(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172314
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】照明構造
(51)【国際特許分類】
G09F 13/16 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
G09F13/16 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084020
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】716002507
【氏名又は名称】荒木 俊行
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大平 力
(72)【発明者】
【氏名】荒木 俊行
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096AA01
5C096BA02
5C096BB12
5C096CA15
5C096CB07
5C096CC06
5C096CD02
5C096CD33
5C096CD44
5C096CE02
5C096CE24
5C096CE25
5C096CJ05
5C096FA12
(57)【要約】
【課題】表示のコントラストを向上できるフロントライト式の照明構造を提供する。
【解決手段】照明構造100は、導光板102と、導光板102と表示面20aとの間に配置される第1結合部材104と、導光板102の側面102aを照らす光源101とを備え、導光板102は、第1結合部材104に接する第1面102cと、第1面102cとは反対側にあり、観察者US側に位置する第2面102dとを有し、導光板102の第1面102cには、第2面102d側に凹んだ第1部分201が少なくとも設けられ、第1部分201は、光源101からの光Lが入射し、表示面20aに対して略垂直な第3面201aと、第3面201aを透過した光が入射し、光源101側から表示面20aへ向かって傾斜する第4面201bとを少なくとも有し、第4面201bには、入射した光を表示面20a側へ反射する反射コート210が設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示構造の表示面側に取り付けられる照明構造であって、
導光板と、
前記導光板と前記表示面との間に配置される結合部材と、
前記導光板の側面を照らす光源とを備え、
前記導光板は、前記結合部材に接する第1面と、
前記第1面とは反対側にあり、観察者側に位置する第2面とを有し、
前記導光板の前記第1面には、前記第2面側に凹んだ第1部分が少なくとも設けられ、
前記第1部分は、前記光源からの光が入射し、前記表示面に対して略垂直な第3面と、前記第3面を透過した光が入射し、前記光源側から前記表示面へ向かって傾斜する第4面とを少なくとも有し、
前記第4面には、入射した光を前記表示面側へ反射する反射コートが設けられている照明構造。
【請求項2】
前記第4面の反射コートから前記表示構造の表示面まで、屈折率の異なる層を前記光が通過しない構成である請求項1に記載の照明構造。
【請求項3】
前記反射コートにおける前記第2面側には、遮光コートが設けられている請求項1又は2に記載の照明構造。
【請求項4】
表示構造の表示面側に取り付けられる照明構造であって、
導光板と、
前記導光板と前記表示面との間に配置される結合部材と、
前記導光板の側面を照らす光源とを備え、
前記導光板は、前記結合部材に接する第1面と、
前記第1面とは反対側にあり、観察者側に位置する第2面とを有し、
前記導光板の前記第1面には、前記第2面側に凹んだ第1部分と、前記第1部分よりも前記光源側に位置し、前記第2面側に凹んだ第2部分とが少なくとも設けられ、
前記第1部分は、前記光源からの光が入射し、前記表示面に対して略垂直な第3面と、前記第3面を透過した光が入射し、前記光源側から前記表示面へ向かって傾斜する第4面とを少なくとも有し、
前記第2部分は、前記第3面及び前記第4面よりも前記光源側にて前記光源に対向する第5面を有し、前記第5面は、前記光源からの光の少なくとも一部を、前記第4面に向けて全反射、及び/又は透過する形状とされ、
前記第4面には、入射した光を前記表示面側へ反射する反射コートが設けられている照明構造。
【請求項5】
前記導光板における前記光源と反対側の部分を、前記光源からの光を、前記第1面及び前記第2面のいずれにも入射しない方向に反射する形状にした請求項1又は4に記載の照明構造。
【請求項6】
前記導光板における前記光源と反対側の部分には、前記光源からの光を吸収する光吸収コートが設けられる請求項1又は4に記載の照明構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する照明構造の研究開発が行われている。
照明構造には、液晶ディスプレイ等の表示装置を照明するフロントライト式のものとバックライト式のものがある。フロントライト式の照明構造は、外光がある場合に光源をオフにできるので、バックライト式の照明構造と比較して消費電力が少なくなる。この種の構造には、導光板と表示装置とを接着層を介して結合し、導光板に設けたプリズム面によって光源からの光を表示装置に向けて反射する構造が知られている(例えば特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-205769号公報
【特許文献2】特表2006-526796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構造は、プリズム面で反射された光源の光の一部が、導光板の下面(接着層側の面)や、表示装置の上面(接着層側の面)等で観察者側に反射され、表示画像のコントラストが劣化する。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、表示のコントラストを向上できるフロントライト式の照明構造を提供することを目的とする。その結果、光源の駆動エネルギーを抑えても表示のコントラストを適切に確保でき、エネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、表示構造の表示面側に取り付けられる照明構造であって、導光板と、前記導光板と前記表示面との間に配置される結合部材と、前記導光板の側面を照らす光源とを備え、前記導光板は、前記結合部材に接する第1面と、前記第1面とは反対側にあり、観察者側に位置する第2面とを有し、前記導光板の前記第1面には、前記第2面側に凹んだ第1部分が少なくとも設けられ、前記第1部分は、前記光源からの光が入射し、前記表示面に対して略垂直な第3面と、前記第3面を透過した光が入射し、前記光源側から前記表示面へ向かって傾斜する第4面とを少なくとも有し、前記第4面には、入射した光を前記表示面側へ反射する反射コートが設けられている照明構造が挙げられる。
【0006】
上記照明構造において、前記第4面の反射コートから前記表示構造の表示面まで、屈折率の異なる層を前記光が通過しない構成としてもよい。
【0007】
上記照明構造において、前記反射コートにおける前記第2面側には、遮光コートが設けられている構成としてもよい。
【0008】
上記目的を達成するための第2態様として、表示構造の表示面側に取り付けられる照明構造であって、導光板と、前記導光板と前記表示面との間に配置される結合部材と、前記導光板の側面を照らす光源とを備え、前記導光板は、前記結合部材に接する第1面と、前記第1面とは反対側にあり、観察者側に位置する第2面とを有し、前記導光板の前記第1面には、前記第2面側に凹んだ第1部分と、前記第1部分よりも前記光源側に位置し、前記第2面側に凹んだ第2部分とが少なくとも設けられ、前記第1部分は、前記光源からの光が入射し、前記表示面に対して略垂直な第3面と、前記第3面を透過した光が入射し、前記光源側から前記表示面へ向かって傾斜する第4面とを少なくとも有し、前記第2部分は、前記第3面及び前記第4面よりも前記光源側にて前記光源に対向する第5面を有し、前記第5面は、前記光源からの光の少なくとも一部を、前記第4面に向けて全反射、及び/又は透過する形状とされ、前記第4面には、入射した光を前記表示面側へ反射する反射コートが設けられている照明構造が挙げられる。
【0009】
上記照明構造において、前記導光板における前記光源と反対側の部分を、前記光源からの光を、前記第1面及び前記第2面のいずれにも入射しない方向に反射する形状にしてもよい。
【0010】
上記照明構造において、前記導光板における前記光源と反対側の部分には、前記光源からの光を吸収する光吸収コートが設けられる構成としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表示のコントラストを向上できるフロントライト式の照明構造を提供することができる。その結果、光源の駆動エネルギーを抑えても表示のコントラストを適切に確保でき、エネルギーの効率化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る照明構造を備えた表示装置を示す図である。
【
図2】
図2は、照明構造の第1部分を周辺構成と共に模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、導光板及び第1結合部材の構造を周辺構成と共に示す図である。
【
図4】
図4は、第1変形例に係る第1部分を周辺構成と共に模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、第2変形例に係る表示装置を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、第3変形例に係る表示装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る照明構造100を備えた表示装置10を示す図である。
図1の上側に表示装置10の断面図を示し、
図1の下側に表示装置10の平面図を示している。
表示装置10は、フロントライト式表示デバイス、フロントライト式表示装置、及び、フロントライト照明式反射型液晶ディスプレイ等と称される装置である。表示装置10は、表示構造20と照明構造100とを備える。表示構造20は、反射型の表示デバイスを有している。本実施形態の表示デバイスは反射型液晶ディスプレイである。表示構造20は、各種の情報を表示する表示面20aと、表示面20aの反対側に位置する背面20bとを有している。表示構造20の表示面20a側に照明構造100が積層配置される。
【0014】
なお、
図1において、表示構造20と照明構造100の積層方向を、直交座標系のZ軸方向で示し、表示面20a及び背面20bが延びる方向を、直交座標系のX軸方向で示している。また、導光板102の側面102a、102bが延びる方向を、直交座標系のY軸方向で示している。また、説明の便宜上、Z軸方向のプラス側を上側方向と表記するが、実際は、表示装置10の設置状況に応じて適宜に変更されるものである。
【0015】
照明構造100は、表示面20aに向けて照明光を照射する照明デバイスであり、表示構造20のフロントライト、フラントライトデバイス、及び単に照明装置とも称される。照明構造100は、光源101と、導光板102と、透明板103と、第1結合部材104と、第2結合部材105とを有している。照明構造100は、光源101のオンオフを切り替えるためのスイッチや、光源101に電力を供給するためのバッテリ等を有してもよい。照明構造100の構造は、上記構造に限定されず、光源101のオンオフが表示構造20からの信号によって制御される構成でもよいし、光源101へ表示構造20から電力が供給される構成でもよい。
【0016】
光源101は、導光板102の側面102aを照らすように配置される。より具体的には、光源101は、導光板102の一方の側面102aに沿って配置され、側面102aを照らすことにより、側面102aから他方の側面102b側へ向かう光Lを導光板102に入射させる。光源101は、例えばLED等の発光素子の光を平行光(コリメート光)に変換して出力するコリメートライトである。なお、光源101はコリメートライトに限定しなくてもよい。
【0017】
本構成の表示装置10は、従来のフロントライト式表示装置と同様に、表示構造20に到達する外光が強い場合、表示構造20の表示内容は、外光によって読み取り可能になる。一方、表示構造20に到達する外光が弱い場合、表示構造20の表示内容は、光源101からの光Lによって読み取り可能になる。
【0018】
第1結合部材104は、表示構造20と導光板102との間に設けられ、導光板102の下面(表示構造20側の面)に相当する第1面102cと、表示構造20の表示面20aとに接触する。第1結合部材104は、透光性を有する材料で形成され、例えば導光板102と表示構造20とを結合するために用いられる接着剤(
図3に示す接着層404)を含んでいる。第1結合部材104の屈折率n1は例えば1.51であり、第1結合部材104中の接着剤は例えばシリコーンである。
【0019】
第2結合部材105は、透明板103と導光板102との間に設けられ、透明板103の下面103aと、導光板102の上面(表示構造20と反対側の面)に相当する第2面102dとに接触する。第2結合部材105は、例えば透明板103と導光板102とを結合するために用いられる接着剤であり、透光性を有する材料で形成されている。第2結合部材105は例えばシリコーンであり、屈折率n2は例えば1.51である。
【0020】
第1結合部材104の屈折率n1、及び、第2結合部材105の屈折率n2は、導光板102の屈折率n3よりも低い値とされる。本実施形態では、屈折率はn1=n2<n3の関係である。なお、本実施形態の屈折率n3は1.6又は1.59である。各屈折率は、照明光の配光、及び、照明光の利用効率(光源101の光Lの利用効率)等を考慮して適切な値を選定すればよい。
例えば、第1結合部材104の屈折率n1、及び、第2結合部材105の屈折率n2の屈折率は異なる値でもよい。また、第1結合部材104、及び第2結合部材105とは別の材料であってもよい。
【0021】
透明板103は、導光板102に対して表示構造20の反対側に配置され、透明板103の上面103b(導光板102と反対側の面)は、外界(大気)に面している。透明板103の上面103bは、表示装置10の表示内容を見る観察者US側に位置する。
透明板103は、上面103b及び下面103a(導光板102側の面)のそれぞれが平坦に形成された平板形状に形成される。透明板103は、直交座標系のX軸方向に延在し、表示構造20の表示面20aと平行である。透明板103が導光板102の第2面102dを覆うので、第2面102dを保護することができる。
【0022】
透明板103は、例えば硬質ガラス等の材料により形成された保護ガラスやタッチパネルであり、屈折率n4は例えば1.51である。本構成では、透明板103と第2結合部材105とが同じ屈折率(n2=n4)であるので、導光板102から透明板103の上面103bまで、屈折率の異なる層を光が通過しない。これにより、透明板103と第2結合部材105との境での光の反射を抑制し、表示のコントラストの向上に有利となる。
【0023】
導光板102の上面に相当する第2面102dは平坦である。第2面102dは、直交座標系のX軸方向に延在し、表示構造2の表示面20aと平行である。第2面102dに接触する第2結合部材105も、直交座標系のX軸方向に延在し、表示構造2の表示面20aと平行である。
導光板102の下面に相当する第1面102cには、第2面102d側に凹んだ凹部分である第1部分201と、平坦部分である第2部分202とが設けられる。第2部分202は、表示構造20の表示面20aと平行な平面である。なお、第2部分202は、表示構造20の表示面20aと完全な平行でなくてもよく、略平行であればよい。略平行とは、例えば平坦部34と表示面20aとのなす角度が所定角度(例えば、1°)以下であり、完全な平行の場合も含んでいる。
【0024】
第1部分201は、第2部分202に対して第2面102d側に凹んだ部分である。第1部分201と第2部分202とは、表示構造20の表示面20aと平行な方向(直交座標系のX軸方向)に交互に設けられている。第1部分201の第2部分202からの深さは例えば10μm程度である。第1部分201は、光源101からの光Lの配光を制御するプリズムとして機能する。
【0025】
図2は、第1部分201を周辺構成と共に模式的に示す図である。
第1部分201は、第3面201aと第4面201bとからなる2面によって三角形状に切り欠いた形状に形成される。この切り欠いた領域は第2結合部材105で満たされ、第3面201aと第4面201bの面全体が第2結合部材105と接触する。
第3面201aは、表示面20aに対して略垂直の面である。略垂直とは、例えば第3面201aと表示面20aとのなす角度が所定角度(例えば1°)以下であり、完全な垂直の場合を含んでいる。第3面201aは、光源101と対向する面であり、光源101からの光Lが入射する。本構成では、第3面201aに対する光Lの入射角が90°に近い角度となるように第3面201aの角度が設定されている。
【0026】
導光板102の屈折率n3は1.6又は1.59であり、第2結合部材105の屈折率n2よりも高い。第3面201aは、光源101と対向する面であるので、光Lが導光板102と第2結合部材105との境からなる界面で殆ど反射しない。また、本構成では、第3面201aに対する光Lの入射角が90°に近い角度であり、第3面201aで反射される光Lsは約0.1%であり、第3面201aに入射した光Lの約99.9%が第3面201aを透過する。第3面201aを透過した光Lは、第4面201bに向けて出射する。
【0027】
第4面201bは、第3面201aの一端(透明板10側の端部)から表示面20aへ向かって傾斜する傾斜面であり、光源101側から表示面20aへ向かって傾斜する傾斜面、及び、第3面201aから導光板102の他側面102bに近づくほど表示面20aに近づく傾斜面と言うことができる。
第4面201bには、反射コート210と遮光コート211が施される。反射コート210は例えば金属膜であり、遮光コート211は例えばTi-Mo-N系の膜である。反射コート210と遮光コート211とは積層され、表示面20a側に露出するように反射コート210が設けられる。また、反射コート210における第2面102d側(観察者US側である透明板103側に相当)を覆うように遮光コート211が設けられる。
【0028】
図3は、導光板102及び第1結合部材104の構造を周辺構成と共に示す図である。
図3では説明の便宜上、導光板102及び第1結合部材104等を離間させて示すと共に、第1結合部材104の構成部材についても離間させて示している。
本構成の導光板102は、ポリカーボネート樹脂からなる第1導光部221と、第1結合部材104の下面(表示構造20側の面)に設けられる第2導光部222とを備え、第2導光部222に、第1部分201及び第2部分202が形成される。
本構成では、第2導光部222に、反射コート210及び遮光コート211が埋め込まれ、反射コート210の表面と第4面201bとが同一平面上に位置している。
【0029】
より具体的に説明すると、第1導光部221は、第1部分201及び第2部分202を除く領域を構成し、透明板103側に位置する。第1導光部221をポリカーボネート樹脂で製作することで、耐衝撃度、透過性、耐熱性及び耐候性に優れた導光体を得やすくなる。また、第2導光部222を成形性や加工性に優れた材料で製作することで、公知の成形技術や加工技術を利用して、第1部分201及び第2部分202を容易に形成できると共に、反射コート210及び遮光コート211を適切な位置に設けることができる。
【0030】
第2導光部222は、第1導光部221と第1結合部材104を接着する接着層としても機能する。本構成では、第1導光部221の屈折率n3が1.6であり、第2導光部222の屈折率n3が1.59である。第1導光部221と第2導光部222とが略同一の屈折率であるため、第1導光部221と第2導光部222との境で光L等が反射されることがない。第1導光部221と第2導光部222とを完全に同一の屈折率とするなど、各導光部221,222の屈折率を適宜に変更してもよい。なお、導光板102は上記構成に限定されない。例えば、導光板102にアクリル樹脂及びガラス材料等の他の材料を使用してもよいし、導光板102全体を同じ材料で製作してもよい。
【0031】
第1結合部材104は、ガラス基板401にインプリント(もしくはフォトリソグラフィにて製作)したプリズム402を備え、プリズム402のインプリント層403に、反射コート210及び遮光コート211が積層される。インプリント層403には、導光板102側(第2導光部222側)に突出する突出部403aが直交座標系のX軸方向に間隔を空けて設けられ、各突出部403aは直交座標系のY軸方向に延在する。反射コート210及び遮光コート211は、各突出部403aの上面(第2導光部222側の面)に積層される。
第1結合部材104は、第2導光部222を介して第1導光部221に貼り合わせられることによって、導光板102の下面に相当する第1面102cに、反射コート210及び遮光コート211が設けられる。また、第1結合部材104におけるインプリント層403の反対側の面(下面)は、接着層404を介して、表示構造20の表示面20aに貼り合わせられる。
【0032】
なお、第1結合部材104の構造は適宜に変更してもよい。また、反射コート210及び遮光コート211を設ける方法は公知の他の方法を利用して第4面201bに設けるようにしてもよい。
【0033】
図2に示すように、反射コート210によって第4面201bに入射する光Lが反射されるので、光Lが表示面20aに向けて反射される。換言すると、第4面201bの表示面20aに対する傾斜角度θ1は、第4面201bを通過した光Lが入射し、この光Lを反射コート210によって表示面20aに向けて反射可能な角度に設定される。
また、傾斜角度θ1は、反射した光Lが表示構造20の表示面20aで全反射されない角度θaで入射する角度であり、角度θaは例えば略垂直に近い角度に設定される。略垂直に近い角度とは、光Lが表示面20aで反射しない角度、又は、反射率が許容値以下となる角度である。
【0034】
また、本構成では、反射コート210から表示構造20の表示面20aまで、屈折率の異なる層が存在しない。このため、反射コート210で反射された光Lの少なくとも一部が屈折率の異なる層で反射されることがなく、光Lを表示構造20に入射させることができる。
【0035】
遮光コート211は、反射コート210における第2面102dに設けられるので、反射コート210から第2面102d側への漏れ光が回避される。したがって、観察者US側から反射コート210に対応する領域が光って見える事態が防止される。
なお、反射コート210は、光Lを反射する反射性を有するものを広く適用できる。また、遮光コート211は、光Lを透過しない遮光性を有するものを広く適用できる。これら反射コート210及び遮光コート211には、公知の反射性及び遮光性を有するコート(反射膜、又は遮光膜とも言う)を広く適用可能である。遮光コート211は光を反射し難い吸収性(光吸収性とも言う)を備えるものでもよい。但し、遮光コート211を設けなくても表示品質を十分確保できる場合、遮光コート211を省略してもよい。
【0036】
次に、上述の表示装置10の作用、効果について説明する。
上述したように、導光板102の第1面102cには、観察者US側に位置する第2面102d側に凹んだ第1部分201が少なくとも設けられる。第1部分201は、光源101からの光Lが入射し、表示面20aに対して略垂直な第3面201aと、第3面201aを透過した光Lが入射し、光源101側から表示面20aへ向かって傾斜する第4面201bとを少なくとも有している。第4面201bには、入射した光Lを表示面20a側へ反射する反射コート210が設けられている。
【0037】
以上の構成によれば、光源101からの光Lは、第3面201aを透過し、第4面201bの反射コート210によって表示面20aへ入射する。その後、光Lは、第1結合部材104を透過して表示構造20に入射し、表示内容を含む光LX(
図1)として、再び導光板102に入射し、導光板102の第2面102dから第2結合部材105及び透明板103を透過し、透明板103の上面103bから出射する。
図1中の符号ARは、光LXの一部が出射される範囲を模式的に示している。透明板103の上面103bから出射された光LXは観察者USの目によって観測される。
【0038】
光Lがこのような経路を通ることにより、第3面201aでの光Lの反射を抑えながら、第3面201aを透過した光Lの第4面201bでの反射率を高めると共に、第4面201bで反射された光が表示面20a等で反射される事態を抑制できる。これによって、光源101からの光Lが、表示構造20に至る前に観察者US側に反射される事態を抑制すると共に、光Lの利用効率(照明効率)が向上する。
その結果、表示装置10の表示のコントラストを向上でき、表示の明るさの向上にも有利となる。したがって、光源101の光量を抑えても表示のコントラスト等を適切に確保でき、SDGsのエネルギーの効率化に寄与する。
【0039】
したがって、本構成の表示装置10、及び、この表示装置10に適用される照明構造100は、表示装置10の表示品質を良好にしながら低消費電力化を実現できる。この表示装置10は、例えば屋外デジタルサイネージ、自転車、自動車、二輪車、重機、船舶、航空機、電力供給が困難な登山用の端末、災害時の端末、工事現場のタブレットPC、ガス・電気・水道の検診端末、宅配便の端末等の用途に好適であり、長期に渡って全世界で活用される表示装置となり得る。
【0040】
また、照明構造100は、第4面201bの反射コート210から表示構造20の表示面20aまで、屈折率の異なる層を前記光が通過しない構成であるので、屈折率の異なる層で一部が反射されるために表示構造20の照明に利用されない光の発生を抑えることができる。これによっても、表示のコントラストの向上に有利となる。
【0041】
また、照明構造100は、反射コート210における第2面102d側に遮光コート211が設けられているので、第2面102d側に位置する観察者US側から反射コート210に対応する領域が光って見える事態を防止できる。
なお、反射コート210や遮光コート211からなる膜(反射膜、遮光膜)の厚みが、光Lの波長サイズ以上になると膜エッジ部で光が散乱しコントラストを劣化させる原因となる。このため、各膜は薄いほど良く、各膜の厚みは波長サイズ(λ)の1/2程度以下であって、かつ遮光コート211厚み:dは、遮光コート211の屈折率をn4とすると、d=n4・λ/4を最適値とし、反射コート210の厚みは、光Lが透けて透過しない200nm程度以上の厚さにすることが望ましい。
【0042】
次いで、照明構造100の変形例について説明する。
図4は、第1変形例に係る第1部分201を周辺構成と共に模式的に示す図である。
第1部分201は、第3面201a及び第4面201bよりも光源101側にて光源101に対向する第5面201cを有している。第5面201cは、第2部分202と第3面201aとに斜めに交差する傾斜面であり、光源101側から導光板102の第2面102dへ向かって傾斜する傾斜面、及び、第2部分202から導光板102の他側面102bに近づくほど表示面20aから遠ざかる傾斜面と言うこともできる。なお、第5面201cの面全体が第2結合部材105と接触している。
【0043】
図4に示すように、第5面201cに入射する光Lは、導光板102と第1結合部材104との境からなる界面(第5面201cの位置に相当)で全反射、及び透過(屈折を含む)し、第4面201bの反射コート210に入射する。
つまり、第5面201cは、入射する光Lを第4面201bに向けて案内する傾斜角度θ2に設定されている。これにより、第4面201bには、第3面201aに入射する光Lに加えて、第5面201cに入射する光Lが入射し、表示構造20を照明する照明光が増加し、光源101の光の利用効率(照明効率)が向上する。
【0044】
なお、説明の便宜上、
図4には、光源101からの光Lに出射方向が異なる複数の光が含まれる場合を例示し、一部が第5面201cで全反射し、一部が第5面201cを透過等する場合を示している。
図4に示すように、第5面201cで反射された光Lは、表示構造20の反対側である第2面102d側(観察者US側である透明板103側に相当)に出射しないので、表示内容のコントラストの劣化が抑制される。第1変形例によれば、表示のコントラストの向上を図りつつ、光源101からの光Lをより表示構造20側に導くことで、エネルギーの効率化により有利となる。
【0045】
図5は、第2変形例に係る表示装置10を模式的に示す図である。
第2変形例に係る表示装置10は、導光板102の一部が異なる点を除いて、上記実施形態の表示装置10と同じである。
図5では、透明板103及び第2結合部材105の図示を省略している。
第2変形例では、導光板102における光源101の反対側の部分102Tを、光源101からの光Lを、導光板102の第1面102c及び第2面102dのいずれにも入射しない方向に反射する形状にしている。より具体的には、導光板102の部分102Tを、表示構造20よりも外側(直交座標系のX軸方向)に延長させ、その延長部分に、第1面102cから第2面102dとの間に渡って斜めにカットした傾斜面102Mを設けている。この傾斜面102Mは、光源101からの光Lを、表示構造20よりも外側(光源101の反対側)、かつ、導光板102の第2面102dの反対側(観察者USの反対側に相当)に反射する面である。
【0046】
上記部分102T及び傾斜面102Mを設けない場合、導光板102の他方の側面102b(光源101の反対側の側面)で反射された光Lが、導光板102の第2面102d側に出射する光LG(
図5中、二点鎖線で示す光であり、以下、反射戻り光という)として出射されるおそれがある。
第2変形例では、
図5に示したように、光源101から他方の側面102bに向かう光Lを、傾斜面102Mによって、表示構造20よりも外側(光源101の反対側)、かつ、導光板102の第2面102dの反対側に反射するので、上記反射戻り光LGの発生を防止できる。これにより、反射戻り光LGを原因とする表示のコントラスト低下を回避でき、エネルギーの効率化に寄与する。
【0047】
図6は、第3変形例に係る表示装置10を模式的に示す図である。
第3変形例に係る表示装置10は、光吸収コート215を設けた点を除いて、第2変形例に係る表示装置10と同じである。
第3変形例では、導光板102における光源101の反対側の部分102T(
図6では第2面102d)に、光吸収コート215を施している。
光吸収コート215は、光源101からの光Lを吸収可能なコートであればよく、例えば黒色塗料や、可視光を吸収可能な光吸収剤を含有する膜である。
光吸収コート215を設けることにより、光源101から他方の側面102bに向かう光Lが、反射戻り光LGとして、導光板102の第2面102d側に出射される事態を抑制でき、表示のコントラストを向上させ易くなる。
【0048】
また、光吸収コート215を設けた場合、導光板102における光源101の反対側の部分102T(第2面102d)の形状自由度が向上する。例えば、上記部分102Tを、光源101から他方の側面102bに向かう光Lを、
図5に示したような傾斜面102Mの形状にすることなく、反射戻り光LGを原因とする表示のコントラスト低下を回避できる。また、上記傾斜面102Mの形状にすると共に、さらに、傾斜面102Mに光吸収コート215を設けた構成にすることによって、光源101から様々な方向に光Lが出射される構成であっても、反射戻り光LGを原因とする表示のコントラスト低下を回避できる効果を期待できる。
【0049】
本発明は上記実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第1結合部材104と表示構造20の表示面20aの間などに、光利用効率を向上するためのフィルム等が配置されてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態を適宜組み合わせても構わない。
【0050】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0051】
(構成1)表示構造の表示面側に取り付けられる照明構造であって、導光板と、前記導光板と前記表示面との間に配置される結合部材と、前記導光板の側面を照らす光源とを備え、前記導光板は、前記結合部材に接する第1面と、前記第1面とは反対側にあり、観察者側に位置する第2面とを有し、前記導光板の前記第1面には、前記第2面側に凹んだ第1部分が少なくとも設けられ、前記第1部分は、前記光源からの光が入射し、前記表示面に対して略垂直な第3面と、前記第3面を透過した光が入射し、前記光源側から前記表示面へ向かって傾斜する第4面とを少なくとも有し、前記第4面には、入射した光を前記表示面側へ反射する反射コートが設けられている照明構造。
この構成によれば、第3面での光源からの光の反射を抑えながら、第3面を透過した光の第4面での反射率を高めると共に、第4面で反射された光が表示面等で反射される事態を抑制できる。これにより、光源からの光が、表示構造に至る前に観察者側に反射される事態を抑制でき、光源の駆動エネルギーを抑えても表示のコントラスト等を適切に確保でき、エネルギーの効率化に寄与する。
【0052】
(構成2)前記第4面の反射コートから前記表示構造の表示面まで、屈折率の異なる層を前記光が通過しない構成である構成1に記載の照明構造。
この構成によれば、屈折率の異なる層で一部が反射されるために表示構造の照明に利用されない光の発生を抑えることができ、表示のコントラストの向上に有利となる。
【0053】
(構成3)前記反射コートにおける前記第2面側には、遮光コートが設けられている構成1又は2に記載の照明構造。
この構成によれば、第2面側に位置する観察者側から反射コートに対応する領域が光って見える事態を防止できる。
【0054】
(構成4)表示構造の表示面側に取り付けられる照明構造であって、導光板と、前記導光板と前記表示面との間に配置される結合部材と、前記導光板の側面を照らす光源とを備え、前記導光板は、前記結合部材に接する第1面と、前記第1面とは反対側にあり、観察者側に位置する第2面とを有し、前記導光板の前記第1面には、前記第2面側に凹んだ第1部分と、前記第1部分よりも前記光源側に位置し、前記第2面側に凹んだ第2部分とが少なくとも設けられ、前記第1部分は、前記光源からの光が入射し、前記表示面に対して略垂直な第3面と、前記第3面を透過した光が入射し、前記光源側から前記表示面へ向かって傾斜する第4面とを少なくとも有し、前記第2部分は、前記第3面及び前記第4面よりも前記光源側にて前記光源に対向する第5面を有し、前記第5面は、前記光源からの光の少なくとも一部を、前記第4面に向けて全反射、及び/又は透過する形状とされ、前記第4面には、入射した光を前記表示面側へ反射する反射コートが設けられている照明構造。
この構成によれば、表示のコントラストの向上を図りつつ、光源からの光をより表示構造側に導くことで、エネルギーの効率化により有利となる。
【0055】
(構成5)前記導光板における前記光源と反対側の部分を、前記光源からの光を、前記第1面及び前記第2面のいずれにも入射しない方向に反射する形状にした構成1から4のいずれか一項に記載の照明構造。
この構成によれば、光源から導光板の他方の側面に向かう光が、導光板の第2面側に出射する事態を防止でき、表示のコントラスト低下を回避でき、エネルギーの効率化に寄与する。
【0056】
(構成6)前記導光板における前記光源と反対側の部分には、前記光源からの光を吸収する光吸収コートが設けられる構成1から5のいずれか一項に記載の照明構造。
この構成によれば、光源から導光板の他方の側面に向かう光が、導光板の第2面側に出射する事態を防止でき、表示のコントラスト低下を回避でき、エネルギーの効率化に寄与する。
【符号の説明】
【0057】
10…表示装置、20…表示構造、20a…表示面、100…照明構造、101…光源、102…導光板、102a,102b…側面、102c…第1面、102d…第2面、103…透明板、104…第1結合部材、105…第2結合部材、201…第1部分、201a…第3面、201b…第4面、201c…第5面、202…第2部分、210…反射コート、211…遮光コート、215…光吸収コート、401…ガラス基板、402…プリズム、403…インプリント層、403a…突出部、US…観察者。