(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172233
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
E02F 9/16 20060101AFI20231129BHJP
B62D 24/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
E02F9/16 A
B62D24/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083891
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【弁理士】
【氏名又は名称】森 昌康
(74)【代理人】
【識別番号】100175628
【弁理士】
【氏名又は名称】仁野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 聡
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 雄大
(72)【発明者】
【氏名】村上 淳一
(72)【発明者】
【氏名】木村 健人
(72)【発明者】
【氏名】服部 晃典
【テーマコード(参考)】
2D015
3D203
【Fターム(参考)】
2D015EA04
3D203AA26
3D203BA02
3D203BB72
3D203BC34
3D203CB26
3D203DA02
3D203DA05
3D203DA06
3D203DA07
3D203DA38
(57)【要約】
【課題】カバーで覆われた中央部において、上支持フレームとキャビンとの間の隙間からエンジンルーム内にダストが侵入することを抑止する。
【解決手段】作業車両は、車体前部と車体前部との反対の車体後部とを有する車体フレームと、キャブ回転軸線周りに回動自在に車体フレームに接続するキャブフレームと、第1ダスト侵入抑止機構と、を備える。車体後部は、キャブフレームを回動可能に支持する第1支持台と、第1支持台を支持する上支持フレームとを有する。キャブフレームは、高さ方向の上方において、キャブ回転軸線に沿う軸方向での車体中央と第1支持台との間の上支持フレームを覆うカバーを有する。第1ダスト侵入抑止機構は、高さ方向において上支持フレームとカバーとの間に設けられ、軸方向に見て、キャブフレームと上支持フレームと第1支持台とカバーとの間の隙間と重畳する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部と前記車体前部との反対の車体後部とを有する車体フレームと、
キャブ回転軸線周りに回動自在に前記車体フレームに接続するキャブフレームと、
前記車体フレームと前記キャブフレームとの間に設けられた第1ダスト侵入抑止機構と、
を備え、
前記車体後部は、
前記キャブ回転軸線に沿う軸方向における前記車体フレームの中央である車体中央から外れた位置に設けられ、前記キャブフレームを回動可能に支持する第1支持台と、
第1端と前記第1端と前記軸方向において反対の第2端とを有し、前記軸方向における前記第1端と前記第2端との間で前記第1支持台を支持する上支持フレームと、
前記車体フレームの高さに沿う高さ方向において前記上支持フレームの下方に設けられるエンジンルームと、
を有し、
前記キャブフレームが前記車体前部上に載置される閉状態において前記上支持フレームと前記キャブフレームとは離間しており、
前記キャブフレームは、前記高さ方向の上方において、前記軸方向での前記車体中央と前記第1支持台との間の前記上支持フレームを覆うカバーを有し、
前記第1ダスト侵入抑止機構は、前記軸方向において前記車体中央から前記第1端との間、且つ、前記高さ方向において前記上支持フレームと前記カバーとの間に設けられ、前記軸方向に見て、前記キャブフレームと前記上支持フレームと前記第1支持台と前記カバーとの間の隙間と重畳する、
作業車両。
【請求項2】
前記車体後部は、
前記軸方向における前記第1支持台と前記第2端との間で前記上支持フレームによって支持され、前記キャブフレームを回動可能に支持する第2支持台をさらに備え、
前記カバーは、前記高さ方向の上方において、前記軸方向での前記車体中央と前記第2支持台との間の前記上支持フレームを覆い、
前記軸方向において前記車体中央から前記第2端との間、且つ、前記高さ方向において前記上支持フレームと前記カバーとの間に設けられる第2ダスト侵入抑止機構をさらに備え、
前記第2ダスト侵入抑止機構は、前記軸方向に見て、前記キャブフレームと前記上支持フレームと前記第2支持台と前記カバーとの間の隙間と重畳する、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記第1支持台と前記第2支持台とは、前記車体中央に対して互いに対称な位置において前記上支持フレームによって支持される、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記エンジンルームに設けられたエンジンと、
前記エンジンルームに設けられ、前記エンジンからの排気を処理する排気処理装置と、
をさらに備え、
前記排気処理装置は、前記軸方向において前記第1ダスト侵入抑止機構と前記第2ダスト侵入抑止機構との間に位置する、
請求項1から3のいずれかに記載の作業車両。
【請求項5】
前記第1ダスト侵入抑止機構は、
前記上支持フレーム上に設けられ、前記上支持フレームから前記高さ方向の上方に伸び、前記カバーから前記高さ方向において離間する第1下板材と、
前記カバー上に設けられ、前記カバーから前記高さ方向の下方に伸び、前記上支持フレームから前記高さ方向において離間する第1上板材と、
を有する、
請求項1から4のいずれかに記載の作業車両。
【請求項6】
前記第1上板材は、前記閉状態において前記軸方向に見て前記キャブフレームと前記第1下板材と前記第1支持台と前記カバーとの間の隙間を覆う、
請求項5に記載の作業車両。
【請求項7】
前記第1上板材は、前記閉状態において前記高さ方向における下方に向かうほど、前記高さ方向且つ前記軸方向に垂直な前後方向に対し幅狭となる形状を有している、
請求項6に記載の作業車両。
【請求項8】
前記第1上板材は、前記軸方向において前記第1下板材と前記第1支持台との間に設けられる、請求項6または7に記載の作業車両。
【請求項9】
前記第1下板材は、前記閉状態において前記軸方向に見て前記キャブフレームと前記第1上板材と前記第1支持台と前記上支持フレームとの間の隙間と重畳する、
請求項6から8のいずれかに記載の作業車両。
【請求項10】
前記車体フレームは、前記上支持フレームから前記高さ方向の上方に延び、前記カバーと接続する延出フレームをさらに含み、
前記第1下板材は、前記高さ方向且つ前記軸方向に垂直な前後方向のうちの後端において前記延出フレームと接続する、
請求項5から9のいずれかに記載の作業車両。
【請求項11】
前記第1ダスト侵入抑止機構は、
前記上支持フレーム上に設けられ、前記上支持フレームから前記高さ方向の上方に伸び、前記カバーから前記高さ方向において離間する第2下板材と、
前記第2下板材に接続される底部と、前記底部から前記第2下板材から離間するように折れ曲がり前記上方に伸びる上部とを含み、前記カバーから前記高さ方向において離間する第3下板材と、
前記第2下板材と前記第3板材とに挟まれた弾性部材と、
を有し、
前記弾性部材は前記閉状態において前記カバーと当接する、
請求項1から4のいずれかに記載の作業車両。
【請求項12】
前記第1ダスト侵入抑止機構は、
前記第2下板材の、前記高さ方向且つ前記軸方向に垂直な前後方向のうちの前端に設けられた付加弾性部材をさらに有し、
前記付加弾性部材は、前記閉状態において前記キャブフレームと当接する、
請求項11に記載の作業車両。
【請求項13】
前記車体フレームは、前記上支持フレームから前記高さ方向の上方に延び、前記カバーと接続する延出フレームをさらに含み、
前記第1下板材は、前記前後方向のうちの後端において前記延出フレームと接続する、
請求項11または12に記載の作業車両。
【請求項14】
車体前部と前記車体前部との反対の車体後部とを有する車体フレームと、
キャブ回転軸線周りに回動自在に前記車体フレームに接続するキャブフレームと、
前記車体フレームと前記キャブフレームとの間に設けられた第1ダスト侵入抑止機構と、
を備え、
前記車体後部は、
前記キャブフレームを回動可能に支持し、前記軸方向に並んで配置される第1支持台及び第2支持台と、
前記第1支持台と前記第2支持台とを支持する上支持フレームと、
前記車体フレームの高さに沿う高さ方向において前記上支持フレームの下方に設けられるエンジンルームと、
を有し、
前記キャブフレームが前記車体前部上に載置される閉状態において前記上支持フレームと前記キャブフレームとは離間しており、
前記キャブフレームは、前記高さ方向の上方において、前記軸方向での前記第1支持台と前記第2支持台との間の前記上支持フレームを覆うカバーを有し、
前記第1ダスト侵入抑止機構は、前記軸方向において前記第1支持台と前記第2支持台との間、且つ、前記高さ方向において前記上支持フレームと前記カバーとの間に設けられ、前記軸方向に見て、前記キャブフレームと前記上支持フレームと前記第1支持台と前記カバーとの間の隙間と重畳する、
作業車両。
【請求項15】
前記軸方向において前記第1ダスト侵入抑止機構と前記第2支持台との間、且つ、前記高さ方向において前記上支持フレームと前記カバーとの間に設けられる第2ダスト侵入抑止機構をさらに備え、
前記第2ダスト侵入抑止機構は、前記軸方向に見て、前記キャブフレームと前記上支持フレームと前記第2支持台と前記カバーとの間の隙間と重畳する、
請求項14に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、キャビンが開閉自在である作業車両を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の作業車両では、キャビンの開閉の便宜のために、車体フレームとキャビンとの間に隙間を設けることが好ましい。しかし、その隙間からダストが侵入する恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様に係る作業車両は、車体前部と車体前部との反対の車体後部とを有する車体フレームと、キャブ回転軸線周りに回動自在に車体フレームに接続するキャブフレームと、車体フレームとキャブフレームとの間に設けられた第1ダスト侵入抑止機構と、を備える。車体後部は、キャブ回転軸線に沿う軸方向における車体フレームの中央である車体中央から外れた位置に設けられ、キャブフレームを回動可能に支持する第1支持台と、第1支持台を支持する上支持フレームと、車体フレームの高さに沿う高さ方向において上支持フレームの下方にエンジンルームとを有する。上支持フレームは、第1支持台よりも車体中央から軸方向外側に離れた位置に第1端を有し、キャブフレームが車体前部上に載置される閉状態において上支持フレームとキャブフレームとは離間している。キャブフレームは、高さ方向の上方において、軸方向での車体中央と第1支持台との間の上支持フレームを覆うカバーを有する。第1ダスト侵入抑止機構は、軸方向において車体中央から第1支持台との間、且つ、高さ方向において上支持フレームとカバーとの間に設けられ、軸方向に見て、キャブフレームと上支持フレームと第1支持台とカバーとの間の隙間と重畳する。
【0006】
本開示の第2態様に係る作業車両は、車体前部と車体前部との反対の車体後部とを有する車体フレームと、キャブ回転軸線周りに回動自在に車体フレームに接続するキャブフレームと、車体フレームとキャブフレームとの間に設けられた第1ダスト侵入抑止機構と、を備える。車体後部は、キャブフレームを回動可能に支持し、軸方向に並んで配置される第1支持台及び第2支持台と、第1支持台と第2支持台とを支持する上支持フレームと、車体フレームの高さに沿う高さ方向において上支持フレームの下方に設けられるエンジンルームと、を有する。キャブフレームが車体前部上に載置される閉状態において上支持フレームとキャブフレームとは離間している。キャブフレームは、高さ方向の上方において、軸方向での第1支持台と第2支持台との間の上支持フレームを覆うカバーを有する。第1ダスト侵入抑止機構は、軸方向において第1支持台と第2支持台との間、且つ、高さ方向において上支持フレームとカバーとの間に設けられ、軸方向に見て、キャブフレームと上支持フレームと第1支持台とカバーとの間の隙間と重畳する。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示される技術によれば、例えば、カバーで覆われた中央部において、上支持フレームとキャビンとの間の隙間からエンジンルーム内にダストが侵入することを抑止する作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、キャビンを回転させたときの作業車両の側面図である。
【
図5】
図5は、作業車両の一部を作業車両の前端から後方に向かって見たときの図である。
【
図6】
図6は、エンジン周辺を側方から見た図である。
【
図7】
図7は、ボンネットカバーを外したときに熱交換器を上方から見たときの斜視図である。
【
図8】
図8は、キャビンと、ボンネットカバーとの境界部分の拡大図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る
図5の上支持フレームの付近の拡大図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る
図5の上支持フレームの付近の上部拡大図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る
図3の切断面線XI-XI'の断面図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態の上支持フレームの付近の拡大図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態の上支持フレームの付近の上部拡大図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態における
図3の切断面線XI-XI'の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、図中において同じ符号は、対応するまたは実質的に同一の構成を示している。
<第1実施形態>
<全体構成>
【0010】
図1~4を参照すると、作業車両1、例えばコンパクトトラックローダは、排気システム10を含む。作業車両1は、車体フレーム2と、走行装置3と、作業装置4と、キャビン5とを備えている。車体フレーム2は、走行装置3、作業装置4、及び、キャビン5を支持する。図示の実施形態では、走行装置3は、履帯式の走行装置である。このため、走行装置3は、駆動輪31、従動輪32、33、及び、転輪34を含む。ただし、走行装置3は、履帯式走行装置に限定されない。車体フレーム2は、車体前部2Fと車体前部2Fとの反対の車体後部2Rとを有する。走行装置3は、例えば、前輪/後輪走行装置であってもよいし、前輪と後部クローラとを有する走行装置であってもよい。作業装置4は、作業装置4の末端(distal end)に器具(work equipment)(バケット)41を含む。作業装置4の基端(proximal end)は、車体フレーム2の車体後部2Rに取り付けられている。作業装置4は、バケットピボット軸43を介してバケット41を回転可能に支持するための一対のアーム組立体(arm assembly)42を含む。一対のアーム組立体42のそれぞれは、リフトリンク44とアーム45を含む。
【0011】
リフトリンク44は、支点軸(fulcrum shaft)46の周りで車体フレーム2に対して回転可能である。アーム45は、ジョイント軸(joint shaft)47の周りでリフトリンク44に対して回転可能である。作業装置4は、複数のアームシリンダ48と少なくとも1つの器具シリンダ(equipment cylinder)49とをさらに含む。複数のアームシリンダ48のそれぞれは、車体フレーム2およびアーム45に回転可能に接続され、リフトリンク44およびアーム45を移動させて、バケット41を昇降させる。少なくとも1つの器具シリンダ49は、バケット41を傾けるように構成される。
【0012】
キャビン5は、車体フレーム2の車体前部2Fに取り付けられている。作業車両1は、キャビン5の前方にフロントドア51を備え、キャビン5内に運転席52および操作装置(図示せず)を備えている。キャビン5の内部空間は、キャブフレーム53によって規定される。
図2及び
図3に示されるように、キャブフレーム53は、回転シャフト(rotational shaft)RSL及びRSRを含む。車体フレーム2の車体後部2Rは、回転シャフトRSLを回動可能に支持する第1支持台27Lと、上述する回転シャフトRSRを回動可能に支持するための第2支持台27Rとを有している。
図1~
図3では、回転シャフトRSL及びRSRによって規定される共通のキャブ回転軸線(cabin rotational axis)A
XCを図示している。以降の実施形態において、キャブ回転軸線A
XCに沿う方向を軸方向D
AXと呼んでもよい。キャブフレーム53は、キャブ回転軸線周りに回動自在に車体フレーム2に接続する。
図1と
図2とを参照すると、キャブフレーム53は、回転シャフトRSL及びRSR周りに回動することによって、車体前部2F上に載置される閉状態(
図1参照)と、車体前部2Fから離間される開状態(
図2参照)とに切り替え可能である。
図2では、車体フレーム2の構造を明確とするために、車体フレーム2とキャビン5と、後述する第1ダスト侵入抑止機構60と第2ダスト侵入抑止機構65とを除いた図示を省略している。
【0013】
なお、本願に係る実施形態において、前後方向DFB(前方向DF/後方向DB)とは、キャビン5の運転席52に着座したオペレータから見て前後方向(前方向/後方向)を意味する。左方向DL、右方向DR、幅方向DWとは、当該オペレータから見てそれぞれ、左方向、右方向、左右方向を意味する。上方向DU、下方向DD、高さ方向DHとは、当該オペレータから見て上方向、下方向、高さ方向を意味する。作業車両1の前後/左右(幅)/上下(高さ)方向とは、それぞれ、当該オペレータから見た前後/左右(幅)/上下(高さ)方向と一致するものとする。なお、本実施形態において、幅方向DWは、軸方向DAXと同一である。
【0014】
図3では、一対のアーム組立体42の一方がキャビン5の左側に設けられている。一対のアーム組立体42の他方は、キャビン5の右側に設けられている。より具体的には、アームシリンダ48の一方とアーム45の一方は、キャビン5の左側に設けられている。アームシリンダ48の他方およびアーム45の他方は、キャビン5の右側に設けられている。
図1は、作業車両1の左側を示している。
図3及び
図4に示すように、車体フレーム2は、車体中央面Mに対して概ね面対称であり、一対のアーム組立体42のうち、車体中央面Mに対して左側に設けられるアーム組立体42が第1アーム組立体42Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるアーム組立体42が第2アーム組立体42Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるリフトリンク44が第1リフトリンク44Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるリフトリンク44が第2リフトリンク44Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるアーム45が第1アーム45Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるアーム45が第2アーム45Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられる支点軸46が第1支点軸46Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられる支点軸46が第2支点軸46Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるジョイント軸47が第1ジョイント軸47Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるジョイント軸47が第2ジョイント軸47Rとして示されている。
【0015】
図1を参照すると、作業車両1は、車体フレーム2の車体後部2Rに設けられたエンジン6および熱交換器7をさらに備える。エンジン6は、走行装置3および作業装置4に駆動力を提供するように構成されている。熱交換器7は、エンジン6の冷媒を冷却するラジエータを備えている。さらに、好ましくは、熱交換器7は、作業車両1の油圧システム(例えば、アームシリンダ48および少なくとも1つの器具シリンダ49)で使用される作動油を冷却するように構成されたオイルクーラを含む。作業車両1は、熱交換器7を空冷するためのファン17を含む。エンジン6および熱交換器7は、作業車両1の幅方向D
Wにおいて、一対のアーム組立体42の間に設けられている。
【0016】
作業車両1は、熱交換器7を覆うためのボンネットカバー8をさらに備える。ボンネットカバー8は、さらに、エンジン6を覆っている。ボンネットカバー8の上面には、カバー8内部に空気を取り込むための空気吸引口8aが設けられている。作業車両1は、車体フレーム2の後端に設けられている後ボンネットカバー9をさらに備える。後ボンネットカバー9は、開閉可能であり、保守員がエンジン6などの保守作業を行うことができる。
【0017】
排気システム10は、その一端がエンジン6に接続される排気管11と、排気管11に接続される排気口12とを備える。より具体的には、排気管11は、エンジン6の排気を処理するように構成される排気処理装置15を介してエンジン6に接続される。排気処理装置15は、例えば、微粒子除去フィルタを含む。ただし、排気処理装置15は、選択還元触媒装置を含んでもよい。
図3を参照すると、排気システム10は、作業車両1の幅方向D
Wにおいて第1アーム組立体42Lと車体中央面Mとの中間付近に設けられる。
【0018】
図5は、作業車両1の一部を作業車両1の前端から後方D
Bに向かって見たときの図である。
図5においては、車体フレーム2、エンジン6、排気処理装置15、排気システム10、熱交換器7、ファン17、及び、ボンネットカバー8以外の図示を省略している。
図5を参照すると、車体フレーム2(車体後部2R)は、第1内壁21L、第2内壁21R、第1外壁22L、第2外壁22R、第1後壁23L、第2後壁23R、上支持フレーム24、底壁25、第1支持台27L、第2支持台27R、第1トラックフレーム28L、第2トラックフレーム28R、第1取付フレーム29L、及び、第2取付フレーム29Rを含む。
【0019】
第1内壁21L及び第2内壁21Rは、上支持フレーム24と底壁25とを接続し、高さ方向DHに延びる。第1外壁22Lは、幅方向DWにおいて第1内壁21Lと対向し、高さ方向DHに延びる。第2外壁22Rは、幅方向DWにおいて第2内壁21Rと対向し、高さ方向DHに延びる。第1内壁21L及び第1外壁22Lは、車体中央面Mに対して左側に位置する。第2内壁21R及び第2外壁22Rは、車体中央面Mに対して右側に位置する。第1内壁21Lは、幅方向DWにおいて第1外壁22Lと車体中央面Mとの間に位置する。第2内壁21Rは、幅方向DWにおいて第2外壁22Rと車体中央面Mとの間に位置する。第1後壁23Lは、第1内壁21Lの後端と第1外壁22Lの後端とを接続する。第2後壁23Rは、第2内壁21Rの後端と第2外壁22Rとの後端を接続する。底壁25は、第1内壁21Lの下端と第2内壁21Rの下端とを接続する。上支持フレーム24は、第1内壁21Lの上端と第2内壁21Rの上端とを接続する。上支持フレーム24は、高さ方向DHにおいて底壁25と対向する。上支持フレーム24は、第1支持台27Lと第2支持台27Rとを支持する。第1支持台27L及び第2支持台27Rは、キャブフレーム53を回動可能に支持し、軸方向DAXに並んで配置される。第1支持台27Lは、軸方向DAXにおける車体フレーム2の中央である車体中央Mから外れた位置に設けられ、キャブフレーム53を回動可能に支持する。上支持フレーム24は、第1端24E1と第1端24E1と軸方向DAXにおいて反対の第2端24E2とを有し、軸方向DAXにおける第1端24E1と第2端24E2との間で第1支持台27Lを支持する。第2支持台27Rは、軸方向DAXにおける第1支持台27Lと第2端24E2との間で上支持フレーム24によって支持され、キャブフレーム53を回動可能に支持する。第1支持台27Lと第2支持台27Rとは、車体中央Mに対して対称な位置において上支持フレーム24によって支持される。
【0020】
第1リフトリンク44L、第1アーム組立体42L、及び、第1アーム組立体42Lを作動するアームシリンダ48は、幅方向DWにおいて第1内壁21Lと第1外壁22Lとの間に設けられる。第1リフトリンク44Lを支持する第1支点軸46Lは、第1内壁21Lと第1外壁22Lとに接続する。第2リフトリンク44R、第2アーム組立体42R、及び、第2アーム組立体42Rを作動するアームシリンダ48は、幅方向DWにおいて第2内壁21Rと第2外壁22Rとの間に設けられる。第2リフトリンク44Rを支持する第2支点軸46Rは、第2内壁21Rと第1外壁22Lとに接続する。
【0021】
第1トラックフレーム28Lは、第1内壁21Lの下端に第1取付フレーム29Lを介して取り付けられている。第2トラックフレーム28Rは、第2内壁21Rの下端に第2取付フレーム29Rを介して取り付けられている。第1トラックフレーム28L及び第2トラックフレーム28Rには、従動輪32、33及び転輪34が回転自在に取り付けられている。駆動輪31は、第1内壁21L及び第2内壁21Rによって支持される。エンジン6は図示しないダンパーを介して底壁25に支持される。
図4では、エンジン6の向きを規定するために、エンジン6のクランク軸A
XEを図示している。クランク軸A
XEは、実質的に車体中央面M上に前後方向D
FBに延びる。
【0022】
図6は、
図5に表示されているエンジン6の周辺を側方から見た図である。
図6において、キャビン5に属する構成を二点鎖線で図示し、上支持フレーム24を除く車体フレーム2の表示は省略している。上支持フレーム24は、点線で図示している。また、エンジン6の構造は模式的に表示しており、エンジン6の一部の構造の表示は省略されている。
図6に示されるように、熱交換器7、ファン17、及び、ボンネットカバー8は、ステー30を介して第1内壁21L及び第2内壁21Rに取り付けられる。つまり、ボンネットカバー8は、車体フレーム2の高さに沿う高さ方向D
Hにおいて車体フレーム2上に設けられる。
図2、
図5及び
図6を参照すると、上支持フレーム24は、その前端で下方に折れ曲がったL字状の形状を有している。上支持フレーム24は、貫通孔24hを有し、排気管11が貫通孔24hを通過するように配置される。貫通孔24hは、隙間G0を介してエンジンルーム14に連通している。
【0023】
さらに、
図5及び
図6を参照すると、ファン17は、エンジンの上方D
Uに位置する。熱交換器7は、ファン17の上方D
Uに位置する。空気吸引口8aを有するボンネットカバー8は、熱交換器7の上方D
Uに位置する。ファン17が回転することによって、空気吸引口8aから空気が熱交換器7に送られる。なお、ファン17とエンジン6との間にはファンダクト18が設けられ、ファンダクト18は、熱交換器7を通過して暖められた空気がエンジンルーム14に流入することを抑止している。また、ファンダクト18は、粉塵を含む外気がエンジンルーム14に流入することも抑止している。
図5及び
図6では、一部のファンダクト18の図示を省略しているため、ファン17が表示されているが、実際は、ファン17は、ファンダクト18によって覆われることによってエンジンルーム14に露出されない。
【0024】
図7は、ボンネットカバー8を外したときに熱交換器7を上方から見たときの斜視図である。
図6及び
図7を参照すると、熱交換器7は、エンジン6や油圧システムと接続するホース19、20に接続されている。冷媒や作動油がホース19、20を介して熱交換器7とエンジン6や油圧システムとの間で循環される。ホース19は、ステー30に設けられた開口30h1を介して隙間G0に向かって延びる。ホース20は、ステー30に設けられた開口30h2を介して隙間G0に向かって延びる。作業車両1は、開口30h1を塞ぐシール35と、開口30h2を塞ぐシール36とを含む。シール35とシール36とによって、ステー30によって囲まれた空間に溜まったダストがエンジンルーム14に落下することが抑止される。
【0025】
なお、エンジンルーム14とは、キャビン5、ファンダクト18、第1内壁21L、第2内壁21R、底壁25、及び、後ボンネットカバー9によって囲まれた空間をいう。つまり、ボンネットカバー8はエンジンルーム14を覆い、車体後部2Rは、車体フレーム2の高さに沿う高さ方向D
Hにおいて、上支持フレーム24の下方にエンジンルーム14を有しているといえる。
図2のように開状態になったときには、
図5に示される上支持フレーム24の下方が外部に露出される。つまり、開状態では、車体前部2Fとキャブフレーム53との間からエンジンルーム14が露出される。エンジン6及び排気処理装置15は、エンジンルーム14に設けられる。
【0026】
排気処理装置15は、エンジンルーム14の内部においてエンジン6の前方D
Fに設けられ、接続管16によってエンジン6と接続している。接続管16は、排気処理装置15の右端において接続している。
図5に示すように、排気管11の給気口は、排気処理装置15の左端において接続している。排気管11の給気口の反対側には、排気口12が設けられる。排気口12は、圧入、接着剤、溶接などの方法で排気管11に固定される。つまり、排気管11は、排気口12を有する。
図5及び
図6などに示されるように、排気口12は、マフラーカバー13に覆われることによって保護される。つまり、排気システム10は、マフラーカバー13を含む。マフラーカバー13は、ボンネットカバー8にボルトB1、B2等によって固定される。
図3及び
図6等に示されるように、排気口12は、空気吸引口8aに面している。
【0027】
図8は、キャビン5と、ボンネットカバー8との境界部分の拡大図である。
図6及び
図8を参照すると、キャブフレーム53が車体前部2F上に載置される閉状態において上支持フレーム24とキャブフレーム53とは離間している。つまり、作業車両1には、上支持フレーム24とキャブフレーム53との間に第1隙間G1が設けられる。キャビン5を回動させるときに、作業者は、第1隙間G1に手を入れることによって作業者がキャビン5を持ち上げることができる。
図3及び
図8を参照すると、作業車両1は、第1支持台27Lと第2支持台27Rとの間の上支持フレーム24を覆うカバーCVを有する。つまり、カバーCVは、高さ方向D
Hの上方において、軸方向D
AXでの車体中央Mと第1支持台27Lとの間の上支持フレーム24を覆う。カバーCVは、高さ方向D
Hの上方において、軸方向D
AXでの車体中央Mと第2支持台27Rとの間の上支持フレーム24を覆う。したがって、カバーCVは、第1支持台27Lと第2支持台27Rとの間のキャブフレーム53と上支持フレーム24との間の隙間を覆っている。カバーCVは、布から成り、キャビン5を回動させるときに折れ曲がるように構成されている。
図2及び
図6を参照すると、キャビン5は、その底部の外周に、外周シール54L,54Rを有する。外周シール54L,54Rは、閉状態において、
図5の第1内壁21L及び第2内壁21Rから車体内側に延出する延出部21LE及び21REと当接するように設けられる。したがって、第1隙間G1は、カバーCVの軸方向D
AXの外側、且つ、延出部21LE及び21REの前後方向D
FBの後側に位置する。
<ダスト侵入抑止機構>
【0028】
作業車両1は、第1ダスト侵入抑止機構60と第2ダスト侵入抑止機構65とを備える。第1ダスト侵入抑止機構60と第2ダスト侵入抑止機構65とは、車体フレーム2とキャブフレーム53との間に設けられる。
図9は、第1実施形態に係る
図5の上支持フレーム24の付近の拡大図である。
図10は、第1実施形態に係る
図5の上支持フレーム24の付近の上部拡大図である。
図10では、カバーCVの図示が省略されている。
図5、9、10を参照すると、第1ダスト侵入抑止機構60は、軸方向D
AXにおいて第1支持台27Lと第2支持台27Rとの間、且つ、高さ方向D
Hにおいて上支持フレーム24とカバーCVとの間に設けられる。第2ダスト侵入抑止機構65は、軸方向D
AXにおいて第1ダスト侵入抑止機構60と第2支持台27Rとの間、且つ、高さ方向D
Hにおいて上支持フレーム24とカバーCVとの間に設けられる。別の言い方をすれば、第1ダスト侵入抑止機構60は、軸方向D
AXにおいて車体中央Mから第1端24E1との間、且つ、高さ方向D
Hにおいて上支持フレーム24とカバーCVとの間に設けられる。第2ダスト侵入抑止機構65は、軸方向D
AXにおいて車体中央Mから第2端24E2との間、且つ、高さ方向D
Hにおいて上支持フレーム24とカバーCVとの間に設けられる。
【0029】
第1ダスト侵入抑止機構60は、第2下板材61と、第3下板材62と、弾性部材63と、付加弾性部材64とを有する。第2ダスト侵入抑止機構65は、第2下板材66と、第3下板材67と、弾性部材68と、付加弾性部材69とを有する。第2下板材61、66の前後方向DFBの長さの相違、第3下板材62、67の前後方向DFBの長さの相違、及び、弾性部材63、68の前後方向DFBの長さの相違を除き、第2下板材61、第3下板材62、弾性部材63、及び、付加弾性部材64は、それぞれ、第2下板材66、第3下板材67、弾性部材68、及び、付加弾性部材69と同じ構造である。したがって、以降の説明において、第2ダスト侵入抑止機構65の構造を利用して中心に説明するが、重複する第1ダスト侵入抑止機構60の構造の詳細な説明は省略する。
【0030】
図11は、第1実施形態に係る
図3の切断面線XI-XI'の断面図である。
図9と
図11を参照すると、第2下板材66(61)は、上支持フレーム24上に設けられ、上支持フレーム24から高さ方向D
Hの上方に伸びる。第3下板材67(62)は、第2下板材66(61)に接続される底部BTと、底部BTから第2下板材66(61)から離間するように折れ曲がり上方に伸びる上部TPとを含む。第2下板材66(61)と第3下板材67(62)とは、カバーCVから高さ方向D
Hにおいて離間する。弾性部材68(63)は、第2下板材66(61)と第3下板材67(62)とに挟まれる。弾性部材68(63)は上記閉状態においてカバーCVと当接する。なお、
図11は、閉状態におけるカバーCVの形状を図示している。
図9~
図11を参照すると、付加弾性部材69(64)は、第2下板材66(61)の、高さ方向D
H且つ軸方向D
AXに垂直な前後方向D
FBのうちの前端に設けられる。
図6及び
図11を参照すると、付加弾性部材69(64)は、閉状態においてキャブフレーム53と当接する。
【0031】
図6を参照すると、キャブフレーム53は、回転シャフトRSLを支持する支持プレート53ELを含む。第1ダスト侵入抑止機構60は、軸方向D
AXに見て、キャブフレーム53と上支持フレーム24と第1支持台27LとカバーCVとの間の隙間G2と重畳する。
図9及び
図10を参照すると、第1ダスト侵入抑止機構60と第1支持台27Lとは、軸方向D
AXにおいて近接している。
図11を参照すると、キャブフレーム53は、回転シャフトRSRを支持する支持プレート53ERを含む。第2ダスト侵入抑止機構65は、軸方向D
AXに見て、キャブフレーム53と上支持フレーム24と第2支持台27RとカバーCVとの間の隙間G2と重畳する。なお、
図11は、キャブフレーム53、第2支持台27Rの外形を明確とするために、キャブフレーム53(支持プレート53ER)の外形の隠線を点線で、第2支持台27Rの外形の隠線を一点鎖線で図示している。
図9及び
図10を参照すると、第2ダスト侵入抑止機構65と第2支持台27Rとは、軸方向D
AXにおいて近接している。第2ダスト侵入抑止機構65と第2支持台27Rとの間の軸方向D
AXの距離L2は、実質的に第1ダスト侵入抑止機構60と第1支持台27Lとの間の軸方向D
AXの距離L1と等しい。
【0032】
図10及び
図11を参照すると、車体フレーム2は、上支持フレーム24から高さ方向D
Hの上方に延び、カバーCVと接続する延出フレーム26をさらに含む。第3下板材67(62)は、前後方向D
FBのうちの後端において延出フレーム26と接続する。
図5を参照すると、排気処理装置15は、軸方向D
AXにおいて第1ダスト侵入抑止機構60と第2ダスト侵入抑止機構65との間に位置する。このため、排気処理装置15に、外気からのダストが到達しにくくなっている。より具体的には、
図5のフローF1のように外気からのダストが落ちるものの、フローF2のように車両内側に向かうダストは、第1ダスト侵入抑止機構60と第2ダスト侵入抑止機構65にせき止められる。これによって、ダストが高熱を発する排気処理装置15によって燃えるなどのリスクを低減することができる。
<第1実施形態の作用及び効果>
【0033】
第1実施形態に係る作業車両1では、第1ダスト侵入抑止機構60(第2ダスト侵入抑止機構65)は、軸方向DAXに見て、キャブフレーム53と上支持フレーム24と第1支持台27L(第2支持台27R)とカバーCVとの間の隙間G2と重畳する。これにより、作業車両1は、カバーCVで覆われた部分の上支持フレーム24とキャビン5との間の隙間からダストが侵入することを抑止することができる。
【0034】
第1ダスト侵入抑止機構60と第1支持台27Lとの間の軸方向DAXの距離L1は、第1支持台27Lの軸方向DAXの幅W1よりも短い。第2ダスト侵入抑止機構65と第2支持台27Rとの間の軸方向DAXの距離L2は、第2支持台27Rの軸方向DAXの幅W2よりも短い。第1ダスト侵入抑止機構60と第1支持台27Lとが接近し、第2ダスト侵入抑止機構65と第2支持台27Rとが接近することによって空気の通り道が狭くなるため、カバーCVで覆われた部分の上支持フレーム24とキャビン5との間の隙間からダストが侵入することをさらに抑止することができる。
【0035】
第1ダスト侵入抑止機構60と第2ダスト侵入抑止機構65とは、ともに、前後方向DFBのうちの後端において延出フレーム26と接続する第3下板材67(62)と、閉状態においてカバーCVと当接する弾性部材68(63)と、閉状態においてキャブフレーム53と当接する付加弾性部材69(64)とを含む。これにより、閉状態において、キャブフレーム53と上支持フレーム24と延出フレーム26とカバーCVとに囲まれた隙間の大部分を塞ぐことができるため、カバーCVで覆われた部分の上支持フレーム24とキャビン5との間の隙間からダストが侵入することをさらに抑止することができる。
<第2実施形態>
【0036】
第1ダスト侵入抑止機構60と第2ダスト侵入抑止機構65の形状は、第1実施形態で示された形状に限られない。以下、第1ダスト侵入抑止機構60と第2ダスト侵入抑止機構65の別の構成を、第1ダスト侵入抑止機構70と第2ダスト侵入抑止機構75として説明する。第2実施形態に係る作業車両1は、第1ダスト侵入抑止機構70と第2ダスト侵入抑止機構75以外の構成は同一であるため、それらの構成の説明は省略する。また、第2実施形態の中で説明しなかった第1ダスト侵入抑止機構70と第2ダスト侵入抑止機構75の構成は、第1実施形態における第1ダスト侵入抑止機構60と第2ダスト侵入抑止機構65の構成と同じである。
【0037】
図12は、第2実施形態の上支持フレーム24の付近の拡大図である。
図13は、第2実施形態の上支持フレーム24の付近の上部拡大図である。
図13では、カバーCVの図示が省略されている。
図14は、第2実施形態における
図3の切断面線XI-XI'の断面図である。第1ダスト侵入抑止機構70は、第1下板材71と、第1上板材72とを有する。第2ダスト侵入抑止機構75は、第1下板材76と、第1上板材77とを有する。第1下板材71、76の前後方向D
FBの長さの相違を除き、第1下板材71、及び、第1上板材72は、それぞれ、第1下板材76、及び、第1上板材77と同じ構造である。したがって、以降の説明において、第2ダスト侵入抑止機構75の構造を利用して中心に説明するが、重複する第1ダスト侵入抑止機構70の構造の詳細な説明は省略する。なお、
図14では、キャブフレーム53、第2支持台27R、第1上板材72の外形を明確とするために、キャブフレーム53(支持プレート53ER)の外形の隠線を点線で、第2支持台27Rの外形の隠線を一点鎖線で、第1上板材72の外形の隠線を二点鎖線で図示している。
【0038】
図14を参照すると、第1ダスト侵入抑止機構70と第2ダスト侵入抑止機構75とは、車体フレーム2とキャブフレーム53との間に設けられる。
図12及び
図13を参照すると、第1ダスト侵入抑止機構70は、軸方向D
AXにおいて第1支持台27Lと第2支持台27Rとの間、且つ、高さ方向D
Hにおいて上支持フレーム24とカバーCVとの間に設けられる。第2ダスト侵入抑止機構75は、軸方向D
AXにおいて第1ダスト侵入抑止機構60と第2支持台27Rとの間、且つ、高さ方向D
Hにおいて上支持フレーム24とカバーCVとの間に設けられる。別の言い方をすれば、第1ダスト侵入抑止機構70は、軸方向D
AXにおいて車体中央Mから第1端24E1との間、且つ、高さ方向D
Hにおいて上支持フレーム24とカバーCVとの間に設けられる。第2ダスト侵入抑止機構75は、軸方向D
AXにおいて車体中央Mから第2端24E2との間、且つ、高さ方向D
Hにおいて上支持フレーム24とカバーCVとの間に設けられる。
【0039】
図12と
図14を参照すると、第1上板材72は、軸方向D
AXにおいて第1下板材71と第1支持台27Lとの間に設けられる。第1上板材77は、軸方向D
AXにおいて第1下板材76と第2支持台27Rとの間に設けられる。第1上板材72と第1下板材71との間の軸方向D
AXとの間の距離L5は、第1支持台27Lの軸方向D
AXの幅W1よりも狭く、第1上板材72と第1支持台27Lとの間の軸方向D
AXの距離L3は、第1支持台27Lの軸方向D
AXの幅W1よりも狭い。つまり、第1ダスト侵入抑止機構70と第1支持台27Lとの間の軸方向D
AXの距離L3は、第1支持台27Lの軸方向D
AXの幅W1よりも短い。第1上板材77と第1下板材76との間の軸方向D
AXとの間の距離L6は、第2支持台27Rの軸方向D
AXの幅W2よりも狭く、第1上板材77と第2支持台27Rとの間の軸方向D
AXの距離L4は、第2支持台27Rの軸方向D
AXの幅W2よりも狭い。つまり、第2ダスト侵入抑止機構75と第2支持台27Rとの間の軸方向D
AXの距離L4は、第2支持台27Rの軸方向D
AXの幅W2よりも短い。なお、距離L4は、実質的に距離L3と等しく、距離L6は、実質的に距離L5と等しい。
【0040】
第1下板材76(71)は、上支持フレーム24上に設けられ、上支持フレーム24から高さ方向D
Hの上方に伸びる。第1下板材76(71)は、前後方向D
FBのうちの後端において延出フレーム26と接続する。第1下板材76(71)は、カバーCVから高さ方向D
Hにおいて離間する。軸方向D
AXに見て、第2支持台27R(第1支持台27L)は、第1下板材76(71)の大部分と重畳する。
図12と
図14を参照すると、第1上板材77(72)は、上支持フレーム24から高さ方向D
Hにおいて離間する。
図14を参照すると、第1上板材77(72)は、カバーCV上に設けられ、カバーCVから高さ方向D
Hの下方に伸びる。第1上板材77(72)は、閉状態において高さ方向D
Hにおける下方に向かうほど、高さ方向D
H且つ軸方向D
AXに垂直な前後方向D
FBに対し幅狭となる形状を有している。このため、キャビン5回動時に、第1上板材77(72)が延出フレーム26と接触することが防止される。
【0041】
図14を参照すると、第1上板材77(72)は、閉状態において軸方向D
AXに見てキャブフレーム53と第1下板材76(71)と第1支持台27LとカバーCVとの間の隙間G2を覆う。つまり、第1ダスト侵入抑止機構70は、軸方向D
AXに見て、キャブフレーム53と上支持フレーム24と第1支持台27LとカバーCVとの間の隙間G2と重畳する。第2ダスト侵入抑止機構75は、軸方向D
AXに見て、キャブフレーム53と上支持フレーム24と第2支持台27RとカバーCVとの間の隙間G2と重畳する。
<第2実施形態の作用及び効果>
【0042】
第2実施形態に係る作業車両1でも、第1ダスト侵入抑止機構70(第2ダスト侵入抑止機構75)は、軸方向DAXに見て、キャブフレーム53と上支持フレーム24と第1支持台27L(第2支持台27R)とカバーCVとの間の隙間G2と重畳する。これにより、作業車両1は、カバーCVで覆われた部分の上支持フレーム24とキャビン5との間の隙間からダストが侵入することを抑止することができる。
【0043】
第1上板材77(72)は、軸方向DAXにおいて第1下板材71と第2支持台27R(第1支持台27L)との間に設けられる。第1下板材76(71)は、カバーCVから高さ方向DHにおいて離間する。第1上板材77(72)は、上支持フレーム24から高さ方向DHにおいて離間する。第1上板材72と第1下板材71との間の軸方向DAXとの間の距離L5は、第1支持台27Lの軸方向DAXの幅W1よりも狭く、第1上板材72と第1支持台27Lとの間の軸方向DAXの距離L3は、第1支持台27Lの軸方向DAXの幅W1よりも狭い。第1上板材77と第1下板材76との間の軸方向DAXとの間の距離L6は、第2支持台27Rの軸方向DAXの幅W2よりも狭く、第1上板材77と第2支持台27Rとの間の軸方向DAXの距離L4は、第2支持台27Rの軸方向DAXの幅W2よりも狭い。したがって、第1ダスト侵入抑止機構70と第1支持台27Lとによって空気の通り道の狭いラビリンス構造を形成し、第2ダスト侵入抑止機構75と第2支持台27Rとによって空気の通り道が狭いラビリンス構造を形成している。このため、カバーCVで覆われた部分の上支持フレーム24とキャビン5との間の隙間からダストが侵入することをさらに抑止することができる。
【0044】
第1ダスト侵入抑止機構60と第2ダスト侵入抑止機構65とは、ともに、前後方向DFBのうちの後端において延出フレーム26と接続する第1下板材76(71)と、閉状態において軸方向DAXに見てキャブフレーム53と第1下板材76(71)と第1支持台27LとカバーCVとの間の隙間G2を覆う第1上板材77(72)とを含む。これにより、閉状態において、キャブフレーム53と上支持フレーム24と延出フレーム26とカバーCVとに囲まれた隙間の大部分を塞ぐことができるため、カバーCVで覆われた部分の上支持フレーム24とキャビン5との間の隙間からダストが侵入することをさらに抑止することができる。
<変形例>
【0045】
上述する実施形態では、第1ダスト侵入抑止機構60(70)と第2ダスト侵入抑止機構65(75)は、それぞれ、第1支持台27L及び第2支持台27Rの軸方向DAXの内側に設けられているが、軸方向DAXの外側に設けられてもよい。その場合、第1ダスト侵入抑止機構60(70)と第2ダスト侵入抑止機構65(75)の上部にカバーCVのような覆いが設けられることが望ましい。
【0046】
本願においては、「備える」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有する」、「含む」およびそれらの派生語にも適用される。
【0047】
「~部材」、「~部」、「~要素」、「~体」、および「~構造」という文言は、単一の部分や複数の部分といった複数の意味を有し得る。
【0048】
「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在することを暗に意味するわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在することを暗に意味するわけではない。
【0049】
程度を表す「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言は、実施形態に特段の説明がない限りにおいて、最終結果が大きく変わらないような合理的なずれ量を意味し得る。本願に記載される全ての数値は、「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言を含むように解釈され得る。
【0050】
本願において「A及びBの少なくとも一方」という文言は、Aだけ、Bだけ、及びAとBの両方を含むように解釈されるべきである。
【0051】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。