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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172013
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20231129BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20231129BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20231129BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/48 G
H02M7/48 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083549
(22)【出願日】2022-05-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新 一貴
(72)【発明者】
【氏名】石井 隆一
(72)【発明者】
【氏名】後閑 博
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA22
5H770AA24
5H770DA03
5H770DA41
5H770PA21
5H770QA01
5H770QA05
5H770QA06
5H770QA08
5H770QA12
5H770QA13
5H770QA21
(57)【要約】
【課題】端子の位置ずれ及び端子の接続不良を抑制すると共に、一巡Lsを低減し、小型化した半導体装置及びその製造方法を得ること
【解決手段】第二の導電体から、第一の導電板よりも第一方向の一方側に延出した第一ダミー端子、第四の導電体から、第一の導電板よりも第一方向の他方側に延出した第二ダミー端子、及び第三の導電体から、第三の導電板と第四の導電板との間を通って、第二方向の一方側に延出し、第三の導電板に接続された第二のAC端子に接続された第三ダミー端子を備え、第一ダミー端子、第二ダミー端子、第一の制御端子、第二の制御端子、第二のAC端子、第一のAC端子、N端子、及びP端子の端部を露出させた状態で、第一の導電板、第二の導電板、第三の導電板、第四の導電板、第一のスイッチング素子、第二のスイッチング素子、第一の導電体、第二の導電体、第三の導電体、及び第四の導電体が樹脂部材により封止されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向の幅よりも前記第一方向に直交する第二方向の幅が短い板状に形成された第一の導電板と、
前記第一の導電板と同一平面上に、前記第一の導電板の前記第二方向の一方側に間隔を空けて配置され、前記第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べられた第二の導電板、第三の導電板、及び第四の導電板と、
前記第一の導電板の一方の面上に、前記第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べられ、他方の面が前記第一の導電板の一方の面に接続された3個の第一のスイッチング素子と、
他方の面が、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板のそれぞれの一方の面に、接続された第二のスイッチング素子の3個と、
前記第一方向に延出し、3個の前記第二のスイッチング素子のそれぞれの一方の面に接続された第一の導電体と、
前記第一方向の一方側に配置された前記第一のスイッチング素子の一方の面と前記第二の導電板の一方の面とを接続した第二の導電体と、
前記第一方向の中央に配置された前記第一のスイッチング素子の一方の面と前記第三の導電板の一方の面とを接続した第三の導電体と、
前記第一方向の他方側に配置された前記第一のスイッチング素子の一方の面と前記第四の導電板の一方の面とを接続した第四の導電体と、
制御端子として、前記第一の導電板の前記第二方向の他方側に間隔を空けて配置され、3個の前記第一のスイッチング素子のそれぞれに接続された第一の制御端子の3組と、
前記制御端子として、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板のそれぞれの前記第二方向の一方側に間隔を空けて配置され、3個の前記第二のスイッチング素子のそれぞれに接続された第二の制御端子の3組と、
AC端子として、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板のそれぞれの前記第二方向の一方側の一方の面に接続され、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板よりも前記第二方向の一方側に延出した第二のAC端子の3個と、
前記AC端子として、前記第二の導電体、前記第三の導電体、及び前記第四の導電体のそれぞれから前記第一の導電板よりも前記第二方向の他方側に延出した第一のAC端子の3個と、
N端子として、前記第一の導電体から前記第二の導電板よりも前記第一方向の一方側に延出した第一のN端子、及び前記第一の導電体から前記第四の導電板よりも前記第一方向の他方側に延出した第二のN端子の一方または双方と、
P端子として、前記第一の導電板の前記第一方向の一方側の一方の面に接続され、前記第一の導電板よりも前記第一方向の一方側に延出した第一のP端子、及び前記第一の導電板の前記第一方向の他方側の一方の面に接続され、前記第一の導電板よりも前記第一方向の他方側に延出した第二のP端子の一方または双方と、
前記第二の導電体から、前記第一の導電板よりも前記第一方向の一方側に延出した第一ダミー端子と、
前記第四の導電体から、前記第一の導電板よりも前記第一方向の他方側に延出した第二ダミー端子と、
前記第三の導電体から、前記第三の導電板と前記第四の導電板との間を通って、前記第二方向の一方側に延出し、前記第三の導電板に接続された前記第二のAC端子に接続された第三ダミー端子と、を備え、
前記第一ダミー端子、前記第二ダミー端子、前記第一の制御端子、前記第二の制御端子、前記第一のAC端子、前記第二のAC端子、前記N端子、及び前記P端子の端部を露出させた状態で、前記第一の導電板、前記第二の導電板、前記第三の導電板、前記第四の導電板、前記第一のスイッチング素子、前記第二のスイッチング素子、前記第一の導電体、前記第二の導電体、前記第三の導電体、及び前記第四の導電体が樹脂部材により封止されている半導体装置。
【請求項2】
前記第二の導電体から、前記第二の導電板と前記第三の導電板との間を通って、前記第二方向の一方側に延出し、前記第二の導電板に接続された前記第二のAC端子に接続された第四ダミー端子を備えた請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第一ダミー端子、前記第二ダミー端子、前記第一の制御端子、前記第二の制御端子、前記第二のAC端子、前記第一のAC端子、及び前記P端子である複数の対象端子の前記樹脂部材から露出した端部は、前記複数の対象端子の周囲を取り囲むフレームと一体形成されており、
前記フレームの側の前記複数の対象端子の部分が、切断される切断部である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第一のN端子と前記第二のN端子の双方、及び前記第一のP端子と前記第二のP端子の双方を備え、
前記第一のN端子及び前記第一のP端子の前記第一方向の一方側の端部と、前記第二のN端子及び前記第二のP端子の前記第一方向の他方側の端部との間の前記第一方向の距離を第一方向の距離とし、
前記第二の制御端子及び前記第二のAC端子の前記第二方向の一方側の端部と、前記第一の制御端子及び前記第一のAC端子の前記第二方向の他方側の端部との間の前記第二方向の距離を第二方向の距離とし、
第一方向の距離が、第二方向の距離の2.1倍以下である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第一のN端子及び前記第二のN端子の一方と、一方の前記N端子と同じ前記第一方向の側に設けられた一方の前記P端子とを備え、
前記一方のN端子及び前記一方のP端子の前記樹脂部材から露出した前記第一方向の端部と、前記一方のN端子及び前記一方のP端子とは反対側の前記第一方向の前記樹脂部材の端部との間の前記第一方向の距離を第一方向の距離とし、
前記第二の制御端子及び前記第二のAC端子の前記第二方向の一方側の端部と、前記第一の制御端子及び前記第一のAC端子の前記第二方向の他方側の端部との間の前記第二方向の距離を第二方向の距離とし、
第一方向の距離が、第二方向の距離の1.2倍以下である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第一のスイッチング素子及び前記第二のスイッチング素子のそれぞれが、シリコン半導体素子またはワイドバンドギャップ半導体素子から形成された、MOSFETまたはRC-IGBTの1個の素子で構成されている請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第一のスイッチング素子及び前記第二のスイッチング素子のそれぞれが、シリコン半導体素子またはワイドバンドギャップ半導体素子から形成された、IGBT及びダイオードを含む複数の素子で構成されている請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
第一方向の幅よりも前記第一方向に直交する第二方向の幅が短い板状に形成された第一の導電板と、第二の導電板と、第三の導電板と、第四の導電板と、3個の第一のスイッチング素子と、3個の第二のスイッチング素子と、一つの方向に延出し、一方の端部に第一のN端子、他方の端部に第二のN端子が設けられた第一の導電体と、3個の第二のAC端子、第一のAC端子及び第一ダミー端子が設けられた第二の導電体、第一のAC端子及び一つの前記第二のAC端子に接続された第三ダミー端子が設けられた第三の導電体、第一のAC端子及び第二ダミー端子が設けられた第四の導電体、3組の第一の制御端子、3組の第二の制御端子、第一のP端子、及び第二のP端子である複数の枠内端子、及び枠状のフレームを有し、前記枠内端子が前記フレームの内側に配置され、前記枠内端子が前記フレームと一体形成されたリードフレームと、を準備する部材準備工程と、
前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板を、前記第一の導電板と同一平面上に、前記第一の導電板の前記第二方向の一方側に間隔を空けて配置し、前記第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べ、3個の前記第一のスイッチング素子を、前記第一の導電板の一方の面上に前記第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べて、3個の前記第一のスイッチング素子の他方の面を前記第一の導電板の一方の面に接続し、3個の前記第二のスイッチング素子の他方の面のそれぞれを、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板のそれぞれの一方の面に接続する第一接続工程と、
前記第一の導電板、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板が、前記フレームの内側に収まるように前記リードフレームを移動し、前記第一の導電板よりも前記第二方向の他方側に3個の前記第一のAC端子のそれぞれが延出し、前記第一の導電板よりも前記第一方向の一方側に前記第一ダミー端子が延出し、前記第一の導電板よりも前記第一方向の他方側に前記第二ダミー端子が延出し、前記第三の導電板と前記第四の導電板との間を通って、前記第二方向の一方側に前記第三ダミー端子が延出するように配置した状態で、前記第二の導電体の他方の面と前記第一方向の一方側に配置された前記第一のスイッチング素子の一方の面とを接続し、前記第三の導電体の他方の面と前記第一方向の中央に配置された前記第一のスイッチング素子の一方の面とを接続し、前記第四の導電体の他方の面と前記第一方向の他方側に配置された前記第一のスイッチング素子の一方の面とを接続し、前記第二の導電体の前記第二方向の一方側に延出した部分の端部と前記第二の導電板の前記第二方向の他方側の一方の面とを接続し、前記第三の導電体の前記第二方向の一方側に延出した部分の端部と前記第三の導電板の前記第二方向の他方側の一方の面とを接続し、前記第四の導電体の前記第二方向の一方側に延出した部分の端部と前記第四の導電板の前記第二方向の他方側の一方の面とを接続し、前記第一の導電板よりも前記第一方向の一方側に前記第一のP端子が延出するように配置した状態で、前記第一のP端子を前記第一の導電板の前記第一方向の一方側の一方の面に接続し、前記第一の導電板よりも前記第一方向の他方側に前記第二のP端子が延出するように配置した状態で、前記第二のP端子を前記第一の導電板の前記第一方向の他方側の一方の面に接続し、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板よりも前記第二方向の一方側に、3個の前記第二のAC端子が延出するように配置した状態で、3個の前記第二のAC端子のそれぞれの前記第二方向の他方側の端部を、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板のそれぞれの前記第二方向の一方側の一方の面に接続し、前記第一の導電板の前記第二方向の他方側に間隔を空けて3組の前記第一の制御端子のそれぞれを配置した状態で、3個の前記第一のスイッチング素子のそれぞれに3組の前記第一の制御端子のそれぞれを接続し、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板のそれぞれの前記第二方向の一方側に間隔を空けて3組の前記第二の制御端子のそれぞれを配置した状態で、3個の前記第二のスイッチング素子のそれぞれに3組の前記第二の制御端子のそれぞれを接続する第二接続工程と、
前記第一の導電体を前記第一方向に延出するように、3個の前記第二のスイッチング素子の上に配置し、前記第一の導電体から前記第二の導電板よりも前記第一方向の一方側に前記第一のN端子が延出し、前記第一の導電体から前記第四の導電板よりも前記第一方向の他方側に前記第二のN端子が延出するように配置した状態で、前記第一の導電体の他方の面と3個の前記第二のスイッチング素子のそれぞれの一方の面とを接続する第三接続工程と、
前記第一ダミー端子、前記第二ダミー端子、前記第一の制御端子、前記第二の制御端子、前記第一のAC端子、前記第二のAC端子、前記第一のN端子、前記第二のN端子、前記第一のP端子、及び前記第二のP端子の端部を露出させた状態で、前記第一の導電板、前記第二の導電板、前記第三の導電板、前記第四の導電板、前記第一のスイッチング素子、前記第二のスイッチング素子、前記第一の導電体、前記第二の導電体、前記第三の導電体、及び前記第四の導電体を樹脂部材により封止する封止工程と、
前記第一ダミー端子、前記第二ダミー端子、前記第一の制御端子、前記第二の制御端子、前記第一のAC端子、前記第二のAC端子、前記第一のP端子、及び前記第二のP端子の前記フレームの側の部分を切断する切断工程と、を備えた半導体装置の製造方法。
【請求項9】
第一方向の幅よりも前記第一方向に直交する第二方向の幅が短い板状に形成された第一の導電板と、第二の導電板と、第三の導電板と、第四の導電板と、3個の第一のスイッチング素子と、3個の第二のスイッチング素子と、一つの方向に延出した第一の導電体と、3個の第二のAC端子、第一のAC端子及び第一ダミー端子が設けられた第二の導電体、第一のAC端子及び一つの前記第二のAC端子に接続された第三ダミー端子が設けられた第三の導電体、第一のAC端子及び第二ダミー端子が設けられた第四の導電体、3組の第一の制御端子、3組の第二の制御端子、第一のP端子、第二のP端子、第一のN端子、及び第二のN端子である複数の枠内端子、及び枠状のフレームを有し、前記枠内端子が前記フレームの内側に配置され、前記枠内端子が前記フレームと一体形成されたリードフレームと、を準備する部材準備工程と、
前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板を、前記第一の導電板と同一平面上に、前記第一の導電板の前記第二方向の一方側に間隔を空けて配置し、前記第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べ、3個の前記第一のスイッチング素子を、前記第一の導電板の一方の面上に前記第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べて、3個の前記第一のスイッチング素子の他方の面を前記第一の導電板の一方の面に接続し、3個の前記第二のスイッチング素子の他方の面のそれぞれを、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板のそれぞれの一方の面に接続する第一接続工程と、
前記第一の導電板、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板が、前記フレームの内側に収まるように前記リードフレームを移動し、前記第一の導電板よりも前記第二方向の他方側に3個の前記第一のAC端子のそれぞれが延出し、前記第一の導電板よりも前記第一方向の一方側に前記第一ダミー端子が延出し、前記第一の導電板よりも前記第一方向の他方側に前記第二ダミー端子が延出し、前記第三の導電板と前記第四の導電板との間を通って、前記第二方向の一方側に前記第三ダミー端子が延出するように配置した状態で、前記第二の導電体の他方の面と前記第一方向の一方側に配置された前記第一のスイッチング素子の一方の面とを接続し、前記第三の導電体の他方の面と前記第一方向の中央に配置された前記第一のスイッチング素子の一方の面とを接続し、前記第四の導電体の他方の面と前記第一方向の他方側に配置された前記第一のスイッチング素子の一方の面とを接続し、前記第二の導電体の前記第二方向の一方側に延出した部分の端部と前記第二の導電板の前記第二方向の他方側の一方の面とを接続し、前記第三の導電体の前記第二方向の一方側に延出した部分の端部と前記第三の導電板の前記第二方向の他方側の一方の面とを接続し、前記第四の導電体の前記第二方向の一方側に延出した部分の端部と前記第四の導電板の前記第二方向の他方側の一方の面とを接続し、前記第一の導電板よりも前記第一方向の一方側に前記第一のP端子が延出するように配置した状態で、前記第一のP端子を前記第一の導電板の前記第一方向の一方側の一方の面に接続し、前記第一の導電板よりも前記第一方向の他方側に前記第二のP端子が延出するように配置した状態で、前記第二のP端子を前記第一の導電板の前記第一方向の他方側の一方の面に接続し、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板よりも前記第二方向の一方側に、3個の前記第二のAC端子が延出するように配置した状態で、3個の前記第二のAC端子のそれぞれの前記第二方向の他方側の端部を、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板のそれぞれの前記第二方向の一方側の一方の面に接続し、前記第一の導電板の前記第二方向の他方側に間隔を空けて3組の前記第一の制御端子のそれぞれを配置した状態で、3個の前記第一のスイッチング素子のそれぞれに3組の前記第一の制御端子のそれぞれを接続し、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板のそれぞれの前記第二方向の一方側に間隔を空けて3組の前記第二の制御端子のそれぞれを配置した状態で、3個の前記第二のスイッチング素子のそれぞれに3組の前記第二の制御端子のそれぞれを接続する第二接続工程と、
前記第一の導電体を前記第一方向に延出するように、3個の前記第二のスイッチング素子の上に配置し、前記第二の導電板よりも前記第一方向の一方側に前記第一のN端子が延出し、前記第四の導電板よりも前記第一方向の他方側に前記第二のN端子が延出するように配置した状態で、前記第一の導電体の他方の面と3個の前記第二のスイッチング素子のそれぞれの一方の面とを接続し、前記第一の導電体の前記第一方向の一方側と前記第一のN端子の前記第一方向の他方側とを接続し、前記第一の導電体の第一方向の他方側と前記第二のN端子の前記第一方向の一方側とを接続する第三接続工程と、
前記第一ダミー端子、前記第二ダミー端子、前記第一の制御端子、前記第二の制御端子、前記第一のAC端子、前記第二のAC端子、前記第一のN端子、前記第二のN端子、前記第一のP端子、及び前記第二のP端子の端部を露出させた状態で、前記第一の導電板、前記第二の導電板、前記第三の導電板、前記第四の導電板、前記第一のスイッチング素子、前記第二のスイッチング素子、前記第一の導電体、前記第二の導電体、前記第三の導電体、及び前記第四の導電体を樹脂部材により封止する封止工程と、
前記第一ダミー端子、前記第二ダミー端子、前記第一の制御端子、前記第二の制御端子、前記第一のAC端子、前記第二のAC端子、前記第一のP端子、前記第二のP端子、前記第一のN端子、及び前記第二のN端子の前記フレームの側の部分を切断する切断工程と、を備えた半導体装置の製造方法。
【請求項10】
第一方向の幅よりも前記第一方向に直交する第二方向の幅が短い板状に形成された第一の導電板と、第二の導電板と、第三の導電板と、第四の導電板と、3個の第一のスイッチング素子と、3個の第二のスイッチング素子と、一つの方向に延出し、一方の端部にN端子が設けられた第一の導電体と、3個の第二のAC端子、第一のAC端子及び第一ダミー端子が設けられた第二の導電体、第一のAC端子及び一つの前記第二のAC端子に接続された第三ダミー端子が設けられた第三の導電体、第一のAC端子及び第二ダミー端子が設けられた第四の導電体、3組の第一の制御端子、3組の第二の制御端子、及びP端子である複数の枠内端子、及び枠状のフレームを有し、前記枠内端子が前記フレームの内側に配置され、前記枠内端子が前記フレームと一体形成されたリードフレームと、を準備する部材準備工程と、
前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板を、前記第一の導電板と同一平面上に、前記第一の導電板の前記第二方向の一方側に間隔を空けて配置し、前記第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べ、3個の前記第一のスイッチング素子を、前記第一の導電板の一方の面上に前記第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べて、3個の前記第一のスイッチング素子の他方の面を前記第一の導電板の一方の面に接続し、3個の前記第二のスイッチング素子の他方の面のそれぞれを、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板のそれぞれの一方の面に接続する第一接続工程と、
前記第一の導電板、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板が、前記フレームの内側に収まるように前記リードフレームを移動し、前記第一の導電板よりも前記第二方向の他方側に3個の前記第一のAC端子のそれぞれが延出し、前記第一の導電板よりも前記第一方向の一方側に前記第一ダミー端子が延出し、前記第一の導電板よりも前記第一方向の他方側に前記第二ダミー端子が延出し、前記第三の導電板と前記第四の導電板との間を通って、前記第二方向の一方側に前記第三ダミー端子が延出するように配置した状態で、前記第二の導電体の他方の面と前記第一方向の一方側に配置された前記第一のスイッチング素子の一方の面とを接続し、前記第三の導電体の他方の面と前記第一方向の中央に配置された前記第一のスイッチング素子の一方の面とを接続し、前記第四の導電体の他方の面と前記第一方向の他方側に配置された前記第一のスイッチング素子の一方の面とを接続し、前記第二の導電体の前記第二方向の一方側に延出した部分の端部と前記第二の導電板の前記第二方向の他方側の一方の面とを接続し、前記第三の導電体の前記第二方向の一方側に延出した部分の端部と前記第三の導電板の前記第二方向の他方側の一方の面とを接続し、前記第四の導電体の前記第二方向の一方側に延出した部分の端部と前記第四の導電板の前記第二方向の他方側の一方の面とを接続し、前記第一の導電板よりも前記第一方向の一方側に前記P端子が延出するように配置した状態で、前記P端子を前記第一の導電板の前記第一方向の一方側の一方の面に接続し、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板よりも前記第二方向の一方側に、3個の前記第二のAC端子が延出するように配置した状態で、3個の前記第二のAC端子のそれぞれの前記第二方向の他方側の端部を、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板のそれぞれの前記第二方向の一方側の一方の面に接続し、前記第一の導電板の前記第二方向の他方側に間隔を空けて3組の前記第一の制御端子のそれぞれを配置した状態で、3個の前記第一のスイッチング素子のそれぞれに3組の前記第一の制御端子のそれぞれを接続し、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板のそれぞれの前記第二方向の一方側に間隔を空けて3組の前記第二の制御端子のそれぞれを配置した状態で、3個の前記第二のスイッチング素子のそれぞれに3組の前記第二の制御端子のそれぞれを接続する第二接続工程と、
前記第一の導電体を前記第一方向に延出するように、3個の前記第二のスイッチング素子の上に配置し、前記第一の導電体から前記第二の導電板よりも前記第一方向の一方側に前記N端子が延出するように配置した状態で、前記第一の導電体の他方の面と3個の前記第二のスイッチング素子のそれぞれの一方の面とを接続する第三接続工程と、
前記第一ダミー端子、前記第二ダミー端子、前記第一の制御端子、前記第二の制御端子、前記第一のAC端子、前記第二のAC端子、前記N端子、及び前記P端子の端部を露出させた状態で、前記第一の導電板、前記第二の導電板、前記第三の導電板、前記第四の導電板、前記第一のスイッチング素子、前記第二のスイッチング素子、前記第一の導電体、前記第二の導電体、前記第三の導電体、及び前記第四の導電体を樹脂部材により封止する封止工程と、
前記第一ダミー端子、前記第二ダミー端子、前記第一の制御端子、前記第二の制御端子、前記第一のAC端子、前記第二のAC端子、及び前記P端子の前記フレームの側の部分を切断する切断工程と、を備えた半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、MOSFET、RC-IGBT、及びIGBTとダイオードなどのスイッチング素子を複数備えたスイッチング素子群により、n相nアームを2n個のスイッチング単位でモジュール内に収めた装置である。スイッチング素子群を1つのモジュールに内蔵するために、バスバー及び制御信号の配線がモジュール内に引き回されている。近年、大電力用のスイッチング素子を実装した半導体装置の実装工程の簡略化、小型化、及び高周波ノイズの発生源となるアーム構成のパワー主回路に寄生する一巡ループインダクタンス(以下、一巡Lsと称する)の低減が進められている。
【0003】
実装工程を簡略化した半導体装置の構成が開示されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示された構成では、一枚のリードフレームを用いて、6in1モジュールを製造している。また、一巡Lsを低減したパワーモジュールの構成が開示されている(例えば特許文献2、非特許文献1参照)。特許文献2に開示された構成では、7相7アーム30デバイスを11モジュール化し、P端子とN端子を平行に横方向、左右両端から出してモジュールの上に配置することで一巡Lsを低減している。非特許文献1では、3相6in1モジュールにおけるP端子とN端子を、短辺方向に縦に1アームごと独立させて設けることで一巡Lsを低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-89794号公報
【特許文献2】特許第6665926号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】高下卓馬ほか、RC-IGBTを搭載した車載用第3世代直接水冷型パワーモジュールの高速動作化、富士電機技報、2016、Vol.89、no.4、p.266-269
【非特許文献2】宮地幸祐ほか、集積回路の配線インダクタンスの解析モデルの測定による検証、情報処理学会研究報告、2003-SLDM-110、p.37-42
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1においては、一枚のリードフレームを用いて6in1モジュールを製造しているため、実装工程を簡略化し、装置を小型化することができる。しかしながら、製造時に、3本のAC端子、P端子、及びN端子は全て入り口しかリードフレームに固定されていないため、各端子の端部が自重で落ちてしまってはんだが不足した接合になり、はんだの強度が低下したり、はんだが溢れたり、各スイッチング素子上のはんだの量及び端子ずれを吸収できない構造なので、端子の位置ずれ及び端子の接続不良が生じるという課題があった。また、各AC端子の端部は素子上の接続を経由してLow Sideの各相のヒートスプレッダに接続され、N端子の端部は中央の素子上の接続を経由して左側の素子に接続されている。そのため、上述した素子上におけるはんだ接合の不良が散発することに加え、他の接続を経由した端部のはんだ接続のずれは矯正されず、経由する接続部における端子のずれに加えて端子のずれが広がるため、さらに端子の位置ずれ及び端子の接続不良が発生することになる。また、P端子とN端子は、非特許文献1で示された縦方向の1ペア出しであるため、一巡Lsの低減は期待できないと考えられる。
【0007】
上記特許文献2においては、P端子とN端子を平行に横方向、左右両側から出しているため、一巡Lsを低減することはできる。しかしながら、3相3アームを2組分横に並べているため、上記非特許文献1のように1アーム毎の一巡Lsの経路を縦方向に設けた縦出しの場合の長さに比べると、横配線端子間は4倍の長さがある。そのため、両端接続で寄生インダクタンスが約半分となることを考慮しても、非特許文献1の構成のおおよそ2倍の一巡Lsとなることが予測される。例えば、平行平板化の寄生相互インダクタンスにより、一巡Lsをある程度相殺することはできる。しかしながら、モジュール内の配線においては、縦方向でも横方向でもレイアウト次第で同様の効果は存在するものの、P端子及びN端子から引き出されるバスバーは、バスバー同士及び素子との絶縁と確保した上で、各素子と一か所以上接続しなければならないため、配線長さの寄生自己インダクタンスを全て相殺するほど寄生相互インダクタンスは大きくならない。
【0008】
上記非特許文献1においては、P端子とN端子を短辺方向に縦に1アームごと独立させて設けたため、一巡Lsを低減することはできる。しかしながら、2in1構造を横に並べて3相とした構造であるため、一巡Lsは1アームの主回路長の制限を受けているので、一巡Lsの低減効果が小さいという課題があった。また、P端子とN端子の反対側に、6スイッチング単位の制御信号がAC端子を挟んで長辺方向に並べられており、3つのAC端子と6スイッチング単位の制御信号群が長辺側の長さ制約となるため、半導体装置を小型化できないという課題があった。
【0009】
そこで、本願は、端子の位置ずれ及び端子の接続不良を抑制すると共に、一巡Lsを低減し、小型化した半導体装置及びその製造方法を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願に開示される半導体装置は、第一方向の幅よりも第一方向に直交する第二方向の幅が短い板状に形成された第一の導電板と、第一の導電板と同一平面上に、第一の導電板の第二方向の一方側に間隔を空けて配置され、第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べられた第二の導電板、第三の導電板、及び第四の導電板と、第一の導電板の一方の面上に、第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べられ、他方の面が第一の導電板の一方の面に接続された3個の第一のスイッチング素子と、他方の面が、第二の導電板、第三の導電板、及び第四の導電板のそれぞれの一方の面に、接続された第二のスイッチング素子の3個と、第一方向に延出し、3個の第二のスイッチング素子のそれぞれの一方の面に接続された第一の導電体と、第一方向の一方側に配置された第一のスイッチング素子の一方の面と第二の導電板の一方の面とを接続した第二の導電体と、第一方向の中央に配置された第一のスイッチング素子の一方の面と第三の導電板の一方の面とを接続した第三の導電体と、第一方向の他方側に配置された第一のスイッチング素子の一方の面と第四の導電板の一方の面とを接続した第四の導電体と、制御端子として、第一の導電板の第二方向の他方側に間隔を空けて配置され、3個の第一のスイッチング素子のそれぞれに接続された第一の制御端子の3組と、制御端子として、第二の導電板、第三の導電板、及び第四の導電板のそれぞれの第二方向の一方側に間隔を空けて配置され、3個の第二のスイッチング素子のそれぞれに接続された第二の制御端子の3組と、AC端子として、第二の導電板、第三の導電板、及び第四の導電板のそれぞれの第二方向の一方側の一方の面に接続され、第二の導電板、第三の導電板、及び第四の導電板よりも第二方向の一方側に延出した第二のAC端子の3個と、AC端子として、第二の導電体、第三の導電体、及び第四の導電体のそれぞれから第一の導電板よりも第二方向の他方側に延出した第一のAC端子の3個と、N端子として、第一の導電体から第二の導電板よりも第一方向の一方側に延出した第一のN端子、及び第一の導電体から第四の導電板よりも第一方向の他方側に延出した第二のN端子の一方または双方と、P端子として、第一の導電板の第一方向の一方側の一方の面に接続され、第一の導電板よりも第一方向の一方側に延出した第一のP端子、及び第一の導電板の第一方向の他方側の一方の面に接続され、第一の導電板よりも第一方向の他方側に延出した第二のP端子の一方または双方と、第二の導電体から、第一の導電板よりも第一方向の一方側に延出した第一ダミー端子と、第四の導電体から、第一の導電板よりも第一方向の他方側に延出した第二ダミー端子と、第三の導電体から、第三の導電板と第四の導電板との間を通って、第二方向の一方側に延出し、第三の導電板に接続された第二のAC端子に接続された第三ダミー端子と、を備え、第一ダミー端子、第二ダミー端子、第一の制御端子、第二の制御端子、第一のAC端子、第二のAC端子、N端子、及びP端子の端部を露出させた状態で、第一の導電板、第二の導電板、第三の導電板、第四の導電板、第一のスイッチング素子、第二のスイッチング素子、第一の導電体、第二の導電体、第三の導電体、及び第四の導電体が樹脂部材により封止されているものである。
【0011】
本願に開示される半導体装置の製造方法は、第一方向の幅よりも第一方向に直交する第二方向の幅が短い板状に形成された第一の導電板と、第二の導電板と、第三の導電板と、第四の導電板と、3個の第一のスイッチング素子と、3個の第二のスイッチング素子と、一つの方向に延出し、一方の端部に第一のN端子、他方の端部に第二のN端子が設けられた第一の導電体と、3個の第二のAC端子、第一のAC端子及び第一ダミー端子が設けられた第二の導電体、第一のAC端子及び第二のAC端子に接続された第三ダミー端子が設けられた第三の導電体、第一のAC端子及び第二ダミー端子が設けられた第四の導電体、3組の第一の制御端子、3組の第二の制御端子、第一のP端子、及び第二のP端子である複数の枠内端子、及び枠状のフレームを有し、枠内端子がフレームの内側に配置され、枠内端子がフレームと一体形成されたリードフレームと、を準備する部材準備工程と、第二の導電板、第三の導電板、及び第四の導電板を、第一の導電板と同一平面上に、第一の導電板の第二方向の一方側に間隔を空けて配置し、第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べ、3個の第一のスイッチング素子を、第一の導電板の一方の面上に第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べて、3個の第一のスイッチング素子の他方の面を第一の導電板の一方の面に接続し、3個の第二のスイッチング素子の他方の面のそれぞれを、第二の導電板、第三の導電板、及び第四の導電板のそれぞれの一方の面に接続する第一接続工程と、第一の導電板、第二の導電板、第三の導電板、及び第四の導電板が、フレームの内側に収まるようにリードフレームを移動し、第一の導電板よりも第二方向の他方側に3個の第一のAC端子のそれぞれが延出し、第一の導電板よりも第一方向の一方側に第一ダミー端子が延出し、第一の導電板よりも第一方向の他方側に第二ダミー端子が延出し、第三の導電板と第四の導電板との間を通って、第二方向の一方側に第三ダミー端子が延出するように配置した状態で、第二の導電体の他方の面と第一方向の一方側に配置された第一のスイッチング素子の一方の面とを接続し、第三の導電体の他方の面と第一方向の中央に配置された第一のスイッチング素子の一方の面とを接続し、第四の導電体の他方の面と第一方向の他方側に配置された第一のスイッチング素子の一方の面とを接続し、第二の導電体の第二方向の一方側に延出した部分の端部と第二の導電板の第二方向の他方側の一方の面とを接続し、第三の導電体の第二方向の一方側に延出した部分の端部と第三の導電板の第二方向の他方側の一方の面とを接続し、第四の導電体の第二方向の一方側に延出した部分の端部と第四の導電板の第二方向の他方側の一方の面とを接続し、第一の導電板よりも第一方向の一方側に第一のP端子が延出するように配置した状態で、第一のP端子を第一の導電板の第一方向の一方側の一方の面に接続し、第一の導電板よりも第一方向の他方側に第二のP端子が延出するように配置した状態で、第二のP端子を第一の導電板の第一方向の他方側の一方の面に接続し、第二の導電板、第三の導電板、及び第四の導電板よりも第二方向の一方側に、3個の第二のAC端子が延出するように配置した状態で、3個の第二のAC端子のそれぞれの第二方向の他方側の端部を、第二の導電板、第三の導電板、及び第四の導電板のそれぞれの第二方向の一方側の一方の面に接続し、第一の導電板の第二方向の他方側に間隔を空けて3組の第一の制御端子のそれぞれを配置した状態で、3個の第一のスイッチング素子のそれぞれに3組の第一の制御端子のそれぞれを接続し、第二の導電板、第三の導電板、及び第四の導電板のそれぞれの第二方向の一方側に間隔を空けて3組の第二の制御端子のそれぞれを配置した状態で、3個の第二のスイッチング素子のそれぞれに3組の第二の制御端子のそれぞれを接続する第二接続工程と、第一の導電体を第一方向に延出するように、3個の第二のスイッチング素子の上に配置し、第一の導電体から第二の導電板よりも第一方向の一方側に第一のN端子が延出し、第一の導電体から第四の導電板よりも第一方向の他方側に第二のN端子が延出するように配置した状態で、第一の導電体の他方の面と3個の第二のスイッチング素子のそれぞれの一方の面とを接続する第三接続工程と、第一ダミー端子、第二ダミー端子、第一の制御端子、第二の制御端子、第一のAC端子、第二のAC端子、第一のN端子、第二のN端子、第一のP端子、及び第二のP端子の端部を露出させた状態で、第一の導電板、第二の導電板、第三の導電板、第四の導電板、第一のスイッチング素子、第二のスイッチング素子、第一の導電体、第二の導電体、第三の導電体、及び第四の導電体を樹脂部材により封止する封止工程と、第一ダミー端子、第二ダミー端子、第一の制御端子、第二の制御端子、第一のAC端子、第二のAC端子、第一のP端子、及び第二のP端子のフレームの側の部分を切断する切断工程とを備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本願に開示される半導体装置によれば、第一ダミー端子、第二ダミー端子、及び第三ダミー端子を備え、第一ダミー端子、第二ダミー端子、第一の制御端子、第二の制御端子、第一のAC端子、第二のAC端子、N端子、及びP端子の端部を露出させた状態で、第一の導電板、第二の導電板、第三の導電板、第四の導電板、第一のスイッチング素子、第二のスイッチング素子、第一の導電体、第二の導電体、第三の導電体、及び第四の導電体が樹脂部材により封止されているため、第二の導電体、第三の導電体、及び第四の導電体のそれぞれが、製造時に、自重により端部がスイッチング素子の側に垂れることがないので、スイッチング素子に接続される端子である第二の導電体、第三の導電体、及び第四の導電体の位置ずれを抑制することができる。また、第二の導電体、第三の導電体、及び第四の導電体の端部が自重によりスイッチング素子の側に垂れないため、はんだのようなろう付け手段でスイッチング素子と接続する際に、はんだボイド、はんだ不足、及びはんだ溢れを抑制されるので、スイッチング素子に接続される端子である第二の導電体、第三の導電体、及び第四の導電体の接続不良を抑制することができる。また、P端子及びN端子の双方が第一方向の絶縁部材から露出して設けられているため、一巡Lsを低減させることができる。また、半導体装置の第一方向の長さは、3個のAC端子と3組の制御端子で決定されるため、3つのAC端子と6スイッチング単位の制御信号群が長辺側に配置されている従来例と比較して、3組分の制御端子の長さが減るので、半導体装置を小型化することができる。
【0013】
本願に開示される半導体装置の製造方法によれば、第二の導電体、第三の導電体、及び第四の導電体のそれぞれは、少なくとも2箇所でフレームに連結されているため、第二の導電体、第三の導電体、及び第四の導電体のそれぞれは、フレームに連結されている製造時に、自重により端部がスイッチング素子の側に垂れることがないので、スイッチング素子に接続される端子である第二の導電体、第三の導電体、及び第四の導電体の位置ずれを抑制することができる。また、第二の導電体、第三の導電体、及び第四の導電体の端部が自重によりスイッチング素子の側に垂れないため、はんだのようなろう付け手段でスイッチング素子と接続する際に、はんだボイド、はんだ不足、及びはんだ溢れが抑制されるので、スイッチング素子に接続される端子である第二の導電体、第三の導電体、及び第四の導電体の接続不良を抑制することができる。また、P端子及びN端子の双方が第一方向の絶縁部材から露出して設けられているため、一巡Lsを低減させることができる。また、半導体装置の第一方向の長さは、3個のAC端子と3組の制御端子で決定されるため、3つのAC端子と6スイッチング単位の制御信号群が長辺側に配置されている従来例と比較して、3組分の制御端子の長さが減るので、半導体装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る半導体装置の概略を示す平面図である。
図2】実施の形態1に係る半導体装置のリードフレームのレイアウトを示す図である。
図3】実施の形態1に係る半導体装置と比較例の配線パタン種別を示す図である。
図4】実施の形態1に係る半導体装置と比較例の寄生インダクタンス係数を示す図である。
図5】実施の形態1に係る半導体装置と比較例の一巡Lsを比較して説明する図である。
図6】実施の形態1に係る半導体装置とコンデンサモジュールの接続形態を説明する図である。
図7】実施の形態1に係る半導体装置と比較例の解析に用いた3Dモデルデータを示す図である。
図8】実施の形態1に係る半導体装置と比較例の解析結果を示す図である。
図9】実施の形態1に係る半導体装置の製造工程を示す図である。
図10】実施の形態1に係る別の半導体装置の概略を示す平面図である。
図11】実施の形態1に係る別の半導体装置の概略を示す平面図である。
図12】実施の形態1に係る別の半導体装置の概略を示す平面図である。
図13】実施の形態2に係る半導体装置の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願の実施の形態による半導体装置及びその製造方法を図に基づいて説明する。なお、各図において同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
【0016】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る半導体装置100の概略を示す平面図で、樹脂部材90は外形のみを示し、各導電体を透過させて示した図、図2は半導体装置100のリードフレーム1のレイアウトを示す図で、各スイッチング素子と各導電板のレイアウト形態を示した図、図3は半導体装置100と比較例の配線パタン種別を示す図、図4は半導体装置100と比較例の寄生インダクタンス係数を示す図、図5は半導体装置100と比較例の一巡Lsを比較して説明する図、図6は半導体装置100とコンデンサモジュール91の接続形態を説明する図、図7は半導体装置100と比較例の解析に用いた3Dモデルデータを示す図、図8は半導体装置100と比較例の解析結果を示す図、図9は半導体装置100の製造工程を示す図である。半導体装置100は、例えば、入力電流を直流から交流、交流から直流、または入力電圧を異なる電圧に変換する装置である。
【0017】
<半導体装置100>
本願で開示する半導体装置はn相nアームに関する技術であるが、汎用性が最も高い3相3アームの構成を有した半導体装置100で説明する。3相3アームを、MOSFET、RC-IGBT、及びIGBTとダイオードなどのスイッチング素子を複数備えたスイッチング素子群により、6つのスイッチング単位で構成し、1つの半導体装置100に3相3アームを内蔵する。3相3アームを1つの半導体装置100に内蔵し、パワー密度を上げて半導体装置100を小型化することで、高周波ノイズの発生源となるアーム構成のパワー主回路に寄生する一巡ループインダクタンス(以下、一巡Lsと称する)を低減すると共に、半導体装置100を構成する樹脂部材、導電板、及びリードフレームの部材を量的に削減することで半導体装置100は低コスト化される。
【0018】
半導体装置100の構成について説明する。半導体装置100は、図1に示すように、ヒートスプレッダである第一の導電板21、第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24を有する。ヒートスプレッダは、銅などの導電性に優れた金属材料から作製される。第一の導電板21は、第一方向の幅よりも第一方向に直交する第二方向の幅が短い板状に形成される。図において、第一方向を矢印Xとし、第一方向の一方側をX1、第一方向の他方側をX2で示す。また、第二方向を矢印Yとし、第二方向の一方側をY1、第二方向の他方側をY2で示す。第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24は、第一の導電板21と同一平面上に、第一の導電板21の第二方向の一方側に間隔を空けて配置され、第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べられる。本実施の形態では、第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24のそれぞれの第一方向の長さ及び第二方向の長さは同等である。
【0019】
半導体装置100は、3個の第一のスイッチング素子と3個の第二のスイッチング素子を有する。第一のスイッチング素子42と第二のスイッチング素子52とからW相が形成され、第一のスイッチング素子43と第二のスイッチング素子53とからV相が形成され、第一のスイッチング素子44と第二のスイッチング素子54とからU相が形成される。第一のスイッチング素子42、43、44は、第一の導電板21の一方の面上に、第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べられ、他方の面が第一の導電板21の一方の面に接続される。第一のスイッチング素子42、43、44は、第一の導電板21を第一方向に3分割したそれぞれの部分の、中央近傍に設けられる。このように配置するのは、それぞれの素子の放熱性を高めるためである。第二のスイッチング素子52、53、54は、他方の面が、第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24のそれぞれの一方の面に接続される。第二のスイッチング素子52、53、54は、第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24のそれぞれの中央近傍に設けられる。このように配置するのは、それぞれの素子の放熱性を高めるためである。これらのスイッチング素子とヒートスプレッダとの接続には、例えば、はんだが用いられる。
【0020】
第一のスイッチング素子42、43、44及び第二のスイッチング素子52、53、54のそれぞれは、シリコン半導体素子またはワイドバンドギャップ半導体素子から形成された、電力制御用半導体素子であるRC-IGBT(逆導通IGBT、Reverse Conducting IGBT)またはMOSFET(金属酸化膜型電界効果トランジスタ、Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)の1個の素子で構成されている。本実施の形態では、RC-IGBTを用いている。このように構成することで、第一のスイッチング素子42、43、44及び第二のスイッチング素子52、53、54のそれぞれが、1つの素子で設けられるため、半導体装置100を小型化することができる。また、ワイドバンドギャップ半導体素子を用いた場合、スイッチングする際に生じる電流の時間変化量di/dtをケイ素により形成された素子より大きくすることができる。また、ワイドバンドギャップ半導体素子はオン抵抗が小さく、許容電流密度が高く、電力損失が低く、発熱が小さいので、チップ面積を低減することができる。チップ面積が低減されるので、半導体装置100を小型化することができる。
【0021】
第一のスイッチング素子42、43、44及び第二のスイッチング素子52、53、54の構成はこれに限るものではない。図10に示すように、シリコン半導体素子またはワイドバンドギャップ半導体素子から形成された、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ、Insulated Gate Bipolar Transistor)及びダイオードを含む複数の素子で構成されていても構わない。図10は、実施の形態1に係る別の半導体装置100の概略を示す平面図で、樹脂部材90を取り除いて示した図である。第一のスイッチング素子42は、IGBT421とダイオード422とから構成されている。このように構成することで、スイッチング素子の何れかが不良品であった場合、片方の素子のみを取り換えればよいため、半導体装置100の生産性を向上させることができる。本実施の形態では、スイッチング素子を構成するそれぞれの素子を第一方向に並べて配置しているがこれに限るものではなく、第二方向に並べて配置しても構わない。また、さらに複数の素子からスイッチング素子を構成しても構わない。
【0022】
半導体装置100は、第一の導電体11と、N端子として第一のN端子651及び第二のN端子652の一方または双方とを備える。リードフレームである第一の導電体11は、第一方向に延出し、第二のスイッチング素子52、53、54のそれぞれの一方の面に接続される。第一のN端子651は、第一の導電体11から第二の導電板22よりも第一方向の一方側に延出する。第二のN端子652は、第一の導電体11から第四の導電板24よりも第一方向の他方側に延出する。本実施の形態における図1に示した構成(左右両側横出し構成)では、半導体装置100は、第一のN端子651及び第二のN端子652の双方を備える。半導体装置100は、図5の下の図に示すように、第一のN端子651のみを備えた構成(片側横出し構成)でも構わない。第一の導電体11は、後述する第三ダミー端子331及び第四ダミー端子322との接触を避けるために、図1に示すように、第二のスイッチング素子52、53、54の側とは反対側に突出した突出部11a、11bを有する。
【0023】
リードフレーム1の構成を、図2を用いて説明する。リードフレーム1は、複数の枠内端子、及び枠状のフレーム1aを有する。枠内端子がフレーム1aの内側に配置され、枠内端子がフレーム1aと一体形成されている。複数の枠内端子は、第二のAC端子622、632、642、第一のAC端子621及び第一ダミー端子321及び第二のAC端子622に接続された第四ダミー端子322が設けられた第二の導電体32、第一のAC端子631及び第二のAC端子632に接続された第三ダミー端子331が設けられた第三の導電体33、第一のAC端子641及び第二ダミー端子341が設けられた第四の導電体34、3組の第一の制御端子7a、7b、7c、3組の第二の制御端子8a、8b、8c、第一のP端子611、第二のP端子612、第一のN端子651、及び第二のN端子652である。本実施の形態では、第一の導電体11に第一のN端子651及び第二のN端子652が設けられているため、枠内端子としての第一のN端子651及び第二のN端子652は設けなくても構わない。第一の導電体11に第一のN端子651及び第二のN端子652が設けられていない場合、枠内端子としての第一のN端子651及び第二のN端子652を設け、第一のN端子651及び第二のN端子652と第一の導電体11とが接続される。
【0024】
フレーム1aの内側における複数の枠内端子の配置と、複数の枠内端子の詳細について説明する。第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34は、第二方向の他方側に第一方向に並べて配置される。第二の導電体32は、第一方向の一方側に配置された第一のスイッチング素子42の一方の面と第二の導電板22の一方の面とを接続する。第三の導電体33は、第一方向の中央に配置された第一のスイッチング素子43の一方の面と第三の導電板23の一方の面とを接続する。第四の導電体34は、第一方向の他方側に配置された第一のスイッチング素子44の一方の面と第四の導電板24の一方の面とを接続する。AC端子としての、第一のAC端子621、631、641は、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34のそれぞれから第一の導電板21よりも第二方向の他方側に延出する。第一ダミー端子321は、第二の導電体32から、第一の導電板21よりも第一方向の一方側に延出する。第二ダミー端子341は、第四の導電体34から、第一の導電板21よりも第一方向の他方側に延出する。第二の導電体32は、第二の導電体32に設けた第一のAC端子621と第一ダミー端子321のそれぞれの端部でフレーム1aに連結される。第三の導電体33は、第三の導電体33に設けた第一のAC端子631の端部でフレーム1aに連結される。第四の導電体34は、第四の導電体34に設けた第一のAC端子641と第二ダミー端子341のそれぞれの端部でフレーム1aに連結される。
【0025】
枠内端子であるP端子として、半導体装置100は、第一のP端子611及び第二のP端子612の一方または双方を備える。図1に示した半導体装置100は、第一のP端子611及び第二のP端子612の双方を備える。半導体装置100は、図5の下の図に示すように、第一のP端子611のみを備えた構成でも構わない。第一のP端子611は、図2に示すように、第一の導電板21の第一方向の一方側の一方の面に接続され、第一の導電板21よりも第一方向の一方側に延出する。第二のP端子612は、第一の導電板21の第一方向の他方側の一方の面に接続され、第一の導電板21よりも第一方向の他方側に延出する。第一のP端子611及び第一のN端子651は、第一方向の一方側の端部でフレーム1aに連結される。第二のP端子612及び第二のN端子652は、第一方向の他方側の端部でフレーム1aに連結される。P端子及びN端子は、外部で電源に接続される電源端子である。
【0026】
枠内端子である制御端子として、半導体装置100は、図1に示すように、3組の第一の制御端子7a、7b、7cと3組の第二の制御端子8a、8b、8cを備える。第一の制御端子7a、7b、7cは、第一の導電板21の第二方向の他方側に間隔を空けて配置され、3個の第一のスイッチング素子42、43、44のそれぞれに接続される。第二の制御端子8a、8b、8cは、第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24のそれぞれの第二方向の一方側に間隔を空けて配置され、3個の第二のスイッチング素子52、53、54のそれぞれに接続される。本実施の形態では、一つの組の制御端子数は4個であるが、制御端子の数はこれに限るものではない。第一の制御端子7a、7b、7cは、図2に示すように、第二方向の他方側の端部でフレーム1aに連結され、第二の制御端子8a、8b、8cは、第二方向の一方側の端部でフレーム1aに連結される。制御端子とスイッチング素子とは、例えば、ワイヤボンディングにより接続される。
【0027】
枠内端子であるAC端子として、半導体装置100は、3個の第二のAC端子622、632、642を備える。第二のAC端子622、632、642は、第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24のそれぞれの第二方向の一方側の一方の面に接続され、第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24よりも第二方向の一方側に延出する。第二のAC端子622、632、642は、第二方向の一方側の端部でフレーム1aに連結される。半導体装置100は、第一のAC端子と第二のAC端子の双方を備えているが、どちらを選択して使用しても構わない。
【0028】
枠内端子であるダミー端子として、半導体装置100は、第三ダミー端子331と第四ダミー端子322を備える。第三ダミー端子331は、第三の導電体33から、第三の導電板23と第四の導電板24との間を通って、第二方向の一方側に延出し、第三の導電板23に接続された第二のAC端子632に接続される。第四ダミー端子322は、第二の導電体32から、第二の導電板22と第三の導電板23との間を通って、第二方向の一方側に延出し、第二の導電板22に接続された第二のAC端子622に接続される。
【0029】
リードフレーム1は、さらにダミー接続部81、82を有する。ダミー接続部81は、図2において、第一の導電板21の第二方向の他方側で、第一の制御端子7a、7b、7c及び第一のAC端子621、631、641を、第一方向に連結する。ダミー接続部81は、第一方向の一方側及び他方側において、フレーム1aに連結される。ダミー接続部82は、図2において、第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24の第二方向の一方側で、第二の制御端子8a、8b、8c及び第二のAC端子622、632、642を、第一方向に連結する。ダミー接続部82は、第一方向の一方側及び他方側において、フレーム1aに連結される。
【0030】
<ダミー端子とダミー接続部>
ダミー端子とダミー接続部を設けた効果について説明する。第二の導電体32は、第一のAC端子621と第一ダミー端子321と第四ダミー端子322を介した第二のAC端子622の3箇所でフレーム1aに連結される。第三の導電体33は、第一のAC端子631と第三ダミー端子331を介した第二のAC端子632の2箇所でフレーム1aに連結される。第四の導電体34は、第一のAC端子641と第二ダミー端子341の2箇所でフレーム1aに連結される。このように、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34のそれぞれは、少なくとも2箇所でフレーム1aに連結されている。そのため、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34のそれぞれは、フレーム1aに連結されている製造時に、自重により端部がスイッチング素子の側に垂れることがない。
【0031】
第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の端部が自重によりスイッチング素子の側に垂れないので、スイッチング素子に接続される端子である第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の位置ずれを抑制することができる。また、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の端部が自重によりスイッチング素子の側に垂れないので、はんだのようなろう付け手段でスイッチング素子と接続する際に、はんだボイド、はんだ不足、及びはんだ溢れを抑制することができる。はんだボイド、はんだ不足、及びはんだ溢れが抑制されるので、スイッチング素子に接続される端子である第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の接続不良を抑制することができる。
【0032】
第一の制御端子7a、7b、7cはダミー接続部81によりフレーム1aに連結され、第二の制御端子8a、8b、8cはダミー接続部82によりフレーム1aに連結されている。このように構成することで、第一の制御端子7a、7b、7c及び第二の制御端子8a、8b、8cをスイッチング素子に接続する際に、第一の制御端子7a、7b、7c及び第二の制御端子8a、8b、8cの位置が安定するので、容易にこれらの制御端子をスイッチング素子に接続することができる。また、第一の制御端子7a、7b、7c及び第二の制御端子8a、8b、8cとスイッチング素子との接続の不良を抑制することができる。
【0033】
各導電体の位置ずれを抑制するためには、各導電体のそれぞれとフレーム1aとは、少なくとも2箇所で連結されていればよい。そのため、図11に示すように、第二のAC端子622に接続される第四ダミー端子322は設けなくても構わない。図11は、実施の形態1に係る別の半導体装置100の概略を示す平面図で、樹脂部材90を取り除き、各導電体を透過させて示した図である。第四ダミー端子322を設けた場合、第二の導電体32の位置ずれをさらに抑制することができる
【0034】
また、ダミー端子及びダミー接続部を含む一枚のリードフレーム1において、第一の導電体11を除く全ての接続部材が構成されるので、半導体装置100の生産性を向上させることができる。また、半導体装置100を低コスト化することができる。
【0035】
また、半導体装置100の第一方向の長さは、3個のAC端子と3組の制御端子で決定される。そのため、3つのAC端子と6スイッチング単位の制御信号群が長辺側に配置されている従来例と比較して、3組分の制御端子の長さが減るので、半導体装置100を小型化することができる。
【0036】
リードフレーム1の構成と各端子の形成についてまとめる。第一ダミー端子321、第二ダミー端子341、第一の制御端子7a、7b、7c、第二の制御端子8a、8b、8c、第一のAC端子621、631、641、第二のAC端子622、632、642、及びP端子である複数の対象端子の樹脂部材90から露出した端部が、複数の対象端子の周囲を取り囲むフレーム1aと一体形成されており、フレーム1aの側の複数の対象端子の部分が、切断される切断部になっている。リードフレーム1がダミー接続部81、82を有した場合、ダミー接続部81、82に連結された各端子が独立して設けられるように切断するダミー接続部81、82の各部分も、切断部である。切断部を切断することで、図2に示した半導体装置が図1に示す半導体装置100の構成になる。リードフレーム1をこのように構成することで、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の端部が自重によりスイッチング素子の側に垂れないので、スイッチング素子に接続される端子である第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の位置ずれを抑制することができる。
【0037】
<一巡Lsの低減>
本願における一巡Lsの低減について、図5を用いて比較例との比較により説明する。本願の構成では、電源端子であるP端子及びN端子の双方が第一方向の絶縁部材から露出して設けられているため、従来の構成よりも一巡Lsを低減させることができる。ここでは、確実に一巡Lsを低減させることができる半導体装置100の寸法構成について説明する。非特許文献1に示された、3相6in1モジュールにおけるP端子とN端子を、短辺方向に縦に1アームごと独立させて設けた構成を比較例とする。比較例の構成は、同一の構成を3つ並べているため、以下、比較例の構成を2in1と称し、本願の構成を6in1と称する。本願の構成と比較例における半導体装置の第二方向の長さを同一として寄生インダクタンスの説明を行い、3Dモデルによる寄生インダクタンス抽出解析結果を提示する。
【0038】
非特許文献2に示された、断面が矩形の直線導線のインダクタンスLの計算式を式(1)に示す。
【数1】
式(1)において、直線導線の縦をa、横をb、長さをlとする。μは透磁率である。インダクタンスLには、長さlの一乗比例がかかっており、長さlが縦a、横bに比べて長くなるほど、インダクタンスLにおける長さlの比例関係は強くなる。半導体装置内の配線の幅を局所的に広く取ることよる自己インダクタンスの低減、及び配線の平行平板化による相互インダクタンスでの相殺効果により、半導体装置における一巡Lsによる寄生インダクタンスは変化し、寄生インダクタンスは小さくなる。
【0039】
半導体装置内の導電板、導電体の幅と厚みと、半導体装置内の配線の長さにて、式(1)の括弧内を計算し、これを寄生インダクタンス係数として図3図4に示す。各配線の長さに寄生インダクタンス係数を掛け、寄生インダクタンスを近似する。この近似には、配線の平行平板化による相互インダクタンスでの相殺効果は反映できていない。基本構造並びに素子配置の相対位置などが決まっていれば、相殺効果の係数化も可能であり、一定の効果があることは確認できている。しかしながら、半導体装置内においてリードフレームは引き回されており、リードフレーム同士を長い距離において平行に近接させることは困難であるため、平行平板化による相互インダクタンスでの相殺効果は省略可能であり、ここでは省略する。式(1)の括弧内を係数化し、括弧外の長さl以外は定数であるため、配線の長さと図4の係数を掛けて各部材のインダクタンス値を近似する。
【0040】
図5において、上の図が比較例の図、真ん中の図が本願における電源端子が左右両側横出しの構成の図、下の図が本願における電源端子が片側横出しの図である。比較例(2in1)における電源端子は、図5において縦方向に設けられた縦出しである。そのため、高周波ノイズの重要なファクタの寄生インダクタンスの一巡Lsの経路は、アームの縦方向になり、P端子、第一のスイッチング素子(ハイサイド側素子、図5では素子Aとする)、第二のスイッチング素子(ローサイド側素子、図5では素子Bとする)、N端子の順の経路になる。距離だけを見ると、図5の3/4縦方向長さの2倍となる。本願(6in1)の横出しでは、P端子、第一のスイッチング素子(ハイサイド側素子)、第二のスイッチング素子(ローサイド側素子)、N端子の順の経路は、電源端子が左右両側出しであるため、中央のアームにおいて最も距離が遠く、横方向長さの1/2を往復する経路になる。この経路において、電源端子の横出しでの一巡Lsを低減する条件を求める。縦出しと横出しの比較では、縦方向長さが等しい条件で、横方向長さはそれぞれの横方向長さで計算する。本願では、電源端子の左右両側横出しと片側横出しがあるが、比較ではそれぞれの構成を対象とする。縦出しの方が、トータルの横方向の長さが長くなるためである。また、左右両側横出しと片側横出しで装置の本体部分の大きさが同じでも、端子分だけ横方向の長さが異なるため、比較対象の縦出しの3相の内の1相分のそれぞれの横方向経路を3/10と3/11に変えている。
【0041】
各構成における、各経路のインダクタンスLの算出について以下に示す。
(縦出し)
・P端子から第一のスイッチング素子 k4×1/4×縦方向長さ
1/4×縦方向長さは、図5では矢印A(P端子から素子Aまでの距離)。矢印Aは矢印A1(導電板端部から素子Aの通電距離)と同等の長さである。
・第一のスイッチング素子から第二のスイッチング素子
k7×1/2×縦方向長さ+k6×(3/10または3/11)×横方向長さ
ただし、3/10は片側横出しとの比較、3/11は両側横出しとの比較で使用。片側横出しと両側横出しとでは横方向長さが異なるため、差をつけている。また、導電体の幅を変えているため、図では3/10の構成をwide、3/11の構成をnormwlとしている。1/2×縦方向長さは、図5では矢印B(素子Aと素子Bの距離)。3/10×横方向長さは、図5では矢印D(横方向の電流経路の長さ)。
・第二のスイッチング素子からN端子 k5×3/4×縦方向長さ
3/4×縦方向長さは、図5では矢印C(端部から遠い方の素子である素子Bまでの距離)。
(左右両側横出し)
・P端子から第一のスイッチング素子 k1×1/2×横方向長さ
ただし、両側の2経路。1/2×横方向長さは、図5では矢印E(P端子から中央の素子までの距離)。
・第一のスイッチング素子から第二のスイッチング素子 k3×1/2×縦方向長さ
1/2×縦方向長さは、図5では矢印F(第一のスイッチング素子から第二のスイッチング素子までの距離)。
・第二のスイッチング素子からN端子 k2×1/2×横方向長さ
ただし、両側の2経路。1/2×横方向長さは、図5では矢印E(N端子から中央の素子までの距離)。
(片側横出し)
・P端子から第一のスイッチング素子 k1×5/6×横方向長さ
5/6×横方向長さは、図5では矢印G(P端子から遠い方の第一のスイッチング素子までの距離)。
・第一のスイッチング素子から第二のスイッチング素子 k3×1/2×縦方向長さ
1/2×縦方向長さは、図5では矢印H(第一のスイッチング素子から第二のスイッチング素子までの距離)。
・第二のスイッチング素子からN端子 k2×5/6×横方向長さ
5/6×横方向長さは、図5では矢印G(P端子から遠い方の第二のスイッチング素子までの距離)。
【0042】
上述した各経路のインダクタンスLに加えて、直近に配置されたコンデンサモジュールまでのインダクタンスLが実際の経路には含まれる。本願の半導体装置に想定されるサイズは、縦方向の長さが50から60mmであり、縦方向の長さの半分は25から30mmになる。図6の上の図は、左右両側横出しの半導体装置100におけるコンデンサモジュールとの接続例を示した図で、図6の下の図は、片側横出しの半導体装置100におけるコンデンサモジュールとの接続例を示した図である。図6の上に示した接続の配線では、印加する電圧または電流で振られるとしても、間隙、配線厚み、間隙、配線厚みのそれぞれの長さを、7mm、1mm、7mm、1mmとすると、最低でも16mmが必要になる。25から30mmの長さと16mmの比の最大は1.64となる。
【0043】
左右両側横出しで、同一平面でコンデンサモジュールと接続する形態の場合、図6の上に示した配線となることから、経路上、1/2×縦方向長さ×2以上の経路として、マージンを入れて1.64を掛ける必要がある。そのため、縦方向の長さを経路から差し引く時、要求される条件として、
k8×1.64×1/2×縦方向長さ
を付加することになる。
【0044】
一巡Lsが、本願の片側横出しの構成の方が比較例よりも下がる条件を算出する。縦出しの一巡Lsは、以下の式(2)で求められる。以下、縦方向長さを縦長、横方向長さを横長と記す。
k4×1/4×縦長+k7×1/2×縦長+k6×3/10×横長+k5×3/4×縦長
・・・(2)
片側横出しの一巡Lsは、以下の式(3)で求められる。
k1×5/6×横長+k3×1/2×縦長+k2×5/6×横長 ・・・(3)
これらを条件式である式(4)に代入する。
(縦出しの一巡Ls)≧(片側横出しの一巡Ls) ・・・(4)
図3図4に示した数値を式(4)に代入して整理すると、
横長≦1.2×縦長
が得られる。横長を縦長の1.2倍以下とすることで、一巡Lsを比較例よりも確実に下げることができる。
【0045】
一巡Lsが、本願の左右両側横出しの構成の方が比較例よりも下がる条件を算出する。 縦出しの一巡Lsは、以下の式(5)で求められる。
k4×1/4×縦長+k7×1/2×縦長+k6×3/11×横長+k5×3/4×縦長
・・・(5)
左右両側横出しの一巡Lsは、コンデンサモジュールとの接続分を加え、以下の式(6)で求められる。
(k1×1/2×横長+k2×1/2×横長)×1/2+k2×1/2×横長
+(k8×1.64×1/2×縦長)×2×1/2 ・・・(6)
式(6)の2行目がコンデンサモジュールとの接続分に相当する。ただし、式(6)の1行目中ほどの1/2倍は、左右両側の2箇所出しの分配効果を考慮したものである。また、式(6)の2行目中ほどの2倍は、P端子とN端子の往復を考慮したものであり、式(6)の2行目最後の1/2倍は、左右両側の2箇所でコンデンサモジュールと接続することの分配効果を考慮したものである。これらを条件式である式(7)に代入し、
(縦出しの一巡Ls)≧(左右両側横出しの一巡Ls) ・・・(7)
図3図4に示した数値を代入して整理すると、
横長≦2.1×縦長
が得られる。横長を縦長の2.1倍以下とすることで、一巡Lsを比較例よりも確実に下げることができる。
【0046】
3Dモデルによる寄生インダクタンス抽出解析結果について説明する。図7に示した3Dモデルデータに基づいて、ANSYS社製ソフトQ3Dにより、寄生インダクタンス抽出解析を行った。図7の上の図は、右側が本願の左右両側横出しの構成、左側が左右両側横出しの比較例である縦出し構成の3Dモデルデータである。図7の下の図は、右側が本願の片側横出しの構成、左側が片側横出しの比較例である縦出し構成の3Dモデルデータである。3Dモデルデータにおいて、縦方向の長さは全て共通で、60.4mmである。横方向の長さは、左右両側横出しが73.4mm、片側横出しが65.6mmで、上の図の比較例が26.0mmである。左右両側横出しでは横長が縦長の2.1倍以下であり、片側横出しでは横長が縦長の1.2倍以下である。図8に寄生インダクタンス抽出解析結果である一巡Lsを示す。片側横出しの構成の比較対象である2in1wideと、片側横出しの構成のU相の一巡Lsがほぼ近い値になっている。本願の構成では、比較例の縦出しの構成よりも一巡Lsが低減されている。
【0047】
本願の構成では、一巡Lsが低減されているため、スイッチング時のサージ軽減と高周波ノイズを抑制することができる。また、P端子とN端子を横出しとすることで、従来の縦方向側に設けたP端子とN端子の数を減らすことができるので、半導体装置を小型化することができる。また、外部と接続するP端子とN端子の数を減らすことができるので、半導体装置の生産性を向上させることができる。また、片側横出しの構成の比較対象である2in1wideと、片側横出しの構成のU相の一巡Lsがほぼ近い値であるが、2in1wideの構成はリードフレームの幅が広く製造が困難であるので、片側横出しの構成では従来の構成よりも生産性を向上させることができる。
【0048】
本実施の形態では、左右両側横出しの構成において、第一のN端子651と第二のN端子652の双方、及び第一のP端子611と第二のP端子612の双方を備える。上述したように、第一のN端子651及び第一のP端子611の第一方向の一方側の端部と、第二のN端子652及び第二のP端子612の第一方向の他方側の端部との間の第一方向の距離を第一方向の距離とし、第二の制御端子及び第二のAC端子の第二方向の一方側の端部と、第一の制御端子及び第一のAC端子の第二方向の他方側の端部との間の第二方向の距離を第二方向の距離とし、第一方向の距離は、第二方向の距離の2.1倍以下である。このように構成することで、比較例の縦出しの構成よりも一巡Lsを確実に低減することができる。
【0049】
本実施の形態では、片側横出しの構成において、第一のN端子651及び第二のN端子652の一方と、一方のN端子と同じ第一方向の側に設けられた一方のP端子とを備える。上述したように、一方のN端子及び一方のP端子の樹脂部材から露出した第一方向の端部と、一方のN端子及び一方のP端子とは反対側の第一方向の樹脂部材の端部との間の第一方向の距離を第一方向の距離とし、第二の制御端子及び第二のAC端子の第二方向の一方側の端部と、第一の制御端子及び第一のAC端子の第二方向の他方側の端部との間の第二方向の距離を第二方向の距離とし、第一方向の距離は、第二方向の距離の1.2倍以下である。このように構成することで、比較例の縦出しの構成よりも一巡Lsを確実に低減することができる。
【0050】
<半導体装置100の製造方法>
半導体装置100の製造方法について説明する。半導体装置100の製造方法は3つに分類される。一つ目と二つ目は、左右両側横出しの構成の半導体装置100の製造方法で、三つ目は、片側横出しの構成の半導体装置100の製造方法である。一つ目と二つ目の製造方法の相違は、一つ目は第一の導電体11にN端子が設けられており、二つ目は第一の導電体11にN端子が設けられていないことである。
【0051】
まず、一つ目の半導体装置100の製造方法について説明する。半導体装置100の製造方法は、図9に示すように、部材準備工程(S11)、第一接続工程(S12)、第二接続工程(S13)、第三接続工程(S14)、封止工程(S15)、及び切断工程(S16)を備える。以下、各工程についての詳細を説明する。
【0052】
部材準備工程は、半導体装置100を構成する各部材を準備する工程である。部材準備工程において、第一方向の幅よりも第一方向に直交する第二方向の幅が短い板状に形成された第一の導電板21と、第二の導電板22と、第三の導電板23と、第四の導電板24と、3個の第一のスイッチング素子42、43、44と、3個の第二のスイッチング素子52、53、54と、一つの方向に延出し、一方の端部に第一のN端子651、他方の端部に第二のN端子652が設けられた第一の導電体11と、リードフレーム1とを準備する。リードフレーム1は、3個の第二のAC端子622、632、642、第一のAC端子621及び第一ダミー端子321が設けられた第二の導電体32、第一のAC端子631及び一つの第二のAC端子632に接続された第三ダミー端子331が設けられた第三の導電体33、第一のAC端子641及び第二ダミー端子341が設けられた第四の導電体34、3組の第一の制御端子7a、7b、7c、3組の第二の制御端子8a、8b、8c、第一のP端子611、及び第二のP端子612である複数の枠内端子と、枠状のフレーム1aとを有する。枠内端子がフレーム1aの内側に配置され、枠内端子がフレーム1aと一体形成されている。
【0053】
第一接続工程は、第一のスイッチング素子42、43、44と、第二のスイッチング素子52、53、54のそれぞれのコレクタ電極と各導電板とを接続する工程である。最初に、第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24を、第一の導電板21と同一平面上に、第一の導電板21の第二方向の一方側に間隔を空けて配置し、第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べる。次に、3個の第一のスイッチング素子42、43、44を、第一の導電板21の一方の面上に第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べる。次に、3個の第一のスイッチング素子42、43、44の他方の面であるコレクタ電極を第一の導電板21の一方の面に接続する。次に、3個の第二のスイッチング素子52、53、54の他方の面であるコレクタ電極のそれぞれを、第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24のそれぞれの一方の面に接続する。
【0054】
第二接続工程は、第一のスイッチング素子42、43、44のそれぞれのエミッタ電極、リードフレーム1、及び各導電板のそれぞれの間の特定の箇所を主に接続する工程である。最初に、第一の導電板21、第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24が、フレーム1aの内側に収まるように、リードフレーム1を移動する。
【0055】
次に、リードフレーム1を精度よく配置した状態で、各箇所を接続する。配置と接続について順に説明するが、リードフレーム1の配置は最初に同時に行われる。また、各箇所の接続についても、同じ材料により接続する箇所などは同時に行って構わない。
【0056】
リードフレーム1を、第一の導電板21よりも第二方向の他方側に3個の第一のAC端子621、631、641のそれぞれが延出し、第一の導電板21よりも第一方向の一方側に第一ダミー端子321が延出し、第一の導電板21よりも第一方向の他方側に第二ダミー端子341が延出し、第三の導電板23と第四の導電板24との間を通って、第二方向の一方側に第三ダミー端子331が延出するように配置した状態にする。次に、第二の導電体32の他方の面と第一方向の一方側に配置された第一のスイッチング素子42の一方の面とを接続し、第三の導電体33の他方の面と第一方向の中央に配置された第一のスイッチング素子43の一方の面とを接続し、第四の導電体34の他方の面と第一方向の他方側に配置された第一のスイッチング素子44の一方の面とを接続する。同時に、第二の導電体32の第二方向の一方側に延出した部分の端部と第二の導電板22の第二方向の他方側の一方の面とを接続し、第三の導電体33の第二方向の一方側に延出した部分の端部と第三の導電板23の第二方向の他方側の一方の面とを接続し、第四の導電体34の第二方向の一方側に延出した部分の端部と第四の導電板24の第二方向の他方側の一方の面とを接続する。
【0057】
第一の導電板21よりも第一方向の一方側に第一のP端子611が延出するように配置した状態にする。第一のP端子611を第一の導電板21の第一方向の一方側の一方の面に接続する。第一の導電板21よりも第一方向の他方側に第二のP端子612が延出するように配置した状態にする。第二のP端子612を第一の導電板21の第一方向の他方側の一方の面に接続する。第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24よりも第二方向の一方側に、3個の第二のAC端子622、632、642が延出するように配置した状態にする。3個の第二のAC端子622、632、642のそれぞれの第二方向の他方側の端部を、第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24のそれぞれの第二方向の一方側の一方の面に接続する。
【0058】
第一の導電板21の第二方向の他方側に間隔を空けて3組の第一の制御端子7a、7b、7cのそれぞれを配置した状態にする。3個の第一のスイッチング素子42、43、44のそれぞれに3組の第一の制御端子7a、7b、7cのそれぞれを接続する。第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24のそれぞれの第二方向の一方側に間隔を空けて3組の第二の制御端子8a、8b、8cのそれぞれを配置した状態で、3個の第二のスイッチング素子52、53、54のそれぞれに3組の第二の制御端子8a、8b、8cのそれぞれを接続する。
【0059】
第三接続工程は、第一の導電体11と第二のスイッチング素子52、53、54のそれぞれのエミッタ電極とを接続する工程である。第一の導電体11を第一方向に延出するように、3個の第二のスイッチング素子52、53、54の上に配置し、第一の導電体11から第二の導電板22よりも第一方向の一方側に第一のN端子651が延出し、第一の導電体11から第四の導電板24よりも第一方向の他方側に第二のN端子652が延出するように配置した状態にする。次に、第一の導電体11の他方の面と3個の第二のスイッチング素子52、53、54のそれぞれの一方の面とを接続する。
【0060】
封止工程は、特定の箇所を露出させた状態で、接続工程を終えた半導体装置の全体を樹脂部材90により封止する工程である。露出させる箇所は、第一ダミー端子321、第二ダミー端子341、第一の制御端子7a、7b、7c、第二の制御端子8a、8b、8c、第一のAC端子621、631、641、第二のAC端子622、632、642、第一のN端子651、第二のN端子652、第一のP端子611、及び第二のP端子612の端部である。これらの端部を露出させた状態で、第一の導電板21、第二の導電板22、第三の導電板23、第四の導電板24、第一のスイッチング素子42、43、44、第二のスイッチング素子52、53、54、第一の導電体11、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34を樹脂部材90により封止する。
【0061】
切断工程は、樹脂部材90から露出させた特定の箇所をフレーム1aから切断する工程である。第一ダミー端子321、第二ダミー端子341、第一の制御端子7a、7b、7c、第二の制御端子8a、8b、8c、第一のAC端子621、631、641、第二のAC端子622、632、642、第一のN端子651、第二のN端子652、第一のP端子611、及び第二のP端子612のフレーム1aの側の部分を、例えば、タイバーカットにより切断する。また、ダミー接続部81、82に連結された各端子が独立して設けられるように、ダミー接続部81、82の各部分を、例えば、タイバーカットにより切断する。切断工程の後、必要に応じて、樹脂部材90から露出した各端子を、例えば90度の角度に折り曲げる。これらの工程を経て、図1に示した半導体装置100が完成する。
【0062】
従来、加熱を伴うはんだのようなろう付けにより第二接続工程を行う場合、加熱中に第二の導電体32、第三の導電体33、第四の導電体34は自重で変形していた。また、金属焼結手段を用いた場合、加熱前に第二の導電体32、第三の導電体33、第四の導電体34が変形していた。そのため、はんだまたは焼結金属の不足、あふれが起こり、十分な接続強度が得られていなかった。本願では、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34のそれぞれは、少なくとも2箇所でフレーム1aに連結されている。そのため、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34のそれぞれは、フレーム1aに連結されている製造時に、自重により端部がスイッチング素子の側に垂れることがない。自重により端部がスイッチング素子の側に垂れることがないので、スイッチング素子に接続される端子である第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の位置ずれを抑制することができる。また、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の端部が自重によりスイッチング素子の側に垂れないため、はんだまたは焼結金属の不足、あふれが抑制されるので、スイッチング素子に接続される端子である第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の接続不良を抑制することができる。
【0063】
次の、二つ目の半導体装置100の製造方法について説明する。二つ目の半導体装置100の製造方法も、図9に示すように、部材準備工程、第一接続工程、第二接続工程、第三接続工程、封止工程、及び切断工程を備える。以下、一つ目の半導体装置100の製造方法と同様の工程は省略して、各工程についての詳細を説明する。
【0064】
部材準備工程は、半導体装置100を構成する各部材を準備する工程である。部材準備工程において、第一方向の幅よりも第一方向に直交する第二方向の幅が短い板状に形成された第一の導電板21と、第二の導電板22と、第三の導電板23と、第四の導電板24と、3個の第一のスイッチング素子42、43、44と、3個の第二のスイッチング素子52、53、54と、一つの方向に延出した第一の導電体11と、リードフレーム1とを準備する。リードフレーム1は、3個の第二のAC端子622、632、642、第一のAC端子621及び第一ダミー端子321が設けられた第二の導電体32、第一のAC端子631及び一つの第二のAC端子632に接続された第三ダミー端子331が設けられた第三の導電体33、第一のAC端子641及び第二ダミー端子341が設けられた第四の導電体34、3組の第一の制御端子7a、7b、7c、3組の第二の制御端子8a、8b、8c、第一のP端子611、第二のP端子612、第一のN端子651、及び第二のN端子652である複数の枠内端子と、枠状のフレーム1aとを有する。枠内端子がフレーム1aの内側に配置され、枠内端子がフレーム1aと一体形成されている。
【0065】
第一接続工程、及び第二接続工程については省略して、第三接続工程について説明する。第三接続工程は、第一の導電体11と、第二のスイッチング素子52、53、54のそれぞれのエミッタ電極、第一のN端子651、及び第二のN端子652とを接続する工程である。第一の導電体11を第一方向に延出するように、3個の第二のスイッチング素子52、53、54の上に配置し、第二の導電板22よりも第一方向の一方側に第一のN端子651が延出し、第四の導電板24よりも第一方向の他方側に第二のN端子652が延出するように配置した状態にする。次に、第一の導電体11の他方の面と3個の第二のスイッチング素子52、53、54のそれぞれの一方の面とを接続し、第一の導電体11の第一方向の一方側と第一のN端子651の第一方向の他方側とを接続し、第一の導電体11の第一方向の他方側と第二のN端子652の第一方向の一方側とを接続する。
【0066】
封止工程については省略して、切断工程について説明する。切断工程は、樹脂部材90から露出させた特定の箇所をフレーム1aから切断する工程である。第一ダミー端子321、第二ダミー端子341、第一の制御端子7a、7b、7c、第二の制御端子8a、8b、8c、第一のAC端子621、631、641、第二のAC端子622、632、642、第一のN端子651、第二のN端子652、第一のP端子611、第二のP端子612、第一のN端子651、及び第二のN端子652のフレーム1aの側の部分を、例えば、タイバーカットにより切断する。また、ダミー接続部81、82に連結された各端子が独立して設けられるように、ダミー接続部81、82の各部分を、例えば、タイバーカットにより切断する。切断工程の後、必要に応じて、樹脂部材90から露出した各端子を、例えば90度の角度に折り曲げる。これらの工程を経て、図1に示した半導体装置100が完成する。
【0067】
このように製造することで、部材準備工程において第一の導電体11はN端子を有さないので、第一の導電体11を小型化することができ、第一の導電体11を低コスト化することができる。
【0068】
次の、三つ目の半導体装置100の製造方法について説明する。三つ目の半導体装置100の製造方法も、図9に示すように、部材準備工程、第一接続工程、第二接続工程、第三接続工程、封止工程、及び切断工程を備える。以下、一つ目の半導体装置100の製造方法と同様の工程は省略して、各工程についての詳細を説明する。
【0069】
部材準備工程は、半導体装置100を構成する各部材を準備する工程である。部材準備工程において、第一方向の幅よりも第一方向に直交する第二方向の幅が短い板状に形成された第一の導電板21と、第二の導電板22と、第三の導電板23と、第四の導電板24と、3個の第一のスイッチング素子42、43、44と、3個の第二のスイッチング素子52、53、54と、一つの方向に延出し、一方の端部にN端子としての第一のN端子651が設けられた第一の導電体11と、リードフレーム1とを準備する。リードフレーム1は、3個の第二のAC端子622、632、642、第一のAC端子621及び第一ダミー端子321が設けられた第二の導電体32、第一のAC端子631及び一つの第二のAC端子632に接続された第三ダミー端子331が設けられた第三の導電体33、第一のAC端子641及び第二ダミー端子341が設けられた第四の導電体34、3組の第一の制御端子7a、7b、7c、3組の第二の制御端子8a、8b、8c、及びP端子としての第一のP端子611である複数の枠内端子と、枠状のフレーム1aとを有する。枠内端子がフレーム1aの内側に配置され、枠内端子がフレーム1aと一体形成されている。
【0070】
第一接続工程については省略して、第二接続工程について説明する。第二接続工程は、第一のスイッチング素子42、43、44のそれぞれのエミッタ電極、リードフレーム1、及び各導電板のそれぞれの間の特定の箇所を主に接続する工程である。最初に、第一の導電板21、第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24が、フレーム1aの内側に収まるように、リードフレーム1を移動する。次に、リードフレーム1を精度よく配置した状態で、各箇所を接続する。配置と接続について順に説明するが、リードフレーム1の配置は最初に同時に行われる。また、各箇所の接続についても、同じ材料により接続する箇所などは同時に行って構わない。
【0071】
リードフレーム1を、第一の導電板21よりも第二方向の他方側に3個の第一のAC端子621、631、641のそれぞれが延出し、第一の導電板21よりも第一方向の一方側に第一ダミー端子321が延出し、第一の導電板21よりも第一方向の他方側に第二ダミー端子341が延出し、第三の導電板23と第四の導電板24との間を通って、第二方向の一方側に第三ダミー端子331が延出するように配置した状態にする。次に、第二の導電体32の他方の面と第一方向の一方側に配置された第一のスイッチング素子42の一方の面とを接続し、第三の導電体33の他方の面と第一方向の中央に配置された第一のスイッチング素子43の一方の面とを接続し、第四の導電体34の他方の面と第一方向の他方側に配置された第一のスイッチング素子44の一方の面とを接続する。同時に、第二の導電体32の第二方向の一方側に延出した部分の端部と第二の導電板22の第二方向の他方側の一方の面とを接続し、第三の導電体33の第二方向の一方側に延出した部分の端部と第三の導電板23の第二方向の他方側の一方の面とを接続し、第四の導電体34の第二方向の一方側に延出した部分の端部と第四の導電板24の第二方向の他方側の一方の面とを接続する。
【0072】
第一の導電板21よりも第一方向の一方側に第一のP端子611が延出するように配置した状態にする。第一のP端子611を第一の導電板21の第一方向の一方側の一方の面に接続する。第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24よりも第二方向の一方側に、3個の第二のAC端子622、632、642が延出するように配置した状態にする。3個の第二のAC端子622、632、642のそれぞれの第二方向の他方側の端部を、第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24のそれぞれの第二方向の一方側の一方の面に接続する。
【0073】
第一の導電板21の第二方向の他方側に間隔を空けて3組の第一の制御端子7a、7b、7cのそれぞれを配置した状態にする。3個の第一のスイッチング素子42、43、44のそれぞれに3組の第一の制御端子7a、7b、7cのそれぞれを接続する。第二の導電板22、第三の導電板23、及び第四の導電板24のそれぞれの第二方向の一方側に間隔を空けて3組の第二の制御端子8a、8b、8cのそれぞれを配置した状態で、3個の第二のスイッチング素子52、53、54のそれぞれに3組の第二の制御端子8a、8b、8cのそれぞれを接続する。
【0074】
第三接続工程は、第一の導電体11と第二のスイッチング素子52、53、54のそれぞれのエミッタ電極とを接続する工程である。第一の導電体11を第一方向に延出するように、3個の第二のスイッチング素子52、53、54の上に配置し、第一の導電体11から第二の導電板22よりも第一方向の一方側に第一のN端子651が延出するように配置した状態にする。第一の導電体11は、図12に示すように、ダミー端子1101、1102を有した構成でも構わない。図12は、実施の形態1に係る別の半導体装置100の概略を示す平面図で、樹脂部材90を取り除き、各導電体を透過させて示した図である。ダミー端子1101は、第一の導電体11の第一方向の他方側に設けられ、ダミー端子1102は、第一の導電体11の第一方向の一方側に設けられる。ダミー端子1101、1102を有した場合、ダミー端子1101が第一の導電体11から第四の導電板24よりも第一方向の他方側に延出するように配置し、ダミー端子1102が第一の導電体11から第二の導電板22よりも第一方向の一方側に延出するように配置した状態にする。ダミー端子1101、1102は、第一の導電体11の位置決めの精度を向上させるために、位置決めに利用する端子である。ダミー端子は、ダミー端子1101のみでも構わない。次に、第一の導電体11の他方の面と3個の第二のスイッチング素子52、53、54のそれぞれの一方の面とを接続する。
【0075】
封止工程は、特定の箇所を露出させた状態で、接続工程を終えた半導体装置の全体を樹脂部材90により封止する工程である。露出させる箇所は、第一ダミー端子321、第二ダミー端子341、第一の制御端子7a、7b、7c、第二の制御端子8a、8b、8c、第一のAC端子621、631、641、第二のAC端子622、632、642、第一のN端子651、及び第一のP端子611の端部である。これらの端部を露出させた状態で、第一の導電板21、第二の導電板22、第三の導電板23、第四の導電板24、第一のスイッチング素子42、43、44、第二のスイッチング素子52、53、54、第一の導電体11、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34を樹脂部材90により封止する。
【0076】
切断工程は、樹脂部材90から露出させた特定の箇所をフレーム1aから切断する工程である。第一ダミー端子321、第二ダミー端子341、第一の制御端子7a、7b、7c、第二の制御端子8a、8b、8c、第一のAC端子621、631、641、第二のAC端子622、632、642、第一のN端子651、及び第一のP端子611のフレーム1aの側の部分を、例えば、タイバーカットにより切断する。また、ダミー接続部81、82に連結された各端子が独立して設けられるように、ダミー接続部81、82の各部分を、例えば、タイバーカットにより切断する。切断工程の後、必要に応じて、樹脂部材90から露出した各端子を、例えば90度の角度に折り曲げる。これらの工程を経て、図5に示した片側横出しの構成の半導体装置100が完成する。
【0077】
このように製造することで、片側横出しの構成の半導体装置100であっても、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34のそれぞれが、フレーム1aに連結されている製造時に、自重により端部がスイッチング素子の側に垂れることがないので、スイッチング素子に接続される端子である第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の位置ずれを抑制することができる。また、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の端部が自重によりスイッチング素子の側に垂れないため、はんだまたは焼結金属の不足、あふれが抑制されるので、スイッチング素子に接続される端子である第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の接続不良を抑制することができる。
【0078】
以上のように、実施の形態1による半導体装置100において、第一ダミー端子321、第二ダミー端子341、及び第三ダミー端子331を備え、第一ダミー端子321、第二ダミー端子341、第一の制御端子7a、7b、7c、第二の制御端子8a、8b、8c、第一のAC端子621、631、641、第二のAC端子622、632、642、N端子、及びP端子の端部を露出させた状態で、第一の導電板21、第二の導電板22、第三の導電板23、第四の導電板24、第一のスイッチング素子42、43、44、第二のスイッチング素子52、53、54、第一の導電体11、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34が樹脂部材90により封止されているため、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34のそれぞれが、製造時に、自重により端部がスイッチング素子の側に垂れることがないので、スイッチング素子に接続される端子である第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の位置ずれを抑制することができる。また、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の端部が自重によりスイッチング素子の側に垂れないため、はんだのようなろう付け手段でスイッチング素子と接続する際に、はんだボイド、はんだ不足、及びはんだ溢れが抑制されるので、スイッチング素子に接続される端子である第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の接続不良を抑制することができる。また、P端子及びN端子の双方が第一方向の絶縁部材から露出して設けられているため、一巡Lsを低減させることができる。また、半導体装置100の第一方向の長さは、3個のAC端子と3組の制御端子で決定されるため、3つのAC端子と6スイッチング単位の制御信号群が長辺側に配置されている従来例と比較して、3組分の制御端子の長さが減るので、半導体装置100を小型化することができる。
【0079】
実施の形態1による半導体装置100の製造方法において、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34のそれぞれは、少なくとも2箇所でフレーム1aに連結されているため、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34のそれぞれは、フレーム1aに連結されている製造時に、自重により端部がスイッチング素子の側に垂れることがないので、スイッチング素子に接続される端子である第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の位置ずれを抑制することができる。また、第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の端部が自重によりスイッチング素子の側に垂れないため、はんだのようなろう付け手段でスイッチング素子と接続する際に、はんだボイド、はんだ不足、及びはんだ溢れが抑制されるので、スイッチング素子に接続される端子である第二の導電体32、第三の導電体33、及び第四の導電体34の接続不良を抑制することができる。また、P端子及びN端子の双方が第一方向の絶縁部材から露出して設けられているため、一巡Lsを低減させることができる。また、半導体装置100の第一方向の長さは、3個のAC端子と3組の制御端子で決定されるため、3つのAC端子と6スイッチング単位の制御信号群が長辺側に配置されている従来例と比較して、3組分の制御端子の長さが減るので、半導体装置100を小型化することができる。
【0080】
実施の形態2.
実施の形態2に係る半導体装置100について説明する。図13は実施の形態2に係る半導体装置100の概略を示す平面図で、樹脂部材90を取り除き、各導電体を透過させて示した図である。実施の形態2に係る半導体装置100は、N端子のみを第一方向の両側に設けた構成になっている。
【0081】
リードフレームである第一の導電体11は、第一方向に延出し、第二のスイッチング素子52、53、54のそれぞれの一方の面に接続される。第一のN端子651は、第一の導電体11から第二の導電板22よりも第一方向の一方側に延出する。第二のN端子652は、第一の導電体11から第四の導電板24よりも第一方向の他方側に延出する。半導体装置100は、第一のP端子611のみを備える。第一のP端子611は、第一の導電板21の第一方向の一方側の一方の面に接続され、第一の導電板21よりも第一方向の一方側に延出する。
【0082】
このように構成した場合の、3Dモデルによる寄生インダクタンス抽出解析結果について説明する。実施の形態1と同様に、ANSYS社製ソフトQ3Dにより、寄生インダクタンス抽出解析を行った。3相それぞれの一巡Lsの解析結果は、12.65nH、11.92nH、11.11nHとなった。図8の右側に示した片側横出しの結果と比較して、何れの値も低くなった。N端子のみを第一方向の両側に設けた場合、N端子及びP端子の双方が片側横出しの構成よりも、一巡Lsを低減させることができる。
【0083】
また本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0084】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
第一方向の幅よりも前記第一方向に直交する第二方向の幅が短い板状に形成された第一の導電板と、
前記第一の導電板と同一平面上に、前記第一の導電板の前記第二方向の一方側に間隔を空けて配置され、前記第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べられた第二の導電板、第三の導電板、及び第四の導電板と、
前記第一の導電板の一方の面上に、前記第一方向の一方側から他方側に間隔を空けて並べられ、他方の面が前記第一の導電板の一方の面に接続された3個の第一のスイッチング素子と、
他方の面が、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板のそれぞれの一方の面に、接続された第二のスイッチング素子の3個と、
前記第一方向に延出し、3個の前記第二のスイッチング素子のそれぞれの一方の面に接続された第一の導電体と、
前記第一方向の一方側に配置された前記第一のスイッチング素子の一方の面と前記第二の導電板の一方の面とを接続した第二の導電体と、
前記第一方向の中央に配置された前記第一のスイッチング素子の一方の面と前記第三の導電板の一方の面とを接続した第三の導電体と、
前記第一方向の他方側に配置された前記第一のスイッチング素子の一方の面と前記第四の導電板の一方の面とを接続した第四の導電体と、
制御端子として、前記第一の導電板の前記第二方向の他方側に間隔を空けて配置され、3個の前記第一のスイッチング素子のそれぞれに接続された第一の制御端子の3組と、
前記制御端子として、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板のそれぞれの前記第二方向の一方側に間隔を空けて配置され、3個の前記第二のスイッチング素子のそれぞれに接続された第二の制御端子の3組と、
AC端子として、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板のそれぞれの前記第二方向の一方側の一方の面に接続され、前記第二の導電板、前記第三の導電板、及び前記第四の導電板よりも前記第二方向の一方側に延出した第二のAC端子の3個と、
前記AC端子として、前記第二の導電体、前記第三の導電体、及び前記第四の導電体のそれぞれから前記第一の導電板よりも前記第二方向の他方側に延出した第一のAC端子の3個と、
N端子として、前記第一の導電体から前記第二の導電板よりも前記第一方向の一方側に延出した第一のN端子、及び前記第一の導電体から前記第四の導電板よりも前記第一方向の他方側に延出した第二のN端子の一方または双方と、
P端子として、前記第一の導電板の前記第一方向の一方側の一方の面に接続され、前記第一の導電板よりも前記第一方向の一方側に延出した第一のP端子、及び前記第一の導電板の前記第一方向の他方側の一方の面に接続され、前記第一の導電板よりも前記第一方向の他方側に延出した第二のP端子の一方または双方と、
前記第二の導電体から、前記第一の導電板よりも前記第一方向の一方側に延出した第一ダミー端子と、
前記第四の導電体から、前記第一の導電板よりも前記第一方向の他方側に延出した第二ダミー端子と、
前記第三の導電体から、前記第三の導電板と前記第四の導電板との間を通って、前記第二方向の一方側に延出し、前記第三の導電板に接続された前記第二のAC端子に接続された第三ダミー端子と、を備え、
前記第一ダミー端子、前記第二ダミー端子、前記第一の制御端子、前記第二の制御端子、前記第一のAC端子、前記第二のAC端子、前記N端子、及び前記P端子の端部を露出させた状態で、前記第一の導電板、前記第二の導電板、前記第三の導電板、前記第四の導電板、前記第一のスイッチング素子、前記第二のスイッチング素子、前記第一の導電体、前記第二の導電体、前記第三の導電体、及び前記第四の導電体が樹脂部材により封止されている半導体装置。
(付記2)
前記第二の導電体から、前記第二の導電板と前記第三の導電板との間を通って、前記第二方向の一方側に延出し、前記第二の導電板に接続された前記第二のAC端子に接続された第四ダミー端子を備えた付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記第一ダミー端子、前記第二ダミー端子、前記第一の制御端子、前記第二の制御端子、前記第二のAC端子、前記第一のAC端子、及び前記P端子である複数の対象端子の前記樹脂部材から露出した端部は、前記複数の対象端子の周囲を取り囲むフレームと一体形成されており、
前記フレームの側の前記複数の対象端子の部分が、切断される切断部である付記1または2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記第一のN端子と前記第二のN端子の双方、及び前記第一のP端子と前記第二のP端子の双方を備え、
前記第一のN端子及び前記第一のP端子の前記第一方向の一方側の端部と、前記第二のN端子及び前記第二のP端子の前記第一方向の他方側の端部との間の前記第一方向の距離を第一方向の距離とし、
前記第二の制御端子及び前記第二のAC端子の前記第二方向の一方側の端部と、前記第一の制御端子及び前記第一のAC端子の前記第二方向の他方側の端部との間の前記第二方向の距離を第二方向の距離とし、
第一方向の距離が、第二方向の距離の2.1倍以下である付記1から3のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記5)
前記第一のN端子及び前記第二のN端子の一方と、一方の前記N端子と同じ前記第一方向の側に設けられた一方の前記P端子とを備え、
前記一方のN端子及び前記一方のP端子の前記樹脂部材から露出した前記第一方向の端部と、前記一方のN端子及び前記一方のP端子とは反対側の前記第一方向の前記樹脂部材の端部との間の前記第一方向の距離を第一方向の距離とし、
前記第二の制御端子及び前記第二のAC端子の前記第二方向の一方側の端部と、前記第一の制御端子及び前記第一のAC端子の前記第二方向の他方側の端部との間の前記第二方向の距離を第二方向の距離とし、
第一方向の距離が、第二方向の距離の1.2倍以下である付記1から3のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記6)
前記第一のスイッチング素子及び前記第二のスイッチング素子のそれぞれが、シリコン半導体素子またはワイドバンドギャップ半導体素子から形成された、MOSFETまたはRC-IGBTの1個の素子で構成されている付記1から5のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記7)
前記第一のスイッチング素子及び前記第二のスイッチング素子のそれぞれが、シリコン半導体素子またはワイドバンドギャップ半導体素子から形成された、IGBT及びダイオードを含む複数の素子で構成されている付記1から5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0085】
1 リードフレーム、1a フレーム、11 第一の導電体、11a、11b 突出部、1101、1102 ダミー端子、21 第一の導電板、22 第二の導電板、23 第三の導電板、24 第四の導電板、32 第二の導電体、33 第三の導電体、34 第四の導電体、42、43、44 第一のスイッチング素子、421 IGBT、422 ダイオード、52、53、54 第二のスイッチング素子、321 第一ダミー端子、341 第二ダミー端子、331 第三ダミー端子、322 第四ダミー端子、611 第一のP端子、612 第二のP端子、621、631、641 第一のAC端子、622、632、642 第二のAC端子、651 第一のN端子、652 第二のN端子、7a、7b、7c 第一の制御端子、8a、8b、8c 第二の制御端子、81、82 ダミー接続部、90 樹脂部材、91 コンデンサモジュール、100 半導体装置
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