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特開2023-172074アキシャルギャップモーター、ローターおよびロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172074
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】アキシャルギャップモーター、ローターおよびロボット
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/22 20060101AFI20231129BHJP
   H02K 16/04 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H02K1/22 A
H02K16/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083632
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】西田 秀明
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA29
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD12
5H601HH02
(57)【要約】
【課題】コギングトルクを低減しつつ、高出力化が図られたアキシャルギャップモーター、かかるアキシャルギャップモーターを実現するローター、および、前記アキシャルギャップモーターを備えるロボットを提供すること。
【解決手段】回転軸の周方向に配置される複数の磁石、回転軸に沿う軸方向において磁石と重なる位置に設けられる磁性板、および、磁性板を支持するフレームを有し、回転軸の周りを回転するローターと、軸方向においてローターと離間して配置されるステーターと、を備え、磁性板は、軟磁性を有し、かつ、回転軸を中心とする円環状をなしており、磁性板のうち、平面視で磁石の中心と重なる部位を第1部位とし、周方向に隣り合う磁石同士の中間と重なる部位を第2部位とするとき、回転軸の径方向における第2部位の長さが、径方向における第1部位の長さより短いことを特徴とするアキシャルギャップモーター。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の周方向に配置される複数の磁石、前記回転軸に沿う軸方向において前記磁石と重なる位置に設けられる磁性板、および、前記磁性板を支持するフレームを有し、前記回転軸の周りを回転するローターと、
前記軸方向において前記ローターと離間して配置されるステーターと、
を備え、
前記磁性板は、軟磁性を有し、かつ、前記回転軸を中心とする円環状をなしており、
前記磁性板のうち、平面視で前記磁石の中心と重なる部位を第1部位とし、前記周方向に隣り合う前記磁石同士の中間と重なる部位を第2部位とするとき、前記回転軸の径方向における前記第2部位の長さが、前記径方向における前記第1部位の長さより短いことを特徴とするアキシャルギャップモーター。
【請求項2】
前記第1部位は、前記第2部位よりも、前記径方向の両側に向かって突出している突出部を含む請求項1に記載のアキシャルギャップモーター。
【請求項3】
前記突出部は、前記フレームに固定されている請求項2に記載のアキシャルギャップモーター。
【請求項4】
前記径方向における前記第2部位の長さは、前記径方向における前記磁石の長さと同じである請求項1または2に記載のアキシャルギャップモーター。
【請求項5】
前記磁性板は、前記径方向に積層されている複数の鋼板の積層体を含む請求項1または2に記載のアキシャルギャップモーター。
【請求項6】
前記ローターは、前記第1部位の外縁の延長線と前記第2部位との間に設けられ、非磁性を示す非磁性体をさらに有する請求項1または2に記載のアキシャルギャップモーター。
【請求項7】
前記ローターを介して前記軸方向の両側に配置される2つの前記ステーターを備え、
前記ローターは、前記磁石を介して前記軸方向の両側に設けられる2枚の前記磁性板を有する請求項1または2に記載のアキシャルギャップモーター。
【請求項8】
アキシャルギャップモーターに用いられ、回転軸の周りに回転するローターであって、
前記回転軸の周方向に配置される複数の磁石と、
前記回転軸に沿う軸方向において前記磁石と重なる位置に設けられる磁性板と、
前記磁性板を支持するフレームと、
を有し、
前記磁性板は、軟磁性を有し、かつ、前記回転軸を中心とする円環状をなしており、
前記磁性板のうち、平面視で前記磁石の中心と重なる部位を第1部位とし、前記周方向に隣り合う前記磁石同士の中間と重なる部位を第2部位とするとき、前記回転軸の径方向における前記第2部位の長さが、前記径方向における前記第1部位の長さより短いことを特徴とするローター。
【請求項9】
請求項1または2に記載のアキシャルギャップモーターを備えることを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキシャルギャップモーター、ローターおよびロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の固定子ティース部に固定子巻線を巻回して形成し、永久磁石を装着した回転子との間に複数のエアギャップを有する一対の回転電機用の固定子が開示されている。また、固定子ティース部には、エアギャップ側の先端面を拡径した、外向きフランジ(鍔)状の先端突起部が形成されていることが開示されている。さらに、エアギャップに臨んで対向配置された先端突起部を、異なった形状にすることで、コギングトルクの低減を図ることが開示されている。
【0003】
先端突起部が形成された固定子ティース部に固定子巻線を巻回する作業を行う場合、先端突起部が支障になり、作業効率が低くなる。このため、固定子の製造効率を高めることができない。また、ボビン等にあらかじめ固定子巻線を巻回した後、ボビンを固定子ティース部に差し込む方法も考えられる。しかし、この場合も、先端突起部が支障にならないようにボビンの内径を大きくする必要があり、ボビンと固定子ティース部との距離を十分に縮めることができない。その結果、回転電機の出力の低下を招くことになる。
【0004】
一方、コギングトルクを低減する部材を回転子側に設けることで、固定子ティース部から先端突起部を省略することも考えられる。先端突起部を省略した場合、巻線を巻回する作業の効率を高めることができる。コギングトルクを低減する部材としては、例えば、回転子に被せる板状の磁性板が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-28868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、磁性板を回転子に被せると、被せる位置によっては、永久磁石が形成する磁界の磁束密度が低下する。そうすると、回転電機の出力の低下が生じる。したがって、回転電機におけるコギングトルクの低減を図りつつ、総トルクを向上させ、高出力化を図ることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の適用例に係るアキシャルギャップモーターは、
回転軸の周方向に配置される複数の磁石、前記回転軸に沿う軸方向において前記磁石と重なる位置に設けられる磁性板、および、前記磁性板を支持するフレームを有し、前記回転軸の周りを回転するローターと、
前記軸方向において前記ローターと離間して配置されるステーターと、
を備え、
前記磁性板は、軟磁性を有し、かつ、前記回転軸を中心とする円環状をなしており、
前記磁性板のうち、平面視で前記磁石の中心と重なる部位を第1部位とし、前記周方向に隣り合う前記磁石同士の中間と重なる部位を第2部位とするとき、前記回転軸の径方向における前記第2部位の長さが、前記径方向における前記第1部位の長さより短いことを特徴とする。
【0008】
本発明の適用例に係るローターは、
アキシャルギャップモーターに用いられ、回転軸の周りに回転するローターであって、
前記回転軸の周方向に配置される複数の磁石と、
前記回転軸に沿う軸方向において前記磁石と重なる位置に設けられる磁性板と、
前記磁性板を支持するフレームと、
を有し、
前記磁性板は、軟磁性を有し、かつ、前記回転軸を中心とする円環状をなしており、
前記磁性板のうち、平面視で前記磁石の中心と重なる部位を第1部位とし、前記周方向に隣り合う前記磁石同士の中間と重なる部位を第2部位とするとき、前記回転軸の径方向における前記第2部位の長さが、前記径方向における前記第1部位の長さより短いことを特徴とする。
【0009】
本発明の適用例に係るロボットは、
本発明の適用例に係るアキシャルギャップモーターを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るアキシャルギャップモーターの概略構成を示す縦断面図である。
図2図1のアキシャルギャップモーターが備えるローターおよびシャフトを示す分解斜視図である。
図3図2のローターを示す平面図である。
図4図3の部分拡大図である。
図5】磁性板における比C1/(C1+C2)とコイルの相間に生じる逆起電圧との関係を示すグラフである。
図6図5の5つのプロットマークに対応する5種類の磁性板を示す部分平面図である。
図7図2に示す磁性板の部分拡大図である。
図8】変形例に係るアキシャルギャップモーターが備えるローターを示す部分平面図である。
図9】第2実施形態に係るロボットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のアキシャルギャップモーター、ローターおよびロボットを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0012】
1.第1実施形態
まず、第1実施形態に係るアキシャルギャップモーターについて説明する。
【0013】
図1は、第1実施形態に係るアキシャルギャップモーター1の概略構成を示す縦断面図である。図2は、図1のアキシャルギャップモーター1が備えるローター3およびシャフト2を示す分解斜視図である。図3は、図2のローター3を示す平面図である。
【0014】
図1に示すアキシャルギャップモーター1は、回転軸AXまわりに回転するシャフト2と、シャフト2に固定され、シャフト2とともに回転軸AXの周りを回転するローター3と、回転軸AXに沿ってローター3の軸方向Aにおける両側に配置されている一対のステーター4、5と、モーターケース8と、を備えるダブルステーター構造を採用している。このようなアキシャルギャップモーター1は、回転軸AXを中心としてローター3およびシャフト2を回転させ、シャフト2に連結された駆動対象部材に回転力を伝達する。なお、本明細書では、説明の便宜上、回転軸AXに沿う方向を「軸方向A」といい、回転軸AXに直交する方向を「径方向R」といい、回転軸AXの周方向を「周方向C」という。また、軸方向Aの矢印先端側を「上」ともいい、反対側を「下」ともいう。さらに、軸方向Aに沿って下から見ることを「平面視」ともいう。また、径方向Rの矢印先端側を「外」といい、矢印基端側を「内」ともいう。
【0015】
シャフト2は、部分的に外径が異なる略円柱状をなし、中実である。これにより、シャフト2の機械的強度が向上する。ただし、シャフト2は、中空であってもよい。この場合、シャフト2の内部に配線を通すことができる。
【0016】
シャフト2には、円盤状のローター3がシャフト2と同心的に固定されている。ローター3は、図2に示すように、複数の磁石6、磁性板91、92、および、ローターサポート30(フレーム)を有する。
【0017】
ステーター4、5は、ローター3を介して軸方向Aの両側に設けられている。シャフト2とステーター4、5との間には軸受71、72が設けられ、ステーター4、5に対してシャフト2の回転が可能になっている。軸受71、72には、各種ベアリングが用いられる。
【0018】
モーターケース8は、第1ケース81、第2ケース82および側面ケース83を有する。第1ケース81および第2ケース82は、それぞれ円環状をなし、中央部にシャフト2が挿通されている。側面ケース83は、円筒状をなし、第1ケース81の外縁部と第2ケース82の外縁部とを接続している。
【0019】
以下、アキシャルギャップモーター1の各部について詳述する。
1.1.ステーター
ステーター4は、第1ケース81の上面に設けられ、ステーター5は、第2ケース82の下面に設けられている。また、ステーター4とローター3との間、および、ステーター5とローター3との間には、それぞれエアギャップが設けられている。
【0020】
ステーター4は、複数のステーターコア42と、各ステーターコア42に配置されている複数のコイル43と、を有する。ステーター5は、複数のステーターコア52と、各ステーターコア52に配置されている複数のコイル53と、を有する。
【0021】
以下、ステーター4、5の構成についてさらに説明するが、ステーター4、5の構成は互いに同じであるため、以下の説明では、ステーター4についてのみ説明し、ステーター5についての説明は省略する。
【0022】
ステーターコア42は、アキシャルギャップモーター1の相数や極数に応じた数の図示しない複数のティース部を備えている。ティース部は、周方向Cに沿って等間隔に並んでいる。コイル43は、各ティース部に巻回されている。コイル43は、ティース部に直接巻回された導線であってもよいし、あらかじめボビン等に導線を巻回しておき、これをティース部に取り付けたものであってもよい。
【0023】
アキシャルギャップモーター1は、図示しない通電回路を有し、各コイル43は、この通電回路に接続されている。各コイル43に通電されると、ステーターコア42から磁界が発生し、ローター3にトルクが生じる。これにより、シャフト2が回転軸AXまわりに回転する。
【0024】
ステーターコア42は、例えば、電磁鋼板やアモルファス合金箔の積層体、磁性粉末の圧粉体、電磁鋼板やアモルファス合金箔と磁性粉末とを組み合わせたハイブリッド体等の各種磁性材料で構成される。なお、ステーターコア42は、単一の部品であってもよいし、複数の部品の集合体であってもよい。
【0025】
また、ステーター4は、その全体が樹脂でモールドされていてもよい。このように、樹脂でモールドすることにより、より安定したステーター4を得ることができる。
【0026】
1.2.ローター
ローター3は、前述したように、複数の磁石6、磁性板91、92、および、ローターサポート30(フレーム)を有する。
【0027】
ローターサポート30は、図2に示すように、円盤状をなし、中央部に位置するハブ31と、ハブ31よりも外側に位置する環状のリム32と、ハブ31とリム32とを繋ぐ連結部33と、を有する。
【0028】
ハブ31は、図1に示すように、回転軸AXに沿って貫通する貫通孔311を有している。貫通孔311には、シャフト2が、例えば圧入等により固定されている。これにより、シャフト2とローター3とが固定されている。なお、シャフト2とローター3との固定方法は、特に限定されず、ハブ31の形状等も上記に限定されない。
【0029】
リム32は、図2に示すように、回転軸AX上に中心を持つ円環状をなしており、周方向Cに沿って等間隔に設けられた複数の貫通孔321を有している。貫通孔321は、回転軸AXに沿って貫通している。貫通孔321には、それぞれ磁石6が挿入されている。磁石6の数は、アキシャルギャップモーター1の相数や極数に応じた数に設定され、例えば、本実施形態では24個である。なお、磁石6としては、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石、ボンド磁石等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0030】
ローターサポート30の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金等の金属材料が挙げられる。また、ローターサポート30の構成材料は、非磁性材料であるのが好ましい。これにより、ローターサポート30が磁石6やコイル43から流れ出る磁束に影響を与えにくくなる。その結果、アキシャルギャップモーター1のトルクの低下等の問題が発生しにくくなる。非磁性材料としては、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金等が挙げられる。なお、本明細書において非磁性とは、最大透磁率が2以下であることをいう。
【0031】
磁性板91は、磁石6の下面を覆うように、ローターサポート30の下面に固定されている。磁性板92は、磁石6の上面を覆うように、ローターサポート30の上面に固定されている。
【0032】
磁性板91、92は、それぞれ平面視形状が回転軸AXを中心とする円環状をなす板状の部材である。また、磁性板91、92は、それぞれ軟磁性を有する。軟磁性とは、透磁率が高く、かつ、保磁力が低い磁性のことをいう。磁性板91、92の最大透磁率は、例えば100以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。また、磁性板91、92の保磁力は、例えば800A/m以下であることが好ましく、100A/m以下であることがより好ましい。
【0033】
磁性板91、92は、例えば、電磁鋼板やアモルファス合金箔の積層体、磁性粉末の圧粉体、電磁鋼板やアモルファス合金箔と磁性粉末とを組み合わせたハイブリッド体等の各種磁性材料で構成される。また、磁性粉末の圧粉体は、3Dプリンターを用いた積層造形法により製造されたものであってもよい。
【0034】
磁性板91、92の平均厚さは、特に限定されないが、0.10mm以上1.50mm以下であるのが好ましく、0.20mm以上1.00mm以下であるのがより好ましい。このような磁性板91、92は、ローター3の厚さが増加するのを抑えつつ、ローターサポート30の補強にも寄与する。ローターサポート30を補強することにより、ローターサポート30の変形を抑制し、ローター3の回転時に生じる振動や騒音等を抑制することができる。
【0035】
なお、磁性板91、92の平均厚さは、磁性板91、92の厚さを任意の10か所以上で測定し、得られた測定値の平均値である。
【0036】
また、磁性板91、92は、いかなる方法でローターサポート30に固定されていてもよい。固定方法としては、例えば、接着剤、接合金属、溶接等が挙げられるが、接着剤が好ましく用いられる。接着剤を用いることにより、磁性板91、92を効率よく固定することができる。
【0037】
以下、磁性板91、92の構成についてさらに説明するが、磁性板91、92の構成は互いに同じであるため、以下の説明では、磁性板91についてのみ説明し、磁性板92についての説明は省略する。
【0038】
磁性板91は、前述したように平面視で円環状をなしているが、図4に示すように、径方向Rの長さが長い第1部位911と、径方向Rの長さが第1部位911よりも短い第2部位912と、を有している。つまり、径方向Rにおける第1部位911の長さをR1とし、第2部位912の長さをR2とするとき、磁性板91は、R2<R1を満たしている。そして、第1部位911は、磁石6の中心Oと重なる位置に配置されている。一方、第2部位912は、周方向Cにおいて隣り合う磁石6同士の中間Mと重なる位置に配置されている。したがって、図3に示す磁性板91では、それぞれ磁石6の数と同数の第1部位911および第2部位912が、周方向Cに沿って交互に配置されている。つまり、磁性板91は、いわゆる櫛歯形状をなしている。なお、以下の説明では、第2部位912の内側および外側の領域であって、第1部位911に挟まれている領域を「欠損部913」ともいう。つまり、欠損部913は、第1部位911の外縁の延長線ELと第2部位912との間の領域である。また、磁石6の中心Oとは、平面視における磁石6の長軸の中点とする。さらに、磁石6同士の中間Mは、磁石6同士の隙間の中間線と、隣り合う磁石6の中心O同士を結ぶ線分と、の交点とする。
【0039】
図4は、図3の部分拡大図である。なお、図4では、磁性板91の下方から透視した磁石6を併せて図示している。
【0040】
また、第2部位912は、磁石6同士の中間Mと重なる位置に設けられるが、この位置の内側および外側の領域は、磁石6から流れ出る磁束の密度が比較的高い。このため、この領域に磁性板91が重ならないように、径方向Rにおける第2部位912の長さは、第1部位911よりも短く設定されている。つまり、磁性板91は、中間Mの内側および外側に欠損部913を有している。これにより、欠損部913における磁束の流れが、磁性板91によって妨げられることが抑制される。その結果、アキシャルギャップモーター1のマグネットトルクを十分に確保して、高出力化を図ることができる。
【0041】
径方向Rにおける第1部位911の長さR1は、第2部位912の長さR2よりも長く設定されている。具体的には、第1部位911は、第2部位912よりも、内側および外側の双方に突出している。図4では、内側に突出している部位を「内側突出部911a」とし、外側に突出している部位を「外側突出部911b」とする。第1部位911がこのような内側突出部911aおよび外側突出部911bを含むことにより、エアギャップに形成される磁界が磁性板91によって阻害されるのを最小限に留めつつ、コギングトルクの低減を図ることができる。つまり、第1部位911は、磁石6の中心Oと重なる位置に設けられるが、この位置の内側および外側の領域は、磁石6から流れ出る磁束の密度が比較的低い。このため、この領域に内側突出部911aおよび外側突出部911bを配置しても、アキシャルギャップモーター1のマグネットトルクに及ぼす影響は小さい。一方、この領域に第1部位911が延在していることにより、コギングトルクを低減させることができる。コギングトルクを低減させることにより、アキシャルギャップモーター1の高出力化を図ることができる。
【0042】
なお、第1部位911は、内側突出部911aおよび外側突出部911bのいずれか一方のみを含んでいてもよいが、双方を含むことが好ましい。これにより、コギングトルクの低減幅をより大きくすることができる。
【0043】
また、長さR1は、長さR2よりも長ければよいが、好ましくは長さR2の101%以上とされ、より好ましくは110%以上とされ、さらに好ましくは130%以上とされる。これにより、コギングトルクの低減幅を十分に確保することができる。一方、長さR1の上限値は、特に設定されなくてもよいが、ローターサポート30からのはみ出しや磁性板91の重量の増加等を考慮すると、長さR2の300%以下であることが好ましい。
【0044】
また、第2部位912は、少なくとも磁石6を覆っていることが好ましい。これにより、磁気回路における磁気抵抗の変化を抑制することができる。その結果、アキシャルギャップモーター1のコギングトルクをより確実に低減することができる。
【0045】
また、径方向Rにおける第2部位912の長さR2は、径方向Rにおける磁石6の長さR6と異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。これにより、第2部位912は、十分な広さの欠損部913を伴うことになるため、コギングトルクを低減する効果を損なうことなく、磁石6から流れ出る磁束をより阻害しにくくなる。その結果、コギングトルクの低減を図りつつ、マグネットトルクへの悪影響を減らすことができる。
【0046】
これに対し、長さR2が長さR6よりも長い場合、欠損部913が狭くなるため、マグネットトルクを低減させるおそれがある。なお、長さR2が長さR6と同じとは、長さR2が、長さR6の95%以上105%以下であることをいう。
【0047】
なお、径方向Rにおける第2部位912の長さR2は、磁石6に重なる部分においては、径方向Rにおける磁石6の長さR6と同じであることが好ましいが、磁石6に重ならない部分においては、径方向Rにおける第2部位912の長さR2と径方向Rにおける磁石6の長さR6とが異なっていてもよい。
【0048】
また、周方向Cにおける第1部位911の長さをC1とし、第2部位912の長さをC2とするとき、合計の長さC1+C2は、周方向Cにおける磁石6の配列の周期(磁極の配列の周期)に相当する。このとき、比C1/(C1+C2)は、磁石6の配列の周期に対して第1部位911が占める比率を表す。磁性板91は、第1部位911と第2部位912の双方を有しているので、この比C1/(C1+C2)は、0%超100%未満となる。
【0049】
図5は、磁性板91における比C1/(C1+C2)とコイル43の相間に生じる逆起電圧との関係を示すグラフである。図5に示すグラフは、磁性板91における比C1/(C1+C2)を変化させたとき、ステーター4のコイル43の相間に生じる逆起電圧の最大値を計算によって求め、得られた計算結果をプロットして作成したものである。コイル43の相間に生じる逆起電圧は、アキシャルギャップモーター1のトルクに比例するため、トルクを評価する指標となる。なお、図5には、比C1/(C1+C2)が0%であるときの逆起電圧を基準(0%)としたとき、この基準に対する各計算結果の減少率をプロットマークに併記している。
【0050】
また、図6は、図5の5つのプロットマークに対応する5種類の磁性板91を示す部分平面図である。
【0051】
図6に示すように、磁性板91における比C1/(C1+C2)を100%とした場合、つまり、磁極の配列の周期において第1部位911が占める比率が100%であるため、第2部位912が存在しない磁性板91を用いた場合、コイル43の相間に生じる逆起電圧は、図5に示すように相対的に最も低くなる。このため、アキシャルギャップモーター1のトルクを十分に高めることができない。
【0052】
一方、図6に示すように、磁性板91における比C1/(C1+C2)を0%とした場合、つまり、磁極の配列の周期において第1部位911が占める比率が0%である場合、磁石6から流れ出る磁束が阻害されにくくなるため、十分に大きなマグネットトルクを確保することができ、図5に示すように、相対的に高い逆起電圧が得られる。しかし、比C1/(C1+C2)が0%である磁性板91では、前述した内側突出部911aや外側突出部911bが存在しないため、コギングトルクを十分に低減させることができない。
【0053】
したがって、磁性板91が第1部位911と第2部位912の双方を有すること、すなわち、磁性板91における比C1/(C1+C2)を0%超100%未満とすることで、コギングトルクの低減を図りつつ、マグネットトルクを十分に確保することが可能になる。
【0054】
また、比C1/(C1+C2)は、10%以上100%未満であることが好ましく、30%以上90%以下であることがより好ましく、50%以上80%以下であることがさらに好ましい。これにより、磁性板91によるマグネットトルクの低減幅を最小限に抑えつつ、磁性板91によってコギングトルクを十分に低減させることができる。したがって、比C1/(C1+C2)が前記下限値を下回ると、第1部位911が占める比率が低下するため、コギングトルクを十分に低減させることができないおそれがある。一方、比C1/(C1+C2)が前記上限値を上回ると、第1部位911が占める比率が上昇する一方、第2部位912が占める比率が低下する。そうすると、磁石6から流れ出る磁束が第1部位911の内側突出部911aや外側突出部911bによって妨げられ、マグネットトルクが低減してしまうおそれがある。
【0055】
また、内側突出部911aおよび外側突出部911bは、それぞれ、磁性板91をローターサポート30に固定する部位として用いられる。具体的には、内側突出部911aおよび外側突出部911bは、ローターサポート30が有するリム32の下面に接着されている。これにより、磁性板91をローターサポート30に固定することができる。このような固定方法を採用することにより、磁性板91をローターサポート30に対してより安定的に固定することができる。その結果、磁性板91の脱落やローター3における振動の発生等を抑制することができる。
【0056】
なお、磁性板91の固定方法は、上記の方法に限定されない。例えば、磁性板91は、磁石6のみに接着され、磁石6を介してローターサポート30に固定されていてもよいし、磁石6とローターサポート30の双方に接着されていてもよい。
【0057】
また、本実施形態に係るアキシャルギャップモーター1は、前述したように、2つのステーター4、5を備えるダブルステーター構造を採用している。そして、ローター3は、ローターサポート30の下面に固定されている磁性板91と、ローターサポート30の上面に固定されている磁性板92と、を有する。つまり、これらの磁性板91、92は、磁石6を介して軸方向Aの両側に設けられている。ダブルステーター構造を採用しているアキシャルギャップモーター1では、高トルク化が図られており、また、2枚の磁性板91、92を有することから、コギングトルクが十分に低減されている。
【0058】
図7は、図2に示す磁性板91の部分拡大図である。
図7に示す磁性板91は、複数の鋼板94の積層体93を含んでいてもよい。積層体93では、複数の鋼板94が径方向Rに積層されている。つまり、回転軸AXを中心とする同心円状に積層された複数の鋼板94によって積層体93が構成されている。図示しないが、磁性板92も同様であってもよい。このような構成によれば、周方向Cに沿って流れる磁束が変化しても、磁性板91、92には渦電流が発生しにくくなる。その結果、渦電流損を抑制することができ、アキシャルギャップモーター1の出力効率を高めることができる。なお、鋼板94同士は、絶縁されていることが好ましい。
【0059】
径方向Rにおける鋼板94の厚さは、特に限定されないが、0.1mm以上1.0mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.5mm以下であることがより好ましい。これにより、渦電流損を十分に低減しつつ、鋼板94の剛性を確保することができる。その結果、鋼板同士を積層する作業の作業性を高めることができる。
【0060】
以上、ローター3について説明したが、磁性板91、92は、それぞれ、複数に分割された部品の集合体であってもよい。例えば、図2に示す磁性板91、92は、周方向Cにおいて複数に分割されており、各部品の集合体が全体として円環状をなしているものであってもよい。
【0061】
また、本実施形態に係るアキシャルギャップモーター1は、本発明は、ダブルステーター構造を採用しているが、シングルステーター構造や3つ以上のステーターを備える構造を採用していてもよい。その場合、磁性板の数は、ステーターの数に応じて設定される。
【0062】
1.3.第1実施形態が奏する効果
以上のように、第1実施形態に係るアキシャルギャップモーター1は、ローター3と、ステーター4と、を備える。ローター3は、回転軸AXの周方向Cに配置される複数の磁石6、回転軸AXに沿う軸方向Aにおいて磁石6と重なる位置に設けられる磁性板91、92、および、磁性板91を支持するローターサポート30(フレーム)を有し、回転軸AXの周りを回転する。ステーター4、5は、軸方向Aにおいてローター3と離間して配置される。磁性板91、92は、軟磁性を有し、かつ、回転軸AXを中心とする円環状をなしている。磁性板91のうち、平面視で磁石6の中心Oと重なる部位を第1部位911とし、周方向Cに隣り合う磁石6同士の中間Mと重なる部位を第2部位912とするとき、回転軸AXの径方向Rにおける第2部位912の長さR2が、径方向Rにおける第1部位911の長さR1よりも短い。
【0063】
このような構成によれば、磁石6の中心Oと重なる位置に第1部位911が配置され、磁石6同士の中間Mと重なる位置に第2部位912が配置された磁性板91を有するため、コギングトルクの低減を図りつつ、マグネットトルクを十分に確保することができる。これにより、マグネットトルクの低減を抑制することができる。その結果、アキシャルギャップモーター1の高出力化を図ることができる。
【0064】
また、上記の構成によれば、従来技術のように、ステーターコア42が備えるティース部に先端突起部を設けなくても、コギングトルクの低減が可能になる。このため、ティース部に巻線を巻回する作業の効率を容易に高めることができる。また、ボビン等にあらかじめ巻線を巻回し、これをティース部に差し込むことも可能になる。したがって、第1実施形態に係るアキシャルギャップモーター1は、製造容易性に優れたものとなる。
【0065】
また、本実施形態では、第2部位912よりも径方向Rの両側に向かって突出している突出部として、第1部位911が、内側突出部911aおよび外側突出部911bを含んでいる。このような第1部位911を有する磁性板91によれば、内側突出部911aおよび外側突出部911bがマグネットトルクに及ぼす影響を最小限に留めつつ、コギングトルクの低減に寄与する。これにより、磁性板91によるマグネットトルクの低減幅を小さく抑えつつ、コギングトルクを低減させることができ、アキシャルギャップモーター1のさらなる高出力化を図ることができる。
【0066】
また、本実施形態では、内側突出部911aおよび外側突出部911bは、ローターサポート30(フレーム)に固定されている。これにより、磁性板91をローターサポート30に対してより安定的に固定することができる。その結果、磁性板91の脱落やローター3における振動の発生等を抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態では、径方向Rにおける第2部位912の長さR2が、径方向Rにおける磁石6の長さR6と同じである。これにより、第2部位912では、コギングトルクを低減する効果を損なうことなく、磁石6から流れ出る磁束をより阻害しにくくなる。つまり、長さR2が長さR6よりも長い場合、磁性板91のうち、磁石6からはみ出した部分が、マグネットトルクを低減させるおそれがあるが、そのような懸念を減らすことができる。
【0068】
また、磁性板91は、径方向Rに積層されている複数の鋼板94の積層体93を含むことが好ましい。これにより、軸方向Aに沿って流れる磁束が変化しても、磁性板91には渦電流が発生しにくくなる。その結果、渦電流損を抑制することができ、アキシャルギャップモーター1の出力効率を高めることができる。
【0069】
また、本実施形態に係るアキシャルギャップモーター1は、ローター3を介して軸方向Aの両側に配置される2つのステーター4、5を備える。ローター3は、磁石6を介して軸方向Aの両側に設けられる2枚の磁性板91、92を有する。
【0070】
このようなアキシャルギャップモーター1は、ダブルステーター構造を採用しているため、高トルク化が容易に図られる。また、各エアギャップに臨むように磁性板91、92が設けられることになるため、コギングトルクの低減を効果的に図ることができる。
【0071】
ローター3(本実施形態に係るローター)は、アキシャルギャップモーター1に用いられ、回転軸AXの周りに回転するローターである。ローター3は、複数の磁石6と、磁性板91と、ローターサポート30(フレーム)と、を有する。複数の磁石6は、回転軸AXの周方向Cに配置される。磁性板91は、回転軸AXに沿う軸方向Aにおいて磁石6と重なる位置に設けられる。ローターサポート30は、磁性板91を支持する。
【0072】
そして、磁性板91は、軟磁性を有し、かつ、回転軸AXを中心とする円環状をなしている。磁性板91のうち、平面視で磁石6の中心Oと重なる部位を第1部位911とし、周方向Cに隣り合う磁石6同士の中間Mと重なる部位を第2部位912とするとき、回転軸AXの径方向Rにおける第2部位912の長さR2が、径方向Rにおける第1部位911の長さR1よりも短い。
【0073】
このような磁性板91は、アキシャルギャップモーター1に用いられることで、コギングトルクの低減を図りつつ、高出力化を図ることに寄与する。具体的には、ローター3は、磁石6の中心Oと重なる位置に第1部位911が配置され、磁石6同士の中間Mと重なる位置に第2部位912が配置された磁性板91を有するため、マグネットトルクの低減を抑制することができる。これにより、アキシャルギャップモーター1の高出力化を図ることができる。
【0074】
2.変形例
次に、変形例に係るアキシャルギャップモーターについて説明する。
図8は、変形例に係るアキシャルギャップモーターが備えるローター3Aを示す部分平面図である。
【0075】
以下、変形例について説明するが、以下の説明では、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図8において、前記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0076】
図8に示すローター3Aは、図3に示すローター3の構成に加え、非磁性体35を有する。非磁性体35は、非磁性を有し、磁性板91の欠損部913に設けられる。
【0077】
欠損部913に非磁性体35を設けることにより、非磁性体35を介して磁性板91とローターサポート30および磁石6とを固定することができる。つまり、欠損部913に設けた非磁性体35は、磁性板91とローターサポート30や磁石6との固定を強化することに寄与する。一方、非磁性体35は、非磁性を有するため、欠損部913を流れる磁束にほとんど影響を及ぼさない。このため、非磁性体35を設けたとしても、アキシャルギャップモーター1のマグネットトルクの低減は限定的である。
【0078】
非磁性体35は、非磁性を示す部材である。非磁性体35の構成材料としては、例えば、樹脂材料、ガラス材料等が挙げられる。また、樹脂材料やガラス材料には、任意の添加材が添加されていてもよい。添加材としては、各種フィラー等が挙げられる。また、磁性板91および非磁性体35は、3Dプリンターを用いた積層造形法により、一体的に製造可能である。
【0079】
以上のように、変形例に係るアキシャルギャップモーターが備えるローター3Aは、非磁性体35をさらに有する。非磁性体35は、第1部位911の外縁の延長線ELと第2部位912との間(欠損部913)に設けられ、非磁性を示す。
【0080】
このようなローター3Aでは、非磁性体35が、磁性板91とローターサポート30や磁石6との固定を補強する。これにより、磁性板91をローターサポート30に対してより安定的に固定することができる。その結果、磁性板91の脱落やローター3Aにおける振動の発生等を特に抑制することができる。また、非磁性体35は、非磁性を有するため、マグネットトルクに対して悪影響を及ぼしにくい。
【0081】
3.第2実施形態
次に、第2実施形態に係るロボットについて説明する。
図9は、第2実施形態に係るロボット1000を示す斜視図である。
【0082】
図9に示すように、ロボット1000は、例えば、各種ワーク(対象物)の搬送、組立、検査等の各作業で用いられる。ロボット1000は、基台1001、ロボットアーム1100、駆動部1501,1502,1503,1504,1505,1506と、を有する。
【0083】
基台1001は、水平な床2000に載置されている。なお、基台1001は、床2000ではなく、壁、天井、架台等に載置されていてもよい。
【0084】
ロボットアーム1100は、第1アーム1010、第2アーム1020、第3アーム1030、第4アーム1040、第5アーム1050および第6アーム1060を備えている。第6アーム1060の先端には、図示しないエンドエフェクターを着脱可能に取り付けることができ、そのエンドエフェクターでワークを把持等することができる。
【0085】
エンドエフェクターとしては、特に限定されないが、ワークを把持するハンド、ワークを吸着する吸着ヘッド等が挙げられる。エンドエフェクターで把持等するワークとしては、特に限定されず、例えば、電子部品、電子機器等が挙げられる。なお、本明細書では、第6アーム1060を基準にしたときの基台1001側を「基端側」とし、基台1001を基準にしたときの第6アーム1060側を「先端側」とする。
【0086】
ロボット1000は、基台1001と、第1アーム1010と、第2アーム1020と、第3アーム1030と、第4アーム1040と、第5アーム1050と、第6アーム1060とが、基端側から先端側に向かってこの順に連結された単腕の6軸垂直多関節ロボットである。
【0087】
第1アーム1010~第6アーム1060の長さは、それぞれ、特に限定されず、適宜設定可能である。なお、ロボットアーム1100が有するアームの数は、1~5本または7本以上であってもよい。また、ロボット1000は、スカラロボットであってもよく、2つまたはそれ以上のロボットアーム1100を備える双腕ロボットであってもよい。
【0088】
基台1001と第1アーム1010とは、図示しない関節を介して連結されている。第1アーム1010は、モーター1501m、および、図示しない減速機を有する駆動部1501の駆動により回動する。モーター1501mは、第1アーム1010を回動させる推力を発生する。
【0089】
第1アーム1010と第2アーム1020とは、図示しない関節を介して連結されている。第2アーム1020は、モーター1502m、および、図示しない減速機を有する駆動部1502の駆動により回動する。モーター1502mは、第2アーム1020を回動させる推力を発生する。
【0090】
第2アーム1020と第3アーム1030とは、図示しない関節を介して連結されている。第3アーム1030は、モーター1503m、および、図示しない減速機を有する駆動部1503の駆動により回動する。モーター1503mは、第3アーム1030を回動させる推力を発生する。
【0091】
第3アーム1030と第4アーム1040とは、図示しない関節を介して連結されている。第4アーム1040は、モーター1504m、および、図示しない減速機を有する駆動部1504の駆動により回動する。モーター1504mは、第4アーム1040を回動させる推力を発生する。
【0092】
第4アーム1040と第5アーム1050とは、図示しない関節を介して連結されている。第5アーム1050は、モーター1505m、および、図示しない減速機を有する駆動部1505の駆動により回動する。モーター1505mは、第5アーム1050を回動させる推力を発生する。
【0093】
第5アーム1050と第6アーム1060とは、図示しない関節を介して連結されている。第6アーム1060は、モーター1506m、および、図示しない減速機を有する駆動部1506の駆動により回動する。モーター1506mは、第6アーム1060を回動させる推力を発生する。
【0094】
これらのモーター1501m~1506mのうちの少なくとも1つに、前記実施形態または変形例に係るアキシャルギャップモーターが用いられる。すなわち、ロボット1000は、前記実施形態または変形例に係るアキシャルギャップモーターを備える。このようなアキシャルギャップモーターを用いることにより、モーター1501m~1506mのコギングトルクを低減しつつ、高出力化を図ることができ、ロボットアーム1100の性能向上を図ることができる。
【0095】
また、駆動部1501~1506には、図示しない角度センサーが設けられる。これらの角度センサーとしては、例えば、ロータリーエンコーダー等の各種エンコーダーが挙げられる。角度センサーは、モーター1501m~1506mまたは減速機の出力軸の回動角度を検出する。
【0096】
駆動部1501~1506および角度センサーは、それぞれ、図示しないロボット制御装置と電気的に接続されている。ロボット制御装置は、駆動部1501~1506の動作を独立して制御する。
【0097】
なお、ロボット1000が前記実施形態または変形例に係るアキシャルギャップモーターを備える場合、図1に示すシャフト2を中空にすることもできるので、中空を利用して配線を通すことができる。これにより、ロボットアーム1100における配線効率を向上させることができる。また、併せて、上記のアキシャルギャップモーターを備えることにより、従来に比べてロボット1000の高出力化を図ることができる。
【0098】
以上、本発明に係るアキシャルギャップモーター、ローターおよびロボットを図示の実施形態または変形例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0099】
例えば、本発明に係るアキシャルギャップモーター、ローターおよびロボットは、それぞれ、前記実施形態または変形例の各部が同様の機能を有する任意の構成物に置換されたものであってもよく、前記実施形態または変形例に任意の構成物が付加されたものであってもよい。
【0100】
また、本発明は、ラジアルギャップモーターにも適用可能である。これにより、磁性板を有するラジアルギャップモーターにおいても、コギングトルクを低減させつつ、高出力化を図ることができる。
【符号の説明】
【0101】
1…アキシャルギャップモーター、2…シャフト、3…ローター、3A…ローター、4…ステーター、5…ステーター、6…磁石、8…モーターケース、30…ローターサポート、31…ハブ、32…リム、33…連結部、35…非磁性体、42…ステーターコア、43…コイル、52…ステーターコア、53…コイル、71…軸受、72…軸受、81…第1ケース、82…第2ケース、83…側面ケース、91…磁性板、92…磁性板、93…積層体、94…鋼板、311…貫通孔、321…貫通孔、911…第1部位、911a…内側突出部、911b…外側突出部、912…第2部位、913…欠損部、1000…ロボット、1001…基台、1010…第1アーム、1020…第2アーム、1030…第3アーム、1040…第4アーム、1050…第5アーム、1060…第6アーム、1100…ロボットアーム、1501…駆動部、1501m…モーター、1502…駆動部、1502m…モーター、1503…駆動部、1503m…モーター、1504…駆動部、1504m…モーター、1505…駆動部、1505m…モーター、1506…駆動部、1506m…モーター、2000…床、A…軸方向、AX…回転軸、C…周方向、EL…延長線、M…中間、O…中心、R…径方向、C1…長さ、C2…長さ、R1…長さ、R2…長さ、R6…長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9