(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172242
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】取付装置、取付方法
(51)【国際特許分類】
B67B 3/12 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
B67B3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083902
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】505045322
【氏名又は名称】サンワテクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊浦 健
【テーマコード(参考)】
3E080
【Fターム(参考)】
3E080AA08
3E080CE02
3E080CE11
3E080CF15
3E080EE03
(57)【要約】
【課題】対象物に対して取付体を容易に取り付け可能な技術を提供する。
【解決手段】フランジR2をリングR1に近接するように保持する円筒ホルダ432と、フランジR2を、リングR1に当接させ押圧することにより該リングR1に取り付ける回転押圧部439と、を備え、回転押圧部439は、フランジR2の一部に当接する押圧突起439-1を有し、押圧突起439-1をフランジR2上で摺動させることによりフランジR2をリングR1に取り付けた。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付体を取付対象物に近接するように保持する保持部と、
前記取付体を、前記取付対象物に当接させ押圧することにより該取付対象物に取り付ける押圧部と、
を備え、
前記押圧部は、前記取付体の一部に当接する当接部を有し、該当接部を前記取付体上で摺動させることにより前記取付体を前記取付対象物に取り付ける
ことを特徴とする取付装置。
【請求項2】
前記取付体は環状に形成されており、
前記押圧部は、前記当接部を前記取付体の形状に沿って環状に摺動させる
ことを特徴とする請求項1記載の取付装置。
【請求項3】
前記押圧部は、中心軸が上下方向を向き該中心軸周りに回転可能な円筒状の回転体を有し、
前記当接部は、前記回転体の下面に設けられた突起であり、前記回転体の回転に応じて前記取付体上を円運動するように摺動する
ことを特徴とする請求項2記載の取付装置。
【請求項4】
物品に対して取付対象物を取り付ける対象物取付部を更に備える
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項記載の取付装置。
【請求項5】
取付体を取付対象物に取り付ける取付装置による取付方法であって、
前記取付体を取付対象物に近接させ、
前記取付体の一部を前記取付対象物に向けて押圧し、前記取付体における押圧位置を前記取付体上で移動させることにより、前記取付体を前記取付対象物に取り付ける
ことを特徴とする取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、対象物に対して、各種情報を示す取付体を取り付ける取付装置、取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の取付体として、リテーナーが知られている。リテーナーは、主にボトル等の収容容器に取り付けられるものであり、当該収容容器に収容されている溶剤、薬剤、飲料などの収容物を示す文字が表面に印字または刻印された金属やプラスチック部材からなる。リテーナーは、リング状や方形状、円筒状などその形状は様々であるが、2つの部材から構成されることが多い。この場合、例えば、第1の部材を予め収容容器に取り付けておき、当該収容容器に収容物を充填および/または蓋締めした後に第1の部材に第2の部材を取り付けるといった方法が手動で行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
対象物に対して取付体を容易に取り付け可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するため、本発明の実施形態は、取付体を取付対象物に近接するように保持する保持部と、前記取付体を、前記取付対象物に当接させ押圧することにより該取付対象物に取り付ける押圧部と、を備え、前記押圧部は、前記取付体の一部に当接する当接部を有し、該当接部を前記取付体上で摺動させることにより前記取付体を前記取付対象物に取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の実施形態によれば、対象物に対して取付体を容易に取り付け可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係るリテーナー取付システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係るリテーナーとボトルを説明するための図である。
【
図3】実施形態に係るリテーナーを構成するリングを示す平面図である。
【
図4】実施形態に係るリテーナーを構成するリングを示す底面図である。
【
図5】実施形態に係るリテーナーを構成するリングを示す側面図である。
【
図7】実施形態に係るリテーナーを構成するフランジを示す底面図である。
【
図8】実施形態に係るリテーナーを構成するフランジを示す平面図である。
【
図10】実施形態に係るリングにフランジを取り付けた状態におけるフランジの内周面を平面状に展開した概略図である。
【
図12】実施形態に係るリング取付装置、搬送装置、及び充填装着装置の構成を示す概略図である。
【
図13】実施形態に係るリング取付装置、搬送装置、及び充填装着装置の動作を説明するための概略図である。
【
図14】実施形態に係るフランジ取付装置の構成とその動作を示す概略斜視図である。
【
図15】実施形態に係るフランジ取付装置の構成とその動作を示す概略斜視図である。
【
図16】実施形態に係るフランジ供給ユニットの動作を説明するための図である。
【
図17】実施形態に係る回転押圧部の構成を示す側面図である。
【
図18】実施形態に係る回転押圧部の構成を示す下面図ある。
【
図19】実施形態に係るフランジ押圧ユニットの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0008】
本実施形態においては、液体を収容可能なボトルに対してリテーナーを取り付けるリテーナー取付システムに本実施形態に係る取付装置が組み込まれた場合を例にとり説明を行う。
【0009】
(装置構成)
図1は、本実施形態に係るリテーナー取付システムの構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、本実施形態に係るリテーナー取付システム1は、リング取付装置10と、搬送コンベア20と、充填装着装置30と、フランジ取付装置40と、制御装置50とを備える。本実施形態に係るリテーナー取付システム1は、リング取付装置10によりリテーナーの一部であるリングをボトルに取り付け、当該ボトルを搬送コンベア20により充填装着装置30及びフランジ取付装置40に搬送し、リングが取り付けられた状態にあるボトルに対し、充填装着装置30により液体を充填すると共にキャップを装着し、キャップが取り付けられた状態にあるボトルのリングに対し、フランジ取付装置40によりリテーナーの一部であるフランジを取り付ける。
【0010】
制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリ等の記憶装置とを有して作業者が操作可能な情報処理装置として構成されることが好ましい。制御装置50は、詳細は後述する搬送コンベア20、充填装着装置30、及びフランジ取付装置40が備えるモータや油空圧シリンダ等の駆動装置の制御を行う。制御装置50は、不図示の制御盤を有しており、作業者は制御盤を操作することにより上記装置のON/OFFや各種設定の変更等を行うことができる。制御装置として、PC(Personal Computer)等を用いるようにしてもよい。
【0011】
リテーナー取付システム1の装置構成及び動作の詳細を説明する前に、本実施形態に係るリテーナーとボトルについて説明する。
図2は、本実施形態に係るリテーナーとボトルを説明するための図である。
図2では、ボトルおよびリテーナーの側面が模式的に示されている。
図2(a)に示されるようにボトルBは、底面が閉塞された略円筒状に形成されて内部に液体を収容可能なボトル本体B1と、ボトル本体B1の上部に連結されボトル本体B1よりも小径な中空円筒の首部B2と、一端がボトル本体B1に連結され他端が首部B2に連結された取手B3とを備える。ボトル本体B1の上部は上方に向かうにつれて漸次縮径する肩部B4となっており、肩部B4を介して首部B2がボトル本体B1と連結されている。
【0012】
図2(b)には、リテーナーRが取り付けられた後の状態にあるボトルBが示されている。本実施形態においては、ボトルBに液体が充填された後、首部B2の上端に形成された開口部(口部)がキャップCにより閉塞される。キャップCとリテーナーRとが取り付けられたボトルBは、箱詰め等がなされて出荷されることとなる。
リテーナーRは、プラスチック等の弾性変形可能な部材により構成されており、ボトルBの肩部B4上に位置して首部B2を囲繞する略筒状に形成されたリングR1と、リングR1よりも拡径しリングR1上部に連結された円盤状のフランジR2とを備える。
【0013】
(リングR1)
以下、リテーナーRを構成するリングR1について
図3~
図5を用いて説明する。
図3~
図5は、それぞれ本実施形態に係るリテーナーを構成するリングを示す平面図、底面図、側面図であり、
図6は
図5に示されるA-A線断面図である。
【0014】
図3~
図5に示されるように、リングR1は、略円筒状に形成されたリング本体R11を有する。リング本体R11は、その周壁が例えば2mm程度の人手による弱い力で弾性変形が容易な厚みを有しており、周壁一部に下面まで連続する切り欠きR12が形成されている。この切り欠きR12にボトルBの取手B3が挿通されることにより、リングR1はボトルBに取り付けられた際、ボトルBに対して中心軸周りに相対回転不能となる。また、リング本体R11の内周面には、径方向内側に突出する複数の突出片R13が設けられている。複数の突出片R13は、それぞれ周方向に同一距離離間するように設けられており、本実施形態においては5つ設けられている。
【0015】
突出片R13は、薄板状に且つ先細るように形成されることで少なくとも先端部分が可撓性を有しており、当該先端部分がリング本体R11の周方向に沿って円弧状に形成されると共に上方を向くように傾斜している。複数の突出片R13先端により画成される仮想円CR1の直径は、キャップCの直径よりも小径となっており、したがってボトルBにキャップCが取り付けられた場合、ボトルBからリングR1、延いてはリテーナーRを容易に取り外すことが困難となる。したがって、少なくともリングR1はキャップCが取り付けられる前にボトルBに取り付けることが好ましい。なお、仮想円CR1の直径は、キャップCを螺合するための雌ネジが首部B2の外周面上端に形成されている場合、その雌ネジ部分の直径よりも小径としてもよい。この際、リングR1をボトルBに取り付ける、つまり首部B2をリングR1に挿通する場合、突出片R13が首部B2の雌ネジ部分に引っ掛かることとなるが、可撓性を有しているため、容易に取り付けることが可能となる。
【0016】
リング本体R11の外周面上端には、径方向外側に一様に突出する環状の係合突起R14が設けられている。係合突起R14は、下面が水平に延在すると共に上面が先端(径方向外側)に向かうにつれて漸次下方に傾斜することで縦断面三角形状となっている。係合突起R14はリテーナーRのフランジR2に形成された後述する係合片R22と係合するものであり、当該係合によりリングR1とフランジR2とが連結する。なお、係合突起R14が設けられる部分、つまりリング本体R11の上端部は、少なくとも係合突起R14分の厚みが増加することから、その他の部分と比較して高い剛性を有する。
【0017】
(フランジR2)
次に、リテーナーRを構成するフランジR2について
図7~
図9を用いて説明する。
図7及び
図8は、それぞれ本実施形態に係るリテーナーを構成するフランジを示す底面図、平面図であり、
図9は
図8に示されるB-B線断面図である。
【0018】
図7~
図9に示されるように、フランジR2は、その外径がリングR1よりも大きく形成された略中空円盤状のフランジ本体R21を有する。フランジ本体R21は、例えば5mm等の弱い力では変形がし難い厚みとなっている。本実施形態に係るフランジ本体R21は、外周の一部が径方向外側に突出しており、この突出部分含めフランジ本体R21上面にボトルの識別情報等が印字または刻印等がなされる。
【0019】
フランジ本体R21の内周面下端には、径方向内側に突出する複数の係合片R22が設けられており、同じく内周面上端には、径方向内側に係合片R22よりも突出する複数の突出片R23が設けられている。複数の係合片R22は、それぞれ周方向に同一距離離間するように設けられており、本実施形態においては5つ設けられている。また、複数の突出片R23は、それぞれ周方向に同一距離離間し且つ平面視で2つの突出片R23の間にそれぞれが位置するように設けられており、本実施形態においては6つ設けられている。
【0020】
係合片R22は、上面が水平に延在すると共に下面が先端(径方向外側)に向かうにつれて漸次上方に傾斜することで
図9に示されるように側面視三角形状となっており、
図7及び
図8に示されるようにその先端部分が周方向に沿って円弧状に形成されている。係合片R22の先端部分により画成される仮想円CR2の直径は、リング本体R11の外周面(係合突起R14含まず)よりも僅かに拡径したサイズとなっているが、係合突起R14先端を含む径よりも小径となっており、係合片R22の基部の径、つまりフランジ本体R21の内周R24の径は、係合突起R14先端を含む径よりも拡径したサイズとなっている。これによりフランジR2をリングR1上に重ねた場合、係合片R22の傾斜する下面と、係合突起R14の傾斜する上面とが一様に当接することとなる。この状態においてフランジR2を下方に押圧することにより、リングR1に対してフランジR2を分離不能に取り付けることができる。
【0021】
なお、フランジR2は、本実施形態においてはフランジ本体R21に突出部分が形成されると共に、上面がフラットな平面状に形成されているが、ボトルBに充填された液体の種類等、その中身に応じて固有の形状に形成されることが好ましい。固有の形状としては、例えば、フランジ本体R21に突出部分が形成されていない形状や、フランジ本体R21の上面に多種多様な突起が形成される形状等が挙げられる。このような形状の差異があることにより、フランジR2を目視、またはカメラやセンサ等により形状を検知すれば容易にボトルBの種類を識別することができる。
【0022】
図10は、実施形態に係るリングにフランジを取り付けた状態におけるフランジの内周面を平面状に展開した概略図であり、
図11は、
図10のC-C線断面図である。
図10及び
図11に示されるように、リングR1に対してフランジR2を取り付けた状態では、リングR1の係合突起R14の下面がフランジR2の係合片R22の上面に一様に当接すると共に、リング本体R11の上面が突出片R23の下面に当接することとなる。これによりフランジR2はリングR1に対して上下方向に相対移動不能に取り付けられる。なお、この状態においてフランジR2は、リングR1に対して周方向に相対回転が可能となっている。
【0023】
以上のように構成されたリングR1に対してフランジR2を取り付ける場合、上述したように係合突起R14と係合片R22との位置が径方向において重複しているため、単にフランジR2をリングR1に向けて一様に押圧すると、リングR1の径が縮小するようにリングR1を歪ませると共に、径が拡径するようにフランジR2を歪ませる非常に強い押圧力が必要となる。また、このような非常に強い押圧力が加わると、係合突起R14及び/又は係合片R22の破損が生じる可能性もある。
【0024】
しかしながら、フランジR2をリングR1に対して僅かに傾斜させるように、フランジR2の上面における一部の係合片R22近傍のみを押圧することで、さほどの押圧力を必要とせずに一部のみの係合突起R14と係合片R22とを係合させることができる。一部のみの係合突起R14と係合片R22とが係合した状態から、押圧する位置をフランジR2の形状に沿って、具体的には他の係合片R22を辿るように移動させることにより、当該一部の係合範囲を徐々に拡大することができ、その結果、リングR1に対してフランジR2を完全に取り付けることが可能となる。本実施形態に係るリテーナー取付システム1は、この手法を用いてリングR1に対してフランジR2を取り付ける。
【0025】
次に、本実施形態に係るリテーナー取付システム1が備える各装置についての構成および動作について詳細に説明する。先ず、
図12及び
図13を用いてリング取付装置10、搬送コンベア20、及び充填装着装置30の構成及び効果について説明する。
図12は、本実施形態に係るリング取付装置、搬送装置、及び充填装着装置の構成を示す概略図であり、
図13は、それら装置の動作を説明するための概略図である。
図12及び
図13に示される各装置は、説明上、その正面から見た状態が示されており、充填装着装置においては内部が示されている。
【0026】
(リング取付装置10)
図12に示されるように、リング取付装置10は、ボトルBを載置する載置台11と、載置台11から立設された支持壁12と、ボトルBを把持する把持部13と、把持部13の上方に位置するプレスシリンダ14とを備える。
【0027】
把持部13は、それぞれ一端が支持壁12の下端近傍に接続されたL字状をなす一対の棒状部材を有し、それらの間にボトルBが挿入されることで水平方向に対するボトルBを移動不能に把持することができる。本実施形態においては、把持部13へのボトルBのセッティングは作業者によりなされ、そのセッティングの際には、首部B2の上端がリングR1に挿入される形でリングR1がボトルB上に載置される。
【0028】
プレスシリンダ14は、支持壁12に固定されており、把持部13により把持された状態にあるボトルBの真上に位置している。プレスシリンダ14は、ピストンロッド141を上下に進退動可能に収容しており、ピストンロッド141の下方側先端には、リングR1の上面に当接可能な中空円筒状の押圧体142が設けられている。プレスシリンダ14は、油圧または空圧式のシリンダであり、その駆動タイミングは、作業者によりON/OFF制御されるようにしてもよく、一定のタイミングで制御装置50により制御されるようにしてもよい。
【0029】
図13に示されるように、プレスシリンダ14が駆動されると、ピストンロッド141と共に押圧体142が下降し、下方に位置するリングR1と当接する。当接後も継続して押圧体142が下降することにより、リングR1の突出片R13が径方向外側に撓み、首部B2がリングR1を挿通し、リングR1の切り欠きR12に取手B3が挿入され、肩部B4にリングR1が接触することとなる。この状態においてリングR1のボトルBへの取り付けが完了となる。リングR1が取り付けられたボトルB(以後、ボトルBRと称する)は、作業者により載置台60に運ばれる。
【0030】
なお、作業者が把持部13にボトルBをセッティングせず、自動にボトルBを把持部13が把持するように構成してもよい。例えば、載置台11に代わりベルトコンベア等の搬送コンベアを用いて上流から順次リング取付装置10にボトルBを搬送し、把持部13を水平方向に進退動可能に且つ互いに離間する一対の棒状部材を接離可能に構成して個々のボトルBを自動に把持するようにしてもよい。この場合、把持部13の進退移動及び一対の棒状部材の接離は制御装置50によりなされることが好ましく、そのタイミングはボトルBの位置をカメラやセンサにより検知することにより制御されることが好ましい。また、この場合、プレスシリンダ14の駆動も制御装置50により行われることが好ましく、更にリングR1の取り付け後、搬送コンベア上のボトルBをそのまま載置台60または充填装着装置30に搬送するとよい。
【0031】
載置台60は、リング取付装置10と搬送コンベア20との間に設置されており、複数のボトルBRを一時的に貯留する。載置台60に載置されたボトルBRは、作業者により所定のタイミングで搬送コンベア20上に載置される。なお、載置台60から搬送コンベア20に載置する作業は、作業者ではなく、油空圧シリンダ等を用いた押出装置を設けて自動で載置台60上のボトルBを搬送コンベア20上に押し出すようにしてもよい。
【0032】
(搬送コンベア20)
搬送コンベア20は、充填装着装置30からフランジ取付装置40まで延在しており、無端状のタイミングベルトが不図示の駆動ローラに巻き掛けられてこれにより周回移動されることでベルト上のボトルBRを各装置を巡るように搬送する。駆動ローラは、制御装置50に制御可能に接続される不図示のモータにより回転駆動される。制御装置50は、ボトルBRに対して液体の供給やフランジR2の取り付け等の各種処理がなされるタイミングで搬送コンベア20を止め、処理後に再び駆動するように制御する。
【0033】
(充填装着装置30)
充填装着装置30は、ボトルBRに対して液体の供給、キャップCの装着が可能な既存の装置が用いられる。一例を挙げると、充填装着装置30は、例えば
図12に示されるように、搬送コンベア20が内部を通過する装置筐体31と、装置筐体31内に設けられ、搬送コンベア20の上方に位置する液体供給部32と、同じく装置筐体31内に設けられ、搬送コンベア20の上方且つ液体供給部32の搬送方向下流に位置するキャップ装着部33とから構成することができる。
【0034】
液体供給部32は、不図示の貯留槽に液体を貯留しており、当該液体を供給管321から下方に位置付けられたボトルBRに供給する。液体供給部32による液体の供給は、上方に貯留槽が設けられる場合は弁等による供給管321の開閉制御により実現してもよく、ポンプにより貯留槽から液体を汲み上げる形態としてもよい。また、液体供給のタイミングは、カメラやセンサ等によるボトルBRの位置の検知結果に基づいて、制御装置50により制御されることが好ましい。
【0035】
キャップ装着部33は、キャップCを把持すると共に、上下方向に移動可能且つ水平方向に回転可能な把持部331を有する。キャップCを把持した状態において、
図13に示されるように把持部331が下降することにより下方に位置付けられたボトルBRの首部B2にキャップCを装着することができる。把持部331は、それぞれL字状をなす互いに接離可能な一対の棒状部材で構成し、これらの間にキャップCを把持するように構成してもよく、真空ポンプ等を用いてキャップCを吸引する形で把持するように構成してもよい。キャップCは作業者により把持部331にセッティングされるようにしてもよく、不図示の搬送コンベアから搬送されるキャップCを把持部331が順次把持するようにしてもよい。
【0036】
また、把持部331は、電力や油空圧等を用いた任意のアクチュエータにより駆動させればよく、その駆動タイミングは液体供給部32における液体供給のタイミングと、液体供給部32とキャップ装着部33との距離とに基づいて、制御装置50により制御されることが好ましい。
【0037】
(フランジ取付装置40)
次に、
図14~
図18を用いて本実施形態に係るフランジ取付装置40の構成及び動作について説明する。
図14及び
図15は、本実施形態に係るフランジ取付装置の構成とその動作を示す概略斜視図である。
図14に示されるように、本実施形態に係るフランジ取付装置40は、ボトル取出しユニット41と、フランジ供給ユニット42と、フランジ押圧ユニット43とを備える。
【0038】
(ボトル取出しユニット41)
ボトル取出しユニット41は、搬送コンベア20に向けて進退動可能な2本のピストンロッド412を収容するシリンダ411を有しており、2本のピストンロッド412の先端には、ハンドユニット413が設けられている。ハンドユニット413は、それぞれ先端部がL字状をなす互いに接離可能な一対の棒状部材414が設けられており、これらを互いに接近させることでボトルBRを把持し、互いに離間させることで当該ボトルを解放することができる。
【0039】
シリンダ411は、油圧または空圧式として構成すればよく、ハンドユニット413は電力や油空圧等を用いた任意のアクチュエータにより駆動させればよい。これら装置の駆動タイミングは、制御装置50により制御される。制御装置50は、充填装着装置30の処理時に取得したボトルBの検知結果(検知位置)と、ボトル取出しユニット41の位置とに基づいて当該タイミングを制御する。なお、別途フランジ取付装置40の一部としてカメラやセンサを設け、搬送コンベア20上のボトルBRの位置を検知し、その検知結果を用いるようにしてもよい。
【0040】
図14では、シリンダ411によりハンドユニット413が搬送コンベア20側に進出し、ボトルBRを把持した状態が示されている。ハンドユニット413により把持されたボトルBRは、
図15に示されるように、把持した状態でハンドユニット413が更に進出することで搬送コンベア20の脇に設けられた取付台70に移動される。移動されたボトルBRは、ハンドユニット413により把持された状態を維持して取付台70上でフランジ押圧ユニット43によりフランジR2が取り付けられる。
【0041】
(フランジ供給ユニット42)
フランジ供給ユニット42は、一方向(ここではフランジR2の搬送方向)に延在するスリット422が上面に形成されたフランジ台421を有し、そのスリット422の一端部上方にフランジ繰り出し装置423が設けられている。フランジ繰り出し装置423は、内部に複数積み重ねられたフランジR2が収容された略中空円筒状のホッパ423-1と、その下部に取り付けられてホッパ423-1内の複数のフランジR2を最下段のものから個別に下方に繰り出すフィーダ423-2とを有する。なお、フィーダ423-2は、個々にフランジR2を下方に繰り出し可能なものであればどのような装置を用いてもよい。その他、フィーダ423-2を排し、例えばホッパ423-1の下面に形成された開口の径を僅かにフランジR2よりも小径とすることでフランジR2の自然落下を規制し、最上段のフランジR2を油空圧シリンダ等により押圧することで最下段のフランジR2を個々に落下させるよう構成してもよい。
【0042】
フランジ台421上面には、一方の側面が内方に湾曲する搬送スライダ424が設けられている。搬送スライダ424の湾曲面は、フランジR2の周面一部に一様に当接可能に形成されている。搬送スライダ424は、フランジ台421内部に設けられたスライド装置425(
図16参照)によりスリット422に沿って往復動可能となっており、フランジ繰り出し装置423から繰り出されたフランジR2をフランジ押圧ユニット43へのフランジ供給位置にまで搬送する。
【0043】
フランジ台421上面他端部には、昇降台426が設けられている。昇降台426は、搬送スライダ424により搬送されたフランジR2が載置可能なサイズに形成されており、フランジ台421内部に設けられた油圧または空圧式のシリンダ427(
図16参照)により上下方向に進退動可能に構成されている。また、昇降台426におけるフランジR2の搬送方向下流側近傍には、搬送スライダ424により搬送されたフランジR2が昇降台426上からずれて位置付けられることを防止するためのストッパ428が設けられている。ストッパ428は、フランジR2との当接面における略中央に窪みが設けられている。この窪みは、フランジ本体R21に形成された突出部の形状に窪んでおり、当該突出部と係合可能となっている。当該突出部が窪みに係合することにより、フランジR2の姿勢、つまり突出部の位置が常に同一となる。
【0044】
フランジ繰り出し装置423、スライド装置425、及びシリンダ427等のフランジ供給ユニット42が備える各種装置は、それぞれ制御装置50により駆動制御されることが好ましい。
【0045】
フランジ供給ユニット42の動作について
図16を用いて説明する。
図16は、本実施形態に係るフランジ供給ユニットの動作を説明するための図である。なお、
図16には、ボトルBRの搬送方向に直交する方向から見たフランジ供給ユニット42が模式的に示されている。以後、搬送方向なる文言は、ボトルBRの搬送方向を指す。
【0046】
図16(a)に示されるように、先ず搬送スライダ424が基準位置、つまり搬送方向の最上流側に位置した状態においてフランジ繰り出し装置423によりフランジR2が繰り出され、フランジ台421上に載置される。載置後、
図16(b)に示されるように、搬送スライダ424下面に連結されたスリット422を挿通するスライダロッド425-1を介して、スライド装置425により搬送スライダ424が昇降台426に向けて移動され、これによりフランジR2が昇降台426上に移動される。
【0047】
移動後、
図16(c)に示されるように、スライド装置425により搬送スライダ244が基準位置に戻され、昇降台426下面に連結されたピストンロッド427-1を介して、シリンダ427により昇降台426と共にフランジR2が上昇される。上昇されたフランジR2は、詳細は後述するフランジ押圧ユニット43の円筒ホルダ432内に嵌合され、フランジ押圧ユニット43に受け渡される。嵌合後、シリンダ427により昇降台426が下降して元の位置に戻ると共に、再びフランジ繰り出し装置423によりフランジR2が繰り出され、
図16(a)に示される状態となる。なお、フランジ押圧ユニット43に受け渡されたフランジR2がボトルBRに取り付けられた後、フランジ押圧ユニット43の円筒ホルダ432は、再びフランジR2を受け取るために昇降台426上方の受け渡し位置に戻ることとなる。
【0048】
(フランジ押圧ユニット43)
フランジ押圧ユニット43は、略C字状の支持フレーム431を有し、その下方側一端部には円筒ホルダ432が連結され、上方側他端部には油圧または空圧式のプレスシリンダ433が設けられている。支持フレーム431は、電力や油空圧等を用いた任意のアクチュエータ(不図示)により搬送方向及び上下方向に移動可能となっている。本実施形態において支持フレーム431は、フランジR2が受け渡される受け渡し位置と、ボトルBRにフランジR2を取り付ける取付位置とに移動する。
図15には、取付位置の上方にフランジ押圧ユニット43が位置付けられた状態が示されており、この状態から下方に移動した位置、具体的には円筒ホルダ432が保持するフランジR2と取付台70上に押し出されたボトルBRのリングR1とが近接または接触する位置が取付位置となる。
【0049】
円筒ホルダ432は、略中空円筒状に形成されており、その内部がフランジR2を収容可能に構成されている。具体的には、円筒ホルダ432は、その内径がフランジR2の外径と同一または僅かに小さく形成されており、昇降台426によりフランジR2が円筒ホルダ432内に嵌合された際に容易に落下しないようにされている。また、本実施形態においては、円筒ホルダ432の内周面にはフランジ本体R21の突出部を受け入れ可能な窪みが形成されている。
【0050】
プレスシリンダ433は、支持フレーム431の上方他端部を貫通するピストンロッド433-1を上下方向に進退動可能に収容しており、ピストンロッド433-1の先端には支持プレート434が設けられている。支持プレート434は、一端部の下面に回転支軸435が相対回転可能に取り付けられ、他端部の上面に回転軸436-1を回転駆動可能なモータ等の駆動装置436が設けられている。
【0051】
回転軸436-1は、支持プレート434の他端部を貫通して下方に延在しており、その先端にローラ437が設けられている。ローラ437は、回転軸436-1と一体回転可能に構成されている。ローラ437と回転支軸435とには、回転ベルト438が巻き掛けられており、これにより駆動装置436による回転軸436-1の回転が回転ベルト438を介して回転支軸435に伝達し、回転支軸435が回転することとなる。
【0052】
回転支軸435の下端部には、回転押圧部439が一体回転可能に設けられている。
図17は、本実施形態に係る回転押圧部の構成を示す側面図であり、
図18は、その下面図である。回転押圧部439は、円筒ホルダ432の真上に位置しており、
図17及び
図18に示されるように中空円筒状に形成されている。回転押圧部439は、その外径が円筒ホルダ432の内径よりも小径に形成されており、その内径がボトルBRの首部B2やキャップCが挿通可能な径に形成されている。これにより回転押圧部439は、支持プレート434及び回転支軸435を介してプレスシリンダ433により下降されると、円筒ホルダ432内を挿通することができると共に、内部をボトルBRの首部B2やキャップCが挿通することができる。
【0053】
回転押圧部439のリング状をなす下面の一部には、下方に突出する押圧突起439-1が設けられている。押圧突起439-1は、回転押圧部439の下面における周方向に沿って形成されると共に、その先端面が曲面に形成される。フランジR2の取り付けの際、円筒ホルダ432にはフランジR2が保持されているため、回転押圧部439の下降により、押圧突起439-1はフランジR2の上面に当接する。この状態から更に回転押圧部439が下降されることにより、押圧突起439-1はフランジR2を押圧することができ、リングR1に取り付けることができる。
【0054】
支持フレーム431、プレスシリンダ433、及び駆動装置436等のフランジ押圧ユニット43が備える各種装置は、それぞれ制御装置50により駆動制御されることが好ましい。
【0055】
フランジ押圧ユニット43の動作について
図14、
図15、及び
図19を用いて説明する。
図19は、本実施形態に係るフランジ押圧ユニットの動作を説明するための図である。なお、
図19には、ボトルBRの搬送方向に直交する方向から見たフランジ押圧ユニット43が模式的に示されている。
【0056】
フランジ押圧ユニット43は、
図14に示される受け渡し位置において円筒ホルダ432がフランジR2を受け取ると、支持フレーム431を移動させる上述した任意のアクチュエータにより搬送方向に沿って移動され、
図15に示されるボトルBRの真上の位置に位置付けられる。その後、
図19(a)に示されるように、フランジ押圧ユニット43は下方に移動されて取付位置に位置付けられる。この時、円筒ホルダ432に保持されたフランジR2は、円筒ホルダ432の下降に応じて下降され、ボトルBRの首部B2及びキャップCが挿通された状態でボトルBRのリングR1上面に近接または接触した状態となる。
【0057】
取付位置に位置付けられた後、
図19(b)に示されるように、プレスシリンダ433により支持プレート434を介して回転押圧部439が下方に移動され、円筒ホルダ432内に挿入されると共に、回転押圧部439内にキャップC及び首部B2が挿入される。これに応じて押圧突起439-1は、フランジR2の上面に当接すると共に、これを下方に押圧する。この時、押圧突起439-1は、フランジR2の上面における一部のみをプレスシリンダ433の押圧力に応じて押圧することとなるため、その押圧位置の下方にある係合片R22と、当該係合片R22に当接する一部の係合突起R14とを容易に係合させることができる。
図19(b)では、一部の係合片R22と、当該係合片R22に当接する一部の係合突起R14とが係合した結果、フランジR2がリングR1に対して僅かに傾斜した状態(及び/または撓んだ状態)となることが示されている。
【0058】
押圧後、
図19(c)に示されるように、駆動装置436により回転軸436-1が回転され、ローラ437、回転ベルト438,及び回転支軸435を介して回転押圧部439がフランジR2を押圧した状態を維持して一方向に回転する。この回転により、押圧突起439-1はフランジR2上を円運動するように摺動し、そのフランジR2上の押圧位置が周方向に移動する。押圧突起439-1が摺動することにより、移動先に位置する係合片R22の上面が押圧され、当該係合片R22と、当該係合片R22に当接する一部の係合突起R14とが更に係合し、リングR1とフランジR2との係合範囲を拡大させることができる。
【0059】
回転が継続され、押圧突起439-1がフランジR2上を一周すると、
図19(d)に示されるように、フランジR2における全ての係合片R22とリングR1の係合突起R14とが係合し、フランジR2を水平な状態でリングR1に完全に取り付けることができる。取り付け後、プレスシリンダ433により支持プレート434を介して回転押圧部439が上方に移動され、上述したアクチュエータによりフランジ押圧ユニット43が受け渡し位置に戻される。この時、円筒ホルダ432からフランジR2が抜け、ボトル取出しユニット41が基準位置に戻ることにより、フランジR2が取り付けられたボトルBRが再び搬送コンベア20上に戻され、搬送方向に搬送されて箱詰めなどの作業がなされる。
【0060】
以上に説明した本実施形態によれば、回転押圧部439によりフランジR2の一部を押圧し、押圧状態を維持したまま押圧箇所を移動させることができるため、フランジR2を一様に押圧してリングR1に取り付ける場合と比較して弱い押圧力で容易に取り付けを行うことができる。また、弱い押圧力で取り付けができることから、強い押圧力を付与した場合に起こり得るフランジR2やリングR1の損傷を低減することができる。
【0061】
なお、本実施形態においては、フランジR2のリングR1への取り付け時に、円筒ホルダ432がフランジR2を保持し続けるが、フランジR2を押圧した段階でフランジR2が円筒ホルダ432から完全に抜け出るように、取付位置を調節してもよい。
【0062】
また、プレスシリンダ433により回転押圧部439を下方に移動させることで押圧突起439-1をフランジR2に当接させたが、取付台70を上昇させることでこれを実現させてもよい。その場合、フランジ押圧ユニット43を上下方向に移動させるアクチュエータを排除することができる。
【0063】
また、円筒ホルダ432は、フランジR2を保持できるのであればよいため、任意のハンドユニットにより把持させてもよい。例えば既存のスカラロボットによりフランジR2を把持し、プレスシリンダ433と回転押圧部439とをスカラロボットとは別体として構成し、プレスシリンダ433または回転押圧部439を駆動装置436により回転させるようにしても同様の効果を奏することができる。
【0064】
また、フランジ押圧ユニット43は、制御装置50により駆動制御されると説明したが、それぞれが独立して駆動制御されるようにしてもよく、一部が作業者によるON/OFF制御により駆動するようにしてもよい。
【0065】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の各実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0066】
1 リテーナー取付システム(取付装置)
10 リング取付装置(対象物取付部)
43 フランジ押圧ユニット(取付装置)
433 円筒ホルダ(保持部)
439 回転押圧部(押圧部、回転体)
439-1 押圧突起(当接部)
R1 リング(取付対象物)
R2 フランジ(取付体)