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特開2023-172165放射線治療システムおよび放射線治療システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172165
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】放射線治療システムおよび放射線治療システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
A61N5/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083785
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】添川 泰大
(72)【発明者】
【氏名】岡屋 慶子
(72)【発明者】
【氏名】長本 義史
(72)【発明者】
【氏名】丸山 富美
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AA01
4C082AC05
4C082AJ08
4C082AJ16
4C082AL06
4C082AN02
4C082AP12
4C082AR05
(57)【要約】
【課題】3次元画像を取得するときの治療台の移動を簡便に行うことができる放射線治療技術を提供する。
【解決手段】放射線治療システム1は、治療用の放射線を照射位置Rに存在する照射対象Pに照射する放射線照射装置4と、照射位置Rとは異なる位置Cで照射対象Pの3次元画像の取得を行う3次元画像取得装置9と、照射対象Pを載せる治療台14と、治療台14の位置を制御する治療台制御部21と、3次元画像を取得するための治療台14の位置を撮影位置として記憶する記憶部23とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用の放射線を照射位置に存在する照射対象に照射する放射線照射装置と、
前記照射位置とは異なる位置で前記照射対象の3次元画像の取得を行う3次元画像取得装置と、
前記照射対象を載せる治療台と、
前記治療台の位置を制御する治療台制御部と、
前記3次元画像を取得するための前記治療台の位置を撮影位置として記憶する記憶部と、
を備える、
放射線治療システム。
【請求項2】
前記治療台制御部は、前記記憶部に記憶されている前記撮影位置に基づいて前記治療台を移動させる、
請求項1に記載の放射線治療システム。
【請求項3】
前記3次元画像取得装置または前記治療台の少なくとも一方を移動させたときの互いの干渉の有無を事前に演算する演算部をさらに備え、
前記記憶部は、前記演算部で前記干渉が生じないとされる演算結果が得られた場合に、この干渉が生じない前記撮影位置を記憶する、
請求項1または請求項2に記載の放射線治療システム。
【請求項4】
前記記憶部は、前記3次元画像取得装置で前記3次元画像を取得したときの前記治療台の位置を前記撮影位置として記憶する、
請求項1または請求項2に記載の放射線治療システム。
【請求項5】
前記放射線照射装置が前記放射線を照射するときに、前記治療台の位置を前記照射位置に合わせるための前記治療台の移動量および回転量を演算する演算部をさらに備え、
前記記憶部は、記憶している前記撮影位置に、前記演算部で得られた演算結果を反映する、
請求項1または請求項2に記載の放射線治療システム。
【請求項6】
治療計画時に前記照射対象の前記3次元画像の取得を行う治療計画用画像取得装置と、
前記治療計画時に前記照射対象を載せる治療計画用治療台と、
をさらに備え、
前記記憶部は、前記治療計画時に前記治療計画用画像取得装置で前記3次元画像を取得したときの前記治療計画用治療台の位置を前記撮影位置として記憶する、
請求項1または請求項2に記載の放射線治療システム。
【請求項7】
前記3次元画像取得装置が移動可能であり、
前記記憶部は、前記3次元画像を取得したときの前記3次元画像取得装置の位置を設置位置として記憶する、
請求項1または請求項2に記載の放射線治療システム。
【請求項8】
前記3次元画像取得装置は、前記3次元画像を取得するときに、前記記憶部に記憶されている前記設置位置に基づいて移動を行う、
請求項7に記載の放射線治療システム。
【請求項9】
前記治療台の前記撮影位置または前記3次元画像取得装置の前記設置位置の一方が前記記憶部に記憶されている場合に、この記憶に基づいて他方の位置を演算する演算部をさらに備え、
前記記憶部は、前記演算部で得られた前記他方の位置を記憶する、
請求項7に記載の放射線治療システム。
【請求項10】
治療用の放射線を照射位置に存在する照射対象に照射する放射線照射装置と、
前記照射位置とは異なる位置で前記照射対象の3次元画像の取得を行う3次元画像取得装置と、
前記照射対象を載せる治療台と
前記治療台の位置を制御する治療台制御部と、
記憶部と、
を用いて行う方法であり、
前記記憶部は、前記3次元画像を取得するための前記治療台の位置を撮影位置として記憶する、
放射線治療システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線治療技術に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療における位置決めでは、治療計画用のCT画像と、放射線の照射位置においてコーンビームCT装置で撮影したCT画像とを比較する。そして、放射線を患部へ正確に照射するための患者の移動量および回転量、即ち患者が固定されている治療台の移動量および回転量を算出している。治療室内に独立して設置されているCT装置を有する粒子線治療装置では、通常、患者を照射位置の近傍に設置してCT画像の撮影を行う。このときにCT装置と照射ポートとが干渉する虞がある。この干渉を避けるために、照射ポートを移動可能とする技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-119380号公報
【特許文献2】特開2016-129639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照射位置と異なる位置でCT画像の撮影を行う場合には、CT画像の撮影の度に治療台を移動する必要があり、それにより生じる治療台の位置の調整に時間を要するという課題がある。例えば、治療計画時に照射位置と異なる位置でCT画像の撮影を行い、治療当日または後日の治療時に、再びCT画像の撮影を行おうとすると、治療台の位置の調整を始めからやり直さなければならず、手間が掛かる。
【0005】
本発明の実施形態は、このような事情を考慮してなされたもので、3次元画像を取得するときの治療台の移動を簡便に行うことができる放射線治療技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る放射線治療システムは、治療用の放射線を照射位置に存在する照射対象に照射する放射線照射装置と、前記照射位置とは異なる位置で前記照射対象の3次元画像の取得を行う3次元画像取得装置と、前記照射対象を載せる治療台と、前記治療台の位置を制御する治療台制御部と、前記3次元画像を取得するための前記治療台の位置を撮影位置として記憶する記憶部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態により、3次元画像を取得するときの治療台の移動を簡便に行うことができる放射線治療技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の放射線治療システムを示す全体構成図。
図2】第1実施形態の放射線治療の手順を示すフローチャート。
図3】第1実施形態の位置角度データの流れを示すやり取り図。
図4】第2実施形態の放射線治療の手順を示すフローチャート。
図5】第3実施形態の放射線治療の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、放射線治療システムおよびその制御方法の実施形態について詳細に説明する。まず、第1実施形態について図1から図3を用いて説明する。
【0010】
図1の符号1は、第1実施形態の放射線治療システムである。この放射線治療システム1は、炭素イオンなどの粒子線ビームを患者Pの病巣組織(がん)に照射して治療を行う所謂粒子線がん治療装置である。
【0011】
放射線治療システム1を用いた放射線治療は、重粒子線がん治療などとも称される。この治療方法は、がん病巣(患部)を炭素イオンがピンポイントで狙い撃ちし、がん病巣にダメージを与えながら、正常細胞へのダメージを最小限に抑えることが可能とされる。なお、粒子線とは、放射線のなかでも電子より重いものと定義され、陽子線、重粒子線などが含まれる。このうち重粒子線は、ヘリウム原子より重いものと定義される。
【0012】
重粒子線を用いるがん治療では、従来のX線、ガンマ線、陽子線を用いたがん治療と比較してがん病巣を殺傷する能力が高く、患者Pの体の表面では放射線量が弱く、がん病巣において放射線量がピークになる特性を有している。そのため、照射回数と副作用を少なくすることができ、治療期間をより短くすることができる。
【0013】
例えば、粒子線ビームは、患者Pの体内を通過する際に運動エネルギーを失って速度が低下するとともに、速度の二乗にほぼ反比例する抵抗を受け、ある一定の速度まで低下すると急激に停止する。この粒子線ビームの停止点はブラッグピークと呼ばれ、高エネルギーが放出される。放射線治療システム1は、このブラッグピークを患者Pの病巣組織(患部)の位置に合わせることにより、正常組織のダメージを抑えつつ、病巣組織のみを死滅させることができる。
【0014】
放射線治療システム1は、粒子線発生装置2と輸送路3と粒子線照射装置4とX線撮影装置6とを備える。なお、粒子線照射装置4が第1実施形態の放射線照射装置となっている。
【0015】
粒子線発生装置2は、治療用の放射線としての粒子線を生成する。この粒子線発生装置2は、治療計画時の要求に応じた線種、エネルギー、線量の粒子線を生成する。輸送路3は、粒子線発生装置2で発生した粒子線を粒子線照射装置4まで輸送する。
【0016】
粒子線照射装置4は、輸送された粒子線を照射対象である患者Pの患部に照射する照射ポート5を備える。この粒子線照射装置4は、粒子線発生装置2で生成した粒子線を、照射する位置およびタイミングを制御し、照射ポート5から患者Pに向けて粒子線を照射する。なお、照射ポート5は、患者Pの治療を行う治療室15の内部に設けられている。
【0017】
X線撮影装置6は、粒子線を患者Pに照射する放射線治療時に、患者Pの位置決めなどを行うために患者PをX線(撮影用の放射線)で撮影する。このX線撮影装置6は、治療室15の内部に設けられている。
【0018】
X線撮影装置6は、治療室15の内部において、照射位置Rに存在する患者Pの上方に設けられた2つの平面X線検出器7a,7bと、治療室15の床下に設けられた2つのX線管8a,8bを備える。このX線撮影装置6は、2方向から患者PのX線画像を取得できるように構成されている。
【0019】
また、放射線治療システム1は、コンピュータ断層撮影(Computed Tomography、以下、CTと略称する。)を行うCT装置9をさらに備える。なお、CT装置9が第1実施形態の3次元画像取得装置となっている。CT装置9は、照射位置Rとは異なる位置Cで患者Pの3次元画像としてのCT画像の取得を行う。
【0020】
このCT装置9は、放射線治療時に、患者PのCT画像を取得するものであり、粒子線照射装置4およびX線撮影装置6とは別に、治療室15の内部に設けられている。
【0021】
CT装置9は、自走式であり、治療室15の床面に敷設された2本のレール11に沿って移動可能に構成されている。具体的には、CT装置9は、2本のレール11を走行する複数の走行車輪12を備える。これらの走行車輪12のうち、いずれか一方が駆動モータ(図示略)と連結されている。この駆動モータを駆動させると、走行車輪12が2本のレール11に沿って走行する。例えば、治療室15の水平方向の平面をX方向とY方向とし、垂直方向をZ方向とした場合において、CT装置9は、治療室15のY方向のみに移動可能となっている。
【0022】
また、放射線治療システム1は、治療台14をさらに備える。この治療台14は、治療室15の内部に設けられている。治療台14は、放射線治療時に、照射対象である患者Pを載せるものである。照射ポート5が治療室15に固定されているため、治療台14を移動させることで、患者Pの位置決めを行う。
【0023】
例えば、治療台14は、治療室15のX方向、Y方向、Z方向のいずれの方向にも移動可能となっている。また、治療台14は、若干傾けて位置(角度)の微調整を行うことができる。例えば、治療台14は、X軸、Y軸、Z軸周りに回転可能となっている。
【0024】
放射線治療システム1は、治療計画時に、患者PのCT画像を取得する治療計画用画像取得装置としての治療計画用CT装置10と、患者Pを載せる治療計画用治療台16とをさらに備える。なお、治療計画用CT装置10と治療計画用治療台16は、治療室15とは異なる部屋である計画室17の内部に設けられている。
【0025】
また、放射線治療システム1は、制御コンピュータ20をさらに備える。この制御コンピュータ20には、治療台14と治療計画用治療台16とCT装置9と治療計画用CT装置10とが接続されており、これらの装置は、制御コンピュータ20により制御される。
【0026】
制御コンピュータ20は、治療台制御部21と演算部22と記憶部23とを備える。この制御コンピュータ20は、CPU、ROM、RAM、HDDなどのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。さらに、本実施形態の放射線治療システム1の制御方法は、各種プログラムをコンピュータに実行させることで実現される。例えば、治療台制御部21と演算部22は、メモリまたはHDDに記憶されたプログラムがCPUによって実行されることで実現される。
【0027】
制御コンピュータ20の各構成は、必ずしも1つのコンピュータに設ける必要はない。例えば、1つのシステムが、ネットワークで互いに接続された複数のコンピュータで実現されても良い。例えば、治療台制御部21と記憶部23とが、それぞれ個別のコンピュータに搭載されていても良い。さらに、治療台制御部21と演算部22とが、それぞれ個別のコンピュータに搭載されていても良い。
【0028】
治療台制御部21は、治療台14の位置Tを制御する。なお、本実施形態の治療台14の「位置」という用語には、治療台14の座標および角度(傾き)の意味を含む。つまり、治療台制御部21は、治療台14を動作させるときの移動量および回転量を制御する。さらに、治療台14の「位置」は、患者Pの位置と同義でも良い。また、治療台制御部21は、治療計画用治療台16の位置も制御する。
【0029】
記憶部23は、CT画像を取得するための治療台14の位置Tを撮影位置として記憶する。なお、記憶部23に記憶される撮影位置は、CT画像を取得したときの位置でも良いし、CT画像を取得することが予定されている位置でも良い。例えば、記憶部23に撮影位置を記憶する態様には、実際に治療台14を動かさなくても、将来の撮影位置を記憶する態様、また、修正された撮影位置を記憶する態様が含まれる。
【0030】
また、治療台制御部21は、記憶部23に記憶されている撮影位置に基づいて治療台14を移動させる。このようにすれば、放射線技師が治療台14の位置Tの調整を始めからやり直さなくて済む。
【0031】
例えば、患者Pに粒子線を照射する位置を照射位置Rとする。この照射位置Rは、3次元空間(治療室15)における固定の座標として定義される。一般には、アイソセンタが照射位置Rとして設定される。
【0032】
X線撮影装置6は、照射位置Rにおける患者PのX線画像を撮影する。なお、CT装置9は、照射ポート5との干渉を避けるため、照射位置Rとは異なる撮影位置で患者PのCT画像を撮影する。この撮影位置は、3次元空間の座標として定義され、CT装置9でCT画像の撮影が行われる度に設定される座標である。
【0033】
治療台14は、患者Pを載せたまま、治療台制御部21の指示によって治療室15の内部の空間を移動し、かつ回転する。
【0034】
治療台14の位置Tは、治療室15の内部の3次元空間における、治療台14の代表点の位置(座標)を示すX,Y,Zで記述される。この代表点は、例えば、治療台14において患者Pを搭載する平板上の点としても良い。治療台14の角度(傾き)は、X,Y,Z軸周りの回転量を示すψ,φ,θで記述される。これら治療台14の位置と角度を合わせた6次元量(X,Y,Z,ψ,φ,θ)を治療台位置角度データ29(図3)と称する。治療台14は、動作したときに、そのときの治療台位置角度データ29を治療台制御部21に送信する。
【0035】
治療台制御部21は、治療台14に移動・回転の指示を出す。この指示は、例えば、移動・回転先として治療台14の位置・角度を指示するものと、治療台14の移動・回転の量を指示するものと、治療台14の移動・回転の方向を指示するものと、移動・回転の開始および終了を指示するものがある。ここで、治療台制御部21が指示する治療台14の位置・角度は、6次元量(X,Y,Z,ψ,φ,θ)である。治療台14の移動・回転の量は、治療台14の位置・角度の差分(ΔX,ΔY,ΔZ,Δψ,Δφ,Δθ)である。移動の方向は、X,Y,Z方向である。回転の方向は、ψ,φ,θ方向である。
【0036】
演算部22は、治療台14と治療計画用治療台16とCT装置9と治療計画用CT装置10の制御に必要な様々な演算を行う。
【0037】
例えば、演算部22は、CT装置9または治療台14の少なくとも一方を移動させたときの互いの干渉の有無を事前に演算する。そして、記憶部23は、演算部22で干渉が生じないとされる演算結果が得られた場合に、この干渉が生じない撮影位置を記憶する。このようにすれば、CT装置9と治療台14とが移動時に接触するか否かを事前に確認することができる。なお、治療台14が、CT装置9以外の物に接触するか否かを確認するものでも良い。
【0038】
図3に示すように、治療室15で患者Pに治療を行う放射線治療時において、演算部22は、治療台14またはCT装置9が移動する前に、治療台14またはCT装置9が治療室15の内部の所定の装置または壁などと干渉するか否かを演算する。この演算を衝突検知処理28と呼ぶ。
【0039】
ここで、治療台制御部21は、所定のユーザーインターフェースを有している。例えば、放射線技師が、ユーザーインターフェース上の衝突検知ボタンを操作することによって、演算部22が衝突検知処理28を実行する。なお、衝突検知処理28は、治療台14またはCT装置9の移動操作と同時に自動的に実行されても良い。
【0040】
また、治療台制御部21は、例えば、放射線技師が、ユーザーインターフェース上のCT画像撮影位置記憶ボタンを操作することによって、治療台14から治療台位置角度データ29を受信する。そして、治療台制御部21は、受信した治療台位置角度データ29と衝突検知処理28の演算結果とに基づいて、CT撮影位置角度データ30を生成する。このCT撮影位置角度データ30が、記憶部23に記憶される。
【0041】
なお、演算部22が衝突検知処理28を実行しない場合には、受信した治療台位置角度データ29が、CT撮影位置角度データ30として記憶部23に記憶される。
【0042】
CT撮影位置角度データ30は、治療台14の移動・回転先の指示値として設定可能となっている。通常、粒子線治療は、同一の患者Pに対して所定の順序で所定の治療を、数日~数週間にかけて繰り返し行う。治療台制御部21は、患者PごとにCT撮影位置角度データ30を記憶し、別日の治療でもこれを呼出可能となっている。
【0043】
なお、治療計画用CT装置10は、治療計画用のCT画像を撮影する。そして、治療計画用治療台16は、治療計画用のCT画像の撮影時に患者Pを載せる。また、治療計画用治療台16は、治療計画用治療台位置角度データ33を治療台制御部21に送信する。
【0044】
また、治療台制御部21は、記憶部23に記憶されたCT撮影位置角度データ30が無い場合、CT撮影位置角度データ30としてデフォルト値を設定する。ここで、治療台制御部21は、治療計画のCT画像の撮影時において、治療計画用治療台16から治療計画用治療台位置角度データ33を受信する。そして、この受信された治療計画用治療台位置角度データ33に基づいて、デフォルト値が更新され、CT撮影位置角度データ30が記憶部23に記憶される。
【0045】
また、治療台制御部21は、衝突検知処理28の演算結果によって、衝突が無いと判定された場合、治療台14から受信した治療台位置角度データ29をCT撮影位置角度データ30として記憶部23に記憶する。このようにすれば、CT撮影位置角度データ30を記憶するための操作が不要となり、ユーザの操作およびインターフェースを簡素化できる。
【0046】
第1実施形態では、記憶部23は、治療計画時に、治療計画用CT装置10でCT画像を取得したときの治療計画用治療台16の位置を撮影位置として記憶する。このようにすれば、治療計画時に記憶した治療計画用CT装置10と治療計画用治療台16との位置関係に基づいて、放射線治療時にCT装置9と治療台14との位置関係を再現することができる。
【0047】
また、第1実施形態では、CT装置9が移動可能となっている。そして、記憶部23は、CT画像を取得したときのCT装置9の位置Cを設置位置として記憶する。このようにすれば、先にCT画像を取得したときのCT装置9と治療台14との位置関係を、後のCT画像を取得するときに再現することができる。
【0048】
なお、撮影位置は、治療台14の位置TとCT装置9の位置Cとの相対的な位置関係を示す。この撮影位置は、3次元空間(治療室15)における固定の座標として定義されなくても良く、例えば、治療台14の位置TとCT装置9の位置Cとの差分として定義されても良い。また、撮影位置は、CT装置9の位置Cを原点とした場合の治療台14の位置Tを示す座標でも良い。例えば、CT装置9が移動された場合には、これに併せて治療台14の位置T、つまり、撮影位置も移動されるものである。
【0049】
また、CT装置9は、CT画像を取得するときに、記憶部23に記憶されている設置位置に基づいて移動を行う。このようにすれば、CT装置9の移動を簡便に行うことができる。
【0050】
また、演算部22は、治療台14の撮影位置またはCT装置9の設置位置の一方が記憶部23に記憶されている場合に、この記憶に基づいて他方の位置を演算する。そして、記憶部23は、演算部22で得られた他方の位置を記憶する。このようにすれば、治療台14の撮影位置またはCT装置9の設置位置の一方が取得できれば、他方の位置も演算により取得することができる。
【0051】
例えば、治療台制御部21は、設置位置をCT装置9から受信し、CTガントリー位置データ(図示略)として記憶部23に記憶する。このCTガントリー位置データは、患者Pごとに記憶され、別日の治療でもこれを呼出可能となっている。また、治療台制御部21は、CTガントリー位置データをCT装置9に送信する。
【0052】
CT装置9は、治療台制御部21から受信したCTガントリー位置データ(図示略)を設置位置として設定する。これにより、患者Pの2回目以降の治療時に、前回の治療時の設置位置を再現することができる。
【0053】
演算部22は、記憶部23に記憶されているCT撮影位置角度データ30とCTガントリー位置データ(図示略)から、その相対位置関係を演算しても良い。このようにすれば、患者Pの2回目以降の治療時に、設定した設置位置に基づいて、前回の治療時におけるCT装置9と治療台14の相対位置関係を再現でき、ユーザの操作が簡便になる。また、治療台14の位置に基づいて、前回の治療時におけるCT装置9と治療台14の相対位置関係を再現でき、ユーザの操作が簡便になる。
【0054】
このように、CT画像の撮影用の治療台14のCT撮影位置角度データ30を記憶し、治療当日または後日の治療時に、このデータに基づいて治療台14を移動することで、CT画像の撮影時の治療台14の移動を簡便に行うことができる。
【0055】
次に、第1実施形態の放射線治療の手順について図2のフローチャートを用いて説明する。なお、前述の図面を適宜参照する。以下のステップは、放射線治療の手順に含まれる少なくとも一部の処理であり、放射線治療の手順に他の処理が含まれていても良い。
【0056】
まず、ステップS1において、治療計画時に、治療計画用CT装置10は、患者PのCT画像の撮影を行う(図1)。このとき、放射線技師は、治療計画用治療台16に患者Pを固定するための固定具(図示略)の表面に、撮影時の基準位置をマーキングしておく。この撮影時の治療計画用治療台位置角度データ33が、治療台制御部21に送信される(図3)。
【0057】
次のステップS2において、医師および放射線技師などが、治療計画時に取得したCT画像を用いて治療計画を立案する。この治療計画で粒子線の照射領域が設定される。さらに、この照射領域についてどのように照射を行うかを記載した照射データが作成される。粒子線の照射は、投与線量を複数に分割し、数日~数週間にかけて繰り返し行うように計画しても良い。
【0058】
次に、治療当日のフローについて説明する。ステップS3において、放射線技師は、治療台14に患者Pを載せ、所定の固定具(図示略)で患者Pを治療台14に固定する。
【0059】
次のステップS4において、放射線技師は、治療台14の角度が治療計画時と同じになるように調整する。例えば、固定具のマーキングの位置がCT画像の撮影時の位置と合うように治療台14を並進移動させる。具体的には、基準となるレーザーの照射点があり、この照射点にマーキングの位置を合わせる作業が行われる。ここで、治療台制御部21は、CT撮影位置角度データ30(図3)を治療台14の移動・回転先の指示値として設定し、治療台14の移動・回転を指示する。
【0060】
例えば、患者Pの初回治療の場合、CT撮影位置角度データ30(図3)には、治療計画のCT画像の撮影時の治療計画用治療台16の角度が反映されている。そのため、治療台14の角度に関する調整が不要であり、治療台14の並進移動のみを行う。このようにすれば、治療台14の角度の調整における操作ミスを防ぐことができる。
【0061】
仮に、治療台14の角度を誤ったまま、放射線治療時のCT画像の撮影に進んだ場合、改めて、前述のステップS4からやり直して再度CT画像の撮影を行うことになる。そこで、治療台14の並進移動のみを行うことで、CT画像の撮り直しによる患者Pの被ばくを防ぐことができる。
【0062】
また、2回目以降の治療の場合、CT撮影位置角度データ30(図3)は、前回治療時に記憶したものである。そのため、この後の治療台14の位置と角度の調整が不要となる。このようにすれば、放射線技師は、簡便な操作で治療台14の移動を行うことができる。
【0063】
次のステップS5において、演算部22は、衝突検知処理28を実行し、治療台14が他の物と衝突する虞があるか否かの判定を行う。ここで、衝突する虞がある場合(ステップS5でYESの場合)は、ステップS4に戻り、衝突する虞がない判定となるように治療台14の位置・角度を調整する。一方、衝突する虞がない場合(ステップS5でNOの場合)は、ステップS5Aに進む。
【0064】
ステップS5Aにおいて、放射線技師が、ユーザーインターフェース上のCT画像撮影位置記憶ボタンを操作する。ここで、治療台制御部21は、このときの治療台位置角度データ29をCT撮影位置角度データ30として記憶部23に記憶する(図3)。
【0065】
次のステップS6において、制御コンピュータ20は、CT装置9の駆動モータ(図示略)を駆動させる。すると、走行車輪12が2本のレール11に沿って走行することで、CT装置9が撮影位置まで移動する。この状態で、CT装置9の環状のガントリーが患部の存在する領域に設定され、CT画像の撮影が行われる。このCT画像の撮影後は、撮影前と同様にCT装置9を撮影前の位置に退避させる。
【0066】
次のステップS7において、演算部22は、この撮影により取得したCT画像と、事前に治療室15の内部で取得したCT画像とを比較し、患部の位置のずれ量を計算する。そして、治療台制御部21は、このずれ量、および撮影位置と照射位置Rの差分を、治療台14の移動・回転量の指示値に設定する。
【0067】
次のステップS8において、治療台制御部21は、治療台14に移動・回転の指示をすることにより、患者Pの位置決めを行う。このときに、治療台14は、照射位置Rの近傍に位置する。
【0068】
次のステップS9において、X線撮影装置6は、患者PのX線画像の撮影を行う。そして、放射線技師は、患者Pの位置を確認した後、位置決め承認を行う。この位置決め承認は、例えば、ユーザーインターフェース上の位置決め承認ボタンが押下されることによって行われる。位置決め承認が行われると、そのときの治療台位置角度データ29が治療台14から治療台制御部21に送信される(図3)。そして、治療台制御部21は、受信した治療台位置角度データ29を、位置決め承認が成されたCT撮影位置角度データ30として記憶部23に記憶する。
【0069】
次のステップS10において、粒子線照射装置4は、患者Pに粒子線を照射する。ここで、治療計画時の立案に従って適量の粒子線が患者Pに照射される。
【0070】
次のステップS11において、放射線技師は、計画された粒子線の照射が全て完了したか否かを判定する。ここで、粒子線の照射が全て完了した場合(ステップS11でYESの場合)は、放射線治療を終了する。一方、粒子線の照射が全て完了していない場合(ステップS11でNOの場合)は、ステップS3に戻り、完了するまでステップS3からS10を繰り返す。なお、この繰り返しは、数日~数週間にかけて行われる場合がある。
【0071】
なお、第1実施形態では、計画室17で治療計画用のCT画像の撮影を行っているが、その他の態様でも良い。例えば、治療室15のCT装置9で治療計画用のCT画像の撮影を行っても良い。このときに、放射線技師がユーザーインターフェースを操作することで、治療計画用のCT画像の撮影時の治療台位置角度データ29がCT撮影位置角度データ30として記憶部23に記憶される(図3)。このようにすれば、前述のステップS4において、患者Pの初回治療の場合の治療台14の並進移動が不要になり、操作をより簡便にできる。また、治療計画用CT装置10および治療計画用治療台16が不要となり、システムの構成を簡素化できる。
【0072】
また、粒子線の照射の後に患者PのCT画像の撮影を行っても良い。ここで、治療台制御部21は、CT撮影位置角度データ30を治療台14の移動・回転先の指示値として設定し、治療台14の移動・回転を指示する。このようにすれば、粒子線の照射前にCT画像を撮影したときと同じ治療台14の位置・角度で、CT画像の撮影を行うことができる。そのため、治療台14の移動を簡便に行うことができる。ここで、撮影されたCT画像は、例えば、治療効果を確認する目的で使用しても良い。
【0073】
放射線治療システム1は、患者Pの治療情報を管理する治療管理コンピュータ(図示略)をさらに備えても良い。この治療管理コンピュータは、例えば、第2の記憶部(図示略)を備える。そして、治療に関する情報を患者Pごとに記憶部に記憶する。
【0074】
なお、治療に関する情報は、放射線医療における標準データフォーマットであるダイコム(DICOM: Digital Imaging and Communications in Medicine)フォーマットに準じた情報としても良い。
【0075】
さらに、治療管理コンピュータは、制御コンピュータ20から受信したCT撮影位置角度データ30を記憶する。また、治療管理コンピュータは、記憶したCT撮影位置角度データ30を制御コンピュータ20に送信することもできる。なお、制御コンピュータ20は、CT撮影位置角度データ30を記憶部23に記憶せず、治療管理コンピュータに送信しても良い。
【0076】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図4を用いて説明する。適宜前述の図面を参照する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0077】
第2実施形態の放射線治療の手順について図4のフローチャートを用いて説明する。なお、第2実施形態の放射線治療の手順は、CT撮影位置角度データ30が記憶部23に記憶される(ステップS6A)処理を実行するタイミングのみが、前述の第1実施形態(図2)と異なり、他のステップは、第1実施形態と同様である。
【0078】
図4に示すように、ステップS6でCT画像の撮影が行われた後に進むステップS6Aにおいて、治療台制御部21は、ステップS6のCT画像の撮影をトリガとして、治療台14から受信した治療台位置角度データ29をCT撮影位置角度データ30として記憶部23に記憶する(図3)。つまり、治療台14から受信した治療台位置角度データ29でCT撮影位置角度データ30が更新される。そして、ステップS7に進む。
【0079】
第2実施形態では、放射線技師が、ユーザーインターフェース上のCT画像撮影位置記憶ボタンを操作する作業が不要となり、ユーザの操作およびインターフェースを簡素化できる。
【0080】
この第2実施形態の記憶部23は、CT装置9でCT画像を取得したときの治療台14の位置を撮影位置として記憶する(図1)。このようにすれば、実際にCT画像を取得したときの治療台14の位置が記憶されるため、次にCT画像を取得するときに、先の治療台14の位置を再現することができる。
【0081】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図5を用いて説明する。適宜前述の図面を参照する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0082】
第3実施形態の放射線治療の手順について図5のフローチャートを用いて説明する。なお、第3実施形態の放射線治療の手順は、CT撮影位置角度データ30が記憶部23に記憶される(ステップS9A)処理を実行するタイミングのみが、前述の第1実施形態(図2)と異なり、他のステップは、第1実施形態と同様である。
【0083】
図5に示すように、ステップS9で放射線技師が位置決め承認を行った後に進むステップS9Aにおいて、治療台制御部21は、ステップS9の位置決め承認をトリガとして、治療台14から受信した治療台位置角度データ29をCT撮影位置角度データ30として記憶部23に記憶する(図3)。つまり、治療台14から受信した治療台位置角度データ29でCT撮影位置角度データ30が更新される。なお、このステップS9Aは、自動的に実行される。そして、ステップS10に進む。
【0084】
演算部22は、放射線技師が位置決め承認を行ったときに、位置決め承認位置角度データ(図示略)に、照射位置Rと撮影位置の差分を加算する演算を行う。この演算結果がCT撮影位置角度データ30として記憶部23に記憶される。そのため、放射線技師が、ユーザーインターフェース上のCT画像撮影位置記憶ボタンを操作する作業が不要となり、ユーザの操作およびインターフェースを簡素化できる。
【0085】
例えば、演算部22は、ステップ7において、粒子線照射装置4が粒子線を照射するときの治療台14の位置Tを照射位置Rに合わせるための治療台14の移動量および回転量を演算する。そして、ステップS9Aにおいて、記憶部23に記憶されている撮影位置に、演算部22で得られた演算結果が反映される。
【0086】
このようにすれば、粒子線を照射するときに治療台14の位置Tが微調整されるが、その微調整による治療台14の移動量および回転量を、CT装置9で撮影を行うときの治療台14の位置決めに反映させることができる。また、CT装置9で撮影を行うときに微調整が行われた場合には、その微調整による治療台14の移動量および回転量を、粒子線を照射するときに治療台14の位置決めに反映させることができる。
【0087】
放射線治療システム1およびその制御方法が第1実施形態から第3実施形態に基づいて説明されているが、いずれか1つの実施形態において適用された構成が他の実施形態に適用されても良いし、各実施形態において適用された構成が組み合わされても良い。
【0088】
なお、前述の実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
【0089】
前述の実施形態の制御コンピュータ20は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)および専用のチップなどのプロセッサを高集積化させた制御装置と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスおよびキーボードなどの入力装置と、通信インターフェースとを備える。この制御コンピュータ20は、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
【0090】
なお、前述の実施形態の制御コンピュータ20で実行されるプログラムは、ROMなどに予め組み込んで提供される。追加的または代替的に、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な非一時的な記憶媒体に記憶されて提供される。
【0091】
また、この制御コンピュータ20で実行されるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしても良い。また、この制御コンピュータ20は、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワークまたは専用回線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
【0092】
なお、前述の実施形態では、照射対象として人間である患者Pが例示されているが、犬、猫などの動物を照射対象とし、これらの動物に粒子線治療を行う際に、放射線治療システム1を用いても良い。
【0093】
なお、前述の実施形態では、CT装置9が治療室15のY方向のみに移動可能となっているが、その他の態様でも良い。例えば、CT装置9が治療室15のX方向、Y方向、Z方向のいずれの方向にも自由に移動可能としても良い。また、照射位置RでCT画像の撮影が行われる態様でも良い。
【0094】
なお、前述の実施形態では、3次元画像取得装置としてCT装置9が例示されているが、その他の態様でも良い。例えば、核磁気共鳴画像(MRI: Magnetic Resonance Image)装置などが、3次元画像取得装置として用いられても良い。
【0095】
なお、前述の実施形態では、治療用の放射線として粒子線が例示されているが、その他の態様でも良い。例えば、治療用の放射線は、X線、ガンマ線、陽子線などの他の放射線でも良い。
【0096】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、3次元画像を取得するための治療台14の位置Tを撮影位置として記憶する記憶部23を備えることにより、3次元画像を取得するときの治療台14の移動を簡便に行うことができる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態またはその変形は、発明の範囲と要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0098】
1…放射線治療システム、2…粒子線発生装置、3…輸送路、4…粒子線照射装置、5…照射ポート、6…X線撮影装置、7a,7b…平面X線検出器、8a,8b…X線管、9…CT装置、10…治療計画用CT装置、11…レール、12…走行車輪、14…治療台、15…治療室、16…治療計画用治療台、17…計画室、20…制御コンピュータ、21…治療台制御部、22…演算部、23…記憶部、28…衝突検知処理、29…治療台位置角度データ、30…CT撮影位置角度データ、33…治療計画用治療台位置角度データ、C…CT装置の位置、P…患者、R…照射位置、T…治療台の位置。
図1
図2
図3
図4
図5