(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172129
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】モード切り換えスイッチ回路を備えた調光装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20231129BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20231129BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20231129BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1334
G02F1/133 505
E06B9/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083728
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀川 喜美雄
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H193
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088FA27
2H088FA29
2H088GA10
2H088HA06
2H088MA20
2H189AA04
2H189CA13
2H189HA16
2H189LA01
2H189LA08
2H189MA15
2H193ZA27
2H193ZA44
2H193ZB51
2H193ZE40
2H193ZR18
(57)【要約】
【課題】ユーザースイッチが2つ以上ある場合、1つのユーザースイッチのみでしかスイッチ操作できなくしたり、場合によってはどちらのスイッチ操作でも透明状態、不透明状態を切り替えできる様にしたりすることで、固定されたスイッチ操作以外にも汎用性を高められるようなスイッチ回路を備えた調光装置を提供することを目的とする
【解決手段】電圧印加によって調光可能な調光体を備えた調光フィルムと、電源装置と、透明状態と不透明状態を切り替えるスイッチを含むスイッチ回路において、少なくともユーザースイッチ2つと、ユーザースイッチ操作のモード切り替えを行うディップスイッチを備えることを特徴とする調光装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧印加によって調光可能な調光体を備えた調光フィルムと、電源装置と、前記調光フィルムの透明状態と不透明状態を切り替えるスイッチを含むスイッチ回路において、少なくともユーザースイッチ2つと、ユーザースイッチのモード切り替えを行うディップスイッチを備えることを特徴とする調光装置。
【請求項2】
2つの前記ユーザースイッチがいずれも透明状態に設定されることで前記調光フィルムが透明状態となることを特徴とする請求項1に記載の調光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザースイッチ操作による透明状態、不透明状態切り替えの汎用性を高められるようなモード切り換えスイッチ回路を備えた調光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的制御によって透明状態と不透明状態(あるいは白濁状態)を切り替えることのできる調光装置は様々な用途で用いられる。
【0003】
例えば、ガラス等の透明板で個別部屋として区切られた空間において、透明板に調光装置を設置することにより、ユーザースイッチ操作(以下、スイッチ操作とする)で不透明化することができ、外部からの視線を遮断した非公開な会議室として使用することが可能となる。
【0004】
また、屋内での間仕切りとして使用する透明板のパーテーションに調光装置を設置することにより、スイッチ操作で瞬時に透明状態のパブリック空間から不透明状態のプライベート空間への切り換えを行なうことが可能となり、簡易的な打合わせの場を設けることができる。
【0005】
しかし、パーテーションとして使用するような場合、スイッチは誰でも操作できる位置にあることが多く、特に2つ以上(2箇所以上)ユーザースイッチが設置されている場合、使用者以外が簡単にスイッチ操作を行えてしまう恐れがあった。
【0006】
すなわち、使用者が不透明状態にして打ち合わせの場として使用していても、使用者以外のスイッチ操作により急に透明化してしまった場合、使用者に驚きを与えてしまったり、状況によってはプライバシー侵害にまで及んでしまう恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の事情に鑑み、ユーザースイッチが2つ以上ある場合、1つのユーザースイッチのみでしかスイッチ操作できなくしたり、場合によってはどちらのスイッチ操作でも透明状態、不透明状態切り替えできる様にしたりすることで、固定されたスイッチ回路以外にも汎用性を高められるようなスイッチ回路を備えた調光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
電圧印加によって調光可能な調光体を備えた調光フィルムと、電源装置と、調光フィルムの透明状態と不透明状態を切り替えるスイッチを含むスイッチ回路において、少なくともユーザースイッチ2つと、ユーザースイッチ操作のモード切り替えを行うディップスイッチを備える調光装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、様々な用途で用いられる調光装置において、ユーザースイッチ操作による透明状態、不透明状態切り替えの汎用性を高められるようなモード切り換えスイッチ回路を備えた調光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1におけるスイッチ回路を示した図である。
【
図2】実施形態1のスイッチ回路モードAを示した図である。
【
図3】実施形態1のスイッチ回路モードBを示した図である。
【
図4】実施形態1のスイッチ回路モードC1を示した図である。
【
図5】実施形態1のスイッチ回路モードC2を示した図である。
【
図6】実施形態1のスイッチ回路モードDを示した図である。
【
図7】実施形態1のスイッチ回路モードEを示した図である。
【
図8】実施形態2のスイッチ回路状態Fを示した図である。
【
図9】実施形態2のスイッチ回路状態Gを示した図である。
【
図10】実施形態2のスイッチ回路状態Hを示した図である。
【
図11】実施形態2のスイッチ回路状態Iを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明するが、本発明は以下の説明によって限定されるものではない。
【0013】
図1は本発明の実施形態1における調光装置のスイッチ回路を示す。
【0014】
調光フィルム1と電源装置2及びSW1~SW5が接続されている。SW1及びSW5はユーザースイッチ1及びユーザースイッチ2であり、調光装置本体または壁などに取り付けられ、使用者が直接ON/OFF操作するスイッチである。
【0015】
SW2~SW4はモード切り替えスイッチ1~3であり、主にディップスイッチが用いられる。
【0016】
SW1と調光フィルム1、電源装置2、SW5は直列に接続され、SW1とSW5の間にSW2~SW4が接続されている。
【0017】
SW1、SW2、SW4、SW5は直列接続(接続回路1とする)、SW1、SW3、SW5は直列接続(接続回路2とする)され、接続回路1と接続回路2は並列接続されている。
【0018】
このような接続回路とすることで、SW2、SW3、SW4のON/OFF設定を変更することにより、SW1、SW5のスイッチ操作において、様々なスイッチ切り替え操作を行うことができるようになる。
【0019】
調光フィルムは、少なくとも透明電極が形成されたフレキシブルな透明基材フィルムを
、互いの透明電極側を対向して調光層を挟持してなる構成である。
【0020】
透明基材フィルムは、ロール・トゥ・ロール(roll to roll)方式での製造に適した実質的に透明なフレキシブルフィルム基材であれば、いずれも用いることができる。
【0021】
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが好適に用いられ、紫外線吸収剤、安定剤などが添加されてあっても良い。
【0022】
調光層は、例えば、ポリマー分散型液晶(PDLC)であり、液晶分子と、三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークとを含み、ポリマーネットワークが有する空隙に液晶分子が保持されている。
【0023】
調光層は、ポリマーネットワーク型液晶(PNLC)など、他の構造であってもよい。
【0024】
調光層は、ノーマルモードとリバースモードのいずれであってもよい。ノーマルモードの液晶層は、電圧印加(ON)により透明状態となり、電圧除去(OFF)により不透明状態となる。
【0025】
リバースモードの液晶層は、電圧除去(OFF)により透明状態となり、電圧印加(ON)により不透明状態となる。
【0026】
透明電極はインジウム錫酸化物(ITO)導電膜を用いているが、これに限ったことではなく、従来公知の透明性を有する電極材料であればいずれも用いることができる。
【0027】
例えば、酸化錫導電膜、酸化亜鉛導電膜、高分子導電膜などからなる電極である。
【0028】
透明電極は、真空蒸着法やスパッタリング法等の物理的気相成長法(PVD法)、各種化学的気相成長法(CVD法)、各種塗布法等を用いることにより形成することができる。
【0029】
電源装置は、調光フィルムを駆動するために交流電圧を印加する電力供給装置である。
【実施例0030】
<実施形態1:スイッチ回路モードA>
以下の実施形態においては、電圧印加により透明状態となるノーマルモードの液晶層を用いた例で説明する。
【0031】
また、以下の説明において、
図1における点線で示した経路を点線接続、実線で示した経路を実線接続と呼称する。
【0032】
【0033】
SW2は点線接続、SW3は実線接続、SW4は点線接続となっている。
【0034】
このスイッチ回路は、SW1,SW5両方ONの場合のみ調光フィルムに電圧が印加され、透明状態になる。
【0035】
すなわち、たとえば空間が調光フィルムで仕切られる際に、SW1を使用者側の空間、SW5を使用者側以外の空間に設置した場合、どちらかをOFF状態にしておくことで、
誤ったスイッチ操作で急に透明化する恐れがなくなるスイッチ操作モードとすることができる。換言すると、異なる空間に配置されたSW1とSW5の両方のスイッチ操作それぞれにおいて調光フィルムの透明状態が一致した場合のみ、調光フィルムを透明状態に切り替えることができる。
【0036】
モードAにおけるSW1~SW5のスイッチ状態の対応を表1に示す。
【0037】
【0038】
<実施形態1:スイッチ回路モードB>
図3に、調光装置のスイッチ回路モードBを示す。
【0039】
SW2~SW4は点線接続となっており、このスイッチ回路の場合、SW1、SW5どちらのスイッチ操作でも透明状態または不透明状態にすることができる。
【0040】
すなわち、異なる空間に配置されたいずれかのスイッチ操作で調光の透明、不透明状態を切り替え可能な通常スイッチ操作モードとして使用することができる。
【0041】
モードBにおけるSW1~SW5のスイッチ状態の対応を表2に示す。
【0042】
【0043】
<実施形態1:スイッチ回路モードC1>
図4に、調光装置のスイッチ回路モードC1を示す。
【0044】
SW2、SW3は点線接続、SW4が実線接続となっており、このスイッチ回路の場合、SW1のON/OFFのみで透明状態、不透明状態を切り換えることが可能な回路となっている。
【0045】
すなわち、SW5のスイッチ操作いかんにかかわらず、SW1が優先となるスイッチ操作モードとすることができる。
【0046】
モードC1におけるSW1~SW5のスイッチ状態の対応を表3に示す。
【0047】
【0048】
<実施形態1:スイッチ回路モードC2>
図5に、調光装置のスイッチ回路モードC2を示す。
【0049】
SW2は実線接続、SW3、SW4が点線接続となっている。このスイッチ回路の場合、SW5のON/OFFのみで透明状態、不透明状態を切り換えることが可能な回路となっている。
【0050】
すなわち、SW1のスイッチ操作いかんにかかわらず、SW5が優先となるスイッチ操作モードとすることができる。
【0051】
モードC2におけるSW1~SW5のスイッチ状態の対応を表4に示す。
【0052】
【0053】
<実施形態1:スイッチ回路モードD>
図6に、調光装置のスイッチ回路モードDを示す。
【0054】
SW2、SW4は実線接続、SW3が点線接続となっており、このスイッチ回路の場合
、SW1、SW5のON/OFFにかかわらず常に透明状態となる回路となっている。
【0055】
すなわち、常時透明状態を維持したいとき、SW1、SW5のスイッチ操作を無効とするスイッチ操作モードとすることができる。
【0056】
モードDにおけるSW1~SW5のスイッチ状態の対応を表5示す。
【0057】
【0058】
<実施形態1:スイッチ回路モードE>
図7に、調光装置のスイッチ回路モードEを示す。
【0059】
SW2~SW4が実線接続となっており、このスイッチ回路の場合、SW1、SW5のON/OFFにかかわらず常に不透明状態となる回路となっている。
【0060】
すなわち、常時不透明状態を維持したいとき、SW1、SW5のスイッチ操作を無効とするスイッチ操作モードとすることができる。
【0061】
モードEにおけるSW1~SW5のスイッチ状態の対応を表6示す。
【0062】
【0063】
次に、1枚の調光フィルムを分割もしくは2枚使用した場合の実施形態について、
図8~
図11を用いて説明する。
【0064】
調光フィルムR1と電源装置2及びSW5が直列接続されており、同じように調光フィルムL1と電源装置2及びSW1が直列接続されている。R1とL1が1枚の調光フィルムを分割したものである場合、電気的に接続されてはいない。2枚の調光フィルムである場合は、ガラス等の透明板の同じ平面上で貼り合せたものとなっている。
【0065】
<実施形態2:スイッチ回路状態F>
図8に、調光装置のスイッチ回路状態Fを示す。
【0066】
SW1及びSW5が接続(ON)状態でR1、L1が両方透明状態となる。
【0067】
<実施形態2:スイッチ回路状態G>
図9に、調光装置のスイッチ回路状態Gを示す。
【0068】
SW1が接続(ON)状態でL1が透明状態、SW5が非接続(OFF)状態でR1が不透明状態となる。
【0069】
<実施形態2:スイッチ回路状態H>
図10に、調光装置のスイッチ回路状態Hを示す。
【0070】
SW1が非接続(OFF)状態でL1が不透明状態、SW5が接続(ON)状態でR1が透明状態となる。
【0071】
<実施形態2:スイッチ回路状態I>
図11に、調光装置のスイッチ回路状態Iを示す。
【0072】
SW1及びSW5が非接続(OFF)状態でR1,L1が両方不透明状態となる。
【0073】
実施形態Gの各状態におけるSW1、SW5のスイッチ状態の対応を表7に示す。
【0074】
【0075】
実施形態2においては、実施形態1のようにモード切り替えスイッチを組み合わせてもよい。
【0076】
また調光フィルムにおいては、3枚以上用いてもよい。
【0077】
調光フィルムは単に透明状態、不透明状態の切り替えだけではなく、不透明時にパターンが現れるような意匠性の高いものであってもよい。