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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172093
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】キャニスタユニット
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
F02M25/08 311A
F02M25/08 311H
F02M25/08 311M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083665
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(72)【発明者】
【氏名】米丸 智巳
【テーマコード(参考)】
3G144
【Fターム(参考)】
3G144BA39
3G144BA40
3G144GA14
3G144GA16
3G144GA18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】鞍乗り型車両に取り付けるにあたり、簡便に組み付けることができ、部品点数を減らして製造コストを削減することができるキャニスタユニットを提供する。
【解決手段】キャニスタユニット10は、鞍乗り型車両に取り付けられる。キャニスタユニット10は、空気が流通する吸気通路68を有したコネクティングチューブ部56と、蒸発燃料を吸着可能な吸着材54を内部に収容し、コネクティングチューブ部56に対して一体成形されるキャニスタ部58とを備える。コネクティングチューブ部56は、エアクリーナボックス18とスロットルボディ20とを接続する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、燃料の貯留される燃料タンクと、内部にフィルタが収容され空気が取り込まれるエアクリーナボックスと、前記エアクリーナボックスの下流に配置され前記内燃機関への前記空気の供給量を調整するスロットルボディとを備えた鞍乗り型車両に取り付けられ、
前記燃料タンク内で前記燃料が気化して生じる蒸発燃料を吸着する吸着材を収容し、該吸着材に吸着した前記蒸発燃料を前記内燃機関の作動時に脱離させて前記内燃機関内に供給するキャニスタユニットであって、
前記キャニスタユニットは、前記空気が流通する吸気通路を有し前記エアクリーナボックスと前記スロットルボディとを接続するコネクティングチューブ部と、
前記コネクティングチューブ部に対して一体成形され、前記吸着材を内部に収容するキャニスタ部と、
を備える、キャニスタユニット。
【請求項2】
請求項1記載のキャニスタユニットにおいて
前記キャニスタ部は、前記吸着材が収容される収容室を内部に有した筒状の本体部と、
前記本体部の一端に配置され、前記エアクリーナボックスに接続されるボックス側端部と、
を有する、キャニスタユニット。
【請求項3】
請求項2記載のキャニスタユニットにおいて
前記ボックス側端部には、前記蒸発燃料が液化した前記収容室内の液体を該収容室から前記エアクリーナボックス内に排出可能な液体排出部を備える、キャニスタユニット。
【請求項4】
請求項3記載のキャニスタユニットにおいて、
前記ボックス側端部には、前記本体部の開口部に装着され該開口部を閉塞するカバー部材を備え、前記液体排出部が、前記カバー部材に設けられる、キャニスタユニット。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載のキャニスタユニットにおいて
前記ボックス側端部には、前記空気を前記エアクリーナボックス内から前記収容室に導入可能な空気導入部を備える、キャニスタユニット。
【請求項6】
請求項5記載のキャニスタユニットにおいて、
前記ボックス側端部には、前記本体部の開口部に装着され該開口部を閉塞するカバー部材を備え、前記空気導入部が、前記カバー部材に設けられる、キャニスタユニット。
【請求項7】
請求項2~4のいずれか1項に記載のキャニスタユニットにおいて、
前記コネクティングチューブ部の一端部は、前記キャニスタ部の前記ボックス側端部よりも前記エアクリーナボックスの内部に向けて突出して形成される、キャニスタユニット。
【請求項8】
請求項1記載のキャニスタユニットにおいて、
前記コネクティングチューブ部と前記キャニスタ部とが略並列に配置される、キャニスタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発燃料を吸着可能な吸着材を備えたキャニスタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のキャニスタは、キャニスタ取付構造によって自動二輪車のフレームに固定される。キャニスタ取付構造は、フレームに連結されるキャニスタフレームと、キャニスタフレームに固定されキャニスタを保持するキャニスタホルダと、キャニスタホルダの一組のフックに係止されるゴムバンドとを備える。キャニスタが、キャニスタホルダの内側に配置されゴムバンドによって該キャニスタホルダに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-305469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、キャニスタを自動二輪車に固定するために、キャニスタフレーム、キャニスタホルダ、ゴムバンドが必要となるため、部品点数が増加して製造コストの増大を招くと共に、キャニスタの組み付け作業が煩雑であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、内燃機関と、燃料の貯留される燃料タンクと、内部にフィルタが収容され空気が取り込まれるエアクリーナボックスと、前記エアクリーナボックスの下流に配置され前記内燃機関への前記空気の供給量を調整するスロットルボディとを備えた鞍乗り型車両に取り付けられ、前記燃料タンク内で前記燃料が気化して生じる蒸発燃料を吸着する吸着材を収容し、該吸着材に吸着した前記蒸発燃料を前記内燃機関の作動時に脱離させて前記内燃機関内に供給するキャニスタユニットであって、前記キャニスタユニットは、前記空気が流通する吸気通路を有し前記エアクリーナボックスと前記スロットルボディとを接続するコネクティングチューブ部と、前記コネクティングチューブ部に対して一体成形され、前記吸着材を内部に収容するキャニスタ部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0008】
すなわち、吸気通路を有するコネクティングチューブ部と、吸着材が収容されコネクティングチューブ部に一体成形されたキャニスタ部とを有したキャニスタユニットを鞍乗り型車両に取り付けることで、キャニスタを固定するためのキャニスタホルダ、ゴムバンド等のキャニスタ取付構造が不要となる。従って、キャニスタユニットを鞍乗り型車両に取り付けるにあたり、部品点数を減らして製造コストを削減することができる。キャニスタホルダ、ゴムバンド等を利用することなく、鞍乗り型車両にキャニスタユニットを簡便に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係るキャニスタユニットを含む鞍乗り型車両の主要構成図である。
図2図2は、図1に示すキャニスタユニット及びエアクリーナボックスの断面図である。
図3図3は、図2に示すキャニスタユニットの拡大断面図である。
図4図4は、キャニスタユニットの分解斜視図である。
図5図5は、図2のV-V線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示されるように、本実施形態に係るキャニスタユニット10は、自動二輪車等の鞍乗り型車両12に搭載される。図1は、鞍乗り型車両12を左側から見たときの主要構成図である。
【0011】
図1に示すように、鞍乗り型車両12は、内燃機関14と、燃料Fの貯留される燃料タンク16と、外部の空気(外気)が取り込まれるエアクリーナボックス18と、エアクリーナボックス18の下流に配置され内燃機関14への空気の供給量を調整するスロットルボディ20と、キャニスタユニット10とを備える。以下、鞍乗り型車両12の前後方向を矢印A1、A2方向として説明する。
【0012】
内燃機関14及び燃料タンク16は、鞍乗り型車両12の前後方向(矢印A1、A2方向)の中央近傍に配置される。エアクリーナボックス18は、鞍乗り型車両12において内燃機関14の後方(矢印A2方向)に配置される。スロットルボディ20は、内燃機関14とエアクリーナボックス18との間に配置され、吸気配管22を介して内燃機関14のシリンダ室24と接続される。
【0013】
図2に示すように、エアクリーナボックス18は、ハウジング26と、ハウジング26の内部に収容されるフィルタ27とを備える。ハウジング26は、樹脂材から形成され内部にボックス室28を有した箱状である。ハウジング26は、鞍乗り型車両12の前後方向(矢印A1、A2方向)に沿って延在する。ハウジング26の延在方向に沿った一端は、延在方向と直交する壁部30を有する。
【0014】
ハウジング26の延在方向に沿った他端は、キャニスタユニット10と接続されるユニット側端部32を有する。ユニット側端部32は、延在方向と直交する接続壁34を有する。接続壁34は、キャニスタユニット10の挿入される挿入孔36と、内燃機関14からブローバイガスが導入されるガス導入ポート38とを有する。
【0015】
挿入孔36は、ハウジング26の延在方向(矢印A1、A2方向)に沿って接続壁34を貫通する。挿入孔36の形状は、後述するキャニスタユニット10の形状に対応する。
【0016】
ガス導入ポート38は、挿入孔36の下方に該挿入孔36から離れて配置される。ガス導入ポート38は、接続壁34から突出すると共にボックス室28と連通する。図1に示すように、ガス導入ポート38と内燃機関14のクランク室40とがガス導入チューブ42によって接続される。内燃機関14のクランク室40で発生したブローバイガスが、ガス導入チューブ42及びガス導入ポート38を通じてボックス室28の内部に導入される。
【0017】
図2に示すように、ハウジング26の上壁26aは、外気(空気)を内部に取り込む外気取込口44を有する。外気取込口44は、ハウジング26の上壁26aに開口する。外気取込口44には、フィルタ27が装着される。外気取込口44は、ハウジング26の一端寄りに配置される。
【0018】
ハウジング26の底壁26bには、エアクリーナボックス18の外部から排出される液体(液体成分)を貯留する液体貯留部46を有する。液体貯留部46は、ハウジング26の他端に配置され、接続壁34と分離壁48とによって分離された空間である。液体貯留部46は、ボックス室28において上方に向けて開放される。分離壁48は、ハウジング26の底壁26bから上方に向けて延出し、接続壁34に対してハウジング26の他端寄りに平行に離間する。
【0019】
図3に示すように、液体貯留部46の底壁26bは、排出ポート50を有する。排出ポート50は、底壁26bから下方に向けて突出する管状に形成される。排出ポート50が底壁26bを貫通して液体貯留部46の内部及びハウジング26の外部と連通する。排出ポート50の下端には、キャップ52が着脱可能に装着される。液体貯留部46には、ガス導入ポート38を通じて導入されるブローバイガスの液体成分が排出され貯留される。
【0020】
図3に示すように、キャニスタユニット10は、燃料タンク16内で燃料Fが気化して生じる蒸発燃料を吸着する吸着材54を収容し、吸着材54に吸着した蒸発燃料を内燃機関14の作動時に脱離させて内燃機関14内へと供給可能である。
【0021】
図3及び図4に示すように、キャニスタユニット10は、樹脂材から形成され、エアクリーナボックス18とスロットルボディ20との間に配置される(図1参照)。キャニスタユニット10は、コネクティングチューブ部56と、キャニスタ部58と、コネクティングチューブ部56とキャニスタ部58とを繋ぐ接続部60とを備える。キャニスタユニット10は、コネクティングチューブ部56、キャニスタ部58及び接続部60が一体成形される。
【0022】
コネクティングチューブ部56は、管状に形成され鞍乗り型車両12の前後方向(矢印A1、A2方向)に沿って配置される。コネクティングチューブ部56は、エアクリーナボックス18とスロットルボディ20とを接続する。
【0023】
コネクティングチューブ部56は、チューブ本体62と、第1管端64と、第2管端66とを備える。チューブ本体62は、軸方向に沿って一定径で形成される。チューブ本体62の内部には、軸方向に貫通して空気が流通する吸気通路68を有する。
【0024】
第1管端64は、チューブ本体62の軸方向に沿った一端に配置される。第1管端64は、チューブ本体62に対して径方向外方向に拡径したスカート部70を有する。スカート部70は、チューブ本体62から離れる方向に向けて徐々に拡径する。第1管端64及びチューブ本体62の一端近傍は、挿入孔36を通じてエアクリーナボックス18の内部に挿入される。コネクティングチューブ部56の軸方向一端は、エアクリーナボックス18に接続される。スカート部70によってエアクリーナボックス18内の空気が吸気通路68へと円滑に導入される。
【0025】
第2管端66は、チューブ本体62の軸方向に沿った他端に配置される。第2管端66には、スロットルボディ20の一部が挿入される。第2管端66の外周に装着される締結バンド72によって第2管端66とスロットルボディ20とが固定される(図3参照)。
【0026】
図3に示す吸気通路68を空気が流れるとき、コネクティングチューブ部56の第1管端64が上流側となり、第2管端66が下流側となる。
【0027】
図3に示すように、チューブ本体62の外周面は、一対の位置決めリブ74a、74bを有する。一対の位置決めリブ74a、74bは、チューブ本体62の外周面から径方向外側に突出する。位置決めリブ74aと位置決めリブ74bとが、チューブ本体62の軸方向(矢印A1、A2方向)に離間する。挿入孔36に対してチューブ本体62が挿入されたとき、一方の位置決めリブ74aと他方の位置決めリブ74bとの間に接続壁34が挿入され係止される。
【0028】
これにより、キャニスタユニット10の前後方向(矢印A1、A2方向)において、チューブ本体62とエアクリーナボックス18との相対移動が規制され、チューブ本体62を介してキャニスタユニット10とエアクリーナボックス18とが位置決めされ固定される。
【0029】
図3及び図4に示すように、キャニスタ部58は、コネクティングチューブ部56に対して一体成形される。キャニスタ部58は、管状に形成され鞍乗り型車両12の前後方向(矢印A1、A2方向)に沿って配置される。キャニスタ部58とコネクティングチューブ部56とが略並列に配置される(図2参照)。キャニスタ部58は、コネクティングチューブ部56の軸方向に垂直な方向に、コネクティングチューブ部56から突出する。鞍乗り型車両12にキャニスタユニット10が取り付けられたとき、キャニスタ部58がコネクティングチューブ部56の下方に配置される。
【0030】
キャニスタ部58は、本体部76と、本体部76の軸方向に沿った一端に配置されるボックス側端部78と、本体部76の軸方向に沿った他端に配置されるタンク側端部80とを備える。
【0031】
本体部76は、軸方向に沿って筒状に形成され、内部に収容室82を有する。図5に示す本体部76の延在方向から見たとき、収容室82の断面形状は円形状である。図3及び図5に示すように、収容室82には、燃料タンク16で発生した蒸発燃料を吸着可能な複数の吸着材54が収容される。吸着材54としては、例えば、粒子状の活性炭が用いられる。複数の吸着材54によって収容室82が満たされる。
【0032】
図3に示すように、ボックス側端部78は、エアクリーナボックス18に接続される。ボックス側端部78は、エアクリーナボックス18の挿入孔36に挿入される。ボックス側端部78に対してコネクティングチューブ部56がエアクリーナボックス18に向けて突出する。
【0033】
ボックス側端部78は、第1カバー部材84と、液体排出部86と、空気導入部88とを備える。
【0034】
第1カバー部材84は、ボックス側端部78の第1開口部90に装着される。第1開口部90は、軸方向に沿ってボックス側端部78を貫通して収容室82と連通する。第1カバー部材84によって第1開口部90が閉塞される。本体部76の軸方向から見ると、第1開口部90及び第1カバー部材84の断面形状は、それぞれ円形状である。第1開口部90及び第1カバー部材84の直径は、収容室82の直径より小さい。
【0035】
第1カバー部材84は、円板状に形成されるカバー本体92と、該カバー本体92に向かい合う分離部94とを備える。カバー本体92が第1開口部90に装着されることで、第1開口部90が閉塞される。カバー本体92の外周面には、径方向外側に突出した環状突起96を有し、第1開口部90の内周面に形成された環状凹部98に挿入される。これにより、第1カバー部材84が第1開口部90に固定される。
【0036】
分離部94は、カバー本体92から収容室82に向けて突出した円筒状に形成される。分離部94は、カバー本体92と平行な平行壁100と、平行壁100の外縁部とカバー本体92の外縁部とを接続する環状の外周壁102と、平行壁100、外周壁102及びカバー本体92に囲まれた連通室104を備える。
【0037】
平行壁100及び外周壁102には、複数の連通孔106を有する。複数の連通孔106は、互いに離間して配置されると共に吸着材54よりも小さな直径である。連通室104は、液体排出部86及び空気導入部88と連通する。
【0038】
第1カバー部材84が第1開口部90に装着されたとき、分離部94が収容室82に収容される。複数の連通孔106を通じて連通室104と収容室82とが連通する。連通室104を通じて収容室82と液体排出部86及び空気導入部88がそれぞれ連通する。
【0039】
液体排出部86及び空気導入部88は、管状に形成されカバー本体92の端面からエアクリーナボックス18に向けて軸方向に突出する。液体排出部86と空気導入部88とが離間して平行に配置される。液体排出部86及び空気導入部88は、エアクリーナボックス18のボックス室28に配置される。鞍乗り型車両12にキャニスタユニット10が取り付けられたとき、空気導入部88に対して液体排出部86が下方に配置される。液体排出部86は、分離壁48に向かい合う。
【0040】
液体排出部86は、カバー本体92を貫通して収容室82と連通する。液体排出部86は、収容室82内において蒸発燃料が液化した液体成分をエアクリーナボックス18の液体貯留部46へ排出可能である。空気導入部88は、カバー本体92を貫通して収容室82と連通する。空気導入部88は、エアクリーナボックス18のボックス室28から空気を収容室82へ導入可能である。
【0041】
タンク側端部80は、第2カバー部材108と、蒸発燃料吸入部110と、蒸発燃料吐出部112とを備える。タンク側端部80に対してコネクティングチューブ部56の第2管端66がスロットルボディ20に向けて突出して形成される(図2参照)。
【0042】
第2カバー部材108は、第1カバー部材84と同一形状である。第2カバー部材108は、タンク側端部80の第2開口部114に装着される。第2開口部114は、第1開口部90と同一形状である。第2開口部114は、軸方向に沿ってタンク側端部80を貫通して収容室82と連通する。第2カバー部材108によって第2開口部114が閉塞される。
【0043】
第2カバー部材108の環状突起96が、第2開口部114の環状凹部98に挿入されることで、第2カバー部材108が第2開口部114に固定される。
【0044】
蒸発燃料吸入部110及び蒸発燃料吐出部112は、液体排出部86及び空気導入部88と同様に管状に形成される。鞍乗り型車両12にキャニスタユニット10が取り付けられたとき、蒸発燃料吐出部112に対して蒸発燃料吸入部110が下方に配置される。
【0045】
蒸発燃料吸入部110は、第1蒸発燃料チューブ116を介して燃料タンク16の内部空間16aと接続され、燃料タンク16で発生した蒸発燃料を収容室82へ吸入可能である(図1参照)。
【0046】
図1に示すように、蒸発燃料吐出部112は、第2蒸発燃料チューブ118を介して吸気配管22と接続され、収容室82内で吸着材54から脱離した蒸発燃料を収容室82から吸気配管22へと吐出可能である。第2蒸発燃料チューブ118には、切替装置120が配置される。切替装置120は、収容室82から吸気配管22への蒸発燃料の吐出状態を切替可能である。
【0047】
キャニスタ部58とコネクティングチューブ部56とが接続部60によって一体的に形成される。図5に示すキャニスタユニット10を軸方向から見たとき、接続部60は、キャニスタ部58の外周面とコネクティングチューブ部56の外周面とを繋ぐように形成される。接続部60は、コネクティングチューブ部56の吸気通路68とキャニスタ部58の収容室82との間を仕切る隔壁61を有する。コネクティングチューブ部56とキャニスタ部58とが隔壁61を共有する。
【0048】
次に、キャニスタユニット10とエアクリーナボックス18との組み付けについて説明する。
【0049】
コネクティングチューブ部56の第1管端64を、エアクリーナボックス18の挿入孔36からボックス室28内に挿入する。キャニスタ部58のボックス側端部78を挿入孔36に挿入する。これにより、キャニスタユニット10によってエアクリーナボックス18の挿入孔36が閉塞される。このとき、キャニスタ部58のボックス側端部78が、エアクリーナボックス18の接続壁34と同一面に配置される。
【0050】
コネクティングチューブ部56の一対の位置決めリブ74a、74bの間に、エアクリーナボックス18の接続壁34の挿入孔36の内端を係合させる。これにより、キャニスタユニット10の軸方向において、エアクリーナボックス18に対してキャニスタユニット10が位置決めされ固定される。
【0051】
次に、キャニスタユニット10の動作について説明する。
【0052】
図1に示す燃料タンク16の内部で燃料Fが気化することで蒸発燃料が生成され、蒸発燃料は、第1蒸発燃料チューブ116及び蒸発燃料吸入部110を通じてキャニスタ部58の収容室82へ導入された後、収容室82内で蒸発燃料が吸着材54に吸着される。
【0053】
鞍乗り型車両12において内燃機関14が停止しているとき、切替装置120によって吸気配管22とキャニスタ部58との連通が遮断されている。そのため、蒸発燃料が吸着材54に吸着された状態となり、第2蒸発燃料チューブ118を通じて内燃機関14に向けて蒸発燃料は供給されない。
【0054】
内燃機関14が始動すると、外気取込口44を通じて空気(外気)がエアクリーナボックス18のボックス室28に取り込まれる。空気中の異物は、空気がフィルタ27を通過することで除去される。空気は、エアクリーナボックス18のボックス室28からコネクティングチューブ部56の吸気通路68を通じてスロットルボディ20へと流れ、スロットルボディ20によって空気が所定の供給量に調整された後、吸気配管22を通じて空気が内燃機関14のシリンダ室24へと供給される。
【0055】
エアクリーナボックス18のボックス室28において、空気の一部が、空気導入部88を通じてキャニスタ部58の収容室82に導入される。収容室82に導入された空気によって、吸着材54に吸着された蒸発燃料が吸着材54から脱離する。このとき、空気導入部88は、分離部94の連通室104を介して収容室82と連通しているため、空気導入部88が吸着材54によって塞がれることがない。空気は、連通室104から複数の連通孔106を通じて円滑に収容室82内へと導入される。
【0056】
図示しないコントローラの制御信号によって切替装置120を切り替え、吸気配管22とキャニスタ部58とを連通させる。これにより、吸気配管22を流通する空気の負圧によって、第2蒸発燃料チューブ118を通じて蒸発燃料が吸気配管22に向けて吐出される。
【0057】
収容室82から吸気配管22へと流れた蒸発燃料は、吸気配管22を流れる空気と共に内燃機関14のシリンダ室24へ導入され、該シリンダ室24に供給される燃料Fと共に燃焼される。
【0058】
吸着材54に吸着される蒸発燃料には液体成分が含まれており、吸着材54によって液体成分を吸収しきれないことがある。このとき、蒸発燃料の液体成分は、収容室82の底部近傍に溜まった後、液体排出部86を通じてエアクリーナボックス18の液体貯留部46へと排出される(図3参照)。このとき、液体排出部86は、分離部94の連通室104を介して収容室82と連通しているため、液体排出部86が吸着材54によって塞がれることがない。液体成分は、複数の連通孔106から連通室104を通じて円滑に液体排出部86へと排出される。液体貯留部46には、ガス導入チューブ42を通じて内燃機関14のクランク室40からブローバイガスが導入され、その液体成分が液体貯留部46に排出される。
【0059】
蒸発燃料及びブローバイガスの液体成分は、液体貯留部46において底壁26bから溜まっていく(図3中、二点鎖線参照)。キャップ52を取り外すことで、排出ポート50を通じて液体貯留部46の液体成分が外部へ排出される。
【0060】
以上のように、本発明の実施形態では、空気が流通する吸気通路68を有したコネクティングチューブ部56と、蒸発燃料を吸着可能な吸着材54が収容されるキャニスタ部58とが一体化したキャニスタユニット10を有し、キャニスタユニット10を鞍乗り型車両12に取り付けることで、キャニスタを固定するためのキャニスタホルダ、ゴムバンド等のキャニスタ取付構造を不要とすることができる。
【0061】
これにより、キャニスタユニット10を鞍乗り型車両12に取り付けるにあたって、部品点数を減らして製造コストを削減することができる。キャニスタホルダ、ゴムバンド等を利用することなく、鞍乗り型車両12にキャニスタユニット10を容易に組み付けることができる。
【0062】
キャニスタ部58は、吸着材54が収容される収容室82を有した本体部76と、本体部76の軸方向一端に配置されエアクリーナボックス18に接続されるボックス側端部78とを備えるため、ボックス側端部78を接続することでキャニスタユニット10のエアクリーナボックス18に対する位置決めを容易に行うことが可能である。
【0063】
ボックス側端部78には、蒸発燃料が液化した収容室82内の液体を該収容室82からエアクリーナボックス18内に排出可能な液体排出部86を備えるため、蒸発燃料の一部が液化して収容室82内に溜まったとき、液体排出部86を通じて液体をエアクリーナボックス18内に排出することで、蒸発燃料が液化し有害成分を含む液体が鞍乗り型車両12の外部へ排出されることを防止できる。液体排出部86によってキャニスタ部58とエアクリーナボックス18とを接続するための配管が不要となるため、部品点数及び製造コストを削減して安価なキャニスタユニット10が実現可能である。配管の接続作業を不要とすることで、キャニスタユニット10の組み付け工数を削減できる。
【0064】
ボックス側端部78には、エアクリーナボックス18のボックス室28から収容室82へ空気を導入可能な空気導入部88を備えるため、エアクリーナボックス18のフィルタ27を通過した空気を空気導入部88を通じてキャニスタ部58(収容室82)へと取り込むことができる。そのため、キャニスタユニット10にフィルタを設ける必要がなく、部品点数及び製造コストを削減しつつ、キャニスタ部58への異物の進入を確実に抑制できる。
【0065】
コネクティングチューブ部56の第1管端64が、キャニスタ部58のボックス側端部78よりもエアクリーナボックス18の内部に向けて突出している。そのため、コネクティングチューブ部56の第1管端64をエアクリーナボックス18のボックス室28に挿入することで、エアクリーナボックス18内の空気を、キャニスタ部58よりも優先的に吸気通路68を通じてスロットルボディ20及び内燃機関14へと流通させることができる。
【0066】
コネクティングチューブ部56とキャニスタ部58とが略並列に配置されるため、キャニスタユニット10の軸方向の直交方向において、キャニスタユニット10をコンパクトに構成することができる。
【0067】
上記の実施形態をまとめると、以下のようになる。
【0068】
上記の実施形態は、内燃機関(14)と、燃料(F)の貯留される燃料タンク(16)と、内部にフィルタ(27)が収容され空気が取り込まれるエアクリーナボックス(18)と、前記エアクリーナボックスの下流に配置され前記内燃機関への前記空気の供給量を調整するスロットルボディ(20)とを備えた鞍乗り型車両(12)に取り付けられ、
前記燃料タンク内で前記燃料が気化して生じる蒸発燃料を吸着する吸着材(54)を収容し、該吸着材に吸着した前記蒸発燃料を前記内燃機関の作動時に脱離させて前記内燃機関内に供給するキャニスタユニット(10)であって、
前記キャニスタユニットは、前記空気が流通する吸気通路(68)を有し前記エアクリーナボックスと前記スロットルボディとを接続するコネクティングチューブ部(56)と、
前記コネクティングチューブ部に対して一体成形され、前記吸着材を内部に収容するキャニスタ部(58)と、
を備える。
【0069】
前記キャニスタ部は、前記吸着材が収容される収容室(82)を内部に有した筒状の本体部(76)と、
前記本体部の一端に配置され、前記エアクリーナボックスに接続されるボックス側端部(78)と、
を有する。
【0070】
前記ボックス側端部には、前記蒸発燃料が液化した前記収容室内の液体を該収容室から前記エアクリーナボックス内に排出可能な液体排出部(86)を備える。
【0071】
前記ボックス側端部には、前記本体部の開口部(90)に装着され該開口部を閉塞するカバー部材(84)を備え、前記液体排出部が、前記カバー部材に設けられる。
【0072】
前記ボックス側端部には、前記空気を前記エアクリーナボックス内から前記収容室に導入可能な空気導入部(88)を備える。
【0073】
前記ボックス側端部には、前記本体部の開口部に装着され該開口部を閉塞するカバー部材を備え、前記空気導入部が、前記カバー部材に設けられる。
【0074】
前記コネクティングチューブ部の一端部は、前記キャニスタ部の前記ボックス側端部よりも前記エアクリーナボックスの内部に向けて突出して形成される。
【0075】
前記コネクティングチューブ部と前記キャニスタ部とが略並列に配置される。
【0076】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0077】
10…キャニスタユニット 14…内燃機関
16…燃料タンク 18…エアクリーナボックス
20…スロットルボディ 27…フィルタ
56…コネクティングチューブ部 58…キャニスタ部
68…吸気通路 78…ボックス側端部
図1
図2
図3
図4
図5