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特開2023-172345撮像装置、水処理システムおよび送気装置
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  • 特開-撮像装置、水処理システムおよび送気装置 図1
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  • 特開-撮像装置、水処理システムおよび送気装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172345
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】撮像装置、水処理システムおよび送気装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/00 20210101AFI20231129BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20231129BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20231129BHJP
【FI】
G03B15/00 T
G03B17/55
C02F1/00 K
C02F1/00 D
C02F1/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084059
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】菊地 凱
【テーマコード(参考)】
2H104
【Fターム(参考)】
2H104CC00
(57)【要約】
【課題】正確な水質状態を判定するための画像を得る。
【解決手段】混和槽100に貯留された液体を混和槽100の上方から撮像する撮像部200と、撮像部200の少なくとも被写体側の端部を収納し、底面が開口されたカバー部210と、カバー部210の内部へ空気を送り込む空気供給部300とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽に貯留された液体を該水槽の上方から撮像する撮像部と、
前記撮像部の少なくとも被写体側の端部を収納し、底面が開口されたカバー部と、
前記カバー部の内部へ空気を送り込む空気供給部とを有する撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記カバー部には、前記空気供給部から送り込まれた空気が滞留する撮像装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置において、
前記空気供給部から前記カバー部の内部へ送り込まれる空気を除湿する除湿部を有する撮像装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置において、
前記空気供給部から前記カバー部の内部へ送り込まれる空気を加温する加温部を有する撮像装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置において、
前記カバー部は、前記撮像部が撮像した画像に含まれないサイズである撮像装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置において、
前記撮像部は、撮像した画像の情報を示す信号を、前記水槽に薬品を添加する添加装置を制御する制御装置へ送信する撮像装置。
【請求項7】
水槽と、
前記水槽に貯留された液体を該水槽の上方から撮像する撮像部と、
前記撮像部の少なくとも被写体側の端部を収納し、底面が開口されたカバー部と、
前記カバー部の内部へ空気を送り込む空気供給部とを有する水処理システム。
【請求項8】
水槽に貯留された液体を該水槽の上方から撮像する撮像部の少なくとも被写体側の端部を収納し、底面が開口されたカバー部と、
前記カバー部の内部へ空気を送り込む空気供給部とを有する送気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、水処理システムおよび送気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薬品を添加して水(液体)を処理する水処理システムにおいて、対象となる水の状態や水中に存在する懸濁物質をカメラ等で撮像し、撮像した画像に基づいて、添加する薬品の量を制御する技術が用いられている。このような撮像画像を用いる場合、画像を撮像するカメラ等のレンズ面に曇りや結露が生じてしまうと、正確な画像を撮像することが困難となってしまう。その結果、正確な添加量の薬品を添加することが困難となり、所望の水質の水を得ることができなくなってしまう。そこで、撮影手段の表面の結露を防止するためのヒータを備えた装置が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4341067号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような技術においては、ヒータが撮像対象の水が貯留された検知槽およびカメラなどを含む観測ボックスの内部全体を加温している。検知槽も加温されるため、検知槽内部や検知槽に貯留された水の温度が上昇し、検知槽内部の環境や水質変化を引き起こし、正確な水質状態を判定することができないおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、正確な水質状態を判定するための画像を得ることができる撮像装置、水処理システムおよび送気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、
水槽に貯留された液体を該水槽の上方から撮像する撮像部と、
前記撮像部の少なくとも被写体側の端部を収納し、底面が開口されたカバー部と、
前記カバー部の内部へ空気を送り込む空気供給部とを有する。
【0007】
また、本発明の水処理システムは、
水槽と、
前記水槽に貯留された液体を該水槽の上方から撮像する撮像部と、
前記撮像部の少なくとも被写体側の端部を収納し、底面が開口されたカバー部と、
前記カバー部の内部へ空気を送り込む空気供給部とを有する。
【0008】
また、本発明の送気装置は、
水槽に貯留された液体を該水槽の上方から撮像する撮像部の少なくとも被写体側の端部を収納し、底面が開口されたカバー部と、
前記カバー部の内部へ空気を送り込む空気供給部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、正確な水質状態を判定するための画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の水処理システムの第1の実施の形態を示す図である。
図2図1に示した撮像部とカバー部との具体的な構造の一例を示す図である。
図3】本発明の水処理システムの第2の実施の形態を示す図である。
図4】本発明の水処理システムの第3の実施の形態を示す図である。
図5】本発明の水処理システムの適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0012】
図1は、本発明の水処理システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは図1に示すように、混和槽100と、撮像部200と、カバー部210と、空気供給部300と、加温部310とを有する。撮像部200と、カバー部210と、空気供給部300と、加温部310とから、撮像装置を構成する。また、カバー部210と、空気供給部300とから、送気装置を構成する。
【0013】
混和槽100は、処理の対象となる液体(被処理水)が貯留された水槽である。混和槽100に貯留される被処理水は、排水や汚泥等の懸濁物質等の凝集剤によって不溶化したい物質を含む液体であれば良い。混和槽100は、被処理水が流入し、被処理水に凝集剤等が添加された後、凝集剤等が添加された被処理水を後段に設けられた凝集槽へ送り出す。
【0014】
撮像部200は、混和槽100に貯留された被処理水を混和槽100の上方から撮像する。つまり、撮像部200は、混和槽100の上部に設けられている。撮像部200の設置方法は特に規定しない。撮像部200は、混和槽100に貯留された被処理水を必ずしも真上から撮像する必要は無く、被処理水の液面を介して被処理水を撮像することができれば、所定の角度を持つ斜め上方から撮像するものでも良い。つまり、撮像部200の具体的な設置位置は、混和槽100に貯留された被処理水を、液面を介して撮像できる位置であれば良い。撮像部200は、被処理水を所定のタイミングで撮像する。撮像部200は、画像センサであっても良い。撮像部200は、混和槽100内の被処理水の画像をあらかじめ設定された時間間隔以下の時間間隔で撮像するカメラ(例えば、動画撮像用カメラ)であっても良い。撮像部200は、非接液型である。また、上述した画像センサやカメラが例えば筒状の筐体の内部に固定されて収納されている場合、撮像部200は画像センサやカメラを含む筐体全体を指す。
【0015】
カバー部210は、撮像部200の少なくとも被写体側の端部を収納する。撮像部200が上述したカメラ自体である場合、カバー部210はカメラの少なくともレンズ部分を収納する。また、撮像部200が上述した画像センサやカメラを固定して収納する筐体である場合、カバー部210は筐体の少なくとも被写体側の端部を収納する。カバー部210は、撮像部200の撮像方向(被写体への方向)、つまり、底面が開口されている。カバー部210の材質は、金属や塩化ビニル等であっても良く、特に限定しない。
【0016】
空気供給部300は、カバー部210の内部へ空気を送り込む。空気供給部300は、継続的に空気を送り込んでも良いし、断続的(例えば、周期的)に空気を送り込んでも良い。空気供給部300が空気を送り込むタイミングは、タイマを用いて制御されても良い。例えば、空気供給部300が空気を送り込むタイミングは、カバー部210の内部の温度や湿度、撮像部200が撮像した画像データの明瞭さ等に基づいて、制御されても良い。また、空気供給部300が送り込む空気の供給量は、10~100NL/minであることが望ましい。なお、空気供給部300が送り込む気体は、空気以外であっても良いが、費用対効果の観点から、空気が望ましい。
【0017】
加温部310は、空気供給部300からカバー部210の内部へ送り込まれる空気を加温する。加温部310は、例えば、空気を温めるヒータである。加温部310が加温した空気の温度は、カバー部210へ空気が供給される送気管の出口にて10~40℃であることが望ましい。ただし、この温度は、撮像部200が設置されている場所の外気温に応じて設定される。例えば、この温度は、外気温よりも高い温度に設定される。
【0018】
図2は、図1に示した撮像部200とカバー部210との具体的な構造の一例を示す図である。図2では、撮像部200がカメラである場合を例に挙げて示す。図1に示したカバー部210は図2に示すように、撮像部200の少なくともレンズ201を収納する。カバー部210は、底面211が開口されている。カバー部210には、空気供給部300からの空気が送気管330を通して送り込まれる。送気管330からカバー部210の内部への空気の供給方向は、底面211から混和槽100とは対向する方向、つまり下方から上方への方向だけでなく、上方から下方への方向でも良い。空気を上方から下方へ送り込む場合、カバー部210のレンズ201よりも上部に設置した送気管330から下方へ空気を送り込む。カバー部210は、送気管330から送り込まれた空気が滞留するスペースを有する。送気管330から空気は、カバー部210内のそのスペースで滞留するように供給される。カバー部210の底面211の位置は、レンズ201の位置よりも低い位置である。つまり、カバー部210が設置された状態で、レンズ201から混和槽100までの距離よりも底面211から混和槽100までの距離の方が短い。レンズ201から底面211までの距離は、50mm以下であることが好ましい。また、カバー部210のサイズは、撮像部200が撮像した画像に含まれないサイズである。つまり、カバー部210のサイズは、撮像部200が撮像した画像にカバー部210が写り込まないサイズである。送気管330の設置方法は、特に規定しない。例えば、送気管330は、カバー部210の内壁面に金具や接着剤を用いて設置されていても良い。送気管330の材質は、特に規定しない。送気管330は、カバー部210の内部に送り込まれる空気がレンズ201に向かって吹き出さない(レンズ201に直接当たらない)ように設置されることが好ましい。ただし、送気管330は、カバー部210の内部に送り込まれる空気をレンズ201へ直接噴射する位置に設置されることを妨げるものではない。なお、カバー部210の底面211から混和槽100に貯留された被処理水の水面までの距離は、送気管330から吹き出された空気が被処理水の水質に影響を与えない距離である。
【0019】
このように、本形態においては、水槽に貯留された液体を上方から撮像する撮像部200の少なくともレンズ部分を収納するカバー部210を具備し、加温した空気をカバー部210の内部へ送り込む。これにより、大きな設備を準備することなく、レンズ201への結露や曇りを除去し、正確な水質状態を判定するための画像を得ることができる。また、撮像部200のレンズ201を収納したカバー部210の内部のみに空気を送り込むため、混和槽100に貯留された被処理水へ温度変化による水質変化を与えることがない。
(第2の実施の形態)
【0020】
図3は、本発明の水処理システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは図3に示すように、混和槽100と、撮像部200と、カバー部210と、空気供給部300と、除湿部320とを有する。撮像部200と、カバー部210と、空気供給部300と、除湿部320とから、撮像装置を構成する。混和槽100、撮像部200、カバー部210および空気供給部300のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0021】
除湿部320は、空気供給部300からカバー部210の内部へ送り込まれる空気を除湿する。除湿部320は、所定の膜やデミスター等の分子を吸着させるモジュールを用いて、空気供給部300から供給される空気から水分を除去するものでも良い。また、除湿部320は、乾燥剤でも良い。除湿部320に除湿の程度を調整する機能が具備されている場合、除湿部320は、カバー部210の内部へ送り込む空気の湿度を、撮像部200が設置されている場所の外気の湿度よりも低い湿度に設定する。また、除湿部320が除湿した空気をカバー部210の内部へ送り込む方法については、第1の実施の形態にて説明した、加温部310が加温した空気をカバー部210の内部へ送り込む方法と同じで良い。
【0022】
このように、本形態においては、水槽に貯留された液体を上方から撮像する撮像部200の少なくともレンズ部分を収納するカバー部210を具備し、除湿した空気をカバー部210の内部へ送り込む。これにより、大きな設備を準備することなく、レンズ201への結露や曇りを除去し、正確な水質状態を判定するための画像を得ることができる。また、撮像部200のレンズ201を収納したカバー部210の内部のみに空気を送り込むため、混和槽100に貯留された被処理水へ湿度変化による水質変化を与えることがない。
(第3の実施の形態)
【0023】
図4は、本発明の水処理システムの第3の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは図4に示すように、混和槽100と、撮像部200と、カバー部210と、空気供給部300と、加温部310と、除湿部320とを有する。撮像部200と、カバー部210と、空気供給部300と、加温部310と、除湿部320とから、撮像装置を構成する。混和槽100、撮像部200、カバー部210、空気供給部300および加温部310のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。また、除湿部320は、第2の実施の形態におけるものと同じものである。
【0024】
除湿部320は、空気供給部300から供給された空気を除湿する。除湿の方法については、第2の実施の形態にて説明した通りである。加温部310は、除湿部320が除湿した空気を加温する。加温の方法については、第1の実施の形態にて説明した通りである。なお、加温部310が、空気供給部300から供給された空気を加温し、除湿部320が、加温部310が加温した空気を除湿しても良い。つまり、空気供給部300から供給された空気がカバー部210の内部に送り込まれるまでに、加温部310による空気の加温と、除湿部320による空気の除湿とが行われる順序は規定しない。また、加温部310が加温した空気をカバー部210の内部へ送り込む方法、または除湿部320が除湿した空気をカバー部210の内部へ送り込む方法については、第1の実施の形態または第2の実施の形態にて説明した方法と同じで良い。
【0025】
このように、本形態においては、水槽に貯留された液体を上方から撮像する撮像部200の少なくともレンズ部分を収納するカバー部210を具備し、加温および除湿した空気をカバー部210の内部へ送り込む。これにより、大きな設備を準備することなく、レンズ201への結露や曇りを除去し、正確な水質状態を判定するための画像を得ることができる。また、撮像部200のレンズ201を収納したカバー部210の内部のみに空気を送り込むため、混和槽100に貯留された被処理水へ温度変化や湿度変化による水質変化を与えることがない。
(適用例)
【0026】
図5は、本発明の水処理システムの適用例を示す図である。図5に示すように、混和槽100と、凝集槽110と、沈殿槽120とが直列に配置されたシステムに本発明の水処理システムが適用されている。混和槽100に貯留された被処理水には、凝集剤とpH調整剤とが添加される。被処理水は、混和槽100から凝集槽110へ供給され、凝集槽110にて所定の処理が行われてから沈殿槽120へ供給される。撮像部200は、混和槽100に貯留された被処理水の画像を撮像し、撮像した画像データを画像処理手段400へ送信する。画像処理手段400は、撮像部200から送信されてきた画像データを画像処理し、画像データ(画像情報)を示す信号を制御装置410へ送信する。制御装置410は、画像処理手段400から送信されてきた信号に基づいて、混和槽100に貯留されている被処理水へ添加する薬品である凝集剤の量を算出し、算出した量の凝集剤が凝集剤貯槽420から添加されるように、添加装置であるポンプ430を制御する。凝集剤として、例えば、アルミニウム系(PAC、硫酸バンド等)、鉄系(ポリ鉄、塩化第二鉄)、高分子凝集剤(ポリマー)等が多く使われるが、特に限定しない。撮像部200が撮像した画像に基づいて凝集剤の添加量を制御するアルゴリズムについては、ここでは特に規定しない。このようなシステムにおいて、第3の実施の形態で説明したカバー部210、空気供給部300、加温部310および除湿部320を設ける。これにより、混和槽100に貯留された被処理水の正確な水質状態を判定するための画像を得ることができ、その結果、被処理水に適した量の凝集剤を添加することができる。
【0027】
なお、撮像部200が撮像した画像データは、薬品添加の制御のために用いるだけに限らず、被処理水の水質の異常検知のために用いても良い。また、撮像部200の撮像は、どの水処理プロセスに用いてもよい。設置場所は槽内の懸濁物質を撮像できる場所であればよく、限定されない。
【符号の説明】
【0028】
100 混和槽
110 凝集槽
120 沈殿槽
200 撮像部
201 レンズ
210 カバー部
211 底面
300 空気供給部
310 加温部
320 除湿部
330 送気管
400 画像処理手段
410 制御装置
420 凝集剤貯槽
430 ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5