(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172264
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】状態監視システム、診断モデル作成装置および状態監視方法
(51)【国際特許分類】
F03D 17/00 20160101AFI20231129BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20231129BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20231129BHJP
【FI】
F03D17/00
G05B23/02 T
G01M99/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083941
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】杉本 巖生
(72)【発明者】
【氏名】東出 大輝
(72)【発明者】
【氏名】石塚 諒一
(72)【発明者】
【氏名】杉本 淳
【テーマコード(参考)】
2G024
3C223
3H178
【Fターム(参考)】
2G024AD02
2G024AD23
2G024BA27
2G024CA13
2G024CA19
2G024DA09
2G024EA11
2G024FA06
3C223AA04
3C223BA03
3C223CC02
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3C223EA04
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3C223FF35
3C223FF42
3C223FF52
3C223GG01
3C223HH02
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3C223HH08
3H178AA03
3H178AA40
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3H178BB56
3H178CC25
3H178DD04X
3H178DD08Z
3H178DD12X
(57)【要約】
【課題】回転機器の異常をより正確に行う。
【解決手段】状態監視システム(100)は、風力発電装置(101)を構成する回転要素の状態を監視するために、回転要素の振動値を検出する振動センサ(50)と、回転要素の出力を計測する電力計(60)と、回転要素が正常に動作する状態において電力計(60)から取得される基準出力に対応する振動値である基準振動値と、回転要素が継続して動作した状態において電力計(60)から取得される経時出力に対応する振動値である経時振動値との乖離度合いに基づいて、回転要素の状態を診断する診断装置(103)と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置を構成する回転要素の状態を監視する状態監視システムであって、
前記回転要素の振動値を検出する検出器と、
前記回転要素の出力を計測する計測器と、
前記回転要素が正常に動作する状態において前記計測器から取得される基準出力に対応する前記振動値である基準振動値と、前記回転要素が継続して動作した状態において前記計測器から取得される経時出力に対応する前記振動値である経時振動値との乖離度合いに基づいて、前記回転要素の状態を診断する診断装置と、を備えていることを特徴とする状態監視システム。
【請求項2】
前記診断装置は、前記回転要素の回転速度と前記出力とが線形の関係とならない範囲の前記基準出力に対する前記基準振動値および前記経時出力に対する前記経時振動値を取得することを特徴とする請求項1に記載の状態監視システム。
【請求項3】
前記診断装置は、前記出力が所定値以下となる出力範囲の前記基準出力に対する前記基準振動値および前記経時出力に対する前記経時振動値を取得することを特徴とする請求項1に記載の状態監視システム。
【請求項4】
前記乖離度合は、前記経時振動値と前記基準振動値との比、無次元化された前記経時振動値と無次元化された前記基準振動値との比、または前記経時振動値と前記基準振動値との差であり、
前記診断装置は、前記乖離度合が所定の閾値以上であるときに、前記回転要素の状態が正常ではないと診断することを特徴とする請求項3に記載の状態監視システム。
【請求項5】
前記診断装置は、
予め準備された、基準振動値および当該基準振動値に対応する前記基準出力のみを正常値として含む正常値群のうち、入力データとk番目(kは任意の自然数)に近い前記正常値を基準値とし、当該入力データと当該基準値との距離を出力するように学習された診断モデルに、前記検出器から取得される前記経時振動値および当該経時振動値に対応する前記経時出力を入力し、前記診断モデルから出力される前記距離を前記乖離度合として出力する出力部と、
前記乖離度合が所定の閾値以上であるときに、前記回転要素の状態が正常ではないと診断する診断部と、を備えていることを特徴とする請求項3に記載の状態監視システム。
【請求項6】
請求項5に記載の状態監視システムにおける前記診断装置に用いられる前記診断モデルを作成する診断モデル作成装置であって、
前記基準振動値および当該基準振動値に対応する前記基準出力を前記入力データとし、前記距離を出力する前記診断モデルを作成するモデル作成部と、
前記正常値群における所定の分位点を前記閾値と設定する設定部と、を備えていることを特徴とする診断モデル作成装置。
【請求項7】
前記診断装置は、
入力データを圧縮することにより特徴を抽出し、当該特徴を出力データとして復元する診断モデルであって、正常な前記入力データに基づいて当該入力データおよび前記出力データの差分が最小となるように機械学習された診断モデルに、前記検出器から取得された前記経時振動値および当該経時振動値に対応する前記経時出力を前記入力データとして入力し、当該入力データと、前記診断モデルから出力される前記出力データとの差分を前記乖離度合として出力する出力部と、
当該乖離度合が所定の閾値以上であるときに、前記回転要素の状態が正常ではないと診断することを特徴とする請求項3に記載の状態監視システム。
【請求項8】
請求項7に記載の状態監視システムにおける前記診断装置に用いられる前記診断モデルを作成する診断モデル作成装置であって、
正常な前記経時振動値および当該経時振動値に対応する前記経時出力を前記入力データとし、当該入力データおよび前記出力データの差分が最小となるように、前記入力データを圧縮するための第1重みと、前記特徴を前記出力データに復元するための第2重みとを調整する前記診断モデルを作成するモデル作成部と、
最小となる前記差分に基づいて前記閾値を設定する設定部と、を備えていることを特徴とする診断モデル作成装置。
【請求項9】
前記診断装置は、
前記基準振動値および当該基準振動値に対応する前記基準出力を入力データとして圧縮することにより特徴を抽出し、当該特徴を出力データとして復元するとともに、当該入力データおよび前記出力データの差分と前記特徴との第1分布を形成し、前記経時振動値および当該経時振動値に対応する前記経時出力を入力したときの前記差分と前記特徴との第2分布と、前記第1分布との距離を出力するように学習された診断モデルに、前記検出器から取得される前記経時振動値および当該経時振動値に対応する前記経時出力を入力して得られる前記距離を前記乖離度合として出力する出力部と、
当該乖離度合が所定の閾値以上であるときに、前記回転要素の状態が正常ではないと診断する診断部と、を備えていることを特徴とする請求項3に記載の状態監視システム。
【請求項10】
請求項9に記載の状態監視システムにおける前記診断装置に用いられる前記診断モデルを作成する診断モデル作成装置であって、
前記基準振動値および当該基準振動値に対応する前記基準出力を前記入力データとし、前記距離を出力する前記診断モデルを作成するモデル作成部と、
前記第1分布に基づいて前記閾値を設定する設定部と、を備えていることを特徴とする診断モデル作成装置。
【請求項11】
回転要素と、前記回転要素の振動値を検出する検出器と、前記回転要素の出力を計測する計測器とを備えた風力発電装置の前記回転要素の状態を監視する状態監視方法であって、
前記回転要素が正常に動作する状態において前記計測器から取得される基準出力に対応する前記振動値である基準振動値と、前記回転要素が継続して動作した状態において前記計測器から取得される経時出力に対応する前記振動値である経時振動値との乖離度合いに基づいて、前記回転要素の状態を診断することを特徴とする状態監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機器の状態を監視する状態監視システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置における回転機器などの回転要素に異常が生じたか否かを、回転要素の振動値に基づいて判定することが行われていた。
【0003】
例えば、特許文献1には、回転機器の正常時の回転数および振動値の関係を二次以上の高次関数などによって近似した式を用いて任意の回転数における振動値を基準回転数の振動値に補正し、この補正値によって異常を判定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本願の発明者らの知見により、特許文献1に開示された、回転数と振動値との関係に基づいて回転機器の異常発生を判定する方法では、その判定を適正に行うことができないことがわかった。特に、風力発電装置の回転要素についての振動値は、回転要素の損傷を判断する上で重要な情報となるので、より正確さが求められる。
【0006】
本発明の一態様は、回転機器の異常をより正確に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る状態監視システムは、風力発電装置を構成する回転要素の状態を監視する状態監視システムであって、前記回転要素の振動値を検出する検出器と、前記回転要素の出力を計測する計測器と、前記回転要素が正常に動作する状態において前記計測器から取得される基準出力に対応する前記振動値である基準振動値と、前記回転要素が継続して動作した状態において前記計測器から取得される経時出力に対応する前記振動値である経時振動値との乖離度合いに基づいて、前記回転要素の状態を診断する診断装置と、を備えている。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る状態監視方法は、回転要素と、前記回転要素の振動値を検出する検出器と、前記回転要素の出力を計測する計測器とを備えた風力発電装置の前記回転要素の状態を監視する状態監視方法であって、前記回転要素が正常に動作する状態において前記計測器から取得される基準出力に対応する前記振動値である基準振動値と、前記回転要素が継続して動作した状態において前記計測器から取得される経時出力に対応する前記振動値である経時振動値との乖離度合いに基づいて、前記回転要素の状態を診断する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、回転機器の異常をより正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1~4に係る状態監視システムが監視の対象とする風力発電装置の構成を示す部分断面図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る状態監視システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】上記風力発電装置の出力に対する上記風力発電装置の回転要素の振動値の分布を示すグラフである。
【
図4】上記回転要素の回転速度に対する出力を示すグラフである。
【
図5】時間に対する上記振動値の変化を全ての出力についてプロットして示すグラフである。
【
図6】時間に対する上記振動値の変化を所定の低出力値以下で得られた出力についてプロットして示すグラフである。
【
図7】本発明の実施形態2に係る状態監視システムの構成を示すブロック図である。
【
図8】
図7に示す状態監視システムで用いられる診断モデルを模式化して示す図である。
【
図9】本発明の実施形態3に係る状態監視システムの構成を示すブロック図である。
【
図10】
図9の状態監視システムにおける診断モデルとして用いられるオートエンコーダを示す図である。
【
図11】実施形態3の変形例に係る状態監視システムにおいて生じた再構成誤差の経時変化を示す図である。
【
図12】
図11に示す再構成誤差を日毎に平均した結果を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態4に係る状態監視システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0012】
〔風力発電装置〕
各実施形態の説明に先立って、各実施形態の状態監視システムが監視の対象とする風力発電装置について説明する。
図1は、風力発電装置101を示す部分断面図である。
図3は、風力発電装置101の出力に対する風力発電装置101の回転要素の振動値の分布を示すグラフである。
図4は、回転要素の回転速度に対する出力を示すグラフである。
【0013】
図1に示すように、風力発電装置101は、ナセル10と、タワー20と、ハブ30と、複数のブレード40とを備えている。
図1は、上方から見た風力発電装置101の構成を示している。
【0014】
ナセル10は、主軸受11、主軸12、増速機13、動力伝達軸14、発電機15などの回転要素や、その他の機器を収容する筐体である。ナセル10は、タワー20上に回転可能に設けられている。タワー20は、地盤上に設置されている。また、風力発電装置101が洋上に設置される場合、タワー20は、海底の地盤上に形成された基礎、または海上に浮遊する浮遊体に設置されている。
【0015】
ハブ30は、ブレード40を回転可能にナセル10に支持する。また、ハブ30は、ブレードのピッチ角度を変更するピッチ可変機構を有している。ブレード40は、風を受けてハブ30を回転させる羽根であり、風力を回転トルクに変換する。ブレード40は、所定の間隔をおいてハブ30に配置されている。
【0016】
主軸受11は、主軸12を回転可能に支持する。主軸受11は、転がり軸受によって構成されている。
【0017】
主軸12は、ハブ30に直結された回転軸である。主軸12は、増速機13の入力軸に接続されており、ブレード40により発生する回転トルクを増速機13の入力軸へ伝達する。
【0018】
増速機13は、主軸12の回転速度を増速して出力する。増速機13は、例えば、遊星ギヤ、中間軸、高速軸などを含む歯車増速機構によって構成される。なお、図示はしないが、増速機13の内部には、複数の軸を回転可能に支持する複数の軸受が回転要素として設けられている。
【0019】
動力伝達軸14は、増速機13の出力軸に接続されるとともに、発電機15の入力軸に接続されている。動力伝達軸14は、増速機13の出力回転を発電機15の入力軸に伝達する回転軸である。
【0020】
発電機15は、動力伝達軸14によって伝達される回転エネルギーを電気エネルギーに変換する。発電機15は、例えば、誘導発電機によって構成される。なお、発電機15の内にも、ロータを回転可能に支持する軸受が回転要素として設けられている。
【0021】
ナセル10には、その他の機器として制御装置(図示せず)が収納されている。制御装置は、上述したピッチ可変機構を制御するピッチ制御ユニット、ナセルの方位を制御するヨー制御ユニット、電力を制御する電力制御ユニットなどの各種の制御ユニットを統合して制御する。
【0022】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1について、詳細に説明する。
【0023】
図2は、実施形態1に係る状態監視システム100の構成を示すブロック図である。
【0024】
図2に示す状態監視システム100は、風力発電装置101を構成する回転要素の状態を監視するシステムである。状態監視システム100は、振動センサ50(検出器)と、電力計60(計測器)と、データロギング装置102と、診断装置103と、サーバ装置105とを備えている。
【0025】
振動センサ50は、風力発電装置101に少なくとも1つ設けられている。振動センサ50は、風力発電装置101が備える回転要素である、主軸受11、主軸12、増速機13、動力伝達軸14、発電機15の振動値を検出する。このため、振動センサ50は、上記回転要素の各所に配置される。振動センサ50は、例えば、主軸受11における主軸12付近の位置、増速機13における主軸12付近の位置、増速機13の上面、増速機13における動力伝達軸14付近の位置、発電機15における動力伝達軸14付近の位置に配置されている。
【0026】
電力計60は、風力発電装置101に設けられている。電力計60は、上記回転要素の出力、すなわち発電機15の出力電力を計測する。主軸受11、主軸12、増速機13および動力伝達軸14の回転出力(回転エネルギー)は、発電機15に伝達され、最終的には発電機15により電力(電気エネルギー)に変換される。換言すれば、電力計60は回転要素の出力(発電出力または出力電力)を計測する計測器である。
【0027】
データロギング装置102は、電力計60から取得される出力と、振動センサ50から取得される振動値とを時系列で記録し、かつ蓄積する装置である。データロギング装置102は、出力と振動値とを所定のサンプリング周波数で高速サンプリングする。
【0028】
データロギング装置102には、基準出力および経時出力が出力として蓄積される。基準出力は、回転要素が正常に動作する状態において電力計60から取得される出力である。経時出力は、回転要素が継続して動作した状態において電力計60から取得される出力である。データロギング装置102は、風力発電装置101に設けられていてもよいし、風力発電装置101と離れた場所に設置されていてもよい。
【0029】
データロギング装置102には、基準振動値および経時振動値が振動値として蓄積される。基準振動値は、基準出力が得られたときに得られる振動値であり、基準出力に対応する出力である。経時振動値は、経時出力が得られたときに得られる振動値であり、経時出力に対応する出力である。
【0030】
診断装置103は、データロギング装置102より取得した、基準振動値と経時振動値との乖離度合いに基づいて、風力発電装置101における回転要素の状態を診断する装置である。診断装置103は、診断を行うために、データ処理部1と、記憶部2と、診断部4と、通信部5とを有している。
【0031】
データ処理部1は、データロギング装置102から取得した経時振動値に所定の処理を施すことにより、出力が所定値以下となる出力範囲の基準出力に対する基準振動値および経時出力に対する経時振動値を取得するように、出力の上限値を設定する。このように出力の上限値を設定するのは、風力発電で利用する風力が、夏季よりも冬季に安定することから、風力発電装置101が比較的低出力で運転される夏季などの期間における振動値に特化して振動値の異常を監視するためである。
【0032】
また、データ処理部1は、データロギング装置102から取得した経時振動値に所定の処理を施すことにより、診断部4により、回転要素の状態が正常ではないと診断するための基準として、乖離度合の閾値を設定する。
【0033】
データ処理部1は、上限値および閾値を設定するために、以下の(1)~(9)の処理を行う。データ処理部1は、設定した閾値および上限値を記憶部2に記憶させる。
【0034】
(1)データロギング装置102から取得した経時振動値に基づいて振動加速度の時系列波形を生成する。
【0035】
(2)ハイパスフィルタにより、時系列波形における基本の回転周波数成分を除く高周波数成分の波形を抽出する。
【0036】
(3)抽出された波形に絶対値処理を行う。
【0037】
(4)絶対値処理された波形のピーク間隔を結ぶことにより包絡線(例えば後述する
図5に示すような包絡線)を作成する。
【0038】
(5)包絡線の周波数帯域別の実効値を計算する。
【0039】
振動センサ50が設置される部位の回転要素(軸、歯車、軸受)に対応した周波数領域でフィルタリングして実効値を得ることにより、各回転要素の特徴を把握することが可能になる。なお、実効値は、振動加速度の実効値以外では振動速度の実効値であってもよい。
【0040】
振動センサ50の取付部位に該当する軸受のみ、あるいは歯車のみ、さらにはそれらすべての異常を含む周波数帯域での実効値を求める。
【0041】
(6)横軸を出力とし、縦軸を実効値とするグラフを作成する。
【0042】
1つの振動センサ50においては少なくとも2つ以上(軸受のみあるいは歯車のみ、さらにはそれらすべてを含む周波数帯域)の
図3に示すようなグラフを作成する。
【0043】
(7)上記のグラフより実効値のピークと谷とを有する
図3における包絡線Eを作成する。
【0044】
(8)包絡線Eに基づいて閾値を設定する。
【0045】
(9)上記のグラフの特性に基づいて出力の上限値を設定する。
【0046】
閾値について、例えば、
図3に示すように、範囲R1で正常な振動値が得られ、範囲R1の最大値を最小値とし、当該最小値の2倍の値を最大値とする範囲R2で異常な振動値が得られる場合があるとする。また、この場合、データ処理部1は、次式のように、無次元化された経時振動値V1と無次元化された基準振動値V2との比の値として「2」を注意と判定するための閾値として設定する。また、データ処理部1は、次式のように、当該比の値として「4」を危険と判定するための閾値として設定する。
【0047】
V1/V2≧2…注意
V1/V2≧4…危険
また、閾値については、上記の比で表す閾値に限らず、上記の比の関係を経時振動値V1と基準振動値V2との差(差の絶対値)に変形して表してもよい。具体的には、次式のように、当該差が基準振動値(基準振動値の1倍)以上であれば注意と判定し、当該差が基準振動値(基準振動値の3倍)以上であれば危険と判定する。データ処理部1は、基準振動値の倍数「1」,「3」をそれぞれ注意、危険と判定するための閾値として設定する。
【0048】
V1-V2≧V2…注意
V1-V2≧3×V2…危険
なお、閾値については、検知漏れおよび誤検知のいずれをどの程度許容するかという運用方針や、正常データからの乖離度合がどの程度大きくなった場合に、修理などの対処が必要な損傷が生じていると判断できるかという情報などを考慮して最終的に決定される。これは、以降の各実施形態における閾値についても同様である。
【0049】
また、データ処理部1は、バンドパスフィルタ等を適用して、周波数帯域別の振動値を取得し、異常を反映しやすくするように振動値を変換する。データ処理部1は、例えば、数kHz帯の振動を強調するように振動値を変換してもよい。数kHz帯の周波数は、増速機13の軸受に異常が生じた場合の固有振動周波数に相当する。これにより、増速機13の軸受に異常が生じた場合の振動値を観測しやすくすることができる。
【0050】
また、データ処理部1は、上限値を用いて、高出力側にあるピーク付近の振動値など不要な振動値を除き、低出力側の振動値を抽出する。換言すれば、データ処理部1は、出力が所定値(上限値)以下となる出力範囲の基準出力に対する基準振動値および経時出力に対する経時振動値を取得する。
【0051】
また、データ処理部1は、回転要素の回転速度と出力とが線形の関係とならない範囲の基準出力に対する基準振動値および経時出力に対する経時振動値を取得してもよい。
【0052】
一般に、風力発電装置101では回転速度に応じて出力調整を行う。具体的には、ある風速以上になれば、ブレード40の角度(ピッチ角度)を変えて、ある一定の回転速度で回転させる。このため、
図4に示すように、風力発電装置101においては、出力制御が行われることによって、同じ回転速度(例えば0.69および1.0)でも出力が変化する。
【0053】
このように、回転速度と出力とは、回転速度の全範囲で線形な関係にはない。したがって、診断装置103は、回転速度と振動値との線形な関係を利用して診断を行う一般の診断装置と異なり、データ処理部1が取得した上記の経時振動値に基づいて診断を行う。
【0054】
また、データ処理部1は、回転要素の状態の診断時に、経時出力と同じ値の基準出力に対応する基準振動値を取得するために、基準出力と基準振動値とを対応付けたテーブルを作成する。テーブルは、経時出力が入力されると、当該経時出力と同じ値の基準出力に対応する基準振動値が出力される。
【0055】
記憶部2は、データ処理部1によって設定された閾値および上限値を記憶する。また、記憶部2は、データ処理部1によって作成されたテーブルを記憶する。
【0056】
出力部3は、データ処理部1によって抽出された低出力側の振動値を用いて、乖離度合を計算する。具体的には、出力部3は、経時振動値と基準振動値との比、無次元化された経時振動値と無次元化された基準振動値との比、または経時振動値と基準振動値との差を乖離度合として出力する。
【0057】
診断部4は、出力部3によって計算された乖離度合が記憶部2に記憶されている閾値以上であるときに、回転要素の状態が正常ではないと診断する。また、診断部4は、乖離度合が閾値未満であるときに、回転要素の状態が正常であると診断する。
【0058】
通信部5は、データロギング装置102およびサーバ装置105と通信を行う。具体的には、通信部5は、データロギング装置102から受信した出力および振動値をデータ処理部1に出力し、診断部4による診断結果をサーバ装置105に送信する。
【0059】
サーバ装置105は、診断部4の診断結果を蓄積し、必要に応じて診断結果を解析する。解析結果に基づいて、回転要素のメンテナンス計画の立案などが行われる。
【0060】
上記のように構成される状態監視システム100による回転要素の状態の診断について説明する。
図5は、時間に対する振動値の変化を全ての出力についてプロットして示すグラフである。
図6は、時間に対する振動値の変化を所定の低出力値以下で得られた出力についてプロットして示すグラフである。
【0061】
まず、診断装置103のデータ処理部1は、風力発電装置101の運転状態が良好である期間に、風力発電装置101の機械振動特性として、データロギング装置102から基準出力および基準振動値を取得する。データ処理部1は、取得した基準出力および基準振動値に基づいて、閾値および上限値を設定するとともに、テーブルを作成する。
【0062】
上記の期間は、風力発電装置101の回転要素に故障が生じていない期間であり、例えば、風力発電装置101が設置されてから所定の期間(例えば1~3カ月)である。上記の期間は、状況によっては、回転要素が故障初期状態である期間を含めてもよい。
【0063】
回転要素の状態を監視する運用段階において、データ処理部1は、データロギング装置102から取得した経時出力のうち、上限値以下の経時出力を抽出する。上限値による振動値の制限を行わない場合、
図5に示すように、全ての出力範囲の振動値に高出力側の振動値などの不要な振動値が含まれている。これに対し、例えば、上限値を定格出力の37.5%として上限値による振動値の制限を行う場合、
図6に示すように、期間T1では、上記の不要な振動値が除かれ、期間T2で回転要素の損傷が進展したと考えられる振動値の増大を捉えることができる。このように、期間T1,T2では、出力に対して振動ピークが複数箇所で発生する回転要素、例えば、風力発電装置101の駆動系において、各々の振動ピークを上回る振動値の異常を捉えるために、それぞれの振動ピークを区別できる出力値の範囲で振動値がプロットされる。
【0064】
データ処理部1は、記憶部2のテーブルを参照して、抽出した上限値以下の経時出力と同じ値の基準出力に対応する基準振動値を取得し、当該基準振動値を、抽出した経時出力に対応する経時振動値とともに出力部3に与える。
【0065】
出力部3は、データ処理部1からの経時振動値および基準振動値に基づいて、乖離度合を計算する。出力部3は、計算した乖離度合を診断部4に与える。
【0066】
診断部4は、出力部3からの乖離度合を記憶部2の閾値と比較する。診断部4は、乖離度合が閾値未満であるときに、回転要素の状態が正常であると診断する。また、診断部4は、乖離度合が閾値以上であるときに、回転要素の状態が正常ではないと診断する。例えば、出力部3により、乖離度合が無次元化された経時振動値と無次元化された基準振動値との比で計算された場合、診断部4は、当該比が上述した閾値「2」以上であれば、回転要素が注意すべき状態にあると診断する。また、上記の場合、診断部4は、上記の比が上述した閾値「2」以上であれば、回転要素が危険な状態にあると診断する。
【0067】
通信部5は、診断部4による診断結果をサーバ装置105に送信する。サーバ装置105は、受診した診断結果を蓄積していき、蓄積された診断結果について必要に応じて解析を行う。また、サーバ装置105は、回転要素の状態に異常が生じているという診断結果が得られた場合には、風力発電装置101を管理する管理センターに報知する。
【0068】
以上のように、本実施形態に係る状態監視システム100は、振動センサ50と、電力計60と、診断装置103とを備えている。
【0069】
また、状態監視システム100を用いる状態監視方法は、振動センサ50と、電力計60とを備えた風力発電装置101の回転要素の状態を監視する状態監視方法である。当該状態監視方法は、電力計60から取得される基準出力に対応する振動値である基準振動値と、電力計60から取得される経時出力に対応する振動値である経時振動値との乖離度合いに基づいて、回転要素の状態を診断する。
【0070】
上記の構成では、乖離度合に応じて回転要素の状態に異常が生じているか否かを診断することができる。また、出力は、回転速度と比べて振動値のばらつきが少なく、曲線に分布しやすい。具体的には、
図4に示すように、回転速度では、定格回転速度の0.69前後の回転速度(例えば、定格回転速度の0.67~0.71)の領域において、同一の回転速度で出力が変化する。これに対して、出力では、0以上であれば回転速度が一定でも変化する。それゆえ、振動値の監視については、出力に対して一意的に評価することができる。これにより、振動値を正しく評価することができる。また、後述する実施形態2~4のように、機械学習を利用して診断装置を構成する場合、診断の精度を高めることができる。
【0071】
診断装置103は、回転要素の回転速度と出力とが線形の関係とならない範囲の基準出力に対する基準振動値および経時出力に対する経時振動値を取得する。これにより、特に、出力に対して回転速度が一定となる範囲での振動値の分布をより正確に曲線で表すことができる。これにより、振動値の評価をより正確に行うことができる。
【0072】
診断装置103は、出力が所定値以下となる出力範囲の基準出力に対する基準振動値および経時出力に対する経時振動値を取得する。これにより、風力発電装置101が比較的低出力で運転される夏季などの期間における振動値に特化して振動値の異常を監視することができる。風力発電で利用する風力は、夏季よりも冬季に安定する。したがって、冬季に重点的に発電し、夏季に回転要素のメンテナンスをすることができる。
【0073】
出力部3は、乖離度合を、前記経時振動値と前記基準振動値との比、無次元化された前記経時振動値と無次元化された前記基準振動値との比、または前記経時振動値と前記基準振動値との差として計算する。また、診断部4は、乖離度合が所定の閾値以上であるときに、回転要素の状態が正常ではないと診断する。これにより、閾値を回転要素の状態が正常ではない程度、例えば、異常とはいえないが注意すべき状態、異常であって危険な状態など、に応じて適宜設定することにより、回転要素の状態を適正に診断することができる。
【0074】
なお、状態監視システム100では、出力に対する振動値に基づいて回転要素の状態を診断するが、回転要素の回転速度に対する振動値に基づいた診断と組み合わせて総合的に診断してもよい。例えば、回転速度と出力との関係によっては、回転速度と振動値との分布に基づくと異常であると判定できるデータが、出力と振動値との分布に基づくと正常であると誤判定されてしまう場合がある。したがって、両方の判定結果のいずれか一方で異常と判定されたデータを、最終的に異常と判定することで、異常の検知漏れを防ぐことができる。
【0075】
また、出力と回転速度との関係に基づいて風力発電装置101の稼働状態を表す変数pを主成分分析(PCA:Principal Component Analysis)によって作成し、変数pと振動値との関係を用いて回転要素の状態の診断(異常検知)を行ってもよい。この診断方法では、まず、出力値および回転速度の2変数に対して、PCAを実行し、第1主成分を抽出して変数pとする。これにより、出力値および回転速度の双方に反映されている風力発電装置101の状態を、変数pによって漏れなく表すことができる。次に、通常の機械学習による異常検知の手法と同様にして、正常データによる変数pと振動値との分布を学習し、学習内容に基づいて未知データの異常度を算出する。
【0076】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図7は、実施形態2に係る状態監視システム100Aの構成を示すブロック図である。
図8は、状態監視システム100Aで用いられる診断モデルM1を模式化して示す図である。
【0077】
図7に示す状態監視システム100Aは、風力発電装置101を構成する回転要素の状態を監視するシステムである。状態監視システム100Aは、上述した実施形態1の状態監視システム100と同じく、振動センサ50と、電力計60と、データロギング装置102と、サーバ装置105とを備えている。また、状態監視システム100Aは、診断装置103Aと、診断モデル作成装置104Aとを備えている。
【0078】
診断モデル作成装置104Aは、状態監視システム100Aにおける診断装置103Aに用いられる診断モデルM1を作成する装置である。診断モデルM1は、予め準備された基準振動値および当該基準振動値に対応する基準出力のみを正常値として含む正常値群のうち、入力データとk番目(kは任意の自然数)に近い正常値を基準値とし、当該入力データと当該基準値との距離を出力する学習モデルである。診断モデルM1は、いわゆるKNN(K-Nearest Neighbor)に基づいている。
【0079】
診断モデル作成装置104Aは、データ処理部6と、設定部7Aと、モデル作成部8Aと、記憶部9Aとを有している。
【0080】
データ処理部6は、状態監視システム100が有するデータ処理部1と同じく、データロギング装置102から取得した振動値から低出力側の振動値を抽出する。また、データ処理部6は、データ処理部1と同じく、バンドパスフィルタ等を適用して、周波数帯域別の振動値を取得し、異常を反映しやすくするように振動値を変換する。
【0081】
設定部7Aは、上述した正常値群における所定の分位点を閾値と設定する。設定部7Aは、設定した閾値を記憶部9Aに記憶させる。
【0082】
モデル作成部8Aは、診断モデルM1を生成する。具体的には、モデル作成部8Aは、正常値である基準振動値および当該基準振動値に対応する基準出力を取得して正常値群を形成する。モデル作成部8Aは、経時振動値および当該経時振動値に対応する経時出力を入力データとして入力したときの当該入力データとk番目(kは任意の自然数)に近い正常値を基準値とし、入力データと基準値との距離を算出するように診断モデルM1を作成する。
【0083】
診断装置103Aは、データロギング装置102より取得した、基準振動値と経時振動値との乖離度合いに基づいて、風力発電装置101における回転要素の状態を診断する装置である。診断装置103Aは、診断を行うために、上述した診断装置103が有する、データ処理部1と、通信部5とを有するとともに、記憶部2Aと、出力部3Aと、診断部4Aとを有している。なお、診断装置103Aにおけるデータ処理部1は、診断装置103におけるデータ処理部1と異なり、閾値を設定しない。
【0084】
記憶部2Aは、設定部7Aによって設定される閾値と、診断モデル作成装置104Aによって学習される診断モデルM1とを記憶する。
【0085】
出力部3Aは、記憶部2Aの診断モデルM1に、経時振動値および当該経時振動値に対応する経時出力を入力データとして入力し、診断モデルM1から出力される基準値との距離を乖離度合として出力する。
【0086】
診断部4Aは、出力部3Aによって出力された乖離度合が所定の閾値以上であるときに、回転要素の状態が正常ではないと診断する。また、診断部4Aは、乖離度合が閾値未満であるときに、回転要素の状態が正常であると診断する。
【0087】
上記のように構成される状態監視システム100Aによる回転要素の状態の診断について説明する。
【0088】
まず、診断モデル作成装置104Aにおいて、上述した風力発電装置101の運転状態が良好である期間に診断モデルM1の作成および閾値の設定を行う。
【0089】
設定部7Aは、正常値群における所定の分位点を閾値と設定する。設定部7Aは、公知の手法を用いて分位点を設定すればよい。設定部7Aは、例えば、正常値の95%または99%が分布する範囲で分位点を設定する。
【0090】
また、モデル作成部8Aは、データロギング装置102からデータ処理部6を介して複数の基準出力および基準振動値の対を正常値として取得して、これらの対を入力データとし、正常値により正常値群を形成する。
図8に示すように、モデル作成部8Aは、診断モデルM1の作成に際して、仮の経時振動値および当該経時振動値に対応する経時出力を診断の対象となる入力データDとする。モデル作成部8Aは、正常値群のうち、当該入力データDとk番目に近い正常値を基準値Vrとし、当該入力データと当該基準値Vrとの距離Lを出力する診断モデルM1を作成する。作成された診断モデルM1は、診断装置103Aにダウンロードされて記憶部2Aに記憶されることにより、診断装置103Aに実装される。
【0091】
図8において、正常値群に近い位置にある入力データDを「D1」で表し、正常値群から遠い位置にある入力データDを「D2」で表している。また、入力データD1に対する基準値Vrを「Vr1」で表し、入力データD2に対する基準値Vrを「Vr2」で表している。また、入力データD1に対する距離Lを「L1」で表し、入力データD2に対する距離Lを「L2」で表している。また、
図8では、k=5の場合を示している。
【0092】
回転要素の状態を監視する運用段階において、データ処理部1Aは、データロギング装置102から取得した経時出力のうち、上限値以下の経時出力を抽出し、当該経時出力とともに当該経時出力に対応する経時振動値を出力部3Aに与える。
【0093】
出力部3Aは、記憶部2Aの診断モデルM1に、入力データとして上記の経時出力および経時振動値を入力する。診断モデルM1は、正常値群において当該入力データとk番目に近い正常値を基準値とし、当該基準値と上記の入力データとの距離を出力する。出力部3Aは、当該距離を乖離度合として出力する。
【0094】
図8に示すように、kが5に設定されている場合、正常値群に近い位置にある入力データD1が入力されると、診断モデルM1は、正常値群において入力データD1と5番目に近い正常値を基準値Vr1とし、基準値Vr1と入力データD1との距離L1を出力する。一方、正常値群から遠い位置にある入力データD2が入力されると、診断モデルM1は、正常値群において入力データD2と5番目に近い正常値を基準値Vr2とし、基準値Vr2と入力データD2との距離L2を出力する。
【0095】
診断部4Aは、出力部3Aからの乖離度合を記憶部2Aの閾値と比較する。診断部4Aは、乖離度合が閾値未満であるときに、回転要素の状態が正常であると診断する。また、診断部4Aは、乖離度合が閾値以上であるときに、回転要素の状態が正常ではないと診断する。上記の例について、診断部4Aは、距離L1が閾値未満であると判定すると、入力データD1を正常データであると診断し、距離L2が閾値以上であると判定すると、入力データD2を異常データであると診断する。
【0096】
以上のように、本実施形態に係る状態監視システム100Aは、振動センサ50と、電力計60と、診断装置103Aとを備えている。
【0097】
上記の構成によれば、簡素なアルゴリズムによって回転要素の状態を診断することができる。
【0098】
また、状態監視システム100Aは、診断モデル作成装置104Aを備えている。これにより、正常な入力データに基づいて正常値群が予め準備される。したがって、正常値群に基づいて簡素な診断モデルを作成することができる。
【0099】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1および2にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図9は、実施形態3に係る状態監視システム100Bの構成を示すブロック図である。
図10は、状態監視システム100Bにおける診断モデルとして用いられるオートエンコーダを示す図である。
【0100】
図9に示す状態監視システム100Bは、風力発電装置101を構成する回転要素の状態を監視するシステムである。状態監視システム100Bは、上述した実施形態1の状態監視システム100と同じく、振動センサ50と、電力計60と、データロギング装置102と、サーバ装置105とを備えている。また、状態監視システム100Bは、診断装置103Bと、診断モデル作成装置104Bとを備えている。
【0101】
診断モデル作成装置104Bは、状態監視システム100Bにおける診断装置103Bに用いられる診断モデルM2を作成する装置である。診断モデルM2は、入力データを圧縮することにより特徴を抽出し、当該特徴を出力データとして復元する学習モデルである。診断モデルM2は、
図10に示すような、いわゆるオートエンコーダによって構成されている。オートエンコーダは、エンコーダ(入力層)により、入力データの次元を削減して圧縮された特徴である潜在変数に変換し、デコーダ(出力層)により、当該潜在変数を入力データに復元(再構築)して出力する。
【0102】
診断モデル作成装置104Bは、データ処理部6と、設定部7Bと、モデル作成部8Bと、記憶部9Bとを有している。
【0103】
モデル作成部8Bは、診断モデルM2を作成する。具体的には、モデル作成部8Bは、正常な入力データに基づいて当該入力データおよび出力データの差分(再構成誤差)が最小となるように、エンコーダの重みおよびデコーダの重みが調整された診断モデルM2を作成する。正常な入力データとしては、基準振動値および当該基準振動値に対応する基準出力が用いられる。
【0104】
設定部7Bは、モデル作成部8Bから取得した、最小となる上記の差分に基づいて前記閾値を設定する。設定部7Bは、設定した閾値を記憶部9Bに記憶させる。
【0105】
診断装置103Bは、データロギング装置102より取得した、基準振動値と経時振動値との乖離度合いに基づいて、風力発電装置101における回転要素の状態を診断する装置である。診断装置103Bは、診断を行うために、上述した診断装置103Aが有する、データ処理部1と、通信部5とを有するとともに、記憶部2Bと、出力部3Bと、診断部4Bとを有している。
【0106】
記憶部2Bは、診断モデル作成装置104Bによって設定された閾値を記憶する。また、記憶部2Bは、診断モデル作成装置104Bによって作成された診断モデルM2を記憶する。
【0107】
出力部3Bは、記憶部2Bの診断モデルM2に、経時振動値および当該経時振動値に対応する経時出力を入力データとして入力し、当該入力データと、診断モデルM2から出力される出力データとの差分を乖離度合として出力する。
【0108】
診断部4Bは、出力部3Bから出力された乖離度合が所定の閾値以上であるときに、回転要素の状態が正常ではないと診断する。また、診断部4Bは、乖離度合が閾値未満であるときに、回転要素の状態が正常であると診断する。
【0109】
上記のように構成される状態監視システム100Bによる回転要素の状態の診断について説明する。
【0110】
まず、診断モデル作成装置104Bにおいて、上述した風力発電装置101の運転状態が良好である期間に診断モデルM2の作成および閾値の設定を行う。
【0111】
モデル作成部8Bは、入力データおよび出力データの差分が最小となるように、入力データを圧縮するための第1重みと、上記の特徴を出力データに復元するための第2重みとが調整された診断モデルM2を作成する。入力データとしては、正常な基準振動値および当該基準振動値に対応する基準出力を用いる。第1重みはエンコーダの重みであり、第2重みはデコーダの重みである。
【0112】
また、設定部7Bは、最小となる上記の差分に基づいて閾値を設定する。設定部7Bは、例えば、上記の差分よりやや大きい値(当該差分にマージンを加算した値)を閾値として設定する。その他、設定部7Bは、診断モデルM2の作成時に用いられる入力データとして用いられる正常データにおける所定の分位点(95%、99%など)を閾値と設定してもよい。
【0113】
一方、診断装置103Bにおいて、出力部3Bは、記憶部2Bの診断モデルM2に、データロギング装置102からデータ処理部1を介して取得された、経時振動値および当該経時振動値に対応する経時出力を入力データとして入力する。出力部3Bは、当該入力データと、診断モデルM2から出力された出力データとの差分を取得して乖離度合として出力する。
【0114】
診断部4Bは、出力部3Bからの乖離度合を記憶部2Bの閾値と比較する。診断部4Bは、乖離度合が閾値未満であるときに、回転要素の状態が正常であると診断する。また、診断部4Bは、乖離度合が閾値以上であるときに、回転要素の状態が正常ではないと診断する。
【0115】
正常な入力データのみで学習された診断モデルM2は、診断時に正常な入力データが入力されることで圧縮した特徴を復元すると、正しく復元を行うことにより、正常な入力データに近い出力データを出力する。この場合、出力部3Bから出力された乖離度合が閾値未満であるので、回転要素の状態が正常であると診断される。
【0116】
一方、このような診断モデルM2は、診断時に異常な入力データが入力されると、圧縮した特徴を正しく復元することができないために、入力データと出力データとの差分が大きくなる。この場合、出力部3Bから出力された乖離度合が閾値以上であれば、回転要素の状態が異常であると診断される。
【0117】
以上のように、本実施形態に係る状態監視システム100Bは、振動センサ50と、電力計60と、診断装置103Bとを備えている。
【0118】
上記の構成によれば、入出力データの差分が最小となるように学習された診断モデルM2が用いられるので、異常な入力データが入力されると、入出力データの差分すなわち乖離度合が大きくなり、閾値以上となる。これにより、診断の正確度を向上させることができる。
【0119】
また、状態監視システム100Bは、診断モデル作成装置104Bを備えている。これにより、入出力データの差分が最小となるように第1重みおよび第2重みが学習されるので、精度の高い診断モデルを作成することができる。
【0120】
続いて、本実施形態の変形例について説明する。
図11は、本変形例に係る状態監視システムにおいて生じた再構成誤差の経時変化を示す図である。
図12は、
図11に示す再構成誤差を日毎に平均した結果を示す図である。
【0121】
本変形例に係る状態監視システム100Bにおいて、診断モデル作成装置104Bは、診断モデルM2としてCNN-VAEを用いている。
【0122】
CNN-VAEは、エンコーダおよびデコーダに畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network)を用いたオートエンコーダである。畳み込みニューラルネットワークは、入力層と出力層との間に、入力データの特徴量を捉える畳み込み層と、その特徴量への偏りを減らすプーリング層とを加えたニューラルネットワークのモデルである。また、変分エンコーダ(VAE:Variational Autoencoder)は、オートエンコーダの潜在変数に確率分布(n次元のガウス分布の平均μおよび分散σ)を導入したモデルである。
【0123】
上記の診断モデル作成装置104Bのモデル作成部8Bは、正常状態における様々な運転条件のデータについて学習した診断モデルM2を作成する。学習において、様々な運転条件のデータを使用することで、診断モデルM2は運転状況の変化により生じる正常データの多様性を考慮した上で、状態変化を捉えることが可能になる。
【0124】
状態監視システム100Bにおいて、診断装置103Bは、取得した入力データについて学習済みの診断モデルM2による入力データの復元を実施する。このとき、診断モデルM2は、学習した正常データに含まれていない特徴が入力データに含まれていれば、当該入力データを正確に復元することができない。そこで、診断装置103Bでは、入力データと復元された出力データとの差分の絶対値を平均し、この平均値を入力データと出力データとの差分として回転要素の状態の診断に利用する。また、後処理として、日毎に差分(再構成誤差)の平均を取ることで、差分の分散を低減することができる。
【0125】
診断時の回転要素の状態として、正常、予兆、異常について入力データと入力データの再構成誤差とについて比較検証した。予兆は、正常から異常への移行状態であり、異常とは言えないが、異常に進展する可能性の高い異変のある状態である。正常と診断された場合、概ね入力データが復元されていた。しかしながら、予兆と診断された場合、軸受の損傷に起因する数kHz帯の振動値に周期的に見られる上昇が出力データに復元されなかった。また、異常と診断された場合、全体的な振動値の上昇についても出力データに復元されなかった。
【0126】
診断時の入力データと出力データとの差分の絶対値を平均した再構成誤差の推移を検証した。
図11の上側の図に示すように、まず、損傷が大きく進展して異常と診断された期間P3では、再構成誤差が非常に大きくなっている。また、正常および予兆に着目した
図11の下側の図に示すように、正常と診断された期間P1では再構成誤差の変化が小さく、予兆と診断された期間P2では、再構成誤差が徐々に大きくなっていることが確認できた。ただし、再構成誤差は分散が大きいため、そのままでは閾値による異常判定を実施することは難しい。そこで、後処理として再構成誤差を日毎に平均した結果、
図12の上下の図に示すように、平均処理により分散が低減され、正常のデータ(期間P1)および予兆のデータ(期間P2)について、閾値による判定が可能なレベルで明確な傾向の変化を捉えることができた。
【0127】
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1~3にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図13は、実施形態4に係る状態監視システム100Cの構成を示すブロック図である。
【0128】
図13に示す状態監視システム100Cは、風力発電装置101を構成する回転要素の状態を監視するシステムである。状態監視システム100Cは、上述した実施形態1の状態監視システム100と同じく、振動センサ50と、電力計60と、データロギング装置102とを備えている。また、状態監視システム100Cは、診断装置103Cと、診断モデル作成装置104Cとを備えている。
【0129】
診断モデル作成装置104Cは、状態監視システムにおける診断装置103Cに用いられる診断モデルM3を作成する装置である。診断モデルM3は、基準振動値および当該基準振動値に対応する基準出力を入力データとして圧縮することにより特徴を抽出し、当該特徴を出力データとして復元するとともに、入力データおよび出力データの差分と特徴との第1分布を形成する。また、診断モデルM3は、経時振動値および当該経時振動値に対応する経時出力を入力したときの上記の差分と特徴との第2分布と、第1分布との距離を出力する。診断モデルM3は、いわゆるDAGMM(Deep Autoencoding Gaussian Mixture Model)によって構成されている。
【0130】
DAGMMは、圧縮ネットワークと、推定ネットワークと、GMMとで構成されている。圧縮ネットワークは、オートエンコーダによって構成されており、オートエンコーダのエンコーダによって圧縮された特徴と、オートエンコーダに入力される入力データとオートエンコーダから出力される出力データとの差分(再構成誤差)とを出力する。推定ネットワークは、圧縮ネットワークからの特徴と差分とに基づいて、入力データがGMMの各正規分布のいずれに属するかを確率(帰属度)によって推定する。GMMは、圧縮ネットワークからの特徴と、推定ネットワークからの帰属度とに基づいて混合ガウスモデルのパラメータ(平均および分散)を推定する。
【0131】
診断モデル作成装置104Cは、データ処理部6と、設定部7Cと、モデル作成部8Cと、記憶部9Cとを有している。
【0132】
モデル作成部8Cは、診断モデルM3を作成する。具体的には、モデル作成部8Cは、正常な入力データを入力し、当該入力データおよび出力データの差分と上記の特徴との分布(第1分布)を形成する。正常な入力データとしては、基準振動値および当該基準振動値に対応する基準出力が用いられる。また、モデル作成部8Cは、経時振動値および当該経時振動値に対応する経時出力を入力したときの上記の差分と上記の特徴との分布(第2分布)と、第1分布との距離を出力するように診断モデルM3を作成する。
【0133】
設定部7Cは、モデル作成部8Cから取得した第1分布に基づいて閾値を設定する。設定部7Cは、設定した閾値を記憶部9Cに記憶させる。
【0134】
診断装置103Cは、データロギング装置102から取得した基準振動値と経時振動値との乖離度合いに基づいて、風力発電装置101における回転要素の状態を診断する装置である。診断装置103Cは、診断を行うために、上述した診断装置103Aが有する、データ処理部1と、通信部5とを有するとともに、記憶部2Cと、出力部3Cと、診断部4Cとを有している。
【0135】
記憶部2Cは、診断モデル作成装置104Cによって設定された閾値を記憶する。また、記憶部2Cは、診断モデル作成装置104Cによって作成された診断モデルM3を記憶する。
【0136】
出力部3Cは、診断モデルM3に、データロギング装置102から取得された経時振動値および当該経時振動値に対応する経時出力を入力データとして入力することにより得られる、第1分布と第2分布との距離とを乖離度合として出力する。
【0137】
診断部4Cは、出力部3Cによって計算された乖離度合が所定の閾値以上であるときに、回転要素の状態が正常ではないと診断する。また、診断部4Cは、乖離度合が閾値未満であるときに、回転要素の状態が正常であると診断する。
【0138】
上記のように構成される状態監視システム100Cによる回転要素の状態の診断について説明する。
【0139】
まず、診断モデル作成装置104Cにおいて、上述した風力発電装置101の運転状態が良好である期間に診断モデルM3の作成および閾値の設定を行う。
【0140】
モデル作成部8Cは、正常な基準振動値および当該基準振動値に対応する基準出力を入力データとし、第1分布と第2分布との距離を出力するように診断モデルM3を作成する。
【0141】
学習において、診断モデルM3は、上記の差分と、上記の特徴とに基づいて、入力データがDAGMMの推定ネットワークにおいて、GMMの各正規分布に対してどの程度の確率で分類されるかを帰属度として推定する。また、学習において、診断モデルM3は、DAGMMのGMMにより、上記の帰属度と、オートエンコーダからの圧縮された特徴および再構成誤差とに基づいて、差分と特徴との第1分布をGMMのパラメータとして得る。
【0142】
設定部7Cは、第1分布に基づいて閾値を設定する。設定部7Cは、例えば、第1分布における所定の分位点を閾値と設定する。具体的には、設定部7Cは、正常値の95または99%が分布する範囲で分位点を設定する。また、設定部7Cは、公知の他の手法に基づいて閾値を設定してもよい。
【0143】
一方、診断装置103Cにおいて、出力部3Cは、記憶部2Cの診断モデルM3に、データロギング装置102からデータ処理部1を介して取得された、経時振動値および当該経時振動値に対応する経時出力を入力データとして入力する。出力部3Cは、診断モデルM3から出力された、第1分布と第2分布との距離を乖離度合として出力する。
【0144】
診断部4Cは、出力部3Cからの乖離度合を記憶部2Cの閾値と比較する。診断部4Cは、乖離度合が閾値未満であるときに、回転要素の状態が正常であると診断する。また、診断部4Cは、乖離度合が閾値以上であるときに、回転要素の状態が正常ではないと診断する。
【0145】
以上のように、本実施形態に係る状態監視システム100Cは、振動センサ50と、電力計60と、診断装置103Cとを備えている。
【0146】
上記の構成によれば、学習に用いた正常な入力データとは値が大きく異なる入力データが診断装置103Cに入力されると、圧縮で得られた特徴が学習時の特徴と相違する。このため、入力データが正しく復元できずに入力データおよび出力データの差分が学習時の差分よりも大きくなる。それゆえ、差分と特徴との第2分布が第1分布と大きく離れて存在することになる。したがって、第1分布と第2分布との距離に基づいて、回転要素の状態が正常でないと診断することができる。このように、入力データが圧縮された特徴と、入力データおよび出力データの差分との分布を診断の要素として用いるので、診断の正確度を向上させることができる。
【0147】
また、状態監視システム100Cは、診断モデル作成装置104Cを備えている。これにより、正常な入力データに基づいて第1分布が学習されるので、教師データを必要とすることなく、精度の高い診断モデルを作成することができる。
【0148】
〔SDGsへの貢献〕
上述したように、各実施形態の構成によれば、回転要素の状態の診断を従来の診断方法と比較して、より正確に行うことができる。これにより、風力発電装置101の保守性を向上させることができる。したがって、風力発電装置101をより長期にわたって運用することが可能になる。よって、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに(再生可能エネルギー等)」の達成に貢献できる。
【0149】
〔ソフトウェアによる実現例〕
診断装置103,103A~103C(以下「診断装置」と呼ぶ)および診断モデル作成装置104A~104C(以下「作成装置」と呼ぶ)の機能は、当該診断装置および当該作成装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。また、当該診断装置および当該作成装置の機能は、当該診断装置および作成装置の各制御ブロックとしてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。各制御ブロックは、特に出力部3,3A~3C、診断部4,4A~4C、設定部7A~7Cおよびモデル作成部8A~8Cに相当する。
【0150】
この場合、上記診断装置および上記作成装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、それぞれ少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記実施形態1~4で説明した各機能が実現される。
【0151】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記診断装置および上記作成装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0152】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0153】
また、特に、実施形態2~4で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させている。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0154】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0155】
3,3A,3B,3C 出力部
4,4A,4B,4C 診断部
7,7A,7B,7C 設定部
8A,8B,8C モデル作成部
11 主軸受(回転要素)
12 主軸(回転要素)
13 増速機(回転要素)
14 動力伝達軸(回転要素)
15 発電機(回転要素)
50 振動センサ(検出器)
60 電力計(計測器)
100,100A,100B,100C 状態監視システム
101 風力発電装置
103,103A,103B,103C 診断装置
104A,104B,104C 診断モデル作成装置
M1~M3 診断モデル