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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172221
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】車両の運行方法及び運行システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20231129BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20231129BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20231129BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20231129BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20231129BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/00 X
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/30
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083877
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】521042770
【氏名又は名称】ウーブン・バイ・トヨタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 光旗
(72)【発明者】
【氏名】中林 良太
(72)【発明者】
【氏名】大池 里佳
(72)【発明者】
【氏名】馬越 元晶
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA06
5H181AA16
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181FF13
5H181FF27
5H181MA14
5H181MA28
5H181MB01
(57)【要約】
【課題】単一車線を自動運転で走行する定期運行車両とオンデマンド車両を双方の利用者の利便性を両立させるように運行することができる技術を提供する。
【解決手段】定期運行車両10によってオンデマンド車両20の利用者40の元への最適時刻での到着が妨げられることが予測された場合、定期運行車両10に乗客が乗車しているかどうかによって異なる処理を行う。定期運行車両10に乗客50が乗車している場合、オンデマンド車両20の利用者40の元への到着時刻を最適時刻から遅らせて、定期運行車両10を定期運行計画通りに走行させる。定期運行車両10に乗客が乗車していない場合、定期運行車両10を定期運行計画から遅らせて、オンデマンド車両20を利用者40の元へ最適時刻に到着させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
停車場を含む複数のすれ違い場を有する単一車線において自動運転で走行する定期運行車両と自動運転で走行するオンデマンド車両とを運行する方法であって、
前記定期運行車両によって前記オンデマンド車両の利用者の元への最適時刻での到着が妨げられることが予測されたことを受けて、
前記定期運行車両に乗客が乗車している場合、
前記オンデマンド車両の前記利用者の元への到着時刻を前記最適時刻から遅らせて、前記定期運行車両を定期運行計画通りに走行させ、
前記定期運行車両に乗客が乗車していない場合、
前記定期運行車両を前記定期運行計画から遅らせて、前記オンデマンド車両を前記利用者の元へ前記最適時刻に到着させる
ことを特徴とする車両の運行方法。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の運行方法において、
前記定期運行車両に乗客が乗車していない場合、前記定期運行車両を前記定期運行計画から遅らせた後、前記定期運行計画において前記定期運行車両が停車することになっている停車場のうち乗客のいない無客停車場には前記定期運行車両を停車させず、前記定期運行車両に前記無客停車場を通過させる
ことを特徴とする車両の運行方法。
【請求項3】
請求項1に記載の車両の運行方法において、
前記定期運行車両に乗客が乗車していない場合、前記定期運行車両を前記定期運行計画から遅らせた後、前記定期運行計画からの遅れを取り戻すように前記定期運行計画で規定された走行速度よりも速い速度で前記定期運行車両を運行する
ことを特徴とする車両の運行方法。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の車両の運行方法において、
前記定期運行車両と対向するように前記オンデマンド車両を走行させ、
前記定期運行車両に乗客が乗車している場合、
前記オンデマンド車両が前記利用者をピックアップするピックアップポイントよりも前記オンデマンド車両の進行方向の後方にある停車場で前記オンデマンド車両に前記定期運行車両とすれ違わせ、
前記定期運行車両に乗客が乗車していない場合、
前記ピックアップポイントよりも前記オンデマンド車両の進行方向の前方にあるすれ違い場で前記オンデマンド車両が通過するまで前記定期運行車両を待機させる
ことを特徴とする車両の運行方法。
【請求項5】
請求項1乃至3に記載の車両の運行方法において、
前記定期運行車両を後から追い越すように前記オンデマンド車両を走行させ、
前記定期運行車両に乗客が乗車している場合、
前記オンデマンド車両が前記利用者をピックアップするピックアップポイントよりも前記オンデマンド車両の進行方向の前方にある停車場で前記オンデマンド車両に前記定期運行車両を追い越させ、
前記定期運行車両に乗客が乗車していない場合、
前記ピックアップポイントよりも前記オンデマンド車両の進行方向の後方にあるすれ違い場で前記オンデマンド車両が通過するまで前記定期運行車両を待機させる
ことを特徴とする車両の運行方法。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両の運行方法において、
前記最適時刻は前記単一車線に他の車両が存在しないと仮定した場合に前記利用者の元へ前記オンデマンド車両を配車できる最も早い時刻である
ことを特徴とする車両の運行方法。
【請求項7】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両の運行方法において、
前記最適時刻は前記利用者の元への前記オンデマンド車両の配車の指定時刻である
ことを特徴とする車両の運行方法。
【請求項8】
停車場を含む複数のすれ違い場を有する単一車線において自動運転で走行する定期運行車両と自動運転で走行するオンデマンド車両とを運行するシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと結合され複数の実行可能なインストラクションを記憶したプログラムメモリと、を備え、
前記複数の実行可能なインストラクションは、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記定期運行車両によって前記オンデマンド車両の利用者の元への最適時刻での到着が妨げられることが予測されたことを受けて、
前記定期運行車両に乗客が乗車している場合、
前記オンデマンド車両の前記利用者の元への到着時刻を前記最適時刻から遅らせて、前記定期運行車両を定期運行計画通りに走行させ、
前記定期運行車両に乗客が乗車していない場合、
前記定期運行車両を前記定期運行計画から遅らせて、前記オンデマンド車両を前記利用者の元へ前記最適時刻に到着させる、ことを実行させるように構成された
ことを特徴とする車両の運行システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、単一車線において自動運転で走行する定期運行車両と自動運転で走行するオンデマンド車両とを運行する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
異なる2種類の車両の運行に関する従来技術が特許文献1に開示されている。特許文献1は、通勤用車両(CV)及び定時運行車両を有するマルチモード輸送ネットワークにおいて乗客にCVを割り当てるシステムを開示する。このシステムは、乗客からの旅程要求に基づき乗客のグループを決定し、定時運行車両及びCVによる出発時刻を決定する最適化問題を定式化する。そして、このシステムは、最適化問題を解いて規定される解に基づき、CVの割り当てルートなどを生成する。
【0003】
本開示に関連する技術分野の技術水準を示す文献としては、特許文献1の他にも特許文献2及び特許文献3を例示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-004404号公報
【特許文献2】特開2004-234469号公報
【特許文献3】特開2002-208091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鉄道の単線の跡地を単一車線として利用することが検討されている。また、そもそも土地の限られたエリアでは、車線を造ろうにも単一車線しか確保できない場合がある。その一方で、現在、自動運転で走行する車両を用いたMaaSが各方面で検討されている。MaaS用の自動運転車両は、定期運行計画に従って運行される定期運行車両と、利用者からのリクエストに従って運行されるオンデマンド車両とを含む。
【0006】
Maasが社会により一般的に展開された場合、単一車線で上記2種類のMaaS車両を運行する必要が生じることが想定される。しかし、特許文献1を含むどの先行技術文献にも、自動運転で走行する定期運行車両とオンデマンド車両とを単一車線で運行する方法については開示されていない。
【0007】
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものである。本開示は、単一車線を自動運転で走行する定期運行車両とオンデマンド車両を双方の利用者の利便性を両立させるように運行することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は上記目的を達成するための車両の運行技術として車両の運行方法と車両の運行システムとを提供する。
【0009】
本開示の車両の運行方法は、停車場を含む複数のすれ違い場を有する単一車線において、自動運転で走行する定期運行車両と自動運転で走行するオンデマンド車両とを運行する方法である。本開示の車両の運行方法は、定期運行車両によってオンデマンド車両の利用者の元への最適時刻での到着が妨げられることが予測されたことを受けて、定期運行車両に乗車している乗客の有無に応じて以下を行う。定期運行車両に乗客が乗車している場合、本開示の車両の運行方法は、オンデマンド車両の利用者の元への到着時刻を最適時刻から遅らせて、定期運行車両を定期運行計画通りに走行させる。定期運行車両に乗客が乗車していない場合、本開示の車両の運行方法は、定期運行車両を定期運行計画から遅らせて、オンデマンド車両を利用者の元へ最適時刻に到着させる。
【0010】
本開示の車両の運行システムは、停車場を含む複数のすれ違い場を有する単一車線において、自動運転で走行する定期運行車両と自動運転で走行するオンデマンド車両とを運行するシステムである。本開示の車両の運行システムは、少なくとも1つのプロセッサと、上記少なくとも1つのプロセッサと結合され複数の実行可能なインストラクションを記憶したプログラムメモリとを備える。上記複数の実行可能なインストラクションは、定期運行車両によってオンデマンド車両の利用者の元への最適時刻での到着が妨げられることが予測されたことを受けて、上記少なくとも1つのプロセッサに以下の処理を実行させる。第1の処理は、定期運行車両に乗客が乗車している場合に実行される処理であって、オンデマンド車両の利用者の元への到着時刻を最適時刻から遅らせて、定期運行車両を定期運行計画通りに走行させる処理である。第2の処理は、定期運行車両に乗客が乗車していない場合に実行される処理であって、定期運行車両を定期運行計画から遅らせて、オンデマンド車両を利用者の元へ最適時刻に到着させる処理である。
【0011】
本開示の車両の運行技術によれば、定期運行車両によってオンデマンド車両の利用者の元への最適時刻での到着が妨げられることが予測されたとしても、定期運行車両に乗客が乗車しているのであれば、定期運行車両を定期運行計画通りに走行させる。しかし、定期運行車両に乗客が乗車していないのであれば、定期運行車両を定期運行計画から遅らせてでも、オンデマンド車両を利用者の元へ最適時刻に到着させる。このように定期運行車両の乗客の有無に応じて定期運行車両の運行計画を変更することによって、定期運行車両の乗客を優先しつつ、オンデマンド車両の利用者にとっての利便性も高めることができる。
【0012】
本開示の車両の運行技術において、定期運行車両に乗客が乗車していない場合、定期運行計画において定期運行車両が停車することになっている停車場のうち乗客のいない無客停車場には定期運行車両を停車させず、定期運行車両に無客停車場を通過させてもよい。定期運行車両を無客停車場には停車させず通過させることで、定期運行計画からの遅刻分の時間を取り戻すことができる。
【0013】
本開示の車両の運行技術において、定期運行車両と対向するようにオンデマンド車両を走行させてもよい。その場合、定期運行車両に乗客が乗車しているのであれば、オンデマンド車両が利用者をピックアップするピックアップポイントよりもオンデマンド車両の進行方向の後方にある停車場でオンデマンド車両に定期運行車両とすれ違わせてもよい。一方、定期運行車両に乗客が乗車していないのであれば、ピックアップポイントよりもオンデマンド車両の進行方向の前方にあるすれ違い場でオンデマンド車両が通過するまで定期運行車両を待機させてもよい。定期運行車両を待機させるすれ違い場には停車場も含まれる。
【0014】
本開示の車両の運行技術において、定期運行車両を後から追い越すようにオンデマンド車両を走行させてもよい。その場合、定期運行車両に乗客が乗車しているのであれば、オンデマンド車両が利用者をピックアップするピックアップポイントよりもオンデマンド車両の進行方向の前方にある停車場でオンデマンド車両に定期運行車両を追い越させてもよい。一方、定期運行車両に乗客が乗車していない場合、ピックアップポイントよりもオンデマンド車両の進行方向の後方にあるすれ違い場でオンデマンド車両が通過するまで定期運行車両を待機させてもよい。定期運行車両を待機させるすれ違い場には停車場も含まれる。
【0015】
本開示の車両の運行技術において、オンデマンド車両が到着する最適時刻は、単一車線に他の車両が存在しないと仮定した場合に利用者の元へオンデマンド車両を配車できる最も早い時刻でもよいし、利用者の元へのオンデマンド車両の配車の指定時刻でもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように本開示の車両の運行技術によれば、定期運行車両の乗客の有無に応じて定期運行車両の運行を変更することによって、定期運行車両の乗客を優先しつつ、オンデマンド車両の利用者にとっての利便性も高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の実施形態に係る車両の運行システムの概要を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る車両の運行システムの構成を示すブロック図である。
図3】本開示の実施形態に係る車両の運行方法の第1の例を説明する図である。
図4】本開示の実施形態に係る車両の運行方法の第1の例を説明する図である。
図5】本開示の実施形態に係る車両の運行方法の第2の例を説明する図である。
図6】本開示の実施形態に係る車両の運行方法の第2の例を説明する図である。
図7】本開示の実施形態に係る車両の運行方法の第3の例を説明する図である。
図8】本開示の実施形態に係る車両の運行方法の第3の例を説明する図である。
図9】本開示の実施形態に係る車両の運行方法の第4の例を説明する図である。
図10】本開示の実施形態に係る車両の運行方法の第4の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本開示の車両の運行方法及び運行システムの実施形態について説明する。ただし、以下に示す実施形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る思想が限定されるものではない。また、以下に示す実施形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、本開示に係る思想に必ずしも必須のものではない。
【0019】
1.車両の運行システムの概要
図1は本開示の実施形態に係る車両の運行システムの概要を示す図である。運行システムは、単一車線の路線2で車両10,20を運行するシステムである。単一車線の路線2は例えば鉄道の単線の跡地に造られた路線である。単一車線の路線2上では2台の車両10,20が並走することもすれ違うこともできない。このため、路線2には車両10,20のすれ違いや追越を可能にするための複数のすれ違い場が設けられている。
【0020】
すれ違い場は少なくとも1つの停車場4を含む。路線2が鉄道の単線の跡地に造られているのであれば、停車場4は鉄道の駅に相当する。単線であっても、駅は往路を走る列車と復路を走る列車とがすれ違うことができるように造られている。よって、駅から転用された停車場4は、2台の車両10,20のすれ違いと追越を可能にする。停車場4には利用者30の待機場としての待合所6が設けられている。待合所6には中の様子を撮影するカメラ8が設けられている。路線2に設けられている停車場4以外のすれ違い場は、車両10,20のすれ違いと追越のみのための場所であって、待合所6は設けられていない。
【0021】
運行システムによって運行される車両10,20は定期運行車両10とオンデマンド車両20である。定期運行車両10は定期運行計画に従って定期的に運行される車両である。オンデマンド車両20は固定の運行計画は有しておらず、利用者からのリクエストに応じて運行される車両である。運行システムでは、自動運転で走行する自動運転車両が定期運行車両10として、またオンデマンド車両20として用いられている。
【0022】
自動運転車両である定期運行車両10の運行の管理は運行管理サーバ100によって行われている。また、自動運転車両であるオンデマンド車両20の運行の管理も運行管理サーバ100によって行われている。定期運行車両10とオンデマンド車両20はネットワーク200によって運行管理サーバ100に接続されている。
【0023】
定期運行車両10とオンデマンド車両20のどちらも電動車でもよいし、エンジン車でもよいし、ハイブリッド車でもよい。ここでいう電動車は、バッテリーや燃料電池を搭載した車両だけでなく、電車のようにパンタグラフから電気を取り込む車両も含む。さらに、どちらの車両10,20もタイヤがついた車両には限定されず、電車のような軌道を走る車両であってもよい。その場合、定期運行車両10は市街の路面電車のように自動運転の電車で、オンデマンド車両20は自動運転の自動車であってもよい。
【0024】
定期運行車両10を利用する利用者30は停車場4から乗車する。定期運行車両10は定期運行計画に従って停車場4に停車する。停車場4で定期運行車両10を待っている利用者30はカメラ8によって撮影される。カメラ8によって撮影された映像はネットワーク200を介して運行管理サーバ100に送信される。運行管理サーバ100はカメラ8の映像から定期運行車両10を待っている利用者30を検出する。なお、待合所6にICカードを使用したゲートが設けられている場合には、ゲートからの情報によって待合所6に入った利用者30を検出してもよい。
【0025】
オンデマンド車両20を利用する利用者40は、停車場4だけでなく路線2の傍であればどこでもオンデマンド車両20を呼ぶことができる。利用者40はスマートフォンに代表される携帯端末42によってオンデマンド車両20の配車を予約する。オンデマンド車両20の配車の予約は運行管理サーバ100に対して行われる。運行管理サーバ100は携帯端末42の位置情報を用いて利用者40が待機している場所を特定する。
【0026】
2.車両の運行システムの構成
図2は本開示の実施形態に係る車両の運行システムの構成を示すブロック図である。運行システムは運行管理サーバ100を備える。運行管理サーバ100は少なくとも1つのプロセッサ(以下、単にプロセッサ)110とプログラムメモリ120とストレージ130とを備える。プロセッサ110はプログラムメモリ120とストレージ130に結合されている。プログラムメモリ120は複数の実行可能なインストラクション122を記憶する非一時的なメモリである。ストレージ130は例えばフラッシュメモリやSSDやHDDであって、定期運行計画データベース132を記憶する。
【0027】
運行管理サーバ100は定期運行車両10の自動運転ECU12との間で通信を行い、自動運転ECU12に対して定期運行車両10の運行計画を含む指示を送る。自動運転ECU12から運行管理サーバ100へは、定期運行車両10に乗車している乗客の有無に関する情報が送られる。乗客の有無の判断には、車内カメラによって乗客を検出する方法、搭乗口のセンサによって乗車人数と降車人数をそれぞれカウントする方法等を用いることができる。定期運行車両10の運行計画は、定期運行計画データベース132に登録されている定期運行計画を基本として、所定の参照情報に基づいて決定される。所定の参照情報には、オンデマンド車両20の利用者40の配車要求と、定期運行車両10内の乗客の有無と、待合所6で待っている利用者30の有無とが含まれる。所定のインストラクション122がプロセッサ110で実行されることによって、これらの処理が運行管理サーバ100によって実行される。
【0028】
運行管理サーバ100はオンデマンド車両20の自動運転ECU22との間で通信を行い、自動運転ECU22に対してオンデマンド車両20の運行計画を含む指示を送る。オンデマンド車両20の運行計画は、オンデマンド車両20の利用者40の配車要求を基本として、定期運行計画データベース132に登録されている定期運行計画を参照して決定される。所定のインストラクション122がプロセッサ110で実行されることによって、これらの処理が運行管理サーバ100によって実行される。
【0029】
運行管理サーバ100は利用者40の携帯端末42との間で通信を行う。運行管理サーバ100は、利用者40がオンデマンド車両20の配車を予約する配車要求と、利用者40の位置情報とを携帯端末42から受信する。運行管理サーバ100は、オンデマンド車両20の配車の予約の完了を知らせる予約完了通知と、オンデマンド車両20が現在走行している位置を知らせる位置情報とを携帯端末42に対して送信する。所定のインストラクション122がプロセッサ110で実行されることによって、これらの処理が運行管理サーバ100によって実行される。
【0030】
運行管理サーバ100は待合所6のカメラ8との間で通信を行う。運行管理サーバ100はカメラ8が撮影した画像から待合所6で待機している利用者30の有無を判断する。待合所6で待機している利用者30の有無は定期運行車両10の運行計画を決定するための情報として使用される。所定のインストラクション122がプロセッサ110で実行されることによって、これらの処理が運行管理サーバ100によって実行される。
【0031】
次の章では、運行管理サーバ100によって実行される車両の運行方法について具体例を用いて説明する。
【0032】
3.車両の運行方法
3-1.前提
図3及び図4は車両の運行方法の第1の例を説明する図である。図5及び図6は車両の運行方法の第2の例を説明する図である。図7及び図8は車両の運行方法の第3の例を説明する図である。そして、図9及び図10は車両の運行方法の第4の例を説明する図である。各図の左側は各車両10,20のダイヤグラムであり、各図の右側は路線2上での各車両10,20の動きを示している。以下、各例における前提について説明する。
【0033】
各例において、路線2はA駅とB駅とを結ぶ路線である。路線2には、A駅からB駅までの間に3つの駅、すなわち、X駅、Y駅、Z駅が順に設けられている。これら3つの駅は路線2に設けられた停車場4である。説明を簡単にするため、路線2に設けられたすれ違い場は3つの停車場4のみとする。また、各例では、A駅とB駅との間で同時に運行される定期運行車両10は1台のみとし、A駅とB駅との間で同時に運行されるオンデマンド車両20も1台のみとする。
【0034】
各例では、オンデマンド車両20の進行方向は一方向であり、途中でのUターンは行われないものとする。オンデマンド車両20はピックアップポイント、すなわち、オンデマンド車両20が利用者40をピックアップする場所において所定時間停車するものとする。同様に、定期運行車両10は、定期運行計画に従う場合、停車場4において所定時間停車するものとする。また、各例では、オンデマンド車両20の走行速度は定期運行車両10の走行速度よりも速いものとする。
【0035】
3-2.第1の例
図3及び図4に示される第1の例では、B駅からA駅へ向けて定期運行車両10が運行されている。定期運行計画では、定期運行車両10は停車場4である全ての駅に順に停車することになっている。
【0036】
第1の例では、定期運行車両10がB駅を発った後、オンデマンド車両20に対して利用者40から配車要求が入る。利用者40が希望するピックアップポイントはY駅とZ駅との間に位置している。利用者40はピックアップポイントからB駅へ向かうことを希望している。このため、A駅で待機しているオンデマンド車両20が利用者40に対して配車される。
【0037】
利用者40からの配車要求を受けた運行管理サーバ100は、利用者40のもとへオンデマンド車両20を最短で配車できる運行計画を作成する。オンデマンド車両20の運行計画の作成には、定期運行車両10の定期運行計画が参照される。単一車線の路線2では、定期運行車両10の定期運行計画との関係でオンデマンド車両20を直ぐに発車させることができない場合があるからである。図3に示されるように、配車要求を受けて直ぐにオンデマンド車両20を出発させたとしても、Y駅とZ駅との間でZ駅の方から走ってくる定期運行車両10と鉢合わせしてしまう。
【0038】
単一車線の路線2で定期運行車両10とオンデマンド車両20とを運行する場合、利用者への影響が大きい定期運行車両10の運行を優先すべきである。ゆえに、同時刻に路線2を走っている定期運行車両10の存在によって、オンデマンド車両20の利用者40の元への最適時刻での到着が妨げられる場合がある。なお、第1の例でいう最適時刻は、路線2に他の車両が存在しないと仮定した場合に、利用者40の元へオンデマンド車両20を配車できる最も早い時刻を意味する。
【0039】
オンデマンド車両20を最適時刻に利用者40の元に到着させるためには、定期運行車両10の運行計画に変更を加えざるをえない。定期運行車両10の運行はオンデマンド車両20に優先すべきではあるが、例外があるとすれば、定期運行車両10に乗客が乗車していない場合である。定期運行車両10に乗客が乗車していないのであれば、運行計画の変更による遅延も許容され得る。
【0040】
そこで、運行管理サーバ100は、定期運行車両10によってオンデマンド車両20の利用者40の元への最適時刻での到着が妨げられることが予測されたことを受けて、定期運行車両10の乗客の有無を判定する。
【0041】
<定期運行車両に乗客が乗車している場合>
定期運行車両10に乗客50が乗車している場合、運行管理サーバ100は、図3に示される運行方法で定期運行車両10及びオンデマンド車両20を運行する。図3に示される運行方法によれば、定期運行車両10はB駅からA駅まで定期運行計画通りに運行される。オンデマンド車両20は、配車要求を受けて直ぐにA駅から発車されるのではなく、配車要求から時間を遅らせて発車される。
【0042】
定期運行計画に従い運行される定期運行車両10は、各駅で停車し、Y駅でも所定時間停車する。Y駅は、オンデマンド車両20が利用者40をピックアップするピックアップポイントよりもオンデマンド車両20の進行方向の後方にある停車場4である。停車場4であるY駅では2台の車両がすれ違うことができる。オンデマンド車両20は、定期運行車両10がY駅で停車している間にY駅を通過するようにA駅から発車される。つまり、運行管理サーバ100は、Y駅においてオンデマンド車両20に定期運行車両10とすれ違わせる。
【0043】
オンデマンド車両20はY駅で定期運行車両10とすれ違った後、ピックアップポイントに到着する。ピックアップポイントで利用者40をピックアップした後、オンデマンド車両20は目的地であるB駅へ向けて発車される。オンデマンド車両20の利用者40のB駅への到着は、A駅での配車要求を受けてからの待機時間の分だけ遅れることになる。しかし、上記の運行方法によれば、定期運行車両10の運行を妨げることなく、利用者40の目的地への到着の遅れを最小限に止めることができる。
【0044】
<定期運行車両に乗客が乗車していない場合>
定期運行車両10に乗客50が乗車していない場合、運行管理サーバ100は、図4に示される運行方法で定期運行車両10及びオンデマンド車両20を運行する。図4に示される運行方法によれば、オンデマンド車両20は配車要求を受けて直ぐにA駅からピックアップポイントに向けて発車される。そして、ピックアップポイントで利用者40をピックアップした後、オンデマンド車両20は目的地であるB駅へ向けて発車される。このようにオンデマンド車両20を運行することで、配車要求を受けてから最短の時間でオンデマンド車両20の利用者40を目的地へ運ぶことができる。
【0045】
一方、定期運行車両10は、定期運行計画ではなく、オンデマンド車両20の運行計画に合わせて作成された臨時運行計画に従って運行される。定期運行計画によればZ駅を含む全ての駅での停車時間は一定時間に設定されている。しかし、臨時運行計画によれば、オンデマンド車両20はZ駅で停車された後、定期運行計画で定められた所定の停車時間を超えて停車され続ける。Z駅は、オンデマンド車両20が利用者40をピックアップするピックアップポイントよりもオンデマンド車両20の進行方向の前方にある停車場4である。停車場4であるZ駅では2台の車両がすれ違うことができる。ピックアップポイントで利用者40をピックアップしたオンデマンド車両20がZ駅を通過した後、定期運行車両10はZ駅から発車される。このように定期運行車両10を定期運行計画から遅らせることで、オンデマンド車両20を利用者40の元へ最適時刻に到着させることができる。
【0046】
Z駅から発車された後の定期運行車両10の運行計画は、Y駅及びX駅で待機している利用者の有無によって異なる。乗客が待機している駅には定期運行車両10を停車させる必要がある。しかし、駅に利用者が待機していないのであれば、その駅には定期運行車両10を停車させる必要はない。運行管理サーバ100は、利用者が待機していない停車場(無客停車場)には定期運行車両10を停車させず、定期運行車両10に無客停車場を通過させる。図4に示す例では、Y駅及びX駅は利用者が待機していない無客停車場であるので、運行管理サーバ100は定期運行車両10にY駅及びX駅を通過させている。このように定期運行車両10を運行することで、定期運行計画からの遅刻分の時間を取り戻すことができる。
【0047】
3-3.第2の例
図5及び図6に示される第2の例では、B駅からA駅へ向けて定期運行車両10が運行されている。定期運行計画では、定期運行車両10は停車場4である全ての駅に順に停車することになっている。
【0048】
第2の例では、定期運行車両10がB駅を発った後、オンデマンド車両20に対して利用者40から配車時刻が指定された配車要求が入る。利用者40が希望するピックアップポイントはY駅とZ駅との間に位置している。利用者40はピックアップポイントからB駅へ向かうことを希望している。このため、A駅で待機しているオンデマンド車両20が利用者40に対して配車される。
【0049】
利用者40からの時刻指定での配車要求を受けた運行管理サーバ100は、オンデマンド車両20を利用者40のもとへ可能な限り最適時刻に近い時刻に配車するための運行計画を作成する。第2の例でいう最適時刻は、利用者40の元へのオンデマンド車両20の配車の指定時刻を意味する。
【0050】
各車両10,20の運行計画の作成にあたっては、運行管理サーバ100は、第1の例と同様に、定期運行車両10によってオンデマンド車両20の利用者40の元への最適時刻での到着が妨げられるか否かを判定する。そして、定期運行車両10によってオンデマンド車両20の利用者40の元への最適時刻での到着が妨げられることが予測されたことを受けて、運行管理サーバ100は定期運行車両10の乗客の有無を判定する。
【0051】
<定期運行車両に乗客が乗車している場合>
定期運行車両10に乗客50が乗車している場合、運行管理サーバ100は、図5に示される運行方法で定期運行車両10及びオンデマンド車両20を運行する。図5に示される運行方法によれば、定期運行車両10はB駅からA駅まで定期運行計画通りに運行される。
【0052】
定期運行計画に従い運行される定期運行車両10は、各駅で停車し、Y駅でも所定時間停車する。オンデマンド車両20は、定期運行車両10がY駅で停車している間にY駅を通過するようにA駅から発車される。つまり、運行管理サーバ100は、Y駅においてオンデマンド車両20に定期運行車両10とすれ違わせる。
【0053】
オンデマンド車両20はY駅で定期運行車両10とすれ違った後、ピックアップポイントに到着する。ピックアップポイントで利用者40をピックアップした後、オンデマンド車両20は目的地であるB駅へ向けて発車される。図5に示される例では、オンデマンド車両20の利用者40のもとへの到着は指定時間よりも遅れている。
【0054】
オンデマンド車両20のピックアップポイントへの到着は、勿論、指定時刻通りであることに越したことはない。しかし、指定時刻に到着できないからといって、ピックアップポイントに早く到着することには意味はない。定期運行車両10がやってくるため、オンデマンド車両20が路線2に停車できる時間は限られているからである。ゆえに、オンデマンド車両20が指定時刻に到着できない場合、利用者40にオンデマンド車両20の到着を待ち続けてもらいながら、指定時刻からの遅刻を最小限に止めることが求められる。上記の運行方法によれば、定期運行車両10の運行を妨げることなく、利用者40が指定した指定時刻からの遅刻を最小限に止めることができる。
【0055】
<定期運行車両に乗客が乗車していない場合>
定期運行車両10に乗客50が乗車していない場合、運行管理サーバ100は、図6に示される運行方法で定期運行車両10及びオンデマンド車両20を運行する。図6に示される運行方法によれば、オンデマンド車両20は指定時刻丁度にピックアップポイントに到着するようにA駅から発車される。そして、ピックアップポイントで利用者40をピックアップした後、オンデマンド車両20は目的地であるB駅へ向けて発車される。
【0056】
一方、定期運行車両10は、定期運行計画ではなく、オンデマンド車両20の運行計画に合わせて作成された臨時運行計画に従って運行される。臨時運行計画によれば、オンデマンド車両20はZ駅で停車された後、定期運行計画で定められた所定の停車時間を超えて停車され続ける。ピックアップポイントで利用者40をピックアップしたオンデマンド車両20がZ駅を通過した後、定期運行車両10はZ駅から発車される。このように定期運行車両10を定期運行計画から遅らせることで、利用者40が指定した指定時刻にオンデマンド車両20を利用者40の元へ到着させることができる。
【0057】
第1の例と同様に、Z駅から発車された後の定期運行車両10の運行計画は、Y駅及びX駅で待機している利用者の有無によって異なる。図6に示す例では、Y駅及びX駅は利用者が待機していない無客停車場であるので、運行管理サーバ100は定期運行車両10にY駅及びX駅を通過させている。このように定期運行車両10を運行することで、定期運行計画からの遅刻分の時間を取り戻すことができる。
【0058】
3-4.第3の例
図7及び図8に示される第3の例では、B駅からA駅へ向けて定期運行車両10が運行されている。定期運行計画では、定期運行車両10は停車場4である全ての駅に順に停車することになっている。
【0059】
第3の例では、定期運行車両10がB駅を発った後、オンデマンド車両20に対して利用者40から配車要求が入る。利用者40が希望するピックアップポイントはY駅とZ駅との間に位置している。利用者40はピックアップポイントからA駅へ向かうことを希望している。このため、B駅で待機しているオンデマンド車両20が利用者40に対して配車される。しかし、図7に示されるように、配車要求を受けて直ぐにオンデマンド車両20を出発させたとしても、Y駅とZ駅との間で先を走っている定期運行車両10に追いついてしまう。オンデマンド車両20が定期運行車両10に追いついた場合、追い抜きができるすれ違い場までオンデマンド車両20は定期運行車両10の後をついていかざるを得ない。
【0060】
そこで、利用者40から配車要求を受けた運行管理サーバ100は、オンデマンド車両20を利用者40のもとへ可能な限り最適時刻に近い時刻に配車するための運行計画を作成する。第3の例でいう最適時刻は、路線2に他の車両が存在しないと仮定した場合に、利用者40の元へオンデマンド車両20を配車できる最も早い時刻を意味する。
【0061】
各車両10,20の運行計画の作成にあたっては、運行管理サーバ100は、第1の例と同様に、定期運行車両10によってオンデマンド車両20の利用者40の元への最適時刻での到着が妨げられるか否かを判定する。そして、定期運行車両10によってオンデマンド車両20の利用者40の元への最適時刻での到着が妨げられることが予測されたことを受けて、運行管理サーバ100は定期運行車両10の乗客の有無を判定する。
【0062】
<定期運行車両に乗客が乗車している場合>
定期運行車両10に乗客50が乗車している場合、運行管理サーバ100は、図7に示される運行方法で定期運行車両10及びオンデマンド車両20を運行する。図7に示される運行方法によれば、定期運行車両10はB駅からA駅まで定期運行計画通りに運行される。オンデマンド車両20は、配車要求を受けて直ぐにB駅から発車されるのではなく、配車要求から時間を遅らせて発車される。
【0063】
定期運行計画に従い運行される定期運行車両10は、各駅で停車し、X駅でも所定時間停車する。X駅は、オンデマンド車両20が利用者40をピックアップするピックアップポイントよりもオンデマンド車両20の進行方向の前方にある停車場4である。停車場4であるX駅では車両間の追い越しが可能である。オンデマンド車両20は、ピックアップポイントで利用者40をピックアップした後、定期運行車両10がX駅で停車している間にX駅を通過するようにB駅から発車される。つまり、運行管理サーバ100は、X駅においてオンデマンド車両20に定期運行車両10を追い越させる。
【0064】
オンデマンド車両20はX駅で定期運行車両10を追い越し、定期運行車両10よりも早くA駅に到着する。オンデマンド車両20の利用者40のA駅への到着は、B駅での配車要求を受けてからの待機時間の分だけ遅れることになる。しかし、上記の運行方法によれば、定期運行車両10の運行を妨げることなく、利用者40の目的地への到着の遅れを最小限に止めることができる。
【0065】
<定期運行車両に乗客が乗車していない場合>
定期運行車両10に乗客50が乗車していない場合、運行管理サーバ100は、図8に示される運行方法で定期運行車両10及びオンデマンド車両20を運行する。図8に示される運行方法によれば、オンデマンド車両20は配車要求を受けて直ぐにB駅からピックアップポイントに向けて発車される。そして、ピックアップポイントで利用者40をピックアップした後、オンデマンド車両20は目的地であるA駅へ向けて発車される。このようにオンデマンド車両20を運行することで、配車要求を受けてから最短の時間でオンデマンド車両20の利用者40を目的地へ運ぶことができる。
【0066】
一方、定期運行車両10は、定期運行計画ではなく、オンデマンド車両20の運行計画に合わせて作成された臨時運行計画に従って運行される。臨時運行計画によれば、オンデマンド車両20はZ駅で停車された後、定期運行計画で定められた所定の停車時間を超えて停車され続ける。Z駅は、オンデマンド車両20が利用者40をピックアップするピックアップポイントよりもオンデマンド車両20の進行方向の後方にある停車場4である。
定期運行計画で定められたZ駅の出発時刻に対する遅延時間には、Z駅を通過したオンデマンド車両20がピックアップポイントで利用者40をピックアップするのに要する時間が含まれる。さらに、Z駅の出発時刻に対する遅延時間には、オンデマンド車両20がピックアップポイントを出発してから定期運行車両10がピックアップポイントを通過するまでの時間、すなわち、安全上の余裕時間が含まれる。このように定期運行車両10を定期運行計画から遅らせることで、オンデマンド車両20を利用者40の元へ最適時刻に到着させることができる。
【0067】
第1の例と同様に、Z駅から発車された後の定期運行車両10の運行計画は、Y駅及びX駅で待機している利用者の有無によって異なる。図8に示す例では、Y駅及びX駅は利用者が待機していない無客停車場であるので、運行管理サーバ100は定期運行車両10にY駅及びX駅を通過させている。このように定期運行車両10を運行することで、定期運行計画からの遅刻分の時間を取り戻すことができる。
【0068】
3-5.第4の例
図9及び図10に示される第4の例では、B駅からA駅へ向けて定期運行車両10が運行されている。定期運行計画では、定期運行車両10は停車場4である全ての駅に順に停車することになっている。
【0069】
第4の例では、定期運行車両10がB駅を発った後、オンデマンド車両20に対して利用者40から配車時刻が指定された配車要求が入る。利用者40が希望するピックアップポイントはY駅とZ駅との間に位置している。利用者40はピックアップポイントからA駅へ向かうことを希望している。このため、B駅で待機しているオンデマンド車両20が利用者40に対して配車される。
【0070】
利用者40からの時刻指定での配車要求を受けた運行管理サーバ100は、オンデマンド車両20を利用者40のもとへ可能な限り最適時刻に近い時刻に配車するための運行計画を作成する。第4の例でいう最適時刻は、利用者40の元へのオンデマンド車両20の配車の指定時刻を意味する。
【0071】
各車両10,20の運行計画の作成にあたっては、運行管理サーバ100は、第1の例と同様に、定期運行車両10によってオンデマンド車両20の利用者40の元への最適時刻での到着が妨げられるか否かを判定する。そして、定期運行車両10によってオンデマンド車両20の利用者40の元への最適時刻での到着が妨げられることが予測されたことを受けて、運行管理サーバ100は定期運行車両10の乗客の有無を判定する。
【0072】
<定期運行車両に乗客が乗車している場合>
定期運行車両10に乗客50が乗車している場合、運行管理サーバ100は、図9に示される運行方法で定期運行車両10及びオンデマンド車両20を運行する。図9に示される運行方法によれば、定期運行車両10はB駅からA駅まで定期運行計画通りに運行される。
【0073】
定期運行計画に従い運行される定期運行車両10は、各駅で停車し、X駅でも所定時間停車する。オンデマンド車両20は、ピックアップポイントで利用者40をピックアップした後、定期運行車両10がX駅で停車している間にX駅を通過するようにB駅から発車される。つまり、運行管理サーバ100は、X駅においてオンデマンド車両20に定期運行車両10を追い越させる。
【0074】
図9に示される例では、オンデマンド車両20の利用者40のもとへの到着は指定時間よりも遅れている。これは、X駅で停車している定期運行車両10を追い越すことが、オンデマンド車両20の運行計画を決定する上での制約条件になっているからである。しかし、上記の運行方法によれば、定期運行車両10の運行を妨げることなく、利用者40が指定した指定時刻からの遅刻を最小限に止めることができる。
【0075】
<定期運行車両に乗客が乗車していない場合>
定期運行車両10に乗客50が乗車していない場合、運行管理サーバ100は、図10に示される運行方法で定期運行車両10及びオンデマンド車両20を運行する。図10に示される運行方法によれば、オンデマンド車両20は指定時刻丁度にピックアップポイントに到着するようにB駅から発車される。そして、ピックアップポイントで利用者40をピックアップした後、オンデマンド車両20は目的地であるA駅へ向けて発車される。
【0076】
一方、定期運行車両10は、定期運行計画ではなく、オンデマンド車両20の運行計画に合わせて作成された臨時運行計画に従って運行される。臨時運行計画によれば、オンデマンド車両20はZ駅で停車された後、定期運行計画で定められた所定の停車時間を超えて停車され続ける。定期運行計画で定められたZ駅の出発時刻に対する遅延時間には、Z駅を通過したオンデマンド車両20がピックアップポイントで利用者40をピックアップするのに要する時間が含まれる。さらに、Z駅の出発時刻に対する遅延時間には、オンデマンド車両20がピックアップポイントを出発してから定期運行車両10がピックアップポイントを通過するまでの余裕時間が含まれる。このように定期運行車両10を定期運行計画から遅らせることで、利用者40が指定した指定時刻にオンデマンド車両20を利用者40の元へ到着させることができる。
【0077】
第1の例と同様に、Z駅から発車された後の定期運行車両10の運行計画は、Y駅及びX駅で待機している利用者の有無によって異なる。図10に示す例では、Y駅及びX駅は利用者が待機していない無客停車場であるので、運行管理サーバ100は定期運行車両10にY駅及びX駅を通過させている。このように定期運行車両10を運行することで、定期運行計画からの遅刻分の時間を取り戻すことができる。
【0078】
3-6.効果
以上の4つの具体例では、定期運行車両10によってオンデマンド車両20の利用者40の元への最適時刻での到着が妨げられることが予測された場合、定期運行車両10に乗客が乗車しているかどうかによって異なる処理が行われている。定期運行車両10に乗客が乗車しているのであれば、オンデマンド車両20の利用者40の元への到着時刻を最適時刻から遅らせて、定期運行車両10を定期運行計画通りに走行させている。しかし、定期運行車両10に乗客が乗車していないのであれば、定期運行車両10を定期運行計画から遅らせてでも、オンデマンド車両20を利用者40の元へ最適時刻に到着させている。このように定期運行車両10の乗客の有無に応じて定期運行車両10の運行計画を変更することによって、定期運行車両10の乗客を優先しつつ、オンデマンド車両20の利用者40にとっての利便性も高めることができる。
【0079】
4.その他
上記実施形態の4つの具体例では全てのすれ違い場が停車場になっているが、停車場以外のすれ違い場が含まれていてもよい。ただし、オンデマンド車両20が通り過ぎるのを定期運行車両10が待つ場所としては停車場が好ましい。停車中の定期運行車両10に乗客が乗ってくる可能性があるためである。一方、定期運行車両10が通り過ぎるのをオンデマンド車両20が待つ場合には、停車場を含めてどのすれ違い場で待機してもよい。
【0080】
第1乃至第4の各例において、定期運行車両10に乗客が乗車していない場合、定期運行車両10をすれ違い場で停車させてオンデマンド車両20が通り過ぎるのを待たせた後、定期運行計画で規定された走行速度よりも速い速度で定期運行車両10を運行してもよい。また、定期運行車両10の走行速度を高めることと併せて、定期運行計画において定期運行車両10が停車することになっている停車場のうち、乗客のいない無客停車場には定期運行車両10を停車させず、定期運行車両10に無客停車場を通過させるようにしてもよい。
【0081】
オンデマンド車両20は予約した利用者40のためだけに用いられるのではなく、ライドシェア用の車両として用いられてもよい。
【0082】
定期運行車両10の自動運転ECU12と、オンデマンド車両20の自動運転ECU22の少なくとも一方が運行システムの構成要素に含まれていてもよい。その場合、少なくとも1つのプロセッサとは、運行管理サーバ100のプロセッサ110と、自動運転ECU12又は自動運転ECU22のプロセッサとを意味する。また、その場合、複数のインストラクションとは、運行管理サーバ100のプログラムメモリ120に記憶されたインストラクションと、自動運転ECU12又は自動運転ECU22のプログラムメモリに記憶されたインストラクションとを意味する。
【符号の説明】
【0083】
2 単一車線の路線
4 すれ違い場としての停車場
6 待合所
8 カメラ
10 定期運行車両
12 自動運転ECU
20 オンデマンド車両
22 自動運転ECU
30 定期運行車両の利用者
40 オンデマンド車両の利用者
42 携帯端末
100 運行管理サーバ
110 プロセッサ
120 プログラムメモリ
122 インストラクション
130 ストレージ
132 定期運行計画データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10