(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172121
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】香気成分の香りを増強する方法
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20231129BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083706
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池上 侑希
【テーマコード(参考)】
4B047
【Fターム(参考)】
4B047LB09
4B047LG05
4B047LG14
4B047LG20
4B047LG21
4B047LG31
4B047LG32
(57)【要約】
【課題】酢酸エチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル及びヘキサン酸エチルよりなる群から選択される少なくとも1種の香気成分の香りを増強する方法を提供する。
【解決手段】酢酸エチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル及びヘキサン酸エチルよりなる群から選択される少なくとも1種の香気成分を含有する飲食品用香料又は飲食品を、スクラロース、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、アドバンテーム並びにサッカリン及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種と共存させることを特徴とする、前記香気成分の香りを増強する方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸エチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル及びヘキサン酸エチルよりなる群から選択される少なくとも1種の香気成分を含有する飲食品用香料又は飲食品を、スクラロース、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、アドバンテーム並びにサッカリン及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種と共存させることを特徴とする、前記香気成分の香りを増強する方法。
【請求項2】
スクラロース、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、アドバンテーム並びにサッカリン及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する香気増強剤であって、前記香気が、酢酸エチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル及びヘキサン酸エチルよりなる群から選択される少なくとも1種の香気成分の香りである、前記香気増強剤。
【請求項3】
請求項2に記載の香気増強剤、並びに酢酸エチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル及びヘキサン酸エチルよりなる群から選択される少なくとも1種の香気成分を含有する、前記香気成分の香りを増強するための飲食品用香料又は飲食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香気成分の香りを増強する方法に関する。また本発明は、香気増強剤に関する。また本発明は、香気成分の香りを増強するための飲食品用香料又は飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
酢酸エチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル及びヘキサン酸エチルは、いずれも植物性又は動物性の天然由来の飲食品に含まれる公知の香気成分である。例えば、酢酸エチルは、酢、リンゴ、蕎麦、ブロッコリー、カリフラワー、トリュフ、ムール貝、乳製品、豚肉、瓜、メロン、桃、ピーナッツに含まれ、酢酸イソアミルは、酢、リンゴ、トリュフ、乳製品、豚肉、瓜、桃、ピーナッツ等に含まれ、プロピオン酸エチルは、酢、リンゴ、ムール貝、豚肉、瓜、桃等に含まれ、酪酸エチルは、酢、リンゴ、乳製品、メロン、桃、ピーナッツ等に含まれ、ヘキサン酸エチルは、酢、リンゴ、ブロッコリー、カリフラワー、トリュフ、乳製品、豚肉、メロン等に含まれることが知られている。
【0003】
飲食品の香気を増強する手段として、例えば、ステビア抽出物及びラカンカ抽出物を含有する組成物でシーズニングの風味を増強する方法(特許文献1)、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、スクラロース、アスパルテーム及びソーマチンといった高甘味度甘味料でバニラの風味を増強する方法(特許文献2)、スクラロースで茶風味を増強する方法(特許文献3)、高甘味度甘味料を風味増強剤として使用する方法(特許文献4)、甘味料及び消泡剤を含有する組成物を風味増強剤として使用する方法(特許文献5)が知られている。
【0004】
しかしながら、前記の方法は、具体的な香気成分の香気を増強するものではない。近年、飲食品の風味の改善については、その飲食品の風味を特徴づける具体的な香気成分の香気を増強するというニーズが高まっており、そのような方法の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-101654号公報
【特許文献2】特開2020-068766号公報
【特許文献3】特許第6356327号
【特許文献4】特表2016-529893号公報
【特許文献5】特表2016-525365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、酢酸エチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル及びヘキサン酸エチルよりなる群から選択される少なくとも1種の香気成分(以下「本香気成分」と称する場合がある)を含有する飲食品用香料又は飲食品について、本香気成分の香りを増強する技術を提供することを目的とする。より詳細には、第1に、本発明は、本香気成分の香りを増強する方法を提供することを目的とする。第2に、本発明は、本香気成分の香りを増強する香気増強剤を提供することを目的とする。第3に、本発明は、本香気成分の香りを増強するための飲食品用香料又は飲食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねていたところ、スクラロース、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、アドバンテーム並びにサッカリン及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種(以下「本有効成分」と称する場合がある)に、本香気成分の香りを増強する作用があることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、さらに検討を重ねて完成したものであり、下記の実施形態を有するものである。
【0008】
(I)香気成分の香りを増強する方法
酢酸エチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル及びヘキサン酸エチルよりなる群から選択される少なくとも1種の香気成分を含有する飲食品用香料又は飲食品を、スクラロース、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、アドバンテーム並びにサッカリン及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種と共存させることを特徴とする、前記香気成分の香りを増強する方法。
【0009】
(II)香気増強剤
スクラロース、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、アドバンテーム並びにサッカリン及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する香気増強剤であって、前記香気が、酢酸エチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル及びヘキサン酸エチルよりなる群から選択される少なくとも1種の香気成分の香りである、前記香気増強剤。
【0010】
(III)香気成分の香りを増強するための飲食品用香料又は飲食品
(II)香気増強剤、並びに酢酸エチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル及びヘキサン酸エチルよりなる群から選択される少なくとも1種の香気成分を含有する、前記香気成分の香りを増強するための飲食品用香料(以下「本飲食品用香料」と称する場合がある)又は飲食品(以下「本飲食品」と称する場合がある)。
【発明の効果】
【0011】
本発明の香気成分の香りを増強する方法は、酢酸エチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル及びヘキサン酸エチルよりなる群から選択される少なくとも1種の香気成分を含有する飲食品用香料又は飲食品を、スクラロース、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、アドバンテーム並びにサッカリン及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種と共存させることで、本香気成分の香りを増強することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書中、語句「含む」又は語句「含有する」は、語句「からなる」、及び語句「のみからなる」を包含することを意図して用いられる。本明細書中に記載の操作及び工程は、特に記載のない限り、室温で実施され得る。本明細書中、用語「室温」は、技術常識に従って理解され、例えば15~25℃の範囲内の温度を意味することができる。
【0013】
本発明において、香りは、鼻で直接感じる香り(オルソネーザルアロマ)と、口に含んだとき、又は飲み込んだときに、喉の奥から鼻腔内で感じる香り(レトロネーザルアロマ)の2種類がある。本発明で対象とする香りは、後者の、口に含んだとき、又は飲み込んだときに、喉の奥から鼻腔内で感じる香りである。
【0014】
便宜上、先に(II)香気増強剤の説明をする。
(II)香気増強剤
本発明の香気増強剤(以下「本香気増強剤」と称する場合がある)は、スクラロース、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、アドバンテーム並びにサッカリン及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
【0015】
(スクラロース)
スクラロース(化学名: 1,6-Dichloro-1,6-dideoxy-β-D-fructofuranosyl-4-chloro-4-deoxy-α-D-galactopyranoside)は、ショ糖の約600倍の甘味度を有していることが知られている甘味成分である。水に溶けやすく、安定性に優れているため、甘味料としてだけでなく、従来広く様々な用途で食品に使用されている成分である。ちなみにスクラロースの甘味の閾値は約5ppmである。
【0016】
(ラカンカ抽出物)
羅漢果(学名:Siraitia grosvenorii(Swingle)C.Jeffrey ex A.M.Lu & Zhi Y.Zhang (Momordica grosvenorii Swingle))は、中国を原産地とするウリ科ラカンカ属のつる性の多年生植物である。本発明が対象とするラカンカ抽出物は、産地の別を問わず、羅漢果の果実、好ましくは羅漢果の生果実から、水又はエタノール等の有機溶媒を用いて抽出されたモグロシドVを含有する抽出物である。モグロシドVは、ラカンカ抽出物に含まれているトリテルペン系配糖体であり、ショ糖の約300~500倍の甘味度を有していることが知られている甘味成分でもある。
【0017】
本香気増強剤で用いられるラカンカ抽出物のモグロシドV含有量は、本発明の効果を奏することを限度として、特に制限されない。言い換えれば、本香気増強剤において、モグロシドVは、ラカンカ抽出物から精製された状態で使用することもできるし、また、ラカンカ抽出物に含まれるモグロシドV以外のトリテルペン系配糖体(モグロール、モグロシドIE1、モグロシドIA1、モグロシドIIE、モグロシドIII、モグロシドIV、モグロシドIVE、シメノシドI、11-オキソモグロシドV、5α,6α-エポキシモグロシド)と混合した状態で使用することもできる。本発明において「ラカンカ抽出物」の用語には、これらの両方の意味が包含される。ラカンカ抽出物中のモグロシドVの含有量は、好ましくは全体の10質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上であり、特に好ましくは30質量%以上であり、最も好ましくは40質量%以上であり、とりわけ好ましくは50質量%以上である。
【0018】
ラカンカ抽出物は、羅漢果の果実から抽出し、さらに必要に応じて精製処理することで調製することも可能であるが、簡便には商業的に入手することができる。
【0019】
(ステビア抽出物)
ステビアレバウディアナ・ベルトニ(学名:Stevia rebaudiana(Bertoni)Bertoni)(本発明では「ステビア」と略称する)は、南米パラグアイを原産地とするキク科ステビア属に属する植物である。本発明が対象とするステビア抽出物は、製造の別を問わず、例えばステビアの葉又は茎等から、水又はエタノール等の有機溶媒を用いて抽出された物が含まれる。また、本発明が対象とするステビア抽出物には、任意のステビオール配糖体を多く又は精製された状態で含むように、前記抽出処理後、濃縮や分画等の精製処理を施したものであってもよい。つまり、本発明が対象とするステビア抽出物は、ステビオール配糖体を粗精製された状態で含むものであってもよいし、また精製された状態で含むものであってもよい。当該ステビオール配糖体は、ステビオール骨格を有する配糖体であればよく、制限されないものの、例えば、ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドE、レバウディオサイドF、レバウディオサイドG、レバウディオサイドH、レバウディオサイドI、レバウディオサイドJ、レバウディオサイドK、レバウディオサイドL、レバウディオサイドN、レバウディオサイドO、ズルコサイドA、ズルコサイドB、レブソサイド、ステビオ―ルモノサイド、ステビオールビオサイド等が例示される。なお、レバウディオサイドAは、ショ糖の300~450倍の甘味度を有していることが知られている甘味成分でもある。また、本発明が対象とするステビア抽出物は、ステビオール骨格を有する配糖体又はそれを含む限り、前記天然物から抽出又は精製されたものに限らず、発酵技術を用いて調製されるステビオール配糖体又はそれを含むものであってもよい。
【0020】
本発明において、前記の各種ステビオール配糖体は、2種以上のステビオール配糖体が混合した状態で使用することもできる。ステビア抽出物中のステビオール配糖体の含有量は、本発明の効果を奏することを限度として制限されないが、全体の90質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは95質量%以上である。なお、本発明が対象とするステビア抽出物には、α-グルコシルトランスフェラーゼ等を用いて、上記ステビア抽出物にグルコースやフルクトース等の糖を転移した酵素処理ステビア抽出物も含まれる。当該酵素処理ステビア抽出物には、α-グルコシル化ステビオール配糖体を主成分としたステビア抽出物も含まれる。
【0021】
こうしたステビア抽出物は、ステビアの葉や茎等を原料として抽出し、さらに必要に応じて精製処理することで調製することも可能であるが、簡便には、実施例に記載の通り、商業的に入手することができる。
【0022】
(アセスルファムカリウム)
アセスルファムカリウムは、6-メチル-1,2,3-オキサチアジン-4(3H)-オン-2,2-ジオキシド(6-methyl-1,2,3-oxathiazine-4(3H)-one 2,2-dioxide) のカリウム塩であり、ショ糖の200倍の甘味度を有する高甘味度甘味料である。ちなみにアセスルファムカリウムの甘味の閾値は約15ppmである。これは、簡便には、実施例に記載の通り、商業的に入手することができる。
【0023】
(アスパルテーム)
アスパルテーム(化学名:N-(L-α-Aspartyl)-L-phenylalanine, 1-methyl ester)は、ショ糖の100~200倍の甘味度を有するアミノ酸に由来する甘味成分であり、フェニルアラニンのメチルエステルと、アスパラギン酸とがペプチド結合した構造を持つジペプチドのメチルエステルである。ちなみにアスパルテームの甘味の閾値は約25ppmである。
【0024】
(ネオテーム)
ネオテームは、N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン-1-メチルエステルという化学名を有し、ショ糖の約10,000倍の甘味度を有する。ネオテームの甘味の閾値は約1ppmである。
【0025】
(ソーマチン)
ソーマチンは、西アフリカ原産のクズウコン科の植物Thaumatococcus daniellii(Benn.)Benth. & Hook. f.の種子に多く含まれる分子量約21,000の蛋白質(植物性蛋白)であり、ショ糖(砂糖)の3,000~8,000倍もの甘味度を有するため天然甘味料として使用されている。ソーマチンの甘味の閾値は約1ppmである。これは、簡便には、実施例に記載の通り、商業的に入手することができる。
【0026】
(アドバンテーム)
アドバンテーム(化学名:N-[N-[3-(3-ヒドロキシ-4-メトシキフェニル)プロピル]-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン1-メチルエステル1水和物)は、ショ糖の約30000倍の甘味を有する高甘味度甘味料である。アドバンテームの甘味の閾値は約0.2ppmである。
【0027】
(サッカリン及びその塩)
サッカリン及びその塩は、ショ糖(砂糖)の約300~500倍もの甘味度を有する甘味成分である。当該サッカリン及びその塩には無水物および水和物の形態のものが含まれる。塩としては、ナトリウム塩、及びカルシウム塩を挙げることができる。
【0028】
(本香気増強剤)
本香気増強剤は、スクラロース、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、アドバンテーム並びにサッカリン及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するものであればよく、1種単独で含有するものであっても、また2種以上を組み合わせて含有するものであってもよい。なお、本香気増強剤に含まれる各成分の割合は、対象とする香気成分と共存させることで、当該香気成分の香りを増強するという目的に適うものであればよく、その限りにおいて、100質量%を限度として適宜設定することができる。
【0029】
本香気増強剤の飲食品用香料又は飲食品に対する使用量は、飲食品用香料又は飲食品に含まれる本香気成分の量に応じて適宜調整することができる。本香気成分に対する、スクラロース、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、アドバンテーム並びにサッカリン及びその塩の使用量は、以下の通りである。
【0030】
<酢酸エチル>
酢酸エチル1質量部に対するスクラロースの使用量は、好ましくは0.025~2.5質量部であり、さらに好ましくは0.05~0.5質量部であり、特に好ましくは0.075~0.25質量部である。
酢酸エチル1質量部に対するラカンカ抽出物の使用量は、好ましくは0.05~5質量部であり、さらに好ましくは0.1~1質量部であり、特に好ましくは0.25~0.75質量部である。
酢酸エチル1質量部に対するステビア抽出物の使用量は、好ましくは0.05~5質量部であり、さらに好ましくは0.1~1質量部であり、特に好ましくは0.25~0.75質量部である。
酢酸エチル1質量部に対するアセスルファムカリウムの使用量は、好ましくは0.1~10質量部であり、さらに好ましくは0.15~1.5質量部であり、特に好ましくは0.5~1質量部である。
酢酸エチル1質量部に対するアスパルテームの使用量は、好ましくは0.1~10質量部であり、さらに好ましくは0.15~1.5質量部であり、特に好ましくは0.5~1質量部である。
酢酸エチル1質量部に対するネオテームの使用量は、好ましくは0.002~0.2質量部であり、さらに好ましくは0.003~0.03質量部であり、特に好ましくは0.01~0.02質量部である。
酢酸エチル1質量部に対するソーマチンの使用量は、好ましくは0.005~0.5質量部であり、さらに好ましくは0.01~0.1質量部であり、特に好ましくは0.025~0.075質量部である。
酢酸エチル1質量部に対するアドバンテームの使用量は、好ましくは0.0009~0.15質量部であり、さらに好ましくは0.0045~0.03質量部であり、特に好ましくは0.009~0.015質量部である。
酢酸エチル1質量部に対するサッカリン及びその塩の使用量は、好ましくは0.05~5質量部であり、さらに好ましくは0.1~1質量部であり、特に好ましくは0.25~0.75質量部である。
【0031】
<酢酸イソアミル>
酢酸イソアミル1質量部に対するスクラロースの使用量は、好ましくは0.025~5質量部であり、さらに好ましくは0.05~0.5質量部であり、特に好ましくは0.5~2.5質量部である。
酢酸イソアミル1質量部に対するラカンカ抽出物の使用量は、好ましくは0.05~10質量部であり、さらに好ましくは0.1~5質量部であり、特に好ましくは0.5~2質量部である。
酢酸イソアミル1質量部に対するステビア抽出物の使用量は、好ましくは0.05~10質量部であり、さらに好ましくは0.1~5質量部であり、特に好ましくは0.5~2質量部である。
酢酸イソアミル1質量部に対するアセスルファムカリウムの使用量は、好ましくは0.1~150質量部であり、さらに好ましくは0.15~10質量部であり、特に好ましくは1.5~10質量部である。
酢酸イソアミル1質量部に対するアスパルテームの使用量は、好ましくは0.1~1.5質量部であり、さらに好ましくは0.2~1質量部であり、特に好ましくは0.5~1質量部である。
酢酸イソアミル1質量部に対するネオテームの使用量は、好ましくは0.002~0.03質量部であり、さらに好ましくは0.003~0.02質量部であり、特に好ましくは0.01~0.1質量部である。
酢酸イソアミル1質量部に対するソーマチンの使用量は、好ましくは0.005~0.5質量部であり、さらに好ましくは0.01~0.1質量部であり、特に好ましくは0.025~0.075質量部である。
酢酸イソアミル1質量部に対するアドバンテームの使用量は、好ましくは0.0009~0.15質量部であり、さらに好ましくは0.0045~0.03質量部であり、特に好ましくは0.009~0.015質量部である。
酢酸イソアミル1質量部に対するサッカリン及びその塩の使用量は、好ましくは0.05~5質量部であり、さらに好ましくは0.1~1質量部であり、特に好ましくは0.25~0.75質量部である。
【0032】
<プロピオン酸エチル>
プロピオン酸エチル1質量部に対するスクラロースの使用量は、好ましくは0.025~50質量部であり、さらに好ましくは0.05~5質量部であり、特に好ましくは0.5~2.5質量部である。
プロピオン酸エチル1質量部に対するラカンカ抽出物の使用量は、好ましくは0.05~10質量部であり、さらに好ましくは0.1~5質量部であり、特に好ましくは0.5~2質量部である。
プロピオン酸エチル1質量部に対するステビア抽出物の使用量は、好ましくは0.05~10質量部であり、さらに好ましくは0.1~5質量部であり、特に好ましくは0.5~2質量部である。
プロピオン酸エチル1質量部に対するアセスルファムカリウムの使用量は、好ましくは0.1~150質量部であり、さらに好ましくは0.15~15質量部であり、特に好ましくは1.5~10質量部である。
プロピオン酸エチル1質量部に対するアスパルテームの使用量は、好ましくは0.15~10質量部であり、さらに好ましくは0.5~5質量部であり、特に好ましくは1~2.5質量部である。
プロピオン酸エチル1質量部に対するネオテームの使用量は、好ましくは0.002~3質量部であり、さらに好ましくは0.003~0.3質量部であり、特に好ましくは0.03~0.2質量部である。
プロピオン酸エチル1質量部に対するソーマチンの使用量は、好ましくは0.005~1質量部であり、さらに好ましくは0.01~0.5質量部であり、特に好ましくは0.05~0.2質量部である。
プロピオン酸エチル1質量部に対するアドバンテームの使用量は、好ましくは0.0009~0.15質量部であり、さらに好ましくは0.0045~0.03質量部であり、特に好ましくは0.009~0.015質量部である。
プロピオン酸エチル1質量部に対するサッカリン及びその塩の使用量は、好ましくは0.05~10質量部であり、さらに好ましくは0.1~5質量部であり、特に好ましくは0.5~2質量部である。
【0033】
<酪酸エチル>
酪酸エチル1質量部に対するスクラロースの使用量は、好ましくは0.025~50質量部であり、さらに好ましくは0.05~5質量部であり、特に好ましくは0.5~2.5質量部である。
酪酸エチル1質量部に対するラカンカ抽出物の使用量は、好ましくは0.05~10質量部であり、さらに好ましくは0.1~5質量部であり、特に好ましくは0.5~2質量部である。
酪酸エチル1質量部に対するステビア抽出物の使用量は、好ましくは0.05~5質量部であり、さらに好ましくは0.1~1質量部であり、特に好ましくは0.25~0.75質量部である。
酪酸エチル1質量部に対するアセスルファムカリウムの使用量は、好ましくは0.1~150質量部であり、さらに好ましくは0.15~15質量部であり、特に好ましくは1.5~10質量部である。
酪酸エチル1質量部に対するアスパルテームの使用量は、好ましくは0.1~10質量部であり、さらに好ましくは0.15~1.5質量部であり、特に好ましくは0.5~1質量部である。
酪酸エチル1質量部に対するネオテームの使用量は、好ましくは0.002~0.3質量部であり、さらに好ましくは0.003~0.2質量部であり、特に好ましくは0.015~0.1質量部である。
酪酸エチル1質量部に対するソーマチンの使用量は、好ましくは0.005~0.5質量部であり、さらに好ましくは0.01~0.1質量部であり、特に好ましくは0.025~0.075質量部である。
酪酸エチル1質量部に対するアドバンテームの使用量は、好ましくは0.0009~0.15質量部であり、さらに好ましくは0.0045~0.03質量部であり、特に好ましくは0.009~0.015質量部である。
酪酸エチル1質量部に対するサッカリン及びその塩の使用量は、好ましくは0.05~0.1質量部であり、さらに好ましくは0.06~0.09質量部であり、特に好ましくは0.07~0.08質量部である。
【0034】
<ヘキサン酸エチル>
ヘキサン酸エチル1質量部に対するスクラロースの使用量は、好ましくは0.025~50質量部であり、さらに好ましくは0.05~5質量部であり、特に好ましくは0.5~2.5質量部である。
ヘキサン酸エチル1質量部に対するラカンカ抽出物の使用量は、好ましくは0.05~10質量部であり、さらに好ましくは0.1~5質量部であり、特に好ましくは0.5~2質量部である。
ヘキサン酸エチル1質量部に対するステビア抽出物の使用量は、好ましくは0.05~5質量部であり、さらに好ましくは0.1~1質量部であり、特に好ましくは0.25~0.75質量部である。
ヘキサン酸エチル1質量部に対するアセスルファムカリウムの使用量は、好ましくは0.1~150質量部であり、さらに好ましくは0.15~15質量部であり、特に好ましくは1.5~10質量部である。
ヘキサン酸エチル1質量部に対するアスパルテームの使用量は、好ましくは0.15~10質量部であり、さらに好ましくは0.5~5質量部であり、特に好ましくは1~2.5質量部である。
ヘキサン酸エチル1質量部に対するネオテームの使用量は、好ましくは0.002~03質量部であり、さらに好ましくは0.003~0.2質量部であり、特に好ましくは0.01~0.1質量部である。
ヘキサン酸エチル1質量部に対するソーマチンの使用量は、好ましくは0.005~0.5質量部であり、さらに好ましくは0.01~0.1質量部であり、特に好ましくは0.025~0.075質量部である。
ヘキサン酸エチル1質量部に対するアドバンテームの使用量は、好ましくは0.0009~0.15質量部であり、さらに好ましくは0.0045~0.03質量部であり、特に好ましくは0.009~0.015質量部である。
ヘキサン酸エチル1質量部に対するサッカリン及びその塩の使用量は、好ましくは0.05~0.1質量部であり、さらに好ましくは0.06~0.09質量部であり、特に好ましくは0.07~0.08質量部である。
【0035】
本香気増強剤は、本飲食品用香料又は本飲食品に対して、本香気成分の香りを増強するために用いられる。具体的には、本飲食品用香料又は本飲食品を製造する際に、成分の一つとして配合する方法が挙げられる。また、本飲食品を調理する際に配合して一緒に調理するか、又は調理された本飲食品を摂取する際に、これに添加する等の態様で用いることができる。こうすることで本飲食品を摂取したときに感じる、本香気成分の香りを増強することができる。
【0036】
本香気増強剤の形態としては、固体(粉末状、顆粒状、タブレット状、カプセル剤状等)、半固体又は液体(液状(水溶液、分散液状、懸濁液状を含む)、乳液状、シロップ状、ペースト状、ジェル状等)等を挙げることができる。
【0037】
本香気増強剤には、本発明の効果を妨げないことを限度として、飲食品に配合可能な可食性の担体(基剤)や添加剤を適宜配合することもできる。
【0038】
本香気増強剤を製剤形態に調製する場合、担体や添加剤を用いることで、前述する固体、半固体又は液体の剤型等、任意の剤型にすることができる。制限されないものの、一例として、本有効成分を溶解又は分散した水溶液にデキストリン等の賦形剤を配合し、噴霧乾燥又は凍結乾燥等の定法に従って粉末化することで粉末製剤として調製することができ、さらに造粒することで顆粒製剤として調製することもできる。また、他の一例として、又は前記の固形製剤を少量の水やアルコールで溶解することで、シロップ形状の製剤に調製することができる。また、本香気増強剤は、一剤の形態のほか、二剤の形態(例えば、ラカンカ抽出物を含有する製剤とステビア抽出物を含有する製剤との組み合わせ物等)であってもよい。
【0039】
本発明において、「香気増強」又は「香気成分の香りを増強する」とは、各香気成分に起因して感じる香りをエンハンスすることを意味する。つまり、香気増強とは、香気成分を含有する香料又は飲食品に本香気増強剤を配合することで、香気成分の香りが、本香気増強剤を配合しない場合に感じる香りと比較して増大したと感じさせる作用効果である。こうした作用効果は、通常、訓練された専門パネリストによる官能試験によって評価判定することができる。具体的には、対象とする香気成分を含有する香料又は飲食品に香気増強剤を添加した場合に、添加していない香気成分を含有する香料又は飲食品の香りと比較して、その香りが増強したと感じられる場合には、当該香気増強剤は、本香気増強剤に該当すると判断することができる。
【0040】
(I)香気成分の香りを増強する方法 本発明の香気成分の香りを増強する方法(以下「本香気増強方法」と称する場合がある)は、酢酸エチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル及びヘキサン酸エチルよりなる群から選択される少なくとも1種の香気成分(本香気成分)を含有する飲食品用香料(本飲食品香料)又は飲食品(本飲食品)を、スクラロース、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、アドバンテーム並びにサッカリン及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種(本有効成分)と共存させることを特徴とする。本有効成分、本飲食品香料又は本飲食品を本有効成分と共存させる方法は、(II)香気増強剤で説明した通りであり、その記載を援用することができる。
【0041】
本飲食品香料又は本飲食を、本有効成分と共存させることで本香気成分の香りが増強されたか否かは、本有効成分が配合された本飲食品香料又は本飲食品(被験試料)の香気成分の香りを、本有効成分が配合されていない以外は組成が同じである香料又は飲食品(比較資料)の香りと比較することで評価することができる。この評価において、比較試料と比較して被験試料の方が香気成分の香りが増大している場合に、被験試料について本有効成分の配合により本香気成分の香りが増強されていると判断することができる。具体的な評価方法は、制限されないものの、後述する実施例の記載に従って行うことができる。
【0042】
このように、本有効成分を配合するという簡便な方法により、本香気成分の香りを増強することができ、その結果、当該香りが増強した本飲食品香料又は本飲食品を調製し提供することができる。
【0043】
(III)香気成分の香りを増強するための飲食品用香料又は飲食品
本発明の香気成分の香りを増強するための飲食品用香料(本飲食品用香料)又は飲食品(本飲食品)は、本香気増強剤、並びに酢酸エチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル及びヘキサン酸エチルよりなる群から選択される少なくとも1種の香気成分(本香気成分)を含有する。
【0044】
本飲食品用香料又は本飲食品に対する本香気増強剤の配合割合は、本飲食品用香料又は本飲食品に含まれる本香気成分の量に応じて調整すればよく、具体的には、前記(II)香気増強剤で説明した、本香気成分に対する、スクラロース、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、アドバンテーム並びにサッカリン及びその塩の使用量を援用することができる。
【0045】
なお、スクラロース、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、アドバンテーム並びにサッカリン及びその塩は、本香気成分と共存していればよく、本飲食品用香料又は本飲食品の製造過程の任意の段階で添加することが可能であり、香気成分含有飲食品を摂取する前に添加することも可能である。
【0046】
本飲食品用香料又は本飲食品は、本香気増強剤を含有していることで、本香気増強剤を含有しない香気成分含有香料又は飲食品と比較して、本香気成分に起因する香りが増強されている。
【0047】
このように、本飲食品用香料又は本飲食品の製造工程で本香気増強剤を添加配合するか、又は本飲食品用香料又は本飲食品を摂取する前に本香気増強剤を添加配合するという簡便な方法で、本香気成分に起因する香りを増強することができ、その結果、香気成分の香りが増強した本飲食品用香料又は本飲食品を調製し提供することができる。
【0048】
本飲食品用香料又は本飲食品は、最終の本飲食品用香料又は本飲食品に本香気増強剤が含まれていればよく、その限りにおいて、本香気増強剤の配合時期や配合方法等は特に制限されない。つまり、本飲食品用香料又は本飲食品の製造方法としては、本香気成分を、本有効成分と共存させる工程を含むものであればよい。
【実施例0049】
本発明の内容を以下の実施例を用いて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。下記において、特に言及する場合を除いて、実験は大気圧及び室温条件下で行っている。また各実験例で採用したパネリストは飲食品の風味や香料の官能評価に従事し訓練して社内試験に合格した官能評価適格者であり、対象とする経口組成物の官能評価についてよく訓練した上で、評価を実施した。また特に言及する場合を除いて、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0050】
以下の実施例において、評価成分として使用した原料は下記の通りである。
(1)スクラロース
スクラロース100%純品:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製。ショ糖の約600倍の甘味度を有する甘味料製品。
(2)ラカンカ抽出物
サンナチュレ(登録商標)M50(ラカンカ抽出物100%含有)三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製。モグロシドVを50%の割合で含有する、ショ糖の約300倍の甘味度を有する甘味料製品。(3)ステビア抽出物
レバウディオ(登録商標)J-100(乾燥粉末製品、守田化学工業(株)製)。レバウディオサイドA 95%以上含有品。ショ糖の約400倍の甘味度を有する高甘味度甘味料。
(4)アセスルファムカリウム
サネット(登録商標)(アセスルファムカリウム100%純品)(三菱商事ライフサイエンス株式会社製)。ショ糖の約200倍の甘味度を有する高甘味度甘味料。
(5)アスパルテーム
パルスイート(登録商標)ダイエット(アスパルテーム100%純品)(味の素株式会社製)。ショ糖の約200倍の甘味度を有する高甘味度甘味料。
(6)ネオテーム ミラスィー(登録商標)200(ネオテーム2%含有、住友フードファーマ&ケミカル株式会社製)。ショ糖の約200倍の甘味度を有する高甘味度甘味料。
(7)ソーマチン
ネオサンマルク(登録商標)AG(ソーマチン0.15%含有)(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)。ショ糖の約4.5倍の甘味度を有する高甘味度甘味料。
(8)アドバンテーム
スイートアップV-90(アドバンテーム0.3%含有)(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)。ショ糖の約90倍の甘味度を有する高甘味度甘味料。
(9)サッカリンナトリウム
サッカリンナトリウムA-1(大和化成株式会社製)。ショ糖の約300倍の甘味度を有する高甘味度甘味料。
【0051】
<実施例1>酢酸エチルの香りの評価
酢酸エチル0.002%水溶液に、表1に示す添加量の香気増強剤を配合した被験試料を調製し、品温を15℃に調整した後、4名のパネリストに各被験試料を摂取してもらい、各被験試料について酢酸エチルの香りの強さを評価してもらった。評価は、酢酸エチル0.002%水溶液(比較試料1)、酢酸エチル0.0022%水溶液(比較試料2)及び酢酸エチル0.0024%水溶液(比較試料3)を用意し、それらとの比較により、下記の評価基準に従って、各パネリストに点数をつけてもらうことで実施した。ちなみに、各パネリストには、事前に比較試料1~3の各々を摂取して、酢酸エチルの香りの程度を把握してもらい、パネリスト同士でその香り並びにその程度を確認しあった後、下記の評価基準をすり合わせて、各自の内的基準が互いに等しくなるように調整した。なお、香りの評価は、各パネリストに被験試料を口に含んでもらい、口腔から鼻腔にかけて感じる臭い(レトロネーザル)を評価してもらうことで実施した。
【0052】
[評価基準]
0点:比較試料1と同等の強さ
1点:比較試料1と比較試料2の間の強さ
2点:比較試料2と同等の強さ
3点:比較試料2と比較試料3の間の強さ
4点:比較試料3と同等の強さ
5点:比較試料3よりも強い
【0053】
被験試料の評価結果を表1に示す。表1に記載した点数は、パネリスト4名の平均値である。
【0054】
【0055】
表1に示すように、効果の程度には差があるものの、すべての香気増強剤に、酢酸エチルの香りを増強する効果が認められた。
【0056】
<実施例2>酢酸イソアミルの香りの評価
酢酸イソアミル0.002%水溶液に、表2に示す添加量の香気増強剤を配合した被験試料を調製し、品温を15℃に調整した後、4名のパネリストに各被験試料を摂取してもらい、各被験試料について酢酸イソアミルの香りの強さを評価してもらった。評価は、酢酸イソアミル0.002%水溶液(比較試料1)、酢酸イソアミル0.0022%水溶液(比較試料2)及び酢酸イソアミル0.0024%水溶液(比較試料3)を用意し、それらとの比較により、下記の評価基準に従って、各パネリストに点数をつけてもらうことで実施した。ちなみに、各パネリストには、事前に比較試料1~3の各々を摂取して、酢酸イソアミルの香りの程度を把握してもらい、パネリスト同士でその香り並びにその程度を確認しあった後、下記の評価基準をすり合わせて、各自の内的基準が互いに等しくなるように調整した。なお、香りの評価は、各パネリストに被験試料を口に含んでもらい、口腔から鼻腔にかけて感じる臭い(レトロネーザル)を評価してもらうことで実施した。
【0057】
[評価基準]
0点:比較試料1と同等の強さ
1点:比較試料1と比較試料2の間の強さ
2点:比較試料2と同等の強さ
3点:比較試料2と比較試料3の間の強さ
4点:比較試料3と同等の強さ
5点:比較試料3よりも強い
【0058】
被験試料の評価結果を表2に示す。表2に記載した点数は、パネリスト4名の平均値である。
【0059】
【0060】
表2に示すように、効果の程度には差があるものの、すべての香気増強剤に、酢酸イソアミルの香りを増強する効果が認められた。
【0061】
<実施例3>プロピオン酸エチルの香りの評価
プロピオン酸エチル0.002%水溶液に、表3に示す添加量の香気増強剤を配合した被験試料を調製し、品温を15℃に調整した後、4名のパネリストに各被験試料を摂取してもらい、各被験試料についてプロピオン酸エチルの香りの強さを評価してもらった。評価は、プロピオン酸エチル0.002%水溶液(比較試料1)、プロピオン酸エチル0.0022%水溶液(比較試料2)及びプロピオン酸エチル0.0024%水溶液(比較試料3)を用意し、それらとの比較により、下記の評価基準に従って、各パネリストに点数をつけてもらうことで実施した。ちなみに、各パネリストには、事前に比較試料1~3の各々を摂取して、プロピオン酸エチルの香りの程度を把握してもらい、パネリスト同士でその香り並びにその程度を確認しあった後、下記の評価基準をすり合わせて、各自の内的基準が互いに等しくなるように調整した。なお、香りの評価は、各パネリストに被験試料を口に含んでもらい、口腔から鼻腔にかけて感じる臭い(レトロネーザル)を評価してもらうことで実施した。
【0062】
[評価基準]
0点:比較試料1と同等の強さ
1点:比較試料1と比較試料2の間の強さ
2点:比較試料2と同等の強さ
3点:比較試料2と比較試料3の間の強さ
4点:比較試料3と同等の強さ
5点:比較試料3よりも強い
【0063】
被験試料の評価結果を表3に示す。表3に記載した点数は、パネリスト4名の平均値である。
【0064】
【0065】
表3に示すように、効果の程度には差があるものの、すべての香気増強剤に、プロピオン酸エチルの香りを増強する効果が認められた。
【0066】
<実施例4>酪酸エチルの香りの評価
酪酸エチル0.002%水溶液に、表4に示す添加量の香気増強剤を配合した被験試料を調製し、品温を15℃に調整した後、4名のパネリストに各被験試料を摂取してもらい、各被験試料について酪酸エチルの香りの強さを評価してもらった。評価は、酪酸エチル0.002%水溶液(比較試料1)、酪酸エチル0.0022%水溶液(比較試料2)及び酪酸エチル0.0024%水溶液(比較試料3)を用意し、それらとの比較により、下記の評価基準に従って、各パネリストに点数をつけてもらうことで実施した。ちなみに、各パネリストには、事前に比較試料1~3の各々を摂取して、酪酸エチルの香りの程度を把握してもらい、パネリスト同士でその香り並びにその程度を確認しあった後、下記の評価基準をすり合わせて、各自の内的基準が互いに等しくなるように調整した。なお、香りの評価は、各パネリストに被験試料を口に含んでもらい、口腔から鼻腔にかけて感じる臭い(レトロネーザル)を評価してもらうことで実施した。
【0067】
[評価基準]
0点:比較試料1と同等の強さ
1点:比較試料1と比較試料2の間の強さ
2点:比較試料2と同等の強さ
3点:比較試料2と比較試料3の間の強さ
4点:比較試料3と同等の強さ
5点:比較試料3よりも強い
【0068】
被験試料の評価結果を表4に示す。表4に記載した点数は、パネリスト4名の平均値である。
【0069】
【0070】
表4に示すように、効果の程度には差があるものの、すべての香気増強剤に、酪酸エチルの香りを増強する効果が認められた。
【0071】
<実施例5>ヘキサン酸エチルの香りの評価
ヘキサン酸エチル0.002%水溶液に、それぞれ表5に示す添加量の香気増強剤を配合した被験試料を調製し、品温を15℃に調整した後、4名のパネリストに各被験試料を摂取してもらい、各被験試料についてヘキサン酸エチルの香りの強さを評価してもらった。評価は、ヘキサン酸エチル0.002%水溶液(比較試料1)、ヘキサン酸エチル0.0022%水溶液(比較試料2)及びヘキサン酸エチル0.0024%水溶液(比較試料3)を用意し、それらとの比較により、下記の評価基準に従って、各パネリストにスコアをつけてもらうことで実施した。ちなみに、各パネリストには、事前に比較試料1~3の各々を摂取して、ヘキサン酸エチルの香りの程度を把握してもらい、パネリスト同士でその香り並びにその程度を確認しあった後、下記の評価基準をすり合わせて、各自の内的基準が互いに等しくなるように調整した。なお、香りの評価は、各パネリストに被験試料を口に含んでもらい、口腔から鼻腔にかけて感じる臭い(レトロネーザル)を評価してもらうことで実施した。
【0072】
[評価基準]
0点:比較試料1と同等の強さ
1点:比較試料1と比較試料2の間の強さ
2点:比較試料2と同等の強さ
3点:比較試料2と比較試料3の間の強さ
4点:比較試料3と同等の強さ
5点:比較試料3よりも強い
【0073】
被験試料の評価結果を表5に示す。表5に記載した点数は、パネリスト4名の平均値である。
【0074】
【0075】
表5に示すように、効果の程度には差があるものの、すべての香気増強剤に、ヘキサン酸エチルの香りを増強する効果が認められた。
【0076】
<実施例6~10>酸糖液に含まれる香気成分の香りの評価
表6、7に示す実施例6~10の酸糖液を調製し、品温を15℃に調整した後、4名のパネリストに各酸糖液を摂取してもらい、本香気成分の香りの強さを評価してもらった。評価は、表6の比較試料4~6を用意し、それらとの比較により、下記の評価基準に従って、各パネリストに点数をつけてもらうことで実施した。ちなみに、各パネリストには、事前に比較試料4~6の各々を摂取して、本香気成分の香りの程度を把握してもらい、パネリスト同士でその香り並びにその程度を確認しあった後、下記の評価基準をすり合わせて、各自の内的基準が互いに等しくなるように調整した。なお、香りの評価は、各パネリストに各酸糖液を口に含んでもらい、口腔から鼻腔にかけて感じる臭い(レトロネーザル)を評価してもらうことで実施した。
【0077】
[評価基準]
0点:比較試料4と同等の強さ
1点:比較試料4と比較試料5の間の強さ
2点:比較試料5と同等の強さ
3点:比較試料5と比較試料6の間の強さ
4点:比較試料6と同等の強さ
5点:比較試料6よりも強い
【0078】
【0079】
実施例6~10の酸糖液の評価結果を表7に示す。表7に記載した点数は、パネリスト4名の平均値である。
【0080】
【0081】
表7に示すように、効果の程度には差があるものの、すべての香気増強剤に、本香気成分の香りを増強する効果が認められた。