(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172308
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】分岐管
(51)【国際特許分類】
E04G 21/04 20060101AFI20231129BHJP
B65G 53/30 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
E04G21/04
B65G53/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084010
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】内田 拓史
(72)【発明者】
【氏名】田中 恵佑
(72)【発明者】
【氏名】松木 哲亮
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172CA58
(57)【要約】
【課題】三又以上の分岐を行いつつ、各吐出部のコンクリートの流量を均一化できる分岐管等を提供する。
【解決手段】分岐管1は、圧送されるコンクリートCを分岐して輸送するためのものである。分岐管1では、コンクリートCが鉛直方向に流入する管状の流入部11に対し、コンクリートCを吐出する3本以上の管状の吐出部12が、水平面において流入部11から外側に延びるように接続される。これらの吐出部12は、水平面において、流入部11を中心とする周方向に等間隔で配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧送されるコンクリートを分岐して輸送するための分岐管であって、
前記コンクリートが鉛直方向に流入する管状の流入部に対し、前記コンクリートを吐出する3本以上の管状の吐出部が、水平面において前記流入部から外側に延びるように接続されたことを特徴とする分岐管。
【請求項2】
前記水平面において、3本以上の前記吐出部が、前記流入部を中心とする周方向に等間隔で配置されるか、または、
前記水平面において、複数本の前記吐出部が、前記流入部を中心とする周方向に等間隔で配置されるとともに、当該複数本の前記吐出部の組を前記周方向に回転させた位置に、別の複数本の前記吐出部が配置されたことを特徴とする請求項1記載の分岐管。
【請求項3】
前記分岐管は、前記水平面において放射状に並べられた、鉛直方向に対して屈曲する屈曲箇所を有する同一形状の複数本の屈曲管によって形成され、
前記流入部に当たる位置では、各屈曲管の一方の端部の壁面が切り欠かれ、隣り合う前記屈曲管の壁面の切欠き位置の縁部同士が接合されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の分岐管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧送されるコンクリートを分岐して輸送するための分岐管等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートを広範囲で打設するために、コンクリートの圧送配管を分岐させ、複数箇所で同時に打設を行うことがある。例えば特許文献1には、鉛直管を分岐管により左右二路に分岐させ、左右の水平管によりコンクリートを打設することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンクリートの圧送配管を三路以上に分岐させ、さらに広範囲に打設を行う場合、通常、
図5(a)に平面を示す二又の分岐管100を複数用いる。しかしながら、二又の分岐管100を複数用いると、配管部材の配置スペースを広く確保したり、流量調整のためのシャッターバルブ等を設けたりする必要がある。
【0005】
一方、分岐管を三又以上に分岐させることも考えられるが、この場合、流量の問題が生じる。例えば、
図5(b)に平面を示す三又の分岐管100aの流入部101に圧送されるコンクリートCが、3本の吐出部12のうち、流入部101の向き(方向)と近い向きを有する吐出部102(
図5(b)の中段の吐出部102)に多く流れ、吐出部102の間でコンクリートCの流量が不均一となる。
【0006】
このように、流入部101と吐出部102を同一面に配置する分岐管では、3本以上の吐出部102を設けると、流入部101と吐出部102の向きの差が、吐出部102によって異なることになり、これが各吐出部102のコンクリートCの流量を不均一とする要因となる。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、三又以上の分岐を行いつつ、各吐出部のコンクリートの流量を均一化できる分岐管等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するための本発明は、圧送されるコンクリートを分岐して輸送するための分岐管であって、前記コンクリートが鉛直方向に流入する管状の流入部に対し、前記コンクリートを吐出する3本以上の管状の吐出部が、水平面において前記流入部から外側に延びるように接続されたことを特徴とする分岐管である。
【0009】
本発明では、コンクリートが鉛直方向に流入する流入部に対して、吐出部が、水平面において流入部から外側に延びるように接続される。このように流入部と吐出部を同一面に配置せず、分岐管を立体的な構成とすることで、流入部と吐出部の向きの差を、3本以上の吐出部の間で等しくすることが可能になり、流入部から各吐出部に流れるコンクリートの量を均一化できる。
【0010】
前記水平面において、3本以上の前記吐出部が、前記流入部を中心とする周方向に等間隔で配置されるか、または、前記水平面において、複数本の前記吐出部が、前記流入部を中心とする周方向に等間隔で配置されるとともに、当該複数本の前記吐出部の組を前記周方向に回転させた位置に、別の複数本の前記吐出部が配置されることが望ましい。
これにより、水平面において、3本以上の吐出部を各方向にバランスよく配置できる。
【0011】
前記分岐管は、前記水平面において放射状に並べられた、鉛直方向に対して屈曲する屈曲箇所を有する同一形状の複数本の屈曲管によって形成され、前記流入部に当たる位置では、各屈曲管の一方の端部の壁面が切り欠かれ、隣り合う前記屈曲管の壁面の切欠き位置の縁部同士が接合されることが望ましい。
これにより、分岐管の製作が容易になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、三又以上の分岐を行いつつ、各吐出部のコンクリートの流量を均一化できる分岐管等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
図1(a)は、本発明の実施形態に係る分岐管1を示す図である。分岐管1は、圧送されるコンクリートCを分岐して輸送するための配管部材である。分岐管1は、配管3a内で圧送されたコンクリートCを鉛直方向に流入させる管状の流入部11と、当該コンクリートCを3本の配管3bのそれぞれへと吐出させる3本の管状の吐出部12を有する。本実施形態では流入部11と吐出部12が鋼製であるが、流入部11と吐出部12の材質が特に限定されることはない。
【0016】
図1(b)は、分岐管1を上方から見た図である。上記した3本の吐出部12は、水平面において、流入部11から外側へと放射状に延びるように接続される。また3本の吐出部12は、水平面において、流入部11を中心とする周方向に等間隔(約120°間隔)で配置される。
【0017】
分岐管1は、
図2に示す同一形状の3本の屈曲管2を用いて製作できる。屈曲管2は、円筒状の管を約90°の円弧状に屈曲させたものであり、一方の端部21が鉛直方向を向くように配置される。また屈曲管2の途中には、鉛直方向に対して屈曲する屈曲箇所23が設けられる。
【0018】
屈曲管2の上記した端部21では、管の壁面が鉛直方向に切り欠かれる。この切欠き位置の縁部22同士が隣り合う屈曲管2の間で接するように、3本の屈曲管2を水平面において放射状に並べて配置し、当該縁部22同士を接合することで、
図1(a)に示す分岐管1が形成される。
【0019】
各屈曲管2の上記した端部21は、分岐管1の流入部11を構成する。隣り合う屈曲管2の縁部22同士は溶接により接合され、流入部11の底部はプレートを溶接することで閉塞される。
図1(a)の符号13は縁部22同士の接合部を示したものであり、
図1(b)の符号Pは上記のプレートを示したものである。
【0020】
以上説明したように、本実施形態の分岐管1では、コンクリートCが鉛直方向に流入する流入部11に対して、吐出部12が、水平面において流入部11から外側に延びるように接続される。このように流入部11と吐出部12を同一面に配置せず、分岐管1を立体的な構成とすることで、流入部11と吐出部12の向きの差を、3本以上の吐出部12の間で等しくすることが可能になり、流入部11から各吐出部12に流れるコンクリートCの量を均一化できる。
【0021】
また本実施形態では、吐出部12が、流入部11を中心とする周方向に等間隔で配置されるので、吐出部12を水平面において各方向にバランスよく配置でき、分岐管1を介して広範囲にコンクリートCを打設することが容易になる。また
図1(a)のように吐出部12を下にして分岐管1を配置するケースにおいて、分岐管1を地面等に載置して確実に自立させることができ、分岐管1の配置が安定する。
【0022】
また本実施形態の分岐管1は、前記したように、屈曲箇所23を有する同一形状の屈曲管2を用いて容易に形成できる合理的形状とされており、これにより分岐管1の製作が容易になる。
【0023】
しかしながら、本発明は上記の実施形態に限定されない。例えば、分岐管1の製作方法は
図2等で説明したものに限らない。
【0024】
また本実施形態の分岐管1は、
図3(a)に側面を示すように、流入部11を上、吐出部12を下として配置されるが、
図3(b)に示すように、流入部11を下、吐出部12を上として配置し、鉛直下方から流入部11に圧送されたコンクリートCを、上方の吐出部12から吐出する構成としてもよい。ただし、
図3(a)のケースでは前記したように分岐管1を地面等に載置して自立させることができ、分岐管1の配置が安定するという利点がある。
【0025】
また、本実施形態の分岐管1は、
図3(a)に示すように吐出部12の先端が水平方向を向いており、コンクリートCを水平方向に吐出するが、
図3(c)に示すように、水平方向に対して斜めにコンクリートCを吐出してもよいし、
図3(d)に示すように鉛直方向にコンクリートCを吐出する構成としてもよい。いずれにせよ、水平面を見たときに、吐出部12が流入部11の外側に延びるように配置されていればよい。例えば
図3(e)に示すように、吐出部12を、流入部11に対して斜めに伸びる直線状の構成とすることも可能である。
【0026】
また、本実施形態の分岐管1は、
図4(a)に模式的に示すように、流入部11の周囲に3本の吐出部12を等間隔で配置した構成となっているが、吐出部12の本数は3本に限らず、4本以上の吐出部12を設けることもできる。
図4(b)は4本の吐出部12を等間隔(約90°間隔)で配置した例である。
【0027】
また、吐出部12の配置方法に関しても、上記のように全ての吐出部12を等間隔に配置するものに限らない。例えば
図4(c)に示すように、流入部11を中心とする周方向に等間隔(約180°間隔)で配置した2本の吐出部12(12-1)と、これらの吐出部12(12-1)の組を周方向に回転させた位置に配置された2本の吐出部12(12-2)を備えた構成としてもよい。計4本の吐出部12は、流入部11の中心を通る水平面の直交2軸(符号x、y参照)のそれぞれに対して対称に配置される。
【0028】
上記は2本の吐出部12を一組とする例であるが、3本以上の吐出部12を一組としてもよい。
図4(d)の例では、周方向に等間隔(約120°間隔)で配置した3本の吐出部12(12-1)と、これらの吐出部12(12-1)の組を周方向に回転させた位置に配置された3本の吐出部12(12-2)を備えた構成としている。
図4(c)、(d)のケースでも、吐出部12を水平面において各方向にバランスよく配置できる。
【0029】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0030】
1、100、100a:分岐管
2:屈曲管
11、101:流入部
12、102:吐出部
21:端部
22:縁部
23:屈曲箇所