(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172338
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】X線検出器、X線診断装置及びX線検出器の展開状態を通知する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20231129BHJP
A61B 6/10 20060101ALI20231129BHJP
G01T 7/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A61B6/00 300S
A61B6/00 320M
A61B6/10 353
G01T7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084049
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】征矢 正治
(72)【発明者】
【氏名】岩井 春樹
(72)【発明者】
【氏名】殿塚 浩規
(72)【発明者】
【氏名】秋元 正人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘明
(72)【発明者】
【氏名】西塚 誠一
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
【Fターム(参考)】
2G188AA03
2G188BB02
2G188CC22
2G188CC28
2G188DD05
2G188DD10
2G188DD25
2G188DD45
2G188DD47
4C093AA01
4C093CA16
4C093EA12
4C093EB12
4C093EB13
4C093EB17
4C093EB20
4C093EC16
4C093EC51
4C093FA16
4C093FA27
4C093FA53
(57)【要約】
【課題】サイズ可変なX線検出器を適切に利用できるようにすることである。
【解決手段】実施形態に係るX線検出器は、複数のサイズに展開可能に設けられ、X線管から照射されたX線を検出するX線検出部と、当該X線検出部の展開状態を検出する展開状態検出部と、検出された前記展開状態に基づく情報を出力する情報出力部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサイズに展開可能に設けられ、X線管から照射されたX線を検出するX線検出部と、
当該X線検出部の展開状態を検出する展開状態検出部と、
検出された前記展開状態に基づく情報を出力する情報出力部と、
を備える、X線検出器。
【請求項2】
前記X線検出部は、X線管から照射されたX線を検出する複数の検出ブロックを備えており、前記検出ブロックが独立して折り畳み可能に構成され、
前記複数の検出ブロックのうち、使用されない検出ブロックが、X線が照射されない位置に折り畳まれることにより、前記X線検出部は複数のサイズに展開可能となる、請求項1に記載のX線検出器。
【請求項3】
前記展開状態検出部は、前記X線検出部に設けられ、前記複数の検出ブロックの間の歪みを検出することにより、前記X線検出部の前記展開状態を検出する、請求項2に記載のX線検出器。
【請求項4】
前記展開状態検出部は、前記複数の検出ブロックの間の歪みを検出する歪みゲージである、請求項3に記載のX線検出器。
【請求項5】
前記歪みゲージは、折り畳み可能に構成された前記複数の検出ブロックの間の近傍に配置される、請求項4に記載のX線検出器。
【請求項6】
前記歪みゲージは、折り畳み可能に構成された前記複数の検出ブロックの間上に配置される、請求項4に記載のX線検出器。
【請求項7】
前記展開状態検出部は、前記X線検出部に設けられ、前記複数の検出ブロックの折り畳み状態に応じて、ON状態とOFF状態とが切り替わる、スイッチ又はセンサである、請求項2に記載のX線検出器。
【請求項8】
前記X線検出部は、X線管から照射されたX線を検出する複数の検出ブロックを備えており、前記複数の検出ブロックのうち少なくとも1つが収納可能に構成され、
前記複数の検出ブロックのうち、使用されない検出ブロックが、X線が照射されない位置に収納されることにより、前記X線検出部は複数のサイズに展開可能となる、請求項1に記載のX線検出器。
【請求項9】
前記展開状態検出部は、前記X線検出部に設けられ、前記複数の検出ブロックの収納状態に応じて、ON状態とOFF状態とが切り替わる、スイッチ又はセンサである、請求項8に記載のX線検出器。
【請求項10】
前記展開状態検出部は、前記X線検出部と別体に設けられ、前記複数の検出ブロックの展開状態を撮影する撮影装置である、請求項2に記載のX線検出器。
【請求項11】
請求項3乃至請求項6のいずれかに記載のX線検出器と、
前記情報出力部により出力された前記展開状態に基づく情報として、前記展開状態検出部により検出された前記X線検出部の歪みに関する情報に基づいて、X線画像を補正する画像補正部と、
を備える、X線診断装置。
【請求項12】
前記画像補正部は、前記情報出力部により出力された前記展開状態に基づく情報に基づいて、前記X線画像から前記展開状態検出部を除去するように、前記X線画像を補正する、請求項11に記載のX線診断装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のX線検出器と、
前記X線管から照射されるX線の照射範囲を制限するX線絞りと、
前記情報出力部により出力された前記展開状態に基づく情報に基づいて、前記展開状態に応じたX線の照射範囲となるように、前記X線絞りを制御して、X線照射を制御する照射制御部と、をさらに備える、X線診断装置。
【請求項14】
前記照射制御部は、前記X線の照射範囲に基づいて、前記X線の照射範囲が、前記X線検出部の検出範囲に含まれるように、前記X線絞り、前記X線管、及び、前記X線検出器の少なくとも1つを制御して、前記X線検出器に対するX線の照射位置を制御する、請求項13に記載のX線診断装置。
【請求項15】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のX線検出器と、
前記情報出力部により出力された前記展開状態に基づく情報に基づいて、X線撮影に関するX線条件を変更するX線条件変更部と、をさらに備える、X線診断装置。
【請求項16】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のX線検出器と、
前記X線管及び前記X線検出器のうち少なくとも一方を保持するアームと、
前記情報出力部により出力された前記展開状態に基づく情報に基づいて、被検体を載置する寝台と、ユーザ、前記被検体及び前記アームの少なくともいずれかとが、干渉しないように、前記寝台を制御する寝台制御部と、をさらに備える、X線診断装置。
【請求項17】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のX線検出器と、
前記情報出力部により出力された前記展開状態に基づく情報に基づいて、前記X線検出部のサイズが所定のサイズであるか否かを判定し、前記X線検出部のサイズが所定のサイズでない場合、X線撮影を制限するインターロックを作動させるインターロック部と、をさらに備える、X線診断装置。
【請求項18】
複数のサイズに展開可能に設けられ、X線管から照射されたX線を検出するX線検出部と、
当該X線検出部に設けられ、当該X線検出部の展開状態を検出する展開状態検出部と、
を備えるX線検出器の展開状態を通知する方法であって、
前記展開状態検出部により当該X線検出部の展開状態を検出するステップと、
前記展開状態検出部により検出された展開状態に基づく情報を出力するステップと、
を備えるX線検出器の展開状態を通知する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線検出器、X線診断装置及びX線検出器の展開状態を通知する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、X線診断装置は、被検体にX線を照射し、X線検出器により、被検体を透過したX線を検出することで、X線画像を生成する。このX線診断装置を用いて、X線撮影を行う場合、ユーザは、検査内容に応じて、複数のサイズのX線検出器を使い分ける必要がある。例えば、Cアームを備えたX線診断装置により、心臓、循環器及び脳の血管などに関する検査を行う場合、検査によっては、被検体に対してCアームの角度を傾けて、被検体にX線を照射するため、CアームやCアームに取り付けられたX線管又はX線検出器と、寝台などの他の装置とが干渉しないように、又は、CアームやCアームに取り付けられたX線管又はX線検出器と、人とが干渉しないように、小さいサイズのX線検出器を使用することが望まれる。一方、腹部や泌尿器などに関する検査を行う場合、撮影対象領域が大きいため、大きいサイズのX線検出器を使用することが望まれる。
【0003】
近年、検査内容に応じて、1のX線検出器を、複数のサイズのX線検出器に可変できるようにするため、ユーザがX線検出器を折り畳むことにより、検査内容に適したサイズに可変できる、折り畳み式のX線検出器が存在する。この折り畳み式のX線検出器を利用して、X線撮影を行う場合、X線診断装置は、X線の照射範囲や寝台の可動領域を制御するため、現在のX線検出器のサイズを把握する必要がある。
【0004】
しかし、複数のサイズに可変なX線検出器を用いる場合、X線診断装置の制御が複雑になることから、現在のX線検出器のサイズを把握できないことがある。このように、現在のX線検出器のサイズを把握できない場合、X線の照射範囲が把握できず、X線の照射範囲を適切に制御できないという問題が生じる。また、現在のX線検出器のサイズを把握できない場合、寝台の可動領域が把握できず、X線検出器のサイズが一番大きい場合を想定して寝台を制御することとなり、寝台の可動範囲が狭くなる。すなわち、寝台の可動領域を適切に制御できないという問題も生じる。また、これらの問題は、折り畳み式のX線検出器のみならず、サイズ可変な他のX線検出器においても同様に生じている。このため、サイズ可変なX線検出器を使用して、X線の照射範囲や寝台の可動領域を適切に制御すること、すなわち、サイズ可変なX線検出器を適切に利用できるようにすることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、サイズ可変なX線検出器を適切に利用できるようにすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記の課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るX線検出器は、複数のサイズに展開可能に設けられ、X線管から照射されたX線を検出するX線検出部と、当該X線検出部の展開状態を検出する展開状態検出部と、検出された前記展開状態に基づく情報を出力する情報出力部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るX線診断装置の構成例を示すブロック図。
【
図2】第1実施形態に係るX線検出部の構成例を示す図。
【
図3】第1実施形態に係る展開状態検出部の構成例を示す図。
【
図4】第1実施形態に係るX線検出部のサイズが16×16inchに展開されている場合を示す図。
【
図5】第1実施形態に係るX線検出部のサイズが12×16inchに展開されている場合を示す図。
【
図6】第1実施形態に係るX線検出部のサイズが12×16inchに展開されている場合におけるX線検出部を折り畳んだ状態を示す図。
【
図7】第1実施形態に係るX線検出部のサイズが12×12inchに展開されている場合を示す図。
【
図8】第1実施形態に係るX線検出部のサイズが12×12inchに展開されている場合におけるX線検出部を折り畳んだ状態を示す図。
【
図9】第1実施形態に係るX線検出部のサイズが8×8inchに展開されている場合を示す図。
【
図10】第1実施形態に係るX線検出部のサイズが8×8inchに展開されている場合におけるX線検出部を折り畳んだ状態を示す図。
【
図11】第1実施形態に係るX線検出部の各サイズにおける、X線検出部の中心位置を示す図。
【
図12】第1実施形態に係るX線診断装置で実行されるX線照射制御処理の内容を説明するフローチャート図。
【
図13】第1実施形態に係るX線診断装置で実行されるインターロック制御処理の内容を説明するフローチャート図。
【
図14】変形例1に係るX線検出器における展開状態検出部の構成例を示す図。
【
図15】変形例2に係るX線検出器における展開状態検出部の構成例を示す図。
【
図16】変形例2に係るX線検出部の折り畳み状態における展開状態検出部の状態を示す図。
【
図17】変形例2に係るX線検出部の展開状態における展開状態検出部の状態を示す図。
【
図18】変形例3に係るX線検出器における展開状態検出部の構成例を示す図。
【
図19】変形例3に係るX線検出部の折り畳み状態における展開状態検出部の状態を示す図。
【
図20】変形例3に係るX線検出部の展開状態における展開状態検出部の状態を示す図。
【
図21】変形例4に係るX線検出器における、X線検出部の構成例を示す図。
【
図22】第2実施形態に係るX線診断装置の構成例を示すブロック図。
【
図23】第2実施形態に係るX線検出部の構成例を示す図。
【
図24】第2実施形態に係るX線検出器において、X線検出部が収納状態から展開状態へ移行する流れを説明する図。
【
図25】第2実施形態に係るX線検出器における展開状態検出部の構成例を示す図。
【
図26】第2実施形態に係るX線検出部の収納状態における展開状態検出部の状態を示す図。
【
図27】第2実施形態に係るX線検出部の展開状態における展開状態検出部の状態を示す図。
【
図28】変形例5に係るX線診断装置の構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、X線検出器、X線診断装置及びX線検出器の展開状態を通知する方法の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0010】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係るX線診断装置の構成例を示すブロック図である。
図1に示すX線診断装置1は、例えば、Cアームを備えたX線TV寝台装置である。なお、本実施形態に係るX線診断装置1は、Cアームを備えたX線TV寝台装置に限られず、例えば、Cアーム以外のアームを備えたX線TV寝台装置やX線アンギオ装置、一般X線撮影装置など、任意の型のX線診断装置として実現可能である。以下の説明では、X線診断装置1がCアームを備えたX線TV寝台装置である例について説明する。
【0011】
図1に示すように、X線診断装置1は、X線高電圧装置11と、X線管13と、X線絞り器15と、寝台17と、Cアーム19と、X線検出器21と、メモリ23と、ディスプレイ25と、入力インターフェース27と、処理回路29とを備える。
【0012】
X線高電圧装置11は、処理回路29の制御の下、X線管13に高電圧を供給する。例えば、X線高電圧装置11は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管13に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管13が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。なお、高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。
【0013】
X線管13は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管13は、X線高電圧装置11から供給される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、X線を発生する。例えば、X線管13には、回転する陽極に熱電子を照射することで、X線を発生する回転陽極型のX線管がある。
【0014】
X線絞り器15は、鉛板等の金属板で構成される。X線絞り器15は、処理回路29の制御の下、X線管13が発生したX線の絞りを行い、被検体Pに照射するX線の範囲を制御する。すなわち、X線絞り器15の絞りを絞ることにより、X線の照射範囲を狭くすることができ、逆に、X線絞り器15の絞りを開くことにより、X線の照射範囲を広くすることができる。なお、X線絞り器15は、コリメータと呼ばれる場合もある。
【0015】
寝台17は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台駆動装置の上に配置される。なお、被検体Pは、X線診断装置1に含まれない。例えば、寝台駆動装置は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路29による制御の下、駆動機構を動作させることにより、寝台17の移動・傾斜を制御する。例えば、寝台駆動装置は、処理回路29から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、寝台17を移動させたり、傾斜させたりする。
【0016】
Cアーム19は、X線管13及びX線絞り器15と、X線検出器21とを、被検体Pを挟んで対向するように保持する。例えば、Cアーム19は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、処理回路29による制御の下、駆動機構を動作させることにより、回転したり移動したりする。例えば、Cアーム19は、処理回路29から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、X線管13及びX線絞り器15と、X線検出器21とを被検体Pに対して回転及び/又は移動させ、X線の照射位置や照射角度を制御する。Cアーム19は、本実施形態に係るアームに相当する。
【0017】
X線検出器21は、例えば、マトリクス状に配列されたX線検出素子を有するX線平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)である。X線検出器21は、X線管13から照射されて被検体Pを透過したX線を検出して、検出したX線量に対応した検出信号を処理回路29へと出力する。なお、X線検出器21は、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器であってもよいし、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であってもよい。
図1に示すように、本実施形態に係るX線検出器21は、X線検出部211と、展開状態検出部213と、情報出力部215とを備える。
【0018】
X線検出部211は、X線管13から照射されて被検体Pを透過したX線を検出する。本実施形態に係るX線検出部211は、X線管13から照射されたX線を検出する複数の検出ブロックを備えており、これらの検出ブロックが独立して折り畳み可能に構成されている。この複数の検出ブロックのそれぞれは、1又は複数のX線検出素子を有している。
【0019】
図2は、本実施形態に係るX線検出部211の構成例を示す図である。この
図2において、一点鎖線は、X線検出部211の折り目L1~L4を表し、太い破線は、X線検出部211の切れ目を表している。また、
図2において、細い破線は、X線検出部211を縦横に分割する仮想線である。
図2において、説明の便宜上、折り目L1~L4を表す一点鎖線、及び、切れ目を表す太い破線は、仮想線を表す細い破線からずれているが、実際は、折り目を表す一点鎖線、及び、切れ目を表す太い破線は、仮想線を表す細い破線の上に位置する。
【0020】
図2に示すように、本実施形態に係るX線検出部211は、正方形状であり、16個の検出ブロックDB1~DB16を備えている。本実施形態において、1個の検出ブロックは、例えば、4×4inchの正方形状の検出ブロックである。すなわち、
図2において、X線検出部211のサイズは、16×16inchである。
【0021】
また、X線検出部211は、使用されない検出ブロックをX線が照射されない位置に折り畳むための折り畳み機構を有する。本実施形態においては、X線検出部211は、折り畳み機構として、蝶番を有し、この蝶番により、複数の検出ブロックDB1~DB16の間は、折り畳み可能に接続されている。そして、複数の検出ブロックDB1~DB16のうち、使用されない検出ブロックが、蝶番により、折り目L1~L4を軸として、X線が照射されない位置に折り畳まれることにより、X線検出部211は複数のサイズに展開可能となる。このX線が照射されない位置とは、例えば、使用される検出ブロックの背面側や、検出ブロックのX線の検出面が、X線の照射方向に対して平行となる位置などである。なお、X線検出部211は、折り畳み機構として、蝶番を有することとしたが、折り畳み機構は蝶番に限られない。すなわち、折り畳み機構の構成は任意である。
【0022】
また、
図2に示す例では、X線検出部211が16個の検出ブロックを備えているが、X線検出部211が備える検出ブロックの数は任意である。すなわち、X線検出部211は、2個以上かつ15個以下の検出ブロックを備えていてもよく、16個以上の検出ブロックを備えていてもよい。また、
図2に示す例では、検出ブロックDB1~DB16は正方形状であるが、検出ブロックの形状は任意である。例えば、検出ブロックは長方形状等であってもよい。
【0023】
展開状態検出部213は、X線検出部211に設けられ、X線検出部211の展開状態を検出する。展開状態検出部213は、例えば、歪みゲージやマイクロスイッチなどのセンサにより構成される。
【0024】
図3は、本実施形態に係る展開状態検出部213の構成例を示す図である。この
図3は、
図2におけるX線検出部211の背面側から見た図である。すなわち、
図3に示す展開状態検出部213は、例えば、X線検出部211の背面側に配置されている。
図3に示すように、本実施形態に係る展開状態検出部213は、8個の歪みゲージSG1~SG8により構成されている。また、
図3において、歪みゲージSG1~SG8は、折り畳み可能に構成された複数の検出ブロックDB1~DB16の間上に配置されている。この複数の検出ブロックDB1~DB16の間上とは、
図3に示すように、例えば、複数の検出ブロックDB1~DB16の間の一点鎖線で示される折り目L1~L4上である。本実施形態に係る展開状態検出部213は、X線検出部211に設けられた歪みゲージSG1~SG8が、折り畳み可能に構成された複数の検出ブロックDB1~DB16の間上に配置され、複数の検出ブロックDB1~DB16の間の歪みを検出することにより、X線検出部211の展開状態を検出する。
【0025】
なお、
図3に示す例では、展開状態検出部213は、8個の歪みゲージを備えているが、展開状態検出部213が備える歪みゲージの個数は任意である。すなわち、X線検出部211の構成に応じて、7個以下の歪みゲージを備えてもよく、9個以上の歪みゲージを備えていてもよい。
【0026】
情報出力部215は、展開状態検出部213により検出されたX線検出部211の展開状態に基づく情報を処理回路29に出力する。展開状態に基づく情報とは、展開状態検出部213により検出された検出結果であり、本実施形態においては、例えば、展開状態検出部213である歪みゲージSG1~SG8により検出された歪み量などである。
【0027】
メモリ23は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ23は、処理回路29によって収集された各種のデータなどを受け付けて記憶する。また、メモリ23は、X線診断装置1に含まれる回路によって実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。なお、メモリ23は、X線診断装置1とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
【0028】
ディスプレイ25は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ25は、処理回路29による制御の下、予めユーザにより設定されるユーザ設定情報を設定するための画面や、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)、各種の画像を表示する。例えば、ディスプレイ25は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。なお、ディスプレイ25はデスクトップ型でもよいし、処理回路29と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。ここで、ユーザ設定情報とは、予めユーザにより設定されるX線検出器21の視野サイズなどの情報である。また、視野サイズとは、X線撮影においてX線検出器21からデータを収集する範囲であり、通常、複数の視野サイズが設定されているため、ユーザは、検査内容に応じて、所望の視野サイズを選択することになる。
【0029】
入力インターフェース27は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路29に出力する。例えば、入力インターフェース27は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース27は、処理回路29と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース27は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、X線診断装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路29へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース27の例に含まれる。
【0030】
処理回路29は、X線診断装置1の全体的な制御を行う制御回路であり、また、各種演算を行う演算回路でもある。例えば、本実施形態に係る処理回路29は、照射制御機能291と、X線条件変更機能292と、画像生成機能293と、画像補正機能294と、インターロック機能295と、寝台制御機能296とを有する。照射制御機能291は、本実施形態に係る照射制御部に相当しており、X線条件変更機能292は、本実施形態に係るX線条件変更部に相当しており、画像生成機能293は、本実施形態に係る画像生成部に相当しており、画像補正機能294は、本実施形態に係る画像補正部に相当しており、インターロック機能295は、本実施形態に係るインターロック部に相当しており、寝台制御機能296は、本実施形態に係る寝台制御部に相当している。
【0031】
図1における実施形態では、照射制御機能291と、X線条件変更機能292と、画像生成機能293と、画像補正機能294と、インターロック機能295と、寝台制御機能296とにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ23に格納されている。処理回路29はプログラムをメモリ23から読み出し、実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。なお、
図1においては、単一の処理回路29にて、照射制御機能291と、X線条件変更機能292と、画像生成機能293と、画像補正機能294と、インターロック機能295と、寝台制御機能296とが実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路29を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものとしても構わない。
【0032】
次に、
図4乃至
図10を参照して、本実施形態に係るX線検出部211の展開可能な複数のサイズについて、詳細に説明する。
【0033】
図4は、本実施形態に係るX線検出部211のサイズが16×16inchに展開されている場合を示す図である。なお、
図4において、ドット状のハッチングは、X線検出部211のサイズが16×16inchに展開されている場合に使用される検出ブロックを示す。また、
図4に示す黒丸印は、X線検出部211の展開状態が16×16inchである場合における、X線検出部211の中心位置CP1を示す。
【0034】
図4に示すように、X線検出部211のサイズが16×16inchに展開されている場合、X線検出部211の全ての検出ブロックがX線撮影に使用される。また、X線検出部211のサイズが16×16inchに展開されている場合、検出ブロックが、X線が照射されない位置に折り畳まれていないことから、本実施形態に係る展開状態検出部213である歪みゲージSG1~SG8は、複数の検出ブロックDB1~DB16の間の歪みを検出しない。そのため、情報出力部215は、展開状態に基づく情報として、歪みゲージSG1~SG8の歪み量が0であることを処理回路29に出力する。
【0035】
図5は、本実施形態に係るX線検出部211のサイズが12×16inchに展開されている場合を示す図であり、
図5(a)は、X線検出部211のサイズが12×16inchに展開されている場合に使用される検出ブロックを示す図であり、
図5(b)は、
図5(a)におけるA-A断面図である。
図6は、本実施形態に係るX線検出部211のサイズが12×16inchに展開されている場合におけるX線検出部211を折り畳んだ状態を示す図である。
図5(a)及び
図6において、ドット状のハッチングは、使用される検出ブロックを示す。また、
図5(a)に示す黒丸印は、X線検出部211のサイズが12×16inchである場合における、X線検出部211の中心位置CP2を示す。さらに、
図5(a)に示すように、歪みゲージSG2、SG3、SG5、SG7、SG8は、X線検出部211の背面側に配置されているため、破線で表されている。また、
図5(b)に示す矢印は、X線の照射方向を示している。
【0036】
図5(a)に示すように、本実施形態に係るX線検出部211のサイズが12×16inchに展開されている場合、検出ブロックDB1、DB5、DB9、DB13以外の検出ブロックがX線撮影に使用される。すなわち、
図5(b)に示すように、使用されない検出ブロックDB1、DB5、DB9、DB13は、蝶番217により、折り目L1を軸として、X線が照射されない位置である、検出ブロックのX線の検出面が、X線の照射方向に対して平行となる位置に折り畳まれる。
【0037】
また、X線検出部211のサイズが12×16inchに展開されている場合、検出ブロックDB1、DB5、DB9、DB13が、X線が照射されない位置に折り畳まれることから、本実施形態に係る展開状態検出部213である歪みゲージSG1、SG4、SG6は、複数の検出ブロックの間の歪みを検出し、歪みゲージSG2、SG3、SG5、SG7、SG8は、複数の検出ブロックの間の歪みを検出しない。そのため、
図5において、情報出力部215は、展開状態に基づく情報として、歪みゲージSG1、SG4、SG6の歪み量が所定の歪み量であり、歪みゲージSG2、SG3、SG5、SG7、SG8の歪み量が0であることを処理回路29に出力する。そして、
図6に示すように、検出ブロックDB1、DB5、DB9、DB13が、X線が照射されない位置に折り畳まれ、X線検出部211のサイズが12×16inchの展開されている状態において、X線検出器21は、Cアーム19に取り付けられる。
【0038】
なお、
図5(a)に示す例においては、検出ブロックDB1、DB5、DB9、DB13が、X線が照射されない位置に折り畳まれることにより、X線検出部211のサイズが12×16inchに展開されていたが、X線が照射されない位置に折り畳まれる検出ブロックは、検出ブロックDB1、DB5、DB9、DB13に限られない。すなわち、X線検出部211のサイズが12×16inchに展開されるために、X線が照射されない位置に折り畳まれる検出ブロックは任意である。例えば、X線検出部211のサイズが12×16inchに展開されるために、検出ブロックDB1~DB4が、X線が照射されない位置に折り畳まれてもよく、検出ブロックDB4、DB8、DB12、DB16が、X線が照射されない位置に折り畳まれてもよく、検出ブロックDB13~DB16が、X線が照射されない位置に折り畳まれてもよい。
【0039】
図7は、本実施形態に係るX線検出部211のサイズが12×12inchに展開されている場合を示す図であり、
図7(a)は、X線検出部211のサイズが12×12inchに展開されている場合に使用される検出ブロックを示す図であり、
図7(b)は、
図7(a)におけるB-B断面図であり、
図7(c)は、
図7(a)におけるC-C断面図である。また、
図8は、本実施形態に係るX線検出部211のサイズが12×12inchに展開されている場合におけるX線検出部211を折り畳んだ状態を示す図である。
図7(a)及び
図8において、ドット状のハッチングは、使用される検出ブロックを示す。また、
図7(a)に示す黒丸印は、X線検出部211の展開状態が12×12inchである場合における、X線検出部211の中心位置CP3を示す。さらに、
図7(a)に示すように、歪みゲージSG5、SG7、SG8は、X線検出部211の背面側に配置されているため、破線で表されている。また、
図7(b)及び
図7(c)に示す矢印は、X線の照射方向を示している。
【0040】
図7(a)に示すように、本実施形態に係るX線検出部211のサイズが12×12inchに展開されている場合、検出ブロックDB1~DB5、DB9、DB13以外の検出ブロックがX線撮影に使用される。すなわち、
図7(b)に示すように、使用されない検出ブロックDB1、DB5、DB9、DB13は、蝶番217により、折り目L1を軸として、X線が照射されない位置である、検出ブロックのX線の検出面が、X線の照射方向に対して平行となる位置に折り畳まれる。また、
図7(c)に示すように、使用されない検出ブロックDB2、DB3、DB4も、蝶番217により、折り目L2を軸として、X線が照射されない位置である、検出ブロックのX線の検出面が、X線の照射方向に対して平行となる位置に折り畳まれる。
【0041】
また、X線検出部211のサイズが12×12inchである場合、検出ブロックDB1~DB5、DB9、DB13が、X線が照射されない位置に折り畳まれることから、本実施形態に係る展開状態検出部213である歪みゲージSG1、SG2、SG3、SG4、SG6は、複数の検出ブロックの間の歪みを検出し、歪みゲージSG5、SG7、SG8は、複数の検出ブロックの間の歪みを検出しない。そのため、
図7において、情報出力部215は、展開状態に基づく情報として、歪みゲージSG1、SG2、SG3、SG4、SG6の歪み量が所定の歪み量であり、歪みゲージSG5、SG7、SG8の歪み量が0であることを、処理回路29に出力する。そして、
図8に示すように、検出ブロックDB1~DB5、DB9、DB13が、X線が照射されない位置に折り畳まれ、X線検出部211のサイズが12×12inchに展開されている状態において、X線検出器21は、Cアーム19に取り付けられる。
【0042】
なお、
図7(a)に示す例においては、検出ブロックDB1~DB5、DB9、DB13が、X線が照射されない位置に折り畳まれることにより、X線検出部211のサイズが12×12inchに展開されていたが、X線が照射されない位置に折り畳まれる検出ブロックは、検出ブロックDB1~DB5、DB9、DB13に限られない。すなわち、X線検出部211のサイズが12×12inchに展開されるために、X線が照射されない位置に折り畳まれる検出ブロックは任意である。例えば、X線検出部211のサイズが12×12inchに展開されるために、検出ブロックDB1、DB5、DB9、DB13~DB16が、X線が照射されない位置に折り畳まれてもよく、検出ブロックDB1~DB4、DB8、DB12、DB16が、X線が照射されない位置に折り畳まれてもよく、検出ブロックDB4、DB8、DB12~DB16が、X線が照射されない位置に折り畳まれてもよい。
【0043】
図9は、本実施形態に係るX線検出部211のサイズが8×8inchに展開されている場合を示す図であり、
図9(a)は、X線検出部211のサイズが8×8inchに展開されている場合に使用される検出ブロックを示す図であり、
図9(b)は、
図9(a)におけるD-D断面図であり、
図9(c)は、
図9(a)におけるE-E断面図である。また、
図10は、本実施形態に係るX線検出部211のサイズが8×8inchに展開されている場合におけるX線検出部211を折り畳んだ状態を示す図である。
図9(a)及び
図10において、ドット状のハッチングは、使用される検出ブロックを示す。また、
図9(a)に示す黒丸印は、X線検出部211のサイズが8×8inchに展開されている場合における、X線検出部211の中心位置CP4を示す。また、
図9(b)及び
図9(c)に示す矢印は、X線の照射方向を示している。
【0044】
図9(a)に示すように、本実施形態に係るX線検出部211のサイズが8×8inchに展開されている場合、検出ブロックDB6、DB7、DB10、DB11がX線撮影に使用されることを示している。すなわち、
図9(b)に示すように、使用されない検出ブロックDB1、DB5、DB9、DB13は、蝶番217により、折り目L1を軸として、X線が照射されない位置である、検出ブロックのX線の検出面が、X線の照射方向に対して平行となる位置に折り畳まれ、使用されない検出ブロックDB4、DB8、DB12、DB16は、蝶番217により、折り目L3を軸として、X線が照射されない位置である検出ブロックのX線の検出面が、X線の照射方向に対して平行となる位置に折り畳まれる。また、
図9(c)に示すように、使用されない検出ブロックDB2、DB3も、蝶番217により、折り目L2を軸として、X線が照射されない位置である、検出ブロックのX線の検出面が、X線の照射方向に対して平行となる位置に折り畳まれ、使用されない検出ブロックDB14、DB15も、蝶番217により、折り目L4を軸として、X線が照射されない位置である、検出ブロックのX線の検出面が、X線の照射方向に対して平行となる位置に折り畳まれる。
【0045】
また、X線検出部211のサイズが8×8inchに展開されている場合、検出ブロックDB6、DB7、DB10、DB11以外の検出ブロックが、X線が照射されない位置に折り畳まれることから、本実施形態に係る展開状態検出部213である歪みゲージSG1~SG8の全てが、複数の検出ブロックの間の歪みを検出する。そのため、
図9において、情報出力部215は、展開状態に基づく情報として、全ての歪みゲージSG1~SG8の歪み量が所定の歪み量であることを、処理回路29に出力する。そして、
図8に示すように、検出ブロックDB6、DB7、DB10、DB11以外の検出ブロックが、X線が照射されない位置に折り畳まれ、X線検出部211が8×8inchの展開状態において、X線検出器21は、Cアーム19に取り付けられる。
【0046】
なお、本実施形態に係るX線検出部211は、複数のサイズとして、16×16inch、12×16inch、12×12inch、8×8inchに展開されたが、X線検出部211のサイズはこれに限られない。すなわち、X線検出部211の展開可能なサイズは任意であり、例えば、X線検出部211は、8×12inchや8×16inchなどに展開されるようにしてもよい。
【0047】
また、検出ブロックが、X線撮影に使用される場合、すなわち、X線が照射されない位置に折り畳まれていない場合に、歪みゲージが検出する歪み量は0でなくてもよい。すなわち、検出ブロックが折り畳まれていない場合であっても、歪みゲージが、検出ブロックが折り畳まれていると判断される所定の歪み量未満の歪み量を検出してもよい。
【0048】
図11は、本実施形態に係るX線検出部211の各サイズにおける、X線検出部211の中心位置を示す図である。
図11に示すように、X線検出部211のサイズが16×16inchに展開されている場合の中心位置CP1と、X線検出部211のサイズが8×8inchに展開されている場合の中心位置CP4とは同一であるが、X線検出部211のサイズが12×16inchに展開されている場合の中心位置CP2と、X線検出部211のサイズが12×12inchに展開されている場合の中心位置CP3とは、それぞれ中心位置が異なる。このX線検出部211の各サイズにおける中心位置CP1~CP4のそれぞれには、例えば、磁石が設けられる。また、このX線検出器21が取り付けられるCアーム19には、X線検出器21を取り付けた際に、X線検出部211の中心位置が、X線管13の焦点位置の正面となる位置に、X線検出器21を保持する保持部が設けられている。ユーザは、所定のサイズに展開されたX線検出部211をCアームに取り付ける際に、所定のサイズに展開されたX線検出部211の中心位置に設けられた磁石が、Cアーム19に設けられた保持部に取り付けられるように、Cアーム19にX線検出器21を取り付ける。これにより、所定のサイズに展開されたX線検出器21をCアーム19に取り付けた場合であっても、アライメントを維持することができる。
【0049】
なお、Cアーム19にX線検出器21を取り付けるためにX線検出部211の各サイズにおける中心位置CP1~CP4のそれぞれに設けられるものは、磁石に限られない。すなわち、Cアーム19にX線検出器21を取り付けるためにX線検出部211の各サイズにおける中心位置CP1~CP4のそれぞれに設けられるものは任意であり、例えば、接続端子などを設けるようにしてもよい。
【0050】
図12は、本実施形態に係るX線診断装置1で実行されるX線照射制御処理の内容を説明するフローチャート図である。このX線照射制御処理では、X線診断装置1は、X線検出器21をユーザに取り付けさせ、取り付けられたX線検出部211の展開状態に基づく情報に基づいて、X線条件を変更したり、X線の照射範囲やX線の照射位置を制御したり、X線画像を補正したりする。例えば、このX線照射制御処理は、ユーザが、入力インターフェース27を介して、撮影プロトコルを入力した場合に実行される処理である。この撮影プロトコルとは、例えば、撮影の目的、検査の種類、及び、撮影方法などの撮影に関わる一連のプログラムセットである。
【0051】
図12に示すように、まず、X線診断装置1は、ユーザにX線検出器21が取り付けられるまで待機する(ステップS11)。具体的には、ユーザは、撮影プロトコルに基づいて、展開可能な複数のサイズのうち、1のサイズに展開したX線検出器21をX線診断装置1に取り付ける。
【0052】
次に、
図12に示すように、X線診断装置1は、X線検出部211の展開状態を検出させる(ステップS13)。この展開状態を検出させる処理は、処理回路29における照射制御機能291により実現させる。具体的には、X線診断装置1は、X線検出器21の展開状態検出部213である歪みゲージSG1~SG8により、X線検出部211の展開状態を検出させる。
【0053】
次に、
図12に示すように、X線診断装置1は、X線検出部211の展開状態に基づく情報を出力させる(ステップS15)。この展開状態を出力させる処理は、処理回路29における照射制御機能291により実現させる。具体的には、X線診断装置1は、ステップS13で検出したX線検出部211の展開状態に基づく情報を、X線検出器21の情報出力部215を介して、処理回路29に出力させる。
【0054】
次に、
図12に示すように、X線診断装置1は、X線条件を変更する(ステップS19)。このX線条件を変更する処理は、処理回路29におけるX線条件変更機能292により実現される。具体的には、X線診断装置1は、情報出力部215により出力された展開状態に基づく情報に基づいて、X線条件を変更する。ここで、X線条件とは、管電流や管電圧、X線の照射時間、管電流と照射時間との積などのX線撮影に関する撮影条件である。
【0055】
次に、
図12に示すように、X線診断装置1は、寝台17を制御する(ステップS21)。この寝台17を制御する処理は、処理回路29における寝台制御機能296により実現される。具体的には、X線診断装置1は、情報出力部215により出力された展開状態に基づく情報に基づいて、寝台17と、ユーザ、被検体P及びCアーム19の少なくともいずれかとが、干渉しないように、寝台17を制御して、被検体Pを所定の位置に移動させる。
【0056】
次に、
図12に示すように、X線診断装置1は、X線の照射範囲を制御する(ステップS23)。このX線の照射範囲を制御する処理は、処理回路29における照射制御機能291により実現させる。具体的には、X線診断装置1は、情報出力部215により出力された展開状態に基づく情報に基づいて、X線の照射範囲を制御する。より具体的には、X線診断装置1は、展開状態に基づく情報のうちX線検出部211の展開状態に基づいて、X線管13から照射されるX線の照射範囲がX線検出部211の展開状態に応じたX線の照射範囲となるように、X線絞り器15を制御して、X線照射を制御する。
【0057】
次に、
図12に示すように、X線診断装置1は、X線の照射位置を制御する(ステップS25)。このX線の照射位置を制御する処理は、処理回路29における照射制御機能291により実現される。具体的には、X線診断装置1は、ステップS23で制御されたX線の照射範囲に基づいて、X線の照射位置を制御する。より具体的には、X線診断装置1は、ステップS23で制御されたX線の照射範囲に基づいて、X線の照射範囲が、X線検出部211の検出範囲に含まれるように、X線絞り器15、X線管13、及び、X線検出器21の少なくとも1つを制御して、X線検出器21に対するX線の照射位置を制御する。
【0058】
次に、
図12に示すように、X線診断装置1は、X線撮影を行う(ステップS27)。このX線撮影を行う処理は、処理回路29における照射制御機能291により実現される。具体的には、X線診断装置1は、被検体Pに対して、X線管13により、X線を照射することにより、X線撮影を行う。
【0059】
次に、
図12に示すように、X線診断装置1は、X線画像を生成する(ステップS29)。このX線画像を生成する処理は、処理回路29における画像生成機能293により実現される。具体的には、X線診断装置1は、X線検出器21のX線検出部211を介して、検出したX線量に対応した検出信号に基づいて、X線画像を生成する。
【0060】
次に、
図12に示すように、X線診断装置1は、X線画像を補正する(ステップS31)。このX線画像を補正する処理は、処理回路29における画像補正機能294により実現させる。具体的には、X線診断装置1は、X線検出器21により出力されたX線検出器21の展開状態に基づく情報に基づいて、X線画像を補正する。より具体的には、X線診断装置1は、検出ブロックが、X線が照射されない位置に折り畳まれていないにもかかわらず、展開状態検出部213である歪みゲージがX線検出部211の歪みを検出した場合、歪みゲージにより検出されたX線検出部211の歪みに関する情報である歪みゲージにより検出された歪み量に基づいて、X線画像の歪みを補正する。
【0061】
なお、ステップS29において、X線画像の補正は、歪みゲージにより検出されたX線検出部211の歪みに関する情報に基づいて、X線画像の歪みを補正する場合に限られない。例えば、X線検出部211の展開状態に基づく情報に基づいて、X線検出部211が折り畳まれていない領域にある歪みゲージがX線画像に映り込んでいる場合、映り込んでいる歪みゲージをX線画像から除去するようにしてもよい。また、ステップS31において、X線画像の補正は、X線検出部211の折り目や切れ目などにより、X線画像が欠けている場合、X線画像が欠けている部分について補間処理を行うようにしてもよい。さらに、ステップS31において、X線画像を補正しない場合にあっては、ステップS31を省略するようにしてもよい。
【0062】
次に、
図12に示すように、X線診断装置1は、X線画像を出力する(ステップS33)。このX線画像を出力する処理は。処理回路29における画像生成機能293により実現される。具体的には、X線診断装置1は、ディスプレイ25に、補正されたX線画像を出力して表示する。
【0063】
このステップS33を実行することにより、本実施形態に係るX線照射制御処理を終了する。
【0064】
次に、本実施形態におけるX線診断装置1で実行されるインターロック制御処理について説明する。
図13は、本実施形態に係るX線診断装置1で実行されるインターロック制御処理の内容を説明するフローチャート図である。このインターロック制御処理では、X線検出器21をユーザに取り付けさせ、取り付けられたX線検出部211の展開状態に基づく情報に基づいて、X線検出部211が所定のサイズであるか否かを判定し、所定のサイズでない場合、X線撮影を制限するインターロックを作動させる。例えば、このインターロック制御処理は、ユーザが、X線診断装置1に、X線検出器21を取り付けた場合に実行される処理である。
【0065】
図13に示すように、まず、X線診断装置1は、X線検出部211の展開状態に基づく情報を出力させる(ステップS41)。この展開状態を出力させる処理は、処理回路29におけるインターロック機能295により実現される。具体的には、X線診断装置1は、X線検出器21の展開状態検出部213である歪みゲージにより、X線検出部211の展開状態を検出させて、検出したX線検出部211の展開状態に基づく情報を、X線検出器21の情報出力部215を介して、処理回路29に出力させる。
【0066】
次に、
図13に示すように、X線診断装置1は、ユーザ設定情報を取得する(ステップS43)。このユーザ設定情報を取得する処理は、処理回路29におけるインターロック機能295により実現される。具体的には、X線診断装置1は、ユーザ設定情報として、予めユーザにより設定されたX線検出器21の視野サイズを取得する。
【0067】
次に、
図13に示すように、X線診断装置1は、X線検出部211が所定のサイズであるか否かを判定する(ステップS45)。このX線検出部211が所定のサイズであるか否かを判定する処理は、処理回路29におけるインターロック機能295により実現される。具体的には、X線診断装置1は、ステップS41において出力されたX線検出部211の展開状態に基づく情報と、ステップS43で取得したユーザ設定情報とに基づいて、X線検出部211のサイズが、所定のサイズであるか否かを判定する。
【0068】
そして、X線検出部211のサイズが所定のサイズでない場合(ステップS45:No)、X線診断装置1は、インターロックを作動させる(ステップS47)。このインターロックを作動させる処理は、処理回路29におけるインターロック機能295により実現される。具体的には、X線診断装置1は、X線検出部211が所定のサイズとなるまで、X線撮影を制限するように、インターロックを作動させる。
【0069】
一方、X線検出部211が所定のサイズである場合(ステップS45:Yes)、又は、ステップS47の処理の後、本実施形態に係るインターロック制御処理を終了する。
【0070】
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、X線診断装置1は、X線管13から照射されて被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器21を備えており、このX線検出器21は、X線管13から照射されたX線を検出する複数の検出ブロックDB1~DB16を備え、複数の検出ブロックDB1~DB16のうち、使用されない検出ブロックが、X線が照射されない位置に折り畳まれることにより、複数のサイズに展開可能に構成され、複数の検出ブロックDB1~DB16の間の歪みを検出する歪みゲージSG1~SG8により検出された展開状態に基づく情報を、処理回路29に出力することとしたので、サイズ可変なX線検出器21を適切に利用することができる。すなわち、本実施形態においては、X線検出器21が、展開状態に基づく情報として、複数の検出ブロックDB1~DB16の折り目L1~L4上の歪みを検出する歪みゲージSG1~SG8により検出された歪み量を、処理回路29に出力するので、X線診断装置1は、現在のX線検出器21のサイズを把握することができ、サイズ可変なX線検出器21を使用して、X線の照射範囲や寝台の可動領域を適切に制御することができる。
【0071】
〔変形例1〕
上述した第1実施形態に係るX線診断装置1において、X線検出器21の展開状態検出部213である歪みゲージは、折り畳み可能に構成された複数の検出ブロックDB1~DB16の間の近傍に配置されることも可能である。以下、この変形例を上述した第1実施形態に適用した場合を変形例1として、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。なお、変形例1に係るX線診断装置1の構成は、
図1と同等であるので説明を省略する。また、変形例1に係る、X線検出器21の構成及びX線検出部211の構成は、
図2及び
図3と同等であるので説明を省略する。
【0072】
図14は、変形例1に係るX線検出器21における展開状態検出部の構成例を示す図であり、上述した第1実施形態に係る
図3に対応する図である。この
図14は、
図2におけるX線検出部211の背面側から見た図である。すなわち、
図14に示す展開状態検出部213aは、例えば、X線検出部211の背面側に配置されている。
図14に示すように、本変形例に係る展開状態検出部213aは、32個の歪みゲージにより構成される。また、本変形例に係る展開状態検出部213aである歪みゲージは、折り畳み可能に構成された複数の検出ブロックDB1~DB16の間の近傍に配置されている。この複数の検出ブロックDB1~DB16の間の近傍とは、
図14に示すように、例えば、X線検出部211の折り目L1~L4の近傍や切れ目の近傍である。本変形例に係る展開状態検出部213aは、X線検出部211に設けられた歪みゲージが、折り畳み可能に構成された複数の検出ブロックDB1~DB16の間の近傍に配置され、複数の検出ブロックDB1~DB16の間の歪みを検出することにより、X線検出部211の展開状態を検出する。
【0073】
なお、
図14に示す例では、展開状態検出部213aは、32個の歪みゲージを備えているが、展開状態検出部213aが備える歪みゲージの個数は任意である。すなわち、展開状態検出部213aは、X線検出部211の構成に応じて、31個以下の歪みゲージを備えてもよく、33個以上の歪みゲージを備えていてもよい。
【0074】
以上のように、本変形例に係るX線診断装置1によれば、上述した第1実施形態と同様に、X線診断装置1は、X線管13から照射されて被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器21を備えており、このX線検出器21は、X線管13から照射されたX線を検出する複数の検出ブロックDB1~DB16を備え、複数の検出ブロックDB1~DB16のうち、使用されない検出ブロックが、X線が照射されない位置に折り畳まれることにより、複数のサイズに展開可能に構成され、複数の検出ブロックDB1~DB16の間の歪みを検出する歪みゲージにより検出された展開状態に基づく情報を処理回路29に出力することとしたので、サイズ可変なX線検出器21を適切に利用することができる。すなわち、本変形例においては、X線検出器21が、複数の検出ブロックDB1~DB16の折り目L1~L4又は切れ目の近傍の歪みを検出する歪みゲージにより検出された歪み量を、処理回路29に出力するので、X線診断装置1は、現在のX線検出器21のサイズを把握することができ、サイズ可変なX線検出器21を使用して、X線の照射範囲や寝台の可動領域を適切に制御することができる。
【0075】
〔変形例2〕
上述した第1実施形態に係るX線診断装置1において、X線検出器21の展開状態検出部213は、歪みゲージにより構成されていたが、X線検出器21の展開状態検出部213は、複数の検出ブロックの折り畳み状態に応じて、ON状態とOFF状態とが切り替わるマイクロスイッチなどのスイッチにより構成されることも可能である。以下、この変形例を上述した第1実施形態に適用した場合を変形例2として、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。なお、変形例2に係るX線診断装置1の構成は、
図1と同等であるので説明を省略する。また、変形例2に係る、X線検出器21の構成及びX線検出部211の構成は、
図2と同等であるので説明を省略する。
【0076】
図15乃至
図17を参照して、変形例2に係るX線検出器21における展開状態検出部213の構成例を説明する。
図15は、本変形例に係るX線検出器21における展開状態検出部213の構成例を示す図であり、
図15(a)は、本変形例に係るX線検出器21における展開状態検出部213の構成例を示す正面図であり、
図15(b)は、本変形例に係る展開状態検出部213の構成例を示す底面図である。
図16は、本変形例に係るX線検出部211の折り畳み状態における展開状態検出部の状態を示す図である。
図17は、本変形例に係るX線検出部211の展開状態における展開状態検出部の状態を示す図である。
【0077】
図15(a)に示すように,本変形例に係る展開状態検出部213bは、マイクロスイッチなどのスイッチにより構成される。また、展開状態検出部213bであるスイッチは、折り畳み可能に構成された複数の検出ブロックDB1~DB16の間の近傍に配置されている。複数の検出ブロックの間の近傍とは、例えば、X線検出部211の折り目の近傍や切れ目の近傍である。
図15(a)及び
図15(b)に示すように、本変形例に係る展開状態検出部213bであるスイッチは、複数の検出ブロックDB1~DB16の間の近傍に、X線検出部211の側面に埋設され、展開状態検出部213bであるスイッチの一部がX線検出部211の側面から突出するように配置されている。
【0078】
そして、このように配置された本変形例に係る展開状態検出部213bであるスイッチは、
図16に示すように、折り畳み状態において、X線検出部211の側面から突出したスイッチの一部が開放されているため、OFF状態である。一方、展開状態検出部213bであるスイッチは、
図17に示すように、展開状態において、X線検出部211の側面から突出したスイッチの一部が、展開された検出ブロックの端部に押されるため、ON状態になる。すなわち、本変形例に係る展開状態検出部213bであるスイッチは、複数の検出ブロックの折り畳み状態に応じて、ON状態とOFF状態とが切り替わることにより、X線検出部211の展開状態を検出することができる。なお、
図15乃至
図17においては、1つのスイッチを代表して図示しているが、本変形例に係る展開状態検出部213bは、複数のスイッチにより構成されてもよい。
【0079】
以上のように、本変形例に係るX線診断装置1によれば、X線診断装置1は、X線管13から照射されて被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器21を備えており、このX線検出器21は、X線管13から照射されたX線を検出する複数の検出ブロックDB1~DB16を備え、複数の検出ブロックDB1~DB16のうち、使用されない検出ブロックが、X線が照射されない位置に折り畳まれることにより、複数のサイズに展開可能に構成され、複数の検出ブロックDB1~DB16の折り畳み状態に応じて、ON状態とOFF状態とが切り替わるスイッチにより検出された展開状態に基づく情報を、処理回路29に出力することとしたので、サイズ可変なX線検出器21を適切に利用することができる。すなわち、本変形例においては、X線検出器21が、複数の検出ブロックDB1~DB16の展開状態及び折り畳み状態に応じたスイッチのON状態及びOFF状態を、処理回路29に出力するので、X線診断装置1は、現在のX線検出器21のサイズを把握することができ、サイズ可変なX線検出器21を使用して、X線の照射範囲や寝台の可動領域を適切に制御することができる。
【0080】
〔変形例3〕
上述した第1実施形態に係るX線診断装置1において、X線検出器21の展開状態検出部213は、歪みゲージにより構成されていたが、X線検出器21の展開状態検出部213は、前記複数の検出ブロックの折り畳み状態に応じて、ON状態とOFF状態とが切り替わるセンサにより構成されることも可能である。以下、この変形例を上述した第1実施形態に適用した場合を変形例3として、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。なお、変形例3に係るX線診断装置1の構成は、
図1と同等であるので説明を省略する。また、変形例3に係る、X線検出器21の構成及びX線検出部211の構成は、
図2と同等であるので説明を省略する。
【0081】
図18乃至
図20を参照して、変形例3に係るX線検出器21における展開状態検出部の構成例を説明する。
図18は、本変形例に係るX線検出器21における展開状態検出部の構成例を示す図である。
図19は、本変形例に係るX線検出部211の折り畳み状態における展開状態検出部の状態を示す図である。
図20は、本変形例に係るX線検出部211の展開状態における展開状態検出部の状態を示す図である。
【0082】
図18に示すように、本変形例に係る展開状態検出部は、複数の検出ブロックDB1~DB16の折り畳み状態に応じて、ON状態とOFF状態とが切り替わる展開状態検出部213cであるセンサにより構成される。このセンサは、例えば、
図18に示すように、光源からなる発光部213c_1と、発光部から照射された光の反射光を受光する受光部213c_2とを備える反射型の光センサである。
図18に示すように、展開状態検出部213cであるセンサは、折り畳み可能に構成された複数の検出ブロックDB1~DB16の間の近傍に配置されている。複数の検出ブロックの間の近傍とは、例えば、X線検出部211の折り目の近傍や切れ目の近傍である。
図19に示すように、本変形例に係る展開状態検出部213cであるセンサは、複数の検出ブロックDB1~DB16の間の近傍である、X線検出部211の側面に埋設され、配置されている。
【0083】
そして、
図19に示すように、折り畳み状態において、発光部213c_1から照射された光は遮られていないため、発光部213c_1から照射された光は受光部213c_2において受光されず、本変形例に係る展開状態検出部213cであるセンサは、OFF状態である。一方、
図20に示すように、展開状態において、発光部213c_1から照射された光は、展開された検出ブロックの端部により遮られ、発光部213c_1から照射された光は受光部213c_2において受光されるため、本変形例に係る展開状態検出部213cであるセンサは、ON状態になる。すなわち、本変形例係る展開状態検出部213cであるセンサは、複数の検出ブロックDB1~DB16の折り畳み状態に応じて、ON状態とOFF状態とが切り替わることにより、X線検出部211の展開状態を検出することができる。なお、
図18乃至
図20においては、1つのセンサを代表して図示しているが、本変形例に係る展開状態検出部213bは、複数のセンサにより構成されてもよい。
【0084】
以上のように、本変形例に係るX線診断装置1によれば、X線診断装置1は、X線管13から照射されて被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器21を備えており、このX線検出器21は、X線管13から照射されたX線を検出する複数の検出ブロックDB1~DB16を備え、複数の検出ブロックDB1~DB16のうち、使用されない検出ブロックが、X線が照射されない位置に折り畳まれることにより、複数のサイズに展開可能に構成され、複数の検出ブロックの折り畳み状態に応じて、ON状態とOFF状態とが切り替わるセンサにより検出された展開状態に基づく情報を、処理回路29に出力することとしたので、サイズ可変なX線検出器21を適切に利用することができる。すなわち、本変形例においては、X線検出器21が、複数の検出ブロックDB1~DB16の展開状態及び折り畳み状態に応じたセンサのON状態及びOFF状態を、処理回路29に出力するので、X線診断装置1は、現在のX線検出器21のサイズを把握することができ、サイズ可変なX線検出器21を使用して、X線の照射範囲や寝台の可動領域を適切に制御することができる。
【0085】
〔変形例4〕
上述した第1実施形態に係るX線診断装置1において、X線検出器21のX線検出部211は、長方形状であることも可能である。以下、この変形例を上述した第1実施形態に適用した場合を変形例4として、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。なお、変形例4に係るX線診断装置1の構成は、
図1と同等であるので説明を省略する。また、変形例4に係るX線検出器21の構成は、
図2と同等であるので説明を省略する。
【0086】
図21は、変形例4に係るX線検出器21における、X線検出部の構成例を示す図であり、上述した第1実施形態に係る
図2に対応する図である。
図21において、一点鎖線は、X線検出部211の折り目L5、L6を表わす。
図21に示すように、本変形例に係るX線検出部211aは、長方形状であり、3個の長方形状の検出ブロックDB21~DB23を備えている。また、本変形例において、1個の検出ブロックは、例えば、4×16の長方形状の検出ブロックである。すなわち、
図21において、X線検出部211aのサイズは、12×16inchである。
【0087】
また、X線検出部211aは、使用されない検出ブロックをX線が照射されない位置に折り畳むための折り畳み機構を有する。本変形例においては、X線検出部211aは、折り畳み機構として、蝶番を有し、この蝶番により、複数の検出ブロックDB21~DB23の間は、折り畳み可能に接続されている。そして、複数の検出ブロックDB21~DB23のうち、使用されないブロックが、蝶番により、折り目L5及び/又は折り目L6を軸として、X線が照射されない位置に折り畳まれることにより、X線検出部211aは複数のサイズに展開可能である。なお、X線検出部211aは、折り畳み機構として、蝶番を有することとしたが、折り畳み機構は蝶番に限られない。すなわち、折り畳み機構の構成は任意である。
【0088】
なお、
図21に示す例では、本変形例に係るX線検出部211aは、3個の検出ブロックを備えているが、X線検出部211aが備える検出ブロックの数は任意である。すなわち、X線検出部211は、2個の検出ブロックにより構成されてもよく、4個以上の検出ブロックを備えていてもよい。また、
図21に示す例では、検出ブロックDB21~DB23は、長方形状であるが、検出ブロックの形状は任意である。すなわち、検出ブロックは正方形状等であってもよい。さらに、
図21に示す例では、1個の検出ブロックのサイズは、4×12inchとしたが、1個の検出ブロックのサイズは任意である。
【0089】
以上のように、本変形例に係るX線診断装置1によれば、X線診断装置1は、X線管13から照射されて被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器21を備えており、このX線検出器21は、X線管13から照射されたX線を検出する3個の長方形状の検出ブロックDB21~23を備え、3個の長方形状の検出ブロックDB21~23のうち、使用されない検出ブロックが、X線が照射されない位置に折り畳まれることにより、複数のサイズに展開可能に構成されるようにしてもよい。
【0090】
〔第2実施形態〕
上述した第1実施形態においては、使用されない検出ブロックが、X線が照射されない位置に折り畳まれることにより、X線検出部は、複数のサイズに展開可能になることとしたが、必ずしも、使用されない検出ブロックが、X線が照射されない位置に折り畳まれることにより、X線検出部が、複数のサイズに展開可能になる必要はない。そこで、第2実施形態においては、使用されない検出ブロックが、X線が照射されない位置に収納されることにより、X線検出部が、複数のサイズに展開可能になるようにすることも可能である。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0091】
図22は、第2実施形態に係るX線診断装置1の構成例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態における
図1に対応する図である。この
図22に示すように、X線検出部及び展開状態検出部の構成が、第1実施形態と異なるため、本実施形態においては,X線検出部211b、展開状態検出部213eと表記する。なお、X線検出部211b、及び、展開状態検出部213e以外の構成及び機能は、上述した第1実施形態における
図1と同等であるので、説明を省略する。
【0092】
図23は、本実施形態に係るX線検出部211bの構成例を示す図であり、上述した第1実施形態に係る
図2に対応する図である。なお、
図23において、太い破線は、X線検出部211bの切れ目を表している。また、
図2において、細い破線は、X線検出部211を縦横に分割する仮想線である。また、
図2においては説明のために、切れ目を表す太い破線は、仮想線を表す細い破線からずれているが、実際は、切れ目を表す太い破線は、仮想線を表す細い破線の上に位置する。
【0093】
この
図23において、上述した第1実施形態と同様に、本実施形態に係るX線検出部211bは、正方形状であり、16個の検出ブロックDB1~DB16を備えている。本実施形態において、1個の検出ブロックは、例えば、4×4inchの正方形状の検出ブロックである。すなわち、
図2において、X線検出部211のサイズは、16×16inchである。
【0094】
また、X線検出部211bは、検出ブロックが展開状態から収納状態へ移行するための収納機構を有する。本実施形態において、X線検出部211bは、収納機構として、スライド機構を有する。X線検出部211bは、複数の検出ブロックのうち、使用されない検出ブロックが、スライド機構を介して、X線が照射されない位置に収納されることにより、X線検出部211は複数のサイズに展開可能となる。ここで、X線が照射されない位置とは、例えば、X線検出部211bの背面側などである。なお、X線検出部211bは、収納機構として、スライド機構を有することとしたが、収納機構は、スライド機構に限られない。すなわち、収納機構の構成は任意である。
【0095】
図24は、第2実施形態に係るX線検出器21において、X線検出部211が収納状態から展開状態へ移行する流れを説明する図である。まず、
図24(a)に示すように、収納状態において、X線検出部211bの複数の検出ブロックDB1~DB16のうち、使用されない検出ブロックは、X線検出部211bの背面側の収納スペースに収納される。次に、
図24(b)及び
図24(c)に示すように、収納スペースに収納された検出ブロックを展開する場合、収納スペースに収納された検出ブロックを矢印で示す方向にスライドさせ、収納スペースに収納された検出ブロックを収納スペースから引き出す。そして、
図24(d)及び
図24(e)に示すように、引き出された検出ブロックを上方へスライドさせ、引き出された検出ブロックが展開状態になる。
【0096】
次に、
図25乃至
図27を参照して、第2実施形態に係るX線検出器21における展開状態検出部213eの構成例を説明する。
図25は、第2実施形態に係るX線検出器21における展開状態検出部213eの構成例を示す図であり、
図25(a)は、本実施形態に係るX線検出器21における展開状態検出部213eの構成例を示す正面図であり、
図25(b)は、本実施形態に係る展開状態検出部213eの構成例を示す底面図である。
図26は、本実施形態に係るX線検出部211bの収納状態における展開状態検出部213eの状態を示す図である。
図27は、第2実施形態に係るX線検出部211bの展開状態における展開状態検出部213eの状態を示す図である。
【0097】
図25(a)に示すように,本実施形態に係る展開状態検出部213eは、マイクロスイッチなどのスイッチにより構成される。また、展開状態検出部213eであるスイッチは、折り畳み可能に構成された複数の検出ブロックの間の近傍に配置されている。複数の検出ブロックの間の近傍とは、例えば、X線検出部211bの折り目の近傍や切れ目の近傍である。
図25(a)及び
図25(b)に示すように、本実施形態に係る展開状態検出部213eであるスイッチは、複数の検出ブロックの間の近傍に、X線検出部211bの側面に埋設され、展開状態検出部213eであるスイッチの一部がX線検出部211bの側面から突出するように配置されている。
【0098】
そして、このように配置された本実施形態に係る展開状態検出部213eであるスイッチは、
図26に示すように、収納状態において、X線検出部211bの側面から突出したスイッチの一部が開放されているため、OFF状態である。一方、展開状態検出部213eであるスイッチは、
図27に示すように、展開状態において、X線検出部211bの側面から突出したスイッチの一部が、展開された検出ブロックの端部に押されるため、ON状態になる。すなわち、本実施形態に係る展開状態検出部213eであるスイッチは、複数の検出ブロックの収納状態に応じて、ON状態とOFF状態とが切り替わることにより、X線検出部211bの展開状態を検出することができる。
【0099】
なお、
図25乃至
図27においては、1つのスイッチを代表して図示しているが、本実施形態に係る展開状態検出部213eは、複数のスイッチにより構成されてもよい。また、展開状態検出部213eはスイッチに代えて、反射型の光センサなどのセンサにより構成されてもよい。
【0100】
以上のように、第2実施形態に係るX線診断装置1によれば、上述した第1実施形態と同様に、X線診断装置1は、X線管13から照射されて被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器21を備えており、このX線検出器21は、X線管13から照射されたX線を検出する複数の検出ブロックDB1~DB16を備え、複数の検出ブロックDB1~DB16のうち、使用されない検出ブロックが、X線が照射されない位置に収納されることにより、複数のサイズに展開可能に構成され、複数の検出ブロックDB1~DB16の折り畳み状態に応じて、ON状態とOFF状態とが切り替わるスイッチにより検出された展開状態に基づく情報を処理回路29に出力することとしたので、サイズ可変なX線検出器21を適切に利用することができる。すなわち、本実施形態においては、X線検出器21が、複数の検出ブロックDB1~DB16の展開状態及び収納状態に応じたスイッチのON状態及びOFF状態を、処理回路29に出力するので、X線診断装置1は、現在のX線検出器21のサイズを把握することができ、サイズ可変なX線検出器21を使用して、X線の照射範囲や寝台の可動領域を適切に制御することができる。
【0101】
また、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、使用されない検出ブロックを収納スペースに収納することができるので、使用されない検出ブロックを傷つける可能性を少なくすることができる。
【0102】
〔変形例5〕
上述した第1及び第2実施形態に係るX線診断装置1においては、展開状態検出部213は、X線検出部211に設けられることとしたが、展開状態検出部は、展開状態検出部213は、X線検出部211とは別体に設けられるように変形することも可能である。以下、この変形例を第1実施形態に適用した場合を変形例5として、上述した第1実施形態とは異なる部分を説明する。
【0103】
図28は、変形例5に係るX線診断装置1の構成例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態における
図1に対応する図である。この
図28に示すように、展開状態検出部213及び情報出力部215の構成が、第1実施形態と異なるため、本変形例においては展開状態検出部213f、情報出力部215aと表記する。なお、展開状態検出部213f、及び、情報出力部215a以外の構成及び機能は、上述した第1実施形態における
図1と同等であるので、説明を省略する。
【0104】
展開状態検出部213fは、X線検出部211とは別体に設けられ、X線検出部211の展開状態を検出する。本変形例において、展開状態検出部213fは、例えば、カメラなどの撮影装置である。すなわち、本変形例に係る展開状態検出部213fは、撮影装置により、X線検出部211の展開状態を撮影することにより、X線検出部211の展開状態を検出する。
【0105】
情報出力部215aは、展開状態検出部213fである撮影装置により検出されたX線検出部211の展開状態に基づく情報を処理回路29に出力する。本変形例において、展開状態に基づく情報とは、例えば、展開状態検出部213fである撮影装置により撮影された画像情報などである。
【0106】
以上のように、本変形例に係るX線診断装置1によれば、X線診断装置1は、X線管13から照射されて被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器21を備えており、このX線検出器21は、X線管13から照射されたX線を検出する複数の検出ブロックDB1~DB16を備え、複数の検出ブロックDB1~DB16のうち、使用されない検出ブロックが、X線が照射されない位置に折り畳まれることにより、複数のサイズに展開可能に構成され、X線検出部211とは別体に設けられた撮影装置により、X線検出器21の展開状態を検出し、検出された展開状態に基づく情報を、処理回路29に出力することとしたので、サイズ可変なX線検出器21を適切に利用することができる。すなわち、本変形例においては、X線検出器21が、展開状態に基づく情報として、撮影装置により撮影されたX線検出器21の展開状態に関する撮影画像を、処理回路29に出力するので、X線診断装置1は、現在のX線検出器21のサイズを把握することができ、サイズ可変なX線検出器21を使用して、X線の照射範囲や寝台の可動領域を適切に制御することができる。
【0107】
また、上述した変形例5の説明は、第1実施形態に適用した場合の説明であるが、本変形例は第2実施形態に対しても適用可能なことは明らかである。
【0108】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成して構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、プロセッサは、プロセッサ単一の回路として構成されている場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて、1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合して、その機能を実現するようにしてもよい。
【0109】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0110】
1…X線診断装置、11…X線高電圧装置、13…X線管、15…X線絞り器、17…寝台、19…Cアーム、21…X線検出器、211…X線検出部、213…展開状態検出部、215…情報出力部、23…メモリ、25…ディスプレイ、27…入力インターフェース、29…処理回路、291…照射制御機能、292…X線条件変更機能、293…画像生成機能、294…画像補正機能、295…インターロック機能、296…寝台制御機能