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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172022
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】射出成形機の良否判定システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
B29C45/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083567
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 潤
(72)【発明者】
【氏名】白木 遼
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 靖典
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM22
4F206AM32
4F206AP02
4F206AP05
4F206AP06
4F206JA07
4F206JL02
4F206JP01
4F206JP13
4F206JP14
(57)【要約】
【課題】モニタリングデータ群と波形データとを同次元で組み合わせて成形不良判定を行うこと。
【解決手段】射出成形機1により成形品を成形した際のモニタリングデータのうち、それぞれ予め設定されたタイミングでのモニタリングデータである設定タイミングデータ91を複数取得する設定タイミングデータ取得部112と、モニタリングデータのうち、所定の期間で連続したモニタリングデータである波形データ95を取得する波形データ取得部113と、波形データ95における複数のサンプル点96でのデータであるサンプル点データ97を複数取得するサンプル点データ取得部114と、複数の設定タイミングデータ91からなるモニタリングデータ群92と、複数のサンプル点データ97とを合体させて合体データ90を生成する合体データ生成部115と、合体データ90に基づいて成形品に不良品が発生したか否かの判定を行う良否判定部127と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機により成形品を成形した際における前記射出成形機のモニタリングデータのうち、それぞれ予め設定されたタイミングでの前記モニタリングデータである設定タイミングデータを複数取得する設定タイミングデータ取得部と、
前記モニタリングデータのうち、所定の期間で連続した前記モニタリングデータである波形データを取得する波形データ取得部と、
前記波形データ取得部で取得した前記波形データにおける、時間が異なる複数のサンプル点でのデータであるサンプル点データを複数取得するサンプル点データ取得部と、
前記設定タイミングデータ取得部で取得した複数の前記設定タイミングデータからなるモニタリングデータ群と、前記サンプル点データ取得部で取得した複数の前記サンプル点データとを合体させて合体データを生成する合体データ生成部と、
前記合体データ生成部で生成した前記合体データに基づいて、前記射出成形機で成形した前記成形品に不良品が発生したか否かの判定を行う良否判定部と、
を備えることを特徴とする射出成形機の良否判定システム。
【請求項2】
前記射出成形機により成形された前記成形品が良品であるか不良品であるかの判定結果と、前記合体データ生成部で生成した前記合体データとが紐付けられた基礎データから、前記良品の成形時における前記モニタリングデータである良品時モニタリングデータと、前記不良品の成形時における前記モニタリングデータである不良時モニタリングデータとをそれぞれ複数抽出するモニタリングデータ抽出部と、
前記モニタリングデータ抽出部で抽出した複数の前記モニタリングデータのうち、前記不良品の不良種類に対する影響度が最も高い方から順に複数の前記モニタリングデータを高影響度モニタリングデータとして抽出する高影響度モニタリングデータ抽出部と、
前記射出成形機による成形時における成形品の良否判定を、前記合体データ生成部で生成した前記合体データに含まれる前記設定タイミングデータと前記サンプル点データとの複数の前記モニタリングデータのうち前記高影響度モニタリングデータと同じ種類の前記モニタリングデータに基づいて行う際のパラメータである成形時パラメータを算出する成形時パラメータ算出部と、
を備え、
前記良否判定部は、前記成形時パラメータ算出部で算出した前記成形時パラメータと、前記成形時パラメータに対する閾値である判定閾値とを比較し、前記射出成形機で成形した前記成形品に前記不良品が発生したか否かの判定を行う請求項1に記載の射出成形機の良否判定システム。
【請求項3】
前記高影響度モニタリングデータ抽出部は、前記高影響度モニタリングデータ抽出部で抽出する前記高影響度モニタリングデータに前記サンプル点データを含む場合は、1つの前記波形データにつき1つの前記サンプル点データを前記高影響度モニタリングデータとして抽出する請求項2に記載の射出成形機の良否判定システム。
【請求項4】
前記サンプル点データ取得部は、時間が進む方向において連続する複数の前記サンプル点からなるグループを1つの前記波形データに対して複数設定し、1つの前記グループからは1つの前記サンプル点データを取得する請求項1または2に記載の射出成形機の良否判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融した樹脂材料を射出して成形品の成形を行う射出成形機の良否判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機で成形した成形品の品質を監視する機能として、ショット毎にセンサから得られる圧力や温度などの各モニタリングデータに対して許容値を設定し、取得したモニタリングデータと許容値とを比較することにより、成形品の品質を判定するものがある。例えば、バレル温度が基準に対して設定された許容値から外れた場合には、そのショットで成形された成形品は不良品として判定する。
【0003】
しかし、このような許容値の設定は、作業者にある程度の経験が要求される。このため、従来の射出成形機における良否判定方法の中には、熟練した作業者に負うことなく、確実に良好な状態に簡便に調整できるようにしているものがある。例えば、特許文献1に記載された射出成形機における可塑化工程の良否判定方法では、所定回目のショットを行った際の成形材料の挙動に関するパラメータのデータから集約した基準データ値と、任意のショット時のパラメータのデータから集約したデータ値とのMD値を求めて、このMD値の大きさより、可塑化工程における操業の良否の判定を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-246734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、射出成形機で成形をする際にモニタリングデータを取得する方法の一例としては、1成形サイクルの中で最も特徴が現れるデータを取得することができるタイミングを予め定め、毎サイクル決まったタイミングで、各1点のデータを取得する方法が挙げられる。成形品の品質の判定は、このように取得したモニタリングデータと、当該モニタリングデータの許容値とを比較することにより、成形した成形品の良否を判定することができる。
【0006】
また、モニタリングデータに基づいて成形品の品質を判定する他の方法として、射出成形機による射出成形中に取得した波形データを用いて判定する方法がある。例えば、金型に対する樹脂材料の充填中の射出圧力波形を記録し、最大値が予め定めた閾値を超えた場合にはオーバーパック等の現象を想定して不良品であると判定し、射出圧力波形の最大値が閾値を超えなかった場合には、良品であると判定をする。
【0007】
モニタリングデータを用いて良否判定を行う際には、これらのように各1点からなるモニタリングデータ群を用いて判定する手法と、波形データを用いて判定する手法とがあるが、1点のデータを用いて良否判定を行う手法では、多変量解析を行うことで、複数のデータの組合せ要因による不良を判別することができる。一方、波形データから良否判定をする場合には、モニタリングデータ群を用いた判定とは独立し、波形データの最大値や最小値などの特徴量を用いて良否の判別を行う。
【0008】
モニタリングデータを用いた良否判定では、これらのように各1点からなるモニタリングデータ群を用いた判定と、波形データを用いた判定とは独立して行われるため、不良現象がモニタリングデータ群、或いは波形データだけで捉えられれば問題ないが、不良現象の中には、モニタリングデータ群と波形データとの双方を関連付けて分析しなければ、良否の判定を行い難いものがある。しかし、モニタリングデータ群と波形データとではデータ形式が異なるため、同次元での演算を行うことができず、双方を組み合わせて成形不良の判定を行うことは大変困難なものとなっていた。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、モニタリングデータ群と波形データとを同次元で組み合わせて成形不良判定を行うことのできる射出成形機の良否判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る射出成形機の良否判定システムは、射出成形機により成形品を成形した際における前記射出成形機のモニタリングデータのうち、それぞれ予め設定されたタイミングでの前記モニタリングデータである設定タイミングデータを複数取得する設定タイミングデータ取得部と、前記モニタリングデータのうち、所定の期間で連続した前記モニタリングデータである波形データを取得する波形データ取得部と、前記波形データ取得部で取得した前記波形データにおける、時間が異なる複数のサンプル点でのデータであるサンプル点データを複数取得するサンプル点データ取得部と、前記設定タイミングデータ取得部で取得した複数の前記設定タイミングデータからなるモニタリングデータ群と、前記サンプル点データ取得部で取得した複数の前記サンプル点データとを合体させて合体データを生成する合体データ生成部と、前記合体データ生成部で生成した前記合体データに基づいて、前記射出成形機で成形した前記成形品に不良品が発生したか否かの判定を行う良否判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る射出成形機の良否判定システムは、モニタリングデータ群と波形データとを同次元で組み合わせて成形不良判定を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る射出成形機の良否判定システムの構成例を示す模式図である。
図2図2は、図1に示す制御装置の説明図である。
図3図3は、設定タイミングデータの一例を示す説明図である。
図4図4は、波形データの一例を示す説明図である。
図5図5は、サンプル点データの一例を示す説明図である。
図6図6は、合体データの一例を示す説明図である。
図7図7は、複数のショットの合体データを取得した状態を示す説明図である。
図8図8は、モニタリングデータ判定画面の説明図である。
図9図9は、モニタリングデータが所定値を満たしているか否かの判定制御を行う際の制御の流れを示すフロー図である。
図10図10は、基礎データの生成を行う手順を示すフロー図である。
図11図11は、成形品の良否判定に用いるパラメータを設定する手順を示すフロー図である。
図12図12は、良否判定のパラメータを設定する際に用いる良否判定設定親画面の模式図である。
図13図13は、良否判定設定子画面の模式図である。
図14図14は、モニタリングデータのグルーピングについての説明図である。
図15図15は、良否判定画面の説明図である。
図16図16は、成形品に不良品が発生したか否かをモニタリングデータに基づいて判定する制御を行う際の制御の流れを示すフロー図である。
図17図17は、実施形態に係る良否判定システムでのサンプル点データの取得についての変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示に係る射出成形機の良否判定システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る射出成形機1の良否判定システム200の構成例を示す模式図である。なお、以下の説明では、射出成形機1の通常の使用状態における上下方向を、射出成形機1においても上下方向として説明し、射出成形機1の通常の使用状態における水平方向を、射出成形機1においても水平方向として説明する。
【0015】
<射出成形機1>
本実施形態に係る射出成形機1は、射出装置10と、型締装置30とを有しており、射出装置10と型締装置30とは、射出成形機1における下端に配置されるフレーム2上に載置されている。射出成形機1は、射出装置10で成形材料を溶融して可塑化材料にし、射出装置10から射出された可塑化材料を、型締装置30によって冷却・固化することにより、所望の各種の成形品を製造することが可能になっている。
【0016】
射出装置10は、加熱バレル11と、スクリュ13と、計量部20と、射出装置駆動部25とを備えている。加熱バレル11は、内部で成形材料を加熱して溶融し、可塑化材料にすることが可能になっている。また、加熱バレル11は、可塑化材料を射出するノズル12を一端側に備え、他端側が原料投入用のホッパ15に接続されている。スクリュ13は、加熱バレル11に配置されており、加熱バレル11の内部で軸心方向に移動可能になっている。
【0017】
計量部20は、加熱バレル11内でスクリュ13を回転させることにより、成形材料である樹脂をホッパ15から加熱バレル11内に導入することが可能になっている。
【0018】
射出装置駆動部25は、加熱バレル11内でスクリュ13を水平方向に移動させることが可能になっている。また、射出装置駆動部25は、加熱バレル11内において、溶融された成形材料が、ノズル12が位置する端部側の部分に貯えられた状態で、スクリュ13をノズル12側に移動させることにより、成形材料をノズル12から押し出すことができる。これにより、加熱バレル11内の成形材料をノズル12から射出させることができる。
【0019】
型締装置30は、固定盤31と、移動盤32と、型締駆動機構40と、押出機構45とを有している。固定盤31は、フレーム2上に配置されてフレーム2に固定されており、移動盤32は、フレーム2上における固定盤31に対して射出装置10が位置する側の反対側に、固定盤31に対して移動自在に配置されている。固定盤31における移動盤32が位置する側の面には、固定金型35が取り付けられており、移動盤32における固定盤31が位置する側の面には、移動金型36が取り付けられている。移動盤32に取り付けられる移動金型36は、固定盤31に取り付けられる固定金型35に対向しており、移動盤32が固定盤31に接近した際には、固定金型35へ接近して固定金型35に組み合わされる。
【0020】
型締駆動機構40は、移動盤32を固定盤31に対して相対移動させることが可能になっており、移動盤32を固定盤31に対して相対移動させることにより、移動金型36と固定金型35との型閉を行ったり、移動金型36と固定金型35との型開を行ったりすることができる。本実施形態では、型締駆動機構40は、いわゆるトグル機構41を備えており、トグル機構41により、移動盤32を固定盤31に対して相対移動させることができる。
【0021】
押出機構45は、移動金型36の内面に付着した成形後の成形品を押し出す押出部材46を備えており、成形後の成形品を移動金型36から取り外すことが可能になっている。
【0022】
<制御装置100>
射出成形機1は、射出成形機1の各種制御を行う制御装置100と、オペレータが射出成形機1への入力操作を行う入力部160と、各種情報を表示する表示部170とを有している。入力部160と表示部170とは、共に制御装置100に接続されており、入力部160は、入力操作された情報を制御装置100に伝達する。また、表示部170は、制御装置100から伝達された情報を表示する。入力部160と表示部170とは、別体で構成されていてもよく、または、いわゆるタッチパネル式のディスプレイによって構成されることにより、一体に形成されていてもよい。
【0023】
制御装置100には、射出成形機1における動作の動力源となるモータ等の各種アクチュエータや、射出成形機1の動作時における情報を取得する各種センサ等が接続されている。これにより、制御装置100は、センサによって射出成形機1の動作時における情報を取得しつつ、射出成形機1のアクチュエータに対して制御信号を送信することにより、射出成形機1の制御をすることが可能になっている。
【0024】
図2は、図1に示す制御装置100の説明図である。制御装置100は、処理部110と、記憶部140と、入出力部150とを有している。処理部110は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、各種情報を記憶するメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを有している。処理部110の各機能の全部または一部は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0025】
記憶部140は、処理部110と電気的に接続され、情報を記憶する記憶装置である。制御装置100による射出成形機1の制御時は、処理部110によって射出成形機1から取得した情報や処理部110によって演算した情報を記憶部140に記憶したり、記憶部140に記憶されている情報を処理部110で呼び出して射出成形機1の制御に用いたりする。
【0026】
なお、処理部110により実現される各機能は、プログラムとして予め記憶部140に記憶されていてもよい。この場合、処理部110は、記憶部140に記憶されているプログラムを処理部110で呼び出し、プログラムに沿った動作を処理部110で実行することにより、各機能を実行する。また、記憶部140は、制御装置100に一体に備えられていてもよく、制御装置100に対して着脱自在に構成されていてもよい。
【0027】
入出力部150は、制御装置100の外部の機器との間で信号の入出力を行う、いわゆるインターフェイスになっている。即ち、制御装置100に接続される射出成形機1の各種アクチュエータ類や各種センサ類、入力部160、表示部170は、入出力部150に接続される。制御装置100が有する処理部110は、入出力部150を介して、これらの外部の機器との間で信号の送受信を行う。
【0028】
処理部110は、機能的にモニタリングデータ取得部111と、基準値取得部116と、許容値取得部117と、モニタリングデータ判定部118と、基礎データ生成部121と、モニタリングデータ抽出部122と、高影響度モニタリングデータ抽出部123と、判定用パラメータ算出部124と、成形時パラメータ算出部125と、推奨値算出部126と、良否判定部127と、異常データ抽出部128とを有している。
【0029】
このうち、モニタリングデータ取得部111は、射出成形機1の作動時に、射出成形機1が有する各種センサでの検出結果であるモニタリングデータを取得することが可能になっている。モニタリングデータとしては、例えば、射出成形機1の射出装置10が有する加熱バレル11で成形材料を溶融する際における温度や、加熱バレル11内に成形材料を導入し、成形材料の計量に用いられる時間、スクリュ13の回転数等が挙げられる。モニタリングデータ取得部111は、取得したモニタリングデータを、取得した時刻と共に記憶部140に記憶する。即ち、モニタリングデータ取得部111は、取得したモニタリングデータを、取得した日時と関連付けて記憶部140に記憶する。
【0030】
また、モニタリングデータ取得部111は、設定タイミングデータ取得部112と、波形データ取得部113と、サンプル点データ取得部114と、合体データ生成部115とを有している。設定タイミングデータ取得部112と波形データ取得部113とは、それぞれ異なる形態のモニタリングデータを取得し、サンプル点データ取得部114と合体データ生成部115とは、設定タイミングデータ取得部112と波形データ取得部113とで取得した異なる形態のモニタリングデータを、同類のデータとして扱えるようにする。
【0031】
図3は、設定タイミングデータ91の一例を示す説明図である。モニタリングデータ取得部111が有する設定タイミングデータ取得部112は、射出成形機1により成形品を成形した際における射出成形機1のモニタリングデータのうち、それぞれ予め設定されたタイミングでのモニタリングデータである設定タイミングデータ91を複数取得することが可能になっている。設定タイミングデータ取得部112で取得する設定タイミングデータ91は、射出成形機1によって成形品を成形する際における1成形サイクルの中で、モニタリングデータに最も特徴が現れるタイミングとして、モニタリングデータごとに設定されたタイミングでのモニタリングデータになっている。
【0032】
設定タイミングデータ取得部112は、設定タイミングデータ91として取得すべき複数のモニタリングデータを、射出成形機1での成形品の成形時における1回の成形サイクルごとに、それぞれ設定タイミングデータ91として取得する。これにより、設定タイミングデータ取得部112は、例えば、図3に示すように、射出成形機1での1回の成形サイクルごとに、複数の設定タイミングデータ91からなるモニタリングデータ群92を取得し、設定タイミングデータ91ごとに、取得した日時と関連付けて記憶部140に記憶する。
【0033】
図4は、波形データ95の一例を示す説明図である。モニタリングデータ取得部111が有する波形データ取得部113は、射出成形機1により成形品を成形した際における射出成形機1のモニタリングデータのうち、所定の期間で連続したモニタリングデータである波形データ95を取得することが可能になっている。波形データ取得部113で取得する波形データ95は、射出成形機1によって成形品を成形する際における1成形サイクルの中で、時間の経過に伴って値が変化するモニタリングデータを、成形サイクルの中の時間と対応させて連続したデータとして取得するモニタリングデータになっている。即ち、波形データ取得部113は、設定タイミングデータ取得部112とは異なり、1回の成形サイクルにおける特定のタイミングのモニタリングデータではなく、1回の成形サイクルで値が変化するモニタリングデータ全体を、変化の態様も含めて取得する。
【0034】
例えば、図4は、射出成形機1での成形時に、射出装置10から金型に対して樹脂を充填する際の充填圧力についての波形データ95になっている。射出成形機1での成形時には、充填圧力は1回の成形サイクルで、図4に示すように圧力が変化するが、波形データ取得部113は、時間の経過と共に変化する圧力の値全体を、波形データ95として変化の態様も含めて取得する。
【0035】
波形データ取得部113は、波形データ95として取得すべき複数のモニタリングデータを、射出成形機1での成形品の成形時における1回の成形サイクルごとに、それぞれ波形データ95として取得する。これにより、波形データ取得部113は、射出成形機1での1回の成形サイクルごとに、複数の波形データ95を取得し、波形データ95ごとに、取得した日時と関連付けて記憶部140に記憶する。
【0036】
波形データ95として取得するモニタリングデータとしては、充填圧力の他に、金型の温度や金型を冷却する冷却水の流量、金型内に樹脂を充填する際の金型内での圧力である型内圧等が挙げられる。これらのモニタリングデータはいずれも、1回の成形サイクルごとに波形データ取得部113によって波形データ95として取得し、取得した日時と関連付けて記憶部140に記憶する。
【0037】
図5は、サンプル点データ97の一例を示す説明図である。モニタリングデータ取得部111が有するサンプル点データ取得部114は、波形データ取得部113で取得した波形データ95における、時間が異なる複数のサンプル点96でのデータであるサンプル点データ97を複数取得する。ここでいうサンプル点96は、波形データ取得部113によって取得した波形データ95に対して、互いに異なる時間で複数設定される、波形データ95の値を抽出するためのポイントになっている。
【0038】
サンプル点96は、例えば、1つの波形データ95より抽出するサンプルの数を予め設定し、1つの波形データ95に対して、そのサンプルの数を満たすことができる時間間隔で設定する。または、サンプル点96は、1つの波形データ95に対して、直接的に任意の時間間隔で設定してもよい。
【0039】
サンプル点データ取得部114は、波形データ95に対して設定されたサンプル点96の位置でのモニタリングデータを、サンプル点データ97として取得する。サンプル点96は、1つの波形データ95に対して複数が設定されるため、サンプル点データ取得部114は、例えば、図5に示すように、サンプル点データ97を1つの波形データ95からサンプル点96に応じて複数取得する。
【0040】
図6は、合体データ90の一例を示す説明図である。図7は、複数のショットの合体データ90を取得した状態を示す説明図である。モニタリングデータ取得部111が有する合体データ生成部115は、設定タイミングデータ取得部112で取得した複数の設定タイミングデータ91からなるモニタリングデータ群92と、サンプル点データ取得部114で取得した複数のサンプル点データ97とを合体させて、合体データ90を生成する。これにより、合体データ生成部115は、設定タイミングデータ取得部112で取得した複数の設定タイミングデータ91と、波形データ取得部113で取得した波形データ95よりサンプル点データ取得部114によって取得した複数のサンプル点データ97とを、それぞれ個別に独立した同類のモニタリングデータとして扱えるようにする。
【0041】
設定タイミングデータ91とサンプル点データ97とは、射出成形機1での成形サイクルごとに取得するため、合体データ生成部115は、合体データ90を成形サイクルごと、つまり、射出成形機1によって射出成形を行う際のショットごとに合体データ90を生成する。
【0042】
なお、図6図7では、モニタリングデータ群92と合体させるサンプル点データ97は、充填圧力についての波形データ95のサンプル点データ97になっているが、モニタリングデータ群92と合体させるサンプル点データ97は、充填圧力以外の波形データ95のサンプル点データ97であってもよい。また、モニタリングデータ群92と合体させるサンプル点データ97は、複数の波形データ95のサンプル点データ97であってもよい。
【0043】
基準値取得部116は、射出成形機1を使用するユーザが入力部160を用いて入力した、射出成形機1の作動時におけるモニタリングデータの基準値を取得する。ここでいうモニタリングデータには、設定タイミングデータ取得部112によって取得する設定タイミングデータ91と、サンプル点データ取得部114によって取得するサンプル点データ97の双方が含まれる。以下の説明においても同様である。基準値取得部116は、取得したモニタリングデータの基準値を記憶部140に記憶する。
【0044】
許容値取得部117は、射出成形機1を使用するユーザが入力部160を用いて入力した、射出成形機1の作動時におけるモニタリングデータの基準値に対する許容値を取得する。許容値取得部117は、取得したモニタリングデータの基準値に対する許容値を記憶部140に記憶する。
【0045】
モニタリングデータ判定部118は、モニタリングデータ取得部111で取得したモニタリングデータと、基準値取得部116で取得した基準値、及び許容値取得部117で許容値とを比較し、モニタリングデータが許容値の範囲内であるか否かの判定を行う。
【0046】
基礎データ生成部121は、射出成形機1により成形された成形品が良品であるか不良品であるかの判定結果と、成形品を成形した際における射出成形機1のモニタリングデータ、即ち、モニタリングデータ取得部111で取得したモニタリングデータとが紐付けられた基礎データの生成を行う。つまり、基礎データ生成部121は、射出成形機1により成形された成形品が良品であるか不良品であるかの判定結果と、モニタリングデータ取得部111が有する合体データ生成部115で生成した合体データ90とが紐付けられた基礎データの生成を行う。基礎データ生成部121で生成した基礎データは、モニタリングデータを取得した日時、或いは成形品を成形した日時と関連付けて、記憶部140に記憶する。
【0047】
モニタリングデータ抽出部122は、基礎データ生成部121で生成した基礎データから、良品の成形時におけるモニタリングデータである良品時モニタリングデータと、不良品の成形時におけるモニタリングデータである不良時モニタリングデータとをそれぞれ複数抽出する。つまり、基礎データは、射出成形機1により成形された成形品の判定結果と、成形品を成形した際におけるモニタリングデータ、即ち、合体データ90とが紐付けられているため、成形品の判定結果とそれぞれの成形品の成形時におけるモニタリングデータとより、良品時モニタリングデータと不良時モニタリングデータとを区別してそれぞれ抽出する。即ち、モニタリングデータ抽出部122は、成形品の判定結果と紐付けられた合体データ90に含まれる設定タイミングデータ91やサンプル点データ97を、良品時モニタリングデータまたは不良時モニタリングデータとして抽出する。
【0048】
また、モニタリングデータ抽出部122は、同じ種類の良品時モニタリングデータと不良時モニタリングデータとを、不良品の不良種類ごとに抽出する。つまり、モニタリングデータ抽出部122は、不良時モニタリングデータとして抽出された設定タイミングデータ91またはサンプル点データ97と、良品時モニタリングデータにおいてこれらの設定タイミングデータ91やサンプル点データ97と同じ種類の設定タイミングデータ91やサンプル点データ97とを、不良品の不良種類と関連付けて抽出する。モニタリングデータ抽出部122で抽出した良品時モニタリングデータと不良時モニタリングデータとは、それぞれ記憶部140に記憶する。
【0049】
ここでいう不良種類としては、例えば、ショート、バリ、フローマーク、シルバーストリーク、ジェッティング、ヤケ、クモリ、白化、ウェルドライン、ソリ、クラック、黄変、ヒケ、ボイド等が挙げられる。
【0050】
ショートは、樹脂が完充填されない状態の不良である。バリは、金型の隙間に溶融材料が入り込むことで、成形品外周に余剰部分が発生する不良である。フローマークは、金型内を流れた樹脂が縞状の模様となって成形品表目に現れる不良である。シルバーストリークは、金型における成形品に対する樹脂の流路への開口部であるゲート部を起点として、樹脂の流れに沿って白色のスジが発生する不良である。
【0051】
ジェッティングは、ゲート通過後の樹脂の流れた形成が現れた状態の不良である、ヤケは、樹脂の末端部分が焼けたように焦げた状態の不良である。クモリは、特に透明樹脂の成形において、表面が白く曇る状態の不良である。白化は、固化した樹脂に無理な力がかかることで局所的に伸びてしまった状態の不良である。ウェルドラインは、金型のキャビティ形状により分岐したフローフロント同士が会合した部分に現れる線状跡の不良である。
【0052】
ソリは、成形品が反ってしまう状態の不良である。クラックは、成形品表面にひび割れが生じる不良である。黄変は、樹脂表面が黄色く変色している状態の不良である。ヒケは、成形収縮により表面部が凹状態になる不良である。ボイドは、成形収縮により内部に真空が発生する不良である。
【0053】
高影響度モニタリングデータ抽出部123は、モニタリングデータ抽出部122で抽出した複数のモニタリングデータのうち、不良品の不良種類に対する影響度が最も高い方から順に、複数のモニタリングデータを抽出する。つまり、射出成形機1で成形を行った際には、成形時における射出成形機1の作動状態や樹脂の状態が成形品の品質に影響を与えるため、不良品と判定された成形品では、当該成形品の成形時に基準値から外れることに起因して不良の要因となったモニタリングデータが存在することが考えられる。
【0054】
このため、高影響度モニタリングデータ抽出部123は、モニタリングデータ抽出部122で抽出した複数のモニタリングデータの中から、不良品と判定された成形品における不良種類に対して影響度が高いモニタリングデータを、高影響度モニタリングデータとして不良種類ごとに複数抽出する。つまり、高影響度モニタリングデータ抽出部123は、不良品と判定された成形品における不良種類に対して影響度が高い設定タイミングデータ91やサンプル点データ97を、高影響度モニタリングデータとして不良種類ごとに複数抽出する。高影響度モニタリングデータ抽出部123で抽出した高影響度モニタリングデータは、不良種類と関連付けて記憶部140に記憶する。
【0055】
判定用パラメータ算出部124は、モニタリングデータ抽出部122で抽出したモニタリングデータより、射出成形機1で成形した成形品の良否判定に用いるパラメータである判定用パラメータを算出する。判定用パラメータは、公知のMT(マハラノビス-タグチ)法を適用して求めるマハラノビス距離に基づいて算出した値になっている。具体的には、本実施形態では、MT法を適用して求めるマハラノビス距離(MD値)の2乗の値を、判定用パラメータとして用いる。本実施形態では、このようにモニタリングデータに対してMT法を適用して求めるMD値の2乗の値を、判定用パラメータと称する。判定用パラメータ算出部124は、モニタリングデータ抽出部122で抽出した良品時モニタリングデータと不良時モニタリングデータとのモニタリングデータにおける、良品時モニタリングデータについての判定用パラメータを、良品時パラメータとして算出する。また、判定用パラメータ算出部124は、モニタリングデータ抽出部122で抽出した良品時モニタリングデータと不良時モニタリングデータとのモニタリングデータにおける、不良時モニタリングデータについての判定用パラメータを、不良時パラメータとして算出する。
【0056】
さらに、判定用パラメータ算出部124は、高影響度モニタリングデータ抽出部123で抽出した高影響度モニタリングデータにおける、良品時モニタリングデータの良品時パラメータと、不良時モニタリングデータの不良時パラメータとを、それぞれ算出する。
【0057】
成形時パラメータ算出部125は、射出成形機1による成形時における成形品の良否判定を、合体データ生成部115で生成した合体データ90に含まれる設定タイミングデータ91とサンプル点データ97との複数のモニタリングデータのうち、高影響度モニタリングデータと同じ種類のモニタリングデータに基づいて行う際のパラメータである成形時パラメータを算出する。成形時パラメータは、モニタリングデータ抽出部122で抽出したモニタリングデータに対する、射出成形機1による成形時にモニタリングデータ取得部111で取得したモニタリングデータの判定用パラメータとして算出する。即ち、成形時パラメータ算出部125は、射出成形機1による成形時における、高影響度モニタリングデータと同じ種類のモニタリングデータと、モニタリングデータ抽出部122で抽出したモニタリングデータとより、判定用パラメータ算出部124と同様に公知のMT法を適用して求めた判定用パラメータを、成形時パラメータとして算出する。このように成形時パラメータを算出する成形時パラメータ算出部125は、モニタリングデータ抽出部122で抽出したモニタリングデータにおける不良品の不良種類ごとに、成形時パラメータを算出する。
【0058】
推奨値算出部126は、射出成形機1による成形時に成形品に不良品が発生したか否かの判定を行う際における判定の基準として推奨する閾値である判定推奨値を、モニタリングデータ抽出部122で抽出した良品時モニタリングデータに基づいて算出する。推奨値算出部126で算出する判定推奨値は、モニタリングデータ抽出部122で抽出したモニタリングデータに対する、射出成形機1での成形時にモニタリングデータ取得部111で取得するモニタリングデータの判定用パラメータの閾値として算出する。
【0059】
良否判定部127は、合体データ生成部115で生成した合体データ90に基づいて、射出成形機1で成形した成形品に不良品が発生したか否かの判定を行う。つまり、良否判定部127は、合体データ90に含まれる設定タイミングデータ91やサンプル点データ97より成形時パラメータ算出部125で算出した成形時パラメータと、成形時パラメータに対する閾値である判定閾値とを比較し、射出成形機1で成形した成形品に不良品が発生したか否かの判定を行う。良否判定部127で成形品に不良品が発生したか否かの判定に用いる判定閾値は、推奨値算出部126で算出した判定推奨値を判定閾値として用いるか、または、判定推奨値を基準としてユーザが設定する値を判定閾値として用いる。また、良否判定部127は、射出成形機1で成形した成形品に不良品が発生したか否かの判定を、不良品の不良種類ごとに行う。
【0060】
異常データ抽出部128は、射出成形機1での成形時に、良否判定部127で成形品に不良品が発生したと判定をした場合に、モニタリングデータ抽出部122で抽出した不良時モニタリングデータと同じ種類の複数のモニタリングデータのうち、異常度が最も高いモニタリングデータを抽出する。本実施形態では、異常データ抽出部128は、射出成形機1の成形時における複数の高影響度モニタリングデータと同じ種類の複数のモニタリングデータのうち、高影響度モニタリングデータにおける良品時モニタリングデータに対して最も乖離が大きいモニタリングデータを、異常度が最も高いモニタリングデータとして抽出する。
【0061】
<射出成形機1の良否判定システム200の作用>
本実施形態に係る射出成形機1の良否判定システム200は、以上のような構成を含み、以下、その作用について説明する。射出成形機1は、1回の射出・成形動作を1サイクルとして、この射出・成形動作のサイクルを繰り返し実行する。各サイクルは、成形材料の射出、及び製品の成形のために複数の工程を含む。各サイクルは、例えば、型閉工程、昇圧工程、充填(射出)工程、保圧工程、計量工程、型開工程、押出工程を含む。
【0062】
これらのように射出成形機1で射出・成形を行う際には、射出成形機1に備えられる各センサによって検出するモニタリングデータを制御装置100で取得し、モニタリングデータに基づいて射出成形機1の動作の状態を監視しながら、射出・成形の動作を繰り返す。本実施形態では、モニタリングデータに基づく射出成形機1の動作の状態の監視として、モニタリングデータが所定値を満たしているか否を判定することと、射出成形機1で成形した成形品に不良品が発生したか否かをモニタリングデータに基づいて判定することとの2種類を行う。
【0063】
<モニタリングデータ判定画面50>
まず、モニタリングデータが所定値を満たしているか否かの判定の制御に用いる、表示部170に表示するモニタリングデータ判定画面50について説明する。図8は、モニタリングデータ判定画面50の説明図である。モニタリングデータが所定値を満たしているか否かの判定は、図8に示すようなモニタリングデータ判定画面50を、表示部170に表示しながら制御装置100で行う。図8に示すモニタリングデータ判定画面50は、モニタリングデータ名称表示部51と、基準値入力部52と、許容値入力部53と、アラーム選択部54とを有している。
【0064】
モニタリングデータ名称表示部51は、制御装置100で正常であるか否かの判定を行うモニタリングデータの種類、即ち、モニタリングデータの名称を表示する。具体的には、モニタリングデータ名称表示部51は、モニタリングデータである設定タイミングデータ91とサンプル点データ97の名称を表示する。モニタリングデータが正常であるか否かの判定を制御装置100で行う際には、判定を行うモニタリングデータを選択することが可能になっており、モニタリングデータ判定画面50のモニタリングデータ名称表示部51は、選択したモニタリングデータを表示することが可能になっている。
【0065】
基準値入力部52は、モニタリングデータが正常であるか否かの判定に用いるモニタリングデータの基準値を入力する部分になっている。基準値入力部52は、入力部160を用いて基準値をモニタリングデータごとに入力することが可能になっている。ユーザが基準値入力部52に基準値を入力した場合、制御装置100の処理部110が有する基準値取得部116は、ユーザが入力した基準値を取得して記憶部140に記憶する。
【0066】
許容値入力部53は、基準値入力部52に入力されたモニタリングデータの基準値に対する許容値、即ち、基準値を中心とするプラスマイナスの範囲を入力する部分になっている。許容値入力部53は、入力部160を用いて、基準値に対する許容値をモニタリングデータごとに入力することが可能になっている。ユーザが許容値入力部53に許容値を入力した場合、制御装置100の処理部110が有する許容値取得部117は、ユーザが入力した許容値を取得して記憶部140に記憶する。
【0067】
アラーム選択部54は、モニタリングデータが許容値を超えた場合に、モニタリングデータが許容値の範囲外であることをユーザに報知するアラームを有効にするか無効にするかを選択する部分になっている。アラーム選択部54は、入力部160を用いて、アラームを有効にするか無効にするかの選択を、モニタリングデータごとに行うことが可能になっている。
【0068】
<モニタリングデータが所定値を満たしているか否かの判定制御>
次に、射出成形機1による成形品の成形時に、モニタリングデータが所定値を満たしているか否かを判定しながら射出成形機1の動作の状態を監視する際の制御の流れについて説明する。
【0069】
図9は、モニタリングデータが所定値を満たしているか否かの判定制御を行う際の制御の流れを示すフロー図である。モニタリングデータが所定値を満たしているか否かの判定を行う制御では、射出成形機1で成形品を成形しながら、射出成形機1に設けられる各センサより、モニタリングデータを取得する(ステップST11)。モニタリングデータは、制御装置100の処理部110が有するモニタリングデータ取得部111で取得する。
【0070】
モニタリングデータ取得部111は、射出成形機1に設けられる各センサより、設定タイミングデータ取得部112によって設定タイミングデータ91を取得し、波形データ取得部113によって波形データ95を取得する。さらに、モニタリングデータ取得部111は、波形データ取得部113によって取得した波形データ95より、サンプル点データ取得部114によってサンプル点データ97を取得する。これにより、モニタリングデータ取得部111は、モニタリングデータとして設定タイミングデータ91とサンプル点データ97を取得する。
【0071】
モニタリングデータを取得したら、取得したモニタリングデータは許容値を外れるか否かの判定を行う(ステップST12)。モニタリングデータが許容値を外れるか否かの判定は、制御装置100の処理部110が有するモニタリングデータ判定部118で行う。モニタリングデータ判定部118は、モニタリングデータ取得部111で取得したモニタリングデータが、当該モニタリングデータの基準値を中心とする許容値の範囲を外れるか否か、或いは、モニタリングデータは許容値の範囲に入っているか否かの判定を行う。この場合における基準値は、ユーザがモニタリングデータ判定画面50の基準値入力部52に対して入力することにより基準値取得部116で取得した基準値であり、許容値は、モニタリングデータ判定画面50の許容値入力部53に対して入力することにより許容値取得部117で取得した許容値である。
【0072】
モニタリングデータ判定部118での判定により、モニタリングデータ取得部111で取得したモニタリングデータは許容値を外れないと判定された場合(ステップST12:No判定)は、射出成形機1による成形品の成形を継続する。
【0073】
これに対し、モニタリングデータ判定部118での判定により、モニタリングデータ取得部111で取得したモニタリングデータは許容値を外れると判定された場合(ステップST12:Yes判定)は、アラームを表示する(ステップST13)。アラームの表示は、例えば、制御装置100が表示部170に表示させる。アラームは、モニタリングデータ判定画面50のアラーム選択部54で、アラームを有効にするとの選択が行われたモニタリングデータが許容値を外れた場合に、当該モニタリングデータが許容値を外れたことを示すアラームを表示部170に表示させる。
【0074】
また、射出成形機1に、不良品を取り出す取出ロボット(図示省略)やシュータ(図示省略)が備えられる場合は、モニタリングデータは許容値を外れると判定された際には、不良品と判定された成形品は、取出ロボットやシュータにより、不良品用の保管場所に振り分けられる。
【0075】
射出成形機1による成形品の成形時は、これらを繰り返してモニタリングデータが所定値を満たしているか否を判定しながら成形を行う。
【0076】
また、本実施形態に係る射出成形機1の良否判定システム200では、射出成形機1による成形品の成形時に、モニタリングデータが所定値を満たしているか否かを判定することの他に、成形した成形品に不良品が発生したか否かをモニタリングデータに基づいて判定することが可能になっている。次に、射出成形機1で成形した成形品に不良品が発生したか否かをモニタリングデータに基づいて判定することにより、射出成形機1の動作の状態の監視する方法について説明する。
【0077】
<基礎データの生成>
成形品に不良品が発生したか否かをモニタリングデータに基づいて判定する際には、まず、当該判定方法のベースとなる基礎データの生成を行う。
【0078】
図10は、基礎データの生成を行う手順を示すフロー図である。基礎データを生成する際には、まず、射出成形機1を用いて、成形品の良否判定を行いたい金型で成形を実施する(ステップST21)。なお、この場合における射出成形機1による成形は、実際の製品の成形ではなく、基礎データを生成するための成形になっている。
【0079】
成形を実施したら、射出成形機1によるショットごとに成形品の検品を行い、良否判定の結果を、入力部160を用いて制御装置100に入力する(ステップST22)。成形品の検品は、成形品が良品であるか不良品であるかの判定をユーザが手動にて行う。即ち、成形品の検品は、ユーザが目視によって成形品が良品であるか不良品であるかの判定を行う。
【0080】
制御装置100に入力する際には、例えば、成形品が良品であるか不良品であるかを入力する画面を表示部170に表示し、表示部170の入力画面に対し、成形品が良品であるかの判定結果を、入力部160を用いて射出成形機1によるショットごとに入力する。その際に、成形品が不良品である場合には、不良品の不良種類の名称、即ち、不良名称も合わせて入力する。
【0081】
成形品の良否判定結果を制御装置100に入力したら、制御装置100は、入力された良否判定結果をモニタリングデータと紐付けて記憶部140で記憶する(ステップST23)。詳しくは、制御装置100は、入力された成形品の良否判定結果と、処理部110が有するモニタリングデータ取得部111で取得した、射出成形機1による当該成形品が成形された際におけるモニタリングデータとを、処理部110が有する基礎データ生成部121によって紐付ける。基礎データ生成部121で紐付けるモニタリングデータは、モニタリングデータ取得部111が有する合体データ生成部115によって生成した合体データ90になっている。つまり、基礎データ生成部121は、複数の設定タイミングデータ91からなるモニタリングデータ群92、及び複数のサンプル点データ97が組み合わされたモニタリングデータである合体データ90と、入力された成形品の良否判定結果とを紐付ける。その際に、基礎データ生成部121は、不良品の不良名称も合わせて紐付ける。基礎データ生成部121は、このように紐付けたデータを、基礎データとして記憶部140に記憶する。
【0082】
これらのように生成する基礎データは、良品のショットのモニタリングデータと、不良品のショットのモニタリングデータとのそれぞれで、予め定められた数以上のデータが取れたら、基礎データのデータ取りを終了する。
【0083】
これらのように基礎データを生成したら、次に、製品として成形品を成形した際における成形品の良否判定に用いるパラメータを設定する。成形品の良否判定に用いるパラメータを設定する手順について説明する。
【0084】
<成形品の良否判定に用いるパラメータを設定>
図11は、成形品の良否判定に用いるパラメータを設定する手順を示すフロー図である。図12は、良否判定のパラメータを設定する際に用いる良否判定設定親画面60の模式図である。基礎データを生成した後、成形品の良否判定に用いるパラメータを設定する際には、まず、図12に示すような良否判定設定親画面60を表示部170に表示し、良否判定設定親画面60を用いて行う。良否判定設定親画面60は、入力部160を用いて制御装置100を操作することにより、良否判定設定親画面60に関するプログラムを呼び出して表示部170に表示する。
【0085】
良否判定設定親画面60は、不良品の不良名称を入力する不良名称入力部61と、不良名称入力部61に対応する設定ボタン62とを有している。良否判定設定親画面60は、不良名称入力部61を複数有しており、設定ボタン62は、不良名称入力部61ごとに設定される。また、良否判定設定親画面60では、不良名称入力部61ごとに異なる番号が付されて表示される。
【0086】
成形品の良否判定に用いるパラメータを設定する際には、表示部170に良否判定設定親画面60を表示させ、入力部160を用いて良否判定設定親画面60の不良名称入力部61に登録したい不良名称を入力し、不良名称を入力した不良名称入力部61に対応する設定ボタン62を押す(ステップST31)。
【0087】
<良否判定設定子画面70>
図13は、良否判定設定子画面70の模式図である。良否判定設定親画面60で設定ボタン62を押すと、制御装置100は、押した設定ボタン62に対応する良否判定設定子画面70を表示部170に表示する。良否判定設定子画面70は、例えば、図13に示すように、不良情報表示部71と、抽出期間入力部72と、良否判定用データ表示部73と、サンプルショット数表示部74と、不良時パラメータ表示部75と、判定用パラメータヒストグラム表示部76と、判定推奨値表示部77とを有している。
【0088】
不良情報表示部71は、良否判定設定親画面60で押した設定ボタン62に対応する不良名称入力部61に入力されている不良名称に関する情報が表示される部分になっている。不良情報表示部71には、不良名称入力部61に入力された不良名称と、当該不良名称入力部61に付された番号、基礎データの生成時に用いた金型の種類を表す成形条件番号等が表示される。
【0089】
抽出期間入力部72は、生成した基礎データに含まれているモニタリングデータの中から、モニタリングデータ抽出部122によって抽出するモニタリングデータの期間を入力する部分になっている。即ち、抽出期間入力部72は、モニタリングデータ抽出部122によって抽出するモニタリングデータとして、どの期間のモニタリングデータを抽出するかを入力する部分になっている。
【0090】
良否判定用データ表示部73は、モニタリングデータ抽出部122によって抽出したモニタリングデータのうち、良否判定設定親画面60において設定ボタン62を押した不良名称となる、不良種類の判定に用いるモニタリングデータを表示する部分になっている。
【0091】
サンプルショット数表示部74は、基礎データを生成した際における射出成形機1でのショット数を表示する部分になっている。詳しくは、サンプルショット数表示部74は、モニタリングデータ抽出部122によって抽出したモニタリングデータにおける、良品のショット数と不良品のショット数とをそれぞれ表示する部分になっている。
【0092】
不良時パラメータ表示部75は、基礎データにおける、良否判定設定親画面60において設定ボタン62を押した不良名称の不良品を成形した際のモニタリングデータの、モニタリングデータ抽出部122で抽出したモニタリングデータに対する判定用パラメータである不良時パラメータを表示する部分になっている。ここでいう判定用パラメータは、公知のMT法を適用して求めたマハラノビス距離の2乗の値になっている。不良時パラメータ表示部75では、基礎データからモニタリングデータ抽出部122によって抽出したモニタリングデータにおける不良時モニタリングデータの、平均の不良時パラメータと、最大の不良時パラメータと、最小の不良時パラメータとを表示する。
【0093】
判定用パラメータヒストグラム表示部76は、基礎データからモニタリングデータ抽出部122によって抽出した良品時モニタリングデータと不良時モニタリングデータとの、モニタリングデータ抽出部122で抽出したモニタリングデータに対するそれぞれの判定用パラメータを、ヒストグラムで表示する部分になっている。即ち、判定用パラメータヒストグラム表示部76は、判定用パラメータ算出部124で算出した良品時パラメータと不良時パラメータとを表示する部分になっている。
【0094】
判定推奨値表示部77は、射出成形機1によって成形を行った場合に、成形した成形品が、良否判定設定親画面60において設定ボタン62を押した不良名称の不良品であるか否かの判定を、モニタリングデータより算出した判定用パラメータに基づいて行う際における、判定の閾値の推奨値を表示する部分になっている。
【0095】
良否判定設定親画面60(図12参照)で、ユーザが設定ボタン62を押すことにより、当該設定ボタン62に対応する良否判定設定子画面70(図13参照)を表示部170に表示したら、ユーザは、良否判定設定子画面70を用いてデータの抽出期間を入力する(ステップST32)。データの抽出期間の入力は、入力部160を用いて良否判定設定子画面70の抽出期間入力部72に対して行う。
【0096】
データの抽出期間を入力したら、制御装置100は、ユーザが良否判定設定親画面60で設定ボタン62を押した不良名称と一致するショットのモニタリングデータと、良品のショットのモニタリングデータとを、基礎データより抽出する(ステップST33)。この抽出は、制御装置100の処理部110が有するモニタリングデータ抽出部122によって行う。つまり、モニタリングデータ抽出部122は、基礎データより、ユーザが良否判定設定親画面60で設定ボタン62を押した不良名称の不良種類に対応する不良品を成形した際のモニタリングデータ、即ち、不良時モニタリングデータを抽出する。さらに、モニタリングデータ抽出部122は、基礎データより、当該不良時モニタリングデータと同じ種類のモニタリングデータで、且つ、良品の成形時におけるモニタリングデータである良品時モニタリングデータを抽出する。
【0097】
不良時モニタリングデータは、詳しくは、設定ボタン62を押した不良名称の不良種類に対応する不良品を成形したショットの合体データ90に含まれる設定タイミングデータ91及びサンプル点データ97である。また、良品時モニタリングデータは、当該不良時モニタリングデータと同じ種類の設定タイミングデータ91やサンプル点データ97で、且つ、良品を成形したショットの合体データ90に含まれる設定タイミングデータ91及びサンプル点データ97である。
【0098】
モニタリングデータ抽出部122で、基礎データよりモニタリングデータを抽出したら、各モニタリングデータに対して影響度を算出する(ステップST34)。この場合における影響度は、ユーザが良否判定設定親画面60で設定ボタン62を押した不良名称の不良種類に対する、モニタリングデータ抽出部122で抽出したモニタリングデータの影響度になっている。つまり、この場合における影響度は、ユーザが良否判定設定親画面60で選択した不良種類に対して、モニタリングデータ抽出部122で抽出した設定タイミングデータ91やサンプル点データ97の各モニタリングデータが、どの程度寄与することによって不良が発生したかを示す指標になっている。
【0099】
影響度の算出は、制御装置100の処理部110が有する高影響度モニタリングデータ抽出部123によって行う。高影響度モニタリングデータ抽出部123は、モニタリングデータ抽出部122で抽出した複数の良品時モニタリングデータ及び不良時モニタリングデータより、下記の式(1)によって影響度を算出する。影響度の算出は、モニタリングデータの種類ごと、即ち、同じ種類の設定タイミングデータ91ごとやサンプル点データ97ごとに行う。
影響度=(良品時モニタリングデータの平均値-不良時モニタリングデータの平均値)/良品時モニタリングデータの標準偏差σ・・・(1)
【0100】
モニタリングデータの影響度を算出したら、次に、影響度が高いモニタリングデータを複数抽出する(ステップST35)。影響度が高いモニタリングデータの抽出は、影響度を算出した高影響度モニタリングデータ抽出部123が続けて行う。高影響度モニタリングデータ抽出部123は、モニタリングデータ抽出部122で抽出した複数のモニタリングデータのうち、ユーザが良否判定設定親画面60で選択した不良品の不良種類に対する影響度が最も高い方から順に、複数のモニタリングデータを抽出する。即ち、高影響度モニタリングデータ抽出部123は、上記の式(1)によって算出した影響度が大きい方から順に、複数のモニタリングデータ、つまり、複数の設定タイミングデータ91やサンプル点データ97を抽出する。
【0101】
この場合における、高影響度モニタリングデータ抽出部123が、影響度が高い方から順に抽出するモニタリングデータの数は、任意になっている。算出した影響度に基づいて、高影響度モニタリングデータ抽出部123で抽出するモニタリングデータの数は、例えば、2~10の間で、ユーザが任意で選択することが可能になっている。このため、例えば、高影響度モニタリングデータ抽出部123で抽出するモニタリングの数が3に設定された場合には。高影響度モニタリングデータ抽出部123は、不良種類に対する影響度が最も高い方から順に、3つの設定タイミングデータ91やサンプル点データ97のモニタリングデータを抽出する。
【0102】
高影響度モニタリングデータ抽出部123で抽出するモニタリングデータの数は、例えば、原因となるモニタリングデータがある程度分かっている不良種類では、モニタリングデータの数は少なくしてもよく、原因となるモニタリングデータが分からない不良種類では、モニタリングデータの数は多めにしてもよい。高影響度モニタリングデータ抽出部123で抽出するモニタリングデータの数は、不良種類等に応じて、ユーザが任意の数に設定することができる。
【0103】
<モニタリングデータのグルーピング>
また、高影響度モニタリングデータ抽出部123は、不良種類に対する影響度が高いモニタリングデータを抽出する際には、合体データ90に含まれる設定タイミングデータ91とサンプル点データ97とのうち、相関係数の高いモニタリングデータ同士が同じグループになるようにグルーピングし、同一グループからは最も影響度が高いモニタリングデータ1つのみを抽出する。
【0104】
図14は、モニタリングデータのグルーピングについての説明図である。モニタリングデータは、異なる種類のモニタリングデータ同士の相関係数を算出し、相関係数が高い複数のモニタリングデータを、例えば、図14に示すように1つのグループにして、グルーピングを行う。モニタリングデータのグルーピングは、予め行って記憶部140に記憶しておく。図14では、一例として、2つのグループが図示されているが、設定されるグループの数や、1つのグループにおけるモニタリングデータの数は、モニタリングデータ同士の相関係数に応じて適宜設定される。
【0105】
高影響度モニタリングデータ抽出部123は、不良種類に対する影響度が高いモニタリングデータを抽出する際には、記憶部140に記憶されているグルーピングのデータを参照し、1つのグループからは最も影響度が高いモニタリングデータを1つ抽出しつつ、設定された数の複数のモニタリングデータを抽出する。高影響度モニタリングデータ抽出部123で、これらのように抽出したモニタリングデータは、算出した影響度と共に、良否判定設定子画面70の良否判定用データ表示部73に表示される。
【0106】
次に、モニタリングデータ抽出部122で抽出したモニタリングデータにおける、良品時モニタリングデータの判定用パラメータである良品時パラメータと、不良時モニタリングデータの判定用パラメータである不良時パラメータとを、それぞれ算出する(ステップST36)。良品時パラメータと不良時パラメータとの算出は、制御装置100の処理部110が有する判定用パラメータ算出部124により行う。
【0107】
本実施形態では、高影響度モニタリングデータ抽出部123で抽出したモニタリングデータである高影響度モニタリングデータにおける良品時モニタリングデータと不良時モニタリングデータより、良品時パラメータと不良時パラメータとを算出する。
【0108】
高影響度モニタリングデータ抽出部123で抽出する高影響度モニタリングデータが、例えば3つである場合は、判定用パラメータ算出部124は、3つの高影響度モニタリングデータのそれぞれの良品時モニタリングデータと不良時モニタリングデータとを用いて、下記の式(2)によって、良品時パラメータと不良時パラメータとを算出する。
【0109】
【数1】
【0110】
式(2)において、MDは、モニタリングデータに基づいて成形品の良否判定を行う際に用いるパラメータである判定用パラメータを示しており、良品時パラメータと不良時パラメータとのいずれも該当する。本実施形態では、このように式(2)において算出されるMDを、良品時パラメータや不良時パラメータ、即ち、モニタリングデータの判定用パラメータとして扱う。また、式(2)において、a、b、cは、モニタリングデータであり、a、b、cの順で、不良種類に対する影響度が高いモニタリングデータになっており、Sは平方和を示している。式(2)では、3つの高影響度モニタリングデータを用いて良品時パラメータや不良時パラメータを算出するため、モニタリングデータは、a、b、cの3つになっているが、式(2)におけるモニタリングデータの数は、高影響度モニタリングデータ抽出部123で抽出する高影響度モニタリングデータの数に応じて増減する。
【0111】
また、判定用パラメータ算出部124は、高影響度モニタリングデータ以外のモニタリングデータにおいても、モニタリングデータ抽出部122で抽出した不良時モニタリングデータより、不良時パラメータを算出する。判定用パラメータ算出部124で算出したこれらの不良時パラメータは、良否判定設定子画面70の不良時パラメータ表示部75に表示する。
【0112】
次に、成形品の良否判定を行う際における判定推奨値を、良品時モニタリングデータに基づいて算出する(ステップST37)。判定推奨値の算出は、制御装置100の処理部110が有する推奨値算出部126で行う。推奨値算出部126は、本実施形態では、良品時モニタリングデータに基づいて算出した良品時パラメータと、不良時モニタリングデータに基づいて算出した不良時パラメータとを用いて、下記の式(3)によって判定推奨値を算出する。
【0113】
【数2】
【0114】
式(3)において、MDは、良品時パラメータであり、MD´は、不良時パラメータである。また、式(3)において、σは、良品時パラメータの標準偏差であり、σ´は、不良時パラメータの標準偏差である。
【0115】
推奨値算出部126で算出した判定推奨値は、良否判定設定子画面70の判定推奨値表示部77に表示する。
【0116】
本実施形態では、これら良否判定設定親画面60と良否判定設定子画面70とによって成形品の良否判定のパラメータを設定してから成形品の成形を行うことにより、射出成形機1で成形した成形品に不良品が発生したか否かを、モニタリングデータに基づいて判定することが可能になっている。
【0117】
<良否判定画面80>
次に、射出成形機1で成形した成形品に不良品が発生したか否かをモニタリングデータに基づいて判定する制御に用いる、表示部170に表示する良否判定画面80について説明する。図15は、良否判定画面80の説明図である。射出成形機1で成形した成形品に不良品が発生したか否かの判定は、図15に示すような良否判定画面80を、表示部170に表示しながら制御装置100で行う。図15に示す良否判定画面80は、不良名称表示部81と、判定閾値入力部82と、アラーム選択部83とを有している。
【0118】
不良名称表示部81は、射出成形機1で成形した成形品の良否判定を制御装置100で行う際における不良品の不良種類の名称、即ち、不良名称を表示する。成形した成形品が不良品であるか否かの判定を制御装置100で行う際には、判定を行う不良名称を選択することが可能になっており、良否判定画面80の不良名称表示部81は、選択した不良名称を表示することが可能になっている。
【0119】
判定閾値入力部82は、成形した成形品が不良品であるか否かの判定を、成形品の成形時に取得したモニタリングデータの判定用パラメータに基づいて行う際における、判定用パラメータに対する閾値である判定閾値を入力する部分になっている。判定閾値入力部82は、入力部160を用いて判定閾値を不良名称ごとに入力することが可能になっている。判定閾値入力部82には、推奨値算出部126で算出した判定推奨値が判定閾値のデフォルトとして入力されており、成形する成形品や不良種類等に応じて、ユーザが適宜判定推奨値を変更することにより、成形品や不良種類等に適した値を判定閾値として設定することができる。
【0120】
アラーム選択部83は、モニタリングデータの判定用パラメータが判定閾値を超えた場合に、モニタリングデータの判定用パラメータが判定閾値を超えたことをユーザに報知するアラームを有効にするか無効にするかを選択する部分になっている。アラーム選択部83は、入力部160を用いて、アラームを有効にするか無効にするかの選択を、不良名称ごとに行うことが可能になっている。
【0121】
<成形品に不良品が発生したか否かの判定制御>
良否判定設定親画面60と良否判定設定子画面70とを用いて、成形品の良否判定を行う際におけるパラメータを設定することにより、判定閾値が定まったら、成形品に不良品が発生したか否かの判定を行う制御が可能となる。次に、射出成形機1で成形した成形品に不良品が発生したか否かの判定をモニタリングデータに基づいて行う制御について説明する。
【0122】
図16は、成形品に不良品が発生したか否かをモニタリングデータに基づいて判定する制御を行う際の制御の流れを示すフロー図である。成形品の良否判定を行う制御では、射出成形機1で成形品を成形しながら、射出成形機1に設けられる各センサより、モニタリングデータを取得する(ステップST41)。モニタリングデータは、制御装置100の処理部110が有するモニタリングデータ取得部111で取得する。モニタリングデータ取得部111は、射出成形機1によるショットごとにモニタリングデータを取得し、データを更新する。即ち、モニタリングデータ取得部111は、射出成形機1によるショットごとに、設定タイミングデータ91とサンプル点データ97とを取得し、合体データ90を生成することによりデータを更新する。
【0123】
モニタリングデータを取得したら、成形時パラメータを算出する(ステップST42)。成形時パラメータの算出は、制御装置100の処理部110が有する成形時パラメータ算出部125で行う。成形時パラメータ算出部125は、モニタリングデータ取得部111で取得したモニタリングデータにおける、高影響度モニタリングデータ抽出部123で抽出した高影響度モニタリングデータと同じ種類のモニタリングデータの判定用パラメータを算出することにより、成形時パラメータを算出する。つまり、成形時パラメータ算出部125は、モニタリングデータ抽出部122によって基礎データより抽出した複数の設定タイミングデータ91とサンプル点データ97との複数のモニタリングデータに対する、高影響度モニタリングデータと同じ種類のモニタリングデータの判定用パラメータを算出することによって、成形時パラメータを算出する。
【0124】
高影響度モニタリングデータは、不良種類ごと、即ち、不良名称ごとに算出するため、高影響度モニタリングデータと同じ種類のモニタリングデータより算出する成形時パラメータも、不良名称ごとに算出する。成形時パラメータは、判定用パラメータ算出部124でモニタリングデータの判定用パラメータを求める場合と同様にMT法を適用して、基礎データより抽出した複数のモニタリングデータに対する、高影響度モニタリングデータと同じ種類のモニタリングデータのマハラノビス距離の2乗の値を求めることにより算出する。成形時パラメータは、モニタリングデータ取得部111によってモニタリングデータを取得し、データが更新されたタイミングで成形時パラメータを算出する。
【0125】
成形時パラメータを算出したら、次に、成形時パラメータは判定閾値より大きいか否かを判定する(ステップST43)。この判定は、制御装置100の処理部110が有する良否判定部127で行う。良否判定部127は、成形時パラメータ算出部125で算出した成形時パラメータと、成形時パラメータに対する閾値である判定閾値とを比較し、射出成形機1で成形した成形品に不良品が発生したか否かの判定を行う。
【0126】
この判定に用いる判定閾値は、良否判定画面80の判定閾値入力部82で設定した値になっており、判定閾値としては、推奨値算出部126で算出した判定推奨値か、または判定推奨値に基づいてユーザが設定した値が設定されている。良否判定部127は、このように設定される判定閾値と、成形時パラメータ算出部125で算出した成形時パラメータとを不良名称ごとに比較し、不良名称ごとに、成形時パラメータは判定閾値より大きいか否かの判定を行う。
【0127】
良否判定部127での判定により、成形時パラメータ算出部125で算出した成形時パラメータは判定閾値より大きくないと判定された場合(ステップST43:No判定)は、射出成形機1による成形品の成形を継続する。
【0128】
これに対し、良否判定部127での判定により、成形時パラメータ算出部125で算出した成形時パラメータは判定閾値より大きいと判定された場合(ステップST43:Yes判定)は、異常度が最も高いモニタリングデータを抽出する(ステップST44)。異常度が最も高いモニタリングデータは、制御装置100の処理部110が有する異常データ抽出部128で抽出する。成形時パラメータが判定閾値より大きいか否かの判定は、不良名称ごとに行うため、異常データ抽出部128は、成形時パラメータが判定閾値より大きいと判定された不良名称における、異常度が最も高いモニタリングデータを抽出する。即ち、異常データ抽出部128は、成形時パラメータが判定閾値より大きいと判定された不良名称における、異常度が最も高い設定タイミングデータ91またはサンプル点データ97を抽出する。
【0129】
異常データ抽出部128は、モニタリングデータ取得部111で取得したモニタリングデータにおける、複数の高影響度モニタリングデータと同じ種類の複数のモニタリングデータのうち、高影響度モニタリングデータにおける良品時モニタリングデータに対して最も乖離が大きいモニタリングデータを、異常度が最も高いモニタリングデータとして抽出する。具体的には、異常データ抽出部128は、下記の式(4)によって外れ度を算出し、外れ度が最も大きいモニタリングデータ、即ち、外れ度が最も大きい設定タイミングデータ91またはサンプル点データ97を、異常度が最も高いモニタリングデータとして抽出する。
【0130】
外れ度=|(良品時モニタリングデータの平均値-該当ショットのモニタリングデータ)/(良品時モニタリングデータの標準偏差σ)|・・・(4)
【0131】
異常データ抽出部128は、複数の高影響度モニタリングデータと同じ種類の複数のモニタリングデータについて、それぞれ上記の式(4)を演算し、それぞれのモニタリングデータに対して外れ度を算出して、異常度が最も高いモニタリングデータを抽出する。
【0132】
異常度が最も高いモニタリングデータを抽出したら、メッセージを表示する(ステップST45)。メッセージの表示は、例えば、制御装置100が表示部170に表示させる。メッセージは、良否判定画面80のアラーム選択部83で、アラームを有効にするとの選択が行われた不良名称の成形時パラメータが、判定閾値より大きいと判定された場合に、異常度が最も高いモニタリングデータを、不良名称と共に報知するメッセージを、表示部170に表示させる。即ち、表示部170には、不良名称の不良が発生したことと、異常度が最も高いモニタリングデータの値が異常であることのメッセージを表示させる。
【0133】
表示部170にメッセージが表示された場合には、表示されたモニタリングデータの値が正常値になるように射出成形機1の調整を行うことにより、表示部170に表示された不良名称の不良種類を解消することができる。
【0134】
なお、射出成形機1に、不良品を取り出す取出ロボット(図示省略)やシュータ(図示省略)が備えられる場合は、成形時パラメータが判定閾値より大きいと判定された際には、当該ショットにより成形された成形品は、取出ロボットやシュータにより、不良品用の保管場所に振り分けてもよい。
【0135】
<実施形態の効果>
以上の実施形態に係る射出成形機1の良否判定システム200は、射出成形機1による成形品の成形時に、それぞれ予め設定されたタイミングでのモニタリングデータである設定タイミングデータ91を設定タイミングデータ取得部112で取得し、波形データ取得部113で取得した波形データ95における、時間が異なる複数のサンプル点96でのデータであるサンプル点データ97をサンプル点データ取得部114で取得する。さらに、設定タイミングデータ取得部112で取得した複数の設定タイミングデータ91からなるモニタリングデータ群92と、サンプル点データ取得部114で取得した複数のサンプル点データ97とを合体させて合体データ90を合体データ生成部115で生成し、合体データ90に基づいて、射出成形機1で成形した成形品に不良品が発生したか否かの判定を良否判定部127で行う。
【0136】
このように、波形データ95に複数のサンプル点96を設定し、サンプル点96の位置での波形データ95の値をサンプル点データ97として取得してモニタリングデータ群92と合体させることにより、設定タイミングデータ91とサンプル点データ97とを同次元で扱って成形品に不良品が発生したか否かの判定を行うことができる。この結果、モニタリングデータ群92と波形データ95とを同次元で組み合わせて成形不良判定を行うことができる。
【0137】
また、良否判定システム200は、製品となる成形品を成形する前に、成形品が良品であるか不良品であるかの判定結果と合体データ90とが紐付けられた基礎データから、良品時モニタリングデータと不良時モニタリングデータとをそれぞれ複数抽出し、抽出した複数のモニタリングデータのうち、不良品の不良種類に対する影響度が高いモニタリングデータである高影響度モニタリングデータを抽出する。その後、射出成形機1によって製品となる成形品を成形する際に、合体データ90に含まれる設定タイミングデータ91とサンプル点データ97とのうち高影響度モニタリングデータと同じ種類のモニタリングデータに基づいて成形品の良否判定を行う際のパラメータである成形時パラメータを算出し、算出した成形時パラメータと、成形時パラメータに対する閾値である判定閾値とを比較することにより、射出成形機1で成形した成形品に不良品が発生したか否かの判定を行う。
【0138】
これにより、射出成形機1で成形した成形品に対して、合体データ90に含まれる設定タイミングデータ91と波形データ95とが交互作用を発生させる場合でも、合体データ90に含まれる設定タイミングデータ91とサンプル点データ97とより算出する成形時パラメータを用いて成形品の良否判定を行うことにより、設定タイミングデータ91とサンプル点データ97とを同次元で扱って成形品に不良品が発生したか否かの判定を行うことができる。この結果、モニタリングデータ群92と波形データ95とを同次元で組み合わせて成形不良判定を行うことができる。
【0139】
また、モニタリングデータは、相関係数が高いモニタリングデータ同士が同じグループになるように予めグルーピングされて設定され、高影響度モニタリングデータ抽出部123は、同一グループからは最も影響度が高いモニタリングデータ1つのみを抽出するため、相関係数が高いモニタリングデータ同士が、高影響度モニタリングデータとして抽出されるのを抑制することができる。これにより、推奨値算出部126で判定推奨値の算出を算出する際に、相関係数が高いモニタリングデータ同士が高影響度モニタリングデータとして抽出されることに起因して、判定推奨値の算出の基となるモニタリングデータに偏りが出ることを抑制することができる。従って、成形品の良否判定を行う際に、相関係数が高いモニタリングデータ同士のみを参照して判定することを抑制でき、不良品の原因となるモニタリングデータを、多角的に監視することができる。この結果、良否判定の精度をさらに向上させることができ、不良の原因をより確実に特定することができる。
【0140】
[変形例]
なお、上述した実施形態では、射出成形機1の各部に設けられるセンサによってモニタリングデータを検出しているが、射出成形機1の動作時にモニタリングデータを検出するセンサは、必要に応じて追加したり減らしたりしてもよい。このように、射出成形機1に配置するセンサの数を変更した場合には、センサの数を変更するごとに、合体データ90に含まれるモニタリングデータのグルーピングを設定するのが好ましい。つまり、射出成形機1に配置するセンサの数を変更した場合には、各センサで検出するモニタリングデータの相関係数をモニタリングデータごとに算出し、算出した相関係数に基づいて、相関係数の高いモニタリングデータ同士が同じグループになるようにグルーピングする。例えば、各センサで検出するモニタリングデータは、相関係数が0.5以上のモニタリングデータ同士は、相関があるとして同じグループに設定する。または、相関が高くなることが明らかなモニタリングデータ同士は、相関係数に関わらず同じグループにすることを事前に決定して同じグループに設定してもよい。
【0141】
これにより、射出成形機1に配置するセンサの数を変更した場合でも、相関係数が高いモニタリングデータ同士が高影響度モニタリングデータとして抽出されることに起因して、判定推奨値の算出の基となるモニタリングデータに偏りが出ることを抑制することができる。この結果、モニタリングデータを検出するセンサの数を変更した場合でも、良否判定の精度を向上させることができ、不良の原因をより確実に特定することができる。
【0142】
また、モニタリングデータのグルーピングは、相関係数以外に基づいて行ってもよい。図17は、実施形態に係る良否判定システム200でのサンプル点データ97の取得についての変形例を示す説明図である。波形データ95では、時間が進む方向において隣り合うサンプル点データ97同士の相関が高くなるのは明らかであるため、波形データ95における一定区間内のサンプル点データ97同士は、予めグルーピングしておいてもよい。つまり、サンプル点データ取得部114は、例えば、図17に示すように、時間が進む方向において連続する複数のサンプル点96からなるグループ98を1つの波形データ95に対して複数設定し、1つのグループ98からは1つのサンプル点データ97を取得するようにしてもよい。
【0143】
これにより、波形データ95において、成形サイクル内における時間が互いに近いサンプル点データ97同士が高影響度モニタリングデータとして抽出されてしまい、成形品の良否判定を行う際のパラメータである成形時パラメータの算出に用いるモニタリングデータに、成形サイクル内における時間が互いに近い複数のサンプル点データ97が用いられることを抑制することができる。従って、相関が低い複数のモニタリングデータに基づいて成形品の良否判定を行うことができるため、良否判定の精度を向上させることができ、不良の原因をより確実に特定することができる。
【0144】
また、サンプル点データ97を高影響度モニタリングデータとして抽出する場合には、1つの波形データ95からは1つのサンプル点データ97のみを抽出するようにしてもよい。つまり、高影響度モニタリングデータ抽出部123は、高影響度モニタリングデータ抽出部123で抽出する高影響度モニタリングデータにサンプル点データ97を含む場合は、1つの波形データ95につき1つのサンプル点データ97を高影響度モニタリングデータとして抽出するようにしてもよい。
【0145】
これにより、高影響度モニタリングデータとして抽出されるサンプル点データ97が、特定の波形データ95のサンプル点データ97に集中することを抑制することができ、判定推奨値の算出の基となるモニタリングデータに偏りが出ることを抑制することができる。従って、相関が低い複数のモニタリングデータに基づいて成形品の良否判定を行うことができるため、良否判定の精度を向上させることができ、不良の原因をより確実に特定することができる。
【0146】
また、上述した実施形態では、基礎データは、基礎データの生成を行う手順において成形品の検品をユーザが目視で行い、成形品が良品であるか不良品であるかを制御装置100に対してユーザが入力することにより基礎データの生成を行っているが、射出成形機1で成形を行った際に、制御装置100が自動的に基礎データを生成するようにしてもよい。
【0147】
例えば、射出成形機1に、成形品を撮影して画像データに変換するカメラ等の撮影部を設け、基礎データを生成する工程で成形品を撮影部で撮影し、撮影した成形品の画像データを解析することにより、成形品が良品であるか不良品であるかの判定を行ってもよい。このように、撮影部で撮影した画像データに基づいて成形品が良品であるか不良品であるかの判定を行い、この判定結果とモニタリングデータと紐付けて基礎データを生成することにより、基礎データを容易に生成することができる。
【0148】
また、上述した実施形態では、判定推奨値は、良品時モニタリングデータに基づいて算出した良品時パラメータと、不良時モニタリングデータに基づいて算出した不良時パラメータとを用いて式(3)によって算出しているが、判定推奨値は、これ以外の手法によって算出してもよい。判定推奨値は、例えば、不良時パラメータは用いずに、下記の式(5)によって算出してもよい。
【0149】
【数3】
【0150】
判定推奨値を算出する手法は、不良品の不良種類や、良品から外れた成形品を許容するか等に応じて、適宜定めるのが好ましい。
【符号の説明】
【0151】
1…射出成形機、2…フレーム、10…射出装置、11…加熱バレル、12…ノズル、13…スクリュ、15…ホッパ、20…計量部、25…射出装置駆動部、30…型締装置、31…固定盤、32…移動盤、35…固定金型、36…移動金型、40…型締駆動機構、41…トグル機構、45…押出機構、46…押出部材、50…モニタリングデータ判定画面、51…モニタリングデータ名称表示部、52…基準値入力部、53…許容値入力部、54…アラーム選択部、60…良否判定設定親画面、61…不良名称入力部、62…設定ボタン、70…良否判定設定子画面、71…不良情報表示部、72…抽出期間入力部、73…良否判定用データ表示部、74…サンプルショット数表示部、75…不良時パラメータ表示部、76…判定用パラメータヒストグラム表示部、77…判定推奨値表示部、80…良否判定画面、81…不良名称表示部、82…判定閾値入力部、83…アラーム選択部、90…合体データ、91…設定タイミングデータ、92…モニタリングデータ群、95…波形データ、96…サンプル点、97…サンプル点データ、98…グループ、100…制御装置、110…処理部、111…モニタリングデータ取得部、112…設定タイミングデータ取得部、113…波形データ取得部、114…サンプル点データ取得部、115…合体データ生成部、116…基準値取得部、117…許容値取得部、118…モニタリングデータ判定部、121…基礎データ生成部、122…モニタリングデータ抽出部、123…高影響度モニタリングデータ抽出部、124…判定用パラメータ算出部、125…成形時パラメータ算出部、126…推奨値算出部、127…良否判定部、128…異常データ抽出部、140…記憶部、150…入出力部、160…入力部、170…表示部、200…良否判定システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17