(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172216
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】燃焼機
(51)【国際特許分類】
F23N 5/00 20060101AFI20231129BHJP
F23N 5/02 20060101ALI20231129BHJP
F23N 5/20 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
F23N5/00 V
F23N5/02 342
F23N5/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083871
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】霜鳥 敏之
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 篤
【テーマコード(参考)】
3K003
3K005
【Fターム(参考)】
3K003EA01
3K003FA01
3K003FB05
3K003FC06
3K003GA04
3K003HA02
3K005AB03
3K005AB04
3K005AC02
3K005AC06
3K005BA05
3K005CA05
3K005DA05
3K005GA15
3K005GB05
3K005GB09
3K005JA04
(57)【要約】
【課題】持ち運び容易な蓄電式の電源装置を使用できる燃焼機を提供する。
【解決手段】
気化器9を備えたバーナ2と、気化ヒータ8と、電磁ポンプ11と、放電電極22と、燃焼センサ23と、気化温度センサ21と、制御部3とを備え、気化器9の温度がオン温度以下であると気化ヒータ8をオンし、気化器9の温度がオン温度より高いオフ温度以上となると気化ヒータ8をオフし、着火動作後、気化器9の温度がオフ温度以上になった時燃焼量を変更するので、オフ温度以上になることで気化ヒータ8への通電が停止され、更に燃焼量を増加させても気化器9の温度がオン温度まで下がらずに気化ヒータ8への再度の通電を防ぎ、気化ヒータ8への通電による電力の消費が抑えられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃油を気化する気化器を備えた燃焼部と、前記気化器を加熱する気化器加熱手段と、前記気化器に燃油を供給する燃油供給手段と、前記気化器で気化した燃油を着火する着火手段と、前記燃焼部の炎を検知する炎検知手段と、前記気化器の温度を検知する気化器温度検知手段と、前記燃焼部の燃焼の開始及び停止を指令する運転スイッチと、前記燃焼部の燃焼を制御する制御部とを備え、前記制御部は前記気化器の温度がオン温度以下であると前記気化器加熱手段をオンし、前記気化器の温度が前記オン温度より高いオフ温度以上となると前記気化器加熱手段をオフする石油燃焼機に於いて、前記制御部は、前記着火手段により着火動作して前記炎検知手段が炎を検知した後、前記気化器の温度が前記オフ温度以上になった時、燃焼量を変更することを特徴とする燃焼機。
【請求項2】
燃油を気化する気化器を備えた燃焼部と、前記気化器を加熱する気化器加熱手段と、前気化器に燃油を供給する燃油供給手段と、前記気化器で気化した燃油を着火する着火手段と、前記燃焼部の炎を検知する炎検知手段と、前記気化器の温度を検知する気化器温度検知手段と、前記燃焼部の燃焼の開始及び停止を指令する運転スイッチと、時間を計時する計時手段と、前記燃焼部の燃焼を制御する制御部とを備え、前記制御部は前記気化器の温度がオン温度以下であると前記気化器加熱手段をオンし、前記気化器の温度が前記オン温度より高いオフ温度以上となると前記気化器加熱手段をオフする石油燃焼機に於いて、前記制御部は、着火後の燃焼量を短時間の間隔で変更させる短時間制御と、着火後の前記燃焼量を長時間の間隔で変更させる長時間制御とを備え、前記着火手段により着火動作して前記炎検知手段が炎を検知した後、前記気化器の温度が前記オフ温度以上になった時、前記燃焼量を前記長時間制御で制御し、その後前記燃焼量が最大燃焼量になってその最大燃焼量の状態が所定時間継続した時、前記燃焼量を前記短時間制御で制御することを特徴とする燃焼機。
【請求項3】
燃油を気化する気化器を備えた燃焼部と、前記気化器を加熱する気化器加熱手段と、前気化器に燃油を供給する燃油供給手段と、前記気化器で気化した燃油を着火する着火手段と、前記燃焼部の炎を検知する炎検知手段と、前記気化器の温度を検知する気化器温度検知手段と、前記燃焼部の燃焼の開始及び停止を指令する運転スイッチと、時間を計時する計時手段と、前記燃焼部の燃焼を制御する制御部とを備え、前記制御部は前記気化器の温度がオン温度以下であると前記気化器加熱手段をオンし、前記気化器の温度が前記オン温度より高いオフ温度以上となると前記気化器加熱手段をオフする石油燃焼機に於いて、前記制御部は、着火後の燃焼量を短時間の間隔で変更させる短時間制御と、着火後の前記燃焼量を長時間の間隔で変更させる長時間制御とを備え、前記着火手段により着火動作して前記炎検知手段が炎を検知した後、前記気化器の温度が前記オフ温度以上になった時、前記燃焼量を前記長時間制御で制御し、その後前記気化器の温度が前記オフ温度より高い切換え温度になった時、前記燃焼量を前記短時間制御で制御することを特徴とする燃焼機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は燃油を燃焼する燃焼機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、運転スイッチの運転開始指令により、気化温度センサの検知温度を監視して気化器を燃油が気化可能な温度まで気化ヒータに通電することで加熱し、気化器の温度を燃焼に適する温度まで上昇させると、電磁ポンプ及び燃焼ファンを駆動開始し、点火装置により混合ガスに点火して燃焼を開始させ、フレームロッドによる燃焼センサにより炎を検知し、気化ヒータへの通電を停止すると共に、器具本体背面の対流ファンの近傍に設けられた室温センサの検知室温と室温設定手段で設定された設定室温との偏差に応じて、電磁ポンプ及び燃焼ファンを制御して燃焼火力を可変して室温設定手段で設定された室温になるように制御を行うものがあった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来のものでは、持ち運び容易な蓄電式の電源装置を電源として運転しようとすると、電源装置の出力が燃焼機の気化ヒータのヒータ出力より小さい場合は燃焼機が運転できないため、出力が小さい電源装置でも燃焼機の運転を可能にするため、燃焼機の気化ヒータのヒータ出力を小さくする必要があった。
【0005】
それにより、気化器の温度を燃焼に適する温度まで上昇させる時間が従来の商用電源を使用する燃焼機よりも長くなり、更に着火後も従来の時間間隔で燃焼量が増加していくと、増加する燃油により気化熱が奪われてなかなか気化器の温度が上昇せず、着火後も気化ヒータに通電されたままの状態で電源装置に蓄電された電力が消費されてしまう課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、燃油を気化する気化器を備えた燃焼部と、前記気化器を加熱する気化器加熱手段と、前記気化器に燃油を供給する燃油供給手段と、前記気化器で気化した燃油を着火する着火手段と、前記燃焼部の炎を検知する炎検知手段と、前記気化器の温度を検知する気化器温度検知手段と、前記燃焼部の燃焼の開始及び停止を指令する運転スイッチと、前記燃焼部の燃焼を制御する制御部とを備え、前記制御部は前記気化器の温度がオン温度以下であると前記気化器加熱手段をオンし、前記気化器の温度が前記オン温度より高いオフ温度以上となると前記気化器加熱手段をオフする石油燃焼機に於いて、前記制御部は、前記着火手段により着火動作して前記炎検知手段が炎を検知した後、前記気化器の温度が前記オフ温度以上になった時、燃焼量を変更するものである。
【0007】
又、請求項2では、燃油を気化する気化器を備えた燃焼部と、前記気化器を加熱する気化器加熱手段と、前気化器に燃油を供給する燃油供給手段と、前記気化器で気化した燃油を着火する着火手段と、前記燃焼部の炎を検知する炎検知手段と、前記気化器の温度を検知する気化器温度検知手段と、前記燃焼部の燃焼の開始及び停止を指令する運転スイッチと、時間を計時する計時手段と、前記燃焼部の燃焼を制御する制御部とを備え、前記制御部は前記気化器の温度がオン温度以下であると前記気化器加熱手段をオンし、前記気化器の温度が前記オン温度より高いオフ温度以上となると前記気化器加熱手段をオフする石油燃焼機に於いて、前記制御部は、着火後の燃焼量を短時間の間隔で変更させる短時間制御と、着火後の前記燃焼量を長時間の間隔で変更させる長時間制御とを備え、前記着火手段により着火動作して前記炎検知手段が炎を検知した後、前記気化器の温度が前記オフ温度以上になった時、前記燃焼量を前記長時間制御で制御し、その後前記燃焼量が最大燃焼量になってその最大燃焼量の状態が所定時間継続した時、前記燃焼量を前記短時間制御で制御するものである。
【0008】
又、請求項3では、燃油を気化する気化器を備えた燃焼部と、前記気化器を加熱する気化器加熱手段と、前気化器に燃油を供給する燃油供給手段と、前記気化器で気化した燃油を着火する着火手段と、前記燃焼部の炎を検知する炎検知手段と、前記気化器の温度を検知する気化器温度検知手段と、前記燃焼部の燃焼の開始及び停止を指令する運転スイッチと、時間を計時する計時手段と、前記燃焼部の燃焼を制御する制御部とを備え、前記制御部は前記気化器の温度がオン温度以下であると前記気化器加熱手段をオンし、前記気化器の温度が前記オン温度より高いオフ温度以上となると前記気化器加熱手段をオフする石油燃焼機に於いて、前記制御部は、着火後の燃焼量を短時間の間隔で変更させる短時間制御と、着火後の前記燃焼量を長時間の間隔で変更させる長時間制御とを備え、前記着火手段により着火動作して前記炎検知手段が炎を検知した後、前記気化器の温度が前記オフ温度以上になった時、前記燃焼量を前記長時間制御で制御し、その後前記気化器の温度が前記オフ温度より高い切換え温度になった時、前記燃焼量を前記短時間制御で制御するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の請求項1によれば、着火手段により着火動作して炎検知手段が炎を検知した後、気化器の温度がオフ温度以上になった時、燃焼量を変更するので、オフ温度以上になることで気化器加熱手段であるヒータへの通電が停止されてヒータによる電力の消費が抑えられ、更に燃焼量を増加させても気化器の温度がオン温度まで下がらず、オン温度に下がることによるヒータへの再度の通電を防ぎ、ヒータへの再度の通電による電力の消費が抑えられる。
【0010】
又、請求項2によれば、着火手段により着火動作して炎検知手段が炎を検知した後、気化器の温度がオフ温度以上になった時、燃焼量を長時間制御で制御し、その後燃焼量が最大燃焼量になってその最大燃焼量の状態が所定時間継続した時、燃焼量を短時間制御で制御するので、着火後に燃焼量を増加させた時、気化器の温度が一旦下がるが燃焼量が更に増加するまでの間に燃焼熱を回収して気化器の温度を上昇させ、燃焼量が更に増加しても気化器の温度がオン温度まで下がらず、オン温度に下がることによるヒータへの再度の通電を防ぎ、ヒータへの再度の通電による電力の消費が抑えられる。
【0011】
又、着火後に燃焼量が最大燃焼量になってその状態が所定時間継続した時点で気化器の温度が十分高くなり、燃焼量を短時間制御で制御しても気化器の温度がオン温度まで下がらず、ヒータへの再度の通電を防ぎつつ室温の変化や設定温度の変更にも素早く燃焼量を変更することができる。
【0012】
又、請求項3によれば、着火手段により着火動作して炎検知手段が炎を検知した後、気化器の温度がオフ温度以上になった時、燃焼量を長時間制御で制御し、その後気化器の温度がオフ温度より高い切換え温度になった時、燃焼量を短時間制御で制御するので、着火後に燃焼量を増加させた時、気化器の温度が一旦下がるが燃焼量が更に増加するまでの間に燃焼熱を回収して気化器の温度を上昇させ、燃焼量が更に増加しても気化部の温度がオン温度まで下がらず、オン温度に下がることによるヒータへの再度の通電を防ぎ、ヒータへの再度の通電による電力の消費が抑えられる。
【0013】
又、着火後に気化器の温度が前記オフ温度より高い切換え温度になった時点で気化器の温度が十分高くなり、燃焼量を短時間制御で制御しても気化器の温度がオン温度まで下がらず、ヒータへの再度の通電を防ぎつつ室温の変化や設定温度の変更にも素早く燃焼量を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【0015】
次に、この発明を適用した一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は燃焼機の機器本体で、機器本体1内部に設けられ、燃焼を行う燃焼部であるバーナ2と、この燃焼機の作動を制御するマイコンを主体として構成された制御部3と、機器本体1背面開口部に設けられ、前記バーナ2での燃焼ガスを室内に放出する送風装置である対流ファン4と、機器本体1前面の温風吹出口5と、機器本体1前面側上部の操作部6とを備えているもので、バーナ2での燃焼ガスを対流ファン4により温風吹出口5から室内に吹き出すことで暖房を行うものである。
【0016】
前記バーナ2は、複数の炎孔を有したバーナヘッド7の下部に、気化器加熱手段である気化ヒータ8を有した気化器9を備えて構成され、気化ヒータ8によって加熱された気化器9内に油受け皿10から燃油供給手段である容積型の電磁ポンプ11の駆動で送油ノズル12を通じて液体燃料を供給し、この液体燃料が気化した気化ガスと燃焼用送風機である燃焼ファン13から送風路14を通じて供給される燃焼用空気との混合ガスを前記バーナヘッド7の炎孔で燃焼させ、また燃焼中は前記気化器9の上端に複数の炎孔に対向する如く備えた環状の熱回収リング15によって炎から熱回収を行い気化ヒータ8の通電を低減しているもので、ターンダウン比が広く静かな気化燃焼を行うものである。
【0017】
前記操作部6には、運転の開始/停止を指令するための運転スイッチ16と、室温上昇スイッチ17と室温下降スイッチ18とにより構成され所望の室温を設定する室温設定手段19と、タイマースイッチや予熱待機スイッチなどの各種の操作スイッチと、時刻や設定室温を表示する表示部20が設けられている。
【0018】
21は前記気化ヒータ8で加熱される気化器9の温度を検知する気化器温度検知手段である気化温度センサで、前記制御部3はこの気化温度センサ21の検知温度が所定の上限温度になると前記気化ヒータ8をオフし、また所定の下限温度になると前記気化ヒータ8をオンして気化器9の温度を液体燃料が良好に気化できる温度範囲内に保持するものである。
【0019】
又前記制御部3は、運転スイッチ16の運転開始指令により、前記気化温度センサ21の検知温度を監視して前記気化器9を液体燃料が気化可能な温度まで気化ヒータ8により加熱し、気化器9の温度を燃焼に適する温度まで上昇させると、前記電磁ポンプ11及び燃焼ファン13を駆動開始し、着火手段である放電電極22により混合ガスに点火して燃焼を開始させ、炎検知手段であるフレームロッドからなる燃焼センサ23により炎を検知し、機器本体1背面の対流ファン4の近傍に設けられた室温センサ24の検知室温と前記室温設定手段19で設定された設定室温との偏差に応じて、前記電磁ポンプ11及び燃焼ファン13を制御して燃焼火力を可変して前記室温設定手段19で設定された室温になるように制御する。
【0020】
又、前記制御部3は、計時手段であるタイマー手段25を有し、前記タイマー手段25は制御部3から計時開始信号を受けると計時を開始し、計時している時間を制御部3に出力し、制御部3から計時停止信号を受けると計時を停止してリセットするものである。
【0021】
又、前記制御部3は、運転スイッチ16の運転停止指令を受けると、前記対流ファン4と気化ヒータ8と電磁ポンプ11と燃焼ファン13とを前記タイマー手段25のカウントに応じて適宜消火制御して、臭い及び煙のない快適な消火を実現すると共に、燃焼センサ23により不完全燃焼を検出すると計時を開始し、所定時間経過後に計時を停止するものである。
【0022】
26は金属製で中空円筒状の炎筒で、バーナ2の上部を内包するように設けられ、バーナ2の上部の炎形成部分に直接対流ファン4からの空気が当たらないようにして燃焼を安定化させると共に、炎が対流ファン4からの空気にあおられて温風吹出口5から吹き出すのを防止しているものである。
【0023】
次にこの一実施形態の作動について
図3のフローチャート図により説明する。
まず、制御部3は、操作部6の運転スイッチ16がON操作されたかを判断し(S1)、
運転スイッチ16がON操作されたと判断した時、次に気化器9の気化器温度が点火可能となる点火温度未満かを判断し(S2)、気化器温度が点火温度未満であれば、バーナ2の気化ヒータ8への通電を開始する(S3)。
尚、本実施形態では点火温度を200℃に設定している。
【0024】
?そして、制御部3は気化器温度が点火温度以上になったら(S4)、燃焼ファン13を駆動させ(S5)、電磁ポンプ11を駆動させることにより(S5)、気化器9に燃油と燃焼用空気を供給して混合ガスを生成し、放電電極22により混合ガスに点火して(S7)、燃焼を開始する。
【0025】
?そして、フレームロッドによる燃焼センサ23による検出値が着火判定値以上であると(S8)、制御部3は炎を検知したと判断して、次に燃焼量を変更する間隔を長時間とする長時間制御を設定する(S9)。
尚、本実施形態では長時間を15秒に設定している。
【0026】
そして次に対流ファン4を駆動させる(S10)。
そして、次に制御部3は気化器温度が気化ヒータ8への通電を停止するオフ温度以上かを判定し(S11)、気化器温度が気化ヒータ8への通電を停止するオフ温度以上であれば、気化器9の温度が十分に高温であると判断して気化ヒータ8への通電を停止する。(S12)
尚、本実施形態ではオフ温度を後述するオン温度より高い260℃に設定している。
そして、気化器温度がオフ温度の260℃以上になって気化ヒータ8への通電を停止した後、気化器温度がオン温度の230℃になると、気化ヒータ8への通電を開始し、気化器温度がオフ温度の260℃以上になると気化ヒータ8への通電を停止し、以後この制御を繰り返す。
【0027】
そして、制御部3はタイマー手段25に計時開始信号を出力してタイマー手段25が計時を開始する。(S13)
そして、タイマー手段25の計時時間が長時間制御で設定されている長時間(本実施形態では15秒)になると(S14)、制御部3は気化ヒータ8への通電が停止していても、燃焼による熱回収が十分行われたと判断し、タイマー手段25に計時停止信号を出力してタイマー手段25の計時を停止させてリセットし(S15)、燃焼量を一段増加させる。(S16)
【0028】
そして、次に制御部3は、一段増加した燃焼量が最大燃焼量かを判定し(S17)、最大燃焼量でなければ(S13)に戻り、最大燃焼量であればタイマー手段25に計時開始信号を出力してタイマー手段25が計時を開始する。(S18)
燃焼量が最大燃焼量まで増加することで、バーナ2の周辺及びバーナ2のバーナヘッド7や熱回収リング15を十分加熱することができ、又、気化器9の内部まで高温になって十分蓄熱された状態となる。
【0029】
(S16)で燃焼量を一段増加させると、気化器9内への燃油の供給量が増加し、増加した燃油が気化熱を奪うため、気化器温度が低下する。
そこで、制御部3は、一段増加した燃焼量が最大燃焼量ではない場合、(S13)に戻ってその一段増加した燃焼量で長時間制御で設定されている長時間、燃焼を継続する。
【0030】
それにより、燃焼量が一段増加したことにより燃焼量が一段増加する前よりも燃油の気化熱が多く奪われるが、燃焼による熱回収も増加して気化器温度は緩やかに低下すると共に、長時間制御で設定されている長時間が経過するときには、増加した熱回収が気化器9へ十分戻り、気化器温度の低下は止まって気化ヒータ8への通電を開始するオン温度まで低下しない。
尚、本実施形態ではオン温度を点火温度より高い230℃に設定している。
【0031】
そして、(S18)でタイマー手段25が計時を開始した後、タイマー手段25の計時時間が予め設定されている制御切替時間制 (本実施形態では20秒)になると(S19)、制御部3は短時間で燃焼量を増加させても、気化器温度がオン温度以下にならない高温となり、更に十分熱回収もできる状態と判断して、燃焼量を変更する間隔を、通常の温調制御での変更する間隔である短時間とする短時間制御に設定する(S20)。
尚、本実施形態では短時間を4秒に設定している。
【0032】
そして、制御部3はタイマー手段25に計時停止信号を出力してタイマー手段25の計時を停止させてリセットし(S21)、通常の温調制御を開始する(S22)。
【0033】
以上のように、十分に気化器9の温度が高い通常の運転中は、燃焼量を増加させる時、短時間制御により燃焼量を変更する間隔を短時間に設定して燃焼量を素早く増加させるのに対し、着火後に燃焼量を増加させる時は、長時間制御により燃焼量を変更する間隔を長時間に設定し、それにより燃焼による熱回収を十分行って、気化器9の温度の低下を止めてから燃焼量を増加させるので、出力の小さい気化ヒータ8を使用しても気化ヒータ8が通電したままや頻繁に通電状態になるのを防ぎ、電源に持ち運び容易な蓄電式の電源装置を使用しても、着火後に気化ヒータ8に通電されて電源装置に蓄電された電力が消費されてしまうのを防止できる。
【0034】
次に他の実施形態の作動について
図4のフローチャート図により説明する。
尚、(S1)から(S16)までは前述した実施形態と同じなので、説明を省略する。
それで、(S16)で燃焼量を一段増加した後、制御部3は、気化器温度が温度気化器温度が切替温度以上かを判定する(S23)。
尚、本実施形態では切替温度をオフ温度より高い280℃に設定している。
【0035】
そして、気化器温度が切替温度以上の時は、短時間で燃焼量を増加させても、気化器温度がオン温度以下にならない高温となり、更に十分熱回収もできる状態と判断して、制御部3は、燃焼量を変更する間隔を、通常の温調制御での変更する間隔である短時間とする短時間制御を設定し(S24)、通常の温調制御を開始する(S25)。
【0036】
又、(S23)で気化器温度が切替温度未満の時、制御部3は、燃焼量が最大燃焼量かを判定し(S26)、最大燃焼量でなければ(S13)に戻り、最大燃焼量であれば(S24)に進んで、燃焼量を変更する間隔を通常の温調制御での変更する間隔である短時間とする短時間制御を設定し、通常の温調制御を開始する(S25)。
【0037】
以上のように、着火後に燃焼を最大燃焼量にまで増加させる前に、気化器温度がオフ温度より高い切替温度以上になれば、その時点で燃焼量を変更する間隔を、通常の温調制御での変更する間隔である短時間とする短時間制御に設定するので、燃焼量が最大燃焼量になるまで燃焼量を変更する間隔を長時間制御を行うよりも早く通常の温調制御を開始できる。
【0038】
又、着火後に気化器温度がオフ温度より高い切替温度以上にならない時は、燃焼量が最大燃焼量になるまで燃焼量を変更する間隔を長時間制御で行うので、燃焼による熱回収を十分行って、気化器9の温度を高くしてから燃焼量を増加させ、出力の小さい気化ヒータ8を使用しても気化ヒータ8が通電したままや頻繁に通電状態になるのを防ぎ、電源に持ち運び容易な蓄電式の電源装置を使用しても、着火後に気化ヒータ8に通電されて電源装置に蓄電された電力が消費されてしまうのを防止できる。
【0039】
2 バーナ(燃焼部)
3 制御部
8 気化ヒータ(気化器加熱手段)
9 気化器
11 電磁ポンプ(燃油供給手段)
21 気化温度センサ(気化器温度検知手段)
22 放電電極(着火手段)
23 燃焼センサ(炎検知手段)