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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172133
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/01 20060101AFI20231129BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20231129BHJP
   B41J 2/52 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G03G15/01 J
G03G9/08 391
G03G15/01 S
B41J2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083737
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 剛史
【テーマコード(参考)】
2C262
2H300
2H500
【Fターム(参考)】
2C262AA04
2C262AA24
2C262AB11
2C262AC02
2C262BA02
2C262BB06
2C262BB14
2C262BC01
2C262DA06
2C262EA10
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC05
2H300EH17
2H300EJ10
2H300EJ48
2H300EJ50
2H300FF04
2H300GG12
2H300RR21
2H300SS12
2H300TT04
2H500AA14
2H500FA15
(57)【要約】
【課題】金属光沢感と画像の色味とを両立させる。
【解決手段】画像形成装置1は、シルバー現像剤によりシルバー現像剤像ISを形成可能な第1の画像形成部90と、カラー現像剤によりブラック現像剤像IBを形成可能な少なくとも1つの画像形成ユニット10を含む第2の画像形成部91と、受信した印刷データに応じて、第1の画像形成部90及び第2の画像形成部91の動作を制御する印刷制御部3とを設け、印刷制御部3は、印刷データに基づいて第1の画像形成部90によりシルバー現像剤像ISを用紙P上に形成させるとき、シルバー現像剤像ISの形成領域外に第2の画像形成部91によりブラック現像剤像IBを形成させるようにした。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光輝性現像剤により光輝性現像剤像を形成可能な第1の画像形成部と、
非光輝性現像剤により現像剤像を形成可能な少なくとも1つの画像形成部を含む第2の画像形成部と、
受信した印刷データに応じて、前記第1の画像形成部及び前記第2の画像形成部の動作を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記印刷データに基づいて前記第1の画像形成部により前記光輝性現像剤像を媒体上に形成させるとき、前記光輝性現像剤像の形成領域外に前記第2の画像形成部により黒色現像剤像を形成させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記光輝性現像剤像の領域を、前記黒色現像剤像の領域よりも大きく形成させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記印刷データに基づいて前記第1の画像形成部により前記光輝性現像剤像を前記媒体上に形成させるとき、前記光輝性現像剤像の領域と前記黒色現像剤像の領域との間に、白色の領域を配置させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記印刷データに基づいて前記第1の画像形成部により前記光輝性現像剤像を前記媒体上に形成させるとき、前記光輝性現像剤像の領域と前記黒色現像剤像の領域との間に、前記白色の領域である、現像剤像が形成されない領域を形成させる
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記印刷データに基づいて前記第1の画像形成部により前記光輝性現像剤像を前記媒体上に形成させるとき、前記光輝性現像剤像の領域と前記黒色現像剤像の領域との間に、前記白色の領域である、白色の現像剤による現像剤像の領域を形成させる
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記光輝性現像剤像は、格子状である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記光輝性現像剤像及び前記黒色現像剤像は、複数の画素単位でそれぞれ構成されており、
前記制御部は、
前記印刷データに基づいて前記第1の画像形成部により前記光輝性現像剤像を媒体上に形成させるとき、前記光輝性現像剤像の複数の画素単位の形成領域外に、前記黒色現像剤像の複数の画素単位を形成させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記黒色現像剤像は、黒色現像剤で形成される
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2の画像形成部は、前記非光輝性現像剤である前記黒色現像剤を用いて前記黒色現像剤像を形成する前記画像形成部を含む
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記黒色現像剤像は、複数の色の現像剤で形成される
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2の画像形成部は、前記非光輝性現像剤である、複数の色の現像剤を用いて前記黒色現像剤像を形成する前記画像形成部を含む
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第2の画像形成部は、前記非光輝性現像剤である、黒色現像剤以外の複数の色の現像剤を用いて前記黒色現像剤像を形成する前記画像形成部を含む
ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、例えば電子写真方式のプリンタに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置(プリンタとも呼ばれる)として、コンピュータ装置等から供給される画像に基づき、現像剤(トナーとも呼ばれる)を用いて画像形成ユニットにより現像剤像(トナー画像とも呼ばれる)を形成して紙等の媒体に転写し、これに熱及び圧力を加えて定着させることにより、印刷処理を行うものが広く普及している。
【0003】
また現像剤の中には、光輝性を持たせる等の目的で、シルバー現像剤等のようにアルミニウム等のような光輝性顔料を含有するものがある。また画像形成装置においては、シルバー現像剤の重量平均分子量、光輝性顔料の大きさ、及び、光輝性顔料のシルバー現像剤中における含有量を規定することにより、高い光輝性(FI値)を有する印刷物を形成するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-113783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような画像形成装置においては、印刷した画像における金属光沢感と画像の色味とを両立させることにより印刷品質を高めることが望まれている。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、金属光沢感と画像の色味とを両立させ得る画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の画像形成装置においては、光輝性現像剤により光輝性現像剤像を形成可能な第1の画像形成部と、非光輝性現像剤により現像剤像を形成可能な少なくとも1つの画像形成部を含む第2の画像形成部と、受信した印刷データに応じて、第1の画像形成部及び第2の画像形成部の動作を制御する制御部とを備え、制御部は、印刷データに基づいて第1の画像形成部により光輝性現像剤像を媒体上に形成させるとき、光輝性現像剤像の形成領域外に第2の画像形成部により黒色現像剤像を形成させるようにした。
【0008】
本発明は、媒体上に形成される光輝性現像剤の現像剤量を抑止して金属光沢感(FI値)の低下を抑えつつ、黒色現像剤像により画像の色味(視感反射率)を補うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、金属光沢感と画像の色味とを両立させ得る画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置の構成を示す左側面図である。
図2】画像形成ユニットの構成を示す左側面図である。
図3】画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
図4】実施例1の印刷パターンを示す図である。
図5】実施例1の印刷パターンを示す拡大図である。
図6】比較例1の印刷パターンを示す拡大図である。
図7】比較例2の印刷パターンを示す拡大図である。
図8】比較例3の印刷パターンを示す拡大図である。
図9】比較例4の印刷パターンを示す拡大図である。
図10】比較例5の印刷パターンを示す拡大図である。
図11】画像パターンにおける現像剤の測定領域を示す図である。
図12】測定箇所を示す図である。
図13】変角光度計による光の照射及び受光を示す図である。
図14】カスレを示す図である。
図15】縦スジを示す図である。
図16】横帯を示す図である。
図17】色合いムラの評価結果を示す表である。
図18】光沢感の評価結果を示す表である。
図19】カスレの評価結果を示す表である。
図20】縦スジ及び横帯の評価結果を示す表である。
図21】画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
図22】他の実施の形態による印刷パターン(1)を示す拡大図である。
図23】他の実施の形態による印刷パターン(2)を示す拡大図である。
図24】他の実施の形態による印刷パターン(3)を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0012】
[1.画像形成装置の構成]
図1に示すように、本実施の形態による画像形成装置1は、電子写真方式のカラープリンタであり、用紙Pにカラーの画像を形成する(すなわち印刷する)。因みに画像形成装置1は、原稿を読み取るイメージスキャナ機能や電話回線を使用した通信機能等を有しておらず、プリンタ機能のみを有する単機能のSFP(Single Function Printer)となっている。
【0013】
画像形成装置1は、略箱型に形成された筐体2の内部に種々の部品が配置されている。因みに以下では、図1における右端部分を画像形成装置1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。
【0014】
画像形成装置1は、印刷制御部3により全体を統括制御する。この印刷制御部3は、CPU(Central Processing Unit)23(図3)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有しており、所定のプログラムを読み出して実行することにより、様々な処理を実行する。また印刷制御部3は、コンピュータ装置等の上位装置20(図3)と無線又は有線により接続されており、この上位装置20から印刷対象の画像を表す画像データが与えられると共に該画像データの印刷が指示されると、用紙Pの表面に印刷画像を形成する印刷処理を実行する。
【0015】
筐体2の内部における上側には、前側から後側へ向かって、5個の画像形成ユニット10K、10C、10M、10Y及び10Sが順に配置されている。画像形成ユニット10K、10C、10M、10Y及び10Sは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び特色(S)の各色にそれぞれ対応しているものの、色のみが相違しており、何れも同様に構成されている。また、筐体2の内部における上側には、LED(Light Emitting Diode)ヘッド14(図2)が画像形成ユニット10K、10C、10M、10Y及び10Sに対向するように構成されている。
【0016】
ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)は、何れも一般的なカラープリンタにおいて用いられる色(以下、これを通常色と呼ぶ)である。一方、特色(S)は、例えばホワイト(白色)、クリア(透明色又は無色)やシルバー(銀色)のような特殊な色である。説明の都合上、以下では画像形成ユニット10K、10C、10M、10Y及び10Sをまとめて画像形成ユニット10とも呼ぶ。
【0017】
図2に示すように、画像形成ユニット10は、大きく分けて画像形成本体部11、現像剤収容器12及び現像剤供給部13により構成されている。因みに画像形成ユニット10及びこれを構成する各部品は、用紙Pにおける左右方向の長さに応じて、左右方向に十分な長さを有している。このため多くの部品は、前後方向や上下方向の長さに対して左右方向の長さが比較的長くなっており、左右方向に沿って細長い形状に形成されている。
【0018】
現像剤収容器12は、内部に現像剤を収容しており、画像形成ユニット10に対して着脱可能に構成されている。この現像剤収容器12は、画像形成ユニット10に装着される場合、現像剤供給部13を介して画像形成本体部11に取り付けられる。因みに現像剤収容器12は、トナーカートリッジと呼ばれる場合もある。
【0019】
因みに、銀色の現像剤は、光輝性顔料を含有する現像剤が使用される。説明の都合上、以下では銀色の現像剤をシルバー現像剤とも呼ぶ。またイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの現像剤は、有機系の顔料、例えばピグメントイエロー、ピグメントシアン、ピグメントマゼンタ及びカーボンブラック等を含有する現像剤が使用される。説明の都合上、以下ではイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの現像剤をまとめてカラー現像剤とも呼ぶ。さらに以下では、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各カラー現像剤を、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤、シアン現像剤及びブラック現像剤とも呼ぶ。
【0020】
画像形成本体部11(図2)には、画像形成筐体30、現像剤収容空間31、第1供給ローラ32、第2供給ローラ33、現像ローラ34、現像ブレード35、感光体ドラム36、帯電ローラ37及びクリーニングブレード38が組み込まれている。このうち第1供給ローラ32、第2供給ローラ33、現像ローラ34、感光体ドラム36及び帯電ローラ37は、それぞれ中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に構成されており、それぞれ画像形成筐体30により回転可能に支持されている。
【0021】
因みに特色(S)の画像形成ユニット10Sでは、予めユーザに選択された色(クリア色、金色(ゴールド)や銀色(シルバー)等)の現像剤が収容された現像剤収容器12が、現像剤供給部13を介して画像形成本体部11に装着される。
【0022】
現像剤収容空間31は、現像剤収容器12から現像剤供給部13を介して供給される現像剤を収容する。第1供給ローラ32、第2供給ローラ33は、それぞれ周側面に導電性ウレタンゴム発泡体等でなる弾性層が形成されている。現像ローラ34は、周側面に弾性を有する弾性層や導電性を有する表面層等が形成されている。現像ブレード35は、例えば所定厚さのステンレス鋼板でなり、僅かに弾性変形させた状態で、その一部を現像ローラ34の周側面に当接させている。
【0023】
感光体ドラム36は、周側面に薄膜状の電荷発生層及び電荷輸送層が順次形成され、帯電し得るようになっている。帯電ローラ37は、周側面に導電性の弾性体が被覆されており、この周側面を感光体ドラム36の周側面に当接させている。クリーニングブレード38は、例えば薄板状の樹脂でなり、僅かに弾性変形させた状態で、その一部を感光体ドラム36の周側面に当接させている。
【0024】
LEDヘッド14は、画像形成本体部11における感光体ドラム36の上側に位置している。このLEDヘッド14は、複数の発光素子チップが左右方向に沿って直線状に配置されており、印刷制御部3(図1)から供給される画像データ信号に基づいた発光パターンで各発光素子を発光させる。
【0025】
画像形成本体部11は、図示しないモータから駆動力が供給されることにより、第2供給ローラ33、現像ローラ34及び帯電ローラ37を矢印R1方向(図中の時計回り)へ回転させると共に、第1供給ローラ32及び感光体ドラム36を矢印R2方向(図中の反時計回り)へ回転させる。さらに画像形成本体部11は、印刷制御部3の制御に基づき、第1供給ローラ32、第2供給ローラ33、現像ローラ34、現像ブレード35及び帯電ローラ37にそれぞれ所定のバイアス電圧を印加することにより、それぞれ帯電させる。
【0026】
第1供給ローラ32及び第2供給ローラ33は、帯電により、現像剤収容空間31内の現像剤を周側面に付着させ、回転によりこの現像剤を現像ローラ34の周側面に付着させる。現像ローラ34は、現像ブレード35によって周側面から余分な現像剤が除去され、該現像剤が薄膜状に付着した状態として、この周側面を感光体ドラム36の周側面に当接させる。
【0027】
一方、帯電ローラ37は、帯電した状態で感光体ドラム36と当接することにより、該感光体ドラム36の周側面を一様に帯電させる。LEDヘッド14は、印刷制御部3(図1)から供給される画像データ信号に基づいた発光パターンで、所定の時間間隔毎に発光することにより、感光体ドラム36を順次露光する。これにより感光体ドラム36は、その上端近傍において周側面に静電潜像が順次形成されていく。
【0028】
続いて感光体ドラム36は、矢印R2方向へ回転することにより、この静電潜像が形成された箇所を現像ローラ34と当接させる。これにより感光体ドラム36の周側面には、静電潜像を基に現像剤が付着し、画像データに基づいた現像剤像が現像される。感光体ドラム36は、さらに矢印R2方向へ回転することにより、現像剤像を該感光体ドラム36の下端近傍に到達させる。
【0029】
筐体2(図1)内における各画像形成ユニット10の下側には、中間転写部40が配置されている。中間転写部40には、駆動ローラ41、従動ローラ42、バックアップローラ43、中間転写ベルト44、1次転写ローラ45(5個)、2次転写ローラ46及び逆屈曲ローラ47が設けられている。このうち駆動ローラ41、従動ローラ42、バックアップローラ43、各1次転写ローラ45、2次転写ローラ46及び逆屈曲ローラ47は、何れも中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成され、筐体2により回転可能に支持されている。
【0030】
駆動ローラ41は、画像形成ユニット10Sの後下側に配置されており、図示しないベルトモータから駆動力が供給されると、矢印R1方向に回転する。従動ローラ42は、画像形成ユニット10Kの前下側に配置されている。駆動ローラ41及び従動ローラ42は、それぞれの上端が、各画像形成ユニット10における感光体ドラム36(図2)の下端と同等若しくは僅かに下側に位置している。バックアップローラ43は、駆動ローラ41の前下側且つ従動ローラ42の後下側に配置されている。
【0031】
中間転写ベルト44は、高抵抗のプラスチックフィルムにより、無端ベルトとして構成されており、駆動ローラ41、従動ローラ42及びバックアップローラ43の周囲を周回するように張架されている。さらに中間転写部40には、中間転写ベルト44のうち駆動ローラ41及び従動ローラ42の間に張架された部分の下側、すなわち5個の画像形成ユニット10それぞれの真下となる位置であり、中間転写ベルト44を挟んで各感光体ドラム36とそれぞれ対向する位置に、5個の1次転写ローラ45がそれぞれ配置されている。この1次転写ローラ45は、印刷制御部3の制御に基づき、所定のバイアス電圧が印加される。
【0032】
2次転写ローラ46は、バックアップローラ43の真下に位置しており、該バックアップローラ43に向けて付勢されている。すなわち中間転写部40は、2次転写ローラ46及びバックアップローラ43の間に中間転写ベルト44を挟持している。また2次転写ローラ46は、所定のバイアス電圧が印加される。以下では、2次転写ローラ46及びバックアップローラ43を合わせて2次転写部49と呼ぶ。
【0033】
逆屈曲ローラ47は、駆動ローラ41の前側下寄り且つバックアップローラ43の上側後寄りとなる箇所に位置しており、中間転写ベルト44を前上方向に付勢している。これにより中間転写ベルト44は、弛みを生じること無く、各ローラの間でそれぞれ張力が作用する状態となる。また逆屈曲ローラ47の前上側における中間転写ベルト44を挟んだ位置には、逆屈曲バックアップローラ48が設けられている。
【0034】
中間転写部40は、図示しないベルトモータから供給される駆動力により駆動ローラ41を矢印R1方向へ回転させ、これにより中間転写ベルト44を矢印E1に沿った方向に走行させる。また各1次転写ローラ45は、所定のバイアス電圧が印加された状態で、矢印R1方向に回転する。これにより各画像形成ユニット10は、感光体ドラム36(図2)の周側面における下端近傍に到達させていた現像剤像を、中間転写ベルト44にそれぞれ転写し、且つ各色の現像剤像を順次重ねる。このとき中間転写ベルト44の表面には、上流側のシルバー(S)から順次、各色の現像剤像が重ねられることになる。中間転写部40は、この中間転写ベルト44を走行させることにより、各画像形成ユニット10から転写された現像剤像を、バックアップローラ43の近傍に到達させる。
【0035】
ところで筐体2(図1)の内部には、用紙Pを搬送するための経路である搬送経路Wが形成されている。この搬送経路Wは、筐体2内における下端前寄りから前上方向へ向かい、約半回転した後、中間転写部40の下側を後方向へ進行する。続いて搬送経路Wは、上方向に向かい、中間転写部40及び画像形成ユニット10Sの後側を上方向へ進行した後、前方向へ向かう。すなわち搬送経路Wは、図1においてあたかも英大文字の「S」を描くように形成されている。筐体2の内部では、この搬送経路Wに沿って種々の部品が配置されている。
【0036】
筐体2(図1)の内部における下端近傍には、第1給紙部50が配置されている。第1給紙部50には、用紙カセット51、ピックアップローラ52、フィードローラ53、リタードローラ54、搬送ガイド55並びに搬送ローラ対56、57及び58等が設けられている。因みにピックアップローラ52、フィードローラ53、リタードローラ54、並びに搬送ローラ対56、57及び58は、何れも中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されている。
【0037】
用紙カセット51は、中空の直方体状に構成されており、その内部に用紙Pの紙面を上下方向に向けて重ねた状態で、すなわち集積した状態で収納する。また用紙カセット51は、筐体2に対して着脱可能となっている。
【0038】
ピックアップローラ52は、用紙カセット51内に収納された用紙Pの最上面における前端近傍に当接されている。フィードローラ53は、ピックアップローラ52の前方に僅かに離れて配置されている。リタードローラ54は、フィードローラ53の下側に位置しており、該フィードローラ53との間に1枚の用紙Pの厚さに相当する隙間を形成している。
【0039】
第1給紙部50は、図示しない給紙モータから駆動力が供給されると、ピックアップローラ52、フィードローラ53及びリタードローラ54を適宜回転させ、又は停止させる。これによりピックアップローラ52は、用紙カセット51内に収納された用紙Pのうち、最上面の1枚又は複数枚を前方へ繰り出す。またフィードローラ53及びリタードローラ54は、用紙Pのうち最上面の1枚をさらに前方へ繰り出す一方、2枚目以下をせき止める。かくして第1給紙部50は、用紙Pを1枚ずつに分離しながら前方へ繰り出していく。
【0040】
搬送ガイド55は、搬送経路Wにおける前下側部分に配置されており、この搬送経路Wに沿って用紙Pを前上方向へ進行させ、さらに後上方向に進行させる。搬送ローラ対56及び57は、搬送ガイド55の中央付近及び上端近傍にそれぞれ配置されており、図示しない給紙モータから駆動力が供給されて所定方向に回転する。これにより搬送ローラ対56及び57は、用紙Pを搬送経路Wに沿って進行させる。
【0041】
また筐体2における搬送ローラ対57の前側には、第2給紙部60が設けられている。第2給紙部60には、用紙トレイ61、ピックアップローラ62、フィードローラ63及びリタードローラ64等が設けられている。用紙トレイ61は、上下方向に薄い板状に形成されており、その上側に用紙P2を載置させる。因みに用紙トレイ61には、例えば用紙カセット51に収納されている用紙Pと大きさや紙質が異なる用紙P2が載置される。
【0042】
ピックアップローラ62、フィードローラ63及びリタードローラ64は、第1給紙部50のピックアップローラ52、フィードローラ53及びリタードローラ54とそれぞれ同様に構成されている。第2給紙部60は、図示しない給紙モータから駆動力が供給されると、ピックアップローラ62、フィードローラ63及びリタードローラ64を適宜回転させ、又は停止させることにより、用紙トレイ61上の用紙P2のうち最上面の1枚を後方へ繰り出す一方、2枚目以下をせき止める。かくして第2給紙部60は、用紙P2を1枚ずつに分離しながら後方へ繰り出す。このとき繰り出された用紙P2は、搬送ローラ対57により搬送経路Wに沿って用紙Pと同様に搬送される。説明の都合上、以下では用紙P2を用紙Pと区別すること無く、単に用紙Pと呼ぶ。
【0043】
因みに搬送ローラ対57は、回転が適宜抑制されており、用紙Pに摩擦力を作用させることにより、進行方向に対して該用紙Pの側辺が傾斜する、いわゆる斜行を修正し、先頭及び末尾の端辺を左右に沿わせた状態としてから、後方へ送り出す。搬送ローラ対58は、搬送ローラ対57から後方へ所定間隔だけ離れた箇所に位置しており、搬送ローラ対56等と同様に回転することにより、搬送経路Wに沿って搬送される用紙Pに駆動力を供給し、該用紙Pを該搬送経路Wに沿ってさらに後方へ進行させる。
【0044】
搬送ローラ対58の後側には、上述した中間転写部40の2次転写部49、すなわちバックアップローラ43及び2次転写ローラ46が配置されている。この2次転写部49では、画像形成ユニット10において形成され中間転写ベルト44に転写された状態の現像剤像が、該中間転写ベルト44の走行に伴って近接しており、且つ2次転写ローラ46に所定のバイアス電圧が印加されている。このため2次転写部49は、中間転写ベルト44から、搬送経路Wに沿って搬送されてきた用紙Pに対し、現像剤像を転写して、さらに後方へ進行させる。
【0045】
2次転写部49の後側には、定着部65が配置されている。定着部65は、搬送経路Wを挟んで対向するように配置された加熱部66及び加圧部67により構成されている。加熱部66は、中空の無端ベルトでなる加熱ベルトの内側に、発熱するヒータや複数のローラ等が配置されている。加圧部67は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状の加圧ローラとして形成されており、上側の表面を加熱部66における下側の表面に押し付け、ニップ部を形成している。
【0046】
この定着部65は、印刷制御部3の制御に基づき、加熱部66のヒータを所定の温度に加熱すると共にローラを適宜回転させて加熱ベルトを矢印R1方向へ回転するように走行させ、また加圧部67を矢印R2方向へ回転させる。そのうえで定着部65は、2次転写部49により現像剤像が転写された用紙Pを受け取ると、これを加熱部66及び加圧部67により挟持し(すなわちニップし)、熱及び圧力を加えることにより該現像剤像を該用紙Pに定着させて、後方へ送り出す。
【0047】
定着部65の後側には、搬送ローラ対68が配置され、その後側に切替部69が配置されている。切替部69は、印刷制御部3の制御に従って用紙Pの進行方向を上側又は下側に切り替える。切替部69の上側には、排紙部70が設けられている。排紙部70は、用紙Pを搬送経路Wに沿って上方へ案内する搬送ガイド71、並びに搬送経路Wを挟んで互いに対向する搬送ローラ対72、73、74及び75等により構成されている。
【0048】
また切替部69、定着部65及び2次転写部49等の下側には、再搬送部77が配置されている。再搬送部77は、再搬送経路Uを構成する搬送ガイドや搬送ローラ対(図示せず)等を有している。再搬送経路Uは、切替部69の下側から下方へ向かい、やがて前方へ進行した後、搬送ローラ対57の下流側において搬送経路Wに合流する。
【0049】
印刷制御部3は、用紙Pを排出する場合、切替部69により用紙Pの進行方向を上側の排紙部70側に切り替える。排紙部70は、切替部69から受け取った用紙Pを上方へ搬送し、排出口76から排紙トレイ2Tへ排出する。また印刷制御部3は、用紙Pを戻す場合、切替部69により用紙Pの進行方向を下側の再搬送部77側に切り替える。再搬送部77は、切替部69から受け取った用紙Pを再搬送経路Uに搬送し、やがて搬送ローラ対57の下流側に到達させて該用紙Pを搬送経路Wに沿って再び搬送させる。これにより画像形成装置1では、用紙Pの紙面を反転させた状態で該用紙Pを搬送経路Wに戻すため、いわゆる両面印刷を行うことができる。
【0050】
このように画像形成装置1では、画像形成ユニット10において現像剤を用いた現像剤像を形成して中間転写ベルト44に転写し、2次転写部49において該現像剤像を該中間転写ベルト44から用紙Pに転写させ、さらに定着部65において定着させることにより、該用紙Pに画像を印刷する(すなわち画像を形成する)。説明の都合上、以下では、シルバー現像剤により形成された現像剤像をシルバー現像剤像とも呼び、カラー現像剤により形成された現像剤像をカラー現像剤像とも呼ぶ。
【0051】
例えば画像形成装置1は、画像形成ユニット10においてシルバー現像剤によるシルバー現像剤像及びカラー現像剤によるカラー現像剤像を中間転写ベルト44に順次転写した場合、2次転写部49においてこれらの現像剤像が用紙Pに転写される。これにより用紙Pは、該用紙Pの表面にカラー現像剤像が付着し、該カラー現像剤像の表面にさらにシルバー現像剤像が重畳された状態となる。これを換言すれば、用紙Pとシルバー現像剤像との間に、シルバー現像剤像と重畳するようにカラー現像剤像が配置された状態となる。
【0052】
以下では、黒色現像剤としてのブラック現像剤により形成されたカラー現像剤像をブラック現像剤像とも呼び、イエロー現像剤により形成されたカラー現像剤像をイエロー現像剤像とも呼び、マゼンタ現像剤により形成されたカラー現像剤像をマゼンタ現像剤像とも呼び、シアン現像剤により形成されたカラー現像剤像をシアン現像剤像とも呼ぶ。


また以下では、ブラック現像剤像にシルバー現像剤像を重畳させる印刷処理を光輝重畳印刷処理と呼び、光輝重畳印刷処理により得られた印字物をシルバーブラック重畳印字物とも呼ぶ。さらに以下では、ブラック現像剤像にシルバー現像剤像を重畳させることなくブラック現像剤像とシルバー現像剤像とを形成する印刷処理を光輝非重畳印刷処理と呼び、光輝非重畳印刷処理により得られた印字物をシルバーブラック非重畳印字物とも呼ぶ。またさらに以下では、シルバー現像剤像単体での印刷処理をシルバー現像剤印刷処理と呼び、シルバー現像剤印刷処理により得られた印字物をシルバー印字物とも呼ぶ。
【0053】
因みに画像形成装置1では、印刷制御部3の制御によって各部に印加するバイアス電圧の絶対値を増加させることにより、用紙Pに転写される現像剤像における現像剤の形成量(すなわち付着量)(以下これを媒体上形成量と呼ぶ。詳しくは後述する)を増加させる一方、該バイアス電圧の絶対値を減少させることにより、媒体上形成量を減少させることができる。また画像形成装置1では、印刷制御部3の制御によって現像剤の印刷画像密度(詳しくは後述する)を増加させることにより、用紙Pに転写される現像剤像における媒体上形成量を増加させる一方、該印刷画像密度を減少させることにより、媒体上形成量を減少させることができる。
【0054】
[2.画像形成装置の制御構成]
図3に示すように、画像形成装置1は、CPU23、メモリ19及びセンサ22を有している。CPU23は、印刷制御部3、インターフェイス部17、表示制御部18、プロセス制御部80、現像電圧制御部81、供給電圧制御部82、露光制御部83、転写電圧制御部84、モータ制御部85及びデータ有無判断部86を有している。
【0055】
印刷制御部3は、画像形成装置1全体の動作を制御する。インターフェイス部17は、例えばコンピュータ装置等の上位装置20から送信された印刷データを受信し、印刷データを印刷制御部3に提供する。表示制御部18は、印刷制御部3からの指示信号に基づいて、表示部21の表示状態を制御する。
【0056】
プロセス制御部80は、画像形成ユニット10等の各部の電圧を制御する。現像電圧制御部81は、現像ローラ34のバイアス電圧を制御する。供給電圧制御部82は、第1供給ローラ32及び第2供給ローラ33と現像ブレード35とのバイアス電圧を制御する。露光制御部83は、LEDヘッド14のLEDの点灯及び消灯を制御する。転写電圧制御部84は、1次転写ローラ45のバイアス電圧を制御する。モータ制御部85は、感光体ドラム36等を所定方向に回転させる。
【0057】
データ有無判断部86は、上位装置20から送信されインターフェイス部17によって受信された印刷データを分析し、画像形成ユニット10によって印刷すべき画像データが存在するか否かを判断する。
【0058】
このデータ有無判断部86は、データ変換テーブル87を有している。データ変換テーブル87は、受信した印刷データを画像形成ユニット10K、10C、10M、10Y及び10Sの印刷パターンに変換するものである。データ有無判断部86は、例えば、市販の画像作成ソフトウェアからRGB出力でレッド100[%]という色の印刷データを受信した場合に、データ変換テーブル87に内包されている変換式に従ってマゼンタ(M)100[%]とイエロー(Y)100[%]とで印刷すべき画像データであるというように判断する。
【0059】
さらにデータ有無判断部86は、特色銀専用データ変換テーブル88を有している。特色銀専用データ変換テーブル88は、銀色の印刷データを印刷する際に使用され、受信した印刷データを画像形成ユニット10K及び10Sの印刷パターンに変換するものである。データ有無判断部86は、例えば、シルバー100[%]という色の印刷データを受信した場合に、特色銀専用データ変換テーブル88に内包されている変換式に従って、ブラック(K)とシルバー(S)とを用いた図5に示す印刷パターンPT1で印刷すべき画像データであるというように判断する。
【0060】
メモリ19は、上述したROM及びRAMであり、印刷動作の手順を示す情報と各種補正を行う計算式等の各種情報(例えば、ソフトウェアプログラム)を格納する。センサ22は、用紙Pの位置の検出や温度湿度の検出等を行う。
【0061】
[3.現像剤の製造]
次に、画像形成ユニット10(図2)の現像剤収容器12に収容される現像剤の製造について説明する。ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの現像剤は、画像形成装置1(C941dn:株式会社沖データ製)用の市販の現像剤を使用した。本実施の形態では、特色の現像剤は、シルバー現像剤を使用した。以下では、シルバー(銀色)の現像剤の製造について説明する。
【0062】
一般に、現像剤は、所望の色を発色させるための顔料の他に、この顔料を用紙P等の媒体に結着させるための結着樹脂や、帯電性を向上させるための外添剤等が含まれている。説明の都合上、以下では、顔料及び結着樹脂を含む粒子やこの粒子が集合した粉状物をトナー又はトナー粒子と呼び、このトナーの他に外添剤等を含む粉状物を現像剤と呼ぶ。なお、本実施の形態においては一成分現像方式で説明しているため光輝性顔料及び結着樹脂を含む粒子やこの粒子が集合した粉状物を光輝性トナー又は光輝性トナー粒子と呼び、この光輝性トナーの他に外添剤等を含む粉状物を光輝性現像剤と定義している。しかしながら、二成分現像方式で説明する場合、光輝性顔料及び結着樹脂を含む粒子やこの粒子が集合した粉状物を光輝性トナー又は光輝性トナー粒子と呼び、この光輝性トナーの他に外添剤やキャリアを含む粉状物を光輝性現像剤と定義する。
【0063】
[3-1.実施例1]
実施例1では、まず無機分散剤を分散させた水性媒体を生成する。具体的には、純水18400重量部に工業用リン酸三ナトリウム十二水和物600重量部を混合し、液温60[℃]で溶解させた後、pH(水素イオン指数)調整用の希硝酸を添加する。この水溶液に、純水2600重量部に工業用塩化カルシウム無水物300重量部を溶解させた塩化カルシウム水溶液を投入し、液温を60[℃]に維持しながら、ラインミル(プライミクス株式会社製)により回転速度を3566[rpm]で50分間高速撹拌させる。これにより、懸濁安定剤(無機分散剤)を分散させた水性媒体である水相を調整する。
【0064】
また実施例1では、材料分散油性媒体を生成する。具体的には、酢酸エチル7000重量部に対し、光輝性顔料(体積平均粒径5.4[μm])を470重量部、帯電制御剤(BONTRON E-84:オリエント化学工業株式会社製)を23重量部混合し、顔料分散液を作成する。このうち光輝性顔料は、アルミニウム(Al)の微小な薄片、すなわち平板状、扁平状若しくは鱗片状に形成された、平面状の部分を有する小片を含有している。以下では、この光輝性顔料をアルミニウム顔料又は金属顔料とも呼ぶ。なお、体積平均粒径は、体積粒位径、体積中位径又は平均中位径とも言う。なお、本実施例においては体積平均粒径5.4[μm]の光輝性顔料を用いたが、光輝性顔料の体積平均粒径は5.3~5.7[μm]の範囲内であれば良い。
【0065】
その後、顔料分散液を、液温を60[℃]に維持しながら撹拌して、離型剤としてエステルワックス(WE-4:日油株式会社製)を175重量部、バインダ樹脂としてポリエステル樹脂を1670重量部投入し、固形物がなくなるまで撹拌させる。これにより、顔料分散油性媒体である油相を調製する。
【0066】
次に、液温を55[℃]に下げた水相に油相を投入し、造粒条件として回転速度を1000[rpm]で5分間撹拌することにより懸濁させ、懸濁液中に粒子を形成する。次に、懸濁液を減圧蒸留することにより酢酸エチルを除去し、現像剤を含むスラリーを形成する。次に、このスラリーに硝酸を加えてpH(水素イオン指数)を1.6以下にして撹拌し、懸濁安定剤であるリン酸三カルシウムを溶解させ、脱水することにより、現像剤を形成する。続いて、脱水した現像剤を純水に再分散させて撹拌し、水洗浄を行う。その後、脱水工程、乾燥工程及び分級工程を行うことにより、トナー母粒子を生成する。
【0067】
このようにして生成したトナー母粒子に、外添工程として小シリカ(RY200:日本アエロジル株式会社製)を1.5[重量%]、コロイダルシリカ(X24-9163A:信越化学工業株式会社製)を2.29[重量%]、メラミン粒子(エポスターS:株式会社日本触媒製)を0.37[重量%]入れて混合し、体積平均粒径15.01[μm]のシルバー現像剤を得る。なお、本実施例においては体積平均粒径15.01[μm]のシルバー現像剤を用いたが、シルバー現像剤の体積平均粒径は15.01±3.00[μm]の範囲内であれば良い。
【0068】
本実施例においては、精密粒度分布測定装置Multisizer3(ベックマン・コールター株式会社製)を使用して、現像剤の体積平均粒径を測定した。測定条件は、以下の通りである。
・アパチャー径:100[μm]
・電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター株式会社製)
・分散液:ネオゲンS-20F(第一工業製薬株式会社製)を前述の電解液に溶解し、濃度5[%]に調整
本実施例においては、前述の分散液5[mL]に測定試料10~20[mg]を添加して超音波分散機にて1分間分散させ、その後に電解液25[mL]を添加して超音波分散機にて5分間分散させて、目開き75[μm]のメッシュを通して凝集物を取り除き、試料分散液を調整した。
さらに本実施例においては、この試料分散液を前述の電解液100[mL]に加え、前述の精密粒度分布測定装置により、3万個の粒子を測定して分布(すなわち体積粒度分布)を求め、この体積粒度分布を基に体積平均粒径(Dv50)を求めた。
なお体積平均粒径(Dv50)とは、粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい個数又は質量が、全粉体の個数又は質量の50[%]を占めるときの粒子径を言う。前述の精密粒度分布測定装置は、コールター原理により粒度分布を測定する。このコールター原理とは、細孔電気抵抗法と呼ばれ、電解質溶液中の細孔(アパチャー)に一定の電流を流し、その細孔を粒子が通過するときの細孔の電気抵抗の変化を計測することにより、粒子の体積を測定する方法である。
【0069】
[4.印刷パターンについて]
次に、実施例及び比較例における印刷パターンについて記載する。
【0070】
[4-1.実施例1について]
実施例1の印刷パターンPT1は、A4用紙P全域に特色(シルバー)の印刷画像密度を100[%]とした画像パターン(いわゆるベタ画像)が指定された印刷データが上位装置20から画像形成装置1へ送信され、画像形成装置1が特色銀専用データ変換テーブル88を使用して光輝非重畳印刷処理を行い、図4に示すように用紙P上に作成したものである。
【0071】
このとき画像形成装置1は、予め保存された特色銀専用データ変換テーブル88を参照し、特色(シルバー)の100[%]という印刷データを、図4の印刷パターンPT1の一部分である16×16ドットの範囲を図5に示すように、黒色と特色とで用紙P上に印刷する命令に変換する。ここで、1ドット(1画素単位とも呼ぶ)とは、印刷パターンPT1を印刷命令の最小単位まで拡大した状態である。印刷パターンPT1は、600[dpi]のドットで形成されており、図5中の最も小さい四角形が1ドットにあたる。印刷パターンPT1は、600[dpi]であるため、1ドットの幅及び高さは0.042[mm]である。このように、実施例1の場合、図5に拡大図を示した印刷パターンPT1が、図4に示すようにA4用紙P全域に敷き詰められて作成された印刷物であるシルバーブラック非重畳印字物が得られる。
【0072】
印刷パターンPT1は、シルバー現像剤により形成されたシルバー現像剤像ISと、ブラック現像剤により形成されたブラック現像剤像IBとにより構成されている。以下では、紙面上におけるシルバー現像剤像ISの領域をシルバー現像剤像領域ARISとし、ブラック現像剤像IBの領域をブラック現像剤像領域ARIBとする。
【0073】
シルバー現像剤像ISは、4×4ドットの正方形状であるシルバー現像剤像正方形ISSが互いに縦及び横に4ドットの間隔を空けて格子状に配置されている。ブラック現像剤像IBは、2×2ドットの正方形状であるブラック現像剤像正方形IBSが、シルバー現像剤像正方形ISS同士の間に配置されている。ブラック現像剤像正方形IBSとシルバー現像剤像正方形ISSとの間には、ブラック現像剤像正方形IBSの周囲を1ドットずつ1周分囲うように、現像剤像が形成されていない領域である白色領域WHが形成されている。すなわちブラック現像剤像正方形IBSは、シルバー現像剤像正方形ISSとの間に空白部である白色領域WHを空けて配置されている。なおブラック現像剤像正方形IBSは、用紙Pに印字されると、実際には2×2ドットの完全な正方形状とはならず、4ドットがある程度互いに重なると共に角が丸くなった状態となる。
【0074】
このように印刷パターンPT1は、シルバー現像剤像領域ARIS以外の領域に、シルバー現像剤像領域ARISとの間に白色領域WHが形成された状態で、ブラック現像剤像領域ARIBが配置されている。また印刷パターンPT1は、例えば16×16ドットの範囲で見た際に、16×16ドットの全ての領域のうちの半分の領域の分のドットである128ドット分だけシルバー現像剤像ISが形成されていると共に、残りの領域にはブラック現像剤像IB及び白色領域WHが形成されている。さらに印刷パターンPT1は、例えば16×16ドットの範囲で見た際に、シルバー現像剤像ISが128ドット分だけ形成されていると共に、ブラック現像剤像IBが32ドット分だけ形成されている。このため印刷パターンPT1は、シルバー現像剤像領域ARISの方がブラック現像剤像領域ARIBよりも広く形成されている。すなわち印刷パターンPT1は、16×16ドットの範囲内において、シルバー現像剤像領域ARISの方がブラック現像剤像領域ARIBよりも占める面積の比率が大きくなっている。
【0075】
[4-2.比較例1について]
比較例1の印刷パターンPT101は、A4用紙P全域に特色(シルバー)のベタ画像が指定された印刷データが上位装置20から画像形成装置1へ送信され、画像形成装置1が特色銀専用データ変換テーブル88を使用せずにシルバー現像剤印刷処理を行うことにより、図4に示すように用紙P上に作成したものである。比較例1の場合、図6に拡大図を示した印刷パターンPT101が、図4に示すようにA4用紙P全域に敷き詰められて作成された印刷物であるシルバー印字物が得られる。
【0076】
印刷パターンPT101は、シルバー現像剤により形成されたシルバー現像剤像ISのみにより構成されている。また印刷パターンPT101は、例えば16×16ドットの範囲で見た際に、16×16ドットの全ての領域の分のドットである256ドット分だけシルバー現像剤像ISが形成されている。
【0077】
[4-3.比較例2について]
比較例2の印刷パターンPT201は、A4用紙P全域に、特色(シルバー)のベタ画像と黒色(ブラック)の印刷画像密度が30[%]の画像パターンとが指定された印刷データが上位装置20から画像形成装置1へ送信され、画像形成装置1が特色銀専用データ変換テーブル88を使用せずに図4に示すように用紙P上に作成したものである。比較例2の場合、図7に拡大図を示した印刷パターンPT201が、図4に示すようにA4用紙P全域に敷き詰められて作成された印刷物であるシルバーブラック重畳印字物が得られる。
【0078】
また印刷パターンPT201は、画像形成装置1において紙面上のシルバー現像剤の量(媒体上形成量)が0.19[mg/cm]になるように現像バイアス電圧が調整されて作成されたものである。画像形成装置1は、シルバー現像剤のベタ画像であるシルバー現像剤像ISの下に、ブラック現像剤の印刷画像密度を30[%]とした画像パターン(30[%]の印刷画像密度を媒体上に作成したときの媒体上形成量が0.025[mg/cm])であるブラック現像剤像IB30を印刷する、光輝重畳印刷処理を行うことにより、印刷パターンPT201を作成する。
【0079】
[4-4.比較例3について]
比較例3の印刷パターンPT301は、A4用紙P全域に特色(シルバー)のベタ画像が指定された印刷データが上位装置20から画像形成装置1へ送信され、画像形成装置1が特色銀専用データ変換テーブル88を使用して光輝非重畳印刷処理を行い、図4に示すように用紙P上に作成したものである。比較例3の場合、図8に拡大図を示した印刷パターンPT301が、図4に示すようにA4用紙P全域に敷き詰められて作成された印刷物であるシルバーブラック非重畳印字物が得られる。
【0080】
印刷パターンPT301は、印刷パターンPT1(図5)と比較して、ブラック現像剤像正方形IBSが1ドット分だけ縦方向(下方向)及び横方向(左方向)に移動している。このため、ブラック現像剤像正方形IBSにおける4辺のうち2辺は、シルバー現像剤像正方形ISSとの間に白色領域WHを空けずにシルバー現像剤像正方形ISSに隣接している。
【0081】
[4-5.比較例4について]
比較例4の印刷パターンPT401は、A4用紙P全域に特色(シルバー)のベタ画像が指定された印刷データが上位装置20から画像形成装置1へ送信され、画像形成装置1が特色銀専用データ変換テーブル88を使用して図4に示すように用紙P上に作成したものである。比較例4の場合、図9に拡大図を示した印刷パターンPT401が、図4に示すようにA4用紙P全域に敷き詰められて作成された印刷物が得られる。
【0082】
印刷パターンPT401は、印刷パターンPT301(図8)と比較して、ブラック現像剤像正方形IBSが1ドット分だけ横方向(左方向)に移動している。このため、ブラック現像剤像正方形IBSにおける左半分はシルバー現像剤像正方形ISSと重なっている。画像形成装置1は、シルバー現像剤のベタ画像であるシルバー現像剤像ISの下に、ブラック現像剤のベタ画像であるブラック現像剤像IBを印刷する、光輝重畳印刷処理を行うことにより、ブラック現像剤像正方形IBSとシルバー現像剤像正方形ISSとが重なった領域を形成する。
【0083】
[4-6.比較例5について]
比較例5の印刷パターンPT501は、A4用紙P全域に特色(シルバー)のベタ画像が指定された印刷データが上位装置20から画像形成装置1へ送信され、画像形成装置1が特色銀専用データ変換テーブル88を使用して図4に示すように用紙P上に作成したものである。比較例5の場合、図10に拡大図を示した印刷パターンPT501が、図4に示すようにA4用紙P全域に敷き詰められて作成された印刷物が得られる。
【0084】
印刷パターンPT501は、印刷パターンPT1(図5)と比較して、ブラック現像剤像正方形IBSがシルバー現像剤像正方形ISSの中心部に移動している。このため、ブラック現像剤像正方形IBSの全領域はシルバー現像剤像正方形ISSと重なっている。画像形成装置1は、シルバー現像剤のベタ画像であるシルバー現像剤像ISの下に、ブラック現像剤のベタ画像であるブラック現像剤像IBを印刷する、光輝重畳印刷処理を行うことにより、ブラック現像剤像正方形IBSとシルバー現像剤像正方形ISSとが重なった領域を形成する。
【0085】
このように画像形成装置1は、比較例3、比較例4及び比較例5の場合、実施例1と比較して、シルバーのベタ画像が指定された印刷データに対し、特色銀専用データ変換テーブル88を使用して、実施例1と同様にシルバー現像剤像IS、ブラック現像剤像IB及び白色領域WHを形成するものの、実施例1とは異なるシルバー現像剤像IS、ブラック現像剤像IB及び白色領域WHの配置パターンである印刷パターンPT301、PT401及びPT501を作成する。
【0086】
[4-7.印刷画像密度について]
ここで印刷画像密度とは、画像を画素単位で分解した場合に、全画素数のうち用紙Pに現像剤を転写する画素数の割合を表す値である。例えば、所定の領域(感光体ドラム36の1周分や印刷媒体1ページ分等)の印刷可能範囲に全面ベタ印刷を行う場合の面積率100[%]印刷のことを印刷画像密度100[%]といい、この印刷画像密度100[%]に対して1[%]の面積に相当する印刷を印刷画像密度1[%]という。印刷画像密度DPDを、使用ドット数Cm、回転数Cd及び総ドット数COを用いて数式により表すと、次の(1)のように表すことができる。
【0087】
【数1】
【0088】
ただし、使用ドット数Cmは、感光体ドラム36がCd回転する間に、実際に画像を形成するために使用されたドットの数であり、該画像を形成する間にLEDヘッド14(図2)により露光されたドットの総数である。また総ドット数COは、感光体ドラム36(図2)の1回転あたりの総ドット数、すなわち、露光の有無に限らず、感光体ドラム36が1回転する間に使用し得る、画像を形成する際に潜在的に使用可能なドットの総数である。換言すれば、総ドット数COは、全ての画素に現像剤を転写するベタ画像(ソリッド画像)を形成する場合に用いられるドット数の合計値である。従って、値(Cd×CO)は、感光体ドラム36がCd回転する間に、画像を形成する際に潜在的に使用可能なドット数の合計値を表す。
【0089】
[5.現像剤の測定及び評価]
次に、現像剤の測定及び評価について説明する。この現像剤の測定及び評価に関しては、画像形成装置1(図1)により該現像剤を用いて所定の画像を用紙Pに印刷し、色合いムラ、光沢感、カスレ並びに縦スジ及び横帯について、それぞれ測定及び評価を行った。
【0090】
本評価では、画像形成装置1(C941dn:株式会社沖データ製)(図1)において特色に対応する画像形成ユニット10Sの現像剤収容器12(図2)にシルバー現像剤を、黒色に対応する画像形成ユニット10Kの現像剤収容器12(図2)にブラック現像剤をそれぞれ収容した上で、実施例1、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4及び比較例5の印刷処理を行い、それぞれ色合いムラ、光沢感、カスレ並びに縦スジ及び横帯の評価を行った。
【0091】
具体的に本評価では、用紙Pとしてコート紙(OSコート紙W・127[g/m]:富士ゼロックス株式会社製)を用いた。実施例1、比較例1、比較例3、比較例4及び比較例5においてシルバー現像剤の媒体上形成量(紙面上付着量)は0.65[mg/cm]になるように現像バイアス電圧を調整して評価を行った。また、比較例2においてシルバー現像剤の媒体上形成量(紙面上付着量)は0.19[mg/cm]になるように現像バイアス電圧を調整して評価を行った。
【0092】
[5-1.媒体上形成量の測定]
ここで、媒体上形成量の測定について説明する。本測定では、定着前におけるシルバー現像剤の媒体上形成量の測定を行った。ここで、用紙P等の媒体に対する現像剤の付着量は、単位面積である1[cm]当たりの重量[mg]で表され、その単位が[mg/cm]となる。以下これを媒体上形成量と呼ぶ。すなわち、媒体上形成量とは、用紙Pに現像剤がどの程度付着しているかを指し示す指標である。この媒体上形成量は、以下のような手法により計量及び算出される。
【0093】
まず、金属製でなり平面状の部分を有する治具を用意し、この治具の平面部分のうち面積が1[cm]である部分に両面テープを貼り付ける。この状態でこの治具の重量を電子天秤(ザルトリウス、CAP225D)で計量した後、外部電源を用いて+300[V]の直流電圧をこの治具に印加する。
【0094】
次に、図11に示すように、画像パターンBT(すなわち現像剤像)を転写した媒体(すなわち用紙P(コート紙(OSコート紙W・坪量127[g/m]:富士ゼロックス株式会社製)))を用意する。この用紙Pに対し、主走査方向に関してほぼ中央であり媒体搬送方向Dp(すなわち副走査方向)に関して先頭付近である10[mm]四方の領域(以下これを測定領域ARと呼ぶ)に対し、治具を1回押し当てて媒体上の現像剤を採取する。因みに用紙Pは、主走査方向(図における左右方向)の長さが297[mm]であり、A4サイズにおける長辺又はA3サイズにおける短辺と同等である。続いて、現像剤が付着した治具の重量を、電子天秤により再び計量する。その後、現像剤採取の前後における治具の重量の増加分を算出することにより、媒体上形成量[mg/cm]が算出される。
【0095】
シルバー現像剤の媒体上形成量であるシルバー現像剤媒体上形成量を測定する場合、画像形成装置1(C941dn:株式会社沖データ製)(図1)により、シルバー現像剤の印刷画像密度を100[%]とした画像パターンBT(いわゆるベタ画像)の印刷処理を行い、この画像パターンBTに治具を1回押し当てて媒体上のシルバー現像剤を採取する。また画像形成装置1は、現像ローラ34に印加されるバイアス電圧を110~335[V]に変化させることにより、シルバー現像剤媒体上形成量を調節する。
【0096】
[5-2.色合いムラの測定及び評価]
本評価では、分光測色計(CM-2600d、測定計φ=8[mm]:コニカミノルタ株式会社製)を使用して、紙面上の銀色の色合い(灰色さ)を示す測定値として視感反射率差分ΔYを測定した。視感反射率差分ΔYとは、白紙の状態の視感反射率と印刷画像の視感反射率との差分である。具体的には、印刷後の媒体の視感反射率から印刷前の媒体の視感反射率を差し引くことで視感反射率差分ΔYを測定した。また、測定時における印刷物の下敷きとして、印刷前の媒体であるコート紙(OSコート紙W・127[g/m]:富士ゼロックス株式会社製)を用いた。ここで、光源条件はC、角度は2[°]、 正反射光処理方法はSCEを用いた。
【0097】
ここで、シルバー現像剤の特徴として、印刷物において自身の光輝性を示すだけではなく、色味として自身が持つ灰色感を表すことができる。しかしながら、その灰色感は視感反射率差分ΔYが30未満であり小さすぎる場合、つまり元の媒体と色味が似ている場合では灰色味が無くなってしまい、灰色感を表すことができなくなる。一方、視感反射率差分ΔYが34を超えており大きすぎる場合、色が濃くなりすぎて黒色味が強くなってしまい、こちらも同様に灰色感を表すことができなくなる。そのため、本評価では、視感反射率差分ΔYが30以上34以下のとき、シルバー現像剤の印刷後の灰色感を表せたものと考える。
【0098】
さらに、紙面内で色合いにムラを感じないためには、紙面全域において視感反射率差分ΔYが30以上34以下である必要がある。よって、図12に示すように、A4用紙P内の全域に設定した、それぞれ5[mm]四方の正方形の15箇所の測定箇所MP1、MP2、MP3、MP4、MP5、MP6、MP7、MP8、MP9、MP10、MP11、MP12、MP13、MP14及びMP15(以下ではまとめて測定箇所MPとも呼ぶ)内の視感反射率差分ΔYを測定し、測定した全ての視感反射率差分ΔYが上述した範囲内である場合に、色合いムラが良好であると判定した。
【0099】
[5-3.光沢感の測定及び評価]
次に、本評価では、変角光度計(GC-5000L:日本電色工業株式会社製)を使用して光輝性を測定した。具体的には、図13に示すように、変角光度計により、用紙Pの表面に対して45[°]の方向から光線Cを放射して用紙Pを照射し、用紙Pへの垂直方向に対して0[°]、30[°]及び-65[°]の方向において反射光をそれぞれ受光し、得られた受光結果を基に明度指数L*0、明度指数L*30及び明度指数L*-65をそれぞれ算出した。次に本評価では、算出した各明度指数を次の(2)式に代入することにより、フロップインデックスFIを算出し、画像の光輝性を測定した。
【0100】
【数2】
【0101】
このフロップインデックスFI(FI値)は、光沢感を表す指標であり、値が大きいと光輝性が高いことを意味し、値が小さいと光輝性が低いことを意味する。ここで、FI値が12.0以上である場合、目視にて印刷物に金属光沢が生じるように感じられる。そのため、本評価ではFI値が12.0以上のとき、光輝性が十分に得られたものと考える。よって、図12に示した測定箇所MP内のFI値を測定してこれら15箇所の測定箇所MPのFI値の平均値を算出し、FI値の平均値が12.0以上である場合に、光沢感が良好であると判定した。
【0102】
[5-4.カスレの評価]
次に、本評価では、紙面内のカスレを評価した。本評価では、図12に示したそれぞれの測定箇所MPを中心とした図14に示す5[cm]四方の正方形の領域A内を目視で観察し、全ての測定箇所MPの領域Aにおいて図14に示すような濃淡模様が見られない場合に、カスレが良好であると判定した。
【0103】
[5-5.縦スジ及び横帯の評価]
次に、本評価では、紙面内の縦スジ及び横帯を評価した。本評価では、A4用紙Pの紙面上の一端側から他端側までに亘って発生する不良である縦スジ及び横帯を観察した。スジとは、幅が1[mm]未満の細い白抜け部分が発生する現象を指す。帯とは、幅が1[mm]以上の濃淡差の部位が発生する現象を指す。本評価では、図15に示す縦スジ94の模様が見られない場合に、縦スジが良好であると判定した。また本評価では、図16に示す横帯96の模様が見られない場合に、横帯が良好であると判定した。
【0104】
[6.測定結果及び評価結果]
以下では、実施例の効果を確認するための評価試験の結果と、そこから分かる効果について記載する。
【0105】
[6-1.色合いムラの測定結果及び評価結果]
図17に示すように、実施例1、比較例2及び比較例3は、全ての測定箇所MPにおいて視感反射率差分ΔYが30以上34以下であるため、色合いムラが良好であった。一方、比較例1、比較例4及び比較例5は、視感反射率差分ΔYが30以上34以下を外れた測定箇所MPが存在するため、色合いムラが不良であった。
【0106】
これについて、比較例1の印刷パターンPT101(図6)は、16×16ドットの領域で見た際に、シルバー現像剤を全てのドットである256ドット分形成している。これに対し実施例1の印刷パターンPT1(図5)は、16×16ドットの領域で見た際に、シルバー現像剤を比較例1の半分のドットである128ドット分形成している。また、紙面上に現像される現像剤量が多い印刷をA4用紙全面等の広い領域に亘って印刷する場合、色合いのムラが紙面上に発生しやすい。
【0107】
よって、実施例1(図5)は、ブラック現像剤もシルバー現像剤も色合いのムラが発生しにくい現像剤量の印刷であるため色合いムラが良好となったと考えられる。一方、比較例1(図6)は、紙面上に現像される現像剤量が多いため色合いムラが不良となったと考えられる。また、比較例4(図9)及び比較例5(図10)は、ブラック現像剤とシルバー現像剤とを少なくとも一部重ねたことで、現像剤量が増え、中間転写ベルト44から用紙Pに安定して転写されることができなくなったため色合いムラが不良となったと考えられる。
【0108】
[6-2.光沢感の測定結果及び評価結果]
図18に示すように、実施例1、比較例2及び比較例3は、全ての測定箇所MPのFI値の平均値が12以上であるため、光沢感が良好であった。一方、比較例1、比較例4及び比較例5は、全ての測定箇所MPのFI値の平均値が12未満であるため、光沢感が不良であった。
【0109】
これは、紙面上に現像される現像剤量が多くなりすぎると光沢感が下がってしまうというシルバー現像剤の性質によるものと考えられる。よって、実施例1(図5)は、比較例1(図6)よりもシルバー現像剤量を少なくしているため光沢感が良好となったと考えられる。一方、比較例4(図9)及び比較例5(図10)は、ブラック現像剤とシルバー現像剤とが一部分で多量に重なって印刷されてしまうことで、シルバー現像剤が平滑に溶かされることができなくなってしまったため光沢感が不良となったと考えられる。
【0110】
[6-3.カスレの評価結果]
図19に示すように、実施例1、比較例2、比較例3、比較例4、比較例5は、全ての測定箇所MPにおいてカスレが良好であった。一方、比較例1は、カスレが不良な測定箇所MPが存在するため、カスレが不良であった。
【0111】
これは、紙面上に現像される現像剤量が多すぎると光沢感が下がってしまうというシルバー現像剤の性質によるものと考えられる。よって、実施例1(図5)は、比較例1(図6)よりもシルバー現像剤量が少ないため光沢感が良好となり、光沢感が良好となるとカスレも良好となるため、カスレが良好になったと考えられる。
【0112】
[6-4.縦スジ及び横帯の評価結果]
図20に示すように、実施例1は、縦スジ及び横帯が良好である一方、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4及び比較例5は、縦スジ及び横帯が不良であった。
【0113】
実施例1は、ブラック現像剤像領域ARIB(図5)の内部を含む位置に縦スジ又は横帯が発生した場合、縦スジ又は横帯は目視されやすいものの、ホワイト領域の内部に縦スジ又は横帯が発生した場合、縦スジ又は横帯は目視されにくい。また、シルバー現像剤像領域ARIS(図5)の内部を含む位置に縦スジ又は横帯が発生しても、シルバー現像剤像領域ARISは格子状であるため、縦スジ又は横帯は、用紙Pの一端側から他端側まで連続的には発生しない。このように実施例1は、縦スジ及び横帯の発生しにくいシルバー現像剤像ISのパターンとブラック現像剤像IBのパターンとの組み合わせにより構成されていることから、縦スジ及び横帯が良好になったと考えられる。
【0114】
[6-5.まとめ]
以上の結果より、画像形成装置1は、シルバー100[%]という色の印刷データを受信した場合に、特色銀専用データ変換テーブル88に内包されている変換式に従って、ブラック(K)とシルバー(S)とを用いた図5に示す実施例1の印刷パターンPT1で印刷を行うことにより、光沢感、色合いムラ、カスレ並びに縦スジ及び横帯が良好な印刷物を得ることができる。
【0115】
[7.画像形成装置の機能構成]
ここで、画像形成装置1における印刷処理に関係する基本的な機能を機能ブロック図により表すと、図21のようになる。
【0116】
第1の画像形成部90は、画像形成ユニット10S(図1)と対応しており、光輝性現像剤としてのシルバー現像剤により光輝性現像剤像としてのシルバー現像剤像ISを形成可能である。第2の画像形成部91は、画像形成ユニット10K(図1)と対応しており、非光輝性現像剤としてのブラック現像剤により現像剤像としてのブラック現像剤像IBを形成可能である。
【0117】
制御部92は、印刷制御部3(図3)と対応しており、受信した印刷データに応じて、第1の画像形成部90及び第2の画像形成部91の動作を制御し、第1の画像形成部90により印刷データに基づいて媒体としての用紙P上にシルバー現像剤像ISを形成させるとき、シルバー現像剤像ISの形成領域外に第2の画像形成部91により黒色現像剤像としてのブラック現像剤像IBを形成させる。
【0118】
[8.効果等]
ここで、用紙P上のシルバー現像剤媒体上形成量が少ない場合、FI値は高くなるが視感反射率差分ΔYが低くなる。一方、用紙P上のシルバー現像剤媒体上形成量が多い場合、視感反射率差分ΔYは高くなるがFI値は低くなる。このように、視感反射率差分ΔYを向上させるためには用紙Pのシルバー現像剤媒体上形成量を増加させれば良いが、シルバー現像剤媒体上形成量の増加に伴い、FI値は減少してしまう。すなわち、FI値と視感反射率差分ΔYとはトレードオフの関係になっており、高い光輝性(FI値)と高い視感反射率差分ΔYとの両立が困難であった。
【0119】
これに対し画像形成装置1は、シルバー現像剤単色の印刷データを受信したとき、シルバー現像剤からなるシルバー現像剤像ISのみを用紙P上に形成するのではなく、図5に示したように、シルバー現像剤像ISを格子状に配置し、シルバー現像剤像IS以外の領域にブラック現像剤からなるブラック現像剤像IBを形成するようにした。
【0120】
このため画像形成装置1は、シルバー現像剤媒体上形成量を抑止してFI値の低下を抑えつつ、ブラック現像剤像IBにより視感反射率差分ΔYを補うことができる。これにより画像形成装置1は、シルバー現像剤媒体上形成量が少ない状態であっても、高い光輝性(FI値)と高い視感反射率差分ΔYとを両立させた銀色の印刷物を得ることができる。かくして画像形成装置1は、金属光沢感(FI値)と画像の色味(視感反射率差分ΔY)とを両立させることができる。
【0121】
ここで、画像形成装置1は、シルバー現像剤単色の印刷データを受信したとき、シルバー現像剤像ISのみを用紙P上に形成するのではなく、シルバー現像剤媒体上形成量とブラック現像剤の媒体上形成量とを制御した上で、シルバー現像剤像ISの下層(すなわちシルバー現像剤像ISと用紙Pとの間)にブラック現像剤像IBを形成する(図7)ことにより、シルバー現像剤媒体上形成量を抑止してFI値の低下を抑えつつ、ブラック現像剤像IBにより視感反射率差分ΔYを補うことも考えられる。
【0122】
その場合に、シルバー現像剤の印刷画像密度を100[%]としつつ、画像形成ユニット10Sの現像ローラ34に印加されるバイアス電圧を下げることによりシルバー現像剤媒体上形成量を減少させた場合、シルバー現像剤像ISの薄い層厚を高い精度で均一に形成するよう制御することが困難であり、シルバー現像剤像ISに色合いムラ、カスレ並びに縦スジ及び横帯の印字不良が発生してしまう可能性が高くなってしまう。
【0123】
これに対し画像形成装置1は、シルバー現像剤媒体上形成量は保ったまま、シルバー現像剤像ISを格子状とすることにより、紙面全体で見た際に、シルバー現像剤の印刷画像密度を50[%]にするようにした。このため画像形成装置1は、シルバー現像剤像ISの印字不良の発生を抑止できる。これにより画像形成装置1は、シルバー現像剤の印字不良を抑止しつつ、高いFI値と高い視感反射率差分ΔYとを両立させることができる。
【0124】
また画像形成装置1は、シルバー現像剤像ISとブラック現像剤像IBとの間に白色領域WHを形成するようにした。このため画像形成装置1は、縦スジ及び横帯を良好にできる。
【0125】
さらに画像形成装置1は、シルバー現像剤像領域ARISをブラック現像剤像領域ARIBよりも大きく(広く)形成するようにした。このため画像形成装置1は、例えばシルバー現像剤像領域ARISとブラック現像剤像領域ARIBとが同じ大きさの領域を占める場合と比較して、光沢感(FI値)を向上させることができる。
【0126】
以上の構成によれば画像形成装置1は、シルバー現像剤によりシルバー現像剤像ISを形成可能な第1の画像形成部90と、カラー現像剤によりブラック現像剤像IBを形成可能な少なくとも1つの画像形成ユニット10を含む第2の画像形成部91と、受信した印刷データに応じて、第1の画像形成部90及び第2の画像形成部91の動作を制御する印刷制御部3とを設け、印刷制御部3は、印刷データに基づいて第1の画像形成部90によりシルバー現像剤像ISを用紙P上に形成させるとき、シルバー現像剤像ISの形成領域外に第2の画像形成部91によりブラック現像剤像IBを形成させるようにした。
【0127】
これにより画像形成装置1は、用紙P上に形成されるシルバー現像剤の現像剤量を抑止してFI値の低下を抑えつつ、ブラック現像剤像IBにより視感反射率差分ΔYを補うことができる。
【0128】
[9.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態において画像形成装置1は、印刷パターンPT1(図5)におけるシルバー現像剤像正方形ISSを4×4ドットの正方形状とし互いに縦及び横に4ドットの間隔を空けて格子状に配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、シルバー現像剤像正方形ISSを他の種々のドット数の他の種々の形状とし、互いに他の種々のドット数の間隔を空けて配置しても良い。その場合、シルバー現像剤像正方形ISSを格子状に配置すると好ましい。
【0129】
また上述した実施の形態において画像形成装置1は、印刷パターンPT1(図5)におけるブラック現像剤像正方形IBSを2×2ドットの正方形状とする場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、ブラック現像剤像正方形IBSを他の種々のドット数の他の種々の形状としても良い。
【0130】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、印刷パターンPT1(図5)における白色領域WHを、ブラック現像剤像正方形IBSの周囲を1ドットずつ1周分囲うように形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、白色領域WHを、ブラック現像剤像正方形IBSの周囲を2ドット以上の種々のドットずつ1周分囲うように形成しても良い。
【0131】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、印刷パターンPT1(図5)における白色領域WHを、現像剤像を形成しない領域とする場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、白色領域WHを、白色(ホワイト)の現像剤像を形成する領域としても良い。
【0132】
さらに画像形成装置1は、A4用紙P全域にシルバーのベタ画像が指定された印刷データが上位装置20から送信されると、特色銀専用データ変換テーブル88を使用して、印刷パターンPT1(図5)と対応する箇所に同一符号を付した、図22に拡大図を示す印刷パターンPT601、図23に拡大図を示す印刷パターンPT701又は図24に拡大図を示す印刷パターンPT801、を用紙P上に作成しても良い。
【0133】
印刷パターンPT601は、シルバー現像剤像IS、ブラック現像剤像IB及び白色領域WHが階段状に配置されており、シルバー現像剤像領域ARISの領域外において、シルバー現像剤像領域ARISとの間に白色領域WHを挟んでブラック現像剤像領域ARIBが形成されている。
【0134】
印刷パターンPT701は、シルバー現像剤像ISが4ビット分の左右方向の幅で縦方向に連続的に延びておりそれぞれのシルバー現像剤像ISが横方向に4ビット分の間隔を空けて配置されている。また印刷パターンPT701は、シルバー現像剤像IS同士の間において、シルバー現像剤像ISとの間に白色領域WHを挟んでブラック現像剤像IBが2ビット分の横方向の幅で縦方向に離散的に配置されている。印刷パターンPT701は、シルバー現像剤像ISが一方向に沿って連続的に延びているため、縦スジ又は横帯が発生する可能性はあるものの、色合いムラ及び光沢感を良好にできる。
【0135】
印刷パターンPT801は、シルバー現像剤像ISが4ビット分の左右方向の幅で縦方向に連続的に延びておりそれぞれのシルバー現像剤像ISが横方向に4ビット分の間隔を空けて配置されている。また印刷パターンPT801は、シルバー現像剤像IS同士の間において、シルバー現像剤像ISとの間に白色領域WHを挟んでブラック現像剤像IBが2ビット分の横方向の幅で縦方向に連続的に延びている。印刷パターンPT701は、シルバー現像剤像IS及びブラック現像剤像IBが一方向に沿って連続的に延びているため、縦スジ又は横帯が発生する可能性はあるものの、色合いムラ及び光沢感を良好にできる。
【0136】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、ブラック現像剤単体によりブラック現像剤像IBを形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、非光輝性現像剤としてのイエロー現像剤、マゼンタ現像剤及びシアン現像剤を複数の色の現像剤として組み合わせることにより、プロセスブラックからなるブラック現像剤像(黒色現像剤像)を形成しても良い。その場合、第2の画像形成部91(図21)は、画像形成ユニット10C、10M及び10Y(図1)と対応する。また、非光輝性現像剤としてのイエロー現像剤、マゼンタ現像剤、シアン現像剤及びブラック現像剤を組み合わせることにより、プロセスブラックからなるブラック現像剤像を形成しても良い。その場合、第2の画像形成部91(図21)は、画像形成ユニット10C、10M、10Y及び10K(図1)と対応する。
【0137】
ブラック現像剤における例えば印刷画像密度が30[%]の場合と同等の画像を形成する場合、画像形成装置1は、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤及びシアン現像剤の各色で例えば印刷画像密度を20[%]ずつでプロセスブラックを作成することになる。このため、同じ黒色を表現する場合、ブラック現像剤単体よりも、プロセスブラックの方が、用紙P上の現像剤形成量が多くなる。これにより、表面の凹凸が大きい用紙Pの場合、凹凸を埋めるために、ブラック現像剤単体よりもプロセスブラックを用いることが好ましいと考えられる。それ以外には、例えば、画像形成ユニット10Kの現像剤収容器12に収容されたブラック現像剤の残量が少ない場合はプロセスブラックによりブラック現像剤像を形成する等、各色の現像剤残量に応じてブラック現像剤又はプロセスブラックを選択しても良い。
【0138】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、現像剤を生成する際に使用する光輝性顔料に含まれるアルミニウム(Al)を、平面状の部分を有する微小な薄片とする場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、光輝性顔料に含まれるアルミニウム(Al)を、例えば球状や棒状等、種々の形状の小片としても良い。
【0139】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、現像剤を生成する際に使用する光輝性顔料に含まれる金属をアルミニウム(Al)とする場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、例えば真鍮や酸化鉄等、種々の金属としても良い。この場合、用紙Pに定着された際に現像剤が示す色は、この金属に応じた色となる。
【0140】
また上述した実施の形態において画像形成装置1は、光輝性現像剤の例としてシルバー現像剤を用いてメタリックカラー表現性を評価する場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、光輝性現像剤の例としてゴールド現像剤(金現像剤)を用いても良い。その場合、以下の製造方法でゴールド現像剤を作成すれば良い。上述した実施の形態においては光輝性顔料としてアルミニウムを製造時に添加してシルバー現像剤を作成したが、このときに、イエロー顔料(ここでは有機顔料としてC.I.Pigment Yellow 180)と、マゼンタ顔料(ここでは有機顔料としてC.I.Pigment Red 122)と、赤橙色蛍光色素(FM-34N_Orange:シンロイヒ株式会社製)と、黄色蛍光色素(FM-35N_Yellow:シンロイヒ株式会社製)とも添加してゴールド現像剤を製造する。
【0141】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、画像パターンBT(図11)が転写された媒体(用紙P)上で現像剤の媒体上形成量を測定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、用紙Pへ転写される前の感光体ドラム36上や、中間転写ベルト44上等で現像剤の媒体上形成量を測定しても良い。
【0142】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、印刷パターンPT201(図7)を評価する際、シルバー現像剤媒体上形成量が0.19[mg/cm]、ブラック現像剤の量(媒体上形成量)が0.025[mg/cm]になるように調整する場合に付いて述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、シルバー現像剤媒体上形成量が0.13~0.24[mg/cm]の範囲内であるとき、(ブラック現像剤の媒体上形成量/シルバー現像剤の媒体上形成量)の比率が0.068[mg/cm]以上0.23[mg/cm]以下の範囲内になるように調整すれば良く、具体的には、ブラック現像剤の量(媒体上形成量)が0.01632~0.0299[mg/cm]の範囲内になるように調整すれば、同等の効果を得ることができる。
【0143】
さらに上述した実施の形態においては、一成分現像方式に用いる現像剤に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、キャリアとトナーとを混合することにより、そのキャリアとトナーとの摩擦を利用してトナーに適切な帯電量を付与する方式である二成分現像方式の現像剤に本発明を適用しても良い。
【0144】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成ユニット10の感光体ドラム36から各色の現像剤像を順次重ねるように中間転写ベルト44に転写し、この中間転写ベルト44から用紙Pに現像剤像を転写する、いわゆる中間転写方式(又は2次転写方式)の画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成ユニット10の感光体ドラム36から各色の現像剤像を順次重ねるように媒体としての用紙Pに転写する、いわゆる直接転写方式の画像形成装置に本発明を適用しても良い。
【0145】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成装置1(図1)に5個の画像形成ユニット10を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1に4個以下又は6個以上の画像形成ユニット10を設けても良い。
【0146】
さらに上述した実施の形態においては、本発明を単機能のプリンタである画像形成装置1に適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば複写機やファクシミリ装置の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)等、他の種々の機能を有する画像形成装置に適用しても良い。
【0147】
さらに上述した実施の形態においては、本発明を画像形成装置1に適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば複写機等、電子写真方式により現像剤を用いて用紙P等の媒体に画像を形成する種々の電子機器に適用しても良い。
【0148】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0149】
さらに上述した実施の形態においては、第1の画像形成部としての第1の画像形成部90と、第2の画像形成部としての第2の画像形成部91と、制御部としての制御部92とによって、画像形成装置としての画像形成装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる第1の画像形成部と、第2の画像形成部と、制御部とによって、画像形成装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、電子写真方式により金属顔料を含む現像剤を用いて媒体に画像を形成する場合に利用できる。
【0151】
以下、本開示の諸態様を、付記としてまとめて記載する。
(付記1)
光輝性現像剤により光輝性現像剤像を形成可能な第1の画像形成部と、
非光輝性現像剤により現像剤像を形成可能な少なくとも1つの画像形成部を含む第2の画像形成部と、
受信した印刷データに応じて、前記第1の画像形成部及び前記第2の画像形成部の動作を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記印刷データに基づいて前記第1の画像形成部により前記光輝性現像剤像を媒体上に形成させるとき、前記光輝性現像剤像の形成領域外に前記第2の画像形成部により黒色現像剤像を形成させる
ことを特徴とする画像形成装置。
(付記2)
前記制御部は、
前記光輝性現像剤像の領域を、前記黒色現像剤像の領域よりも大きく形成させる
ことを特徴とする付記1に記載の画像形成装置。
(付記3)
前記制御部は、
前記印刷データに基づいて前記第1の画像形成部により前記光輝性現像剤像を前記媒体上に形成させるとき、前記光輝性現像剤像の領域と前記黒色現像剤像の領域との間に、白色の領域を配置させる
ことを特徴とする付記1又は付記2に記載の画像形成装置。
(付記4)
前記制御部は、
前記印刷データに基づいて前記第1の画像形成部により前記光輝性現像剤像を前記媒体上に形成させるとき、前記光輝性現像剤像の領域と前記黒色現像剤像の領域との間に、前記白色の領域である、現像剤像が形成されない領域を形成させる
ことを特徴とする付記3に記載の画像形成装置。
(付記5)
前記制御部は、
前記印刷データに基づいて前記第1の画像形成部により前記光輝性現像剤像を前記媒体上に形成させるとき、前記光輝性現像剤像の領域と前記黒色現像剤像の領域との間に、前記白色の領域である、白色の現像剤による現像剤像の領域を形成させる
ことを特徴とする付記3に記載の画像形成装置。
(付記6)
前記光輝性現像剤像は、格子状である
ことを特徴とする付記1乃至付記5の何れか記載の画像形成装置。
(付記7)
前記光輝性現像剤像及び前記黒色現像剤像は、複数の画素単位でそれぞれ構成されており、
前記制御部は、
前記印刷データに基づいて前記第1の画像形成部により前記光輝性現像剤像を媒体上に形成させるとき、前記光輝性現像剤像の複数の画素単位の形成領域外に、前記黒色現像剤像の複数の画素単位を形成させる
ことを特徴とする付記1乃至付記6の何れかに記載の画像形成装置。
(付記8)
前記黒色現像剤像は、黒色現像剤で形成される
ことを特徴とする付記1乃至付記7の何れかに記載の画像形成装置。
(付記9)
前記第2の画像形成部は、前記非光輝性現像剤である前記黒色現像剤を用いて前記黒色現像剤像を形成する前記画像形成部を含む
ことを特徴とする付記1乃至付記8の何れかに記載の画像形成装置。
(付記10)
前記黒色現像剤像は、複数の色の現像剤で形成される
ことを特徴とする付記1乃至付記7の何れかに記載の画像形成装置。
(付記11)
前記第2の画像形成部は、前記非光輝性現像剤である、複数の色の現像剤を用いて前記黒色現像剤像を形成する前記画像形成部を含む
ことを特徴とする付記10に記載の画像形成装置。
(付記12)
前記第2の画像形成部は、前記非光輝性現像剤である、黒色現像剤以外の複数の色の現像剤を用いて前記黒色現像剤像を形成する前記画像形成部を含む
ことを特徴とする付記11に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0152】
1……画像形成装置、2……筐体、2T……排紙トレイ、3……印刷制御部、10……画像形成ユニット、11……画像形成本体部、12……現像剤収容器、13……現像剤供給部、14……LEDヘッド、17……インターフェイス部、18……表示制御部、19……メモリ、20……上位装置、21……表示部、22……センサ、23……CPU、30……画像形成筐体、31……現像剤収容空間、32……第1供給ローラ、33……第2供給ローラ、34……現像ローラ、35……現像ブレード、36……感光体ドラム、37……帯電ローラ、38……クリーニングブレード、40……中間転写部、41……駆動ローラ、42……従動ローラ、43……バックアップローラ、44……中間転写ベルト、45……1次転写ローラ、46……2次転写ローラ、47……逆屈曲ローラ、48……逆屈曲バックアップローラ、49……2次転写部、50……第1給紙部、51……用紙カセット、52……ピックアップローラ、53……フィードローラ、54……リタードローラ、55……搬送ガイド、56、57、58……搬送ローラ対、60……第2給紙部、61……用紙トレイ、62……ピックアップローラ、63……フィードローラ、64……リタードローラ、65……定着部、66……加熱部、67……加圧部、68……搬送ローラ対、69……切替部、70……排紙部、71……搬送ガイド、72、73、74、75……搬送ローラ対、76……排出口、77……再搬送部、80……プロセス制御部、81……現像電圧制御部、82……供給電圧制御部、83……露光制御部、84……転写電圧制御部、85……モータ制御部、86……データ有無判断部、87……データ変換テーブル、88……特色銀専用データ変換テーブル、90……第1の画像形成部、91……第2の画像形成部、92……制御部、94……縦スジ、96……横帯、PT1、PT101、PT201、PT301、PT401、PT501、PT601、PT701……印刷パターン、IS……シルバー現像剤像、ARIS……シルバー現像剤像領域、ISS……シルバー現像剤像正方形、IB……ブラック現像剤像、ARIB……ブラック現像剤像領域、IBS……ブラック現像剤像正方形、WH……白色領域、P……用紙。

図1
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