(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172306
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】コイル装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20231129BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H01F27/29 P
H01F17/04 F
H01F27/29 125
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084007
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】杉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】芦澤 瞬
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070BB03
5E070EA02
(57)【要約】
【課題】インダクタンス特性に優れたコイル装置およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】コイル装置1は、コア2と、コア2の内部に配置された巻回部30と、巻回部30から引き出された引出部5aとを有するコイル3と、引出部5aに接合され、コア2の内部に配置された継線部40aを有する端子4aと、を有する。引出部5aは、継線部40aに接合された接合部50aと、接合部50aとは離間する非接合部51aとを有する。接合部50aの第1厚みL1は、非接合部51aの第2厚みL2よりも小さい。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、
前記コアの内部に配置された巻回部と、前記巻回部から引き出された引出部とを有するコイルと、
前記引出部に接合され、前記コアの内部に配置された継線部を有する端子と、を有し、
前記引出部は、前記継線部に接合された接合部と、前記接合部とは離間する非接合部とを有し、
前記接合部の第1厚みは、前記非接合部の第2厚みよりも小さいコイル装置。
【請求項2】
前記継線部の第3厚みは、前記接合部の前記第1厚みよりも大きい請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記接合部の第1幅は、前記非接合部の第2幅よりも大きい請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記継線部の第3幅は、前記接合部の前記第1幅よりも大きい請求項3に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記接合部は、前記コイルの巻回軸に対して垂直に配置されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記接合部は、前記継線部の第1面に配置されており、
前記第1面は、前記コイルの巻回軸と交差する前記コアのいずれかの面を向いている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記端子は、第1端子と第2端子とからなり、
前記継線部は、前記第1端子に具備された第1継線部と、前記第2端子に具備された第2継線部とからなり、
前記接合部は、前記第1継線部に接合された第1接合部と、前記第2継線部に接合された第2接合部とからなり、
前記コアの第1方向の同一側において、前記第1接合部および前記第2接合部は、それぞれ前記第1継線部および前記第2継線部に接合されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記第1接合部および前記第2接合部は、それぞれ前記第1継線部の前記第1方向の一端部および前記第2継線部の前記第1方向の一端部に接合されている請求項7に記載のコイル装置。
【請求項9】
前記継線部は、第1金属層を有し、
前記第1金属層は、前記接合部と前記継線部との間に位置する請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項10】
前記第1金属層はニッケルを含む請求項9に記載のコイル装置。
【請求項11】
前記継線部は、前記第1金属層とは異なる第2金属層を有し、
前記第2金属層は、前記接合部の幅方向の端部の少なくとも一部を覆う付着部を有する請求項9に記載のコイル装置。
【請求項12】
前記第2金属層は、前記接合部が接合された前記継線部の第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とに形成されており、
前記第1面における前記第2金属層の第4厚みは、前記第2面における前記第2金属層の第5厚みよりも大きい請求項11に記載のコイル装置。
【請求項13】
前記第2金属層はスズを含む請求項11に記載のコイル装置。
【請求項14】
前記付着部の内部には、前記コアを形成する材料が入り込んでいる請求項11に記載のコイル装置。
【請求項15】
前記継線部は、凹部を有し、
前記凹部は、前記継線部と対向する前記接合部の接合面の形状に沿って湾曲している請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項16】
前記接合部の幅方向の端部は、前記継線部から離間する方向に向けて屈曲している請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項17】
前記接合部の表面には凹凸が形成されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項18】
前記継線部とは反対側に位置する前記接合部の表面の表面粗さは、前記非接合部の表面の表面粗さよりも大きい請求項17に記載のコイル装置。
【請求項19】
前記継線部は、前記コイルの巻回軸と交差する前記コアのいずれかの面に対して傾斜している請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項20】
コイルの引出部を端子に加圧接合する工程と、
前記引出部が接合された前記端子とともに、前記コイルを磁性材料と樹脂とにより形成されるコアの内部に埋設する工程と、を有するコイル装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、コイル装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1に示されるように、端子の継線部がコアの内部に配置されたコイル装置が知られている。この種のコイル装置では、継線部がコアの外部に露出していないため、他の部品との接触リスクから継線部を保護することができる。
【0003】
しかしながら、特許文献1のコイル装置では、コイルの引出部が端子に溶接されるため、溶接部の周辺に溶融玉が形成される。このような溶融玉が形成された継線部がコアの内部に配置されると、コアの体積が不可避的に減少し、コイル装置のインダクタンス特性が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、インダクタンス特性に優れたコイル装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本出願に係るコイル装置は、
コアと、
前記コアの内部に配置された巻回部と、前記巻回部から引き出された引出部とを有するコイルと、
前記引出部に接合され、前記コアの内部に配置された継線部を有する端子と、を有し、
前記引出部は、前記継線部に接合された接合部と、前記接合部とは離間する非接合部とを有し、
前記接合部の第1厚みは、前記非接合部の第2厚みよりも小さい。
【0007】
本出願に係るコイル装置では、接合部の第1厚みが、非接合部の第2厚みよりも小さい。そのため、接合部は厚み方向に圧縮された状態となっており、継線部に接合部をコンパクトに接合することが可能である。それゆえ、従来技術に比べて、接合部の周辺に配置可能なコアの体積が増大し、コイル装置のインダクタンス特性を向上させることができる。
【0008】
前記継線部の第3厚みは、前記接合部の前記第1厚みよりも大きくてもよい。この場合、継線部の第3厚みが相対的に大きくなるため、継線部の物理的強度を確保することが可能となり、接合部と継線部との間の接合安定性を向上させることができる。
【0009】
前記接合部の第1幅は、前記非接合部の第2幅よりも大きくてもよい。この場合、接合部の第1幅が相対的に大きくなるため、接合部と継線部との間の接合面積を増大させ、接合部と継線部との間の接合安定性を向上させることができる。
【0010】
前記継線部の第3幅は、前記接合部の前記第1幅よりも大きくてもよい。この場合、継線部の第3幅が相対的に大きくなるため、接合部が継線部の幅方向の外側にはみ出しにくくなり、接合部と継線部との間の接合安定性を向上させることができる。
【0011】
前記接合部は、前記コイルの巻回軸に対して略垂直に配置されていてもよい。この場合、コイルの巻回軸方向に沿って、接合部を継線部に加圧接合することが可能となり、接合部と継線部との間の接合安定性を向上させることができる。
【0012】
前記接合部は、前記継線部の第1面に配置されており、前記第1面は、前記コイルの巻回軸と交差する前記コアのいずれかの面を向いていてもよい。この場合、接合部をコイルの巻回軸方向から継線部の第1面に接合することが可能となる。そのため、継線部の第1面に接合部を接合しやすくなり、接合部と継線部との間の接合安定性を向上させることができる。
【0013】
前記端子は、第1端子と第2端子とからなり、前記継線部は、前記第1端子に具備された第1継線部と、前記第2端子に具備された第2継線部とからなり、前記接合部は、前記第1継線部に接合された第1接合部と、前記第2継線部に接合された第2接合部とからなり、前記コアの第1方向の同一側において、前記第1接合部および前記第2接合部は、それぞれ前記第1継線部および前記第2継線部に接合されていてもよい。この場合、同一方向(コアの第1方向の同一側)から、第1継線部に対する第1接合部の接合と、第2継線部に対する第2接合部の接合とを行うことが可能となり、コイル装置の製造容易化を図ることができる。また、第1接合部および第2接合部に対する加圧力を均一化し、コイル装置の特性のばらつきを抑えることができる。
【0014】
前記第1接合部および前記第2接合部は、それぞれ前記第1継線部の前記第1方向の一端部および前記第2継線部の前記第1方向の一端部に接合されていてもよい。第1継線部の第1方向の一端部および第2継線部の第1方向の一端部では、他の位置に比べて、比較的高い加圧力で、第1継線部および第2継線部にそれぞれ第1接合部および第2接合部を加圧接合することができるため、これらの間の接合安定性を向上させることができる。
【0015】
前記継線部は、第1金属層を有し、前記第1金属層は、前記接合部と前記継線部との間に位置していてもよい。この場合、第1金属層によって、接合部と継線部との間の接合強度を向上させることができる。
【0016】
前記第1金属層はニッケルを含んでいてもよい。ニッケルはハンダ濡れ性を有するため、このような構成とすることにより、上述した効果を有効に得ることができる。
【0017】
前記継線部は、前記第1金属層とは異なる第2金属層を有し、前記第2金属層は、前記接合部の幅方向の端部の少なくとも一部を覆う付着部を有していてもよい。この場合、付着部を介して、接合部の幅方向の端部と継線部とが接合されるため、これらの間の接合強度をさらに向上させることができる。
【0018】
前記第2金属層は、前記接合部が接合された前記継線部の第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とに形成されており、前記第1面における前記第2金属層の第4厚みは、前記第2面における前記第2金属層の第5厚みよりも大きくてもよい。この場合、第2金属層の第4厚みが相対的に大きくなり、接合部の幅方向の端部と継線部との間の接合強度をさらに向上させることができる。
【0019】
前記第2金属層はスズを含んでいてもよい。スズはハンダ濡れ性を有するため、このような構成とすることにより、上述した効果を有効に得ることができる。
【0020】
前記付着部の内部には、前記コアを形成する材料が入り込んでいてもよい。この場合、接合部の周辺に配置されるコアの体積を増大させ、コイル装置のインダクタンス特性をさらに向上させることができる。
【0021】
前記継線部は、凹部を有し、前記凹部は、前記継線部と対向する前記接合部の接合面の形状に沿って湾曲していてもよい。この場合、接合部と継線部との間の接合面積が増大し、これらの間の接合強度をさらに向上させることができる。
【0022】
前記接合部の幅方向の端部は、前記継線部から離間する方向に向けて屈曲していてもよい。この場合、接合部の幅方向の端部の屈曲量に応じて、接合部と継線部との間の接合面積が増大し、接合部と継線部との間の接合強度をさらに向上させることができる。
【0023】
前記接合部の表面には凹凸が形成されていてもよい。この場合、接合部の表面の表面積が増大し、接合部の表面にコアが付着しやすくなる。そのため、接合部とコアとの間の接合強度を向上させることができる。
【0024】
前記継線部とは反対側に位置する前記接合部の表面の表面粗さは、前記非接合部の表面の表面粗さよりも大きくてもよい。この場合、接合部の表面の表面積が相対的に大きくなり、接合部とコアとの間の接合強度をさらに向上させることができる。
【0025】
前記継線部は、前記コイルの巻回軸と交差する前記コアのいずれかの面に対して傾斜していてもよい。この場合、継線部がコアのいずれかの面に対して平行に配置されている場合に比べて、コイルの巻回軸に垂直な方向の外側に向けて、継線部が位置ずれしにくくなる。
【0026】
上記目的を達成するために、本出願に係るコイル装置の製造方法は、
コイルの引出部を端子に加圧接合する工程と、
前記引出部が接合された前記端子とともに、前記コイルを磁性材料と樹脂とにより形成されるコアの内部に埋設する工程と、を有する。
【0027】
コイルの引出部を端子に加圧接合(たとえば、熱圧着)することにより、引出部(接合部)が厚み方向に圧縮された状態となり、引出部を継線部にコンパクトに接合することが可能となる。そのため、従来技術に比べて、接合部の周辺に配置可能なコアの体積が増大し、コイル装置のインダクタンス特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は第1実施形態のコイル装置の斜視図である。
【
図8】
図8は第2実施形態のコイル装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本出願の実施形態を、図面を用いて説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図示する内容は、本出願の理解のために模式的かつ例示的に示したに過ぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。また、以下、実施形態により具体的に説明するが、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0030】
第1実施形態
図1に示すように、第1実施形態のコイル装置1は、たとえば表面実装型のインダクタであり、各種の電子機器に搭載される。
【0031】
図2Aに示すように、コイル装置1は、コア2と、コイル3と、端子4aおよび端子4bとを有する。コア2は、略直方体形状であり、第1面2aと、第2面2bと、第3面2cと、第4面2dと、第5面2eと、第6面2fとを有する。なお、図面において、第1面2aと第2面2bとが対向する方向をX軸方向(第1方向)とし、第3面2cと第4面2dとが対向する方向をY軸方向(第2方向)とし、第5面2eと第6面2fとが対向する方向をZ軸方向(第3方向)とする。
【0032】
コイル装置1の寸法は特に限定されないが、X軸方向の長さはたとえば2~20mmであり、Y軸方向の長さはたとえば2~20mmであり、Z軸方向の長さはたとえば1~10mmである。
【0033】
コア2は、磁性体と樹脂とを含む材料で形成されている。コア2を形成する磁性材料としては、フェライト粒子あるいは金属磁性体粒子等が例示される。フェライト粒子としては、Ni-Zn系フェライト、Mn-Zn系フェライト等が例示される。金属磁性体粒子としては、特に限定されないが、Fe-Ni合金粉、Fe-Si合金粉、Fe-Si-Cr合金粉、Fe-Co合金粉、Fe-Si-Al合金粉、アモルファス鉄等が例示される。コア2を形成する樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、その他の合成樹脂、あるいはその他の非磁性材料等が例示される。コア2は、金属磁性体の焼結体でもよい。
【0034】
コア2は圧粉成形あるいは射出成形等により形成される。コア2の形状は、略直方体形状に限定されず、その他の多角形状あるいは略円柱形状でもよい。また、コア2は、複数の成形体(複数の層)を組み合わせる(圧縮成形する)ことにより形成されてもよい。
【0035】
図3に示すように、コイル3は、空芯コイルであり、絶縁被覆された丸線ワイヤで形成されている。ワイヤの材質としては、銅、銀、これらを含む合金、あるいはその他の金属または合金が用いられる。ワイヤの直径は、たとえば10~80μmである。ワイヤの少なくとも一部(たとえば、引出部5aおよび引出部5b)は、絶縁被膜から露出していてもよい。コイル3の巻回部30の巻回軸方向は、Z軸方向に対応しており、コア2(
図2A)の第5面2eおよび第6面2fと直交する方向である。巻回部30の巻回数は、特に限定されず、1ターン以上であればよい。
【0036】
図2Aに示すように、コイル3は、コア2の内部に埋設されている。コイル3は、ワイヤを巻回してなる巻回部30と、巻回部30からワイヤの一端まで延在する引出部5aと、巻回部30からワイヤの他端まで延在する引出部5bとを有する。
【0037】
引出部5aは、端子4aに接合されている接合部50aと、端子4aに接合されていない非接合部51aとを有する。非接合部51aは、コイル3の巻回部30と接合部50aとの間に位置する部分(接合部50aとは離間する位置に位置する部分)である。引出部5bは、端子4bに接合されている接合部50bと、端子4bに接合されていない非接合部51bとを有する。非接合部51bは、コイル3の巻回部30と接合部50bとの間に位置する部分(接合部50bとは離間する位置に位置する部分)である。
【0038】
引出部5aは、コア2の第2面2bに向かって引き出されている。同様に、引出部5bは、コア2の第2面2bに向かって引き出されている。すなわち、本実施形態では、引出部5aおよび引出部5bの引出方向が同一方向である。ただし、これらの引出方向はX軸方向に関して逆方向でもよい。引出部5aおよび引出部5bは、それぞれ端子4aおよび端子4bに接合されている。
【0039】
端子4aおよび端子4bは、Y軸方向に離間して配置されている。
図4に示すように、端子4aは、継線部40aと、第1接続部45aと、第2接続部46aと、外部電極部47aとを有するが、これらに限定されず、一実施形態として、端子4aは、継線部40aを有していればよい。また、端子4bは、継線部40bと、第1接続部45bと、第2接続部46bと、外部電極部47bとを有するが、これらに限定されず、一実施形態として、端子4bは、継線部40bを有していればよい。端子4aおよび端子4bは、同一形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。
【0040】
図2Aに示すように、外部電極部47aおよび外部電極部47bは、コア2の第5面2eに、Y軸方向に離間して配置されている。コイル装置1は、たとえば、外部電極部47aおよび外部電極部47bを介して、外部基板に実装されてもよい。外部電極部47aおよび外部電極部47bは、たとえば、外部基板のランドパターンに対して、ハンダや導電性接着剤等によって接続されてもよい。
【0041】
第1接続部45aは、コア2の第3面2cに配置されており、外部電極部47aに対して直交している。第1接続部45aは、第3面2c上をZ軸方向に沿って延在している。第1接続部45bは、コア2の第4面2dに配置されており、外部電極部47bに対して直交している。第1接続部45bは、第4面2d上を所定の長さで延在している。第1接続部45aと第1接続部45bとは、Y軸方向に対向している。
【0042】
第1接続部45aのZ軸方向の長さは、コア2のZ軸方向の長さよりも短い。第1接続部45bのZ軸方向の長さは、コア2のZ軸方向の長さよりも短い。第1接続部45aおよび第1接続部45bには、たとえばハンダフィレットを形成することができる。
【0043】
第2接続部46aは、コア2の内部に配置されており、第1接続部45aに対して直交している。第2接続部46bは、コア2の内部に配置されており、第1接続部45bに対して直交している。なお、第2接続部46aのうち、第1接続部45aとの接続部は、コア2から露出しており、その他の部分は、コア2の内部に配置されている。同様に、第2接続部46bのうち、第1接続部45bとの接続部は、コア2から露出しており、その他の部分は、コア2の内部に配置されている。
【0044】
第1接続部45a、第2接続部46aおよび外部電極部47aの各々のX軸方向の長さは、略等しくなっているが、異なっていてもよい。本実施形態では、第1接続部45a、第2接続部46aおよび外部電極部47aの各々のX軸方向の長さは、たとえばコア2のX軸方向の幅の1/2以下である。
【0045】
第1接続部45b、第2接続部46bおよび外部電極部47bの各々のX軸方向の長さは、略等しくなっているが、異なっていてもよい。本実施形態では、第1接続部45b、第2接続部46bおよび外部電極部47bの各々のX軸方向の長さは、たとえばコア2のX軸方向の幅の1/2以下である。
【0046】
継線部40aおよび継線部40bは、平板形状を有し、コア2の内部に配置されている。継線部40aの少なくとも一部には引出部5aの接合部50aが接合され、継線部40bの少なくとも一部には引出部5bの接合部50bが接合される。
【0047】
継線部40aは、第1接続部45aおよび第2接続部46aを介して、外部電極部47aに接続されている。継線部40bは、第1接続部45bおよび第2接続部46bを介して、外部電極部47bに接続されている。
【0048】
継線部40aおよび継線部40bは、コア2の第6面2fに対して平行となるように配置されている。なお、本実施形態において、平行とは、±5%以内の変動を許容するものとする。継線部40aおよび継線部40bは、コア2の第5面2eを向く面である第1面401と、コア2の第6面2fを向く面である第2面402とを有する。
【0049】
図4に示すように、継線部40aは、第1継線片41aと、第2継線片42aと、中間部43aと、湾曲部44aとを有する。また、継線部40bは、第1継線片41bと、第2継線片42bと、中間部43bと、湾曲部44bとを有する。
【0050】
湾曲部44aは、継線部40aの外縁部のうち、コイル3(
図2A)に面する側あるいは継線部40bが配置されている側に位置する部分(継線部40aの内側部)に形成されている。湾曲部44aは、第1継線片41a、中間部43aおよび第2継線片42aに跨って形成されているが、中間部43aに形成されていればよい。
【0051】
湾曲部44bは、継線部40bの外縁部のうち、コイル3に面する側あるいは継線部40aが配置されている側に位置する部分(継線部40bの内側部)に形成されている。湾曲部44bは、第1継線片41b、中間部43bおよび第2継線片42bに跨って形成されているが、中間部43bに形成されていればよい。
【0052】
図2Bに示すように、湾曲部44aおよび湾曲部44bの曲率半径は、コイル3の外径の曲率半径と略等しくなっており、湾曲部44aおよび湾曲部44bは、コイル3の外周面に沿うように湾曲している。Z軸方向から見て、コイル3は、継線部40aと継線部40bとの間に形成され、かつ、湾曲部44aおよび湾曲部44bで画定された略円形の隙間に配置される。
【0053】
なお、継線部40aは、湾曲部44aを有するが、湾曲部44aについては省略してもよい。同様に、継線部40bは、湾曲部44bを有するが、湾曲部44bについては省略してもよい。湾曲部44aおよび湾曲部44bを有することにより、継線部40aおよび継線部40bとコイル3とのショートリスクを低減することができる。
【0054】
図4に示すように、中間部43aは、X軸方向に沿って、第1継線片41aと第2継線片42aとの間に位置し、これらを接続している。中間部43bは、X軸方向に沿って、第1継線片41bと第2継線片42bとの間に位置し、これらを接続している。
【0055】
第1継線片41aと第2継線片42aとは、同一形状からなるが、これらの形状は異なっていてもよい。また、第1継線片41bと第2継線片42bとは、同一形状からなるが、これらの形状は異なっていてもよい。
図5Aに示すように、第1継線片41aおよび第1継線片41bは、コア2の第6面2fからZ軸方向に距離D1だけ離間した位置に配置されている。距離D1は、たとえばコア2のZ軸方向の幅Wの1/8以上1/2未満である。コア2の第6面2fと、第6面2f側のコイル3のZ軸方向の端部との間の距離をD2としたとき、D1≧D2でもよい。
【0056】
図2Bに示すように、引出部5aの接合部50aは、第1継線片41aのX軸方向の中央よりも一方側(継線部40aのX軸方向の一端部)に接合されている。また、引出部5bの接合部50bは、第1継線片41bのX軸方向の中央よりも一方側(継線部40bのX軸方向の一端部)に接合されている。このような位置では、他の位置に比べて、比較的高い加圧力で、第1継線片41aおよび第1継線片41bに接合部50aおよび接合部50bを加圧接合することができるため、これらの間の接合安定性を向上させることができる。
【0057】
また、接合部50aおよび接合部50bは、いずれもコア2のX軸方向の同一側(第2面2b側)において、第1継線片41aおよび第1継線片41bに接合されている。この場合、同一方向(X軸方向の同一側)から、第1継線片41aに対する接合部50aの接合と、第1継線片41bに対する接合部50bの接合とを行うことが可能となる。それゆえ、コイル装置1の製造容易化を図ることができるとともに、接合部50aおよび接合部50bに対する加圧力を均一化し、コイル装置1の製造ばらつきを抑えることができる。
【0058】
接合部50aと第1継線片41aとの接合位置は、コア2の第2面2bと第3面2cとの交差部の近傍(コア2の角部)に位置していてもよい。たとえば、接合部50aと第1継線片41aとの接合位置は、当該交差部を中心として、第3面2cのX軸方向幅(あるいは、第2面2bのY軸方向幅)の40%の範囲に位置していてもよく、第3面2cのX軸方向幅(あるいは、第2面2bのY軸方向幅)の30%の範囲に位置していてもよい。
【0059】
また、接合部50bと第1継線片41bとの接合位置は、コア2の第2面2bと第4面2dとの交差部の近傍(コア2の角部)に位置していてもよい。たとえば、接合部50bと第1継線片41bとの接合位置は、当該交差部を中心として、第4面2dのX軸方向幅(あるいは、第2面2bのY軸方向幅)の40%の範囲に位置していてもよく、第4面2dのX軸方向幅(あるいは、第2面2bのY軸方向幅)の30%の範囲に位置していてもよい。
【0060】
接合部50aおよび接合部50bは、それぞれ第1継線片41aおよび第1継線片41bの第1面401に接合されている。第1継線片41aおよび第1継線片41bの第1面401は、コア2の第5面2eを向いている。そのため、接合部50aおよび接合部50bをコイル3の巻回軸方向から第1継線片41aおよび第1継線片41bの第1面401に接合することが可能となる。それゆえ、接合部50aおよび接合部50bをそれぞれ第1継線片41aおよび第1継線片41bの第1面401に接合しやすくなり、接合部50aおよび接合部50bと継線部41aおよび継線部41bとの間の接合安定性を向上させることができる。
【0061】
図2ABに示すように、接合部50aおよび接合部50bの延在方向(X軸方向)に直交する断面(YZ断面)において、接合部50aおよび接合部50bは扁平形状を有する。
【0062】
他方で、
図2AAに示すように、非接合部51aおよび非接合部51bの延在方向に直交する断面において、非接合部51aおよび非接合部51bは略円形状からなるワイヤ形状を有する。なお、非接合部51aおよび非接合部51bは、接合部50aおよび接合部50bの近傍において、たとえば略楕円形状(幅方向に長軸を有する略楕円形状)に変形していてもよい。
【0063】
本実施形態では、接合部50aの断面積が非接合部51aの断面積よりも小さいため、接合部50aと第1継線片41aとの接合面積が増加し、これらの間の接続安定性の向上が見込まれる。同様に、接合部50bの断面積が非接合部51bの断面積よりも小さいため、接合部50bと第1継線片41bとの接合面積が増加し、これらの間の接続安定性の向上が見込まれる。
【0064】
図2AAおよび
図2ABに示すように、接合部50aおよび接合部50bの厚みL1は、非接合部51aおよび非接合部51bの厚みL2よりも小さい。接合部50aおよび接合部50bは、第1継線片41aおよび第1継線片41bへの接合時において、厚み方向に圧縮されるからである。
【0065】
なお、接合部50aの厚みL1は、第1継線片41aに接合された接合部50aの接合面と、そのZ軸方向の反対側の面との間のZ軸方向の長さである。また、接合部50bの厚みL1は、第1継線片41bに接合された接合部50bの接合面と、そのZ軸方向の反対側の面との間のZ軸方向の長さである。非接合部51aの厚みL2は、
図2AAに示す非接合部51aの延在方向に直交する断面において、
図2ABに示す接合部50aの厚みL1に対応する方向の長さである。また、非接合部51bの厚みL2は、
図2AAに示す非接合部51bの延在方向に直交する断面において、
図2ABに示す接合部50bの厚みL1に対応する方向の長さである。
【0066】
接合部50aのアスペクト比L3/L1は、たとえば、1<L3/L1≦10でもよく、たとえば1<L3/L1≦5でもよい。L3/L1の値が上記の範囲に入るように、接合部50aおよび接合部50bを加圧することにより、接合部50aおよび接合部50bと第1継線片41aおよび第1継線片41bとの間の接合強度を向上させることができる。
【0067】
これらの長さの比L1/L2は、たとえば1/50≦L1/L2<1でもよく、たとえば1/50≦L1/L2<1/2でもよい。L1/L2の値が上記の範囲に入るように、接合部50aおよび接合部50bを加圧することにより、接合部50aおよび接合部50bと第1継線片41aおよび第1継線片41bとの間の接合強度を向上させることができる。
【0068】
接合部50aおよび接合部50bの幅L3は、非接合部51aおよび非接合部51bの幅L4よりも大きい。上述したように、接合部50aおよび接合部50bが厚み方向に圧縮される結果、接合部50aおよび接合部50bは幅方向に圧延されるからである。
【0069】
なお、接合部50aの幅L3は、接合部50aのY軸方向の長さ(接合部50aの厚み方向に直交する方向の長さ)である。また、接合部50bの幅L3は、接合部50bのY軸方向の長さ(接合部50bの厚み方向に直交する方向の長さ)である。非接合部51aの幅L4は、
図2AAに示す非接合部51aの延在方向に直交する断面において、
図2ABに示す接合部50aの幅L3に対応する方向の長さである。また、非接合部51bの幅L4は、
図2AAに示す非接合部51bの延在方向に直交する断面において、
図2ABに示す接合部50bの幅L3に対応する方向の長さである。
【0070】
これらの長さの比L3/L4は、たとえば1<L3/L4≦5でもよく、たとえば1<L3/L4≦3でもよい。L3/L4の値が上記の範囲に入るように、接合部50aおよび接合部50bを加圧することにより、接合部50aおよび接合部50bと第1継線片41aおよび第1継線片41bとの間の接合強度を向上させることができる。また、接合部50aおよび接合部50bと第1継線片41aおよび第1継線片41bとの間の接合面積を増大させ、これらの間の接合安定性を向上させることができる。
【0071】
第1継線片41aおよび第1継線片41bの厚みL5(
図4)は、接合部50aおよび接合部50bの厚みL1よりも大きくてもよい。これらの長さの比L5/L1は、たとえば2≦L5/L1≦20である。この場合、第1継線片41aおよび第1継線片41bの厚みが相対的に大きくなる。そのため、第1継線片41aおよび第1継線片41bの物理的強度をより確保することが可能となり、接合部50aおよび接合部50bと第1継線片41aおよび第1継線片41bとの間の接合安定性を向上させることができる。
【0072】
なお、第1継線片41aの厚みL5は、第1継線片41aのZ軸方向(第1面401に直交する方向)の長さである。また、第1継線片41bの厚みL5は、第1継線片41bのZ軸方向(第1面401に直交する方向)の長さである。
【0073】
第1継線片41aおよび第1継線片41bの幅L6(
図4)は、接合部50aおよび接合部50bの幅L3よりも大きくてもよい。この場合、接合部50aおよび接合部50bが第1継線片41aおよび第1継線片41bの幅方向の外側にはみ出しにくくなり、これらの間の接合安定性を向上させることができる。
【0074】
なお、第1継線片41aの幅L6は、第1継線片41aのY軸方向(コア2の第3面2cと第4面2dとが対向する方向)の長さである。また、第1継線片41bの幅L6は、第1継線片41bのY軸方向(コア2の第3面2cと第4面2dとが対向する方向)の長さである。
【0075】
図6Aに示すように、端子4aの表面には、金属層60が形成されている。同様に、端子4bの表面には、金属層60が形成されている。金属層60は、第1金属層61と、第1金属層61とは異なる第2金属層62とからなり、積層構造を有する。第1金属層61および62は、たとえばメッキ膜からなり、たとえばSn,Au,Ni,Pt,Ag,Pdなどの金属またはこれらの合金で構成されている。たとえば、第1金属層61はNiを含み、第2金属層62はSnを含む。Niは、金属の腐食を防止する効果を有する。Snは、接合部50aおよび接合部50bをそれぞれ第1継線片41aおよび第1継線片41bに圧着したときに、これらの間の剥離強度を向上させる効果を有する。なお、金属層60は、スパッタリングなどの他の薄膜法で形成されてもよい。金属層60の厚みは、3~30μmでもよい。
【0076】
接合部50aと第1継線片41aとの間には、第1金属層61および第2金属層62のうち、少なくとも第1金属層61が存在する。第1金属層61は、接合部50aと第1継線片41aとを接続している。接合部50aと第1継線片41aとの間に位置する第1金属層61は、これらの間の接合強度を向上させる作用を奏する。
【0077】
接合部50aのY軸方向(幅方向)の端部には、第2金属層62があり、この第2金属層62は、接合部50aのY軸方向の端部の少なくとも一部を覆っている。以下では、接合部50aのY軸方向の端部の少なくとも一部を覆っている第2金属層62を「付着部620」と呼ぶ。付着部620は、たとえば熱圧着により、接合部50aと第1継線片41aとを接合するときに得られる。
【0078】
すなわち、付着部620は、接合部50aと第1継線片41aとの接合時において、たとえば、これらの間の第2金属層62が、接合部50aのY軸方向の端部に向けて押し出されることにより得られる。なお、これとは別に、接合部50aを第1継線片41aに接合した後に、別途、接合部50aのY軸方向の端部に付着部620を形成する処理を行ってもよい。
【0079】
付着部620の厚みは、Y軸方向に沿って、接合部50aに近づくにしたがって厚くなっている。付着部620は、接合部50aと第1継線片41aとの間の接合強度を向上させる作用を奏する。なお、付着部620の一部が、接合部50aの表面53aに付着していてもよい。
【0080】
接合部50aと第1継線片41aとの間の接合強度を向上させる観点では、第1継線片41aの第1面401における第2金属層62の厚み(最大厚みあるいは平均厚み)は、第2面402における第2金属層62の厚み(最大厚みあるいは平均厚み)よりも大きくてもよい。
【0081】
付着部620の内部には、コア2の一部(磁性粒子など)が入り込んでいてもよい。この場合、接合部50aのY軸方向の端部の周囲に配置されるコア2の体積が増大し、コイル装置1のインダクタンス特性を向上させることができる。
【0082】
接合部50aに接合された第1継線片41aの第1面401は、凹部403を有する。凹部403は、接合面52aと向かい合う第1面401の接合範囲に存在している。凹部403は、第1面401と向かい合う接合面52aの形状に沿って湾曲している。
【0083】
凹部403は、たとえば熱圧着の際に、第1面401に対して接合部50aを治具で押し当て、加圧することにより得られる。このとき、
図6Dに示すように、第1面401に凹部403が形成されるとともに、第1継線片41aが湾曲してもよい。接合部50aの位置において、第1面401に凹部403が存在することにより、接合部50aと第1継線片41aとの間の接合面積が増大し、これらの間の接合強度を向上させることができる。
【0084】
YZ断面において、接合部50aは弧形状を有する。接合部50aのY軸方向の各端部55aは、第1継線片41aの第1面401から離間する方向(Z軸正方向側)に向けて屈曲している。また、接合部50aのY軸方向の中央部は、第1継線片40aの第2面402側に向かって凹んでいる。そのため、接合部50aと第1継線片41aとの間の接合面積が増大し、これらの間の接合強度を向上させることができる。
【0085】
図6Bおよび
図6Cに示すように、接合部50aの表面53a(
図6Aに示す接合面52aとはZ軸方向の反対側に位置する面)には、凹凸54が形成されている。同様に、接合部50bの表面53b(
図6Aに示す接合面52bとはZ軸方向の反対側に位置する面)には、凹凸54が形成されている。凹凸54は、表面53aに全体的に形成されていてもよく、あるいは局所的に形成されていてもよい。
【0086】
接合部50aの表面53aには凹凸54が形成されているため、接合部50aの表面53aの表面粗さ(算術平均高さ)は、非接合部51a(
図2A)の表面の表面粗さ(算術平均高さ)よりも大きくなっている。また、接合部50aの表面53aの面積は、非接合部51a(
図2A)の表面の面積よりも大きくなっている。そのため、接合部50aの表面53aにはコア2が付着しやすく、これにより、接合部50aとコア2との間の接合強度を向上させることができる。
【0087】
なお、接合部50aの表面53aの表面粗さと、非接合部51a(
図2A)の表面の表面粗さとの差異については、接合部50aの周囲のコア2を切削具で切削し(さらには熱で破壊し)、これにより露出した接合部50aをレーザ顕微鏡で観察することにより、あるいは走査型電子顕微鏡で断面観察することにより確認した。
【0088】
次に、
図7A~
図7D等を参照しつつ、コイル装置1の製造方法について説明する。まず、金属板などの導電板を
図7Aに示す形状に打抜き加工し、端子4aおよび端子4bを備えたフレーム7を形成する。なお、フレーム7には、第1接続部45aおよび第1接続部45bと外部電極部47aおよび外部電極部47bとが折曲成形されていない状態の端子4aおよび端子4bが形成されている(
図4参照)。
【0089】
端子4aおよび端子4bの表面には、第1金属層61および第2金属層62を有する金属層60(
図6A)を形成されていてもよい。金属層60は、たとえば端子4aおよび端子4bの表面にメッキ処理を施すことにより形成することができる。
【0090】
次に、
図7Bに示すように、コイル3を継線部40aと継線部40bとの間に配置する。より詳細には、湾曲部44aおよび湾曲部44bで画定された平面視略円形の領域に巻回部30を配置する。なお、巻回部30と湾曲部44aおよび湾曲部44bとの間には、隙間が形成されていてもよい。
【0091】
次に、たとえば熱圧着により、引出部5aの延在方向の端部を端子4aの第1継線片41aに接合する。同様に、引出部5bの延在方向の端部を端子4bの第1継線片41bに接合する。なお、引出部5aおよび引出部5bの延在方向の端部の絶縁被膜については、予め除去しておいてもよい。
【0092】
熱圧着の際には、コイル3の巻回軸方向(Z軸正方向側)から、第1継線片41aおよび第1継線片41bに対して、それぞれ引出部5aおよび引出部5bの延在方向の端部を治具で押し当てて加圧する。これにより、引出部5aおよび引出部5bの延在方向の端部が押しつぶされ、略扁平形状を有する接合部50aおよび接合部50bが形成される。接合部50aおよび接合部50bは、コイル3の巻回軸に対して垂直に配置される。なお、本実施形態において、垂直とは、±5%以内の変動を許容するものとする。
【0093】
次に、切断線C1に沿って端子4aを切断するとともに、切断線C2に沿って端子4bを切断し、
図7Cに示すコイル3と端子4aおよび端子4bとの組立体を形成する。
【0094】
次に、
図7Cに示す組立体を金型に設置し、コア2(
図2A)を構成する磁性材料(熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂をバインダとした複合磁性材料)を金型の内部に充填する。そして、引出部5aおよび引出部5bが接合された継線部40aおよび継線部40bとともに、コイル3を磁性材料で覆い、圧縮成形する。これにより、
図7Dに示すように、継線部40aおよび継線部40bとともにコイル3が埋設された成形体を得ることができる。
【0095】
次に、成形体の外側に突出した第1接続部45aおよび第1接続部45bと、外部電極部47aおよび外部電極部47bとを、矢印B1および矢印B2で示す方向に向けて折り曲げる。そして、
図2Aに示すコア2の第3面2cに第1接続部45aを配置するとともに、第5面2eに外部電極部47aを配置する。また、コア2の第4面2dに第1接続部45bを配置するとともに、第5面2eに外部電極部47bを配置する。以上のようにして、コイル装置1を得ることができる。
【0096】
本実施形態のコイル装置1では、
図2Aに示すように、接合部50aおよび接合部50bの厚みL1が、非接合部51aおよび非接合部51bの厚みL2よりも小さい。そのため、接合部50aおよび接合部50bが厚み方向に圧縮された状態となり、第1継線片41aおよび第1継線片41bに接合部50aおよび接合部50bをコンパクトに接合することが可能となる。その結果、従来技術に比べて、接合部50aおよび接合部50bの周辺に配置可能なコア2の体積が増大し、コイル装置1のインダクタンス特性を向上させることができる。
【0097】
第2実施形態
図8に示す第2実施形態のコイル装置1Aは、以下に示す点を除いて、第1実施形態のコイル装置1と同様の構成を有する。
図8において、第1実施形態のコイル装置1と重複する部材には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0098】
コイル装置1Aは、コイル3Aを有するという点において、第1実施形態におけるコイル装置1(
図2A)とは異なる。コイル3Aは、エッジワイズ巻きされた平角線で形成されている。コイル3Aは、フラットワイズ巻きされた平角線で形成されていてもよい。YZ断面において、接合部50aおよび接合部50bは略扁平形状(板状)を有する。なお、非接合部51aおよび非接合部51bについても同様に略扁平形状を有する。
【0099】
本実施形態においても、接合部50aおよび接合部50bの厚みが、非接合部51aおよび非接合部51bの厚み(一方の幅広面と他方の幅広面との間の距離)よりも小さくなっている。そのため、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、本実施形態では、コイル3Aが平角線で形成されているため、接合部50aおよび接合部50bの表面積を確保しやすく、接合部50aおよび接合部50bと第1継線片41aおよび第1継線片41bとの間の接合安定性を向上させることができる。
【0100】
なお、本出願は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々に改変することができる。
【0101】
上記各実施形態では、コイル装置1のインダクタへの適用例について示したが、コイル装置1はインダクタ以外の電子部品であってもよい。
【0102】
上記第1実施形態において、
図5Bに示すように、第1継線片41aおよび第1継線片41bは、Y軸方向の外側に向かうにしたがって、外部電極部47aおよび外部電極部47bが配置されるコア2の第5面2eに近づくように傾斜していてもよい。第1継線片41aおよび第1継線片41bの各々の第1面401は、第5面2eに対して傾斜しており、第2面402は、第6面2fに対して傾斜している。この場合、第1継線片41aおよび第1継線片41bが第5面2eに対して平行に配置される場合に比べて、Y軸方向の外側に向けて、継線部40aおよび継線部40bが位置ずれしにくくなる。上記第2実施形態についても同様である。
【0103】
上記第1実施形態において、
図2ABおよび
図4に示すように、接合部50aおよび接合部50bの幅L3は、第1継線片41aおよび第1継線片41bの幅L6(
図4)よりも小さくなっていたが、幅L3は、幅L6と同等以上でもよい。上記第2実施形態についても同様である。
【0104】
上記第1実施形態において、
図2Aに示すように、接合部50aおよび接合部50bは、第1継線片41aおよび第1継線片41bの第1面401に接合されていたが、第2面402に接合されていてもよい。上記第2実施形態についても同様である。
【0105】
上記各実施形態において、
図4に示す第2継線片42aおよび第2継線片42bを省略してもよい。
【符号の説明】
【0106】
1,1A…コイル装置
2…コア
3,3A…コイル
30…巻回部
4a,4b…端子
40a,40b…継線部
401…第1面
402…第2面
403…凹部
41a,41b…第1継線片
42a,42b…第2継線片
43a,43b…中間部
44a,44b…湾曲部
45a,45b…第1接続部
46a,46b…第2接続部
47a,47b…外部電極部
5a,5b…引出部
50a,50b…接合部
51a,51b…非接合部
52a…接合面
53a…表面
54…凹凸
6…金属層
61…第1金属層
62…第2金属層
620…付着部
7…フレーム