(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172278
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】液体吐出装置および廃液タンク
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20231129BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231129BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B41J2/17 203
B41J2/01 303
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/165
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083962
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】花丸 健志朗
(72)【発明者】
【氏名】久保 智幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祥爾
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 聡
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸昌
(72)【発明者】
【氏名】山本 啓介
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 好輝
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB06
2C056EC06
2C056EC26
2C056EC28
2C056HA27
2C056HA37
2C056JC13
(57)【要約】
【課題】ICチップを用いることなく、廃液タンクの交換を判別できる。
【解決手段】インクジェットプリンタ(1)では、廃液タンク(60)は、キャリッジ(40)の走査方向において配置され、廃液タンクの交換を検出するための検出マーク(91)を、廃液タンクにおけるキャリッジと対向する上面部(65)に有し、キャリッジは、検出マークを読取るメディアセンサ(45)を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筐体と、
液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドを備えるキャリッジと、
前記本体筐体に挿抜可能に設けられ、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体を貯留する廃液タンクと、を備え、
前記廃液タンクは、
前記キャリッジの走査方向において配置され、
前記廃液タンクの交換を検出するための検出マークを、前記廃液タンクにおける前記キャリッジと対向する面に有し、
前記キャリッジは、前記検出マークを読取る読取部を備える、
液体吐出装置。
【請求項2】
記録媒体が搬送される搬送路と、
前記搬送路を搬送される記録媒体を支持するプラテンと、を備え、
前記廃液タンクは、前記液体吐出ヘッドのノズル面と直交する方向である上下方向における上方から見て、前記キャリッジの走査方向において前記プラテンより外側に配置されている、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
記録媒体が搬送される搬送路と、
前記搬送路を搬送される記録媒体を支持するプラテンと、を備え、
前記廃液タンクの一部は、前記液体吐出ヘッドのノズル面と直交する方向である上下方向における上方から見て、前記キャリッジの走査方向において前記プラテンと重なるように配置されており、
前記プラテンは、前記検出マークと対向する位置に、開口部または光透過部を備える、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記検出マークは、バーコード形状であり、
前記読取部は、スリットを備え、
前記検出マークを構成する複数のバーのうちの隣接する2つのバーの間の幅は、前記スリットの幅以上である、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記廃液タンクの内部には、前記液体を吸収する吸収部材が設けられており、
前記検出マークが示されたマーク部材が、前記吸収部材における前記キャリッジと対向する面に載置されている、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記液体吐出装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記廃液タンクが前記本体筐体に装着された場合に、前記読取部が前記検出マークを読取る第1読取処理を実行する、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記廃液タンクに収容された液体量を示す液体量情報を記憶しており、
前記第1読取処理後、前記液体量情報が示す液体量を初期値に戻すリセット処理を実行する、
請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1読取処理によって前記読取部が前記検出マークを読取ることができた場合、前記廃液タンクが純正品であることを示す純正品情報を記憶する記憶処理を実行する、
請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記液体吐出装置を制御する制御部と、
前記液体吐出ヘッドをメンテナンスするメンテナンスユニットと、
を備え、
前記制御部は、前記液体吐出ヘッドを前記メンテナンスユニットによりメンテナンスする場合に、前記読取部が前記検出マークを読取る第2読取処理を実行する、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第2読取処理において、前記読取部が前記検出マークを読取ることができなかった場合に、前記廃液タンクの交換を報知する報知処理を実行する、
請求項9に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記第2読取処理において、前記読取部が前記検出マークを読取ることができなかった場合に、前記廃液タンクが純正品であることを示す純正品情報を記憶しているかを判定する判定処理を実行し、
前記判定処理において、前記純正品情報を記憶していると判定した場合に、前記報知処理を実行する、
請求項10に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
廃液タンクであって、
液体吐出装置に挿抜可能に設けられ、前記液体吐出装置が備える液体吐出ヘッドから吐出された液体を貯留し、
前記液体吐出ヘッドを備えるキャリッジの走査方向において配置され、
前記廃液タンクが交換されたことを検出するための検出マークを、前記廃液タンクにおける前記キャリッジと対向する面に有する、
廃液タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出装置および廃液タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インクカートリッジを交換するときにID番号の照合を行うことにより、本体に装着予定のインクカートリッジが、本体に装着されるべき正しいインクカートリッジであるかを判定するインクジェット記録装置が開示されている。特許文献1のインクカートリッジには、インクのID番号が書き込まれた無線IC(Integrated Circuit)チップが貼り付けられている。インクジェット記録装置は、本体に装着予定のインクカートリッジの無線ICチップからID番号を読取ることにより、ID番号の照合を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のインクジェット記録装置は、無線ICチップが故障した場合、無線ICチップからID番号を読取ることができない。また、特許文献1のインクジェット記録装置は、何等かの不具合により、無線ICチップからID番号を読取ることができない可能性もある。一方で、インクカートリッジに無線ICチップを設けない場合、特許文献1のインクジェット記録装置は、インクカートリッジの交換のためにID番号の照合を行うことができない。
【0005】
また、特許文献1には、インクを吐出するノズル等に残ったインクを貯留する廃液タンクの交換に関する開示は無い。
【0006】
本開示は、ICチップを用いることなく、廃液タンクの交換を判別できる液体吐出装置および廃液タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の液体吐出装置は、本体筐体と、液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドを備えるキャリッジと、前記本体筐体に挿抜可能に設けられ、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体を貯留する廃液タンクと、を備え、前記廃液タンクは、前記キャリッジの走査方向において配置され、前記廃液タンクの交換を検出するための検出マークを、前記廃液タンクにおける前記キャリッジと対向する面に有し、前記キャリッジは、前記検出マークを読取る読取部を備える。
【0008】
上記の構成によれば、液体吐出装置は、読取部による検出マークの読取結果に基づいて、廃液タンクの交換を判別できる。そのため、廃液タンクにICチップを設けることによる、ICチップの故障、または、ICチップに記憶された情報の読取不良の発生を回避できる。また、ICチップの削減により、液体吐出装置および廃液タンクのコストを低減できる。
【0009】
本開示の液体吐出装置は、記録媒体が搬送される搬送路と、前記搬送路を搬送される記録媒体を支持するプラテンと、を備え、前記廃液タンクは、前記液体吐出ヘッドのノズル面と直交する方向である上下方向における上方から見て、前記キャリッジの走査方向において前記プラテンより外側に配置されていてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、プラテンを加工せずとも、読取部は検出マークを読取ることができる。
【0011】
本開示の液体吐出装置は、記録媒体が搬送される搬送路と、前記搬送路を搬送される記録媒体を支持するプラテンと、を備え、前記廃液タンクの一部は、前記液体吐出ヘッドのノズル面と直交する方向である上下方向における上方から見て、前記キャリッジの走査方向において前記プラテンと重なるように配置されており、前記プラテンは、前記検出マークと対向する位置に、開口部または光透過部を備えてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、プラテンと対向する位置に検出マークが存在する場合であっても、読取部は、開口部または光透過部を介して、検出マークを読取ることができる。
【0013】
本開示の液体吐出装置では、前記検出マークは、バーコード形状であり、前記読取部は、スリットを備え、前記検出マークを構成する複数のバーのうちの隣接する2つのバーの間の幅は、前記スリットの幅以上であってもよい。
【0014】
上記の構成によれば、読取部による検出マークの読取精度を高めることができる。
【0015】
本開示の液体吐出装置では、前記廃液タンクの内部には、前記液体を吸収する吸収部材が設けられており、前記検出マークが示されたマーク部材が、前記吸収部材における前記キャリッジと対向する面に載置されていてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、検出マークが示されたマーク部材を吸収部材上に載置することにより、吸収部材が吸収可能な液体量を超えた場合、検出マークに液体が付着する。この場合、読取部は検出マークを読取ることができない。液体吐出装置は、読取部が検出マークを読取ることができないことにより、廃液タンクが満杯になったことを検出できる。
【0017】
本開示の液体吐出装置は、前記液体吐出装置を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記廃液タンクが前記本体筐体に装着された場合に、前記読取部が前記検出マークを読取る第1読取処理を実行してもよい。
【0018】
上記の構成によれば、制御部は、廃液タンクが本体筐体に装着されたときに、読取部による検出マークの読取結果に基づいて、廃液タンクの交換を判別できる。
【0019】
本開示の液体吐出装置では、前記制御部は、前記廃液タンクに収容された液体量を示す液体量情報を記憶しており、前記第1読取処理後、前記液体量情報が示す液体量を初期値に戻すリセット処理を実行してもよい。
【0020】
上記の構成によれば、制御部は、第1読取処理の実行により廃液タンクが交換されたものとして、液体量情報をリセットできる。そのため、制御部は、液体吐出装置を、印刷を実行可能な状態とすることができる。
【0021】
本開示の液体吐出装置では、前記制御部は、前記第1読取処理によって前記読取部が前記検出マークを読取ることができた場合、前記廃液タンクが純正品であることを示す純正品情報を記憶する記憶処理を実行してもよい。
【0022】
上記の構成によれば、制御部は、読取部が検出マークを読取ることができた場合に純正品情報を記憶することにより、純正品である廃液タンクを交換対象として特定できる。
【0023】
本開示の液体吐出装置は、前記液体吐出装置を制御する制御部と、前記液体吐出ヘッドをメンテナンスするメンテナンスユニットと、を備え、前記制御部は、前記液体吐出ヘッドを前記メンテナンスユニットによりメンテナンスする場合に、前記読取部が前記検出マークを読取る第2読取処理を実行してもよい。
【0024】
上記の構成によれば、制御部は、液体吐出ヘッドをメンテナンスするときに、読取部による検出マークの読取結果に基づいて、廃液タンクが満杯であるかを判定できる。
【0025】
本開示の液体吐出装置では、前記制御部は、前記第2読取処理において、前記読取部が前記検出マークを読取ることができなかった場合に、前記廃液タンクの交換を報知する報知処理を実行してもよい。
【0026】
例えば、検出マークが示されたマーク部材が吸収部材上に載置されているとき、吸収部材が吸収可能な液体量を超えた場合には、検出マークに液体が付着する。この場合、読取部は検出マークを読取ることができない。上記の構成によれば、制御部は、検出マークを読取ることができなかった場合に、液体が検出マークに付着し、廃液タンクが満杯になったものとして、廃液タンクの交換をユーザに促すことができる。
【0027】
本開示の液体吐出装置では、前記制御部は、前記第2読取処理において、前記読取部が前記検出マークを読取ることができなかった場合に、前記廃液タンクが純正品であることを示す純正品情報を記憶しているかを判定する判定処理を実行し、前記判定処理において、前記純正品情報を記憶していると判定した場合に、前記報知処理を実行してもよい。
【0028】
上記の構成によれば、廃液タンクがサード品である場合、読取部は検出マークを読取ることができない。そのため、読取部が検出マークを読取れないが、純正品情報が制御部に記憶されている場合には、廃液タンクは純正品である可能性が高い。従って、制御部は、読取部が検出マークを読取れず、かつ純正品情報を記憶している場合に報知処理を実行することにより、検出マークへのインクの付着により満杯になった可能性が高い廃液タンクの交換を、ユーザに促すことができる。
【0029】
本開示の廃液タンクは、廃液タンクであって、液体吐出装置に挿抜可能に設けられ、前記液体吐出装置が備える液体吐出ヘッドから吐出された液体を貯留し、前記液体吐出ヘッドを備えるキャリッジの走査方向において配置され、前記廃液タンクが交換されたことを検出するための検出マークを、前記廃液タンクにおける前記キャリッジと対向する面に有してもよい。
【0030】
上記の構成によれば、廃液タンクが検出マークを有することにより、液体吐出装置は、検出マークの読取結果に基づいて、廃液タンクの交換を判別できる。そのため、廃液タンクにICチップを設けることによる、ICチップの故障、または、ICチップに記憶された情報の読取不良の発生を回避できる。また、ICチップの削減により、液体吐出装置および廃液タンクのコストを低減できる。
【発明の効果】
【0031】
本開示の液体吐出装置および廃液タンクによれば、液体吐出装置は、ICチップを用いることなく、廃液タンクの交換を判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】インクジェットプリンタの外観斜視図である。
【
図2】インクジェットプリンタの内部構成の概略を示す断面図である。
【
図3】インクジェットプリンタの上面視における断面図である。
【
図4】キャリッジ、廃液タンクおよびフラッシングユニットの断面を示す概略図である。
【
図6】インク吸収フォームにインクが吸収される様子を説明するための、廃液タンクの一例を示す概略断面図である。
【
図7】マーク部材を上面視したときの、マーク部材の一例を示す平面図である。
【
図8】メンテナンスユニットが記録ヘッドをメンテナンスするときの制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】廃液タンクが交換されるときの制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】変形例に係るインクジェットプリンタの内部構成の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
〔インクジェットプリンタ1の構成概要〕
以下、インクジェットプリンタ1の構成概要について、
図1~
図4を用いて説明する。
図1は、インクジェットプリンタ1の外観斜視図である。
図2は、インクジェットプリンタ1の内部構成の概略を示す断面図である。
図3は、インクジェットプリンタ1の上面視における断面図である。
図4は、キャリッジ40、廃液タンク60およびフラッシングユニット70の断面を示す概略図である。
【0034】
図1に示すインクジェットプリンタ1は、液体吐出装置の一例である。以下の説明では、
図1に示すようにインクジェットプリンタ1が使用可能に設置された状態を基準として、設置面側を下として上下方向を定義し、開口20が設けられている側を前として前後方向を定義し、前方からインクジェットプリンタ1を視て左側を左として左右方向を定義する。上下方向については、後述するノズル面421(
図2参照)と直交する方向とも定義できる。なお、左右方向は後述するキャリッジ40(
図2参照)の移動方向である走査方向と称する場合がある。
【0035】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、本体筐体11とインクジェットプリンタ1の上方に積層されたスキャナ筐体12とによって、全体として略直方体形状を形成している。
【0036】
本体筐体11の前面には、操作パネル13と、カートリッジカバー14と、タンク交換部15と、が設けられている。操作パネル13は、各種操作ボタンおよび液晶表示部を有する。カートリッジカバー14は、本体筐体11に対して、回動可能に設けられている。カートリッジカバー14の内部には、
図3に示すように、カートリッジケース140に装着されたインクカートリッジ141が配置されている。
図1に戻り、本体筐体11の前面には、開口20が形成されており、給送トレイ21および排出トレイ22は、本体筐体11の前面に形成された開口20を通じてインクジェットプリンタ1に対して着脱可能に設けられている。スキャナ筐体12は、シートPに記録された画像を読み取るスキャナ(不図示)を有している。
【0037】
タンク交換部15は、本体筐体11の左右方向における側面に設けられている。本実施形態においては左側面に設けられている。タンク交換部15は、本体筐体11に対して、回動可能な蓋部151と、蓋部151を開くと露出する廃液タンク60が収容可能な収容部152(
図3参照)と、により構成されている。つまり、タンク交換部15は、蓋部151を開閉することにより、本体筐体11に対して廃液タンク60の挿抜が可能となるように構成されている。
【0038】
収容部152は、廃液タンク60の形状にあわせて構成されており、挿抜方向における本体筐体11の内部側には、廃液タンク60の側面が当接する壁を備えている。この壁により、廃液タンク60の内側方向への移動を規制する。
【0039】
なお、タンク交換部15は、蓋部151を開閉する構成に限定するものではない。例えば、廃液タンク60と、蓋部151を有する廃液タンク60のタンク保持部と、により本体筐体11に対して着脱可能な廃液タンクユニットを挿抜する構成であってもよい。この場合、廃液タンクユニットを本体筐体11から抜き取ると、タンク交換部15には廃液タンクユニットの形状に対応する開口が露出する。また、露出した開口に対して廃液タンクユニットを挿入すると、廃液タンクユニットが有する蓋部151により、露出した開口は塞がれる。なお、タンク交換部15が設けられる位置は、本体筐体11の左右方向における側面に限られるものではない。例えば、本体筐体11の前後方向における面に設けられていてもよいし、本体筐体11の上下方向における面に設けられていてもよい。また、以下の説明では、廃液タンク60を挿抜する方向を挿抜方向と称する場合がある。
【0040】
〔インクジェットプリンタ1の内部構成〕
次に、インクジェットプリンタ1の内部構成について、
図2を用いて説明する。
図2に示すように、インクジェットプリンタ1は、給送部3と、記録部4と、搬送機構5と、制御部100と、を備えている。制御部100は、後述のように、インクジェットプリンタ1が備える各装置を統括して制御するものであり、インクジェットプリンタ1が備える各装置と電気的に接続される。
図2では、インクジェットプリンタ1が備える各装置を点線で枠囲みし、枠線と制御部100とを点線で結ぶことにより、インクジェットプリンタ1が備える各装置と制御部100との電気的な接続関係を便宜的に示している。
【0041】
〔給送部3〕
給送部3は、軸30と、給送アーム31と、給送ローラ32と、を有している。給送部3は、給送ローラ32の正回転によって、給送トレイ21に収容されたシートPを搬送路R1へ給送する。シートPは、インクジェットプリンタ1による画像記録の対象となる記録媒体の一例である。給送ローラ32は、給送アーム31の先端部に回転可能に支持されている。給送アーム31は、インクジェットプリンタ1のフレームに支持された軸30に回動可能に支持されている。給送アーム31は、自重又はバネ等による弾性力によって、給送トレイ21へ向けて回動付勢されている。
【0042】
搬送路R1は、給送トレイ21の後端部から上方に延び、ガイド部材33で区画される領域にて湾曲し、記録部4の位置を経由して、排出トレイ22に至る経路である。
【0043】
給送ローラ32は、制御部100により給送モータ(不図示)が駆動されると、給送トレイ21からシートPを1枚ずつ取り出す。給送トレイ21から取り出されたシートPは、搬送路R1に沿って送り出され、記録部4へと供給される。
【0044】
〔記録部4〕
記録部4は、給送部3の上方に配置されている。記録部4は、キャリッジ40と、液体吐出ヘッドの一例である記録ヘッド41と、複数のノズル42と、プラテン43とを有している。キャリッジ40は、左右方向に延びたガイドレール9Aと、ガイドレール9Bとに支持されている。ガイドレール9A,9Bは
図3に図示されている。キャリッジ40は、キャリッジモータ(不図示)の駆動力が伝達されて、左右への移動方向である走査方向、すなわち、搬送されるシートPの幅方向に往復移動する。シートPへの画像記録において、インクジェットプリンタ1の制御部100は、記録処理と搬送処理とを繰り返す。記録処理は、シートPが停止している状態でキャリッジ40をシートPの幅方向に移動させながら記録ヘッド41のノズル42からインクを吐出させ、1行分の画像をシートPに記録させる処理である。搬送処理は、搬送ローラ50および排出ローラ52を駆動させてシートPを所定の改行量だけ搬送する処理である。
【0045】
キャリッジ40には、記録ヘッド41が搭載されている。記録ヘッド41の下面には、複数のノズル42が設けられている。複数のノズル42は、前後方向に配列されることにより、ノズル列を形成しており、ノズル面421には、左右方向に並んだ4つのノズル列が形成されている。複数のノズル42からは、右側に位置するノズル列を形成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。インクは、ノズル42から吐出される液体の一例である。なお、ノズル列の配置順はこれに限られるものではなく、製品ごとに適宜変更されてもよい。記録ヘッド41は、ピエゾ素子等の振動素子を振動させることによって、ノズル42からインク滴を吐出する。
【0046】
また、
図3および
図4に示すように、キャリッジ40には、メディアセンサ45が搭載されている。メディアセンサ45は、プラテン43上にシートPが存在するかを検出するためのセンサである。メディアセンサ45は、搬送路R1を搬送されるシートPの前端が記録部4に到達したことを検出するために用いられる。
【0047】
本実施形態では、メディアセンサ45は、廃液タンク60に示された検出マーク91を読取る読取部の一例として機能する。具体的には、メディアセンサ45は、検出マーク91に含まれる、当該検出マーク91が示された廃液タンク60に関する情報を読取る。廃液タンクに関する情報の一例については後述する。
【0048】
メディアセンサ45は、
図4に示すように、光を出射する出射部451と、出射部451が出射した光が対象物によって反射し、その反射した光を透過するスリット452と、スリット452を透過した光を受光する受光部453と、を備える。出射部451は、プラテン43、または、廃液タンク60に示された検出マーク91に対して光を出射する。制御部100は、受光部453が受光した光の光量の変化に基づいて、プラテン43に支持されたシートP、または、検出マーク91を構成する複数のバーを検出する。検出マーク91を構成する複数のバーは、
図7に図示されている。但し、メディアセンサ45が複数のバーに示された情報を読取ることが可能であれば、メディアセンサ45がスリット452を備える必要は必ずしもない。
【0049】
メディアセンサ45は、シートPまたは検出マーク91を検出するために、キャリッジ40における、プラテン43および廃液タンク60と対向する面に設けられている。本実施形態では、メディアセンサ45は、
図4に示すように、キャリッジ40が走査されて廃液タンク60の上方に位置したときに、廃液タンク60に示された検出マーク91と対向するように、キャリッジ40の下面に配置されている。
【0050】
本実施形態では、メディアセンサ45が検出マーク91を読取る読取部として機能するものとして説明するが、読取部は、メディアセンサ45とは別にキャリッジ40に設けられてもよい。
【0051】
プラテン43は、
図2および
図3に示すように、記録ヘッド41の下方に位置しており、左右方向におけるシートPの全長にわたって延びている。プラテン43は、記録処理時に、搬送路R1を搬送されるシートPを下側から支持する。プラテン43に支持されたシートPに対して、キャリッジ40が移動する過程において、記録ヘッド41がインク滴を選択的に吐出することによって、シートPに画像が記録される。
【0052】
〔搬送機構5〕
搬送機構5は、前後方向において、キャリッジ40およびプラテン43を挟むように前後に配置された搬送ローラ50と、排出ローラ52と、を有する。搬送ローラ50の下方には、搬送ローラ50と対向する位置にピンチローラ51が設けられている。搬送ローラ50は、搬送モータ(不図示)によって駆動される。ピンチローラ51は、搬送ローラ50の回転に伴って回転する。搬送ローラ50およびピンチローラ51が正回転することにより、シートPは、搬送ローラ50およびピンチローラ51に挟持されて、搬送路R1に沿って記録部4へと搬送される。
【0053】
排出ローラ52は、キャリッジ40およびプラテン43を挟んで搬送ローラ50よりも下流側に位置するように設けられている。排出ローラ52の上方には、排出ローラ52と対向する位置に拍車ローラ53が設けられている。排出ローラ52は、搬送モータ(不図示)によって駆動される。拍車ローラ53は、排出ローラ52の回転に伴って回転する。排出ローラ52および拍車ローラ53が正回転することにより、シートPは、排出ローラ52および拍車ローラ53に挟持されて、排出トレイ22へ排出される。
【0054】
〔制御部100〕
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および、各種制御回路を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備える。制御部100は、記録ヘッド41および搬送機構5の搬送モータ等のインクジェットプリンタ1を構成する様々な装置と接続されている。また、制御部100は、操作パネル13、および、外部機器であるPC(Personal Computer)等とも接続されている。
【0055】
ROMは、情報の読み出しおよび書き込みが可能なメモリであり、例えばフラッシュROMまたはEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)(登録商標)であってよい。ROMは、例えば、廃液タンク60に収容されたインク量を示す廃液カウント値、および、メディアセンサ45による検出マーク91の読取りができなかった回数を示す読取エラー回数値を記憶する。
【0056】
廃液カウント値は、廃液タンク60に収容された液体量を示す液体量情報の一例である。例えば、メンテナンスユニット8における1回あたりの記録ヘッド41のメンテナンスによって廃液タンク60に収容される基準インク量が、予めROMに記憶されていてよい。この場合、制御部100は、基準インク量に、記録ヘッド41のメンテナンスを実行した回数を乗算することにより、廃液カウント値を算出してよい。
【0057】
また、ROMは、本体筐体11に装着されている廃液タンク60に関する情報を記憶する。廃液タンク60に関する情報が検出マーク91に含まれている場合、制御部100は、メディアセンサ45が検出マーク91を読取ることにより、本体筐体11に装着されている廃液タンク60に関する情報を取得できる。制御部100は、操作パネル13に対するユーザ操作を介して、本体筐体11に装着されている廃液タンク60に関する情報を取得してもよい。
【0058】
制御部100は、ROMに格納されたプログラムに従い、CPU及びASICにより、給送部3の動作、搬送機構5の動作、および、記録ヘッド41の動作等を制御する各種処理を実行する。例えば、制御部100は、PC等の外部機器から送信された印刷指令に基づいて、記録ヘッド41および搬送モータ等を制御して、シートPに画像を印刷する印刷処理を実行する。これにより、インクジェットプリンタ1は、搬送機構5によってシートPを搬送方向に搬送しつつ、キャリッジ40とともに記録ヘッド41を走査方向に移動させながらインクを吐出させることにより、シートPに画像を印刷する。
【0059】
また、制御部100は、例えば、メンテナンスユニット8の動作、および、フラッシングと呼ばれるノズル42からインク滴を吐出させるときの記録ヘッド41の動作を制御する各種処理を実行する。さらに、制御部100は、廃液タンク60に示された検出マーク91を読取るときの記録ヘッド41の動作を制御する処理、および、検出マーク91の読取結果に基づく処理を実行する。
【0060】
なお、本実施形態では、制御部100は、CPU、ROM、RAM、およびASICを備えたものとして説明するが、これに限るものではなく、制御部100はいかなるハードウェア構成で実現してもよい。
【0061】
〔カートリッジケース140〕
次に、カートリッジケース140について、
図3を用いて説明する。
図3に示すように、カートリッジケース140は、左右方向に並ぶ4つのインクカートリッジ141を備えている。各インクカートリッジ141は、カートリッジケース140に対して取り外し可能に設けられている。インクカートリッジ141には、それぞれ、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留されている。各インクカートリッジ141に貯留されたインクは、チューブ142を介して、記録ヘッド41に供給される。
【0062】
〔メンテナンスユニット8〕
次に、メンテナンスユニット8について、
図3を用いて説明する。
図3に示すように、インクジェットプリンタ1は、メンテナンスユニット8を備える。メンテナンスユニット8は、キャップ80と、ポンプ81と、チューブ82とを備えている。メンテナンスユニット8は、キャリッジ40の走査経路よりも下方に位置し、インクジェットプリンタ1の上方から見て、走査方向においてプラテン43よりも外側となる位置に配置されている。本実施形態においては、左右方向における右側に配置されている。なお、メンテナンスユニット8が配置される位置は右側に限定するものではなく、左側に配置されてもよい。この場合、廃液タンク60とフラッシングユニット70とが配置される位置が右側となる。
【0063】
キャップ80は、ゴム素材により構成されている。キャップ80は、記録ヘッド41よりも下方に位置し、走査方向においてプラテン43よりも外側となる位置に配置されている。キャリッジ40をプラテン43よりも外側のメンテナンス位置に移動させると、キャップ80とノズル面421とが対向する。
【0064】
キャップ80は、例えば、昇降機構(不図示)により上下方向に移動可能に構成されている。キャップ80は、メンテナンス位置において上方向に移動することで、ノズル面421と密着する。
【0065】
ポンプ81は、モータ(不図示)に駆動されることによって、ノズル42内のインク等をキャップ80およびチューブ82を通じて吸引し、チューブ82を通じて廃液タンク60に排出する。
【0066】
チューブ82は、メンテナンスユニット8から排出されたインクを移送する流路であって、メンテナンスユニット8と廃液タンク60とを接続する。チューブ82は、可撓性を有する素材で構成されており、キャップ80からポンプ81を経由して廃液タンク60へとインクを移送する。
【0067】
メンテナンスユニット8は、以上の構成により、記録ヘッド41のメンテナンスを行うものである。より詳細には、メンテナンスユニット8は、ノズル42内のインク、ノズル42内の空気、および/または、ノズル42の下面に形成されている開口に付着した異物を吸引するパージ動作を実行する。なお、ノズル42内のインク、ノズル42内の空気、および/または、ノズル42の開口に付着した異物のことを、「インク等」と称する。メンテナンスユニット8によって吸引除去されたインク等は、廃液タンク60に保持される。
【0068】
〔廃液タンク60〕
次に、廃液タンク60について、
図3および
図4を用いて説明する。フラッシングユニット70については後述する。
【0069】
図3に示すように、インクジェットプリンタ1は、廃液タンク60を備えている。廃液タンク60は、
図4に示すように、廃液ケース61と、インク吸収フォーム62と、接続部63と、を有している。
【0070】
廃液ケース61は、合成樹脂材料等からなる。廃液ケース61は、上方に開口を形成しており、上面視において、略矩形形状の箱体により構成されている。つまり、廃液ケース61は、底面と、底面の各辺から上方に伸びる側面とにより構成されている。廃液ケース61の内部には、インク吸収フォーム62が設けられている。
【0071】
インク吸収フォーム62は、インクを吸収する吸収部材の一例である。インク吸収フォーム62は、例えば、インクを吸収することができる不織布、スポンジ、もしくは綿などで構成されている。インク吸収フォーム62は、廃液ケース61の内側に収容されている。
【0072】
接続部63は、廃液ケース61に対してチューブ82を接続する部分である。接続部63は、廃液ケース61における左右方向の右側側面から右方向へ突出する形状により構成されている。接続部63は、左右方向において、廃液ケース61の内部と外部とを連通する連通孔を形成している。接続部63は、チューブ82が接続可能に構成されており、メンテナンスユニット8と接続部63とをチューブ82により接続することで、メンテナンスユニット8から排出されるインクを廃液タンク60へ貯留する。なお、接続部63が形成されるのは廃液ケース61に対して左右方向の右側側面としているが、これに限定するものではない。例えば、前側側面であってもよいし、左側側面であってもよい。すなわち、廃液ケース61の何れかの側面に設けられていればよい。
【0073】
〔フラッシングユニット70〕
フラッシングユニット70は、
図4に示すように、廃液ガイド71と、廃液ガイド71を固定するためのガイド固定枠72と、を備えている。フラッシングユニット70は、フラッシング処理時にノズル42から吐出されるインクのミスト飛散を防止するとともに、廃液タンク60へインクを案内するように構成されている。
【0074】
フラッシング処理とは、キャリッジ40をフラッシングユニット70と対向する位置であるフラッシング位置に移動させた状態で、記録ヘッド41を駆動させることにより、シートPに向けたインクの吐出とは別に、複数のノズル42から廃液ガイド71に向けてインクを吐出させる動作である。
【0075】
廃液ガイド71は、フラッシング処理により吐出されるインクのミスト飛散を防止するために、インクの吐出方向である上下方向に対して交差するように傾斜面710を有している。傾斜面710は、例えば、
図4に示すように、上方に向けて左側から右側へ登り勾配となるように構成されている。
【0076】
フラッシング処理により吐出されたインクは、廃液ガイド71が有する傾斜面710に当たると、傾斜面710に沿って廃液タンク60に設けられた、インク吸収フォーム62へ案内される。
【0077】
ガイド固定枠72は、廃液ガイド71を保持する保持部の一例である。ガイド固定枠72は、廃液ガイド71を固定する枠体であり、上面視において略矩形の形状により構成されている。ガイド固定枠72は、例えば、本体筐体11にネジ締結されることにより、本体筐体11に固定される。
【0078】
〔廃液タンク60およびフラッシングユニット70の配置〕
廃液タンク60およびフラッシングユニット70は、
図3および
図4に示すように、メンテナンスユニット8と同様、キャリッジ40の走査方向において配置されている。具体的には、廃液タンク60およびフラッシングユニット70は、記録ヘッド41よりも下方に位置し、インクジェットプリンタ1の上方から見て、走査方向においてプラテン43よりも外側となる位置に配置されている。より詳細には、廃液タンク60およびフラッシングユニット70は、
図3に示すように、ノズル面421と平行する水平方向において、搬送路R1を挟んでメンテナンスユニット8の反対に配置されている。また、廃液タンク60は、
図4に示すように、上下方向において、フラッシングユニット70よりも下方に位置するように配置されている。
【0079】
〔マーク部材90〕
次に、廃液タンク60の構成について、
図3~
図7を用いてさらに説明する。
図5は、廃液タンク60の一例を示す概略図であり、(A)は廃液タンク60を上面視したときの、廃液タンク60の一例を示す平面図であり、(B)は廃液タンク60をインクジェットプリンタ1の左側から見たときの、廃液タンク60の一例を示す断面図である。
図6は、インク吸収フォーム62にインクが吸収される様子を説明するための、廃液タンク60の一例を示す概略断面図である。
図7は、マーク部材90を上面視したときの、マーク部材90の一例を示す平面図である。
【0080】
図3~
図5に示すように、廃液タンク60は、制御部100が廃液タンク60の交換を検出するための検出マーク91を有している。本実施形態では、廃液タンク60には、検出マーク91が示されたマーク部材90が設けられている。マーク部材90は、例えば、検出マーク91が印刷されたシール部材であってよい。
【0081】
マーク部材90は、キャリッジ40が走査方向に沿って廃液タンク60の上方まで走査されたときに、キャリッジ40に設けられたメディアセンサ45と検出マーク91とが対向する位置に設けられている。本実施形態では、マーク部材90は、キャリッジ40が、キャリッジ40の走査範囲における最左端部まで走査されたときに、メディアセンサ45と対向する位置に設けられている。
【0082】
但し、マーク部材90は、検出マーク91がメディアセンサ45の走査範囲の下方に位置するように、廃液タンク60に設けられていればよい。すなわち、キャリッジ40の走査過程において、メディアセンサ45が検出マーク91を読取ることが可能なように、マーク部材90が、廃液タンク60の上面部65に設けられていればよい。上面部65は、廃液タンク60におけるキャリッジ40と対向する面の一例である。
【0083】
本実施形態では、
図5に示すように、マーク部材90の少なくとも一部は、廃液タンク60の内部に収容されたインク吸収フォーム62におけるキャリッジ40と対向する面に設けられている。すなわち本実施形態では、マーク部材90の少なくとも一部は、インク吸収フォーム62上に設けられている。
【0084】
図6の(A)は、インク吸収フォーム62の一部にインクINが吸収された様子を示す。本実施形態では、インク吸収フォーム62は、廃液タンク60の中央部に凹部66を形成するように、廃液タンク60に設けられている。
図4に示すように、インクINがフラッシングユニット70から凹部66へと案内されるように、廃液タンク60とフラッシングユニット70との位置関係が決められている。そのため、フラッシングユニット70から案内されたインクINの大部分は、凹部66の底面と当接するインク吸収フォーム62上に滴下し、インク吸収フォーム62に吸収される。従って、
図6の(A)に示すように、インク吸収フォーム62は、インク吸収フォーム62の下側からインクINを吸収していく。
【0085】
図6の(B)は、インク吸収フォーム62の全体に亘りインクINが吸収された様子を示す。インクINが上面部65まで到達すると、インク吸収フォーム62は、インクINが上面部65に到達した後にフラッシングユニット70を介して滴下されるインクINを吸収できない。そのため、
図6の(B)に示すように、インク吸収フォーム62からインクINが染み出て、インク吸収フォーム62上に載置されたマーク部材90にインクINが付着する。
【0086】
つまり、インク吸収フォーム62が吸収可能なインク量を超えた場合に、検出マーク91にインクが付着する。この場合、メディアセンサ45は検出マーク91を読取ることができない。そのため、制御部100は、メディアセンサ45が検出マーク91を読取ることができないことにより、廃液タンク60がインクで満杯になったことを検出できる。
【0087】
マーク部材90は、
図4に示すように、廃液タンク60において、インク吸収フォーム62が吸収可能なインク量を超えたときに検出マーク91にインクが付着する場合を除き、検出マーク91にインクが付着しないように配置される。例えば、マーク部材90は、上面部65において、ノズル42から吐出または漏出したインクが検出マーク91に付着しない位置に設けられる。これにより、検出マーク91が損傷していない限り、上記の場合を除き、メディアセンサ45は、検出マーク91を読取ることができる。
【0088】
本実施形態では、
図7に示すように、検出マーク91は、一次元のバーコード形状である。一次元のバーコード形状である検出マーク91は、メディアセンサ45の読取方向から順に、スタートキャラクタを示す第1領域911と、データを示す第2領域912と、エンドキャラクタを示す第3領域913と、を有している。読取方向は、インクジェットプリンタ1を上方から見たときに、プラテン43から廃液タンク60に向かう方向である。本実施形態では、読取方向は、左右方向において、右から左に向かう方向である。
【0089】
メディアセンサ45がスタートキャラクタを読取ることにより、制御部100は検出マーク91の開始位置を認識できる。メディアセンサ45がエンドキャラクタを読取ることにより、制御部100は検出マーク91の終了位置を認識できる。すなわち、制御部100は、第2領域912から読取ったデータが、廃液タンク60に関する情報であると認識できる。
【0090】
また、メディアセンサ45がスリット452を備える場合、検出マーク91を構成する複数のバーのうちの隣接する2つのバーの間の幅W1は、スリット452の幅以上である。幅W1がスリット452の幅よりも小さい場合、メディアセンサ45が、隣接する2つのバーを同時に読取ってしまい、制御部100が、検出マーク91に含まれる情報を誤って読取ってしまう可能性がある。幅W1をスリット452の幅以上とすることにより、メディアセンサ45および制御部100による検出マーク91の読取精度を高めることができる。
【0091】
本実施形態では、検出マーク91は、第2領域912において、当該検出マーク91が示された廃液タンク60に関する情報を含んでいる。廃液タンク60に関する情報は、メディアセンサ45によって読取られ、ROMに記憶される。
【0092】
廃液タンク60に関する情報としては、例えば、廃液タンク60に固有のシリアルナンバー、廃液タンク60の製造年月日、廃液タンク60の型式、および、廃液タンク60の仕様を示す情報が挙げられる。廃液タンク60が、廃液タンク60が使用される国の事情に適合する仕様にて製造されている場合、廃液タンク60には、例えば、「EU(欧州)」向け、「US(米国)」向け、「JP(日本)」向けの3つの仕様がある。この場合、廃液タンク60の仕様を示す情報は、上述の何れかの仕様を示す情報であってよい。
【0093】
また、廃液タンク60に関する情報には、本体筐体11に装着されている廃液タンク60が純正品であることを示す純正品情報が含まれていてもよい。純正品は、インクジェットプリンタ1の製造メーカーが製造した廃液タンクを指す。なお、インクジェットプリンタ1の製造メーカー以外の第三者が製造した廃液タンクを、サード品と称する。
【0094】
第2領域912において、廃液タンク60に関する情報に含まれる各種情報が示される位置は予め決められている。また、バーの太さ、バーの本数、および、隣接する2つのバーの間の幅W1の長さ等によって、上記各種情報の内容が予め決められている。そのため、制御部100は、メディアセンサ45が、第2領域912において読取方向に沿って順に読取ったバーに基づいて、上記各種情報の内容を読取ることができる。
【0095】
〔制御部100による処理例〕
次に、制御部100による処理の一例について、
図8および
図9に基づいて説明する。
図8は、メンテナンスユニット8が記録ヘッド41をメンテナンスするときの制御部100による処理の一例を示すフローチャートである。
図9は、廃液タンク60が交換されるときの制御部100による処理の一例を示すフローチャートである。
【0096】
〔記録ヘッド41のメンテナンス時の処理フロー〕
図8に示すように、ステップS1において、制御部100は、記録ヘッド41のメンテナンスを実行するかを判定する。例えば、制御部100は、上記メンテナンスの実行開始または実行終了から所定時間を計測し、上記メンテナンスの実行開始または実行終了から所定時間が経過したと判定した場合に、上記メンテナンスを実行すると判定してもよい。また例えば、制御部100は、操作パネル13を介して、上記メンテナンスを実行するユーザ操作を受付けた場合に、上記メンテナンスを実行すると判定してもよい。
【0097】
制御部100は、上記所定時間が経過した場合、または、上記ユーザ操作を受付けた場合、ステップS1のYESからステップS2に処理を進める。制御部100は、上記所定時間が経過していない場合、または、上記ユーザ操作を受付けていない場合、すなわちステップS1でNOの場合、ステップS1の処理を実行する。
【0098】
ステップS2において、制御部100は、キャリッジ40を、メンテナンスユニット8の上方に移動させた後、廃液タンク60の上方まで移動させる。制御部100は、キャリッジ40を、廃液タンク60の上方に移動させた後、メンテナンスユニット8の上方に移動させてもよい。
【0099】
ステップS3において、制御部100は、ステップS2におけるキャリッジ40の移動により、メディアセンサ45が廃液タンク60に設けられた検出マーク91の上方に位置したときに、メディアセンサ45による検出マーク91の読取りを実行する。ステップS3の処理は第2読取処理の一例である。
【0100】
ステップS4において、制御部100は、検出マーク91を読取ることができたかを判定する。制御部100は、検出マーク91を読取ることができたと判定した場合、ステップS4のYESからステップS5に処理を進める。
【0101】
ステップS5において、制御部100は、検出マーク91の読取りにより、検出マーク91に含まれるシリアルナンバーを取得する。制御部100は、取得したシリアルナンバーが、ROMに記憶されているシリアルナンバーと一致するかを判定する。
【0102】
制御部100は、検出マーク91から取得したシリアルナンバーが、ROMに記憶されているシリアルナンバーと一致すると判定した場合、すなわちステップS5でYESの場合、
図8に示す処理フローを終了する。この場合、制御部100は、検出マーク91にインクが付着しておらず、本体筐体11に装着されている廃液タンク60がインクで満杯の状態ではなく、廃液タンク60を続行して使用できると判定できる。つまり、制御部100は、記録ヘッド41をメンテナンスするときに、メディアセンサ45による検出マーク91の読取結果に基づいて、廃液タンク60がインクで満杯であるかを判定できる。また、制御部100は、ステップS5でYESの場合、本体筐体11に装着されている廃液タンク60のシリアルナンバーを管理できている。そのため、制御部100は、
図8に示す処理フローを終了する。
【0103】
制御部100は、検出マーク91から取得したシリアルナンバーが、ROMに記憶されているシリアルナンバーと一致しないと判定した場合、すなわちステップS5でNOの場合、ROMに記憶されているシリアルナンバーを、検出マーク91から取得したシリアルナンバーに書き換える。これにより、制御部100は、本体筐体11に装着されている廃液タンク60のシリアルナンバーを管理することが可能となる。制御部100は、ステップS6の処理後、
図8に示す処理フローを終了する。
【0104】
またステップS4において、制御部100は、検出マーク91を読取ることができなかったと判定した場合、ステップS4のNOからステップS7に処理を進める。ステップS7において、制御部100は、ROMに、本体筐体11に装着されている廃液タンク60が純正品であることを示す純正品情報が記憶されているかを判定する。ステップS7の処理は、判定処理の一例である。
【0105】
制御部100は、ROMに純正品情報が記憶されていると判定した場合、ステップS7から、
図9に示すステップS11に処理を進める。制御部100は、ROMに純正品情報が記憶されていないと判定した場合、本体筐体11に装着されている廃液タンク60がサード品であると判定し、
図8の処理フローを終了する。
【0106】
〔廃液タンク60の交換時の処理フロー〕
図9に示すように、制御部100は、
図8のステップS7でYESの場合、ステップS11において、インクジェットプリンタ1にエラーが生じたこと、および、廃液タンク60の交換指示を、操作パネル13の液晶表示部に表示する。ステップS11の処理は、制御部100が廃液タンク60の交換を報知する報知処理の一例である。
【0107】
廃液タンク60がサード品である場合、メディアセンサ45は検出マーク91を読取ることができない。そのため、メディアセンサ45が検出マーク91を読取ることができないが、ROMに純正品情報が記憶されている場合には、本体筐体11に装着されている廃液タンク60は純正品である可能性が高い。従って、制御部100は、検出マーク91を読取れず、かつ純正品情報を記憶している場合に、ステップS11の処理を実行することにより、検出マーク91へのインクの付着により満杯になった可能性が高い廃液タンク60の交換を、ユーザに促すことができる。
【0108】
また、制御部100は、
図8のステップS4でNOの場合に、すなわちメディアセンサ45が検出マーク91を読取ることができなかった場合に、ステップS11の処理を実行する。上述したように、マーク部材90がインク吸収フォーム62に載置されているとき、インク吸収フォーム62が吸収可能なインク量を超えた場合には、検出マーク91にインクが付着する。この場合、メディアセンサ45は検出マーク91を読取ることができない。従って、制御部100は、検出マーク91を読取ることができなかった場合、インクが検出マーク91に付着したものとして、すなわち廃液タンク60がインクで満杯になったものとして、廃液タンク60の交換をユーザに促すことができる。
【0109】
但し、本体筐体11に装着されている廃液タンク60が純正品からサード品に変更された場合に、制御部100が、ROMに記憶されている純正品情報を、本体筐体11に装着された廃液タンク60がサード品であることを示す情報に書き換えなかったとする。この場合については、制御部100は、サード品である廃液タンク60がインクで満杯であるかどうかに限らず、ステップS7でYESと判定し、
図9の処理フローを実行する。
【0110】
ステップS11の処理後、ステップS12において、制御部100は、廃液タンク60の装着が完了したことを示すユーザ操作を受付けたかを判定する。ユーザは、液晶表示部の表示を視認することにより、本体筐体11に装着されている廃液タンク60を、別の廃液タンク60に交換する。ユーザは、廃液タンク60を交換した後、操作パネル13を介して、廃液タンク60の装着が完了したことを示すユーザ操作を行う。
【0111】
ステップS12において、制御部100は、廃液タンク60の装着が完了したことを示すユーザ操作を受付けたと判定した場合、すなわちステップS12でYESの場合、ステップS13に処理を進める。一方、制御部100は、廃液タンク60の装着が完了したことを示すユーザ操作を受付けていない場合、すなわちステップS12でNOの場合、ステップS11の処理を実行する。
【0112】
ステップS13において、制御部100は、キャリッジ40を廃液タンク60の上方に移動させる。その後、ステップS14において、制御部100は、メディアセンサ45による検出マーク91の読取りを実行する。すなわち、制御部100は、廃液タンク60が本体筐体11に装着された場合に、メディアセンサ45による検出マーク91の読取りを実行する。ステップS14の処理は、第1読取処理の一例である。
【0113】
ステップS15において、制御部100は、検出マーク91を読取ることができたかを判定する。制御部100は、検出マーク91を読取ることができたと判定した場合、ステップS15のYESからステップS16に処理を進める。
【0114】
ステップS16において、制御部100は、ROMに記憶された廃液カウント値を初期値に戻す。ステップS16の処理は、リセット処理の一例である。ステップS17において、制御部100は、ROMに記憶された読取エラー回数値を初期値に戻す。なお、制御部100は、ステップS15において、メディアセンサ45が検出マーク91を読取ることができなかった場合に、読取エラー回数値をインクリメントしている。
【0115】
ステップS18において、制御部100は、ROMに、本体筐体11に装着されている廃液タンク60が純正品であることを示す純正品情報を記憶する。ステップS18は、記憶処理の一例である。具体的には、制御部100は、ROMに記憶された、交換前の廃液タンク60が純正品またはサード品であることを示す情報を、交換後の廃液タンク60が純正品であることを示す情報に書き換える。制御部100は、ステップS15で読取った検出マーク91に純正品情報が含まれている場合には、ステップS15で読取った純正品情報をROMに記憶してもよい。
【0116】
制御部100は、ステップS18の処理を実行することにより、純正品である廃液タンク60を交換対象として特定できる。そのため、制御部100は、
図8のステップS7でYESの場合に、ステップS11の処理に進めることができ、ユーザに、廃液タンク60の交換を促すことが可能となる。
【0117】
ステップS16~S18の処理はどのようは順序で実行されてもよく、例えば、ステップS16~S18の各処理が並行して実行されてもよい。
【0118】
制御部100は、ステップS16~S18の処理後、インクジェットプリンタ1にエラーが生じていることを示す表示を解除する。制御部100は、インクジェットプリンタ1のエラーが解消したことを示す表示を、液晶表示部において行ってもよい。
【0119】
このように、制御部100は、廃液タンク60が装着された後に検出マーク91を読取ることができた場合、使用済の廃液タンク60が新品の廃液タンク60に交換されたと判別できる。そのため、制御部100は、廃液カウント値をリセットすることにより、インクジェットプリンタ1のエラーを解除して、インクジェットプリンタ1を、印刷を実行可能な状態とすることができる。また、制御部100は、廃液カウント値をリセットすることにより、交換後の廃液タンク60内のインク量を適切に管理できる。
【0120】
ステップS15において、制御部100は、検出マーク91を読取ることができなかったと判定した場合、ステップS15のNOからステップS20に処理を進める。ステップS20では、制御部100は、本体筐体11に装着された廃液タンク60の状態に関するユーザ操作を受付けたかを判定する。具体的には、制御部100は、操作パネル13を介して、本体筐体11に装着された廃液タンク60が純正品であるか、サード品であるか、または使用済であるか、を示すユーザ操作を受付けたかを判定する。
【0121】
制御部100は、廃液タンク60が純正品であることを示すユーザ操作を受付けた場合、ステップS21に処理を進める。ステップS21では、制御部100は、ROMに記憶された読取エラー回数値が規定回数未満であるかを判定する。
【0122】
制御部100は、読取エラー回数値が規定回数未満であると判定した場合、すなわちステップS21でYESの場合、ステップS22に処理を進める。ステップS22において、制御部100は、本体筐体11への廃液タンク60の挿直しを促すことを示す表示を、液晶表示部において行う。制御部100は、ステップS22の処理後、ステップ12に処理を進める。
【0123】
制御部100は、読取エラー回数値が規定回数以上であると判定した場合、すなわちステップS21でNOの場合、ステップS23に処理を進める。ステップS23において、制御部100は、通信部(不図示)を介して、インクジェットプリンタ1のサポートデスクに対して、ユーザが本体筐体11に装着しようとしている廃液タンク60が不良品である虞があることを示す通知を行う。
【0124】
ユーザが、新品かつ純正品である廃液タンク60を装着した場合には、メディアセンサ45が検出マーク91を読取ることができると想定される。そのため、メディアセンサ45が検出マーク91を読取ることができなかった場合には、廃液タンク60が本体筐体11の適切な位置に装着されていないことが想定される。従ってこの場合、制御部100は、廃液タンク60の挿直しを報知することにより、ユーザに、廃液タンク60を本体筐体11に再度差し込ませることができる。
【0125】
ユーザによって廃液タンク60が挿直された後に、制御部100は、ステップS13~S15を再度実行する。その結果、制御部100は、ステップS15でYESと判定した場合、廃液カウント値をリセットして、インクジェットプリンタ1のエラーを解除できる。
【0126】
一方、読取エラー回数値が規定回数以上である場合、廃液タンク60が適切な位置に装着されているにもかかわらず、メディアセンサ45が検出マーク91を読取ることができていないことが想定される。この場合、廃液タンク60の製造時に検出マーク91が損傷する等、マーク部材90が不良品であることが想定される。従って、制御部100は、読取エラー回数値が規定回数以上である場合にステップS23の処理に進めることにより、不良品の虞がある廃液タンク60の取換えを可能とする。
【0127】
ステップS20において、制御部100は、廃液タンク60が使用済であることを示すユーザ操作を受付けた場合、ステップS11に処理を進める。すなわちこの場合、制御部100は、廃液タンク60の交換指示を、液晶表示部に表示する。廃液タンク60を交換したにもかかわらず、メディアセンサ45が検出マーク91を読取ることができない場合、交換後の廃液タンク60が新品ではなく、検出マーク91にインクが付着、または検出マーク91が損傷していることが想定される。ユーザは、検出マーク91を視認することにより、検出マーク91へのインクの付着、または検出マーク91の損傷を認識できる。制御部100は、廃液タンク60が使用済であることを示すユーザ操作を受付けた場合には、検出マーク91にインクが付着している、または検出マーク91が損傷している可能性があることを、液晶表示部に表示してもよい。
【0128】
ステップS20において、制御部100は、廃液タンク60がサード品であることを示すユーザ操作を受付けた場合、ステップS24に処理を進める。ステップS24において、制御部100は、廃液タンク60を使用した場合には印刷の品質が保証できない等、廃液タンク60についての使用上の注意事項を、液晶表示部に表示する。
【0129】
また、ステップS25において、制御部100は、ROMに記憶された廃液カウント値を初期値に戻す。ステップS25の処理は、リセット処理の一例である。ステップS26において、制御部100は、ROMに記憶された読取エラー回数値を初期値に戻す。
【0130】
ステップS27において、制御部100は、ROMに、本体筐体11に装着されている廃液タンク60がサード品であることを示す情報を記憶する。具体的には、制御部100は、ROMに記憶された、交換前の廃液タンク60が純正品またはサード品であることを示す情報を、交換後の廃液タンク60がサード品であることを示す情報に書き換える。
【0131】
ステップS24~S27の処理はどのようは順序で実行されてもよく、例えば、ステップS24~S27の各処理が並行して実行されてもよい。制御部100は、ステップS24~S27の処理後、ステップS19の処理を実行する。
【0132】
このように、制御部100は、本体筐体11に装着されている廃液タンク60がサード品である場合についても、廃液カウント値をリセットする。これにより、インクジェットプリンタ1のエラーを解除して、インクジェットプリンタ1を、印刷を実行可能な状態とすることができる。
【0133】
以上のように、廃液タンク60が本体筐体11に装着された場合に、制御部100は、メディアセンサ45が検出マーク91を読取る第1読取処理を実行する。本実施形態では、メディアセンサ45が検出マーク91を読取ることができた場合には、制御部100は、純正品である廃液タンク60に交換されたものと判別できる。一方、メディアセンサ45が検出マーク91を読取ることができなかった場合には、制御部100は、例えば、サード品または使用済である廃液タンク60に交換されたものと判別できる。すなわち、制御部100は第1読取処理を実行することにより、メディアセンサ45による検出マーク91の読取結果に基づいて、廃液タンク60の交換を判別できる。
【0134】
〔本実施形態の効果〕
本実施形態のインクジェットプリンタ1では、キャリッジ40の走査方向に配置された廃液タンク60におけるキャリッジ40と対向する上面部65に、検出マーク91が設けられている。そして、キャリッジ40には、検出マーク91を読取るメディアセンサ45が設けられている。
【0135】
上記の構成によれば、制御部100は、廃液タンク60にICチップを設けなくても、メディアセンサ45による検出マーク91の読取結果に基づいて、廃液タンク60の交換を判別できる。そのため、インクジェットプリンタ1では、廃液タンク60にICチップを設けることによる、ICチップの故障、または、ICチップに記憶された情報の読取不良の発生を回避できる。また、インクジェットプリンタ1では、ICチップの削減により、インクジェットプリンタ1および廃液タンク60のコストを低減できる。
【0136】
また、インクジェットプリンタ1では、上述のように、廃液タンク60は、インクジェットプリンタ1の上方から見て、プラテン43よりも外側に配置されている。そのため、メディアセンサ45から下方を見たときに、廃液タンク60に設けられた検出マーク91がプラテン43に隠れてしまい、メディアセンサ45が検出マーク91を読取ることができなという事態が発生することを回避できる。従って、インクジェットプリンタ1では、プラテン43を加工せずとも、メディアセンサ45が検出マーク91を読取ることができる。
【0137】
〔変形例1:プラテン43の変形例〕
インクジェットプリンタ1は、
図10に示すようなインクジェットプリンタ1Aであってもよい。
図10は、インクジェットプリンタ1の変形例であるインクジェットプリンタ1Aの内部構成の概略を示す断面図である。
図10に示すように、インクジェットプリンタ1Aは、プラテン43A、廃液タンク60Aおよびフラッシングユニット70Aを備える。
【0138】
廃液タンク60Aは、インクジェットプリンタ1Aの上方から見て、キャリッジ40の走査方向において、
図3に示す廃液タンク60よりも大きい。具体的には、廃液タンク60Aの一部は、インクジェットプリンタ1Aの上方から見て、キャリッジ40の走査方向においてプラテン43Aと重なるように、プラテン43Aの下方に配置されている。そのため、廃液タンク60Aは、メンテナンスユニット8またはフラッシングユニット70Aを介して受取ったインク等を、廃液タンク60よりも多く貯蔵できる。フラッシングユニット70Aは、廃液タンク60Aに対応して、キャリッジ40の走査方向において、
図3に示すフラッシングユニット70よりも大きい。
【0139】
本変形例では、マーク部材90は、インクジェットプリンタ1Aの上方から見て、キャリッジ40の走査方向においてプラテン43Aと重なる位置であって、かつ、廃液タンク60Aの上面部65Aに設けられている。上面部65Aは、廃液タンク60Aにおけるキャリッジ40と対向する面の一例である。
【0140】
プラテン43Aは、開口部431を備える。開口部431は、プラテン43Aにおいて、検出マーク91と対向する位置に設けられている。これにより、プラテン43Aと対向する位置に検出マーク91が存在する場合であっても、メディアセンサ45は、開口部431を介して、検出マーク91を読取ることができる。
【0141】
なお、廃液タンクの一部がプラテン43Aの下方に配置されている場合、廃液タンクの形状は、
図10に示す形状に限られない。例えば、インクジェットプリンタ1Aにおいて、
図3に示す廃液タンク60が用いられてもよい。プラテン43Aには開口部431が設けられているため、検出マーク91を、廃液タンク60における開口部431と対向する位置に設けることができる。そのため、廃液タンク60を、インクジェットプリンタ1Aの上方から見て、より搬送路R1側に設けることが可能である。この場合、フラッシング処理において、キャリッジ40が走査する距離を短くすることができる。
【0142】
また、本変形例では、プラテン43Aは、開口部431を有するが、開口部431に代えて、透明部材等の光を透過する光透過部を有していてもよい。この場合、メディアセンサ45は、光透過部を介して、検出マーク91を読取ることができる。
【0143】
〔変形例2:検出マーク91の変形例〕
検出マーク91は、一次元のバーコード形状でなくてもよい。例えば、検出マーク91は、二次元コードであってもよい。この場合、キャリッジ40には、メディアセンサ45に代えて、二次元コードを読取るカメラが設けられる。すなわち、読取部が検出マーク91を読取ることが可能な部材で構成されていれば、検出マーク91はどのような形状であってもよい。
【0144】
検出マーク91が一次元コードまたは二次元コードを含むバーコード形状である場合、上述のように、検出マーク91に廃液タンク60に関する情報を含めることができる。この場合、制御部100は、インクジェットプリンタ1に装着されている廃液タンク60に関する情報を管理できる。但し、検出マーク91に廃液タンク60に関する情報が含まれていなくてもよい。この場合、検出マーク91は、バーコード形状でなくてもよく、より単純な形状のマークであってよい。
【0145】
検出マーク91は、マーク部材90に印刷されていなくてもよい。例えば、検出マーク91は、キャリッジ40と対向する廃液ケース61の面の一部、および/または、キャリッジ40と対向するインク吸収フォーム62の一部に形成された、凹部および/または凸部であってもよい。また例えば、検出マーク91は、スリット形状によって、上述の一次元のバーコード形状を表したものであってもよい。また、検出マーク91は、キャリッジ40と対向する廃液ケース61の面の一部、および/または、キャリッジ40と対向するインク吸収フォーム62の一部に、直接印刷されてもよい。
【0146】
さらに、検出マーク91に対して、撥水加工が施されているか、またはフィルムが貼付されていてもよい。この場合、検出マーク91にインクが付着する可能性、または検出マーク91が損傷する可能性を低減できる。但し、検出マーク91へのインクの付着によって、制御部100が廃液タンク60の満杯を検出する構成の場合には、撥水加工またはフィルムの貼付はなされなくてよい。
【0147】
〔変形例3:マーク部材90の配置位置に関する変形例〕
上述した実施形態では、制御部100は、メディアセンサ45が検出マーク91を読取ることができなかった場合に、廃液タンク60がインクで満杯になったものとして、廃液タンク60の交換を促すことができる。しかし、廃液タンク60の満杯検出は、検出マーク91を読取れなかったことに基づいて行われなくてもよい。例えば、制御部100は、廃液カウント値が予め設定された閾値以上となった場合に、廃液タンク60がインクで満杯になったことを検出してもよい。また、廃液タンク60の満杯検出が検出マーク91を用いて行われない場合、マーク部材90の一部をインク吸収フォーム62上に設けなくてもよい。例えば、マーク部材90の全体が廃液ケース61上に位置するように、マーク部材90を廃液タンク60に設けてもよい。
【0148】
〔ソフトウェアによる実現例〕
インクジェットプリンタ1,1Aの機能は、インクジェットプリンタ1,1Aとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、インクジェットプリンタ1,1Aの制御部100としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0149】
この場合、インクジェットプリンタ1,1Aは、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記実施形態で説明した各機能が実現される。
【0150】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、インクジェットプリンタ1,1Aが備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介してインクジェットプリンタ1,1Aに供給されてもよい。
【0151】
また、制御部100の機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、制御部100として機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0152】
また、上記実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0153】
〔付記事項〕
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0154】
1,1A インクジェットプリンタ(液体吐出装置)
8 メンテナンスユニット
11 本体筐体
40 キャリッジ
41 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
42 ノズル
421 ノズル面
43,43A プラテン
431 開口部
45 メディアセンサ(読取部)
452 スリット
60,60A 廃液タンク
62 インク吸収フォーム(吸収部材)
65,65A 上面部(廃液タンクにおけるキャリッジと対向する面)
90 マーク部材
91 検出マーク
100 制御部
P シート(記録媒体)
R1 搬送路
W1 幅