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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172194
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20231129BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H05K7/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083836
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹沼 宣之
(72)【発明者】
【氏名】八幡 光一
(72)【発明者】
【氏名】幾山 武
【テーマコード(参考)】
5E348
5H770
【Fターム(参考)】
5E348AA02
5E348AA03
5E348AA05
5E348AA08
5E348AA10
5E348AA11
5E348AA32
5H770AA05
5H770AA07
5H770AA21
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA41
5H770GA06
5H770HA17Z
5H770PA11
5H770QA01
5H770QA06
5H770QA25
5H770QA27
5H770QA33
5H770QA36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】パワーモジュールの制御端子の接続信頼性が向上する電力変換装置を提供する。
【解決手段】複数のパワーモジュールと、複数のパワーモジュールを駆動制御する電子部品が搭載された回路基板300と、回路基板に設けられた固定部304を介して回路基板を固定する基台と、を備えた電力変換装置であって、電子部品は、パワーモジュールを駆動するための電圧を変換するトランス305、306を含む。回路基板は、複数のパワーモジュールの上アームの各制御端子が接続される複数の接続部301が並んで配置された上アーム接続領域UCと、複数のパワーモジュールの下アームの各制御端子が接続される複数の接続部303が並んで配置された下アーム接続領域LCと、を備える。固定部は、上アーム接続領域と下アーム接続領域との間の第1固定領域F1に設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパワーモジュールと、前記複数のパワーモジュールを駆動制御する電子部品が搭載された回路基板と、前記回路基板に設けられた固定部を介して前記回路基板を固定する基台と、を備えた電力変換装置において、
前記電子部品は、前記パワーモジュールを駆動するための電圧を変換するトランスを含み、
前記回路基板は、前記複数のパワーモジュールの上アームの各制御端子が接続される複数の接続部が並んで配置された上アーム接続領域と、前記複数のパワーモジュールの下アームの各制御端子が接続される複数の接続部が並んで配置された下アーム接続領域とを備え、
前記固定部は、前記上アーム接続領域と前記下アーム接続領域との間の第1固定領域に設けられる電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記回路基板は、前記接続部および前記電子部品を接続するパターン配線を備え、
前記回路基板上の前記パターン配線は、高圧回路側領域のパターン配線と低圧回路側領域のパターン配線とに区分され、
前記接続部および前記トランスは、前記高圧回路側領域のパターン配線上に配置され、
前記第1固定領域には、前記低圧回路側領域のパターン配線が配置される電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置において、
前記パワーモジュールは、前記上アームの前記制御端子と前記下アームの前記制御端子の間に主端子を備え、
前記第1固定領域の前記固定部は、前記複数のパワーモジュールの各主端子との間に配置される電力変換装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電力変換装置において、
前記固定部は、前記上アーム接続領域および前記下アーム接続領域よりなる接続領域に並ぶ領域であって、前記トランスが配置される第2固定領域に設けられる電力変換装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電力変換装置において、
前記トランスは、複数のトランスにより構成され、
前記固定部は、前記各トランスに対応して設けられる電力変換装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電力変換装置において、
前記トランスは、前記複数のパワーモジュールの上アームを駆動するための電圧を変換する第1トランスと前記複数のパワーモジュールの下アームを駆動するための電圧を変換する第2トランスとにより構成される電力変換装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電力変換装置において、
前記固定部は、前記第1トランスと前記第2トランスとの間に設けられる電力変換装置。
【請求項8】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電力変換装置において、
前記固定部は、前記上アーム接続領域および前記下アーム接続領域よりなる前記接続領域に並ぶ領域であって、前記第2固定領域とは反対側の第3固定領域に設けられる電力変換装置。
【請求項9】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電力変換装置において、
前記固定部は、前記回路基板の周囲に設けられる電力変換装置。
【請求項10】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電力変換装置において、
前記基台は、金属板である電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電力を交流電力に変換する電力変換装置は、複数のパワーモジュールと、パワーモジュールを駆動するために電圧を変換するトランスが搭載された回路基板とを備えている。電力変換装置を車両等に搭載した場合に、車両の走行による振動を受ける。回路基板にはパワーモジュールの制御端子が接続されるが、重量物であるトランス等の振動により回路基板に撓みや振動が生じ、制御端子の接続信頼性を損なう可能性がある。
【0003】
特許文献1には、複数の端子を有する電子部品が実装された電子部品を有する電子基板と、電子基板を支持する支持具とを備え、電子基板と支持具とは、共振時の電子基板の振動モードが電子部品における断線の発生を抑止可能な振動モードとなるように締結されている電力変換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-161547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、パワーモジュールの制御端子の接続信頼性は考慮されておらず、パワーモジュールの制御端子の接続信頼性が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による電力変換装置は、複数のパワーモジュールと、前記複数のパワーモジュールを駆動制御する電子部品が搭載された回路基板と、前記回路基板に設けられた固定部を介して前記回路基板を固定する基台と、を備えた電力変換装置において、前記電子部品は、前記パワーモジュールを駆動するための電圧を変換するトランスを含み、前記回路基板は、前記複数のパワーモジュールの上アームの各制御端子が接続される複数の接続部が並んで配置された上アーム接続領域と、前記複数のパワーモジュールの下アームの各制御端子が接続される複数の接続部が並んで配置された下アーム接続領域とを備え、前記固定部は、前記上アーム接続領域と前記下アーム接続領域との間の第1固定領域に設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パワーモジュールの制御端子の接続信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における電力変換装置の分解斜視図である。
図2】本実施形態における電力変換装置の回路構成図である。
図3】本実施形態における電力変換装置の回路基板の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0010】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0011】
同一あるいは同様な機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0012】
図1は、本発明の実施形態における電力変換装置1000の分解斜視図である。
電力変換装置1000は、パワーモジュール100、基台200、回路基板300を備えている。
【0013】
パワーモジュール100は、U相パワーモジュール100U、V相パワーモジュール100V、W相パワーモジュール100Wを備える。各相のパワーモジュール100は、上アーム制御端子101および下アーム制御端子103および主端子102がそれぞれ同一方向に突出している。主端子102は上アーム制御端子101と下アーム制御端子103との間に位置する。
【0014】
基台200には、パワーモジュール100や回路基板300が固定される。パワーモジュール100の上アーム制御端子101および下アーム制御端子103は、基台200の貫通孔を介して回路基板300に接続される。なお、図1では、分かり易くするために、上アーム制御端子101および下アーム制御端子103を、基台200の貫通孔から突出させた状態を図示している。なお、各相のパワーモジュール100の主端子102は、図示省略した正極および負極の直流バスバーに接続されるが、直流バスバーは、基台200の直下に配置される。基台200には、パワーモジュール100の他に、図示省略したコンデンサなどが配置され、基台200とケース400により囲まれた空間に収納される。基台200とケース400は、金属により構成される。基台200には、複数の固定受け部204が設けられ、回路基板300に設けられた複数の固定部304と固定受け部204とがそれぞれビス等で締結され、回路基板300が基台200に固定される。回路基板300の固定部304は回路基板300上のグランド配線に接続され、導電性のビス等、および導電性の固定受け部204を介して基台200と電気的に接続される。
【0015】
回路基板300には、パワーモジュール100を駆動するための電圧を変換する第1トランス305、第2トランス306などの電子部品が配置されている。第1トランス305、第2トランス306には、高電圧接続コネクタ307を介して高電圧が入力される。さらに、回路基板300には、各パワーモジュール100の上アーム制御端子101および下アーム制御端子103を回路基板300上の配線パターンにそれぞれ接続する接続部301、303が設けられている。なお、回路基板300上には、第1トランス305、第2トランス306と接続部301、303を接続する配線パターンやその他の配線パターン、電子部品が配置されているが、図示を省略している。
【0016】
図2は、本実施形態における電力変換装置1000の回路構成図である。
U相パワーモジュール100Uは、上アームおよび下アームにそれぞれ対応するスイッチング素子を有している。スイッチング素子はIGBT100Iとダイオード100Dからなり、上アームおよび下アームを一つにパッケージして構成される。
【0017】
U相パワーモジュール100Uの主端子102は、正極主端子102P、負極主端子102N、AC出力端子102Aを含む。正極主端子102Pと負極主端子102Nの間には高圧の直流電圧が印加され、AC出力端子102Aより交流電圧が出力される。U相パワーモジュール100Uの制御端子101、103は、IGBT100Iのゲートに接続されているゲート端子101G、103Gと、IGBT100Iのエミッタに接続されているエミッタ端子101E、103Eを含む。
【0018】
V相パワーモジュール100V、W相パワーモジュール100Wは、図示を省略しているが、U相パワーモジュール100Uと同様の構成である。電力変換装置1000は、U相パワーモジュール100U、V相パワーモジュール100V、W相パワーモジュール100Wを用いて三相ブリッジ回路を構成する。そして、制御端子101、103に駆動信号を入力することによりスイッチング素子をオンオフ制御し、正極主端子102Pと負極主端子102Nの間に入力された直流電圧を交流電力に変換する。変換した交流電力は、AC出力端子102Aより図示省略したモータの各相の巻線へ通電することにより、モータを駆動する。
【0019】
回路基板300には、高圧回路側領域HBと低圧回路側領域LBに分けて、電子部品やパターン配線が配置されている。高圧回路側領域HBには、接続部301、303、高電圧接続コネクタ307、上アームドライバ電源回路308、下アームドライバ電源回路309とこれらの接続のためのパターン配線が配置されている。
【0020】
上アームドライバ電源回路308は、第1トランス305を含み、高電圧接続コネクタ307を介して入力される直流電圧が印加され、所定のゲート電圧に変換された後に、各相の上アームゲートドライバ回路310U、310V、310Wへ入力される。
【0021】
下アームドライバ電源回路309は、第2トランス306を含み、高電圧接続コネクタ307を介して入力される直流電圧が印加され、所定のゲート電圧に変換された後に、各相の下アームゲートドライバ回路311U、311V、311Wへ入力される。
【0022】
回路基板300の低圧回路側領域LBには、マイコンなどの制御回路312とこれらの接続のためのパターン配線が配置されている。制御回路312は、図示省略した上位の制御装置より入力されたトルク指令等に応じて、パワーモジュール100のスイッチング素子をオンオフ制御する制御信号を生成して、上アームゲートドライバ回路310U、310V、310W、および下アームゲートドライバ回路311U、311V、311Wへ出力する。
【0023】
上アームゲートドライバ回路310U、310V、310W、および下アームゲートドライバ回路311U、311V、311Wは、高圧回路側と低圧回路側が絶縁素子などにより電気的に分離されている。そして、制御回路312からの制御信号を、第1トランス305、第2トランス306より供給された電圧に基づく駆動信号として、接続部301、303を介して、U相パワーモジュール100U、V相パワーモジュール100V、W相パワーモジュール100Wへ出力する。制御回路312から上アームゲートドライバ回路310U、310V、310W、および下アームゲートドライバ回路311U、311V、311Wへの制御信号のパターン配線は、回路基板300の低圧回路側領域LBに配置される。そして、このパターン配線は、信号線SLとグランド線GLとよりなるが、このうちグランド線GLは固定部304へ接続され、固定部304および固定受け部204を介して基台200と電気的に接続される。基台200はグランドへ接続されている。
【0024】
図3は、本実施形態における電力変換装置1000の回路基板300の上面図である。
回路基板300は、主にパワーモジュール100を駆動する電源や電子部品が配置される高圧回路側領域HBと、電力変換装置1000の制御を担う制御回路312が配置される低圧回路側領域LBとに分けられる。高圧回路側領域HBと低圧回路側領域LBは絶縁を確保するために所定の距離で隔てられている。
【0025】
回路基板300の高圧回路側領域HBには、接続部301、303、高電圧接続コネクタ307、上アームドライバ電源回路308、下アームドライバ電源回路309、ゲートドライバ回路310U、310V、310W、311U、311V、311W、これらの接続のためのパターン配線が配置されている。
【0026】
回路基板300の低圧回路側領域LBには、制御回路312と、制御回路312とゲートドライバ回路310U、310V、310W、311U、311V、311Wとを接続するパターン配線等が配置されている。固定部304は、回路基板300の4辺である周囲に複数個配置されている他、以下で説明する箇所に配置されている。
【0027】
ここで、接続部301、303は、例えば、フローティングコネクタであり、回路基板300上に突出した制御端子101、103を回路基板300上のパターン配線に接続する。なお、フローティングコネクタ等を用いることなく、制御端子101、103を回路基板300上のパターン配線にはんだ付けして接続部301、303としてもよい。
【0028】
さらに、回路基板300は、複数のパワーモジュール100の上アームの各制御端子101が接続される複数の接続部301が縦に並んで配置された上アーム接続領域UCと、複数のパワーモジュール100の下アームの各制御端子103が接続される複数の接続部303が縦に並んで配置された下アーム接続領域LCに分けられる。
【0029】
そして、固定部304は、上アーム接続領域UCと下アーム接続領域LCとの間の第1固定領域F1に設けられる。第1固定領域F1には、低圧回路側領域LBのパターン配線が配置される。具体的には、制御回路312とゲートドライバ回路310U、310V、310Wとを接続するパターン配線が配置され、このうちのグランド線GLは固定部304へ接続される。
【0030】
ゲートドライバ回路310U、310V、310W、311U、311V、311Wは、パワーモジュール100の高速のスイッチング制御を担っているため、パワーモジュール100の制御端子101、103との接続信頼性および高いノイズ耐性が求められる。回路基板300の振動は、車両の走行等による振動を受けて重量物であるトランスが回路基板300上で振動する場合やトランスの通電によりトランス自体が振動する場合がある。
【0031】
固定部304を接続部301、303の近傍である第1固定領域F1に設けることにより、回路基板300の振動や撓みが接続部301、303に影響するのを緩和することができ、パワーモジュール100の制御端子101、103の接続信頼性が向上する。
【0032】
さらに、上アームドライバ電源回路308、下アームドライバ電源回路309、ゲートドライバ回路310U、310V、310W、311U、311V、311Wから伝搬するスイッチングノイズをグランド線GLにより短経路で導出できるので、ノイズを低減することができる。
【0033】
また、電力変換装置1000の基台200やケース400は、図示省略した冷却水により冷却されている。そして、固定部304は、基台200やケース400に物理的に接続されている。固定部304をゲートドライバ回路310U、310V、310W、311U、311V、311Wに隣接して配置することで、これらの回路からの発熱を固定部304を介して基台200やケース400へ伝導することにより温度上昇を低減することができる。
【0034】
各パワーモジュール100は、図1に示したように、上アームの制御端子101と下アームの制御端子103の間に主端子102を備えているが、第1固定領域F1の固定部304は、各パワーモジュール100の各主端子102との間に配置される。具体的には、図1に示したように、パワーモジュール100は、U相パワーモジュール100U、V相パワーモジュール100V、W相パワーモジュール100Wが縦に隣接して配置されているが、図3に示すように、W相パワーモジュール100Wの主端子102の位置とV相パワーモジュール100Vの主端子102の位置との間の領域に位置する回路基板300上に固定部304を設ける。同様に、V相パワーモジュール100Vの主端子102の位置とU相パワーモジュール100Uの主端子102の位置との間の領域に位置する回路基板300上に固定部304を設ける。図示省略しているが、U相パワーモジュール100Uの主端子102の位置を挟んで、V相パワーモジュール100Vの主端子102の位置とU相パワーモジュール100Uの主端子102の位置との間の領域の反対側の領域に位置する回路基板300上に固定部304を設けてもよい。
【0035】
各パワーモジュール100の各主端子102には、高電圧であり大電流が流れる。そして、主端子102の直上の回路基板300は電磁ノイズの影響を受ける。本実施形態では、固定部304を、第1固定領域F1であって、各パワーモジュール100の各主端子102との間に配置するので、主端子102からの電磁ノイズが固定部304に及ぶのを抑制できる。
【0036】
さらに、固定部304は、上アーム接続領域UCおよび下アーム接続領域LCよりなる接続領域に並ぶ領域であって、第1トランス305、第2トランス306が配置される第2固定領域F2に設けられる。具体的には、上アーム接続領域UCおよび下アーム接続領域LCよりなる接続領域に並ぶ領域と、第1トランス305、第2トランス306が配置されている領域の間であって、第1トランス305および第2トランス306のそれぞれに対応して固定部304が設けられる。なお、第2固定領域F2内であって、第1トランス305と第2トランス306との間に固定部304を設けてもよい。図3では、第2固定領域F2は、上アーム接続領域UCと隣接する場合を例に示したが、各パワーモジュール100を回路基板300と直交する軸を中心に180度回転して配置した場合には、第2固定領域F2は、下アーム接続領域LCと隣接するが、この場合も同様に、固定部304は、上アーム接続領域UCおよび下アーム接続領域LCよりなる接続領域に並ぶ領域であって、第1トランス305、第2トランス306が配置される第2固定領域F2に設けられる。トランスは第1トランス305、第2トランス306の2個の例を示したが、3個以上であってもよい。
【0037】
固定部304を第2固定領域F2に設けたので、重量物である第1トランス305、第2トランス306の振動を抑えることにより回路基板300に生じる撓みや振動を抑制することができる。特に、第1トランス305と第2トランス306との間に固定部304を設けた場合には、各トランスの振動を効果的に抑制することができる。
【0038】
また、パワーモジュールを駆動するための電圧を変換するトランスを複数のトランスにより構成して回路基板300に配置しているので、回路基板300上におけるトランスの重量を分散して配置することができ、トランスを1個にして回路基板300が局所的に振動する場合に比較して、その振動の影響を抑えることができる。
【0039】
さらに、固定部340は、上アーム接続領域UCおよび下アーム接続領域LCよりなる接続領域に並ぶ領域であって、第2固定領域F2とは反対側の第3固定領域F3に設けられる。具体的には、固定部340は、第3固定領域F3であって、3個の接続部303、もしくはゲートドライバ回路311U、311V、311Wに対応してそれぞれ設けられる。
【0040】
固定部304を接続部301、303の近傍である第3固定領域F3に設けることにより、回路基板300の振動やたわみが接続部303に影響するのを緩和することができ、パワーモジュール100の制御端子101、103の接続信頼性が向上する。さらに、ゲートドライバ回路311U、311V、311Wから伝搬するスイッチングノイズをグランド線GLにより短経路で導出できるので、ノイズを低減することができる。
【0041】
パワーモジュール100と回路基板300との間に位置する基台200は金属板であるので、パワーモジュール100の高電圧で大電流のスイッチングによって発生するノイズの回路基板300への影響を抑制するシールド板として機能する。
【0042】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)電力変換装置1000は、複数のパワーモジュール100と、複数のパワーモジュール100を駆動制御する電子部品が搭載された回路基板300と、回路基板300に設けられた固定部304を介して回路基板300を固定する基台200と、を備える。電子部品は、パワーモジュール100を駆動するための電圧を変換するトランス305、306を含み、回路基板300は、複数のパワーモジュール100の上アームの各制御端子101が接続される複数の接続部301が並んで配置された上アーム接続領域UCと、複数のパワーモジュール100の下アームの各制御端子103が接続される複数の接続部303が並んで配置された下アーム接続領域LCとを備え、固定部304は、上アーム接続領域UCと下アーム接続領域LCとの間の第1固定領域F1に設けられる。これにより、パワーモジュールの制御端子の接続信頼性が向上する。
【0043】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限り、本発明の技術思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
100・・・パワーモジュール、100I・・・IGBT、100D・・・ダイオード、102P・・・正極主端子、102N・・・負極主端子、102A・・・AC出力端子、101G、103G・・・ゲート端子、101E、103E・・・エミッタ端子、100U・・・U相パワーモジュール、100V・・・V相パワーモジュール、100W・・・W相パワーモジュール、101・・・上アーム制御端子、103・・・下アーム制御端子、102・・・主端子、200・・・基台、300・・・回路基板、301、303・・・接続部、304・・・固定部、305・・・第1トランス、306・・・第2トランス、308・・・上アームドライバ電源回路、309・・・下アームドライバ電源回路、310U、310V、310W・・・上アームゲートドライバ回路、311U、311V、311W・・・下アームゲートドライバ回路、312・・・制御回路、400・・・ケース、1000・・・電力変換装置、HB・・・高圧回路側領域、LB・・・低圧回路側領域、SL・・・信号線、GL・・・グランド線、UC・・・上アーム接続領域、LC・・・下アーム接続領域、F1・・・第1固定領域、F2・・・第2固定領域、F3・・・第3固定領域。
図1
図2
図3