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特開2023-172247可撓管の製造装置,可撓管の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172247
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】可撓管の製造装置,可撓管の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/32 20190101AFI20231129BHJP
   A61B 1/005 20060101ALI20231129BHJP
   B29C 48/335 20190101ALI20231129BHJP
   B29C 48/34 20190101ALI20231129BHJP
   B29C 48/33 20190101ALI20231129BHJP
   B29C 48/151 20190101ALI20231129BHJP
   B29C 48/10 20190101ALI20231129BHJP
   B29C 48/13 20190101ALI20231129BHJP
   B29C 48/21 20190101ALI20231129BHJP
   B29L 23/00 20060101ALN20231129BHJP
【FI】
B29C48/32
A61B1/005 521
B29C48/335
B29C48/34
B29C48/33
B29C48/151
B29C48/10
B29C48/13
B29C48/21
B29L23:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083912
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 智子
(72)【発明者】
【氏名】賀川 一成
(72)【発明者】
【氏名】埋田 隆稔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】中島 結衣
【テーマコード(参考)】
4C161
4F207
【Fターム(参考)】
4C161DD03
4C161FF26
4C161JJ03
4C161JJ06
4F207AG08
4F207AG10
4F207AJ08
4F207KA01
4F207KA17
4F207KB18
4F207KB26
4F207KL58
4F207KL65
4F207KL80
4F207KL88
(57)【要約】
【課題】急激な可撓性変化を備える可撓管の形成に対応することができかつ可撓管の芯材の周方向に被覆される樹脂の肉厚を均一化し得る可撓管の製造装置を提供する。
【解決手段】可撓管の芯材の外周に樹脂を被覆させる可撓管製造装置1であって、芯材が内部に挿入される第1の筒状部材31と、第1の筒状部材が内部に挿入され第1の筒状部材との間に第1の流路41を形成する第2の筒状部材32と、第2の筒状部材が内部に挿入され第2の筒状部材との間に第2の流路42を形成する中空部材33と、第1の筒状部材の一端に接続される第1のノズル34と、第2の筒状部材の一端に接続され第1の流路と第2の流路とを合流させる第2のノズル35と、第1の筒状部材,第1のノズル,第2の筒状部材,第2のノズルのうち少なくとも一つを芯材の周方向に回転させる駆動ユニット37とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓管の芯材の外周に樹脂を被覆させる可撓管の製造装置であって、
前記芯材が内部に挿入される第1の筒状部材と、
前記第1の筒状部材が内部に挿入され、前記第1の筒状部材との間に第1の流路を形成する第2の筒状部材と、
前記第2の筒状部材が内部に挿入され、前記第2の筒状部材との間に第2の流路を形成する中空部材と、
前記第1の筒状部材の一端に接続される第1のノズルと、
前記第2の筒状部材の一端に接続され、前記第1の流路と前記第2の流路とを合流させる第2のノズルと、
前記第1の筒状部材,前記第1のノズル,前記第2の筒状部材,前記第2のノズルのうち少なくとも一つを前記芯材の周方向に回転させる駆動ユニットと、
を有することを特徴とする可撓管の製造装置。
【請求項2】
前記第1の流路に第1の樹脂を供給する第1の供給口と、
前記第2の流路に第2の樹脂を供給する第2の供給口と、
を、さらに有することを特徴とする請求項1に記載の可撓管の製造装置。
【請求項3】
前記第1の樹脂と前記第2の樹脂とは硬度または粘性が異なる
ことを特徴とする請求項2に記載の可撓管の製造装置。
【請求項4】
前記第1の樹脂と前記第2の樹脂とは樹脂の種類が異なる
ことを特徴とする請求項2に記載の可撓管の製造装置。
【請求項5】
前記駆動ユニットは、前記第1の筒状部材および前記第2の筒状部材のどちらか一方または両方を回転させる
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓管の製造装置。
【請求項6】
前記駆動ユニットは、前記第1のノズルおよび前記第2のノズルのどちらか一方または両方を回転させる
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓管の製造装置。
【請求項7】
前記駆動ユニットは、前記第1の筒状部材と前記第1のノズルとを回転させる
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓管の製造装置。
【請求項8】
前記駆動ユニットは、前記第2の筒状部材と前記第2のノズルとを回転させる
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓管の製造装置。
【請求項9】
前記第1のノズルの、前記第1の筒状部材と接続していない側を先端側とし、
前記第1の筒状部材および前記第1のノズルは、前記先端側の外径が細くなるテーパ形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓管の製造装置。
【請求項10】
前記第2のノズルの、前記第2の筒状部材と接続していない側を先端側とし、
前記第2の筒状部材および前記第2のノズルは、前記第2のノズル側の外径が細くなるテーパ形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓管の製造装置。
【請求項11】
前記第1の筒状部材の外周面には溝が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓管の製造装置。
【請求項12】
前記第2の筒状部材の外周面には溝が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓管の製造装置。
【請求項13】
前記第2のノズルの外周に設けられたダイスを、さらに有し、
前記ダイスは、
前記第2のノズルの前記一端の外周に沿った形状に形成される内面を有する係合部、
樹脂を被覆させた後の前記芯材が挿入される貫通孔と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の可撓管の製造装置。
【請求項14】
前記第1のノズルまたは前記第2のノズルに接続され、前記第1のノズルまたは前記第2のノズルを回転させるシャフトをさらに有し、
前記シャフトは、外周面に溝が設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載の可撓管の製造装置。
【請求項15】
前記第1の筒状部材と、前記第2の筒状部材と、前記中空部材との少なくとも1つを加熱する加熱装置を、さらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓管の製造装置。
【請求項16】
可撓管の芯材の外周に樹脂を被覆させる可撓管の製造方法であって、
前記芯材の外周に沿って設けられた第1の流路に第1の樹脂を供給し、
前記第1の流路の外側に、前記芯材の外周に沿って設けられた第2の流路に第2の樹脂を供給し、
前記第1の流路と、前記第2の流路と、前記第1の流路と前記第2の流路の先端に設けられた合流流路と、の少なくとも1つを前記芯材の周方向に回転し、
前記合流流路により、前記第1の流路を通った前記第1の樹脂と、前記第2の流路を通った前記第2の樹脂とを、前記芯材の外周に塗布する
ことを特徴とする可撓管の製造方法。
【請求項17】
前記第1の樹脂および前記第2の樹脂の一方は、前記芯材の周方向に回転し、
前記第1の樹脂および前記第2の樹脂の他方は、前記合流流路で前記一方の樹脂と合流することで前記周方向へ回転する
ことを特徴とする請求項16に記載の可撓管の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば内視鏡等に用いられる可撓管の製造装置、可撓管の製造方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
一般に、内視鏡等に用いられる可撓管は、外周に樹脂を被覆した形態で構成されている。また、内視鏡等は、先端領域から基端領域までの間において、適宜可撓性を変えて形成されている。
【0003】
内視鏡等に用いられる可撓管の芯材に対して樹脂を被覆する従来の製造方法としては、例えば混合製法や2層製法等が一般に実用化されている。
【0004】
上記混合製法は、溶融させた状態の異なる2種類の樹脂を合流させて、回転している芯材(マンドレル)の表面上に供給し、当該2種類の樹脂を溶融状態のまま可撓管の芯材の外周に被覆した後、固化させて被膜を成形する製法である。
【0005】
一方、2層製法は、異なる2種類の樹脂を溶融させた状態で合流させることなく、ダイス(樹脂を供給し芯材の外周に塗布する供給口を有する部分)の近傍において可撓管の芯材の外周に対し単層の状態から積層状態へ変化させるなどして被覆する製法である。
【0006】
上記混合製法では、樹脂を被覆した後の可撓管の可撓性は、合流させる2種類の樹脂の配合量を変更することによって、所望の可撓性に調整される。また、当該混合製法では、マンドレルを回転させながら溶融状態の樹脂を可撓管の芯材の外周に被覆するため、可撓管の芯材の周方向において樹脂の肉厚を略均一に成形することができるという利点がある。
【0007】
一方、上記2層製法では、樹脂を被覆した後の可撓管は、積層させる各樹脂層の厚さを調整することで、所望の可撓性を得られる。この場合、各樹脂層の厚さは、供給する樹脂の供給量を調整することによって変化させている。当該2層製法では、樹脂の供給量の急激な切り換えが可能であるため、きわめて短距離で可撓性を変化させることができるという利点がある。
【0008】
例えば、特許第2841913号公報には2層製法によって樹脂を被膜するブロー成形方法が開示されている。また、特開2012-101522号公報には多層円筒樹脂を成形する押し出し成形法において、円筒断面の円周を複数分割するように複数の樹脂を注入し、ノズル又はマンドレルの少なくとも一方を回転させることによって、各分割領域を螺旋状に引き延ばし、複数の樹脂が複数の層を成形するように構成された回転式フィードブロック製法が開示されている。さらに、特開2016-67566号公報,特許6966549号公報等には、2層製法による内視鏡用可撓管の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2841913号公報
【特許文献2】特開2012-101522号公報
【特許文献3】特開2016-67566号公報
【特許文献4】特許6966549号公報等
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、従来の混合製法においては、溶融状態の2種類の樹脂を合流させた後に可撓管の芯材の外周に被覆するので、急激な可撓性変化を持つ可撓管の成形に対応することが困難であるという問題点がある。
【0011】
例えば、合流した2種類の樹脂が流れる領域の容積が大きくなるほど、樹脂の切替にかかる時間が長くなるため、急激な可撓性変化を持つ可撓管の成形には対応できないことが判っている。したがって、従来の混合製法では、可撓管の長手方向各部位において目論見どおりの可撓性調整が困難であるという問題点があった。
【0012】
一方、上記特許第2841913号公報,上記特開2012-101522号公報や、上記特開2016-67566号公報,上記特許6966549号公報等によって開示されている2層(多層)製法では、可撓管の芯材の外周に樹脂を積層させるため、可撓管の芯材の周方向に被覆される樹脂の肉厚を略均一にすることが困難であるという問題があった。
【0013】
また、従来の2層製法では、押し出し圧力によって樹脂の供給量を調整している。そのため、可撓管の可撓性調整のために、例えば急激に樹脂の供給割合を変化させた場合には、樹脂の供給が不安定になり、芯材表面に樹脂が被覆されない箇所が部分的に発生する可能性があった。したがって、従来の2層製法では、樹脂の押し出し圧力を高精度で制御する必要があった。
【0014】
なお、上記特開2012-101522号公報によって開示されている技術においては、ノズル又はマンドレルを回転させることによって、周方向の略均一な肉厚性を確保することはできるが、可撓管の長手方向各部位において目論見どおりの可撓性調整が困難になるという問題点が生じる。
【0015】
従来、内視鏡等に用いられる可撓管の製造装置、可撓管の製造方法においては、芯材表面に樹脂が被覆されない箇所を生じさせることなく、急激な可撓性変化を備える可撓管の成形に対応することができる。かつ、可撓管の芯材の周方向に被覆される樹脂の肉厚を略均一化することは、常に要望され続けている。しかしながら、これらの要求を全て満たすことのできる可撓管の製造装置、可撓管の製造方法は存在しなかった。
【0016】
本発明の目的とするところは、芯材表面に樹脂が被覆されない箇所を生じさせることなく、急激な可撓性変化を備える可撓管の成形に対応することができ、かつ可撓管の芯材の周方向に被覆される樹脂の肉厚を略均一化することのできる可撓管の製造装置,可撓管の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の一態様の可撓管の製造装置は、可撓管の芯材の外周に樹脂を被覆させる可撓管の製造装置であって、前記芯材が内部に挿入される第1の筒状部材と、前記第1の筒状部材が内部に挿入され、前記第1の筒状部材との間に第1の流路を形成する第2の筒状部材と、前記第2の筒状部材が内部に挿入され、前記第2の筒状部材との間に第2の流路を形成する中空部材と、前記第1の筒状部材の一端に接続される第1のノズルと、前記第2の筒状部材の一端に接続され、前記第1の流路と前記第2の流路とを合流させる第2のノズルと、前記第1の筒状部材,前記第1のノズル,前記第2の筒状部材,前記第2のノズルのうち少なくとも一つを前記芯材の周方向に回転させる駆動ユニットと、を有する。
【0018】
本発明の一態様の可撓管の製造方法は、可撓管の芯材の外周に樹脂を被覆させる可撓管の製造方法であって、前記芯材の外周に沿って設けられた第1の流路に第1の樹脂を供給し、前記第1の流路の外側に、前記芯材の外周に沿って設けられた第2の流路に第2の樹脂を供給し、前記第1の流路と、前記第2の流路と、前記第1の流路と前記第2の流路の先端に設けられた合流流路と、の少なくとも1つを前記芯材の周方向に回転させ、前記合流流路により、前記第1の流路を通った前記第1の樹脂と、前記第2の流路を通った前記第2の樹脂とを、前記芯材の外周に塗布する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、芯材表面に樹脂が被覆されない箇所を生じさせることなく、急激な可撓性変化を備える可撓管の成形に対応することができ、かつ可撓管の芯材の周方向に被覆される樹脂の肉厚を略均一化することのできる可撓管の製造装置,可撓管の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態の可撓管製造装置の全体構成の概略を示す概念図
図2図1の可撓管製造装置における樹脂被覆装置の構成を簡略に示す断面図
図3図2の樹脂被覆装置における第1の筒状部材(内層マンドレル)のみを取り出して示す概略斜視図
図4図2の樹脂被覆装置における第2の筒状部材(外層マンドレル)のみを取り出して示す概略斜視図
図5図1の可撓管製造装置における引き取り機の概略構成を示す概念図
図6図5の引き取り機の作用を説明する図であって、図5の状態の後の長尺可撓管の搬送中のようすを示す図
図7図6の符号[7]で示す領域を拡大して示す拡大図
図8】本発明の第1の実施形態の変形例を示す要部拡大図
図9】本発明の第2の実施形態の可撓管製造装置における樹脂被覆装置の構成を簡略に示す断面図
図10図9の樹脂被覆装置における第2の筒状部材(外層マンドレル)のみを取り出して示す概略斜視図である。
図11】本発明の第3の実施形態の可撓管製造装置における樹脂被覆装置の構成を簡略に示す断面図
図12図11の樹脂被覆装置における第1のノズル(内層ノズル)を回転させるための回転シャフトのみを取り出して示す概略斜視図
図13図11の樹脂被覆装置における第1の筒状部材(内層マンドレル)のみを取り出して示す概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面は模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識できる程度の大きさで示すために、各部材の寸法関係や縮尺等を構成要素毎に異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、各図面に記載された各構成要素の数量や各構成要素の形状や各構成要素の大きさの比率や各構成要素の相対的な位置関係等に関して、図示の形態のみに限定されるものではない。
【0022】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態の可撓管製造装置の全体構成の概略を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の可撓管製造装置の全体構成の概略を概念的に示す図である。
【0023】
本実施形態の可撓管製造装置1は、内視鏡等に用いられる可撓管の芯材の外周に樹脂を被覆させる可撓管の製造装置である。この可撓管製造装置1は、図1に示すように、制御装置10と、樹脂被覆装置11と、冷却装置12と、搬送装置13等によって構成されている。
【0024】
制御装置10は、当該可撓管製造装置1の全体を統括的に制御すると共に、樹脂被覆装置11,冷却装置12,搬送装置13等の各装置の動作を適宜制御する。
【0025】
この制御装置10の全部又は一部は、ハードウエアを含むプロセッサにより構成されている。ここで、プロセッサは、例えば、中央処理装置(CPU;Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)や、不揮発性メモリ(Non-volatile memory)、不揮発性記憶装置(Non-volatile storage)等のほか、非一過性の記録媒体(non-transitory computer readable medium)等を備える周知の構成及びその周辺機器等によって構成されている。
【0026】
ROMや不揮発性メモリ、不揮発性記憶装置等には、CPUが実行するソフトウエアプログラムやデータテーブル等の固定データ等が予め記憶されている。そして、CPUがROM等に格納されたソフトウエアプログラムを読み出してRAMに展開して実行し、また、当該ソフトウエアプログラムが各種データ等を適宜参照等することによって、上記制御装置による各種の制御が実現される。また、プロセッサは、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの半導体チップなどにより構成されていてもよい。
【0027】
樹脂被覆装置11は、内視鏡等に用いられる可撓管の芯材の外周に樹脂を被覆する工程を担う主要構成装置である。樹脂被覆装置11は、制御装置10の制御を受けて適宜駆動制御される。なお、樹脂被覆装置11の詳細構成は、図2図4を用いて後述する。
【0028】
冷却装置12は、樹脂被覆装置11によって可撓管の芯材の外周に被覆された樹脂を固化させるために冷却を行う装置である。冷却装置12は、制御装置10の制御を受けて適宜駆動制御されてもよい。冷却装置12は、従来周知の構成のものが適用されるものとして、その詳細構成の説明は省略する。なお、図1においては、冷却装置12の一例として水冷式の冷却装置を図示している。また、自然冷却などであれば冷却装置12は無くてもよい。
【0029】
搬送装置13は、供給ドラム22を含む供給装置21と、引き取り機24及び巻き取りドラム25を含む引取装置23とによって構成されている。搬送装置13において供給装置21と引取装置23は、それぞれが独立して駆動する。また、供給装置21と引取装置23は、制御装置10の制御を受けて適宜駆動制御される構成であってもよい。
【0030】
供給装置21は、制御装置10の制御を受けて供給ドラム22の駆動制御等を行う装置である。また、供給ドラム22は、多数本の芯材(100)が連結ダミー管(101)によって連結された形態の長尺芯材を巻き付ける装置である。以下の説明においては、長尺芯材に対し符号100を付して呼称するものとする。なお、丸カッコ付きの符号100は、個々の芯材を呼称するときに用いるものとする。
【0031】
引き取り機24は、制御装置10の制御を受けて芯材(100)の外周に樹脂が被覆された後の可撓管(102)の搬送と、巻き取りドラム25の駆動制御等を行う装置である。巻き取りドラム25は、樹脂被覆済みの可撓管(102)を巻き取るドラムである。
【0032】
ここで、個々の樹脂被覆済みの可撓管(102)は、上述の連結ダミー管(101)によってそれぞれ連結された形態とされている。したがって、以下の説明においては、多本数の樹脂被覆済み可撓管(102)が個々の連結ダミー管(101)によって連結された形態の長尺の可撓管を長尺可撓管というものとし、符号102を付して呼称するものとする。なお、丸カッコ付きの符号102は、個々の樹脂被覆済み可撓管を呼称するときに用いる。本実施形態の可撓管製造装置1の概略構成は以上である。
【0033】
次に、本実施形態の可撓管製造装置1における樹脂被覆装置11の詳細構成を、図2図4を用いて以下に説明する。図2は、本発明の第1実施形態の可撓管製造装置における樹脂被覆装置の構成を簡略に示す断面図である。図3は、図2の樹脂被覆装置における第1の筒状部材(内層マンドレル)のみを取り出して示す概略斜視図である。図4は、図2の樹脂被覆装置における第2の筒状部材(外層マンドレル)のみを取り出して示す概略斜視図である。
【0034】
図2に示すように、また上述したように樹脂被覆装置11は、制御装置10の制御を受けて適宜駆動制御される。樹脂被覆装置11は、第1の筒状部材である内層マンドレル31と、第2の筒状部材である外層マンドレル32と、中空部材33と、第1のノズルである内層ノズル34と、第2のノズルである外層ノズル35と、ダイス36と、駆動ユニット37と、第1樹脂供給機38と、第2樹脂供給機39と、加熱装置40等を有して構成されている。
【0035】
内層マンドレル31は、内部に長尺芯材100が挿通されると共に、外周に供給される第1の樹脂38x(後述)に対し周方向に均一に分散させる作用とダイスの出口方向へ押し出す作用を加えて内層ノズル34の外周へと供給する構成部材である。そのため、内層マンドレル31は、図3に示すように、先端(一端)及び後端(他端)に開口31a,31bを有し、全体として略円筒形状に形成されている。そして、内層マンドレル31は、先端領域31cの外周に螺旋状の周溝である螺旋溝31eを有して形成されている。この螺旋溝31eは、内層マンドレル31の先端領域31cの外周の略全域に亘って形成されている。
【0036】
なお、螺旋溝31eは、上述のように、内層マンドレル31の外周全域に設けられる一重螺旋として構成する構成例のほかにも、次のような構成例が考えられる。例えば螺旋溝31eは、第1の樹脂38xが供給される供給点から複数の螺旋溝(二重螺旋又は四重螺旋等)へと分岐させるような形態として構成してもよい。このような構成とする場合には、第1の樹脂38xが供給される供給点近傍に分岐部を設け、この分岐点より複数の螺旋溝を形成すればよい。このように螺旋溝31eを多重螺旋構成とすれば、供給される第1の樹脂38xが内層ノズル34の外周に向けて略均一に送り込まれるように構成できる。
【0037】
ここで、内層マンドレル31の外周に対しては、先端領域31cの中程の部位に、第1樹脂供給機38の第1の供給口38aが配置される(図2参照)。したがって、内層マンドレル31の先端領域31cの外周中程部位よりも先端側の領域31caに設けられる螺旋溝31eの一部は、第1の樹脂38xに周方向に均一に分散させる作用とダイスの出口方向へ押し出す作用を付加し、内層ノズル34の外周へと供給する役目をしている。一方、本実施形態における内層マンドレル31は、先端領域31cの外周中程部位よりも後端寄りの領域31cbにも螺旋溝31eの一部を形成している。このような構成とすることは、次のような理由による。
【0038】
当該領域31cbに位置する螺旋溝31eには、通常の場合は、第1の供給口38aからの第1の樹脂38xは流通されない。しかし、当該可撓管製造装置1の稼働時には、通常は第1の流路41(後述)を先端側へ向かう第1の樹脂38xが、所定の条件下にあるときに、第1の流路41を第1の供給口38a側に逆流してくる状況が考えられる。
【0039】
具体的には、例えば第1の供給口38aから供給された第1の樹脂38xが、内層マンドレル31の外周を周方向に均一に分散させる作用とダイスの出口方向へ押し出す作用を付加されて第1の流路41側(先端側)へ流れたとき、第1の流路41の先端側の部分で第1の樹脂38xの流れが停滞する場合がある。
【0040】
するとこのとき、第1の流路41内の先端側の圧力が上昇する。その結果、第1の樹脂38xは、第1の流路41を第1の供給口38a側に向けて逆流する可能性がある。そこで、第1の流路41内の先端側の圧力が一定圧力以上とならないようにするために、内層マンドレル41の領域31cbにも螺旋溝31eを形成している。この領域31cbに形成される螺旋溝31eを形成することによって、上述の理由によって逆流してくる第1の樹脂38xが、第1の供給口38aから第1樹脂供給機38の内部に入り込むことを抑止する。これと共に、第1の流路41内の先端と後端との圧力差を解消し、逆流してくる第1の樹脂38xを退避させるための空間として、領域31cbにおける螺旋溝31eの一部が延長して形成されている。なお、第1の流路41内の先端側の圧力が通常に戻り、第1の流路41内の第1の樹脂38xの逆流が解消された場合、当該螺旋溝31eの延長部位に流れ出た樹脂も、第1の流路41の先端側へ流れ出る。
【0041】
また、内層マンドレル31は、先端側の外径が先端に向けて細くなるテーパ形状に形成されている。そして、内層マンドレル31の先端開口31aには、内層ノズル34が設けられている。この場合、内層ノズル34は、内層マンドレル31とは別体に構成されており、内層ノズル34は、所定の固定部に固定されている。
【0042】
内層ノズル34は、第1の樹脂38xと第2の樹脂39xとが合流した後の2種類の樹脂を、芯材(100)の外周に被覆するために設けられる構成部材である。この内層ノズル34も、先端側の外径が先端に向けて細くなるテーパ形状に形成されている。なお、ここで、内層ノズル34における先端側とは、内層マンドレル31と接続していない側を指している。
【0043】
一方、内層マンドレル31は、後端領域31dの外周が軸受部材37c(図2参照)によって回転自在に支持されている。そして、内層マンドレル31の後端領域31dには、図2に示すように、駆動ユニット37が接続されている。
【0044】
駆動ユニット37は、内層マンドレル31の内部に挿通させる芯材(100)の周方向に沿う方向に、内層マンドレル31を回転させる構成ユニットである。駆動ユニット37は、駆動モータ37aと、駆動力伝達機構37bとを有して構成されている。ここで、駆動モータ37aは、内層マンドレル31を回転させるための回転駆動力を発生させる駆動源である。駆動力伝達機構37bは、駆動モータ37aの回転駆動力を、内層マンドレル31に伝達する機構部である。駆動力伝達機構37bの例示として、図2においては、駆動モータ37aの駆動軸の同軸上に固定されたプーリと、内層マンドレル31の後端領域31dにおいて当該内層マンドレル31と同軸に固定されたプーリと、両プーリを結ぶベルトとによって構成されるベルト駆動方式の駆動力伝達機構を例示している。なお、駆動力伝達機構37bの形態は、図2の例示に限らず、他の形態(例えば複数のギヤを用いる形態等)によって構成してもよい。
【0045】
このように、本実施形態においては、駆動ユニット37によって内層マンドレル31のみを回転させる構成としている。
【0046】
しかし、内層マンドレル31と内層ノズル34との構成は、上述の構成例に限られることはない。例えば、内層ノズル34は、内層マンドレル31の先端に一体に接続した構成としてもよい。この構成の場合、駆動ユニット37は、上述の構成によって内層マンドレル31を回転させると、内層ノズル34も同様に、同方向に同じ回転速度で回転させることができる構成となる。
【0047】
このように構成された内層マンドレル31は、螺旋溝31eの溝深さ及び溝ピッチと、駆動ユニット37による回転速度等によって、第1の樹脂38xの供給速度と供給量が適宜調整される。
【0048】
外層マンドレル32は、内部に内層マンドレル31が挿入されると共に、外周に供給された第2の樹脂39x(後述)を外層ノズル35の外周へと供給する構成部材である。そのために、外層マンドレル32は、図4に示すように、先端(一端)及び後端(他端)に開口32a,32bを有し、全体として略円筒形状に形成されている。この場合において、外層マンドレル32の内径は、内層マンドレル31の外径よりも若干大径に形成されている。これにより、外層マンドレル32の内部に内層マンドレル31を、回転自在に挿入できる。
【0049】
また、外層マンドレル32は、先端領域32cの外周に螺旋状の周溝である螺旋溝32eを有して形成されている。なお、螺旋溝32eは、第2の樹脂39xが供給される供給点32fから、複数の螺旋溝(二重螺旋又は四重螺旋等)へと分岐させる分岐部32gを有している。このように、螺旋溝32eを多重螺旋構成とすることによって、供給された第2の樹脂39xが外層ノズル35の外周に向けて略均一に送り込まれるように工夫されている。なお、螺旋溝32eの構成は、上述の例示に限られることはなく、例えば、樹脂供給口から一本の螺旋溝によって構成される形態であってもよい。
【0050】
また、外層マンドレル32における螺旋溝32eにおいても、内層マンドレル31の螺旋溝31eと同様に、後端寄りの領域32dにまで設け、逆流樹脂の退避空間として構成してもよい。
【0051】
また、外層マンドレル32は、先端側の外径が先端に向けて細くなるテーパ形状に形成されている。同様に、外層マンドレル32は、先端側の内径も先端に向けて細くなるテーパ形状に形成されている。そして、外層マンドレル32の先端開口32aには、外層ノズル35が設けられている。この場合において、外層ノズル35は外層マンドレル32と一体に接続されている。或いは、外層マンドレル32と外層ノズル35とは別体に構成され、それぞれが所定の固定部位に固定されている形態であってもよい。
【0052】
外層ノズル35は、後述する第1の流路41と第2の流路42と合流させるために設けられる構成部材である。ここで、外層ノズル35も、先端側の外径及び内径は先端に向けて細くなるテーパ形状に形成されている。この場合において、外層ノズル35の先端テーパ形状は、外周側と内周側とで異なるテーパ角度に形成されている。この場合において、芯材100が挿通する長軸に対する外層ノズル35の外周側の先端テーパ角度は、同外層ノズル35の内周側のテーパ角度よりも鈍角に形成されている。
【0053】
外層マンドレル32の内周側の先端テーパ形状と、外層ノズル35の内周側の先端テーパ形状とは略連続して形成されている。そして、外層マンドレル32と外層ノズル35の各内周側の連続した先端テーパ形状は、内層マンドレル31の外周側の先端テーパ形状に沿う形状とされている。
【0054】
外層マンドレル32及び外層ノズル35の各内周面と、内層マンドレル31の外周面との間には、周方向に所定の間隔を有する隙間が形成されている。この隙間は、後述する第1の樹脂38xが流れる第1の流路41となる。この第1の流路41は、可撓管の芯材の外周に沿って設けられている。
【0055】
このように構成される外層マンドレル32は、後端側領域32dにおいて中空部材33の後端寄りの内部及び後端面に対して固定されている。そのために、外層マンドレル32の後端部には、中空部材33に対する固定を確保するためのフランジ部32hが形成されている。なお、外層マンドレル32の中程の部位には、後述する第1樹脂供給機38の第1の供給口38aのための貫通孔32kが、外周面から内周面まで貫通して形成されている。
【0056】
ここで、外層マンドレル32は、上述したように、当該樹脂被覆装置11において固定されているので不動である。したがって、この外層マンドレル32と一体に接続されている外層ノズル35もまた不動である。或いは、外層マンドレル32と外層ノズル35とが別体に構成されている場合には、両者はそれぞれ所定の固定部に固定されており、不動である。
【0057】
中空部材33は、内部に外層マンドレル32及びダイス36が挿入されている。このダイス36の内部には、内層ノズル34及び外層ノズル35が配置され、各ノズル34,35の外面と、ダイス36の内面との間に溶融状態の各樹脂(38x,39x)が流れた後、芯材(100)の外周に導く流路を形成している(詳細後述)。
【0058】
同時に、ダイス36は、芯材(100)の外周に樹脂が被覆された後の長尺可撓管102が樹脂被覆装置11の外へと送り出される部分に設けられている。このとき、当該ダイス36は、芯材(100)の外周に被覆された樹脂を規定の肉厚とする機能を有している。
【0059】
中空部材33は、先端(一端)及び後端(他端)に開口を有し、先端開口から後端開口まで貫通する中空部を有して形成されている。この場合において、中空部材33の中空部に対して外層マンドレル32は後端側から挿入される。そして、外層マンドレル32の後端側領域32dが中空部材33に対して固定される。
【0060】
また、中空部材33の中空部の先端内部にはダイス36が固定されている。このダイス36の内部(後述する係合部36a)に、内層ノズル34,外層ノズル35が配置される。なお、ダイス36の内部には、外層マンドレル32の先端の一部が配置される形態として構成されていてもよい。この場合において、中空部材33の略後半領域(図2の符号33dで示す領域参照)における内径と、外層マンドレル32の後端側領域32dの外径とは略同径で、かつ中空部材33の内径の方が外層マンドレル32の外径よりも若干大径に形成されている。この構成により、中空部材33は、内部に外層マンドレル32を挿入し、当該外層マンドレル32の後端側領域32dを固定している。
【0061】
中空部材33の略前半領域の先端内部に設けられるダイス36の内周側は、外層マンドレル32,外層ノズル35,内層ノズル34の各外周側の先端テーパ形状に合わせて、略同形状のテーパ形状に形成されている。ここで、中空部材33の略前半領域における内周面と、外層マンドレル32の先端領域32cの外周面との間には、周方向に所定の間隔を有する隙間が形成されている。この隙間は、後述する第2の樹脂39xが流れる第2の流路42の一部となっている。この第2の流路42は、第1の流路41の外側にあって、可撓管の芯材の外周に沿って設けられている。
【0062】
上述したように、中空部材33の中空部の先端内部にはダイス36が固定されている。このダイス36は、内層ノズル34及び外層ノズル35の外周側に設けられる。ダイス36は、内層ノズル34及び外層ノズル35の先端(一端)の外周形状(先端テーパ形状)に沿う形状に形成された内面を有する係合部36aと、樹脂を被覆させた後の長尺可撓管102が挿通されて通り抜ける貫通孔36bとを有して形成されている。
【0063】
ここで、係合部36aの内面と、内層ノズル34及び外層ノズル35の各先端テーパ形状の各外周面との間には連続する隙間が形成されている。このうち、係合部36aの内面と、外層ノズル35の先端テーパ形状の外周面との間の隙間は、第2の樹脂39xが流れる第2の流路42の一部である。また、係合部36aの内面と、内層ノズル34の先端テーパ形状の外周面との間の隙間は、第1の樹脂38x及び第2の樹脂39xが合流した後に樹脂が流れる合流流路43の一部である。つまり、本実施形態においては、外層ノズル35は、内周側の第1の流路41と、外周側の第2の流路42とを先端において合流させている。
【0064】
そして、ダイス36の貫通孔36bを樹脂が被覆された後の長尺可撓管102が挿通し通り抜けることで、芯材(100)の外周に被覆された樹脂は規定の肉厚とされる。
【0065】
第1樹脂供給機38は、溶融状態の第1の樹脂38xを貯留し、この第1の樹脂38xに対し所定のタイミングで所定の供給圧力を付与して、当該第1の樹脂38xを第1の流路41へと供給する樹脂供給装置である。この第1樹脂供給機38は、制御装置10の制御を受けて適宜駆動制御される。そのために、第1樹脂供給機38は、溶融状態の第1の樹脂38xを貯留する貯留部と、この貯留部内の第1の樹脂38xを第1の流路41へと供給する第1の供給口38aを有する。
【0066】
第2樹脂供給機39は、溶融状態の第2の樹脂39xを貯留し、この第2の樹脂39xに対し所定のタイミングで所定の供給圧力を付与して、当該第2の樹脂39xを第2の流路42へと供給する樹脂供給装置である。この第2樹脂供給機39は、制御装置10の制御を受けて適宜駆動制御される。そのために、第2樹脂供給機39は、溶融状態の第2の樹脂39xを貯留する貯留部と、この貯留部内の第2の樹脂39xを第2の流路42へと供給する第2の供給口39aを有する。
【0067】
なお、第1の樹脂38xと第2の樹脂39xとは、硬度または粘性が異なるものが適用される。また、第1の樹脂38xと第2の樹脂39xとは、樹脂の種類が異なるものが適用される。この場合において、適用され得る樹脂の種類としては、エステル系樹脂やウレタン系樹脂等がある。
【0068】
加熱装置40は、内層マンドレル31と、外層マンドレル32と、中空部材33とのうちの少なくとも1つを加熱する装置である。この加熱装置40は、上記各ユニット(31,32,33)の少なくとも1つを加熱することで、第1樹脂供給機38及び第2樹脂供給機39から各流路(41,42,43)へと供給される各樹脂(38x,39x等)の溶融状態を維持する役目をしている。そのために、加熱装置40は、制御装置10の制御を受けて、各流路に供給される樹脂に応じて適宜適切な温度調整制御等を行う。
【0069】
なお、本実施形態の可撓管製造装置1においては、第1樹脂供給機38及び第2樹脂供給機39から各流路へと供給される各樹脂は、溶融状態で供給される構成としている。このことから、加熱装置40は、本実施形態の可撓管製造装置1においては、必ずしも必須の構成ではない。しかしながら、加熱装置40を設けることにより、各流路に供給される溶融状態の樹脂が常に流れやすい状態を維持するための温度管理を適切に行うことができる。したがって、加熱装置40を設けることにより、樹脂の流れを、常に適切な状態に維持することができ、よって、芯材の外周への樹脂の塗布を常に略均一に安定的に行うことができるという利点がある。以上のように、本実施形態の可撓管製造装置1における樹脂被覆装置11は構成されている。
【0070】
次に、本実施形態の可撓管製造装置1における引き取り機24の構成を、図5図7を用いて以下に説明する。図5は、本実施形態の可撓管製造装置における引き取り機の概略構成を概念的に示す図である。この図5においては、当該引き取り機24に長尺可撓管102を挿入した状態を示している。図6図7は、引き取り機24の作用を説明する図である。このうち、図6図5の状態の後の長尺可撓管102の搬送中のようすを示す図である。図6に示す状態では、長尺可撓管102の連結部分(101)が引き取り機24の内部を通過するようすを示している。図7は、図6の符号[7]で示す領域を拡大して示す拡大図である。なお、引き取り機24の作用を含む本実施形態の可撓管製造装置1の作用は後述する。
【0071】
本実施形態の可撓管製造装置1における引き取り機24は、図5に示すように、いわゆるベルト式引き取り機を例示している。当該引き取り機24は、外周に樹脂を被覆し固化させた後の長尺可撓管102を、当該長尺可撓管102の径方向(上下方向)において挟み込み、所定の速度で所定の方向へ搬送するための装置である。
【0072】
そのために、引き取り機24は、図5等に示すように、また上述したように、制御装置10の制御を受けて適宜駆動制御される。
【0073】
引き取り機24は、上側ベルト24aと、下側ベルト24bと、加圧シリンダ24cと、複数のシリンダ24dと、基台24e等によって構成されている。
【0074】
上側ベルト24a及び下側ベルト24bは、外周に樹脂を被覆した後の長尺可撓管102を、当該長尺可撓管102の径方向(上下方向)において挟み込み、所定の速度で所定の方向へ搬送するための構成部材である。上側ベルト24a及び下側ベルト24bは、回転駆動機構(不図示)の回転駆動力を水平方向の搬送方向T(図5参照)へと変換する。
【0075】
上側ベルト24a及び下側ベルト24bと回転駆動機構(不図示)は、制御装置10の制御を受けて駆動される。制御装置10は、回転駆動機構(不図示)の回転速度を制御して上側ベルト24a及び下側ベルト24bの移動速度を調整し、長尺可撓管102の引き取り速度を制御する。
【0076】
下側ベルト24bは基台24eに固定されている。この場合において、下側ベルト24bのベルト面は略水平に維持されている。
【0077】
加圧シリンダ24cは、上側ベルト24aを上下方向に駆動する装置である。加圧シリンダ24cは、制御装置10の制御を受けて圧力調整を行う。加圧シリンダ24cは、上側ベルト24a及び下側ベルト24b間に挟み込まれる長尺可撓管102の外周に対し外径方向に加わる圧力を常に適切な圧力とする調整制御を行う。この圧力調整は、例えば、長尺可撓管102の潰れ或いは搬送スリップ等の発生を抑止するために行われる。
【0078】
また、加圧シリンダ24cは、複数のシリンダ24dと上ベルトを上下に駆動する。ここで、複数のシリンダ24dのそれぞれは、1つのシリンダ部24daと、少なくとも1つのローラ24dbと、連結機構24dcとを有して構成されている。
【0079】
例えば、本実施形態においては、1つのシリンダ部24daと、2つのローラ24dbと、連結機構24dcを有して構成される形態を例示している。この構成例では、1つのシリンダ部24daと2つのローラ24dbとは、連結機構24dcによって連結されている。連結機構24dcは、シリンダ部24daのシリンダ軸と、2つのローラ24dbを連結し、かつ2つのローラ24dbがシリンダ軸を中心として揺動可能に保持するリンク機構とを有する。
【0080】
また、2つのローラ24dbは、それぞれ独自に回転自在にリンク機構に対して軸支されている。この場合のローラ24dbの回転方向R(図7参照)は、長尺可撓管102の搬送方向T(水平方向,各ベルト面に平行方向;図5図7参照)に対して略直交する方向の回転軸回りの回転である。なお、ローラ24dbの回転方向Rとして、図7においては一方向の矢印のみを示しているが、実際には、ローラ24db自体は正逆回転自在である。図7に示す回転方向Rは、長尺可撓管102が搬送されている場合における各ローラ24dbの回転方向を示している。
【0081】
以上のように構成される本実施形態の可撓管製造装置1における作用を、以下に説明する。
【0082】
まず、図1において、供給ドラム22に巻き付けた長尺芯材100の一端側の連結ダミー管101を、当該可撓管製造装置1における所定の経路に沿って挿通させた後、巻き取りドラム25に固定する。これにより、供給ドラム22に巻き付けられた長尺芯材100は、引き取り機24を駆動させることによって順次所定の巻き取り方向に所定の速度で引き出され、巻き取りドラム25によって巻き取られる状態になる。
【0083】
また、第1樹脂供給機38には溶融した状態の第1の樹脂38xを充填する。同様に、第2樹脂供給機39には溶融した状態の第2の樹脂39xを充填する。制御装置10は、加熱装置40を制御して、第1の樹脂38x及び第2の樹脂39xに応じた温度調節制御を開始させる。
【0084】
この状態において、当該可撓管製造装置1を稼働させる。まず、制御装置10は、駆動ユニット37を駆動制御して内層マンドレル31を回転させる。同時に、制御装置10は、第1樹脂供給機38及び第2樹脂供給機39を駆動制御して、第1の樹脂38x及び第2の樹脂39xに対して所定の供給圧力を付与する。また、制御装置10は、引き取り機24を駆動制御して長尺芯材100の搬送を開始する。同時に、引き取り機24は、巻き取りドラム25を駆動制御して、長尺可撓管102の巻き取りを開始させる。
【0085】
ここで、引き取り機24の作用は、次のようになる。引き取り機24は、制御装置10の制御を受けて、長尺可撓管102を所定の方向T(巻き取りドラム25の側に向かう方向)に所定の速度で搬送する。
【0086】
そのために、引き取り機24は、制御装置10の制御により加圧シリンダ24cを駆動させて上側ベルト24aを移動させる。これにより、長尺可撓管102は、上側ベルト24a及び下側ベルト24bの間に、適切な圧力によって挟み込まれる。
【0087】
この状態で、制御装置10は、引き取り機24の回転駆動機構(不図示)を所定の回転速度で駆動する。これより、上側ベルト24a及び下側ベルト24bが駆動される。したがって、長尺可撓管102は、水平方向において所定の方向に搬送される。同時に、引き取り機24は、巻き取りドラム25を駆動制御する。これにより、引き取り機24から搬送された長尺可撓管102は、巻き取りドラム25に巻き取られる。
【0088】
このようにして、引き取り機24の内部を長尺可撓管102が通過する(図5参照)。このとき、長尺可撓管102において、各可撓管(102)間を連結している部分、即ち連結ダミー管101の部分の外径は、図5等に示すように、各可撓管(102)の外径よりも小径である。
【0089】
従来構成の引き取り機では、加圧シリンダによる長尺可撓管への圧力は、上側ベルトのみによって調整されている。
【0090】
これにより、長尺可撓管の搬送中には、当該長尺可撓管に対して常に一定の圧力が付与される。この長尺可撓管は可撓管部分と連結ダミー管とが交互に連結しており、可撓管部分の外径は連結ダミー管の外径よりも大径となっている。そのため、長尺可撓管に対し一定の圧力が付与される場合、可撓管部分に応力が集中して可撓管部分が潰れる可能性がある。また、上下ベルトの回転に際し、可撓管部分の距離が短い場合においてスリップしてしまうという問題点がある。
【0091】
このようなことを考慮して、従来構成の引き取り機では、加圧シリンダを駆動させて、連結ダミー管の外径に合わせた圧力調整が行われる。これにより、長尺可撓管の搬送は継続される。そして、上下ベルト間に連結ダミー管が介在する状態から、次の可撓管の部分が搬送されてくると、そのままでは加圧シリンダによる圧力が強いので、可撓管に対し過剰な圧力が加わってしまうことになる。したがって、この場合には、加圧シリンダを駆動させて、可撓管の外径に合わせた圧力調整が行われる。
【0092】
このような従来構成の引き取り機では、加圧シリンダが全体的に上下して圧力調整をしている。そのため、可撓管部分と連結部分とが切り替わる部分が、引き取り機に入った直後、或いは引き取り機から出て行く直前のタイミング等には、上下ベルトが可撓管部分又は連結部分の外周に接触する領域が少なくなるので、長尺可撓管の搬送を安定して行うことができないという問題点があった。
【0093】
そこで、本実施形態の可撓管製造装置1における引き取り機24においては、上述したように、加圧シリンダ24cは、複数のシリンダ24dを個別に駆動する構成を備えている。この構成により、加圧シリンダ24cは、常に一定の圧力がかけられており、長尺可撓管102の搬送中に、長尺可撓管102と連結ダミー管101の両者が引き取り機24内にある場合に、複数のシリンダ24dが上下に退避して、上ベルトが可撓管およびダミー管両者に密着した状態となる。
【0094】
この場合において、可撓管部分と連結部分との切り替わり部分では、図7に示すように、2つのローラ24dbは、リンク機構によって可撓管部分及び連結部分の各外周に常に沿うように配置され、常に適切な加圧を行っている。この構成により、本実施形態における引き取り機24は、長尺可撓管102を常にスムースに所定の圧力で所定の速度で安定的に搬送することができる。同時に、長尺可撓管102に付加する圧力を常に適切な状態を維持することができる。よって、長尺可撓管102に過剰な圧力が加わるようなことはない。また、長尺可撓管102に加わる圧力が不足して、搬送できなくなってしまうようなこともない。
【0095】
このような作用によって、本実施形態の可撓管製造装置1において、引き取り機24による長尺可撓管102の搬送が開始されると、同時に、第1樹脂供給機38からは第1の樹脂38xが第1の流路41に供給される。また、第2樹脂供給機39からは第2の樹脂39xが第2の流路42に供給される。このとき、内層マンドレル31は、芯材の周方向に回転している。
【0096】
したがって、第1の流路41に供給された第1の樹脂38xに対して所定の周方向に均一に分散させる作用が付与されている。これと同時に、第1の流路41に供給された第1の樹脂38xには、内層マンドレル31の螺旋溝31eによって前方(先端側)へ向かうダイスの出口方向へ押し出す作用が付与されている。これにより、第1の樹脂38xは、内層マンドレル31の外周に沿って第1の流路41を先端側に向けてスムースに流れる。同時に、第2の流路42に供給された第2の樹脂39xは、外層マンドレル32の螺旋溝32eに沿って先端側に向けて流れる。
【0097】
そうして、第1の流路41を流れる第1の樹脂38xと、第2の流路42を流れる第2の樹脂39xとは、合流流路43において2層を形成する。その後、第1の樹脂38xと第2の樹脂39xとが合流した後の樹脂は、内層ノズル34の先端の外周側の合流流路43から長尺芯材100の外周に塗布される。このとき、内層マンドレル31は、芯材の周方向に回転している。したがって、合流した後の2種類の樹脂は、芯材の周方向に回転しながら長尺芯材100の外周に塗布される。
【0098】
なお、このとき、例えば、第1の流路41において第1の樹脂38xが停滞する状況になったとする。このような場合には、第1の流路41内の先端側の圧力が高まる。すると、当該第1流路41内の第1の樹脂38xは、当該第1の流路41を逆流することがある。このとき、第1の流路41を逆流する第1の樹脂38xは、第1の供給口38aから第1樹脂供給機38の内部へと入り込むことはなく、内層マンドレル31の螺旋溝31eのうちの領域31cbに設けられる螺旋溝31e側へと流れ出る。
【0099】
ここで、逆流樹脂が第1の供給口38aへと入り込まないのは、次のような理由による。
【0100】
第1樹脂供給機38は、常に第1の供給口38aから第1の樹脂38xを供給するための圧力が外部(第1の流路41側)に向けて付与されている。したがって、逆流樹脂は、もっとも圧力の低くなる領域31cbの螺旋溝31eの側へ流れる。
【0101】
このようにして、長尺芯材100の外周に樹脂が被覆された長尺可撓管102は、ダイス36の貫通孔36bを通り抜ける。これにより、長尺可撓管102の外周に被覆された樹脂は規定の肉厚に調整される。その後、樹脂被覆済みの長尺可撓管102は、樹脂被覆装置11から外へ送り出される。
【0102】
このように長尺芯材100は、樹脂被覆装置11を通過することによって、外周に樹脂が被覆される。当該長尺可撓管102の外周に被覆された樹脂は、当該長尺可撓管102がダイス36の貫通孔36bを挿通し、通り抜けることによって、規定の肉厚に調整される。そして、樹脂被覆済みの長尺可撓管102は、樹脂被覆装置11から外部に搬送される。
【0103】
続いて、当該長尺可撓管102は冷却装置12に入る。これにより、長尺可撓管102は、冷却装置12を通過する間に外周に被覆された樹脂が固化される。その後、長尺可撓管102は、冷却装置12から外部に搬送される。
【0104】
冷却装置12を通過した後の長尺可撓管102は、次の引取装置23に入る。引取装置23に入った長尺可撓管102は、まず、引き取り機24に入る。この引き取り機24において、長尺可撓管102は搬送力が付与されている。次いで、引き取り機24を通過した後の長尺可撓管102は、巻き取りドラム25に巻き取られる。
【0105】
以上説明したように上記第1の実施形態によれば、可撓管の芯材の外周に樹脂を被覆させる可撓管製造装置1において、第1の流路41と第2の流路42とをダイス36の近傍に至るまで個別に形成しているので、第1の樹脂38xと第2の樹脂39xとが合流し環状二層を形成後の両樹脂の流れる合流流路43の容積を小さくすることができる。したがって、急激な可撓性変化を持つ可撓管の成形にも対応することができる。なお、本願発明の構成は急激な変化だけでなく、緩やかな形状変化にも対応することができる。
【0106】
また、内層マンドレル31を、芯材の周方向に回転させることにより、内層マンドレル31及び内層ノズル34の外周を流れる第1の樹脂38xは、周方向に均一に分散させる作用及びダイスの出口方向へ押し出す作用が付与される。これにより、第1の樹脂38xは、常にスムースにかつ安定して第1の流路41内を流れる。このことは、芯材の外周への第1の樹脂38xの塗布を常に略均一に安定的に行うことができることにつながる。これと同時に、第1の樹脂38xの供給量を急激に減じた場合などには、内層マンドレル31及び内層ノズル34の回転によって、第1の樹脂38xにはダイスの出口方向へ押し出す作用が付与されているので、芯材表面に樹脂が被覆されない箇所を生じさせることがない。
【0107】
なお、内層マンドレル31を、芯材の周方向に回転させて、第1の樹脂38xの第1の流路41内での流れを円滑化した結果、第1の流路41内において第1の樹脂38xが停滞する等により第1の流路41内の先端側の圧力が上昇して、第1の樹脂38xが第1の流路41内を逆流した場合の対策として、内層マンドレル31の螺旋溝31eを、先端領域31cの後端寄りの領域31cbにまで延長して設けている。これにより、逆流した第1の樹脂38xは、螺旋溝31eの後端寄りの延長部位に退避させることができるので、第1の流路41内の先端側と基端側での圧力差を解消できる。したがって、第1の樹脂38xの逆流に起因して芯材表面に樹脂が被覆されない箇所が生じることを抑止できる。このことは、急激な可撓性の変更調整に対応することができることになる。
【0108】
一方、外層マンドレル32の外周に螺旋溝32eを設けることにより、第2の樹脂39xに周方向に均一に分散させる作用を付与することができる。また、螺旋溝32eを設けることによって、外層マンドレル32の外周の1箇所に向けて第2の供給口39aから供給される第2の樹脂39xを周方向に略均一に流すことができる。これにより、第2の樹脂39xを第1の樹脂38xの上に重ねて環状二層構造を成形させることができ、かつ芯材の周方向に二層の樹脂を略均一に塗布することができる。
【0109】
このように、構成を複雑化させることなく、内層マンドレル31を回転させる簡単な構成によって、芯材表面に樹脂が被覆されない箇所を生じさせることを抑止し、急激な可撓性変化を備える可撓管の成形に対応することができ、かつ可撓管の芯材の周方向に被覆される樹脂の肉厚を略均一化することができ、安定的にかつ低コストにより可撓管の製造を行い得る可撓管製造装置を実現できる。
【0110】
なお、上述の第1の実施形態においては、駆動ユニット37は、内層マンドレル31のみを回転させる構成としている。また、内層マンドレル31と内層ノズル34とを一体化して構成すれば、内層マンドレル31と内層ノズル34とを同時に回転させることができる。このように、内層マンドレル31と内層ノズル34とを同時に回転させた構成の場合、内層マンドレル31のみを回転させる場合に比べて、芯材の外周への樹脂の塗布の偏りを抑制することに寄与することができる。
【0111】
また、上述の第1の実施形態においては、内層マンドレル31及び外層マンドレル32の外周に螺旋状の螺旋溝31e,32eを設けた構成例を示したが、この構成例に限られることはない。例えば、内層マンドレル31及び外層マンドレル32の螺旋溝31e,32eに加えて、内層ノズル34及び外層ノズル35の外周にも、同様に螺旋状の溝を設けて構成してもよい。この場合、内層ノズル34と外層ノズル35とのいずれか一方に螺旋溝を設ける構成のほか、内層ノズル34と外層ノズル35との両方に螺旋溝を設ける構成等、様々な組み合わせにより構成することができる。
【0112】
[第1の実施形態の変形例]
上述の第1の実施形態においては、図2に示すように、内層ノズル34の先端位置(図2の符号[A1]参照)は、外層ノズル35の先端位置(図2の符号[B1]参照)よりも先端側に配置されている。しかしながら、内層ノズル34及び外層ノズル35の各先端位置については、上述の第1の実施形態の構成例に限られることはない。
【0113】
例えば、図8は、本発明の第1の実施形態の変形例を示す要部拡大図である。この図8に示す変形例では、内層ノズル34Aの先端位置(図8の符号[A2]参照)は、外層ノズル35Aの先端位置(図8の符号[B2]参照)よりも基端側に配置している。
【0114】
この変形例の構成とした場合、第1の樹脂38xと第2の樹脂39xとは合流することなく、先に第1の樹脂38xが第1の流路41から芯材(図8では不図示)の外周に塗布される。その後、第2の樹脂39xが第2の流路42から芯材の外周に塗布されることになる。したがって、この構成の場合、第1の樹脂38xと第2の樹脂39xとは、それぞれが積層した形態で芯材の外周に被覆される。
【0115】
また、図示は省略するが、内層ノズルの先端位置と、外層ノズルの先端位置とを略同じ位置に配置する構成の別の変形例も考えられる。この構成の場合には、芯材の外周に被覆される順序は第1の流路からの第1の樹脂と第2の流路からの第2の樹脂とで、適用する樹脂の種類,硬度,粘性によって異なる。したがって、第1の樹脂と第2の樹脂を適宜選択することにより、芯材の内側に被覆する樹脂と、その外側に被覆する樹脂とを設定することができる。
【0116】
このように、上記各変形例の構成、即ち内層ノズル及び外層ノズルの先端位置の配置を変更して構成した場合であっても、上述の第1の実施形態と略同様の効果を得ることができると共に、可撓管の被膜構成を所望の形態に設定し得る構成とすることができる。
【0117】
なお、上述の図2に示す第1の実施形態の構成、即ち内層ノズル34の先端位置[A1]が、外層ノズル35の先端位置[B1]よりも先端側に配置した場合には、以下のような、さらなる効果も期待できる。
【0118】
即ち、上述の第1の実施形態の構成においては、外層ノズル35は、回転する第1の樹脂38xに第2の樹脂39xとを合流させながら、外層ノズル35の外周側に第2の樹脂39xを誘導し、その内側に第1の樹脂38xを誘導する。これにより、芯材の外周に塗布される樹脂を合流させつつ2層的に塗布し、かつ肉厚の均一化に寄与することができる。
【0119】
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態においては、内層マンドレル31のみを回転させる構成、或いは一体化された内層マンドレル31及び内層ノズル34を同時に回転させる構成を例示している。しかしながら、駆動ユニット37によって芯材の周方向に回転させる対象部材としては、これらの構成例に限られることはない。
【0120】
駆動ユニットは、内層マンドレルと外層マンドレルとの少なくとも一方を回転させる構成であればよい。したがって、上述の第1の実施形態の構成例のほかにも、例えば、外層マンドレルのみを駆動ユニットによって回転させる構成であってもよい。また、内層マンドレルと外層マンドレルとの両方を、駆動ユニットによって回転させる構成とすることもできる。次に説明する本発明の第2の実施形態は、内層マンドレルと外層マンドレルとの両方を回転させる構成例である。
【0121】
図9図10は、本発明の第2の実施形態を示す図である。このうち、図9は本実施形態の可撓管製造装置における樹脂被覆装置の構成を簡略に示す断面図である。図10図9の樹脂被覆装置における第2の筒状部材(外層マンドレル)のみを取り出して示す概略斜視図である。
【0122】
本実施形態の可撓管製造装置の構成は、上述の第1の実施形態と基本的に略同様である。本実施形態においては、樹脂被覆装置11Bにおける第2の筒状部材である外層マンドレル32B及び駆動ユニット37Bの構成が異なるのみである。したがって、本実施形態の構成説明において、上述の第1の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して、その説明は省略し、上述の第1の実施形態とは異なる部分についてのみ、以下に詳述する。
【0123】
上述の第1の実施形態においては、駆動ユニット37によって内層マンドレル31のみを回転させ、或いは内層マンドレル31と内層ノズル34とを一体に回転させる構成例を示している。本実施形態においては、上述の第1の実施形態の構成に加えて、さらに外層マンドレル32Bも回転させる構成としている。そのための構成は、以下の通りである。
【0124】
本実施形態の樹脂被覆装置11Bにおける外層マンドレル32Bは、図10に示すように、先端(一端)及び後端(他端)に開口32a,32bを有し、全体として略円筒形状に形成される筒状部32mと、この筒状部32mの後端側に設けられ駆動ユニット37Bと連結する被駆動部32nとを有して形成されている。外層マンドレル32Bの内部に内層マンドレル31が回転自在に挿入される構成は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0125】
外層マンドレル32Bの被駆動部32nは、筒状フランジ部32Bhと、被駆動ギヤ32oとを有して形成されている。筒状フランジ部32Bhは、上述の第1の実施形態における外層マンドレル32のフランジ部32hを、当該外層マンドレル32Bの中心軸に沿う方向において後端に向けて延長して形成される形態としている。
【0126】
被駆動ギヤ32oは、後述する駆動ユニット37Bの第2駆動モータ37dからの回転駆動力を受けて外層マンドレル32Bを回転させる部材である。被駆動ギヤ32oは、筒状フランジ部32Bhの外周に、当該筒状フランジ部32Bhと同軸に固定されている。
【0127】
外層マンドレル32Bは、筒状フランジ部32Bhの外周が、図9に示すように、軸受部材37fによって回転自在に支持されている。そして、外層マンドレル32Bの被駆動部32nの被駆動ギヤ32oには駆動ユニット37Bが接続されている。
【0128】
ここで、本実施形態の駆動ユニット37Bは、芯材(100)の周方向に沿う方向に内層マンドレル31及び外層マンドレル32Bを回転させる構成ユニットである。駆動ユニット37Bは、上述の第1の実施形態の駆動ユニット37の構成(駆動モータ37a,駆動力伝達機構37b)に加えて、第2駆動モータ37dと、第2駆動力伝達機構37eとを有して構成されている。
【0129】
ここで、第2駆動モータ37dは、外層マンドレル32Bを回転させるための回転駆動力を発生させる駆動源である。第2駆動力伝達機構37eは、駆動モータ37dの回転駆動力を、外層マンドレル32Bに伝達する機構部である。第2駆動力伝達機構37eの例示として、図9においては、第2駆動モータ37dの駆動軸の同軸上に固定された駆動ギヤと、この駆動ギヤが噛合する被駆動ギヤ32oとによって構成されるギヤ駆動方式の駆動力伝達機構を例示している。なお、第2駆動力伝達機構37eの形態は、図9の例示に限らず、他の形態によって構成してもよい。例えば、第2駆動力伝達機構37eの形態の別の構成例として、内層マンドレル31を回転させる駆動伝達機構37bと全く同様のベルト駆動方式を採用してもよい。
【0130】
一方、外層マンドレル32Bの筒状部32mにおいては、先端領域32cの外周に螺旋溝32eを有して形成されている構成は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0131】
ここで、本実施形態における外層マンドレル32Bは、上述したように、駆動ユニット37Bによって回転自在に構成されている。そこで、本実施形態の外層マンドレル32Bにおいては、図10に示すように、後端側領域32dの外周に第1周溝32pと、第2周溝32qとを有して構成している。
【0132】
第1周溝32pは、外層マンドレル32Bの外周において、第1の供給口38aに対応する部分であって、貫通孔32kが設けられている部分に形成されている。この構成により、第1の供給口38aから供給される第1の樹脂38xは、まず、回転している外層マンドレル32Bの外周の第1周溝32pに流れ込む。第1周溝32pに流れ込んだ第1の樹脂38xは、貫通孔32kを通して内層マンドレル31の外周の第1流路41へと流れ込む。
【0133】
一方、第2周溝32qは、外層マンドレル32Bの外周において、第2の供給口39aに対応する部分に形成されている。この構成により、第2の供給口39aから供給される第2の樹脂39xは、回転している外層マンドレル32Bの外周の第2周溝32qに流れ込む。第2周溝32qに流れ込んだ第2の樹脂39xは、供給点32fから螺旋溝32eへと流れ込み、やがて第2の流路42へと流れる。なお、螺旋溝32eは、内層マンドレル31(図3参照)と同様に、例えば、外周全域に設けられる一重螺旋溝として構成されている。その他の構成は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0134】
なお、本実施形態においては、内層マンドレル31と外層マンドレル32Bとを回転させる構成としている。このことから、駆動ユニット37Bは、内層マンドレル31と外層マンドレル32Bのそれぞれの回転速度,回転方向について、適宜所定の制御を行う必要がある。
【0135】
例えば、第1の樹脂38xと第2の樹脂39xとで、硬度,粘性若しくは種類が異なる樹脂が適用される場合がある。このとき、適用される樹脂の特性等によって流れる速度も異なる。このことを考慮して、適用される樹脂の硬度,粘性若しくは種類に応じて適切なダイスの出口方向へ押し出す作用が付与される回転数制御を行う。
【0136】
例えば、適用される樹脂の各特性によっては、内層マンドレル31と外層マンドレル32Bとを同じ回転数によって回転制御する場合もあり得る。しかしながら、内層マンドレル31と外層マンドレル32Bとを、同じ回転数によって、かつ同方向に回転させた場合には、両マンドレル31,32Bは実質的に回転していない状態となる。この場合、外層マンドレル32Bの外周の第2の流路42を流れる第2の樹脂39xに対して周方向に均一に分散させる作用及びダイスの出口方向へ押し出す作用を付与する効果は得られる。しかし、両マンドレル31,32Bの間の第1の流路41を流れる第1の樹脂38xに対して周方向に均一に分散させる作用及びダイスの出口方向へ押し出す作用を付与する効果を得ることが減少してしまう。したがって、内層マンドレル31と外層マンドレル32Bとを回転させる構成において、両マンドレル31,32Bを同方向に回転させる場合には、互いに回転差が生じる回転制御を行うのが好ましい。
【0137】
なお、内層マンドレル31と外層マンドレル32Bとのそれぞれの回転方向は、必ずしも一致している必要はない。したがって、内層マンドレル31と外層マンドレル32Bとで、同じ回転方向の回転制御としてもよいし、互いに異なる回転方向による回転制御を行ってもよい。
【0138】
また、内層マンドレル31の螺旋溝31eの螺旋形状と外層マンドレル32Bの螺旋溝32eの螺旋形状とは、同形状である必要はなく、適用する樹脂の特性に応じて互いに異なる形状としてもよい。例えば、各螺旋溝31e,32eの溝ピッチ等を互いに異ならせて構成してもよい。
【0139】
以上説明したように上記第2の実施形態では、内層マンドレル31のほかに外層マンドレル32Bも回転させる構成としている。このような構成によっても、上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態によれば、内層マンドレル31と外層マンドレル32Bとの間の第1流路41を流れる第1の樹脂38xだけでなく、外層マンドレル32Bの外周の第2の流路42を流れる第2の樹脂39xに対しても、周方向に均一に分散させる作用及びダイスの出口方向へ押し出す作用を付与することができる。したがって、本実施形態の構成によれば、芯材(100)の外周への樹脂を塗布するのに際し、樹脂の周方向の均一化に寄与することができる。
【0140】
なお、上述の第2の実施形態においては、外層マンドレル32Bの螺旋溝32eは、先端領域32cの外周にのみ設けた構成例を示したが、この構成例に限られることはない。例えば、内層マンドレル31と同様に、外層マンドレル32Bにおける供給点32fよりも後端寄りの後端側領域32dの外周において、第2周溝32qと第1周溝32p(貫通孔32k)との間の領域にも、螺旋溝32eを延長させて設けてもよい。
【0141】
この構成によれば、外層マンドレル32Bが回転することによって、第2の流路42内での樹脂の流れを円滑化した結果、第2の流路42内にて第2の樹脂39xが停滞する等に起因して、第2の流路42内の圧力が上昇し第2の樹脂39xが第2の流路42を逆流した場合に、逆流する第2の樹脂39xを螺旋溝32eの後端寄りに退避させることができる。これにより、第2の流路42内の先端側と基端側での圧力差を解消できる。また、第2の樹脂39xの逆流に起因して芯材表面に樹脂が被覆されない箇所が生じることを抑止できる。
【0142】
[第2の実施形態の変形例]
上述の第2の実施形態においては、内層マンドレル31と外層マンドレル32Bとを、駆動ユニット37Bにより芯材の周方向に回転させる構成例を示している。ここで、上述の第2の実施形態の構成について、駆動ユニット37Bに含まれる駆動モータ37a及び駆動力伝達機構37bを取り外した変形例が考えられる(なお、駆動モータ37a等を取り外さなくとも、例えば駆動モータ37aを回転させない制御を行っても同様である)。
【0143】
このような構成とする変形例では、内層マンドレル31を非回転とし、外層マンドレル32Bのみを駆動ユニット37Bによって回転させる構成となる。このように外層マンドレル32Bのみを回転させる構成とした場合には、外層マンドレル32Bの外周に螺旋溝32eを設けると共に、外層マンドレル32Bの内周にも同様の螺旋溝を形成してもよい。そして、この構成を採用した場合には、内層マンドレル31は外周の螺旋溝31eを省略して形成することができる。
【0144】
この変形例によれば、構成の簡略化を図ることができ、よって製造コストの低減化に寄与することができる。
【0145】
さらに、上記変形例に示される構成において、外層マンドレル32Bと外層ノズル35とを一体に接続した形態の別の変形例も考えられる。このような構成とすることで、当該別の変形例では、外層マンドレル32Bを回転させることによって外層ノズル35を同時に同方向に回転させることができる。
【0146】
したがって、上記別の変形例の構成によれば、上記変形例の構成に対して簡単な構成の変更のみで、芯材(100)の外周への樹脂を塗布するのに際し、樹脂の周方向の均一化により寄与することができる。
【0147】
さらにまた、上述の第2の実施形態の構成について、内層マンドレル31と内層ノズル34とを一体に接続すると共に、外層マンドレル32B及び外層ノズル35とを一体に接続する構成とすることもできる。
【0148】
このような構成とした場合には、駆動ユニット37Bは、内層マンドレル31と外層マンドレル32Bとのそれぞれを回転させることによって、これら両マンドレル(31,32B)と共に、両ノズル(34,35)を同時に回転させる構成とすることができる。
【0149】
このように、両マンドレル(31,32B)及び両ノズル(34,35)の全てを回転させる構成とした場合には、芯材(100)の外周への樹脂を塗布するのに際し、樹脂の周方向のさらなる均一化に寄与することができる。
【0150】
[第3の実施形態]
一方、上述の各実施形態においては、内層マンドレルと外層マンドレルとの一方又は両方、若しくは内層マンドレル及び内層ノズルと外層マンドレル及び外層ノズルとの一方又は両方を駆動ユニットによって様々に組み合わせて、回転させる各種の構成例を示している。
【0151】
しかしながら、これらの構成例に限られることはなく、例えば、内層ノズルのみ、又は外層ノズルのみ、若しくは内層ノズルと外層ノズルの両方を回転させる各種の構成も考えられる。
【0152】
そこで、次に説明する本発明の第3の実施形態においては、内層ノズルのみを回転させる構成を例示する。図11図13は、本発明の第3の実施形態を示す図である。このうち、図11は本実施形態の可撓管製造装置における樹脂被覆装置の構成を簡略に示す断面図である。図12図11の樹脂被覆装置における第1のノズル(内層ノズル)を回転させるための回転シャフトのみを取り出して示す概略斜視図である。図13図11の樹脂被覆装置における第1の筒状部材(内層マンドレル)のみを取り出して示す概略斜視図である。
【0153】
本実施形態の可撓管製造装置の構成は、上述の第1の実施形態と基本的に略同様である。本実施形態においては、樹脂被覆装置11Cにおいて、内層ノズル34Cのみを回転させる回転シャフト44をさらに有して構成している点が異なる。なお、この構成変更に応じて、第1の筒状部材である内層マンドレル31C及び駆動ユニット37Cの構成が異なる。したがって、本実施形態の構成説明において、上述の第1の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して、その説明は省略し、上述の第1の実施形態とは異なる部分についてのみ、以下に詳述する。
【0154】
本実施形態においては、上述したように、内層ノズル34Cのみを回転させる構成としている。そのための構成は、以下の通りである。
【0155】
本実施形態の樹脂被覆装置11Cは、図11に示すように、内層ノズル34Cに接続され、当該内層ノズル34Cを回転させる回転シャフト44をさらに備えている。
【0156】
この回転シャフト44は、図12に示すように、先端(一端)及び後端(他端)に開口44a,44bを有し、全体として略円筒形状に形成されている。この回転シャフト44の内部には芯材(100)が挿入される(図11参照)。そして、回転シャフト44は、先端側領域44cの外周に螺旋状の周溝である螺旋溝44eを有して形成されている。この螺旋溝44eは、回転シャフト44の先端領域44cの外周の先端側の所定の範囲内に形成されている。この螺旋溝44eは、第1の流路41内の先端側の圧力が一定圧力以上とならないようにするために形成されている。
【0157】
例えば、第1の流路41の先端側の部分で第1の樹脂38xの流れが停滞した場合に、第1の流路41内の先端側の圧力が上昇すると、第1の樹脂38xが第1の流路41を第1の供給口38a側に向けて逆流する可能性がある。そこで、回転シャフト44に螺旋溝44eを形成することにより、当該螺旋溝44eは、上述の理由によって第1の流路41を逆流する可能性のある第1の樹脂38xが退避する空間となる。
【0158】
また、回転シャフト44は、後端側領域44dの外周が軸受部材37c(図11参照)によって回転自在に支持されている。回転シャフト44の後端側領域44dには、図11に示すように、回転シャフト44を回転駆動させる駆動ユニット37Cが接続されている。この場合において、回転シャフト44と駆動ユニット37Cとの接続は、上述の第1の実施形態における内層マンドレル31の後端領域31dと駆動ユニット37との接続と略同様の構成である。そして、回転シャフト44の先端には、内層ノズル34Cが一体に接続されている。
【0159】
一方、本実施形態における樹脂被覆装置11Cにおいて、内層マンドレル31Cは、内部に回転シャフト44が回転自在に挿通されると共に、外周に供給される第1の樹脂38xに対し周方向に均一に分散させる作用とダイスの出口方向へ押し出す作用を加えて内層ノズル34Cの外周へと供給する構成部材である。内層マンドレル31Cは、基本的には上述の第1の実施形態と略同様の構成である。
【0160】
本実施形態における内層マンドレル31Cは、図13に示すように、先端(一端)及び後端(他端)に開口31a,31bを有し、全体として略円筒形状に形成されている。この内層マンドレル31Cは、外周に螺旋溝31eを有して形成されている。この螺旋溝31eは、内層マンドレル31Cの外周の先端側の所定の領域に形成されている。具体的には、螺旋溝31eは、内層マンドレル31Cの外周に第1の樹脂38xが供給される供給点31fよりも先端側の領域に形成されている。
【0161】
なお、本実施形態においては、内層マンドレル31Cの螺旋溝31eは、供給点31fよりも先端側の領域にのみ形成している。つまり、本実施形態においては、回転シャフト44に螺旋溝44eを設けたことによって、第1の流路41からの樹脂の逆流に対応している。このことから、本実施形態の構成においては、内層マンドレル31Cの後端領域に螺旋溝31eを設けることを省略している。
【0162】
また、内層マンドレル31Cは、後端部にフランジ部31hが形成されている。このフランジ部31hは、当該内層マンドレル31Cを外層マンドレル32のフランジ部32h(図11図4参照)に対して固定させるために設けられている。その他の構成は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0163】
このように構成された上記第3の実施形態によれば、上述の第1の実施形態と略同様の効果を得ることができる。また、本実施形態によれば、回転シャフト44に螺旋溝44eを設けたので、内層マンドレル31Cの構成を簡略化できる。
【0164】
なお、上述の第3の実施形態においては、内層ノズル34Cのみを回転させる構成例を示したが、この構成以外にも、例えば、外層ノズルのみを回転させる構成としてもよい。また、内層ノズルと外層ノズルとの両方を回転させる構成としてもよい。
【0165】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施することができることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。この発明は、添付のクレームによって限定される以外にはそれの特定の実施態様によって制約されない。
【符号の説明】
【0166】
1…可撓管製造装置
10…制御装置
11,11B,11C…樹脂被覆装置
12…冷却装置
13…搬送装置
21…供給装置
22…供給ドラム
23…引取装置
24…引き取り機
25…巻き取りドラム
31,32B,31C…内層マンドレル
31e,32e,44e…螺旋溝
32,32B…外層マンドレル
33…中空部材
34,34A,34C…内層ノズル
35,35A…外層ノズル
36…ダイス
36a…係合部
36b…貫通孔
37,37B,37C…駆動ユニット
38…第1の樹脂
38a…第1の供給口
38x…第1の樹脂
39a…第2の供給口
39x…第2の樹脂
40…加熱装置
41…第1の流路
42…第2の流路
43…合流流路
44…回転シャフト
100…長尺芯材
101…連結ダミー管
102…長尺可撓管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
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図11
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図13