記液体を供給する液体収容部と、前記液体収容部から供給される液体が流れる流路であり柔軟性のある流路の長さ方向に沿って配線パターンが形成され、前記流路に前記液体が流れることで前記流路が径方向に変形することに応じて導電率が変わるアンテナ部と、前記アンテナ部に接続され、前記導電率に応じた電波強度によって信号を出力する制御部と、を有するRFIDタグである。
【0007】
また、本発明の一態様は、RFIDタグと、圧力算出装置とを含む圧力検出システムであり、前記RFIDタグは、液体が収容され、外部から圧力が印加されることで外部に前記液体を供給する液体収容部と、前記液体収容部から供給される液体が流れる流路であり柔軟性のある流路の長さ方向に沿って配線パターンが形成され、前記流路に前記液体が流れることで前記流路が径方向に変形することに応じて導電率が変わるアンテナ部と、前記アンテナ部から送信信号を出力するRFIDタグ本体部と、を有し、前記圧力算出装置は、前記RFIDタグに対して定められた位置において前記アンテナ部から送信される電波を受信する受信部と、前記受信した電波の受信強度を検出する検出部と、受信強度と圧力との関係に基づいて、前記検出された受信強度に応じた圧力値を求める圧力算出部とを有する圧力検出システムである。
【0008】
また、本発明の一態様は、液体が収容され、圧力が印加されることで外部に供給経路から前記液体を供給する液体収容部に圧力が印加されると、柔軟性のある流路の長さ方向に沿って配線パターンが形成され、前記流路に前記液体が流れることで前記流路が径方向に変形することに応じて導電率が変わるアンテナ部に対して、前記印加された圧力に応じて前記液体を供給し、前記アンテナ部を介して、前記導電率に応じた電波強度によって信号を出力するRFIDタグの通信方法である。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、この発明によれば、圧力を簡単に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態によるRFIDタグ1の構成を示す概念図である。
【
図2】圧力検知部13から液体が供給される経路を説明する図である。
【
図3】アンテナ部14の一部の断面を示す図である。
【
図4】アンテナ部14の一部の断面を示す図である。
【
図5】他の例におけるアンテナ部14の一部の断面を示す図である。
【
図6】他の例におけるアンテナ部14の一部の断面を示す図である。
【
図7】アンテナ部14の他の構成例であるアンテナ部14Aの断面図である。
【
図8】アンテナ部14の他の構成例であるアンテナ部14Aの断面図である。
【
図9】RFIDタグ1が測定対象の対象物に取り付けられた状態の一例を示す図である。
【
図10】RFIDタグ1が測定対象の対象物に取り付けられた状態の一例を示す図である。
【
図11】RFIDタグ1をリーダ50によって読み取る場合について表す斜視図である。
【
図12】リーダ50の機能の概略を表す機能ブロック図である。
【
図13】リーダ50の動作を説明するフローチャートである。
【
図14】RFIDタグ1の他の構成を示すRFIDタグ1Bの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態によるICタグについて図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態によるRFIDタグ1の構成を示す概念図である。
RFIDタグ1は、タグ部10と、連結部20と、表示部30とを有する。RFIDタグ1は、ICタグの一例である。
タグ部10と表示部30は、連結部20を介して連結される。例えば、フィルム状のベース基材に、タグ部10の機能を実現する各部品をタグ部10の領域内に搭載し、表示部30の機能を実現する各部品を表示部30の領域内に搭載することで、タグ部10と表示部30とが連結されていてもよい。また、連結部20の一方の端部にタグ部10を粘着または接着し、連結部20のもう一方の端部に表示部30を粘着または接着することで連結してもよい。
【0012】
タグ部10は、記憶部11、制御回路12、圧力検知部13、アンテナ部14が搭載される。タグ部10は、パッシブ型のRFIDタグとしての機能を有する。
記憶部11は、各種データを記憶する。
制御回路12は、アンテナ部14を介して電波によって受信した信号に応じた処理を実行し、処理結果に応じた信号を応答信号としてアンテナ部14から外部へ送信する。また、制御回路12は、記憶部11から各種情報の読み出しを行う機能、記憶部11に各種情報を書き込む機能を有する。
圧力検知部13は、液体が収容されており、圧力が印加されることで供給経路から外部に液体を供給する液体収容部としての機能を有する。液体は、導電性液体、非導電性液体のいずれであってもよい。この液体は、ある程度の粘性があるものであってもよい。また、この液体は、少なくとも着色されているか、不透明な材料が用いられており、不透明な素材に対して着色されていてもよい。
圧力検知部13は、圧力を受けることで、外部(アンテナ部14、表示部30)に液体を供給し、印加される圧力が低下すると、印加された圧力が減少したことに応じて再度当該液体収容部内にアンテナ部14と表示部30とから収容する。
圧力検知部13は、弾性がある素材で構成されており、圧力が印加されることで、押しつぶされるが、印加された圧力が低下することで、元の形状に戻る(膨らむ)ようになっている。これにより、圧力検知部13は、印加された圧力が低下したことに応じて、アンテナ部14に供給していた液体を引き戻して収容するとともに、表示部30に供給していた液体を引き戻して収容することができる。例えば、アンテナ部14の内部は、液体が供給(収容)されていない場合には、気体が入らないように密閉された状態となっており、圧力検知部13から液体が供給された際に、アンテナ部14の内部に液体が収容される。これにより、圧力が低下したことに応じて、液体が圧力検知部13に引き戻される。
ここでは、圧力検知部13は、弾性がある素材で構成される場合について説明するが、圧力が低下したときに元の形状に戻ることができれば、例えば、圧力検知部13の内周側にバネ等の弾性部材を設けるようにしてもよい。
圧力検知部13は、タグ部10が配置された基材と同一の基材に設けられる場合について説明するが、圧力検知部13は、圧力を検出する面に取り付けられることが可能であればよく、タグ部10とは別の基材に設けられるようにしてもよい。この場合、圧力検知部13とアンテナ部14とは、液体を供給可能な経路を介して連結されていればよい。
【0013】
アンテナ部14は、供給経路を介して圧力検知部13に連結されている。
アンテナ部14は、アンテナ線路が筒状に形成され、内周側に液体が収容可能なマイクロ流路として構成されている。
アンテナ部14は、圧力検知部13から供給される液体が流れる流路であって柔軟性のある流路の長さ方向に沿って配線パターンが形成され、流路に液体が流れることで流路が径方向に変形することに応じて導電率が変わるアンテナである。
【0014】
第1壁部15aは、タグ部10の長手方向の一辺に沿うように配置され、圧力検知部13の平面視において周囲を取り囲むように設けられる。第1壁部15aの高さは、記憶部11、制御回路12、アンテナ部14の高さよりも高く、圧力検知部13の高さよりも低い。これにより、対象物が圧力検知部13に当接してさらに押されると、圧力検知部13に圧力が印加され、さらに圧力が印加されると、対象物が第1壁部15aの上面に当接し、それ以上押されないようになっている。これにより、圧力検知部13に対して、圧力を検出できる上限の圧力よりも高い圧力が印加された場合であっても、圧力検知部13が破壊されることを防止することができる。
ここで第1壁部15aは、圧力検知部13の周囲を取り囲むように一体として配置されているが、圧力検知部13に対して圧力を検出できる上限の圧力がよりも高い圧力が印加されないようにすることができるのであれば、第1壁部15aの高さが、一部において低くなっていてもよい。
【0015】
第2壁部15bは、タグ部10の長手方向の一辺であって、第1壁部15aとは反対側の一辺に沿うように配置される。第2壁部15bの高さは、記憶部11、制御回路12、アンテナ部14の高さよりも高く、圧力検知部13の高さよりも低い。ここでは、第1壁部15aの高さを略同一である。これにより、圧力検知部13に対して対象物から圧力が印加された場合であっても、対象物が第1壁部15aと第2壁部15bの上面に当接するが、それ以上押されないようになっており、記憶部11、制御回路12、アンテナ部14に対象物空の圧力が印加されること防止することができる。
【0016】
連結部20は、連結部材21に供給経路22が設けられている。
連結部材21は、タグ部10と表示部30とを連結する。
供給経路22は、連結部材21に設けられている。供給経路22の一方の端部は、圧力検知部13に接続され、もう一方の端部は、表示部30に接続される。これにより供給経路22は、圧力検知部13に圧力が印加されたことに応じて圧力検知部13から排出される液体を表示部30に供給し、圧力検知部13に対して印加された圧力が低下したことに応じて、表示部30に供給された液体を圧力検知部13に引き戻すように流すことができる。例えば、表示部30の内部は、液体が供給(収容)されていない場合には、気体が入らないように密閉された状態となっており、圧力検知部13から液体が供給された際に、表示部30の内部に液体が収容される。これにより、圧力が低下したことに応じて、液体が圧力検知部13に引き戻される。
【0017】
また、連結部20は、可撓性のある素材によって構成されている。これにより、タグ部10に対して、表示部30が上側また下側に曲げられるようになっている。ここでは、連結部20が曲げられた状態であっても、液体は供給経路22を流れるようになっている。
【0018】
表示部30は、圧力検知部13から供給される液体を、外部から視認可能に収容する収容領域31が形成されている。収容領域31の少なくとも一部は、透明な素材が用いられており、収容領域31に液体が収容されると、外部から液体を視認することができる。この収容領域31の形状は、表示部30の少なくとも一方の主面を外部から視認した場合に、図形、文字、記号等の少なくともいずれか1つに応じた形状となるように形成されている。例えば、棒状の図形が複数並ぶように配置されており、供給経路22から供給される液体が多くなるほど、棒状の図形に対して連結部20に近い方から順に液体が収容されるようになっており、液体が収容された棒状の図形の数が多いほど、圧力検知部13に印加された圧力が高いことを表示することができる。
ここでは、収容領域31が、表示部30の一方の主面側と他方の主面側とのうちいずれか一方からのみ表示内容を読み取ることができるように配置されていてもよいし、表示部30の一方の主面側と他方の主面側との両方から表示内容を読み取ることができるように配置されていてもよい。
このように、表示部30の収容領域31に液体が収容されることで、圧力検知部13に印加された圧力の大きさを可視化することができ、視覚的に圧力を把握することができる。
【0019】
図2は、圧力検知部13から液体が供給される経路を説明する図である。この図において、RFIDタグ1を平面視した場合における概略図を示す。
圧力検知部13に対して圧力が印加されると、圧力検知部13は、内部に収容された液体を、アンテナ部14に供給するとともに(符号Ra)、表示部30にも供給する(符号Rb)。ここで、圧力検知部13に対して圧力が印加された場合に、圧力検知部13から表示部30に対して供給される液体の供給量は、圧力検知部13からアンテナ部14に供給される供給量よりも多い。例えば、表示部30に液体を供給する供給経路の断面は、圧力検知部13からアンテナ部14に液体を供給する供給経路の断面よりも太くなっており、これにより、供給量が異なるように設定されている。なお、供給経路の断面の太さが異なっていても、圧力検知部13に対する圧力がなくなった場合には、アンテナ部14に供給された液体と、表示部30に供給された液体の全てが圧力検知部13に引き戻されて収容することができるようになっている。
【0020】
図3、
図4は、アンテナ部14の一部の断面を示す図である。この
図3、
図4においては、アンテナ部14の断面形状が略矩形の場合について図示されている。アンテナ部14は、弾力性(伸縮性)のある素材によって構成され、配線パターンが長さ方向に沿って設けられている。そしてアンテナ部14は、筒状に構成されている、これにより、アンテナ部14の内周に液体を収容可能である。そしてアンテナ部14は、液体が収容されることに応じて、
図3に示すように筒の内径が小さい状態から
図4に示すように内径が大きい状態に拡大する。また、アンテナ部14は、収容された液体が圧力検知部13に引き戻されることに応じて、
図4に示すように筒の内径が大きい状態から
図3に示すように内径が小さい状態に縮小する。
【0021】
図5、
図6は他の例におけるアンテナ部14の一部の断面を示す図である。
図5は、アンテナ部14に液体が供給された状態における断面を示し、
図6は、アンテナ部14に供給された液体の一部が圧力検知部13に引き戻された状態における断面を示す。このアンテナ部14が用いられる場合、液体としては、非導電性液体が用いられる。
アンテナ部14の内周面に液体が収容された場合、アンテナ部14の断面形状は、略三角形である。そして、断面から見て三角形の隣り合う辺の頂点近傍において向かい合う位置に、配線パターンが長手方向に沿って設けられる。ここでは、配線パターン141aと配線パターン141bとが向かい合うように設けられ、配線パターン142aと配線パターン142bとが向かい合うように設けられ、配線パターン143aと配線パターン143bとが向かい合うように設けられる。アンテナ部14の内周において、これらの配線パターンが設けられていない部分については、非導電性の素材によって構成されている。
このように、アンテナ部14には配線パターンが、流路の内周に長さ方向に沿って複数設けられている。
【0022】
液体がアンテナ部14の内周に供給されると、
図5に示すように、アンテナ部14の内径が大きい状態に拡大し、アンテナ部14の内部に液体が収容される。このとき、アンテナ部14の配線パターン141aと配線パターン141bとが離間する。同様に、配線パターン142aと配線パターン142bとが離間し、配線パターン143aと配線パターン143bとが離間する。これにより、配線パターン141aと配線パターン141bとが接触することがなく、また、同様に、配線パターン142aと配線パターン142bとが接触せず、配線パターン143aと配線パターン143bとが接触しない状態となる。そのため、制御回路12からアンテナ部14に送信信号が供給されると、各配線パターン(141a、141b、142a、142b、143a、143b)には、それぞれ個別に送信信号(応答信号)が流れる。
【0023】
一方、収容された液体が圧力検知部13に引き戻された場合、液体が引き戻されることに応じて、
図5に示すような内径が大きい状態から、
図6に示すような内径が小さい状態に縮小する。
ここで、配線パターン141bと配線パターン143aとが設けられている辺においては、長手方向に沿って折り目145が設けられており、また、配線パターン142bと配線パターン143bとが設けられている辺においては、長手方向に沿って折り目が設けられている(折り紙構造)。そのため、この折り目に沿って折られるようにして、アンテナ部14の内径が収縮する。
【0024】
このとき、アンテナ部14の配線パターン141aと配線パターン141bとが近づくようになり、さらに液体が引き戻されることで、配線パターン141aと配線パターン141bとのうちお互いの少なくとも一部が接触する。同様に、配線パターン142aと配線パターン142bとが近づき、お互いの少なくとも一部が接触し、配線パターン143aと配線パターン142bとが近づき、お互いの少なくとも一部が接触する。これにより、アンテナ部14の内周に液体が充填されている場合における各配線パターンを経由する際の導電率よりも、液体が引き戻された場合における各配線パターンを経由する際の導電率の方が高い状態となる。そして、導電率が高い状態となるため、液体がアンテナ部14に充填されている場合に比べてアンテナ部14の抵抗が小さい状態となる。そのため、制御回路12から送信信号が出力されると、放射される電波の強度が、液体141Aが充填されている場合に比べて大きな状態で出力される。
【0025】
このように、アンテナ部14において、非導電性液体が流路に流れる量に応じて、流路の径方向に縮小すると複数の配線パターンのうちお互いに接する配線パターンの数が増大し、流路の径方向に拡大すると複数の配線パターンのうちお互いに接する配線パターンの数が減少する。これによりアンテナ部14に液体が充填されている状態においては導電率が低い状態(抵抗値が高い状態)となり、放射される電波強度が低い状態となり、アンテナ部14に液体が引き戻されている状態においては導電率が高い状態(抵抗値が低い状態)となり、放射される電波強度が高い状態となる。そのため、アンテナ部14に液体が供給されている供給量(収容量)をアンテナ部14の導電性に変化に変換することができる。すなわち、アンテナ部14に液体が供給されている供給量に応じて、アンテナ部14の導電率が変化することで抵抗値を変えることができ、放射される電波強度を変えることができる。
【0026】
図7、
図8は、アンテナ部14の他の構成例であるアンテナ部14Aの断面図である。
図7は、アンテナ部14Aに液体が供給された状態における断面を示し、
図8は、アンテナ部14Aに供給された液体の一部が圧力検知部13に引き戻された状態における断面を示す。
【0027】
アンテナ部14Aは、アンテナ部14における配線パターンが異なる。アンテナ部14Aは、筒状の内周の少なくとも一部において、長手方向に沿って配線パターンが設けられている。ここでは、内周の全面であって、長手方向に沿って配線パターンが設けられている。このようなアンテナ部14Aが用いられる場合、液体としては、導電性液体が用いられる。導電性液体としては、例えば、液体金属がある。液体金属としては、例えば、ガリウム単体もしくはガリウム合金を使った液体金属を用いることができる。
【0028】
液体141Aがアンテナ部14Aの内部に供給されると、
図7に示すように、アンテナ部14Aの内径が大きい状態に拡大し、アンテナ部14Aの内周に液体が流れ、収容される。このとき、アンテナ部14Aの配線パターンと液体141Aが接触する。これにより、アンテナ部14Aの内周に導電性液体(液体141A)が充填されることで、配線パターンと導電性液体とが導通状態となり、アンテナ部14Aの内部のうち液体が充填された部分の全体に亘って電流が流れることが可能な状態となり、また、アンテナ部14Aの内部に液体141Aが充填されることで、内径が拡大しているため、より導電率が高い状態となる。これにより、アンテナ部14Aが全体として導電率が高い状態すなわち、抵抗が小さい状態となる。そのため、制御回路12から送信信号が出力されると、放射される電波の強度が大きい状態で出力することができる。
【0029】
一方、収容された液体が圧力検知部13に引き戻された場合、液体が引き戻されることに応じて、
図7に示すような内径が大きい状態から、
図8に示すような内径が小さい状態に縮小する。このとき、アンテナ部14Aの配線パターンと液体141Aがある程度接触する部分もあるが、
図8に示すような、液体141Aが充填されている状態に比べて、液体141Aがアンテナ部14A内に存在する量が減少している。そのため、液体141Aが充填されている場合に比べて、導電性のある物質が減少しており、また、内径が縮小し、導電率が低い状態となる。これにより、アンテナ部14Aが、液体141Aが充填されている場合に比べて導電率が低い状態すなわち、抵抗が大きい状態となる。そのため、制御回路12から送信信号が出力されると、放射される電波の強度が、液体141Aが充填されている場合に比べて小さい状態で出力される。
【0030】
図9、
図10は、RFIDタグ1が、測定対象の対象物に取り付けられた状態の一例を示す図である。ここでは、対象物は、商品を収容する収容容器である。
図9は、収容容器70にRFIDタグ1が取り付けられた状態を上方側から見た斜視図であり、
図10は、収容容器70にRFIDタグ1が取り付けられた状態を下方側から見た斜視図である。
収容容器70には、複数の商品75が収容されている。
収容容器70において、正面70a、側面70b、底面70cとのうち、表示部30は、正面70aに取り付けられ、タグ部10は、底面70cに取り付けられる。タグ部10は、底面70cに対して粘着または接着によって取り付けられてもよい。また、表示部30は、正面70aに対して、粘着または接着によって取り付けられてもよい。
表示部30が正面70aに取り付けられることにより、表示部30は、利用者から視認可能な位置に配置される。タグ部10が底面70cに取り付けられることにより、圧力検知部13は、対象物から圧力を受けることが可能な位置に配置される。連結部20は、底面70cから正面70aに連なるように曲げられてタグ部10と表示部30とを接続している。これにより、視認可能な面と、圧力を受ける面とが異なる面であっても、取り付けルことができるようになっている。
【0031】
収容容器70は、例えば、店舗の商品棚に載置され、複数の商品75が収容される。このような場合、RFIDタグ1の圧力検知部13の上に、複数の商品75が収容された収容容器70の底面70cが載置される。これにより、圧力検知部13には、収容容器70と商品75の重さに応じた荷重が加わる。そして、圧力検知部13に収容された液体は、荷重が加えられたことに応じて、アンテナ部14と表示部30のそれぞれに供給される。ここでは、加えられた荷重が大きいほど、供給される液体の量が増える。これにより、表示部30には、加えられた荷重に応じて供給された液体が外部(商品棚の正面側)から視認することができる。
表示部30を見る店員または消費者は、収容容器70に収容された商品の量を簡単に把握することができる。ここでは、表示部30において収容可能が収容領域の全体のうち、どの程度まで液体が供給されているかを確認することで、商品75の収容された量を把握することができる。例えば、表示部30の収容領域の全体に着色された液体が収容されている場合には、商品75が十分にあることを把握することができ、収容領域のうち、供給経路22が接続された接続点から終点までの間において、半分程度まで液体が収容されている場合には、残量がある程度減ってきていることを把握することができ、収容領域のうち、供給経路22が接続された接続点から終点までの間において、1/4程度まで液体が収容されている場合には、残量が残り少ない状態であることを把握することができる。
また、収容容器70に商品75を補充する場合には、表示部30に表示される残量が最大程度になるまで補充する等、減った量を把握するだけでなく、増えた量を把握することもできる。
【0032】
ここでは、収容容器70に収容された商品75の量を外部から簡単に視認することができる場合もあるが、収容容器70が店員や消費者にとって高い場所に置かれている場合には、店員や消費者は、収容容器70を下から見上げるような姿勢となるため、収容容器70に収容された商品75の量を直接確認することができない。しかし、表示部30に表示された残量を確認することで、どの程度の商品75が収容容器70に収容されているかを簡単に確認することができる。
【0033】
また、収容容器70の上面側が開口しており、商品75が開口部から収容されている場合には、商品75を外部から直接視認することができるが、収容容器70が不透明な箱であり、箱の中に商品75が収容されると、箱の蓋を開かなければ、収容容器70に収容された商品75の残量を確認することができないが、RFIDタグ1が収容容器70に取り付けられていることで、箱の蓋を開けることなく、表示部30の表示内容から大まかな残量を把握することができる。
なお、
図9、
図10の例では、収容容器70の底面70c側からRFIDタグ1を読み取るリーダによってRFIDタグ1を読み取ることで、圧力を表す値のデータを読み出すことができる。例えば、収容容器70が木製の棚板の上に載置されていたとしても、リーダによって棚板を介してRFIDタグ1を読み取ることができる。
【0034】
図11は、RFIDタグ1Aをリーダ50によって読み取る場合について表す斜視図である。
収容容器80の内部には物品85が収容され、収容容器80の正面にはRFIDタグ1Aが取り付けられている。
RFIDタグ1Aのうち、収容容器80の正面には表示部30aとアンテナ部14aとが配置されており、収容容器80の底面には、圧力検知部が設けられている。そして、収容容器80に物品85が収容された量に応じた荷重が圧力検知部に印加されている。そして、圧力検知部に印加された荷重に応じて、表示部30aに液体が供給され、荷重に応じた表示がなされる。そして、利用者は、リーダ50によって表示部30aに表示された表示内容に基づいて、収容容器80に収容された物品85の量を把握することができる。また、利用者は、リーダ50によってRFIDタグ1Aを読み取る。
【0035】
ここでは、リーダ50において、読み取り治具60が設けられる。読み取り治具60は、リーダ50の右側面に設けられる右側部材と、リーダ50の左側面に左側部材が設けられる左側部材とを含む。右側部材と左側部材は、読み取り方向に沿って伸びるように設けられている。読み取り治具60の長手方向の長さは、予め定められている。利用者は、読み取り治具60の右側部材と左側部材との間にRFIDタグ1Aが位置し、かつ、取り付け治具60の先端がRFIDタグ1または収容容器80に当接するようにリーダ50をかざし、読み取りボタンを押す。これにより、リーダ50は、RFIDタグ1を読み取る場合、RFIDタグ1から一定距離の位置において読み取ることができる。
【0036】
リーダ50は、RFIDタグ1に対して一定距離において、読み取り信号を送信し、その読み取り信号に応じてRFIDタグ1Aから送信される応答信号を受信することができる。これにより、リーダ50とRFIDタグ1とが一定距離となるようにして読み取りを行うことができるため、リーダ50とRFIDタグ1との距離の変化によって受信強度が変わってしまうことがなくなり、受信強度の強さを、圧力に応じた強さであるとして検知することができる。
ここで送信される応答信号の信号強度は、アンテナ部14aの内周に収容された液体の量に応じて定まる。そのため、リーダ50は、応答信号を受信するとともに、応答信号を受信したときの受信強度を測定する。これにより、応答信号に含まれるRFIDタグ1Aの識別情報を取得することができるとともに、受信強度に応じて求まる圧力値を取得することができる。このため、収容容器80から受ける荷重に応じた値を取得することができる。
ここで読み取り治具60を用いることで、RFIDタグ1Aとリーダ50との読み取り距離を一定する場合について説明したが、読み取り治具60を用いずに、リーダ50をRFIDタグ1Aに当接させるようにしてRFIDタグ1Aを読み取ることで、距離を一定にするようにしてもよい。
【0037】
ここでは、1つの収容容器80にRFIDタグ1が1つ取り付けられた場合について図示されているが、収容容器が複数ある場合には、複数の収容容器のそれぞれにRFIDタグ1を取り付けるようにしてもよい。これにより、少なくとも1つのRFIDタグ1とリーダ50とによって、圧力検出システムを構成することができる。
また、このような圧力検出システムは、収容容器80の外部から収容物を見ても残量を把握しにくい場合であっても、リーダ50によって算出された圧力値や、表示部30に表示された表示内容に基づいて、残量を簡単に把握することができる。このような圧力検出システムは、例えば、店舗において、商品棚に収容容器を設置し、その収容容器内に商品を収容することで、陳列された商品の残量を把握することができる。また、倉庫に置かれた在庫を収容容器に収容し、RFIDタグによって圧力を検出することで在庫量を把握したりすることができる。また、RFIDタグを店舗以外において利用してもよい。例えば、家庭において、洗面台に置かれたシャンプーの容器の底部にRFIDタグ1を取り付けることで、残量を把握したり、買い換えのアラートを表示部30によって表示するようにしてもよい。また、シャンプー以外に、洗剤、調味料、飲料等の収容量を検出するようにしてもよい。
【0038】
図12は、リーダ50の機能の概略を表す機能ブロック図である。
リーダ50は、通信部51、受信強度検出部52、記憶部53、圧力算出部54、制御部55、入力部56、出力部57を有する。リーダ50は、圧力算出装置として機能する。
【0039】
通信部51は、読み取り信号を送信する機能と、アンテナ部14から送信される電波を受信する機能とを有する。通信部51は、受信する場合、主に、RFIDタグ1に対して定められた位置においてアンテナ部14から送信される電波を受信する。
受信強度検出部52は、受信した電波の受信強度を検出する。
【0040】
記憶部53は、受信強度と圧力値とが対応付けられたテーブルを記憶する。このテーブルには、受信強度毎に、それぞれの受信強度に応じた圧力値が対応付けられて記憶される。受信強度と圧力値との関係は、実際に印加される圧力の値と、そのときにRFIDタグ1からリーダ50が受信した受信強度との関係と予め実験を行うことで測定しておき、テーブルとして記憶してもよい。また、印加された圧力の値と、圧力に応じて変化するアンテナ部14の導電率及び抵抗値をシミュレーションによって求めるととともに、抵抗値に応じて送信される送信信号の強度と、その強度によって電波が放射された場合においてRFIDタグ1に対して予め決められた位置(距離)において計測される受信強度をシミュレーションによって求める。そして、このシミュレーションによって得られた結果に基づいて、受信強度と圧力値との関係を求め、記憶部53に記憶するようにしてもよい。
【0041】
また、記憶部53は、上述のテーブルを、RFIDタグのタグID毎に記憶するようにしてもよい。RFIDタグの種類によって、アンテナ部14の流路の長さ、太さ、圧力検知部13の圧力に応じて供給する液体の量が異なる場合であっても、タグID毎にテーブルを有することで、RFIDタグの種類に応じたテーブルを参照することができる。
また、例えば、
図5、
図6に示すように、アンテナ部14に収容される液体が多いほど、導電率が低下する種類のRFIDタグ、
図7、
図8に示すように、アンテナ部14に収容される液体が多いほど、導電率が上がる種類のRFIDタグ等であっても、そのタグIDに応じてRFIDタグの種類を識別し、その種類に応じたテーブル(あるいは圧力の算出式)を記憶しておくようにしてもよい。
【0042】
記憶部53は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
この記憶部53は、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
【0043】
圧力算出部54は、記憶部53に記憶された受信強度と圧力との関係を示すテーブルに基づいて、検出された受信強度に応じた圧力値を求める。また、圧力算出部54は、記憶部53に記憶されたデータを参照するのではなく、受信強度と圧力との関係を示す式を用いて、圧力値を算出するようにしてもよい。
【0044】
制御部55は、リーダ50内の各部を制御する。
入力部56は、利用者からの各種操作入力を受け付ける。入力部56は、テンキーやスイッチであってもよいし、タッチパネルであってもよい。
出力部57は、圧力算出部54が算出した結果を出力する。この出力は、無線によって他の機器に送信することで出力してもよい。また、出力部57が液晶表示装置である場合には、液晶表示装置に圧力値を表示することで出力してもよい。また、出力部57と入力部56とがタッチパネルによって構成される場合には、タッチパネルに表示することで出力してもよい。
通信部51、受信強度検出部52、圧力算出部54、制御部55は、例えばCPU(中央処理装置)等の処理装置若しくは専用の電子回路で構成されてよい。
【0045】
図13は、リーダ50の動作を説明するフローチャートである。
リーダ50の制御部55は、読み取り信号を送信するか否かを判定する(ステップS101)。ここでは、読み取り信号をリーダ50の電源が投入されてから一定時間毎に送信する場合には、制御部55は、送信タイミングが到来したか否かを判定し、一定時間が経過することで送信タイミングが到来すると、読み取り信号を送信すると判定し(ステップS101-YES)、送信タイミングが到来していない場合には(ステップS101-NO)、再度ステップS101の処理を行う。また、制御部55は、読み取り信号の送信を一定時間毎ではなく、入力部56から読み取りを指示する操作入力が入力されたことを検出した場合に、読み取り信号を送信すると判定するようにしてもよい。入力部56からの指示に基づいて読み取り信号を送信する場合には、読み取り対象のRFIDタグ1に対して、所定の距離にリーダ50をかざした後に読み取りの指示を入力してもらうことができる。これにより、所定の位置に配置されてからRFIDタグ1を読み取ることができる。
【0046】
読み取り信号を送信すると判定されると、制御部55は、読み取り信号を通信部51から送信する(ステップS102)。
制御部55は、RFIDタグ1から応答信号を通信部51によって受信したか否かを判定する(ステップS103)。応答信号を受信していない場合(ステップS103-NO)、制御部55は、処理をステップS101に移行する。
一方、制御部55は、RFIDタグ1から応答信号を通信部51によって受信した場合(ステップS103-YES)、受信強度検出部52に受信強度の検出を行わせる。
受信強度検出部52は、RFIDタグ1から通信部51によって受信した応答信号の受信強度を検出する(ステップS104)。
受信強度が検出されると、圧力算出部54は、記憶部53を参照し、検出された受信強度に応じた圧力値を読み出すことで、圧力値を求める(ステップS105)。ここでは、圧力算出部54は、応答信号に含まれる、RFIDタグ1のタグIDを抽出し、このタグIDに応じたテーブルを参照することで圧力値を読み出すようにしてもよい。また、RFIDタグ1のタグIDに異なる算出式を予め記憶しておき、抽出されたタグIDに応じた算出式を用いて、受信強度に応じた圧力値を算出するようにしてもよい。
制御部55は、圧力値が求められると、求められた圧力値を出力部57によって出力する(ステップS106)。
これにより、RFIDタグ1によって検出された圧力が、数値として得ることができる。
【0047】
図14は、RFIDタグ1の他の構成を示すRFIDタグ1Bの構成を説明する図である。この図において、RFIDタグ1Bを平面視した場合における概略図を示す。
記憶部11、制御回路12、アンテナ部14は、
図1のRFIDタグ1と同様であるので同じ符号を付し、説明を省略する。
RFIDタグ1では、圧力検知部13が設けられていたが、RFIDタグ1Bでは、圧力検知部13a(第1収容部)と圧力検知部13b(第2収容部)との2つの圧力検知部が設けられる。ここでは、RFIDタグ1に対して、圧力検知部13bと表示部35bとが追加で設けられている。
【0048】
圧力検知部13aと圧力検知部13bは、長手方向が平行となるように並べられて配置される。また、圧力検知部13aと圧力検知部13bとの上面には、圧力検知部13aと圧力検知部13bとの両方を覆うようにして、板状部材131が取り付けられる。板状部材131は、上面から荷重が印加された場合には、圧力検知部13aと圧力検知部13bとの両方に荷重が印加されるように押す。これにより、対象物から荷重が印加された際に、圧力検知部13aと圧力検知部13bとのいずれか一方に荷重が集中せず、均等となるように荷重を印加することができる。
【0049】
ここでは、板状部材131が押された際に、傾かないようにして圧力検知部13aと圧力検知部13bとに均等に荷重を印加することができるように、板状部材131にガイド等を設けるようにしてもよい。
圧力検知部13aは、供給経路13a1を介してアンテナ部14に接続されるとともに、供給経路13a2を介して表示部35aに接続される。
圧力検知部13bは、供給経路13b1を介して表示部35bに接続される。
【0050】
圧力検知部13aと圧力検知部13bとに圧力が印加されると、圧力検知部13aに収容された第1液体は、アンテナ部14と表示部35aとに供給され、圧力検知部13bに収容された第2液体は、表示部35bとに供給される。ここでは、圧力検知部13bはアンテナ部14に対して供給経路が接続されていないため、圧力検知部13bからアンテナ部14に対して第2液体は供給されない。
これにより、印加された圧力に応じてアンテナ部14抵抗値が変化するとともに、表示部35aによって圧力に応じた表示がされるとともに表示部35bによって圧力に応じた表示がなされる。
【0051】
ここで、第1液体と第2液体については、同じ色の液体であってもよいが、異なる色の液体を用いるようにしてもよい。同じ色の液体を用いた場合には、表示部35aと表示部35bとにそれぞれ液体が供給されるため、表示部35aと表示部35bとの相対的な位置関係や、供給経路が接続された接続位置によっては、表示部35aと表示部35bとにおいて、異なる方向から表示せることができる。例えば、表示部35aの長手方向における第1端部(例えば
図13に向かって左側)に供給経路が接続され、表示部35bの長手方向における第2端部(例えば
図13に向かって右側)に供給経路が接続された場合には、対象物から圧力が印加されると、表示部35aは、左側から右側に向かって表示される量(長さ)が増大し、表示部35bは、右側から左側に向かって表示される量(長さ)が増大する。これにより、表示態様のバリエーションを増やすことができる。
さらに、第1液体と第2液体との色が異なる場合には、さらに表示態様のバリエーションを増やすことができる。
【0052】
また、印加される荷重が同じであっても、圧力検知部13aから表示部35aに供給される供給量と、圧力検知部13bから表示部35bに供給される供給量とが異なるようにしてもよい。例えば、供給経路13a1と供給経路13a2との太さを異なるようにすることで、供給量が異なるように設定することができる。例えば、供給経路13a2の太さを供給経路13b1の太さよりも太くした場合には、圧力検知部13aと圧力検知部13bに同じ圧力が印加されても、表示部35aに対して供給される第1液体の量が、表示部35bに対して供給される第2液体の量よりも多くなるため、表示部35aの内部に展開される第1液体の量が、表示部35bの内部に展開される第2液体の量よりも多くすることができる。
【0053】
以上説明した実施形態において、RFIDタグ1、RFIDタグ1A、RFIDタグ1Bは、圧力検知部に圧力が印加されたことに応じた信号強度によって応答信号を送信することができ、また、圧力に応じた表示態様にて表示することができる。リーダは、応答信号の受信強度に応じた圧力値を算出することができる。これにより、リーダによって圧力を数値として取得することができ、表示部の表示態様に基づいて圧力を把握することできるため、RFIDタグに印加された圧力を簡単に把握することができる。
また、以上説明した実施形態によれば、RFIDタグ(RFIDタグ1、RFIDタグ1A、RFIDタグ1B)に印加されていた圧力が減少した場合にはアンテナ部、表示部に供給されていた液体を圧力検知部13に引き戻すことができるため、圧力が減少する場合であっても減少したあとの圧力を検出し、外部に出力することができる。
また、以上説明した実施形態によれば、RFIDタグに印加された圧力を信号強度に変換し、電気的な信号として取り出すことができる。これにより、圧力を数値として取得することが可能となる。また、RFIDタグの圧力検知部に印加された圧力に応じて液体が表示部に供給されるため、液体が表示部に展開された領域の広さによって圧力の度合いを把握でき、視覚的に圧力を把握することができる。
【0054】
また、以上説明した実施形態において、アンテナ部の断面形状が三角形、四角形の場合について説明したが、円形、五角形等の他の形状であってもよい。
【0055】
上述した実施形態におけるリーダ50をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0056】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1,1A,1B…RFIDタグ、10…タグ部,11…記憶部,12…制御回路,13,13a,13b…圧力検知部、13a1,13a2,13b1,22…供給経路、14,14a,14A…アンテナ部、15a…第1壁部、15b…第2壁部、20…連結部,21…連結部材、30,30a,35a,35b…表示部、31…収容領域、50…リーダ、51…通信部、52…受信強度検出部、53…記憶部、54…圧力算出部、55…制御部、56…入力部、57…出力部、60…読み取り治具、70,80…収容容器、70a…正面、70b…側面、141a,141b,142a,142b,143a,143b…配線パターン、70c…底面、75…商品、85…物品、131…板状部材、141A…液体