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特開2023-172268半導体モジュールと半導体モジュールの温度計測方法
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  • 特開-半導体モジュールと半導体モジュールの温度計測方法 図1
  • 特開-半導体モジュールと半導体モジュールの温度計測方法 図2
  • 特開-半導体モジュールと半導体モジュールの温度計測方法 図3
  • 特開-半導体モジュールと半導体モジュールの温度計測方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172268
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】半導体モジュールと半導体モジュールの温度計測方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/28 20060101AFI20231129BHJP
   H01L 23/58 20060101ALI20231129BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H01L23/28 K
H01L23/56 D
H01L25/04 C
H01L23/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083949
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】株式会社 日立パワーデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】谷村 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】早川 誠一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 悠次郎
【テーマコード(参考)】
4M109
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA04
4M109CA02
4M109DB07
4M109DB09
4M109GA10
(57)【要約】
【課題】
半導体チップの温度を正確に計測できる半導体モジュールとその温度計測方法を提供する。
【解決手段】
半導体チップ3と、半導体チップ3に接合されたリードフレーム4と、半導体チップ3とリードフレーム4とを封止する封止樹脂6とを有する半導体モジュール10において、リードフレーム4の半導体チップ3と重なる領域を封止樹脂6から露出させる温度計測窓5を有する。
この半導体モジュール10を用い、温度計測窓5を介してリードフレーム4から放射される赤外線強度を測定して温度計測する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップと、前記半導体チップに接合されたリードフレームと、前記半導体チップと前記リードフレームとを封止する封止樹脂とを有する半導体モジュールにおいて、
前記リードフレームの前記半導体チップと重なる領域を前記封止樹脂から露出させる温度計測窓を有することを特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
請求項1において、
前記温度計測窓は前記封止樹脂内に埋め込まれた筒状部材であることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体モジュールを用い、
前記温度計測窓を介して前記リードフレームから放射される赤外線強度を測定して温度計測することを特徴とする半導体モジュールの温度計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールとその温度計測方法に関し、特に、半導体チップの温度計測が可能な半導体モジュールとその温度計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体モジュールの温度計測方法を開示したものとしては、例えば特許文献1がある。特許文献1には、「パワーモジュールは、絶縁基板1と、絶縁基板1上に形成された配線パターン2a,2b,2cと、配線パターン2a上に搭載された半導体素子4と、配線パターン2b,2c上に形成された凹部10b,10cと、凹部10b,10cにリード6が搭載されて超音波接合により接合され、半導体素子4の温度を検出するためのリード付サーミスタ5とを有する」ことが記載されている(要約、図1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-254873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたパワーモジュールでは、温度を計測するためのサーミスタ(5)の位置が半導体素子(4)(半導体チップ)から離れていた。
【0005】
このように、従来は、サーミスタ抵抗を用いて半導体チップの温度を計測していたが、サーミスタ抵抗は半導体チップから離れた位置に配置されていたり、抵抗値に製造ばらつきがあったりするため、正確な半導体チップの温度を計測することができないという課題があった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、半導体チップの温度を正確に計測できる半導体モジュールとその温度計測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の半導体モジュールは、例えば、半導体チップと、前記半導体チップに接合されたリードフレームと、前記半導体チップと前記リードフレームとを封止する封止樹脂とを有する半導体モジュールにおいて、前記リードフレームの前記半導体チップと重なる領域を前記封止樹脂から露出させる温度計測窓を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の半導体モジュールの温度計測方法は、例えば、上記した半導体モジュールを用い、前記温度計測窓を介して前記リードフレームから放射される赤外線強度を測定して温度計測することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、半導体チップの温度を正確に計測できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例の半導体モジュールの樹脂封止前の概略構成を説明する平面図。
図2】実施例の半導体モジュールの樹脂封止後の概略構成を説明する平面図。
図3】実施例の半導体モジュールの樹脂封止後の概略構成を説明する図2のA-A断面図と、放射温度計による温度計測方法の概略構成を示す図。
図4】実施例の温度計測窓の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。各図において、同一または類似の構成要素については同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、実施例の半導体モジュールの樹脂封止前の概略構成を説明する平面図である。
【0013】
実施例の半導体モジュール10は、冷却器として機能するベースプレート1の上に絶縁基板2が接続され、絶縁基板2の上に銅などで形成された配線パターン9が図示しないろう材などの接合材により接合され、配線パターン9の上にスイッチング素子などの半導体チップ3が図示しないはんだなどの接合材により接合され、半導体チップ3の上に配線となるリードフレーム4が図示しないはんだなどの接合材により接合されている。また、ベースプレート1の上には、ケース7が設けられている。さらに、外部端子となる主端子8が、リードフレーム4または配線パターン9に電気的に接続されている。また、リードフレーム4の上には、温度計測窓5が配置されている。
【0014】
なお、実施例の半導体モジュール10は、他にも外部端子となる制御用端子や、配線を行うボンディングワイヤなどを有するが、図示は省略している。
【0015】
図2は、実施例の半導体モジュールの樹脂封止後の概略構成を説明する平面図である。図3は、実施例の半導体モジュールの樹脂封止後の概略構成を説明する図2のA-A断面図と、放射温度計による温度計測方法の概略構成を示す図である。図4は、実施例の温度計測窓の斜視図である。
【0016】
実施例の半導体モジュール10のケース7内は、絶縁基板2と、半導体チップ3と、リードフレーム4と、配線パターン9とを封止する封止樹脂6によって封止されている。なお、主端子8の外部端子となる部分や、図示しない外部端子となる制御用端子は、封止樹脂6から露出している。
【0017】
温度計測窓5は、例えば、封止樹脂6内に埋め込まれた筒状部材である。温度計測窓5は、例えば樹脂などの絶縁材料で形成されている。
【0018】
したがって、実施例の半導体モジュール100は、半導体チップ3とリードフレーム4とが封止樹脂6により封止されるが、リードフレーム4の半導体チップ3と重なる領域の少なくとも一部は、温度計測窓5によって封止樹脂6から露出している。
【0019】
そして、実施例の半導体モジュール100を用いて、図3に示すように、温度計測窓5を介してリードフレーム4から放射される赤外線強度を例えば放射温度計20などによって測定して温度計測する。この場合、直接的に温度計測できるのはリードフレーム4の温度であるが、リードフレーム4の熱抵抗は一般的に極めて低く、リードフレーム4の温度と半導体チップ3の温度はほぼ等しくなるため、間接的に半導体チップ3の温度を正確に計測できる。
【0020】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例に記載された構成に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 ベースプレート
2 絶縁基板
3 半導体チップ
4 リードフレーム
5 温度計測窓
6 封止樹脂
7 ケース
8 主端子
9 配線パターン
10 半導体モジュール
20 放射温度計
図1
図2
図3
図4