(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172254
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】介助システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20231129BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20231129BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083928
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】田野 壮一
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 沙季
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L099AA11
(57)【要約】
【課題】介助が必要な被介助者のための所定の介助要請を介助者に通知して、被介助者が介助を必要としない場合には介助要請を通知しない構成を提供する。
【解決手段】被介助者M1が所定の監視エリア内に侵入することで、無線通信装置20によりその被介助者の無線タグ11からタグIDが読み取られると、サーバ30において、読み取られたタグIDから特定される被介助者に介助が必要か否かについて、記憶部32に登録されている介助情報に基づいて判定される。そして、被介助者M1に介助が必要と判定されると、所定の介助要請が通知装置40に指示されることで、この通知装置40によって上記所定の介助要請が駅員M2に通知される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
介助を要する被介助者に関する情報を介助者に通知する介助システムであって、
前記被介助者の所持品に付されて当該被介助者を特定可能な特定情報が記録される無線タグと、
所定の監視エリア内の前記無線タグから前記特定情報を読み取る無線通信装置と、
前記無線通信装置による読取結果を監視するサーバと、
前記サーバから指示された所定の介助要請を前記被介助者に関する情報として前記介助者に通知する通知装置と、
を備え、
前記サーバは、
前記被介助者が必要としている介助に関する介助情報が前記特定情報に関連付けられて登録される記憶部と、
前記無線通信装置により前記無線タグから読み取られた前記特定情報から特定される前記被介助者に介助が必要か否かについて、前記記憶部に登録されている前記介助情報に基づいて判定する介助要否判定部と、
前記介助要否判定部により前記被介助者に介助が必要と判定されると、前記所定の介助要請を前記通知装置に対して指示する指示部と、
を備えることを特徴とする介助システム。
【請求項2】
前記介助情報は、前記被介助者からの要求に応じて変更可能に前記記憶部に登録されることを特徴とする請求項1に記載の介助システム。
【請求項3】
前記所定の介助要請には、前記記憶部に登録される前記介助情報から特定される介助内容に関する情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の介助システム。
【請求項4】
複数の前記所定の監視エリアのそれぞれに前記無線通信装置が設置され、
前記所定の介助要請には、前記特定情報が前記無線通信装置により読み取られた前記所定の監視エリアに関する情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の介助システム。
【請求項5】
前記記憶部には、前記所定の介助要請が前記介助者に通知された際に前記被介助者に対して所定の通知を行うための通知先情報が当該被介助者の前記特定情報に関連付けて登録され、
前記サーバは、前記指示部により前記所定の介助要請が前記通知装置に対して指示されると、前記被介助者の前記特定情報に関連付けられる前記通知先情報を利用して前記所定の通知を行うことを特徴とする請求項1に記載の介助システム。
【請求項6】
前記所定の監視エリアを撮像範囲とする撮像装置を備え、
前記所定の介助要請には、前記特定情報が前記無線通信装置により読み取られた際に前記撮像装置により撮像された画像データが含まれることを特徴とする請求項1に記載の介助システム。
【請求項7】
前記サーバは、前記無線通信装置により前記特定情報が読み取られた前記無線タグの移動方向が介助を要する所定の方向であるか否かについて判定する移動方向判定部を備え、
前記指示部は、前記移動方向判定部により前記無線タグの移動方向が前記所定の方向と異なると判定されると、前記介助要否判定部による判定結果にかかわらず、前記所定の介助要請を前記通知装置に対して指示しないことを特徴とする請求項1に記載の介助システム。
【請求項8】
前記所定の監視エリアは、駅のホームのうち停車した列車から降車した者が通過する降車エリアであって、
前記無線通信装置は、前記ホームに停車した前記列車から前記被介助者とともに降車した前記無線タグから前記特定情報を読み取るように配置されることを特徴とする請求項1に記載の介助システム。
【請求項9】
複数設けられる前記無線通信装置のうち、第1の無線通信装置は、前記降車エリアを所定の監視エリアとするように配置され、第2の無線通信装置は、同じ駅の改札を所定の監視エリアとするように配置され、
前記介助要否判定部は、前記第1の無線通信装置にて読み取られた前記特定情報について、前記第2の無線通信装置にて読み取られていない場合に当該特定情報を判定対象とし、前記第2の無線通信装置にて既に読み取られている場合に当該特定情報を判定対象としないことを特徴とする請求項8に記載の介助システム。
【請求項10】
前記指示部は、前記第1の無線通信装置にて読み取られた前記特定情報が前記第2の無線通信装置にて読み取られていない場合には、前記介助要否判定部の判定結果にかかわらず、前記所定の介助要請を前記通知装置に対して指示することを特徴とする請求項9に記載の介助システム。
【請求項11】
前記介助要否判定部は、前記無線通信装置により前記特定情報が読み取られた前記無線タグが一定時間移動していないとみなされる場合に、前記記憶部に登録されている情報にかかわらず、前記被介助者に介助が必要と判定することを特徴とする請求項1に記載の介助システム。
【請求項12】
前記無線通信装置により前記特定情報が読み取られた前記無線タグの基準面からの高さを検出するタグ高さ検出部を備え、
前記介助要否判定部は、前記無線通信装置により前記特定情報が読み取られた前記無線タグの前記基準面からの高さが所定の高さ以上とみなされる場合に、前記記憶部に登録されている情報にかかわらず、前記被介助者に介助が必要と判定することを特徴とする請求項1に記載の介助システム。
【請求項13】
前記通知装置は、前記介助者が携帯する携帯端末であることを特徴とする請求項1に記載の介助システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介助を要する被介助者に関する情報を介助者に通知する介助システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、視覚障害者が駅のホームを利用する場合、事前に介助申請を行うことで、駅員による介助によって、その視覚障害者を安全に誘導等することができる。事前の介助申請等がない場合でも、駅員には、駅のホームを利用している視覚障害者がいると、その視覚障害者を誘導等することが求められる。このため、駅員などの介助者が視覚障害者などの介助を要する被介助者の存在を容易に把握できるシステムが求められており、その介助者に対して介助すべき被介助者の存在を円滑に通知することが望ましい。
【0003】
このように、介助者に対して介助すべき被介助者の存在を円滑に通知するための技術として、例えば、下記特許文献1に開示される視覚障碍者検出装置が知られている。この視覚障碍者検出装置は、駅のホームを監視対象エリアとしており、そのホームにいる利用者を撮像した画像データに基づいて白杖を有している利用者を視覚障碍者として検出して、その確認結果を駅務室内の駅員に対して報知する。これにより、駅員は、駅ホームにおいて白杖を有している視覚障碍者を早期発見して介助することができるので、視覚障害者を安全に誘導等することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のように発見した全ての視覚障碍者などを一律に介助することが望ましくない場合もある。一見して介助を要するような利用者であっても、慣れている環境等であれば介助が不要な場合もあり、そのような場合まで被介助者として介助を受けるとその利用者の心理負担が大きくなってしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、介助が必要な被介助者のための所定の介助要請を介助者に通知して、被介助者が介助を必要としない場合には介助要請を通知しない構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
介助を要する被介助者(M1)に関する情報を介助者(M2)に通知する介助システム(1)であって、
前記被介助者の所持品(10)に付されて当該被介助者を特定可能な特定情報が記録される無線タグ(11)と、
所定の監視エリア内の前記無線タグから前記特定情報を読み取る無線通信装置(20)と、
前記無線通信装置による読取結果を監視するサーバ(30)と、
前記サーバから指示された所定の介助要請を前記被介助者に関する情報として前記介助者に通知する通知装置(40)と、
を備え、
前記サーバは、
前記被介助者が必要としている介助に関する介助情報が前記特定情報に関連付けられて登録される記憶部(32)と、
前記無線通信装置により前記無線タグから読み取られた前記特定情報から特定される前記被介助者に介助が必要か否かについて、前記記憶部に登録されている前記介助情報に基づいて判定する介助要否判定部(31)と、
前記介助要否判定部により前記被介助者に介助が必要と判定されると、前記所定の介助要請を前記通知装置に対して指示する指示部(31,35)と、
を備えることを特徴とする介助システム。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、被介助者が所定の監視エリア内に侵入することで、無線通信装置によりその被介助者の無線タグから特定情報が読み取られると、サーバにおいて、読み取られた特定情報から特定される被介助者に介助が必要か否かについて、記憶部に登録されている介助情報に基づいて介助要否判定部により判定される。そして、被介助者に介助が必要と判定されると、指示部により所定の介助要請が通知装置に指示されることで、この通知装置によって上記所定の介助要請が介助者に通知される。
【0009】
これにより、介助が必要な被介助者は、所定の監視エリア内に侵入するだけで、所定の介助要請が通知された介助者によって介助を受けることができる。特に、介助が不要な被介助者が所定の監視エリア内に侵入する場合には、記憶部に登録されている介助情報に基づいて介助が不要と判定されて、所定の介助要請が介助者に通知されることもない。したがって、介助が必要な被介助者のための所定の介助要請を介助者に通知して、被介助者が介助を必要としない場合には介助要請を通知しない介助システムを実現することができる。
【0010】
請求項2の発明では、介助情報は、被介助者からの要求に応じて変更可能に記憶部に登録される。これにより、ある状況では介助要請して別の状況では介助要請しないなど、被介助者が介助要請の要否を詳細に設定することができるだけでなく、後にその設定を変更することもできるので、本システムの利便性を高めることができる。
【0011】
請求項3の発明では、所定の介助要請には、記憶部に登録される介助情報から特定される介助内容に関する情報が含まれる。これにより、介助要請を受けた介助者は、被介助者が必要としている介助内容を把握しやすくなるので、被介助者は、より適した介助を受けることができる。
【0012】
請求項4の発明では、複数の所定の監視エリアのそれぞれに無線通信装置が設置され、所定の介助要請には、特定情報が無線通信装置により読み取られた所定の監視エリアに関する情報が含まれる。これにより、上記監視エリアを複数個所設定する場合でも、特定情報が読み取られた所定の監視エリアに介助を必要とする被介助者がいると判断できるので、介助者は、その被介助者の場所を正確に把握することができる。
【0013】
請求項5の発明では、記憶部には、所定の介助要請が介助者に通知された際に被介助者に対して所定の通知を行うための通知先情報が当該被介助者の特定情報に関連付けて登録される。サーバでは、指示部により所定の介助要請が通知装置に対して指示されると、被介助者の特定情報に関連付けられる通知先情報を利用して所定の通知が行われる。これにより、被介助者は、介助要請が介助者に通知された際には上記所定の通知を受けることができるので、安心して介助者の到着を待つことができる。
【0014】
請求項6の発明では、所定の監視エリアを撮像範囲とする撮像装置が設けられ、所定の介助要請には、特定情報が無線通信装置により読み取られた際に撮像装置により撮像された画像データが含まれる。これにより、介助要請を受けた介助者は、撮像された被介助者の画像を見ることで、被介助者の姿や状況等を鮮明に把握でき、その被介助者の介助のために迅速に行動することができる。
【0015】
請求項7の発明では、サーバには、無線通信装置により特定情報が読み取られた無線タグの移動方向が介助を要する所定の方向であるか否かについて判定する移動方向判定部が設けられる。そして、指示部は、移動方向判定部により無線タグの移動方向が所定の方向と異なると判定されると、介助要否判定部による判定結果にかかわらず、所定の介助要請を通知装置に対して指示しない。
【0016】
例えば、駅の改札を通過して入場する被介助者の介助要否を判定して、その改札を通過して退場する被介助者では介助要請が一律不要とする場合がある。このような場合には、特定情報が読み取られた無線タグの移動方向が介助を要する所定の方向であると判定される場合に介助要否を判定して、無線タグの移動方向が上記所定の方向と異なると判定される場合に介助要否判定部の判定結果にかかわらず介助要請を指示しないことで、不要な介助要請が通知されることを抑制することができる。
【0017】
請求項8の発明では、所定の監視エリアは、駅のホームのうち停車した列車から降車した者が通過する降車エリアであって、無線通信装置は、ホームに停車した列車から被介助者とともに降車した無線タグから特定情報を読み取るように配置される。これにより、停車した列車から降車した被介助者の存在を容易に把握でき、その被介助者が介助を必要とする場合には、介助者は、その被介助者の介助のために迅速に行動することができる。
【0018】
請求項9の発明では、複数設けられる無線通信装置のうち、第1の無線通信装置は、上記降車エリアを所定の監視エリアとするように配置され、第2の無線通信装置は、同じ駅の改札を所定の監視エリアとするように配置される。そして、介助要否判定部は、第1の無線通信装置にて読み取られた特定情報について、第2の無線通信装置にて読み取られていない場合に当該特定情報を判定対象とし、第2の無線通信装置にて既に読み取られている場合に当該特定情報を判定対象としない。
【0019】
これにより、第1の無線通信装置にて読み取られた特定情報が第2の無線通信装置にて既に読み取られている場合、すなわち、被介助者が列車に乗車する場合にまで介助要請がなされることはない。このため、乗車時と比較して介助が求められやすい降車時の介助を重視しつつ、不要な介助要請が通知されることを抑制することができる。
【0020】
請求項10の発明では、指示部は、第1の無線通信装置にて読み取られた特定情報が第2の無線通信装置にて読み取られていない場合、すなわち、被介助者が列車から降車する場合には、介助要否判定部の判定結果にかかわらず、所定の介助要請を通知装置に対して指示する。列車から降車した被介助者はホームの状況が分からないため、このような場合には被介助者が登録した介助情報を考慮することなく(介助要否判定部の判定結果にかかわらず)、介助者に介助要請を通知することで、被介助者の安全を優先することができる。
【0021】
請求項11の発明では、介助要否判定部は、前記無線通信装置により前記特定情報が読み取られた前記無線タグが一定時間移動していないとみなされる場合に、前記記憶部に登録されている情報にかかわらず、前記被介助者に介助が必要と判定する。
【0022】
被介助者が介助不要として介助情報を登録している場所であっても、その周囲環境の変化等によっては介助が必要になる場合がある。このため、特定情報が読み取られた無線タグが一定時間移動していないとみなされる場合、すなわち、被介助者が所定の監視エリア内に一定時間留まっている場合には、被介助者が介助を要請していると判定することで、被介助者は、介助不要と登録していた状況であってもその場で介助を要請することができ、本システムの利便性を高めることができる。
【0023】
請求項12の発明では、無線通信装置により特定情報が読み取られた無線タグの基準面からの高さを検出するタグ高さ検出部が設けられる。介助要否判定部は、無線通信装置により特定情報が読み取られた無線タグの上記基準面からの高さが所定の高さ以上とみなされる場合に、記憶部に登録されている情報にかかわらず、被介助者に介助が必要と判定する。
【0024】
特定情報が読み取られた無線タグの上記基準面からの高さが所定の高さ以上とみなされる場合、すなわち、介助を要する被介助者が所定の監視エリア内にて無線タグを高く掲げている場合には、被介助者が介助を要請していると判定することで、被介助者は、介助不要と登録していた状況であってもその場で介助を要請することができ、本システムの利便性を高めることができる。
【0025】
請求項13の発明では、通知装置は、介助者が携帯する携帯端末であるため、介助者は、指示された所定の介助要請を移動しながらでも確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態に係る介助システムを概略的に示す説明図である。
【
図2】
図1のサーバの電気的構成等を概略的に例示するブロック図である。
【
図3】サーバのデータベースに登録される介助情報等を説明する説明図である。
【
図4】第1実施形態においてサーバの制御部にてなされる介助要否確認処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図5】第2実施形態においてサーバの制御部にてなされる介助要否確認処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図6】第3実施形態に係る介助システムを概略的に示す説明図である。
【
図7】
図7(A)は、第4実施形態において無線通信装置が備える第1の無線通信部と第2の無線通信部との配置構成を説明する説明図であり、
図7(B)は、第4実施形態の第1の変形例において無線通信装置が備える第1の無線通信部と第2の無線通信部との配置構成を説明する説明図であり、
図7(C)は、第4実施形態の第2の変形例において無線通信装置が備える第1の無線通信部と第2の無線通信部との配置構成を説明する説明図である。
【
図8】第4実施形態においてサーバの制御部にてなされる介助要否確認処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図9】第6実施形態においてサーバの制御部にてなされる介助要否確認処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図10】第6実施形態の変形例においてサーバの制御部にてなされる介助要否確認処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、本発明の介助システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る介助システム1は、視覚障害者などの介助を要する被介助者に関する情報を介助者に通知するためのシステムである。本実施形態では、介助システム1は、被介助者M1がいずれかの駅を利用する際、その被介助者M1が介助を希望している場合に、介助者となるべき利用駅の駅員M2に対して所定の介助要請が通知されるように構成されている。
【0028】
このため、介助システム1は、
図1に示すように、被介助者M1が外出時に所持品として利用する白杖10に付される無線タグ11と、無線タグ11を読取対象とする複数の無線通信装置20と、各無線通信装置20による読取結果を監視するサーバ30と、サーバ30から指示された所定の介助要請を駅員M2に通知するための通知装置40と、を備えるように構成されている。なお、
図1では、便宜上、駅の改札近傍に設置される1つの無線通信装置20とその駅の駅務室に配置される通知装置40とを図示して、その駅の他の改札近傍に設置される無線通信装置20や他の駅に設置される無線通信装置20及び通知装置40の図示を省略している。
【0029】
無線タグ11は、被介助者M1が外出時に利用する白杖10に付されており、当該被介助者M1を特定可能な固有の特定情報としてタグIDが記録されている。なお、無線タグ11は、被介助者M1等が介助システム1の運営側に対して利用申請することで配布されたRFタグとして構成することができる。
【0030】
無線通信装置20は、管理対象となる各駅の改札入場側周辺を所定の監視エリアとして、この所定の監視エリア内の無線タグ11からタグIDを読み取るように配置されて、その読取結果等をサーバ30に送信するように構成されている。すなわち、複数の所定の監視エリアのそれぞれに無線通信装置20が設置される。このため、白杖10を伴った被介助者M1がいずれかの改札を通過しようとすると、白杖10に付された無線タグ11のタグIDが無線通信装置20により読み取られることになる。無線通信装置20には当該無線通信装置20を特定する装置IDが個々に設定されており、タグIDを読み取った無線通信装置20は、そのタグIDを装置ID等とともにサーバ30に送信するための処理を行う。なお、装置IDは、タグIDが無線通信装置20により読み取られた所定の監視エリアに関する情報の一例に相当し得る。
【0031】
サーバ30は、各無線通信装置20による読取結果を利用して介助が必要な被介助者M1を発見した際に所定の介助要請を通知装置40を介して駅員M2に通知するコンピュータとして構成されており、インターネット等を介して各無線通信装置20及び各通知装置40とそれぞれ通信可能に接続されている。このサーバ30は、
図2に示すように、サーバ30全体を統括的に制御する制御部31、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部32、液晶モニタ等によって構成される表示部33、マウスやキーボード等によって構成される操作部34、無線通信装置20や通知装置40等の外部機器と通信するための通信部35などを備えている。
【0032】
記憶部32には、被介助者M1が必要としている介助に関する介助情報がその被介助者M1を特定するタグIDに関連付けられて登録されるデータベースが構築されている。介助情報は、被介助者M1等の申請により登録・変更されるもので、例えば、
図3に例示するようにタグIDごとに登録される。なお、
図3での「介助希望」は、被介助者M1が何らかの介助を要望する場合に「要」として登録され、被介助者M1が介助を要望しない場合に「不要」として登録されるもので、「不要」として登録した後に「要」と変更することや、「要」として登録した後に「不要」と変更することもできる。また、介助情報として、例えば、介助を要望する時間帯や曜日、介助者との待ち合わせ場所に関する情報等を採用してもよい。また、
図3での「通知先情報」は、被介助者M1が所持する携帯端末等にて利用可能なアプリIDやアドレス、電話番号等である。
【0033】
このように構成されるサーバ30では、制御部31にてなされる介助要否確認処理において、いずれかの無線通信装置20からタグID及び装置IDを受信した際、そのタグIDから特定される被介助者M1に介助が必要であるか否かについて記憶部32に記憶される介助情報に基づいて判定される。そして、被介助者M1に介助が必要であると判定されると、受信した装置IDから特定される無線通信装置20が配置される駅の通知装置40に対して所定の介助要請が指示される。
【0034】
通知装置40は、例えば、駅員M2が利用する駅務室に配置されるコンピュータ等であって、サーバ30から指示された所定の介助要請に関する情報を、後述するように画面表示等によって駅員M2に通知するように構成されている。
【0035】
以下、本実施形態においてサーバ30の制御部31にてなされる介助要否確認処理について、
図4に示すフローチャートを参照して具体的に説明する。
サーバ30の制御部31にて介助要否確認処理が開始されると、
図4のステップS101に示す判定処理にて、管理対象のいずれかの無線通信装置20にて無線タグ11が検出されているか否かについて判定される。ここで、通信部35を介してタグID及び装置IDが受信されない状態では、無線タグ11が検出されていないとして、ステップS101にてNoとの判定が繰り返される。
【0036】
そして、白杖10を伴った被介助者M1が改札に近づくことで、その改札入場側周辺を所定の監視エリアとする無線通信装置20では、上記白杖10に付された無線タグ11からタグIDが読み取られる。このため、無線通信装置20により、読み取ったタグID及び装置ID等がサーバ30に対して送信される。
【0037】
上述のように送信されたタグID及び装置ID等が通信部35を介して受信されると、無線タグ11が検出されたとして(S101でYes)、ステップS103に示す介助内容確認処理がなされる。この処理では、記憶部32のデータベースを参照して、受信したタグIDに関連付けられる介助情報と受信した装置IDとに基づいて、タグIDから特定される被介助者M1に介助が必要であるか否かについて判定され、介助が必要であると判定される場合には、データベースに登録される介助情報から具体的な介助内容が特定される。
【0038】
図3の例では、タグIDが「1001」で装置IDがA駅と異なるB駅の無線通信装置20のものであれば、介助が必要であり、その介助内容は「視覚障害」であると特定される。その一方で、タグIDが「1001」で装置IDがA駅の無線通信装置20のものであれば、介助が不要であると特定される。すなわち、タグID「1001」に対応して登録した「視覚障害者」の被介助者M1が、A駅の利用に慣れているためにそのA駅以外での介助を希望する場合には、
図3のような登録状態になる。また、例えば、タグIDが「1002」であれば、装置IDにかかわらず、介助が必要であり、その介助内容は「介助犬」であると特定される。また、例えば、タグIDが「1003」であれば、装置IDにかかわらず、介助が必要であり、その介助内容は「車いす」であると特定される。また、例えば、タグIDが「1004」であれば、装置IDにかかわらず、介助が不要であると確認される。
【0039】
上述した介助内容確認処理において、上記被介助者M1に介助が必要である判定されていると、ステップS105の判定処理にてYesと判定されて、ステップS107に示す介助要請指示処理がなされる。この処理では、上述のように特定された具体的な介助内容に関する情報や装置IDから特定される改札の場所(所定の監視エリアに関する情報)を含めた所定の介助要請が、装置IDに関連付けられる通知装置40に対して通信部35を介して指示されて、本介助要否確認処理が終了する。一方、上述した介助内容確認処理において、上記被介助者M1に介助が必要でない判定されていると(S105でNo)、上記介助要請指示処理がなされることなく、本介助要否確認処理が終了する。なお、上記ステップS103,S105の処理を行う制御部31は、「介助要否判定部」の一例に相当し、上記ステップS107の処理を行う制御部31及び通信部35、「指示部」の一例に相当し得る。
【0040】
上述のように所定の介助要請が指示された通知装置40では、その所定の介助要請に含まれる具体的な介助内容に関する情報や改札の場所などが画面表示等されることで、駅員M2に対して通知される。例えば、
図3の例にて、タグID「1001」の無線タグ11を付した白杖10を伴った被介助者M1がB駅の改札を利用する場合には、介助が必要であり、その介助内容は「視覚障害」であると特定されて、「視覚障害」に関する介助用の情報や改札の場所などが通知装置40に画面表示される。これにより、B駅の駅員M2は、被介助者M1が通過しようとする改札の場所やその被介助者M1に必要な介助内容を把握した上で、その被介助者M1の元に向かうことができる。なお、通知装置40では、被介助者M1が通過しようとする改札の場所やその被介助者M1に必要な介助内容を、画面表示だけでなく、さらに音声案内やLEDの発光状態等を利用して、駅員M2に対して通知してもよい。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る介助システム1では、被介助者M1が所定の監視エリア内に侵入することで、無線通信装置20によりその被介助者の無線タグ11からタグID(特定情報)が読み取られると、サーバ30において、読み取られたタグIDから特定される被介助者に介助が必要か否かについて、記憶部32に登録されている介助情報に基づいて判定される。そして、被介助者M1に介助が必要と判定されると、所定の介助要請が通知装置40に指示されることで、この通知装置40によって上記所定の介助要請が駅員(介助者)M2に通知される。
【0042】
これにより、介助が必要な被介助者M1は、所定の監視エリア内に侵入するだけで、所定の介助要請が通知された駅員M2によって介助を受けることができる。特に、介助が不要な被介助者M1が所定の監視エリア内に侵入する場合には、サーバ30の記憶部32に登録されている介助情報に基づいて介助が不要と判定されて、所定の介助要請が駅員M2に通知されることもない。したがって、介助が必要な被介助者M1のための所定の介助要請を介助者に通知して、被介助者M1が介助を必要としない場合には介助要請を通知しない介助システム1を実現することができる。
【0043】
また、本実施形態では、介助情報は、被介助者M1からの要求に応じて変更可能にサーバ30の記憶部32に登録される。これにより、ある状況では介助要請して別の状況では介助要請しないなど、被介助者M1が介助要請の要否を詳細に設定することができるだけでなく、後にその設定を変更することもできるので、本システムの利便性を高めることができる。
【0044】
また、本実施形態では、サーバ30から通知装置40に指示される所定の介助要請には、サーバ30の記憶部32に登録される介助情報から特定される介助内容に関する情報が含まれる。これにより、介助要請を受けた駅員M2は、被介助者M1が必要としている介助内容を把握しやすくなるので、被介助者M1は、より適した介助を受けることができる。
【0045】
また、本実施形態では、複数の所定の監視エリアのそれぞれに無線通信装置20が設置され、所定の介助要請には、タグIDが無線通信装置20により読み取られた所定の監視エリアに関する情報として上述した装置IDが含まれる。これにより、上記監視エリアを複数個所設定する場合でも、タグIDが読み取られた所定の監視エリアに介助を必要とする被介助者M1がいると判断できるので、駅員M2は、その被介助者M1の場所を正確に把握することができる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る介助システムについて、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、所定の介助要請が介助者に通知された際に被介助者に対して所定の通知を行う点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
本実施形態における介助要否確認処理では、上述のように所定の介助要請が通知装置40を介して駅員M2に通知された際に、サーバ30のデータベースに登録されている通知先情報を利用して、被介助者M1に対して所定の通知を行うことで、その被介助者M1の元に駅員M2が介助のために向かっていることを通知する。
【0048】
以下、本実施形態においてサーバ30の制御部31にてなされる介助要否確認処理について、
図5に示すフローチャートを参照して具体的に説明する。
上記第1実施形態と同様に、被介助者M1に介助が必要であると判定されて具体的な介助内容が特定されると(
図5のS105でYes)、装置IDに関連付けられる通知装置40に対して所定の介助要請が指示される(S107)。
【0049】
続いて、ステップS109に示す通知処理がなされる。この処理では、サーバ30のデータベースにおいて被介助者M1のタグIDに関連付けられる通知先情報を利用して、その被介助者M1の元に駅員M2が介助のために向かっていることを示す所定の通知がなされる。本実施形態では、被介助者M1に対する所定の通知として、例えば、「通知しました」「しばらくお待ちください」などの音声メッセージが採用されており、上記所定の通知を受信した被介助者M1の携帯端末等にて上記音声メッセージが発せられる。なお、上記所定の通知として、例えば、携帯端末等での所定モードの振動などが採用されてもよい。
【0050】
このように、本実施形態では、サーバ30の記憶部32には、所定の介助要請が駅員(介助者)M2に通知された際に被介助者M1に対して所定の通知を行うための通知先情報が当該被介助者M1のタグID(特定情報)に関連付けて登録される。サーバ30では、所定の介助要請が通知装置40に対して指示されると、被介助者M1のタグIDに関連付けられる通知先情報を利用して所定の通知が行われる(S109)。これにより、被介助者M1は、介助要請が駅員M2に通知された際には上記所定の通知を受けることができるので、安心して駅員M2の到着を待つことができる。
【0051】
なお、所定の介助要請が介助者に通知された際に被介助者に対して所定の通知を行う本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0052】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る介助システムについて、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、所定の監視エリアを撮像範囲とする撮像装置により撮像された画像データを所定の介助要請に含める点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
本実施形態では、
図6に示すように、上記所定の監視エリアを撮像範囲とするように配置された撮像装置50が無線通信装置20ごとに設けられている。より具体的には、撮像装置50は、無線通信装置20によって無線タグ11が読み取られた直後の被介助者M1を撮像するように配置されている。各撮像装置50は、サーバ30から指示されたタイミングで撮像されている画像データを、サーバ30に送信するように構成されている。
【0054】
そして、本実施形態における介助要否確認処理では、ステップS107に示す介助要請指示処理時に、タグIDを読み取った無線通信装置20の監視エリアを撮像範囲とする撮像装置50に対してタグID読取時に撮像されている画像データを送信するための指示を行う。そして、この送信指示に応じて撮像装置50から受信した画像データを含めた所定の介助要請が、装置IDに関連付けられる通知装置40に対して通信部35を介して指示される。
【0055】
このように、本実施形態では、所定の監視エリアを撮像範囲とする撮像装置50が無線通信装置20ごとに設けられ、所定の介助要請には、タグIDが無線通信装置20により読み取られた際に撮像装置50により撮像された画像データが含まれる。これにより、タグID読取時に撮像されている画像データには、そのタグIDを記録した無線タグ11、すなわち、白杖10を持った被介助者M1が写り込んでいる。このため、介助要請を受けた駅員M2は、撮像された被介助者M1の画像を通知装置40を利用して見ることで、被介助者M1の姿や状況等を鮮明に把握でき、その被介助者M1の介助のために迅速に行動することができる。
【0056】
なお、所定の介助要請に含める画像データは、タグID読取時に撮像装置50により撮像された1つの静止画像データであってもよいし、タグID読取時の前後所定時間で撮像装置50により撮像された複数の静止画像データ(例えば、動画データ)であってもよい。
【0057】
また、所定の監視エリアを撮像範囲とする撮像装置により撮像された画像データを所定の介助要請に含める本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0058】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る介助システムについて、図面を参照して説明する。
本第4実施形態では、無線タグの移動方向を考慮して介助の要否を判定する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
例えば、駅の改札を通過して入場する被介助者M1の介助要否を判定して、その改札を通過して退場する被介助者では介助要請が一律不要とする場合がある。
【0060】
このため、本実施形態では、各無線通信装置20は、被介助者M1が改札を通過する際に読み取られる無線タグ11の移動方向を検出可能に構成されている。具体的には、無線通信装置20は、
図7(A)に例示するように、改札の入場側に設置される第1の無線通信部21と改札のホーム側に設置される第2の無線通信部22とを備え、その読み取り時間差に応じて無線タグ11の移動方向を検出して、その検出結果をサーバ30に送信するように構成される。
【0061】
そして、本実施形態における介助要否確認処理では、
図8に示すフローチャートのように、無線タグ11が検出された際(
図8のS101でYes)、ステップS111の判定処理にて、タグIDが読み取られた無線タグ11の移動方向が介助を要する所定の方向である入場方向であるか否かについて判定される。そして、第1の無線通信部21の方が第2の無線通信部22よりも読み取りタイミングが早いことから、無線タグ11の移動方向が入場方向であるとの検出結果を無線通信装置20から受信している場合には(S111でYes)、ステップS103以降の処理を行って介助要否を判定する。
【0062】
一方、第2の無線通信部22の方が第1の無線通信部21よりも読み取りタイミングが早いことから、無線タグ11の移動方向が上記入場方向と異なるとの検出結果を無線通信装置20から受信している場合には(S111でNo)、ステップS103以降の処理を行うことなく(介助要否の判定結果にかかわらず)、本介助要否確認処理を終了して介助要請を指示しない。なお、上記ステップS111の判定処理を行う制御部31は、無線タグ11の移動方向が介助を要する所定の方向であるか否かについて判定する「移動方向判定部」の一例に相当し得る。
【0063】
このように、無線タグ11の移動方向が入場方向(介助を要する所定の方向)と異なると判定される場合に介助要否を判定せずに(判定結果にかかわらず)介助要請を指示しないことで、不要な介助要請が通知されることを抑制することができる。
【0064】
なお、第1の無線通信部21及び第2の無線通信部22は、改札の入場側とホーム側とにそれぞれ設置されることに限らず、
図7(B)に例示する第1の変形例のように、ともにホーム側にて第1の無線通信部21が第2の無線通信部22よりも改札に近くなるように設置されてもよい。また、第1の無線通信部21及び第2の無線通信部22は、
図7(C)に例示する第2の変形例のように、ともに入場側にて第2の無線通信部22が第1の無線通信部21よりも改札に近くなるように設置されてもよい。
【0065】
また、無線通信装置20は、無線タグ11の移動方向が入場方向(介助を要する所定の方向)であると判定される場合に、読み取ったタグIDをサーバ30に送信し、無線タグ11の移動方向が入場方向でないと判定される場合に、読み取ったタグIDをサーバ30に送信しないように構成されてもよい。この場合には、サーバ30にてなされる介助要否確認処理では、無線タグ11の移動方向に関する判定処理(S111)を不要とすることができる。
【0066】
また、無線タグの移動方向を考慮して介助の要否を判定する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0067】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る介助システムについて、図面を参照して説明する。
本第5実施形態では、停車した列車からホームに降車した被介助者を介助要否判定の対象とする点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
本実施形態では、停車した列車からホームに降車した被介助者M1が介助を必要としているか否かについて判定する。このため、各無線通信装置20の一部は、駅のホームのうち停車した列車から降車した者が通過する降車エリアを所定の監視エリアとして、ホームに停車した列車から被介助者M1とともに降車した無線タグ11からタグIDを読み取るように配置される。具体的には、例えば、8両編成の列車が停車するホームでは、列車を構成する車両ごと又は車両のドアごとに無線通信装置20が配置される。
【0069】
このため、本実施形態においてサーバ30の制御部31にてなされる介助要否確認処理では、被介助者M1が停車した列車からホームに降車することで、無線通信装置20によってタグIDが読み取られた無線タグ11が検出される(S101でYes)。そして、タグIDに関連付けられる介助情報と装置IDとに基づいて、被介助者M1に介助が必要であると判定されると(S105でYes)、所定の介助要請が、装置IDに関連付けられる通知装置40に対して指示される(S107)。上記所定の介助要請には、具体的な介助内容に関する情報や装置IDから特定される降車場所(所定の監視エリアに関する情報)を含めることができる。
【0070】
これにより、停車した列車から降車した被介助者M1の存在を容易に把握でき、その被介助者M1が介助を必要とする場合には、介助者である駅員M2は、被介助者M1の場所を正確に把握した上で、その被介助者M1の介助のために迅速に行動することができる。
【0071】
なお、停車した列車からホームに降車した被介助者を介助要否判定の対象とする本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0072】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る介助システムについて、図面を参照して説明する。
本第6実施形態では、列車から降車した被介助者と列車に降車する被介助者とを区別して介助要否する点が、上記第5実施形態と主に異なる。したがって、第5実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
上述した第5実施形態のように、降車エリア内にて読み取られたタグIDを介助要否判定対象とする構成では、列車に乗車する被介助者M1が降車エリア内に侵入した際に上記所定の介助要請が不要に指示されてしまう場合がある。
【0074】
このため、本実施形態では、各無線通信装置20のうち、降車エリアを所定の監視エリアとする第1の無線通信装置と、同じ駅の改札を所定の監視エリアとする第2の無線通信装置とを、装置IDに応じて区別する。そして、サーバ30の制御部31にてなされる介助要否確認処理では、既に改札で読み取られているタグIDが降車エリアにて読み取られる場合には、被介助者M1が列車に乗車するためにホームにいるとして、そのタグIDを介助要否の判定対象としない。
【0075】
具体的には、
図9に示すフローチャートのように、無線タグ11が検出された際(
図9のS101でYes)、ステップS113の判定処理にて、読み取られたタグIDが改札に配置された無線通信装置20(第2の無線通信装置)にて読み取られているかに基づいて、被介助者M1が降車しているか否かについて判定される。そして、読み取られたタグIDが改札に配置された無線通信装置20にて所定時間以内に読み取られていないことから、被介助者M1が降車していると判定されると(S113でYes)、そのタグIDを判定対象としてステップS103以降の処理を行う。
【0076】
一方、読み取られたタグIDが改札に配置された無線通信装置20(第2の無線通信装置)にて既に読み取られていることから、被介助者M1が乗車するために降車エリア(ホーム)にいると判定されると(S113でNo)、そのタグIDを判定対象とせず、ステップS103以降の処理を行うことなく、本介助要否確認処理を終了する。
【0077】
このように、ホームに設置される第1の無線通信装置にて読み取られたタグIDが改札に設置される第2の無線通信装置にて既に読み取られている場合、すなわち、被介助者M1が列車に乗車する場合にまで介助要請がなされることはない。このため、乗車時と比較して介助が求められやすい降車時の介助を重視しつつ、不要な介助要請が通知されることを抑制することができる。
【0078】
本実施形態の変形例として、ホームに設置される第1の無線通信装置にて読み取られたタグIDが第2の無線通信装置にて読み取られていない場合、すなわち、被介助者M1が列車から降車する場合には、介助要否を判定せずに(介助要否の判定結果にかかわらず)、所定の介助要請を通知装置40に対して指示してもよい。
【0079】
具体的には、
図10に示すフローチャートのように、ステップS113の判定処理にて、被介助者M1が降車していると判定されると(S113でYes)、ステップS103の介助内容確認処理にて具体的な介助内容を特定した後、介助要否を判定せずに(介助要否の判定結果にかかわらず)、その特定された具体的な介助内容に関する情報等を含めた所定の介助要請が、通知装置40に対して指示される(S107)。
【0080】
列車から降車した被介助者M1はホームの状況が分からないため、このような場合には被介助者M1が登録した介助情報を考慮することなく(介助要否の判定結果にかかわらず)、介助者である駅員M2に介助要請を通知することで、被介助者M1の安全を優先することができる。
【0081】
なお、列車から降車した被介助者と列車に降車する被介助者とを区別して介助要否する本実施形態等の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0082】
なお、本発明は上記各実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)サーバ30の制御部31にてなされる介助要否確認処理では、介助不要と判定されるタグIDの状態等によっては、記憶部32のデータベースに登録されている介助情報等にかかわらず、被介助者M1に介助が必要と判定してもよい。具体的には、例えば、介助不要と判定されるタグIDが継続して同じ無線通信装置20により読み取られる場合、すなわち、無線タグ11が一定時間移動していないとみなされる場合に、記憶部32のデータベースに登録されている介助情報等にかかわらず、被介助者M1に介助が必要と判定してもよい。
被介助者M1が介助不要として介助情報を登録している場所であっても、その周囲環境の変化等によっては介助が必要になる場合がある。このため、タグIDが読み取られた無線タグ11が一定時間移動していないとみなされる場合、すなわち、被介助者M1が所定の監視エリア内に一定時間留まっている場合には、被介助者M1が介助を要請していると判定することで、被介助者M1は、介助不要と登録していた状況であってもその場で介助を要請することができ、本システムの利便性を高めることができる。
【0083】
(2)また、無線通信装置20によりタグIDが読み取られた無線タグ11の基準面(例えば、床面)からの高さを検出可能なタグ高さ検出部を無線通信装置20ごとに設けることを前提に、サーバ30の制御部31にてなされる介助要否確認処理では、介助不要と判定されるタグIDを記録した無線タグ11の上記基準面からの高さが所定の高さ(例えば、胸から上、頭上など)以上とみなされる場合に、記憶部32のデータベースに登録されている介助情報等にかかわらず、被介助者M1に介助が必要と判定してもよい。
タグIDが読み取られた無線タグ11の上記基準面からの高さが所定の高さ以上とみなされる場合、すなわち、介助を要する被介助者M1が所定の監視エリア内にて無線タグ11を高く掲げている場合には、被介助者M1が介助を要請していると判定することで、被介助者M1は、介助不要と登録していた状況であってもその場で介助を要請することができ、本システムの利便性を高めることができる。
上記タグ高さ検出部としては、例えば、同じ監視エリア内の無線タグ11を読取対象として基準面からの高さを変えた高位置側と低位置側との2つの無線通信装置20を採用することができる。この構成では、同じ無線タグ11について高位置側の無線通信装置20での受信信号強度(RSSI)が低位置側の無線通信装置20よりも所定値以上大きくなる場合に、その無線タグ11の上記基準面からの高さが上記所定の高さ以上とみなすことができる。また、高位置側の無線通信装置20と低位置側の無線通信装置20との位置関係等によっては、高位置側の無線通信装置20のみ読み取られた場合に、その読み取った無線タグ11の上記基準面からの高さが上記所定の高さ以上とみなしてもよい。
【0084】
(3)通知装置40は、駅員M2が利用する駅務室に配置されるコンピュータとして構成されることに限らず、例えば、駅員M2などの介助者が携帯する携帯端末であってもよい。この場合、携帯端末では、サーバ30から指示された所定の介助要請(被介助者M1が通過しようとする改札の場所やその被介助者M1に必要な介助内容等)を、画面表示や音声案内、LEDの発光状態等を利用して、介助者に対して通知することができる。これにより、介助者は、指示された所定の介助要請を移動しながらでも確認することができる。例えば、被介助者M1が通過しようとする改札入場近傍を撮像装置50により撮像している画像データを順次携帯端末に送信することで、介助者は、被介助者M1の状況をリアルタイムで確認することができる。同様に、被介助者M1が降車した降車エリア近傍を撮像装置50により撮像している画像データを順次携帯端末に送信することで、介助者は、降車した被介助者M1の状況をリアルタイムで確認することができる。
【0085】
(4)無線タグ11は、白杖10に付せられることに限らず、例えば、所定の表示プレートなど、被介助者M1が外出時に利用する所持品に付せられてもよい。また、無線タグ11は、上記所持品の概念に相当し得る盲導犬や介助犬、車いす等に付されてもよいし、盲導犬や介助犬が身に着ける物品等に付されてもよい。
【0086】
(5)本発明に係る介助システム1は、上述したように視覚障害者などの被介助者に関する情報を介助者に通知するためのシステムに採用されることに限らず、例えば、車いすを利用する身体障害者などの被介助者に関する情報を介助者に通知するためのシステムに採用されてもよい。また、本発明に係る介助システム1は、上述したように駅を利用する被介助者に関する情報を介助者となるべき駅員に通知するためのシステムに採用されることに限らず、例えば、公共の施設を利用する被介助者に関する情報を介助者となるべきその施設の管理者等に通知するためのシステムに採用されてもよい。
【0087】
1…介助システム
10…白杖(所持品)
11…無線タグ
20…無線通信装置
30…サーバ
31…制御部(介助要否判定部,指示部,移動方向判定部)
32…記憶部
35…通信部(指示部)
40…通知装置
50…撮像装置
M1…被介助者
M2…駅員(介助者)