(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172225
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置、車両及びワイヤレス給電ユニット
(51)【国際特許分類】
B60P 1/44 20060101AFI20231129BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231129BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20231129BHJP
【FI】
B60P1/44 Z
H02J7/00 301D
H02J50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083881
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】石井 一成
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】ケーブルの疲労を抑制する。
【解決手段】車両の荷台の床面の高さと接地する高さとの間を昇降する荷受台を備えた荷受台昇降装置であって、ワイヤレス給電ユニットを備えた荷受台昇降装置を提供する。前記荷受台が先端部を含む一部又は全部が回転軸を支点にして回動可能である場合、前記ワイヤレス給電ユニットは、前記回転軸を支点に回動する前記荷受台の一部又は全部を除く部分に設けられる。例えば、前記荷受台が、基端側荷受台と、前記基端側荷受台に折り重ね可能に構成された先端側荷受台とを含んで構成される場合、前記ワイヤレス給電ユニットは、前記基端側荷受台に配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台の床面の高さと接地する高さとの間を昇降する荷受台を備えた荷受台昇降装置であって、
ワイヤレス給電ユニットを備えた荷受台昇降装置。
【請求項2】
請求項1の荷受台昇降装置において、
前記荷受台は、先端部を含む一部又は全部が回転軸を支点にして回動可能であり、
前記ワイヤレス給電ユニットは、前記回転軸を支点に回動する前記荷受台の一部又は全部を除く部分に設けられている
荷受台昇降装置。
【請求項3】
請求項1又は2の荷受台昇降装置において、
前記荷受台は、基端側荷受台と、前記基端側荷受台に折り重ね可能に構成された先端側荷受台とを含んで構成され、
前記ワイヤレス給電ユニットは、前記基端側荷受台に配置されている
荷受台昇降装置。
【請求項4】
請求項3の荷受台昇降装置において、
前記荷受台を展開した状態で前記ワイヤレス給電ユニットに対向するように前記先端側荷受台に配置した受電ユニットと、
前記受電ユニットに電線で接続されて前記先端側荷受台に配置された電気機器と
を備えた荷受台昇降装置。
【請求項5】
請求項4の荷受台昇降装置において、
前記基端側荷受台及び前記先端側荷受台の互いの対向端部にそれぞれバンパを構成するカバーが備わっており、
前記ワイヤレス給電ユニットは、前記基端側荷受台の前記カバーの内部に配置されており、
前記受電ユニットは、前記先端側荷受台の前記カバーの内部に配置されている
荷受台昇降装置。
【請求項6】
請求項1又は2の荷受台昇降装置において、
前記ワイヤレス給電ユニットは、前記荷受台の荷受面と交差する方向に電力を伝送するように前記荷受台に配置されている
荷受台昇降装置。
【請求項7】
請求項6の荷受台昇降装置において、
前記荷受台は、基端側荷受台と、前記基端側荷受台に折り重ね可能に構成された先端側荷受台とを含んで構成され、
前記ワイヤレス給電ユニットは、前記基端側荷受台に備わっている
荷受台昇降装置。
【請求項8】
請求項7の荷受台昇降装置において、
前記ワイヤレス給電ユニットは、前記基端側荷受台の基端側部分に配置されている荷受台昇降装置。
【請求項9】
請求項7の荷受台昇降装置において、
前記基端側荷受台に前記先端側荷受台を折り重ねた状態で前記ワイヤレス給電ユニットに対向するように前記先端側荷受台に配置したワイヤレス受電可能なバッテリと、
前記バッテリに電線で接続されて前記先端側荷受台に配置された電気機器と
を備えた荷受台昇降装置。
【請求項10】
請求項1又は2の荷受台昇降装置において、
前記荷受台は、前記車両の荷台に沿って起立可能に構成されており、
前記ワイヤレス給電ユニットは、前記車両の荷台に配置されており、
前記荷受台を起立させた状態で前記ワイヤレス給電ユニットに対向するように前記荷受台に配置したワイヤレス受電可能なバッテリと、
前記バッテリに電線で接続されて前記荷受台に配置された電気機器と
を備えた荷受台昇降装置。
【請求項11】
請求項1の荷受台昇降装置を備えた車両。
【請求項12】
車両の荷台の床面の高さと接地する高さとの間を昇降する荷受台とを備えた荷受台昇降装置、又は前記荷受台昇降装置が設けられる車両に取り付けられ、対面させた受電ユニット又はバッテリに対してワイヤレス給電可能なワイヤレス給電ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷受台昇降装置、車両及びワイヤレス給電ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
荷受台昇降装置には、例えばランプ等の電気機器を荷受台に設置したものがある(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷受台に電気機器を設置した荷受台昇降装置においては、荷受台の内部を通してケーブルを配線する必要がある。特に特許文献1に記載された荷受台昇降装置は、荷受台が基端側荷受台と先端側荷受台とからなる折り畳み構造であり、先端側荷受台に設置されたランプに給電するケーブルは、基端側荷受台と先端側荷受台の間を跨いで配線される。先端側荷受台は、展開及び格納の際に基端側荷受台に対して180°反転する可動部品であり、展開及び格納の度に先端側荷受台と共に反転動作を繰り返すため疲労し易く、断線する可能性もある。また、基端側荷受台と先端側荷受台との間でケーブルが露出する場合、雨水や塩水、日射等の周辺環境によるケーブルの劣化や、何かに引っ掛かる、挟み込まれる等の外的要因による損傷も考えられる。加えて、疲労が甚だしい場合にケーブルのシース(外皮)や絶縁体が破れたりすると、ケーブルの内部の金属線(導体)が雨水等に晒されることにもなる。
【0005】
本発明の目的は、ケーブルの疲労を抑制し、周囲環境によるケーブルの劣化、外的要因によるケーブルの損傷や断線の発生を抑制できる荷受台昇降装置、車両及びワイヤレス給電ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車両の荷台の床面の高さと接地する高さとの間を昇降する荷受台を備えた荷受台昇降装置であって、ワイヤレス給電ユニットを備えた荷受台昇降装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、荷受台昇降装置に備わったケーブルの疲労を抑制し、周囲環境によるケーブルの劣化、外的要因によるケーブルの損傷や断線の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置を架装した車両の一例を模式的に表す斜視図
【
図2】
図1の荷受台昇降装置(荷受台を格納した状態)を拡大して表す側面図
【
図3】
図1の荷受台昇降装置(荷受台を展開した状態)を拡大して表す側面図
【
図4】
図3の荷受台昇降装置の荷受台の先端部(先端側荷受台の先端部)の断面図
【
図5】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置に備わったワイヤレス給電ユニットの配置を示す模式図
【
図6】本発明の第2実施形態に係る荷受台昇降装置に備わったワイヤレス給電ユニットの配置を示す模式図
【
図7】本発明の第3実施形態に係る荷受台昇降装置に備わったワイヤレス給電ユニットの配置を示す模式図
【
図8】本発明の第4実施形態に係る荷受台昇降装置に備わったワイヤレス給電ユニットの配置を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
(第1実施形態)
-車両-
図1は本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置を架装した車両の一例を模式的に表す斜視図である。本願明細書で言う前後とは、荷受台昇降装置の前後をいい、本実施形態では車両の前後に一致する。例えば車両の左側に荷受台が引き出されるように荷受台昇降装置を架装する場合には、車両の右左方向が荷受台昇降装置の前後方向に該当する。
【0011】
図1に示した車両は、運転室Cの後部に荷台(荷箱)3を備えた貨物車両である。本実施の形態における荷受台昇降装置1は、荷台Lを搭載した車両の車枠Fの後端の下部に取り付けられ、走行時等には折り畳んで車枠Fの下部に引き込んで格納される。そして、荷台Lへの荷物の積み下ろし作業時には、車枠Fの後方側に引き出した荷受台20を荷台Lの床面の高さと接地する高さとの間で昇降させ、荷物や作業者の荷台Lへの上げ下ろしを支援する。
【0012】
-荷受台昇降装置-
図2及び
図3は
図1の荷受台昇降装置を拡大して表す側面図である。
図2は荷受台20を格納した状態、
図3は荷受台20を展開した状態を表している。同図に示したように、荷受台昇降装置1は、荷受台20、スライダユニット30(
図3)、リフタユニット40及びパワーユニット(不図示)を含んで構成されている。スライダユニット30は、荷受台20等を前後方向に移動させるアクチュエータを含むユニットである。リフタユニット40は、荷受台20を昇降させるアクチュエータを含むユニットである。パワーユニットは、スライダユニット及びリフタユニット40等を駆動するコンピュータを含むユニットである。スライダユニット30、リフタユニット40、及び荷受台20について順次説明する。
【0013】
-スライダユニット-
スライダユニットは、左右のガイドレール31、スライダ32(
図3)、及びスライドシリンダ33(
図3)を備えている。左右のガイドレール31は、車枠Fの後部下側に取り付けられており、互いに平行に前後に延びている。スライダ32は、左右のガイドレール31にスライド可能に支持され、ガイドレール31に沿って前後に移動可能である。スライドシリンダ33は、複動式の油圧シリンダであり、ガイドレール31及びスライダ32に適宜支持部材を介して両端が固定されている。スライドシリンダ33の伸縮動作によりガイドレール31に沿ってスライダが前後に移動し、リフタユニット40を介してスライダに支持された荷受台20が前後に移動する。スライダ32には、荷受台20の格納動作時に、格納動作の準備作業として荷受台20を凭せ掛けるための格納用支持ローラ34(
図3)が設けられている。格納用支持ローラ34は、荷受台昇降装置1の左右方向の中央に位置している。
【0014】
-リフタユニット-
リフタユニット40は、チルトアーム41(
図3)、リフトアーム42、コンプレッションアーム43及びリフトシリンダ44を左右一組ずつ備えている。
図3においては、コンプレッションアーム43及びリフトシリンダ44が図示省略されている。チルトアーム41は、スライダ32に対して上部がピンを介して連結され、下部が前後に回動する。リフトアーム42は、前端部がチルトアーム41に、後端部が荷受台20に、左右に延びる軸を介してそれぞれ回動可能に連結されていて、スライダ32に対して上下に回動する。コンプレッションアーム43は、前端部がスライダ32に、後端部が荷受台20に、左右に延びる軸を介してそれぞれ回動可能に連結されている。リフトシリンダ44は、単動式油圧シリンダ(複動式でも良い)であり、本実施形態ではロッド側がチルトアーム41の下部に、ボトム側がリフトアーム42に、それぞれ回動可能に連結されている。リフトアーム42及びコンプレッションアーム43は、スライダ32に対して荷受台20を昇降可能に連結する平行リンクを形成する。この平行リンクがリフトシリンダ44の伸縮駆動に伴って上下に回動駆動することで、荷受台20が荷役姿勢(例えば荷台Lの床面と平行な姿勢)を保って昇降する(
図1)。
【0015】
-荷受台-
荷受台20は、荷物等を受けて昇降する台であり、先端部を含む一部又は全部が回転軸を支点にして回動(傾動)可能な構成である。本実施形態の荷受台20は、リフトアーム42及びコンプレッションアーム43の先端に連結された基端側荷受台21と、基端側荷受台21の後部に回転軸(ヒンジ、不図示)を介して回動可能に連結された先端側荷受台22を含んで構成されている。先端側荷受台22は、回転軸(具体的にはヒンジの軸)を支点に回動し、展開姿勢(
図3)から左側面視で反時計回りに反転(180度回動)して基端側荷受台21の上側に折り重ねられる(
図2)。つまり、荷受台20は、先端部を含む一部である先端側荷受台22が回転軸を支点にして回動(傾動)可能な構成である。
【0016】
荷受台20の左右の幅は、例えば荷台Lの幅と同程度であり、左右の車枠Fの外法寸法よりも広い。本実施形態の先端側荷受台22は非折り畳み式である。つまり、荷受台20は先端側荷受台22を1枚のみ含んだ2枚折れ構造である。また、荷受台20には、荷受板21P,22Pの下部(裏面)に、左右一対のスチフナ24が備わっている。荷受板21P,22Pは、荷受台20の本体をなすプレート上の部材であり、荷受板21P,22Pの表面(展開時に上を向く面)が荷受面Sである。スチフナ24は、荷受板21P,22Pの裏面にそれぞれ設けられており、荷受台20が展開すると荷受板21Pの裏面に設けたものと荷受板22Pの裏面に設けたものとが連なり、左右から見ると基端から先端(後方)に向かって薄くなる三角形状になる(
図3)。
【0017】
なお、折り畳んだ状態の荷受台20の後端面はバンパ25を構成する(
図2)。このバンパ25は、カバー26,27を含んで構成される。
【0018】
カバー26は、基端側荷受台21における先端側荷受台22との対向端部に設けた左右に延びる中空の部材であり、基端側荷受台21の荷受板21Pに対して荷受面Sと反対側に突出し、バンパ25の下半側の部分を構成する。カバー26の内部の空間の上下寸法は、荷受板21Pの厚みと同程度かそれよりも大きい。
【0019】
カバー27は、先端側荷受台22における基端側荷受台21との対向端部に設けた左右に延びる中空の部材であり、先端側荷受台22の荷受板22Pに対して荷受面Sと反対側に突出し、バンパ25の上半側の部分を構成する。カバー27の内部の空間の上下寸法は、カバー26の内部空間の上下寸法と同程度であり、荷受板22Pの厚みと同程度かそれよりも大きい。
【0020】
荷受台20が折り畳まれた状態では、先端側荷受台22は荷受面Sを下に向けるため、カバー27は上方に突出する。そのため、本実施形態の荷受台昇降装置1は、格納姿勢の荷受台20の荷受面Sに対して上半部が高くなるバンパ25を構成する(バンパ25の上下中心付近に格納姿勢の荷受台20の荷受面Sが位置する)。
【0021】
-キャスタストッパ-
図4は荷受台20の先端部(先端側荷受台22の先端部)を前後に延びる鉛直平面で切断した断面図である。荷受台20には、台車等の乗降に配慮して、車止めの役割を果たすキャスタストッパ29が設けられている。キャスタストッパ29は、荷受台20の後部に位置し左右方向に延在して設けられており、荷受台20に積載された台車の後側で起立させて使用される。
【0022】
キャスタストッパ29は、後部がピン29Pを介して荷受台20に連結され、前部が上下に回動して起立姿勢及び倒伏姿勢に姿勢変化可能に構成されている。具体的には、本実施形態では荷受台20に備わったキャスタストッパ29の収容部20a(荷受台20に存在する複数の空洞部のうち最も後の空洞部)が左右の全長に亘って荷受面Sに開口している。キャスタストッパ29は、左右のサイドモール28(
図3)の間において収容部20aの上部開口を開閉する。キャスタストッパ29は、倒伏姿勢(
図4の二点鎖線)のとき荷受台20における収容部20aの上部開口を閉じて荷受台20の荷受面Sの一部を構成し、起立姿勢(
図4の実線)のとき荷受台20の荷受面Sから上方に突出して後部の車止めとして機能する。
【0023】
荷受台20には、電気機器が設置される場合がある。本実施形態では、一例として、キャスタストッパ29が起立姿勢であることを報知するランプ29q(
図4)が備わった場合を例示する。ランプ29qは、先端側荷受台22上記収容部20aに配置されている。このランプ29qには、代表的にはLEDを用いることができる。ランプ29qは、例えば左右方向に間隔を空けて複数設置されている。
【0024】
-ワイヤレス給電ユニット-
図5はワイヤレス給電ユニットの配置を示す模式図である。同図に示したように、荷受台昇降装置1は、ワイヤレス給電ユニット60を備えている。ワイヤレス給電ユニット60は、電線(ワイヤ)を使わずに給電対象(本実施形態では受電ユニット71)に電力を伝送するユニットであり、回転軸を支点に回動する荷受台20の一部又は全部を除く部分に設けられている。荷受台20における回転軸を支点に回動する一部又は全部には、本実施形態では先端側荷受台22が該当し、この先端側荷受台22を除く部分にワイヤレス給電ユニット60が設置される。本実施形態では、基端側荷受台21の上記カバー26の内部にワイヤレス給電ユニット60を配置した構成を例示している。ワイヤレス給電ユニット60は、電線(ケーブル)65を介して図示しない電源(例えば荷受台昇降装置1又は車両のバッテリ)に接続されている。
【0025】
それに対し、先端側荷受台22の上記カバー27の内部には、ワイヤレス給電ユニット60からワイヤレスで受電可能な受電ユニット71が配置されている。受電ユニット71は、電線75を介して電気機器(本実施形態ではランプ29q)に接続されている。
【0026】
ワイヤレス給電ユニット60及び受電ユニット71は、荷受台20を展開した状態でワイヤレス給電ユニット60の電力送受方向に対向し、電力の伝送が可能な距離の範囲内に接近する。本実施形態において、ワイヤレス給電ユニット60及び受電ユニット71は、基端側荷受台21及び先端側荷受台22の互いの対向端面(荷受台20の展開状態における対向面)に接近して配置されている。荷受台20が展開した際のワイヤレス給電ユニット60及び受電ユニット71の距離は、基端側荷受台21と先端側荷受台22の対向面間距離かそれよりも若干長い程度である。ワイヤレス給電ユニット60及び受電ユニット71による電力の伝送方式としては、例えば電磁誘導方式(磁界共鳴型を含む)、電界結合方式、電磁波方式(マイクロ波方式、レーザー方式を含む)を適宜適用することができる。
【0027】
-動作-
荷受台昇降装置1の使用時、荷受台20が展開された状態となるので、上記の通り、ワイヤレス給電ユニット60及び受電ユニット71は電力送受方向に対向する。この状態で電源からワイヤレス給電ユニット60に給電されると、基端側荷受台21と先端側荷受台22の対向面間を跨いでワイヤレス給電ユニット60及び受電ユニット71が電気的に接続される。これにより、ワイヤレス給電ユニット60及び受電ユニット71を介してランプ29qが電源に繋がり、制御装置(不図示)からの指令によりランプ29qに給電されることで、ランプ29qが点灯する。
【0028】
-効果-
(1)ワイヤレス給電ユニット60を用いることにより、電源から電気機器までの送電経路のうち、ワイヤレス給電ユニット60による伝送区間についてはケーブルがなくなる。これにより、荷受台昇降装置1に備わったケーブルの疲労を抑制することができる。
【0029】
(2)本実施形態の場合、荷受台20が折り畳み式であり、電気機器(ランプ29q)が備わった先端側荷受台22が、荷受台20の格納及び展開の度に回転軸を支点にして反転する。そこで、基端側荷受台21にワイヤレス給電ユニット60、先端側荷受台22に受電ユニット71をそれぞれ設け、基端側荷受台21と先端側荷受台22とを跨ぐ送電経路をワイヤレス化した。これにより、先端側荷受台22の反転の繰り返しに伴うケーブルの曲げ伸ばしがなくなり、基端側荷受台と先端側荷受台との間でケーブルが露出することもない。これによりケーブルの疲労が抑制される。また、周囲環境によるケーブルの劣化、外的要因によるケーブルの損傷や断線も抑制でき、ケーブルのシースが破れて導体に雨水が触れることも抑制されて防水効果も向上する。
【0030】
(3)荷受台20が展開した状態で、ワイヤレス給電ユニット60から受電ユニット71に電力が伝送される構成である。そのため、先端側荷受台22に取り付けた電気機器(本例ではランプ29q)に、荷受台昇降装置1の使用時に荷受台昇降装置1の電源(荷受台昇降装置1又は車両のバッテリ)からの電力を電気機器に供給することができる。従って、荷受台昇降装置1の使用中に電気機器の動作が停止(ランプ29qが消灯)することがない。
【0031】
(4)上記の通り、荷受台20は格納された状態で後端面がバンパ25を構成する。バンパ25は、基端側荷受台21及び先端側荷受台22の対向部のカバー26,27で形成され、カバー26,27の存在により基端側荷受台21及び先端側荷受台22の双方に内部空間を確保することができる。基端側荷受台21及び先端側荷受台22の内部空間は、荷受台20の荷受板21P,22Pの厚みよりも上下寸法が大きく余裕がある。この構成を活かし、カバー26の内側にワイヤレス給電ユニット60、カバー27の内側に受電ユニット71を無理なく設置することができる。加えて、ワイヤレス給電ユニット60及び受電ユニット71の保護カバーをカバー26,27で兼ねることができる。
【0032】
(第2実施形態)
図6は本発明の第2実施形態に係る荷受台昇降装置に備わったワイヤレス給電ユニットの配置を示す模式図である。同図は、第1実施形態の
図5に対応している。
【0033】
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、ワイヤレス給電ユニット60が、受電する電気機器に対して荷受台20の荷受面Sと交差(例えば直交)する方向に電力を伝送するように荷受台20に配置されている点である。つまり、本実施形態においては、荷受面Sに対向する位置にある電気器にワイヤレス給電ユニット60を介して電力が伝送される。
【0034】
本実施形態における荷受台20も、第1実施形態と同様、基端側荷受台21と、基端側荷受台21に折り重ね可能に構成された先端側荷受台22とを含んで構成されている。ワイヤレス給電ユニット60は、第1実施形態と同様に基端側荷受台21のカバー26に収容されているが、第1実施形態と異なり電力の電動方向が荷受面Sと交差(例えば直交)する姿勢で配置されている。
【0035】
また、先端側荷受台22の上記カバー27の内部には、第1実施形態と異なり、受電ユニット71ではなく、ワイヤレス受電可能なバッテリ72が配置されている。バッテリ72は、基端側荷受台21に先端側荷受台22を折り重ねた状態でワイヤレス給電ユニット60に対向するように先端側荷受台22に配置されている。バッテリ72には、電線75を介して電気機器(例えばランプ29q)が接続されている。
【0036】
ワイヤレス給電ユニット60及びバッテリ72は、荷受台20を折り畳んだ状態でワイヤレス給電ユニット60の電力送受方向に対向し、電力の伝送が可能な距離の範囲内に接近する。本実施形態において、ワイヤレス給電ユニット60及びバッテリ72は、荷受台20を折り畳んだ状態における基端側荷受台21及び先端側荷受台22の互いの対向面(つまり互いの荷受面S)に接近して配置されている。荷受台20を折り畳んだ際のワイヤレス給電ユニット60及びバッテリ72の距離は、基端側荷受台21と先端側荷受台22の互いの荷受面Sの面間距離かそれよりも若干長い程度である。ワイヤレス給電ユニット60及びバッテリ72による電力の伝送方式としては、例えば電磁誘導方式(磁界共鳴型を含む)、電界結合方式、電磁波方式(マイクロ波方式、レーザー方式を含む)を適宜適用することができる。
【0037】
その他の構成については、本実施形態は第1実施形態と同様である。
【0038】
例えば荷受台20の格納時、基端側荷受台21に先端側荷受台22が折り重なって両者の荷受面Sが対面し、上記の通りワイヤレス給電ユニット60及びバッテリ72が電力送受方向に対向する。この状態で電源からワイヤレス給電ユニット60に給電されると、基端側荷受台21と先端側荷受台22の荷受面Sを跨いでワイヤレス給電ユニット60からバッテリ72に電力が伝送され、バッテリ72に蓄電される。つまり、荷受台20が折り畳まれている間に、ワイヤレス給電ユニット60を介してバッテリ72に充電しておくことができる。バッテリ72に蓄えられた電力は、例えば荷受台昇降装置1の使用時に、先端側荷受台22に設けた電気機器(例えばランプ29q)の動力に用いられる。
【0039】
本実施形態においては、電源から電気機器までの送電経路の途中にバッテリ72を配置し、バッテリ72に蓄えた電力で電気機器を駆動するに当たり、バッテリ72への電力の伝送にワイヤレス給電ユニット60を用いている。このように電源から電気機器までの送電経路の一部をワイヤレス化することにより、本実施形態においても、第1実施形態と同じくケーブルの疲労を抑制等の効果を得ることができる。
【0040】
(第3実施形態)
図7は本発明の第3実施形態に係る荷受台昇降装置に備わったワイヤレス給電ユニットの配置を示す模式図である。
【0041】
本実施形態も第2実施形態と同じくバッテリ72を用いる実施形態であるが、ワイヤレス給電ユニット60及びバッテリ72のレイアウトが第2実施形態と相違する。具体的には、本実施形態において、バッテリ72は、ランプ29q(
図4)の付近に位置するように先端側荷受台22(例えば収容部20a又はスチフナ24の内部)の先端側の部分に配置されている。そして、ワイヤレス給電ユニット60は、基端側荷受台21の基端側部分(前部)であって、荷受台20が折り畳まれた状態でバッテリ72に対向する位置に配置されている。ワイヤレス給電ユニット60は、例えば基端側荷受台21のスチフナ24の内部に設けることができる。
【0042】
その他の構成については、本実施形態は前述した各実施形態と同様である。
【0043】
バッテリ72を用いる場合、荷受台20を格納した状態でワイヤレス給電ユニット60とバッテリ72とが接近すれば良く、荷受台20を展開した状態でワイヤレス給電ユニット60とバッテリ72とが接近する必要がない。従って、本実施形態のように、基端側荷受台21の前部にワイヤレス給電ユニット60を設置し、先端側荷受台22の後部(折り畳み時には前部)にバッテリ72を設置することができる。そのため、基端側荷受台21との先端側荷受台22の対向端面からランプ29qまでの距離の倍程度の距離の配線(
図7の二点鎖線)が不要になり、第1実施形態や第2実施形態に比べてケーブルを大幅に短縮できるメリットがある。
【0044】
(第4実施形態)
図8は本発明の第4実施形態に係る荷受台昇降装置に備わったワイヤレス給電ユニットの配置を示す模式図である。
【0045】
本実施形態も第2実施形態及び第3実施形態と同じくバッテリ72を用いる実施形態であるが、荷受台昇降装置1に備わったワイヤレス給電ユニット60が車両の荷台Lに配置されている点で第2実施形態及び第3実施形態と相違する。
【0046】
まず、本実施形態の荷受台昇降装置1は、荷受台20が車両の荷台Lの側壁面(例えば後壁面)に沿って起立可能に構成され、荷受台20を荷台Lに沿って起立させた格納姿勢をとる。
図8には回動するアームで荷受台20を昇降させる構成を例示しているが、荷台Lに沿って上下に延びる一対のポストに案内されて荷受台が昇降する方式の荷受台昇降装置においても、荷受台を起立させる格納姿勢が採用され得る。また、第1実施形態のように車枠の下部に引き込んで荷受台を格納する荷受台昇降装置の中にも、荷台に沿って荷受台を起立させる格納姿勢をとることができるものが存在する。これら各方式のいずれにおいても、本実施形態の構成は適用可能である。
【0047】
また、
図8の荷受台20は、非折り畳み式であり、第1-第3実施形態の荷受台20のように一部(先端側荷受台22)が回動可能な構成ではなく、全部が回転軸を支点にして回動する構成である。そして、荷受台20には、第2実施形態及び第3実施形態と同じくワイヤレス受電可能なバッテリ72が備わっている。バッテリ72は、荷受台20に設置された電気機器(例えばランプ29q)に電線(ケーブル)を介して接続される。バッテリ72と電気機器との間の配線を短縮する観点では、第3実施形態のようにバッテリ72を電気機器の付近に設置することが望ましい。
【0048】
それに対し、ワイヤレス給電ユニット60は、荷受台20が起立した状態のときにバッテリ72に対向するように荷受Lに配置される。ワイヤレス給電ユニット60は、例えば荷台Lの扉(例えば後部扉)の内部又は壁面に設けることができる。
【0049】
その他の構成については、本実施形態は前述した各実施形態と同様である。
【0050】
本実施形態においても、第2実施形態及び第3実施形態と同様に荷受台20の格納時にワイヤレス給電ユニット60を介してバッテリ72に蓄電することができ、第2実施形態や第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
-変形例-
以上においては、荷受台20に備わった受電ユニット71又はバッテリ72に対してワイヤレス給電ユニット60から電力を伝送する例を説明したが、これらの例には限定されない。例えば、荷受台昇降装置1のワイヤレス給電ユニット60を給電スタンド又は充電スタンドとして用いることも考えられる。例えば、外部電気機器(一例として照明装置等)にアダプタを介して受電ユニット71又はバッテリ72に取り付ける。受電ユニット71又はバッテリ72が装備された外部電気機器の場合、アダプタは不要である。このように受電ユニット71又はバッテリ72を取り付けた又は備えた外部電気器を、受電ユニット71又はバッテリ72がワイヤレス給電ユニット60に対向するように荷受台20に載せる。また、
図8のように荷台Lにワイヤレス給電ユニット60を設けた例であれば、荷台Lに設けたワイヤレス給電ユニット60に受電ユニット71又はバッテリ72が対向するように荷台Lに外部電気器を積み込む。これによりワイヤレス給電ユニット60を介して外部電気機器に電力を供給し、外部電気機器の電源が確保できない場面でも、ワイヤレス給電ユニット60を活用して外部電気器を使用することができる。この場合、荷受台昇降装置1の受電ユニット71及びバッテリ72は省略又はオプション化することができる。また、荷受台20及び荷台Lの双方にワイヤレス給電ユニット60を設け、いずれのワイヤレス給電ユニット60によっても外部電気機器に給電可能な構成とすることもできる。
【0052】
また、第1-第3実施形態では、先端側荷受台22が1枚の(1箇所で荷受台20が折れる)構造を例示したが、車枠の下側に引き込んで格納する種の荷受台には、先端側荷受台22が前後複数枚に分割され、2カ所以上で折れる構造のものも存在する。例えば3枚に折れる荷受台において、基端側の先端側荷受台を「第1先端側荷受台」、先端側(最も先端)の先端側荷受台を「第2先端側荷受台」とする。この3枚折れの荷受台は、折り畳まれた状態で、一般的に第2先端側荷受台が基端側荷受台の荷受面上に重なる。従って、例えば基端側荷受台にワイヤレス給電ユニット60を設け、第2先端側荷受台にバッテリ72を設置することで、荷受台の格納中にバッテリ72を充電することができる。
【0053】
また、3枚折れ構造の荷受台に受電ユニット71を用いる場合、基端側荷受台と第1先端側荷受台の間の給電経路、第1先端側荷受台と第2先端側荷受台の間の給電経路のいずれをワイヤレス化することもできる。
【0054】
また、受電ユニット71とバッテリ72の双方を用いることも考えられる。例えば、3枚折れの荷受台において、基端側荷受台にワイヤレス給電ユニット60を複数設け、第1先端側荷受台に受電ユニット71、第2先端側荷受台にバッテリ72を設ける。この場合、第1先端側荷受台に設置した電気機器には荷受台の展開時にワイヤレス給電ユニット60及び受電ユニット71を介して電力を供給し、第2先端側荷受台に設置した電気機器には荷受台の格納時にバッテリ72に蓄えておいた電力を供給することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…荷受台昇降装置、20…荷受台、21…基端側荷受台、22…先端側荷受台(先端部を含む一部)、25…バンパ、26,27…カバー、29q…ランプ(電気機器)、60…ワイヤレス給電ユニット、71…受電ユニット、72…バッテリ、75…電線、L…荷台、S…荷受面