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  • 特開-電子機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172190
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/52 20060101AFI20231129BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H01Q1/52
H01Q9/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083824
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】柏山 仁
(72)【発明者】
【氏名】鄭 子康
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽平
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA02
5J046AA07
5J046AA12
5J046AB07
5J046UA07
(57)【要約】
【課題】 各構成部品が必要とする機能・性能を満たした上で、小型化又は省スペース化を可能とする電子機器を提供する。
【解決手段】 電子機器1は、前面パネル11及び上面パネル13を有する筐体10と、筐体10に収容され、前面パネル11と対向する制御回路基板20と、制御回路基板20の上部において、制御回路基板20から前方に離れた位置で左右に延びるアンテナ30と、上面パネル13に配置される太陽電池40とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面パネル及び上面パネルを有する筐体と、
前記筐体に収容され、前記前面パネルと対向する制御回路基板と、
前記制御回路基板の上部において、前記制御回路基板から前方に離れた位置で左右に延びるアンテナと、
前記上面パネルに配置される太陽電池と
を備える、電子機器。
【請求項2】
前記前面パネルは、開口部を有し、
前記アンテナの下方において、前記制御回路基板に実装され、前記開口部から前記筐体の外部に露出する表示部を備える請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記太陽電池は、当該太陽電池の前端が前記アンテナの前端から所定距離だけ後方に離隔する位置に配置される請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記太陽電池は、受光面が前方斜め上を向くように水平面に対して傾斜して配置される請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記筐体の内部において、前記制御回路基板の後方に配置される電池を備え、
前記制御回路基板は、前記電池の電力で動作する請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御回路基板は、前記太陽電池の電力で動作する請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記アンテナは、導体により形成され、平面視略U字状を有し、当該アンテナの両端部が前記制御回路基板に実装される請求項1又は2に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デジタルピッキングシステムに用いる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や物流倉庫などにおいて、製品の組み立てに用いる部品や搬送する物品などのピッキング作業を効率的に行うために、デジタルピッキングシステムが利用されている。デジタルピッキングシステムは、部品又は物品を保管している保管棚に取り付けられる電子機器と、各電子機器へピッキングする部品又は物品の指示を送る制御装置とを備える。作業者は、電子機器の指示に従って部品又は物品を取りに行く。電子機器は、ピッキングを指示するための表示部と、表示部の表示を制御する制御回路基板と、制御装置と無線通信するためのアンテナと、アンテナ及び基板へ電力を供給する太陽電池とを備える。
【0003】
アンテナと太陽電池とを備える電子機器においては、通信電波の減衰やアンテナと太陽電池の結合を抑制するため、アンテナと太陽電池とは互いに影響を受けないように配置される必要がある。例えば、特許文献1では、アンテナと太陽電池と制御回路基板から構成された太陽電池ユニットにおいて、アンテナと太陽電池が表面視で重ならないようにして制御回路基板の表面と裏面とそれぞれ配置され、且つ、アンテナ部分は基板の非導体部に配置されている。これにより、アンテナが発する電波が太陽電池によって減衰されることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6975859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、デジタルピッキングシステムで用いられる電子機器では、電子機器の設置場所及び作業者への視認性の関係で、電子機器が備える表示部、制御回路基板、アンテナ及び太陽電池が、電子機器の筐体の前面側に全て集中することが望ましくなる。特に表示部、アンテナ及び太陽電池は、筐体の前面側において筐体の表面付近に配置されることが望ましくなる。そのため、特許文献1のように、アンテナと太陽電池とを制御回路基板の表面と裏面とにそれぞれ配置するような構成とすることができない。このような電子機器において、表示部、制御回路基板、アンテナ及び太陽電池が必要とする機能・性能を満たした上で、筐体内の限られたスペースに配置することが難しいという問題がある。
【0006】
本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、各構成部品が必要とする機能・性能を満たした上で、小型化又は省スペース化を可能とする電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、電子機器は、前面パネル及び上面パネルを有する筐体と、筐体に収容され、前面パネルと対向する制御回路基板と、制御回路基板の上部において、制御回路基板から前方に離れた位置で左右に延びるアンテナと、上面パネルに配置される太陽電池とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、各構成部品が必要とする機能・性能を満たした上で、小型化又は省スペース化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る電子機器の斜視図である。
図2図1の電子機器の前面パネル、上面パネル及び表示部を外した状態を示す斜視図である。
図3図1の電子機器のIII-III断面を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
本実施形態では、電子機器は、デジタルピッキングシステムにおいて、ピッキングする部品又は物品を示す表示器として用いられる。なお、電子機器の用途はデジタルピッキングシステムに限られない。
【0012】
図1図3を参照して、本実施形態に係る電子機器1について説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る電子機器1の斜視図である。図2では、前面パネル11、上面パネル13及び表示部50を外した状態を示す。図3は、図1の電子機器1のIII-III断面を模式的に示す断面図である。図3では、電子機器1の各構成部材を電気的に接続する接続線及び各構成部材を支持する支持部材を省略して示している。以下の説明では、電子機器1を一般に使用する状態で置いた場合の鉛直方向を上下方向と定義する。また、電子機器1の表示部50が設けられる側を前側として前後方向を定義する。また、上下方向及び左右方向に直交する方向を左右方向と定義する。
【0013】
図1図3に示すように、電子機器1は、筐体10と、制御回路基板20と、アンテナ30と、太陽電池40とを備える。電子機器1は、表示部50及び電池60をさらに備えてもよい。この電子機器1が備える制御回路基板20、アンテナ30、太陽電池40、表示部50及び電池60が電子機器1の構成部材である。
【0014】
筐体10は、前面パネル11、後面パネル12、上面パネル13、底面パネル14及び一対の側面パネル15によって構成される中空の部材である。筐体10は、既知のデジタルピッキングシステムの表示器の筐体と同程度の大きさを有する。筐体10の材質は、特に限定されないが、例えば合成樹脂を用いることができる。
【0015】
前面パネル11は、表示部50を取り付けるための開口部111を有する。開口部111は、表示部50の外形と略同等の形状を有する。開口部111は、取り付けられる表示部50の数だけ形成される。
【0016】
上面パネル13は、太陽電池40を取り付けるための開口部131を有する。開口部131は、太陽電池40の外形と略同等の形状を有する。また、上面パネル13は、後端が前端より上方に位置するように水平面に対して傾斜している。傾斜角度は、後述する太陽電池40の傾斜角度と略同等が好ましい。
【0017】
制御回路基板20には、マイコン(不図示)及びメモリ(不図示)が実装される。制御回路基板20に実装されたマイコンは、アンテナ30及び表示部50への電力の供給、及び、表示部50の表示を制御する。制御回路基板20は、太陽電池40及び/又は電池60の電力で動作する。制御回路基板20は、筐体10に収容され、前面パネル11に近い位置で、前面パネル11と対向して配置される。
【0018】
アンテナ30は、無線通信を行うための通信器具である。アンテナ30は、導体により形成され、線状を有する。詳細には、アンテナ30は、細い棒状導体で構成される。本実施形態では、アンテナ30は、棒状に延びた導体の両端部が同一方向に屈曲されて、平面視略U字状を有する。アンテナ30は、回折性の高いUHF(Ultra High Frequency)帯の周波数を受信でき、且つ、広い指向性と利得を兼ね備えたアンテナが好ましく、例えば、半波長ダイポールアンテナが好ましい。これにより、電子機器1が配置される領域に、通信に影響する障害物が多く有っても精度の高い通信を実現することができる。
【0019】
アンテナ30は、制御回路基板20の上部において、制御回路基板20から前方に離れた位置で左右に延びる。具体的には、アンテナ30は、アンテナ30の両端部が制御回路基板20の前面側に実装され、アンテナ30のU字の底に相当する部分が、制御回路基板20から前方に離れた位置で左右に延びる。アンテナ30は、太陽電池40及び電池60から給電されて動作する。
【0020】
太陽電池40は、光起電力効果を利用して、光を電力に変換する電力機器である。太陽電池40は、例えば、太陽電池パネルである。太陽電池40は、受光面41で光を受光することで発電を行い、発電された電力は、太陽電池40が備える電極(不図示)から導通部材を介して制御回路基板20に供給される。この太陽電池40は、既知の電子機器に搭載されている太陽電池パネルと同程度の大きさを有する。
【0021】
太陽電池40は、上面パネル13に配置される。具体的には、太陽電池40は、上面パネル13の開口部131から受光面41が外部に露出するように配置される。このとき、太陽電池40は、太陽電池40の前端40aがアンテナ30の前端30aから所定距離だけ後方に離隔する位置に配置されることが好ましい。これにより、アンテナ30と太陽電池40とが結合することを抑制することができる。この観点から、太陽電池40の前端40aとアンテナ30の前端30aとの距離は、例えば9mm以上が好ましい。
【0022】
また、太陽電池40は、受光面41が前方斜め上を向くように水平面に対して所定角度で傾斜して配置されることが好ましい。これにより、太陽電池40は、効率良く光を受光することができる。この観点から、太陽電池40の受光面41の水平面に対する傾斜角度は、20°~45°が好ましい。
【0023】
表示部50は、点灯によりピッキングする部品又は物品を指示するLED(Light Emitting Diode)51と、ピッキングする部品又は物品の個数などを表示するLCD(Liquid Crystal Display)52とを有する。前面パネル11のアンテナ30の下方部分には、LED51を取り付けるための開口部111と、LCD52を取り付けるための開口部111とが形成されている。LED51及びLCD52は、アンテナ30の下方において、制御回路基板20に実装され、開口部111から筐体10の外部に露出して配置される。
【0024】
電池60は、例えば、乾電池などの一次電池である。電池60は、電子機器1の想定される製品寿命までの間、交換が不要な高電力密度で大容量の電池が好ましい。これにより、電子機器1は、電池60の交換に伴うメンテナンスが不要となり、電池60を搭載しない電子機器と同等の長期間のメンテナンスフリーを実現することができる。
【0025】
電池60は、筐体10の内部において、制御回路基板20の後方に配置される。電池60は、アンテナ30に電力を供給できるように、制御回路基板20を介してアンテナ30と電気的に接続されている。
【0026】
以上のように、本開示の電子機器1では、アンテナ30が前面パネル11と対向する制御回路基板20より前方に配置され、太陽電池40が上面パネル13に配置されている。これにより、アンテナ30と太陽電池40及び制御回路基板20とが一定程度離れて配置されることとなり、アンテナ30が太陽電池40及び制御回路基板20から影響を受けることを抑制することができる。また、アンテナ30は筐体10内で前面パネル11の近くに配置されるため、一般に前方にある機器と無線通信を行うアンテナ30の無線通信の性能は確保される。また、太陽電池40は筐体10の上面パネル13に配置されるため、一般に上方且つ前方から照射する光を受光することに支障がない。その結果、アンテナ30及び太陽電池40が必要とする機能・性能を満たすことができる。また、アンテナ30及び太陽電池40をこのような配置とすることで、筐体10は既知の筐体と略同程度の大きさとすることができ、電子機器1が大きくなりすぎることなく、従来通りの小型化又は省スペース化を実現することができる。
【0027】
また、本開示の電子機器1では、アンテナ30が制御回路基板20の上部に設けられているため、アンテナ30の下方において前面パネル11に表示部50を設けることができる。これにより、作業員への指示を表示する表示部50が電子機器1の前面の見やすい位置に配置され、表示部50が必要とする機能・性能を満たし、且つ、アンテナ30の下方の空きスペースに表示部50を配置できることで小型化又は省スペース化を実現することができる。
【0028】
また、アンテナ30が細い棒状導体で平面視略U字状に形成されるため、アンテナ30を制御回路基板20から離隔させつつ、ケーブルなどを使用せずに制御回路基板20にアンテナ30を直接的に実装することができる。これにより、筐体10にケーブルなどの収納スペースを確保する必要がなく、小型化及び省スペース化を実現することができる。
【0029】
また、本開示の電子機器1では、筐体10の内部に電池60を収容している。また、筐体10には、太陽電池40が設けられている。これにより、制御回路基板20及びアンテナ30は、電池60及び/又は太陽電池40の電力で動作する。加えて、太陽電池40の受光面41を水平面から傾斜させて配置している。これにより、太陽電池40の受光面41と光照射方向とがなす角度を90°に近づけることができ、太陽電池40の発電効率が上がり、太陽電池40によって大きな電力を得ることができる。これらの結果、制御回路基板20及びアンテナ30へ多くの電力を安定的に給電できることとなる。従って、アンテナ30はアクティブ方式で無線通信することができる。アクティブ方式の無線通信を採用することにより、無線通信の通信可能距離が大幅に長くなり、無線通信の性能及び安定性を改善することができる。また、電池60を、高電力密度で大容量の電池とすることで、電池60の交換に伴うメンテナンスが不要となり、電池60を搭載しない電子機器と同等の長期間のメンテナンスフリーで安定動作を実現することができる。
【0030】
以上、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明した。但し、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0031】
上記の実施形態では、太陽電池40は受光面41が水平面に対して特定の角度で傾斜して配置されているが、本開示はこれに限定されない。例えば、太陽電池40は、受光面41の水平面に対する傾斜角度を変えられる構成としてもよい。電子機器1は、設置場所によって太陽電池40の受光面41と光照射方向とがなす角度が変わることが多々ある。受光面41の傾斜角度を変えられることで、電子機器1を設置した状態で光の照射角度に応じて最大限光を受光できるように受光面41の角度を変えることができる。これにより、太陽電池40の効率をさらに向上させることができる。
【0032】
上記の実施形態では、アンテナ30は導体により形成されているが、本開示はこれに限定されない。例えば、アンテナ30は、アンテナ基材と、アンテナ基材に形成された導体パターンとで構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本開示は、デジタルピッキングシステムなどに用いる電子機器の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 電子機器
10 筐体
11 前面パネル
111 開口部
13 上面パネル
20 制御回路基板
30 アンテナ
40 太陽電池
41 受光面
50 表示部
60 電池
図1
図2
図3