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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172287
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】携帯医療機器の防滴構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/06 20060101AFI20231129BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20231129BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H05K5/06 D
F16J15/10 C
F16J15/10 T
H05K5/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083980
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000243364
【氏名又は名称】本多電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】大森 健児
【テーマコード(参考)】
3J040
4E360
【Fターム(参考)】
3J040AA17
3J040BA02
3J040EA16
3J040FA08
3J040HA03
3J040HA21
4E360AB02
4E360AB33
4E360AB42
4E360BA08
4E360BB02
4E360BB22
4E360BC07
4E360BC08
4E360BD03
4E360BD05
4E360EA18
4E360ED02
4E360GA29
4E360GB99
4E360GC08
(57)【要約】
【課題】構造体にかかる圧力を低減しつつ防滴を維持できる構造を、低コストで実現することができる携帯医療機器の防滴構造を提供すること。
【解決手段】本発明の携帯医療機器の防滴構造は、パッキン40、パッキン保持部41及び押圧突条51を備える。また、携帯医療機器は、第1の構造体13と第2の構造体14とがパッキン40を介して着脱可能に取り付けられた構造を有する。パッキン保持部41は、パッキン40を収容して保持する環状溝42を有し、環状溝42の底部に環状の凹部45を有する。また、押圧突条51は、パッキン40の直径D1の半分程度まで食い込むことにより、パッキン40を環状溝42の底部方向に押圧する。一方、凹部45の開口縁にある一対の段部46は、パッキン40に食い込むことにより、パッキン40を押圧突条51側に押圧する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する第1の構造体と前記開口部を覆う第2の構造体とがパッキンを介して着脱可能に取り付けられた携帯医療機器の防滴構造であって、
非押圧時における断面形状が略円形状である前記パッキンと、
前記パッキンが収容されて保持される環状溝を有し、前記開口部の周縁を包囲するように形成されたパッキン保持部と、
前記第1の構造体及び前記第2の構造体のうち前記パッキン保持部が形成されていない側の構造体において、前記パッキン保持部内に挿入しうる位置に形成され、前記パッキンを押圧する押圧突条と
を備え、
前記押圧突条は、先端が細くなった断面形状を有し、前記パッキンの直径の半分程度まで食い込むことにより、前記パッキンを前記環状溝の底部方向に押圧し、
前記パッキン保持部は、前記環状溝の前記底部において前記押圧突条の先端に対向した位置に、環状の凹部を有し、
前記凹部の開口縁にある一対の段部が前記環状溝内に収容された前記パッキンに食い込むことにより、前記パッキンを前記押圧突条側に押圧する
ことを特徴とする携帯医療機器の防滴構造。
【請求項2】
前記押圧突条が、前記開口部の中心側に傾くように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯医療機器の防滴構造。
【請求項3】
前記環状溝は、前記開口部を包囲する状態で前記第1の構造体または前記第2の構造体に設けられた内周側壁と、前記内周側壁を包囲する状態で前記第1の構造体または前記第2の構造体に設けられた外周側壁とによって構成され、
前記外周側壁の高さが前記内周側壁の高さよりも高くなっている
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯医療機器の防滴構造。
【請求項4】
前記パッキンは、独立気泡を有する材料からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯医療機器の防滴構造。
【請求項5】
前記パッキンは、前記押圧突条に押圧されることにより、前記環状溝の側面及び底面並びに前記凹部の側面及び底面に面接触して密着することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯医療機器の防滴構造。
【請求項6】
前記第2の構造体は、前記開口部を覆う蓋体であり、
前記開口部に前記押圧突条が設けられ、前記蓋体の内面に前記パッキン保持部が設けられる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯医療機器の防滴構造。
【請求項7】
前記パッキンは、独立気泡を有する材料からなることを特徴とする請求項6に記載の携帯医療機器の防滴構造。
【請求項8】
前記パッキンは、前記押圧突条に押圧されることにより、前記環状溝の側面及び底面並びに前記凹部の側面及び底面に面接触して密着することを特徴とする請求項6に記載の携帯医療機器の防滴構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の構造体と第2の構造体とがパッキンを介して着脱可能に取り付けられた携帯医療機器の防滴構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、牛や豚などの家畜を診断する超音波画像診断装置等の携帯医療機器に対して、防滴機能を付与することが求められている。携帯医療機器に防滴機能を付与する方法としては、例えば、互いに組み合わされる一対の構造体間の隙間をパッキンで閉塞することが従来提案されている(例えば、特許文献1~7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-287768号公報(図1等)
【特許文献2】特開2009-30773号公報(図2図5図6等)
【特許文献3】特開平9-18169号公報(請求項1~4、図3図4等)
【特許文献4】特開2013-8844号公報(図2図3等)
【特許文献5】特開2013-26190号公報(段落[0045],[0046]、図3等)
【特許文献6】特開平11-25940号公報(段落[0010],[0011]、図3等)
【特許文献7】特開2008-288174号公報(段落[0031]、図7等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯医療機器の防滴を維持するためには、構造体同士をネジ止めするなどして、パッキンに一定以上の強い圧力をかける必要があるが、かける圧力が強過ぎると、構造体が変形してしまうという問題がある。なお、構造体の変形を防ぐためには、多数箇所でネジ止めしたり、金属を利用して構造体を強化したり、機械的なロック機構を用いて構造体を固定したりすることなどが考えられるが、いずれも製品コストの上昇に繋がってしまう。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造体にかかる圧力を低減しつつ防滴を維持できる構造を、低コストで実現することができる携帯医療機器の防滴構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、開口部を有する第1の構造体と前記開口部を覆う第2の構造体とがパッキンを介して着脱可能に取り付けられた携帯医療機器の防滴構造であって、非押圧時における断面形状が略円形状である前記パッキンと、前記パッキンが収容されて保持される環状溝を有し、前記開口部の周縁を包囲するように形成されたパッキン保持部と、前記第1の構造体及び前記第2の構造体のうち前記パッキン保持部が形成されていない側の構造体において、前記パッキン保持部内に挿入しうる位置に形成され、前記パッキンを押圧する押圧突条とを備え、前記押圧突条は、先端が細くなった断面形状を有し、前記パッキンの直径の半分程度まで食い込むことにより、前記パッキンを前記環状溝の底部方向に押圧し、前記パッキン保持部は、前記環状溝の前記底部において前記押圧突条の先端に対向した位置に、環状の凹部を有し、前記凹部の開口縁にある一対の段部が前記環状溝内に収容された前記パッキンに食い込むことにより、前記パッキンを前記押圧突条側に押圧することを特徴とする携帯医療機器の防滴構造をその要旨とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、押圧突条がパッキンの直径の半分程度まで食い込むことにより、パッキンを環状溝の底部方向に押圧する。また、凹部の開口縁にある一対の段部が環状溝内に収容されたパッキンに食い込むことにより、パッキンを押圧突条側に押圧する。これにより、パッキンを2方向から効率良く圧縮できるため、パッキンや構造体に強い圧力をかけなくても、携帯医療機器の防滴を維持することができる。これに伴い、構造体の変形を防ぐための対策を講じなくても済むため、携帯医療機器の防滴構造を低コストで実現することができる。また、パッキンは、非押圧時における断面形状が略円形状であるため、パッキンの形成が容易である。さらに、環状溝が底部に凹部を有することにより、パッキンは、押圧突条側に押圧された際に変形して、外周面が環状溝の内側面及び凹部の内側面に接触する。その結果、パッキン保持部とパッキンとの界面が複雑になり、水滴の浸入経路が長くなるため、携帯医療機器の外側から浸入してくる水滴を確実に遮断することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記押圧突条が、前記開口部の中心側に傾くように配置されていることをその要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、押圧突条が傾いて配置されているため、押圧突条の先端は、パッキンの中心からずれた位置に食い込むようになる。これにより、押圧突条の先端がパッキンの中心に食い込む場合よりも、パッキンにかかる圧力が小さくなるため、パッキンの破損を防止することができる。また、押圧突条が、開口部の中心側、即ち、第1の構造体の内側に傾いているため、パッキンは、押圧突条に押圧されるのに従って第1の構造体(開口部)の外側に逃げるように変形し、第1の構造体のパッキン保持部の外周側により強く押し付けられる。これにより、第1の構造体の外側から浸入してくる水滴を、水滴の浸入経路の手前側で遮断することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記環状溝は、前記開口部を包囲する状態で前記第1の構造体または前記第2の構造体に設けられた内周側壁と、前記内周側壁を包囲する状態で前記第1の構造体または前記第2の構造体に設けられた外周側壁とによって構成され、前記外周側壁の高さが前記内周側壁の高さよりも高くなっていることをその要旨とする。
【0011】
パッキンは、開口部の中心側に傾いた押圧突条に押圧されるのに伴い、第1の構造体または第2の構造体の外周側に逃げるように変形する。そこで、請求項3に記載の発明のように、外周側壁の高さを内周側壁の高さよりも高くすれば、環状溝内に収容されたパッキンを確実に保持することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記パッキンは、独立気泡を有する材料からなることをその要旨とする。また、請求項7に記載の発明は、請求項6において、前記パッキンは、独立気泡を有する材料からなることをその要旨とする。
【0013】
請求項4,7に記載の発明によれば、パッキンが独立気泡を有することで、パッキンを圧縮しやすくなるため、パッキンに強い圧力をかけなくても、携帯医療機器の防滴を維持することができる。また、パッキンが有する気泡は、他の気泡と連通しない独立気泡であるため、水滴が気泡を介してパッキンを通過するのを防止することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記パッキンは、前記押圧突条に押圧されることにより、前記環状溝の側面及び底面並びに前記凹部の側面及び底面に面接触して密着することをその要旨とする。また、請求項8に記載の発明は、請求項6において、前記パッキンは、前記押圧突条に押圧されることにより、前記環状溝の側面及び底面並びに前記凹部の側面及び底面に面接触して密着することをその要旨とする。
【0015】
請求項5,8に記載の発明によれば、パッキンが押圧突条に押圧されることにより、パッキンの外周面と環状溝の内側面(側面及び底面)との間や、パッキンの外周面と凹部の内側面(側面及び底面)との間に、隙間が生じなくなる。この場合、環状溝及び凹部を有するパッキン保持部とパッキンとの界面が複雑になり、水滴の浸入経路が長くなるため、携帯医療機器のシール性及び防滴性が向上する。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1または2において、前記第2の構造体は、前記開口部を覆う蓋体であり、前記開口部に前記押圧突条が設けられ、前記蓋体の内面に前記パッキン保持部が設けられることをその要旨とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、パッキン保持部の環状溝に収容されるパッキンが蓋体(第2の構造体)側に配置される。このため、パッキンが劣化した際に、蓋体を取り替えればパッキンを交換できるため、パッキン(パッキン保持部)が第1の構造体側に配置される場合よりも、パッキンの交換が容易になる。
【発明の効果】
【0018】
以上詳述したように、請求項1~8に記載の発明によると、構造体にかかる圧力を低減しつつ防滴を維持できる構造を、低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態における携帯医療機器を示す概略斜視図。
図2】ケース本体を示す要部背面図。
図3】蓋体の内面側を示す斜視図。
図4】蓋体を閉じる前の状態における、パッキン、パッキン保持部及び押圧突条の関係を示す断面図。
図5】正面側ケースに背面側ケースを取り付ける前の状態における、パッキン、パッキン保持部及び押圧突条の関係を示す断面図。
図6】正面側ケースに背面側ケースを取り付けた後の状態における、パッキン、パッキン保持部及び押圧突条の関係を示す断面図。
図7】蓋体を閉じた後の状態における、パッキン、パッキン保持部及び押圧突条の関係を示す断面図。
図8】他の実施形態において、蓋体を閉じる前のパッキン、パッキン保持部及び押圧突条の関係を示す断面図。
図9】他の実施形態において、蓋体を閉じた後のパッキン、パッキン保持部及び押圧突条の関係を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
図1に示されるように、本実施形態の超音波画像診断装置11(携帯医療機器)は、牛や豚などの家畜の妊娠を診断する動物用の診断装置である。超音波画像診断装置11は、信号伝送ケーブルを介して超音波プローブ(図示略)に接続されている。超音波プローブは、操作者に把持される部材であって、その先端部には複数個の超音波振動子(図示略)が設けられている。また、超音波画像診断装置11の内部には図示しない回路基板が収容され、その回路基板上には、コントローラや複数の回路等が配置されている。コントローラは、周知の中央処理装置(CPU)を含んで構成されたマイクロコンピュータであり、超音波画像診断装置11全体を統括的に制御する。また、超音波画像診断装置11は、バッテリ用開口部12を有するケース本体13(第1の構造体)と、バッテリ用開口部12を覆う蓋体14(第2の構造体)とを備えている。なお、バッテリ用開口部12内には、各回路に電源を供給するためのバッテリ21が収納可能となっている。
【0022】
図1図3に示されるように、蓋体14は、本体部15、前壁16、後壁17及び一対の側壁18を一体形成することによって構成されている。また、蓋体14の一端面14a(後壁17の外側面)には、ケース本体13に設けられた孔部(図示略)に挿入可能な5つの突片31が突設されている。一方、蓋体14において突片31が設けられている側とは反対側の端部(前壁16)には、ケース本体13に設けられた係止孔19に係止可能な一対の係止爪32が設けられている。なお、各突片31を孔部に挿入するとともに、両係止爪32を係止孔19に係止させることにより、蓋体14は、ケース本体13のバッテリ用開口部12の周縁に対して着脱可能に係合される。
【0023】
図3図4に示されるように、蓋体14の内面14bには、略矩形環状をなすパッキン保持部41が設けられている。パッキン保持部41は、バッテリ用開口部12の周縁を包囲するように形成され、パッキン40が収容されて保持される環状溝42を有している。なお、本実施形態のパッキン40は、多数の独立気泡を有するシリコーン樹脂(いわゆるシリコーンスポンジ)からなり、硬度が10~20程度となっている。ここで、本明細書で述べられている硬度は、デュロメータで測定したものであり、その測定方法はJIS K6253-3に準じるものとする。また、本実施形態のパッキン40は、全長が環状溝42の全長よりもやや長い柱状部材であり、非押圧時における断面形状が略円形状となっている。この場合、パッキン40を環状溝42に対して圧入気味に挿入すれば、パッキン40の両端部同士が互いに押圧されることでその部分に隙間がなくなるため、防滴を維持することができる。なお、パッキン40は、例えばOリングなどの別の部材であってもよい。
【0024】
さらに、環状溝42は、バッテリ用開口部12を包囲する状態で蓋体14に設けられた内周側壁43と、内周側壁43を包囲する状態で蓋体14に設けられた外周側壁44とによって構成され、側面42a及び底面42bを有している。なお、内周側壁43の高さは、外周側壁44の高さと等しくなっている。
【0025】
図2図4に示されるように、ケース本体13及び蓋体14のうちパッキン保持部41が形成されていない側の構造体(本実施形態では、ケース本体13)において、パッキン保持部41内に挿入しうる位置には、パッキン40を押圧する押圧突条51が形成されている。押圧突条51は、バッテリ用開口部12を包囲する状態で、ケース本体13の上面13aに突設されている。押圧突条51の幅は、環状溝42の幅の3分の1以上3分の2以下となっており、押圧突条51の長さ(高さ)は、環状溝42の深さの3分の1以上3分の2以下となっている。また、押圧突条51は、先端が細くなった断面形状を有し、バッテリ用開口部12の中心C1(図2参照)側に傾くように配置されている。よって、ケース本体13の上面13aに対する押圧突条51の内周側(バッテリ用開口部12側)の斜面51aの傾斜角度θ1は、上面13aに対する押圧突条51の外周側の斜面51bの傾斜角度θ2よりも大きくなっている。また、斜面51aと斜面51bとがなす角度θ3は、鋭角となっており、本実施形態では30°以上50°以下となっている。そして、角度θ3が小さくなる程、パッキン40を潰す際の圧力が小さくなる。なお、押圧突条51の先端部は、丸みを帯びた断面形状を有している。
【0026】
図4図7に示されるように、押圧突条51は、パッキン40の直径D1の半分程度、具体的には、パッキン40の直径D1の30%以上70%以下まで食い込むことにより、パッキン40を環状溝42の底部方向(図4図7では上方向)に押圧する。なお、押圧突条51の食い込みが、パッキン40の直径D1の70%を超えると、超音波画像診断装置11の防滴の維持のためにパッキン40に強い圧力がかかるようになるため、ケース本体13や蓋体14が変形するおそれがある。また、蓋体14をケース本体13側に押圧する力が強くなり過ぎるため、蓋体14の係止爪32をケース本体13の係止孔19に係止させることが困難になる。一方、押圧突条51の食い込みが、パッキン40の直径D1の30%未満になると、防滴性能が低下し、バッテリ用開口部12内に水滴が浸入しやすくなる。
【0027】
図3図4に示されるように、パッキン保持部41は、環状溝42の底部において押圧突条51の先端に対向した位置、即ち、環状溝42の底部中央部に、環状の凹部45を有している。凹部45の幅は、押圧突条51の幅と3分の1以上2分の1以下となっており、凹部45の深さは、環状溝42の深さの10%以上30%以下となっている。また、凹部45は、側面45a及び底面45bを有している。そして、凹部45の開口縁にある一対の段部46が環状溝42内に収容されたパッキン40に食い込むことにより、パッキン40を押圧突条51側に押圧する。なお、両段部46(つまり、凹部45の側面45aと環状溝42の底面42bとの接続部分)は、丸みを帯びた断面形状を有している。
【0028】
図3に示されるように、蓋体14の内面14bには、正面視で直線状をなす補強リブ61,62が複数箇所に突設されている。具体的に言うと、蓋体14の内面14bには、蓋体14の奥行方向(図3では上下方向)に延びる複数の第1の補強リブ61と、第1の補強リブ61と直交した状態に配置され、蓋体14の幅方向(図3では左右方向)に延びる複数の第2の補強リブ62とが設けられている。補強リブ61,62は、パッキン保持部41によって囲まれた内側領域A1内において、互いに交差しており、正面視で格子状をなしている。また、内側領域A1において隣接する第1の補強リブ61同士の間隔は、パッキン保持部41の外側領域A2において隣接する第1の補強リブ61同士の間隔よりも小さくなっている。同様に、内側領域A1において隣接する第2の補強リブ62同士の間隔は、外側領域A2において隣接する第2の補強リブ62同士の間隔よりも小さくなっている。即ち、内側領域A1内にある補強リブ61,62は、外側領域A2にある補強リブ61,62よりも密に配置されている。なお、内側領域A1内にある補強リブ61,62の両端部は、環状溝42を構成する内周側壁43に連結されている。一方、外側領域A2内にある補強リブ61,62の一方の端部(蓋体14の中央部側の端部)は、環状溝42を構成する外周側壁44に連結されている。また、外側領域A2内にある補強リブ61,62のもう一方の端部(蓋体14の外周部側の端部)の殆どは、蓋体14の前壁16、後壁17及び側壁18に連結されている。
【0029】
図1図2図5に示されるように、ケース本体13は、ケース側開口部71を有する正面側ケース72(第1の構造体)と、ケース側開口部71を覆う背面側ケース73(第2の構造体)とを備えている。正面側ケース72は、後端(図5では上端)にケース側開口部71を有する有底の矩形箱状をなし、底部(図示略)及び4つの側壁74を一体形成することによって断面凹状に構成されている。そして、正面側ケース72の内部には、背面側ケース73の前端部(図5では下端部)が嵌入されている。また、背面側ケース73は、前端(図5では下端)にて開口する有底の矩形箱状をなし、天井部75及び4つの側壁76を一体形成することによって断面凹状に構成されている。
【0030】
図5に示されるように、正面側ケース72の側壁74の後端部(図5では上端部)には、略矩形環状をなすパッキン保持部81が設けられている。パッキン保持部81は、ケース側開口部71の周縁を包囲するように形成され、パッキン80が収容されて保持される環状溝82を有している。なお、本実施形態のパッキン80は、パッキン40と同じ材料(多数の独立気泡を有するシリコーン樹脂)からなっている。また、本実施形態のパッキン80は、全長が環状溝82の全長よりもやや長い柱状部材であり、非押圧時における断面形状が略円形状となっている。この場合、パッキン80を環状溝82に対して圧入気味に挿入すれば、パッキン80の両端部同士が互いに押圧されることでその部分に隙間がなくなるため、防滴を維持することができる。なお、パッキン80は、例えばOリングなどの別の部材であってもよい。
【0031】
さらに、環状溝82は、ケース側開口部71を包囲する状態で正面側ケース72に設けられた内周側壁83と、内周側壁83を包囲する状態で正面側ケース72に設けられた外周側壁84とによって構成され、側面82a及び底面82bを有している。なお、外周側壁84の高さは、内周側壁83の高さよりも高くなっている。
【0032】
図5に示されるように、正面側ケース72及び背面側ケース73のうちパッキン保持部81が形成されていない側の構造体(本実施形態では、背面側ケース73)において、パッキン保持部81内に挿入しうる位置には、パッキン80を押圧する押圧突条91が形成されている。押圧突条91は、ケース側開口部71を包囲する状態で、背面側ケース73の側壁76の前端面76a(図5では下端面)に突設されている。押圧突条91の幅は、環状溝82の幅の3分の1以上3分の2以下となっており、押圧突条91の長さ(高さ)は、環状溝82の深さの3分の1以上3分の2以下となっている。また、押圧突条91は、先端(図5では下端)が細くなった断面形状を有し、ケース側開口部71の中心側に傾くように配置されている。よって、側壁76の前端面76aに対する押圧突条91の外周側の斜面91aの傾斜角度θ4は、前端面76aに対する押圧突条91の内周側(ケース側開口部71側)の斜面91bの傾斜角度θ5よりも小さくなっている。また、斜面91aと斜面91bとがなす角度θ6は、鋭角となっており、本実施形態では30°以上50°以下となっている。そして、角度θ6が小さくなる程、パッキン80を潰す際の圧力が小さくなる。なお、押圧突条91の先端部(図5では下端部)は、丸みを帯びた断面形状を有している。
【0033】
図5図6に示されるように、押圧突条91は、パッキン80の直径D2の半分程度、具体的には、パッキン80の直径D2の30%以上70%以下まで食い込むことにより、パッキン80を環状溝82の底部方向(図5図6では下方向)に押圧する。なお、押圧突条91の食い込みが、パッキン80の直径D2の70%を超えると、超音波画像診断装置11の防滴の維持のためにパッキン80に強い力がかかるようになるため、正面側ケース72や背面側ケース73が変形するおそれがある。また、背面側ケース73を正面側ケース72側に押圧する力が強くなり過ぎるため、正面側ケース72に対して背面側ケース73をネジ止めすることが困難になる。一方、押圧突条91の食い込みが、パッキン80の直径D2の30%未満になると、防滴性能が低下し、ケース本体13内に水滴が浸入しやすくなる。
【0034】
図5に示されるように、パッキン保持部81は、環状溝82の底部において押圧突条91の先端に対向した位置、本実施形態では、環状溝82の底部において内周側に偏った位置に、環状の凹部85を有している。凹部85は、側面85a及び底面85bを有している。また、凹部85の幅は、押圧突条91の幅よりもやや小さくとなっており、凹部85の深さは、環状溝82の深さ(即ち、底面85bから外周側壁84の上端面までの高さ)の10%以上30%以下となっている。そして、凹部85の開口縁にある一対の段部86が環状溝82内に収容されたパッキン80に食い込むことにより、パッキン80を押圧突条91側に押圧する。なお、外周側の段部86(つまり、凹部85の外周側の側面85aと環状溝82の底面82bとの接続部分)は、丸みを帯びた断面形状を有している。一方、環状溝82の内周側の側面82aは、環状溝82の底面82bに対して傾斜する傾斜面となっており、底面82bにおける凹部85の内周側の領域は、底面82bにおける凹部85の外周側の領域よりも極めて小さくなっている。さらに、内周側の段部86(つまり、凹部85の内周側の側面85aと底面82bとの接続部分)は、丸みのない断面形状を有している。また、凹部85の側面85aと底面85bとの接続部分も、丸みを帯びた断面形状を有している。
【0035】
次に、超音波画像診断装置11を用いた検査方法を説明する。なお、超音波画像診断装置11による検査は、家畜の検査部位(妊娠検査であれば腹部)にゲルを塗布した後、検査部位に超音波プローブを接触させた状態で、電源スイッチを操作したときに開始される。
【0036】
まず、コントローラは、超音波プローブによる超音波の送受信を開始させる。具体的には、超音波プローブの各超音波振動子を振動させ、そこで発生した超音波を検査部位に向けて照射させる。そして、超音波の一部は、検査部位内で反射した後、超音波プローブに向かって伝搬して超音波振動子に入力(受信)される。その後、超音波振動子が受信した超音波(反射波)は、電気信号(反射波信号)に変換される。さらに、変換された反射波信号に基づいて、超音波画像の画像表示データが生成される。そして、コントローラは、画像表示データを超音波画像診断装置11の表示装置(図示略)に転送し、超音波画像を表示装置に表示させる。
【0037】
次に、超音波画像診断装置11の組立方法を説明する。
【0038】
まず、ケース側開口部71を有する正面側ケース72と、ケース側開口部71を覆う背面側ケース73と、ケース本体13(背面側ケース73)のバッテリ用開口部12を覆う蓋体14とを準備する。次に、蓋体14に設けられたパッキン保持部41の環状溝42内に、パッキン40を圧入する。また、正面側ケース72に設けられたパッキン保持部81の環状溝82内にも、パッキン80を圧入する。
【0039】
次に、複数箇所でネジ止めするなどして、正面側ケース72に対して背面側ケース73を取り付けることにより、ケース本体13を形成する。このとき、押圧突条91の先端がパッキン80の中心O2からケース本体13の内側(図5図6では左側)にずれた位置に食い込むことにより、パッキン80が環状溝82の底部方向(図5図6では下方向)に押圧される。その結果、パッキン80と押圧突条91との間の隙間が閉塞される。また、凹部85の開口縁にある一対の段部86がパッキン80に食い込むことにより、パッキン80が押圧突条91側(図5図6では上側)に押圧される。その結果、パッキン80の外周面が、環状溝82の側面82a及び底面82b並びに凹部85の側面85a及び底面85bに面接触して密着し(図6参照)、パッキン80と環状溝82との間の隙間や、パッキン80と凹部85との隙間が閉塞される。これにより、正面側ケース72と背面側ケース73との隙間からケース本体13内に浸入する水滴を、パッキン80によって遮断することができる。
【0040】
次に、ケース本体13のバッテリ用開口部12内にバッテリ21を収納する。さらに、蓋体14をケース本体13に装着する。具体的には、まず、蓋体14の後壁17に設けられた5つの突片31を、ケース本体13に設けられた孔部に挿入する。次に、後壁17側を中心として、蓋体14の前壁16側をケース本体13側に近付けるように回動させた後、前壁16に設けられた一対の係止爪32を、ケース本体13に設けられた係止孔19に係止させる。その結果、蓋体14がケース本体13に対して係合され、バッテリ用開口部12が蓋体14によって覆われるため、バッテリ用開口部12内に収納したバッテリ21の脱落を防止することができる。
【0041】
また、蓋体14をケース13に装着する際に、押圧突条51の先端がパッキン40の中心O1からバッテリ用開口部12の内側(図4図7では右側)にずれた位置に食い込むことにより、パッキン40が環状溝42の底部方向(図4図7では上方向)に押圧される。その結果、パッキン40と押圧突条51との間の隙間が閉塞される。また、凹部45の開口縁にある一対の段部46がパッキン40に食い込むことにより、パッキン40が押圧突条51側(図4図7では下側)に押圧される。その結果、パッキン40の外周面が、環状溝42の側面42a及び底面42b並びに凹部45の側面45a及び底面45bに面接触して密着し(図7参照)、パッキン40と環状溝42との間の隙間や、パッキン40と凹部45との隙間が閉塞される。これにより、ケース本体13と蓋体14との隙間からバッテリ用開口部12内に浸入してくる水滴を、パッキン40によって遮断することができる。
【0042】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0043】
(1)本実施形態の超音波画像診断装置11では、押圧突条51がパッキン40の直径D1の30%以上70%以下まで食い込むことにより、パッキン40を環状溝42の底部方向(図4図7では上方向)に押圧する。また、凹部45の開口縁にある一対の段部46が環状溝42内に収容されたパッキン40に食い込むことにより、パッキン40を押圧突条51側(図4図7では下側)に押圧する。これにより、パッキン40を2方向から効率良く圧縮できるため、パッキン40や構造体(ケース本体13及び蓋体14)に強い圧力をかけなくても、超音波画像診断装置11の防滴を維持することができる。
【0044】
また、本実施形態では、押圧突条91がパッキン80の直径D2の30%以上70%以下まで食い込むことにより、パッキン80を環状溝82の底部方向(図5図6では下方向)に押圧する。また、凹部85の開口縁にある一対の段部86が環状溝82内に収容されたパッキン80に食い込むことにより、パッキン80を押圧突条91側(図5図6では上側)に押圧する。これにより、パッキン80を2方向から効率良く圧縮できるため、パッキン80や構造体(正面側ケース72及び背面側ケース73)に強い圧力をかけなくても、超音波画像診断装置11の防滴を維持することができる。
【0045】
以上のことから、ケース本体13(正面側ケース72及び背面側ケース73)や蓋体14の変形を防ぐための対策を講じなくても済む。また、ケース本体13や蓋体14に強い圧力がかからないため、蓋体14のロック機構として、係止爪32を利用した簡易タイプのものを用いることができる。従って、超音波画像診断装置11の防滴構造を低コストで実現することができる。また、簡易タイプのロック機構を用いることにより、蓋体14の開閉が容易になり、使い勝手が向上する。
【0046】
(2)本実施形態のパッキン40,80は、独立気泡を有しており、小さい力で変形しやすくなっているため、圧縮された際に凹部45,85内にしっかりと入り込む。よって、超音波画像診断装置11は、高いシール性を得ることができる。
【0047】
(3)本実施形態では、押圧突条51,91の先端部が、丸みを帯びた断面形状を有している。しかも、本実施形態では、凹部45の開口縁にある一対の段部46、及び、凹部85の開口縁にある一対の段部86の一方も、丸みを帯びた断面形状を有している。これにより、押圧突条51,91や段部46,86にパッキン40,80が食い込んだ際に、パッキン40,80にかかる圧力が軽減されるため、パッキン40,80の破損を防止することができる。
【0048】
(4)本実施形態では、蓋体14の内面14bに、縦横に延びる補強リブ61,62を突設することにより、蓋体14の変形を防止している。その結果、蓋体14の変形に起因する蓋体14の浮き上がりが防止され、ケース本体13と蓋体14との間に隙間が生じにくくなる。このため、ケース本体13と蓋体14との間からバッテリ用開口部12内に浸入してくる水滴を、パッキン40によって確実に遮断することができる。また、パッキン保持部41の内側領域A1にある補強リブ61,62が、パッキン保持部41の外側領域A2にある補強リブ61,62よりも密に配置されている。これにより、バッテリ21の直上領域である内側領域A1が補強されるため、バッテリ21の発熱に起因する内側領域A1の強度低下を防止することができ、強度低下に起因する蓋体14の変形及び浮き上がりを防止することができる。
【0049】
(5)本実施形態の蓋体14は、突片31をケース本体13の孔部に挿入した状態で、後壁17(突片31)側を中心として回動させた後、係止爪32をケース本体13の係止孔19に係止させることにより、ケース本体13に取り付けられる。このようにすれば、蓋体14を回動させてケース本体13に近付けると同時に、パッキン40を圧縮できるため、蓋体14の取り付けが容易になる。
【0050】
(6)本実施形態の超音波画像診断装置11による検査は、家畜の検査部位にゲルを塗布した状態で行われる。しかし、ゲルは比較的高価であるため、推奨はしないものの、ゲルの代わりに植物油が用いられる場合がある。ところが、パッキンが仮にゴムによって形成されていると、パッキンが油分によって劣化するおそれがある。そこで、本実施形態では、パッキン40,80を、耐薬品性を有するシリコーン樹脂によって形成している。このため、植物油がパッキン40,80に付着するような場合であっても、パッキン40,80の劣化を防止することができる。
【0051】
なお、上記実施形態を以下のように変更してもよい。
【0052】
・上記実施形態では、蓋体14(第2の構造体)に、パッキン保持部41がバッテリ用開口部12の周縁を包囲するように形成されるとともに、ケース本体13(第1の構造体)においてパッキン保持部41内に挿入しうる位置に、押圧突条51が形成されていた(図4参照)。しかし、ケース本体13にパッキン保持部41を形成するとともに、蓋体14においてパッキン保持部41内に挿入しうる位置に、押圧突条51を形成してもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、正面側ケース72(第1の構造体)に、パッキン保持部81がケース側開口部71の周縁を包囲するように形成されるとともに、背面側ケース73(第2の構造体)においてパッキン保持部81内に挿入しうる位置に、押圧突条91が形成されていた(図5参照)。しかし、背面側ケース73にパッキン保持部81を形成するとともに、正面側ケース72においてパッキン保持部81内に挿入しうる位置に、押圧突条91を形成してもよい。
【0054】
・上記実施形態では、押圧突条51が、バッテリ用開口部12の中心C1(図2参照)側に傾くように配置され、押圧突条91が、ケース側開口部71の中心側に傾くように配置されていた。しかし、図8図9に示されるように、押圧突条101を傾かないように配置し、傾かないように配置した押圧突条101の先端を、パッキン102の中心O3に食い込ませるようにしてもよい。
【0055】
・上記実施形態の環状溝82は、外周側壁84の高さが内周側壁83の高さよりも高くなっていた(図5参照)。しかし、環状溝82は、外周側壁84の高さが内周側壁83の高さよりも低くなっていてもよいし、外周側壁84の高さが内周側壁83の高さと等しくなっていてもよい。
【0056】
また、上記実施形態の環状溝42は、外周側壁44の高さが内周側壁43の高さと等しくなっていた(図4参照)。しかし、環状溝42は、外周側壁44の高さが内周側壁43の高さよりも高くなっていてもよいし、外周側壁44の高さが内周側壁43の高さよりも低くなっていてもよい。
【0057】
・上記実施形態では、凹部85の開口縁にある一対の段部86のうち、外周側(図5では右側)の段部86のみが、丸みを帯びた断面形状を有していた。しかし、内周側(図5では左側)の段部86も、丸みを帯びた断面形状を有していてもよい。また、上記実施形態では、凹部85の側面85aと凹部85の底面85bとの接続部分が、丸みを帯びた断面形状を有していたが(図5参照)、凹部45の側面45aと凹部45の底面45bとの接続部分(図4参照)も、丸みを帯びた断面形状を有していてもよい。
【0058】
・上記実施形態の凹部45,85は、底面45b,82bと、同底面45b,82bに対して垂直に延びる一対の側面45a,82aとからなる断面略矩形状をなしていた。しかし、凹部は、断面略台形状、断面略V字状、断面略半円状などの他の形状をなしていてもよい。また、凹部は、一対の側面の高さが互いに異なっていてもよい。
【0059】
・上記実施形態のパッキン40,80は、独立気泡を有するシリコーン樹脂からなっていた。しかし、パッキン40,80は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM)等の他の樹脂材料や、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(VMQ)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム(U)等のゴム材料からなっていてもよい。
【0060】
・上記実施形態では、動物用の超音波画像診断装置11が携帯医療機器として用いられていたが、人間用の超音波画像診断装置を携帯医療機器として用いてもよい。また、体温計、血圧計、パルスオキシメーター、携帯型の酸素濃縮装置、ペースメーカー、AED(自動体外式除細動器)などを携帯医療機器として用いてもよい。
【0061】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0062】
(1)請求項1乃至3のいずれか1項において、前記押圧突条は、前記パッキンの直径の30%以上70%以下まで食い込むことを特徴とする携帯医療機器の防滴構造。
【0063】
(2)請求項1乃至3のいずれか1項において、前記携帯医療機器は、動物用の超音波画像診断装置であることを特徴とする携帯医療機器の防滴構造。
【0064】
(3)請求項6において、前記蓋体の内面に、補強リブが突設されていることを特徴とする携帯医療機器の防滴構造。
【0065】
(4)技術的思想(3)において、前記パッキン保持部の内側領域において隣接する前記補強リブ同士の間隔は、前記パッキン保持部の外側領域において隣接する前記補強リブ同士の間隔よりも小さくなっていることを特徴とする携帯医療機器の防滴構造。
【0066】
(5)技術的思想(3)において、前記補強リブは、前記蓋体の奥行方向に延びる複数の第1の補強リブと、前記第1の補強リブと直交した状態に配置され、前記蓋体の幅方向に延びる複数の第2の補強リブとからなり、前記第1の補強リブ及び前記第2の補強リブは、前記パッキン保持部の内側領域内において、互いに交差しており、格子状をなしていることを特徴とする携帯医療機器の防滴構造。
【符号の説明】
【0067】
11…携帯医療機器としての超音波画像診断装置
12…開口部としてのバッテリ用開口部
13…第1の構造体としてのケース本体
14…第2の構造体としての蓋体
14b…蓋体の内面
40,80,102…パッキン
41,81…パッキン保持部
42,82…環状溝
42a,82a…環状溝の側面
42b,82b…環状溝の底面
45,85…凹部
45a,85a…凹部の側面
45b,85b…凹部の底面
46,86…段部
51,91,101…押圧突条
71…開口部としてのケース側開口部
72…第1の構造体としての正面側ケース
73…第2の構造体としての背面側ケース
83…内周側壁
84…外周側壁
C1…開口部の中心
D1,D2…パッキンの直径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9