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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172332
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】車両のカバー構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 11/08 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
B60J11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084042
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏伸
(72)【発明者】
【氏名】門田 豪郎
(72)【発明者】
【氏名】田口 春男
(72)【発明者】
【氏名】有吉 良祐
(57)【要約】
【課題】簡易な構成でボディとカバーとの間を止水することができる車両のカバー構造を提供する。
【解決手段】車両10は、ボディ20に設けられた開口21を車両10の外側から覆うとともに開口21を開閉するカバー40を備える。ボディ20は、開口21の周縁に沿って延びるとともに周縁から車両10の外側に向かうほど周縁の外周側に位置するように傾斜した傾斜面22,23を有している。カバー40は、ボディ20に固定されるフレーム41と、フレーム41に固定されるとともに開口21を覆う外装部材42とを有している。外装部材42の外周部には、可撓性を有し、開口21の周縁に沿って延びるとともに各傾斜面22,23に接触することでボディ20と外装部材42との間を止水するように構成された止水部46が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のボディに設けられた開口を前記車両の外側から覆うとともに前記開口を開閉するカバーを備える車両のカバー構造であって、
前記ボディは、前記開口の周縁に沿って延びるとともに前記周縁から前記車両の外側に向かうほど前記周縁の外周側に位置するように傾斜した傾斜面を有しており、
前記カバーは、前記ボディに固定されるフレームと、前記フレームに固定されるとともに前記開口を覆う外装部材と、を有しており、
前記外装部材の外周部には、可撓性を有し、前記周縁に沿って延びるとともに前記傾斜面に接触することで前記ボディと前記外装部材との間を止水するように構成された止水部が設けられている、
車両のカバー構造。
【請求項2】
前記外装部材は、可撓性を有し、前記フレームに固定される本体部を有しており、
前記本体部と前記止水部とは、一体に形成されている、
請求項1に記載の車両のカバー構造。
【請求項3】
前記車両の前後方向を前後方向とするとき、
前記開口は、前記ボディの側面に設けられるとともに前記車両の乗員が乗降する乗降口であり、
前記フレームの前部と前記ボディとを連結するとともに前記カバーを揺動可能に支持するヒンジ機構を有しており、
前記本体部は、
前記フレームに固定される第1部分と、
前記周縁の上縁部分及び前縁部分に沿って延びるとともに前記ボディに対して車室内側から固定される第2部分と、を有しており、
前記第1部分と前記第2部分とは、前記外装部材の後縁部から前方に向かって延びるスライドファスナを介して連結されており、
前記外装部材の後縁部には、前記止水部が設けられており、
前記止水部は、前記ボディのうち前記周縁の後縁部分に沿って延びる部分に形成された前記傾斜面に接触している、
請求項2に記載の車両のカバー構造。
【請求項4】
前記外装部材の下縁部には、前記止水部が設けられており、
前記止水部は、前記ボディのうち前記周縁の下縁部分に沿って延びる部分に形成された前記傾斜面に接触している、
請求項3に記載の車両のカバー構造。
【請求項5】
前記フレームは、前記周縁に沿って延びるパイプにより構成されている、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の車両のカバー構造。
【請求項6】
前記フレームは、前記周縁の全周に沿って延びる環状をなしている、
請求項5に記載の車両のカバー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のカバー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一人乗りの電気自動車(以下、車両という)が開示されている。
車両のボディの側面には、乗員が乗降する開口が設けられている。ボディには、開口を開閉するドアがヒンジを介して取り付けられている。ドアは、金属製のフレームと、フレームに固定された樹脂製の外装パネルとを有している。
【0003】
開口の周縁には、ボディとドアとの間を止水するウェザーストリップが設けられている。ウェザーストリップは、上記周縁の前縁部分、上縁部分、及び後縁部分に沿って延びている。ウェザーストリップがドアのフレームによって押し潰されることで、ウェザーストリップの止水性が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-20571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両のボディに設けられた開口をドアなどのカバーで覆う場合は、止水部材を用いてボディとカバーとの間を止水することが好ましい。止水部材によってボディとカバーとの間の止水性を確保する上では、止水部材がカバーによって所定量押し潰される必要がある。この場合、ボディとカバーとの隙間を所定の範囲内に収める必要があるため、車両の製造工程において、当該隙間の寸法管理が必要となる。こうした寸法管理は、車両の製造工程が煩雑となるおそれがある。そのため、簡易な構成でボディとカバーとの間を止水することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための車両のカバー構造の各態様を記載する。
[態様1]車両のボディに設けられた開口を前記車両の外側から覆うとともに前記開口を開閉するカバーを備える車両のカバー構造であって、前記ボディは、前記開口の周縁に沿って延びるとともに前記周縁から前記車両の外側に向かうほど前記周縁の外周側に位置するように傾斜した傾斜面を有しており、前記カバーは、前記ボディに固定されるフレームと、前記フレームに固定されるとともに前記開口を覆う外装部材と、を有しており、前記外装部材の外周部には、可撓性を有し、前記周縁に沿って延びるとともに前記傾斜面に接触することで前記ボディと前記外装部材との間を止水するように構成された止水部が設けられている、車両のカバー構造。
【0007】
上記構成によれば、ボディの傾斜面に止水部が接触することにより、ボディと外装部材との間が止水される。ここで、止水部は、可撓性を有している。このため、止水部の外面に雨水等による水圧が作用した場合に、当該水圧によって止水部が傾斜面に密着しやすくなる。これにより、止水部における止水性能を高めることができる。したがって、簡易な構成でボディとカバーとの間を止水することができる。
【0008】
[態様2]前記外装部材は、可撓性を有し、前記フレームに固定される本体部を有しており、前記本体部と前記止水部とは、一体に形成されている、[態様1]に記載の車両のカバー構造。
【0009】
上記構成によれば、本体部と止水部とが別体に形成される場合に比べて、外装部材を容易に製造することができる。また、本体部と止水部とが一体に形成されることで、本体部と止水部との境界部分を止水する必要が無くなる。
【0010】
[態様3]前記車両の前後方向を前後方向とするとき、前記開口は、前記ボディの側面に設けられるとともに前記車両の乗員が乗降する乗降口であり、前記フレームの前部と前記ボディとを連結するとともに前記カバーを揺動可能に支持するヒンジ機構を有しており、前記本体部は、前記フレームに固定される第1部分と、前記周縁の上縁部分及び前縁部分に沿って延びるとともに前記ボディに対して車室内側から固定される第2部分と、を有しており、前記第1部分と前記第2部分とは、前記外装部材の後縁部から前方に向かって延びるスライドファスナを介して連結されており、前記外装部材の後縁部には、前記止水部が設けられており、前記止水部は、前記ボディのうち前記周縁の後縁部分に沿って延びる部分に形成された前記傾斜面に接触している、[態様2]に記載の車両のカバー構造。
【0011】
上記構成によれば、外装部材の第1部分と第2部分とがスライドファスナを介して連結されている。このため、乗員によってスライドファスナが操作されることで第1部分と第2部分とが分離及び連結する。また、フレームの前部がヒンジ機構を介してボディに連結されている。このため、第1部分と第2部分とが分離した状態でフレームがヒンジ機構によって車両の外側に揺動することで、第2部分がボディに固定された状態のまま、外装部材がフレームの前部に沿って車両の外側に折れ曲がる。これにより、カバーによって開口を開閉することができる。したがって、乗降口を開閉するカバーを具体化できる。
【0012】
また、上記構成によれば、第2部分がボディに対して車室内側から固定されているため、外装部材の上縁部及び前縁部においては、止水部を設けることなく車室内への水の浸入を抑制できる。一方、止水部が外装部材の後縁部に設けられているため、上記スライドファスナに加えて、当該後縁部にもスライドファスナを設ける場合と比較して、カバーの開閉動作が容易となる。以上のことから、上述したカバーの開閉動作を実現しつつも、ボディと外装部材との間の止水性を確保することができる。
【0013】
[態様4]前記外装部材の下縁部には、前記止水部が設けられており、前記止水部は、前記ボディのうち前記周縁の下縁部分に沿って延びる部分に形成された前記傾斜面に接触している、[態様3]に記載の車両のカバー構造。
【0014】
上記構成によれば、カバーの下部を通じた車室内への水の浸入を抑制できる。
また、例えば、乗員の降車時において、車外における止水部に対向する位置に障害物が存在することがある。この場合、乗員がカバーを開くことで、止水部が障害物に接触して変形するおそれがある。こうした止水部の変形によって、ボディと外装部材との間の止水性が低下するおそれがある。
【0015】
この点、上記構成によれば、止水部が可撓性を有しているため、止水部が障害物に接触した際に障害物の形状に追従して変形する。その後、止水部が障害物から離れることで、止水部の形状が元の形状に復元しやすくなる。したがって、上述した不都合を回避できる。
【0016】
[態様5]前記フレームは、前記周縁に沿って延びるパイプにより構成されている、[態様1]~[態様4]のいずれか1つに記載の車両のカバー構造。
上記構成によれば、パイプは中空状をなしているため、フレームを軽量化できる。したがって、カバーの開閉を容易に行うことができる。
【0017】
[態様6]前記フレームは、前記周縁の全周に沿って延びる環状をなしている、[態様1]~[態様5]のいずれか1つに記載の車両のカバー構造。
上記構成によれば、フレームの曲げ剛性を高めることができる。このため、フレームを軽量化しつつもフレームの変形を抑制できる。
【0018】
また、外装部材が環状のフレームに固定されることで、外装部材の形状が維持されやすくなる。これにより、止水部が傾斜面に接触した状態が維持されやすくなる。したがって、ボディとカバーとの間の止水性の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡易な構成でボディとカバーとの間を止水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、一実施形態の車両を示す斜視図である。
図2図2は、図1の車両を示す側面図である。
図3図3は、図1の車両のフレームを示す側面図である。
図4図4は、図2の4-4線に沿った断面図である。
図5図5は、図2の5-5線に沿った断面図である。
図6図6は、図2の6-6線に沿った断面図である。
図7図7は、図1のカバーを車室内側から視た側面図である。
図8図8は、図1の車両のカバーが障害物に衝突した際の車両を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1図8を参照して、車両のカバー構造の一実施形態について説明する。
(車両10)
図1に示すように、車両のカバー構造が適用される車両10は、例えば、一人乗り用の電気自動車である。
【0022】
以降において、車両10の前後方向を単に前後方向として説明する。
車両10は、ボディ20の側面に設けられた開口21を開閉するカバー40を備えている。開口21は、例えば、車両10の乗員が乗降する乗降口である。カバー40は、開口21を車両10の外側、すなわち車幅方向の外側から覆っている。
【0023】
(ボディ20)
ボディ20は、外装パネル30と、外装パネル30に取り付けられるサイドバイザー36とを有している。外装パネル30は、例えば、金属材料により形成されている。サイドバイザー36は、例えば、透明な樹脂材料により形成されている。
【0024】
外装パネル30は、ルーフパネル31と、第1フェンダーパネル32と、ロッカーパネル33と、第2フェンダーパネル34と、ピラーパネル35とを有している。ルーフパネル31は、車両10の天井を構成している。第1フェンダーパネル32は、車両10の前輪11を覆っている。ロッカーパネル33は、車両10の下部を構成している。第2フェンダーパネル34は、車両10の後輪12を覆っている。ピラーパネル35は、上下方向に延びる図示しないピラーを車幅方向の外側から覆っている。
【0025】
図1及び図2に示すように、ロッカーパネル33は、第1フェンダーパネル32の後部と第2フェンダーパネル34の前部とを連結している。ピラーパネル35は、第2フェンダーパネル34の上部とルーフパネル31の下部とを連結している。
【0026】
サイドバイザー36は、第1フェンダーパネル32の上部とルーフパネル31の下部とを連結している。
図3に示すように、開口21の周縁の上縁部分は、ルーフパネル31によって形成されている。開口21の周縁の前縁部分は、サイドバイザー36と第1フェンダーパネル32とによって形成されている。開口21の周縁の下縁部分は、ロッカーパネル33と第2フェンダーパネル34とによって形成されている。開口21の周縁の後縁部分は、第2フェンダーパネル34とピラーパネル35とによって形成されている。
【0027】
外装パネル30は、開口21の周縁に沿って延びる第1傾斜面22と第2傾斜面23とを有している。各傾斜面22,23は、開口21の周縁から車両10の外側、すなわち車幅方向の外側に向かうほど当該周縁の外周側に位置するように傾斜している。
【0028】
第1傾斜面22は、外装パネル30のうち開口21の周縁の後縁部分に沿って延びる部分に形成されている。第1傾斜面22は、第2フェンダーパネル34とピラーパネル35とに跨がって形成されている。
【0029】
第2傾斜面23は、外装パネル30のうち開口21の周縁の下縁部分に沿って延びる部分に形成されている。第2傾斜面23は、ロッカーパネル33と第2フェンダーパネル34とに跨がって形成されている。第1傾斜面22と第2傾斜面23とは連なっている。
【0030】
(カバー40)
図2に示すように、カバー40は、ボディ20に固定されるフレーム41と、フレーム41に固定されるとともに開口21を覆う外装部材42とを有している。外装部材42は、フレーム41に対して車幅方向の外側から固定されている。
【0031】
(フレーム41)
図3に示すように、フレーム41は、開口21の周縁に沿って延びる金属製のパイプにより構成されている。フレーム41は、開口21の周縁の全周に沿って延びる環状をなしている。フレーム41は、例えば、パイプを曲げ加工して形成された複数の分割体が互いに連結されることにより環状に形成されている。
【0032】
ここで、本明細書における「環状」という用語は、ループ、すなわち端部のない連続形状を形成する任意の構造を指す。「環状」の形状には、円形、楕円形、及び尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
フレーム41には、複数の雌側ホック50が設けられている。フレーム41には、例えば、9つの雌側ホック50が設けられている。9つの雌側ホック50は、フレーム41の上部、後部、及び下部に互いに間隔をおいて設けられている。各雌側ホック50は、例えば、フレーム41に形成された挿入孔に対してかしめられることでフレーム41に固定されている。
【0034】
(外装部材42)
図2に示すように、外装部材42は、フレーム41に固定される本体部43と、本体部43の外周部に設けられた止水部46とを有している。止水部46は、ボディ20の第1傾斜面22及び第2傾斜面23に接触することでボディ20と外装部材42との間を止水するように構成されている。本体部43と止水部46とは、同一の材料により一体に形成されている。本体部43及び止水部46は共に可撓性を有している。すなわち、外装部材42の全体は、可撓性を有している。
【0035】
図示は省略するが、外装部材42は、例えば、基材と、基材の表面に設けられた表皮とが一体化されたシート材である。基材は、車室内側に位置している。表皮は、車室外側に位置している。
【0036】
基材は、例えば、軟質ポリ塩化ビニル(PVC)を含む樹脂材料により形成されたシート状をなしている。表皮は、例えば、ポリエチレン(PE)などの樹脂繊維により形成された帆布などの織物である。
【0037】
外装部材42の厚さは、例えば、0.8mm程度である。各図面では、外装部材42の厚さが誇張されて図示されている。
(本体部43)
本体部43は、フレーム41に固定される第1部分44と、ボディ20に固定される第2部分45とを有している。第2部分45は、外装部材42の上縁部及び前縁部を構成している。
【0038】
第1部分44は、フレーム41の全体を車幅方向の外側から覆っている。第1部分44には、複数の雌側ホック50のそれぞれに係合する複数の雄側ホック51が設けられている。第1部分44には、例えば、9つの雄側ホック51が設けられている。9つの雄側ホック51は、第1部分44の上部、後部、及び下部に互いに間隔をおいて設けられている。各雄側ホック51は、第1部分44を厚さ方向に挟み込むことで第1部分44に固定されている。複数の雄側ホック51が、複数の雌側ホック50にそれぞれ係合することで、外装部材42がフレーム41に固定されている。
【0039】
第2部分45は、開口21の周縁の上縁部分及び前縁部分に沿って延びている。第2部分45は、ボディ20に対して車室内側から固定されている。より詳しくは、第2部分45は、ルーフパネル31及びサイドバイザー36の双方に対して車室内側から固定されている。
【0040】
図6に示すように、ルーフパネル31における開口21を形成する端縁部の内面と、当該内面に対向する第2部分45の外面とには、第1面ファスナ52がそれぞれ設けられている。第1面ファスナ52は、概ね前後方向に延びている。第1面ファスナ52は、ルーフパネル31と、ルーフパネル31を支持する支持フレーム24との間に設けられている。
【0041】
図2に示すように、サイドバイザー36における開口21を形成する端縁部の内面と、当該内面に対向する第2部分45の外面とには、第2面ファスナ53がそれぞれ設けられている。第2面ファスナ53は、概ね上下方向に延びている。
【0042】
第2部分45は、第1面ファスナ52及び第2面ファスナ53を介してルーフパネル31及びサイドバイザー36にそれぞれ固定されている。
外装部材42は、第1部分44と第2部分45とを分離及び連結する第1スライドファスナ54を有している。第1スライドファスナ54は、車室内及び車室外から操作可能に構成されている。第1スライドファスナ54は、「スライドファスナ」の一例である。
【0043】
第1スライドファスナ54は、外装部材42の後縁部から前方に向かって延びている。第1スライドファスナ54は、外装部材42におけるフレーム41よりも上方の部分において、概ねフレーム41の上部に沿って延びている。第1スライドファスナ54の前端は、外装部材42の前部に位置している。第1スライドファスナ54の前端は、後述するヒンジ機構60よりも上方に位置している。第1スライドファスナ54の周囲には、第1スライドファスナ54を覆う図示しない庇が設けられている。
【0044】
第1部分44と第2部分45とは、第1スライドファスナ54を介して分離及び連結可能に構成されている。ただし、外装部材42のうち第1スライドファスナ54の前端よりも下方の部分では、第1部分44と第2部分45とが一体化されている。
【0045】
本体部43は、窓55と、窓55を開閉する第2スライドファスナ56とを有している。第2スライドファスナ56は、車室内及び車室外から操作可能に構成されている。
窓55は、透明な樹脂材料により形成されている。窓55は、第1部分44の上部であって、フレーム41よりも開口21の内周側の部分に設けられている。
【0046】
第2スライドファスナ56は、窓55の全周にわたって延びている。第2スライドファスナ56の周囲には、第2スライドファスナ56を覆う図示しない庇が設けられている。
(止水部46)
止水部46は、外装部材42の後縁部に設けられた第1止水部47と、外装部材42の下縁部に設けられた第2止水部48とを有している。第1止水部47は、開口21の周縁の後縁部分に沿って延びている。第2止水部48は、開口21の周縁の下縁部分に沿って延びている。第1止水部47は、外装部材42の後縁部の上端から下端まで延びている。第2止水部48は、外装部材42の下縁部の後端から前端まで延びている。第1止水部47と第2止水部48とは連なっている。
【0047】
図4に示すように、第1止水部47の内面の全体は、第1傾斜面22に接触している。第1止水部47は、本体部43に対して車幅方向の外側に屈曲した状態で第1傾斜面22に接触している。
【0048】
図5に示すように、第2止水部48の内面の全体は、第2傾斜面23に接触している。第2止水部48は、本体部43に対して車幅方向の外側に屈曲した状態で第2傾斜面23に接触している。
【0049】
(規制部57)
図7に示すように、本体部43の下部における車室内側の面には、第2止水部48の捲れを規制する規制部57が設けられている。規制部57は、規制板58と、規制板58を収容する収容部59とを有している。
【0050】
規制板58は、例えば、長尺板状をなしている。規制板58は、例えば、樹脂材料により形成されている。
収容部59は、上端が開口するとともに下端が閉塞された袋状をなしている。収容部59は、本体部43の前部から上方に向かうほど後方に位置するように傾斜して延びている。収容部59は、フレーム41と外装部材42との間に位置している。収容部59の上端は、ヒンジ機構60の後方に位置している。
【0051】
規制板58が収容部59に収容されることで、本体部43の下部における前部の形状、ひいては、第2止水部48の形状が維持されている。
(ヒンジ機構60)
図2及び図3に示すように、車両10は、フレーム41の前部とボディ20とを連結するとともにカバー40を揺動可能に支持するヒンジ機構60を有している。
【0052】
図3に示すように、ヒンジ機構60は、第1ブラケット61と、第2ブラケット62と、2つのヒンジ63とを有している。第1ブラケット61は、図示しないボディ20のフレームに固定されている。第2ブラケット62は、フレーム41の前部における下部に固定されている。各ヒンジ63は、第1ブラケット61と第2ブラケット62とを連結している。第2ブラケット62は、各ヒンジ63によって第1ブラケット61に対して揺動可能に設けられている。すなわち、カバー40は、ヒンジ機構60を介して開口21を開閉可能に設けられている。
【0053】
本実施形態の作用について説明する。
ボディ20の各傾斜面22,23に止水部46が接触することにより、ボディ20と外装部材42との間が止水される。ここで、止水部46は、可撓性を有している。このため、止水部46の外面に雨水等による水圧が作用した場合に、当該水圧によって止水部46が各傾斜面22,23に密着しやすくなる。これにより、止水部46における止水性能を高めることができる。
【0054】
本実施形態の効果について説明する。
(1)車両10は、ボディ20に設けられた開口21を車両10の外側から覆うとともに開口21を開閉するカバー40を備える。ボディ20は、開口21の周縁に沿って延びるとともに周縁から車両10の外側に向かうほど周縁の外周側に位置するように傾斜した傾斜面22,23を有している。カバー40は、ボディ20に固定されるフレーム41と、フレーム41に固定されるとともに開口21を覆う外装部材42とを有している。外装部材42の外周部には、可撓性を有し、開口21の周縁に沿って延びるとともに各傾斜面22,23に接触することでボディ20と外装部材42との間を止水するように構成された止水部46が設けられている。
【0055】
こうした構成によれば、上述した作用を奏するため、簡易な構成でボディ20とカバー40との間を止水することができる。
(2)外装部材42は、可撓性を有し、フレーム41に固定される本体部43を有している。本体部43と止水部46とは、一体に形成されている。
【0056】
こうした構成によれば、本体部43と止水部46とが別体に形成される場合に比べて、外装部材42を容易に製造することができる。また、本体部43と止水部46とが一体に形成されることで、本体部43と止水部46との境界部分を止水する必要が無くなる。
【0057】
(3)車両10は、フレーム41の前部とボディ20とを連結するとともにカバー40を揺動可能に支持するヒンジ機構60を有している。本体部43は、フレーム41に固定される第1部分44と、開口21の周縁の上縁部分及び前縁部分に沿って延びるとともにボディ20に対して車室内側から固定される第2部分45とを有している。第1部分44と第2部分45とは、外装部材42の後縁部から前方に向かって延びる第1スライドファスナ54を介して連結されている。外装部材42の後縁部には、第1止水部47が設けられている。第1止水部47は、ボディ20のうち開口21の周縁の後縁部分に沿って延びる部分に形成された第1傾斜面22に接触している。
【0058】
こうした構成によれば、外装部材42の第1部分44と第2部分45とが第1スライドファスナ54を介して連結されている。このため、乗員によって第1スライドファスナ54が操作されることで第1部分44と第2部分45とが分離及び連結する。また、フレーム41の前部がヒンジ機構60を介してボディ20に連結されている。このため、第1部分44と第2部分45とが分離した状態でフレーム41がヒンジ機構60によって車両10の外側に揺動することで、第2部分45がボディ20に固定された状態のまま、外装部材42がフレーム41の前部に沿って車両10の外側に折れ曲がる。これにより、カバー40によって開口21を開閉することができる。したがって、乗降口を開閉するカバー40を具体化できる。
【0059】
また、上記構成によれば、第2部分45がボディ20に対して車室内側から固定されているため、外装部材42の上縁部及び前縁部においては、止水部46を設けることなく車室内への水の浸入を抑制できる。一方、第1止水部47が外装部材42の後縁部に設けられているため、第1スライドファスナ54に加えて、当該後縁部にもスライドファスナを設ける場合と比較して、カバー40の開閉動作が容易となる。以上のことから、上述したカバー40の開閉動作を実現しつつも、ボディ20と外装部材42との間の止水性を確保することができる。
【0060】
(4)外装部材42の下縁部には、第2止水部48が設けられている。第2止水部48は、ボディ20のうち開口21の周縁の下縁部分に沿って延びる部分に形成された第2傾斜面23に接触している。
【0061】
こうした構成によれば、カバー40の下部を通じた車室内への水の浸入を抑制できる。
図8に示すように、例えば、乗員の降車時において、車外における第2止水部48に対向する位置に障害物Oが存在することがある。この場合、乗員がカバー40を開くことで、第2止水部48が障害物Oに接触して変形するおそれがある。こうした第2止水部48の変形によって、ボディ20と外装部材42との間の止水性が低下するおそれがある。
【0062】
この点、上記構成によれば、第2止水部48を含む外装部材42の全体が可撓性を有しているため、第2止水部48が障害物Oに接触した際に、外装部材42が障害物Oの形状に追従して変形する。その後、第2止水部48が障害物Oから離れることで、第2止水部48の形状が元の形状に復元しやすくなる。したがって、上述した不都合を回避できる。
【0063】
(5)フレーム41は、開口21の周縁に沿って延びるパイプにより構成されている。
こうした構成によれば、パイプは中空状をなしているため、フレーム41を軽量化できる。したがって、カバー40の開閉を容易に行うことができる。
【0064】
また、フレーム41がパイプにより構成されているため、雌側ホック50を挿入するための挿入孔を容易に形成することができる。
(6)フレーム41は、開口21の周縁の全周に沿って延びる環状をなしている。
【0065】
こうした構成によれば、フレーム41の曲げ剛性を高めることができる。このため、フレーム41を軽量化しつつもフレーム41の変形を抑制できる。
また、外装部材42が環状のフレーム41に固定されることで、外装部材42の形状が維持されやすくなる。これにより、止水部46が各傾斜面22,23に接触した状態が維持されやすくなる。したがって、ボディ20とカバー40との間の止水性の低下を抑制できる。
【0066】
(7)本体部43の下部における車室内側の面には、第2止水部48の捲れを規制する規制部57が設けられている。
こうした構成によれば、規制部57によって、本体部43の下部の形状が維持されやすくなる。これにより、本体部43の捲れ、ひいては、第2止水部48の捲れが規制される。したがって、第2止水部48における止水性の低下を抑制できる。
【0067】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・規制部57は、規制板58のみからなるものであってもよい。この場合、規制板58が、本体部43に直接固定されていればよい。
【0068】
・規制板58は、金属材料により形成されていてもよい。
・外装部材42から、規制部57が省略されてもよい。
・フレーム41は、例えば、C字状をなすものなど、開口21の周縁に沿って延びるとともに長さ方向において端部を有するものであってもよい。
【0069】
・フレーム41は、中実の棒材により構成されていてもよいし、板材により構成されていてもよい。これらの場合であっても、フレーム41は、開口21の周縁の全周に沿って延びる環状をなしていてもよい。
【0070】
・フレーム41は、半割筒状の樹脂パイプを複数組み合わせることで構成されていてもよい。
・外装部材42から第1止水部47及び第2止水部48のどちらか一方が省略されてもよい。
【0071】
・第2部分45は、ホックや、磁石や、ボルトなどの種々の固定部材によってボディ20に固定されていてもよい。
・外装部材42から、第1スライドファスナ54が省略されてもよい。この場合、カバー40の開閉時には、各面ファスナ52,53によって外装部材42とボディ20とを固定及び分離すればよい。
【0072】
・車両のカバー構造は、乗降口の開口21に適用されるものに限定されず、他に例えば、車両10の後部の荷室に設けられた開口などの種々の開口に適用されてもよい。なお、この場合、カバー40の開閉時の利便性を考慮して、ヒンジ機構60は、フレーム41の任意の部分とボディ20とを連結するものであればよい。
【0073】
・フレーム41は、ヒンジ機構60を介してボディ20と連結されていなくてもよい。フレーム41は、例えば、ボディ20に対して係合する係合部を有していてもよい。
・止水部46は、ゴムなどの弾性部材により形成されていてもよい。
【0074】
・本体部43と止水部46とは、互いに異なる樹脂材料により一体に形成されていてもよい。
・本体部43と止水部46とは、別体に形成されていてもよい。この場合、本体部43は可撓性を有していなくてもよい。また、本体部43は、例えば、金属材料により形成されていてもよい。
【0075】
・止水部46は、外装部材42の全周にわたって設けられていてもよい。この場合、各面ファスナ52,53を省略するとともに、ルーフパネル31及びサイドバイザー36のそれぞれに止水部46が接触する傾斜面を設ければよい。
【0076】
・外装部材42とフレーム41とは、例えば、ボルト締結によって固定されていてもよい。
・車両のカバー構造の適用対象は、一人乗りの電気自動車に限定されず、種々の自動車であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
10…車両
20…ボディ
21…開口
22…第1傾斜面(傾斜面)
23…第2傾斜面(傾斜面)
40…カバー
41…フレーム
42…外装部材
43…本体部
44…第1部分
45…第2部分
46…止水部
47…第1止水部
48…第2止水部
54…第1スライドファスナ(スライドファスナ)
60…ヒンジ機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8