(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172096
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】壁掛け器具
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20231129BHJP
F16B 1/02 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G09F9/00 351
F16B1/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083668
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 廉
【テーマコード(参考)】
5G435
【Fターム(参考)】
5G435AA00
5G435EE13
5G435EE16
5G435EE50
(57)【要約】
【課題】第1部材に取り付けられる第2部材の姿勢の微調整が可能な壁掛け器具を提供する。
【解決手段】壁掛け器具は、突出部と、前記突出部が挿入される開口部とのうち一方を含む第1部材と、前記突出部及び前記開口部のうちの他方を含み、前記突出部が前記開口部に挿入されることにより、前記突出部を回転中心として回転可能に前記第1部材に取り付けられる第2部材と、を備え、前記第1部材は、前記突出部の突出方向に対して交差する方向に、凸部及び凹部が交互に連続して複数並ぶ歯部を有し、前記第2部材は、前記歯部と噛み合うことにより、前記第1部材に対する前記第2部材の前記突出部まわりの回転を規制する爪部を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
突出部と、前記突出部が挿入される開口部とのうち一方を含む第1部材と、
前記突出部及び前記開口部のうちの他方を含み、前記突出部が前記開口部に挿入されることにより、前記突出部を回転中心として回転可能に前記第1部材に取り付けられる第2部材と、を備え、
前記第1部材は、前記突出部の突出方向に対して交差する方向に、凸部及び凹部が交互に連続して複数並ぶ歯部を有し、
前記第2部材は、前記歯部と噛み合うことにより、前記第1部材に対する前記第2部材の前記突出部まわりの回転を規制する爪部を有する、壁掛け器具。
【請求項2】
前記第1部材は、前記突出部及び前記開口部のうちの一方が設けられた第1基材部と、前記歯部が設けられ、前記第1基材部から屈曲する第1屈曲部とを有し、
前記第2部材は、前記突出部及び前記開口部のうちの他方が設けられた第2基材部と、前記爪部が設けられ、前記第2基材部から屈曲する第2屈曲部とを有し、
平面視において、前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部は、円弧状に湾曲して延びる形状である、請求項1に記載の壁掛け器具。
【請求項3】
前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部は、少なくとも一方が他方を囲むように屈曲することによって、互いに離れる方向への移動を規制する、請求項2に記載の壁掛け器具。
【請求項4】
前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部のうちの一方は、相対的に上方に設けられた上延設部と、相対的に前記上延設部より下方に設けられた下延設部とを有し、
前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部のうちの他方は、前記上延設部及び前記下延設部の間に設けられ、前記上延設部及び前記下延設部に沿って延びる中間延設部を有する、請求項3に記載の壁掛け器具。
【請求項5】
前記歯部は、前記第1基材部における複数の端部のうち、前記第1基材部に設けられた前記突出部及び前記開口部のうちの一方から最も距離が遠い端部に沿って延びるように延設されている、請求項2から4の何れか1項に記載の壁掛け器具。
【請求項6】
前記爪部は、前記第2部材における、前記歯部との対向面に設けられ、前記対向面に対し斜め方向に突出し、前記歯部の延伸方向のうち一方向にのみ移動が可能である、請求項3に記載の壁掛け器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、壁掛け器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、設置面に映像表示装置を取り付けるための取り付けユニット(壁掛けユニット)が開示されている。前記取付けユニットは、設置面に固定される第1部材と、映像表示装置に固定される第2部材とを有する。第1部材には、上方から下方へ凹んだU字状の切り欠き部が形成されており、さらに、切り欠き部の底部には上方へ突出した突起が設けられている。第2部材は、第1部材の切り欠き部に挿入するための第2板部を有する。第2板部の外周面には、外周面から凹んだ、第1受け部、第2受け部および第3受け部が互いに離間して設けられている。そして、第2部材は、第2板部における第1受け部、第2受け部および第3受け部の何れかが、第1部材の切り欠き部に形成された突起と嵌るように、第2板部が切り欠き部に挿入される。これにより、第1部材に対する第2部材の姿勢が固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の取り付けユニットによると、第2板部の外周面に設けられた凹みであり、互いに離れた、第1受け部、第2受け部および第3受け部の何れかを、第1部材における突起と係合させることにより、第1部材に対する第2部材の姿勢を固定する構造のため、突起が、第1受け部、第2受け部および第3受け部の何れかと係合するように、3段階にしか第1部材に対する第2部材の姿勢を調整することができない。第1部材に対する第2部材の姿勢を3段階より多く調整するには、第2板部の外周面に設けられた凹みを小さくして数を増やさなければならないが、そうすると、凹みの深みが浅くなり、回転規制ができなくなってしまう。このように、特許文献1に開示された構造では、第1部材に対する第2部材の姿勢を微調整することができない。本開示は、第1部材に取り付けられる第2部材の姿勢の微調整が可能な壁掛け器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態に係る壁掛け器具は、突出部と、前記突出部が挿入される開口部とのうち一方を含む第1部材と、前記突出部及び前記開口部のうちの他方を含み、前記突出部が前記開口部に挿入されることにより、前記突出部を回転中心として回転可能に前記第1部材に取り付けられる第2部材と、を備え、前記第1部材は、前記突出部の突出方向に対して交差する方向に、凸部及び凹部が交互に連続して複数並ぶ歯部を有し、前記第2部材は、前記歯部と噛み合うことにより、前記第1部材に対する前記第2部材の前記突出部まわりの回転を規制する爪部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る壁掛け器具の構成を表す平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る、第2部材側から壁掛け器具を見たときの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る、第1部材側から壁掛け器具を見たときの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る壁掛け器具のうち第1部材が壁面に取り付けられている様子を表す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る壁掛け器具のうち第2部材が表示装置における背面に取り付けられた様子を表す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る、第1屈曲部及び第2屈曲部が嵌合した構成を、第1部材の背面側から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る、第1屈曲部及び第2屈曲部が嵌合した構成を、第2部材の表面に平行に切った断面の斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る、ラチェット部近傍を拡大した図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る、第1屈曲部及び第2屈曲部が互いに囲む構成を、第1屈曲部及び第2屈曲部の延伸方向に対して交差する方向へ切った断面の斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態の変形例に係る、第2屈曲部が第1屈曲部を囲む構成を、第1屈曲部及び第2屈曲部の延伸方向に対して交差する方向へ切った断面の斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る、角度θ及び距離dを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に説明する各実施形態は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、各実施形態に限定されない。この各実施形態以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0008】
[実施形態]
まず、
図1から
図5を用いて、実施形態に係る壁掛け器具1の概略について説明する。
図1は、実施形態に係る壁掛け器具1の構成を表す平面図である。
図2は、実施形態に係る、第2部材50側から壁掛け器具1を見たときの分解斜視図である。
図3は、実施形態に係る、第1部材10側から壁掛け器具1を見たときの分解斜視図である。
図4は、実施形態に係る壁掛け器具1のうち第1部材10が壁面Waに取り付けられている様子を表す図である。
図5は、実施形態に係る壁掛け器具1のうち第2部材50が表示装置TVにおける背面TVaに取り付けられた様子を表す図である。
【0009】
壁掛け器具1は、例えば、設置面となる壁Wの壁面Waに、設置品である表示装置TVを掛けるために用いられる。なお、壁掛け器具1を用いて、壁Wに掛ける設置品は、表示装置TVに限らず、表示装置以外の電子機器、または部品などであってもよい。
【0010】
図1から
図5に示すように、壁掛け器具1は、第1部材10と、第2部材50とを有する。第1部材10および第2部材50は、一方が壁Wの壁面Waに取り付けられ、他方が壁面Waに設置される表示装置TVに取り付けられる。
【0011】
本実施形態では、一例として、第1部材10および第2部材50のうち、第1部材10が壁面Waに取り付けられ(
図4参照)、第2部材50が表示装置TVの背面TVaに取り付けられる(
図5参照)場合について説明する。しかし、これに限定されず、第1部材10および第2部材50のうち、第2部材50が壁面Waに取り付けられ、第1部材10が表示装置TVの背面TVaに取り付けられてもよい。
【0012】
なお、表示装置TVの背面TVaとは、表示装置TVのうち画像が表示される面を表面としたときの反対側の面である。なお、第1部材10、第2部材50は、それぞれ、金属材料を用いて形成することができるが、それぞれを形成するための材料は金属に限定されるものではない。なお、特に第1部材10は、第2部材50が取り付けられた表示装置TVを支持するための部材であるため、強度の観点からは金属材料を用いて形成されることが好ましい。
【0013】
第1部材10は、第1基材部20、突出部21及び第1屈曲部30を有する。第2部材50は、第2基材部60及び第2屈曲部70を有する。第2基材部60には、突出部21が挿入される開口部61が形成されている。なお、第1部材10に開口部61が形成され、第2部材50が突出部21を有する構成であってもよい。
【0014】
第1基材部20は、第1部材10におけるベースとなる部材である。第1基材部20は、例えば、板状の部材であるが、第1基材部20の形状は板状に限定されず、他の形状であってもよい。第1基材部20には、複数の貫通孔22が形成されている。そして、複数の貫通孔22のそれぞれに、釘、ネジ、ビス、またはボルト等の固定部材が挿入されることにより第1部材10が壁面Waに固定される(
図4参照)。なお、複数の貫通孔22に挿入される固定部材は、第1基材部20を壁Wに固定することができるものであれば、いかなるものであってもよい。
【0015】
突出部21は、第2部材50を掛けるフックとして機能する。突出部21は、第1基材部20から突出するように形成されている。例えば、突出部21は、第1基材部20の両主面のうち、壁面Waと対向する背面とは反対側の表面(第2部材50との対向面)から突出するように第1基材部20に設けられている。突出部21は、例えば、軸部と、軸部よりも直径が大きい板状部とを有する。軸部の基部は第1基材部20の表面と接続されており、軸部の頭頂部は板状部と接続されている。軸部は、例えば、円柱形状であってもよい。板状部は、例えば、平面視したときの形状が円形状であってもよい。なお、軸部および板状部の形状は、それぞれ、円柱形状および円形状に限定されるものではない。また、板状部、軸部および第1基材部20は、互いに、ネジ、ビスまたはボルトなどの固定部材により接続されることによって固定されていてもよいし、一体的に形成されていてもよい。
【0016】
第1屈曲部30は、第1基材部20に設けられている。例えば、第1部材10を、第2部材50に対向する対向面側から見たとき(例えば、
図4に示すように第1部材10を見たとき)、第1基材部20における各端部のうち、突出部21に対して上方の端部を上端部20Eaとし、突出部21に対して左側の端部を側端部20Ebとし、突出部21に対して右側の端部を側端部20Ecとし、突出部21に対して下方の端部を下端部20Edとする。第1屈曲部30は、下端部20Edに沿って下端部20Edに延設されている。下端部20Edは、第1基材部20における各端部のうち、突出部21からの直線距離が最も遠い端部である。
【0017】
第1屈曲部30は、平面視において、円弧状に湾曲している。第1屈曲部30は、第2部材50における第2屈曲部70の端部(
図9等を用いて後述する上延設部73)を囲むように屈曲する形状である。詳細は、後述するが、第1屈曲部30には、第1屈曲部30に沿って延設された歯部35(
図7、
図8参照)が設けられている。歯部35は、第2屈曲部70に設けられた爪部75(
図7、
図8参照)と共に、第1部材10に対する第2部材50の角度を連続的に調整可能とするラチェット部80(
図7、
図8参照)を構成する。
【0018】
第2基材部60は、第2部材50におけるベースとなる部材である。第2基材部60は、例えば、板状の部材であるが、第2基材部60の形状は板状に限定されず、他の形状であってもよい。第2基材部60には、複数の貫通孔62が形成されている。そして、複数の貫通孔62のそれぞれに、ネジ、ビス、またはボルト等の固定部材が挿入されることにより第2部材50が表示装置TVの背面TVaに固定される(
図5参照)。なお、複数の貫通孔62に挿入される固定部材は、第2基材部60を表示装置TVに固定することができるものであれば、いかなるものであってもよい。
【0019】
第2基材部60は、第1領域60A1と第2領域60A2とを有する。第1領域60A1は、第2基材部60における大部分の面積を占め、開口部61が形成されている。第2領域60A2は、第1領域60A1から延出する領域である。
【0020】
例えば、第2部材50を、第1部材10に対向する対向面側から見たとき(例えば、
図5に示すように第2部材50を見たとき)、第2基材部60における第1領域60A1の各端部のうち、開口部61に対して上方の端部を上端部60Eaとし、開口部61に対して左側の端部を側端部60Ecとし、開口部61に対して右側の端部を側端部60Ebとし、開口部61に対して下方の端部を下端部60Ed1とする。第2領域60A2は、第1領域60A1における下端部60Ed1から下方へ延びるように延出している。
【0021】
開口部61は、突出部21における板状部よりも面積が大きく、突出部21を挿入可能となっている。開口部61に突出部21が挿入されると、開口部61における内壁が突出部21における軸部と接触することで、第2部材50は、第1部材10における突出部21まわりに回転可能に、突出部21に支持される。開口部61は、例えば、平面形状が円形状であるが、これに限定されず、突出部21が挿入され、突出部21まわりに回転可能に突出部21に支持される形状であればよい。
【0022】
第2屈曲部70は、第2基材部60における第2領域60A2に設けられている。第2領域60A2における、第1領域60A1との接続部とは反対側の端部を下端部60Ed2とすると、第2屈曲部70は、下端部60Ed2に沿って下端部60Ed2に延設されている。下端部60Ed2は、第2基材部60における各端部のうち、開口部61からの直線距離が最も遠い端部である。
【0023】
第2屈曲部70は、平面視において、円弧状に湾曲している。第2屈曲部70は、第1部材10における第1屈曲部30の端部(
図9等を用いて後述する下延設部33)を囲むように屈曲する形状である。
【0024】
なお、本実施形態においては、第1部材10が突出部21を含み、第2部材50が開口部61を含む例について説明するが、これに限定されず、第1部材10が開口部61を含み、第2部材50が突出部21を含んでもよい。すなわち、第1部材10は、突出部21及び突出部21が挿入される開口部61のうちの一方を含む構成であればよい。また、第2部材50は、突出部21及び開口部61のうちの他方を含み、突出部21が開口部61に挿入されることにより、突出部21を回転中心として回転可能に第1部材10に取り付けられる構成であればよい。
【0025】
次に、主に、
図6から
図9を用いて、第1屈曲部30及び第2屈曲部70の詳細について説明する。
図6は、実施形態に係る、第1屈曲部30及び第2屈曲部70が嵌合した構成を、第1部材10の背面側から見た斜視図である。
図7は、実施形態に係る、第1屈曲部30及び第2屈曲部70が嵌合した構成を、第2部材50の表面に平行に切った断面の斜視図である。
図8は、実施形態に係る、ラチェット部80近傍を拡大した図である。
図9は、実施形態に係る、第1屈曲部30及び第2屈曲部70が互いに囲む構成を、第1屈曲部30及び第2屈曲部70の延伸方向に対して交差する方向へ切った断面の斜視図である。
【0026】
第1屈曲部30は、第2部材50が第1部材10に取り付けられたとき、第2屈曲部70の端部(上延設部73)を囲むように屈曲している。例えば、第1屈曲部30は、相対的に上方に設けられた上延設部31と、相対的に上延設部31より下方に設けられた下延設部(中間延設部)33と、下延設部33及び上延設部31の間に設けられた中延設部32とを有する。
【0027】
上延設部31は、第1基材部20における下端部20Edと接続されており、第2部材50側に立設するように第1基材部20から屈曲している。例えば、上延設部31は、第1基材部20の下端部20Edから、第1基材部20に対向する第2基材部60へ近づく方向へ延びるように屈曲している。中延設部32は、第1基材部20から離れる方向に延びるように上延設部31から屈曲している。下延設部33は、中延設部32を介して上延設部31と接続されており、上延設部31と対向するように中延設部32から屈曲している。
【0028】
上延設部31、中延設部32及び下延設部33を有する第1屈曲部30は、第1基材部20から、第1基材部20に対向する第2基材部60へ近づく方向に突出する。第1屈曲部30は、3つの延設部(上延設部31、中延設部32及び下延設部33)により、第2屈曲部70の端部(上延設部73)を囲むように屈曲するコの字型を成す凸形状である。上延設部31、中延設部32及び下延設部33は、それぞれ、第1基材部20における下端部20Edに沿って延びるように延設されている。なお、本実施形態においては、上延設部31、中延設部32及び下延設部33は、第1基材部20と同じ材料によって一体的に形成されている例を説明するが、これに限定されず、上延設部31、中延設部32及び下延設部33は、第1基材部20とは別部材として形成され、第1基材部20に、ネジ、ビスまたはボルトなどの固定部材により接続されてもよい。
【0029】
第2屈曲部70は、第2部材50が第1部材10に取り付けられたとき、第1屈曲部30の端部(下延設部33)を囲むように屈曲している。例えば、第2屈曲部70は、相対的に上方に設けられた上延設部(中間延設部)73と、相対的に上延設部73より下方に設けられた下延設部71と、下延設部71及び上延設部73の間に設けられた中延設部72とを有する。
【0030】
下延設部71は、第2基材部60と接続されており、第2基材部60に立設するように第2基材部60から屈曲している。具体的には、例えば、下延設部71は、第2基材部60における第2領域60A2の下端部60Ed2と接続され、第1部材10側に屈曲している。中延設部72は、下延設部71に立設するように下延設部71から屈曲している。中延設部72は、下延設部71を介して第2領域60A2と接続されており、第2領域60A2と対向するように下延設部71から屈曲している。上延設部73は、中延設部72に立設するように中延設部72から屈曲している。上延設部73は、中延設部72を介して下延設部71と接続されており、下延設部71と対向するように中延設部72から屈曲している。上延設部73における先端部(中延設部72と接続された端部とは反対側の端部)は、第2領域60A2と離れている。
【0031】
下延設部71、中延設部72及び上延設部73を有する第2屈曲部70は、下延設部71が第2領域60A2と接続され、上延設部73が第2領域60A2から離間し、第2領域60A2の下端部60Ed2から第1屈曲部30の下延設部33を囲むように折り返り、3つの延設部(下延設部71、中延設部72及び上延設部73)により、コの字型を成す凸形状である。下延設部71、中延設部72及び上延設部73は、それぞれ、第2領域60A2における下端部60Ed2に沿って延びるように延設されている。なお、本実施形態においては、下延設部71、中延設部72及び上延設部73は、第2領域60A2と同じ材料によって一体的に形成されている例を説明するが、これに限定されず、下延設部71、中延設部72及び上延設部73は、第2領域60A2とは別部材として形成され、第2領域60A2に、ネジ、ビスまたはボルトなどの固定部材により接続されてもよい。
【0032】
第2部材50が第1部材10に取り付けられると、第1屈曲部30は、第2屈曲部70における上延設部73を囲む。また、第2屈曲部70は、第1屈曲部30における下延設部33を囲む。そして、第2屈曲部70の上延設部73の下面(対向面)73aと、第1屈曲部30の下延設部33における上面33aとは互いに対向する。
【0033】
例えば、第1部材10における突出部21に、第2部材50における開口部61を引っかける。そして、例えば、
図1及び
図2に示すように、第1部材10の第1屈曲部30における右端と、第2部材50の第2屈曲部70における左端とを合わせた状態で、第2部材50を時計回り方向に回転させることにより、
図9に示すように、第1屈曲部30と第2屈曲部70とが嵌合するように、第1部材10に対し第2部材50が取り付けられる。言い換えると、第1屈曲部30は上延設部73を上下方向及び前方向の3方向を囲み、第2基材部60及び第2屈曲部70は下延設部33を上下方向及び前後方向の4方向を囲むことで、第1屈曲部30と第2屈曲部70とが嵌合する。
【0034】
そして、嵌合部である第1屈曲部30及び第2屈曲部70に設けたラチェット部80によって、第1部材10に対し第2部材50の回転が規制される。さらに、ラチェット部80によって、第1部材10に対する第2部材50の回転角度(すなわち姿勢)を微調整することができる。
【0035】
第1屈曲部30及び第2屈曲部70は、互いに囲むように屈曲することによって、互いに離れる方向への移動を規制する。互いに離れる方向への移動とは、例えば、第1部材10に対して、第2部材50が上下方向へ第1部材10から離れる方向への移動(上下方向への移動)であったり、第1部材10の主面に対する法線方向であって第1部材10が設置された壁W(
図4参照)から第2部材50が離れる方向への移動(前方向への移動)であったり、第1部材10の主面に対する法線方向であって第1部材10が設置された壁W(
図4参照)へ第2部材50が近づく方向への移動(後ろ方向への移動)であったり等である。
【0036】
具体的には、第1屈曲部30は、相対的に上方に設けられた上延設部31と、相対的に上延設部31より下方に設けられた下延設部33とを有する。また、第2屈曲部70は、第1屈曲部30における上延設部31及び下延設部33の間に設けられ、上延設部31及び下延設部33に沿って延びる上延設部(中間延設部)73を有する。すなわち、第2屈曲部70における上延設部(中間延設部)73は、第1屈曲部30における上延設部31及び下延設部33によって挟まれている。
【0037】
また、第2屈曲部70は、相対的に上方に設けられた上延設部73と、相対的に上延設部73より下方に設けられた下延設部71とを有する。また、第1屈曲部30は、第2屈曲部70における上延設部73及び下延設部71の間に設けられ、上延設部73及び下延設部71に沿って延びる下延設部(中間延設部)33を有する。すなわち、第1屈曲部30における下延設部(中間延設部)33は、第2屈曲部70における上延設部73及び下延設部71によって挟まれている。
【0038】
これにより、例えば、地震などによる衝撃が加わって、第2部材50が第1部材10に対して上下方向へ振動しても、上延設部31及び下延設部33によって上延設部(中間延設部)73の上下方向の移動が規制され、上延設部73及び下延設部71によって下延設部(中間延設部)33の上下方向の移動が規制される。
【0039】
加えて、第2基材部60は第1屈曲部30に対して前方向の側方(表示装置TVと第1屈曲部30との間)に位置し、中延設部72は下延設部33に対して後ろ方向の側方(下延設部33と壁Wとの間)に位置する。
【0040】
このため、第2部材50が第1部材10に取り付けられると、第1屈曲部30は、第2屈曲部70における端部(上延設部73)を、上下方向及び前方向の3方向を囲む。加えて、第2基材部60及び第2屈曲部70は、第1屈曲部30における端部(下延設部33)を、上下方向及び前後方向の4方向を囲む。
【0041】
これにより、第2基材部60及び第2屈曲部70は、第1屈曲部30に対し、前後方向及び上下方向の4方向の移動が規制され、地震などによる衝撃が加わっても、第2部材50が第1部材10から外れてしまうことを抑制することができる。
【0042】
第1屈曲部30の下延設部33における上面33aには、凸部36と凹部37とが交互に連続して複数並ぶ歯部35(
図7、
図8参照)が設けられている。歯部35は、第1屈曲部30の下延設部33が延びる方向に連続して延びるように設けられている。言い換えると、歯部35における凸部36と凹部37とは、突出部21(
図2等参照)が第1基材部20から突出する突出方向に交差する方向に連続して交互に並ぶ。
【0043】
また、第2屈曲部70の上延設部73の下面73aに、歯部35へ近づく方向へ突出し、歯部35と噛み合う爪部75(
図7、
図8参照)が設けられている。また、下面73aには、爪部75と隣接して、凹んだ切欠き部76が形成されている。
【0044】
一対の歯部35及び爪部75によって、ラチェット部80が構成されている。ラチェット部80によって、爪部75と、歯部35との相対位置の微調整が可能となっている。このため、ラチェット部80によって、第1部材10に対する第2部材50の姿勢が維持され、さらに、第1部材10に対する第2部材50の突出部21まわりの角度の微調整が可能となっている。なお、ラチェット部80は、第1屈曲部30の下延設部33における上面33aに爪部75が設けられ、第2屈曲部70の上延設部73の下面73aに歯部35が設けられた構成であってもよい。
【0045】
第1屈曲部30は上延設部73の3方向を囲み(
図9等)、第2基材部60及び第2屈曲部70は、下延設部33を上下方向及び前後方向の4方向を囲むことに加え、さらに、
図8等に示されているように、本実施形態に係るラチェット部80においては、爪部75は、上延設部73の下面(対向面)73aに対し斜め方向に突出する形状である。また、爪部75と接触する凸部36及び凹部37間の傾斜面は、爪部75の下面73aに対する傾斜角度に対応して下面73aに対して傾斜している。これによって、爪部75は、歯部35の延伸方向のうち一方向にのみ移動が可能となっている。
【0046】
具体的には、爪部75は、薄いが頑丈な突起物であり、歯部35における凹部37から凸部36への傾斜面を押すように接触する。そして、爪部75を凹部37から凸部36への傾斜に沿った方向(
図8において左方向)へ回転(相対移動)させると、爪部75は、凹部37から凸部36への相対的に傾斜角度が緩やかな傾斜面を摺動しながら当該傾斜面に押されて切欠き部76側へ変形していき、凸部36を乗り越えることで、回転(歯部35に対して相対移動)することができる。一方、爪部75を逆方向(
図8において右方向)へ回転(歯部35に対して相対移動)させようとすると、凹部37から凸部36への立ち上がり角度が相対的に急であるため、爪部75は、凹部37へ食い込んで凸部36を乗り越えることができずに回転(歯部35に対する相対移動)が規制される。これによって、爪部75は、歯部35の延伸方向のうち一方向にのみ移動が可能となっている。
【0047】
このように、第1部材10に対する第2部材50の上下方向及び前後方向の移動が規制されることに加え、爪部75が歯部35の延伸方向のうち一方向にのみ移動が可能となっているため、例えば、地震などによる衝撃が第1部材10及び第2部材50に加わっても、第2部材50は、第1部材10に対し、歯部35の延伸方向のうち一方向にのみしか移動せず、第2部材50が第1部材10から外れてしまうことを、より確実に、抑制することができる。
【0048】
以上のように、第1部材10は、突出部21の突出方向に対して交差する方向に、凸部36及び凹部37が交互に連続して複数並ぶ歯部35を有する。また、第2部材50は、歯部35と噛み合うことにより、第1部材10に対する第2部材50の突出部21まわりの回転を規制する爪部75を有する。
【0049】
これにより、爪部75が、歯部35に含まれる、凸部36及び凹部37と噛み合うことにより、第1部材10に対する第2部材50の突出部21まわりの回転が規制され、第1部材10に対する第2部材50の姿勢が維持される。また、歯部35は凸部36及び凹部37が交互に連続して複数並ぶ構成であるため、爪部75は、歯部35に対する相対位置を、歯部35の延伸方向に段階的に調整することができる。具体的には、爪部75は、歯部35における噛み合わせる一対の凸部36及び凹部37の位置を、一対の凸部36及び凹部37毎に段階的に、歯部35の延伸方向に沿ってずらすことで微調整することが可能である。これにより、第1部材10に対する第2部材50の突出部21まわりの角度を微調整して、第1部材10に対する第2部材50の姿勢を維持することができる。このように、本実施形態に係る壁掛け器具1は、第1部材10に取り付けられる第2部材50の姿勢の微調整が可能である。このため、本実施形態に係る壁掛け器具1は、第1部材に対する第2部材の姿勢の微調整ができない壁掛け器具と比べて利便性が高い。
【0050】
また、歯部35が設けられた第1屈曲部30と、爪部75が設けられた第2屈曲部70とは、それぞれ、平面視において、円弧状に湾曲して延びる形状である。これにより、突出部21を回転中心として突出部21まわりに回転可能な第2部材50の姿勢を、円弧状である第1屈曲部30が延びる方向に沿って段階的に微調整することができる。なお、平面視とは、第1部材10又は第2部材50における主面に対する法線方向から壁掛け器具1を見たときと表現することもできる。
【0051】
なお、
図9等を用いて説明した第1屈曲部30及び第2屈曲部70の形状は、第1屈曲部30及び第2屈曲部70が、互いに囲むように屈曲する形状であるが、これに限定されず、第1屈曲部30及び第2屈曲部70のうち、第1屈曲部30が第2屈曲部70を囲み第2屈曲部70は第1屈曲部30を囲まない形状、または、第2屈曲部70が第1屈曲部30を囲み、第1屈曲部30は第2屈曲部70を囲まない形状であってもよい。
【0052】
図10は、実施形態の変形例に係る、第2屈曲部70が第1屈曲部30Aを囲む構成を、第1屈曲部30A及び第2屈曲部70の延伸方向に対して交差する方向へ切った断面の斜視図である。
図10に示す例において、第1部材10は、第1基材部20及び第1屈曲部(中間延設部)30Aを備える。第2屈曲部30Aは、第1基材部20における下端部20Edに設けられており、第1基材部20から屈曲する。
【0053】
本変形例においては、第2基材部60及び第2屈曲部70は、第2屈曲部30Aを4方向から囲むが、第1屈曲部30Aは第2屈曲部70を囲っていない。
【0054】
具体的には、第2基材部60は、第1屈曲部30Aに対し、前方向の側方に位置し、第2屈曲部70における中延設部72は、第1屈曲部30Aに対し、後ろ方向の側方に位置する。これにより、第2基材部60及び第2屈曲部70は、第1屈曲部30Aに対する前後方向の移動が規制される。
【0055】
さらに、第2屈曲部70における上延設部73は、第1屈曲部30Aに対し上方に位置し、第2屈曲部70における下延設部71は、第1屈曲部30Aに対し下方に位置する。第1屈曲部30Aは、第2屈曲部70における上延設部73及び下延設部71の間に設けられ、上延設部73及び下延設部71に沿って延びる。これにより、第2屈曲部70は、第1屈曲部30に対する上下方向の移動が規制される。
【0056】
このため、第2基材部60及び第2屈曲部70は、第1屈曲部30Aに対する前後方向及び上下方向の4方向の移動が規制される。このような構成によっても、第1部材10及び第2部材50に、地震などによる衝撃が加わったときに、第2部材50が第1部材10から外れてしまうことを抑制することができる。
【0057】
図9及び
図10を用いて説明したように、第1屈曲部30及び第2屈曲部70は、少なくとも一方が他方を囲むように屈曲することによって、互いに離れる方向への移動を規制する。これにより、例えば、地震などによる衝撃が加わっても、第2部材50が第1部材10から外れてしまうことを抑制することができる。
【0058】
図11は、実施形態に係る、角度θ及び距離dを表す図である。例えば、
図11に示すように、突出部21における中心点を点Cとし、点Cから第1屈曲部30における両端をそれぞれ結んだ時の角度を角度θとする。また、点Cから第1屈曲部30に設けられた歯部35までの距離を距離dとする。
【0059】
また、歯部35における、隣接する凸部36間のピッチをピッチp、歯部35に設けられた凸部36の数を歯数zとすると、pは以下の(式1)で表すことができる。なお、πは約3.14である。
【0060】
p=πdθ/360z (式1)
また、第1部材10に対して第2部材50の角度を調整可能な角度調整ピッチをαとすると、αは以下の(式2)で表すことができる。
【0061】
α=θ/z=360p/πd (式2)
凸部36のピッチが一定とすると、距離dを増加させた場合、上記(式2)の分母だけ増加するため、より細かく、歯部35に対する爪部75の相対位置、すなわち、第1部材10に対する第2部材50の角度調整ピッチαを調整することができる。一例として、θ=28.12[°]、d=930[mm]、p=約3[mm]とすると、α=0.37[°]ずつ、第1部材10に対する第2部材50の角度を調整することができる。
【0062】
そこで、本実施形態において、歯部35は、第1基材部20における複数の端部である、上端部20Ea、側端部20Eb、側端部20Ec及び下端部20Edのうち、第1基材部20に設けられた突出部21及び開口部61のうちの一方から最も距離が遠い下端部20Edに沿って延びるように延設されていることが好ましい。これにより、第1部材10に対する第2部材50の角度を、より細かく微調整することができる。このため、より、利便性が高い壁掛け器具1を得ることができる。
【0063】
なお、本開示は、上述の各実施形態および変形例の構成に限定されるものではなく、上述した実施形成および変形例で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1:壁掛け器具、10:第1部材、20:第1基材部、20Ea:上端部、20Eb:側端部、20Ec:側端部、20Ed:下端部、21:突出部、22:貫通孔、30:第1屈曲部、30A:第1屈曲部(中間延設部)、31:上延設部、32:中延設部、33:下延設部(中間延設部)、33a:上面、35:歯部、36:凸部、37:凹部、50:第2部材、60:第2基材部、60A1:第1領域、60A2:第2領域、60Ea:上端部、60Eb:側端部、60Ec:側端部、60Ed1:下端部、60Ed2:下端部、61:開口部、62:貫通孔、70:第2屈曲部、71:下延設部、72:中延設部、73:上延設部(中間延設部)、73a:下面(対向面)、75:爪部、76:切欠き部、80:ラチェット部