(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172298
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ノイズ検出装置、ノイズ検出方法、ノイズ検出プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 3/05 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
G06F3/05 321E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083997
(22)【出願日】2022-05-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】000195029
【氏名又は名称】星和電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】植松 裕之
(72)【発明者】
【氏名】福井 道
(57)【要約】
【課題】シンプルなアルゴリズムでノイズ成分を迅速に検出することができるノイズ検出装置、ノイズ検出方法、ノイズ検出プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】入力信号に重畳したノイズ成分を検出するノイズ検出装置1であって、入力信号の強度値を複数の階級に分割して各階級の出現頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成部50と、ヒストグラムにおける各階級間の出現頻度の変化量を表す第1データを生成する第1データ生成部51と、第1データに平滑化処理を行って第2データを生成する第2データ生成部52と、第2データにおいて、所定の基準範囲を外れる値に対応する階級のうち、最も小さい階級の階級値を下限側閾値として設定し、最も大きい階級の階級値を上限側閾値として設定する閾値設定部53と、入力信号において、下限側閾値に満たない強度値及び上限側閾値を超える強度値をノイズ成分として検出する検出部54と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に重畳したノイズ成分を検出するノイズ検出装置であって、
前記入力信号の強度値を複数の階級に分割して各階級の出現頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、
前記ヒストグラムにおける前記各階級間の前記出現頻度の変化量を表す第1データを生成する第1データ生成部と、
前記第1データに平滑化処理を行って第2データを生成する第2データ生成部と、
前記第2データにおいて、所定の基準範囲を外れる値に対応する前記階級のうち、最も小さい階級の階級値を下限側閾値として設定し、最も大きい階級の階級値を上限側閾値として設定する閾値設定部と、
前記入力信号において、前記下限側閾値に満たない強度値及び前記上限側閾値を超える強度値を前記ノイズ成分として検出する検出部と、を備えることを特徴とするノイズ検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のノイズ検出装置であって、
前記平滑化処理は、移動平均処理であることを特徴とするノイズ検出装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のノイズ検出装置であって、
前記入力信号は、周期性を有することを特徴とするノイズ検出装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のノイズ検出装置であって、
前記入力信号は、リップル電圧信号又はリップル電流信号であり、
前記ノイズ成分は、スパイクノイズであることを特徴とするノイズ検出装置。
【請求項5】
入力信号に重畳したノイズ成分を検出するノイズ検出方法であって、
前記入力信号の強度値を複数の階級に分割して各階級の出現頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成ステップと、
前記ヒストグラムにおける前記各階級間の前記出現頻度の変化量を表す第1データを生成する第1データ生成ステップと、
前記第1データに平滑化処理を行って第2データを生成する第2データ生成ステップと、
前記第2データにおいて、所定の基準範囲を外れる値に対応する前記階級のうち、最も小さい階級の階級値を下限側閾値として設定し、最も大きい階級の階級値を上限側閾値として設定する閾値設定ステップと、
前記入力信号において、前記下限側閾値に満たない強度値及び前記上限側閾値を超える強度値を前記ノイズ成分として検出する検出ステップと、を備えることを特徴とするノイズ検出方法。
【請求項6】
請求項5に記載のノイズ検出方法をコンピュータに実行させることを特徴とするノイズ検出プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のノイズ検出プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズ検出装置、ノイズ検出方法、ノイズ検出プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
測定装置が測定した信号にはノイズ成分が含まれている場合が多く、ノイズ成分を検出又は除去する技術が数多く提案されている。例えば、スイッチの開閉などに伴って出る鋭い波形のノイズ成分(所謂スパイクノイズ)に対しては、ローパスフィルタ等のアナログフィルタを用いる技術(例えば、特許文献1参照)や、メディアンフィルタ等のデジタルフィルタを用いる技術(例えば、特許文献2参照)やスレッショルド(閾値)範囲を定める技術(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-125568号公報
【特許文献2】特開2019-147649号公報
【特許文献3】特開2000-207544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1や特許文献2に記載の技術においては、実装やアルゴリズムが複雑になるという問題があった。
【0005】
また、上記の特許文献3に記載の技術においては、スパイクノイズが検出されるまで所定の演算が繰り返されることから、処理ステップ数が多くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、シンプルなアルゴリズムでノイズ成分を迅速に検出することができるノイズ検出装置、ノイズ検出方法、ノイズ検出プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本願記載のノイズ検出装置は、入力信号に重畳したノイズ成分を検出するノイズ検出装置であって、前記入力信号の強度値を複数の階級に分割して各階級の出現頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、前記ヒストグラムにおける前記各階級間の前記出現頻度の変化量を表す第1データを生成する第1データ生成部と、前記第1データに平滑化処理を行って第2データを生成する第2データ生成部と、前記第2データにおいて、所定の基準範囲を外れる値に対応する前記階級のうち、最も小さい階級の階級値を下限側閾値として設定し、最も大きい階級の階級値を上限側閾値として設定する閾値設定部と、前記入力信号において、前記下限側閾値に満たない強度値及び前記上限側閾値を超える強度値を前記ノイズ成分として検出する検出部と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
また、前記ノイズ検出装置において、平滑化処理は、移動平均処理であってもよい。
【0009】
また、前記ノイズ検出装置において、前記入力信号は、周期性を有してもよい。
【0010】
また、前記ノイズ検出装置において、前記入力信号は、リップル電圧信号であり、前記ノイズ成分は、スパイクノイズであってもよい。
【0011】
本願記載のノイズ検出方法は、入力信号に重畳したノイズ成分を検出するノイズ検出方法であって、前記入力信号の強度値を複数の階級に分割して各階級の出現頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成ステップと、前記ヒストグラムにおける前記各階級間の前記出現頻度の変化量を表す第1データを生成する第1データ生成ステップと、前記第1データに平滑化処理を行って第2データを生成する第2データ生成ステップと、前記第2データにおいて、所定の基準範囲を外れる値に対応する前記階級のうち、最も小さい階級の階級値を下限側閾値として設定し、最も大きい階級の階級値を上限側閾値として設定する閾値設定ステップと、前記入力信号において、前記下限側閾値に満たない強度値及び前記上限側閾値を超える強度値を前記ノイズ成分として検出する検出ステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0012】
本願記載のノイズ検出プログラムは、前記ノイズ検出方法をコンピュータに実行させることを特徴とするものである。
【0013】
本願記載の記録媒体は、前記ノイズ検出プログラムを記録したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シンプルなアルゴリズムでノイズ成分を迅速に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願記載のノイズ検出装置を用いたシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】ノイズ検出装置の一例を示すブロック図である。
【
図3】ノイズ検出装置による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】ヒストグラム生成部が生成したヒストグラムの一例を示す図である。
【
図6】第1データ生成部が生成した第1データの一例を
図5のヒストグラムに重ねて示す図である。
【
図7】第2データ生成部が生成した第2データの一例を示す図である。
【
図8】閾値設定部による処理を説明するための図である。
【
図9】検出部による処理を説明するための図である。
【
図10A】本願記載のノイズ検出装置を用いて他の入力信号のノイズ成分を検出した場合を示す図である。
【
図10B】本願記載のノイズ検出装置を用いてさらに他の入力信号のノイズ成分を検出した場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施形態の間で同一の構成要素には同一の符号を付し、それら構成要素について重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、本願記載のノイズ検出装置1を用いたシステム構成の一例を示す図である。
【0018】
ノイズ検出装置1は、入力信号8に重畳したノイズ成分を検出するものである。本実施形態において、入力信号8は、AC/DCコンバータ等を備える電源装置である信号発生源4から出力された出力電圧のリップル電圧信号であり、ノイズ検出装置1は、入力信号8に重畳したスパイクノイズSNを検出するために用いられる。本実施形態において、ノイズ検出装置1は、組み込み機器2に組み込まれるマイクロコントローラ(MCU)を用いて構成されている。組み込み機器2は、例えば、信号発生源4の性能を検査する検査機である。組み込み機器2は、測定装置3に接続されている(
図1参照)。組み込み機器2には、測定装置3から入力信号8を取得する図示しない入力インタフェース等が設けられている。
【0019】
測定装置3は、信号発生源4から出力される電圧を測定し、測定した電圧の時間変化を波形信号として出力するものであり、例えば、公知のオシロスコープ等を用いて構成されている。
【0020】
図2は、ノイズ検出装置1の一例を示すブロック図である。
【0021】
ノイズ検出装置1は、処理部5と、記憶部6と、を備えている(
図2参照)。
【0022】
処理部5は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等によって実現される。処理部5は、ヒストグラム生成部50と、第1データ生成部51と、第2データ生成部52と、閾値設定部53と、検出部54と、を有している(
図2参照)。これら各部は、記憶部6に記憶されたプログラム60の一部であり、処理部5の制御によって読み出されることにより処理を実行する。これら各部による処理については、後にフローチャートを参照して詳述する。
【0023】
記憶部6は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリによって実現される。記憶部6には、プログラム60が記憶されるとともに、処理部5による処理に用いるための各種データ等が記憶される。また、記憶部6には、処理部5によって出力された出力データが一時的に記憶される。
【0024】
続いて、ノイズ検出装置1による処理手順を説明する。
【0025】
図3は、ノイズ検出装置1による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4は、入力信号8の一例を示す図である。
図4において、横軸は、時間を示し、縦軸は、入力信号8の強度値を示す。
【0026】
先ず、ステップST1(
図3参照)において、ノイズ検出装置1は、組み込み機器2を介して測定装置3から入力信号8(
図4参照)を取得する。入力信号8には、周期性を有するスパイクノイズSN(SN1,SN2)が重畳している。
【0027】
図5は、ヒストグラム生成部50が生成したヒストグラム80の一例を示す図である。
図5において、横軸は、入力信号8の強度値の階級を示し、縦軸は、出現頻度(度数)を示す。
【0028】
次に、ステップST2(
図3参照)において、処理部5のヒストグラム生成部50は、入力信号8の強度値を複数の階級に分割して各階級の出現頻度を表すヒストグラム80(
図5参照)を生成する。以下、ヒストグラム80におけるn番目の階級を、階級Cnと表す。
【0029】
ヒストグラム80における階級の幅は、例えば、測定装置3の分解能に基づいて設定されてもよい。
【0030】
図6は、第1データ生成部51が生成した第1データ81の一例を
図5のヒストグラム80に重ねて示す図である。
図6において、第1データ81を太線で表し、ヒストグラム80を細線で表している。また、
図6において、横軸は、入力信号8の強度値の階級を示し、左縦軸は、第1データ81に対応する出現頻度の変化量を示し、右縦軸は、ヒストグラム80に対応する出現頻度(度数)を示す。
【0031】
ステップST3(
図3参照)において、第1データ生成部51は、ヒストグラム80における各階級間の出現頻度の変化量を表す第1データ81(
図6参照)を生成する。
【0032】
第1データ生成部51は、ヒストグラム80における階級順で隣り合う各階級間の出現頻度の変化量を算出することにより、第1データ81を生成する。例えば、階級C75に対応する出現頻度の変化量D75は、ヒストグラム80において階級C75に対応する出現頻度F75から、階級C75の左隣の階級C74に対応する出現頻度F74を差し引いた値である(
図6参照)。
【0033】
図7は、第2データ生成部52が生成した第2データ82の一例を示す図である。
図7において、横軸は、入力信号8の強度値の階級を示し、縦軸は、移動平均処理後の値を示す。
【0034】
ステップST4(
図3参照)において、第2データ生成部52は、第1データ81に平滑化処理を行って第2データ82(
図7参照)を生成する。本実施形態において、平滑化処理は、移動平均処理である。
【0035】
第2データ生成部52は、各階級の所定の範囲(例えば、前後2~3階級程度を含む範囲)における出現頻度の変化量の平均を算出することにより、第2データ82を生成する。本実施形態において、第2データ生成部52は、各階級の前後2階級を含む範囲における出現頻度の変化量の平均を算出する。例えば、
図7に示す階級C75に対応する第2データ82の値V75は、
図6に示す第1データ81における階級C75に対応する出現頻度の変化量D75、階級C75の左隣の階級C74,C73に対応する出現頻度の変化量D74,D73及び階級C1の右隣の階級C76,C77に対応する出現頻度の変化量D76,D77の平均値である。
【0036】
図8は、閾値設定部53による処理を説明するための図である。
図8における縦軸及び横軸は、
図7におけるものと同じである。
【0037】
ステップST5(
図3参照)において、閾値設定部53は、第2データ82に基づいて、入力信号8におけるノイズ成分を検出するための閾値(下限側閾値TL,上限側閾値TU)(
図8参照)を設定する。具体的には、閾値設定部53は、第2データ82において、基準範囲9を外れる値に対応する階級のうち、最も小さい階級C75の階級値を下限側閾値TLとして設定し、最も大きい階級C130の階級値を上限側閾値TUとして設定する。
【0038】
先ず、閾値設定部53は、各階級に対応する値が基準範囲9を外れるか否かを判定する。具体的には、閾値設定部53は、最も小さい階級C1から順に昇級して、各階級に対応する値が基準範囲9を外れるか否かを判定する。
【0039】
基準範囲9は、下限90及び上限91を有している(
図8参照)。本実施形態において、基準範囲9は、入力信号8の総データ点数に基づいて設定される。具体的には、入力信号8の総データ数に所定の係数(例えば、0.1%程度)を乗算した値を値Nとしたときに、上限91は、値Nに設定され、下限90は、値Nの正負を逆転させた値-Nに設定される。従って、基準範囲9は、-NからNまでの範囲に設定される。
【0040】
上記の基準範囲9の設定は、各入力信号8が類似する変化傾向を有しており、かつ、ヒストグラム80における階級の幅が一定である場合において、出現頻度の変化量が入力信号8の総データ点数に略比例する点に着目して導き出されたものである。上記のように、入力信号8の総データ点数に所定の係数を乗算した値Nを用いることにより、出現頻度の変化量に基づく第2データ82において、入力信号8の総データ点数に応じて基準範囲9を適切に設定することができる。
【0041】
なお、基準範囲9は、ヒストグラム80の最頻値に基づいて設定されてもよい。これは、各入力信号8が類似する変化傾向を有している場合において、出現頻度の変化量がヒストグラム80の最頻値に略比例する点に着目して導き出されたものである。この場合、ヒストグラム80における階級の幅如何に関わらず、第2データ82において基準範囲9を適切に設定することができる。
【0042】
次に、閾値設定部53は、基準範囲9を外れる値に対応する階級のうち、最も小さい階級C75及び最も大きい階級C130を判定する(
図8参照)。
図8において、基準範囲9を外れる値に対応する階級は、他に、C78、C81、C87等が挙げられる。階級C75よりも小さい階級(階級C74以前)では、いずれも値が基準範囲9の範囲内に収まっており、同様に、階級C130よりも大きい階級(階級C131以降)では、いずれも値が基準範囲9の範囲内に収まっている。閾値設定部53は、階級C75の階級値を下限側閾値TLとして設定し、階級C130の階級値を上限側閾値TUとして設定する。
【0043】
図9は、検出部54による処理を説明するための図である。
図9における縦軸及び横軸は、
図4におけるものと同じである。
【0044】
ステップST6(
図3参照)において、検出部54は、下限側閾値TLに満たない強度値及び上限側閾値TUを超える強度値をノイズ成分として検出する(
図9参照)。
【0045】
上記の一連の処理は、非ノイズ成分と比較してノイズ成分が出現する頻度が低い傾向にあり、ノイズ成分と非ノイズ成分との境界となる階級ではヒストグラム80の傾き(変化量)が増える点に着目して導き出されたものである。ヒストグラム80の傾き(変化量)が増える階級を適切に判定することにより、入力信号8におけるノイズ成分を検出することができる。こうして、シンプルなアルゴリズムでノイズ成分を迅速に検出することができる。
【0046】
図10Aは、本願記載のノイズ検出装置1を用いて他の入力信号85のノイズ成分を検出した場合を示す図である。
図10Bは、本願記載のノイズ検出装置1を用いてさらに他の入力信号86のノイズ成分を検出した場合を示す図である。
図10A及び
図10Bにおける縦軸及び横軸は、
図4におけるものと同じである。
【0047】
図10A及び
図10Bに示すように、上記説明したノイズ検出装置1は、波形の形状にかかわらず、入力信号85,86におけるノイズ成分を検出するための閾値(下限側閾値TL,上限側閾値TU)を設定して、入力信号85,86におけるノイズ成分を検出することができる。すなわち、ノイズ検出装置1及びその処理は、多様な形状の波形に適用可能であり、ノイズ成分の検出において優れたロバスト性を有している。
【0048】
なお、ノイズ検出装置1は、上記のステップST6の後に、検出したノイズ成分を入力信号8から除去する処理を行ってもよい。
【0049】
なお、組み込み機器2は、例えばオシロスコープ等のように、信号発生源4からの出力を信号に変換する機能を有していてもよく、この場合、組み込み機器2は、測定装置3を介さずに信号発生源4に接続され得るとともに、ノイズ検出装置1は、組み込み機器2から入力信号8を取得し得る。
【0050】
上記のように、第2データ生成部52による平滑化処理を移動平均処理とすることにより、シンプルなアルゴリズムで平滑化処理を行うことができる。なお、これに限られず、例えば、平滑化処理を、メディアンフィルタ等を用いた処理としてもよい。
【0051】
なお、ノイズ検出装置1は、デスクトップ型コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレット型コンピュータ等のコンピュータを用いて構成されていてもよいし、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等の通信網に接続されていてもよい。また、プログラム60及び各種データ等は、通信網を介して取得されてもよい。
【0052】
本発明は、上記説明したように、リップル電圧信号である入力信号8に重畳したスパイクノイズSNの検出に好適であるが、これに限られず、入力信号8の種類及びその周期性の有無を問わず、その他のインパルス性のノイズ成分の検出に幅広く適用可能である。
【0053】
上記の実施形態及び実施例はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態及び実施例のみにより解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれ、そのような変更を伴うノイズ検出装置、ノイズ検出方法、ノイズ検出プログラム及びノイズ検出プログラムを記録した記録媒体も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1 ノイズ検出装置
2 コンピュータ
3 測定装置
4 信号発生源
5 処理部
50 ヒストグラム生成部
51 第1データ生成部
52 第2データ生成部
53 閾値設定部
54 検出部
6 記憶部
60 プログラム
7 入力部
8 入力信号
80 ヒストグラム
81 第1データ
82 第2データ
9 基準範囲
90 下限
91 上限
Cn 階級
SN スパイクノイズ
TL 下限側閾値
TU 上限側閾値
【手続補正書】
【提出日】2023-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記の目的を達成するため、本願記載のノイズ検出装置は、入力信号に重畳したノイズ成分を検出するノイズ検出装置であって、前記入力信号の強度値を複数の階級に分割して各階級の出現頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、前記ヒストグラムにおける前記各階級間の前記出現頻度の変化量を表す第1データを生成する第1データ生成部と、前記第1データに平滑化処理を行って第2データを生成する第2データ生成部と、前記第2データにおいて、所定の基準範囲を外れる値に対応する前記階級のうち、最も小さい階級の階級値を下限側閾値として設定し、最も大きい階級の階級値を上限側閾値として設定する閾値設定部と、前記入力信号において、前記下限側閾値に満たない強度値及び前記上限側閾値を超える強度値を前記ノイズ成分として検出する検出部と、を備え、前記第1データ生成部は、前記ヒストグラムにおける階級順で隣り合う前記各階級間の出現頻度の差分を算出することにより、前記第1データを生成することを特徴とするものである。
また、前記基準範囲は、前記入力信号の総データ数に所定の係数を乗算した値を値Nとしたときに、-NからNまでの範囲であってもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本願記載のノイズ検出方法は、入力信号に重畳したノイズ成分を検出するノイズ検出方法であって、前記入力信号の強度値を複数の階級に分割して各階級の出現頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成ステップと、前記ヒストグラムにおける前記各階級間の前記出現頻度の変化量を表す第1データを生成する第1データ生成ステップと、前記第1データに平滑化処理を行って第2データを生成する第2データ生成ステップと、前記第2データにおいて、所定の基準範囲を外れる値に対応する前記階級のうち、最も小さい階級の階級値を下限側閾値として設定し、最も大きい階級の階級値を上限側閾値として設定する閾値設定ステップと、前記入力信号において、前記下限側閾値に満たない強度値及び前記上限側閾値を超える強度値を前記ノイズ成分として検出する検出ステップと、を備え、前記第1データ生成ステップでは、前記ヒストグラムにおける階級順で隣り合う前記各階級間の出現頻度の差分を算出することにより、前記第1データを生成することを特徴とするものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に重畳したノイズ成分を検出するノイズ検出装置であって、
前記入力信号の強度値を複数の階級に分割して各階級の出現頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、
前記ヒストグラムにおける前記各階級間の前記出現頻度の変化量を表す第1データを生成する第1データ生成部と、
前記第1データに平滑化処理を行って第2データを生成する第2データ生成部と、
前記第2データにおいて、所定の基準範囲を外れる値に対応する前記階級のうち、最も小さい階級の階級値を下限側閾値として設定し、最も大きい階級の階級値を上限側閾値として設定する閾値設定部と、
前記入力信号において、前記下限側閾値に満たない強度値及び前記上限側閾値を超える強度値を前記ノイズ成分として検出する検出部と、を備え、
前記第1データ生成部は、前記ヒストグラムにおける階級順で隣り合う前記各階級間の出現頻度の差分を算出することにより、前記第1データを生成することを特徴とするノイズ検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のノイズ検出装置であって、
前記基準範囲は、前記入力信号の総データ数に所定の係数を乗算した値を値Nとしたときに、-NからNまでの範囲であることを特徴とするノイズ検出装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のノイズ検出装置であって、
前記平滑化処理は、移動平均処理であることを特徴とするノイズ検出装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のノイズ検出装置であって、
前記入力信号は、周期性を有することを特徴とするノイズ検出装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のノイズ検出装置であって、
前記入力信号は、リップル電圧信号又はリップル電流信号であり、
前記ノイズ成分は、スパイクノイズであることを特徴とするノイズ検出装置。
【請求項6】
入力信号に重畳したノイズ成分を検出するノイズ検出方法であって、
前記入力信号の強度値を複数の階級に分割して各階級の出現頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成ステップと、
前記ヒストグラムにおける前記各階級間の前記出現頻度の変化量を表す第1データを生成する第1データ生成ステップと、
前記第1データに平滑化処理を行って第2データを生成する第2データ生成ステップと、
前記第2データにおいて、所定の基準範囲を外れる値に対応する前記階級のうち、最も小さい階級の階級値を下限側閾値として設定し、最も大きい階級の階級値を上限側閾値として設定する閾値設定ステップと、
前記入力信号において、前記下限側閾値に満たない強度値及び前記上限側閾値を超える強度値を前記ノイズ成分として検出する検出ステップと、を備え、
前記第1データ生成ステップでは、前記ヒストグラムにおける階級順で隣り合う前記各階級間の出現頻度の差分を算出することにより、前記第1データを生成することを特徴とするノイズ検出方法。
【請求項7】
請求項6に記載のノイズ検出方法をコンピュータに実行させることを特徴とするノイズ検出プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のノイズ検出プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。