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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172185
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】医療用具
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
A61M25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083818
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(71)【出願人】
【識別番号】394003265
【氏名又は名称】株式会社カネカメディックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 裕一郎
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA34
4C267BB03
4C267BB32
4C267FF01
4C267HH10
(57)【要約】
【課題】滅菌処理に伴う医療用シースの変形を低減することができる医療用具を提供する。
【解決手段】基材シートと、医療用シースと、少なくとも一部が前記医療用シースの内腔に配置され前記医療用シースを前記基材シートに着脱可能に固定する第1固定部材と、を有している医療用具。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートと、
医療用シースと、
少なくとも一部が前記医療用シースの内腔に配置され前記医療用シースを前記基材シートに着脱可能に固定する第1固定部材と、を有している医療用具。
【請求項2】
前記第1固定部材は、第1方向に延在し、前記第1方向における一端部において前記基材シートに固定されている第1固定部を有している請求項1に記載の医療用具。
【請求項3】
更に、第2方向に延在し、少なくとも一部が医療用シースの内腔に配置され前記医療用シースを前記基材シートに着脱可能に固定する第2固定部材を有し、前記第2固定部材は、前記第2方向における一端部において前記基材シートに固定されている第2固定部を有しており、
前記第2固定部材の前記第2方向における他端部は、前記第1固定部材の前記第1方向における他端部と対向している請求項2に記載の医療用具。
【請求項4】
前記第1固定部材は、前記第1固定部に隣接する部分において、前記第1固定部に向かって幅が広がっている第1拡幅部を有しており、
前記第2固定部材は、前記第2固定部に隣接する部分において、前記第2固定部に向かって幅が広がっている第2拡幅部を有している請求項3に記載の医療用具。
【請求項5】
前記第1固定部材は、前記第1拡幅部に隣接する部分において、一定幅の第1定幅部を有しており、
前記第2固定部材は、前記第2拡幅部に隣接する部分において、一定幅の第2定幅部を有している請求項4に記載の医療用具。
【請求項6】
前記第1固定部材と前記第2固定部材は、それぞれ前記基材シートに固定されていない非固定部を有しており、前記非固定部は、それぞれ少なくとも一部が医療用シースの内腔に配置されている請求項3または4に記載の医療用具。
【請求項7】
前記第1固定部材の前記第1方向における前記非固定部の長さは、前記第2固定部材の前記第2方向における前記非固定部の長さよりも長い請求項6に記載の医療用具。
【請求項8】
前記第1固定部材の前記非固定部と前記第2固定部材の前記非固定部は、それぞれフラップ状である請求項6に記載の医療用具。
【請求項9】
前記第1固定部材と前記第2固定部材は接触していない請求項3または4に記載の医療用具。
【請求項10】
前記第1固定部材は、前記第1固定部材の前記第1方向における他端部において前記基材シートに固定されている第2固定部を有している請求項2に記載の医療用具。
【請求項11】
前記第1固定部材の前記医療用シースの内腔に配置された部分の幅は、前記医療用シースの内腔の径よりも小さい請求項1または2に記載の医療用具。
【請求項12】
前記第2固定部材の前記医療用シースの内腔に配置された部分の幅は、前記医療用シースの内腔の径よりも小さい請求項3または4に記載の医療用具。
【請求項13】
前記第1固定部材はシート状である請求項1または2に記載の医療用具。
【請求項14】
前記第2固定部材はシート状である請求項3または4に記載の医療用具。
【請求項15】
前記医療用シースは、軸方向に延在する切込みを有する請求項1または2に記載の医療用具。
【請求項16】
前記医療用シースの前記切込みの間に前記第1固定部材の少なくとも一部が挟まれている請求項15に記載の医療用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌処理に伴う医療用シースの変形を低減する医療用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カテーテルのような可撓性を有する長尺状の医療用器具は、未使用状態においては、台紙に固定して、袋に包装されることが多かった。例えば、特許文献1には、可撓性を有する線状部を備える医療用具を保持した状態で袋状の包装体に収納される、長尺なシート材で構成された医療用具保持台紙であって、医療用具を保持する保持部を備え、保持部は、シート材の長手方向に沿って該シート材をV字状に折り曲げられて形成され、医療用具の線状部を収納するV字状溝と、該V字状溝の基端部にその谷部を逆方向に山状に折り返してW字状に形成されたW字状溝とを有する医療用具保持台紙が開示されている。また特許文献2には、紙又は軟質の合成樹脂製薄平板もしくは皿状体を裁断して、単数又は複数の抑止片を形成し、該抑止片のほぼ中央部に一方端部がアーチ状である切り込みを設け、該切り込みのアーチ状端部から抑止片の端部までを切断して緩圧部を形成し、抑止片の基端部から折り曲げ部で折り曲げたことを特徴とする医療用具包装部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-201826号公報
【特許文献2】特開2002-193322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、長尺状の医療用器具は特許文献1、2のように台紙に固定され、袋に包装された状態で滅菌処理が行われることが多かった。滅菌処理として高圧蒸気や加熱滅菌ガス等を用いて加熱環境下において滅菌する方法が採用されていたが、例えば医療用シースの場合、医療用シースを台紙の保持部で押さえ付けた状態で加熱すると医療用シースが変形する場合があった。本発明は上記の様な問題に着目してなされたものであって、その目的は、滅菌処理に伴う医療用シースの変形を低減することができる医療用具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決することのできた本発明の実施の形態に係る医療用具は、以下の通りである。
[1]基材シートと、医療用シースと、少なくとも一部が前記医療用シースの内腔に配置され前記医療用シースを前記基材シートに着脱可能に固定する第1固定部材と、を有している医療用具。
【0006】
上記の通り、第1固定部材の少なくとも一部が医療用シースの内腔に配置されていることにより、医療用シースの内腔側を支持することができるため、医療用シースの変形を低減することができる。
【0007】
実施の形態に係る医療用具は、以下の[2]~[16]のいずれかであることが好ましい。
[2]前記第1固定部材は、第1方向に延在し、前記第1方向における一端部において前記基材シートに固定されている第1固定部を有している[1]に記載の医療用具。
[3]更に、第2方向に延在し、少なくとも一部が医療用シースの内腔に配置され前記医療用シースを前記基材シートに着脱可能に固定する第2固定部材を有し、前記第2固定部材は、前記第2方向における一端部において前記基材シートに固定されている第2固定部を有しており、
前記第2固定部材の前記第2方向における他端部は、前記第1固定部材の前記第1方向における他端部と対向している[2]に記載の医療用具。
[4]前記第1固定部材は、前記第1固定部に隣接する部分において、前記第1固定部に向かって幅が広がっている第1拡幅部を有しており、
前記第2固定部材は、前記第2固定部に隣接する部分において、前記第2固定部に向かって幅が広がっている第2拡幅部を有している[3]に記載の医療用具。
[5]前記第1固定部材は、前記第1拡幅部に隣接する部分において、一定幅の第1定幅部を有しており、
前記第2固定部材は、前記第2拡幅部に隣接する部分において、一定幅の第2定幅部を有している[4]に記載の医療用具。
[6]前記第1固定部材と前記第2固定部材は、それぞれ前記基材シートに固定されていない非固定部を有しており、前記非固定部は、それぞれ少なくとも一部が医療用シースの内腔に配置されている[3]~[5]のいずれかに記載の医療用具。
[7]前記第1固定部材の前記第1方向における前記非固定部の長さは、前記第2固定部材の前記第2方向における前記非固定部の長さよりも長い[6]に記載の医療用具。
[8]前記第1固定部材の前記非固定部と前記第2固定部材の前記非固定部は、それぞれフラップ状である[6]または[7]に記載の医療用具。
[9]前記第1固定部材と前記第2固定部材は接触していない[3]~[8]のいずれかに記載の医療用具。
[10]前記第1固定部材は、前記第1固定部材の前記第1方向における他端部において前記基材シートに固定されている第2固定部を有している[2]に記載の医療用具。
[11]前記第1固定部材の前記医療用シースの内腔に配置された部分の幅は、前記医療用シースの内腔の径よりも小さい[1]~[10]のいずれかに記載の医療用具。
[12]前記第2固定部材の前記医療用シースの内腔に配置された部分の幅は、前記医療用シースの内腔の径よりも小さい[3]~[9]のいずれかに記載の医療用具。
[13]前記第1固定部材はシート状である[1]~[12]のいずれかに記載の医療用具。
[14]前記第2固定部材はシート状である[3]~[9]のいずれかに記載の医療用具。
[15]前記医療用シースは、軸方向に延在する切込みを有する[1]~[14]のいずれかに記載の医療用具。
[16]前記医療用シースの前記切込みの間に前記第1固定部材の少なくとも一部が挟まれている[15]に記載の医療用具。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、滅菌処理に伴う医療用シースの変形を低減することができる医療用具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施の形態に係る医療用具の平面図である。
図2図2は、図1のA-A断面を示す断面図である。
図3図3は、図1の医療用シースを配置する前のシートの平面図である。
図4図4は、医療用シースの一例の平面図である。
図5図5は、第2の実施の形態に係る医療用具の平面図である。
図6図6は、図5の医療用シースを配置する前のシートの平面図である。
図7図7は、第3の実施の形態に係る医療用具の平面図である。
図8図8は、図7のB-B断面を示す断面図である。
図9図9は、図7の医療用シースを配置する前のシートの平面図である。
図10図10は、図8のB-B断面の変形例に係る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
本発明の実施の形態に係る医療用具は、基材シートと、医療用シースと、少なくとも一部が医療用シースの内腔に配置され医療用シースを基材シートに着脱可能に固定する第1固定部材と、を有している。
【0012】
上述の通り従来、医療用シースを台紙の保持部により押さえ付けた状態で高圧蒸気や加熱滅菌ガス等を用いた加熱滅菌を行うと医療用シースが変形する場合があった。これに対して実施の形態に係る医療用具によれば、第1固定部材の少なくとも一部が医療用シースの内腔に配置されていることにより、医療用シースの内腔側を支持することができるため、医療用シースの変形を低減することができる。
【0013】
以下では、図1図2図3を参照しながら、第1の実施の形態に係る医療器具について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る医療用具の平面図である。図2は、図1のA-A断面を示す断面図である。図3は、図1の医療用シースを配置する前のシートの平面図である。図4は、医療用シースの一例の平面図である。
【0014】
図1図2に示す通り、第1の実施の形態に係る医療用具101は、基材シート10と、医療用シース20と、少なくとも一部が医療用シース20の内腔20Lに配置され医療用シース20を基材シート10に着脱可能に固定する第1固定部材1と、を有している。このように第1固定部材1の少なくとも一部が医療用シース20の内腔20Lに配置されていることにより、医療用シース20の内腔20L側を支持することができるため、加熱滅菌に伴う医療用シース20の変形を低減することができる。
【0015】
図1図3に示す通り、第1固定部材1は、直線状に第1方向1Xに延在していることが好ましい。これにより、第1固定部材1が直線状に延在する医療用シース20の内腔20L側を支持し易くなる。
【0016】
図1図3に示す通り、第1固定部材1は、第1方向1Xに延在し、第1方向1Xにおける一端部1Aにおいて基材シート10に固定されている第1固定部1Cを有していることが好ましい。更に、第1固定部材1は、基材シート10に固定されていない非固定部1Fを有していることが好ましい。このような第1固定部材1の非固定部1Fの少なくとも一部を医療用シース20の内腔20Lに配置することにより、医療用具101を間接的に且つ着脱可能に基材シート10に固定することができる。
【0017】
第1固定部1Cにおいては、第1固定部材1が基材シート10に固定されていればよく、固定の態様としては、例えば、第1固定部材1が基材シート10に溶着されている態様、接着剤、粘着剤等により接着されている態様、第1固定部材1に設けられた孔部または凸部と、基材シート10に設けられた凸部または孔部とが嵌合している態様等が挙げられる。
【0018】
第1固定部1Cの平面視における形状は特に限定されないが、例えば、円形、楕円形、多角形、または角丸多角形が挙げられる。
【0019】
第1固定部材1の非固定部1Fは、直線状に第1方向1Xに延在していることが好ましい。これにより、第1固定部材1が直線状に延在する医療用シース20の内腔20L側を支持し易くなる。
【0020】
図2に示す通り、第1固定部材1の第1方向1Xの外縁の少なくとも一部は、医療用シース20の内側面に接触していることが好ましい。これにより医療用シース20が変形し難くなる。
【0021】
図1に示す通り、第1固定部材1の非固定部1Fの第1方向1Xの長さは、医療用シース20の軸方向20Xの長さの1.00倍以上、1.20倍以下であることが好ましく、1.02倍以上、1.10倍以下であることがより好ましい。これにより医療用シース20を全体的に変形し難くすることができる。
【0022】
図1図3に示す通り、第1固定部材1は、第1方向1Xにおける第1固定部1Cよりも他端部1Bに近い側の領域において、基材シート10に固定されている固定部を有していないことが好ましい。これにより、第1固定部材1の非固定部1Fを医療用シース20の内腔20Lに配置し易くすることができる。
【0023】
第1固定部材1の非固定部1Fは、フラップ状であることが好ましい。これにより、第1固定部材1の非固定部1Fは動かし易くなるため、医療用シース20を基材シート10に着脱し易くすることができる。
【0024】
第1固定部材1は、第1固定部1Cに隣接する部分において、第1固定部1Cに向かって幅が広がっている第1拡幅部を有していることが好ましい。更に、第1固定部材1は、第1拡幅部に隣接する部分において、一定幅の第1定幅部を有していることが好ましい。第1拡幅部、第1定幅部の詳細については、後述する第2の実施の形態に係る医療用具102の第1拡幅部1D、第1定幅部1Eを参照すればよい。
【0025】
第1固定部材1は、シート状または棒状であることが好ましく、シート状であることがより好ましい。シート状であることにより、医療用シース20の内腔20L側を支持しつつ、加熱滅菌ガス等の滅菌ガスを内腔20Lに供給し易くすることができる。
【0026】
第1固定部材1がシートである場合、当該シートの平面視における外縁の形状は、長方形、台形、角丸長方形、角丸長方形、またはアーチ形であることが好ましく、長方形または台形であることがより好ましい。これにより、第1固定部材1は医療用シース20の内腔20L側を支持し易くなる。
【0027】
第1固定部材1がシートである場合、シートの第1方向1Xに延在する外縁は、直線状であることが好ましいが、弧状、波状等の非直線状であってもよい。シートは、樹脂層、紙層、またはこれらの積層体を含むことが好ましく、樹脂層からなることがより好ましい。上記積層体は、樹脂層と紙層とをそれぞれ1層以上含んでいてもよく、樹脂層を2層以上含んでいてもよく、紙層を2層以上含んでいてもよい。
【0028】
樹脂層としては、ポリオレフィン層、フッ素樹脂層、ポリエステル層、ポリウレタン層、ポリスチレン層、ポリカーボネート層、シリコーン層、ポリアミド層、ポリイミド層が好ましく、ポリオレフィン層、フッ素樹脂層がより好ましく、ポリオレフィン層が更により好ましい。これにより第1固定部材1は医療用シース20を保持し易くなる。これらは1種のみ用いてもよく、2種類以上、併用して用いてもよい。ポリオレフィン層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらの混合物を含むことが好ましく、ポリプロピレンを含むことがより好ましく、ポリプロピレンからなることが更に好ましい。フッ素樹脂層は、ポリテトラフルオロエチレンを含むことが好ましい。ポリエステル層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはこれらの混合物を含むことが好ましい。ポリウレタン層はポリウレタンを含むことが好ましい。ポリスチレン層はポリスチレンを含むことが好ましい。ポリカーボネート層はポリカーボネートを含むことが好ましい。シリコーン樹脂層はシリコーン樹脂を含むことが好ましい。ポリアミド層はナイロンを含むことが好ましい。ポリイミド層はポリエーテルイミドを含むことが好ましい。
【0029】
紙層としては、上質紙、中質紙、クラフト紙、片艶クラフト紙、ラテックス含浸紙が好ましい。これらは1種のみ用いてもよく、2種類以上、併用して用いてもよい。
【0030】
シートの厚さは、0.1mm以上、2.0mm以下であることが好ましく、0.15mm以上、1.0mm以下であることがより好ましく、0.2mm以上、0.8mm以下であることが更に好ましい。これにより、第1固定部材1が医療用シース20の内腔20L側を支持し易くなり、且つ加熱滅菌ガス等の滅菌ガスを内腔20Lに供給し易くすることができる。
【0031】
第1固定部材1が棒体である場合、棒体の形状は、円柱、多角柱、または角丸多角柱であることが好ましく、多角柱であることがより好ましく、四角柱であることが更に好ましい。これにより、第1固定部材1により、医療用シース20の内腔20L側を支持しつつ、加熱滅菌ガス等の滅菌ガスを内腔20Lに供給し易くすることができる。また棒体の中心軸近傍に内腔が形成されていてもよい。即ち棒体は中空体であってもよい。中空体は、内側面から内腔に貫通する貫通孔を有していてもよい。棒体は、上記樹脂層および/または紙層で挙げた成分を含んでいることが好ましい。
【0032】
図2に示す通り、第1固定部材1の医療用シース20の内腔20Lに配置された部分の幅は、医療用シース20の内腔20Lの径よりも小さいことが好ましい。これにより、第1固定部材1を医療用シース20の内腔20Lに挿入したり、取り出したりし易くすることができる。当該幅は、当該径の0.95倍以下であることが好ましく、当該径の0.90倍以下であることがより好ましい。一方、当該幅は、当該径の0.70倍以上であることが好ましく、当該径の0.80倍以上であることがより好ましい。このような第1固定部材1は医療用シース20の内腔20L側を支持し易くなる。なお、内腔の径とは、医療用シース20の軸方向20Xと垂直な方向における断面において、内腔20Lの中心を通り、且つ両端点が内腔20Lの外縁上にある仮想線分のうちの最長の仮想線分のことである。なお医療用シース20が後述する切込み20Sを有する場合、上記内腔20Lの外縁に切込み20Sの外縁は含まれないものとする。
【0033】
基材シート10の平面視における外縁により囲まれた領域の面積は、50cm以上、1000cm以下であることが好ましく、300cm以上、600cm以下であることがより好ましい。基材シート10の平面視における形状は、円形、楕円形、多角形、角丸多角形、またはこれらの組み合わせ形状が好ましく、多角形または角丸多角形であることがより好ましく、四角形または角丸四角形であることが更に好ましい。基材シート10の形状が多角形または角丸多角形である場合、基材シート10の図心と各頂点とを結ぶ仮想線分の長さは全て同じであってもよいが、他の仮想線分よりも短い仮想線分が少なくとも1つ存在していてもよい。基材シート10の厚さは、0.1mm以上、2.0mm以下であることが好ましく、0.15mm以上、1.0mm以下であることがより好ましく、0.2mm以上、0.8mm以下であることが更に好ましい。これにより、基材シート10が取り扱い易くなる。
【0034】
基材シート10は、樹脂層、紙層、またはこれらの積層体を含むことが好ましく、樹脂層からなることがより好ましい。上記積層体は、樹脂層と紙層とをそれぞれ1層以上含んでいてもよく、樹脂層を2層以上含んでいてもよく、紙層を2層以上含んでいてもよい。基材シート10と第1固定部材1は、同じ層を有することが好ましく、同じ層からなることがより好ましい。樹脂層と紙層については、上述した第1固定部材1のシートの記載を参照すればよい。
【0035】
基材シート10は、図示していないが、医療用シース20が配置されている部分において第1方向1Xに延在する切込みを有していてもよい。当該切込みの形状は直線状であることが好ましい。当該切込みにより、医療用シース20に圧力が加わった際に、圧力を緩和できるかまたは医療用シース20の少なくとも一部を下部に移動させることができるため、医療用シース20は変形し難くなる。これにより、医療用具101を複数積み重ねて滅菌処理し易くすることができる。当該切込みの第1方向1Xの長さは、非固定部1Fの第1方向1Xの長さの0.5倍以上であることが好ましく、0.8倍以上であることがより好ましく、0.9倍以上であることが更に好ましく、1.0倍であることが最も好ましい。当該切込みの幅は、非固定部1Fの幅以上であり、且つ医療用シース20の外径よりも小さいことが好ましい。これにより、上記圧力の緩和効果が発揮され易くなると共に、基材シート10が医療用シース20を支持し易くなる。
【0036】
図1に示す通り、医療用シース20は、軸方向20Xに延在するチューブであることが好ましい。医療用シース20は、例えばバルーンカテーテル、マイクロカテーテル、貫通用カテーテル等の処置用のカテーテルを、先に体内に挿入されたガイディングカテーテルへ挿入しやすくするために用いるものであることが好ましい。医療用シース20の軸方向20Xの長さは、4cm以上、40cm以下であることが好ましく、6cm以上、20cm以下であることがより好ましく、8cm以上、18cm以下であることが更に好ましい。医療用シース20の内径は、0.2mm以上、4.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以上、2.5mm以下であることがより好ましく、1.0mm以上、2.0mm以下であることが更に好ましい。医療用シース20の外径は、内径の1.01倍以上、2.00倍以下であることが好ましく、1.02倍以上、1.50倍以下であることがより好ましく、1.05倍以上、1.30倍以下であることが更に好ましい。
【0037】
図4に示す通り、医療用シース20は、軸方向20Xに延在する切込み20Sを有することが好ましい。治療部位によっては、バルーンカテーテル等の処置用のカテーテルを体内に挿入する際に、ガイディングカテーテルの近位端部にシースの遠位部を挿入し、当該シースを介してガイディングカテーテル内に処置用のカテーテルを挿入する場合がある。このような場合、当該挿入後にシースを処置用のカテーテルから外す必要があるが、医療用シース20が切込み20Sを有していることにより、切込み20Sを開けて医療用シース20を外すことができる。更に切込み20Sにより、医療用シース20を基材シート10に着脱し易くすることができる。
【0038】
図4に示す通り、医療用シース20は、遠位端から近位端に向かって広がる開口20Oと外側面とを近位端部に有することが好ましい。当該構成はいわゆるフレア形状と呼ばれる形状であり、開口20Oからバルーンカテーテル等の処置用のカテーテルを容易に挿入することができる。
【0039】
医療用シース20は、樹脂を含むことが好ましく、樹脂からなることがより好ましい。樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等の芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素樹脂等が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく、2種類以上、併用して用いてもよい。医療用シース20の軸方向20Xと垂直な方向における医療用シース20の断面の外縁の形状としては、円形または楕円形が好ましく、円形がより好ましい。また医療用シース20の軸方向20Xと垂直な方向における医療用シース20の断面の内腔20Lの外縁の形状としては、円形または楕円形が好ましく、円形がより好ましい。
【0040】
図示していないが、医療用具101は、更に、シート10と医療用シース20と第1固定部材1とを内包する包装袋を有していてもよい。これにより、滅菌後における医療用シース20等の滅菌状態を維持し易くすることができる。滅菌処理としては、例えば高圧蒸気滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌等が挙げられる。
【0041】
以下では、図5図6を参照しながら、第2の実施の形態に係る医療用具について説明する。図5は、第2の実施の形態に係る医療用具の平面図である。図6は、図5の医療用シースを配置する前のシートの平面図である。なお、第2の実施の形態に係る医療用具について、第1の実施の形態に係る医療用具と重複する部分の詳細な説明は省略する。
【0042】
図5図6に示す通り、第2の実施の形態に係る医療用具102は、基材シート10と、医療用シース20と、少なくとも一部が医療用シース20の内腔20Lに配置され医療用シース20を基材シート10に着脱可能に固定する第1固定部材1と、を有している。第1固定部材1は、第1方向1Xに延在し、第1方向1Xにおける一端部1Aにおいて基材シート10に固定されている第1固定部1Cを有していることが好ましい。
【0043】
図5図6に示す通り、医療用具102は、更に、第2方向2Xに延在し、少なくとも一部が医療用シース20の内腔20Lに配置され医療用シース20を基材シート10に着脱可能に固定する第2固定部材2を有し、第2固定部材2は、第2方向2Xにおける一端部2Aにおいて基材シート10に固定されている第2固定部2Cを有しており、第2固定部材2の第2方向2Xにおける他端部2Bは、第1固定部材1の第1方向1Xにおける他端部1Bと対向していることが好ましい。このように対向する第1固定部材1と第2固定部材2により、医療用シース20を軸方向20Xの両側から間接的に基材シート10に固定することができるため、医療用シース20を軸方向20Xに動き難くすることができる。
【0044】
第1固定部材1と第2固定部材2は、それぞれ基材シート10に固定されていない非固定部1F、2Fを有しており、且つ非固定部1F、2Fは、それぞれ少なくとも一部が医療用シース20の内腔20Lに配置されていることが好ましい。このような第1固定部材1の非固定部1Fと第2固定部材2の非固定部2Fは、それぞれ独立して動かすことが可能であるため、医療用シース20を基材シート10に着脱し易くすることができる。
【0045】
第1固定部材1の非固定部1Fと第2固定部材2の非固定部2Fは、それぞれフラップ状であることが好ましい。このような第1固定部材1の非固定部1Fと第2固定部材2の非固定部2Fは、それぞれ独立して動かし易いため、医療用シース20を基材シート10に着脱し易くすることができる。
【0046】
図5図6に示す通り、第1固定部材1は、第1方向1Xにおける第1固定部1Cよりも他端部1Bに近い側の領域において、基材シート10に固定されている固定部を有しておらず、且つ第2固定部材2は、第2方向2Xにおける第2固定部2Cよりも他端部2Bに近い側の領域において、基材シート10に固定されている固定部を有していないことが好ましい。このような構成における第1固定部材1の非固定部1Fと第2固定部材2の非固定部2Fは、それぞれ独立して動かし易いため、医療用シース20を基材シート10に着脱し易くすることができる。
【0047】
図6に示す通り、第1方向1Xと第2方向2Xは平行であることが好ましい。これにより、第1方向1Xに延在する第1固定部材1と第2方向2Xに延在する第2固定部材2により医療用シース20の内腔20L側を全体的に支持し易くなる。平行とは、第1方向1Xと第2方向2Xのなす角度が5度以下であることを意味する。当該角度は、より好ましくは3度以下、更に好ましくは2度以下、最も好ましくは0度である。
【0048】
図5図6に示す通り、第1固定部材1は、第1固定部1Cに隣接する部分において、第1固定部1Cに向かって幅が広がっている第1拡幅部1Dを有しており、第2固定部材2は、第2固定部2Cに隣接する部分において、第2固定部2Cに向かって幅が広がっている第2拡幅部2Dを有していることが好ましい。第1拡幅部1Dと第2拡幅部2Dにより、医療用シース20の軸方向20Xにおける両端にかかる力を緩和することができるため、医療用シース20の両端が傷付き難くなる。またこれにより、医療用シース20が軸方向20Xに移動し難くなる。第1拡幅部1Dは、第1方向1Xにおいて第1固定部1Cよりも他端部1B側に位置することが好ましい。更に、第2拡幅部2Dは、第2方向2Xにおいて第2固定部2Cよりも他端部2B側に位置することが好ましい。第1拡幅部1D、第2拡幅部2Dの外縁は、それぞれ直線状であることが好ましい。これにより第1拡幅部1Dと第2拡幅部2Dをテーパ状にすることができ、医療用シース20の両端が一層、傷付き難くなる。なお第1拡幅部1D、第2拡幅部2Dの外縁は、それぞれ弧状、波状等の非直線状であってもよい。
【0049】
図5図6に示す通り、第1固定部材1は、第1拡幅部1Dに隣接する部分において、一定幅の第1定幅部1Eを有しており、第2固定部材2は、第2拡幅部2Dに隣接する部分において、一定幅の第2定幅部2Eを有していることが好ましい。これにより、第1固定部材1と第2固定部材2は医療用シース20の内腔20L側を全体的に支持し易くなる。第1定幅部1Eは、第1方向1Xにおいて第1拡幅部1Dよりも他端部1B側に位置することが好ましい。更に、第2定幅部2Eは、第2方向2Xにおいて第2拡幅部2Dよりも他端部2B側に位置することが好ましい。第1定幅部1Eは、第1方向1Xに延在していることが好ましい。更に、第2拡幅部2Dは、第2方向2Xに延在していることが好ましい。
【0050】
図5図6に示す通り、第1固定部材1の第1方向1Xにおける非固定部1Fの長さは、第2固定部材2の第2方向2Xにおける非固定部2Fの長さよりも長いことが好ましい。これにより、例えば、医療用シース20の内腔20Lに第1固定部材1の非固定部1Fと第2固定部材2の非固定部2Fを挿入して加熱滅菌した後に、延在方向の長さが短い第2固定部材2の非固定部2Fを先に外すことにより、延在方向の長さが長い第1固定部材1の非固定部1Fをスムーズに外すことができる。また、図4に示す医療用シース20の場合、開口20O側に延在方向の長さが短い第2固定部材2の非固定部2Fが挿入され、開口20Oとは反対側の開口に延在方向の長さが長い延在方向の長さが長い第1固定部材1の非固定部1Fが挿入されていることが好ましい。これにより、医療用シース20を基材シート10から外し易くすることができる。
【0051】
第1固定部材1の第1方向1Xにおける非固定部1Fの長さは、第2固定部材2の第2方向2Xにおける非固定部2Fの長さの1.1倍以上、2.0倍以下であることが好ましく、1.2倍以上、1.8倍以下であることがより好ましく、1.3倍以上、1.5倍以下であることが更に好ましい。これにより、医療用シース20の安定した固定と、着脱のし易さを両立することができる。
【0052】
図5図6に示す通り、第1固定部材1と第2固定部材2は接触していないことが好ましい。これにより、例えば基材シート10が全体的に湾曲したときに第1固定部材1の先端と第2固定部材2の先端とが接触することに伴う医療用シース20の内腔20Lからの圧迫を回避し易くすることができる。
【0053】
第1固定部材1と第2固定部材2の最短距離は、第1固定部材1の厚さより長いか、または第2固定部材2の厚さより長いことが好ましい。これにより、基材シート10が全体的に湾曲したときに第1固定部材1の先端と第2固定部材2の先端とが接触し難くなる。第1固定部材1と第2固定部材2の最短距離は、第1固定部材1の厚さの1.5倍以上であるか、または第2固定部材2の厚さの1.5倍以上であることがより好ましい。一方、第1固定部材1と第2固定部材2の最短距離は、第1固定部材1の厚さの10倍以下、または第2固定部材2の厚さの10倍以下であることが好ましく、第1固定部材1の厚さの5倍以下、または第2固定部材2の厚さの5倍以下であることがより好ましい。これにより、第1固定部材1と第2固定部材2は医療用シース20の内腔20L側を全体的に支持し易くなる。
【0054】
第1固定部材1のその他の詳細については、第1の実施の形態に係る医療用具101の第1固定部材1の記載を参照すればよい。以下では第2固定部材2について詳述する。
【0055】
第2固定部2Cにおいては、第2固定部材2が基材シート10に固定されていればよく、固定の態様としては、例えば第2固定部材2が基材シート10に溶着されている態様、接着剤、粘着剤等により接着されている態様、第2固定部材2に設けられた孔部または凸部と、基材シート10に設けられた凸部または孔部とが嵌合している態様等が挙げられる。
【0056】
第2固定部2Cの平面視における形状は特に限定されないが、例えば、円形、楕円形、多角形、または角丸多角形が挙げられる。
【0057】
第2固定部材2の非固定部2Fは、直線状に第2方向2Xに延在していることが好ましい。これにより、第2固定部材2が直線状に延在する医療用シース20の内腔20L側を支持し易くなる。
【0058】
第2固定部材2の第2方向2Xの外縁の少なくとも一部は、医療用シース20の内側面に接触していることが好ましい。これにより医療用シース20が変形し難くなる。
【0059】
第2固定部材2の医療用シース20の内腔20Lに配置された部分の幅は、医療用シース20の内腔20Lの径よりも小さいことが好ましい。これにより、第2固定部材2を医療用シース20の内腔20Lに挿入したり、取り出したりし易くすることができる。当該幅は、当該径の0.95倍以下であることが好ましく、当該径の0.90倍以下であることがより好ましい。一方、当該距離は、当該径の0.70倍以上であることが好ましく、当該径の0.80倍以上であることがより好ましい。このような第2固定部材2は医療用シース20の内腔20L側を支持し易くなる。
【0060】
第2固定部材2は、シート状または棒状であることが好ましく、シート状であることがより好ましい。シート状であることにより、医療用シース20の内腔20L側を支持しつつ、加熱滅菌ガス等の滅菌ガスを内腔20Lに供給し易くすることができる。
【0061】
第2固定部材2がシートである場合、当該シートの平面視における外縁の形状は、長方形、台形、角丸長方形、角丸長方形、またはアーチ形であることが好ましく、長方形または台形であることがより好ましい。これにより、第2固定部材2は医療用シース20の内腔20L側を支持し易くなる。
【0062】
第2固定部材2が第2方向2Xに延在しているシートである場合、第2方向2Xのシートの外縁は、直線状であることが好ましいが、弧状、波状等の非直線状であってもよい。シートは、樹脂層、紙層、またはこれらの積層体を含むことが好ましく、樹脂層からなることがより好ましい。上記積層体は、樹脂層と紙層とをそれぞれ1層以上含んでいてもよく、樹脂層を2層以上含んでいてもよく、紙層を2層以上含んでいてもよい。樹脂層と紙層については、上述した第1固定部材1のシートの記載を参照すればよい。なお第1固定部材1と第2固定部材2は、同じ層を有することが好ましく、同じ層からなることがより好ましい。また第1固定部材1と第2固定部材2は、シートであることが好ましい。
【0063】
シートの厚さは、0.1mm以上、2.0mm以下であることが好ましく、0.15mm以上、1.0mm以下であることがより好ましく、0.2mm以上、0.8mm以下であることが更に好ましい。これにより、第2固定部材2が医療用シース20の内腔20L側を支持し易くなり、且つ加熱滅菌ガス等の滅菌ガスを内腔20Lに供給し易くすることができる。
【0064】
第2固定部材2が棒体である場合、棒体の形状は、円柱、多角柱、または角丸多角柱であることが好ましく、多角柱であることがより好ましく、四角柱であることが更に好ましい。これにより、第2固定部材2により、医療用シース20の内腔20L側を支持しつつ、加熱滅菌ガス等の滅菌ガスを内腔20Lに供給し易くすることができる。また棒体の中心軸近傍に内腔が形成されていてもよい。即ち棒体は中空体であってもよい。中空体は、内側面から内腔に貫通する貫通孔を有していてもよい。棒体は、上記樹脂層および/または紙層で挙げた成分を含んでいることが好ましい。
【0065】
基材シート10は、図示していないが、医療用シース20が配置されている部分において切込みを有していてもよい。当該切込みの形状は直線状であることが好ましい。当該切込みにより、医療用シース20に圧力が加わった際に、圧力を緩和できるかまたは医療用シース20の少なくとも一部を下部に移動させることができるため、医療用シース20は変形し難くなる。これにより、医療用具102を複数積み重ねて滅菌処理し易くすることができる。当該切込みの延在方向の長さは、非固定部1Fの第1方向1Xの長さと非固定部2Fの第2方向2Xの長さの合計の0.5倍以上であることが好ましく、0.8倍以上であることがより好ましく、0.9倍以上であることが更に好ましく、1.0倍以上であることが更により好ましい。一方、当該倍率は1.2倍以下であってもよく、1.1倍以下であってもよい。当該切込みの幅は、非固定部1Fの幅以上であり、非固定部2Fの幅以上であり、且つ医療用シース20の外径よりも小さいことが好ましい。これにより、上記圧力の緩和効果が発揮され易くなると共に、基材シート10が医療用シース20を支持し易くなる。
【0066】
以下では、図7図8図9図10を参照しながら、第3の実施の形態に係る医療用具について説明する。図7は、第3の実施の形態に係る医療用具の平面図である。図8は、図7のB-B断面を示す断面図である。図9は、図7の医療用シースを配置する前のシートの平面図である。図10は、図8のB-B断面の変形例に係る断面図である。なお、第3の実施の形態に係る医療用具について、第1の実施の形態に係る医療用具、第2の実施の形態に係る医療用具と重複する部分の詳細な説明は省略する。
【0067】
図7図8に示す通り、第3の実施の形態に係る医療用具103は、基材シート10と、医療用シース20と、少なくとも一部が医療用シース20の内腔20Lに配置され医療用シース20を基材シート10に着脱可能に固定する第1固定部材1と、を有している。第1固定部材1は、第1方向1Xに延在し、第1方向1Xにおける一端部1Aにおいて基材シート10に固定されている第1固定部1Cを有していることが好ましい。
【0068】
第1固定部材1は、第1固定部材1の第1方向1Xにおける他端部において基材シート10に固定されている第2固定部2Cを有していることが好ましい。これにより、第1固定部材1の第1固定部1Cと第2固定部2Cの間の非固定部1Fを橋のように浮いた状態にすることができるため、非固定部1Fを医療用シース20の切込み20Sから内腔20Lに挿入したり、取り外したりすることができる。そのため、第1固定部材1は第1固定部1Cと第2固定部2Cの間に他の固定部を有していないことが好ましい。
【0069】
非固定部1Fの第1方向1Xにおける長さは、医療用シース20の軸方向20Xの長さの1.01倍以上、1.20倍以下であることが好ましく、1.02倍以上、1.10倍以下であることがより好ましい。これにより医療用シース20の軸方向20Xの動きを抑制しつつ、医療用シース20の両端の損傷を回避し易くすることができる。
【0070】
図10に示す通り、医療用シース20の切込み20Sの間に第1固定部材1の少なくとも一部が挟まれていてもよい。これにより医療用シース20に上下方向の圧力がかかった際に、医療用シース20の切込み20Sの切込み縁のうちの一方が、他方の切込み縁よりも内側に入り込む等の変形を防止し易くすることができる。
【0071】
基材シート10は、図示していないが、第1固定部材1が配置されている部分において、第1方向1Xに延在する切込みを有していてもよい。この切込みにより、医療用シース20に圧力が加わった際に、圧力を緩和できるかまたは医療用シース20の少なくとも一部を下部に移動させることができるため、医療用シース20は変形し難くなる。これにより、医療用具103を複数積み重ねて滅菌処理し易くすることができる。切込みの詳細については、第1の実施の形態に係る医療用具101の切込みの記載を参照すればよい。
【0072】
第1固定部材1は、図示していないが、第1固定部1Cに隣接する部分において、第1固定部1Cに向かって幅が広がっている第1拡幅部を有していることが好ましい。更に、第1固定部材1は、第1拡幅部に隣接する部分において、一定幅の第1定幅部を有していることが好ましい。更に、第1固定部材1は、第2固定部2Cに隣接する部分において、第2固定部2Cに向かって幅が広がっている第2拡幅部を有していることが好ましい。第1拡幅部、第1定幅部、第2拡幅部の詳細については、第2の実施の形態に係る医療用具102の第1拡幅部1D、第1定幅部1E、第2拡幅部2Dを参照すればよい。
【0073】
図示していないが、医療用具101、102、103は、それぞれ、医療用管状体と、医療用管状体の少なくとも一部が内部に配置された保護管を有し、基材シート10は、一対の切込みを有し、一対の切込みの切込み縁は、それぞれ巻回された保護管を挟持しており、少なくとも第1固定部材1は、一対の切込みのうちの一方の切込みから他方の切込みに至るまでの領域の外側に位置することが好ましい。医療用具101、102、103が医療用シース20、保護管、及び医療用管状体を有していることにより、医療用シース20、保護管、及び医療用管状体をまとめて滅菌することができる。また、一方の切込みから他方の切込みに至るまでの領域は、保護管を着脱するときに変形し易い領域であるため、当該領域の外側の領域に医療用シース20を配置することにより、意図していないタイミングでの医療用シース20の脱離を防止し易くすることができる。また逆に、医療用シース20を着脱するときに意図していないタイミングでの保護管の脱離を防止し易くすることができる。
【0074】
一対の切込みにより形成された一対のフラップは、それぞれ、基材シート10の外側に向かう方向に延在していることが好ましい。これにより、各フラップは巻回された保護管を保持し易くなる。
【0075】
医療用シース20は、巻回された保護管の内側に位置することが好ましい。このような配置により、医療用具を積み重ねた際に加わる医療用シース20への圧力を低減することができる。
【0076】
基材シート10は、他の切込みを有していてもよい。また医療用具101、102、103は、更に、他の部材を有していてもよく、他の部材は、1または複数の他の切込みの切込み縁により基材シート10に固定されていてもよい。他の部材として、シリンジ、マンドレル、ガイドワイヤ、針、ダイレータ、インサーター、リラッパー等が挙げられる。
【0077】
保護管の厚さ方向の断面の外縁の形状としては、円形、楕円形、多角形、角丸多角形、またはこれらの組み合わせ形状が好ましく、円形、楕円形、または角丸多角形がより好ましく、円形または楕円形が更に好ましく、円形が更により好ましい。保護管の厚さ方向の断面の内腔の外縁の形状としては、円形、楕円形、多角形、角丸多角形、またはこれらの組み合わせ形状が好ましく、円形、楕円形、または角丸多角形がより好ましく、円形または楕円形が更に好ましく、円形が更により好ましい。保護管は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、またはこれらの混合物を含んでいてもよい。
【0078】
保護管の厚さ方向における外径は、医療用シース20の外径より大きいことが好ましい。これにより、複数の医療用具を積み重ねたときに医療用シース20が変形し難くなる。
【0079】
医療用管状体は、バルーンカテーテル、マイクロカテーテル、または貫通用カテーテルであることが好ましく、バルーンカテーテルであることがより好ましい。また医療用管状体は近位端部にハンドル部を有していることが好ましい。保護管は、医療用管状体の少なくとも一部を内部に配置できるものであればよい。保護管は、巻回された状態で複数のクリップにより、その形状が固定されていることが好ましい。
【符号の説明】
【0080】
1 第1固定部材
1X 第1方向
1A 一端部
1B 他端部
1C 第1固定部
1D 第1拡幅部
1E 第1定幅部
1F 非固定部
2 第2固定部材
2X 第2方向
2A 一端部
2B 他端部
2C 第2固定部
2D 第2拡幅部
2E 第2定幅部
2F 非固定部
10 基材シート
20 医療用シース
20L 内腔
20O 開口
20X 軸方向
20S 切込み
101、102、103 医療用具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10