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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172072
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231129BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/17 201
B41J2/01 301
B41J2/01 451
B41J2/01 305
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083630
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】川上 和久
(72)【発明者】
【氏名】島田 知明
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB06
2C056EB29
2C056EB30
2C056EB31
2C056EC06
2C056EC28
2C056HA46
2C056HA60
2C056JC13
(57)【要約】
【課題】インクを吐出された媒体を乾燥させるために使用される熱や空気が有効に活用されない虞がある。
【解決手段】記録装置1は、媒体Pにインクを吐出することで記録を行う記録ヘッド13と、媒体Pが搬送される搬送方向において記録ヘッド13よりも下流に設けられ、インクを吐出された媒体Pを乾燥させる乾燥部10と、記録ヘッド13から廃液として排出されたインクを収容する廃液収容部51と、乾燥部10が設けられる領域HRの空気を廃液収容部51に送る第1送風部70と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に液体を吐出することで記録を行う記録部と、
前記媒体が搬送される搬送方向において前記記録部よりも下流に設けられ、前記液体を吐出された前記媒体を乾燥させる乾燥部と、
前記記録部から廃液として排出された前記液体を収容する廃液収容部と、
前記乾燥部が設けられる領域の空気を前記廃液収容部に送る第1送風部と、
を備える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記廃液収容部に収容される前記廃液の量を検出する廃液量検出部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
媒体に液体を吐出することで記録を行う記録部と、
前記媒体が搬送される搬送方向において前記記録部よりも下流に設けられ、前記液体を吐出された前記媒体を乾燥させる乾燥部と、
前記記録部によって記録される前記媒体を収容する媒体収容部と、
前記乾燥部が設けられる領域の空気を前記媒体収容部に送る第2送風部と、
を備える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
前記記録部によって記録される前記媒体を収容する媒体収容部と、
前記乾燥部が設けられる前記領域の前記空気を前記媒体収容部に送る第2送風部と、
をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
前記第1送風部に送られる前記空気の流量と前記第2送風部に送られる前記空気の流量とを調整可能な送風調整部と、
制御部と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記記録部によって記録された前記媒体が前記乾燥部を搬送されているときは、少なくとも前記第2送風部に前記空気が送られるように前記送風調整部を制御し、
前記記録部によって記録された前記媒体が前記乾燥部を搬送されていないときは、少なくとも前記第1送風部に前記空気が送られるように前記送風調整部を制御する、
ことを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記記録部によって記録された前記媒体が前記乾燥部を搬送されているときは、前記第2送風部に前記空気が送られるように前記送風調整部を制御し、
前記記録部によって記録された前記媒体が前記乾燥部を搬送されていないときは、前記第1送風部に前記空気が送られるように前記送風調整部を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記廃液収容部における温度および湿度の少なくとも一方を計測する第1計測部と、
前記媒体収容部における温度および湿度の少なくとも一方を計測する第2計測部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第1計測部および前記第2計測部による計測結果に基づいて、前記送風調整部を制御する、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記第2送風部に送られる前記空気の流量は、前記第1送風部に送られる前記空気の前記流量よりも多い、
ことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記廃液収容部は、前記媒体収容部と比較して前記乾燥部から近い位置に設けられる、
ことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記記録部のメンテナンスを行うメンテナンス部と、
制御部と、
をさらに備え、
前記メンテナンスを行う場合に、前記制御部が前記乾燥部を駆動させることで、
前記乾燥部の駆動中に、前記第1送風部を介して前記領域の前記空気が前記廃液収容部に送られる、
ことを特徴とする、請求項1または請求項4に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録部の一例であるインクジェットヘッドからインクを吐出させて記録紙上に画像を印刷する記録装置の一例であるインクジェット印刷装置が開示されている。記録紙は媒体の一例である。また、このインクジェット印刷装置では、インクジェットヘッドよりも下流側の記録紙搬送路中に乾燥炉を設置し、乾燥炉において、印刷済みの記録紙に、送風ファンにより風を送風することで、記録紙上のインクを乾燥させることが開示されている。また、乾燥炉には、送風ファンにより送風される空気を温めるヒーターが設けられることも開示されている。また、インクジェットヘッドのプリカーサ駆動により生じた熱による熱風を乾燥炉に送風することも開示されている。乾燥炉は乾燥部の一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-68485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のインクジェット印刷装置では、送風ファンにより送風される空気は印刷済みの記録紙上のインクを乾燥させること以外に使用されておらず、印刷済みの記録紙上のインクを乾燥させるために使用される熱や空気が有効に活用されない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
記録装置は、媒体に液体を吐出することで記録を行う記録部と、前記媒体が搬送される搬送方向において前記記録部よりも下流に設けられ、前記液体を吐出された前記媒体を乾燥させる乾燥部と、前記記録部から廃液として排出された前記液体を収容する廃液収容部と、前記乾燥部が設けられる領域の空気を前記廃液収容部に送る第1送風部と、を備える。
【0006】
記録装置は、媒体に液体を吐出することで記録を行う記録部と、前記媒体が搬送される搬送方向において前記記録部よりも下流に設けられ、前記液体を吐出された前記媒体を乾燥させる乾燥部と、前記記録部によって記録される前記媒体を収容する媒体収容部と、前記乾燥部が設けられる領域の空気を前記媒体収容部に送る第2送風部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態としての記録装置の外観構成を示す斜視図。
図2】実施形態において廃液収容部に空気が送られる様子を示す模式図。
図3】実施形態において媒体収容部に空気が送られる様子を示す模式図。
図4】実施形態において廃液収容部に空気が送られる様子を示す模式図。
図5】媒体収容部装着部から媒体収容部が外された状態を示す模式図。
図6】廃液収容部装着部から廃液収容部が外される様子を示す模式図。
図7】その他の実施形態において廃液収容部に空気が送られる様子を示す模式図。
図8】その他の実施形態において媒体収容部に空気が送られる様子を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を実施形態に基づいて説明する。各図において同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、完全に同じであることを指すのみならず、測定誤差を考慮して同じである場合、部材の製造ばらつきを考慮して同じである場合、および、機能を損なわない範囲で同じである場合を含むものとする。よって、例えば、「両者の寸法が同じである」とは、測定誤差、部材の製造ばらつきを考慮し、両者の寸法差が、一方の寸法の±10パーセント以内、さらに好ましくは±5パーセント以内、特に好ましくは±3パーセント以内であることを指す。
【0009】
また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向とする。向きを特定する場合には、正の方向を「+」、負の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用し、各図の矢印が向かう向きを+方向、矢印の反対方向を-方向として説明する。
【0010】
また、Z軸方向は、重力方向を示し、+Z方向は鉛直上向き、-Z方向は鉛直下向きを示す。また、X軸,Y軸を含む平面をX-Y面、X軸,Z軸を含む平面をX-Z面、Y軸,Z軸を含む平面をY-Z面として説明する。また、X-Y面は水平面となる。さらに、正方向及び負方向を限定しない3つのX、Y、Zの空間軸については、X軸、Y軸、Z軸として説明する。
【0011】
尚、各図においてX軸方向は記録装置1の奥行方向であり、搬送経路14の経路幅方向であり、媒体Pの幅方向である。X軸方向のうち-X方向は記録装置1の背面から記録装置1の前面に向かう方向である。また+X方向は記録装置1の前面から記録装置1の背面に向かう方向である。
【0012】
Y軸方向は記録装置1の幅方向である。Y軸方向のうち-Y方向は記録装置1の前面をユーザーと対面させた際にユーザーから見て右方向となり、また+Y方向は同左方向となる。またZ軸方向は記録装置1の高さ方向である。本実施形態において記録装置1の周囲を構成する側面のうち操作部6が設けられた側面が記録装置1の前面となる。
【0013】
1.実施形態1
記録装置1は、例えば、搬送方向に搬送される媒体Pに対して記録部からインクを吐出することで記録を行うインクジェット方式のプリンターである。インクは液体の一例である。図1に示すように、記録装置1は、装置本体2と、スキャナーユニット3と、を備える複合機として構成される。装置本体2には、媒体Pを収容する複数の媒体収容部4A,4B,4Cが設けられる。各媒体収容部4A,4B,4Cは、後述する媒体収容部装着部19A,19B,19Cに対して、装置本体2の-X方向側から着脱可能に取り付けられる。尚、本明細書において媒体Pとは、一例として普通紙や厚紙、写真用紙等の用紙を指している。また、複数の媒体収容部4A,4B,4Cには、サイズの異なる媒体Pを収容可能である。
【0014】
また、装置本体2のうち、Z軸方向において、スキャナーユニット3と媒体収容部4A,4B,4Cとの間となる位置には、後述する記録ヘッド13によって記録が実行された媒体Pを排出する排出部7と、排出部7から排出される媒体Pを載置する媒体載置部5が設けられる。記録ヘッド13は記録部の一例である。また、装置本体2のうち、スキャナーユニット3の-X方向側であって、媒体載置部5の+Z方向側となる位置には、操作部6が設けられる。操作部6は、液晶パネル等の表示部と、記録装置1に対して記録動作および画像読取動作の指示を入力可能な入力部と、を備える。
【0015】
また、図2に示すように、装置本体2には、媒体収容部装着部19A,19B,19Cと、搬送部15と、記録ヘッド13と、乾燥部10と、液体供給源25と、メンテナンス部30と、廃液収容部51と、送風機構60と、制御部95と、が設けられる。
【0016】
図2図5に示すように、媒体収容部装着部19A,19B,19Cは、記録装置1の-Z方向側の面である底面側から+Z方向に向かって、媒体収容部装着部19C、媒体収容部装着部19B、媒体収容部装着部19Aの順にZ軸方向に並ぶように設けられる。各媒体収容部装着部19A,19B,19Cは、各媒体収容部4A,4B,4Cを着脱可能に収容する。各媒体収容部装着部19A,19B,19Cには、それぞれ気体導出部83A,83B,83C、温湿度検出部85A,85B,85C、および連通部86A,86B,86Cが設けられる。
【0017】
尚、媒体収容部4A,4B,4Cは、+Z方向側が開口している。このため、媒体収容部4Aが媒体収容部装着部19Aに装着されると、媒体収容部4A内の空間と媒体収容部装着部19A内の空間とが連通する。また、媒体収容部4Bが媒体収容部装着部19Bに装着されると、媒体収容部4B内の空間と媒体収容部装着部19B内の空間とが連通する。また、媒体収容部4Cが媒体収容部装着部19Cに装着されると、媒体収容部4C内の空間と媒体収容部装着部19C内の空間とが連通する。
【0018】
各気体導出部83A,83B,83Cは、各媒体収容部装着部19A,19B,19Cの中央より+Y方向側の側面に近い位置であって、各媒体収容部装着部19A,19B,19Cの中央より-Z方向側の側面である底面に近い位置に設けられる。各気体導出部83A,83B,83Cは、各媒体収容部装着部19A,19B,19Cの+X方向側の側面から-X方向に突出し、-X方向側の端部に開口する導出口を有する。
【0019】
各気体導出部83A,83B,83Cは、各媒体収容部4A,4B,4Cが対応する媒体収容部装着部19A,19B,19Cに装着されると、各媒体収容部4A,4B,4Cに設けられる気体導出部挿入穴87を介して対応する媒体収容部4A,4B,4C内に挿入される。気体導出部83A,83B,83Cは、各気体導出部83A,83B,83Cの導出口から、各媒体収容部装着部19A,19B,19C内、および各媒体収容部装着部19A,19B,19Cに装着される各媒体収容部4A,4B,4C内に、後述する送風機構60が備える第2送風部80から送られる空気を供給する。
【0020】
各温湿度検出部85A,85B,85Cは、各媒体収容部4A,4B,4Cが対応する媒体収容部装着部19A,19B,19Cに装着されると、対応する媒体収容部4A,4B,4Cに設けられる温湿度検出部挿入穴88を介して対応する媒体収容部4A,4B,4C内に挿入される。各温湿度検出部85A,85B,85Cは、各媒体収容部装着部19A,19B,19Cの+X方向側の側面から-X方向に突出するように設けられる。
【0021】
各温湿度検出部85A,85B,85Cは、対応する媒体収容部装着部19A,19B,19C内、および対応する媒体収容部装着部19A,19B,19Cに装着される媒体収容部4A,4B,4C内の温度および湿度を検出可能に設けられる。温湿度検出部85A,85B,85Cは、媒体収容部4A,4B,4C内の温度および湿度のうち少なくとも一方を計測する第2計測部の一例である。
【0022】
各連通部86A,86B,86Cは、各媒体収容部装着部19A,19B,19Cの+Z方向側の側面である上面に設けられる貫通穴である。各連通部86A,86B,86Cは、各媒体収容部装着部19A,19B,19C内の空間と装置本体2内の空間とを連通する。各連通部86A,86B,86Cは、各媒体収容部装着部19A,19B,19Cの中央より-Y方向側の側面に近い位置であって、各媒体収容部装着部19A,19B,19Cの中央より-X方向側の側面に近い位置に設けられる。これにより、気体導出部83A,83B,83Cと連通部86A,86B,86Cとは、各媒体収容部装着部19A,19B,19Cにおいて実質対角に配置される。これにより、各気体導出部83A,83B,83Cから媒体収容部装着部19A,19B,19C内に送られる空気は、媒体収容部装着部19A,19B,19C内、および媒体収容部装着部19A,19B,19Cに収容される媒体収容部4A,4B,4C内全体に行渡りやすい。
【0023】
図2図3に示すように、搬送部15は、二点鎖線で示す搬送経路14に沿って、搬送方向下流側となる排出部7および媒体載置部5に向けて、媒体収容部4A,4B,4Cが収容する媒体Pを搬送する。搬送部15は、供給ローラー16A,16B,16C、複数の搬送ローラー17、および搬送ベルト18を備える。
【0024】
各供給ローラー16A,16B,16Cは、回転駆動されることで、対応する媒体収容部装着部19A,19B,19C内の媒体収容部4A,4B,4Cに収容される媒体Pを搬送方向下流に向けて搬送する。複数の搬送ローラー17は、回転駆動されることで、搬送経路14に沿って、媒体Pを搬送方向下流に向けて搬送する。
【0025】
搬送ベルト18は、搬送経路14に沿い、かつ記録ヘッド13のノズル12が設けられるノズル面と対向する搬送位置と、搬送経路14から離れる退避位置と、に移動可能に設けられる。搬送ベルト18は、X軸に沿って延びる回転軸18Aを軸中心にして回動可能に設けられる。搬送ベルト18は、搬送位置において、回転駆動されることで、搬送経路14に沿って、媒体Pを搬送方向下流に向けて搬送する。本実施形態の搬送ベルト18は、搬送ベルト18の外面に媒体Pを静電吸着して搬送する、所謂静電吸着ベルトである。
【0026】
記録ヘッド13は、ノズル12から-Z方向にインクを吐出することで、媒体Pに対して記録を行う。記録ヘッド13は、搬送位置にある搬送ベルト18に対向する位置であって、搬送ベルト18に搬送される媒体Pに対して+Z方向となる位置に設けられる。本実施形態の記録ヘッド13は、X軸方向に沿う媒体Pの幅全域に亘りインクを同時に吐出可能に、複数のノズル12が設けられる所謂ラインヘッドである。
【0027】
乾燥部10は、記録ヘッド13のノズル12からインクを吐出された媒体Pを乾燥させる。乾燥部10は、搬送経路14において、記録ヘッド13に対して搬送方向下流側となる位置に設けられる。本実施形態の乾燥部10は、搬送経路14を搬送される媒体Pに対して-Z方向となる位置に、媒体Pに対向するように設けられるヒーターである。乾燥部10は、インクを吐出された媒体Pを乾燥させることが可能であればヒーターでなくてもよく、例えば、記録ヘッド13から発生する熱、制御部95等が設けられる回路基板90から発生する熱、記録装置1の電源ユニット(不図示)から発生する熱等を収集し、媒体Pに対して温風として送る構成を乾燥部10として採用してもよい。
【0028】
液体供給源25は、液体供給源25に収容されるインクを記録ヘッド13に供給する。本実施形態では、装置本体2に設けられる液体供給源装着部26に対して、四つの液体供給源25が、装置本体2の-X方向側から着脱可能に設けられる。各液体供給源25には、例えば、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、およびイエローインクがそれぞれ収容される。液体供給源装着部26は、装置本体2のうち、Y軸方向において+Y方向側の側面と排出部7との間となる位置であって、操作部6に対して-Z方向側となる位置に設けられる。
【0029】
液体供給源25が液体供給源装着部26に装着されることで、液体供給源装着部26と記録ヘッド13とを接続する供給流路27を介して、液体供給源25に収容されるインクが記録ヘッド13に供給可能となる。本実施形態の液体供給源25は、カートリッジ式の液体収容体であるが、液体供給源装着部26に装着された液体タンクに、液体タンクに設けた注入口からインクを注入することで、液体を補給する継ぎ足し式の液体タンクであってもよい。
【0030】
図2図4に示すように、メンテナンス部30は、記録ヘッド13のメンテナンスを行う。メンテナンス部30は、キャップ32と、廃液チューブ33と、吸引ポンプ34と、を備える。キャップ32は、不図示のキャップ移動機構を駆動することで、記録ヘッド13のノズル面に接触してノズル12が開口するキャッピング空間を形成するキャッピング位置と、キャッピング位置に対して-Z方向側となる待機位置と、の間を移動可能に設けられる。廃液チューブ33は、キャップ32と、後述する廃液収容部装着部41に設けられる廃液排出部42と、の間を接続する。廃液チューブ33には吸引ポンプ34が設けられる。
【0031】
記録ヘッド13により記録が行われないとき、メンテナンス部30は、キャップ32がキャッピング位置に移動することで、キャッピングを行う。メンテナンス部30は、キャッピングを行うことにより、記録ヘッド13のノズル12からインクの溶媒成分である水が蒸発すること、ノズル面に異物が付着すること等を抑制することで、記録ヘッド13のメンテナンスを行う。
【0032】
また、記録ヘッド13のメンテナンスを目的として、ノズル12からインクを吐出するフラッシングを行うとき、メンテナンス部30は、キャッピング位置と待機位置との間となる離隔位置にキャップ32が移動することで、フラッシングにより排出されたインクをキャップ32に収集する。フラッシングとは、記録のためのインクの吐出とは異なるタイミングで、ノズル12からインクを吐出することで、吐出不良の原因となる記録ヘッド13内の異物、気泡、および増粘したインクのいずれかを排出するものである。
【0033】
また、メンテナンス部30は、キャップ32がキャッピング位置にある状態で、吸引ポンプ34を駆動することで、ノズル12に負圧を作用させてノズル12からインクを排出させる吸引クリーニングを行う。メンテナンス部30は、吸引クリーニングを行うことにより、記録ヘッド13内および供給流路27内の異物、気泡、および増粘したインクのいずれかを排出することで、記録ヘッド13および供給流路27のメンテナンスを行う。
【0034】
フラッシング、および吸引クリーニングにおいて、記録ヘッド13からキャップ32に排出されたインクは、吸引ポンプ34を駆動することで、廃液チューブ33、および廃液排出部42を介して、廃液収容部装着部41に装着される廃液収容部51に、廃液として収容される。尚、フラッシング、および吸引クリーニングが行われるとき、搬送ベルト18は、退避位置に位置する。
【0035】
図2図6に示すように、廃液収容部51は、装置本体2の+Y方向側から廃液収容部装着部41に対して着脱可能に設けられる。廃液収容部51には、廃液排出部挿入穴52、温湿度検出部挿入穴53、気体導出部挿入穴54、連通部55が設けられる。
【0036】
廃液排出部挿入穴52は、廃液収容部51の-Y方向側の側面のうち中央より-Z方向側の側面に近い位置に設けられる貫通穴である。温湿度検出部挿入穴53は、廃液収容部51の-Y方向側の側面のうち中央より+Z方向側の側面である上面に近い位置に設けられる貫通穴である。気体導出部挿入穴54は、廃液収容部51の-Y方向側の側面に設けられる貫通穴であって、Z軸方向において廃液排出部挿入穴52と温湿度検出部挿入穴53との間に位置する。連通部55は、廃液収容部51の上面のうち中央より+Y方向側の側面に近い位置に設けられる貫通穴である。連通部55は、廃液収容部51の内部空間と廃液収容部51の外部空間とを連通する。
【0037】
また、廃液収容部51内には、廃液を吸収し、保持可能な廃液吸収体56が設けられる。廃液吸収体56は、空気が通過可能な材料、例えば、スポンジ状の多孔質部材、積層された不織布等で形成される。廃液吸収体56は、廃液収容部51内に、廃液排出部挿入穴52および気体導出部挿入穴54が開口する空間と、温湿度検出部挿入穴53および連通部55が開口する空間と、を、廃液収容部51内に形成する。
【0038】
廃液収容部装着部41は、Z軸方向において、記録ヘッド13と媒体収容部装着部19A,19B,19Cとの間となる位置に設けられる。また、廃液収容部装着部41は、乾燥部10の-Z方向側となる鉛直下方に設けられる。換言すると、廃液収容部装着部41に装着される廃液収容部51は、媒体収容部装着部19A,19B,19Cに装着される媒体収容部4A,4B,4Cと比較して、乾燥部10から近い位置にある。このため、廃液収容部装着部41に装着される廃液収容部51は、乾燥部10が駆動されることで、加熱されやすい。また、媒体収容部装着部19A,19B,19Cに装着される媒体収容部4A,4B,4Cは、乾燥部10の駆動により発生する熱の影響を直接受けにくい。
【0039】
廃液収容部装着部41は、装置本体2の+Y方向側から廃液収容部51を着脱可能に、+Y方向側が開口する。よって、廃液収容部51の内部空間は、廃液収容部装着部41に装着される状態においても、連通部55および廃液収容部装着部41の開口を介して、装置本体2の内部空間と連通する。廃液収容部装着部41には、廃液排出部42、温湿度検出部43、気体導出部72、および廃液量検出部44が設けられる。
【0040】
廃液排出部42は、廃液収容部装着部41の-Y方向側の側面のうち中央より-Z方向側の側面である底面に近い位置に設けられる。廃液排出部42は、廃液収容部装着部41の-Y方向側の側面から+Y方向に突出し、+Y方向側の端部に開口する排出口を有する。廃液収容部装着部41に廃液収容部51が装着されると、廃液排出部42は、廃液収容部51の廃液排出部挿入穴52を介して廃液収容部51内に挿入される。フラッシング、および吸引クリーニングにおいて、記録ヘッド13からキャップ32に排出されたインクは、吸引ポンプ34を駆動することで、廃液チューブ33、および廃液排出部42を介して、廃液収容部装着部41に装着される廃液収容部51内に、廃液として収容される。
【0041】
温湿度検出部43は、廃液収容部装着部41の-Y方向側の側面のうち中央より+Z方向側の側面である上面に近い位置から+Y方向に突出するように設けられる。廃液収容部装着部41に廃液収容部51が装着されると、温湿度検出部43は、廃液収容部51の温湿度検出部挿入穴53を介して廃液収容部51内に挿入される。温湿度検出部43は、廃液収容部装着部41に装着される廃液収容部51内の温度および湿度を検出可能に設けられる。温湿度検出部43は、廃液収容部51内の温度および湿度のうち少なくとも一方を計測する第1計測部の一例である。
【0042】
気体導出部72は、廃液収容部装着部41の-Y方向側の側面であって、Z軸方向において廃液排出部42と温湿度検出部43との間となる位置に設けられる。気体導出部72は、廃液収容部装着部41の-Y方向側の側面から+Y方向に突出し、+Y方向側の端部に開口する導出口を有する。廃液収容部装着部41に廃液収容部51が装着されると、気体導出部72は、廃液収容部51の気体導出部挿入穴54を介して廃液収容部51内に挿入される。気体導出部72は、気体導出部72の導出口から、廃液収容部装着部41に装着される廃液収容部51内に、後述する送風機構60が備える第1送風部70から送られる空気を供給する。尚、気体導出部72と連通部55とは、廃液収容部装着部41に装着される廃液収容部51において実質対角に配置される。これにより、気体導出部72から廃液収容部51内に送られる空気は、廃液収容部51内の広い範囲を通過しやすい。
【0043】
廃液量検出部44は、廃液収容部装着部41の中央より-Z方向側の側面である底面に近い位置に設けられる。本実施形態の廃液量検出部44は、廃液収容部装着部41に廃液収容部51の重量を検出可能に設けられる重量センサーである。廃液量検出部44が検出する廃液収容部51の重量から廃液を収容していないときの廃液収容部51の重量を差し引くことで、廃液収容部51に収容される廃液量が算出される。換言すると、廃液量検出部44は、廃液収容部51に収容される廃液の量を検出可能である。本実施形態では、廃液を収容していないときの廃液収容部51の重量、および廃液量が設定値になり廃液収容部51の交換が必要となるときの廃液収容部51の重量は、後述する制御部95が有するメモリー97に格納される。
【0044】
図2から図4に示すように、送風機構60は、フード61、送風機62、共通通路63、送風調整部65、第1送風部70、および第2送風部80を備える。送風機構60は、媒体収容部4A,4B,4C、および廃液収容部51のいずれかに、搬送経路14のうち記録ヘッド13に対して搬送方向下流側となる領域HRであって、乾燥部10が設けられる領域HRの空気を送ることが可能である。
【0045】
フード61は、領域HRの+Z方向側となる鉛直上方に設けられ、領域HRに向かう-Z方向に開口する。
【0046】
共通通路63は、フード61の内部空間と、送風調整部65と、を連通するように接続する。共通通路63の途中には、フィルター64が設けられる。フィルター64は、フィルター64を通過する空気から、紙粉、ミスト状のインク等の異物を濾集可能である。
【0047】
送風機62は、フード61内に設けられる。送風機62が駆動されることで、領域HRの空気がフード61内に収集され、共通通路63を介して、空気の送り方向下流側となる送風調整部65に向けて流動する。送風機62は、領域HRの空気を送風調整部65に向けて流動可能であれば、例えば、共通通路63に設けられてもよい。また、本実施形態の送風機62はファン式の送風機であるが、領域HRの空気を送風調整部65に向けて流動可能であれば、例えば、送りポンプ式の送風機であってもよい。
【0048】
送風調整部65は、共通通路63と、第1送風部70および第2送風部80のいずれかと、の連通状態を調整可能に、共通通路63、第1送風部70の第1通路71、および第2送風部80の第2通路81と接続される弁である。例えば、送風調整部65が、共通通路63と第1通路71とを連通状態とし、共通通路63と第2通路81とを非連通状態とすると、図2に破線の矢印で示すように、共通通路63を送り方向下流に向かって流動する空気は第1通路71内に流入する。また、例えば、送風調整部65が、共通通路63と第1通路71とを非連通状態とし、共通通路63と第2通路81とを連通状態とすると、図3に破線の矢印で示すように、共通通路63を送り方向下流に向かって流動する空気は第2通路81内に流入する。
【0049】
また、例えば、送風調整部65が、共通通路63と第1通路71とを連通状態とし、共通通路63と第2通路81とを連通状態とすると、共通通路63を送り方向下流に向かって流動する空気は第1通路71内および第2通路81内の両方に流入する。また、このとき、第1通路71内に流入する空気の流量と、第2通路81内に流入する空気の流量と、の流量配分を、送風調整部65は調整可能である。また、送風調整部65は、共通通路63と第1通路71とを非連通状態とし、共通通路63と第2通路81とを非連通状態とすることも可能である。換言すると、送風調整部65は、第1送風部70に送られる空気の流量と第2送風部80に送られる空気の流量とを調整可能である。
【0050】
第1送風部70は、廃液収容部装着部41に装着される廃液収容部51に、領域HRの空気を送ることが可能に設けられる。第1送風部70は、上述の第1通路71、および上述の気体導出部72を備える。第1通路71は、送風調整部65と気体導出部72とを接続する。これにより、図2に破線の矢印で示すように、共通通路63から第1通路71内に流入する空気は、気体導出部72を介して、廃液収容部装着部41に装着される廃液収容部51内に流入する。廃液収容部51内に流入する空気は、廃液吸収体56内を通り、連通部55が開口し、かつ温湿度検出部43が挿入される空間に向かう。そして、気体導出部72から廃液収容部51内に流入する空気分、廃液収容部51内の空気が連通部55を介して装置本体2内に排出される。
【0051】
第2送風部80は、媒体収容部装着部19A,19B,19Cに装着される各媒体収容部4A,4B,4Cに、領域HRの空気を送ることが可能に設けられる。第2送風部80は、上述の第2通路81、分岐通路82A,82B,82C、および気体導出部83A,83B,83Cを備える。分岐通路82Aは、第2通路81の途中から分岐し、第2通路81と気体導出部83Aとを接続する。分岐通路82Bは、第2通路81の途中から分岐し、第2通路81と気体導出部83Bとを接続する。分岐通路82Cは、第2通路81の途中から分岐し、第2通路81と気体導出部83Cとを接続する。
【0052】
分岐通路82Aには、第2通路81からの空気が気体導出部83Aに流入する流入状態と、第2通路81と気体導出部83Aとが連通しない閉塞状態と、を取り得る流入機構84Aが設けられる。また、分岐通路82Bには、第2通路81からの空気が気体導出部83Bに流入する流入状態と、第2通路81と気体導出部83Bとが連通しない閉塞状態と、を取り得る流入機構84Bが設けられる。また、分岐通路82Cには、第2通路81からの空気が気体導出部83Cに流入する流入状態と、第2通路81と気体導出部83Cとが連通しない閉塞状態と、を取り得る流入機構84Cが設けられる。
【0053】
本実施形態の流入機構84A,84B,84Cは、開弁することにより第2通路81からの空気が各気体導出部83A,83B,83Cに流入する流入状態にし、閉弁することにより第2通路81と各気体導出部83A,83B,83Cとが連通しない閉塞状態にする開閉弁である。これにより、例えば、流入機構84Aおよび流入機構84Cを流入状態、流入機構84Bを閉塞状態とした第2送風部80の第2通路81に、共通通路63から流入する空気は、図3に破線の矢印で示すように、分岐通路82Aと分岐通路82Cに流入する。尚、流入機構84A,84B,84Cは、開弁状態を調整することにより、第2通路81から各気体導出部83A,83B,83Cに流入する空気の流量を調整可能な開閉弁であってもよい。
【0054】
第2通路81から分岐通路82Aに流入する空気は、図3に破線の矢印で示すように、気体導出部83Aを介して、媒体収容部装着部19Aに装着される媒体収容部4A内に流入する。媒体収容部4A内に流入する空気は、媒体収容部4A内から+Z方向の媒体収容部装着部19Aの空間に向かう。そして、気体導出部83Aから媒体収容部4Aを含む媒体収容部装着部19A内に流入する空気分、媒体収容部装着部19A内の空気が、図3に破線の矢印で示すように、連通部86Aを介して装置本体2内に排出される。
【0055】
また、第2通路81から分岐通路82Cに流入する空気は、図3に破線の矢印で示すように、気体導出部83Cを介して、媒体収容部装着部19Cに装着される媒体収容部4C内に流入する。媒体収容部4C内に流入する空気は、媒体収容部4C内から+Z方向の媒体収容部装着部19Cの空間に向かう。そして、気体導出部83Cから媒体収容部4Cを含む媒体収容部装着部19C内に流入する空気分、媒体収容部装着部19C内の空気が、図3に破線の矢印で示すように、連通部86Cを介して装置本体2内に排出される。
【0056】
図2に示すように、制御部95は、装置本体2内の回路基板90に設けられる。制御部95は、CPU96(Central Processing Unit 96)と、メモリー97とを有する。CPU96は、メモリー97に記憶される各種プログラムを実行することができ、例えば、各種の判断や各種の命令等を行なうことができる。メモリー97には、例えば、媒体Pを搬送するプログラム、送風機構60による廃液収容部51および媒体収容部4A,4B,4Cのいずれかへの送風制御に関するプログラム、操作部6の表示部に記録装置1の状態を表示するための表示方法に関するプログラム等の各種プログラムが記憶されている。また、メモリー97には、媒体収容部4A,4B,4C内の温湿度調整に使用する設定値、廃液収容部51内の廃液量の算出に使用する設定値等の各種テーブル、各媒体収容部4A,4B,4Cから給紙され搬送不良となった媒体Pの枚数等の各種カウンター値が記憶されている。
【0057】
制御部95は、記録装置1の全体を制御する。例えば、媒体Pに記録を行う場合、制御部95は、記録ヘッド13、および搬送部15を制御することで、搬送経路14に搬送される媒体Pに対して、記録ヘッド13のノズル12からインクを吐出させて記録を行う。また、例えば、制御部95は、乾燥部10を制御することで、インクを吐出された媒体Pを乾燥させる。また、例えば、制御部95は、スキャナーユニット3を制御することで、原稿に記録された画像を読み取る。また、例えば、制御部95は、操作部6の表示部に、記録装置1の状態に関する情報を表示させる報知を行う。また、例えば、制御部95は、送風機構60を制御することで、廃液収容部51内の廃液からの水分蒸発、および媒体収容部4A,4B,4C内の温湿度調整のいずれかを行う。
【0058】
次に、記録ヘッド13による記録において制御部95が行う処理について説明する。記録ヘッド13による記録動作に先立って、記録装置1は記録前動作を行う。記録前動作において、制御部95は、液体供給源25のインク量、廃液収容部51の廃液量および温湿度、媒体収容部4A,4B,4Cの媒体Pの有無および温湿度等を確認し、例えば液体供給源25の交換を促す旨を操作部6の表示部に表示して報知を行う。また、記録前動作において、制御部95は、乾燥部10を駆動させる。また、記録前動作において、制御部95は、必要に応じて、メンテナンス部30を制御して記録ヘッド13のメンテナンスを行う。
【0059】
また、制御部95は、温湿度検出部43,85A,85B,85Cの計測結果に基づいて、送風機構60の送風機62、送風調整部65、流入機構84A,84B,84Cを制御し、第1送風部70および第2送風部80のいずれかに領域HRの空気を送る。制御部95は、第1送風部70に領域HRの空気を送ることで廃液収容部51内の廃液からの水分蒸発を促進し、第2送風部80に領域HRの空気を送ることで媒体収容部4A,4B,4C内の温湿度調整を行う。尚、第1送風部70および第2送風部80に空気を送るとき、制御部95は、第2送風部80に送られる空気の流量が第1送風部70に送られる空気の流量よりも多くなるように、送風調整部65を制御する。また、制御部95は、第2送風部80のみに空気を送るときに第2送風部80に送られる空気の流量が第1送風部70のみに空気を送るときに第1送風部70に送られる空気の流量よりも多くなるように、送風調整部65を制御する。
【0060】
記録前動作、記録ヘッド13による記録の後のように、記録ヘッド13による媒体Pへのインクの吐出が行われていないとき、領域HRの空気は乾燥部10により加熱されて乾燥している。このような場合、図2に示すように、制御部95は、第1送風部70に空気が送られるように送風調整部65を制御し、送風機62を駆動させる。これにより、領域HRから乾燥した空気が廃液収容部51内に送られ、廃液収容部51内の廃液からの水分蒸発が促進される。特に、記録ヘッド13による記録の後は、廃液収容部51に廃液が収容される可能性があるため、乾燥した空気を送ることで、より効果的に廃液収容部51内の廃液からの水分蒸発を促進させることができる。
【0061】
尚、温湿度検出部85A,85B,85Cの計測結果から媒体収容部4A,4B,4Cのいずれかの相対湿度が設定範囲より高い場合には、制御部95は、第1送風部70および第2送風部80に空気が送られるように送風調整部65を制御する。換言すると、制御部95は、記録ヘッド13によって記録された媒体Pが乾燥部10を搬送されていないとき、少なくとも第1送風部70に空気が送られるように送風調整部65を制御する。
【0062】
記録前動作の後、図3に示すように、制御部95は、記録ヘッド13、および搬送部15を制御することで、搬送経路14に搬送される媒体Pに対して、記録ヘッド13のノズル12からインクを吐出させて記録を行う。インクが吐出された媒体Pが乾燥部10を搬送されているとき、領域HRの空気は水蒸気を含む。この場合、制御部95は、温湿度検出部85A,85B,85Cの計測結果に基づいて、第2送風部80に空気が送られるように送風調整部65を制御する。
【0063】
媒体収容部4A,4B,4C内の湿度は、収容される媒体Pの変形を考慮して、設定範囲、例えば、相対湿度で50パーセントから60パーセントの範囲に調整される。例えば、温湿度検出部85A,85B,85Cの計測結果から媒体収容部4Bの相対湿度は設定範囲内であり、媒体収容部4A,4Cの相対湿度が設定範囲より低いとする。この場合、制御部95は、流入機構84A,84B,84Cを制御し、流入機構84A,84Cを流入状態、流入機構84Bを閉塞状態にした上で、第2送風部80に空気が送られるように送風調整部65を制御する。これにより、図3に破線の矢印で示すように、領域HRから水蒸気を含む空気が、共通通路63を介して、分岐通路82Aと分岐通路82Cに流入する。
【0064】
温湿度検出部85A,85Cの計測結果から、例えば、媒体収容部4Aの湿度が設定範囲内となると、制御部95は、流入機構84Aを制御して閉塞状態にする。そして、媒体収容部4Cの湿度が設定範囲内となると、制御部95は、流入機構84Cを制御して閉塞状態にするとともに、送風機62の駆動を停止する。
【0065】
尚、温湿度検出部85A,85B,85Cの計測結果から、例えば、媒体収容部4B,4Cの相対湿度は設定範囲内であり、媒体収容部4Aの相対湿度が設定範囲より数パーセント低く、廃液収容部51内の廃液量が設定値より十分少ない場合、制御部95は、第2送風部80および第1送風部70に空気が送られるように送風調整部65を制御する。換言すると、制御部95は、記録ヘッド13によって記録された媒体Pが乾燥部10を搬送されているとき、少なくとも第2送風部80に空気が送られるように送風調整部65を制御する。
【0066】
また、記録ヘッド13による記録の指示がなく記録装置1が待機状態にあるときに、記録ヘッド13のメンテナンスを行う場合、制御部95は、送風機構60の送風機62、送風調整部65を制御し、第1送風部70に領域HRの空気を送る。制御部95は、第1送風部70に領域HRの空気を送ることで廃液収容部51内の廃液からの水分蒸発を促進させる。このとき、制御部95は、乾燥部10を駆動させ、第1送風部70に領域HRから乾燥部10により加熱される空気を送ることで、廃液収容部51内の廃液からの水分蒸発を促進させる。
【0067】
尚、乾燥部10を駆動するタイミングは、メンテナンスにおいて、記録ヘッド13から廃液としてインクが排出される前であってもよいし、記録ヘッド13から廃液としてインクが排出されるときであってもよいし、記録ヘッド13から廃液としてインクが排出された後でもよい。また、例えば、記録ヘッド13のメンテナンスとして行われるフラッシングにより廃液収容部51内に流入する廃液流入量が少ない場合、制御部95は、乾燥部10を駆動させずに、第1送風部70に領域HRの空気を送ってもよい。
【0068】
また、例えば、記録ヘッド13による記録の指示がなく記録装置1が待機状態にあるときに、第2送風部80に領域HRの空気を送ることで媒体収容部4A,4B,4C内の温湿度調整を行うとする。この場合、制御部95は、温湿度検出部85A,85B,85Cの計測結果に基づいて、送風機構60の制御に加えて、乾燥部10を駆動制御することで、媒体収容部4A,4B,4C内の相対湿度および温度を設定範囲に調整する。この場合、媒体収容部4A,4B,4C内の温度は、収容される媒体Pの変形を考慮して、設定範囲、例えば20℃から30℃の範囲に調整される。
【0069】
以上述べたように、実施形態1に係る記録装置1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0070】
記録装置1は、媒体Pにインクを吐出することで記録を行う記録ヘッド13と、媒体Pが搬送される搬送方向において記録ヘッド13よりも下流に設けられ、インクを吐出された媒体Pを乾燥させる乾燥部10と、記録ヘッド13から廃液として排出されたインクを収容する廃液収容部51と、乾燥部10が設けられる領域HRの空気を廃液収容部51に送る第1送風部70と、を備える。これによれば、乾燥部10が設けられる領域HRの空気を廃液収容部51に送ることで、廃液から水分を蒸発させ、廃液収容部51の交換時期を延ばすことができる。よって、インクを吐出された媒体Pを乾燥させるために乾燥部10により発生させる熱を有効に活用することができる。また、廃液収容部51を取り外すときに廃液収容部51から廃液が漏れることを抑制できる。また、領域HRの空気を廃液収容部51に送ることで、空気中のミスト状のインクや紙粉を廃液収容部51内に収集することができる。
【0071】
記録装置1は、廃液収容部51に収容される廃液の量を検出する廃液量検出部44をさらに備える。これによれば、廃液収容部51内に排出された廃液から蒸発した水分量も反映された廃液収容部51内の廃液の量に基づいて、廃液収容部51の交換時期を判断できる。
【0072】
記録装置1は、記録ヘッド13によって記録される媒体Pを収容する媒体収容部4A,4B,4Cと、乾燥部10が設けられる領域HRの空気を媒体収容部4A,4B,4Cに送る第2送風部80と、をさらに備える。これによれば、乾燥部10が設けられる領域HRの空気を媒体収容部4A,4B,4Cに送ることで、媒体収容部4A,4B,4Cに収容される媒体Pの温度および湿度のいずれかを調節することができる。よって、インクを吐出された媒体Pを乾燥させるために乾燥部10により発生させる熱を有効に活用することができる。
【0073】
記録装置1は、第1送風部70に送られる空気の流量と第2送風部80に送られる空気の流量とを調整可能な送風調整部65と、制御部95と、をさらに備え、制御部95は、記録ヘッド13によって記録された媒体Pが乾燥部10を搬送されているときは、少なくとも第2送風部80に空気が送られるように送風調整部65を制御し、記録ヘッド13によって記録された媒体Pが乾燥部10を搬送されていないときは、少なくとも第1送風部70に空気が送られるように送風調整部65を制御する。インクが吐出された媒体Pが乾燥部10を搬送されているとき、領域HRの空気は水蒸気を含む。よって、この水蒸気を含む空気が媒体収容部4A,4B,4Cに送られることで、媒体収容部4A,4B,4Cに収容される媒体Pの湿度を調節することができる。また、インクが吐出された媒体Pが乾燥部10を搬送されていないとき、領域HRの空気は乾燥している。この乾燥した空気が廃液収容部51に送られることで、廃液収容部51内の廃液からの水分蒸発が促進される。
【0074】
制御部95は、記録ヘッド13によって記録された媒体Pが乾燥部10を搬送されているときは、第2送風部80に空気が送られるように送風調整部65を制御し、記録ヘッド13によって記録された媒体Pが乾燥部10を搬送されていないときは、第1送風部70に空気が送られるように送風調整部65を制御する。これによれば、領域HRの空気の送り先を、第1送風部70および第2送風部80のいずれか一方に絞ることで、送風調整部65の制御を簡素にしつつ、媒体収容部4A,4B,4Cに収容される媒体Pの調湿、および廃液収容部51内の廃液からの水分蒸発を行うことができる。
【0075】
記録装置1は、廃液収容部51における温度および湿度の少なくとも一方を計測する温湿度検出部43と、媒体収容部4A,4B,4Cにおける温度および湿度の少なくとも一方を計測する温湿度検出部85A,85B,85Cと、をさらに備え、制御部95は、温湿度検出部43および温湿度検出部85A,85B,85Cによる計測結果に基づいて、送風調整部65を制御する。これによれば、廃液収容部51における温度および湿度のいずれか、媒体収容部4A,4B,4Cにおける温度および湿度のいずれかに即した空気の送風を行うことができる。
【0076】
第2送風部80に送られる空気の流量は、第1送風部70に送られる空気の流量よりも多い。これによれば、媒体収容部4A,4B,4C内に亘って送風することができ、媒体収容部4A,4B,4C内の温湿度のばらつきを抑制できる。よって、媒体収容部4A,4B,4Cに収容される媒体Pの調湿のばらつきを抑制できる。
【0077】
廃液収容部51は、媒体収容部4A,4B,4Cと比較して乾燥部10から近い位置に設けられる。これによれば、乾燥部10から発せられる熱によって廃液収容部51が加熱されやすく、廃液収容部51内の廃液からの水分蒸発をより促進できる。また、領域HRから廃液収容部51までの送風経路の長さを短く設定しやすいので、領域HRから高温の空気を廃液収容部51内に送ることで、廃液収容部51内の廃液からの水分蒸発をより促進しやすい。また、領域HRの空気が高温である場合も、領域HRから媒体収容部4A,4B,4Cまでの送風経路内を空気が通過する間に、媒体収容部4A,4B,4Cに収容される媒体Pの調温に適した空気の温度にしやすい。
【0078】
記録装置1は、記録ヘッド13のメンテナンスを行うメンテナンス部30をさらに備え、メンテナンスを行う場合に、制御部95が乾燥部10を駆動させることで、乾燥部10の駆動中に、第1送風部70を介して領域HRの空気が廃液収容部51に送られる。これによれば、乾燥部10の駆動により加熱された空気を領域HRから廃液収容部51内に送ることで、メンテナンスにより記録ヘッド13から排出されて廃液収容部51内に収容される廃液からの水分蒸発を促進させることができる。
【0079】
本開示の上記実施形態に係る記録装置1は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。また、上記実施形態および以下に説明する他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。以下、他の実施形態について説明する。
【0080】
上記実施形態において、送風機構60は、第1送風部70および第2送風部80のうちいずれか一方を備えなくてもよい。この場合、送風機構60は、送風調整部65を備えなくてもよい。
【0081】
上記実施形態において、廃液収容部装着部41は温湿度検出部43を備えなくてもよい。この場合、廃液収容部装着部41は、廃液収容部51内の温度を検出可能な温度計を備えてもよい。温度計は、廃液収容部51における温度および湿度の少なくとも一方を計測する第1計測部の一例である。
【0082】
上記実施形態において、媒体収容部装着部19A,19B,19Cは温湿度検出部85A,85B,85Cを備えなくてもよい。この場合、媒体収容部装着部19A,19B,19Cは、媒体収容部4A,4B,4C内の絶対湿度を検出可能な絶対湿度計を備えてもよい。絶対湿度計は、媒体収容部4A,4B,4Cにおける温度および湿度の少なくとも一方を計測する第2計測部の一例である。この場合、媒体収容部4A,4B,4C内の湿度は、収容される媒体Pの変形を考慮して、設定範囲、例えば絶対湿度で9グラム/立方メートルから10グラム/立方メートルの範囲に調整されてもよい。
【0083】
上記実施形態において、媒体収容部装着部19A,19B,19Cは温湿度検出部85A,85B,85Cを備えなくてもよい。この場合、各媒体収容部4A,4B,4Cに収容される媒体Pの枚数に応じて、制御部95は、媒体収容部装着部19A,19B,19Cに装着される各媒体収容部4A,4B,4Cに、第2送風部80を介して領域HRから送る空気の量を変更してもよい。例えば、媒体収容部4Aに収容される媒体Pの枚数が媒体収容部4Bに収容される媒体Pの枚数より多い場合、制御部95は、流入機構84Bを流入状態とする時間より流入機構84Aを流入状態とする時間を長くすることで、媒体収容部4Bに領域HRから送る空気の量より媒体収容部4Aに領域HRから送る空気の量を多くしてもよい。
【0084】
上記実施形態において、媒体収容部4A,4B,4Cから給紙された媒体Pが搬送不良となった場合に、制御部95は、送風機構60を制御して、搬送不良となった媒体Pを収容していた媒体収容部4A,4B,4Cのいずれかに、第2送風部80を介して空気を送ってもよい。また、例えば、温湿度検出部85Aの計測結果から媒体収容部4Aの湿度が設定範囲外であることが検出された場合も、媒体収容部4Aから給紙された媒体Pに搬送不良が発生していない場合には、制御部95は、媒体収容部4Aに空気を送る送風機構60の制御を行わなくてもよい。
【0085】
上記実施形態において、廃液量検出部44は重量センサーでなくてもよい。例えば、廃液量検出部44は廃液収容部51内に挿入される一対の電極であってもよい。この場合、廃液量検出部44は、一対の電極が廃液収容部51内の廃液に接触することで、一対の電極間の電気抵抗が低下すると、廃液収容部51内の廃液量が設定値となったことを検出する。また、この場合、廃液排出部42、および気体導出部72を金属パイプとすることで、一対の電極としてもよい。尚、制御部95は、記録ヘッド13のメンテナンスを行う毎に、そのメンテナンスによって記録ヘッド13から排出されるインクの量から予め実験等で確認した水分蒸発量を差し引いた値を、廃液収容部51内に流入する廃液量として積算することで、廃液収容部51内の廃液量が設定値になるまでの廃液量を算出する。また、このとき使用する水分蒸発量の値は、記録装置1の使用環境において湿度が高く、インクから水分が最も蒸発しにくいときの値を使用してもよい。
【0086】
上記実施形態において、温湿度検出部85A,85B,85Cは、媒体収容部4A,4B,4C内に挿入されなくてもよい。この場合、温湿度検出部85A,85B,85Cは、図7図8に示すように、媒体収容部装着部19A,19B,19Cの+Y方向側の側面においてX軸方向における中央となる位置から-Y方向に突出するように設けてもよい。
【0087】
上記実施形態において、気体導出部83A,83B,83Cは、媒体収容部4A,4B,4C内に挿入されなくてもよい。この場合、図7図8に示すように、第2通路81からの空気が媒体収容部装着部19A,19B,19Cに流入可能に、媒体収容部装着部19A,19B,19Cの+Y方向側の側面に分岐通路82A,82B,82Cを接続してもよい。また、この場合、分岐通路82A,82B,82Cを媒体収容部装着部19A,19B,19Cの+Y方向側の側面のうちX軸方向における中央となる位置に接続してもよいし、各分岐通路82A,82B,82Cをさらに分岐させ、媒体収容部装着部19A,19B,19Cの+Y方向側の側面にX軸方向に間隔を置いて接続してもよい。
【0088】
上記実施形態において、媒体収容部装着部19A,19B,19Cに連通部86A,86B,86Cを設けなくてもよい。この場合、気体導出部83A,83B,83Cから媒体収容部装着部19A,19B,19C内に空気が流入するとき、媒体収容部装着部19A,19B,19C内の空気は、例えば、図8に破線の矢印で示すように、供給ローラー16A,16B,16Cと媒体収容部装着部19A,19B,19Cとの隙間を介して装置本体2内に排出される。
【0089】
上記実施形態において、流入機構84A,84B,84Cは開閉弁でなくてもよい。例えば、流入機構84A,84B,84Cは、回転駆動されることで第2通路81からの空気が各気体導出部83A,83B,83Cに流入する流入状態にし、駆動を停止することで第2通路81と各気体導出部83A,83B,83Cとが連通しない閉塞状態にするチューブポンプであってもよい。
【0090】
上記実施形態において、送風機構60は、図7図8に示すように、記録ヘッド13から発生する熱で加熱される空気、回路基板90から発生する熱で加熱される空気、記録装置1の電源ユニット(不図示)から発生する熱で加熱される空気等を収集可能なフード67を備えてもよい。この場合、送風機構60は、フード61から共通通路63に収集する空気とフード67から共通通路63に収集する空気の流量配分を調整可能な調整弁66を共通通路63に備える。これによれば、フード61からの空気とフード67からの空気の流量配分を調整することで、廃液収容部51および媒体収容部4A,4B,4Cのいずれかに送る空気の温湿度を調整することができる。尚、この場合、送風機62は、共通通路63において、調整弁66に対して空気の送り方向下流側となる位置に設けられる。
【0091】
また、この場合、装置本体2の-Y方向側の側面のうち記録ヘッド13および回路基板90より+Z方向となる位置に装置本体2の外部から空気を取り込み可能な取り込み部8を設けてもよい。これによれば、フード67から空気を収集することで、取り込み部8から記録ヘッド13および回路基板90の+Z方向側に外部の空気を取り込み、記録ヘッド13および回路基板90の温度上昇を抑制することができる。
【0092】
上記実施形態において、送風調整部65は、図7図8に示すように、廃液収容部装着部41に装着される廃液収容部51を介して、共通通路63と接続されてもよい。この場合、共通通路63からの空気が気体導出部72を介して廃液収容部51内に送られるように、共通通路63は第1送風部70の第1通路71と接続される。また、この場合、送風機構60は、廃液収容部51に挿入される気体排出部73と、気体排出部73と送風調整部65とを接続する接続通路74と、送風調整部65に設けられる連通通路75と、をさらに備える。これにより、送風調整部65は、廃液収容部51内に送られる空気が第2送風部80の第2通路81に流入可能に、接続通路74と接続される。
【0093】
第1送風部70を介して、共通通路63からの空気を廃液収容部51内に送る場合、制御部95は、送風調整部65を制御して、接続通路74と連通通路75とを連通させ、送風機62を駆動する。これにより、図7に破線の矢印で示すように、共通通路63から第1通路71内に流入する空気は、気体導出部72を介して、廃液収容部装着部41に装着される廃液収容部51内に流入する。廃液収容部51内に流入する空気は、廃液吸収体56内を通り、気体排出部73が開口する空間に向かう。そして、気体導出部72から廃液収容部51内に流入する空気分、廃液収容部51内の空気が気体排出部73、接続通路74、送風調整部65、および連通通路75を介して装置本体2内に排出される。尚、送風調整部65による接続通路74と連通通路75との連通状態を調整することで、第1送風部70を介して、共通通路63から廃液収容部51内に送られる空気の流量は調整可能である。換言すると、送風調整部65は、第1送風部70に送られる空気の流量を調整可能である。
【0094】
第2送風部80を介して、共通通路63からの空気を媒体収容部4A,4B,4Cに送る場合、制御部95は、流入機構84A,84B,84Cを流入状態にし、送風調整部65を制御して、接続通路74と第2送風部80の第2通路81とを連通させ、送風機62を駆動する。これにより、図8に破線の矢印で示すように、共通通路63から第1通路71内に流入する空気は、気体導出部72を介して、廃液収容部装着部41に装着される廃液収容部51内に流入する。廃液収容部51内に流入する空気は、廃液吸収体56内を通り、気体排出部73、接続通路74、および送風調整部65を介して第2通路81に送られる。第2通路81に送られる空気は廃液吸収体56内を通るため、空気に含まれる紙粉、ミスト状のインク等の異物は廃液吸収体56に濾集される。よって、本実施形態では、実施形態1のように第2通路81より共通通路63側にフィルター64を設けなくてもよい。尚、接続通路74と第2通路81との連通状態を送風調整部65により調整することで、第2通路81に送られる空気の流量は調整可能である。換言すると、送風調整部65は、第2送風部80に送られる空気の流量を調整可能である。
【0095】
第2通路81に送れられる空気は、分岐通路82A,82B,82C、および媒体収容部装着部19A,19B,19Cの空間を介して、媒体収容部装着部19A,19B,19Cに装着される媒体収容部4A,4B,4C内に流入する。媒体収容部装着部19A,19B,19C内に空気が流入すると、媒体収容部装着部19A,19B,19C内の空気は、供給ローラー16A,16B,16Cと媒体収容部装着部19A,19B,19Cとの隙間を介して装置本体2内に排出される。
【0096】
尚、流入機構84A,84B,84Cがチューブポンプである場合、流入機構84A,84B,84Cを駆動することで、媒体収容部装着部19A,19B,19C内に、第2通路81を介して、連通通路75から媒体収容部装着部19A,19B,19C内に装置本体2内の空気を送ることも可能である。この場合、制御部95は、第2通路81と接続通路74との連通状態と、第2通路81と連通通路75との連通状態と、を送風調整部65により調整することで、接続通路74からの空気と連通通路75からの空気の流量配分を調整する。そして、流入機構84A,84B,84Cを駆動することで、媒体収容部4A,4B,4Cに送る空気の温湿度を調整することができる。
【0097】
上記実施形態において、廃液収容部装着部41に装着される廃液収容部51は、媒体収容部装着部19A,19B,19Cに装着される媒体収容部4A,4B,4Cと比較して、乾燥部10から近い位置に設けられなくてもよい。例えば、廃液収容部装着部41は、媒体収容部装着部19Cに対して-Z方向側となる位置に設けられてもよいし、媒体収容部装着部19Bに対して+Y方向側、-Y方向側、あるいは+X方向側となる位置に設けられてもよい。
【0098】
上記実施形態において、記録装置1は、装置本体2に、一つの媒体収容部4Aを備えてもよい。
【0099】
上記実施形態において、記録装置1は、装置本体2に、複数の媒体収容部4A,4B,4Cが着脱可能な一つの媒体収容部装着部19Aを備えてもよい。
【0100】
実施形態1において、フィルター64は、共通通路63に設けられなくてもよい。例えば、フィルター64は、第2通路81のうち第2通路81から分岐通路82Aが分岐する位置と送風調整部65との間となる位置に設けられてもよい。このとき、第1送風部70に送られる空気に含まれる異物は、廃液収容部51に収容される。
【符号の説明】
【0101】
1…記録装置、2…装置本体、3…スキャナーユニット、4A,4B,4C…媒体収容部、5…媒体載置部、6…操作部、7…排出部、8…取り込み部、10…乾燥部、12…ノズル、13…記録ヘッド、14…搬送経路、15…搬送部、16A,16B,16C…供給ローラー、17…搬送ローラー、18…搬送ベルト、18A…回転軸、19A,19B,19C…媒体収容部装着部、25…液体供給源、26…液体供給源装着部、27…供給流路、30…メンテナンス部、32…キャップ、33…廃液チューブ、34…吸引ポンプ、41…廃液収容部装着部、42…廃液排出部、43…温湿度検出部、44…廃液量検出部、51…廃液収容部、52…廃液排出部挿入穴、53…温湿度検出部挿入穴、54…気体導出部挿入穴、55…連通部、56…廃液吸収体、60…送風機構、61…フード、62…送風機、63…共通通路、64…フィルター、65…送風調整部、66…調整弁、67…フード、70…第1送風部、71…第1通路、72…気体導出部、73…気体排出部、74…接続通路、75…連通通路、80…第2送風部、81…第2通路、82A,82B,82C…分岐通路、83A,83B,83C…気体導出部、84A,84B,84C…流入機構、85A,85B,85C…温湿度検出部、86A,86B,86C…連通部、87…気体導出部挿入穴、88…温湿度検出部挿入穴、90…回路基板、95…制御部、96…CPU、97…メモリー、HR…領域、P…媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8