(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172139
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】拭布ハンガー
(51)【国際特許分類】
A47K 10/04 20060101AFI20231129BHJP
A47K 10/12 20060101ALI20231129BHJP
A47G 29/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A47K10/04 J
A47K10/04 K
A47K10/12
A47G29/00 C
A47G29/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083744
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000101363
【氏名又は名称】アズマ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】山本 恭路
(72)【発明者】
【氏名】藤井 大五郎
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100AA02
3K100AA12
3K100AA15
3K100AE01
3K100AE20
3K100AF03
3K100AG03
3K100AG10
3K100AH09
3K100AH30
3K100AJ04
3K100AJ05
(57)【要約】
【課題】タオルやバスマット等の吸水性の拭布をその大きさに関わりなく容易に掛け外しすることができ、しかも、掛け外しに伴う拭布の傷みを可及的に抑制することが可能な拭布ハンガーを提供する。
【解決手段】後側の固定面2と前側の表面3とを有する基台プレート4、該基台プレート4の表面3から前方に向けて立設されたフック部5から成るフック本体6と、固定面2を壁面に取り付けるための固定部材7と、基端部8aが基台プレート4の上端側に固定され、下方に向けて前方に傾斜する押え片8とを有し、前記フック部5は、底壁14と、フック壁15とによって形成され、基台プレート4の表面3とフック壁15の内面15aとの間に拭布40を保持するための保持空間Sが形成され、押え片8の先端部8bが、該保持空間S内に配され、拭布40における保持空間Sに差し込まれた部分を、フック壁15と押え片8の先端部8bとの間で挟持する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拭布の一部を保持させることにより該拭布を壁面に掛けるための拭布ハンガーであって、
前記拭布ハンガーは、
壁面に取り付けられる後側の固定面と該固定面と背向する前側の表面とを有する基台プレート、及び、該基台プレートの表面から前方に向けて立設されたフック部が、硬質の合成樹脂により一体に形成されて成るフック本体と、
前記固定面に設けられ、該固定面を壁面に取り付けるための固定部材と、
曲げに対して弾性的な可撓性を有する軟質の合成樹脂により形成されていて、基端部が前記基台プレートにおける前記フック部よりも上端側に固定されると共に、下方に向けて前方に傾斜して延びる押え片と、を有しており、
前記フック部は、前記基台プレートの表面から前方に向けて延びる底壁と、該底壁に接続され、上方に向けて該フック部の先端まで延びるフック壁とによって形成されており、
前記基台プレートの表面とフック壁の内面との間には、拭布の一部を受け入れて保持するための保持空間が形成されていて、前記押え片の先端部が、該保持空間内に配されており、
拭布における前記保持空間に差し込まれた部分が、前記フック壁の内面と弾性的に撓んだ前記押え片の先端部との間で挟持されるようになっている、
ことを特徴とする拭布ハンガー。
【請求項2】
前記フック壁の内面が、上方に向けて前記基台プレートの表面側に傾斜して延びている、
ことを特徴とする請求項1に記載の拭布ハンガー。
【請求項3】
前記フック壁の内面には、前記拭布における前記保持空間に差し込まれた部分を当接させるための係止突起が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の拭布ハンガー。
【請求項4】
前記係止突起が、前記フック壁の内面上において幅方向に延設された複数本の突条によって形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の拭布ハンガー。
【請求項5】
前記押え片の先端部が、前記係止突起と対向する位置にまで延びている、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の拭布ハンガー。
【請求項6】
前記押え片の先端部が、その内面側に向けて屈曲され、前記フック壁の先端が外側に凸を成した曲面によって形成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の拭布ハンガー。
【請求項7】
前記基台プレートにおける前記フック部よりも上端側の表面には、前記押え片の基端部を取り付けるための凸部が設けられており、
前記凸部には、下方に向けて前方に傾斜して開口され、前記押え片の基端部が収容された取付溝が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の拭布ハンガー。
【請求項8】
前記基台プレートにおける前記フック部よりも上方かつ前記取付溝の開口よりも下方の表面には、該取付溝の開口を通じて前記凸部から導出された押え片をその内面側から支持する支持突起が設けられており、
前記支持突起は、前記押え片の内面に当接する支持面を有している、
ことを特徴とする請求項7に記載の拭布ハンガー。
【請求項9】
前記支持面は、前記取付溝が開口する方向と同方向に傾斜して延設されている、
ことを特徴とする請求項8に記載の拭布ハンガー。
【請求項10】
前記押え片の幅方向長さは、前記支持突起の幅方向長さよりも長い、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の拭布ハンガー。
【請求項11】
前記押え片の内面には、前記支持突起を幅方向両側から挟持する挟持片が設けられている、
ことを特徴とする請求項10に記載の拭布ハンガー。
【請求項12】
前記固定部材が磁石である、
ことを特徴とする請求項1に記載の拭布ハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タオルやバスマット等の吸水性の拭布を壁面に掛けるための拭布ハンガーに関するものであり、より具体的には、前記拭布の一部を保持することにより、該拭布を壁面に掛けるための拭布ハンガーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりタオルやバスマット等の吸水性の拭布を壁面に掛けるための拭布ハンガーとしては、水平方向に延びるバーを備えたタイプのものが一般的に知られている。ただし、このようなバータイプのハンガーは、掛けるタオルの大きさ(特に幅寸法)に応じてバーの長さが設計されている。そのため、バーの長さよりも幅寸法が大きい拭布をバーに掛けようとすると、拭布を幅方向に折り畳んだり弛ませたりして、拭布の幅をバーの長さに合わせる必要性があり、その一方で、バーの長さをバスタオルやバスマット等の大判の拭布の幅寸法に合わせると、スペース効率の低下を招くなど、必ずしも使い勝手が良いものではなかった。
【0003】
このようなバータイプの拭布ハンガーの問題点を解決するものとして、例えば特許文献1に記載されたような、拭布の一部を係止して保持することにより、該拭布を壁面に掛けるタイプのものが知られている。このハンガーは、複数枚の可撓性を有する三角形状(扇形状)の羽根(9,10)を、筒状の筐体の内周面から、その尖った頂部が中心に向くように、周方向に一定間隔毎に突設することにより形成されている。そして、このハンガーを使用するにあたっては、壁面に取り付けた前記筐体の開口から、前記羽根の弾性に抗して拭布の一部を、該筐体の内部に押し込む。すると、前記筐体内に押し込んだ拭布の一部が、前記複数の羽根間に挟まれて係止される。その結果、該拭布の一部がハンガーに保持されることにより、該拭布が壁面に掛けられた状態となる。
【0004】
しかしながら、このような特許文献1に記載された従来の拭布ハンガーにおいては、拭布をハンガーに対して掛け外しする際に、拭布が前記羽根の尖った頂部に引っ掛かり易く、拭布の生地に擦れや解れ等の傷みが生じ易いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の技術的課題は、タオルやバスマット等の吸水性の拭布をその大きさに関わりなく容易に掛け外しすることができ、しかも、掛け外しに伴う拭布の傷みを可及的に抑制することが可能な拭布ハンガーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、拭布の一部を保持させることにより該拭布を壁面に掛けるための拭布ハンガーであって、前記拭布ハンガーは、壁面に取り付けられる後側の固定面と該固定面と背向する前側の表面とを有する基台プレート、及び、該基台プレートの表面から前方に向けて立設されたフック部が、硬質の合成樹脂により一体に形成されて成るフック本体と、前記固定面に設けられ、該固定面を壁面に取り付けるための固定部材と、曲げに対して弾性的な可撓性を有する軟質の合成樹脂により形成されていて、基端部が前記基台プレートにおける前記フック部よりも上端側に固定されると共に、下方に向けて前方に傾斜して延びる押え片と、を有しており、前記フック部は、前記基台プレートの表面から前方に向けて延びる底壁と、該底壁に接続され、上方に向けて該フック部の先端まで延びるフック壁とによって形成されており、前記基台プレートの表面とフック壁の内面との間には、拭布の一部を受け入れて保持するための保持空間が形成されていて、前記押え片の先端部が、該保持空間内に配されており、拭布における前記保持空間に差し込まれた部分が、前記フック壁の内面と弾性的に撓んだ前記押え片の先端部との間で挟持されるようになっていることを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記フック壁の内面が、上方に向けて前記基台プレートの表面側に傾斜して延びていることが好ましい。
【0009】
前記フック壁の内面には、前記拭布における前記保持空間に差し込まれた部分を当接させるための係止突起が設けられていてもよい。この場合、前記係止突起が、前記フック壁の内面上において幅方向に延設された複数本の突条によって形成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記押え片の先端部が、前記係止突起と対向する位置にまで延びていることが好ましく、前記押え片の先端部が、その内面側に向けて屈曲され、前記フック壁の先端が外側に凸を成した曲面によって形成されていると、より好ましい。
【0011】
本発明において、前記基台プレートにおける前記フック部よりも上端側の表面には、前記押え片の基端部を取り付けるための凸部が設けられており、前記凸部には、下方に向けて前方に傾斜して開口され、前記押え片の基端部が収容された取付溝が形成されていることでもよい。この場合、前記基台プレートにおける前記フック部よりも上方かつ前記取付溝の開口よりも下方の表面には、該取付溝の開口を通じて前記凸部から導出された押え片をその内面側から支持する支持突起が設けられており、前記支持突起は、前記押え片の内面に当接する支持面を有していると好ましく、前記支持突起の支持面は、前記取付溝が開口する方向と同方向に傾斜して延設されていると、より好ましい。
【0012】
前記押え片の幅方向長さは、前記支持突起の幅方向長さよりも長くてもよく、この場合、前記押え片の内面には、前記支持突起を幅方向両側から挟持する挟持片が設けられていると好ましい。
本発明において、前記固定部材が磁石であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る拭布ハンガーによれば、タオルやバスマット等の吸水性の拭布をその大きさに関わりなく容易に掛け外しすることができ、しかも、掛け外しに伴う拭布の傷みを可及的に抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る拭布ハンガーを前面側から見た斜視図である。
【
図2】前記拭布ハンガーを背面側(後側)から見た斜視図である。
【
図5】
図4の押え片の基端部周辺を示す部分拡大図である。
【
図6】
図4の押え片の先端部周辺を示す部分拡大図である。
【
図11】フック本体を前面側から見た斜視図である。
【
図13】前記押え片を背面側から見た斜視図である。
【
図14】前記拭布ハンガーに拭布を取り付けた状態を示す右側面図である。
【
図16】前記拭布ハンガーを2つ用いてこれら拭布ハンガー間に拭布を広げて取り付けた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の一実施形態に係る拭布ハンガーについて
図1-
図16を用いて説明する。前記拭布ハンガー1は、タオル、バスマット、雑巾等の吸水性の拭布40の一部を保持して、該拭布40を壁面に掛けるためのものである。
【0016】
前記拭布ハンガー1は、壁面に取り付けられる後側の固定面2と、該固定面2と背向する前側の表面3とを有する基台プレート4、及び、該基台プレート4の表面3から前方に向けて立設されたフック部5が一体に形成されて成るフック本体6と、前記固定面2に設けられ、該固定面2を壁面に取り付けるための固定部材7と、基端部8aが基台プレート4におけるフック部5よりも上端側に固定されると共に、先端部8bが下方に向けて前方に傾斜する板状の押え片8とを有している。
【0017】
先ず、前記フック本体6について説明する。
前記フック本体6は、硬質の合成樹脂により形成され、本実施形態のフック本体6の材質には、例えばポリプロピレン等の合成樹脂が採用される。前記フック本体6を構成する基台プレート4は、上下方向に長く、また、上端から下端にかけて同一幅を有する矩形板状を成している。
図2及び
図8に示すように、この基台プレート4は、背面側の固定面2に上下方向に長い矩形溝2aを有し、該矩形溝2aには、前記固定部材7と、固定面2が壁面に固定されたときずれ動くのを防止する滑り止め部材9とが収容されている。
【0018】
前記固定部材7は、上下方向に長い矩形板状をした磁石であり、磁性を有する壁面に吸着されるように成っている。前記壁面は、建物の壁だけではなく、例えば、洗濯機や冷蔵庫等の筐体の外面であってもよい。
前記滑り止め部材9は、例えば、シリコンを材質としたもので、幅方向に長い矩形板状に形成されている。前記滑り止め部材9は、前記矩形溝2a内の上縁部と下縁部とにそれぞれ配置され、これら滑り止め部材9,9の間に前記固定部材7が配置されている。なお、
図2及び
図5に示すように、これら固定部材7及び滑り止め部材9の後側に露出する板面7a,9aは、前記矩形溝2aを形成する矩形枠状の外周縁2bよりも後側に僅かに突き出し、且つ、互いに同一面上にある。
【0019】
前記基台プレート4の前記表面3には、その上端部において前記押え片8の基端部8aを取り付けるための凸部10と、前記固定面2と平行に延びる平坦面11と、前記平坦面11から前方に突出する支持突起12とが設けられている。
【0020】
図4及び
図5に示すように、前記凸部10は、前記固定面2の上端側に連なり、該固定面2に直交して前方に延びる上端面10aと、上端面10aの前端側に連なり、下方に向けて前方に傾斜する前端面10bと、前端面10bの下端側に連なり、後方に向けて孤状を成して折り返された折り返し面10cとを有し、該折り返し面10cは、その後端側が前記平坦面11に滑らかに連なっている。
【0021】
さらに、前記凸部10には、前記押え片8の基端部8aを取り付けるための取付溝13が設けられている。前記取付溝13は、前記凸部10の幅方向一端面(正面から見て右側端面)に開設されているもので、下方に向けて前方に傾斜し、前記折り返し面10cに開口する第1溝部13aと、該第1溝部13aの上端側に連なると共に、該第1溝部13aに直交し、上方に向けて前方に傾斜する第2溝部13bとで構成され、その横断面はL字形を成している。
【0022】
前記平坦面11は、前記凸部10よりも下方に形成されていて、該平坦面11の下端部に前記フック部5が接続されている。
前記支持突起12は、前記フック部5よりも上方且つ前記取付溝13の開口(即ち、第1溝部13aの折り返し面10cでの開口)よりも下方に設けられている。前記支持突起12は、前記取付溝13の開口を通じて前記凸部10から導出された押え片8をその内面8d側から支持するためのものである。
【0023】
具体的に、前記支持突起12は、前記基台プレート4の幅方向中央に設けられているものであり、前記平坦面11に連なり、上方に向かって前方に傾斜する第1傾斜面12aと、第1傾斜面12aの上端側に連なり、該第1傾斜面12aよりも大きい傾きで、上方に向かって前方に傾斜する第2傾斜面12bと、第2傾斜面12bの上端側に連なり、上方に向かって後方に傾斜する第3傾斜面12cとを有し、該第3傾斜面12cの上端側が前記凸部10の折り返し面10cに接続されている。前記第3傾斜面12cは、前記押え片8の内面8dに当接する支持面を成すものであり、以降の説明では、該第3傾斜面12cを「支持面12c」と称することとする。
【0024】
前記支持面12cは、前記取付溝13が開口する方向と同方向に傾斜して延設されている。即ち、この支持面12cは、前記折り返し面10cに開口する第1溝部13aの傾斜角と同じ角度で傾斜していて、且つ、該第1溝部13aと連続して同一平面上に延びている。
【0025】
次に、前記フック部5について説明する。
図3及び
図4に示すように、前記フック部5は、前記基台プレート4の表面3における平坦面11から前方に向かって延びる底壁14と、該底壁14に接続され、上方に向けて該フック部5の先端15bまで延びるフック壁15とで形成されている。
【0026】
前記底壁14は、その内面14aが、前方に向けて真直ぐ延びる平坦な面に形成され、該内面14aと前記平坦面11とが交わる角隅は孤状を成して滑らかに連なっている。
一方、前記フック壁15の内面15aは、底壁14に接続される基端部側が、外側に凸の弧状を成して湾曲していると共に、先端部側が上方に向けて基台プレート4の表面3側に傾斜して延びている。そして、前記基台プレート4の表面3(具体的には平坦面11)と、前記フック壁15の内面15aとの間には、前記拭布40の一部を受け入れて保持するための保持空間Sが形成されている。前記フック壁15の内面15a、前記底壁14の内面14a、前記平坦面11は段差が設けられることなく滑らかに連続している。なお、前記フック壁15の先端15bは、外側に凸を成す曲面で形成されていて、保持空間S内に差し込まれた拭布40を抜き取る際、該先端15bが拭布40の生地に引っ掛からないように成っている。
【0027】
また、前記フック壁15の内面15aには、拭布40を保持した時に該拭布40に対する保持力を高めるための係止突起16が設けられている。この係止突起16は、前記フック壁15の幅方向に延びる突条であって、上下に一定間隔をおいて3本設けられている。前記係止突起16は、例えば、ゴム等の滑りにくい素材で形成されていてもよく、その摩擦力を利用することで拭布40に対する前記保持力が高められる。また、係止突起16は、拭布40の生地が引っ掛かって傷みが生じないように、半円形の横断面を成している。
【0028】
次に、前記押え片8について説明する。
前記押え片8は、曲げに対して弾性的な可撓性を有する前記フック本体6よりも軟質の合成樹脂により形成され、その材質として、例えば、EVAゴム等の合成樹脂が用いられる。
図12及び
図13に示すように、前記押え片8は、一方向に長い平面視矩形の板状に延びるプレート部17を有し、プレート部17の長手方向一端側に前記基端部8aが設けられ、プレート部17の長手方向他端側に前記先端部8bが設けられていて、この先端部8bが前記保持空間S内に配されている。また、前記プレート部17は、幅方向長さが前記基台プレート4の幅方向長さよりも短いが、前記支持突起12の幅方向長さよりも長く成っている。
【0029】
図5に示すように、前記基端部8aは、前記プレート部17に直交して外面8c側(前方)に向けて突出する係合突部18を有している。そして、この係合突部18が、前記取付溝13の第2溝部13bに係合されると共に、前記プレート部の基端部8a側の一部が、前記取付溝13の第1溝部13aに係合されることで、該基端部8aが前記凸部10に固定される。また、前記基端部8aが取付溝13に取り付けられた状態においては、前記プレート部17が前記支持突起12の支持面12cに当接され、その内面8d側から支持されている。前記プレート部17が、支持突起12に支持されていることで、該押え片8を外側から押圧すると、該支持突起12を支点(より具体的には、支持面12cの下端)として内側に倒伏し、その押圧を解除すると外側に向けて弾性復帰するように構成されている。なお、
図3及び
図4に示すように、前記押え片8は、拭布ハンガー1の不使用状態で、前記プレート部17が支持突起12を支点に若干内側に折れ曲がっており、内部空間S内に延びる押え片8の先端部8bがその弾性復帰力により常時外側に付勢され、前記フック壁15の内面15aに弾性的に当接されている。
【0030】
前記先端部8bは、前記フック壁15に設けられた3つの係止突起16と対向する位置まで延びている。この先端部8bは、押え片8の内面8d側(後方)に向けて弧状に屈曲した屈曲部20を有している。前記屈曲部20が設けられていることで、保持空間S内に差し込まれた拭布40を抜き取るときに、押え片8の先端(自由端)が生地に引っ掛からないように構成されている。
【0031】
図12及び
図13に示すように、前記押え片8の内面8dには、前記支持突起12を幅方向両側から挟持するための一対の挟持片19,19が突設されている。前記挟持片19,19は、前記プレート部17の長手方向に延びる細長い突条を成し、これら挟持片19,19は、前記支持突起12の幅方向長さと同じ長さだけ離れており、支持突起12の幅方向両側端面にぴったりと当接している。これら挟持片19,19が設けられていることで、押え片8の幅方向の動きが拘束されている。
【0032】
前記拭布ハンガー1によって拭布40を壁面に掛ける場合には、先ず、前記凸部10を上側、フック部5を下側に配した縦向き姿勢とし、前記基台プレート4の固定面2と磁性を有する壁面とを対向させ、拭布ハンガー1を壁面の適宜の位置に固定する。そして、前記拭布40を把持しながら前記押え片8を押圧し、該押え片8の先端部8bを内側に倒伏させてフック壁15から離間させ、保持空間S内に該拭布40の一部を差し込む。その後、前記保持空間S内から指を離脱させることで、押え片8が前記フック壁15に向けて弾性復帰し、
図14及び
図15に示すように、前記拭布40が、該フック壁15の内面15aと、弾性的に撓んだ押え片8の外面8cとの間において面接触で挟持される。このように、前記拭布ハンガー1は、押え片8の弾性復帰力を利用することで、様々なサイズの拭布40であっても部分的に保持した状態で簡単に取り付けられる。
【0033】
また、前記押え片8が、保持空間S内において内側に倒伏するように構成されていることで、拭布40の挟持に供される押え片8の外面8cと、フック壁15の内面15aとの間の離間距離を押え片8の押し込み具合で調整できるため、前記拭布40が厚手のものであっても薄手のものであっても、拭布40の一部を保持空間S内に差し込むことができる。なお、拭布ハンガー1から拭布40を取り外す場合には、該拭布40を上方に引っ張り保持空間S内から離脱させることで簡単に取り外せる。このとき、前記拭布40は、フック壁15の内面15aと押え片8の外面8cとの間において面接触で保持されている為、拭布40を引っ張ったとき、フック壁15の内面15a、及び、押え片8の外面8cが拭布40の生地に引っ掛かることが抑制されている。
【0034】
このように、前記拭布ハンガー1によれば、拭布40をその大きさに関わりなく容易に掛け外しすることができ、しかも、掛け外しに伴う拭布40の傷みも可及的に抑制される。
【0035】
なお、前述した使用例は、1つの拭布ハンガー1を用いて拭布40を一点で保持したものであるが、
図16に示すように、複数の拭布ハンガー1を用いて該拭布40を複数点で保持して壁面に掛けることもできる。
図16においては、2つの拭布ハンガー1,1を左右に並べて壁面に固定し、該拭布40の左右方向両端部の上縁部を、前述のように拭布ハンガー1,1のそれぞれの内部空間S内に差し込んで、前記フック壁15と押え片8との間において挟持している。このように、複数の拭布ハンガー1を使用し、拭布40を複数点で保持することで、拭布40を広げた状態で壁面に掛けることも可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 拭布ハンガー
2 固定面
3 表面
4 基台プレート
5 フック部
6 フック本体
7 固定部材
8 押え片
8a 基端部
8b 先端部
8d 内面
10 凸部
12 支持突起
12c 支持面(第3傾斜面)
13 取付溝
14 底壁
15 フック壁
15a 内面
15b 先端
16 係止突起
17 プレート部
S 保持空間