(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172301
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】遠隔制御システム、遠隔操作型作業機械システム、および作業情報表示制御方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20231129BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
E02F9/20 N
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084000
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 啓太
(72)【発明者】
【氏名】中村 悠介
(72)【発明者】
【氏名】河村 一郎
(72)【発明者】
【氏名】桑田 純一
(72)【発明者】
【氏名】伊東 英明
(72)【発明者】
【氏名】石本 英史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慧
【テーマコード(参考)】
2D003
5C054
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AC06
2D003BA02
2D003BA04
2D003BA06
5C054CF08
5C054DA09
5C054FD03
5C054FE12
5C054HA30
(57)【要約】
【課題】作業機械の遠隔操作中の一連の動作において、映像伝送遅延および通信時の通信パケット損失に伴う映像乱れによる作業効率低下を防ぎ、操作者の作業効率を向上させる。
【解決手段】上記課題を解決するため、本開示は、作業機械を遠隔制御する遠隔制御システムであって、作業機械と通信を行う通信装置と、作業機械の動作を制御するとともに、作業機械からの周囲映像を処理してディスプレイ装置に表示する制御装置と、を備え、通信装置は、作業機械で撮られた周囲映像と、作業機械の姿勢情報および作業機械の周囲の三次元情報を含む支援情報とを受信し、制御装置は、支援情報から作業機械の姿勢と作業対象の位置を示す支援図形を生成する処理と、作業機械において第1タイミングで取得された周囲映像と作業機械において第1タイミングよりも後の第2タイミングで取得された支援情報から生成した支援図形とを重畳してディスプレイ装置に表示する処理と、を実行する、遠隔制御システムを提案する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置を介して作業機械から種々の情報を受信して表示するディスプレイ装置及び前記ディスプレイ装置を制御する制御装置を含み、前記作業機械を遠隔操作する作業機械の遠隔制御システムであって、
前記通信装置は、前記作業機械で撮像された前記作業機械の周囲映像と、前記作業機械で取得された前記作業機械の姿勢情報および前記作業機械の周囲の三次元情報を含む支援情報と、を受信し、
前記制御装置は、
前記通信装置によって受信した前記支援情報に基づいて前記作業機械の姿勢と作業対象の位置を示す支援図形を生成する処理と、
前記作業機械において第1タイミングで撮像されて前記通信装置によって受信した前記周囲映像と、前記作業機械において前記第1タイミングよりも後の第2タイミングで取得されて前記通信装置によって受信した前記支援情報から生成した前記支援図形とを重畳して前記ディスプレイ装置に表示する処理と、
を実行する、遠隔制御システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御装置は、前記作業機械の車体座標系で表された前記支援情報をカメラ座標系に変換し、座標変換後の前記支援情報から前記支援図形を生成する、遠隔制御システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記制御装置は、前記作業機械の位置と姿勢を示す図形、前記作業機械の作業対象の地形位置を示す図形、前記作業機械の作業対象の車両の位置を示す図形、あるいは前記作業機械の走行体の姿勢を示す図形の少なくとも1つを含む前記支援図形を生成する、遠隔制御システム。
【請求項4】
請求項1において、
前記制御装置は、前記第1タイミングにおける前記作業機械の走行体と前記作業機械の旋回体とがなす第1角度と、前記第2タイミングにおける前記走行体と前記旋回体とがなす第2角度との角度差に基づいて、前記支援図形の重畳位置と形状を変化させる、遠隔制御システム。
【請求項5】
請求項1において、
前記制御装置は、前記第1タイミングにおける前記作業機械の走行体と前記作業機械の旋回体とがなす第1角度と、前記第2タイミングにおける前記走行体と前記旋回体とがなす第2角度との角度差に基づいて、前記周囲映像を変形させる、遠隔制御システム。
【請求項6】
請求項1において、
前記制御装置は、
前記通信装置が検知する通信状況の情報に基づいて、前記周囲映像の第1遅延時間と前記支援情報の第2遅延時間を推定する処理と、
前記第1遅延時間と前記第2遅延時間との差に基づいて、前記第1タイミングの前記周囲映像に重畳すべき前記支援図形を生成するための前記第2タイミングの前記支援情報を決定する処理と、
前記第2タイミングの支援情報を、前記第1タイミングにおける前記作業機械の姿勢の座標系に変換して、座標変換された第2タイミングの支援情報を生成する処理と、
前記座標変換された第2タイミングの支援情報から前記支援図形を生成する処理と、
を実行する、遠隔制御システム。
【請求項7】
請求項4において、
前記周囲映像のデータは、前記第1角度の情報を示すデータ部分を含み、
前記制御装置は、前記周囲映像のデータから取得した前記第1角度の情報と、前記第2タイミングにおける前記支援情報から取得した前記第2角度の情報とから前記角度差を算出する、遠隔制御システム。
【請求項8】
請求項5において、
前記周囲映像のデータは、前記第1角度の情報を示すデータ部分を含み、
前記制御装置は、前記周囲映像のデータから取得した前記第1角度の情報と、前記第2タイミングにおける前記支援情報から取得した前記第2角度の情報とから前記角度差を算出する、遠隔制御システム。
【請求項9】
請求項4において、
前記周囲映像のデータは、前記第1タイミングに対応する第1時刻情報を示すデータ部分を含み、
前記支援情報は、前記第2タイミングに対応する第2時刻情報を含み、
前記制御装置は、前記周囲映像のデータから取得した前記第1時刻情報と前記支援情報から取得した前記第2時刻情報との差に基づいて、前記角度差を算出する、遠隔制御システム。
【請求項10】
請求項5において、
前記周囲映像のデータは、前記第1タイミングに対応する第1時刻情報を含み、
前記支援情報は、前記第2タイミングに対応する第2時刻情報を含み、
前記制御装置は、前記周囲映像のデータから取得した前記第1時刻情報と前記支援情報から取得した前記第2時刻情報との差に基づいて、前記角度差を算出する、遠隔制御システム。
【請求項11】
請求項1において、
前記制御装置は、前記作業対象の位置の情報に基づいて、前記作業機械による前記作業対象の予定位置を表す図形を含む前記支援図形を生成する、遠隔制御システム。
【請求項12】
請求項1において、
前記制御装置は、前記作業機械の作業状態に応じて前記支援図形の表示形態を切り替える、遠隔制御システム。
【請求項13】
請求項1において、
前記制御装置は、前記周囲映像よりも取得タイミングが後の前記支援図形を前記周囲映像に重畳させて表示していることを示す情報を、前記支援図形と前記周囲映像の重畳画像と共に表示する、遠隔制御システム。
【請求項14】
作業機械と、当該作業機械を遠隔制御する請求項1に記載の遠隔制御システムと、を備え、
前記作業機械は、
前記周囲映像を撮像する撮像装置と、
前記作業機械の姿勢情報を取得する姿勢センサと、
前記作業機械の三次元情報を取得する物体検出センサと、
前記遠隔制御システムと通信し、前記周囲映像と、前記姿勢情報および前記三次元情報を含む前記支援情報とを送信する作業機械通信装置と、
を備える、遠隔操作型作業機械システム。
【請求項15】
作業機械から受信する作業情報を画面上に表示する作業情報表示制御方法であって、
前記作業機械の動作を制御する制御装置が、前記作業機械で撮像された前記作業機械の周囲映像と、前記作業機械の姿勢情報および前記作業機械の周囲の三次元情報を含む支援情報とを取得することと、
前記制御装置が、前記支援情報から前記作業機械の姿勢と作業対象の位置を示す支援図形を生成することと、
前記制御装置が、前記作業機械において第1タイミングで撮像された前記周囲映像と、前記作業機械において前記第1タイミングよりも後の第2タイミングで取得された前記支援情報から生成した前記支援図形とを重畳してディスプレイ装置に表示することと、
を含む、作業情報表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔制御システム、遠隔操作型作業機械システム、および作業情報表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械を遠隔操作可能にした作業機械制御システムが実用化されているが、作業機械から遠隔制御システム(遠隔操作室)に映像を伝送することによって生じる伝送遅延が原因で作業効率が低下することがあった。これに対処するため、例えば、特許文献1は、遠隔操作部作業用の映像の伝送にかかる遅延時間を補正するように映像を加工してディスプレイに表示することを提案している。このような加工映像表示により、遠隔操作を行う遠隔操作室での映像の受信遅延時間が大きい場合に、遠隔操作の効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1によれば、作業機械(自車両)の周囲の映像の伝送遅延を改善するものの、自車両が映ることを想定していないため、自車両の一部が映像に映る場合、加工後の映像における自車両の一部の表示位置が周囲の画像との関係においてずれてしまい、操作者の効率的な操作を妨げるおそれがある。また、通信時の通信パケット損失に伴う映像乱れが生じた場合についても、効率的な操作を妨げるおそれがある。
【0005】
本開示は、このような状況に鑑み、作業機械の遠隔操作中の一連の動作において、映像伝送遅延および通信時の通信パケット損失に伴う映像乱れによる作業効率低下を防ぎ、操作者の作業効率を向上させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本開示は、作業機械を遠隔制御する遠隔制御システムであって、作業機械と通信を行う通信装置と、作業機械の動作を制御するとともに、作業機械からの周囲映像を処理してディスプレイ装置に表示する制御装置と、を備え、通信装置は、作業機械で撮られた周囲映像と、作業機械の姿勢情報および作業機械の周囲の三次元情報を含む支援情報とを受信し、制御装置は、支援情報から作業機械の姿勢と作業対象の位置を示す支援図形を生成する処理と、作業機械において第1タイミングで取得された周囲映像と作業機械において第1タイミングよりも後の第2タイミングで取得された支援情報から生成した支援図形とを重畳してディスプレイ装置に表示する処理と、を実行する、遠隔制御システムを提案する。
【0007】
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示の態様は、要素および多様な要素の組み合わせおよび以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではないことを理解する必要がある。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、作業機械の遠隔操作中の一連の動作において、映像伝送遅延による作業効率低下を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】作業機械制御システム1の外観構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、作業機械100に搭載される周囲映像取得部S1と三次元情報取得部S2の構成を説明する概略図である。
【
図3】遠隔制御システム(操作室)300の内部構成例を示す図である。
【
図4】作業機械100に搭載されるセンサ情報処理部103の内部構成例を示す図である。
【
図5】支援情報生成部1032の内部構成例を示す図である。
【
図6】遠隔制御システム(遠隔操作室)300の構成例を示す図である。
【
図7】センサ情報処理部103による映像圧縮処理、および支援情報生成部1032による支援情報生成処理を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図6の運転制御装置305によるAR画像を有する重畳映像を生成する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図9】伸長して得られた映像(作業機械フロント部映像+周囲映像)の例を示す図である。
【
図10】伸長して得られた映像(
図9)にAR画像を重畳して得られる重畳映像の例を示す図である。
【
図11】バケット113を垂直に持ち上げた際に表示される重畳画像(作業機械フロント部映像+周囲映像+AR画像)の例を示す図である。
【
図12】重畳画像において表示されるAR画像のうち、クローラー101の向きを示す補助線と車体の対応関係の例を示す図である。
【
図13】重畳画像において表示されるAR画像の一例を示す図である。
【
図14】重畳画像において表示されるAR画像の他の例を示す図である。
【
図15】AR図形を映像に対して先行重畳していることを示すAR先行描画中表示F17の例を示す図である。
【
図16】第1の実施形態の構成を採用せず、作業機械100内でAR画像を重畳した重畳映像を生成し、遠隔制御システム300に送信した場合、もしくはネットワークスライシング、QoS制御を行わず、周囲映像取得部S1で取得された映像と支援情報生成部1032で生成された支援情報を同一の通信パケットで遠隔制御システム300に送信した場合に生じる通信遅延を示す図である。
【
図17】第1の実施形態の構成を採用した場合に、周囲映像取得部S1で取得された映像と支援情報生成部1032で生成された支援情報それぞれに加わる通信遅延を示す図である。
【
図18】映像1よりも後に通信装置104から通信装置306に送信された支援情報2に基づいて生成したAR画像を映像1に重畳して得られる重畳映像の例を示す図である。
【
図19】作業機械100が、クローラー101に対して本体部102を左方向旋回するように動作する場合の、映像1取得時の作業機械100の姿勢例と支援情報2取得時の作業機械100の姿勢例を示す図である。
【
図20】第2の実施形態(基本形態)による運転制御装置305の内部構成例を示す図である。
【
図21】第2の実施形態(基本形態)の運転制御装置305(
図20参照)による、AR画像を有する重畳映像生成処理を説明するためのフローチャートである。
【
図22】第2の実施形態(変形例)におけるセンサ情報処理部103の内部構成例1を示す図である。
【
図23】第2の実施形態(変形例)におけるセンサ情報処理部103の内部構成例2を示す図である。
【
図24】情報埋込部1034における、周囲映像取得部S1で取得された映像の一部の画素への情報埋込方法の一例を示す図である。
【
図25】
図22および
図23のセンサ情報処理部103に対応する運転制御装置305の内部構成例を示す図である。
【
図26】第2の実施形態(変形例)のセンサ情報処理部103(
図21あるいは
図22参照)による映像圧縮処理および支援情報生成処理を説明するためのフローチャートである。
【
図27】第2の実施形態(変形例)の運転制御装置305(
図25参照)による、AR画像を有する重畳映像生成処理を説明するためのフローチャートである。
【
図28】第2の実施形態(基本形態および変形例)の処理によって表示される、映像(周囲撮像映像および作業機械フロント部映像)およびそれに重畳表示されるAR画像の例を示す図である。
【
図29】第3の実施形態による運転制御装置305の内部構成例1を示す図である。
【
図30】第3の実施形態による運転制御装置305の内部構成例2を示す図である。
【
図31】第3の実施形態の処理によって表示される、映像(周囲撮像映像および作業機械フロント部映像)およびそれに重畳表示されるAR画像の例を示す図である。
【
図32】第4の実施形態による運転制御装置305の内部構成例を示す図である。
【
図33】第4の実施形態の処理によって表示される、映像(周囲撮像映像および作業機械フロント部映像)およびそれに重畳表示されるAR画像の例を示す図である。
【
図34】第4の実施形態において、作業地表面記憶部が記憶する作業地表面位置のGUIによる指定方法の一例を示す図である。
【
図35】各実施形態の作業機械制御システム1におけるAR画像の表示状態の切り替えを説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0011】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0012】
(1)第1の実施形態
<作業機械制御システムの構成例>
図1から
図3を参照して、第1の実施形態による作業機械制御システム(遠隔操作型作業機械システム)1の概略構成例について説明する。
図1は、作業機械制御システム1の外観構成例を示す図である。
図2は、作業機械100に搭載される周囲映像取得部S1と三次元情報取得部S2の構成を説明する概略図である。
図3は、遠隔制御システム(操作室)300の内部構成例を示す図である。
【0013】
図1に示されるように、作業機械制御システム1は、遠隔制御システム300と、当該遠隔制御システム300によって制御される作業機械(建設機械)100と、を備える。
【0014】
作業機械100は、一例として、バケット113が操作室OR側を向いているバックホウである。作業機械100の動作により、施工対象である地面Lが掘削され、例えば平面L0、平面L1、斜面L2等が形成される。作業機械100が掘削した土砂は、作業機械100が旋回し、バケット113がダンプトラック等のベッセル200まで移動することで、ベッセル200に向けて排出(放土)される。
【0015】
バックホウである作業機械100は、一例として、クローラー101と、クローラー101により支持・搬送される本体部102と、本体部102に搭載される操作室ORと、センサ情報処理部103と、通信装置104と、各種センサS1~S4と、アンテナ107と、ブーム111と、アーム112と、バケット113とを有する。ブーム111、アーム112、バケット113が、図示しないエンジンや油圧シリンダ等により駆動されることにより、施工対象である地面Lに対する掘削が行われる。
【0016】
また、クローラー101が図示しない駆動部により駆動されることにより、本体部102が前後左右に移動可能とされる。また、本体部102は、クローラー101に対し旋回可能に構成され、図示しない駆動部により駆動されることにより、旋回方向および旋回角度を制御される。作業機械100は、遠隔制御システム300により無人運転・遠隔制御が可能に構成されており、オペレータは操作室ORに搭乗する必要は無い。
【0017】
本体部102は、センサ情報処理部103および通信装置104を備える(搭載する)。センサ情報処理部103は、撮像素子を含む周囲映像取得部S1で取得した、施工対象である地面およびバケット113の映像(作業機械100の作業領域である作業機械100及びその周囲を含む領域を撮像した映像であり、以下においては、周囲映像と称する場合がある。)を圧縮する。また、センサ情報処理部103は、三次元情報取得部S2および姿勢情報取得部S3から得たセンサ情報に基づいて、現在のバケット113、およびバケット113の真下に位置する作業地表面、並びにダンプトラック等のベッセル200等の位置情報(基準点からの距離情報)などを含む支援情報を生成する。当該支援情報は、三次元情報取得部S2および姿勢情報取得部S3から得たセンサ情報そのもので構成してもよいし、当該センサ情報を作業機械)100の本体部座標系(車体座標系)に変換した情報で構成してもよい。ただし、後者の方が後段の処理の演算量を考慮すると好ましい。
【0018】
通信装置104は、取得された映像データと支援情報を遠隔制御システム300に向けて送信すると共に、遠隔制御システム300からの制御情報を受信するように構成されている。
【0019】
本体部102は、所定の場所に、作業機械100のフロント部(ブーム111、アーム112、バケット113)の映像および周囲映像を取得する周囲映像取得部S1と、視野内の物体の有無および距離を検知する三次元情報取得部S2と、作業機械100の姿勢を検知する姿勢情報取得部S3と、を備えている。
図2に示すように、一例として、周囲映像取得部S1は、作業機械100の周囲を撮像する撮像装置であり、例えば作業機械100の前方の視野SR1を撮像するCMOSセンサ等を有するカメラである。
【0020】
三次元情報取得部S2は、視野SR2内の物体の有無および距離を検知するLiDAR(Light Detection and Ranging)や超音波センサなどの物体検出センサである。三次元情報取得部S2は、センサ情報としてはセンサS2から距離を計測するが、当該計測した距離を本体部座標系の情報に変換して得られる三次元情報を出力する。三次元情報取得部S2はこれに限定されることなく、視野SR21を検知するセンサS21、視野SR22を検知するセンサS22など、複数のLiDARや超音波センサから構成されても良い。視野はこの三方向に限定されるものではなく、センサの画角に応じて設置位置・角度・台数を調整することで、全周囲の検知を行ってもよい。また、周囲映像取得部S1と三次元情報取得部S2は撮像と立体視が可能な単一又は複数のステレオカメラから構成されても良い。
【0021】
姿勢情報取得部S3は、作業機械100の姿勢を検知する姿勢センサであり、ブーム111、アーム112、バケット113の姿勢(例えば、ブーム111と本体部102との角度、アーム112およびバケット113は連結部分からの角度)とクローラー101に対する本体部102の旋回角度(クローラー101と本体部102とが同一方向に向いている状態にあるときを0度とすることができる)を取得できるものとする。姿勢情報取得部S3は、例えばジャイロセンサ、傾斜センサ、加速度センサの何れか、又はこれらの組合せから構成することができる。その他、
図2に図示の例は一例であって、本開示はこれに限定されるものではない。
【0022】
図3を参照して、遠隔制御システム300の構成の詳細の一例を説明する。この遠隔制御システム300は、一例として、運転席301、操作制御部302、操作稈303、ディスプレイ304、運転制御装置305、および通信装置306を備える。
【0023】
運転席301は、操作者が着席する椅子であり、その側部には操作制御部302、および操作稈303が設けられる。操作稈303以外に、各種レバー、スイッチ、ペダル等が配置され、それらの操作が作業機械100の動作に反映されてもよい。操作稈303等が操作されることにより、対応する操作信号が操作制御部302で生成されて運転制御装置305に送信される。運転制御装置305は、受信された操作信号に従って、作業機械100を駆動するための制御信号を生成し、通信装置306を介して作業機械100に送信する。
【0024】
ディスプレイ304は、運転席301の前方に配置され、バケット113、施工対象の地面、および後述するAR(Augmented Reality)画像を有する重畳映像を表示する表示部である。ディスプレイ304は、
図3に示すように、3次元空間をリアルに表現可能なよう、適切な俯角を与えられた複数の表示装置から構成されることができる。ディスプレイ304は、これに限らず1枚の表示装置のみで構成されていてもよいし、ヘッドマウントディスプレイとしてもよい。
【0025】
<センサ情報処理部103の内部構成例>
図4は、作業機械100に搭載されるセンサ情報処理部103の内部構成例を示す図である。
【0026】
センサ情報処理部103は、一例として、映像圧縮部1031、支援情報生成部1032、および支援情報符号化部1033を備える。センサ情報処理部103は、汎用のコンピュータであってよく、例えば、CPU151(プロセッサ)、ROM152、RAM153、ハードディスクドライブ154、入力デバイス155、およびディスプレイ156(表示部)から構成され得る。CPU151はプロセッサの一態様であり、GPUや、他の演算処理が可能な半導体デバイスであってもよく、それらの組合せであってもよい。
【0027】
映像圧縮部1031は、周囲映像取得部S1から取得した周囲映像を所定の映像圧縮手法により圧縮して通信装置104に出力する。映像圧縮の手法は、MPEG、H.264、MotionJPEGなど周知の手法を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0028】
支援情報生成部1032は、三次元情報取得部S2から取得した三次元情報と姿勢情報取得部S3から取得した姿勢情報に基づき、バケット113の位置と姿勢、バケット113の鉛直下向きに存在する地面(作業地表面)の高さ、ダンプトラック等のベッセル200の位置を算出する。
【0029】
支援情報符号化部1033は、支援情報生成部1032から出力された、支援情報(バケット113の位置と姿勢、作業地表面の高さ、ダンプトラック等のベッセル200の位置、クローラー101に対する本体部102の旋回角度)、所定の通信プロトコルによって符号化し、通信装置104に出力する。符号化にはISO11898で定められているCAN(Controller Area Network)の通信プロトコルなど周知の手法を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0030】
<支援情報生成部1032の内部構成例>
図5は、支援情報生成部1032の内部構成例を示す図である。支援情報生成部1032は、三次元情報取得部S2から取得した三次元情報と姿勢情報取得部S3から取得した姿勢情報を処理し、軽量化した(低容量の)三次元情報を含む支援情報を生成する。この支援情報生成部1032は、一例として座標系補正情報1記憶部10324と、ダンプ位置算出部10321と、バケット位置・姿勢算出部10323と、作業地表面高さ算出部10322とを備える。
【0031】
座標系補正情報1記憶部10324は、三次元情報取得部S2から取得した三次元情報、姿勢情報取得部S3から取得した姿勢情報の各検出信号の座標系を統合するための補正情報を保持する。具体的には、当該補正情報は、センサ基準(センサ座標系)の情報を車体基準(本体部座標系)の情報に座標変換するための6自由度(6次元ベクトル:xyz方向の平行移動と回転)の情報である。
【0032】
ダンプ位置算出部10321、バケット位置・姿勢算出部10323、および作業地表面高さ算出部10322は、当該補正情報に基づいて、例えば作業機械100の旋回軸上かつ本体部102底面を基準点とし、クローラー101に対する本体部102の旋回に合わせて旋回する座標系(本体部座標系)のデータとして、支援情報を出力する。この補正情報は作業機械100の場出荷時、点検時に校正しても良いし、作業機械100起動時に自動校正処理を行っても良い。
【0033】
ダンプ位置算出部10321は、三次元情報取得部S2から取得した三次元情報、および座標系補正情報1記憶部10324から取得した補正情報に基づいて、ダンプトラック等のベッセル200の位置(本体部座標系における位置)を算出する。ダンプトラック等のベッセル200の位置は、一例としてベッセルの天辺の4頂点の位置を示す三次元座標値として算出される。
【0034】
バケット位置・姿勢算出部10323は、姿勢情報取得部S3から取得した姿勢情報、および座標系補正情報1記憶部10324から取得した補正情報に基づいて、バケット113の位置および姿勢(本体部座標系における位置および姿勢)を算出する。バケット113の位置は、例えばバケット113とアーム112の結合部の三次元座標値である。バケット113の姿勢は、例えばバケット113とアーム112の結合部とバケット113の先端中央を結ぶ3次元の単位方向ベクトルとして算出される。
【0035】
作業地表面高さ算出部10322は、三次元情報取得部S2から取得した三次元情報、バケット位置・姿勢算出部10323から出力されたバケット113の位置、および座標系補正情報1記憶部10324から取得した補正情報に基づいて、作業地表面の高さ(本体部座標系における高さ)を算出する。作業地表面高さの演算は、例えばバケット113の位置から鉛直下向きに存在する地面の三次元形状の平均高さを三次元情報から算出することで求めることができる。
【0036】
<遠隔制御システム300の構成例>
図6は、遠隔制御システム(遠隔操作室)300の構成例を示す図である。遠隔制御システム300は、通信装置306と、運転制御装置305と、ディスプレイ304と、を備える。
【0037】
作業機械100中の通信装置104により、前述の映像圧縮が施された映像データと前述の符号化された支援情報は、図示しない無線基地局を介して無線通信で送信され、遠隔制御システム300の通信装置306により受信され、運転制御装置305に受け渡される。
【0038】
運転制御装置305は、
図6に示すように、AR画像を有する重畳映像の生成および表示制御のための構成として、例えば、映像伸長部3051と、映像重畳部3052と、支援情報復号化部3053と、座標系統合処理部3054と、支援図形生成部3055と、座標系補正情報2記憶部3056とを備えている。運転制御装置305は、この他、操作制御部302からの制御信号を通信装置306から送信し、これにより作業機械100の各種動作を制御する機能も有するが、その詳細は省略する。運転制御装置305は、CPU又はGPU(プロセッサ)、各種メモリ等を備えた汎用のコンピュータと、下記に示す各種動作を実行するためのコンピュータプログラムにより実現することができる。つまり、映像伸長部3051、映像重畳部3052、支援情報復号化部3053、座標系統合処理部3054、および支援図形生成部3055は、該当するコンピュータプログラムをプロセッサの内部メモリ上に展開することにより実現することができる。
【0039】
映像伸長部3051は、通信装置306によって受信された前述の映像圧縮(符号化)が施された映像データを伸長(復号化)する。
【0040】
支援情報復号化部3053は、通信装置306によって受信された前述の符号化された支援情報を復号化する。
【0041】
座標系補正情報2記憶部3056は、支援情報復号化部3053で復号化した支援情報、映像伸長部3051で伸長した映像データの座標系を統合するための補正情報を保持する。当該補正情報は、本体部座標系で記述されたデータをカメラ座標系のデータに変換するための情報である。また、当該補正情報は、例えば、本体部座標系(作業機械100の旋回軸上かつ本体部102底面を基準点とし、クローラー101に対する本体部102の旋回に合わせて旋回する座標系)における周囲映像取得部S1の設置位置、および姿勢を示す6次元ベクトルとして構成することができる。なお、この補正情報は、作業機械100の場出荷時、点検時に校正して生成してもよいし、作業機械100起動時自動校正処理を実行して生成してもよい。
【0042】
座標系統合処理部3054は、支援情報復号化部3053が出力した支援情報および座標系補正情報2記憶部3056から出力された補正情報に基づいて、支援情報(バケット113の位置と姿勢、作業地表面の高さ、ダンプトラック等のベッセル200の位置、クローラー101に対する本体部102の旋回角度)を周囲映像取得部S1の設置座標を基準(カメラ座標系)とした相対座標・姿勢情報へと変換する。
【0043】
支援図形生成部3055は、座標系統合処理部3054で変換された支援情報に基づいて、バケット113の位置と姿勢、作業地表面の高さ、ダンプトラック等のベッセル200の位置、およびクローラー101の姿勢を示すためのAR画像の構成(種々の支援図形を画像化したもの)をそれぞれ生成する。AR画像は、作業機械100による作業を支援するため、作業機械100や施工対象(地面等)等の実際の映像に重畳して表示される画像である。
【0044】
映像重畳部3052は、映像伸長部3051で伸長して得られた映像に支援図形生成部3055で生成したAR画像を重畳し、重畳映像を生成する。当該重畳映像は、ディスプレイ304に出力される。
【0045】
<映像圧縮および支援情報生成処理の詳細>
図7は、センサ情報処理部103による映像圧縮処理、および支援情報生成部1032による支援情報生成処理を説明するためのフローチャートである。以下の説明では、各ステップの動作主体を各処理部(映像圧縮部1031、バケット位置・姿勢算出部10323など)としているが、これらはプロセッサによって実現されるので、動作主体をプロセッサとしてもよい。
【0046】
(i)ステップS11
映像圧縮部1031は、周囲映像取得部S1が取得した映像を所定方式(例えば、MPEG、H.264など)で圧縮して圧縮映像データを生成し、通信装置104へと出力する。通信装置104は、圧縮映像データを遠隔制御システム300に送信する。
【0047】
(ii)ステップS12
バケット位置・姿勢算出部10323は、姿勢情報取得部S3から取得した姿勢情報および座標系補正情報1記憶部10324から取得した補正情報に基づいて、バケット113の位置および姿勢を算出する。当該姿勢情報は、姿勢情報取得部S3を基準とした情報(センサ座標系の情報)であるので、座標系補正情報によって本体部(車体)座標系の情報に変換され、バケット113の位置および姿勢が算出される。
【0048】
(iii)ステップS13
ダンプ位置算出部10321は、三次元情報取得部S2から取得した三次元情報および座標系補正情報1記憶部10324から取得した補正情報に基づいて、ダンプトラック等のベッセル200の位置を算出する。姿勢情報と同様に、上記三次元情報は、三次元情報取得部S2を基準とした情報(センサ座標系の情報)であるので、座標系補正情報によって本体部(車体)座標系の情報に変換され、ベッセル200の位置が算出される。
【0049】
(iv)ステップS14
作業地表面高さ算出部10322は、三次元情報取得部S2から取得した三次元情報、ステップS12で算出されたバケット位置、および座標系補正情報1記憶部10324から取得した補正情報に基づいて、作業地表面高さを算出する。つまり、当該作業地表面高さは、例えばバケット113の爪部先端位置から鉛直下向きに存在する地面の三次元形状の平均高さを三次元情報から算出し、これを補正情報によって本体部座標系に変換することによって求めることができる。
【0050】
(v)ステップS15
支援情報符号化部1033は、ステップS12で算出されたバケット113の位置および姿勢、ステップS13で算出されたダンプトラック等のベッセル200の位置、ステップS14で算出された作業地表面高さ、および姿勢情報取得部S3から取得したクローラー101に対する本体部102の旋回角度を符号化することにより符号化支援情報を生成し、通信装置104へ出力する。通信装置104は、符号化支援情報を遠隔制御システム(遠隔操作室)300に送信する。
【0051】
なお、ステップS11~ステップS13の実行順序は入れ替えてもよく、ステップS11~ステップS12のいずれかのステップが1回実行される間に他のステップが2回以上実行されるようにしてもよい。
【0052】
<重畳映像生成処理の詳細>
図8は、
図6の運転制御装置305によるAR画像を有する重畳映像を生成する処理を説明するためのフローチャートである。以下の説明では、各ステップの動作主体を各処理部(映像伸長部3051、支援情報復号化部3053など)としているが、これらはプロセッサによって実現されるので、動作主体をプロセッサとしてもよい。
【0053】
(i)ステップS16
映像伸長部3051は、作業機械100の通信装置104から送信され、遠隔制御システム300の通信装置306で受信した、圧縮された映像データを伸長(復号)する。伸長して得られた映像データは、カメラ座標系から見た外界の風景を画像平面上に投影したデータとなっている。
【0054】
(ii)ステップS17
支援情報復号化部3053は、作業機械100の通信装置104から送信され、遠隔制御システム300の通信装置306で受信した符号化支援情報を復号化する。復号化して得られた支援情報は、本体部座標系(車体座標系)の情報となっている。
【0055】
(iii)ステップS18
座標系統合処理部3054は、ステップS17で復号化して得られた支援情報および座標系補正情報2記憶部3056から出力された補正情報に基づいて、支援情報が周囲映像取得部S1の設置位置を基準とした相対座標・姿勢情報へと変換される。つまり、当該支援情報は、本体部座標系の情報からカメラ座標系の情報に変換される。
【0056】
(iv)ステップS19
支援図形生成部3055は、ステップS18で座標変換された支援情報に基づいて、バケット113の位置と姿勢、作業地表面の高さ、ダンプトラック等のベッセル200の位置、およびクローラー101の姿勢を示すAR画像(支援図形)を生成する。
【0057】
AR画像は、三次元空間上の線分や図形をカメラ座標から画像平面に投影する演算を行うことにより生成することができる。例えば、ベッセル200の場合、上端開口部の位置が分かるので、ベッセル200の上端開口部を表す矩形を検出し、それを図形化することによりAR画像が生成される。また、表示すべき部位(ベッセル、バケット等)のテンプレート画像データを予め用意しておき、各部位の位置によってテンプレート画像を適宜変形することによりAR画像を生成してもよい。カメラ座標から画像平面への変換は、例えば図示しない記憶デバイスに記憶しておいた、周囲映像取得部S1の内部パラメータ(レンズの焦点距離、撮像素子の1画素あたりの有効サイズ、および画像の中心座標)を用いた透視射影変換などにより行う。
【0058】
(v)ステップS20
映像重畳部3052は、ステップS19で生成されたAR画像を、ステップS16で得られた映像に重畳して重畳映像を生成し、これをディスプレイ304に出力する。
【0059】
<重畳映像の例>
図9から
図14は、第1の実施形態における重畳映像(作業機械フロント部映像+周囲映像+AR画像)の例を説明するための図である。
図9は、伸長して得られた映像(作業機械フロント部映像+周囲映像)の例を示す図である。
図10は、伸長して得られた映像(
図9)にAR画像を重畳して得られる重畳映像の例を示す図である。
図11は、バケット113を垂直に持ち上げた際に表示される重畳画像(作業機械フロント部映像+周囲映像+AR画像)の例を示す図である。
図12は、重畳画像において表示されるAR画像のうち、クローラー101の向きを示す補助線と車体の対応関係の例を示す図である。
図13は、重畳画像において表示されるAR画像の一例を示す図である。
図14は、重畳画像において表示されるAR画像の他の例を示す図である。
【0060】
映像伸長部3051で伸長された映像は、例えば
図9に示すように、ブーム111、アーム112、バケット113(作業機械フロント部)、ダンプトラック等のベッセル200、掘削対象である地面(周囲映像)などで構成される。ディスプレイ304には、
図9に示すような映像に、映像重畳部3052で重畳されたAR画像を含む形で例えば
図10で示すように表示される。
【0061】
図10に示すように、AR画像は、作業機械100の掘削作業において、バケット113の位置および姿勢を示す図形F1と、バケット113の移動方向に対応する位置、換言すれば、バケット113が移動しようとしている地面(作業地表面)の位置を示す図形F3と、両図形を繋ぐ図形F2と、クローラー101の右側部分の位置を示す図形F4と、クローラー101の左側部分の位置を示す図形F5と、クローラー101の前端部の位置を示す図形F6と、クローラー101の後端部の位置を示す図形F7と、ダンプトラック等のベッセル200の天辺4頂点の位置を示す図形F8と、を含む。
【0062】
図形F1は、バケット位置・姿勢算出部10323で算出されたバケット113の位置にバケットの姿勢と形状を反映するように表示される。これにより、映像伝送遅延および通信時の通信パケット損失に伴う映像乱れの影響がある場合でも、映像よりも低容量(軽量)で伝送遅延のパケット損失の影響を受けにくい支援情報に基づいて描画したAR画像により、バケット113の様子を明確に視認することが可能になる。
【0063】
例えば、遠隔制御システム300の操作稈303の操作によってバケット113を垂直に持ち上げる際に、ディスプレイ304に表示される重畳映像の一例を
図11に示す。周囲映像取得部S1で取得された映像のデータは、映像圧縮部1031での圧縮処理、映像伸長部3051での伸長処理、および通信装置104から通信装置306への送信で生じる各種遅延の影響で、作業機械100の状態に対して遅延した状態でディスプレイ304に表示される。一方、支援情報生成部1032で生成された支援情報は映像データに対してデータ容量が小さく、符号化・復号化処理にかかる遅延が小さい。さらに、ネットワークスライシングやQoS(Quality of Service)制御により、映像データと異なるパケットで支援情報の伝送を行うと、通信装置104から通信装置306への送信によって支援情報にかかる遅延についても、映像データにかかる遅延と比較して少なくなる。このため、支援情報に基づいて描画した図形F1は、映像データと比較して低遅延に作業機械100のバケット113の位置および姿勢を示すことが可能となる。この結果、
図11に示したように、バケット113を垂直に持ち上げる操作を行う場合、図形F1がバケット113の動作をバケット113の映像データよりも先行して表わすようにすることが可能となる。また、通信パケット損失により、映像の一部もしくは全体が乱れた場合でも、遠隔制御システム300の運転制御装置305でAR画像を重畳表示することで、バケット113の動作の様子を視認することが可能となる。
【0064】
図形F3は、作業地表面の位置を反映するように表示される。作業地表面の位置は、作業地表面高さ算出部10322が、上述の三次元情報から、バケット113の先端位置から鉛直下向きに存在する地面の三次元形状の平均高さを算出することにより求められる。図形F3を表示することにより、映像伝送遅延および通信時の通信パケット損失に伴う映像乱れの影響がある場合でも、映像データよりも低容量(軽量)で伝送遅延のパケット損失の影響を受けにくい支援情報に基づいて描画したAR画像によりバケット113と作業地表面の位置関係を明確に認識することが可能になる。また、作業地表面(バケット113による掘削箇所)を挟むように作業地表面の両側に図形F3を表示されることにより、遠隔制御システム300の操作者は、バケット113と作業地表面の位置関係を明確に認識しつつも、作業地表面も明瞭にディスプレイ304にて観察することが可能になる。
【0065】
また、図形F2は、図形F1とF3を繋ぐ図形として表示される。バケット113が水平な地面を掘削する場合、図形F1がバケット113先端部とF3が略水平方向に沿って延びるのに対し、図形F2は図形F1およびF3と交差し、略垂直方向に沿って延びる。図形F2を表示することにより、操作者はバケット113と地面との距離を認識しやすくなる。
【0066】
図形F4から図形F7は、姿勢情報取得部S3で取得したクローラー101に対する本体部102の旋回角度と車体の寸法値に基づいて、左右クローラーの向き、クローラーの前後端部を示す補助線を表示する。
【0067】
図12において、図形F4はクローラー101の右側部分の位置を、図形F5はクローラー101の左側部分の位置を、図形F6はクローラー101の前端部の位置を、図形F7はクローラー101の後端部の位置をそれぞれ示す。これにより、映像伝送遅延および通信時の通信パケット損失に伴う映像乱れの影響がある場合でも、映像データよりも低容量(軽量)で伝送遅延のパケット損失の影響を受けにくい支援情報を基に描画したAR画像により、クローラー101に対する本体部102の旋回角度を明確に視認することが可能になる。
【0068】
図形F8は、ダンプ位置算出部10321で算出されたダンプトラック等のベッセル200の位置に基づき、ダンプトラック等のベッセル200の天辺4頂点の位置を表示する。これにより、映像伝送遅延および通信時の通信パケット損失に伴う映像乱れの影響がある場合でも、映像データよりも軽量で伝送遅延のパケット損失の影響を受けにくい軽量な支援情報を基に描画したAR画像により、ダンプトラック等のベッセル200の位置を明確に視認することが可能になる。
【0069】
図13は、一例として、遠隔制御システム300の操作稈303の操作によって、クローラー101に対して本体部102を旋回させるように動作する際に、ディスプレイ304に表示される重畳映像を示す。周囲映像取得部S1で取得された映像は、映像圧縮部1031での圧縮処理、通信装置104から通信装置306への送信、および映像伸長部3051での伸長処理で生じる各種遅延の影響で、作業機械100の状態に対して遅延した状態でディスプレイ304に表示される。一方、支援情報生成部1032で生成された支援情報は、映像データと比較してデータ容量が小さく、符号化・復号化処理にかかる遅延が小さい。さらに、ネットワークスライシングやQoS制御により、映像データと異なるパケットで支援情報の伝送を行うと、通信装置104から通信装置306への送信によって支援情報にかかる遅延についても、映像データにかかる遅延と比較して少なくなる。このため、支援情報に基づいて描画した図形F8は、映像データと比較して低遅延にダンプトラック等のベッセル200の位置を示すことが可能となる。また、支援情報に基づいて描画した図形F4から図形F7は、映像データと比較して低遅延に作業機械100の旋回動作を示すことが可能となる。この結果、
図13に示したように、クローラー101に対して本体部102を旋回させるように操作を行う場合、図形F8がダンプトラック等のベッセル200の位置を、図形F4から図形F7がクローラー101に対する本体部102の旋回動作を先行表示することが可能となる。また、通信パケット損失により、映像の一部もしくは全体が乱れた場合でも、遠隔制御システム300の運転制御装置305でAR画像を重畳表示することにより、ダンプトラック等のベッセル200の位置、およびクローラー101に対する本体部102の旋回動作を視認することが可能となる。なお、
図13においてベッセル200の表示位置と図形F8の表示位置がずれているのは、クローラー101の旋回動作により座標系が異なってしまうので周囲画像(ベッセル200の画像)とAR画像(図形F8)の重畳位置がずれてしまうためである。
【0070】
図14は、クローラー101に対する本体部102の旋回動作をAR画像で先行描画する表示例を示す。
図14において、図形F10は、支援情報に基づいて生成した図形表示であって、作業機械100のクローラー101に対する、本体部102を旋回角度、周囲の車両、および地形との関係を示す図形表示である。図形F10は、本体部102の正面を示す図形F11と、本体部102の左90°方向を示す図形F12と、本体部102の右90度方向を示す図形F13と、クローラー101の向きを示す図形F14と、作業地表面の位置する方向を示す図形F15と、ダンプトラック等のベッセル200の位置する方向を示す図形F16と、を含む。この重畳映像によれば、映像と比較して低遅延に作業機械100の旋回動作を示すことが可能となる。また、通信パケット損失により、映像の一部もしくは全体が乱れた場合でも、作業機械100の旋回動作を示すことが可能となる。
【0071】
<AR先行描画中の表示>
図15は、AR図形を映像に対して先行重畳していることを示すAR先行描画中表示F17の例を示す図である。AR先行描画中表示F17によれば、作業機械100の検知範囲内にダンプトラック等が配置されていない場合や作業機械100が静止している場合に、作業機械遠隔操作者に対して重畳映像においてAR図形が先行描画されていることを示し、操作開始もしくは操作再開時の誤操作を防ぐことが可能となる。つまり、作業機械100が静止しているときにはAR図形と映像のずれは生じないが操作を開始するとAR図形が映像に先行して表示されることを操作者は認識することができるので誤操作を防止することができる。また、各AR図形表示が作業映像に対してずれている場合にキャリブレーションによるずれではなく映像遅延によるずれであることを操作者に認識させることができる。
【0072】
なお、
図10、
図11、
図13~
図15に示した例では図形F1~F8のAR図形がすべて重畳されているように表示したが、バケット113の位置と姿勢、作業地表面の位置、ダンプトラック等のベッセル200の位置、クローラー101に対する本体部102の旋回角度によっては、図形F1~F8はそれぞれ一部もしくは全体が重畳映像に表示されなくても良いことはいうまでもない。
【0073】
<映像および支援情報の通信遅延:タイミングチャートによる説明>
図16から
図18のタイミングチャートを参照して、周囲映像取得部S1で取得された映像と支援情報生成部1032で生成された支援情報にそれぞれ加わる通信遅延を説明する。
【0074】
(i)
図16は、第1の実施形態の構成を採用せず、作業機械100内でAR画像を重畳した重畳映像を生成し、遠隔制御システム300に送信した場合、もしくはネットワークスライシング、QoS制御を行わず、周囲映像取得部S1で取得された映像と支援情報生成部1032で生成された支援情報を同一の通信パケットで遠隔制御システム300に送信した場合に生じる通信遅延を示す図である。この場合、映像データと支援情報は同じ通信遅延を受けるため通信装置104から送信された各情報は、通信装置306では図示した通信遅延がかかった状態で受信される。
【0075】
(ii)
図17は、第1の実施形態の構成を採用した場合に、周囲映像取得部S1で取得された映像と支援情報生成部1032で生成された支援情報それぞれに加わる通信遅延を示す図である。
図17に示すように、映像データと支援情報は並列に(例えば、異なる通信系統で)通信装置104から通信装置306へと送信される。通信装置306では、映像データには通信遅延1で示す量の通信遅延が加わり、支援情報には通信遅延1とは異なる通信遅延2で示す量の通信遅延が加わる。ネットワークスライシング、QoS制御により、通信遅延2は通信遅延1と比較して小さいため、通信装置306で受信された支援情報に加わった通信遅延は、映像データに加わった通信遅延と比較して小さくなる。
【0076】
これにより、
図18のタイミングチャートに示すように、第1の実施形態の構成によれば、
図18に図示した映像1に対して、映像1よりも後に通信装置104から通信装置306に送信された支援情報2に基づいてAR画像を生成し、AR画像を重畳した重畳映像を生成することが可能となり、映像伝送遅延よる作業効率低下を防ぐことが可能となる。
【0077】
なお、ここでは通信装置104から通信装置306への通信遅延のみを考慮して説明したが、これに加えて映像の圧縮・伸長処理の処理遅延と、支援情報の符号化・復号化処理の処理遅延の間に差がある場合でも第1の実施形態の構成によれば、遅延による作業効率低下を防ぐことが可能となる。
【0078】
また、
図18では映像データと支援情報が通信装置104から送信されるタイミング、周期は一致していたが、これらは一致している必要がないことは言うまでもない。また、
図18では、支援情報1と支援情報2にそれぞれ加わる遅延時間を等しいものとして示したが、通信装置104と通信装置306の間の通信設備の稼働状況等によって、それぞれの遅延時間は変動しうるし、このような変動が生じた場合でも、第1の実施形態の効果は損なわれるものではない。
【0079】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、作業機械100の支援情報生成部1032で軽量化された三次元情報を含む支援情報、周囲映像取得部S1で取得した映像に基づいて、遠隔制御システム300の運転制御装置305でAR画像が重畳された重畳映像がディスプレイ304に出力される。これにより、映像の遅延や通信パケット損失による映像の乱れに阻害されることなく、バケット113、ダンプトラック等のベッセル200、作業地表面、クローラー101に対する本体部102の旋回角などを視認することが可能となる。
【0080】
(2)第2の実施形態
(2-1)基本形態
図19から
図25を参照して、第2の実施形態(基本形態)に係る作業機械制御システム1について説明する。なお、第2の実施形態の作業機械制御システム1の全体構成は第1の実施形態と同様であるので、重複する説明は省略する。第2の実施形態は、座標系統合処理部3054での支援情報に加わる座標変換処理が第1の実施形態とは異なっている。
【0081】
<旋回動作を考慮した座標変換の導入>
第1の実施形態では、遠隔制御システム300の通信装置306が受信した映像データに対応する映像を作業機械100の周囲映像取得部S1が取得した時刻と、遠隔制御システム300の通信装置306が受信した支援情報の基となる情報を作業機械100の三次元情報取得部S2と姿勢情報取得部S3が取得した時刻との間には、時間差がある。例えば、
図18のタイミングチャートで示す状況の場合、重畳映像を映像1と支援情報2を用いて生成することになるが、映像1と支援情報2が通信装置104から送信されるタイミングには差がある。このため、作業機械100が、クローラー101に対して本体部102を左方向旋回するように動作する場合、映像1取得時の作業機械100の姿勢と、支援情報2取得時の作業機械100の姿勢は
図19に示すようになる。ここで、座標系C1は、作業機械100において映像1および支援情報1を取得したタイミングでのカメラ座標系(カメラ姿勢を表す座標系)である。座標系C2は、作業機械100において映像2および支援情報2を取得したタイミングでのカメラ座標系(カメラ姿勢を表す座標系)である。
【0082】
第1の実施形態では、座標系統合処理部3054が支援情報2の座標変換を行う際、変換先の座標系として座標系C2を用いている。これにより、
図13に示したようなAR画像を重畳した重畳映像がディスプレイ304に表示されることとなる。ただし、この変換方法では、作業機械100の旋回時に周囲の地形や車両の映像とAR図形の表示位置がずれることとなり、操作者の負担が増える可能性がある。
【0083】
そこで、第2の実施形態(基本形態および変形例)では、座標系統合処理部3054が支援情報2の座標変換を行う際、支援情報1と支援情報2の差を考慮した変換を行い、変換先の座標系として座標系C1を用いることで、映像とAR画像の間のずれの解消と、映像データの遅延や通信パケット損失による映像の乱れによって阻害されることなく作業機械100の操作が行える映像表示を行うことを両立する。
【0084】
<運転制御装置305の内部構成例>
図20は、第2の実施形態(基本形態)による運転制御装置305の内部構成例を示す図である。運転制御装置305は、第1の実施形態(
図6)の構成に加えて、遅延時間推定部3057を備えている。
【0085】
遅延時間推定部3057は、通信装置306で受信したデータに基づいて、映像データに加わる遅延時間1、支援情報に加わる遅延時間2を推定する。例えば、通信装置306が通信状況を監視する機能を有している。このような場合に、遅延時間推定部3057は、通信装置306から検知された通信状況の情報から現状どの程度の遅延時間が発生しているかを推定する。
【0086】
座標系統合処理部3054は、遅延時間推定部3057から出力された遅延時間(推定値)および座標系補正情報2記憶部3056から出力された補正情報に基づいて、支援情報を座標系C1における情報へと変換する。例えば、座標系統合処理部3054は、周囲映像データの遅延時間(第1遅延時間)と支援情報の遅延時間(第2遅延時間)とを比較し、作業機械100の作業状態を先行してAR画像表示するのに必要な支援情報(第2タイミングの支援情報)を決定する。また、座標系統合処理部3054は、第1遅延時間と第2遅延時間との差を算出し、遅延時間の差分だけ遡った支援時間のクローラー101に対する本体部102の旋回角度と最新の支援時間情報のクローラー202に対する本体部102の旋回角度との差に基づいて、座標系C2から座標系C1への変換量を算出する。そして、座標系統合処理部3054は、支援情報(座標系C2)を、作業機械の姿勢の座標系C1(第1タイミングの周囲映像を取得した座標系)に変換して、座標変換された支援情報を生成し、これからAR画像(支援図形)を生成する。なお、その他の構成要素については第1の実施形態(
図6)と重複するため省略する。
【0087】
<重畳映像生成処理>
図21は、第2の実施形態(基本形態)の運転制御装置305(
図20参照)による、AR画像を有する重畳映像生成処理を説明するためのフローチャートである。第1の実施形態(
図8)と同一のステップS16およびステップS17の次に、ステップS22が実行される。なお、ステップS16、S17、S19、S20は第1の実施形態(
図8)と同一のため説明は省略する。
【0088】
ステップS22では、遅延時間推定部3057は、通信装置306で受信したデータに基づいて、映像データおよび支援情報のそれぞれに加わる遅延時間を推定する。
【0089】
ステップS17では、座標系統合処理部3054は、遅延時間推定部3057から出力された遅延時間および座標系補正情報2記憶部3056から出力された補正情報に基づいて、支援情報を座標系C1における情報へと変換する。
【0090】
(2-2)変形例
変形例は、上記基本形態のように通信装置306が検知する通信状況の情報から遅延時間を検知するのではなく、送信側(作業機械100側)で映像データに埋め込まれた情報に基づいて遅延時間を検知し、それを座標変換に反映させる処理を行う。
【0091】
<センサ情報処理部103の内部構成例>
(i)
図22は、第2の実施形態(変形例)におけるセンサ情報処理部103の内部構成例1を示す図である。
【0092】
センサ情報処理部103は、第1の実施形態(
図4)の構成に加えて、情報埋込部1034を備える。情報埋込部1034は、周囲映像取得部S1で取得された映像の一部の画素に、姿勢情報取得部S3で取得したクローラー101に対する本体部102の旋回角度を埋め込む。その他の構成要素については第1の実施形態(
図4)と重複するため省略する。
【0093】
(ii)
図23は、第2の実施形態(変形例)におけるセンサ情報処理部103の内部構成例2を示す図である。
センサ情報処理部103は、
図22の構成に加えて、タイムスタンプ発行部1035を備える。情報埋込部1034は、周囲映像取得部S1で取得された映像の一部の画素に、タイムスタンプ情報を埋め込む。支援情報符号化部1033は、第1の実施形態で符号化したデータに加えて、タイムスタンプ発行部1035が出力したタイムスタンプを符号化する。その他の構成要素については第1の実施形態(
図4)と重複するため省略する。
【0094】
<情報埋め込み方法>
図24は、情報埋込部1034における、周囲映像取得部S1で取得された映像の一部の画素への情報埋込方法の一例を示す図である。
【0095】
情報埋込部1034は、周囲映像取得部S1で取得された映像I1のうち遠隔制御システム300の操作者の妨げにならない一部の画素I11の画素値を、姿勢情報取得部S3で取得したクローラー101に対する本体部102の旋回角度、またはタイムスタンプ発行部1035で出力されたタイムスタンプ情報で置き換える。なお、インターレース方式での映像圧縮部1031への映像入力や、映像圧縮部1031での圧縮処理におけるマクロブロックサイズなどを考慮したピクセル数分の画素値を置き換えれば良い。例えば、インターレース方式の映像を、マクロブロックサイズが16×16である、H.264で圧縮する場合は、縦32ピクセル、横16ピクセル分の画素値をこれらの情報で置き換えれば良い。
【0096】
<運転制御装置305の内部構成例>
図25は、
図22および
図23のセンサ情報処理部103に対応する運転制御装置305の内部構成例を示す図である。
【0097】
当該運転制御装置305は、第1の実施形態(
図6)の構成に加えて、情報読取部3058を備える。
【0098】
情報読取部3058は、映像伸長部3051で伸長した映像データの一部の画素値から、センサ情報処理部103の情報埋込部1034で埋め込まれた、姿勢情報取得部S3で取得したクローラー101に対する本体部102の旋回角度、またはタイムスタンプ発行部1035で出力されたタイムスタンプ情報を読み取る。
【0099】
座標系統合処理部3054は、情報読取部3058で読み取った情報および支援情報復号化部3053で復号化した支援情報に基づいて、支援情報(座標系C2)を座標系C1における情報へと変換する。情報読取部3058で読み取った情報がクローラー101に対する本体部102の旋回角度の場合、座標系統合処理部3054は、復号化した支援情報のクローラー101に対する本体部102の旋回角度と読み取った旋回角度との差に基づいて、座標系C1への変換量を算出する。一方、情報読取部3058で読み取った情報がタイムスタンプ発行部1035で出力されたタイムスタンプ情報の場合、座標系統合処理部3054は、復号化した支援情報のタイムスタンプ情報と読み取ったタイムスタンプ情報とを比較し、タイムスタンプ情報の時間差分だけ遡った支援情報のクローラー101に対する本体部102の旋回角度と最新の支援情報のクローラー101に対する本体部102の旋回角度との差に基づいて、座標系C2から座標系C1への変換量を算出する。その他の構成要素については第1の実施形態(
図6)と重複するため省略する。
【0100】
<映像圧縮処理および支援情報生成処理>
図26は、第2の実施形態(変形例)のセンサ情報処理部103(
図22あるいは
図23参照)による映像圧縮処理および支援情報生成処理を説明するためのフローチャートである。
図26において、ステップS11からステップS15の処理は第1の実施形態の処理(
図7参照)と同一であるので、それらのステップの説明は省略する。
【0101】
ステップS21では、情報埋込部1034は、周囲映像取得部S1で取得された映像の一部の画素値を、姿勢情報取得部S3で取得したクローラー101に対する本体部102の旋回角度、またはタイムスタンプ発行部1035で出力されたタイムスタンプ情報で置き換える。
【0102】
<重畳映像生成処理>
図27は、第2の実施形態(変形例)の運転制御装置305(
図25参照)による、AR画像を有する重畳映像生成処理を説明するためのフローチャートである。第1の実施形態(
図8)と同一のステップS16の処理とステップS17の処理との間にステップS23の処理が実行される。
【0103】
ステップS23では、情報読取部3058は、ステップS16で伸長した映像データの一部の画素値に基づいて、センサ情報処理部103の情報埋込部1034で埋め込まれた情報であって、姿勢情報取得部S3で取得したクローラー101に対する本体部102の旋回角度またはタイムスタンプ発行部1035で出力されたタイムスタンプ情報を読み取る。
【0104】
ステップS18では、座標系統合処理部3054は、ステップS23で読み取った情報であって、姿勢情報取得部S3で取得したクローラー101に対する本体部102の旋回角度またはタイムスタンプ発行部1035で出力されたタイムスタンプ情報、およびステップS17で復号化した支援情報に基づいて、支援情報(座標系C2)を座標系C1における情報へと変換する。なお、ステップS16、S17、S19、およびS20の処理は、第1の実施形態(
図8)と同一のため説明は省略する。
【0105】
<重畳表示例>
図28は、第2の実施形態(基本形態および変形例)の処理によって表示される、映像(周囲撮像映像および作業機械フロント部映像)およびそれに重畳表示されるAR画像の例を示す図である。より詳細には、
図28では、遠隔制御システム300の操作稈303の操作によって、クローラー101に対して本体部102を旋回させるように動作する際に、ディスプレイ304に表示される重畳映像の一例が示されている。
【0106】
座標系C1における情報へと変換した支援情報に基づいて生成されたAR画像が、周囲映像取得部S1で取得された映像に対して重畳される。これにより、映像内の周囲の地形や車両の映像と表示位置が一致した図形F3~F8、および映像内の周囲の地形や車両に対するバケット113の相対位置および姿勢を示す図形F1を描画することが可能となる。
【0107】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、映像とAR画像の間のずれの解消と、映像データの遅延や通信パケット損失による映像の乱れによって阻害されることなく作業機械100の操作が行える映像表示の両立が可能となる。
【0108】
(3)第3の実施形態
図29から
図31を参照して、第3の実施形態に係る作業機械制御システム1について説明する。なお、第3の実施形態の作業機械制御システム1の全体構成は第2の実施形態のそれと同様であるので、重複する説明は省略する。
【0109】
第3の実施形態では、支援情報を座標系C2における情報としてAR画像を生成して、周囲映像を座標系C1で撮影した際に取得される映像へと変換する。つまり、第2の実施形態では、映像は加工せず、AR画像を映像のどこに重畳するか計算し重畳画像を生成するが、第3の実施形態では、映像を斜影変換(例えば、ホモグラフィ変換:C1とC2の姿勢の差から変換量が算出される)して映像を歪ませてからAR画像を重畳している。
【0110】
<運転制御装置305の内部構成例1>
図29は、第3の実施形態による運転制御装置305の内部構成例1を示す図である。当該運転制御装置305は、第2の実施形態(基本形態)の構成(
図20参照)に加えて、映像変換部3060を備える。この例では、座標系統合処理部3054は、支援情報を座標系C2(カメラ座標系)における情報へと変換する。映像変換部3060は、遅延時間推定部3057が出力した遅延時間および支援情報復号化部3053で復号化した支援情報に基づいて、座標系C2(カメラ座標系)から座標系C1(カメラ座標系)への変換量を算出し、座標系C2の映像を座標系C1で撮影した際に取得可能な映像に変換する。その他の構成要素については第2の実施形態(
図20)と重複するため説明は省略する。
【0111】
<運転制御装置305の内部構成例2>
図30は、第3の実施形態による運転制御装置305の内部構成例2を示す図である。当該運転制御装置305は、第2の実施形態(変形例)の構成(
図25参照)に加えて、映像変換部3060を備える。この例では、座標系統合処理部3054は、支援情報を座標系C2における情報へと変換する。映像変換部3060は、情報読取部3058が出力した情報(姿勢情報取得部S3で取得したクローラー101に対する本体部102の旋回角度、またはタイムスタンプ発行部1035で出力されたタイムスタンプ情報)および支援情報復号化部3053で復号化した支援情報に基づいて、座標系C2から座標系C1への変換量を算出し、座標系C2の映像を座標系C1で撮影した際に取得可能な映像に変換する。その他の構成要素については第2の実施形態(
図25)と重複するため説明は省略する。
【0112】
<重畳映像例>
図31は、第3の実施形態の処理によって表示される、映像(周囲撮像映像および作業機械フロント部映像)およびそれに重畳表示されるAR画像の例を示す図である。具体的に、
図31では、遠隔制御システム300の操作稈303の操作によってクローラー101に対して本体部102を旋回させるように動作する際に、ディスプレイ304に表示される重畳映像例が示されている。
【0113】
周囲映像取得部S1で取得され、座標系C1にて撮影した際に取得される状態に変換された映像(歪められた映像)に対して、座標系C2における情報へと変換した支援情報に基づいて生成されたAR画像が重畳される。これにより、映像内の周囲の地形や車両の映像と表示位置が一致した図形F3~F8、および映像内の周囲の地形や車両に対するバケット113の相対位置および姿勢を示す図形F1を描画することが可能となる。
【0114】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、映像とAR画像の間のずれの解消と、映像の遅延や通信パケット損失による映像の乱れによって阻害されることなく作業機械100の操作が行える映像表示の両立が可能となる。
【0115】
(4)第4の実施形態
図32から
図34を参照して、第4の実施形態による作業機械制御システム1について説明する。なお、第4の実施形態による作業機械制御システム1の全体構成は、第1の実施形態と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0116】
第4の実施形態は、ディスプレイ304に表示される重畳映像に、最後に(最新の)掘削した作業地表面、もしくは次に掘削予定の作業地表面の位置を示す図形を重畳表示する点が第1の実施形態と異なる。作業地面の位置を表示することにより、ダンプトラック等のベッセル200へ掘削した土砂等を放土したのちに、次の掘削予定の作業地表面へ向けて、クローラー101に対して本体部102を旋回動作させる際に、映像データの遅延や通信パケット損失による映像の乱れによって阻害されることなく作業機械100を操作することが可能となる。
【0117】
<運転制御装置305の内部構成例>
図32は、第4の実施形態による運転制御装置305の内部構成例を示す図である。運転制御装置305は、第1の実施形態(
図6参照)の構成に加えて、作業対象地表面記憶部3059を備える。
作業対象地表面記憶部3059は、作業機械100が次に掘削する予定の作業地表面の位置(操作者によって予め指定することができる)を記憶する。
座標系統合処理部3054は、支援情報と共に、作業対象地表面記憶部3059から出力された作業対象地表面の位置を座標変換する。
【0118】
支援図形生成部3055は、座標系統合処理部3054で変換された、作業対象地表面記憶部3059から出力された作業対象地表面の位置および支援情報に基づいて、AR画像を生成する。
【0119】
なお、最後に掘削した作業地面を表示する場合には掘削予定の作業地面の情報は不要であるが、最後の掘削作業地面と掘削予定の作業地面を同時に表示させる場合には作業対象地表面記憶部3059から必要な情報が読みだされる。その他の構成要素については第1の実施形態(
図6)と重複するため省略する。
【0120】
<重畳映像例>
図33は、第4の実施形態の処理によって表示される、映像(周囲撮像映像および作業機械フロント部映像)およびそれに重畳表示されるAR画像の例を示す図である。
【0121】
図33において、映像に重畳表示されるAR画像は、第1の実施形態(
図10)の構成に加えて、最後に掘削した作業地面および/あるいは掘削予定の作業地面を示す図形F9を含む。図形F9は、最後の掘削作業地面の位置情報、および/あるいは作業対象地表面記憶部3059から出力された掘削予定の作業対象地表面の位置情報に基づいて、生成された図形である。このように最後の掘削作業地面および/あるいは掘削予定の作業対象地表面をAR画像として重畳表示することにより、ダンプトラック等のベッセル200に掘削した土砂等を放土したのちに、次の掘削予定の作業対象地表面へ向けて、クローラー101に対して本体部102を旋回動作させる際の目標位置を、操作者が視認することが可能となる。
【0122】
なお、作業対象地表面記憶部3059が記憶する作業対象地表面の位置は、例えば、最後に作業機械100が掘削を行った際に、バケット113先端部が接地した地面の座標値を記憶しておいても良いし、
図34に示したように車体をトップビュー視点で表示したGUI(Graphical User Interface)上で、所定の回数分、掘削する予定の地面の位置をマーカーP1~P4で示すように指定することであらかじめ記憶させておいても良い。
【0123】
以上説明したように、第4の実施形態によれば、次の掘削予定の作業地表面へ向けて、クローラー101に対して本体部102を旋回動作させる際に、映像データの遅延や通信パケット損失による映像の乱れによって阻害されることなく作業機械100を操作することが可能となる。
【0124】
(5)変形例
第1から第4の実施形態では、作業機械100がいわゆるバックホウである場合について説明したが、作業機械100のバケットが前方を向いているローディングショベルである場合にも、第1から第4の実施形態と同様の構成および処理を適用することができる。
【0125】
<AR画像の表示状態切り替え機能>
図35は、上述の各実施形態の作業機械制御システム1におけるAR画像の表示状態の切り替えを説明する概念図である。
【0126】
作業機械100は、掘削場所へ移動して(S31)、待機(S32)の後、バケット113を駆動して掘削(S33)を実行する。掘削が実行されると、作業機械100が旋回(行き)(S34)して、ベッセル200へ放土(S35)が行われる。放土が終わると、バケット113は再度掘削場所へと旋回(戻り)(S36)して、掘削(S33)が続けられる。
【0127】
掘削が行われている段階(S33)では、バケット113を示す図形F1と作業対象地表面位置を示す図形F3、および図形F1と図形F3をつなぐ図形F2が表示されるように設定することができる。また、旋回する際(S34およびS36)には、さらにクローラー101の向きを示す図形F4から図形F7、ダンプトラック等のベッセル200の位置を示す図形F8、および次の掘削予定の作業地表面を示す図形F9などが表示されるように設定することができる。これらの表示設定は操作者(操作室でローディングショベルを遠隔操作するユーザ)毎に行うことができる。例えば、表示状態の切り替えの設定は、操作者ごとに設定値(どの段階で何を表示させるかについての設定値)を図示しない記憶デバイスに記憶しておき、操作時に記憶デバイスから設定値を読み出す。このようにすることで、それぞれのユーザにカスタマイズされた操作しやすいAR画像の表示切り替えを実現することができる。
【0128】
また、撮像画像は天候や時間や撮影方向(順光か逆光かなど)に応じて輝度、コントラストが変化するため、重畳表示するAR画像の輝度、コントラストを調整する(夜間など暗い画像の場合には輝度を落として重畳表示し、日中など耀画像の場合には輝度を上げて目立つように重畳表示する)ことで視認性を上げることも有効である。これら輝度の設定値についてもユーザごとに設定値を記憶しておき操作時に読み出してもよい。
【0129】
(6)まとめ
(i)本開示の実施形態では、運転制御装置305は、作業機械100から受信した支援情報から作業機械100の姿勢と作業対象の位置を示すAR画像(支援図形)を生成し、作業機械100において第1タイミングで取得された周囲映像(映像1:
図18参照)と、作業機械100において第1タイミングよりも後の第2タイミングで取得された支援情報(支援情報2:
図18参照)から生成したAR画像とを重畳してディスプレイ装置に表示する。これにより、作業機械100の遠隔操作者は、作業機械100の周囲映像に遅延が生じていても低容量の(軽い)支援情報から生成されたAR画像から実際の作業状況を知ることができるので、作業効率の低下を防止することができる。ここで、運転制御装置305は、作業機械100の車体座標系で表された支援情報をカメラ座標系に変換し、座標変換後の支援情報からAR画像(支援図形)を生成する。これにより、周囲映像の座標系と同一の座標系でAR画像を表示することができ、作業機械100の実際の作業動作に対応するAR画像を遅延した周囲映像に対して先行表示することができるようになる。
【0130】
(ii)運転制御装置305は、作業機械100の位置と姿勢を示す図形(
図10など参照)、作業機械100の作業対象の地形位置を示す図形(
図33参照)、作業機械100の作業対象の車両(例えば、ダンプのベッセル)の位置を示す図形(
図10など参照)、あるいは作業機械100の走行体(クローラー)の姿勢を示す図形(
図10など参照)の少なくとも1つを含むAR画像を生成する。このように必要最小限のAR画像を表示することにより、遠隔操作者を混乱させることなく(多くの情報を表示し過ぎると却って混乱を来す可能性あり)の操作支援を行うことができる。
【0131】
(iii)運転制御装置305は、作業映像(映像1)よりも取得タイミングが後の支援情報(支援情報2)に基づくAR画像を作業映像に重畳させて表示していることを示す情報を重畳画像と共に表示する(
図15参照)。これにより、操作開始時もしくは操作再開時の遠隔操作者による誤操作を防止することができる。
【0132】
(iv)第2の実施形態では、運転制御装置305は、第1タイミングにおける作業機械100の走行体(クローラー)と作業機械の旋回体(本体部)とがなす第1角度と、第2タイミングにおける走行体と旋回体とがなす第2角度との角度差に基づいて、AR画像(支援図形)の重畳位置と形状を変化させる(
図28参照)。
【0133】
上記角度差を算出する際には、周囲映像の遅延時間(第1遅延時間)と支援情報の遅延時間(第2遅延時間)を用いることができる。つまり、運転制御装置305は、第1遅延時間と第2遅延時間とを比較し、第1タイミングの周囲映像(映像1:
図18参照)に重畳すべきAR画像を生成するための第2タイミングの支援情報(支援情報2:
図18参照)を決定し、当該第2タイミングの支援情報を、第1タイミングにおける作業機械100の姿勢の座標系に変換し、座標変換された第2タイミングの支援情報からAR画像を生成する。
【0134】
また、上記角度差を算出する別の例として、周囲映像に埋め込まれた角度情報(第1角度の情報)を用いることもできる。この場合、運転制御装置305は、周囲映像のデータから取得(分離)した第1角度の情報と、第2タイミングにおける支援情報(支援情報2)から取得した第2角度の情報とから角度差を算出する。
【0135】
上記角度差を算出するさらに別の例として、作業用過増に埋め込まれたタイムスタンプ(第1タイミングに対応する第1時刻情報)を用いることもできる。この場合、運転制御装置305は、周囲映像のデータから取得したタイムスタンプ(第1時刻情報)と支援情報から取得した第2時刻情報との差分だけ遡った支援情報の走行体(クローラー)と旋回体(本体部)の角度と最新の支援情報(第2タイミングの支援情報)の走行体と旋回体の角度とから上記角度差を算出する。
【0136】
(v)第3の実施形態では、運転制御装置305は、第1タイミングにおける作業機械100の走行体(クローラー)と作業機械100の旋回体(本体部)とがなす第1角度と、第2タイミングにおける走行体(クローラー)と旋回体(本体部)とがなす第2角度との角度差に基づいて、周囲映像を変形させる(
図33参照)。第3の実施形態でも、第2の実施形態と同様の角度差算出の方法を採用することができる。
【0137】
(vi)第4の実施形態では、運転制御装置305は、作業対象の位置の情報に基づいて、作業機械100による作業対象の予定位置(掘削予定位置)を表すAR画像(支援図形)を周囲映像に重畳させる(
図33参照)。これにより、遠隔操作者は、作業機械100で次に作業すべき位置を容易に認識することができる。また、最後に作業した作業対象の位置をAR画像で表示するようにしてもよい。
【0138】
(vii)変形例では、運転制御装置305は、作業機械100の作業状態(移動、待機、掘削、旋回、放土など)に応じて支援図形(AR画像)の表示形態(例えば、一部の必要なAR画像のみを表示するなど)を切り替える。
【0139】
(viii)本開示の実施形態の機能は、ソフトウェアのプログラムコードによっても実現することができる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、およびそれを記憶した記憶媒体は本開示を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0140】
また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータ上のメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータのCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。
【0141】
さらに、実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することにより、それをシステム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、使用時にそのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。
【0142】
また、本開示の技術は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施形態は本開示の技術をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であるし、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0143】
1 作業機械制御システム、100 作業機械(建設機械)、101 クローラー、102 本体部、103 センサ情報処理部、104 通信装置、107 アンテナ、111 ブーム、112 アーム、113 バケット、200 ベッセル、300 遠隔制御システム、301 運転席、302 操作制御部、303 入力装置(操作稈)、304 ディスプレイ、305 運転制御装置、306 通信装置、1031 映像圧縮部、1032 支援情報生成部、1033 支援情報符号化部、1034 情報埋込部、1035 タイムスタンプ発行部、10321 ダンプ位置算出部、10322 作業地表面高さ算出部、10323 バケット位置・姿勢算出部、10324 座標系補正情報1記憶部、3051 映像伸長部、3052 映像重畳部、3053 支援情報復号化部、3054 座標系統合処理部、3055 支援図形生成部、3056 座標系補正情報2記憶部、3057 遅延時間推定部、3058 情報読取部、3059 作業対象地表面記憶部、3060 映像変換部、L0、L1、L2 地面、L4 壁面、Lg 対応地面、OR 操作室、S1 周囲映像取得部、S2 三次元情報取得部、S3 姿勢情報取得部、F1~F17 図形、C1、C2 座標系、I1 周囲映像、P1~P4 マーカー