(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172004
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 43/02 20060101AFI20231129BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
F04B43/02 H
H02K7/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083537
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】391008515
【氏名又は名称】株式会社アイエイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴博
(72)【発明者】
【氏名】佐野 稔
【テーマコード(参考)】
3H077
5H607
【Fターム(参考)】
3H077AA11
3H077CC02
3H077DD02
3H077EE36
3H077FF02
3H077FF06
3H077FF55
3H077FF57
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC05
5H607CC07
5H607DD03
5H607DD07
5H607HH01
5H607HH09
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制することができるポンプを提供する。
【解決手段】ポンプ1は、出力軸11を有するモータ10と、出力軸11と共に回転するシャフト20と、磁石Mと、第1センサ50-1と、基板Bと、モータドライブDとを備える。磁石Mは、シャフト20の端部に設けられている。第1センサ50-1は、磁石Mの磁束密度の変化を検出する。基板Bは、第1センサ50-1が実装されている。モータドライブDは、第1センサ50-1と共に基板Bに実装され、モータ10の出力軸11の動作を制御するためのものである。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有するモータと、
前記回転軸と共に回転するシャフトと、
前記シャフトの端部に設けられている磁石と、
前記磁石の磁束密度の変化を検出する第1センサと、
前記第1センサが実装されている基板と、
前記第1センサと共に前記基板に実装され、前記モータの前記回転軸の動作を制御するための制御部品と、
を備える、ポンプ。
【請求項2】
前記シャフトの回転を往復運動に変換する変換機構部と、
前記変換機構部によって変換された往復運動によって内圧が変化する圧力室が形成されている圧力室形成部と、
前記圧力室の内圧の変化を検出する第2センサと、
を備え、
前記基板には、前記制御部品及び前記第1センサと共に、前記第2センサが実装されている、請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
回転軸を有するモータと、
前記回転軸と共に回転するシャフトと、
前記シャフトの回転を往復運動に変換する変換機構部と、
前記変換機構部によって変換された往復運動によって内圧が変化する圧力室が形成されている圧力室形成部と、
前記圧力室の内圧の変化を検出する第2センサと、
前記第2センサが実装されている基板と、
前記第2センサと共に前記基板に実装され、前記モータの前記回転軸の動作を制御するための制御部品と、
を備える、ポンプ。
【請求項4】
前記基板に実装されている前記第2センサが配置されていると共に、前記圧力室に通じるセンサ配置室が形成されているセンサ配置室形成部と、
前記センサ配置室形成部と前記基板との間に配置され、弾性の素材からなり、前記センサ配置室を気密状態に保持するための弾性部材と、
を備える、請求項3に記載のポンプ。
【請求項5】
前記回転軸に設けられている第1カップリングと、
前記シャフトに設けられていると共に、前記第1カップリングに係合することで、前記回転軸の回転を前記シャフトに伝達する第2カップリングと、
を備える、請求項1又は3に記載のポンプ。
【請求項6】
前記圧力室の内圧の状態を表示するための表示用部品を有する表示部を備え、
前記表示用部品は、前記基板に実装されている、請求項2又は3に記載のポンプ。
【請求項7】
外部機器を接続するためのインターフェイス部を備え、
前記インターフェイス部は、前記基板に実装されている、請求項1又は3に記載のポンプ。
【請求項8】
アクチュエータ本体に対して、前記ポンプを取り付けて固定するための取付け金具を備え、
前記ポンプは、前記取付け金具を介して、前記アクチュエータ本体に固定可能に形成されている、請求項1又は3に記載のポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動式モータを有すると共に、ポンプの機能を有する電動式負圧ポンプアクチュエータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された電動式負圧ポンプアクチュエータにおいて、電動式モータを制御するためのモータ制御用回路部品を有する場合、当該モータ制御用回路部品は、回路基板に実装される。そして、特許文献1に記載された電動式負圧ポンプアクチュエータにおいて、電動式モータの回転軸の回転数や回転速度を検出するためのエンコーダを更に組み込む場合、エンコーダを制御するエンコーダ制御用回路部品を実装するためのエンコーダ制御用回路部品が実装される回路基板を有する必要がある。すると、モータ制御用回路部品が実装される回路基板と、エンコーダ制御用回路部品が実装される回路基板との両方が必要になり、結果として、電動式負圧ポンプアクチュエータのサイズが大型化するおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、大型化を抑制することができるポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るポンプは、
回転軸を有するモータと、
前記回転軸と共に回転するシャフトと、
前記シャフトの端部に設けられている磁石と、
前記磁石の磁束密度の変化を検出する第1センサと、
前記第1センサが実装されている基板と、
前記第1センサと共に前記基板に実装され、前記モータの前記回転軸の動作を制御するための制御部品と、
を備える。
【0007】
前記シャフトの回転を往復運動に変換する変換機構部と、
前記変換機構部によって変換された往復運動によって内圧が変化する圧力室が形成されている圧力室形成部と、
前記圧力室の内圧の変化を検出する第2センサと、
を備え、
前記基板には、前記制御部品及び前記第1センサと共に、前記第2センサが実装されていてもよい。
【0008】
本発明の第2の観点に係るポンプは、
回転軸を有するモータと、
前記回転軸と共に回転するシャフトと、
前記シャフトの回転を往復運動に変換する変換機構部と、
前記変換機構部によって変換された往復運動によって内圧が変化する圧力室が形成されている圧力室形成部と、
前記圧力室の内圧の変化を検出する第2センサと、
前記第2センサが実装されている基板と、
前記第2センサと共に前記基板に実装され、前記モータの前記回転軸の動作を制御するための制御部品と、
を備える。
【0009】
前記基板に実装されている前記第2センサが配置されていると共に、前記圧力室に通じるセンサ配置室が形成されているセンサ配置室形成部と、
前記センサ配置室形成部と前記基板との間に配置され、弾性の素材からなり、前記センサ配置室を気密状態に保持するための弾性部材と、
を備えていてもよい。
【0010】
前記回転軸に設けられている第1カップリングと、
前記シャフトに設けられていると共に、前記第1カップリングに係合することで、前記回転軸の回転を前記シャフトに伝達する第2カップリングと、
を備えていてもよい。
【0011】
前記圧力室の内圧の状態を表示するための表示用部品を有する表示部を備え、
前記表示用部品は、前記基板に実装されていてもよい。
【0012】
外部機器を接続するためのインターフェイス部を備え、
前記インターフェイス部は、前記基板に実装されていてもよい。
【0013】
アクチュエータ本体に対して、前記ポンプを取り付けて固定するための取付け金具を備え、
前記ポンプは、前記取付け金具を介して、前記アクチュエータ本体に固定可能に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、大型化を抑制することができるポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係るポンプの斜視図である。
【
図2】実施の形態に係るポンプの分解斜視図(その1)である。
【
図6】筐体を取り外したポンプの断面図であり、
図3のA-A断面に対応する図である。
【
図7】筐体を取り外したポンプの断面図であり、
図3のB-B断面に対応する図である。
【
図8】(A)は、ポンプの正面図である。(B)は、(A)のD-D断面図である。
【
図10】実施の形態に係るポンプの分解斜視図(その2)である。
【
図11】(A)は、ポンプの動作を説明するための断面図(その1)である。(B)は、ポンプの動作を説明するための断面図(その2)である。
【
図12】ポンプの動作を説明するための断面図(その3)である。
【
図13】ポンプの動作を説明するための断面図(その4)である。
【
図14】ポンプの動作を説明するために一部を断面にした図である。
【
図15】ポンプにおいて、ソレノイドユニットの動作を説明するための断面図であり、
図3のC-C断面に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係るポンプ1について、図を用いて説明する。なお、理解を容易にするために、XYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0017】
ポンプ1は、
図1及び
図2に示すように、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の3方向に移動可能に形成されているアクチュエータ本体100に取り付けられる。アクチュエータ本体100は、本実施の形態においては、ポンプ1の真空ポンプ機能によって、搬送対象であるワークWを吸着することが可能な吸着部110を有する。アクチュエータ本体100は、吸着部110がワークWを吸着しつつ、ワークWを所定の位置に移動させる。そして、アクチュエータ本体100は、所定の位置への移動後、吸着部110による吸着力を解除することで、搬送対象であるワークWを吸着部110から外して、所定の位置に搬送する。
【0018】
ポンプ1は、
図3~
図5に示すように、モータ10と、シャフト20と、磁石Mと、本体部30と、弾性部材Eと、変換機構部40と、第1センサ50-1と、第2センサ50-2と、基板Bと、モータドライブDと、第1カップリング61と、第2カップリング62と、表示部70と、インターフェイス部Fと、ソレノイドユニット80と、これらを覆う筐体95とを備える。
【0019】
モータ10は、例えば、ステッピングモータであり、出力軸11(回転軸)と、ロータと、ステータと、これらを収容して保護するモータハウジングとを有する。本発明の実施の形態においては、モータ10は、ステッピングモータである。しかしながら、これに限られない。モータ10は、ステッピングモータ以外の種類のモータであってもよい。このモータ10には、インターフェイス部Fに接続されているケーブルから商用電源が供給される。
【0020】
シャフト20は、モータ10の出力軸11に対して、第1カップリング61及び第2カップリング62を介して接続されることで、出力軸11と共に回転するように設けられている。
【0021】
磁石Mは、シャフト20の+Y側の端部に設けられている永久磁石である。詳しくは、磁石Mは、シャフト20の+Y側の端部に固定されている磁石支持部21によって支持されている。しかしながら、これに限られない。シャフト20の+Y側の端部に対する磁石Mの取付け方法や固定方法は任意である。例えば、磁石Mは、シャフト20の+Y側の端部に直接設けられていてもよい。
【0022】
本体部30(圧力室形成部、センサ配置室形成部)は、
図6及び
図7に示すように、変換機構部40によって変換された往復運動によって内圧が変化する圧力室R1と、圧力室R1に通じるセンサ配置室R2と、圧力室R1とセンサ配置室R2とを連通させる通路R3とが形成されている部品である。本体部30は、本実施の形態においては、圧力室R1及びセンサ配置室R2を真空に保つことが可能に形成されている。この本体部30は、ケース31と、カバー32と、ダイヤフラム33と、吸気バルブ34とを有する。
【0023】
ケース31は、変換機構部40を収容する。このケース31には、シャフト20がY軸方向に貫通して配置されている。ケース31は、軸受31aによって、シャフト20を回転可能に支持している。ケース31には、上方(+Z方向)に開口する開口部31bが形成されている。
【0024】
カバー32は、ケース31の開口部31bを覆う部材である。カバー32は、ケース31との間でダイヤフラム33を挟みつつ、ケース31の開口部31bを覆う。これにより、カバー32の内部には、気密に保たれた圧力室R1が形成される。また、
図8に示すように、カバー32には、圧力室R1の内部に気体を吸気するための吸気口35と、圧力室R1から外部に気体を排気するための排気口36とが形成されている。吸気口35には、外部から圧力室R1に気体が流入しつつ、圧力室R1の内部の気体が流出しないようにするための逆止弁が設けられている。排気口36にも、圧力室R1の内部の気体が流出しつつ、外部から圧力室R1に気体が流入しないようにするための逆止弁が設けられている。
【0025】
ダイヤフラム33は、弾性の素材から形成されている。このダイヤフラム33は、
図6及び
図7に示すように、カバー32と共に圧力室R1を形成する。
【0026】
吸気バルブ34には、吸気口34aに形成されている。この吸気バルブ34が開弁することにより、吸気口34aが解放され、圧力室R1と外部とを連通される。
【0027】
弾性部材Eは、
図7及び
図9に示すように、本体部30と基板Bとの間に配置されることで、センサ配置室R2を気密状態に保持するために用いられる。弾性部材Eは、弾性の素材からなる。弾性部材Eは、本実施の形態においては、Oリングである。しかしながら、これに限られない。弾性部材Eは、センサ配置室R2を気密状態に保持可能な部材であれば、Oリング以外のものであってもよい。
【0028】
変換機構部40は、
図4及び
図6に示すように、偏心カム41と、コネクティングロッド42と、ダイヤフラム固定部材43とを有する。変換機構部40は、シャフト20の回転を、ダイヤフラム固定部材43の往復運動に変換するために用いられる。
【0029】
偏心カム41は、シャフト20に固定されることで、シャフト20と共にY軸方向回りに回転する。偏心カム41には、コネクティングロッド42が取り付けられている。偏心カム41がシャフト20と共にY軸方向回りに回転することで、コネクティングロッド42の先端部(+Z側の端部)は、Z軸方向に沿って往復運動をする。
【0030】
コネクティングロッド42の先端部(+Z側の端部)には、ダイヤフラム33が取り付けられている。
【0031】
ダイヤフラム固定部材43は、ボルトやネジなどの留め具によって、ダイヤフラム33をコネクティングロッド42の先端部に固定するために用いられる。
【0032】
第1センサ50-1は、基板Bに実装されている。この第1センサ50-1は、磁石Mの磁束密度の変化を検出する磁気センサである。第1センサ50-1は、例えば、磁気抵抗効果素子を含んで構成されるMR(Magneto Resistive)センサであり、磁石Mからの磁束密度の変化を検出し、検出した磁束密度の変化に応じた電圧信号を出力する。より好ましくは、第1センサ50-1は、GMR(Giant Magneto Resistive)センサである。この電圧信号は、シャフト20の回転角度及び回転数に相当する信号である。これにより、ポンプ1のコントローラは、シャフト20の絶対位置を算出することができる。なお、本実施の形態においては、第1センサ50-1は、磁気抵抗効果素子を含んで構成されるGMR(Giant Magneto Resistive)センサである。しかしながら、これに限られない。第1センサ50-1は、GMR(Giant Magneto Resistive)センサ以外のものであってもよい。例えば、第1センサ50-1は、ホール素子を含んで構成されるホールセンサであってもよい。第1センサ50-1は、磁石Mと共に、シャフト20の回転角度及び回転数を検出するエンコーダを構成する。
【0033】
第2センサ50-2は、
図5及び
図7に示すように、第1センサ50-1と共に基板Bに実装されている。この第2センサ50-2は、圧力室R1の内圧の変化を検出するために用いられる。第2センサ50-2は、センサ配置室R2の室内に配置されることで、センサ配置室R2に通じる圧力室R1の内圧の変化を検出する。第2センサ50-2は、例えば、センサ用ダイヤフラムと感圧素子とを有し、センサ配置室R2の内圧を、センサ用ダイヤフラムを介して感圧素子で計測し、検出した内圧の変化に応じた電圧信号を出力することで、圧力室R1の内圧の変化を検出する。しかしながら、これに限られない。第2センサ50-2は、別の構造を有するセンサであってもよい。
【0034】
基板Bは、
図4及び
図5に示すように、例えば、ポンプ1の各種動作を制御するための部品が実装されている回路基板である。この基板Bには、第1センサ50-1及び第2センサ50-2と共に、モータドライブD及びインターフェイス部Fが実装されている。
【0035】
モータドライブD(制御部品)は、モータ10の出力軸11やソレノイドユニット80の動作を制御するための制御用ICである。モータドライブDは、第1センサ50-1及び第2センサ50-2と共に基板Bに実装されている。
【0036】
第1カップリング61は、モータ10の出力軸11の+Y側の端部に設けられている。
【0037】
第2カップリング62は、シャフト20の-Y側の端部に設けられている。第2カップリング62は、第1カップリング61に係合することで、モータ10の出力軸11の回転をシャフト20に伝達するために用いられる。
【0038】
表示部70は、
図10に示すように、ポンプ1のユーザが圧力室R1の内圧の状態を視認するために用いられる。具体的には、表示部70には、圧力室R1の現在の圧力値である現在圧力値、ユーザが所望する設定圧力値(吸着完了、離脱完了)が表示される。表示部70は、表示画面部や表示用LED部を含んで構成されている。表示画面部や表示用LED部は、筐体95の+Y側の側面95aから露出して設けられている。また、筐体95の+Y側の側面95aには、ユーザがポンプ1を操作するための操作スイッチ72が設けられている。表示部70は、
図4及び
図5に示すように、ポンプ1のユーザが圧力室R1の内圧の状態を視認するための表示用部品71を有する。表示画面部や表示用LED部、表示用部品71の各部品は、基板Bに実装されている。
【0039】
インターフェイス部Fは、
図10に示すように、外部機器との接続や、商用電源との接続のために用いられる。インターフェイス部Fは、外部機器などが接続されるコネクタを有し、このコネクタは、筐体95の+Y側の側面95aから露出して設けられている。インターフェイス部Fは、
図4及び
図5に示すように、基板Bに実装されている。
【0040】
ソレノイドユニット80は、吸気バルブ34を開弁させて、圧力室R1に大気を導入することで、圧力室R1の内圧を調整するために用いられる。ソレノイドユニット80は、ソレノイド本体81と、スプリング82とを有する。
【0041】
ソレノイド本体81は、ソレノイドコイルと、プランジャ81a(コア)とを有する。プランジャ81aは、+Z方向及び-Z方向の双方向に移動可能に設けられている可動鉄心であり、+Z側の端部が吸気バルブ34の吸気口34aを閉じるための弁体として形成されている。なお、本実施の形態においては、吸気バルブ34の弁体は、ソレノイド本体81のプランジャ81aの+Z側の端部の一部として形成されているが、これに限られない。吸気バルブ34の弁体は、ソレノイド本体81のプランジャ81aとは別体に形成され、プランジャ81aの+Z側の端部に取り付けられていてもよい。
【0042】
スプリング82は、プランジャ81aを+Z方向に付勢させることで、吸気バルブ34の吸気口34aを閉じて、吸気バルブ34を閉弁させる。
【0043】
このように構成されているソレノイドユニット80において、ソレノイド本体81のソレノイドコイルが励磁されると、例えば、ソレノイド本体81のプランジャ81aが-Z方向に移動する。すると、吸気バルブ34のプランジャ81aが吸気口34aから離間する。この結果、吸気口34aが解放されて、吸気バルブ34が開弁する。
【0044】
ポンプ1は、
図2及び
図10に示すように、取付け金具90を備えることで、この取付け金具90によって、アクチュエータ本体100に取り付けられる。
【0045】
取付け金具90は、例えば、一枚の金属製の板材が折り曲げられて形成されている。詳しくは、取付け金具90は、XZ断面がL字形状となるように折り曲げられている。取付け金具90には、X軸方向に貫通すると共に、留め具91を挿入するための貫通孔90aと、Z軸方向に貫通すると共に、ネジやボルトなどの留め具92を挿入するための貫通孔90bとが形成されている。取付け金具90は、アクチュエータ本体100に対して、貫通孔90aに挿入された留め具91によって固定されている。取付け金具90には、ポンプ1が、貫通孔90bに挿入された留め具92によって固定される。これにより、ポンプ1は、取付け金具90を介して、アクチュエータ本体100に固定される。ポンプ1とアクチュエータ本体100の継手100aとは、流体が通過するチューブ120によって接続される。
【0046】
チューブ120は、
図1及び
図2に示すように、ポンプ1の筐体95に形成されている継手95bに接続されている。チューブ120は、筐体95の内部に配置されている配管によって、圧力室R1に通じている。
【0047】
上述のように構成されたポンプ1の動作について、図を参照しつつ説明する。
【0048】
先ず、モータ10に電源が供給されることによって、
図4に示すように、出力軸11が回転する。出力軸11が回転すると、第1カップリング61が第2カップリング62に係合しているため、シャフト20が出力軸11とともに回転する。このとき、第1センサ50-1が、シャフト20の回転角度及び回転数を算出するために、磁石Mの磁束密度の変化を検出する。
【0049】
シャフト20が回転すると、
図11及び
図12に示すように、シャフト20に固定されている偏心カム41もY軸方向回りに回転する。すると、コネクティングロッド42の先端部(+Z側の端部)が、Z軸方向に沿って往復運動をする。
【0050】
コネクティングロッド42の先端部(+Z側の端部)が往復運動をすると、当該先端部に固定されているダイヤフラム33の一部も、Z軸方向に沿って往復運動をして、ダイヤフラム33が弾性変形する。このダイヤフラム33の弾性変形に基づいて、圧力室R1の内室の容量が変化して、圧力室R1の内圧が変化する。このとき、吸気口35から気体が吸気されつつ、排気口36から気体が排気されることで、圧力室R1の内圧が負圧となる。第2センサ50-2は、センサ配置室R2の内圧の変化を検出することで、圧力室R1の内圧の変化を検出する。
【0051】
圧力室R1の内圧が負圧となることで、
図13に示すように、チューブ120によって気体が吸引される。チューブ120は、
図14に示すように、アクチュエータ本体100の継手100aに接続されているため、吸着部110が、搬送対象のワークWを吸着する。そして、アクチュエータ本体100は、吸着部110にワークWを吸着しつつ、ワークWを所定の位置に移動させることができる。
【0052】
次に、吸着部110からのワークWの離脱の方法について説明する。
図15に示すように、ソレノイドユニット80において、ソレノイド本体81のソレノイドコイルが励磁されると、例えば、ソレノイド本体81のコアが-Z方向に移動する。すると、吸気バルブ34の弁体が吸気口34aから離間する。この結果、吸気口34aが解放されて、吸気バルブ34が開弁する。これにより、圧力室R1が外部に解放され、チューブ120によって気体が吸引されなくなるため、
図14を参照するとわかるように、搬送対象のワークWは、吸着部110から離脱する。
【0053】
以上、説明したように、
図3~
図5に示すように、本実施の形態に係るポンプ1において、第1センサ50-1は、モータドライブDと共に基板Bに実装されている。このため、本実施の形態においては、第1センサ50-1を実装するための専用の基板が不要となり、ポンプ1のサイズの小型化を実現することが可能になる。この結果、本実施の形態に係るポンプ1においては、大型化を抑制することができる。また、本実施の形態に係るポンプ1においては、軽量化を実現することができる。
【0054】
また、本実施の形態に係るポンプ1において、第2センサ50-2は、第1センサ50-1と同様に、モータドライブDと共に基板Bに実装されている。このため、本実施の形態においては、第2センサ50-2を実装するための専用の基板が不要となり、ポンプ1のサイズの小型化を実現することが可能になる。この結果、本実施の形態に係るポンプ1においては、大型化を抑制することができる。また、本実施の形態に係るポンプ1においては、軽量化を実現することができる。
【0055】
また、本実施の形態に係るポンプ1は、シャフト20の回転角度及び回転数を検出することで、エンコーダとして機能する第1センサ50-1を備える。このため、モータ10の脱調を抑制することができる。
【0056】
また、本実施の形態に係るポンプ1においては、
図1、
図2に示すように、軽量化を実現することができるため、様々な種類やサイズのアクチュエータ本体100に取り付けることができる。このため、汎用性の高いポンプ1を提供することができる。
【0057】
これに対して、
図16に示す比較例に係るポンプ2では、サイズが大きいため、アクチュエータ本体100に直接取り付けることができず、アクチュエータ本体100から離れた位置に配置される。このため、チューブ120が長くなるため、ユーザがポンプ2における吸着、離脱の操作を行ってから、アクチュエータ本体100の吸着部110の吸着、離脱の動作までのタイムラグが生じやすくなる。
【0058】
しかしながら、本実施の形態に係るポンプ1においては、
図1、
図2に示すように、軽量化を実現することができるため、アクチュエータ本体100に直接取り付けることができる。この結果、チューブ120を短くすることができるため、ポンプ2における吸着、離脱の操作を行ってから、アクチュエータ本体100の吸着部110の吸着、離脱の動作までのタイムラグを小さくすることができる。また、チューブ120が短くなることに伴い、ポンプ1を使用する際のエネルギー効率を向上させることができると共に、静音化も図ることができる。
【0059】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0060】
例えば、上記実施の形態においては、
図3~
図5に示すように、シャフト20の+Y側の端部に設けられているものは、磁石Mである。そして、第1センサ50-1は、磁石Mの磁束密度の変化を検出する磁気センサである。しかしながら、これに限られない。例えば、シャフト20の+Y側の端部に設けられるものは、光学ホイールであり、第1センサ50-1は、この光学ホイールからの光を検出する光学センサであってもよい。
【0061】
また、上記実施の形態においては、第1センサ50-1及び第2センサ50-2の両方が、基板Bに実装されている。しかしながら、これに限られない。第1センサ50-1及び第2センサ50-2の一方が、基板Bに実装され、第1センサ50-1及び第2センサ50-2の他方が、基板Bとは別の基板に実装されていてもよい。ただし、この場合、第1センサ50-1及び第2センサ50-2の他方を実装するための別の基板が必要となる。このため、ポンプ1のサイズの観点からは、第1センサ50-1及び第2センサ50-2の両方が、基板Bに実装されている方が好ましい。
【0062】
また、上記実施の形態においては、第2センサ50-2は、圧力室R1に通じるセンサ配置室R2に配置されている。しかしながら、これに限られない。第2センサ50-2は、圧力室R1に配置されていてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態においては、表示部70の表示用部品71は、基板Bに実装されている。しかしながら、これに限られない。表示部70の表示用部品71は、基板Bに実装されている。基板Bとは別の基板に実装されていてもよい。ただし、この場合、表示用部品71を実装するための別の基板が必要となる。このため、ポンプ1のサイズの観点からは、表示用部品71は、基板Bに実装されている方が好ましい。
【0064】
また、上記実施の形態においては、インターフェイス部Fは、基板Bに実装されている。しかしながら、これに限られない。インターフェイス部F、基板Bに実装されている。基板Bとは別の基板に実装されていてもよい。ただし、この場合、インターフェイス部Fを実装するための別の基板が必要となる。このため、ポンプ1のサイズの観点からは、インターフェイス部Fは、基板Bに実装されている方が好ましい。また、インターフェイス部Fの全体が、基板Bに実装されているが、これに限られない。インターフェイス部Fを構成する少なくとも一部が、基板Bに実装されていてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態においては、本体部30は、圧力室R1が形成されている圧力室形成部と、センサ配置室R2が形成されているセンサ配置室形成部とが一体的に形成されている。しかしながら、これに限られない。例えば、圧力室R1が形成されている圧力室形成部と、センサ配置室R2が形成されているセンサ配置室形成部とが別体に形成されることで、本体部30は、複数の部材が組み合わさっていてもよい。ただし、製造コストの観点から、本体部30は、圧力室形成部とセンサ配置室形成部とが一体的に形成されている方が好ましい。
【0066】
表示部70は、
図10に示すように、圧力室R1の内圧の状態を表示するためのものである。しかしながら、これに限られない。表示部70は、モータの回転軸の状態(回転速度、回転角度)を表示するためのものであってもよい。さらには、表示部70は、圧力室R1の内圧の状態と、モータの回転軸の状態との双方を表示するためのものであってもよい。また。表示部70は、これら以外のポンプの各状態や設定値を表示するものであってもよい。
【0067】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0068】
1,2:ポンプ
10:モータ
11:出力軸(回転軸)
20:シャフト
21:磁石支持部
30:本体部
31:ケース
31a:軸受
31b:開口部
32:カバー
33:ダイヤフラム
34:吸気バルブ
34a:吸気口
35:吸気口
36:排気口
40:変換機構部
41:偏心カム
42:コネクティングロッド
43:ダイヤフラム固定部材
50-1:第1センサ
50-2:第2センサ
61:第1カップリング
62:第2カップリング
70:表示部
71:表示用部品
72:操作スイッチ
80:ソレノイドユニット
81:ソレノイド本体
81a:プランジャ
82:スプリング
90:取付け金具
90a,90b:貫通孔
91,92:留め具
95:筐体
95a:側面
95b:継手
100:アクチュエータ本体
100a:継手
110:吸着部
120:チューブ
B:基板
D:モータドライブ
M:磁石
E:弾性部材
F:インターフェイス部
R1:圧力室
R2:センサ配置室
R3:通路
W:ワーク