(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172246
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】電子機器、および制御方法
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20231129BHJP
H04B 5/02 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G06K7/10 232
H04B5/02
G06K7/10 192
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083911
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】堀越 秀人
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 圭一
【テーマコード(参考)】
5K012
【Fターム(参考)】
5K012AB01
5K012AC01
5K012AE02
5K012BA03
(57)【要約】
【課題】NFC(Near Field Communication)とRFID(Radio Frequency Identifier)とでアンテナを共用することができる電子機器を提供すること。
【解決手段】RFIDおよびNFCの通信に使用可能なアンテナと、RFIDの通信を制御するRFID制御部と、NFCの通信を制御するNFC制御部と、RFID制御部およびNFC制御部のうち、いずれをアンテナと接続させるかを制御する制御部とを備える電子機器である。制御部は、NFC制御部のプレポーリング信号を、アンテナを介して送出させ、アンテナを介した通信相手がNFCの通信を行わないことを検出したときは、RFID制御部をアンテナに接続させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFID(Radio Frequency Identifier)およびNFC(Near Field Communication)の通信に使用可能なアンテナと、
RFIDの通信を制御するRFID制御部と、
NFCの通信を制御するNFC制御部と、
前記RFID制御部と、前記NFC制御部とのうち、いずれを前記アンテナと接続させるかを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記NFC制御部のプレポーリング信号を、前記アンテナを介して送出させ、前記アンテナを介した通信相手が前記NFCの通信を行わないことを検出したときは、前記RFID制御部を前記アンテナに接続させる、電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記RFID制御部を前記アンテナに接続させるときは、前記NFC制御部に、前記プレポーリング信号の生成を停止させる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記RFID制御部と前記アンテナを介した通信相手との通信の終了を検出したときは、前記NFC制御部を前記アンテナに接続させるとともに、前記NFC制御部に前記プレポーリング信号の生成を開始させる、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記NFC制御部を前記アンテナに接続させるときは、前記RFID制御部に、フルポーリング信号の生成を停止させる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記アンテナは、タッチパッドに重ねて配置され、
前記RFID制御部の無線活性信号、または前記NFC制御部の無線活性信号が、前記タッチパッドを制御するタッチパッド制御部に入力される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
RFID(Radio Frequency Identifier)およびNFC(Near Field Communication)の通信に使用可能なアンテナと、
RFIDの通信を制御するRFID制御部と、
NFCの通信を制御するNFC制御部と、
前記RFID制御部と、前記NFC制御部とのうち、いずれを前記アンテナと接続させるかを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記RFID制御部のフルポーリング信号を、前記アンテナを介して送出させ、前記アンテナを介した通信相手との前記RFIDの通信終了を検出したときは、前記NFC制御部を前記アンテナに接続させる、電子機器。
【請求項7】
RFID(Radio Frequency Identifier)の通信を制御するRFID制御部と、NFC(Near Field Communication)の通信を制御するNFC制御部とを備える電子機器における制御方法であって、
前記NFC制御部のプレポーリング信号を、RFIDおよびNFCの通信に使用可能なアンテナを介して送出させるステップと、
前記アンテナを介した通信相手が前記NFCの通信を行わないことを検出したときは、前記RFID制御部を前記アンテナに接続させるステップと
を有する制御方法。
【請求項8】
RFID(Radio Frequency Identifier)の通信を制御するRFID制御部と、NFC(Near Field Communication)の通信を制御するNFC制御部とを備える電子機器における制御方法であって、
前記RFID制御部のフルポーリング信号を、RFIDおよびNFCの通信に使用可能なアンテナを介して送出させるステップと、
前記アンテナを介した通信相手との前記RFIDの通信終了を検出したときは、前記NFC制御部を前記アンテナに接続させるステップと
を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NFC(Near Field Communication)フォーラムという標準化団体が技術仕様を策定しISO/IEC14443として規定した通信規格のNFCは、13.56MHzの周波数を利用し、10センチメートル程度以下まで接近させて通信を行うことができる。例えば、ラップトップ型、ノート型のパーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)やスマートフォンなどの電子機器には、NFCをサポートするものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、RFID(Radio Frequency Identifier)にも、13.56MHzの周波数を利用するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、NFCとRFIDの両方をサポートする電子機器においては、同じ周波数を利用しているにも関わらず、それぞれにアンテナを用意しなければならないことがあるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、NFCとRFIDとでアンテナを共用する電子機器、および制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様は、RFID(Radio Frequency Identifier)およびNFC(Near Field Communication)の通信に使用可能なアンテナと、RFIDの通信を制御するRFID制御部と、NFCの通信を制御するNFC制御部と、前記RFID制御部と、前記NFC制御部とのうち、いずれを前記アンテナと接続させるかを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記NFC制御部のプレポーリング信号を、前記アンテナを介して送出させ、前記アンテナを介した通信相手が前記NFCの通信を行わないことを検出したときは、前記RFID制御部を前記アンテナに接続させる、電子機器である。
【0008】
また、本発明の他の一態様は、上述した電子機器であって、前記制御部は、前記RFID制御部を前記アンテナに接続させるときは、前記NFC制御部に、前記プレポーリング信号の生成を停止させる。
【0009】
また、本発明の他の一態様は、上述した電子機器であって、前記制御部は、前記RFID制御部と前記アンテナを介した通信相手との通信の終了を検出したときは、前記NFC制御部を前記アンテナに接続させるとともに、前記NFC制御部に前記プレポーリング信号の生成を開始させる。
【0010】
また、本発明の他の一態様は、上述した電子機器であって、前記制御部は、前記NFC制御部を前記アンテナに接続させるときは、前記RFID制御部に、フルポーリング信号の生成を停止させる。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、上述した電子機器であって、前記アンテナは、タッチパッドに重ねて配置され、前記RFID制御部の無線活性信号、または前記NFC制御部の無線活性信号が、前記タッチパッドを制御するタッチパッド制御部に入力される。
【0012】
また、本発明の他の一態様は、RFID(Radio Frequency Identifier)およびNFC(Near Field Communication)の通信に使用可能なアンテナと、RFIDの通信を制御するRFID制御部と、NFCの通信を制御するNFC制御部と、前記RFID制御部と、前記NFC制御部とのうち、いずれを前記アンテナと接続させるかを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記RFID制御部のフルポーリング信号を、前記アンテナを介して送出させ、前記アンテナを介した通信相手との前記RFIDの通信終了を検出したときは、前記NFC制御部を前記アンテナに接続させる、電子機器である。
【0013】
また、本発明の他の一態様は、RFID(Radio Frequency Identifier)の通信を制御するRFID制御部と、NFC(Near Field Communication)の通信を制御するNFC制御部とを備える電子機器における制御方法であって、前記NFC制御部のプレポーリング信号を、RFIDおよびNFCの通信に使用可能なアンテナを介して送出させるステップと、前記アンテナを介した通信相手が前記NFCの通信を行わないことを検出したときは、前記RFID制御部を前記アンテナに接続させるステップとを有する。
【0014】
また、本発明の他の一態様は、RFID(Radio Frequency Identifier)の通信を制御するRFID制御部と、NFC(Near Field Communication)の通信を制御するNFC制御部とを備える電子機器における制御方法であって、前記RFID制御部のフルポーリング信号を、RFIDおよびNFCの通信に使用可能なアンテナを介して送出させるステップと、前記アンテナを介した通信相手との前記RFIDの通信終了を検出したときは、前記NFC制御部を前記アンテナに接続させるステップとを有する。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、電子機器は、NFCとRFIDとでアンテナを共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の第1の実施形態による電子機器100の構成を示す概略ブロック図である。
【
図2】同実施形態における電子機器100の外観の一部を示す外観図である。
【
図3】同実施形態における電子機器100の第1の動作例を説明するタイムチャートである。
【
図4】同実施形態における電子機器100の第2の動作例を説明するタイムチャートである。
【
図5】同実施形態における制御部108の動作を説明するフローチャートである。
【
図6】この発明の第2の実施形態における制御部108の動作を説明するフローチャートである。
【
図7】この発明の第3の実施形態における電子機器100aの構成を示す概略ブロック図である。
【
図8】同実施形態における制御部108aの動作を説明するフローチャートである。
【
図9】この発明の第4の実施形態における電子機器100bの構成を示す概略ブロック図である。
【
図10】この発明の第5の実施形態における電子機器100cの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態による電子機器100の構成を示す概略ブロック図である。電子機器100は、ラップトップ型、ノート型などのパーソナルコンピュータである。電子機器100は、アンテナ101、スイッチ部102、マッチング回路103、104、NFC制御部105、RFID制御部106、タッチパッド制御部107、制御部108を備える。
【0018】
アンテナ101は、13.56MHzの近距離通信用のアンテナコイルであり、RFIDおよびNFCの通信に利用可能なアンテナである。アンテナ101は、電子機器100が備える不図示のタッチパッドの裏側に、タッチパッドと重ねて配置されている。スイッチ部102は、制御部108の制御により、マッチング回路103、104のいずれかをアンテナ101に接続するスイッチである。マッチング回路103は、NFC制御部105をアンテナ101に接続するためのマッチング回路である。マッチング回路104は、RFID制御部106をアンテナ101に接続するためのマッチング回路である。
【0019】
NFC制御部105は、アンテナ101を介したNFCの通信を制御する。NFC制御部105は、NFC無線活性信号NAを、制御部108とタッチパッド制御部107に出力している。NFC無線活性信号NAは、NFC制御部105が送信信号をマッチング回路103に出力している間は、Highになり、出力していない間は、Lowになる。NFC制御部105は、I2C(Inter-Integrated Circuit)バスなどにより電子機器100のメインのプロセッサと接続されている。
【0020】
RFID制御部106は、アンテナ101を介したRFIDの通信を制御する。RFID制御部106は、RFID無線活性信号RAを、制御部108とタッチパッド制御部107に出力している。RFID無線活性信号RAは、RFID制御部106が送信信号をマッチング回路104に出力している間は、Highになり、出力していない間は、Lowになる。RFID制御部106は、USB(Universal Serial Bus)などにより電子機器100のメインのプロセッサと接続されている。タッチパッド制御部107は、その裏側にアンテナ101が配置されているタッチパッドを制御する。タッチパッド制御部107は、タッチパッドを制御する際に、NFC無線活性信号NAとRFID無線活性信号RAとを参照することで、アンテナ101を用いた通信によるタッチパッドの誤動作を防ぐ。
【0021】
制御部108は、アンテナ切換信号ASによりスイッチ部102の切り換えを制御する。これにより、制御部108は、RFID制御部106と、NFC制御部105とのうち、いずれをアンテナ101と接続させるかを制御する。さらに、制御部108は、NFC制御部105に対して、プレポーリング信号の許可/不許可を制御する許可信号NEを出力する。本実施形態において、制御部108は、電子機器100のメインのプロセッサとは異なるプロセッサであるが、電子機器100のメインのプロセッサであってもよい。
【0022】
図2は、本実施形態における電子機器100の外観の一部を示す外観図である。電子機器100は、タッチパッド201、アンテナ101を備える。アンテナ101は、電子機器100内に配置されるため、電子機器100の外観には表れない。
図2では、切り取り線Aによりタッチパッド201を切り取り、電子機器100の内部も示している。アンテナ101は、
図2に示すように、タッチパッド201の裏側に、タッチパッド201と重ねて配置されている。タッチパッド201は、樹脂製のパネルにより構成されている。そのため、電子機器100の筐体が金属製であっても、アンテナ101による磁束は、電子機器100の筐体の外側まで広がる。
【0023】
図3は、本実施形態における電子機器100の第1の動作例を説明するタイムチャートである。
図3は、タイミングT31に、NFCカードがタッチパッド201の上に置かれたときの動作を示すタイムチャートである。始めに、NFC制御部105は、プレポーリング信号を周期的に出力し、RFID制御部106は、フルポーリング信号を周期的に出力している。このため、NFC無線活性信号NAは、プレポーリング信号を出力している区間PPでHighになり、RFID無線活性信号RAは、フルポーリング信号を出力している区間FPでHighになっている。アンテナ切換信号ASは、Highであり、スイッチ部102は、NFC制御部105をアンテナ101に接続している。このため、アンテナ101からは、プレポーリング信号が送信され、フルポーリング信号は送信されない。
【0024】
タイミングT31において、NFCカードがタッチパッド201の上に置かれると、NFC制御部105とNFCカードとは、区間Nでネゴシエーションを行った後、区間NDにおいてデータ通信を行う。その後、NFC制御部105は、プレポーリング信号を周期的に出力する。この間、アンテナ切換信号ASは、Highになったままであり、RFID制御部106は、フルポーリング信号を周期的(300ms)に出力する。また、制御部108は、図示しない許可信号NEも、この間、許可を示す信号としたままである。
【0025】
図4は、本実施形態における電子機器100の第2の動作例を説明するタイムチャートである。
図4は、タイミングT41に、RFIDカードがタッチパッド201の上に置かれたときの動作を示すタイムチャートである。タイミングT41に、RFIDカードがタッチパッド201の上に置かれるまでは、
図3の場合と同様である。タイミングT41において、RFIDカードがタッチパッド201の上に置かれると、NFC制御部105はRFIDカードと、区間Nでネゴシエーションを試みる。しかし、RFIDカードはNFCの通信を行わないため、NFC制御部105は、ネゴシエーションに失敗したと判定し、再度プレポーリング信号を周期的に送出し始める。
【0026】
NFC無線活性信号NAを監視していた制御部108は、タイミングT42においてNFCでない通信相手を検出したと判定し、アンテナ切換信号ASをLowにするとともに、許可信号NEを不許可を示す信号にする。アンテナ切換信号ASがLowとなったことにより、スイッチ部102は、RFID制御部106をアンテナ101に接続する。このため、アンテナ101からは、フルポーリング信号が送信され始める。また、許可信号NEが不許可を示す信号となったため、NFC制御部105は、プレポーリング信号の出力を停止する。
【0027】
アンテナ101から送出されたフルポーリング信号を受けたRFIDカードと、RFID制御部106の間では、送受信がフルポーリング信号よりも短い周期(150ms)で繰り返される。この送受信に応じて、RFID無線活性信号RAがHighとなる送信区間Txと受信区間Rxとが、周期的に表れる。全てのRFIDカードとの送受信が完了すると、RFID制御部106は、RFIDカードとの通信を終了するRemoving RFID cardを送信する。このRemoving RFID cardの送信区間RRは、送信区間Txおよび受信区間Rxより長い100ms以上である。
【0028】
RFID無線活性信号RAを監視していた制御部108は、この送信区間RRにより、タイミングT43においてRFIDの通信終了を検出する。この検出を受けて制御部108は、アンテナ切換信号ASをLowにし、許可信号NEを許可を表す信号にする。これにより、
図4の最初の状態に戻って、スイッチ部102は、NFC制御部105をアンテナ101に接続し、NFC制御部105は、プレポーリング信号を送出を再開する。
【0029】
図5は、本実施形態における制御部108の動作を説明するフローチャートである。まず、制御部108は、許可信号NEを許可にして(ステップSa1)、NFC制御部105にプレポーリング信号の送出を許可する。次に制御部108は、アンテナ切換信号ASをHighにして(ステップSa2)、スイッチ部102がNFC制御部105をアンテナ101に接続するように制御する。
【0030】
次に、制御部108は、NFCでない通信相手を検出するまで待機する(ステップSa3-No)。この間にNFC制御部105は、NFCカードと通信を行うこともあるが、NFCでない通信相手と通信を試みることもある。制御部108は、NFCでない通信相手を検出すると(ステップSa3-Yes)、アンテナ切換信号ASをLowにして(ステップSa4)、スイッチ部102がRFID制御部106をアンテナ101に接続するように制御する。さらに、制御部108は、許可信号NEを不許可にして(ステップSa5)、NFC制御部105にプレポーリング信号の送出を停止させる。次に、制御部108は、RFIDの通信終了を検出するまで待機する(ステップSa6-No)。この間にRFID制御部106は、RFIDカードと通信を行うこともあるが、NFCでもRFIDでもない通信相手と通信を試みることもある。制御部108は、RFIDの通信終了を検出すると(ステップSa6―Yes)、ステップSa1に戻る。
【0031】
このように電子機器100は、RFIDおよびNFCの通信に使用可能なアンテナ101と、RFIDの通信を制御するRFID制御部106と、NFCの通信を制御するNFC制御部105と、RFID制御部106と、NFC制御部105とのうち、いずれを前記アンテナと接続させるかを制御する制御部108とを備える。制御部108は、NFC制御部105のプレポーリング信号を、アンテナ101を介して送出させ、アンテナ101を介した通信相手がNFCの通信を行わないことを検出したときは、RFID制御部106をアンテナ101に接続させる。これにより、電子機器100は、NFCとRFIDとでアンテナ101を共用することができる。
【0032】
また、制御部108は、RFID制御部106をアンテナ101に接続させるときは、NFC制御部105に、プレポーリング信号の生成を停止させる。これにより、NFC制御部105のプレポーリング信号の生成による電力消費を抑えることができる。
【0033】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、NFC制御部105のプレポーリング信号を送出した状態で、NFCカードまたはRFIDカードがタッチパッド201の上に置かれるのを待機していた。第2の実施形態では、RFID制御部106のフルポーリング信号を送出した状態で、NFCカードまたはRFIDカードがタッチパッド201の上に置かれるのを待機する。本実施形態における電子機器100の構成を
図1と同様であるが、制御部108の動作が異なる。
【0034】
図6は、この発明の第2の実施形態における制御部108の動作を説明するフローチャートである。まず、制御部108は、許可信号NEを不許可にして(ステップSb1)、NFC制御部105にプレポーリング信号の送出を停止させる。次に制御部108は、アンテナ切換信号ASをLowにして(ステップSb2)、スイッチ部102がRFID制御部106をアンテナ101に接続するように制御する。
【0035】
次に、制御部108は、RFIDの通信が終了するまで待機する(ステップSb3-No)。この間にRFID制御部106は、RFIDカードと通信を行うこともあるが、RFIDでない通信相手と通信を試みることもある。制御部108は、RFIDの通信終了を検出すると(ステップSb3―Yes)、アンテナ切換信号ASをHighにして(ステップSb4)、スイッチ部102がNFC制御部105をアンテナ101に接続するように制御する。さらに、制御部108は、許可信号NEを許可にして(ステップSb5)、NFC制御部105にプレポーリング信号の送出を開始させる。次に、制御部108は、NFCの通信終了を検出するまで待機する(ステップSb6-No)。この間にNFC制御部105は、NFCカードと通信を行うこともあるが、NFCでもRFIDでもない通信相手と通信を試みることもある。制御部108は、RFIDの通信終了を検出すると(ステップSb6-Yes)、ステップSb1に戻る。
【0036】
このように、本実施形態における電子機器100は、第1の実施形態と同様の構成であるが、制御部108は、RFID制御部106のフルポーリング信号を、アンテナ101を介して送出させ、アンテナ101を介した通信相手がRFIDの通信を行わないことを検出したときは、NFC制御部105をアンテナ101に接続させる。これにより、電子機器100は、NFCとRFIDとでアンテナ101を共用することができる。
【0037】
<第3の実施形態>
第1および第2の実施形態では、許可信号NEによりプレポーリング信号の許可/不許可がNFC制御部105に通知された。第3の実施形態では、許可信号REによりフルポーリング信号の許可/不許可がRFID制御部106に通知される。
【0038】
図7は、この発明の第3の実施形態における電子機器100aの構成を示す概略ブロック図である。
図7において、
図1の各部と同一の部分には同じ符号を付し、説明を省略する。電子機器100aは、
図1に示した電子機器100とは、制御部108とRFID制御部106に代えて、制御部108aとRFID制御部106aを備える点が異なるが、その他は同様である。
【0039】
制御部108aは、制御部108と同様であるが、RFID制御部106aにフルポーリング信号の許可/不許可を通知する許可信号REを出力する点が異なる。RFID制御部106aは、RFID制御部106と同様であるが、許可信号REの許可/不許可を受けて、フルポーリング信号の生成を制御する点が異なる。
【0040】
図8は、本実施形態における制御部108aの動作を説明するフローチャートである。
図8において、
図5の各ステップと同一のものには同じ符号を付し、説明を省略する。
図8のフローチャートは、
図5のフローチャートとは、ステップSa1、Sa5に代えて、ステップSc1、Sc5を有する点が異なる。
【0041】
ステップSc1では、制御部108aは、許可信号NEを許可にし、許可信号REを不許可にする。これにより、NFC制御部105はプレポーリング信号の送出を許可され、RFID制御部106aはフルポーリング信号の生成を停止する。また、ステップSc5では、制御部108aは、許可信号NEを不許可にし、許可信号REを許可にする。これにより、NFC制御部105はプレポーリング信号の生成を停止し、RFID制御部106aはフルポーリング信号の送出を許可される。
【0042】
このように、制御部108aは、NFC制御部105をアンテナ101に接続させるときは、RFID制御部106に、フルポーリング信号の生成を停止させる。これにより、これにより、RFID制御部106のフルポーリング信号の生成による電力消費を抑えることができる。
【0043】
なお、第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、RFID制御部106のフルポーリング信号を送出した状態で、NFCカードまたはRFIDカードがタッチパッド201の上に置かれるのを待機するようにしてもよい。
また、制御部108aではなく制御部108を備え、許可信号NEを、RFID制御部106aに入力するようにしてもよい。RFID制御部106aは、許可信号NEが許可を示すときは、フルポーリング信号の生成を停止し、不許可を示すときは、フルポーリング信号を送出する。
【0044】
<第4の実施形態>
第1から第3の実施形態では、スイッチ部102を用いた。第4の実施形態では、デバイダ102bを用いる。
図9は、この発明の第4の実施形態における電子機器100bの構成を示す概略ブロック図である。
図9において、
図1の各部と同一の部分には同じ符号を付し、説明を省略する。電子機器100bは、電子機器100aとは、スイッチ部102、制御部108に代えて、デバイダ102b、制御部108bを備える点が異なるが、その他は同様である。
【0045】
デバイダ102bは、マッチング回路103を介したNFC制御部105からの信号と、マッチング回路104を介したRFID制御部106からの信号を、アンテナ101に入力する。また、デバイダ102bは、アンテナ101が受信した信号を分配して、マッチング回路103を介したNFC制御部105と、マッチング回路104を介したRFID制御部106とに入力する。
【0046】
制御部108bは、アンテナ切換信号ASを出力しない点が制御部108と異なるが、その他は同様である。
このように、スイッチ部102に代えてデバイダ102bを用いても、第1の実施形態と同様に、アンテナ101を共用することができる。なお、その他の実施形態においても、同様に、スイッチ部102に代えてデバイダ102bを用いてもよい。
【0047】
<第5の実施形態>
第5の実施形態では、スイッチ部109を設け、NFC無線活性信号NAとRFID無線活性信号RAとのタッチパッド制御部107への入力についても制御する。
図10は、この発明の第5の実施形態における電子機器100cの構成を示す概略ブロック図である。
図10において、
図1の各部と同一の部分には同じ符号を付し、説明を省略する。電子機器100cは、
図1の電子機器100とは、スイッチ部109を有する点が異なり、その他は同様である。
【0048】
スイッチ部109は、NFC無線活性信号NAとRFID無線活性信号RAとのいずれを、タッチパッド制御部107に入力するかを制御する。この制御は、アンテナ切換信号ASにより行われる。すなわち、スイッチ部109は、アンテナ切換信号ASがHighのときは、NFC無線活性信号NAをタッチパッド制御部107に入力し、アンテナ切換信号ASがLowのときは、RFID無線活性信号RAをタッチパッド制御部107に入力する。
【0049】
これにより、NFC制御部105がアンテナ101に接続されているときは、タッチパッド制御部107にNFC無線活性信号NAが入力される。また、RFID制御部106がアンテナ101に接続されているときは、タッチパッド制御部107にRFID無線活性信号RAが入力される。このため、アンテナ101を用いた通信が行われる時間と、タッチパッド制御部107に入力される信号がHighとなる時間とが一致するようになる。
なお、第1から第3の実施形態においても、同様に、スイッチ部109を用いてもよい。
【0050】
上述の各実施形態において、制御部108、108a、108bは、NFCでない通信相手の検出、NFCの通信終了の検出、RFIDの通信終了の検出を、以下のようにして行ってもよい。制御部108、108a、108bは、NFC無線活性信号NAと、RFID無線活性信号RAのHigh/Lowレベル、上昇/下降エッジを監視することで、これらの信号のパルス幅、パルス周期を監視する。
【0051】
NFC無線活性信号NAのパルス幅が60msとなった後、100msを超えないパルス幅が検出されたときは、NFCでない通信相手の検出と判定される。NFC無線活性信号NAのパルス幅が60msとなった後、100msを超えたパルス幅のパルスが検出され、該パルスの下降エッジが検出されたときは、NFCの通信終了の検出と判定される。RFID通信では、RFIDでない通信相手の場合でも
図4に示すRFID無線活性信号RAのパルスを送出する。RFID無線活性信号RAのパルス周期が300msから150msに変化した後、100msを超えたパルス幅のパルスが検出され、該パルスの下降エッジが検出されたとき、あるいは、パルス周期が300msから150msに変化した後、所定の時間が経過したときは、RFIDの通信終了の検出と判定される。
【0052】
また、
図1、
図7、
図9、
図10における制御部108、108a、108bの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより制御部108、108a、108bを実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0053】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0054】
また、上述した
図1、
図7、
図9、
図10における電子機器100、100a、100b、100cの各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず、専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。ハイブリッド、モノリシックのいずれでも良い。一部は、ハードウェアにより、一部はソフトウェアにより機能を実現させても良い。
また、半導体技術の進歩により、LSIに代替する集積回路化等の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0055】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0056】
100、100a、100b、100c 電子機器
101 アンテナ
102、109 スイッチ
102b デバイダ
103、104 マッチング回路
105 NFC制御部
106 RFID制御部
107 タッチパッド制御部
108、108a 制御部
201 タッチパッド
【手続補正書】
【提出日】2023-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFID(Radio Frequency Identifier)およびNFC(Near Field Communication)の通信に使用可能なアンテナと、
RFIDの通信を制御するRFID制御部と、
NFCの通信を制御するNFC制御部と、
前記RFID制御部と、前記NFC制御部とのうち、いずれを前記アンテナと接続させるかを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記RFID制御部のフルポーリング信号を送出させずに、前記NFC制御部のプレポーリング信号を、前記アンテナを介して繰り返し送出させ、前記アンテナを介した通信相手が前記NFCの通信を行わないことを検出したときは、前記RFID制御部を前記アンテナに接続させる、電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記RFID制御部を前記アンテナに接続させるときは、前記NFC制御部に、前記プレポーリング信号の生成を停止させる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記RFID制御部と前記アンテナを介した通信相手との通信の終了を検出したときは、前記NFC制御部を前記アンテナに接続させるとともに、前記NFC制御部に前記プレポーリング信号の生成を開始させる、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記NFC制御部を前記アンテナに接続させるときは、前記RFID制御部に、フルポーリング信号の生成を停止させる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記アンテナは、タッチパッドに重ねて配置され、
前記RFID制御部の無線活性信号、または前記NFC制御部の無線活性信号が、前記タッチパッドを制御するタッチパッド制御部に入力される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
RFID(Radio Frequency Identifier)およびNFC(Near Field Communication)の通信に使用可能なアンテナと、
RFIDの通信を制御するRFID制御部と、
NFCの通信を制御するNFC制御部と、
前記RFID制御部と、前記NFC制御部とのうち、いずれを前記アンテナと接続させるかを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記RFID制御部のフルポーリング信号を、前記アンテナを介して送出させ、前記アンテナを介した通信相手との前記RFIDの通信終了を検出したときは、前記NFC制御部を前記アンテナに接続させ、前記RFID制御部のフルポーリング信号を送出させずに、前記NFC制御部のプレポーリング信号を、RFIDおよびNFCの通信に使用可能なアンテナを介して繰り返し送出させる、電子機器。
【請求項7】
RFID(Radio Frequency Identifier)の通信を制御するRFID制御部と、NFC(Near Field Communication)の通信を制御するNFC制御部とを備える電子機器における制御方法であって、
前記RFID制御部のフルポーリング信号を送出させずに、前記NFC制御部のプレポーリング信号を、RFIDおよびNFCの通信に使用可能なアンテナを介して繰り返し送出させるステップと、
前記アンテナを介した通信相手が前記NFCの通信を行わないことを検出したときは、前記RFID制御部を前記アンテナに接続させるステップと
を有する制御方法。
【請求項8】
RFID(Radio Frequency Identifier)の通信を制御するRFID制御部と、NFC(Near Field Communication)の通信を制御するNFC制御部とを備える電子機器における制御方法であって、
前記RFID制御部のフルポーリング信号を、RFIDおよびNFCの通信に使用可能なアンテナを介して送出させるステップと、
前記アンテナを介した通信相手との前記RFIDの通信終了を検出したときは、前記NFC制御部を前記アンテナに接続させ、前記RFID制御部のフルポーリング信号を送出させずに、前記NFC制御部のプレポーリング信号を、RFIDおよびNFCの通信に使用可能なアンテナを介して繰り返し送出させるステップと
を有する制御方法。