(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172098
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】燃料供給ユニット
(51)【国際特許分類】
F02M 37/04 20060101AFI20231129BHJP
F02M 35/024 20060101ALI20231129BHJP
F02M 35/16 20060101ALI20231129BHJP
B62J 40/00 20200101ALI20231129BHJP
【FI】
F02M37/04 A
F02M35/024 521A
F02M35/16 M
B62J40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083671
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(72)【発明者】
【氏名】米丸 智巳
(57)【要約】 (修正有)
【課題】廉価で簡便に組み付けることのできる燃料供給ユニットを実現する。
【解決手段】燃料供給ユニット10は、内燃機関と、燃料の貯留される燃料タンクと、ハウジングと該ハウジングの内部に収容されるエアフィルタとを有し前記ハウジングの内部に空気が取り込まれるエアクリーナボックスと、を備えた鞍乗り型車両に取り付けられる。鞍乗り型車両における燃料タンクの外側に配置され、燃料タンク内の前記燃料を前記内燃機関に供給する。燃料供給ユニット10は、燃料ポンプ64を内部に収容する筐体62を備え、筐体の一部が、エアクリーナボックスのハウジング42に一体成形される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、燃料の貯留される燃料タンクと、ハウジングと該ハウジングの内部に収容されるエアフィルタとを有し前記ハウジングの内部に空気が取り込まれるエアクリーナボックスと、を備えた鞍乗り型車両に取り付けられ、
前記燃料タンクの外側に配置され、前記燃料タンク内の前記燃料を前記内燃機関に供給する燃料供給ユニットであって、
前記燃料供給ユニットは、燃料ポンプを内部に収容する筐体を備え、
前記筐体の一部が、前記エアクリーナボックスの前記ハウジングに一体成形される、燃料供給ユニット。
【請求項2】
請求項1記載の燃料供給ユニットにおいて、
前記筐体は、前記燃料ポンプを収容し開口部を有した筒状の本体部と、
前記本体部の前記開口部を塞ぐ板状のカバー部と、
を備え、
前記カバー部が、前記ハウジングに一体成形された前記筐体の前記一部である、燃料供給ユニット。
【請求項3】
請求項2記載の燃料供給ユニットにおいて、
前記本体部及び前記カバー部は樹脂製であり、
前記筐体の前記本体部は、前記開口部を有した軸方向端部に第1溶着部を有し、
前記カバー部は、前記本体部の前記第1溶着部が溶着される第2溶着部を有する、燃料供給ユニット。
【請求項4】
請求項3記載の燃料供給ユニットにおいて、
前記第2溶着部は、前記ハウジングの壁部から突出する、燃料供給ユニット。
【請求項5】
請求項3又は4記載の燃料供給ユニットにおいて、
前記第1溶着部は、前記開口部に向かい合い前記燃料ポンプの吐出部と連通する前記本体部の高圧燃料室を囲む環状に形成される、燃料供給ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の燃料タンクから内燃機関へと燃料を供給するための燃料供給ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、鞍乗り型車両に搭載され、燃料タンク内の燃料をインジェクタに供給する燃料供給ユニットが提案されている。燃料供給ユニットは、燃料タンクの外側に設けられ、ホルダの2つの保持部によって筐体の外周が保持される。各保持部に対して車体に設けられた2つのステーが挿入されることで、ホルダを介して燃料供給ユニットが車体に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の燃料供給ユニットを鞍乗り型車両の車体に固定するために、ホルダ及びステー等の固定構造を設ける必要があるため、部品点数が増加して製造コストの高騰を招くと共に、燃料供給ユニットの組み付け作業が煩雑である。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、内燃機関と、燃料の貯留される燃料タンクと、ハウジングと該ハウジングの内部に収容されるエアフィルタとを有し前記ハウジングの内部に空気が取り込まれるエアクリーナボックスと、を備えた鞍乗り型車両に取り付けられ、前記燃料タンクの外側に配置され、前記燃料タンク内の前記燃料を前記内燃機関に供給する燃料供給ユニットであって、前記燃料供給ユニットは、燃料ポンプを内部に収容する筐体を備え、前記筐体の一部が、前記エアクリーナボックスの前記ハウジングに一体成形される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0008】
すなわち、燃料供給ユニットの筐体の一部が、エアクリーナボックスのハウジングに一体成形されるため、燃料供給ユニットを組み付けることで、エアクリーナボックスと共に燃料供給ユニットを鞍乗り型車両に固定することができる。これにより、燃料供給ユニットを固定するためのホルダ及びステー等の固定構造が不要となるため、部品点数を減らして廉価な燃料供給ユニットを実現することができる。ホルダ及びステー等を用いることなく、鞍乗り型車両に燃料供給ユニットを簡便に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る燃料供給ユニットを搭載する鞍乗り型車両の左側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す鞍乗り型車両の後部を示す拡大平面図である。
【
図3】
図3は、燃料供給ユニット及びエアクリーナボックスの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、燃料供給ユニットの外観斜視図である。
【
図5】
図5は、燃料供給ユニットの全体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示されるように、本実施形態に係る燃料供給ユニット10は、自動二輪車等の鞍乗り型車両12に搭載される。
図1は、鞍乗り型車両12を左側から見たときの側面図である。
【0011】
図1に示すように、鞍乗り型車両12は、操舵輪である前輪14と、前輪14を操舵するハンドル16と、車体18と、駆動輪である後輪20と、車体18の上部に配置されるシート22と、車体18の外部を覆う車体カバー24とを備える。以下、
図1に示す鞍乗り型車両12の前後方向を矢印A1、A2方向とし、
図2に示す鞍乗り型車両12の車幅方向を矢印B1、B2方向として説明する。
【0012】
車体18には、動力源である内燃機関26と、後部に配置され燃料の貯留される燃料タンク28と、外部の空気(外気)が取り込まれるエアクリーナボックス30と、燃料供給ユニット10とを備える。内燃機関26は、車体18の前後方向(矢印A1、A2方向)の中央近傍に配置される。燃料タンク28は、シート22の下部に配置され車体18に配置されたフレーム32に固定される(
図2参照)。
【0013】
エアクリーナボックス30は、車体18において内燃機関26の後方(矢印A2方向)に配置される。エアクリーナボックス30は、燃料タンク28の下方に配置される。エアクリーナボックス30は、内燃機関26の駆動力を後輪20に伝達可能な伝達機構34の上方に配置される。コネクティングチューブ36を介して内燃機関26とエアクリーナボックス30とが接続される。コネクティングチューブ36には、エアクリーナボックス30から内燃機関26への空気の供給量を調整するスロットルボディ38が配置される。コネクティングチューブ36を通じてエアクリーナボックス30から内燃機関26へ空気が供給される。
【0014】
図2に示すように、エアクリーナボックス30は、車幅方向中央に対して車幅方向一方(矢印B1方向)にオフセットして配置される。エアクリーナボックス30は、鞍乗り型車両12の車体18に対して固定される。
【0015】
図3に示すように、エアクリーナボックス30は、内部にボックス室40を有した箱状に形成される。エアクリーナボックス30は、ハウジング42と、ハウジング42の内部に収容されるフィルタユニット44とを有する。ハウジング42は、車幅方向(矢印B1、B2方向)に分割可能な第1及び第2ハウジング46、48から構成される。
【0016】
第1及び第2ハウジング46、48は、樹脂製である。第1ハウジング46と第2ハウジング48は半割体であり、第1ハウジング46の開口端部と、第2ハウジング48の開口端部とを合わせて接続することで、箱状のハウジング42が構成される(
図2参照)。
【0017】
図2に示す鞍乗り型車両12にエアクリーナボックス30が取り付けられたとき、第1ハウジング46が車幅方向内方(矢印B2方向)に配置され、第1ハウジング46に対して第2ハウジング48が幅方向外方(矢印B1方向)に配置される。
【0018】
図3に示すように、第1ハウジング46は、前後方向(矢印A1、A2方向)に沿って延在する壁部50と、壁部50の延在方向に沿った一端に配置される前方端部52と、壁部50の延在方向に沿った他端に配置される後方端部54とを備える。鞍乗り型車両12にエアクリーナボックス30が取り付けられたとき、前方端部52が前方(矢印A1方向)に配置される(
図2参照)。前方端部52には、コネクティングチューブ36が接続される。コネクティングチューブ36によって第1ハウジング46と内燃機関26とが接続される。
【0019】
壁部50は、第1ハウジング46において車幅方向内方(矢印B2方向)に配置される。壁部50は、壁部50の延在方向に沿って略平坦な壁面50aを有する。
【0020】
第2ハウジング48は、外気取込口56を有する。外気取込口56は、第2ハウジング48の底壁に開口する。外気取込口56を通じて第2ハウジング48を含むエアクリーナボックス30の内部に外気(空気)が取り込まれる。
【0021】
フィルタユニット44は、板状に形成され板厚方向に貫通した装着孔58にエアフィルタ60が装着される。フィルタユニット44は、ハウジング42の内部において第1ハウジング46の開口端部と第2ハウジング48の開口端部との間に挟持される。外気取込口56を通じて第2ハウジング48の内部に取り込まれた空気は、エアフィルタ60を通過して第1ハウジング46へと導入される。このとき、空気中に含まれる異物がエアフィルタ60によって除去される。第1ハウジング46内の空気は、コネクティングチューブ36を通じて内燃機関26へ供給される。
【0022】
図4に示すように、燃料供給ユニット10は、燃料タンク28の外側に配置され、燃料タンク28内の燃料を内燃機関26に供給する。燃料供給ユニット10は、エアクリーナボックス30の第1ハウジング46に固定される。
図2に示す鞍乗り型車両12にエアクリーナボックス30が取り付けられたとき、燃料供給ユニット10が車幅方向(矢印B1、B2方向)に沿って配置される。エアクリーナボックス30の第1ハウジング46の壁部50に対し、燃料供給ユニット10が略直交するように固定される。鞍乗り型車両12において、燃料供給ユニット10が略水平に保持される。
【0023】
燃料供給ユニット10は、筐体62と、筐体62に収容される燃料ポンプ64(
図5参照)とを備える。筐体62は、樹脂製である。
図5に示すように、筐体62は、筒状の本体部66と、本体部66の軸方向一端の開口部68に装着される隔壁部材70と、開口部68を塞ぐカバー部72と、本体部66の軸方向他端に接続されるフィルタボディ74とを備える。
【0024】
本体部66は、内部に収容室76を有し、収容室76に燃料ポンプ64が収容される。本体部66の内部には、燃料ポンプ64と並列な排出室78を備える。排出室78には、燃料ポンプ64で脱気された燃料の気体成分が排出されると共に、燃料ポンプ64から吐出され余剰となった燃料(余剰燃料)が導入される。排出室78と収容室76とは図示しない分離壁で分離される。
【0025】
本体部66の軸方向一端は、軸方向に開口した開口部68と、第1溶着部80とを有する。第1溶着部80は、本体部66に対して径方向外方に拡がって環状に形成される。第1溶着部80は、開口部68に向かい合うと共に、燃料ポンプ64の吐出部110と連通する高圧燃料室94を取り囲む。第1溶着部80の端面は、本体部66の軸線と直交する平坦面である。第1溶着部80の端面には、カバー部72の第2溶着部92が溶着される。
【0026】
本体部66の軸方向他端は、軸方向と直交する連結部82を有する。連結部82には、フィルタボディ74が溶着によって接続される。連結部82の中心には、吸入通路84を有する。吸入通路84は、連結部82を軸方向(矢印B1、B2方向)に貫通する。
【0027】
図4に示すように、本体部66の外周面には、コネクタ86を有する。図示しないハーネスを介してコネクタ86と図示しないコントローラとが接続される。
【0028】
図5に示すように、隔壁部材70は、筐体62の軸方向と直交方向に沿って配置される。隔壁部材70の端面と本体部66の第1溶着部80の端面とが略同一面となる。隔壁部材70には、プレッシャレギュレータ88が装着される。プレッシャレギュレータ88は排出室78に配置される。
【0029】
カバー部72は、樹脂製である。カバー部72は、カバー本体90と、本体部66の第1溶着部80が溶着される第2溶着部92とを有する。カバー本体90は、板状に形成されエアクリーナボックス30の第1ハウジング46の壁部50に一体成形される。カバー本体90と第1ハウジング46の壁部50とが共有される。第1ハウジング46の壁部50の壁面50aとカバー本体90とが同一面となる。
【0030】
第2溶着部92は、カバー本体90(壁部50の壁面50a)に対して本体部66に向けて突出する。第2溶着部92は、第1溶着部80に対応した環状に形成される。第2溶着部92の端面は、第1溶着部80の端面と平行な平坦面である。第2溶着部92の端面と第1溶着部80の端面とが当接して溶着される。第1溶着部80と第2溶着部92とが、例えば、熱溶着によって溶着される。
【0031】
本体部66の軸方向一端とカバー部72との間に高圧燃料室94を備える。高圧燃料室94は、軸方向(矢印B1、B2方向)に所定間隔を有した空間である。高圧燃料室94には、燃料ポンプ64で圧縮された高圧の燃料(以下、高圧燃料という)が導入される。プレッシャレギュレータ88が高圧燃料室94と排出室78との間に配置される。高圧燃料室94の圧力が所定値以上となったとき、プレッシャレギュレータ88によって高圧燃料室94と排出室78とが連通する。高圧燃料室94は、環状の第1及び第2溶着部80、92によって囲まれる。
【0032】
フィルタボディ74は、本体部66の軸方向他端に配置される。フィルタボディ74は、内部に燃料用フィルタ96が収容された円筒体である。フィルタボディ74の軸方向一端が、筐体62の連結部82に連結される。吸入通路84を介してフィルタボディ74の内部と筐体62の内部とが連通する。
【0033】
図4に示すように、フィルタボディ74は、吐出管98と、燃料供給管100と、燃料排出管102とを有する。吐出管98は、フィルタボディ74の外周面から突出し、図示しない配管を介して内燃機関26のインジェクタ(図示せず)と接続される。吐出管98は、図示しない吐出通路を通じて高圧燃料室94(
図5参照)と連通する。
【0034】
燃料供給管100及び燃料排出管102は、それぞれフィルタボディ74の外周面から突出する。燃料供給管100及び燃料排出管102は、図示しない配管を介してそれぞれ燃料タンク28(
図2参照)と接続される。燃料タンク28の燃料が燃料供給管100を通じてフィルタボディ74の内部に供給される。燃料供給ユニット10において余剰となった燃料が、燃料排出管102を通じて燃料タンク28へと戻される。
【0035】
図5に示すように、燃料ポンプ64は、円筒状のケーシング104と、ポンプ部106と、ポンプ部106を駆動するモータ部108と、ポンプ部106によって吸い込まれた燃料を吐出する吐出部110とを備える。ポンプ部106及びモータ部108が、ケーシング104の内部に収容される。
【0036】
ポンプ部106は、ケーシング104の軸方向他端に配置される。ポンプ部106は、ポンプ室112と、ポンプ室112に収容されるインペラ114とを備える。ポンプ室112は、ポンプボディ115とポンプカバー117との間に形成された空間である。インペラ114の中心には、モータ部108のシャフト116が連結される。モータ部108が駆動すると、シャフト116と共にインペラ114が回転駆動してポンプ室112内で燃料が圧縮される。
【0037】
ポンプボディ115は、軸方向に貫通して燃料の吐出される吐出口118を備える。ポンプ室112で圧縮された燃料が吐出口118を通じてケーシング104の内部へ吐出される。ポンプカバー117は、軸方向に貫通した吸入口120を有する。吸入口120と吸入通路84とが接続されて互いに連通する。
【0038】
吐出部110は、モータ部108の軸方向一端に配置される。吐出部110は、ケーシング104内の燃料を外部へ吐出する燃料出口122を有する。燃料出口122によってケーシング104の内部と高圧燃料室94とが接続される。燃料出口122はチェック弁124を備える。燃料出口122における高圧燃料の圧力が所定値以上となったとき、チェック弁124が作動することで燃料出口122を開放する。これにより、燃料ポンプ64で圧縮された高圧燃料が高圧燃料室94に供給される。
【0039】
次に、燃料供給ユニット10とエアクリーナボックス30とを接続する場合について説明する。
【0040】
例えば、燃料供給ユニット10の第1溶着部80を所定温度に加熱すると共に、エアクリーナボックス30(第1ハウジング46)に成形されたカバー部72の第2溶着部92を加熱する。第1及び第2溶着部80、92をそれぞれ熱によって溶融させた後、燃料供給ユニット10とエアクリーナボックス30とを互いに接近させ、第1溶着部80と第2溶着部92とを所定位置で当接させる。
【0041】
これにより、第1溶着部80の端面と第2溶着部92の端面とが熱溶着され、第1及び第2溶着部80、92を介して燃料供給ユニット10の本体部66が、エアクリーナボックス30の第1ハウジング46の壁部50(カバー部72)に接続される。本体部66の開口部68は、カバー部72によって塞がれる。
図4に示すように、燃料供給ユニット10は、エアクリーナボックス30の壁部50に対して直交するように接続されて固定される。これにより、鞍乗り型車両12において、燃料供給ユニット10が車幅方向(矢印B1、B2方向)に沿って略水平に保持される(
図2参照)。なお、第1溶着部80と第2溶着部92とは熱溶着によって溶着される場合に限定されず、熱溶着以外の振動溶着等によって溶着してもよい。
【0042】
次に、燃料供給ユニット10の動作について説明する。
【0043】
燃料供給ユニット10の作動停止時において、燃料供給管100を通じて燃料タンク28の燃料がフィルタボディ74の内部まで導入される。図示しないコントローラからの制御信号によって燃料ポンプ64のモータ部108が駆動すると、シャフト116と共にインペラ114がポンプ室112で回転駆動する。
【0044】
フィルタボディ74内において、燃料用フィルタ96を燃料が通過した後、吸入通路84及び吸入口120を通じてポンプ室112の内部に燃料が吸入される。インペラ114の回転によって燃料がポンプ室112で圧縮され、高圧となった高圧燃料が吐出口118及びケーシング104の内部を通じて吐出部110の燃料出口122へ供給される。燃料出口122のチェック弁124が高圧燃料の圧力によって開放され、燃料出口122から高圧燃料室94へ高圧の燃料が吐出される。
【0045】
高圧燃料は、高圧燃料室94から図示しない吐出通路及び吐出管98を通じて内燃機関26のインジェクタへ供給される。
【0046】
一方、燃料ポンプ64から吐出され余剰となった燃料は、高圧燃料室94において所定の圧力より高くなることで、プレッシャレギュレータ88が開放されて燃料が余剰燃料として排出室78へ流入する。余剰燃料は、排出室78から燃料排出管102を通じて燃料タンク28へと戻される。
【0047】
以上のように、本発明の実施形態では、燃料供給ユニット10の筐体62の一部が、エアクリーナボックス30のハウジング42に一体成形されるため、エアクリーナボックス30に対して燃料供給ユニット10を組み付けることで、エアクリーナボックス30と共に燃料供給ユニット10を鞍乗り型車両12に固定することができる。これにより、燃料供給ユニット10を固定するためのホルダ及びステー等の固定構造を不要とすることができ、部品点数を減らして廉価な燃料供給ユニット10を実現することができる。ホルダ及びステー等を用いることなく、鞍乗り型車両12に燃料供給ユニット10を容易に組み付けることができる。
【0048】
ハウジング42に一体成形された筐体62の一部を板状のカバー部72とすることで、カバー部72を含むハウジング42の成形金型の形状を簡素化できるため、燃料供給ユニット10の製造コストを抑制できると共に成形を容易に行うことが可能である。
【0049】
筐体62の本体部66及びカバー部72を樹脂製とし、開口部68を有した本体部66の軸方向端部に第1溶着部80を有し、本体部66の第1溶着部80が溶着される第2溶着部92をカバー部72に設けることで、燃料供給ユニット10とエアクリーナボックス30とを固定するためのボルト等の固定構造を不要としつつ、燃料供給ユニット10とエアクリーナボックス30とを確実且つ液密に接続することができる。
【0050】
カバー部72の第2溶着部92が、第1ハウジング46の壁部50(壁面50a)から突出しているため、燃料供給ユニット10をエアクリーナボックス30に溶着するとき、第2溶着部92に対する第1溶着部80の位置合わせ及び溶着が容易である。
【0051】
第1溶着部80は、開口部68に向かい合い燃料ポンプ64の吐出部110と連通する高圧燃料室94を囲む環状に形成されているため、第1溶着部80と第2溶着部92とを溶着することで、環状の第1溶着部80に囲まれた高圧燃料室94のシール性を確保することが可能となる。高圧燃料室94における高圧燃料の漏出が好適に防止される。
【0052】
上記の実施形態をまとめると、以下のようになる。
【0053】
上記の実施形態は、内燃機関(26)と、燃料の貯留される燃料タンク(28)と、ハウジング(42)と該ハウジングの内部に収容されるエアフィルタ(60)とを有し前記ハウジングの内部に空気が取り込まれるエアクリーナボックス(30)と、を備えた鞍乗り型車両(12)に取り付けられ、
前記燃料タンクの外側に配置され、前記燃料タンク内の前記燃料を前記内燃機関に供給する燃料供給ユニット(10)であって、
前記燃料供給ユニットは、燃料ポンプ(64)を内部に収容する筐体(62)を備え、
前記筐体の一部が、前記エアクリーナボックスの前記ハウジングに一体成形される。
【0054】
前記筐体は、前記燃料ポンプを収容し開口部(68)を有した筒状の本体部(66)と、
前記本体部の前記開口部を塞ぐ板状のカバー部(72)と、
を備え、
前記カバー部が、前記ハウジングに一体成形された前記筐体の前記一部である。
【0055】
前記本体部及び前記カバー部は樹脂製であり、
前記筐体の前記本体部は、前記開口部を有した軸方向端部に第1溶着部(80)を有し、
前記カバー部は、前記本体部の前記第1溶着部が溶着される第2溶着部(92)を有する。
【0056】
前記第2溶着部は、前記ハウジングの壁部(50)から突出する。
【0057】
前記第1溶着部は、前記開口部に向かい合い前記燃料ポンプの吐出部(110)と連通する前記本体部の高圧燃料室(94)を囲む環状に形成される。
【0058】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0059】
10…燃料供給ユニット 12…鞍乗り型車両
26…内燃機関 28…燃料タンク
30…エアクリーナボックス 42…ハウジング
62…筐体 64…燃料ポンプ